JP2004059906A - ポリウレタンペースト組成物及びシーリング材 - Google Patents

ポリウレタンペースト組成物及びシーリング材 Download PDF

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Abstract

【課題】ペースト組成物の固化物の電着板への接着性を向上し、黄変を防止し、また硬化時のタレ性を改善した、ポリウレタンペースト組成物及びシーリング材を提供することを目的とする。
【解決手段】長径/短径の比が1.0〜1.5の範囲にある粒子を数平均で50%以上含有し且つ体積平均粒径が0.1〜200μmであるポリウレタン樹脂(a)からなる微粒子(A)、可塑剤(B)、充填剤(C)および接着性付与剤(D)からなるペースト組成物であって、(D)が、ポリオールと有機イソシアネートからなるウレタンプレポリマーのブロック化物(X)と、イソシアネート基と反応することができる官能基を1分子中に2個以上有する化合物(y)とからなることを特徴とするペースト用樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は主として車両に塗布されるペースト組成物に関する。さらに詳しくは、常温において、良好な流動性を有するかまたは一定の形態保持性をもたせた組成物であり、加熱することによって容易に固化(膨潤一体化)させることができ、さらに固化物の接着強度、低温柔軟性、耐薬品性、機械的強度等の物性が良好であるペースト組成物に関し、更に塗膜の黄変も防止されたペースト組成物に関する。
また本発明は、主としてシーラとして車両に塗布されるウレタン樹脂組成物であって、常温においては水飴状又はペースト状であり、加熱することによって容易に硬化させることができ、特に硬化時のタレ性が改善されたことを特徴とするウレタン樹脂組成物にも関する。
本発明の組成物は、自動車車体の鋼板接合部及び/又は鋼板エッジ部にシーリング材として塗布するために好適に利用できる。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば、電着塗装後の自動車車体の鋼板接合部や鋼板エッジ部等には、それらの部分を水密、気密にしまた防錆性を高めるために、仕上げ塗装に先立ってシーリング用組成物(シーラ)を塗布して被覆することが行われている。また、車体のフロア下部、ホイルハウス、サイドシル等には、防錆性と耐チッピング性の向上のために、アンダーコート用組成物が塗布されている。
【0003】
そして、これらのシーリング用またはアンダーコート用組成物としては、塩化ビニル系プラスチゾル組成物、一液ブロックドイソシアネートポリウレタン組成物、アクリル樹脂系プラスチゾル組成物が使用されてきた。これに対して近年、ウレタン樹脂系樹脂粉末、可塑剤、充填剤、およびその他の添加物からなるウレタン樹脂系プラスチゾル組成物が開発された(特許文献1参照)。この組成物は、従来のプラスチゾルと比較して、機械的強度、低温柔軟性、環境適合性の面で優れている。
【0004】
しかし、このウレタン樹脂系プラスチゾル組成物は、適用部位によっては接着性が不足する場合があるという問題点を有していた。特に、長期にわたって水がかかる部位では、電着塗料とシーラの界面に水が侵入して両者間で剥離が起こりやすくなる。
【0005】
また、このウレタン樹脂系プラスチゾル組成物は、一般に電着塗装表面に塗布され、仮焼き付けの後、中塗り塗料が塗布され、ついで上塗り塗料が塗布される。その後、140℃で30分程度焼き付けられる。上記工程でかなりの熱が加わる上、さらに塗り直し等の作業の都合上や、焼き付け炉内の温度分布の不均一性のために、部位によっては長時間高温にさらされることになる。このようなオーバーベイク条件下では、しばしば塗膜に黄変が生じるという問題が発生している。
【0006】
一方、これらのシーラとしては、▲1▼プラスチゾル系[塩化ビニル系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系(上記特許文献1参照)]又は▲2▼一液反応系[一液ブロックドイソシアネート系(例えば特許文献2参照)、一液湿気硬化系(例えば特許文献3参照)]が主に使用されている。
【0007】
しかし、▲1▼は、加熱によって樹脂ビーズが周囲の可塑剤を吸収、膨潤して一体化するため、▲2▼のような反応系と比較して固化物の破断強度が弱いという問題点を有している。しかしながら▲2▼では、硬化物の破断強度は強いものの、加熱時に粘度が大幅に下がってしまうため、垂直塗工部においてのタレが問題となっている。近年のシーラの適用範囲拡大の流れの中で、これらの問題点を解決した材料の開発が望まれていた。
【0008】
【特許文献1】特開2000−345027号公報
【特許文献2】特開平6−299065号公報
【特許文献3】特開平10−139777号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の各事情に鑑みてなされてものであり、(i)常温において、良好な流動性を有するかまたは一定の形態保持性をもたせた組成物であり、加熱することによって容易に固化(膨潤一体化)させることができ、さらに固化物の接着強度、低温柔軟性、耐薬品性、機械的強度等の物性が良好であるペースト組成物、(ii)更に好ましくはオーバーベイク時の塗膜の黄変が防止されたペースト組成物、及び(iii)常温においては水飴状又はペースト状であり、加熱することによって容易に硬化させることができる組成物であって、特に硬化時のタレ性が改善されたウレタン樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題(i)を解決すべく検討した結果、本発明(i)に到達した。すなわち本発明(i)は、ポリウレタン樹脂(a)からなる微粒子(A)、可塑剤(B)、充填剤(C)および接着性付与剤(D)からなるペースト組成物であって、(D)が、ポリオールと有機イソシアネートからなるウレタンプレポリマーのブロック化物(X)と、イソシアネート基と反応することができる官能基を1分子中に2個以上有する化合物(y)とからなることを特徴とするペースト樹脂組成物を提供するものである。
【0011】
接着性付与剤(D)はブロック化ウレタンプレポリマー(X)と、イソシアネート基と反応することができる官能基を1分子中に2個以上有する化合物(y)とから構成されており、本剤の配合により電着板への組成物の接着性を向上させることができる。これは、本組成物を加熱することにより(X)中のブロック化剤がはずれ、ウレタンプレポリマーがすみやかに(y)と反応して、電着板との密着性に優れたポリウレタンが生成するためである。こうして生成したポリウレタンは、電着板とシーラの界面において両者を接着する役割を担っている。なお、特開2000−345027においてもブロック化ウレタンプレポリマー(X)を使用する場合が例示されているが、これは、ウレタンビーズ中のアミンとの反応による強度アップを狙って配合されているものであって、本発明にあるような界面での接着性向上の効果はない。
【0012】
また、本発明者等は、上記課題(ii)を解決すべく検討した結果、本発明(ii)に到達した。すなわち本発明(ii)は、上記発明(i)の組成物であって、焼き付け固化後の該組成物中のアミン価が1以下であることを更に特徴とするペースト用樹脂組成物を提供するものである。
【0013】
本発明において、上塗り塗膜が黄変する原因について解析を行ったところ、シーラに含まれる残存アミンが影響していることが明らかになった。この残存アミンは主としてポリウレタン樹脂微粒子(A)中に含まれている。この残存アミン量をアミン価で1以下とすることにより、問題となっていたオーバーベイク時の塗膜の黄変を抑えられることが判明した。また本発明においては、アミン価低減の一手段として、接着性付与剤(D)の構成において、ポリオールと有機イソシアネートからなるウレタンプレポリマーのブロック化物(X)(これは残存アミンと反応できる)の量を、イソシアネート基と反応することができる官能基を1分子中に2個以上有する化合物(y)に対して等量以上使用することにより、残存アミン量をアミン価で1以下に低減させることにも成功した。すなわち、過剰量の(X)成分中に含まれるイソシアネート基をポリウレタン樹脂微粒子(A)中の残存アミンと反応させることによって、効果的に固化物中のアミン価を低下させることに成功し、その結果、オーバーベイク時の黄変の問題も解決した。
