JP2004060969A - 加熱調理器 - Google Patents
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Abstract
【課題】水の加熱状態を精度良く検知して自動的に湯沸かし加熱を行うことができる加熱調理器を提供する。
【解決手段】使用者が操作部を操作することにより水の湯沸かし動作の実行が指示されると、制御装置は加熱時間を設定して加熱動作を開始する(S1〜S3)。そして、赤外線センサの検出結果に基づき加熱開始初期の温度上昇値を求め、その温度上昇値が7℃未満であるか否かを判断する(S4、S5)。温度上昇値が7℃未満の場合は水温を10秒ごとに検出し、水温が90℃を超えると加熱動作を終了する(S6〜9)。また、温度上昇値が7℃以上の場合は水温を10秒ごとに検出し、10秒間における温度上昇値が10℃を超えると加熱動作を終了する。
【選択図】 図9
【解決手段】使用者が操作部を操作することにより水の湯沸かし動作の実行が指示されると、制御装置は加熱時間を設定して加熱動作を開始する(S1〜S3)。そして、赤外線センサの検出結果に基づき加熱開始初期の温度上昇値を求め、その温度上昇値が7℃未満であるか否かを判断する(S4、S5)。温度上昇値が7℃未満の場合は水温を10秒ごとに検出し、水温が90℃を超えると加熱動作を終了する(S6〜9)。また、温度上昇値が7℃以上の場合は水温を10秒ごとに検出し、10秒間における温度上昇値が10℃を超えると加熱動作を終了する。
【選択図】 図9
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品の表面温度を検出する赤外線センサを備えた加熱調理器に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
最近の多くのコンビニエンスストアは、弁当類や惣菜などの食品を販売時に電子レンジで加熱するサービスを提供している。このようなコンビニエンスストアに設置される業務用の電子レンジは、通常、多数の食品の加熱動作に対応するメニューキーを備えており、前記メニューキーを選択的に操作することにより各種の食品を簡単且つ適切に加熱できるように構成されている。
【0003】
また、コンビニエンスストアには、「おでん」の自動調理器を備え、「おでん」を店頭で煮込みながら販売しているところがある。このように店頭で煮込み調理される「おでん」が煮詰まったときに加える湯を沸かすためにも、前記電子レンジが利用されている。
【0004】
ところが、電子レンジには水を加熱するための特別なメニューキーは設けられていない。これは、業務用及び家庭用いずれの電子レンジにおいて同様である。従って、水を加熱する際は、使用者が加熱時間や加熱出力等を設定して、手動で加熱動作を実行させていた。しかし、コンビニエンスストアの従業員の中には電子レンジの操作に不慣れな人も多く、適切な加熱時間等を設定することができない。このため、水の加熱動作を自動的に実行させることができる電子レンジの開発が望まれていた。
【0005】
ところで、電子レンジには、加熱時に食品から発生する水蒸気量を検出する湿度センサを備え、その検出結果に基づいてマグネトロンによる食品の加熱動作を制御するように構成されたものがある(例えば実開昭59−118908号公報)。ところが、湯を沸かす場合は一般の食品を加熱する場合に比べて加熱時に発生する水蒸気量が非常に多く、しかも加熱終了温度が高い。このため、湿度センサの出力が不安定になり、水の加熱状態を精度良く検知できない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、水の加熱状態を精度良く検知して自動的に湯を沸かすことができる加熱調理器を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の加熱調理器は、食品を加熱する加熱手段と、前記食品の表面温度を検出する非接触形の赤外線センサと、前記赤外線センサの検出結果に基づいて前記加熱手段による加熱動作を制御手段とを備え、前記制御手段は、前記加熱手段による水を加熱して湯を沸かす湯沸かし動作の実行を制御可能に構成されていることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、加熱時に発生する水蒸気量に影響を受けることなく水の加熱状態を精度良く検知することができる。このため、加熱手段による水の加熱動作を精度良く制御して、自動的に湯を沸かすことができる。ここで、湯沸かし動作とは、沸騰状態に近い状態まで水を加熱することを意味する。
【0009】
この場合、前記制御手段は、加熱開始初期の水の温度変化に基づいてその後の加熱手段による湯沸かし動作を制御するように構成すると良い(請求項2の発明)。
【0010】
所定の出力で加熱手段により水が加熱されると、水の量が少ないほど大きく温度上昇することから、加熱開始初期の水の温度変化に基づき水の量の多少を判断できる。また、発明者の実験によれば、水の量が少ないときは水が沸騰状態に達する前に急激な温度上昇が見られるが、水の量が多いときは加熱開始から略直線的に温度上昇して沸騰状態に達することがわかった。従って、上記構成によれば、水の量の多少を判断して水の加熱状態を把握することができるため、水を過不足なく加熱することができる。
【0011】
また、本発明の請求項3の加熱調理器は、加熱手段による湯沸かし動作の実行時間を設定する時間設定手段と赤外線センサの検出結果に基づき水が略沸騰状態にあることを判定する判定手段とを備え、制御手段は、前記湯沸かし動作実行時間が経過する前に前記判定手段により水が略沸騰状態にあると判定された場合には、前記加熱手段の動作を停止させることを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、水が略沸騰状態に達しているにもかかわらず、湯沸かし動作実行時間が経過するまで水が加熱され続けることを防止できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例について図面を参照しながら説明する。図1は本実施例に係る電子レンジ(加熱調理器に相当)の外観斜視図であり、矩形箱状のキャビネット1の内部には、前面が開口した加熱室2が配設されている。前記加熱室2内の上部及び下部には、それぞれ加熱室2の上面部及び底面部との間に所定の間隔を存するように天井板3(図2参照)及び底板4が配設されている。前記天井板3及び底板4は、それぞれマイクロ波が通過可能な耐熱ガラス或いはセラミックにより形成されている。そして、前記加熱室2内のうち天井板3の上方部、底板4の上方部には、それぞれ回転アンテナ5,6(図2参照)が配設されている。
