JP2004063021A - スタンパ、光ディスク基板製造方法、光ディスク基板成形金型、光ディスク基板及び光情報記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生あるいは記録/再生/消去が可能な録再領域との2種領域が混在する光ディスク基板を異常転写を防止して高精度に成形するスタンパ、光ディスク基板製造方法、光ディスク基板成形金型、光ディスク基板及び光情報記録媒体を提供する。
【解決手段】スタンパ1は、スタンパ1の凸部であるピット3またグルーブ4を、その断面形状が、先端部ほど階段状に細くなる多段形状に形成されている。したがって、光ディスク基板6の剥離時にスタンパ1の凸部が、成形された光ディスク基板6の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを防止することができ、高精度に転写を行うことができる。
【選択図】 図1
【解決手段】スタンパ1は、スタンパ1の凸部であるピット3またグルーブ4を、その断面形状が、先端部ほど階段状に細くなる多段形状に形成されている。したがって、光ディスク基板6の剥離時にスタンパ1の凸部が、成形された光ディスク基板6の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを防止することができ、高精度に転写を行うことができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スタンパ、光ディスク基板製造方法、光ディスク基板成形金型、光ディスク基板及び光情報記録媒体に関し、詳細には、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生あるいは記録/再生/消去が可能な録再領域との2種領域が混在する光ディスク基板を異常転写を防止して高精度に成形するスタンパ、光ディスク基板製造方法、光ディスク基板成形金型、光ディスク基板及び光情報記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、光学的に情報の再生を行ったり、光学的に情報の再生と記録を行う光ディスクが出現しており、このような光ディスクとしては、例えば、CD(コンパクトディスク:Compact Disc)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory )、CD−R(Compact Disc Recordable )、CD−RW(Compact Disc Rewritable )等がある。
【0003】
このような光ディスク等の多機能の光情報記録媒体においては、予め読出専用の領域(以下、ROM領域という。)を有するタイプの光情報記録媒体が知られている。この光情報記録媒体は、メディア内周部に、必要なROM領域が物理的な凹凸形状として記録されており、その外周部に、ユーザが追記することのできる記録領域を有している。このROM領域に関する情報は、媒体最内周に存在するプログラムメモリエリア(PMA領域)に記録されており、あたかもブランクディスクに記録された第1セッションとして扱われている。
【0004】
このような光情報記録媒体は、基板上に深さの異なる凹凸パターンが混在し、ROMとして機能するピット領域と、追記を可能とするグルーブ領域である。これらのピット領域とグルーブ領域では、記録膜が形成された後に求められる信号が異なるため、物理的にも異なる深さを有しており、具体的には、図10及び図10のA−A矢視断面図である図11に示すように、グルーブよりもピットの方が深い傾向を有する。
【0005】
そして、このピット部(ROM領域)とグルーブ領域の深さの異なる凹凸パターンが、それまで許容されていた問題、すなわち、光情報記録媒体の基板面内における局所的なピットの異常転写を顕在化させた。
【0006】
光情報記録媒体の基板成形は、通常、情報の凹凸パターンを形成したスタンパが載置された金型の中に溶融樹脂を充填し、溶融樹脂が固化した後に、基板を取り出すことで行われる。この基板の取り出しにおいて、従来、図12に示すように、スタンパ100から基板101を剥離させるのに、スタンパ100の内周部(正確には、金型内周部)から圧縮空気を噴出させ、その圧力を利用して剥離を行っている。図12から分かるように、スタンパ100の中心部から圧空を噴出させるため、成形基板101は、中心部が変形し、この変形は、微視的に観察すると、図13に示すようにスタンパ100と基板101が密着していたのが、スタンパ100の中心部からの圧空により、図14及び図14のA部拡大図である図15に示すように、変形し、基板101に転写されたピット形状が破壊されて、いわゆる異常転写が発生している。なお、図14及び図15において、矢印は、圧空の流れの方向、剥離方向及び圧空により基板101が受ける力の方向を示している。
【0007】
すなわち、図16(a)及びそのA−A矢視断面図である図16(b)は、正常な転写が行われた場合を示しているが、上記図12に示したような状態で成形基板101がスタンパ100から剥離されると、成形基板101とスタンパ100との相対変位が発生して、図16図(c)とそのB−B矢視断面図である図16(d)及び図16(e)とそのC−C矢視断面図である図16(f)に示すようなピット部転写状態となり、垂直に離型されるべきスタンパ100のピットが、図16(c)(d)及び図16(e)(f)の右斜め上方に向かって離型されていくために異常転写となる。なお、図16(e)(f)は、相対変位が比較的小さい場合のピット部転写状態を示しており、図16(c)(d)及び図16(e)(f)のいずれの場合も本来の形状である図16(a)(b)とは異なる異常転写状態となっている。
【0008】
そして、図16から分かるように、図16(a)(b)の正常なピット部転写状態であれば、レーザースポットは、本来のトラック中心をトレースするが、図16(c)(d)の状態では、レーザースポットは、光学的な理由から図16のやや右側を中心としてトレースしてしまい、また、図16(e)(f)の状態であっても、変位の程度は小さいが、図16(c)(d)の場合と同様に、本来の中心から図16の右側にやや外れた箇所をトレースしてしまう。このように外れたトレース状態では、正確な情報の読み出しを行うことができず、ROM部の信頼性を著しく低下させる結果となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来技術にあっては、スタンパから成形基板を剥離するのにスタンパの中心から圧空を挿入して、成形基板を剥離していたため、上述のように、スタンパのピットの異常転写が発生するという問題があった。
【0010】
そして、本出願人は、この異常転写を解消するために、基板内周部の変形を抑制する成形条件を設定して、種々の実験を行ったが、異常転写を抑制することのできる成形条件に設定にすると、成形基板の剥離が不十分となり、連続成形に支障をきたした。また、連続成形が可能となっても、剥離の状態が不安定となり、成形基板の機械的特性(反り、うねり)が悪化し、成形基板の歩留まりを著しく低下させる結果となった。
【0011】
そこで、請求項1記載の発明は、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録され、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形するスタンパの凸部を、その断面形状が、先端部ほど階段状に細くなる多段形状に形成することにより、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを防止し、高精度に転写を行うことのできるスタンパを提供することを目的としている。
【0012】
請求項2記載の発明は、スタンパを、少なくとも凹凸の形成されている面がガラス原盤で形成されたものとし、当該ガラス原盤に、下層よりも上層の方に感度の高い感光剤を多層に積層させた後、当該感光剤を露光して、当該多層の感光剤の感光を上層ほど進行させることで多段形状が形成されたものとすることにより、多段形状の凸部を簡単かつ容易に形成するとともに、異常転写に対するマージンをより一層確保し、安価に高精度の転写を行うことのできるスタンパを提供することを目的としている。
【0013】
請求項3記載の発明は、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録されたスタンパが、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、当該溶融樹脂が固化した後、可動金型を固定金型から離隔する方向に開いてキャビティ内のスタンパから固化した樹脂を剥離させてスタンパの凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形するに際して、光ディスク基板のスタンパからの剥離の力点をROM領域と録再領域との境界から15mm以上離れた箇所に設けることにより、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止し、高精度な光ディスク基板を製造することのできる光ディスク基板製造方法を提供することを目的としている。
【0014】
請求項4記載の発明は、光ディスク基板の外周端部を剥離開始箇所として、光ディスク基板のスタンパからの剥離の力点をROM領域と録再領域との境界から15mm以上離れた箇所とすることにより、簡単かつ安価に光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止し、安価に高精度な光ディスク基板を製造することのできる光ディスク基板製造方法を提供することを目的としている。
【0015】
請求項5記載の発明は、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録されたスタンパが、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、当該溶融樹脂が固化した後、可動金型を固定金型から離隔する方向に開いてキャビティ内のスタンパから固化した樹脂を剥離させてスタンパの凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形するとともに、金型のうちスタンパ取付側の金型のキャビティ表面内周側にスリットが形成され、当該スリットが、大気圧と大気圧よりも高い所定の高圧の気体を供給する高圧気体源とに切換可能な気体通路に連通された金型を用いて光ディスク基板を製造するに際して、スリットを、固定金型から可動金型を開く型開き開始から所定の型開き時間の間または所定の型開き距離を経過するまでの間は、大気圧側の気体通路に連通させ、その後、高圧気体源側の気体通路に切り換えて連通させることにより、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止するとともに、一旦剥離された光ディスク基板が再度スタンパに接触することを防止し、より一層高精度な光ディスク基板を製造することのできる光ディスク基板製造方法を提供することを目的としている。
【0016】
請求項6記載の発明は、型開き開始初期の速度を、3mm/s〜5mm/sとすることにより、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することをより一層確実に防止するとともに、一旦剥離された光ディスク基板が再度スタンパに接触することを防止し、より一層高精度な光ディスク基板を製造することのできる光ディスク基板製造方法を提供することを目的としている。
【0017】
請求項7記載の発明は、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録されたスタンパが、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、当該溶融樹脂が固化した後、可動金型を固定金型から離隔する方向に開いてキャビティ内のスタンパから固化した樹脂を剥離させてスタンパの凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形する光ディスク基板成形金型を、当該スタンパ取付側の金型のキャビティ表面内周側にスリットが成され、当該スリットが、大気圧と大気圧よりも高い所定の高圧の気体を供給する高圧気体源とに切換可能な気体通路に連通され、可動金型を固定金型から開く型開き開始から所定の型開き時間の間または所定の型開き距離を経過するまでの間は、大気圧側の気体通路に連通され、その後、高圧気体源側の気体通路に切り換えて連通されるものとすることにより、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止するとともに、一旦剥離された光ディスク基板が再度スタンパに接触することを防止し、より一層高精度な光ディスク基板を製造することのできる光ディスク基板成形金型を提供することを目的としている。
【0018】
請求項8記載の発明は、光ディスク基板成形金型を、光ディスク基板の外周端面を成形する金型部品が、スタンパ取付側とは反対側の金型から当該スタンパ取付側の金型方向に向かって外周方向に広くなるテーパ形状に形成され、当該テーパ形状の金型部品が、当該スタンパ取付側とは反対側の金型に固定されているとともに、当該スタンパ取付側とは反対側の金型の外周端面との間に、成形される光ディスク基板に15μm〜20μmのバリを形成する隙間が設けられているものとすることにより、連続高速成形を可能とするとともに、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止し、連続して高速にかつ高精度な光ディスク基板を製造することのできる光ディスク基板成形金型を提供することを目的としている。
【0019】
請求項9記載の発明は、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録される光ディスク基板を、請求項1または請求項2記載のスタンパ、請求項3から請求項6のいずれかに記載の光ディスク基板製造方法、あるいは、請求項6または請求項7記載の光ディスク基板成形金型を用いて成形することにより、異常転写のない高精度な光ディスク基板を提供することを目的としている。
【0020】
請求項10記載の発明は、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録される光情報記録媒体を、請求項9記載の光ディスク基板を用いて作製することにより、信号品質の信頼性の高い2領域混在型の光情報記録媒体を提供することを目的としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明のスタンパは、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録され、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、前記凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形するスタンパにおいて、前記凸部は、その断面形状が、先端部ほど階段状に細くなる多段形状に形成されていることにより、上記目的を達成している。
【0022】
上記構成によれば、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録され、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形するスタンパの凸部を、その断面形状が、先端部ほど階段状に細くなる多段形状に形成しているので、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを防止することができ、高精度に転写を行うことができる。