【0014】
また、本発明者等は、上記課題(iii)を解決すべく検討した結果、本発明(iii)に到達した。すなわち本発明(iii)は、長径/短径の比が1.0〜1.5の範囲にある粒子を数平均で50%以上含有し且つ体積平均粒径が0.1μm以上200μm以下であるポリウレタン樹脂(a)からなる微粒子(A)100重量部、可塑剤(B)100重量部以上1000重量部以下、充填剤(C)1重量部以上1000重量部以下、及び硬化剤(D’)100重量部を越え600重量部以下からなるウレタン樹脂組成物であって、(D’)が、ポリオールと有機イソシアネートからなるウレタンプレポリマーのブロック化物(X)90重量部を越え300重量部以下とイソシアネート基と反応し得る官能基を1分子中に2個以上有する化合物(Z)10重量部を越え300重量部以下からなることを特徴とするウレタン樹脂組成物、該組成物からなる硬化物、及び該組成物を塗布した自動車ボデーを提供するものである。
【0015】
本発明の微粒子(A)は加熱時に可塑剤に対して溶融可能なウレタン樹脂(a)で構成されているため、加熱溶融時に速やかに溶融して急激にウレタン樹脂組成物の粘度を上昇させることができる。その結果、加熱溶融時の垂れが少ない。また、ウレタンプレポリマーのブロック化物(X)は、加熱時にブロック化剤がはずれ、イソシアネート基へと変換される。その結果、イソシアネート基と反応することができる官能基を1分子中に2個以上有する化合物(Z)と反応し、強固なウレタン樹脂組成物の硬化物となる。さらに、ブロック化剤がはずれた(X)は、微粒子(A)の構成成分であるウレタン樹脂(a)とも反応するため、より強固なウレタン樹脂組成物の硬化物となる。これは、ウレタン樹脂中に残存しているアミノ基と上記(X)のイソシアネート基が反応するためである。特にこのようなウレタン樹脂組成物の設計は、従来のアクリル樹脂や塩化ビニル樹脂からなる微粒子を用いた系では非常に困難である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明において「アミン価」とは、試料1g中に含まれるアミン成分を中和するのに要する塩酸と等量の水酸化カリウムのmg数をいう。
【0017】
本発明におけるポリウレタン樹脂(a)は、熱可塑性ポリウレタン樹脂であり、公知の方法により得られる。例えば、過剰量のジイソシアネート(a1)と数平均分子量500〜10,000の高分子ジオール(a2)および必要により低分子ジオール(a3)とから誘導されるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(a0)と、脂肪族系ジアミン(b1)と、炭素数2〜4のアルカノール基を1個もしくは2個有するモノアミン(b2)または脂肪族系モノアミン(b3)とを反応させることにより得ることができる。
【0018】
上記ジイソシアネート(a1)としては、例えば、
▲1▼炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)2〜18の脂肪族ジイソシアネート[エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等];
▲2▼炭素数4〜15の脂環族ジイソシアネート[イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロへキセン等];
▲3▼炭素数6〜14の芳香族ジイソシアネート[1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、粗製MDI、1,5−ナフチレンジイソシアネート等];
▲4▼炭素数8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネート[m−および/またはp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等];
▲5▼これらのジイソシアネートの変性物(カーボジイミド基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、ウレア基等を有するジイソシアネート変性物);
▲6▼およびこれら▲1▼〜▲5▼の2種以上の混合物が挙げられる。
これらのうち好ましいものは▲2▼脂環族ジイソシアネート、▲3▼芳香族ジイソシアネート、▲7▼芳香脂肪族ジイソシアネートであり、特に好ましいものはIPDI、水添MDI、MDI、XDIおよびTMXDIである。
【0019】
上記高分子ジオール(a2)としては、ポリエステルジオール(a21)、ポリエーテルジオール(a22)、ポリエーテルエステルジオール(a23)およびこれら2種以上の混合物(a24)が挙げられる。
【0020】
上記ポリエステルジオール(a21)としては、例えば、
(a211)低分子ジオールをポリカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体[酸無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステル、酸ハライド等]との縮合重合によるもの;
(a212)低分子ジオールを開始剤としてラクトンモノマーを開環重合したもの;および
(a213)これらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0021】
(a211)における低分子ジオールの具体例としては、脂肪族ジオール類[直鎖ジオール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど)、分岐鎖を有するジオール(プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−もしくは2,3−ブタンジオールなど)など];環状基を有するジオール類[たとえば特公昭45−1474号公報記載のもの;1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、m−またはp−キシリレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド(以下EOと略記)またはプロピレンオキサイド(以下POと略記)付加物(分子量500未満)など]およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
これらのうち好ましいものはビスフェノールAのEOまたはPO付加物である。
【0022】
(a211)におけるポリカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体の具体例としては、炭素数4〜15の脂肪族ポリカルボン酸[コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸、マレイン酸、フマル酸など]、炭素数8〜12の芳香族ポリカルボン酸[テレフタル酸、イソフタル酸など]、これらのエステル形成性誘導体[酸無水物、低級アルキルエステル(ジメチルエステル、ジエチルエステルなど)、酸ハライド(酸クロライド等)など]およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0023】
(a212)におけるラクトンモノマーとしてはγ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトンおよびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0024】
ポリエーテルジオール(a22)としては、2個の水酸基含有化合物(たとえば前記低分子ジオール、2価のフェノール類など)にアルキレンオキサイド(以下AOと略記)が付加した構造の化合物があげられる。
【0025】
