JP2004060623A - ガス化発電プラント用ガスタービン燃焼器 - Google Patents

ガス化発電プラント用ガスタービン燃焼器 Download PDF

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Abstract

【課題】乾式精製のガス化ガス燃料を用いるガスタービン燃焼器のフュエルNOxを低減させる。また、プラント全体の熱効率を損なうことなく、サーマルNOx発生量を抑制すると同時に、フュエルNOxを低減する。
【解決手段】酸化剤で重質油あるいは石炭等をガス化し、乾式精製したガス化ガスを主燃料として燃焼させ発電するガスタービンを備える酸素吹きまたは酸素富化空気吹きガス化発電プラントにおいて、燃焼器の燃焼室上流部を燃料過濃条件として還元燃焼させると共に、還元燃焼領域の燃料過濃条件をガス化ガス燃料の組成に応じて設定するようにしている。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発電用ガスタービン燃焼器に関する。更に詳述すると、本発明は、酸素を主成分とした酸化剤で重質油あるいは石炭をガス化し、前記ガス化ガス燃料を乾式で精製する発電プラントに搭載するガスタービン燃焼器の低NOx燃焼技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ガスタービン発電プラントやガスタービン複合サイクル発電プラントでは、ガスタービン燃焼器で燃焼した燃料が燃焼ガスとなってガスタービンに案内され、ガスタービンを駆動するようになっている。このようなガスタービン発電プラントではガスタービン入口温度を上昇させるとガスタービン熱効率が向上するため、ガスタービン入口温度すなわちガスタービン燃焼器の出口温度の上昇による発電プラントの高効率化が図られている。しかし、ガスタービン燃焼器の燃焼領域の燃焼ガス温度を過度に上昇させると、サーマルNOxの発生量が増大する。また、燃焼ガス温度は、タービン部や燃焼器の材料の耐熱限界による制約を受ける。
【0003】
ところで、ガス化発電プラントでは、石炭、重質油などをガス化炉でガス化した後、ガス精製装置によりガス化ガスを精製し、ガス化ガス燃料としてガスタービン燃焼器に供給する。ガス化ガス燃料は、ガス化剤、ガス化炉の形式や原料となる重質油あるいは石炭の種類により燃料組成や発熱量は異なるが、表1に組成例を示すように酸素吹きガス化炉では燃料発熱量が約10〜13MJ/Nmの中カロリーのガス化ガス燃料が生成され、その燃料組成は水素(H)と一酸化炭素(CO)とが大部分を占める。このようなガス化発電プラントにおいてもガスタービンの熱効率を上げるため、高温化を図ると同時に環境問題から低NOx化を図る必要がある。
【0004】
【表1】
Figure 2004060623
【0005】
従来のガスタービン燃焼器におけるNOxの発生を抑制する技術としては、燃料と空気とをあらかじめ燃料希薄状態で混合して燃焼させる希薄予混合燃焼方式が知られている。これは、燃料と空気を予混合させることによって燃焼室内部で低温均一燃焼を図るものである。
【0006】
しかし、ガス化ガス燃料などの水素を多く含む燃料に対して希薄予混合方式を用いた場合、表2に示すように、水素の燃焼速度が他の燃料に比較して速いため、燃焼ガスの燃焼速度が希薄予混合ガス噴出速度を上回り、火炎が燃料ノズル内部に逆流する現象、いわゆる逆火現象が起こり、燃焼器部品を焼損する恐れがある。さらに、原料となる重質油あるいは石炭の種類やプラントの運転によっては、ガス化ガス燃料の組成と燃焼速度が異なるため、不安定燃焼を誘発したり保炎器での火炎付着性の悪化などの問題を抱えやすい。
【0007】
【表2】
Figure 2004060623
【0008】
このことにより、ガス化ガス燃料に希薄予混合燃焼方式を採用することは難しい。そのため、燃焼室内で燃料と空気とを拡散混合して燃焼させる拡散燃焼方式を採用する必要がある。しかし、拡散燃焼による燃焼ガスの温度は、局所的に断熱火炎温度に近い高温になる。水素や一酸化炭素を多く含むガス化中カロリー燃料の断熱火炎温度は、天然ガス燃料主成分であるメタン(CH)の断熱火炎温度と同等以上になり、この石炭ガス化ガス燃料を拡散燃焼させた場合には、空気中の窒素に起因するサーマルNOxが天然ガス燃料を拡散燃焼させる場合以上に多量に発生する可能性が高い。
【0009】
そこで、燃料あるいは空気の少なくとも一方、若しくは燃焼室に直接窒素を供給して火炎の局所的高温域の温度を下げることによりサーマルNOxを低減する方法が従来より提案されている(特開平11−30131号参照)。また、近年、ガス化発電プラントの高効率化と環境保全の観点から空気分離装置で空気から酸素と分離される窒素を有効的に活用する研究が行われている。その方法としては、主に、ガスタービン燃焼器上流部の局所高温領域の温度制御を積極的に実施することにより、サーマルNOxの生成を抑制しようとするものである。例えば、1994年のASME(The American Society of Mechanical Engineers)の文献の94−GT−366に示されるように、ガスタービン燃焼器の頭部より蒸気噴射と同様な方式で窒素を供給し、空気と窒素とを混合して燃焼室に送り、酸素濃度を低下させた空気により燃焼させるものや、1998年のASMEの文献98−GT−331で提案されているように、燃焼器頭部から前記窒素を直接燃焼室内に噴出させるもの、また、日本機械学会関西支部第257回講演会講演論文(論文番号913)に示されているように、窒素噴射方式と過剰空気による急速混合による希薄燃焼方式を組み合わせた燃焼法によるものなどが提案されている。
【0010】
さらに、より一層のプラントの熱効率向上およびプラント構成システムの簡素化によるコスト低減等を目的として、湿式ガス精製法に代えて乾式ガス精製法を採用することが検討されている。湿式ガス精製法によると、ガス化炉生成ガスを200℃以下に冷して水洗し、更に有機溶媒の中を通すことにより集塵・脱硫を行うことから、フュエルNOxの発生原因となるガス中のアンモニアを容易に除去することができるが、浄化された石炭ガス化ガスが40℃程度に冷えてしまい、発電プラントの熱効率を40%以下とする問題を有している。そこで、熱効率が高い石炭ガス化複合発電の特徴を最大限に活かすには、ガス化炉で生成するガスを高温高圧のまま脱硫・集塵する乾式精製が望まれる。この乾式精製によれば、ガス化炉生成ガスを400〜500℃で精製することによって45%程度の送電端効率(一層のプラント熱効率向上およびプラント構成システムの簡素化によるコスト低減等)が期待される。しかしながら、この場合には、ガス化ガス燃料中に窒素化合物(主にアンモニアであり、以下ではアンモニアとして代表する)が除去されずに残るので、燃焼器でフュエルNOxが多量に発生する問題がある。
【0011】
このフュエルNOxを抑制する燃焼法としては、窒素化合物のNOxへの転換を抑制するには空気比を下げることだけが有効であることから、燃焼用空気を2つに分け、バーナ部の空気比を十分に下げると共に不足の空気をバーナから離れた位置に入れる2段燃焼が有効であると考えられている(特開平9−145057号)。この2段燃焼法は燃焼の第1段でHCN,NH3などを発生させ、第2段でこれとNOを反応させてNOをNに還元させる、炉内還元脱硝法である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、乾式ガス精製を採用した酸素吹きガス化発電用ガスタービン燃焼器では、ガス化ガス燃料中のアンモニアに起因してフュエルNOxが発生すると同時に、ガス化ガス燃料の火炎温度が従来のガスタービン燃料である天然ガス燃料よりも高いため、高温ガス領域でサーマルNOxが発生する。そのため、フュエルNOxとサーマルNOxを同時に低減する燃焼技術が必要である。
【0013】
しかしながら、窒素を燃焼用空気に混合して、またはバーナから直接に燃焼室に供給しても、サーマルNOxを抑制する方法としては効果があるが、ガス化ガス燃料中のアンモニアに起因して発生するフュエルNOxを抑制することはできない。
【0014】
他方、フュエルNOxの抑制に効果があると考えられている2段燃焼法においては、フュエルNOxの低減に寄与する還元物質の発生領域を燃料過濃条件にする必要があり、燃焼温度が低下することから燃焼の安定性を損ねる。また、燃料供給量が低下する低負荷条件下では燃焼の安定性を損ねると共にフュエルNOxの抑制にも十分効果を上げているとは言えない。そして、フュエルNOxを抑制する2段燃焼法において、還元物質の発生領域である一次燃焼領域・還元燃焼領域への窒素の混入は、さらに燃焼温度を低下させ燃焼の安定を損なうと共に還元物質の発生を妨げフュエルNOx抑制効果を低減する可能性が高いと考えられる。
【0015】