【0023】
この場合、例えば、請求項2に記載するように、前記スタンパは、少なくとも前記凹凸の形成されている面がガラス原盤で形成され、当該ガラス原盤に、下層よりも上層の方に感度の高い感光剤を多層に積層させた後、当該感光剤を露光して、当該多層の感光剤の感光を上層ほど進行させることで前記多段形状が形成されているものであってもよい。
【0024】
上記構成によれば、スタンパを、少なくとも凹凸の形成されている面がガラス原盤で形成されたものとし、当該ガラス原盤に、下層よりも上層の方に感度の高い感光剤を多層に積層させた後、当該感光剤を露光して、当該多層の感光剤の感光を上層ほど進行させることで多段形状が形成されたものとしているので、多段形状の凸部を簡単かつ容易に形成することができるとともに、異常転写に対するマージンをより一層確保することができ、安価に高精度の転写を行うことができる。
【0025】
請求項3記載の発明の光ディスク基板製造方法は、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録されたスタンパが、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、当該溶融樹脂が固化した後、前記可動金型を前記固定金型から離隔する方向に開いて前記キャビティ内の前記スタンパから前記固化した樹脂を剥離させて前記スタンパの凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形する光ディスク基板製造方法において、前記光ディスク基板の前記スタンパからの剥離の力点を前記ROM領域と前記録再領域との境界から15mm以上離れた箇所に設けることにより、上記目的を達成している。
【0026】
上記構成によれば、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録されたスタンパが、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、当該溶融樹脂が固化した後、可動金型を固定金型から離隔する方向に開いてキャビティ内のスタンパから固化した樹脂を剥離させてスタンパの凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形するに際して、光ディスク基板のスタンパからの剥離の力点をROM領域と録再領域との境界から15mm以上離れた箇所に設けているので、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止することができ、高精度な光ディスク基板を製造することができる。
【0027】
この場合、例えば、請求項4に記載するように、前記光ディスク基板製造方法は、前記光ディスク基板の外周端部を前記剥離開始箇所として、前記光ディスク基板の前記スタンパからの剥離の力点を前記ROM領域と前記録再領域との境界から15mm以上離れた箇所としてもよい。
【0028】
上記構成によれば、光ディスク基板の外周端部を剥離開始箇所として、光ディスク基板のスタンパからの剥離の力点をROM領域と録再領域との境界から15mm以上離れた箇所としているので、簡単かつ安価に光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止することができ、安価に高精度な光ディスク基板を製造することができる。
【0029】
請求項5記載の発明の光ディスク基板製造方法は、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録されたスタンパが、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、当該溶融樹脂が固化した後、前記可動金型を前記固定金型から離隔する方向に開いて前記キャビティ内の前記スタンパから前記固化した樹脂を剥離させて前記スタンパの凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形するとともに、前記金型のうち前記スタンパ取付側の金型の前記キャビティ表面内周側にスリットが形成され、当該スリットが、大気圧と大気圧よりも高い所定の高圧の気体を供給する高圧気体源とに切換可能な気体通路に連通された金型を用いた光ディスク基板製造方法であって、前記スリットを、前記固定金型から前記可動金型を開く型開き開始から所定の型開き時間の間または所定の型開き距離を経過するまでの間は、前記大気圧側の気体通路に連通させ、その後、前記高圧気体源側の気体通路に切り換えて連通させることにより、上記目的を達成している。
【0030】
上記構成によれば、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録されたスタンパが、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、当該溶融樹脂が固化した後、可動金型を固定金型から離隔する方向に開いてキャビティ内のスタンパから固化した樹脂を剥離させてスタンパの凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形するとともに、金型のうちスタンパ取付側の金型のキャビティ表面内周側にスリットが形成され、当該スリットが、大気圧と大気圧よりも高い所定の高圧の気体を供給する高圧気体源とに切換可能な気体通路に連通された金型を用いて光ディスク基板を製造するに際して、スリットを、固定金型から可動金型を開く型開き開始から所定の型開き時間の間または所定の型開き距離を経過するまでの間は、大気圧側の気体通路に連通させ、その後、高圧気体源側の気体通路に切り換えて連通させるので、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止することができるとともに、一旦剥離された光ディスク基板が再度スタンパに接触することを防止することができ、より一層高精度な光ディスク基板を製造することができる。
【0031】
この場合、例えば、請求項6に記載するように、前記光ディスク基板製造方法は、前記型開き開始初期の速度が、3mm/s〜5mm/sであってもよい。
【0032】
上記構成によれば、型開き開始初期の速度を、3mm/s〜5mm/sとしているので、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することをより一層確実に防止することができるとともに、一旦剥離された光ディスク基板が再度スタンパに接触することを防止することができ、より一層高精度な光ディスク基板を製造することができる。
【0033】
請求項7記載の発明の光ディスク基板成形金型は、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録されたスタンパが、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、当該溶融樹脂が固化した後、前記可動金型を前記固定金型から離隔する方向に開いて前記キャビティ内の前記スタンパから前記固化した樹脂を剥離させて前記スタンパの凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形する光ディスク基板成形金型において、前記スタンパ取付側の金型の前記キャビティ表面内周側にスリットが形成され、当該スリットが、大気圧と大気圧よりも高い所定の高圧の気体を供給する高圧気体源とに切換可能な気体通路に連通され、前記可動金型を前記固定金型から開く型開き開始から所定の型開き時間の間または所定の型開き距離を経過するまでの間は、前記大気圧側の気体通路に連通され、その後、前記高圧気体源側の気体通路に切り換えて連通されることにより、上記目的を達成している。
【0034】
上記構成によれば、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録されたスタンパが、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、当該溶融樹脂が固化した後、可動金型を固定金型から離隔する方向に開いてキャビティ内のスタンパから固化した樹脂を剥離させてスタンパの凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形する光ディスク基板成形金型を、当該スタンパ取付側の金型のキャビティ表面内周側にスリットが成され、当該スリットが、大気圧と大気圧よりも高い所定の高圧の気体を供給する高圧気体源とに切換可能な気体通路に連通され、可動金型を固定金型から開く型開き開始から所定の型開き時間の間または所定の型開き距離を経過するまでの間は、大気圧側の気体通路に連通され、その後、高圧気体源側の気体通路に切り換えて連通されるものとしているので、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止することができるとともに、一旦剥離された光ディスク基板が再度スタンパに接触することを防止することができ、より一層高精度な光ディスク基板を製造することができる。
【0035】
この場合、例えば、請求項8に記載するように、前記光ディスク基板成形金型は、前記光ディスク基板の外周端面を成形する金型部品が、前記スタンパ取付側とは反対側の金型から当該スタンパ取付側の金型方向に向かって外周方向に広くなるテーパ形状に形成され、当該テーパ形状の金型部品が、当該スタンパ取付側とは反対側の金型に固定されているとともに、当該スタンパ取付側とは反対側の金型の外周端面との間に、前記成形される光ディスク基板に15μm〜20μmのバリを形成する隙間が設けられているものであってもよい。
【0036】
上記構成によれば、光ディスク基板成形金型を、光ディスク基板の外周端面を成形する金型部品が、スタンパ取付側とは反対側の金型から当該スタンパ取付側の金型方向に向かって外周方向に広くなるテーパ形状に形成され、当該テーパ形状の金型部品が、当該スタンパ取付側とは反対側の金型に固定されているとともに、当該スタンパ取付側とは反対側の金型の外周端面との間に、成形される光ディスク基板に15μm〜20μmのバリを形成する隙間が設けられているものとしているので、連続高速成形を可能とすることができるとともに、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止することができ、連続して高速にかつ高精度な光ディスク基板を製造することができる。
【0037】
請求項9記載の発明の光ディスク基板は、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録される光ディスク基板であって、前記請求項1または請求項2記載のスタンパ、請求項3から請求項6のいずれかに記載の光ディスク基板製造方法、あるいは、請求項6または請求項7記載の光ディスク基板成形金型を用いて成形されていることにより、上記目的を達成している。
【0038】
上記構成によれば、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録される光ディスク基板を、請求項1または請求項2記載のスタンパ、請求項3から請求項6のいずれかに記載の光ディスク基板製造方法、あるいは、請求項6または請求項7記載の光ディスク基板成形金型を用いて成形しているので、異常転写のない高精度な光ディスク基板を製造することができる。
【0039】
請求項10記載の発明の光情報記録媒体は、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録される光情報記録媒体であって、前記請求項9記載の光ディスク基板を用いて作製されていることにより、上記目的を達成している。
【0040】
上記構成によれば、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録される光情報記録媒体を、請求項9記載の光ディスク基板を用いて作製しているので、信号品質の信頼性の高い2領域混在型の光情報記録媒体を作製することができる。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0042】
図1〜図4は、本発明のスタンパ、光ディスク基板製造方法、光ディスク基板成形金型、光ディスク基板及び光情報記録媒体の第1の実施の形態を示す図であり、図1は、本発明のスタンパ、光ディスク基板製造方法、光ディスク基板成形金型、光ディスク基板及び光情報記録媒体の第1の実施の形態を適用したスタンパ1の要部正面拡大断面図である。
【0043】
図1において、スタンパ1は、その一面の上面に凹凸2としてのピット3とグルーブ4が複数形成されており、高く突出したピット3は、基端側から先端側に向かって階段状に徐々に細くなる多段形状に形成されている。ピット3は、スタンパ1の当該面が転写されて形成される光ディスクのROMとして機能し、グルーブ4は、スタンパ1の当該面が転写されて形成される光ディスクの追記を可能とする録再領域として機能する。
【0044】
このスタンパ1には、ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸2で記録される。
【0045】
スタンパ1は、ガラス原盤に感光剤を塗布して、当該感光剤を露光して感光させることで凹凸2であるピット3とグルーブ4が形成されており、このとき、下層の感光剤と上層の感光剤の感度を、下層感光剤 < 上層感光剤に設定することで、下層の感光剤よりも上層の感光剤の方の感光をより速く進行させることで、上記階段形状のピット3が形成されている。
【0046】
このスタンパ1は、記録/再生または記録/再生/消去可能な光ディスク基板を製造するのに使用され、当該光ディスク基板製造用の金型である固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、スタンパ1の凹凸2を溶融樹脂に転写させることで、光ディスク基板を成形する。
【0047】
すなわち、スタンパ1は、例えば、固定金型に取り付けられ、このスタンパ1の取り付けられた固定金型と可動金型との間に形成されるキャビティ内に、図2に示すように、溶融樹脂5が充填され、溶融樹脂5が固化すると、固定金型に対して可動金型を離隔する方向に移動させる。
【0048】
このとき、一般的には、スタンパ1の内周部(正確には、金型内周部)から圧縮空気を噴出させ、図3に示すように、当該圧縮空気の圧空を利用して、図3に剥離方向として示す方向に、光ディスク基板6に圧空の力を付与して、スタンパ1から固化樹脂である成形した光ディスク基板6を剥離させる。
【0049】
このとき、従来のスタンパ100では、図13及び図13のA部拡大図である図14に示したように、スタンパ100のピットが基板101の当該ピットの転写されたピット形状部分に接触(衝突)して変形し、基板101に転写されたピット形状が破壊されて、いわゆる異常転写が発生していた。
【0050】
ところが、本実施の形態のスタンパ1は、凹凸2、特に、高く突出したピット3が基端側から先端側に向かって階段状に徐々に細くなる多段形状に形成されているため、図3に相対変位方向として矢印で示すように、スタンパ1と光ディスク基板6が相対変位しても、図3のA部拡大図である図4に示すように、凹凸2、特に、高く突出したピット3が光ディスク基板6の当該ピット3の転写形状部分に接触することを防止することができ、光ディスク基板6の転写された凹凸2が破壊されて、いわゆる異常転写が発生することを防止することができる。したがって、異常転写のない光ディスク基板6を製造することができ、この光ディスク基板6を利用した高精度の光情報記録媒体を製造することができる。
【0051】
なお、上記実施の形態においては、ピット3を2段階の形状に形成しているが、形成する段形状は、2段階に限るものではなく、2段以上の多段形状に形成してもよい。
【0052】