【0014】
また、前記キャビネット1の前面には、加熱室2の前面開口を開閉するドア7が回動可能に取付けられている。更に、前記キャビネット1の前面のうち加熱室2の右部には、表示部8及び複数のメニューキーやスタートキー等からなる操作部9を備えた操作パネル10が設けられている。また、前記キャビネット1の前面下部には、吸気口11が設けられている。
【0015】
次に、図2ないし図4を参照しながらキャビネット1内の構成について説明する。図2ないし図4は、それぞれキャビネット1を取り除いた状態で示す電子レンジの概略的な正面図、上面図、右側面図である。図2ないし図4では、キャビネット1の外形を二点鎖線で示している。キャビネット1内のうち加熱室2の右側には機械室12が設けられている。前記機械室12内の上部にはマグネトロン13及びインバータ装置14が配設され、下部にはマグネトロン15及びインバータ装置16が配設されている。前記マグネトロン13,15及びインバータ装置14,16は、それぞれ同じ仕様のものが用いられている。そして、前記機械室12内の奥部の上下部には、マグネトロン13,15及びインバータ装置14,16のそれぞれを冷却するためのファン装置17,18が設けられている。
【0016】
キャビネット1内のうち加熱室2の上部には導波管19が設けられている。前記導波管19の一端部は前記マグネトロン13のアンテナ13aに連通し、他端部は加熱室2の上面部に設けられた励振口(図示せず)に連通している。前記導波管19の他端部には、前記回転アンテナ5を駆動するアンテナモータ20が設けられており、前記導波管19を介して加熱室内2に供給されるマイクロ波を拡散するようになっている。
【0017】
一方、キャビネット1内のうち前記加熱室2の下部には導波管21が設けられている。前記導波管21の一端部は前記マグネトロン15のアンテナ15aに連通し、他端部は加熱室2の底面部に設けられた励振口(図示せず)に連通している。前記導波管21の他端部には、前記回転アンテナ6を駆動するアンテナモータ22が設けられており、前記導波管21を介して加熱室2内に供給されるマイクロ波を拡散するようになっている。
【0018】
キャビネット1内のうち加熱室2の上部の左奥部から加熱室2の後部にかかる部分には排気ダクト23が配設されている。前記排気ダクト23の一端部は加熱室2の上面部において前記加熱室2内と連通し、他端部はキャビネット1の後面板に設けられた排気口(図示せず)に連通している。前記排気ダクト23は、加熱時に食品から発生する蒸気などを外部に排出するためのものであり、ダクト23内を通過する気体温度を検出するためのサーミスタ24が取付けられている。
【0019】
また、キャビネット1内のうち加熱室2の左前部には2個の庫内灯25が配設されている。前記庫内灯25は加熱室2の左側壁部に設けられた多数の小孔からなる透光部(図示せず)を通して加熱室2内を照らすよう担っている。
【0020】
更に、キャビネット内のうち加熱室2の左上部の中央部には非接触形の赤外線センサ27が配設されている。図5に示すように、前記加熱室2の左側壁部には赤外線透過用の窓部28が形成されていると共に前記窓部28を覆う断面三角形状のセンサダクト29が溶接等により取付けられている。センサダクト29の上側の傾斜面にはセンサ支持部30を介してセンサケース31が支持されており、前記センサケース31内に前記赤外線センサ27が収容されている。
【0021】
センサダクト29及びセンサケース31の相互に対向する面にはそれぞれ開口29a及び31aが設けられている。前記赤外線センサ27は窓部28及び開口29a,31aを通して加熱室2内の食品温度を検出するようになっている。また、センサケース31の開口31aとセンサダクト29の開口29aとの間にはシャッター32が設けられている。前記シャッター32は、シャッターモータ33(図8参照)により回動駆動される。
【0022】
前記赤外線センサ27は、ICチップ上に複数、例えば16個の赤外線検出素子(サーモパイル、図示せず)を4行×4列で配列することにより構成されている。前記赤外線センサ27の測定視野Aは、16個の赤外線検出素子の個々が形成する測定視野の集合体であり、本実施例においては、図6及び図7に示すように、前記加熱室2の底板3中央に載置される食品Fの略全体を覆うように構成されている。
【0023】
次に、図8を参照しながら本実施例に係る電子レンジの電気的構成について説明する。図8において、電源プラグ40は、200Vの交流電源の電源コンセント(図示せず)に接続されるものであり、その電源線41,42間にはノイズフィルタ43が接続されている。図示しないが、ノイズフィルタ43はサージ吸収素子(バリスタ)、抵抗、コンデンサ、コモンドチョークコイル等を接続して構成されている。
【0024】
ノイズフィルタ43の両出力端子には、それぞれ電源線41a,42aが接続されている。電源線41aはドアスイッチ44を介して電源線41bに接続され、電源線42aはドアスイッチ45を介して電源線42bに接続されている。また、電源線41bと電源線42aとの間にはショートスイッチとして機能するドアスイッチ(モニタスイッチ)46が接続されている。前記ドアスイッチ44,45はいずれもドア7の閉鎖時にオンし、前記ドアスイッチ46はドア7の開放時にオンする構成となっている。
【0025】