上記2価のフェノール類としてはビスフェノール類[ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど]、単環フェノール類[カテコール、ハイドロキノンなど]などが挙げられる。
【0026】
AOとしては、EO、PO、1,2−、1,3−、1,4−もしくは2,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、炭素数5〜10またはそれ以上のα−オレフィンオキサイド、エピクロルヒドリンおよびこれらの2種以上の混合物(ブロックまたはランダム付加)が挙げられる。
【0027】
これらのうち好ましいものは、低分子ジオールにAOが付加したものであり、さらに好ましいものは脂肪族ジオールにPOが付加したものである。
【0028】
また、ポリエーテルエステルジオール(a23)としては、上記ポリエーテルジオールの1種以上と前記ポリエステルジオールの原料として例示したポリカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体の1種以上とを縮重合させて得られるものが挙げられる。
【0029】
高分子ジオール(a2)のうちで好ましいものはポリエステルジオール(a21)であり、さらに好ましいものはビスフェノールAのAO付加物とポリカルボン酸の1種以上とから誘導される縮合ポリエステルジオールであり、特に好ましいものはビスフェノールAのAO付加物とテレフタル酸から誘導されるポリエステルジオールである。
【0030】
高分子ジオール(a2)の数平均分子量は、固化物又は硬化物の伸びや強度の観点から、好ましくは500以上さらに好ましくは600以上特に好ましくは1,000以上であり、好ましくは10,000以下さらに好ましくは5,000以下特に好ましくは3,000以下である。
【0031】
低分子ジオール(a3)としては、前記ポリエステルジオールの出発物質として例示した化合物が使用できる。該低分子ジオール(a3)のうちで好ましいものは脂肪族ジオールである。
【0032】
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(a0)を形成する際のジイソシアネート(a1)、高分子ジオール(a2)および低分子ジオール(a3)の当量比は、(a1)1当量に対し、(a2)は通常0.1当量以上、好ましくは0.2当量以上であり、通常0.6当量以下、好ましくは0.5当量以下である。(a3)は通常0当量以上、好ましくは0.05当量以上であり、通常0.2当量以下、好ましくは0.10当量以下である。
また、該ウレタンプレポリマー(a0)のイソシアネート基含量は通常0.5重量%以上、好ましくは1.5重量%以上であり、通常10重量%以下、好ましくは6重量%以下である。
【0033】
ポリウレタン樹脂(a)は、上記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(a0)と、脂肪族系ジアミン(b1)とを反応させることにより得られる。必要により、炭素数2〜4のアルカノール基(ヒドロキシアルキル基)を1個もしくは2個有するモノアミン(b2)または脂肪族系モノアミン(b3)をさらに使用して反応させることにより得ることも出来る。
【0034】
上記(b1)としては、脂環族ジアミン[4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン等];脂肪族ジアミン[エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等];芳香脂肪族ジアミン[キシリレンジアミン、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジアミン等]およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
これらのうち好ましいものは脂環族ジアミンおよび脂肪族ジアミンであり、特に好ましいものはイソホロンジアミンおよびヘキサメチレンジアミンである。
【0035】
上記(b2)としては、モノアルカノールアミン[モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン等];ジアルカノールアミン[ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン等]およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
これらのうち好ましいものはジアルカノールアミンであり、特に好ましいものはジエタノールアミンおよびジプロパノールアミンである。
【0036】
上記(b3)としては、脂環族モノアミン[シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン等]、脂肪族モノアミン[メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、2−エチルへキシルアミン、ノニルアミン、オレイルアミン、N−メチルブチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン等]およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
これらのうち好ましいものは脂肪族モノアミンであり、特に好ましいものはブチルアミン、オクチルアミン、2−エチルへキシルアミン、ジブチルアミンである。
【0037】
ウレタンプレポリマー(a0)のイソシアネート基1当量に対する(b1)の当量は、(1)、(2)の場合以下のようになる。
(1)分散剤を含有した水中で、ポリウレタン樹脂の水分散体を形成させ、該水分散体を固液分離乾燥して微粒子(A)を得る場合
ウレタンプレポリマー(a0)のイソシアネート基1当量に対する(b1)の当量は、通常0.2〜0.98当量、好ましくは0.5〜0.95当量であり、また、(b2)または(b3)の当量は、通常0〜0.2当量、好ましくは0.05〜0.15当量である。
生成したポリウレタン樹脂中の過剰のイソシアネート基が、水中分散の時に水と反応してアミンが生成し、さらにイソシアネート基と反応して、ポリウレタン樹脂(a)となる。
(a)のイソシアネート基含量は0.1%以下であるのが好ましい。
(2)ポリウレタン樹脂を溶解しない有機溶剤中でポリウレタン樹脂の非水分散体を形成させ、該非水分散体を固液分離乾燥して微粒子(A)を得る場合、又はブロック状またはペレット状のポリウレタン樹脂を冷凍粉砕法、氷結粉砕法等の方法で粉砕し、微粒子(A)を得る場合
ウレタンプレポリマー(a0)のイソシアネート基1当量に対する(b1)の当量は、通常0.95〜1.0当量、好ましくは0.98〜0.99当量であり、また、(b2)または(b3)の当量は、通常0〜0.05当量、好ましくは0.01〜0.02当量である。ポリウレタン樹脂(a)のイソシアネート基含量は0.1%以下であるのが好ましい。
【0038】
本発明におけるポリウレタン樹脂はウレア結合(−NR−CO−NR’−;ここにRおよびR’は水素又は他の置換基を表す)を含み、樹脂中のウレア結合とウレタン結合の比が9/1〜1/10であることが好ましい。
【0039】
本発明の微粒子(A)の粒子形状は、不定形であっても球状であってもよい。常温下でのペーストの流動性、過熱固化(硬化)時の固化(硬化)性の点で、微粒子のうちその長径/短径の比が1.0〜1.5の範囲にある粒子を数平均で50%以上含有し、好ましくは70%以上含有する。50%未満しか含有しない場合は、ウレタン樹脂組成物が粘稠となり、塗工し難くなる。粒子の形状は球状であることがより好ましい。但し、本明細書において「球状」とは、真球の形状に限定されず、長径/短径の比が、1.0〜1.5の範囲にある全体として丸い形状を指す。なお、上記所定の条件を満たす粒子の比率(数平均)の測定は、測定対象である均一に攪拌された組成物から少量を無作為にサンプリングし、サンプルにつき、一視野に100個以上の粒子が相互に離れた状態で撮影される条件で電子顕微鏡写真を撮り、写真上の粒子の全部について形状を観察、測定し、所定条件を満たす粒子の数を粒子総数で除すことにより行われる。
【0040】