本発明は、乾式ガス精製を採用するガス化発電プラントの全負荷運用条件において、フュエルNOxを低減できるガス化発電用ガスタービン燃焼器を提供することを目的とする。また、本発明は、プラント全体の熱効率を損なうことなく、ガス化ガス燃料中のアンモニアに起因して発生するフュエルNOxとサーマルNOxを同時に抑制し、且つ安定燃焼を図るガス化発電用ガスタービン燃焼器を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、本発明者等が、燃料中のアンモニアに起因して発生するフュエルNOxを低減する方法として、燃焼器内の一部を燃料過濃条件として燃料中のアンモニアを窒素(N)に還元し、燃料過濃領域の下流側で残りの空気を供給して所定のガス温度にする燃焼方法について種々研究・実験した結果、ガス化ガスでは主成分である一酸化炭素や水素、微量成分のメタン濃度およびフュエルNOxの生成源となるアンモニアの濃度および燃料発熱量が、原料となる重質油または石炭の種類やガス化形式により異なるためフュエルNOxを最少にする燃焼器の燃料過濃条件が存在しそれが燃料組成毎に異なることを知見するに至った(図1、図3、図4及び図5参照)。また、窒素を燃焼器に供給する位置が、サーマルNOxを低減する効果だけでなく、フュエルNOxの低減に影響することも分かってきた(図2及び図5参照)。
【0017】
本発明はかかる知見に基づいてなされたもので、酸化剤で重質油あるいは石炭等をガス化し乾式精製したガス化ガスを主燃料として燃焼させ発電するガスタービンを備える酸素吹きまたは酸素富化空気吹きガス化発電プラントにおいて、燃焼器の燃焼室上流部を燃料過濃条件として還元燃焼させると共に、還元燃焼領域の燃料過濃条件をガス化ガス燃料の組成に応じて設定するようにしている。ここで、燃料過濃条件を決定するガス化ガス燃料の組成は、例えばメタン濃度、CO/H濃度比率若しくは燃料発熱量のいずれかである。
【0018】
本発明者等は、実験により、NHからNOxへの転換率が極小値をとる一次当量比とメタン濃度との間には、メタン濃度が高くなるのに反比例して一次当量比が小さくなる関係があることを知見した。また、NHからNOxへの転換率が極小値をとる一次当量比とCO/H濃度比率との間にも相関関係があり、濃度比率が低くなるのに比例して一次当量比が低下すること、更には、NHからNOxへの転換率が極小値をとる一次当量比と燃料発熱量との間にも相関関係があり、燃料発熱量が低くなるのに比例して一次当量比が低下することを知見した。そこで、メタン濃度、CO/H濃度比率若しくは燃料発熱量のうち、いずれか1つあるいはそれらの組み合わせにより、好ましくは最も変動がありかつNOxへの転換率に影響を与える組成の変動に応じて燃焼器の一次当量比を設定することで、フュエルNOxの発生を効率良く低減できるガスタービン用燃焼器を実現できる。通常、実機のガス化発電プラントにおいて最も変動があり影響あるのはメタン濃度であることから、このメタン濃度を中心に一次当量比を決定することが好ましい。そして、一次当量比を1.5〜3の範囲で設定する場合には、乾式ガス精製を採用した酸素吹きガス化ガス燃料については、最もサーマルNOxの低減効果が得られ、尚かつフュエルNOxについても低減効果が得られる。一次当量比が少なくとも1.3を超えるとサーマルNOx抑制効果が得られ、1.5以上であればメタン濃度3%以上においてもフュエルNOxの抑制効果が得られ、3であればメタン濃度0%のときにおいてもフュエルNOx抑制効果が得られる。
【0019】
また、この発明において、バーナ部から、燃焼器に供給する窒素全量を燃焼室内に直接噴射すると、還元雰囲気を保持しつつ一次燃焼領域の燃焼ガス温度が低下するため、サーマルNOxも低減し、フュエルNOxを含む全NOx排出量を最少にするように運用することができる。しかも、燃焼室の圧力のみを考慮した窒素供給で制御可能であり、プラント熱効率を損なうことなくサーマルNOxを低減できる。
【0020】
更に、この発明において、副燃焼室を設け、全量の窒素をバーナ部から燃焼室に直接噴射する一方で副燃焼室へは窒素供給をしない場合には、燃焼室上流において燃焼ガスをバーナ部から供給する窒素が効率良く希釈し一次燃焼領域における還元性を保持しつつ高温領域が減少するが、副燃焼室の還元性と火炎温度が維持されているので、還元雰囲気を保持しつつ低温燃焼が実現でき、サーマルNOxと同時にフュエルNOxを低減することができる。しかも、図1、図3、図4及び図5に示すように、フュエルNOx低減効果を最大とする燃焼室上流部の燃料過濃条件はガス化ガス燃料の組成、特に燃料中のメタン(CH)濃度に応じて一次燃料領域の当量比を設定することにより燃料過濃条件を適切に設定することでフュエルNOxを含む全NOx排出量を最少にするようにすることができる。ここで、窒素の噴射を燃料と燃焼用空気の間から行うようにすれば、窒素雰囲気のもとで燃料と空気が衝突して燃焼するため、効率良く燃焼ガスが希釈され、低温燃焼が実現される。同時に、燃焼室の圧力のみを考慮した窒素供給で制御可能であり、送電端熱効率の低下を防ぐことができ、プラント熱効率を損なうことなくサーマルNOxを低減できる。
【0021】
また、請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載のガス化発電プラント用ガスタービン燃焼器において、燃焼器のバーナ部から燃焼室上流部へ噴射される第1の空気と燃焼器の下流側でかつ燃焼室側壁から燃焼室内に噴射される第2の空気とを供給する燃焼用空気供給系を備えると共に、その少なくとも一方に供給空気量を調整する流量調整機構を設け、ガス化ガス燃料の組成が変化した際に、流量調整機構を操作して第1および第2の空気量の配分を変化させ、ガス化ガス燃料の組成に応じて一次当量比を調整して燃焼室上流部の燃料過濃条件を調整するようにしている。
【0022】
この場合には、重質油または石炭の種類が変更または混合されてガス化炉へ供給されるか、またはガス化炉の運用条件が変化し、ガス化ガス燃料の組成が変化した際に、第1および第2の空気量の配分を変化させることにより、プラントの運転を停止することなく、燃焼室上流部の燃料過濃条件をガス化ガス燃料中の組成に応じて最適値に変更することができ、フュエルNOxを含む全NOx排出量を最少にするように調整することができる。
【0023】
更に、請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれかに記載のガス化発電プラント用ガスタービン燃焼器において、燃焼器内に副燃焼室を設ける共に、該副燃焼室内へ第1の空気及びガス化ガス燃料を噴射するプリバーナと、燃焼室内へ直接第2の空気及びガス化ガス燃料を噴射するメインバーナとを備え、副燃焼室の当量比が燃焼室上流部の一次燃焼領域の当量比よりも高く設定され、かつ定格燃焼時には燃焼室の燃焼上流部の平均当量比がNOx転換率が極小値をとる値とし、低負荷燃焼時には副燃焼室の平均当量比がNOx転換率が極小値をとる量の燃料及び空気が分配されるようにしている。ここで、燃焼室の燃焼上流部即ち一次燃焼領域の平均当量比と副燃焼室の平均当量比は、燃料組成に応じて転換率が極小値を含む低い値をとる範囲で互いにずらして設定され、各燃焼領域で還元性能を維持するように設けられることが好ましい。より好ましくは、副燃焼室当量比については、好適な当量比の範囲の高い方(例えばCH=3%で、φp=1.7〜2.4の範囲の場合には副燃焼室の平均当量比を2.4)に設定することである。副燃焼室の当量比を高め(例えば2.4)に設定していれば、低負荷に移行することにより当量比が低下した時でも、好適な当量比(例えば、1.7〜2.4)の範囲に収まる。ここで、好適な当量比の範囲とは、フュエルNOxを含む全NOx排出量を最小にすることができる当量比の範囲、あるいはフュエルNOxのみを対象とするときにはフュエルNOxを最小にできる当量比の範囲をいう。
【0024】
この場合には、定格燃焼時には副燃焼室の燃焼温度が燃焼室の燃焼上流部の一次燃焼領域の平均燃焼温度よりも高めとなり保炎源として機能するため、一次燃焼領域の還元雰囲気を保持しつつ燃焼の安定性を確保できる。そして、低負荷時には、負荷の低減に伴って当量比が低下して副燃焼室の当量比がNOx転換率が極小値を含む低い値をとる量(適正値)となり、燃焼室の燃焼上流部の平均当量比が適正値よりも低めとなるが副燃焼室の還元性が保持されるとともに、バーナ部の燃焼温度が高くなり保炎源として機能するため、安定燃焼する。したがって、広いガスタービン負荷運用条件に渡り、燃焼室上流部をより理想的に燃料過濃条件とすることができ、フュエルNOx排出量を最少にするように運用することができると共に、低負荷から高負荷条件まで保炎性能を一層向上することができる。
【0025】
特に、バーナ部から一次燃焼領域に窒素を噴射して燃焼温度を下げる場合、定格燃焼時には副燃焼室へ窒素を供給しないため燃焼温度を高く保持でき保炎源として機能するため、一次燃焼領域の還元雰囲気を保持し尚かつ燃焼温度を下げつつ燃焼の安定性を確保できる。そして、低負荷時にも、一次燃焼領域よりも高めに設定されていた副燃焼室の当量比が低下しても適正値となり、一方でバーナ部の燃焼温度が高くなり保炎源として機能するため、安定燃焼する。したがって、広いガスタービン負荷運用条件に渡り、燃焼室上流部をより理想的に燃料過濃条件とすることができ、フュエルNOxを含む全NOx排出量を最少にするように運用することができると共に、低負荷から高負荷条件まで保炎性能を一層向上することができる。
