JP2004064605A - 誘電体フィルタ - Google Patents
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Abstract
【課題】結合導体の結合力を向上させて、全体構造の小型化をはかることができる誘電体フィルタを提供する。
【解決手段】複数の誘電体層を積層してなる積層体の内部に一対のストリップラインを配設するとともに、前記積層体の両主面側及び一端面にグランド電極を配設した誘電体フィルタにおいて、前記一対のストリップラインは、異なる誘電体層間に介在される主伝送線路1及び副伝送線路2と、両伝送線路間の誘電体層内に埋設され、両伝送線路を電気的に接続するビアホール導体とで構成されており、且つ前記主伝送線路−副伝送線路間に位置する誘電体層間に、各ビアホール導体3に電気的に接続された第1結合導体8a及び第2結合導体8bが介在され、この2個の結合導体を介して前記一対のストリップラインを容量結合する。
【選択図】図1
【解決手段】複数の誘電体層を積層してなる積層体の内部に一対のストリップラインを配設するとともに、前記積層体の両主面側及び一端面にグランド電極を配設した誘電体フィルタにおいて、前記一対のストリップラインは、異なる誘電体層間に介在される主伝送線路1及び副伝送線路2と、両伝送線路間の誘電体層内に埋設され、両伝送線路を電気的に接続するビアホール導体とで構成されており、且つ前記主伝送線路−副伝送線路間に位置する誘電体層間に、各ビアホール導体3に電気的に接続された第1結合導体8a及び第2結合導体8bが介在され、この2個の結合導体を介して前記一対のストリップラインを容量結合する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話機やパーソナルコンピュータ等の各種通信機器に組み込まれて用いられる誘電体フィルタに関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来より、携帯電話機等の通信機器に誘電体フィルタが用いられている。
【0003】
かかる従来の誘電体フィルタとしては、例えば、図6及び図7に示す如く、複数の誘電体層110a〜110fを積層してなる積層体110の両主面にグランド電極102a、102bを、積層体110の端面にグランド電極102cを形成するとともに、前記積層体110の内部、具体的には誘電体層110c−110d間に略平行に配された3個の主伝送線路104a、104b、104cを、また誘電体層110a−110b間と誘電体層110e−110f間に平行に配された6個の副伝送線路105a、105b、105cを形成し、両伝送線路のうち対応するもの同士をビアホール導体106を介して電気的に接続した構造のものが知られている。
【0004】
前記主伝送線路104a、104b、104cは、その一端側(短絡端)で積層体端面のグランド電極102cと電気的に接続され、他端側でビアホール導体106を介して副伝送線路105a、105b、105cに電気的に接続されている。
【0005】
また、主伝送線路104a、104b、104cの近傍には入出力電極107a、107bが形成され、結合導体108a、108bでもって隣接するストリップライン同士を電界結合させている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の誘電体フィルタにおいては、隣接するストリップライン同士を電界結合させるために結合導体108a、108bを内層するようにしており、通過帯域の広いフィルタを構成するには、ストリップライン共振器間と結合導体間に発生する容量成分を大きくする必要がある。
【0007】
しかしながら、ストリップライン共振器間と結合導体間に発生する容量成分を大きく確保するには、結合導体108a、108bの導体幅を広く設計するか、或いは、結合導体108a、108bとストリップライン共振器間との層配置を近づける必要があり、いづれの手法を採用する場合であっても、フィルタを構成する共振器のQ値が劣化し、フィルタの挿入損失が劣化するという欠点を有していた。
【0008】