また、上記実施の形態においては、ピット3のみを多段形状に形成しているが、グルーブ4についても多段形状に形成してもよい。
【0053】
このように、本実施の形態のスタンパ1は、スタンパ1の凸部であるピット3またグルーブ4を、その断面形状が、先端部ほど階段状に細くなる多段形状に形成している。
【0054】
したがって、光ディスク基板6の剥離時にスタンパ1の凸部が、成形された光ディスク基板6の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを防止することができ、高精度に転写を行うことができる。
【0055】
また、本実施の形態のスタンパ1は、少なくとも凹凸2の形成されている面がガラス原盤で形成されたものとし、当該ガラス原盤に、下層よりも上層の方に感度の高い感光剤を多層に積層させた後、当該感光剤を露光して、当該多層の感光剤の感光を上層ほど進行させることで多段形状を形成している。
【0056】
したがって、多段形状の凸部であるピット3やグルーブ4を簡単かつ容易に形成することができるとともに、異常転写に対するマージンをより一層確保することができ、安価に高精度の転写を行うことができる。
【0057】
図5及び図6は、本発明のスタンパ、光ディスク基板製造方法、光ディスク基板成形金型、光ディスク基板及び光情報記録媒体の第2の実施の形態を示す図であり、図5は、本発明のスタンパ、光ディスク基板製造方法、光ディスク基板成形金型、光ディスク基板及び光情報記録媒体の第2の実施の形態を適用した光ディスク基板成形金型10の外周部分の正面拡大断面図である。
【0058】
図5において、光ディスク基板成形金型10は、固定金型11と可動金型12を有し、可動金型12の外周端部には、キャビティリング13が取り付けられている。なお、キャビティリング13の内周面位置が、図5に破線で示すように、製品である成形後の光ディスク基板16の外周端の位置となる。
【0059】
光ディスク基板成形金型10は、固定金型11の上面に、スタンパ14が設置されており、このスタンパ14の設置された固定金型11と可動金型12により画成されるキャビティ15内に溶融樹脂が充填されて、当該溶融樹脂が固化した光ディスク基板16を、図5に型開き方向として矢印で示すように、可動金型12を開くことで、スタンパ14から光ディスク基板16を剥離して、光ディスク16を取り出す。
【0060】
そして、スタンパ14は、その凹凸が、従来のスタンパのように先端に向かって滑らかに細くなる形状に形成されていてもよいが、上記第1の実施の形態のスタンパ1と同様に、先端ほど階段状に細くなる多段形状に形成されていてもよい。このように、凹凸、特にピットを多段形状に形成すると、より一層確実に、異常転写のない光ディスク基板6を製造することができる。
【0061】
次に、本実施の形態の作用を説明する。本実施の形態の光ディスク基板成形金型10は、スタンパ14の設置されている固定金型11と、キャビティリング13が外周部に取り付けられている可動金型12と、の間に画成されるキャビティ15内に、溶融樹脂を充填し、溶融樹脂が冷却固化すると、従来のように、圧空を光ディスク基板成形金型10の中央部から供給することなく、型開きして、スタンパ14から光ディスク基板16を剥離する。
【0062】
すなわち、本出願人は、光ディスク基板の成形時に発生する異常転写の対策を検討する中で、異常転写の発生が成形基板の内周部、しかも基板剥離用の圧空を噴出するスリットの近傍にのみ発生することを見出した。また、異常転写は、ピット領域とグルーブ領域との境界付近に存在するピット部分に発生し、グルーブ部分には発生しないことも見出した。さらに、この状態を詳細に観察・検討したところ、剥離エアーを噴出するスリットから15mm以上離れた領域からは異常転写はほとんど発生しない事実を見出した。
【0063】
この現象は、以下の理由によるものと考えられる。すなわち、成形基板の剥離は、スリットからの噴出エアーにより進行するが、スリットから15mmまで剥離が進行すると、すなわち、異常転写が発生する程度の変形が進行すると、それよりも外周側の剥離は瞬間的進行する。この瞬間的な剥離は、図13及び図14に示したピットと成形基板のピット転写部との接触発生箇所において、スタンパと成形基板との接触が発生するよりも早く成形基板がスタンパから離れてしまい、この瞬間的な剥離状態により異常転写が発生しないことが判明した。すなわち、ピット領域とグルーブ領域の境界を剥離の力点から15mm以上離すことで、異常転写の発生を解消する。また、本出願人は、種々実験を行ったところ、瞬間的な剥離が最も有効に機能する型開き状態は、型開き初段の型開速度が3〜5mm/sであることも見出した。
【0064】
そこで、本実施の形態の光ディスク基板成形金型10は、その中央部に圧空噴射用のスリットを形成しないか、形成されていても圧空を噴射することなく、型開きを行う。
【0065】
すなわち、本実施の形態の光ディスク基板成形金型10を使用して光ディスク基板16を製造するには、まず、可動金型12を閉じた状態で形成されるキャビティ15内に溶融樹脂を充填した後、当該溶融樹脂が冷却固化すると、図5に示すように、可動金型12を固定金型11から離隔する方向に移動させて型開きを開始する。このとき、光ディスク基板成形金型10の中央部からは圧空を噴出しない。
【0066】
このように、可動金型12を型開きしていくと、可動金型12に取り付けられているキャビティリング13も同時に移動し、キャビティリング13が移動することで、キャビティリング13の内周面と固化した樹脂である光ディスク基板16との摺動抵抗により光ディスク基板16を型開き方向に移動させる。このキャビティリング13との摺動抵抗が剥離力となって光ディスク基板16のスタンパ14からの剥離が開始される。すなわち、光ディスク基板16は、その外周端を剥離の力点として剥離が開始される。
【0067】
このとき、光ディスク基板16は、スタンパ14からの剥離に伴って変形が生じるが、スタンパ14の外周付近にはピット領域とグルーブ領域の境界は存在せず、異常転写が発生する要素がない。すなわち、光ディスク基板16の剥離の力点である外周端から15mmいないには、ピットやグルーブが存在せず、ピットやグルーブは、当該力点から15mm以上離れている。
【0068】
そして、図6に示すように、型開きが進行すると、上記瞬間的な剥離現象が発生して、光ディスク基板16は、完全にかつ瞬間的にスタンパ14から分離され、ピット領域とグループ領域の境界付近が剥離される際には、この瞬間的な剥離現象により剥離されて、異常転写が発生することなく、スタンパ14から剥離される。
【0069】
そして、本実施の形態の光ディスク基板成形金型10は、外周端部での圧空の噴出や機械的な突出動作も行わない。すなわち、通常の光ディスク基板の成形金型では、スタンパ外周端に、成形した光ディスク基板剥離用の圧空スリットや機械的な突出し機構を設置することは極めて困難な構造となっており、仮に設置が可能であっても、金型サイズが大きくなってしまい、成形サイクルの延長や新たな大型成形機の導入が必要となる等問題が生じる。
【0070】
ところが、本実施の形態の光ディスク基板成形金型10では、上述のように、光ディスク基板16の剥離を、光ディスク基板16の外周端面とキャビティリング13の内壁面との間に発生する摺動抵抗を利用して行い、スタンパ14の外周端に、圧空の噴射や機械的な突出動作を行わないため、光ディスク基板成形金型10を小型で、安価なものとすることができる。
【0071】
このように、本実施の形態の光ディスク基板成形金型10を用いた光ディスク基板製造方法は、光ディスク基板16のスタンパ14からの剥離の力点をROM領域と録再領域との境界から15mm以上離れた箇所に設けている。
【0072】
したがって、光ディスク基板16の剥離時にスタンパ14の凸部が、成形された光ディスク基板16の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止することができ、高精度な光ディスク基板16を製造することができる。
【0073】
また、本実施の形態の光ディスク基板成形金型10を用いた光ディスク基板製造方法は、光ディスク基板16の外周端部を剥離開始箇所として、光ディスク基板16のスタンパ14からの剥離の力点をROM領域と録再領域との境界から15mm以上離れた箇所としている。
【0074】
したがって、簡単かつ安価に光ディスク基板16の剥離時にスタンパ14の凸部が、成形された光ディスク基板16の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止することができ、安価に高精度な光ディスク基板16を製造することができる。
【0075】
図7は、本発明の本発明のスタンパ、光ディスク基板製造方法、光ディスク基板成形金型、光ディスク基板及び光情報記録媒体の第3の実施の形態を適用した光ディスク基板成形金型20の要部正面拡大断面図である。
【0076】
なお、本実施の形態は、上記第2の実施の形態の光ディスク基板成形金型10と同様の光ディスク基板成形金型に適用したものであり、本実施の形態の説明においては、上記第2の実施の形態の光ディスク基板成形金型10と同様の構成部分には、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0077】
図7において、光ディスク基板成形金型20は、固定金型11と可動金型12を有し、可動金型12の外周端部には、図示しないが、キャビティリング13が取り付けられている。固定金型11の上面に、スタンパ14が設置されている。
【0078】
固定金型11の中央部には、貫通孔21が形成されており、貫通孔21には、当該貫通孔21よりも小径のインナースタンパホルダ22が配設されている。したがって、インナースタンパホルダ22と貫通孔21の内周面との間に所定間隔のインナースリット(スリット)23が形成されており、インナースタンパホルダ22は、スタンパ14の内周部を保持する。
【0079】
インナースリット23には、空気流路(気体通路)24が接続されており、空気流路24は、分岐回路25に接続されている。分岐回路25は、図示しない制御機構により動作が制御され、空気流路24を大気開放と大気圧よりも所定圧だけ圧力の高い圧空発生装置(高圧気体源)26とを切り換えて接続する。
【0080】
本実施の形態の光ディスク基板成形金型20は、型開き時に分岐回路25を駆動制御して、大気と圧空とを切り換えて空気流路24及びインナースリット23を通して、キャビティ15内に導入する。
【0081】
すなわち、光ディスク基板成形金型20は、上記第2の実施の形態の光ディスク基板成形金型10と同様に、型開きを行うと、光ディスク基板16の外周端面とキャビティリング13との摺動抵抗で、光ディスク基板16の外周端面を剥離の力点として、光ディスク16の剥離が始まり、光ディスク基板16は、あるポイントで、瞬間的にスタンパ14から分離するが、その際、反スタンパ14側の金型である可動金型12に接触した後、その反動で再びスタンパ14側に向かう場合がある。
【0082】
そこで、本実施の形態の光ディスク基板成形金型20では、この瞬間的な剥離段階では、分岐回路25により空気流路24を大気開放に接続して、インナースリット23を通してキャビティ15内を大気開放とし、光ディスク基板16の外周端からの剥離を補助(サポート)する。
【0083】
そして、光ディスク基板16の剥離が完了すると、分岐回路25により空気流路24を圧空発生装置26に接続して、圧空を噴出し、光ディスク基板16が、反スタンパ14側の金型である可動金型12に接触した後、その反動で再びスタンパ14側に再接触するのを防止する。
【0084】
このように、本実施の形態の裨益板成形金型20は、スタンパ14が、固定金型11と可動金型12で画成されるキャビティ15内に設置され、当該キャビティ15内に溶融樹脂材料が充填されて、当該溶融樹脂が固化した後、可動金型12を固定金型11から離隔する方向に開いてキャビティ15内のスタンパ14から固化した樹脂を剥離させてスタンパ14の凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形するとともに、金型のうちスタンパ取付側の金型11のキャビティ15の表面内周側にインナースリット23が形成され、当該インナースリット23が、大気圧と大気圧よりも高い所定の高圧の気体を供給する圧空発生装置26とに切換可能な空気流路24に連通された金型20を用いて光ディスク基板を製造するに際して、インナースリット23を、固定金型11から可動金型12を開く型開き開始から所定の型開き時間の間または所定の型開き距離を経過するまでの間は、大気圧側の空気流路24に連通させ、その後、圧空発生装置26側の空気流路24に切り換えて連通させている。
【0085】
したがって、光ディスク基板の剥離時にスタンパ14の凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止することができるとともに、一旦剥離された光ディスク基板が再度スタンパ14に接触することを防止することができ、より一層高精度な光ディスク基板を製造することができる。
【0086】
この場合、型開き開始初期の速度を、3mm/s〜5mm/sとすると、光ディスク基板の剥離時にスタンパ14の凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することをより一層確実に防止することができるとともに、一旦剥離された光ディスク基板が再度スタンパ14に接触することを防止することができ、より一層高精度な光ディスク基板を製造することができる。
【0087】
図8及び図9は、本発明の本発明のスタンパ、光ディスク基板製造方法、光ディスク基板成形金型、光ディスク基板及び光情報記録媒体の第4の実施の形態を適用した光ディスク基板成形金型30の要部正面拡大断面図であり、図8は、本発明のスタンパ、光ディスク基板製造方法、光ディスク基板成形金型、光ディスク基板及び光情報記録媒体の第4の実施の形態を適用した光ディスク基板成形金型30の要部正面拡大断面図である。
【0088】
図8において、光ディスク基板成形金型30は、固定金型31と可動金型32を有し、可動金型32の外周端部には、キャビティリング33が取り付けられている。なお、キャビティリング33の内周面位置が、図8に破線で示すように、製品(光ディスク基板)の外周端の位置となる。
【0089】
光ディスク基板成形金型30は、固定金型31の上面に、スタンパ34が設置されており、このスタンパ34の設置された固定金型31と可動金型32により画成されるキャビティ35内に溶融樹脂が充填されて、当該溶融樹脂が固化した光ディスク基板36を、型開き方向(図8の上方向)、可動金型12を開くことで、スタンパ34から光ディスク基板36を剥離して、光ディスク36を取り出す。
【0090】
そして、上記キャビティリング33は、その内周側であって固定金型31側の角部に抜きテーパ加工が施されたテーパ面33aとなっている。すなわち、この光ディスク基板成形金型30は、ハイサイクル用(連続高速成形用)の金型であり、ハイサイクルに適用させるために、キャビティリング33の内周側であって固定金型31側の角部がテーパ面33aに形成されている。
【0091】
さらに、光ディスク基板成形金型30は、可動金型32の当該キャビティリング33の設けられている部分の端面とキャビティリング33との間に、所定の空隙(隙間)37が設けられており、この空隙37部分に溶融樹脂を進入させて、意図的にバリ38を発生させる金型となっている。この空隙37は、意図的に発生させるバリ38の高さが、15μm〜20μmとなる大きさの空隙である。
【0092】
すなわち、図9に示すように、キャビティリング33の内周側であって固定金型31側の角部に、抜きテーパ加工を施したテーパ面33aのみを形成して、ハイサイクル用の金型とすると、キャビティリング33内壁面と溶融樹脂が固化した光ディスク基板36の外周端面との間に摺動抵抗 すなわち剥離力が発生せず、この摺動抵抗を利用した光ディスク基板36の剥離を行うことができない。