【0026】
ここで、副燃焼室への燃料供給量を全体の30〜40%にすることが好ましい。この場合には、低負荷時におけるフュエルNOxの抑制と保炎性能を一層向上することができる。
【0027】
また、請求項8記載の発明は、請求項5記載のガス化発電プラント用ガスタービン燃焼器において、メインバーナとプリバーナにそれぞれ空気を供給する2系統の空気供給系の少なくとも一方に流量調整機構を設け、ガス化ガス燃料の組成が変動したときに流量調整機構を操作して2系統の空気分配を変化させることによりメインバーナとプリバーナとの当量比を調整するようにしている。この場合には、プラント運転中にガス化ガス燃料の組成が変化した際に、メインバーナとプリバーナとに分配する空気量を変化させることにより、プラントの運転を停止することなく、燃焼室上流部の燃料過濃条件並びに副燃焼室の燃料過濃条件即ち当量比をガス化ガス燃料中の組成に応じて最適値に変更することができ、フュエルNOx排出量を最少にするように調整することができる。
【0028】
また、本発明者は、窒素を燃焼器の下流即ち一次燃焼領域・還元領域の下流に供給しても、フュエルNOxの低減に影響することを知見した。請求項9記載の発明は、かかる知見に基づくものであって、請求項1から8のいずれかに記載のガス化発電プラント用ガスタービン燃焼器において、燃焼器のバーナ部から直接燃焼室内へ噴射される第1の窒素供給系統と、一次空気に混合してあるいは一次空気と燃焼室の下流側に噴射される二次空気とに均質に混合して供給される第2の窒素供給系統とを備え、ガス化ガス燃料のNHの含有量が閾値よりも少ないときには第1の窒素供給系統から直接燃焼室内へ噴射される量を多くし、超えるときには第2の窒素供給系統により燃焼室の下流側に噴射される量を多く配分するようにしている。
【0029】
この場合には、保炎を確保できる範囲での全NOx排出量の抑制に効果的である。燃料中のNH濃度が或る閾値例えば2000 ppm(この数値は燃焼器構造等によりある程度変わるものであり固定的ではない)を下回る範囲では、窒素をバーナ部のみから供給して、一次燃焼領域の火炎温度を低減してサーマルNOxの抑制を図った方が、全NOx低減には効果的である。一方、燃料中のNH濃度が2000 ppm以上の範囲では、窒素を空気に混合して供給することにより、窒素の一部を一次燃焼領域の下流に噴出すれば、火炎温度が上昇してサーマルNOxが増加するものの、図2並びに図5に示すようにフュエルNOxの低減効果が大きく、結果として全NOxを効果的に低減できる。更に、起動用燃料による着火時、ガス化ガス燃料への切り替え時には、燃焼空気中に窒素の一部または全量を供給することにより、燃焼室上流部の燃焼ガス温度を急激に低下させることなく安定に燃焼できる。同時に、(1)燃焼室上流、(2)一次燃焼領域へ、または二次空気孔よりも上流へ、(3)は全空気に予混合することにより、サーマルNOxの生成を抑制することができる。さらに、窒素供給位置がフュエルNOxの生成に影響を及ぼすことから(図2)、第1および第2の窒素供給系統から供給する窒素比率を燃料中のNH濃度に応じて調整することにより、全NOx排出濃度を最少にすることができる(図5)。
【0030】
また、請求項10記載の発明は、請求項9記載のガス化発電プラント用ガスタービン燃焼器において、空気から酸素を主成分とした酸化剤と窒素を生成する空気分離装置を備え、空気分離装置で発生する窒素を第1及び第2の窒素供給系統の2系統に分けて供給するようにしている。この場合には、発電プラントに発生する余剰窒素を空気供給系に対応した比較的少ない昇圧によって有効利用することができるので、発電プラント全体の熱効率の低下を防ぐことができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0032】
本発明のガス化ガス発電プラントは、空気または空気から分離生成した酸素を主成分とした酸化剤で重質油あるいは石炭等をガス化すると共に乾式精製して得られたガス化ガス燃料を主燃料として燃焼させるガスタービン燃焼器と、燃焼ガスにより駆動されるガスタービンと、ガスタービンに結合されて電力を出力する発電機とを少なくとも含むものである。
【0033】
このガスタービンはその全作動負荷条件範囲において燃焼室の上流部を燃料過剰条件として還元燃焼させることにより、ガス化ガス燃料中の窒素化合物(主にNH)を窒素(N)に還元し、燃料可能領域の下流側で残りの空気を供給して完全燃焼させ、NHが燃焼過程で窒素酸化物へ酸化されるのを抑制しながら所定温度の燃焼ガスを得るものである。
【0034】
ここで、窒素化合物が窒素酸化物(NOx)に転換する率(C.R.%)は、ガス化ガス燃料の組成、例えば燃料中のCH濃度、CO/H濃度比率並びに燃料発熱量に影響を受け、特に燃料中のCH濃度には大きく影響を受ける。即ち、CHを含むガス化ガス燃料の場合、NHとCHとが反応してHCNが生成され、二段燃焼の際にNHがNに分解するのを妨げる(CHがなければNに分解していたものが、一部がHCNとなりこれによりNOxを生成する)。そこで、燃焼器上流部でNHとNOとを選択反応させ、NHをNに分解するには、一次燃焼領域の当量比について転換率を最小にする値に設定する必要がある。例えば、図1の試験結果に示すように、HHV=11.4MJ/m、燃焼器出口ガス温度=1500℃、NH=1000ppmの場合、最適一次当量比φpは以下の様に設定する。(CH、φp)=(0%、φp=2.5以上)、(0.5%、φp=2〜3)、(1%、φp=1.8〜2.8)、(2%、φp=1.8〜2.7)、(3%、φp=1.7〜2.4))である。
【0035】
また、ガス化ガス中のCO/H濃度比率が低いほど、転換率を最小とする一次燃焼領域の当量比(単に一次当量比と呼ぶ)が低下する。実験の例によれば、2〜3の間に転換率が極小値をとる当量比が存在する。ガスタービン構造や燃料組成に応じて、燃焼器の一次当量比を設定すれば、フュエルNOxの発生を効率良く低減できる。更に、ガス化ガスの燃料発熱量が低いほど、転換率を最小とする一次当量比が低下する。この場合も、実験の例によれば、1.5〜3の間に転換率が極小値をとる一次当量比が存在する。この結果に合わせて、燃焼器一次当量比を設定すれば、フュエルNOxの発生を効率良く低減できる。
【0036】
そこで、一次当量比を1.5〜3の範囲で設定する場合には、乾式ガス精製を採用した酸素吹きガス化ガス燃料については、最もサーマルNOxの低減効果が得られ、尚かつフュエルNOxについても低減効果が得られる。もっとも、フュエルNOxを低減するには一次当量比を1.7以上にすることが好ましく、そのときにフュエルNOx低減を目的とする還元燃焼領域を形成する2段燃焼において、派生的な効果としてサーマルNOxも低減できる。
【0037】
また、ガスタービン燃焼器には必要に応じて窒素が供給される。この窒素の供給は、燃焼室へのバーナからの直接供給、ガス化燃料への混合、あるいは燃焼用空気への混合の、3つの方法が考えられるが、窒素の昇圧動力を低減すると共にサーマルNOx排出量を低減するためには、窒素はバーナ部から直接燃焼室内の局所高温ガス領域へ供給され、高温ガスを窒素で希釈することが最も好ましい。したがって、窒素の供給は、噴射される1つの窒素供給系統によってのみ行われても良いし、燃焼器のバーナ部から直接燃焼室内へ噴射される第1の窒素供給系統と、燃焼器の一次空気に混合してあるいは一次空気と燃焼室の下流側に噴射される二次空気とに均質に混合して供給される第2の窒素供給系統との2系統に分けられて行われても良い。
【0038】
空気分離装置から供給される窒素を2系統に分けて、燃焼室の上流端から直接当該燃焼室内へ窒素を供給する第1の窒素供給系統と、ガスタービン燃焼器内で燃焼室内へ噴出される前の燃焼用空気中へ窒素を噴出して混合させ主に燃焼室の下流側に噴出させる第2の窒素供給系統とを備える場合、ガス化ガス燃料のNHの含有量に応じて窒素噴射位置を変更することができるし、ガスタービンの負荷変化に伴い、第1の窒素供給系統と第2の窒素供給系統とを切り替えあるいは併用してガスタービン燃焼器への窒素の供給位置を調整可能とすることができる。
【0039】
ガス化ガス燃料のNHの含有量がある閾値よりも少ないときには第1の窒素供給系統から直接燃焼室内へ噴射される量を多くし、超えるときには第2の窒素供給系統により燃焼室の下流側に噴射される量を多く配分することが好ましい。この場合、保炎を確保できる範囲での全NOx排出量の抑制に効果的である。
【0040】
ここで、燃料中のNH濃度が或る閾値例えば2000ppm(この数値は燃焼器の設計条件などによって変わるため固定的ではない)以下の範囲では、窒素をバーナ部から供給して、一次燃焼領域の火炎温度を低減してサーマルNOxの抑制を図った方が、全NOx低減には効果的である。一方、燃料中のNH濃度が2000ppm以上の範囲では、窒素を空気に混合して供給することにより、一次燃焼領域の火炎温度が上昇してサーマルNOxが増加するものの、図5に示すようにフュエルNOxの低減効果が大きく、全NOxを効果的に低減できる。