本発明は上記欠点に鑑み案出されたもので、その目的は、フィルタの挿入損失が劣化するのを有効に防止して、所望する周波数特性を得ることが可能な、小型の誘電体フィルタを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の誘電体フィルタは、複数の誘電体層を積層してなる積層体の内部に一対のストリップラインを配設するとともに、前記積層体の両主面側及び一端面にグランド電極を配設した誘電体フィルタにおいて、前記一対のストリップラインは、異なる誘電体層間に介在される主伝送線路及び副伝送線路と、両伝送線路間の誘電体層内に埋設され、両伝送線路を電気的に接続するビアホール導体とで構成されており、且つ前記主伝送線路−副伝送線路間に位置する誘電体層間に、各ビアホール導体に電気的に接続された第1結合導体及び第2結合導体が介在され、この2個の結合導体を介して前記一対のストリップラインを容量結合したことを特徴とするものである。
【0010】
また本発明の誘電体フィルタは、前記第1結合導体と前記第2結合導体とを異なる誘電体層間に介在させるとともに、この2個の結合導体を積層体の積層方向に一部交叉せしめたことを特徴とするものである。
【0011】
更に本発明の誘電体フィルタは、前記第1結合導体及び第2結合導体を配設した誘電体層間とは異なる誘電体層間に、第1結合導体及び第2結合導体に対して積層体の積層方向に一部交叉する第3結合導体が介在されていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の誘電体フィルタによれば、第1結合導体及び第2結合導体は、主伝送線路と副伝送線路との間でビアホール導体に電気的に接続し主伝送線路及び副伝送線路と対向するように配置させている。
【0013】
ここで、主伝送線路の開放端寄りのビアホール導体上は電流密度が強くなり電界強度が最も強いところである。このビアホール導体に、第1結合導体及び第2結合導体が電気的に接続され主伝送線路及び副伝送線路と対向するように配設することで、第1結合導体及び第2結合導体に充分な容量結合の結合力を得ることができる。
【0014】
また本発明の誘電体フィルタによれば、第1結合導体及び第2結合導体を積層体の積層方向に一部交叉させることにより、結合導体の面積が小さくても、充分な容量結合の結合力を得ることができる。
【0015】
更に本発明の誘電体フィルタによれば、第1結合導体及び第2結合導体を配設した誘電体層間とは異なる誘電体層間に、第1結合導体及び第2結合導体に対して積層体の積層方向に一部交叉する第3結合導体を介在させることにより、結合導体の形成される面積を制約されることがなく、容量結合の結合力を自由に設定することができ、フィルタの通過帯域幅の設計自由度を大きくすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る誘電体フィルタの分解斜視図、図2は図1の誘電体フィルタの断面図である。
【0018】
同図に示す誘電体フィルタ10は、誘電体磁器からなる積層体4の略全表面にグランド電位に保持されるグランド電極5a〜5cが形成され、積層体4内部には主伝送線路1a、1b及び副伝送線路2a、2bと入出力ライン6、7及び第1結合導体8a、第2結合導体8bが形成されている。
【0019】
前記積層体4は、例えば7層の誘電体層4a〜4gを積層して形成されており、各誘電体層4a〜4gは、誘電体セラミック材料、焼結助剤、低融点ガラス材料等によって構成されている。誘電体セラミック材料としては、例えばBaO−TiO2系、Ca−TiO2系、MgO−TiO2系等のセラミック材料が用いられ、これらのセラミック材料を用いる場合、誘電率が比較的高く、小さな面積でも充分な静電容量を得ることができるため、ストリップライン長を短縮して、全体構造の小型化に供することができる。また焼結助剤としては、例えば、BiVO4、CuO、Li2O、B2O3等が用いられる。誘電体層4a〜4gの厚みは、1層あたり50〜300μm程度に設定される。
【0020】
また、グランド電極5は、誘電体層4aの表面に設けられるグランド電極5aと、誘電体層4gの裏面に設けられるグランド電極5bと、積層体4の入出力ライン6,7の引き出し部を除く側面全面に設けられるグランド電極5cとで構成されている。そして、これらのグランド電極5a,5b,5cは積層体4の稜線部によって相互に接続され、その材質としては、例えばAgやCu等の金属を主成分とする導体材料が好適に用いられ、更に各グランド電極5a,5b,5cの表面には、酸化腐食等を防止する目的で、Auメッキ膜やNi−Auメッキ膜等を被着させておくことが好ましい。
【0021】