【0093】
ところが、本実施の形態の光ディスク基板成形金型30は、図8に示したように、可動金型32の当該キャビティリング33の設けられている部分の端面とキャビティリング33との間に、所定の空隙37が設けられている。
【0094】
したがって、キャビティ35内に充填された溶融樹脂は、この空隙37部分に進入し、バリ38が発生する。その結果、可動金型32を型開きしていくと、可動金型32に取り付けられているキャビティリング33も同時に移動し、可動金型32とキャビティリング33が移動することで、可動金型32とキャビティリング33との間の空隙37に溶融樹脂が進入して固化したバリ38が、可動金型32とキャビティリング33に対して摺動抵抗を有することとなる。したがって、この摺動抵抗が光ディスク基板36の剥離力となって、光ディスク基板36のスタンパ34からの剥離が開始される。すなわち、光ディスク基板36は、その外周端を剥離の力点として剥離が開始される。
【0095】
以降、光ディスク基板36は、上記第2の実施の形態、または、第3の実施の形態の場合と同様に、スタンパ34から剥離される。
【0096】
そして、実験を行ったところ、空隙37に形成されるバリ38は、その高さが15μm〜20μmの値が最適値であった。バリ38が、この範囲以下の高さであると、十分な摺動抵抗(剥離力)が発生せず、この範囲以上の高さでは、機械特性(反りやうねり等)の悪化を招く結果となった。
【0097】
このように、本実施の形態の光ディスク基板成形金型30は、光ディスク基板36の外周端面を成形する金型部品であるキャビティリング33が、スタンパ34の取付側とは反対側の金型32から当該スタンパ34の取付側の金型31方向に向かって外周方向に広くなるテーパ形状に形成され、当該テーパ形状のキャビティリング33が、スタンパ31の取付側とは反対側の金型32に固定されているとともに、スタンパ34の取付側とは反対側の金型32の外周端面との間に、成形される光ディスク基板36に15μm〜20μmのバリ38を形成する隙間37が設けられている。
【0098】
したがって、連続高速成形(ハイサイクル成形)を可能とすることができるとともに、光ディスク基板36の剥離時にスタンパ34の凸部が、成形された光ディスク基板36の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止することができ、連続して高速にかつ高精度な光ディスク基板36を製造することができる。
【0099】
そして、スタンパ34は、その凹凸が、従来のスタンパのように先端に向かって滑らかに細くなる形状に形成されていてもよいが、上記第1の実施の形態のスタンパ1と同様に、先端ほど階段状に細くなる多段形状に形成されていてもよい。このように、凹凸、特にピットを多段形状に形成すると、より一層確実に、異常転写のない光ディスク基板36を製造することができる。
【0100】
また、上記各実施の形態で製造された光ディスク基板を用いて作製された光情報記録媒体は、その信号品質が良好で、高信頼性の情報媒体となった。
【0101】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0102】
【発明の効果】
請求項1記載の発明のスタンパによれば、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録され、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形するスタンパの凸部を、その断面形状が、先端部ほど階段状に細くなる多段形状に形成しているので、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを防止することができ、高精度に転写を行うことができる。
【0103】
請求項2記載の発明のスタンパによれば、スタンパを、少なくとも凹凸の形成されている面がガラス原盤で形成されたものとし、当該ガラス原盤に、下層よりも上層の方に感度の高い感光剤を多層に積層させた後、当該感光剤を露光して、当該多層の感光剤の感光を上層ほど進行させることで多段形状が形成されたものとしているので、多段形状の凸部を簡単かつ容易に形成することができるとともに、異常転写に対するマージンをより一層確保することができ、安価に高精度の転写を行うことができる。
【0104】
請求項3記載の発明の光ディスク基板製造方法によれば、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録されたスタンパが、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、当該溶融樹脂が固化した後、可動金型を固定金型から離隔する方向に開いてキャビティ内のスタンパから固化した樹脂を剥離させてスタンパの凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形するに際して、光ディスク基板のスタンパからの剥離の力点をROM領域と録再領域との境界から15mm以上離れた箇所に設けているので、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止することができ、高精度な光ディスク基板を製造することができる。
【0105】
請求項4記載の発明の光ディスク基板製造方法によれば、光ディスク基板の外周端部を剥離開始箇所として、光ディスク基板のスタンパからの剥離の力点をROM領域と録再領域との境界から15mm以上離れた箇所としているので、簡単かつ安価に光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止することができ、安価に高精度な光ディスク基板を製造することができる。
【0106】
請求項5記載の発明の光ディスク基板製造方法によれば、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録されたスタンパが、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、当該溶融樹脂が固化した後、可動金型を固定金型から離隔する方向に開いてキャビティ内のスタンパから固化した樹脂を剥離させてスタンパの凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形するとともに、金型のうちスタンパ取付側の金型のキャビティ表面内周側にスリットが形成され、当該スリットが、大気圧と大気圧よりも高い所定の高圧の気体を供給する高圧気体源とに切換可能な気体通路に連通された金型を用いて光ディスク基板を製造するに際して、スリットを、固定金型から可動金型を開く型開き開始から所定の型開き時間の間または所定の型開き距離を経過するまでの間は、大気圧側の気体通路に連通させ、その後、高圧気体源側の気体通路に切り換えて連通させるので、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止することができるとともに、一旦剥離された光ディスク基板が再度スタンパに接触することを防止することができ、より一層高精度な光ディスク基板を製造することができる。
【0107】
請求項6記載の発明の光ディスク基板製造方法によれば、型開き開始初期の速度を、3mm/s〜5mm/sとしているので、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することをより一層確実に防止することができるとともに、一旦剥離された光ディスク基板が再度スタンパに接触することを防止することができ、より一層高精度な光ディスク基板を製造することができる。
【0108】
請求項7記載の発明の光ディスク基板成形金型によれば、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録されたスタンパが、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、当該溶融樹脂が固化した後、可動金型を固定金型から離隔する方向に開いてキャビティ内のスタンパから固化した樹脂を剥離させてスタンパの凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形する光ディスク基板成形金型を、当該スタンパ取付側の金型のキャビティ表面内周側にスリットが成され、当該スリットが、大気圧と大気圧よりも高い所定の高圧の気体を供給する高圧気体源とに切換可能な気体通路に連通され、可動金型を固定金型から開く型開き開始から所定の型開き時間の間または所定の型開き距離を経過するまでの間は、大気圧側の気体通路に連通され、その後、高圧気体源側の気体通路に切り換えて連通されるものとしているので、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止することができるとともに、一旦剥離された光ディスク基板が再度スタンパに接触することを防止することができ、より一層高精度な光ディスク基板を製造することができる。
【0109】
請求項8記載の発明の光ディスク基板成形金型によれば、光ディスク基板成形金型を、光ディスク基板の外周端面を成形する金型部品が、スタンパ取付側とは反対側の金型から当該スタンパ取付側の金型方向に向かって外周方向に広くなるテーパ形状に形成され、当該テーパ形状の金型部品が、当該スタンパ取付側とは反対側の金型に固定されているとともに、当該スタンパ取付側とは反対側の金型の外周端面との間に、成形される光ディスク基板に15μm〜20μmのバリを形成する隙間が設けられているものとしているので、連続高速成形を可能とすることができるとともに、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止することができ、連続して高速にかつ高精度な光ディスク基板を製造することができる。
【0110】
請求項9記載の発明の光ディスク基板によれば、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録される光ディスク基板を、請求項1または請求項2記載のスタンパ、請求項3から請求項6のいずれかに記載の光ディスク基板製造方法、あるいは、請求項6または請求項7記載の光ディスク基板成形金型を用いて成形しているので、異常転写のない高精度な光ディスク基板を製造することができる。
【0111】
請求項10記載の発明の光情報記録媒体によれば、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録される光情報記録媒体を、請求項9記載の光ディスク基板を用いて作製しているので、信号品質の信頼性の高い2領域混在型の光情報記録媒体を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスタンパ、光ディスク基板製造方法、光ディスク基板成形金型、光ディスク基板及び光情報記録媒体の第1の実施の形態を適用したスタンパの要部正面拡大断面図。
【図2】図1のスタンパ上に溶融樹脂が充填されている状態の要部正面拡大断面図。
【図3】図2の溶融樹脂が固化した光ディスク基板を剥離している状態の要部正面拡大断面図。
【図4】図3のA部拡大断面図。
【図5】本発明のスタンパ、光ディスク基板製造方法、光ディスク基板成形金型、光ディスク基板及び光情報記録媒体の第2の実施の形態を適用した光ディスク基板成形金型の型開きが開始した状態の外周部分の正面拡大断面図。
【図6】図5の型開きがさらに進行した状態の外周部分の正面拡大断面図。
【図7】本発明のスタンパ、光ディスク基板製造方法、光ディスク基板成形金型、光ディスク基板及び光情報記録媒体の第3の実施の形態を適用した光ディスク基板成形金型の中央部分の正面拡大断面図。
【図8】本発明のスタンパ、光ディスク基板製造方法、光ディスク基板成形金型、光ディスク基板及び光情報記録媒体の第4の実施の形態を適用した光ディスク基板成形金型の外周部分の正面拡大断面図。
【図9】図8の光ディスク基板成形金型の可動金型とキャビティリングとの間に空隙が形成されていない場合の当該金型の外周部分の正面拡大断面図。
【図10】ピット領域とグルーブ領域を有する光情報記録媒体の要部平面図。
【図11】図10のA−A矢視断面図。
【図12】従来の光ディスク基板の剥離方法を示す要部正面拡大断面図。
【図13】従来のスタンパ上に樹脂が固化して光ディスク基板が形成されている状態の要部正面拡大断面図。
【図14】図13の光ディスク基板がスタンパ中央部から噴出される圧空で剥離が開始された状態の要部正面拡大断面図。
【図15】図14のA部拡大断面図。
【図16】異常転写が発生していない場合の基板のピット部分の拡大平面図(a)とそのA−A矢視断面図(b)、大きな異常転写が発生している場合の基板のピット部分の拡大平面図(c)とそのB−B矢視断面図(d)及び小さな異常転写が発生している場合の基板のピット部分の拡大平面図(e)とそのC−C矢視断面図(f)。
【符号の説明】
1 スタンパ
2 凹凸
3 ピット
4 グルーブ
5 溶融樹脂
6 光ディスク基板
10 光ディスク基板成形金型
11 固定金型
12 可動金型
13 キャビティリング
14 スタンパ
15 キャビティ
16 光ディスク基板
20 光ディスク基板成形金型
21 貫通孔
22 インナースタンパホルダ
23 インナースリット
24 空気流路
25 分岐回路
26 圧空発生装置
30 光ディスク基板成形金型
31 固定金型
32 可動金型
33 キャビティリング
34 スタンパ
35 キャビティ
36 光ディスク基板
37 空隙
38 バリ
【発明の属する技術分野】
本発明は、スタンパ、光ディスク基板製造方法、光ディスク基板成形金型、光ディスク基板及び光情報記録媒体に関し、詳細には、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生あるいは記録/再生/消去が可能な録再領域との2種領域が混在する光ディスク基板を異常転写を防止して高精度に成形するスタンパ、光ディスク基板製造方法、光ディスク基板成形金型、光ディスク基板及び光情報記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、光学的に情報の再生を行ったり、光学的に情報の再生と記録を行う光ディスクが出現しており、このような光ディスクとしては、例えば、CD(コンパクトディスク:Compact Disc)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory )、CD−R(Compact Disc Recordable )、CD−RW(Compact Disc Rewritable )等がある。
【0003】
このような光ディスク等の多機能の光情報記録媒体においては、予め読出専用の領域(以下、ROM領域という。)を有するタイプの光情報記録媒体が知られている。この光情報記録媒体は、メディア内周部に、必要なROM領域が物理的な凹凸形状として記録されており、その外周部に、ユーザが追記することのできる記録領域を有している。このROM領域に関する情報は、媒体最内周に存在するプログラムメモリエリア(PMA領域)に記録されており、あたかもブランクディスクに記録された第1セッションとして扱われている。
【0004】
このような光情報記録媒体は、基板上に深さの異なる凹凸パターンが混在し、ROMとして機能するピット領域と、追記を可能とするグルーブ領域である。これらのピット領域とグルーブ領域では、記録膜が形成された後に求められる信号が異なるため、物理的にも異なる深さを有しており、具体的には、図10及び図10のA−A矢視断面図である図11に示すように、グルーブよりもピットの方が深い傾向を有する。
【0005】