【0041】
また、バーナ部から、燃焼器に供給する窒素全量を燃焼室内に供給すると、ガスタービン起動用燃料による着火時、ガスタービン起動用燃料とガス化ガス燃料との切り替え時、およびガスタービン低負荷条件時等に、燃焼室上部における火炎の位置が変化する可能性があり、その際、窒素の燃焼室への直接噴射により保炎領域の燃焼ガス温度が低下し、不安定燃焼を誘発する可能性がある。その場合には、窒素の一部あるいは全部を第2窒素供給系統を経て一次燃焼領域の下流にバイパスさせることが好ましい。これによって、一次燃焼域の燃焼温度を必要以上に下げられずに、燃焼の安定性が確保されると共に、燃料過濃下でのサーマルNOxの低減とバイパス窒素によるフュエルNOxの低減効果が得られる。
【0042】
また、本発明のガスタービン燃焼器は、ガスタービンの出口での未燃の燃料成分濃度またはNOx濃度を監視してこれが一定量以下になるように、第1窒素供給系統および第2窒素供給系統の配分割合、または、第1空気供給系統および第2空気供給系統の配分割合を制御することが好ましい。例えば、ガスタービンの起動用燃料による着火、起動から、ガス化ガス燃料への切り替えまでは、起動用燃料にフュエルNOxの生成源となるアンモニアを含まないため、2系統の窒素噴射割合を調整した後、保炎性または主にガスタービン出口での未燃の燃料成分濃度を監視して一定量以下になるように、2系統の空気供給割合を調整し、ガス化ガスによる専焼条件では、第1の空気供給系統への空気供給割合をガス化ガス燃料の組成に応じた最適値に調整してフュエルNOx生成量を低下させると共に、主にガスタービン出口でのNOx排出濃度を監視して一定量以下になるように、窒素供給配分をフィードバック制御することにより調整することが好ましい。また、この窒素の2系統供給割合の変更と併行して、ガスタービンの起動用燃料による着火、起動から、ガス化ガス燃料への切り替えまでは、起動用燃料にフュエルNOxの生成源となるアンモニアを含まないため、2系統の窒素噴射割合を調整した後、保炎性能または主にガスタービン出口での未燃の燃料成分濃度を監視して一定量以下になるように、2系統の空気供給割合を調整し、ガス化ガスによる専焼条件では、第1の空気供給系統への空気供給割合をガス化ガス燃料の組成に応じた最適値に調整してフュエルNOx生成量を低下させると共に、主にガスタービン出口でのNOx排出濃度を監視して一定量以下になるように、窒素供給配分を調整する。このように運用することによって、起動用燃料による起動から部分負荷条件、また、ガス化ガス燃料への切り替え運転、およびそれ以上の負荷でのガス化ガス燃料の専焼条件のガスタービン全負荷帯において、プラント熱効率を損なうことなく、燃焼安定性を維持しつつ、サーマルNOxおよびフュエルNOxの同時低減燃焼が可能となる。また、CO排出濃度が増加した場合には、窒素を第2供給系統にバイパスして、バーナ近傍の火炎温度を維持することでCO排出濃度の増加は避けられる。また、副燃焼室を設けた燃焼器によれば、第1系統の窒素供給量を少し減少させ、第2の窒素供給系統にバイパスし、バーナ近傍の火炎温度を維持することによりCO排出濃度をさらに下げることが可能となる。
【0043】
尚、ガスタービン燃焼器へ供給する窒素は、発電プラントから切り離された独自の供給源を設けるようにしても良いが、ガス化炉に供給される酸素を空気から生成する空気分離装置で副次的に発生する窒素を利用することが発電プラント全体のエネルギ効率・熱効率を考慮すると好ましい。そこで、この空気分離装置で発生する窒素を第1及び第2の窒素供給系統の2系統に分けて供給するようにすることが発電プラントの熱効率の向上を図る上で好ましい。この場合、プラント余剰窒素の昇圧動力を低減すると共に、空気分離装置へ供給するガスタービン抽気空気の部分連繋や余剰窒素による熱回収を実施することにより送電端熱効率を約0.3%(絶対値)向上し、しかも窒素を燃焼器の高温ガス領域に供給することでサーマルNOx排出量を低減できる。
【0044】
《実施形態1》
図6に本発明のガスタービン燃焼器を用いたガス化発電システムの一実施形態を示す。このガス化発電プラントは、重質油あるいは石炭等(以下では石炭で代表する)を酸素酸化によってガス化した燃料(本明細書ではガス化ガス燃料と呼ぶ)を燃焼させてガスタービンを駆動する燃焼ガスを得るシステムであって、酸素製造装置2で空気から分離生成した酸素AO2を主成分とした酸化剤によって重質油あるいは石炭Cをガス化するガス化炉3と、そのガス化ガスCG1を乾式精製するガス精製装置4と、精製後のガス化ガス燃料CG2を燃焼させて得た高温・高圧の燃焼ガスFGでガスタービン6を駆動して該ガスタービン6に連結されている発電機9を回転させて発電する圧縮機1と、ガスタービン燃焼器5及びガスタービン6から成るガスタービン発電システム、並びにガスタービン6から排出される高温の排気ガスGの熱を利用して蒸気サイクルにより発電機9を回転させて発電する廃熱回収ボイラ7と蒸気タービン8及び復水器10から成る蒸気発電システムとで構成される。なお、図中の符号11は煙突である。
【0045】
また、ガスタービン燃焼器5は、例えば図7に示すように、圧力容器である燃焼器外筒12、燃焼用空気HARを燃焼室13に導くためのフロースリーブ14、燃焼室13を囲む燃焼器内筒15、燃料を供給し火炎16を保持するための燃料ノズル17、燃料ノズル17を外筒12に固定するヘッドエンド部18、燃焼室13で燃焼したガスFGをガスタービン6に案内する燃焼器尾筒19から構成され、その全作動負荷条件範囲において、燃焼室13の上流部を燃料過剰条件とする二段燃焼法を実現するものである。尚、燃焼室13の下流側では、燃焼空気孔20から燃焼用空気HARを供給し、未燃分を完全燃焼させて燃焼器出口で未燃分を一定量以下に抑制する。
【0046】
燃焼器内筒15には、フロースリーブ14との間の流路36と燃焼室13とを連通する燃焼空気孔20が設けられ、圧縮機1から供給される燃焼用空気HARが燃焼室13の周りの空気孔20、空気旋回器32及びアトマイズ空気噴孔(図示省略)から噴出されるように設けられている。燃焼用空気孔20は、燃焼室13の上流域から離れた後半に、軸方向並びに周方向へ複数設けられており、圧縮機1から吐出される高圧空気HARを燃焼室13の下流域に優先的に供給するように設けられている。このガスタービン燃焼器5は、ガス化ガス燃料CG2中のアンモニアに起因して生成されるフュエルNOxを抑制することを目的としており、全作動負荷条件で、燃焼室13の上流部を燃料過濃条件としている。例えば燃料中にメタンを含まない場合は当量比2.5以上に、メタンを含む場合には好ましくは約1.5〜3の範囲内で燃料中のメタン濃度に反比例する相関関係に基づいてメタン濃度に応じて決定される値(例えば、メタン濃度3%含む場合には当量比1.7〜2.4程度)に設定し、さらに、軸方向下流に向かうに従って燃焼空気孔20から燃焼用空気HARを供給し、燃焼器出口で未燃分を一定量以下に抑制する。これにより、燃焼室13の上流部の酸素濃度を低下させることができ、サーマルNOxを低減できると同時にガス化ガス燃料CG2中の窒素化合物に起因して生成されるフュエルNOxを抑制することができる。さらに、軸方向下流に向かうに従って燃焼空気孔20から燃焼用空気HARを供給し未燃成分を燃焼させて、燃焼器5の出口での未燃分を一定量以下に抑制する。一次当量比を1.5〜3の範囲で設定する場合には、乾式ガス精製を採用した酸素吹きガス化ガス燃料については、最もサーマルNOxの低減効果が得られ、尚かつフュエルNOxについても低減効果が得られる。一次当量比が少なくとも1.3を超えるとサーマルNOx抑制効果が得られ、1.5以上であればメタン濃度3%以上においてもフュエルNOxの抑制効果が得られ、3であればメタン濃度0%のときにおいてもフュエルNOx抑制効果が得られる。
【0047】
バーナは、起動用液体燃料21を霧化して噴射するアトマイズ空気噴孔(図示省略)を備えたノズル22と、ガス化ガス燃料CG2を供給するための燃料ノズル17並びに旋回器23と、窒素供給系統26aから供給される窒素AN2を燃焼室13に供給するための窒素噴射ノズル24及び旋回器25並びに圧縮機1から吐出した燃焼用空気HARを燃焼室13に供給するための空気噴射ノズル35および旋回器32とから成り、それらを同軸上に組み合わせることにより構成され、ガスタービン燃焼器5の上流端の中心軸上に配置される。このバーナは、燃料、空気、窒素およびそれらの混合ガスを旋回させながら供給することで、燃焼室13の上流部のノズル出口付近に低温でかつ安定した火炎16を形成させる。また、窒素噴孔たる旋回器25を燃料噴孔たる旋回器23と空気噴孔たる旋回器32の中間または周りに設けて、火炎16の存在する燃焼室13の上流部の高温領域に窒素AN2を供給することで、燃焼室13の上流部をガス化ガス燃料の過剰条件としている状態を保ちながら、高温領域のガス温度を低下させることができ、フュエルNOxと同時に、サーマルNOxも低減することが可能である。燃料ノズル17の目的は、ノズル出口に安定した火炎を形成することで、燃料、空気、窒素、およびそれらの混合ガスを旋回させながら供給することで、燃焼室に安定した火炎を形成させる。ガスタービンの着火からガス燃焼に至るまでは起動用燃料21で運用される。