一方、主伝送線路1a、1b及び副伝送線路2a、2bは、積層体の内部、具体的には、誘電体層4eと誘電体層4fとの間に主伝送線路1a,1bが、誘電体層4aと誘電体層4bとの間に副伝送線路2a,2bが介在されており、前記主伝送線路1a、1bはその一端側で積層体端面のグランド電極5cに電気的に接続されている。また、主伝送線路1a、1b及び副伝送線路2a、2bは、主伝送線路1a、1bの開放端寄りでビアホール導体3a、3bを介して相互に接続されており、これらの主伝送線路1a、1b、副伝送線路2a、2b及びビアホール導体3a、3bによってストリップライン共振器を構成している。
【0022】
このようなストリップライン共振器は主伝送線路1a、1b及び副伝送線路2a、2bと対向するグランド電極5a、5bとの間で容量成分及び誘導成分を形成するようになっており、λ/4のストリップライン共振器として機能することとなる。尚、図中の6,7は入出力ラインである。
【0023】
また、上述のストリップライン共振器を構成する主伝送線路1a、1b、副伝送線路2a、2b及びビアホール導体3a、3bは、例えば、グランド電極5と同様の導電材料によって形成される。
【0024】
そして、誘電体層4cと誘電体層4dとの間には第1結合導体8aが、また誘電体層4dと誘電体層4eとの間には第2結合導体8bが形成され、第1結合導体8aをビアホール導体3aに、第2結合導体8bをビアホール導体3bに直接接続している。
【0025】
ここで、主伝送線路1a、1bの開放端寄りの領域では、図3に示すように、ビアホール導体3a、3b上が主伝送線路1a、1bの電界強度の最大を示す位置となる。
【0026】
本実施形態の誘電体フィルタにおいては、第1結合導体8a、第2結合導体8bは電界強度が最も強い位置に配されているため、主伝送線路1a、1bの開放端よりは容量結合が支配的であり、その位置に第1結合導体8a、第2結合導体8bを配設することで、第1結合導体8a、第2結合導体8bに充分な容量結合力を付与することができる。
【0027】
また本実施形態の誘電体フィルタにおいては、第1結合導体8a、第2結合導体8bがビアホール導体3a、3bに直接接続され、しかも主伝送線路1a、1bの開放端寄りの領域に独立して形成されているため、第1結合導体8a、第2結合導体8bの面積がそれぞれ広く確保されるようになり、容量結合の結合力を更に高めることができる。このように第1結合導体8a、第2結合導体8bに充分な結合力を付与することができると、このようなストリップライン共振器を併設してフィルタを構成した場合には、広帯域のフィルタを得ることが可能となる。
【0028】
更に本実施形態の誘電体フィルタにおいては、主伝送線路1a、1bと第1結合導体8a、第2結合導体8bとを積層体の積層方向に大きく重なるように配置させておくことが好ましく、そのようになしとけば静電容量が大きくなるため、主伝送線路1a、1bと第1結合導体8a、第2結合導体8bとの間の容量結合が強められる。
【0029】
次に上述した誘電体フィルタ10の製造方法について説明する。
【0030】
まず、誘電体材料と樹脂材料からなるセラミックグリーンシートに導電性ペーストを用いてグランド電極5a、5bを形成したもの、主伝送線路1a、1bを形成したもの、副伝送線路2a、2bとビアホール導体3a、3bを形成したもの、入出力ライン6、7とビアホール導体3a、3bを形成したもの、第1結合導体8aとビアホール導体3a、3bを形成したもの及び第2結合導体8bとビアホール導体3a、3bを形成したものをそれぞれ図1に示される順序で積層する。
【0031】
次に上述したセラミックグリーンシートの積層体を高温で焼成し、誘電体層と内部導体とを同時焼成することによって積層体4を形成し、最後に、得られた積層体4の側面にグランド電極5cを形成し、その一主面側及び他主面側でグランド電極5a,5bと接続させることによって製品としての誘電体フィルタが完成する。
【0032】
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態について図4及び図5を用いて説明する。
図4は本発明の第2実施形態における誘電体フィルタの分解斜視図、図5は図4の誘電体フィルタの断面図である。尚、先に述べた第1実施形態と同様の構成要素については同一の参照符号を用い、重複する説明を省略するものとする。
【0033】
この第2実施形態の誘電体フィルタの特徴的な点は、誘電体層4cと誘電体層4dとの間に第1結合導体8a及び第2結合導体8bが、また誘電体層4dと誘電体層4eとの間に第3結合導体8cが形成されている点である。尚、前記第1結合導体8aはビアホール導体3aに、第2結合導体8bはビアホール導体3bに直接接続されている。