本発明の微粒子(A)の体積平均粒径は、ペーストの貯蔵安定性や固化(硬化)性の観点より、0.1μm以上、好ましくは1μm以上であり、200μm以下、好ましくは100μm以下、特に好ましくは50μm以下である。0.1μm未満の場合は、ペーストの貯蔵安定性が悪化し、200μmを越える場合はペースト粘度が低くなり、塗工時に垂れるといった問題が発生する。体積平均粒径の測定は、水を溶媒としてレーザー散乱式粒度分布測定装置(例:LA−920(堀場製作所製))で行われる。
【0041】
上記微粒子(A)の製造方法としては特に限定されないが、たとえば以下の方法が例示できる。
▲1▼ブロック状またはペレット状のポリウレタン樹脂を冷凍粉砕法、氷結粉砕法等の方法で粉砕し、微粒子(A)を得る方法。
▲2▼ポリウレタン樹脂を溶解しない有機溶剤(n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタンなど)中でポリウレタン樹脂の非水分散体を形成させ、該非水分散体を固液分離乾燥して微粒子(A)を得る方法(例えば特開平04−255755号公報明細書に記載の方法)。
▲3▼分散剤を含有した水中で、ポリウレタン樹脂の水分散体を形成させ、該水分散体を固液分離乾燥して微粒子(A)を得る方法(例えば特開平07−133423号および特開平08−120041号各公報明細書に記載の方法)。
これらのうちでは、多量の有機溶剤を使用せずしかも所望の形状・粒径の微粒子が容易に得られる点で▲3▼の方法が好ましい。
【0042】
▲1▼の方法においては、上記説明のプレポリマー法と異なり、ジイソシアネート(a1)と高分子ジオール(a2)および必要により低分子ジオール(a3)を一括して反応(ワンショット法)させて得られるポリウレタン樹脂を用いることができる。
▲2▼の方法は具体的には、シクロヘキサン等のポリウレタン樹脂を溶解しない有機溶剤中でウレタン樹脂もしくはウレタン樹脂溶液を攪拌下にて分散させ、溶媒中に分散された微粒子を取り出し乾燥させることによって(A)を得る方法である。
▲3▼の方法は具体的には、水系媒体中で、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(a0)と、伸長剤および必要により停止剤、架橋剤を反応させることによりポリウレタン樹脂からなる微粒子を得ることができる。
伸長剤としては、脂肪族系ジアミン(b1)及び(b1)のブロック化物が挙げられる。好ましくは(b1)のブロック化物である。
ブロック化剤としては、炭素数3〜8のケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)が挙げられる。
停止剤としては、炭素数2〜4のアルカノール基を1個もしくは2個有するモノアミン(b2)及び脂肪族系モノアミン(b3)が挙げられる。
架橋剤としては、3〜6価のポリアミン(ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン)が挙げられる。
ウレタンプレポリマー(a0)のイソシアネート基1当量に対する伸長剤の当量は、(1)、(2)の場合以下のようになる。
(1)上記▲3▼の場合
ウレタンプレポリマー(a0)のイソシアネート基1当量に対する伸長剤の当量は、通常0.2〜0.98当量、好ましくは0.5〜0.95当量であり、また、停止剤の当量は、通常0〜0.2当量、好ましくは0.05〜0.15当量であり、架橋剤の当量は、通常0〜0.05当量、好ましくは0.01〜0.02当量である。
(2)上記▲1▼又は▲2▼の場合
ウレタンプレポリマー(a0)のイソシアネート基1当量に対する伸長剤の当量は、通常0.95〜1.0当量、好ましくは0.98〜0.99当量であり、また、停止剤の当量は、通常0〜0.05当量、好ましくは0.01〜0.02当量であり、架橋剤の当量は、通常0〜0.02当量、好ましくは0.01〜0.02当量である。
【0043】
ポリウレタン樹脂(a)の数平均分子量は、固化時の溶融粘度の観点より、通常1,000〜200,000、好ましくは10,000〜100,000である。数平均分子量はゲルパーミィエーションクロマトグラフィー(以下GPCと略記する)により測定することができる。
【0044】
(a)の熱軟化点は、ペーストの貯蔵安定性と固化性の観点より、通常80〜250℃、好ましくは100〜200℃、更に好ましくは、140〜180℃である。なお、ここでいう熱軟化点は熱機械分析針入方式により測定することができる(測定条件:昇温速度5℃/分、荷重5g、針直径0.5mm)。本熱機械分析針入方式は、たとえば、斉藤安俊著「物質科学のための熱分析の基礎」[1990年共立出版発行]350頁や日本熱測定学会編「新熱分析の基礎と応用」[(株)リアライズ社発行]68頁に記載された方法である。
【0045】
(a)のガラス転移温度(Tg)は、通常−100℃〜200℃、好ましくは−30℃〜150℃、更に好ましくは30℃〜120℃である。
なおここでいうTgは示差走査熱量計(セイコー製 RTC220、−50〜250℃の間で昇温と降温を行い、その時の吸熱および発熱を測定)を用いて測定することができる。
【0046】
(a)の溶解性パラメーター(以下SP値と略記)は通常8〜13、好ましくは9〜12である。なお、ここでいうSP値は、「Polymer Engineering and Science,Vol.14,No.2,p147〜154(1974)」記載の方法により計算される値である。すなわちSP値δ(25℃)は次式により与えられる。
【0047】
【数1】
Figure 2004059906
【0048】
ここに、ΔE、V:それぞれ凝集エネルギー密度、モル体積。
Δe、Δv:それぞれ原子または原子団の蒸発エネルギー、モル体積。
但し、Tg>25℃の樹脂についてはモル体積に次の値が加算される。
n<3のとき、+Δvi=4n
n≧3のとき、+Δvi=2n
ここに、n:ポリマーの最少繰返し単位中の主鎖骨格原子の数。
【0049】
本発明において使用される可塑剤(B)としては、何ら限定されず、以下のものが例示される。
(B1)フタル酸エステル[フタル酸ジブチル(SP値9.4、融点−35℃)、フタル酸ジオクチル(SP値8.9、融点−55℃)、フタル酸ブチルベンジル(SP値10.7、融点−40℃)、フタル酸ジイソデシル(SP値8.2、融点−21℃)等];
(B2)脂肪族2塩基酸エステル[アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル(SP値8.6、融点−70℃)、セバシン酸−2−エチルヘキシル(SP値8.6、融点−62℃)等];
(B3)トリメリット酸エステル[トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル(SP値9.5、融点−30℃)等];
(B4)燐酸エステル[リン酸トリ−2−エチルヘキシル(SP値9.2、融点−70℃)、リン酸トリクレジール(SP値9.9、融点−35℃)、リン酸−2−エチルヘキシルジフェニル(SP値10.0、融点−54℃)等];
(B5)ポリアルキルエーテル安息香酸ジエステル[ポリエチレングリコール安息香酸ジエステル(SP値10.9〜10.4)、ポリプロピレングリコール安息香酸ジエステル(SP値10.2〜9.0)等];
(B6)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
このうち好ましいものはフタル酸エステル(B1)および燐酸エステル(B4)およびポリアルキルエーテル安息香酸ジエステル(B5)である。
【0050】
該可塑剤(B)のSP値と前記微粒子(A)のSP値の絶対値の差は、(B)と(A)との相溶性の観点より、通常2.5以下であり、好ましくは2.0以下である。
【0051】
該可塑剤(B)の融点は、低温での流動性の観点より、通常0℃以下、好ましくは−30〜−50℃またはそれ以下である。
【0052】