【0048】
次に、以上のように構成されたガス化発電システムの運転方法を説明する。尚、本システムは酸化剤として酸素を使用するものである。
【0049】
まず、始動時には、外部動力によって駆動された圧縮機1で高圧とされた空気HARを例えば図6、図7に示すガスタービン燃焼器5に供給し、起動用燃料21を用いて燃焼させる。この燃焼ガスFGを燃焼器尾筒19を経てガスタービン6に導入することによって、ガスタービン6を駆動する。ガスタービン6が昇速してガスタービン6の無負荷定格回転数に達した後、発電機9を併入し、徐々に負荷をとり始める。
【0050】
一方、ガス化炉3に必要な酸素AO2は、酸素製造装置2にて生成される。酸素製造装置2では、圧縮機1かあるいは図示しないバックアップ用圧縮機、若しくは圧縮機1より抽気される高圧空気HARから窒素AN2を分離することによって酸素AO2が得られる。そして、酸素AO2はガス化炉3へ、窒素AN2はガスタービン燃焼器5へそれぞれ供給される。ガス化炉3では酸素AO2の供給により石炭Cを酸素酸化してガス化ガス(ガス化炉生成ガス)CG1を発生する。さらにガス精製装置4により脱塵、脱硫してガスタービン燃焼器5に供給可能なガス化ガス燃料CG2を生成する。ガス化炉3の負荷が上昇してある程度以上の品位のガス化ガスCG2が製造されるようになると、これをガスタービン燃焼器5に供給し、起動用燃料21と切り替えて運転を開始し、さらにプラント負荷を上昇させ、主に定格条件にて運転する。
【0051】
また、ガスタービン6の高温排気ガスGは、廃熱回収ボイラ7で給水FWに熱を受け渡し、発生した水蒸気STを蒸気タービン8に導入してこれを駆動し、発電機9を回して発電させる。廃熱回収ボイラ7を通過した排気ガスは煙突11から排気される。
【0052】
本発明の特徴の一つは、フュエルNOx低減を目的として燃焼室13の上流部をガス化ガス燃料の組成に応じて燃料過濃条件としている状態を保ちながら、窒素噴孔を燃料ノズルに設けて、燃焼室の火炎の存在する高温領域に供給することで高温領域のガス温度を低下させることができ、フュエルNOxと同時に、サーマルNOxも低減することにある。しかも、ガス化ガス燃料中のメタン濃度がガス化条件により変化することから、図1に示すようにメタン濃度に応じて燃料過濃条件を設定することにより、フュエルNOxを含む全NOx排出量を最少になるようにすることができる。
【0053】
このような構造を採用することにより、乾式ガス精製を採用するガス化複合発電プラントの全作動負荷範囲内において、プラントの熱効率を損なうことなく、燃焼安定性の向上と未燃分の排出の抑制を図ることができるとともに、フュエルNOxおよびサーマルNOxを低減することが可能となる。
【0054】
また、ガスタービン燃焼器5で、フュエルNOxを抑制するために燃焼室上流部を燃料過濃条件とした場合、より一層のサーマルNOx低減が図れるという相乗効果が得られる。
【0055】
《実施形態2》
図8に本発明のガス化発電プラント用ガスタービン燃焼器の他の実施形態を示す。この実施形態のガスタービン燃焼器6は、窒素を一次燃焼領域へ噴射するようにしたものであり、バーナ部から直接燃焼室13内へ噴射される第1の窒素供給系統26aと、一次空気に混合してあるいは一次空気と燃焼室の下流側に噴射される二次空気とに均質に混合して供給される第2の窒素供給系統26bとの2つの窒素の供給系統を有し、ガス化ガス燃料のNHの含有量が或る閾値よりも少ないときには第1の窒素供給系統26aから直接燃焼室内へ噴射される量を多くし、超えるときには第2の窒素供給系統26bにより燃焼室13の下流側に噴射される量を多く配分するものである。具体的には、窒素AN2を2つの供給系統26a,26bに分割し、一方の窒素供給系統26aを用いた実施形態1と同様に燃料ノズル17に導いて窒素噴射ノズル24から噴出させ、他方の第2の窒素供給系統26bをガスタービン車室27に導き、空気流中に設けた窒素供給ノズル28から燃焼用空気中に窒素を噴射させ、空気と混合させるようにしている。尚、第2の窒素供給系統26bは、ガスタービン車室27内に限らず、ガスタービン燃焼器外筒12と燃焼器内筒15との空間・流路36内に設けても同様な効果が得られる。
【0056】
実施形態2においては、第1の窒素供給系統26aから窒素AN2を供給する場合に、実施形態1と同様に燃料ノズルボディ30を介して燃料ノズル17に設けた窒素噴孔24から、窒素を燃焼室13内に直接噴射する。
【0057】
ガスタービン車室27に配置された窒素供給ノズル28から供給された窒素は、燃焼空気HARと混合する。窒素と空気との混合ガス31は、燃焼室13に開口している燃焼空気孔20から、燃焼室13内に順次供給される。したがって、第1の実施形態において第1の窒素供給系統26aを経て供給されていた窒素の一部もしくは全量を第2の窒素供給系統26bから供給することにより、燃料ノズル17の空気旋回器32を通過する空気中の酸素濃度を極端に低下させることがなく、燃焼室13の上流部の燃焼ガス温度を低減すると共に燃焼安定性を維持できる。尚、混合ガス31の一部は燃焼室13の上流端の空気旋回器32を経て起動用燃料21あるいはガス化ガス燃料CG2に吹き付けられる。
【0058】
NOx排出量の低減と所内動力の回復を目的に、定格条件だけでなく、起動用燃料21によるガスタービン負荷上昇時もサーマルNOxが多量に発生するため空気分離装置2から生成される窒素AN2を第1の供給系統26aから燃焼器5に供給して火炎温度低減によるNOx低減を図る。一方で、起動用燃料21による起動時、燃料切り替え時、およびガス化ガス燃料CG2による部分負荷燃焼時においては、窒素AN2を第2の供給系統26bから燃焼器5に供給することにより、燃焼室13の上流部での燃焼温度を低下させることなく、火炎安定性を維持でき、燃焼不安定性の回避と未燃分の排出の抑制を図ることが可能となる。
【0059】
また、ガスタービン燃焼器5内の燃焼室13は、実施形態1と同様に、ガス化発電プラントの全作動負荷条件において、上流部を燃料過剰条件としてフュエルNOxの低減を図っているが、窒素噴射位置がフュエルNOxの低減効果に影響することから、窒素供給系統を2系統に分割して供給する手法との組み合わせによる本発明により、ガス化ガス燃料中のメタン濃度に加えて、アンモニア濃度に応じて窒素噴射位置を設定することにより、フュエルNOxを含む全NOx排出量を最少に抑制することが可能である。即ち、燃焼器から直接燃焼室内へ噴射される第1の窒素供給系統と、前記燃焼器の一次空気に混合してあるいは一次空気と燃焼室の下流側に噴射される二次空気とに均質に混合して供給される第2の窒素供給系統とを備え、前記ガス化ガス燃料のNHの含有量が閾値よりも少ないときには前記第1の窒素供給系統から直接燃焼室内へ噴射される量を多くし、超えるときには前記第2の窒素供給系統により前記燃焼室の下流側に噴射される量を多く配分する。
【0060】
このような構造、および制御方法を採用することにより、乾式ガス精製を採用するガス化発電プラントの全作動負荷範囲において、プラントの熱効率を損なうことなく、燃焼安定性の向上と未燃分の排出の抑制を図ることができるとともに、サーマルNOxおよびフュエルNOxの同時低減燃焼が可能となる。
【0061】
なお、第1の実施形態1の構成部分と同一部分には同一符号を付す。
【0062】
《実施形態3》
図9は、本発明の第3実施形態によるガス化発電プラント用ガスタービン燃焼器の構成の一例を示す。図9は、前記燃焼器の頭部に副燃焼室13bを設けて、ガス化発電プラント用ガスタービン燃焼器において、燃焼用空気HARの一部HAR1およびガス化ガス燃料CG2の一部CG21、少なくともCG2の10 vol%以上を副燃焼室の燃料旋回器23aに導入して、ガスタービン負荷運用条件に応じて燃焼室上流部における燃料過濃条件の最適化が図れるようにしたものである。
【0063】
燃料ノズル17は、燃焼室13の同心軸上に第1の燃料供給系統による旋回器23aと第1の空気供給系統HAR1による空気旋回器32aを周方向に複数配置し、燃料と空気により燃焼させる。副燃焼室の出口には、同心軸上であってかつ外周に第2の燃料供給系統による燃料旋回器23b、第2の空気供給系統による空気旋回器32b、窒素供給系統による窒素旋回器25が、燃料と空気の間に窒素が常に供給されるように複数配置する主燃料ノズル17bを設け、それぞれの旋回器を通して第2の燃料CG22、第2の空気HAR2および窒素26aを供給し、燃焼させる。副燃焼室13bまたは主燃料ノズル17bへの燃料、空気供給量は開口面積比(燃料については、副燃焼室燃料ノズル23aと主燃料ノズル23bの面積比。空気については、副燃焼室空気旋回器32a、主燃料ノズルの空気旋回器32b、燃焼器内筒の燃焼空気孔20の面積比。)に比例する量が供給されることになる。
【0064】