【0034】
このような第2実施形態の誘電体フィルタにおいては、第1結合導体8a及び第2結合導体8bを配設した誘電体層間とは異なる誘電体層間に、第1結合導体8a及び第2結合導体8bに対して積層体の積層方向に一部交叉する第3結合導体8cを介在させてあるため、結合導体の形成される面積を制約されることがなく、容量結合の結合力を自由に設定することができ、フィルタの通過帯域幅の設計自由度を大きくすることができる。
【0035】
尚、本発明は上述の第1実施形態、第2実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良が可能である。
【0036】
【発明の効果】
本発明の誘電体フィルタによれば、電流密度が強く電界強度が最も強いビアホール導体に直接結合導体を配置させたことから、個々の結合導体の面積が小さくても充分な容量結合の結合力を得ることができ、電極配置によるQ値劣化を有効に防止して、広帯域で挿入損失の小さい高性能の誘電体フィルタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る誘電体フィルタの分解斜視図である。
【図2】図1の誘電体フィルタの断面図である。
【図3】誘電体フィルタのビアホール導体上における電界強度分布を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る誘電体フィルタの分解斜視図である。
【図5】図4の誘電体フィルタの断面図である。
【図6】従来の誘電体フィルタの外観斜視図である。
【図7】図6の誘電体フィルタの断面図である。
【符号の説明】
1a、1b・・・主伝送線路
2a、2b・・・副伝送線路
3a、3b・・・ビアホール導体
4・・・積層体
4a〜4g・・・誘電体層
5a、5b、5c・・・グランド電極
6、7・・・入出力ライン
8a・・・第1結合導体
8b・・・第2結合導体
8c・・・第3結合導体
10・・・誘電体フィルタ
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話機やパーソナルコンピュータ等の各種通信機器に組み込まれて用いられる誘電体フィルタに関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来より、携帯電話機等の通信機器に誘電体フィルタが用いられている。
【0003】
かかる従来の誘電体フィルタとしては、例えば、図6及び図7に示す如く、複数の誘電体層110a〜110fを積層してなる積層体110の両主面にグランド電極102a、102bを、積層体110の端面にグランド電極102cを形成するとともに、前記積層体110の内部、具体的には誘電体層110c−110d間に略平行に配された3個の主伝送線路104a、104b、104cを、また誘電体層110a−110b間と誘電体層110e−110f間に平行に配された6個の副伝送線路105a、105b、105cを形成し、両伝送線路のうち対応するもの同士をビアホール導体106を介して電気的に接続した構造のものが知られている。
【0004】
前記主伝送線路104a、104b、104cは、その一端側(短絡端)で積層体端面のグランド電極102cと電気的に接続され、他端側でビアホール導体106を介して副伝送線路105a、105b、105cに電気的に接続されている。
【0005】
また、主伝送線路104a、104b、104cの近傍には入出力電極107a、107bが形成され、結合導体108a、108bでもって隣接するストリップライン同士を電界結合させている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の誘電体フィルタにおいては、隣接するストリップライン同士を電界結合させるために結合導体108a、108bを内層するようにしており、通過帯域の広いフィルタを構成するには、ストリップライン共振器間と結合導体間に発生する容量成分を大きくする必要がある。
【0007】
しかしながら、ストリップライン共振器間と結合導体間に発生する容量成分を大きく確保するには、結合導体108a、108bの導体幅を広く設計するか、或いは、結合導体108a、108bとストリップライン共振器間との層配置を近づける必要があり、いづれの手法を採用する場合であっても、フィルタを構成する共振器のQ値が劣化し、フィルタの挿入損失が劣化するという欠点を有していた。
【0008】