電源線42bには、リレー47,48を介して電源線42c、42dがそれぞれ接続されている。電源線41b、42c間、及び電源線41b、42d間には、それぞれ前記インバータ装置14,16が接続されている。前記インバータ装置14,16は、マグネトロン13,15に共振用電源を与えるためのものであり、高圧整流器、高周波トランス、高圧コンデンサ(いずれも図示せず)などを備えて構成されている。
【0026】
電源線41b、42d間には、アンテナモータ20,22の直列回路が接続されている。更に、電源線42aは、前記ファン装置17,18が備えるファンモータ17a,18aの直列回路、庫内灯25,25の直列回路を介して制御装置49の入力端子に接続されている。また、電源線41a,42aは、制御装置49の入力端子に接続されている。
【0027】
更に、前記制御装置49には、ドア7の開閉を検知するドア検知スイッチ50、赤外線センサ27、サーミスタ24、シャッターモータ33、表示部8、操作部9が接続されている。前記制御装置49は、マイクロコンピュータを主体とし、CPUやROM,RAMなどのメモリを備えて構成されており、そのメモリには電子レンジの各種調理メニューに対応する制御プログラムなどのデータが記憶されている。そして、制御装置49のCPUは、入力信号やメモリの記憶データに基づいて各リレー47,48のオンオフ制御、シャッターモータ33や表示部8の制御、インバータ装置14,16の図示しないインバータ回路の動作制御などを行う構成となっている。尚、リレー47,48のオンオフ制御は、図示しないリレーコイルを通断電制御することにより行われる。
【0028】
次に、本実施例の作用について説明する。前記制御装置49のマイクロコンピュータは、操作部9からの入力信号に基づきROMに格納されている制御プログラムを実行し、食品を加熱する。このとき、使用者は、食品の種類や状態等に応じて多数の加熱メニューのうちの一つを選択することができる。
【0029】
制御装置49は、赤外線センサ27の検出結果に基づき食品温度が選択された加熱メニューに応じた設定温度になるように、マグネトロン13,15やアンテナモータ20,22などを駆動制御する。また、各加熱メニューには、加熱時間が予め設定されており、加熱時間が経過しても食品温度が設定温度に達しない場合には、制御装置49は加熱運転を終了するようになっている。
【0030】
続いて、制御装置49が実行する水の湯沸かし動作について図9及び図10を参照しながら説明する。図9は、制御装置49が実行する水の湯沸し動作用プログラムのフローチャートを示している。このプログラムは、操作部9に設けられた「湯沸かし」メニューに対応するメニューキーを選択的に操作すると共にスタートキーを操作することにより実行される。
【0031】
即ち、図9において、操作部9からの入力信号により湯沸かし動作の実行が指示されると、制御装置49は加熱時間(例えば4分)を設定し、タイマのカウントを開始する(ステップS1)。従って、制御装置49が時間設定手段として機能する。
【0032】
続いて、制御装置49は、赤外線センサ27の各素子の温度検出信号を読み込み、基準値を算出する(ステップS2)。本実施例では、制御装置49はシャッター32の表面温度に基づき基準値を検出する。
【0033】
そして、制御装置49は、シャッターモータ33を駆動してシャッター32を開放すると共に、マグネトロン13,15、アンテナモータ20,22を駆動して加熱動作を開始する(ステップS3)。この結果、マグネトロン13,15が発生したマイクロ波は導波管19,21を通り、回転アンテナ5,6によって拡散されながら加熱室2内に照射される。
【0034】
また、制御装置49は、食品としての水の初期温度上昇値ΔTintを検出する(ステップS4)。ここでは、加熱開始時及び加熱開始から10秒後の赤外線センサ27の各素子の温度検出信号から各タイミングの水の温度T0及びT10をそれぞれ算出し、その差を初期温度上昇値ΔTintとしている。尚、制御装置49は、赤外線センサ27の各素子の温度検出信号及び基準値に基づいて各視野の温度算出値を求め、全視野の温度算出値の平均値を温度検出値としている。
【0035】
次のステップS5では、初期温度上昇値ΔTintが7℃よりも小さいか否かを判断する。そして、7℃よりも小さい場合(YES)には、ステップS6に移行して、水の温度検出値を10秒ごとに求める。ステップS7では、各タイミングで求められた温度検出値T10nが90℃以下であるか否かを判断する。
【0036】
そして、温度検出値T10nが90℃以下である場合(Yes)には、続いて加熱時間が経過したか否かを判断し(ステップS8)、加熱時間が経過していない場合には(NO)、再びステップS6に移行する。また、ステップS8にて加熱時間が経過したと判断した場合(YES)、及び、ステップS7にて温度検出値T10nが90℃を上回ったと判断した場合(NO)には、マグネトロン13,15及びアンテナモータ20,22の駆動を停止して湯沸かし動作を終了する(ステップS9)。
【0037】
一方、ステップS5にて初期温度上昇値ΔTintが7℃以上であると判断した場合(NO)には、ステップS10に移行し、水の温度検出値を10秒毎に求める。そして、ステップS11では、今回の温度検出値T10nと前回の温度検出値T10(n−1)との差を求め、10秒間の温度上昇値ΔT10を算出する。
【0038】
ステップS12では、温度上昇値ΔT10が10℃以上であるか否かを判断する。ここで、10℃以上である(YES)と判断した場合には、ステップS9に移行して加熱動作を終了し、10℃よりも小さい(NO)と判断した場合には、ステップS13に移行する。
【0039】
ステップS13では、加熱時間が経過したか否かを判断し、加熱時間が経過した(YES)と判断した場合には、ステップS9に移行して加熱動作を終了し、加熱時間が経過していない(NO)と判断した場合には、再びステップS10に移行する。
【0040】