そして、このピット部(ROM領域)とグルーブ領域の深さの異なる凹凸パターンが、それまで許容されていた問題、すなわち、光情報記録媒体の基板面内における局所的なピットの異常転写を顕在化させた。
【0006】
光情報記録媒体の基板成形は、通常、情報の凹凸パターンを形成したスタンパが載置された金型の中に溶融樹脂を充填し、溶融樹脂が固化した後に、基板を取り出すことで行われる。この基板の取り出しにおいて、従来、図12に示すように、スタンパ100から基板101を剥離させるのに、スタンパ100の内周部(正確には、金型内周部)から圧縮空気を噴出させ、その圧力を利用して剥離を行っている。図12から分かるように、スタンパ100の中心部から圧空を噴出させるため、成形基板101は、中心部が変形し、この変形は、微視的に観察すると、図13に示すようにスタンパ100と基板101が密着していたのが、スタンパ100の中心部からの圧空により、図14及び図14のA部拡大図である図15に示すように、変形し、基板101に転写されたピット形状が破壊されて、いわゆる異常転写が発生している。なお、図14及び図15において、矢印は、圧空の流れの方向、剥離方向及び圧空により基板101が受ける力の方向を示している。
【0007】
すなわち、図16(a)及びそのA−A矢視断面図である図16(b)は、正常な転写が行われた場合を示しているが、上記図12に示したような状態で成形基板101がスタンパ100から剥離されると、成形基板101とスタンパ100との相対変位が発生して、図16図(c)とそのB−B矢視断面図である図16(d)及び図16(e)とそのC−C矢視断面図である図16(f)に示すようなピット部転写状態となり、垂直に離型されるべきスタンパ100のピットが、図16(c)(d)及び図16(e)(f)の右斜め上方に向かって離型されていくために異常転写となる。なお、図16(e)(f)は、相対変位が比較的小さい場合のピット部転写状態を示しており、図16(c)(d)及び図16(e)(f)のいずれの場合も本来の形状である図16(a)(b)とは異なる異常転写状態となっている。
【0008】
そして、図16から分かるように、図16(a)(b)の正常なピット部転写状態であれば、レーザースポットは、本来のトラック中心をトレースするが、図16(c)(d)の状態では、レーザースポットは、光学的な理由から図16のやや右側を中心としてトレースしてしまい、また、図16(e)(f)の状態であっても、変位の程度は小さいが、図16(c)(d)の場合と同様に、本来の中心から図16の右側にやや外れた箇所をトレースしてしまう。このように外れたトレース状態では、正確な情報の読み出しを行うことができず、ROM部の信頼性を著しく低下させる結果となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来技術にあっては、スタンパから成形基板を剥離するのにスタンパの中心から圧空を挿入して、成形基板を剥離していたため、上述のように、スタンパのピットの異常転写が発生するという問題があった。
【0010】
そして、本出願人は、この異常転写を解消するために、基板内周部の変形を抑制する成形条件を設定して、種々の実験を行ったが、異常転写を抑制することのできる成形条件に設定にすると、成形基板の剥離が不十分となり、連続成形に支障をきたした。また、連続成形が可能となっても、剥離の状態が不安定となり、成形基板の機械的特性(反り、うねり)が悪化し、成形基板の歩留まりを著しく低下させる結果となった。
【0011】
そこで、請求項1記載の発明は、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録され、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形するスタンパの凸部を、その断面形状が、先端部ほど階段状に細くなる多段形状に形成することにより、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを防止し、高精度に転写を行うことのできるスタンパを提供することを目的としている。
【0012】
請求項2記載の発明は、スタンパを、少なくとも凹凸の形成されている面がガラス原盤で形成されたものとし、当該ガラス原盤に、下層よりも上層の方に感度の高い感光剤を多層に積層させた後、当該感光剤を露光して、当該多層の感光剤の感光を上層ほど進行させることで多段形状が形成されたものとすることにより、多段形状の凸部を簡単かつ容易に形成するとともに、異常転写に対するマージンをより一層確保し、安価に高精度の転写を行うことのできるスタンパを提供することを目的としている。
【0013】
請求項3記載の発明は、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録されたスタンパが、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、当該溶融樹脂が固化した後、可動金型を固定金型から離隔する方向に開いてキャビティ内のスタンパから固化した樹脂を剥離させてスタンパの凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形するに際して、光ディスク基板のスタンパからの剥離の力点をROM領域と録再領域との境界から15mm以上離れた箇所に設けることにより、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止し、高精度な光ディスク基板を製造することのできる光ディスク基板製造方法を提供することを目的としている。
【0014】
請求項4記載の発明は、光ディスク基板の外周端部を剥離開始箇所として、光ディスク基板のスタンパからの剥離の力点をROM領域と録再領域との境界から15mm以上離れた箇所とすることにより、簡単かつ安価に光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止し、安価に高精度な光ディスク基板を製造することのできる光ディスク基板製造方法を提供することを目的としている。
【0015】
請求項5記載の発明は、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録されたスタンパが、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、当該溶融樹脂が固化した後、可動金型を固定金型から離隔する方向に開いてキャビティ内のスタンパから固化した樹脂を剥離させてスタンパの凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形するとともに、金型のうちスタンパ取付側の金型のキャビティ表面内周側にスリットが形成され、当該スリットが、大気圧と大気圧よりも高い所定の高圧の気体を供給する高圧気体源とに切換可能な気体通路に連通された金型を用いて光ディスク基板を製造するに際して、スリットを、固定金型から可動金型を開く型開き開始から所定の型開き時間の間または所定の型開き距離を経過するまでの間は、大気圧側の気体通路に連通させ、その後、高圧気体源側の気体通路に切り換えて連通させることにより、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止するとともに、一旦剥離された光ディスク基板が再度スタンパに接触することを防止し、より一層高精度な光ディスク基板を製造することのできる光ディスク基板製造方法を提供することを目的としている。
【0016】
請求項6記載の発明は、型開き開始初期の速度を、3mm/s〜5mm/sとすることにより、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することをより一層確実に防止するとともに、一旦剥離された光ディスク基板が再度スタンパに接触することを防止し、より一層高精度な光ディスク基板を製造することのできる光ディスク基板製造方法を提供することを目的としている。
【0017】
請求項7記載の発明は、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録されたスタンパが、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、当該溶融樹脂が固化した後、可動金型を固定金型から離隔する方向に開いてキャビティ内のスタンパから固化した樹脂を剥離させてスタンパの凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形する光ディスク基板成形金型を、当該スタンパ取付側の金型のキャビティ表面内周側にスリットが成され、当該スリットが、大気圧と大気圧よりも高い所定の高圧の気体を供給する高圧気体源とに切換可能な気体通路に連通され、可動金型を固定金型から開く型開き開始から所定の型開き時間の間または所定の型開き距離を経過するまでの間は、大気圧側の気体通路に連通され、その後、高圧気体源側の気体通路に切り換えて連通されるものとすることにより、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止するとともに、一旦剥離された光ディスク基板が再度スタンパに接触することを防止し、より一層高精度な光ディスク基板を製造することのできる光ディスク基板成形金型を提供することを目的としている。
【0018】
請求項8記載の発明は、光ディスク基板成形金型を、光ディスク基板の外周端面を成形する金型部品が、スタンパ取付側とは反対側の金型から当該スタンパ取付側の金型方向に向かって外周方向に広くなるテーパ形状に形成され、当該テーパ形状の金型部品が、当該スタンパ取付側とは反対側の金型に固定されているとともに、当該スタンパ取付側とは反対側の金型の外周端面との間に、成形される光ディスク基板に15μm〜20μmのバリを形成する隙間が設けられているものとすることにより、連続高速成形を可能とするとともに、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止し、連続して高速にかつ高精度な光ディスク基板を製造することのできる光ディスク基板成形金型を提供することを目的としている。
【0019】
請求項9記載の発明は、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録される光ディスク基板を、請求項1または請求項2記載のスタンパ、請求項3から請求項6のいずれかに記載の光ディスク基板製造方法、あるいは、請求項6または請求項7記載の光ディスク基板成形金型を用いて成形することにより、異常転写のない高精度な光ディスク基板を提供することを目的としている。
【0020】
請求項10記載の発明は、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録される光情報記録媒体を、請求項9記載の光ディスク基板を用いて作製することにより、信号品質の信頼性の高い2領域混在型の光情報記録媒体を提供することを目的としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明のスタンパは、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録され、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、前記凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形するスタンパにおいて、前記凸部は、その断面形状が、先端部ほど階段状に細くなる多段形状に形成されていることにより、上記目的を達成している。
【0022】
上記構成によれば、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録され、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形するスタンパの凸部を、その断面形状が、先端部ほど階段状に細くなる多段形状に形成しているので、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを防止することができ、高精度に転写を行うことができる。
【0023】
この場合、例えば、請求項2に記載するように、前記スタンパは、少なくとも前記凹凸の形成されている面がガラス原盤で形成され、当該ガラス原盤に、下層よりも上層の方に感度の高い感光剤を多層に積層させた後、当該感光剤を露光して、当該多層の感光剤の感光を上層ほど進行させることで前記多段形状が形成されているものであってもよい。
【0024】
上記構成によれば、スタンパを、少なくとも凹凸の形成されている面がガラス原盤で形成されたものとし、当該ガラス原盤に、下層よりも上層の方に感度の高い感光剤を多層に積層させた後、当該感光剤を露光して、当該多層の感光剤の感光を上層ほど進行させることで多段形状が形成されたものとしているので、多段形状の凸部を簡単かつ容易に形成することができるとともに、異常転写に対するマージンをより一層確保することができ、安価に高精度の転写を行うことができる。
【0025】
請求項3記載の発明の光ディスク基板製造方法は、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録されたスタンパが、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、当該溶融樹脂が固化した後、前記可動金型を前記固定金型から離隔する方向に開いて前記キャビティ内の前記スタンパから前記固化した樹脂を剥離させて前記スタンパの凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形する光ディスク基板製造方法において、前記光ディスク基板の前記スタンパからの剥離の力点を前記ROM領域と前記録再領域との境界から15mm以上離れた箇所に設けることにより、上記目的を達成している。
【0026】
上記構成によれば、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録されたスタンパが、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、当該溶融樹脂が固化した後、可動金型を固定金型から離隔する方向に開いてキャビティ内のスタンパから固化した樹脂を剥離させてスタンパの凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形するに際して、光ディスク基板のスタンパからの剥離の力点をROM領域と録再領域との境界から15mm以上離れた箇所に設けているので、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止することができ、高精度な光ディスク基板を製造することができる。
【0027】
この場合、例えば、請求項4に記載するように、前記光ディスク基板製造方法は、前記光ディスク基板の外周端部を前記剥離開始箇所として、前記光ディスク基板の前記スタンパからの剥離の力点を前記ROM領域と前記録再領域との境界から15mm以上離れた箇所としてもよい。
【0028】
上記構成によれば、光ディスク基板の外周端部を剥離開始箇所として、光ディスク基板のスタンパからの剥離の力点をROM領域と録再領域との境界から15mm以上離れた箇所としているので、簡単かつ安価に光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止することができ、安価に高精度な光ディスク基板を製造することができる。
【0029】