本発明は上記欠点に鑑み案出されたもので、その目的は、フィルタの挿入損失が劣化するのを有効に防止して、所望する周波数特性を得ることが可能な、小型の誘電体フィルタを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の誘電体フィルタは、複数の誘電体層を積層してなる積層体の内部に一対のストリップラインを配設するとともに、前記積層体の両主面側及び一端面にグランド電極を配設した誘電体フィルタにおいて、前記一対のストリップラインは、異なる誘電体層間に介在される主伝送線路及び副伝送線路と、両伝送線路間の誘電体層内に埋設され、両伝送線路を電気的に接続するビアホール導体とで構成されており、且つ前記主伝送線路−副伝送線路間に位置する誘電体層間に、各ビアホール導体に電気的に接続された第1結合導体及び第2結合導体が介在され、この2個の結合導体を介して前記一対のストリップラインを容量結合したことを特徴とするものである。
【0010】
また本発明の誘電体フィルタは、前記第1結合導体と前記第2結合導体とを異なる誘電体層間に介在させるとともに、この2個の結合導体を積層体の積層方向に一部交叉せしめたことを特徴とするものである。
【0011】
更に本発明の誘電体フィルタは、前記第1結合導体及び第2結合導体を配設した誘電体層間とは異なる誘電体層間に、第1結合導体及び第2結合導体に対して積層体の積層方向に一部交叉する第3結合導体が介在されていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の誘電体フィルタによれば、第1結合導体及び第2結合導体は、主伝送線路と副伝送線路との間でビアホール導体に電気的に接続し主伝送線路及び副伝送線路と対向するように配置させている。
【0013】
ここで、主伝送線路の開放端寄りのビアホール導体上は電流密度が強くなり電界強度が最も強いところである。このビアホール導体に、第1結合導体及び第2結合導体が電気的に接続され主伝送線路及び副伝送線路と対向するように配設することで、第1結合導体及び第2結合導体に充分な容量結合の結合力を得ることができる。
【0014】
また本発明の誘電体フィルタによれば、第1結合導体及び第2結合導体を積層体の積層方向に一部交叉させることにより、結合導体の面積が小さくても、充分な容量結合の結合力を得ることができる。
【0015】
更に本発明の誘電体フィルタによれば、第1結合導体及び第2結合導体を配設した誘電体層間とは異なる誘電体層間に、第1結合導体及び第2結合導体に対して積層体の積層方向に一部交叉する第3結合導体を介在させることにより、結合導体の形成される面積を制約されることがなく、容量結合の結合力を自由に設定することができ、フィルタの通過帯域幅の設計自由度を大きくすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る誘電体フィルタの分解斜視図、図2は図1の誘電体フィルタの断面図である。
【0018】
同図に示す誘電体フィルタ10は、誘電体磁器からなる積層体4の略全表面にグランド電位に保持されるグランド電極5a〜5cが形成され、積層体4内部には主伝送線路1a、1b及び副伝送線路2a、2bと入出力ライン6、7及び第1結合導体8a、第2結合導体8bが形成されている。
【0019】
前記積層体4は、例えば7層の誘電体層4a〜4gを積層して形成されており、各誘電体層4a〜4gは、誘電体セラミック材料、焼結助剤、低融点ガラス材料等によって構成されている。誘電体セラミック材料としては、例えばBaO−TiO2系、Ca−TiO2系、MgO−TiO2系等のセラミック材料が用いられ、これらのセラミック材料を用いる場合、誘電率が比較的高く、小さな面積でも充分な静電容量を得ることができるため、ストリップライン長を短縮して、全体構造の小型化に供することができる。また焼結助剤としては、例えば、BiVO4、CuO、Li2O、B2O3等が用いられる。誘電体層4a〜4gの厚みは、1層あたり50〜300μm程度に設定される。
【0020】
また、グランド電極5は、誘電体層4aの表面に設けられるグランド電極5aと、誘電体層4gの裏面に設けられるグランド電極5bと、積層体4の入出力ライン6,7の引き出し部を除く側面全面に設けられるグランド電極5cとで構成されている。そして、これらのグランド電極5a,5b,5cは積層体4の稜線部によって相互に接続され、その材質としては、例えばAgやCu等の金属を主成分とする導体材料が好適に用いられ、更に各グランド電極5a,5b,5cの表面には、酸化腐食等を防止する目的で、Auメッキ膜やNi−Auメッキ膜等を被着させておくことが好ましい。