ここで、図10は、上述の湯沸かし動作実行時における赤外線センサ27の温度検出値の時間的変化を示している。図10において、縦軸は赤外線センサ27の温度検出値(℃)を、横軸は加熱開始からの時間(秒)を示している。また、曲線A〜Dはそれぞれ水量が250,500,750,1000ccの場合を示している。
【0041】
図10に示すように、水の量が少ないほど10秒間あたりの温度上昇値は大きい。そこで、本実施例では、加熱開始初期の温度上昇値が7℃を下回っているか否かで水量の多少を判断し(ステップS5参照)、水量が多い場合と少ない場合とで、その後の湯沸かし動作の制御を異ならせている。
【0042】
また、図10に示すように、水量が少ないときは水が沸騰状態に達する前に急激な温度上昇が見られる。具体的には、水量が250ccのときは加熱時間が50秒経過するあたりから急激に温度上昇し始め、10秒間当たりの温度上昇値が10℃を超す。そして、加熱時間が90秒を過ぎると温度検出値は90℃を超し、ほぼ沸騰状態となる。
【0043】
水量が500ccのときは加熱時間が130秒経過するあたりから急激に温度上昇し始め、10秒間当たりの温度上昇値が10℃を超す。そして、加熱時間が150秒を過ぎると温度検出値は90℃を超し、ほぼ沸騰状態となる。即ち、水量が少ない場合は、加熱の途中で10秒間あたりの温度上昇値が10℃を超える急激な温度上昇が見られ、その後、すぐに沸騰状態に達する。
【0044】
これに対して、水量が多いとき(750,1000ccのとき)は、加熱開始から沸騰状態に達するまで、温度検出値は略直線的に上昇する。そして、水量が750ccのときは加熱時間が190秒を経過した時点で90℃を超え、水量が1000ccのときは加熱時間が230秒を経過した時点で90℃を超えて略沸騰状態となる。
【0045】
そこで、本実施例では、水量が少ないと判断した場合は、その後の赤外線センサ27の検出結果に基づき10秒間の温度上昇値が10℃を超えると水が略沸騰状態にあると判定し、湯沸かし動作を終了する。また、水量が多いと判断した場合は、その後の赤外線センサ27の温度検出値が90℃を超えた時点で水が略沸騰状態にあると判定し、湯沸かし動作を終了するように構成した。従って、本実施例では、制御装置49が判定手段として機能する。
【0046】
これにより、水量の多少に関わらず適切な加熱動作を実行することができ、水が略沸騰状態になるまで過不足なく加熱することができる。
【0047】
また、本実施例では、湯沸かし動作の実行時間を予め4分に設定し、4分が経過する前に水の温度が90℃に達した場合、或いは、10秒間当たりの温度上昇値が10℃を超えた場合には、湯沸かし動作を直ちに終了するように構成した。これにより、水が沸騰状態に達しているにも関わらず加熱され続けることを防止できる。
【0048】
これに対して、湯沸かし動作時間が経過すると、赤外線センサ27の検出結果に関係なく湯沸かし動作を終了するように構成した。つまり、湯沸かし動作時間の上限値を設定した。これにより、例えば底板4上における食品(水)の載置位置を誤ったために、赤外線センサ27が水の温度を精確に検出できない場合でも、湯沸かし動作が継続されてしまうといった不具合を防止できる。
【0049】
また、本実施例では、水の湯沸かし動作に対応するメニューキーを設け、使用者がそのメニューキーを操作することにより湯沸かし動作が自動的に実行されるように構成した。従って、簡単な操作で水の湯沸かし動作を実行させることができる。
【0050】
尚、本発明は上記し且つ図面に示した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような変形、拡張が可能である。
【0051】
食品を判別する手段を設けて、食品が水であると判断した場合に湯沸かし動作を自動的に実行するように構成しても良い。
【0052】
水の湯沸かし動作実行時における赤外線センサによる水の温度を検出するタイミングを、加熱開始初期と、それ以降とで異なるように構成しても良い。また、水量が少ないと判断した場合には、その後は5秒毎に水温を検出する等、水量の多少に応じて温度検出周期を異ならせても良い。このような構成により、加熱手段による水の湯沸かし動作をより一層、精度良く制御することができる。
【0053】
赤外線センサは複眼式のものに限らず、単眼式のものでも良い。
電子レンジは1個若しくは3個以上のマグネトロンを備えるものでも良い。 本発明は、家庭用電子レンジにも適用できる。また、ヒータ付電子レンジや、電気オーブン、電磁調理器、クッキングヒータなどにも適用できる。
【0054】
【発明の効果】
本発明は以上の説明から明らかなように、赤外線センサの検出結果に基づき加熱手段による水を加熱して湯を沸かす湯沸かし動作の実行を制御するように構成したので、加熱時に発生する水蒸気量に影響を受けることなく水の加熱状態を精度良く検知することができ、水を過不足なく加熱して湯を沸かすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す電子レンジの全体構成を示す斜視図
【図2】キャビネットの内部の構成を概略的に示す正面図
【図3】キャビネットの内部の構成を概略的に示す上面図
【図4】キャビネットを取り外した状態で示す右側面図
【図5】赤外線センサ周辺部分を拡大して示す図
【図6】加熱室を上方から見たときの赤外線センサの測定視野を示す図
【図7】加熱室を正面から見たときの赤外線センサの測定視野を示す図
【図8】電気的構成を示す図
【図9】制御装置が実行する水の湯沸かし制御プログラムのフローチャート
【図10】水の湯沸かし加熱時における赤外センサの温度検出値の時間的変化を示す図
【符号の説明】
図中、13,15はマグネトロン(加熱手段)、27は赤外線センサ、49は制御装置(制御手段、時間設定手段、判定手段)を示す。
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品の表面温度を検出する赤外線センサを備えた加熱調理器に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