請求項5記載の発明の光ディスク基板製造方法は、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録されたスタンパが、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、当該溶融樹脂が固化した後、前記可動金型を前記固定金型から離隔する方向に開いて前記キャビティ内の前記スタンパから前記固化した樹脂を剥離させて前記スタンパの凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形するとともに、前記金型のうち前記スタンパ取付側の金型の前記キャビティ表面内周側にスリットが形成され、当該スリットが、大気圧と大気圧よりも高い所定の高圧の気体を供給する高圧気体源とに切換可能な気体通路に連通された金型を用いた光ディスク基板製造方法であって、前記スリットを、前記固定金型から前記可動金型を開く型開き開始から所定の型開き時間の間または所定の型開き距離を経過するまでの間は、前記大気圧側の気体通路に連通させ、その後、前記高圧気体源側の気体通路に切り換えて連通させることにより、上記目的を達成している。
【0030】
上記構成によれば、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録されたスタンパが、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、当該溶融樹脂が固化した後、可動金型を固定金型から離隔する方向に開いてキャビティ内のスタンパから固化した樹脂を剥離させてスタンパの凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形するとともに、金型のうちスタンパ取付側の金型のキャビティ表面内周側にスリットが形成され、当該スリットが、大気圧と大気圧よりも高い所定の高圧の気体を供給する高圧気体源とに切換可能な気体通路に連通された金型を用いて光ディスク基板を製造するに際して、スリットを、固定金型から可動金型を開く型開き開始から所定の型開き時間の間または所定の型開き距離を経過するまでの間は、大気圧側の気体通路に連通させ、その後、高圧気体源側の気体通路に切り換えて連通させるので、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止することができるとともに、一旦剥離された光ディスク基板が再度スタンパに接触することを防止することができ、より一層高精度な光ディスク基板を製造することができる。
【0031】
この場合、例えば、請求項6に記載するように、前記光ディスク基板製造方法は、前記型開き開始初期の速度が、3mm/s〜5mm/sであってもよい。
【0032】
上記構成によれば、型開き開始初期の速度を、3mm/s〜5mm/sとしているので、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することをより一層確実に防止することができるとともに、一旦剥離された光ディスク基板が再度スタンパに接触することを防止することができ、より一層高精度な光ディスク基板を製造することができる。
【0033】
請求項7記載の発明の光ディスク基板成形金型は、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録されたスタンパが、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、当該溶融樹脂が固化した後、前記可動金型を前記固定金型から離隔する方向に開いて前記キャビティ内の前記スタンパから前記固化した樹脂を剥離させて前記スタンパの凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形する光ディスク基板成形金型において、前記スタンパ取付側の金型の前記キャビティ表面内周側にスリットが形成され、当該スリットが、大気圧と大気圧よりも高い所定の高圧の気体を供給する高圧気体源とに切換可能な気体通路に連通され、前記可動金型を前記固定金型から開く型開き開始から所定の型開き時間の間または所定の型開き距離を経過するまでの間は、前記大気圧側の気体通路に連通され、その後、前記高圧気体源側の気体通路に切り換えて連通されることにより、上記目的を達成している。
【0034】
上記構成によれば、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録されたスタンパが、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、当該溶融樹脂が固化した後、可動金型を固定金型から離隔する方向に開いてキャビティ内のスタンパから固化した樹脂を剥離させてスタンパの凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形する光ディスク基板成形金型を、当該スタンパ取付側の金型のキャビティ表面内周側にスリットが成され、当該スリットが、大気圧と大気圧よりも高い所定の高圧の気体を供給する高圧気体源とに切換可能な気体通路に連通され、可動金型を固定金型から開く型開き開始から所定の型開き時間の間または所定の型開き距離を経過するまでの間は、大気圧側の気体通路に連通され、その後、高圧気体源側の気体通路に切り換えて連通されるものとしているので、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止することができるとともに、一旦剥離された光ディスク基板が再度スタンパに接触することを防止することができ、より一層高精度な光ディスク基板を製造することができる。
【0035】
この場合、例えば、請求項8に記載するように、前記光ディスク基板成形金型は、前記光ディスク基板の外周端面を成形する金型部品が、前記スタンパ取付側とは反対側の金型から当該スタンパ取付側の金型方向に向かって外周方向に広くなるテーパ形状に形成され、当該テーパ形状の金型部品が、当該スタンパ取付側とは反対側の金型に固定されているとともに、当該スタンパ取付側とは反対側の金型の外周端面との間に、前記成形される光ディスク基板に15μm〜20μmのバリを形成する隙間が設けられているものであってもよい。
【0036】
上記構成によれば、光ディスク基板成形金型を、光ディスク基板の外周端面を成形する金型部品が、スタンパ取付側とは反対側の金型から当該スタンパ取付側の金型方向に向かって外周方向に広くなるテーパ形状に形成され、当該テーパ形状の金型部品が、当該スタンパ取付側とは反対側の金型に固定されているとともに、当該スタンパ取付側とは反対側の金型の外周端面との間に、成形される光ディスク基板に15μm〜20μmのバリを形成する隙間が設けられているものとしているので、連続高速成形を可能とすることができるとともに、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止することができ、連続して高速にかつ高精度な光ディスク基板を製造することができる。
【0037】
請求項9記載の発明の光ディスク基板は、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録される光ディスク基板であって、前記請求項1または請求項2記載のスタンパ、請求項3から請求項6のいずれかに記載の光ディスク基板製造方法、あるいは、請求項6または請求項7記載の光ディスク基板成形金型を用いて成形されていることにより、上記目的を達成している。
【0038】
上記構成によれば、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録される光ディスク基板を、請求項1または請求項2記載のスタンパ、請求項3から請求項6のいずれかに記載の光ディスク基板製造方法、あるいは、請求項6または請求項7記載の光ディスク基板成形金型を用いて成形しているので、異常転写のない高精度な光ディスク基板を製造することができる。
【0039】
請求項10記載の発明の光情報記録媒体は、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録される光情報記録媒体であって、前記請求項9記載の光ディスク基板を用いて作製されていることにより、上記目的を達成している。
【0040】
上記構成によれば、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録される光情報記録媒体を、請求項9記載の光ディスク基板を用いて作製しているので、信号品質の信頼性の高い2領域混在型の光情報記録媒体を作製することができる。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0042】
図1〜図4は、本発明のスタンパ、光ディスク基板製造方法、光ディスク基板成形金型、光ディスク基板及び光情報記録媒体の第1の実施の形態を示す図であり、図1は、本発明のスタンパ、光ディスク基板製造方法、光ディスク基板成形金型、光ディスク基板及び光情報記録媒体の第1の実施の形態を適用したスタンパ1の要部正面拡大断面図である。
【0043】
図1において、スタンパ1は、その一面の上面に凹凸2としてのピット3とグルーブ4が複数形成されており、高く突出したピット3は、基端側から先端側に向かって階段状に徐々に細くなる多段形状に形成されている。ピット3は、スタンパ1の当該面が転写されて形成される光ディスクのROMとして機能し、グルーブ4は、スタンパ1の当該面が転写されて形成される光ディスクの追記を可能とする録再領域として機能する。
【0044】
このスタンパ1には、ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸2で記録される。
【0045】
スタンパ1は、ガラス原盤に感光剤を塗布して、当該感光剤を露光して感光させることで凹凸2であるピット3とグルーブ4が形成されており、このとき、下層の感光剤と上層の感光剤の感度を、下層感光剤 < 上層感光剤に設定することで、下層の感光剤よりも上層の感光剤の方の感光をより速く進行させることで、上記階段形状のピット3が形成されている。
【0046】
このスタンパ1は、記録/再生または記録/再生/消去可能な光ディスク基板を製造するのに使用され、当該光ディスク基板製造用の金型である固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、スタンパ1の凹凸2を溶融樹脂に転写させることで、光ディスク基板を成形する。
【0047】
すなわち、スタンパ1は、例えば、固定金型に取り付けられ、このスタンパ1の取り付けられた固定金型と可動金型との間に形成されるキャビティ内に、図2に示すように、溶融樹脂5が充填され、溶融樹脂5が固化すると、固定金型に対して可動金型を離隔する方向に移動させる。
【0048】
このとき、一般的には、スタンパ1の内周部(正確には、金型内周部)から圧縮空気を噴出させ、図3に示すように、当該圧縮空気の圧空を利用して、図3に剥離方向として示す方向に、光ディスク基板6に圧空の力を付与して、スタンパ1から固化樹脂である成形した光ディスク基板6を剥離させる。
【0049】
このとき、従来のスタンパ100では、図13及び図13のA部拡大図である図14に示したように、スタンパ100のピットが基板101の当該ピットの転写されたピット形状部分に接触(衝突)して変形し、基板101に転写されたピット形状が破壊されて、いわゆる異常転写が発生していた。
【0050】
ところが、本実施の形態のスタンパ1は、凹凸2、特に、高く突出したピット3が基端側から先端側に向かって階段状に徐々に細くなる多段形状に形成されているため、図3に相対変位方向として矢印で示すように、スタンパ1と光ディスク基板6が相対変位しても、図3のA部拡大図である図4に示すように、凹凸2、特に、高く突出したピット3が光ディスク基板6の当該ピット3の転写形状部分に接触することを防止することができ、光ディスク基板6の転写された凹凸2が破壊されて、いわゆる異常転写が発生することを防止することができる。したがって、異常転写のない光ディスク基板6を製造することができ、この光ディスク基板6を利用した高精度の光情報記録媒体を製造することができる。
【0051】
なお、上記実施の形態においては、ピット3を2段階の形状に形成しているが、形成する段形状は、2段階に限るものではなく、2段以上の多段形状に形成してもよい。
【0052】
また、上記実施の形態においては、ピット3のみを多段形状に形成しているが、グルーブ4についても多段形状に形成してもよい。
【0053】
このように、本実施の形態のスタンパ1は、スタンパ1の凸部であるピット3またグルーブ4を、その断面形状が、先端部ほど階段状に細くなる多段形状に形成している。
【0054】
したがって、光ディスク基板6の剥離時にスタンパ1の凸部が、成形された光ディスク基板6の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを防止することができ、高精度に転写を行うことができる。
【0055】
また、本実施の形態のスタンパ1は、少なくとも凹凸2の形成されている面がガラス原盤で形成されたものとし、当該ガラス原盤に、下層よりも上層の方に感度の高い感光剤を多層に積層させた後、当該感光剤を露光して、当該多層の感光剤の感光を上層ほど進行させることで多段形状を形成している。
【0056】
したがって、多段形状の凸部であるピット3やグルーブ4を簡単かつ容易に形成することができるとともに、異常転写に対するマージンをより一層確保することができ、安価に高精度の転写を行うことができる。
【0057】
図5及び図6は、本発明のスタンパ、光ディスク基板製造方法、光ディスク基板成形金型、光ディスク基板及び光情報記録媒体の第2の実施の形態を示す図であり、図5は、本発明のスタンパ、光ディスク基板製造方法、光ディスク基板成形金型、光ディスク基板及び光情報記録媒体の第2の実施の形態を適用した光ディスク基板成形金型10の外周部分の正面拡大断面図である。
【0058】
図5において、光ディスク基板成形金型10は、固定金型11と可動金型12を有し、可動金型12の外周端部には、キャビティリング13が取り付けられている。なお、キャビティリング13の内周面位置が、図5に破線で示すように、製品である成形後の光ディスク基板16の外周端の位置となる。
【0059】
光ディスク基板成形金型10は、固定金型11の上面に、スタンパ14が設置されており、このスタンパ14の設置された固定金型11と可動金型12により画成されるキャビティ15内に溶融樹脂が充填されて、当該溶融樹脂が固化した光ディスク基板16を、図5に型開き方向として矢印で示すように、可動金型12を開くことで、スタンパ14から光ディスク基板16を剥離して、光ディスク16を取り出す。
【0060】
そして、スタンパ14は、その凹凸が、従来のスタンパのように先端に向かって滑らかに細くなる形状に形成されていてもよいが、上記第1の実施の形態のスタンパ1と同様に、先端ほど階段状に細くなる多段形状に形成されていてもよい。このように、凹凸、特にピットを多段形状に形成すると、より一層確実に、異常転写のない光ディスク基板6を製造することができる。
【0061】
次に、本実施の形態の作用を説明する。本実施の形態の光ディスク基板成形金型10は、スタンパ14の設置されている固定金型11と、キャビティリング13が外周部に取り付けられている可動金型12と、の間に画成されるキャビティ15内に、溶融樹脂を充填し、溶融樹脂が冷却固化すると、従来のように、圧空を光ディスク基板成形金型10の中央部から供給することなく、型開きして、スタンパ14から光ディスク基板16を剥離する。
【0062】
すなわち、本出願人は、光ディスク基板の成形時に発生する異常転写の対策を検討する中で、異常転写の発生が成形基板の内周部、しかも基板剥離用の圧空を噴出するスリットの近傍にのみ発生することを見出した。また、異常転写は、ピット領域とグルーブ領域との境界付近に存在するピット部分に発生し、グルーブ部分には発生しないことも見出した。さらに、この状態を詳細に観察・検討したところ、剥離エアーを噴出するスリットから15mm以上離れた領域からは異常転写はほとんど発生しない事実を見出した。