【0021】
一方、主伝送線路1a、1b及び副伝送線路2a、2bは、積層体の内部、具体的には、誘電体層4eと誘電体層4fとの間に主伝送線路1a,1bが、誘電体層4aと誘電体層4bとの間に副伝送線路2a,2bが介在されており、前記主伝送線路1a、1bはその一端側で積層体端面のグランド電極5cに電気的に接続されている。また、主伝送線路1a、1b及び副伝送線路2a、2bは、主伝送線路1a、1bの開放端寄りでビアホール導体3a、3bを介して相互に接続されており、これらの主伝送線路1a、1b、副伝送線路2a、2b及びビアホール導体3a、3bによってストリップライン共振器を構成している。
【0022】
このようなストリップライン共振器は主伝送線路1a、1b及び副伝送線路2a、2bと対向するグランド電極5a、5bとの間で容量成分及び誘導成分を形成するようになっており、λ/4のストリップライン共振器として機能することとなる。尚、図中の6,7は入出力ラインである。
【0023】
また、上述のストリップライン共振器を構成する主伝送線路1a、1b、副伝送線路2a、2b及びビアホール導体3a、3bは、例えば、グランド電極5と同様の導電材料によって形成される。
【0024】
そして、誘電体層4cと誘電体層4dとの間には第1結合導体8aが、また誘電体層4dと誘電体層4eとの間には第2結合導体8bが形成され、第1結合導体8aをビアホール導体3aに、第2結合導体8bをビアホール導体3bに直接接続している。
【0025】
ここで、主伝送線路1a、1bの開放端寄りの領域では、図3に示すように、ビアホール導体3a、3b上が主伝送線路1a、1bの電界強度の最大を示す位置となる。
【0026】
本実施形態の誘電体フィルタにおいては、第1結合導体8a、第2結合導体8bは電界強度が最も強い位置に配されているため、主伝送線路1a、1bの開放端よりは容量結合が支配的であり、その位置に第1結合導体8a、第2結合導体8bを配設することで、第1結合導体8a、第2結合導体8bに充分な容量結合力を付与することができる。
【0027】
また本実施形態の誘電体フィルタにおいては、第1結合導体8a、第2結合導体8bがビアホール導体3a、3bに直接接続され、しかも主伝送線路1a、1bの開放端寄りの領域に独立して形成されているため、第1結合導体8a、第2結合導体8bの面積がそれぞれ広く確保されるようになり、容量結合の結合力を更に高めることができる。このように第1結合導体8a、第2結合導体8bに充分な結合力を付与することができると、このようなストリップライン共振器を併設してフィルタを構成した場合には、広帯域のフィルタを得ることが可能となる。
【0028】
更に本実施形態の誘電体フィルタにおいては、主伝送線路1a、1bと第1結合導体8a、第2結合導体8bとを積層体の積層方向に大きく重なるように配置させておくことが好ましく、そのようになしとけば静電容量が大きくなるため、主伝送線路1a、1bと第1結合導体8a、第2結合導体8bとの間の容量結合が強められる。
【0029】
次に上述した誘電体フィルタ10の製造方法について説明する。
【0030】
まず、誘電体材料と樹脂材料からなるセラミックグリーンシートに導電性ペーストを用いてグランド電極5a、5bを形成したもの、主伝送線路1a、1bを形成したもの、副伝送線路2a、2bとビアホール導体3a、3bを形成したもの、入出力ライン6、7とビアホール導体3a、3bを形成したもの、第1結合導体8aとビアホール導体3a、3bを形成したもの及び第2結合導体8bとビアホール導体3a、3bを形成したものをそれぞれ図1に示される順序で積層する。
【0031】
次に上述したセラミックグリーンシートの積層体を高温で焼成し、誘電体層と内部導体とを同時焼成することによって積層体4を形成し、最後に、得られた積層体4の側面にグランド電極5cを形成し、その一主面側及び他主面側でグランド電極5a,5bと接続させることによって製品としての誘電体フィルタが完成する。
【0032】
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態について図4及び図5を用いて説明する。
図4は本発明の第2実施形態における誘電体フィルタの分解斜視図、図5は図4の誘電体フィルタの断面図である。尚、先に述べた第1実施形態と同様の構成要素については同一の参照符号を用い、重複する説明を省略するものとする。