最近の多くのコンビニエンスストアは、弁当類や惣菜などの食品を販売時に電子レンジで加熱するサービスを提供している。このようなコンビニエンスストアに設置される業務用の電子レンジは、通常、多数の食品の加熱動作に対応するメニューキーを備えており、前記メニューキーを選択的に操作することにより各種の食品を簡単且つ適切に加熱できるように構成されている。
【0003】
また、コンビニエンスストアには、「おでん」の自動調理器を備え、「おでん」を店頭で煮込みながら販売しているところがある。このように店頭で煮込み調理される「おでん」が煮詰まったときに加える湯を沸かすためにも、前記電子レンジが利用されている。
【0004】
ところが、電子レンジには水を加熱するための特別なメニューキーは設けられていない。これは、業務用及び家庭用いずれの電子レンジにおいて同様である。従って、水を加熱する際は、使用者が加熱時間や加熱出力等を設定して、手動で加熱動作を実行させていた。しかし、コンビニエンスストアの従業員の中には電子レンジの操作に不慣れな人も多く、適切な加熱時間等を設定することができない。このため、水の加熱動作を自動的に実行させることができる電子レンジの開発が望まれていた。
【0005】
ところで、電子レンジには、加熱時に食品から発生する水蒸気量を検出する湿度センサを備え、その検出結果に基づいてマグネトロンによる食品の加熱動作を制御するように構成されたものがある(例えば実開昭59−118908号公報)。ところが、湯を沸かす場合は一般の食品を加熱する場合に比べて加熱時に発生する水蒸気量が非常に多く、しかも加熱終了温度が高い。このため、湿度センサの出力が不安定になり、水の加熱状態を精度良く検知できない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、水の加熱状態を精度良く検知して自動的に湯を沸かすことができる加熱調理器を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の加熱調理器は、食品を加熱する加熱手段と、前記食品の表面温度を検出する非接触形の赤外線センサと、前記赤外線センサの検出結果に基づいて前記加熱手段による加熱動作を制御手段とを備え、前記制御手段は、前記加熱手段による水を加熱して湯を沸かす湯沸かし動作の実行を制御可能に構成されていることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、加熱時に発生する水蒸気量に影響を受けることなく水の加熱状態を精度良く検知することができる。このため、加熱手段による水の加熱動作を精度良く制御して、自動的に湯を沸かすことができる。ここで、湯沸かし動作とは、沸騰状態に近い状態まで水を加熱することを意味する。
【0009】
この場合、前記制御手段は、加熱開始初期の水の温度変化に基づいてその後の加熱手段による湯沸かし動作を制御するように構成すると良い(請求項2の発明)。
【0010】
所定の出力で加熱手段により水が加熱されると、水の量が少ないほど大きく温度上昇することから、加熱開始初期の水の温度変化に基づき水の量の多少を判断できる。また、発明者の実験によれば、水の量が少ないときは水が沸騰状態に達する前に急激な温度上昇が見られるが、水の量が多いときは加熱開始から略直線的に温度上昇して沸騰状態に達することがわかった。従って、上記構成によれば、水の量の多少を判断して水の加熱状態を把握することができるため、水を過不足なく加熱することができる。
【0011】
また、本発明の請求項3の加熱調理器は、加熱手段による湯沸かし動作の実行時間を設定する時間設定手段と赤外線センサの検出結果に基づき水が略沸騰状態にあることを判定する判定手段とを備え、制御手段は、前記湯沸かし動作実行時間が経過する前に前記判定手段により水が略沸騰状態にあると判定された場合には、前記加熱手段の動作を停止させることを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、水が略沸騰状態に達しているにもかかわらず、湯沸かし動作実行時間が経過するまで水が加熱され続けることを防止できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例について図面を参照しながら説明する。図1は本実施例に係る電子レンジ(加熱調理器に相当)の外観斜視図であり、矩形箱状のキャビネット1の内部には、前面が開口した加熱室2が配設されている。前記加熱室2内の上部及び下部には、それぞれ加熱室2の上面部及び底面部との間に所定の間隔を存するように天井板3(図2参照)及び底板4が配設されている。前記天井板3及び底板4は、それぞれマイクロ波が通過可能な耐熱ガラス或いはセラミックにより形成されている。そして、前記加熱室2内のうち天井板3の上方部、底板4の上方部には、それぞれ回転アンテナ5,6(図2参照)が配設されている。
【0014】
また、前記キャビネット1の前面には、加熱室2の前面開口を開閉するドア7が回動可能に取付けられている。更に、前記キャビネット1の前面のうち加熱室2の右部には、表示部8及び複数のメニューキーやスタートキー等からなる操作部9を備えた操作パネル10が設けられている。また、前記キャビネット1の前面下部には、吸気口11が設けられている。
【0015】
次に、図2ないし図4を参照しながらキャビネット1内の構成について説明する。図2ないし図4は、それぞれキャビネット1を取り除いた状態で示す電子レンジの概略的な正面図、上面図、右側面図である。図2ないし図4では、キャビネット1の外形を二点鎖線で示している。キャビネット1内のうち加熱室2の右側には機械室12が設けられている。前記機械室12内の上部にはマグネトロン13及びインバータ装置14が配設され、下部にはマグネトロン15及びインバータ装置16が配設されている。前記マグネトロン13,15及びインバータ装置14,16は、それぞれ同じ仕様のものが用いられている。そして、前記機械室12内の奥部の上下部には、マグネトロン13,15及びインバータ装置14,16のそれぞれを冷却するためのファン装置17,18が設けられている。
【0016】