【0063】
この現象は、以下の理由によるものと考えられる。すなわち、成形基板の剥離は、スリットからの噴出エアーにより進行するが、スリットから15mmまで剥離が進行すると、すなわち、異常転写が発生する程度の変形が進行すると、それよりも外周側の剥離は瞬間的進行する。この瞬間的な剥離は、図13及び図14に示したピットと成形基板のピット転写部との接触発生箇所において、スタンパと成形基板との接触が発生するよりも早く成形基板がスタンパから離れてしまい、この瞬間的な剥離状態により異常転写が発生しないことが判明した。すなわち、ピット領域とグルーブ領域の境界を剥離の力点から15mm以上離すことで、異常転写の発生を解消する。また、本出願人は、種々実験を行ったところ、瞬間的な剥離が最も有効に機能する型開き状態は、型開き初段の型開速度が3〜5mm/sであることも見出した。
【0064】
そこで、本実施の形態の光ディスク基板成形金型10は、その中央部に圧空噴射用のスリットを形成しないか、形成されていても圧空を噴射することなく、型開きを行う。
【0065】
すなわち、本実施の形態の光ディスク基板成形金型10を使用して光ディスク基板16を製造するには、まず、可動金型12を閉じた状態で形成されるキャビティ15内に溶融樹脂を充填した後、当該溶融樹脂が冷却固化すると、図5に示すように、可動金型12を固定金型11から離隔する方向に移動させて型開きを開始する。このとき、光ディスク基板成形金型10の中央部からは圧空を噴出しない。
【0066】
このように、可動金型12を型開きしていくと、可動金型12に取り付けられているキャビティリング13も同時に移動し、キャビティリング13が移動することで、キャビティリング13の内周面と固化した樹脂である光ディスク基板16との摺動抵抗により光ディスク基板16を型開き方向に移動させる。このキャビティリング13との摺動抵抗が剥離力となって光ディスク基板16のスタンパ14からの剥離が開始される。すなわち、光ディスク基板16は、その外周端を剥離の力点として剥離が開始される。
【0067】
このとき、光ディスク基板16は、スタンパ14からの剥離に伴って変形が生じるが、スタンパ14の外周付近にはピット領域とグルーブ領域の境界は存在せず、異常転写が発生する要素がない。すなわち、光ディスク基板16の剥離の力点である外周端から15mmいないには、ピットやグルーブが存在せず、ピットやグルーブは、当該力点から15mm以上離れている。
【0068】
そして、図6に示すように、型開きが進行すると、上記瞬間的な剥離現象が発生して、光ディスク基板16は、完全にかつ瞬間的にスタンパ14から分離され、ピット領域とグループ領域の境界付近が剥離される際には、この瞬間的な剥離現象により剥離されて、異常転写が発生することなく、スタンパ14から剥離される。
【0069】
そして、本実施の形態の光ディスク基板成形金型10は、外周端部での圧空の噴出や機械的な突出動作も行わない。すなわち、通常の光ディスク基板の成形金型では、スタンパ外周端に、成形した光ディスク基板剥離用の圧空スリットや機械的な突出し機構を設置することは極めて困難な構造となっており、仮に設置が可能であっても、金型サイズが大きくなってしまい、成形サイクルの延長や新たな大型成形機の導入が必要となる等問題が生じる。
【0070】
ところが、本実施の形態の光ディスク基板成形金型10では、上述のように、光ディスク基板16の剥離を、光ディスク基板16の外周端面とキャビティリング13の内壁面との間に発生する摺動抵抗を利用して行い、スタンパ14の外周端に、圧空の噴射や機械的な突出動作を行わないため、光ディスク基板成形金型10を小型で、安価なものとすることができる。
【0071】
このように、本実施の形態の光ディスク基板成形金型10を用いた光ディスク基板製造方法は、光ディスク基板16のスタンパ14からの剥離の力点をROM領域と録再領域との境界から15mm以上離れた箇所に設けている。
【0072】
したがって、光ディスク基板16の剥離時にスタンパ14の凸部が、成形された光ディスク基板16の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止することができ、高精度な光ディスク基板16を製造することができる。
【0073】
また、本実施の形態の光ディスク基板成形金型10を用いた光ディスク基板製造方法は、光ディスク基板16の外周端部を剥離開始箇所として、光ディスク基板16のスタンパ14からの剥離の力点をROM領域と録再領域との境界から15mm以上離れた箇所としている。
【0074】
したがって、簡単かつ安価に光ディスク基板16の剥離時にスタンパ14の凸部が、成形された光ディスク基板16の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止することができ、安価に高精度な光ディスク基板16を製造することができる。
【0075】
図7は、本発明の本発明のスタンパ、光ディスク基板製造方法、光ディスク基板成形金型、光ディスク基板及び光情報記録媒体の第3の実施の形態を適用した光ディスク基板成形金型20の要部正面拡大断面図である。
【0076】
なお、本実施の形態は、上記第2の実施の形態の光ディスク基板成形金型10と同様の光ディスク基板成形金型に適用したものであり、本実施の形態の説明においては、上記第2の実施の形態の光ディスク基板成形金型10と同様の構成部分には、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0077】
図7において、光ディスク基板成形金型20は、固定金型11と可動金型12を有し、可動金型12の外周端部には、図示しないが、キャビティリング13が取り付けられている。固定金型11の上面に、スタンパ14が設置されている。
【0078】
固定金型11の中央部には、貫通孔21が形成されており、貫通孔21には、当該貫通孔21よりも小径のインナースタンパホルダ22が配設されている。したがって、インナースタンパホルダ22と貫通孔21の内周面との間に所定間隔のインナースリット(スリット)23が形成されており、インナースタンパホルダ22は、スタンパ14の内周部を保持する。
【0079】
インナースリット23には、空気流路(気体通路)24が接続されており、空気流路24は、分岐回路25に接続されている。分岐回路25は、図示しない制御機構により動作が制御され、空気流路24を大気開放と大気圧よりも所定圧だけ圧力の高い圧空発生装置(高圧気体源)26とを切り換えて接続する。
【0080】
本実施の形態の光ディスク基板成形金型20は、型開き時に分岐回路25を駆動制御して、大気と圧空とを切り換えて空気流路24及びインナースリット23を通して、キャビティ15内に導入する。
【0081】
すなわち、光ディスク基板成形金型20は、上記第2の実施の形態の光ディスク基板成形金型10と同様に、型開きを行うと、光ディスク基板16の外周端面とキャビティリング13との摺動抵抗で、光ディスク基板16の外周端面を剥離の力点として、光ディスク16の剥離が始まり、光ディスク基板16は、あるポイントで、瞬間的にスタンパ14から分離するが、その際、反スタンパ14側の金型である可動金型12に接触した後、その反動で再びスタンパ14側に向かう場合がある。
【0082】
そこで、本実施の形態の光ディスク基板成形金型20では、この瞬間的な剥離段階では、分岐回路25により空気流路24を大気開放に接続して、インナースリット23を通してキャビティ15内を大気開放とし、光ディスク基板16の外周端からの剥離を補助(サポート)する。
【0083】
そして、光ディスク基板16の剥離が完了すると、分岐回路25により空気流路24を圧空発生装置26に接続して、圧空を噴出し、光ディスク基板16が、反スタンパ14側の金型である可動金型12に接触した後、その反動で再びスタンパ14側に再接触するのを防止する。
【0084】
このように、本実施の形態の裨益板成形金型20は、スタンパ14が、固定金型11と可動金型12で画成されるキャビティ15内に設置され、当該キャビティ15内に溶融樹脂材料が充填されて、当該溶融樹脂が固化した後、可動金型12を固定金型11から離隔する方向に開いてキャビティ15内のスタンパ14から固化した樹脂を剥離させてスタンパ14の凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形するとともに、金型のうちスタンパ取付側の金型11のキャビティ15の表面内周側にインナースリット23が形成され、当該インナースリット23が、大気圧と大気圧よりも高い所定の高圧の気体を供給する圧空発生装置26とに切換可能な空気流路24に連通された金型20を用いて光ディスク基板を製造するに際して、インナースリット23を、固定金型11から可動金型12を開く型開き開始から所定の型開き時間の間または所定の型開き距離を経過するまでの間は、大気圧側の空気流路24に連通させ、その後、圧空発生装置26側の空気流路24に切り換えて連通させている。
【0085】
したがって、光ディスク基板の剥離時にスタンパ14の凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止することができるとともに、一旦剥離された光ディスク基板が再度スタンパ14に接触することを防止することができ、より一層高精度な光ディスク基板を製造することができる。
【0086】
この場合、型開き開始初期の速度を、3mm/s〜5mm/sとすると、光ディスク基板の剥離時にスタンパ14の凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することをより一層確実に防止することができるとともに、一旦剥離された光ディスク基板が再度スタンパ14に接触することを防止することができ、より一層高精度な光ディスク基板を製造することができる。
【0087】
図8及び図9は、本発明の本発明のスタンパ、光ディスク基板製造方法、光ディスク基板成形金型、光ディスク基板及び光情報記録媒体の第4の実施の形態を適用した光ディスク基板成形金型30の要部正面拡大断面図であり、図8は、本発明のスタンパ、光ディスク基板製造方法、光ディスク基板成形金型、光ディスク基板及び光情報記録媒体の第4の実施の形態を適用した光ディスク基板成形金型30の要部正面拡大断面図である。
【0088】
図8において、光ディスク基板成形金型30は、固定金型31と可動金型32を有し、可動金型32の外周端部には、キャビティリング33が取り付けられている。なお、キャビティリング33の内周面位置が、図8に破線で示すように、製品(光ディスク基板)の外周端の位置となる。
【0089】
光ディスク基板成形金型30は、固定金型31の上面に、スタンパ34が設置されており、このスタンパ34の設置された固定金型31と可動金型32により画成されるキャビティ35内に溶融樹脂が充填されて、当該溶融樹脂が固化した光ディスク基板36を、型開き方向(図8の上方向)、可動金型12を開くことで、スタンパ34から光ディスク基板36を剥離して、光ディスク36を取り出す。
【0090】
そして、上記キャビティリング33は、その内周側であって固定金型31側の角部に抜きテーパ加工が施されたテーパ面33aとなっている。すなわち、この光ディスク基板成形金型30は、ハイサイクル用(連続高速成形用)の金型であり、ハイサイクルに適用させるために、キャビティリング33の内周側であって固定金型31側の角部がテーパ面33aに形成されている。
【0091】
さらに、光ディスク基板成形金型30は、可動金型32の当該キャビティリング33の設けられている部分の端面とキャビティリング33との間に、所定の空隙(隙間)37が設けられており、この空隙37部分に溶融樹脂を進入させて、意図的にバリ38を発生させる金型となっている。この空隙37は、意図的に発生させるバリ38の高さが、15μm〜20μmとなる大きさの空隙である。
【0092】
すなわち、図9に示すように、キャビティリング33の内周側であって固定金型31側の角部に、抜きテーパ加工を施したテーパ面33aのみを形成して、ハイサイクル用の金型とすると、キャビティリング33内壁面と溶融樹脂が固化した光ディスク基板36の外周端面との間に摺動抵抗 すなわち剥離力が発生せず、この摺動抵抗を利用した光ディスク基板36の剥離を行うことができない。
【0093】
ところが、本実施の形態の光ディスク基板成形金型30は、図8に示したように、可動金型32の当該キャビティリング33の設けられている部分の端面とキャビティリング33との間に、所定の空隙37が設けられている。
【0094】
したがって、キャビティ35内に充填された溶融樹脂は、この空隙37部分に進入し、バリ38が発生する。その結果、可動金型32を型開きしていくと、可動金型32に取り付けられているキャビティリング33も同時に移動し、可動金型32とキャビティリング33が移動することで、可動金型32とキャビティリング33との間の空隙37に溶融樹脂が進入して固化したバリ38が、可動金型32とキャビティリング33に対して摺動抵抗を有することとなる。したがって、この摺動抵抗が光ディスク基板36の剥離力となって、光ディスク基板36のスタンパ34からの剥離が開始される。すなわち、光ディスク基板36は、その外周端を剥離の力点として剥離が開始される。
【0095】
以降、光ディスク基板36は、上記第2の実施の形態、または、第3の実施の形態の場合と同様に、スタンパ34から剥離される。
【0096】
そして、実験を行ったところ、空隙37に形成されるバリ38は、その高さが15μm〜20μmの値が最適値であった。バリ38が、この範囲以下の高さであると、十分な摺動抵抗(剥離力)が発生せず、この範囲以上の高さでは、機械特性(反りやうねり等)の悪化を招く結果となった。
【0097】
このように、本実施の形態の光ディスク基板成形金型30は、光ディスク基板36の外周端面を成形する金型部品であるキャビティリング33が、スタンパ34の取付側とは反対側の金型32から当該スタンパ34の取付側の金型31方向に向かって外周方向に広くなるテーパ形状に形成され、当該テーパ形状のキャビティリング33が、スタンパ31の取付側とは反対側の金型32に固定されているとともに、スタンパ34の取付側とは反対側の金型32の外周端面との間に、成形される光ディスク基板36に15μm〜20μmのバリ38を形成する隙間37が設けられている。
【0098】
したがって、連続高速成形(ハイサイクル成形)を可能とすることができるとともに、光ディスク基板36の剥離時にスタンパ34の凸部が、成形された光ディスク基板36の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止することができ、連続して高速にかつ高精度な光ディスク基板36を製造することができる。
【0099】
そして、スタンパ34は、その凹凸が、従来のスタンパのように先端に向かって滑らかに細くなる形状に形成されていてもよいが、上記第1の実施の形態のスタンパ1と同様に、先端ほど階段状に細くなる多段形状に形成されていてもよい。このように、凹凸、特にピットを多段形状に形成すると、より一層確実に、異常転写のない光ディスク基板36を製造することができる。
【0100】
また、上記各実施の形態で製造された光ディスク基板を用いて作製された光情報記録媒体は、その信号品質が良好で、高信頼性の情報媒体となった。
【0101】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0102】
【発明の効果】
請求項1記載の発明のスタンパによれば、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録され、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形するスタンパの凸部を、その断面形状が、先端部ほど階段状に細くなる多段形状に形成しているので、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを防止することができ、高精度に転写を行うことができる。