本発明において、充填剤(C)としては、無機粉体(重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、マイカ、ベントナイト、クレー、セリサイト、アスベスト、金属粉末、セラミック粉末、ゼオライト、スレート粉、ガラス粉)、バルーン類(ガラスバルーン、セラッミクバルーン、シラスバルーン、)、樹脂粉末(アクリル樹脂粉、フェノール樹脂粉、エポキシ樹脂粉、アスファルト粉末、石炭粉)、無機繊維類(ガラス繊維、炭素繊維)、有機繊維類(アラミド繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維)が例示される。
粉体(粉末)の場合、(C)の粒径は、ウレタン樹脂組成物の流動性の観点より、0.01〜200μmが好ましい。
【0053】
本発明において使用される接着性付与剤(D)又は硬化剤(D’)は、ウレタンプレポリマーのブロック化物(X)と、イソシアネート基と反応することができる官能基を1分子中に2個以上有する化合物(y)とからなる。さらにブロック化物(X)はウレタンプレポリマー(x1)とブロック化剤(x2)とからなる。
【0054】
該(x1)は前出のウレタン樹脂微粒子(A)で例示したウレタンプレポリマー(a0)と同様のものが使用できる。
好ましくは、ポリエーテルジオールの両水酸基末端と芳香族系ポリイソシアネートを反応させて製造されるウレタンプレポリマーであり、さらに好ましくはポリプロピレングリコール(分子量400)の両水酸基末端とトルイレンジイソシアネートを反応させて製造したウレタンプレポリマーである。
【0055】
上記(x2)としては、オキシム類[アセトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、ジエチルケトオキシム、シクロペンタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、メチルエチルケトオキシム等];ラクタム類[γ−ブチロラクタム、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム等];炭素数1〜20の脂肪族アルコール類[エタノール、メタノール、オクタノール等];フェノール類[フェノール、m−クレゾール、キシレノール、ノニルフェノール等];活性メチレン化合物[アセチルアセトン、マロン酸エチル、アセト酢酸エチル等];塩基性チッソ含有化合物[N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、2−ヒドロキシピリジン、ピリジンN−オキサイド、2−メルカプトピリジン等];およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
これらのうち好ましいのはオキシム類であり、特に好ましいものはメチルエチルケトオキシムである。
【0056】
イソシアネート基と反応することができる官能基を1分子中に2個以上有する化合物(y又はZ)としては、水酸基、アミノ基、エポキシ基、または活性メチレン基を有する化合物が例示される。該化合物の数平均分子量は、好ましくは300以上5000以下、さらに好ましくは400以上1000以下である。
【0057】
水酸基を有する化合物としては、前出の高分子ジオール(a2)及び低分子ジオール(a3)が例示される。該(a2)として好ましいものは 低分子ジオールにAOが付加したものであり、さらに好ましいものは脂肪族ジオールにEOが付加したものである。また、該(a3)として好ましいものは1,4−ブタンジオールである。
【0058】
アミノ基を有する化合物としてはポリアミン類およびアミノアルコール類があげられる。
【0059】
ポリアミン類としては、
(1)脂肪族ポリアミン類(C〜C18):脂肪族ポリアミン、たとえばC〜C アルキレンジアミン〔エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど〕、ポリアルキレン(C〜C)ポリアミン〔ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなど〕、これらのアルキル(C〜C)またはヒドロキシアルキル(C〜C)置換体〔ジアルキル(C〜C)アミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、メチルイミノビスプロピルアミンなど〕;脂環または複素環含有脂肪族ポリアミン、たとえば3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなど;芳香環含有脂肪族アミン類(C 〜C15)、たとえばキシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミンなど;
(2)脂環式ポリアミン(C 〜C15)、たとえば1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンタンジアミン、4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)など;
(3)複素環式ポリアミン(C 〜C15)たとえばピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジンなど;
【0060】
(4)芳香族ポリアミン類(C 〜C20):非置換芳香族ポリアミン、たとえば1,2−、1,3−および1,4−フェニレンジアミン、2,4’−および4,4’−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン[ポリフェニルポリメチレンポリアミン]、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリアミン、ナフチレンジアミン;
核置換アルキル基(たとえばメチル、エチル、n−およびi−プロピル、ブチルなどのC〜Cアルキル基)を有する芳香族ポリアミン、たとえば2,4−および2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジエチル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジブチル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1,3,5−トリエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリイソプロピル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジイソプロピル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジブチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、3,3’,5,5’−テトライソプロピルベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジイソプロピル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−2,2’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、これらの異性体の種々の割合の混合物;
核置換電子吸引基(たとえばCl、Br、I、Fなどのハロゲン;メトキシ、エトキシなどのアルコキシ基;ニトロ基など)を有する芳香族ポリアミン、たとえばメチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリン;4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−5,5’−ジブロモ−ジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキシド、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス(4−アミノフェニル)スルフイド、ビス(4−アミノフェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフイド、4,4’−メチレンビス(2−ヨードアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−ブロモアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−フルオロアニリン)、4−アミノフェニル−2−クロロアニリン;