ここで、一次燃焼領域の平均当量比と副燃焼室の平均当量比は、燃料組成に応じて転換率が極小値を含む低い値をとる範囲、例えば1.7〜2.4の範囲で互いにずらして設定され、各燃焼領域で還元性能を維持するように設けられることが好ましい。ここで、副燃焼室、主燃料ノズルの後に二次空気孔直前までを一次燃焼領域としており、その領域の平均当量比を1.7〜2.4に設定する。副燃焼室と燃焼室上流部とで平均当量比をずらせば、ある程度の負荷範囲であればどちらかの領域の当量比が1.7〜2.4程度になる。ただし、大きな負荷変化や、石炭等の種類やガス化剤中の酸素濃度が変化した場合には対応できないので、次の図10に示す燃焼器のように、二次空気孔20の流量を変化できる機構、例えばバルブ29が必要になってくる。そして、より好ましくは、副燃焼室当量比については、燃焼室上流部の平均当量比よりも高く、適正な当量比の範囲の高い方(例えばCH=3%で、φp=1.7〜2.4の範囲の場合には副燃焼室の平均当量比を2.4)に設定される。副燃焼室の当量比を高め(例えば2.4)に設定していれば、低負荷に移行することにより当量比が低下した時でも、適正当量比の1.7〜2.4の範囲に収まる。当量比2.4であれば1500℃以上の火炎温度ですので、副燃焼室における拡散燃焼と循環流形成を考えれば十分な保炎性能を得られると考えられる。これは、ガス化燃料がLNG等に比較して燃えやすいことも要因である。また、従来の当量比4〜5に比べれば、保炎性能向上は十分に期待できる。従来のバーナによると、1100℃以下の燃焼温度では、CO排出濃度が上昇するが、本実施形態のバーナでは20ppm以下にできた。ここで、副燃焼室の当量比と一次燃焼領域の平均当量比との関係は、好ましくは副燃焼室の方が一次燃焼領域の平均当量比よりも高いことであるが、同じでもあるいは逆に一次燃焼領域の平均当量比の方が副燃焼室の当量比よりも高くても良い。
【0065】
このガスタービン燃焼器によれば、燃料供給量が増加する高負荷条件では、副燃焼室13bへ供給されるガス化ガス燃料CG21と空気HAR1から決まる当量比を最適化(例えば、ガス化ガス中にメタンを含まない場合は当量比2.5以上に、メタンを3%含む場合は当量比1.7〜2.4に設定)することにより、ガス化ガス燃料中のアンモニアを窒素(N)に分解する。また、燃料供給量が低下するガスタービン低負荷条件では副燃焼室の当量比は燃焼器に供給される全燃料供給量および全空気供給量から決まる当量比に比例して低下し、低負荷では量論混合比に近づき、高温条件となるため保炎性能が向上すると共に、主燃料ノズル17bへ供給する第2の空気HAR2および燃料供給系統CG22による燃焼室13の上流部がガス化ガス燃料組成に応じた最適な燃料過濃条件(例えば、ガス化ガス中にメタンを含まない場合は当量比2.5以上、メタンを3%含む場合は当量比1.7〜2.4)に調整することにより、フュエルNOxを含む全NOx排出量を最少に抑制することが可能である。
【0066】
このような構造、および制御方法を採用することにより、乾式ガス精製を採用するガス化発電プラントの全作動負荷範囲において、プラントの熱効率を損なうことなく、燃焼器上流部をより理想的に燃料過濃条件とすることができ、フュエルNOxを含む全NOx排出量を最少にするように運用することができると共に、低負荷から高負荷条件まで保炎性能を一層向上することができる。
【0067】
ここでは、第2の窒素供給系統26bについては考慮せずに説明したが、請求項9に示すように、第2の窒素供給系統26bをHARに混合して供給する場合も同様な効果が得られる。
【0068】
なお、第1の実施形態1の構成部分と同一部分には同一符号を付す。
【0069】
《実施形態4》
図10は、本発明の第4実施形態によるガス化発電プラント用ガスタービン燃焼器の構成の一例を示す。図10は、燃焼器頭部へ供給する第1の燃焼用空気とは別に、燃焼器の下流側であって、且つ燃焼室側壁から燃焼室13に供給される第2の燃焼用空気孔20に流量調整機構たる流量調節バルブ29を設け、ガス化炉等のプラント運転条件が変化し、発生するガス化ガス燃料の組成が変化した場合に、前記燃焼室13の上流部の燃料過濃条件を、ガス化ガス燃料の組成に応じた最適値に変更する様に第2の燃焼用空気孔20の可変バルブ29を調整するようにしている。
【0070】
このような構造、および制御方法を採用することにより、乾式ガス精製を採用するガス化発電プラントの全作動負荷範囲において、燃焼室13の上流部をより一層に理想的な燃料過濃条件とすることができ、フュエルNOxを含む全NOx排出量を最少にするように運用することができると共に、低負荷から高負荷条件まで保炎性能を一層向上することができる。なお、第1の実施形態1の構成部分と同一部分には同一符号を付す。
【0071】
《実施形態5》
次に、ガスタービン負荷運用について説明する。なお、第1の実施形態の構成部分と同一部分には同一符号を付す。
【0072】
図11は、ガスタービン燃焼器の起動から定格負荷までの間の、ガスタービン負荷とガスタービン燃焼器5に供給される起動用燃料21、ガス化ガス燃料CG2、第1窒素供給量/窒素全供給量の割合、および実施形態4による第1空気供給量/空気全供給量の割合についての関係を示す図である。図8〜図10に示すガスタービン燃焼器において、ガスタービンの負荷変化に伴い、ガスタービン排気ガスG中の未燃の燃料成分濃度またはNOx濃度を監視して一定量以下になるように、窒素の供給量/使用可能窒素量割合、窒素の第1窒素供給系統26aおよび第2窒素供給系統26bの供給割合、または、第1空気供給系統および第2空気供給系統の割合を、図示省略している制御手段例えば燃料成分濃度測定手段と電磁バルブなどで制御する制御する実施例である。
【0073】
始動時には、外部動力により駆動された圧縮機1の吐出空気HARを用い、起動用燃料21によりガスタービン燃焼器5の燃焼室13内で着火する。起動用燃料による燃焼が安定したら、空気分離装置2より生成される窒素AN2を燃料ノズル17に設けた窒素噴射ノズル24から窒素AN2を燃焼室13に直接噴射し、サーマルNOxの低減を図る。起動用燃料ノズル22を用いた燃焼により、ガスタービン5が定格回転数に達した後、ガスタービン負荷を一定としたまま、燃焼安定性を確保するため、前記窒素をほぼ全量を第2の窒素供給系統26bであるバイパス側に供給すると共に、起動用燃料21から主燃料であるガス化ガス燃料CG2の燃焼に徐々に切り替える。ガス化ガス燃料CG2に切換えた後は、ガスタービン5の負荷上昇させ、燃焼室13内での燃焼が安定したところで、窒素を第1の窒素供給系統26aにほぼ全量供給すると共に燃焼用空気を第1の空気供給系統29aを低下、且つ第2の空気供給系統29bへの供給量を増加させて燃焼器上流部を最適な燃料過濃条件に設定し、発電機9を併入し、徐々に負荷を取り出し始める。
【0074】
しかし、起動用燃料21からガス化ガス燃料CG2への切り替えまたは、低負荷運転では、バーナでの火炎16の温度が低く、しかも燃焼室13内で形成される火炎16の位置が変化することが予想され、燃焼が不安定になる可能性がある(起動用燃料は一般に灯油等の液体であり、蒸発過程を有する液体燃料と比べてガス燃料は燃焼性が良い)ため、ガスタービン排気ガスG中の未燃分の濃度を監視しながら、第1の窒素供給系統26aおよび第2の窒素供給系統26bへの窒素の供給割合を調整し、特に、燃料中のアンモニア濃度が低く、比較的フュエルNOx排出量が低い場合などは、第1の空気供給系統29aおよび第2の空気供給系統29bへの空気の供給割合を調整して燃焼安定性を確保する。ガスタービン5の負荷が上昇するにつれて、火炎16の温度が上昇するので、燃焼用空気と混合させ燃焼室13に供給する第2の窒素供給系統26bを徐々に減少させ、燃料ノズル17に設けた第1の窒素供給系統26aへの窒素供給割合を徐々に増加させると共に、フュエルNOxを含む全NOx排出量を最少にするように第1、第2空気供給系統への空気供給割合を調整する。
【0075】
このように運用することにより、起動用燃料21による起動から部分負荷条件、また、ガス化ガス燃料CG2への切り替え運転、およびそれ以上の負荷でのガス化ガス燃料CG2の専焼条件のガスタービンの作動負荷範囲において、プラントの熱効率を損なうことなく、燃焼安定性の向上と未燃分の排出の抑制を図ることができるとともに、サーマルNOxおよびフュエルNOxの同時低減燃焼が可能となる。
【0076】
また、窒素供給系統を1つのみ持つ第1の実施形態の運転方法、または、空気供給の制御系統を1つのみ持つ第1〜第3の実施形態の運転方法については、第2の窒素供給系統26bの流量をゼロ、または第1、第2の空気供給割合をガスタービン負荷によらず一定とした場合に相当する。
【0077】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、本実施形態では、一次当量比を燃料組成に応じて変えるだけでなく、窒素を還元燃焼領域に噴射するようにしているが、これに特に限定されるものではになく、当量比変化させるだけでもフュエルNOxを低減でき、現在のプラントよりも運用性が良くなる。即ち、窒素をガス化ガスに予混合することなく、別に供給することによりサーマルNOx低減や保炎性能をコントロールできるので、現在のプラントよりも運用性が良くなるものと思われる。