【0103】
請求項2記載の発明のスタンパによれば、スタンパを、少なくとも凹凸の形成されている面がガラス原盤で形成されたものとし、当該ガラス原盤に、下層よりも上層の方に感度の高い感光剤を多層に積層させた後、当該感光剤を露光して、当該多層の感光剤の感光を上層ほど進行させることで多段形状が形成されたものとしているので、多段形状の凸部を簡単かつ容易に形成することができるとともに、異常転写に対するマージンをより一層確保することができ、安価に高精度の転写を行うことができる。
【0104】
請求項3記載の発明の光ディスク基板製造方法によれば、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録されたスタンパが、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、当該溶融樹脂が固化した後、可動金型を固定金型から離隔する方向に開いてキャビティ内のスタンパから固化した樹脂を剥離させてスタンパの凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形するに際して、光ディスク基板のスタンパからの剥離の力点をROM領域と録再領域との境界から15mm以上離れた箇所に設けているので、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止することができ、高精度な光ディスク基板を製造することができる。
【0105】
請求項4記載の発明の光ディスク基板製造方法によれば、光ディスク基板の外周端部を剥離開始箇所として、光ディスク基板のスタンパからの剥離の力点をROM領域と録再領域との境界から15mm以上離れた箇所としているので、簡単かつ安価に光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止することができ、安価に高精度な光ディスク基板を製造することができる。
【0106】
請求項5記載の発明の光ディスク基板製造方法によれば、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録されたスタンパが、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、当該溶融樹脂が固化した後、可動金型を固定金型から離隔する方向に開いてキャビティ内のスタンパから固化した樹脂を剥離させてスタンパの凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形するとともに、金型のうちスタンパ取付側の金型のキャビティ表面内周側にスリットが形成され、当該スリットが、大気圧と大気圧よりも高い所定の高圧の気体を供給する高圧気体源とに切換可能な気体通路に連通された金型を用いて光ディスク基板を製造するに際して、スリットを、固定金型から可動金型を開く型開き開始から所定の型開き時間の間または所定の型開き距離を経過するまでの間は、大気圧側の気体通路に連通させ、その後、高圧気体源側の気体通路に切り換えて連通させるので、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止することができるとともに、一旦剥離された光ディスク基板が再度スタンパに接触することを防止することができ、より一層高精度な光ディスク基板を製造することができる。
【0107】
請求項6記載の発明の光ディスク基板製造方法によれば、型開き開始初期の速度を、3mm/s〜5mm/sとしているので、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することをより一層確実に防止することができるとともに、一旦剥離された光ディスク基板が再度スタンパに接触することを防止することができ、より一層高精度な光ディスク基板を製造することができる。
【0108】
請求項7記載の発明の光ディスク基板成形金型によれば、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録されたスタンパが、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、当該溶融樹脂が固化した後、可動金型を固定金型から離隔する方向に開いてキャビティ内のスタンパから固化した樹脂を剥離させてスタンパの凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形する光ディスク基板成形金型を、当該スタンパ取付側の金型のキャビティ表面内周側にスリットが成され、当該スリットが、大気圧と大気圧よりも高い所定の高圧の気体を供給する高圧気体源とに切換可能な気体通路に連通され、可動金型を固定金型から開く型開き開始から所定の型開き時間の間または所定の型開き距離を経過するまでの間は、大気圧側の気体通路に連通され、その後、高圧気体源側の気体通路に切り換えて連通されるものとしているので、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止することができるとともに、一旦剥離された光ディスク基板が再度スタンパに接触することを防止することができ、より一層高精度な光ディスク基板を製造することができる。
【0109】
請求項8記載の発明の光ディスク基板成形金型によれば、光ディスク基板成形金型を、光ディスク基板の外周端面を成形する金型部品が、スタンパ取付側とは反対側の金型から当該スタンパ取付側の金型方向に向かって外周方向に広くなるテーパ形状に形成され、当該テーパ形状の金型部品が、当該スタンパ取付側とは反対側の金型に固定されているとともに、当該スタンパ取付側とは反対側の金型の外周端面との間に、成形される光ディスク基板に15μm〜20μmのバリを形成する隙間が設けられているものとしているので、連続高速成形を可能とすることができるとともに、光ディスク基板の剥離時にスタンパの凸部が、成形された光ディスク基板の当該凸部の転写された部分に接触して異常転写が発生することを確実に防止することができ、連続して高速にかつ高精度な光ディスク基板を製造することができる。
【0110】
請求項9記載の発明の光ディスク基板によれば、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録される光ディスク基板を、請求項1または請求項2記載のスタンパ、請求項3から請求項6のいずれかに記載の光ディスク基板製造方法、あるいは、請求項6または請求項7記載の光ディスク基板成形金型を用いて成形しているので、異常転写のない高精度な光ディスク基板を製造することができる。
【0111】
請求項10記載の発明の光情報記録媒体によれば、少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録される光情報記録媒体を、請求項9記載の光ディスク基板を用いて作製しているので、信号品質の信頼性の高い2領域混在型の光情報記録媒体を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスタンパ、光ディスク基板製造方法、光ディスク基板成形金型、光ディスク基板及び光情報記録媒体の第1の実施の形態を適用したスタンパの要部正面拡大断面図。
【図2】図1のスタンパ上に溶融樹脂が充填されている状態の要部正面拡大断面図。
【図3】図2の溶融樹脂が固化した光ディスク基板を剥離している状態の要部正面拡大断面図。
【図4】図3のA部拡大断面図。
【図5】本発明のスタンパ、光ディスク基板製造方法、光ディスク基板成形金型、光ディスク基板及び光情報記録媒体の第2の実施の形態を適用した光ディスク基板成形金型の型開きが開始した状態の外周部分の正面拡大断面図。
【図6】図5の型開きがさらに進行した状態の外周部分の正面拡大断面図。
【図7】本発明のスタンパ、光ディスク基板製造方法、光ディスク基板成形金型、光ディスク基板及び光情報記録媒体の第3の実施の形態を適用した光ディスク基板成形金型の中央部分の正面拡大断面図。
【図8】本発明のスタンパ、光ディスク基板製造方法、光ディスク基板成形金型、光ディスク基板及び光情報記録媒体の第4の実施の形態を適用した光ディスク基板成形金型の外周部分の正面拡大断面図。
【図9】図8の光ディスク基板成形金型の可動金型とキャビティリングとの間に空隙が形成されていない場合の当該金型の外周部分の正面拡大断面図。
【図10】ピット領域とグルーブ領域を有する光情報記録媒体の要部平面図。
【図11】図10のA−A矢視断面図。
【図12】従来の光ディスク基板の剥離方法を示す要部正面拡大断面図。
【図13】従来のスタンパ上に樹脂が固化して光ディスク基板が形成されている状態の要部正面拡大断面図。
【図14】図13の光ディスク基板がスタンパ中央部から噴出される圧空で剥離が開始された状態の要部正面拡大断面図。
【図15】図14のA部拡大断面図。
【図16】異常転写が発生していない場合の基板のピット部分の拡大平面図(a)とそのA−A矢視断面図(b)、大きな異常転写が発生している場合の基板のピット部分の拡大平面図(c)とそのB−B矢視断面図(d)及び小さな異常転写が発生している場合の基板のピット部分の拡大平面図(e)とそのC−C矢視断面図(f)。
【符号の説明】
1 スタンパ
2 凹凸
3 ピット
4 グルーブ
5 溶融樹脂
6 光ディスク基板
10 光ディスク基板成形金型
11 固定金型
12 可動金型
13 キャビティリング
14 スタンパ
15 キャビティ
16 光ディスク基板
20 光ディスク基板成形金型
21 貫通孔
22 インナースタンパホルダ
23 インナースリット
24 空気流路
25 分岐回路
26 圧空発生装置
30 光ディスク基板成形金型
31 固定金型
32 可動金型
33 キャビティリング
34 スタンパ
35 キャビティ
36 光ディスク基板
37 空隙
38 バリ
Claims (10)
- 少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録され、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、前記凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形するスタンパにおいて、前記凸部は、その断面形状が、先端部ほど階段状に細くなる多段形状に形成されていることを特徴とするスタンパ。
- 前記スタンパは、少なくとも前記凹凸の形成されている面がガラス原盤で形成され、当該ガラス原盤に、下層よりも上層の方に感度の高い感光剤を多層に積層させた後、当該感光剤を露光して、当該多層の感光剤の感光を上層ほど進行させることで前記多段形状が形成されていることを特徴とする請求項1記載のスタンパ。
- 少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録されたスタンパが、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、当該溶融樹脂が固化した後、前記可動金型を前記固定金型から離隔する方向に開いて前記キャビティ内の前記スタンパから前記固化した樹脂を剥離させて前記スタンパの凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形する光ディスク基板製造方法において、前記光ディスク基板の前記スタンパからの剥離の力点を前記ROM領域と前記録再領域との境界から15mm以上離れた箇所に設けることを特徴とする光ディスク基板製造方法。
- 前記光ディスク基板製造方法は、前記光ディスク基板の外周端部を前記剥離開始箇所として、前記光ディスク基板の前記スタンパからの剥離の力点を前記ROM領域と前記録再領域との境界から15mm以上離れた箇所とすることを特徴とする請求項3記載の光ディスク基板製造方法。
- 少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録されたスタンパが、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、当該溶融樹脂が固化した後、前記可動金型を前記固定金型から離隔する方向に開いて前記キャビティ内の前記スタンパから前記固化した樹脂を剥離させて前記スタンパの凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形するとともに、前記金型のうち前記スタンパ取付側の金型の前記キャビティ表面内周側にスリットが形成され、当該スリットが、大気圧と大気圧よりも高い所定の高圧の気体を供給する高圧気体源とに切換可能な気体通路に連通された金型を用いた光ディスク基板製造方法であって、前記スリットを、前記固定金型から前記可動金型を開く型開き開始から所定の型開き時間の間または所定の型開き距離を経過するまでの間は、前記大気圧側の気体通路に連通させ、その後、前記高圧気体源側の気体通路に切り換えて連通させることを特徴とする光ディスク基板製造方法。
- 前記光ディスク基板製造方法は、前記型開き開始初期の速度が、3mm/s〜5mm/sであることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれかに記載の光ディスク基板製造方法。
- 少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録されたスタンパが、固定金型と可動金型で画成されるキャビティ内に設置され、当該キャビティ内に溶融樹脂材料が充填されて、当該溶融樹脂が固化した後、前記可動金型を前記固定金型から離隔する方向に開いて前記キャビティ内の前記スタンパから前記固化した樹脂を剥離させて前記スタンパの凹凸を転写した所定形状の光ディスク基板を成形する光ディスク基板成形金型において、前記スタンパ取付側の金型の前記キャビティ表面内周側にスリットが形成され、当該スリットが、大気圧と大気圧よりも高い所定の高圧の気体を供給する高圧気体源とに切換可能な気体通路に連通され、前記可動金型を前記固定金型から開く型開き開始から所定の型開き時間の間または所定の型開き距離を経過するまでの間は、前記大気圧側の気体通路に連通され、その後、前記高圧気体源側の気体通路に切り換えて連通されることを特徴とする光ディスク基板成形金型。
- 前記光ディスク基板成形金型は、前記光ディスク基板の外周端面を成形する金型部品が、前記スタンパ取付側とは反対側の金型から当該スタンパ取付側の金型方向に向かって外周方向に広くなるテーパ形状に形成され、当該テーパ形状の金型部品が、当該スタンパ取付側とは反対側の金型に固定されているとともに、当該スタンパ取付側とは反対側の金型の外周端面との間に、前記成形される光ディスク基板に15μm〜20μmのバリを形成する隙間が設けられていることを特徴とする請求項7記載の光ディスク基板成形金型。
- 少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録される光ディスク基板であって、前記請求項1または請求項2記載のスタンパ、請求項3から請求項6のいずれかに記載の光ディスク基板製造方法、あるいは、請求項6または請求項7記載の光ディスク基板成形金型を用いて成形されていることを特徴とする光ディスク基板。
- 少なくとも片面に、同一面内に読出専用のROM領域と記録/再生または記録/再生/消去可能な録再領域とが混在し、かつ、当該ROM領域に関する情報が内周部の所定領域に予め凹凸で記録される光情報記録媒体であって、前記請求項9記載の光ディスク基板を用いて作製されていることを特徴とする光情報記録媒体。
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