キャビネット1内のうち加熱室2の上部には導波管19が設けられている。前記導波管19の一端部は前記マグネトロン13のアンテナ13aに連通し、他端部は加熱室2の上面部に設けられた励振口(図示せず)に連通している。前記導波管19の他端部には、前記回転アンテナ5を駆動するアンテナモータ20が設けられており、前記導波管19を介して加熱室内2に供給されるマイクロ波を拡散するようになっている。
【0017】
一方、キャビネット1内のうち前記加熱室2の下部には導波管21が設けられている。前記導波管21の一端部は前記マグネトロン15のアンテナ15aに連通し、他端部は加熱室2の底面部に設けられた励振口(図示せず)に連通している。前記導波管21の他端部には、前記回転アンテナ6を駆動するアンテナモータ22が設けられており、前記導波管21を介して加熱室2内に供給されるマイクロ波を拡散するようになっている。
【0018】
キャビネット1内のうち加熱室2の上部の左奥部から加熱室2の後部にかかる部分には排気ダクト23が配設されている。前記排気ダクト23の一端部は加熱室2の上面部において前記加熱室2内と連通し、他端部はキャビネット1の後面板に設けられた排気口(図示せず)に連通している。前記排気ダクト23は、加熱時に食品から発生する蒸気などを外部に排出するためのものであり、ダクト23内を通過する気体温度を検出するためのサーミスタ24が取付けられている。
【0019】
また、キャビネット1内のうち加熱室2の左前部には2個の庫内灯25が配設されている。前記庫内灯25は加熱室2の左側壁部に設けられた多数の小孔からなる透光部(図示せず)を通して加熱室2内を照らすよう担っている。
【0020】
更に、キャビネット内のうち加熱室2の左上部の中央部には非接触形の赤外線センサ27が配設されている。図5に示すように、前記加熱室2の左側壁部には赤外線透過用の窓部28が形成されていると共に前記窓部28を覆う断面三角形状のセンサダクト29が溶接等により取付けられている。センサダクト29の上側の傾斜面にはセンサ支持部30を介してセンサケース31が支持されており、前記センサケース31内に前記赤外線センサ27が収容されている。
【0021】
センサダクト29及びセンサケース31の相互に対向する面にはそれぞれ開口29a及び31aが設けられている。前記赤外線センサ27は窓部28及び開口29a,31aを通して加熱室2内の食品温度を検出するようになっている。また、センサケース31の開口31aとセンサダクト29の開口29aとの間にはシャッター32が設けられている。前記シャッター32は、シャッターモータ33(図8参照)により回動駆動される。
【0022】
前記赤外線センサ27は、ICチップ上に複数、例えば16個の赤外線検出素子(サーモパイル、図示せず)を4行×4列で配列することにより構成されている。前記赤外線センサ27の測定視野Aは、16個の赤外線検出素子の個々が形成する測定視野の集合体であり、本実施例においては、図6及び図7に示すように、前記加熱室2の底板3中央に載置される食品Fの略全体を覆うように構成されている。
【0023】
次に、図8を参照しながら本実施例に係る電子レンジの電気的構成について説明する。図8において、電源プラグ40は、200Vの交流電源の電源コンセント(図示せず)に接続されるものであり、その電源線41,42間にはノイズフィルタ43が接続されている。図示しないが、ノイズフィルタ43はサージ吸収素子(バリスタ)、抵抗、コンデンサ、コモンドチョークコイル等を接続して構成されている。
【0024】
ノイズフィルタ43の両出力端子には、それぞれ電源線41a,42aが接続されている。電源線41aはドアスイッチ44を介して電源線41bに接続され、電源線42aはドアスイッチ45を介して電源線42bに接続されている。また、電源線41bと電源線42aとの間にはショートスイッチとして機能するドアスイッチ(モニタスイッチ)46が接続されている。前記ドアスイッチ44,45はいずれもドア7の閉鎖時にオンし、前記ドアスイッチ46はドア7の開放時にオンする構成となっている。
【0025】
電源線42bには、リレー47,48を介して電源線42c、42dがそれぞれ接続されている。電源線41b、42c間、及び電源線41b、42d間には、それぞれ前記インバータ装置14,16が接続されている。前記インバータ装置14,16は、マグネトロン13,15に共振用電源を与えるためのものであり、高圧整流器、高周波トランス、高圧コンデンサ(いずれも図示せず)などを備えて構成されている。
【0026】
電源線41b、42d間には、アンテナモータ20,22の直列回路が接続されている。更に、電源線42aは、前記ファン装置17,18が備えるファンモータ17a,18aの直列回路、庫内灯25,25の直列回路を介して制御装置49の入力端子に接続されている。また、電源線41a,42aは、制御装置49の入力端子に接続されている。
【0027】
更に、前記制御装置49には、ドア7の開閉を検知するドア検知スイッチ50、赤外線センサ27、サーミスタ24、シャッターモータ33、表示部8、操作部9が接続されている。前記制御装置49は、マイクロコンピュータを主体とし、CPUやROM,RAMなどのメモリを備えて構成されており、そのメモリには電子レンジの各種調理メニューに対応する制御プログラムなどのデータが記憶されている。そして、制御装置49のCPUは、入力信号やメモリの記憶データに基づいて各リレー47,48のオンオフ制御、シャッターモータ33や表示部8の制御、インバータ装置14,16の図示しないインバータ回路の動作制御などを行う構成となっている。尚、リレー47,48のオンオフ制御は、図示しないリレーコイルを通断電制御することにより行われる。
【0028】
次に、本実施例の作用について説明する。前記制御装置49のマイクロコンピュータは、操作部9からの入力信号に基づきROMに格納されている制御プログラムを実行し、食品を加熱する。このとき、使用者は、食品の種類や状態等に応じて多数の加熱メニューのうちの一つを選択することができる。
【0029】