2級アミノ基を有する芳香族ポリアミン[上記芳香族ポリアミンの−NHの一部または全部が−NH−R’(R’はアルキル基たとえばメチル、エチルなどの低級アルキル基)で置き換ったもの]たとえば4,4’−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼン;
【0061】
(5)ポリアミドポリアミン[たとえばジカルボン酸(ダイマー酸など)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミン類(上記アルキレンジアミン、ポリアルキレンポリアミンなど)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミン];
(6)ポリエーテルポリアミン[ポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコールなど)のシアノエチル化物の水素化物];
(7)シアノエチル化ポリアミン[たとえばアクリロニトリルとポリアミン類(上記アルキレンジアミン、ポリアルキレンポリアミンなど)との付加反応により得られるシアノエチル化ポリアミン、たとえばビスシアノエチルジエチレントリアミンなど]
(8)ヒドラジン類(ヒドラジン、モノアルキルヒドラジンなど)、ジヒドラジッド類(コハク酸ジヒドラジッド、アジピン酸ジヒドラジッド、イソフタル酸ジヒドラジッド、テレフタル酸ジヒドラジッドなど)、グアニジン類(ブチルグアニジン、1−シアノグアニジンなど);およびジシアンジアミドなど;ならびにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
これらのポリアミン類のうちで好ましいのは、ポリアミドポリアミンである。
【0062】
アミノアルコール類としては、アルカノールアミン類、たとえばモノ−、ジ−およびトリ−のアルカノールアミン(モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、モノブタノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミンなど);これらのアルキル(C〜C)置換体〔N,N−ジアルキルモノアルカノールアミン(N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミンなど)、N−アルキルジアルカノールアミン(N−メチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミンなど)〕;およびこれらのジメチル硫酸あるいはベンジルクロリドなどの4級化剤による窒素原子4級化物があげられる。
これらのうちで好ましいのはモノエタノールアミンである。
【0063】
エポキシ基を含む化合物としては、脂肪族系、脂環族系、複素環系あるいは芳香族系のいずれであってよい。
【0064】
芳香族系としては、多価フェノールのグリシジルエーテル体およびグリシジル芳香族ポリアミンが挙げられる。
多価フェノールのグリシジルエーテル体としては、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールBジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ハロゲン化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラクロロビスフェノールAジグリシジルエーテル、カテキンジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ピロガロールトリグリシジルエーテル、1,5−ジヒドロキシナフタリンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、オクタクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、フェノールまたはクレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル体、ビスフェノールA2モルとエピクロロヒドリン3モルの反応から得られるジグリシジルエーテル体、フェノールとグリオキザール、グルタールアルデヒド、またはホルムアルデヒドの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体、およびレゾルシンとアセトンの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体が挙げられる。
グリシジル芳香族ポリアミンとしては、N,N−ジグリシジルアニリンおよびN,N,N’,N’−テトラグリシジルジフェニルメタンジアミンが挙げられる。
さらに、本発明において前記芳香族系として、トリレンジイソシアネートまたはジフェニルメタンジイソシアネートとグリシドールの付加反応によって得られるジグリシジルウレタン化合物、前記2反応物にポリオールも反応させて得られるグリシジル基含有ポリウレタン(プレ)ポリマーおよびビスフェノールAのアルキレンオキシド(エチレンオキシドまたはプロピレンオキシド)付加物のジグリシジルエーテル体も含む。
【0065】
複素環系としては、トリスグリシジルメラミンが挙げられる。
【0066】
脂環族系としては、ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエール、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、およびビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ブチルアミンが挙げられる。また、脂環族系としては、前記芳香族系ポリエポキシド化合物の核水添化物も含む。
【0067】
脂肪族系としては、多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体、多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体、およびグリシジル脂肪族アミンが挙げられる。
多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、およびソルビトールポリグリシジルエーテルが挙げられる。
多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体としては、ジグリシジルアジペートが挙げられる。
グリシジル脂肪族アミンとしては、N,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミンが挙げられる。
また、本発明において脂肪族系としては、グリシジル(メタ)アクリレートの(共)重合体も含む。
【0068】
これらのうち、好ましいのはビスフェノールAジグリシジルエーテルである。
【0069】
活性メチレン基を有する化合物としては、アセトアセトキシエチルメタクリレート等の活性メチレン基含有α、β−不飽和化合物の単独重合体または共重合体などが例示される。
【0070】
水酸基、アミノ基、エポキシ基、または活性メチレン基を有する化合物などのイソシアネート基と反応することができる官能基を一分子中に2個以上有する化合物は(y又はZ)は、一種単独でも使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0071】
接着性付与剤(D)中の(y)のイソシアネート基と反応することができる官能基1当量に対するウレタンプレポリマーのブロック化物(X)中のブロック化されたイソシアネート基との当量比は、接着性の観点からは、好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.9以上、好ましくは5以下、さらに好ましくは3以下、最も好ましくは1.1以下である。
【0072】