【0078】
また、場合によっては複数のガスタービン燃焼器によって2段燃焼を実施することもある。全域を燃料過濃条件とする第1の燃焼器と、残りの空気を供給して未燃分を燃焼させることを主とする第2の燃焼器の2段としても良い。この場合には、第1のガスタービン燃焼器と第2のガスタービン燃焼器との間に中間タービンを設置することも可能である。この場合、同等の燃焼温度とする1段のガスタービンに比較して、プラント熱効率が向上するという相乗効果が得られると共に、ガスタービン排気ガス中の窒素酸化物濃度によっては、ガスタービン下流における脱硝装置を縮小もしくは削除することができ、プラントの構成機器を少なくし、コスト低減を図ることも可能である。また、本実施形態では複合発電システムに適用した場合を例に挙げて主に説明しているがこれに特に限定されるものではなく、蒸気タービン発電システムを含まないガスタービンだけの発電システムに適用することも効果的である。
【0079】
【実験例】
(実験装置・条件)
内側を耐火材で覆った内径90mm、長さ1000mmの円筒型の燃焼室、一次空気導入部および燃料噴射弁から成る図示していない実験装置を用いて、実験を行った。尚、燃焼器の軸方向空気配分や二段燃焼(空気二段供給)を模擬するために、燃焼室の側壁には流れ方向に沿って4カ所に二次空気孔を設けた。二次空気孔は直径が13mm、一断面について円周方向に12カ所設けた。
【0080】
本実験では、燃焼室内径をDとしたとき燃料噴射弁先端から距離3×Dの位置の二次空気孔を採用し、燃料噴射弁から二次空気孔までの領域を一次燃焼領域、二次空気孔以降を二次燃焼領域としている。供試バーナは、口径1.5mm×12、吹き出し角度θ=90゜の燃料噴射ノズルと内径24.0mm、外径36.4mm、旋回角度45゜の一次空気旋回器から構成されている。スワール数Sは0.84である。
【0081】
実験では、燃料中の主要な可燃性成分をCOとH(CO/Hモル比=2.33一定)とし、燃料発熱量はNの希釈により調整している。燃料中のCH濃度を変化させる場合には、CO/Hモル比一定の条件の下で、COとH量およびN希釈量により発熱量を調整した。燃焼ガスは、燃焼室出口ダクト中心軸上に挿入した水冷プローブ(1点)によりサンプリングし、CO、COについては非分散赤外線吸収法により、NOx、O、THCはそれぞれ化学発光法、磁気圧力法、水素炎イオン検出法により濃度を測定した(堀場製作所製MEXA9100分析計を使用)。また、実験はすべて大気圧にて実施した。
【0082】
(サーマルNOx排出特性)
まず、フュエルNOx低減を目的に、バーナへ供給する空気量を低減し、残りの空気を二次空気として供給した場合のサーマルNOx排出特性について調べた。ここで、燃焼ガス平均温度が1500℃で一定となるように燃焼室出口における当量比を設定し、燃料噴射弁から二次空気導入部までの一次燃焼領域の平均当量比φpを変化させた場合のサーマルNOx生成濃度について、Nを燃料または空気に混合して供給した場合とNを供給しない場合について実験した。実験では、噴射弁から供給する燃料流速を一定とし、燃焼用空気は一次空気導入部へ供給する一次空気と二次空気とに分けて供給することにより、バーナ近傍の雰囲気の還元性がサーマルNOx排出特性に及ぼす影響を調べた。また、Nはスワーラから供給する燃料または空気に全量予混合して燃焼室へ供給するものとし、N混合後の燃焼用空気予熱温度Tairおよび燃料予熱温度Tfue1を、Nを供給しない場合と等しく、それぞれ370℃、360℃とした。実験の結果、Nを供給しない場合に一次当量比φpが約1の時にサーマルNOx生成濃度は最大値を示した。一方、Nを供給しない場合に比較して、Nを燃料または一次空気と混合して供給する場合には、サーマルNOx生成濃度は大幅に低下し、また、一次領域の平均当量比φpを1.3以上とすることによりさらに低減した。すなわち、量論比近傍で最高火炎温度が約2300℃と高温になる中カロリー燃料(HHV=12.7MJ/m)では、窒素を燃料または一次空気に予混合してスワーラから一次燃焼領域に供給することにより、火炎温度を効果的に低減し、サーマルNOx生成量を大幅に低減できると共に、二段燃焼法のように二次空気を導入して一次燃焼領域の平均当量比を上昇させることがサーマルNOx低減に有効であると分かった。
(フュエルNOX排出特性)
フュエルNOx低減に有効とされる二段燃焼法では一次当量比の設定が重要な要因となる。また二段燃焼法の効果は燃料のN希釈による発熱量の低下や燃料中CH濃度やH濃度により影響を受ける。ここで、二段燃焼法とは、二次空気供給により一次燃焼領域を還元雰囲気とし、燃料中のNHをNに還元分解してフュエルNOx排出量の低減を図る燃焼法である。
【0083】
図4は中カロリー燃料中のNHがNOxに転換する割合(以下、転換率という)に及ぼす燃料発熱量の影響を検討した結果を示す。実験では、燃料中CO/Hモル比を2.33で一定とし、Nの希釈量により燃料発熱量を4.2MJ/m、8.4MJ/m、11.4MJ/mの3種類のカロリーに調節した。また、フュエルNOxは燃料中にNHを含む条件および含まない条件でそれぞれ、全NOx排出量、サーマルNOx排出量をそれぞれ計測して、その差から求めている。実験手法として、二次空気口の開口面積は一定としており、二次空気の流入速度の変動によるフュエルNOx/サーマルNOxの生成反応凍結への影響については考慮していない。一次燃焼領域の平均当量比に対する転換率C.R.は、いずれの燃料発熱量においてもほぼ同様な傾向を示し、一次当量比φpを1以上の燃料過濃条件とすることにより、転換率C.R.を低減できることが分かる。また、一次当量比φpが1以下では発熱量が低い方が高い転換率C.R.を示すものの、φpが1以上の燃料過濃条件では、発熱量が低いほど転換率は急激に低下し、1.6〜3の範囲で極小値(転換率の最小値C.R.(min))をとる傾向を示す。さらに、燃料発熱量の上昇に伴い、転換率の最小値C.R.(min)および転換率を極小とする最適一次当量比φp(opt)は上昇することが分かった。フュエルNOx生成特性に及ぼす中カロリー燃料の発熱量の影響は、CO/H混合ガス燃料へのN希釈量の影響と言える。
【0084】
次に、可燃性成分であるCOとHの含有率の異なる場合について検討した。図3は、燃料と空気を全てバーナから供給し、燃焼器出口ガス温度を1500℃で一定とする条件下で、一次当量比と転換率との関係を燃料中CO/Hモル比をパラメータにして示す。実験では、噴射弁から供給する燃料速度を96m/sで一定とする条件下で、供給空気量を調整することにより燃焼ガス平均温度を1500℃に調整した。2.33、1.00、0.43の3種類のCO/Hモル比について実験した。その結果、2.33〜0.43の範囲とする中カロリー燃料では、ガス化ガス中のCO/H濃度比率が低いほど、転換率を最小とする一次当量比が低下することが判った。この結果に合わせて、燃焼器一次当量比を設定すれば、フュエルNOxの発生を効率良く低減できる。
【0085】
また、図1は、二段燃焼時の転換率に及ぼす燃料中のCH濃度の影響について調べた結果を示す。メタン濃度0.0、0.5、1.0、2.0、3.0について実験した。この結果、燃料中CH4濃度の増加に伴い転換率が上昇すると共に、転換率を極小とする最適一次当量比φp(opt)が低下することが分かる。そして、ガス化ガス中のメタン濃度により転換率を最小とする一次当量比が異なることが判った。例えば、メタン濃度3%の場合には、転換率を最小とする一次当量比は1.8であった。
【0086】
図2及び図5に燃焼器に供給する窒素をバーナ部から噴射する系統と一次及び2次空気に予め混合してから一次燃焼領域あるいはその下流に噴射する系統との2系統を有するものにおいて、燃料中NH濃度をパラメータとする転換率と窒素噴射位置との関係が転換率並びに全NOx排出量に及ぼす影響を示す。図2に示す実験では、燃料発熱量8.8MJ/m、燃焼器出口ガス温度1400℃、N/燃料供給比率0.7kg/kg、CH濃度3%、燃焼器内圧力1.2MPa、全窒素量に対する第2系統窒素量を0kg/kg〜0.9kg/kgまで変化させ、図5に示す実験では0.0kg/kgと1.0kg/kgについて行った。この結果から、窒素の2系統供給が保炎を確保できる範囲での全NOx排出量の抑制に効果的であることがわかった。また、燃料中のNH濃度が2000 ppm(この数値は固定的ではない)を以下の範囲では、窒素をバーナから供給して、一次燃焼領域の火炎温度を低減してサーマルNOxの抑制を図った方が、全NOx低減には効果的であることがわかった。一方、燃料中のNH濃度が2000 ppm以上の範囲では、窒素を空気に混合して供給することにより、窒素の一部を一次燃焼領域の下流に噴出すれば、火炎温度が上昇してサーマルNOxが増加するものの、図2に示すようにフュエルNOxの低減効果が大きく、全NOxを効果的に低減できることがわかった(図5)。
【0087】