【0033】
この第2実施形態の誘電体フィルタの特徴的な点は、誘電体層4cと誘電体層4dとの間に第1結合導体8a及び第2結合導体8bが、また誘電体層4dと誘電体層4eとの間に第3結合導体8cが形成されている点である。尚、前記第1結合導体8aはビアホール導体3aに、第2結合導体8bはビアホール導体3bに直接接続されている。
【0034】
このような第2実施形態の誘電体フィルタにおいては、第1結合導体8a及び第2結合導体8bを配設した誘電体層間とは異なる誘電体層間に、第1結合導体8a及び第2結合導体8bに対して積層体の積層方向に一部交叉する第3結合導体8cを介在させてあるため、結合導体の形成される面積を制約されることがなく、容量結合の結合力を自由に設定することができ、フィルタの通過帯域幅の設計自由度を大きくすることができる。
【0035】
尚、本発明は上述の第1実施形態、第2実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良が可能である。
【0036】
【発明の効果】
本発明の誘電体フィルタによれば、電流密度が強く電界強度が最も強いビアホール導体に直接結合導体を配置させたことから、個々の結合導体の面積が小さくても充分な容量結合の結合力を得ることができ、電極配置によるQ値劣化を有効に防止して、広帯域で挿入損失の小さい高性能の誘電体フィルタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る誘電体フィルタの分解斜視図である。
【図2】図1の誘電体フィルタの断面図である。
【図3】誘電体フィルタのビアホール導体上における電界強度分布を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る誘電体フィルタの分解斜視図である。
【図5】図4の誘電体フィルタの断面図である。
【図6】従来の誘電体フィルタの外観斜視図である。
【図7】図6の誘電体フィルタの断面図である。
【符号の説明】
1a、1b・・・主伝送線路
2a、2b・・・副伝送線路
3a、3b・・・ビアホール導体
4・・・積層体
4a〜4g・・・誘電体層
5a、5b、5c・・・グランド電極
6、7・・・入出力ライン
8a・・・第1結合導体
8b・・・第2結合導体
8c・・・第3結合導体
10・・・誘電体フィルタ
Claims (3)
- 複数の誘電体層を積層してなる積層体の内部に一対のストリップラインを配設するとともに、前記積層体の両主面側及び一端面にグランド電極を配設した誘電体フィルタにおいて、
前記一対のストリップラインは、異なる誘電体層間に介在される主伝送線路及び副伝送線路と、両伝送線路間の誘電体層内に埋設され、両伝送線路を電気的に接続するビアホール導体とで構成されており、且つ前記主伝送線路−副伝送線路間に位置する誘電体層間に、各ビアホール導体に電気的に接続された第1結合導体及び第2結合導体が介在され、この2個の結合導体を介して前記一対のストリップラインを容量結合したことを特徴とする誘電体フィルタ。 - 前記第1結合導体と前記第2結合導体とを異なる誘電体層間に介在させるとともに、この2個の結合導体を積層体の積層方向に一部交叉せしめたことを特徴とする請求項1に記載の誘電体フィルタ。
- 前記第1結合導体及び第2結合導体を配設した誘電体層間とは異なる誘電体層間に、第1結合導体及び第2結合導体に対して積層体の積層方向に一部交叉する第3結合導体が介在されていることを特徴とする請求項1に記載の誘電体フィルタ。
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JP2002222738A JP2004064605A (ja) | 2002-07-31 | 2002-07-31 | 誘電体フィルタ |
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JP2010098406A (ja) * | 2008-10-15 | 2010-04-30 | Murata Mfg Co Ltd | ストリップラインフィルタ |
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- 2002-07-31 JP JP2002222738A patent/JP2004064605A/ja active Pending
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