また、接着性付与剤(D)中の(y)のイソシアネート基と反応することができる官能基1当量に対するウレタンプレポリマーのブロック化物(X)中のブロック化されたイソシアネート基との当量比は、残存アミン価の観点からは、好ましくは1.1を越え、さらに好ましくは1.2以上、最も好ましくは1・3以上であり、接着性の観点から好ましくは20以下、さらに好ましくは5以下、最も好ましくは3以下である。
【0073】
また、(Z)のイソシアネート基と反応することができる官能基1当量に対する上記(X)中のブロック化されたイソシアネート基との当量比は、硬化物物性(破断強度、破断伸び)の点からは、好ましくは5〜0.5当量、さらに好ましくは3〜0.9当量であり、特に好ましくは、2〜1.1当量である。
【0074】
本発明(i)のポリウレタンペースト組成物において、微粒子(A)に対する可塑剤(B)、充填剤(C)および接着性付与剤(D)の配合割合は、次のとおりである。すなわち:
(A)100重量部あたり、(B)は、ペースト粘度の観点から好ましくは50重量部以上、さらに好ましくは70重量部以上であり、破断強度の観点から好ましくは300重量部以下、さらに好ましくは200重量部以下である。
(A)100重量部あたり、(C)は、固化物硬度の観点から好ましくは1重量部以上、さらに好ましくは50重量部以上であり、破断伸びの観点から好ましくは300重量部以下、さらに好ましくは200重量部以下である。
(A)100重量部あたり、(D)は、接着性の観点から好ましくは1重量部以上、さらに好ましくは5重量部以上であり、ペースト粘度の観点から好ましくは100重量部以下、さらに好ましくは30重量部以下である。
(D)は、ポリオールと有機イソシアネートからなるウレタンプレポリマーのブロック化物(X)と、イソシアネート基と反応し得る官能基を1分子中に2個以上有する化合物(y)とからなる。
(A)100重量部あたり、(X)は、接着性の観点から好ましくは0.9重量部以上、さらに好ましくは1.5重量部以上であり、ペースト粘度の観点から好ましくは90重量部以下、さらに好ましくは20重量部以下である。
(A)100重量部あたり、(y)は、接着性の観点から好ましくは0.1重量部以上、さらに好ましくは0.5重量部以上であり、ペースト粘度の観点から好ましくは10重量部以下、さらに好ましくは5重量部以下である。
【0075】
本発明(ii)のペースト組成物において、微粒子(A)に対する可塑剤(B)および充填剤(C)および接着性付与剤(D)の配合割合は、本発明の(i)ペースト組成物について上に規定したのと同一であるが、(A)に対する(X)及び(y)の量比は次のとおりである。すなわち:
(A)100重量部あたり、(X)は、接着性の観点から好ましくは0.9重量部以上、さらに好ましくは2重量部以上であり、ペースト粘度の観点から好ましくは90重量部以下、さらに好ましくは30重量部以下である。
(A)100重量部あたり、(y)は、接着性の観点から好ましくは0.1重量部以上、さらに好ましくは0.3重量部以上であり、ペースト粘度の観点から好ましくは10重量部以下、さらに好ましくは3重量部以下である。
【0076】
本発明(iii)のウレタン樹脂組成物において、微粒子(A)に対する可塑剤(B)、充填剤(C)及び硬化剤(D’)の配合割合は、次のとおりである。すなわち:
(A)100重量部あたり、(B)は、100重量部以上、好ましくは200重量部以上であり、1000重量部以下、好ましくは400重量部以下である。(B)が100重量部より少ないと、ペースト粘度が高く塗工し難くなり、(B)が1000重量部より多いと十分な破断強度が達成できなくなる。
(A)100重量部あたり、(C)は、1重量部以上、好ましくは100重量部以上であり、1000重量部以下、好ましくは300重量部以下である。(C)が1重量部より小さいと、塗工時の粘度調整がし難く、1000重量部より多いと破断伸びが大幅に低下する。
(A)100重量部あたり、(D’)は、100重量部を越え、好ましくは110重量部以上、さらに好ましくは150重量部以上であり、600重量部以下、好ましくは400重量部以下である。(D’)が100重量部以下であると十分な破断強度が達成できず、600重量部より多いと相対的に(A)が少なくなるため、加熱時のタレ止め性能が低下する。
(D’)はポリオールと有機イソシアネートからなるウレタンプレポリマーのブロック化物(X)と、イソシアネート基と反応し得る官能基を1分子中に2個以上有する化合物(Z)とからなる。
(A)100重量部あたり、(X)は、90重量部を越え、好ましくは100重量部以上、さらに好ましくは150重量部以上であり、300重量部以下、好ましくは200重量部以下である。(X)が90重量部以下であると、十分な破断強度が達成できず、(X)が300重量部を越えると、相対的に(A)が少なくなるため、加熱時のタレ止め性能が低下する。
(A)100重量部あたり、(Z)は、10重量部を越え、好ましくは30重量部以上であり、300重量部以下、好ましくは200重量部以下である。(Z)が10重量部以下であると、十分な破断強度が達成できず、(Z)が300重量部を越えると、加熱時のタレ止め性能が低下する。
また、タレ防止の観点からウレタン樹脂組成物全体に対して(A)が10重量%以上含まれていることが好ましく、15重量%以上含まれていることがさらに好ましい。
さらに、硬化物の機械的物性の観点より、(X)、(Z)及び(B)の重量比が下記の式(1)を満足することが好ましい。
(X)+(Z)>(B) ・・・・(1)
【0077】
本発明(i)〜(iii)の組成物において、必要に応じて顔料(E)を添加することができる。上記(E)は特に限定されず、公知の有機顔料および/または無機顔料を使用することができる。
有機顔料としては例えば不溶性アゾ顔料、溶性アゾ顔料、銅フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料等が挙げられ、無機系顔料としては例えばクロム酸塩、フェロシアン化合物、金属酸化物、硫化セレン化合物、金属塩類(硫酸塩、珪酸塩、炭酸塩、燐酸塩等)、カーボンブラック等が挙げらる。
【0078】
本発明(i)〜(iii)の組成物において、(A)に対する(E)の配合割合は、(A)100重量部あたり、(E)が通常0〜5重量部、好ましくは1〜3重量部である。
【0079】
また必要に応じて、アニオン系、カチオン系またはノニオン系の分散剤(S)を使用することができる。(S)の配合割合は組成物全体に対し、通常0重量部以上、好ましくは1重量部以上であり、5重量部以下、好ましくは3重量部以下である。
【0080】
本発明(i)又は(ii)のポリウレタンペースト組成物の製造方法は特に限定されないが、以下の方法が例示される。
▲1▼(A)の微粒子、(B)および(C)および(D)を一括して混合装置で混合する方法。
▲2▼あらかじめ(A)および(B)および(D)を混合しておき、これを(C)の粉体と混合する方法。
▲3▼(A)の微粒子を製造する任意の段階であらかじめ(B)および(C)および(D)の一部または全部を含有させておく方法。
【0081】
本発明(iii)のウレタン樹脂組成物の製造方法も特に限定されないが、以下の方法が例示される。
▲1▼(A)、(B)、(C)、(X)、(Z)および必要により(E)および(S)を一括して混合装置で混合する方法。
▲2▼あらかじめ(A)および(B)を混合しておき、これを(C)、(X)、(Z)および必要により(E)および(S)の粉体と混合する方法。
▲3▼(A)を製造する任意の段階であらかじめ(B)、(C)、(X)、(Z)および必要により(E)および(S)の一部または全部を含有させておく方法。
これらのうち、好ましいのは▲2▼である。
【0082】
本発明の組成物の製造装置は特に限定されず、公知の混合・分散装置を使用することができる。
混合装置としては、高速剪断混合装置(例えばへンシェルミキサー等)、低速混合装置(例えばナウタミキサー、プラネタリーミキサー等)、ビーズミル、3本ロール等が挙げられる。
これらの混合装置のうち、本発明(iii)の組成物製造において好ましいのは低速混合装置(ナウタミキサー、プラネタリーミキサー)である。