以上のことから、COとHを主要な可燃性成分とし、CHを微量含む中カロリー燃料では、一次当量比並びに窒素噴射位置を燃料組成および燃料発熱量に応じて変更することで転換率の極小値が得られ、またフュエルNOxの発生を効率良く低減できて、全NOx排出量を抑制できることがわかった。また、2段燃焼法はサーマルNOxの低減にも寄与している。すなわち、燃焼器試験結果では、燃焼器出口温度を1600℃にまで上昇させても、窒素噴射と2段燃焼による還元効果の相乗で、サーマルNOxを8ppm程度まで抑制しており、一次当量比φpを1.7以上であればサーマルNOx低減にも寄与することが判明した。
【0088】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によると、ガス化ガス燃料中のアンモニアに起因して生成されるフュエルNOxを効率良く抑制できる。しかも、同時に、燃焼過程で空気中の窒素に起因して発生するサーマルNOxを低減することもできる。
【0089】
また、本発明によると、全負荷運用条件において、燃焼安定性を確保しつつフュエルNOxを低減できる。
【0090】
更に、本発明は、プラント全体の熱効率を損なうことなく、ガス化ガス燃料中のアンモニアに起因して発生するフュエルNOxとサーマルNOxを同時に抑制し、且つ安定燃焼を図ることができる。
【0091】
更に、窒素を2系統に分割し、サーマルNOx低減とフュエルNOx低減との調和をとるようにしているので、燃焼安定性が問題となる条件においても全作動負荷範囲全域において全NOx排出量を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】燃料中のアンモニアからフュエルNOxへの転換率を最小とする燃料過濃条件の最適値に及ぼすガス化ガス燃料中のメタン濃度の影響を示す実験結果である。
【図2】燃料中のアンモニアからフュエルNOxへの転換率に及ぼす第1および第2窒素系統の供給量比率の影響である。
【図3】燃料中のアンモニアからフュエルNOxへの転換率を最小とする燃料過濃条件の最適値に及ぼすガス化ガス燃料中のCO/H濃度比率の影響を示す実験結果である。
【図4】燃料中のアンモニアからフュエルNOxへの転換率を最小とする燃料過濃条件の最適値に及ぼすガス化ガス燃料中の燃料発熱量の影響を示す実験結果である。
【図5】燃料中のアンモニアの濃度と窒素排出位置とが全NOx排出濃度に及ぼす関係を示す実験結果である。
【図6】本発明に係るガス化発電プラントの第1の実施形態を示す概略図である。
【図7】本発明に係るガスタービン燃焼器の第1実施形態を示す概略図である。
【図8】本発明に係るガスタービン燃焼器の第2実施形態を示す概略図である。
【図9】本発明に係るガスタービン燃焼器頭部の第3実施形態を示す概略図である。
【図10】本発明に係るガスタービン燃焼器の第4実施形態を示す概略図である。
【図11】図8〜図10に係るガスタービン燃焼器の運転方法を示す概略図であり、ガスタービンの起動から定格負荷までの間の第1/第2窒素供給系統の割合、第1/第2空気供給系統の割合の関係を示す。
【符号の説明】
1 圧縮機
2 空気分離装置
3 ガス化炉
4 ガス化ガス精製装置
5 ガスタービン燃焼器
6 ガスタービン
7 廃熱回収ボイラ
8 蒸気タービン
9 発電機
10  復水器
11  煙突
12  燃焼器外筒
13 燃焼室
13b 副燃焼室
14  燃焼器フロースリーブ
15  燃焼器内筒
16  火炎
17 燃料噴射ノズル
17b 副燃焼室を持つ場合の主燃焼室の燃料噴射ノズル
18  ヘッドエンド部
19  燃焼器尾筒
20  燃焼器内筒の燃焼空気孔
21  ガスタービン起動用燃料(灯油等)
22  起動用燃料ノズル
23  燃料旋回器
23a 副燃焼室を持つ場合の副燃焼室の燃料旋回器
23b 副燃焼室を持つ場合の主燃焼室の燃料ノズル燃料旋回器
24 窒素噴射ノズル
25 窒素旋回器
26a 第1の窒素供給系統
26b 第2の窒素供給系統
27 ガスタービン車室
28 ガスタービン車室に設置した窒素供給ノズル
29 燃焼器内筒の燃焼空気孔における流量調節バルブ
29a 空気調節機構を持つ場合の燃料ノズル側に供給する第1空気供給系統
29b 空気調節機構を持つ場合に、主に燃焼室側の空気孔から供給する第2空気供給系統
30 燃料ノズルボディ
31 窒素と空気の混合ガス
32 空気旋回器
32a 副燃焼室を持つ場合の副燃焼室の空気旋回器
32b 副燃焼室を持つ場合の主燃焼室の燃料ノズルの空気旋回器
33 ガスタービン主軸
34 空気圧縮機翼列
35 空気噴射ノズル
AO2 酸素を主体とするガス
AN2 窒素を主体とするガス
AR  圧縮機入口空気
CG1 ガス化直後のガス
CG2 ガス精製後のガス化ガス燃料
CG21 副燃焼室を持つ場合の副燃焼室へ供給する第1のガス化ガス燃料
CG22 副燃焼室を持つ場合の主燃焼室へ供給する第2のガス化ガス燃料
FG  燃焼室排出ガス
FW  復水・給水
G  ガスタービン排気ガス
HAR 圧縮機の吐出空気
HAR1 副燃焼室を持つ場合の副燃焼室へ供給する第1の空気
HAR2 副燃焼室を持つ場合の主燃焼室へ供給する第2の空気
ST  蒸気タービンプラントの作動媒体である水蒸気

Claims (10)

  1. 酸化剤で重質油あるいは石炭等をガス化し、乾式精製したガス化ガスを主燃料として燃焼させ発電するガスタービンを備える酸素吹きまたは酸素富化空気吹きガス化発電プラントにおいて、前記燃焼器の燃焼室上流部を燃料過濃条件として還元燃焼させると共に、前記還元燃焼領域の燃料過濃条件をガス化ガス燃料の組成に応じて設定することを特徴とするガス化発電プラント用ガスタービン燃焼器。
  2. 前記ガス化ガス燃料の組成はメタン濃度であり、濃度が高くなるのに反比例して一次当量比を下げることを特徴とする請求項1記載のガス化発電プラント用ガスタービン燃焼器。
  3. 前記ガス化ガス燃料の組成はCO/H濃度比率であり、濃度比率が低くなるのに比例して一次当量比を下げることを特徴とする請求項1記載のガス化発電プラント用ガスタービン燃焼器。
  4. 前記ガス化ガス燃料の組成は燃料発熱量であり、燃料発熱量が低くなるのに比例して一次当量比を下げることを特徴とする請求項1記載のガス化発電プラント用ガスタービン燃焼器。
  5. 前記燃焼器のバーナ部から燃焼室上流部へ噴射される第1の空気と前記燃焼器の下流側でかつ前記燃焼室側壁から前記燃焼室内に噴射される第2の空気とを供給する燃焼用空気供給系を備えると共に、その少なくとも一方に供給空気量を調整する流量調整機構を設け、ガス化ガス燃料の組成が変化した際に、前記流量調整機構を操作して前記第1および第2の空気量の配分を変化させ、前記ガス化ガス燃料の組成に応じて一次当量比を調整して前記燃焼室上流部の燃料過濃条件を調整することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のガス化発電プラント用ガスタービン燃焼器。
  6. 前記燃焼器内に副燃焼室を設ける共に、該副燃焼室内へ第1の空気及びガス化ガス燃料を噴射するプリバーナと、前記燃焼室内へ直接第2の空気及びガス化ガス燃料を噴射するメインバーナとを備え、前記副燃焼室の当量比が前記燃焼室上流部の一次燃焼領域の当量比よりも高く設定され、かつ定格燃焼時には前記燃焼室の燃焼上流部の平均当量比がNOx転換率が極小値をとる値とし、低負荷燃焼時には副燃焼室の平均当量比がNOx転換率が極小値をとる量の燃料及び空気が分配されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のガス化発電プラント用ガスタービン燃焼器。
  7. 前記副燃焼室への燃料供給量を全体の30〜40%にすることを特徴とする請求項5または6記載のガス化発電プラント用ガスタービン燃焼器。
  8. 前記メインバーナと前記プリバーナにそれぞれ空気を供給する2系統の空気供給系の少なくとも一方に流量調整機構を設け、前記ガス化ガス燃料の組成が変動したときに前記流量調整機構を操作して2系統の空気分配を変化させることにより前記メインバーナと前記プリバーナとの当量比を調整することを特徴とする請求項5記載のガス化発電プラント用ガスタービン燃焼器。
  9. 前記燃焼器のバーナ部から直接前記燃焼室内へ噴射される第1の窒素供給系統と、一次空気に混合してあるいは一次空気と燃焼室の下流側に噴射される二次空気とに均質に混合して供給される第2の窒素供給系統とを備え、前記ガス化ガス燃料のNHの含有量が閾値よりも少ないときには前記第1の窒素供給系統から直接燃焼室内へ噴射される量を多くし、超えるときには前記第2の窒素供給系統により前記燃焼室の下流側に噴射される量を多く配分することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のガス化発電プラント用ガスタービン燃焼器。
  10. 空気から酸素を主成分とした酸化剤と窒素を生成する空気分離装置を備え、前記空気分離装置で発生する窒素を前記第1及び第2の窒素供給系統の2系統に分けて供給することを特徴とする請求項9記載のガス化発電プラント用ガスタービン燃焼器。
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