制御装置49は、赤外線センサ27の検出結果に基づき食品温度が選択された加熱メニューに応じた設定温度になるように、マグネトロン13,15やアンテナモータ20,22などを駆動制御する。また、各加熱メニューには、加熱時間が予め設定されており、加熱時間が経過しても食品温度が設定温度に達しない場合には、制御装置49は加熱運転を終了するようになっている。
【0030】
続いて、制御装置49が実行する水の湯沸かし動作について図9及び図10を参照しながら説明する。図9は、制御装置49が実行する水の湯沸し動作用プログラムのフローチャートを示している。このプログラムは、操作部9に設けられた「湯沸かし」メニューに対応するメニューキーを選択的に操作すると共にスタートキーを操作することにより実行される。
【0031】
即ち、図9において、操作部9からの入力信号により湯沸かし動作の実行が指示されると、制御装置49は加熱時間(例えば4分)を設定し、タイマのカウントを開始する(ステップS1)。従って、制御装置49が時間設定手段として機能する。
【0032】
続いて、制御装置49は、赤外線センサ27の各素子の温度検出信号を読み込み、基準値を算出する(ステップS2)。本実施例では、制御装置49はシャッター32の表面温度に基づき基準値を検出する。
【0033】
そして、制御装置49は、シャッターモータ33を駆動してシャッター32を開放すると共に、マグネトロン13,15、アンテナモータ20,22を駆動して加熱動作を開始する(ステップS3)。この結果、マグネトロン13,15が発生したマイクロ波は導波管19,21を通り、回転アンテナ5,6によって拡散されながら加熱室2内に照射される。
【0034】
また、制御装置49は、食品としての水の初期温度上昇値ΔTintを検出する(ステップS4)。ここでは、加熱開始時及び加熱開始から10秒後の赤外線センサ27の各素子の温度検出信号から各タイミングの水の温度T0及びT10をそれぞれ算出し、その差を初期温度上昇値ΔTintとしている。尚、制御装置49は、赤外線センサ27の各素子の温度検出信号及び基準値に基づいて各視野の温度算出値を求め、全視野の温度算出値の平均値を温度検出値としている。
【0035】
次のステップS5では、初期温度上昇値ΔTintが7℃よりも小さいか否かを判断する。そして、7℃よりも小さい場合(YES)には、ステップS6に移行して、水の温度検出値を10秒ごとに求める。ステップS7では、各タイミングで求められた温度検出値T10nが90℃以下であるか否かを判断する。
【0036】
そして、温度検出値T10nが90℃以下である場合(Yes)には、続いて加熱時間が経過したか否かを判断し(ステップS8)、加熱時間が経過していない場合には(NO)、再びステップS6に移行する。また、ステップS8にて加熱時間が経過したと判断した場合(YES)、及び、ステップS7にて温度検出値T10nが90℃を上回ったと判断した場合(NO)には、マグネトロン13,15及びアンテナモータ20,22の駆動を停止して湯沸かし動作を終了する(ステップS9)。
【0037】
一方、ステップS5にて初期温度上昇値ΔTintが7℃以上であると判断した場合(NO)には、ステップS10に移行し、水の温度検出値を10秒毎に求める。そして、ステップS11では、今回の温度検出値T10nと前回の温度検出値T10(n−1)との差を求め、10秒間の温度上昇値ΔT10を算出する。
【0038】
ステップS12では、温度上昇値ΔT10が10℃以上であるか否かを判断する。ここで、10℃以上である(YES)と判断した場合には、ステップS9に移行して加熱動作を終了し、10℃よりも小さい(NO)と判断した場合には、ステップS13に移行する。
【0039】
ステップS13では、加熱時間が経過したか否かを判断し、加熱時間が経過した(YES)と判断した場合には、ステップS9に移行して加熱動作を終了し、加熱時間が経過していない(NO)と判断した場合には、再びステップS10に移行する。
【0040】
ここで、図10は、上述の湯沸かし動作実行時における赤外線センサ27の温度検出値の時間的変化を示している。図10において、縦軸は赤外線センサ27の温度検出値(℃)を、横軸は加熱開始からの時間(秒)を示している。また、曲線A〜Dはそれぞれ水量が250,500,750,1000ccの場合を示している。
【0041】
図10に示すように、水の量が少ないほど10秒間あたりの温度上昇値は大きい。そこで、本実施例では、加熱開始初期の温度上昇値が7℃を下回っているか否かで水量の多少を判断し(ステップS5参照)、水量が多い場合と少ない場合とで、その後の湯沸かし動作の制御を異ならせている。
【0042】
また、図10に示すように、水量が少ないときは水が沸騰状態に達する前に急激な温度上昇が見られる。具体的には、水量が250ccのときは加熱時間が50秒経過するあたりから急激に温度上昇し始め、10秒間当たりの温度上昇値が10℃を超す。そして、加熱時間が90秒を過ぎると温度検出値は90℃を超し、ほぼ沸騰状態となる。
【0043】
水量が500ccのときは加熱時間が130秒経過するあたりから急激に温度上昇し始め、10秒間当たりの温度上昇値が10℃を超す。そして、加熱時間が150秒を過ぎると温度検出値は90℃を超し、ほぼ沸騰状態となる。即ち、水量が少ない場合は、加熱の途中で10秒間あたりの温度上昇値が10℃を超える急激な温度上昇が見られ、その後、すぐに沸騰状態に達する。
【0044】
これに対して、水量が多いとき(750,1000ccのとき)は、加熱開始から沸騰状態に達するまで、温度検出値は略直線的に上昇する。そして、水量が750ccのときは加熱時間が190秒を経過した時点で90℃を超え、水量が1000ccのときは加熱時間が230秒を経過した時点で90℃を超えて略沸騰状態となる。
【0045】
そこで、本実施例では、水量が少ないと判断した場合は、その後の赤外線センサ27の検出結果に基づき10秒間の温度上昇値が10℃を超えると水が略沸騰状態にあると判定し、湯沸かし動作を終了する。また、水量が多いと判断した場合は、その後の赤外線センサ27の温度検出値が90℃を超えた時点で水が略沸騰状態にあると判定し、湯沸かし動作を終了するように構成した。従って、本実施例では、制御装置49が判定手段として機能する。
【0046】
これにより、水量の多少に関わらず適切な加熱動作を実行することができ、水が略沸騰状態になるまで過不足なく加熱することができる。
【0047】
また、本実施例では、湯沸かし動作の実行時間を予め4分に設定し、4分が経過する前に水の温度が90℃に達した場合、或いは、10秒間当たりの温度上昇値が10℃を超えた場合には、湯沸かし動作を直ちに終了するように構成した。これにより、水が沸騰状態に達しているにも関わらず加熱され続けることを防止できる。
【0048】
これに対して、湯沸かし動作時間が経過すると、赤外線センサ27の検出結果に関係なく湯沸かし動作を終了するように構成した。つまり、湯沸かし動作時間の上限値を設定した。これにより、例えば底板4上における食品(水)の載置位置を誤ったために、赤外線センサ27が水の温度を精確に検出できない場合でも、湯沸かし動作が継続されてしまうといった不具合を防止できる。
【0049】
また、本実施例では、水の湯沸かし動作に対応するメニューキーを設け、使用者がそのメニューキーを操作することにより湯沸かし動作が自動的に実行されるように構成した。従って、簡単な操作で水の湯沸かし動作を実行させることができる。
【0050】
尚、本発明は上記し且つ図面に示した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような変形、拡張が可能である。
【0051】
食品を判別する手段を設けて、食品が水であると判断した場合に湯沸かし動作を自動的に実行するように構成しても良い。
【0052】
水の湯沸かし動作実行時における赤外線センサによる水の温度を検出するタイミングを、加熱開始初期と、それ以降とで異なるように構成しても良い。また、水量が少ないと判断した場合には、その後は5秒毎に水温を検出する等、水量の多少に応じて温度検出周期を異ならせても良い。このような構成により、加熱手段による水の湯沸かし動作をより一層、精度良く制御することができる。
【0053】
赤外線センサは複眼式のものに限らず、単眼式のものでも良い。
電子レンジは1個若しくは3個以上のマグネトロンを備えるものでも良い。 本発明は、家庭用電子レンジにも適用できる。また、ヒータ付電子レンジや、電気オーブン、電磁調理器、クッキングヒータなどにも適用できる。
【0054】
【発明の効果】
本発明は以上の説明から明らかなように、赤外線センサの検出結果に基づき加熱手段による水を加熱して湯を沸かす湯沸かし動作の実行を制御するように構成したので、加熱時に発生する水蒸気量に影響を受けることなく水の加熱状態を精度良く検知することができ、水を過不足なく加熱して湯を沸かすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す電子レンジの全体構成を示す斜視図
【図2】キャビネットの内部の構成を概略的に示す正面図
【図3】キャビネットの内部の構成を概略的に示す上面図
【図4】キャビネットを取り外した状態で示す右側面図
【図5】赤外線センサ周辺部分を拡大して示す図
【図6】加熱室を上方から見たときの赤外線センサの測定視野を示す図
【図7】加熱室を正面から見たときの赤外線センサの測定視野を示す図
【図8】電気的構成を示す図
【図9】制御装置が実行する水の湯沸かし制御プログラムのフローチャート
【図10】水の湯沸かし加熱時における赤外センサの温度検出値の時間的変化を示す図
【符号の説明】
図中、13,15はマグネトロン(加熱手段)、27は赤外線センサ、49は制御装置(制御手段、時間設定手段、判定手段)を示す。
Claims (3)
- 食品を加熱する加熱手段と、
前記食品の表面温度を検出する非接触形の赤外線センサと、
前記赤外線センサの検出結果に基づいて前記加熱手段による加熱動作を制御する制御手段とを備える加熱調理器において、
前記制御手段は、前記加熱手段により水を加熱して湯を沸かす湯沸かし動作の実行を制御可能に構成されていることを特徴とする加熱調理器。 - 制御手段は、加熱開始初期の水の温度変化に基づいてその後の加熱手段による湯沸かし動作を制御するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
- 加熱手段による湯沸かし動作の実行時間を設定する時間設定手段と赤外線センサの検出結果に基づき水が略沸騰状態にあることを判定する判定手段とを備え、
制御手段は、前記湯沸かし動作実行時間が経過する前に前記判定手段により水が略沸騰状態にあると判定された場合には、前記加熱手段の動作を停止させることを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
Priority Applications (1)
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JP2002218508A JP2004060969A (ja) | 2002-07-26 | 2002-07-26 | 加熱調理器 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2018536833A (ja) * | 2015-12-08 | 2018-12-13 | 広東美的厨房電器制造有限公司 | 電子レンジ |
-
2002
- 2002-07-26 JP JP2002218508A patent/JP2004060969A/ja active Pending
Cited By (1)
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JP2018536833A (ja) * | 2015-12-08 | 2018-12-13 | 広東美的厨房電器制造有限公司 | 電子レンジ |
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