【0083】
本発明(i)又は(ii)のペースト組成物は、所望の部位に塗布後、温度100〜180℃で加熱すると樹脂微粒子が可塑剤を吸収して膨潤し、充填剤と一体化して固化物となる。
該固化物のTgは低温時での固化物の破断を防ぐ観点から、−70℃〜10℃が好ましく、さらに好ましくは−70℃〜−30℃である。
【0084】
また、本発明(iii)のウレタン樹脂組成物は、所望の部位に塗布後、温度100〜180℃で加熱するとブロックイソシアネートのブロック化剤がはずれて、イソシアネート基と反応することができる官能基と反応し、硬化する。さらに本反応と同時に樹脂微粒子が可塑剤を吸収して膨潤し、これもイソシアネート基と反応してより強固な硬化物となる。
該硬化物のTgは低温時での硬化物の破断を防ぐ観点から、−70℃以上が好ましく、同様の観点から10℃以下が好ましく、−30℃以下がさらに好ましい。
【0085】
本発明(i)又は(ii)のペースト組成物からなるシーリング材は、自動車ボデー、機械部品等のシーリングに用いられ、主として自動車ボデーの車体の鋼板接合部及び/又は鋼板エッジ部に塗布して使用される。
通常は、常温で所望の流動性を有するゾル状品として用いられるが、自動車のモヒカン部用等、加熱時の垂れが問題になる用途では、形態保持剤を併用して用いるか、またはペースト組成物を支持体(不織布、紙、繊維、フィルム等)に含浸させて、ロール状、テープ状もしくはシート状に加工して用いることができる。
【0086】
本発明(iii)の組成物も、自動車ボデーおよびアンダーコート、土木・建築分野におけるパテ、目地止め材等のシーラ材として用いられる。特に、自動車ボデーの鋼板接合部及び/又は鋼板エッジ部に塗布し、加熱固化させてシーラ材として好適に使用される。
【0087】
本発明の組成物は、25℃での粘度が5,000mPa・s〜300,000mPa・sであることが好ましい。塗工時のたれ防止の観点から5,000mPa・s以上が好ましく、塗工機から吐出可能とする観点から300,000mPa・s以下が好ましい。
組成物の粘度は、BH型粘度計にて測定することができる。
【0088】
本発明(i)又は(ii)の組成物には、形態保持剤として、熱可塑性樹脂(F)および/または常温にて固体であって、80℃以上に加熱することにより速やかに軟化する結晶性の化合物(G)を配合することができる。(F)および/または(G)を配合した組成物は形態保持性の観点から、25℃での硬度(JIS
A)が20以上が好ましく、作業性の観点から80以下が好ましい。
硬度はJIS K6301に準じて測定することができる。
【0089】
(F)としては、用いられる他の材料に混合分散され得るものであれば特に限定されず、付加重合系、重縮合系、重付加系および開環重合系の樹脂などが挙げられる。
【0090】
付加重合系の樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリーp−キシリレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、フッ素樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルエーテル、ポリブタジエン等のジエン系ポリマー、およびこれらの共重合物等が挙げられる。
重縮合系樹脂としてはポリアミド、熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン等が、重付加系樹脂としては熱可塑性ポリウレタン等が挙げられる。開環重合系樹脂としてはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフランなどのアルキレンオキシド重合体、ポリアセタール等が挙げられる。
【0091】
(G)としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、重合ワックス、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、変性ワックス、蜜ロウ、鯨ロウ、カルナバロウ等の等のワックス類、ドデカ二酸、ピロメリット酸、トリメリット酸等の多塩基酸類並びにそれらの酸無水物および多価金属塩類、ジメチルスルホン、樟脳、尿素等が挙げられる。
【0092】
微粒子(A)に対する(F)および(G)の配合割合は、(A)100重量部あたり、(F)が通常0〜300重量部、好ましくは50〜200重量部、(G)が通常0〜200重量部、好ましくは10〜100重量部である。
【0093】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下の記載において「部」は重量部、「%」は重量%を示す。
【0094】
製造例1
反応容器に数平均分子量2000、水酸基価56のプロピレンオキシド2mol付加ビスフェノールAテレフタレート900部を投入し、減圧下、140℃で2時間脱水を行った後、酢酸エチル(希釈溶剤)1100部とMDI250部を投入し、80℃で10時間反応を行いイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(これを「プレポリマー(a−1)」とする)を得た。プレポリマー(a−1)のイソシアネート基含量は、1.8%であった。
別の容器に、ポリビニルアルコール(PVA)[「PVA−235」、(株)クラレ製]20部と水700部を投入して、撹拌し、溶解してPVA溶解液を得た。そこへプレポリマー(a−1)300部を投入し、ウルトラディスパーザー(ヤマト科学製)を使用して回転数10,000rpmで1分間混合して分散液を得た。
この分散液を、別の反応容器に移し、イソホロンジアミン9部とジブチルアミン1部を投入し、50℃で10時間反応を行った。反応終了後、濾別、乾燥を行い、ウレタン樹脂微粒子(A−1)を得た。該ウレタン樹脂微粒子(A−1)の数平均分子量(GPC測定による、以下同様)は、40,000、Tg(DSC測定による、以下同様)は、90℃、SP値は11.7、体積平均粒径は、5μm、長径/短径の比が1.0〜1.5の範囲にある球状粒子の比率が99%(電子顕微鏡にて観察。すなわち、電子顕微鏡で視野に約100個の粒子が入るように写真を撮り、個数をカウントすることにより測定。)であった。
【0095】
製造例2
反応容器に数平均分子量が400、水酸基価が280のポリプロピレングリコール160部を投入し、減圧下、140℃で2時間脱水を行った後、酢酸エチル(希釈溶剤)40部とMDI200部を投入し、80℃で10時間反応を行いイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー[これを「プレポリマー(a−2)」とする]を得た。プレポリマー(a−2)のイソシアネート基含量は、8.0%であった。
製造例1に記載されたPVA溶解液720部へプレポリマー(a−2)200部を投入し、ウルトラディスパーザー(ヤマト科学製)を使用して回転数10,000rpmで1分間混合して分散液を得た。
この分散液を、別の反応容器に移し、イソホロンジアミン30部とジブチルアミン1部を投入し、80℃で10時間反応を行った。反応終了後、濾別、乾燥を行い、ウレタン樹脂微粒子(A−2)を得た。該ウレタン樹脂微粒子(A−2)の数平均分子量は、45,000、Tgは65℃、SP値は11.1、体積平均粒径は6μm、長径/短径の比が1.0〜1.5の範囲にある球状粒子の比率が99%(電子顕微鏡にて観察)であった。
【0096】
製造例3
攪拌機、温度計および窒素導入管を付した2リットル容積の4ツ口コルベンにポリプロピレングリコール(水酸基価280、分子量400)800部(20モル)及びトルイレンジイソシアネート522部(30モル)を仕込み、窒素気流下70〜75℃でかきまぜながら5時間反応させて、活性イソシアネート含有量が6.40%のウレタンプレポリマー(イソシアネート基等量661)を得た。さらにこのものにMEKオキシム182.7部(2.1モル)を徐々に加え、70℃で約1時間撹拌したのち、赤外吸収スペクトルによりイソシアネート基の吸収(2250cm−1)が完全に消失していることを確認し、常温で粘稠ペースト状のブロック化ウレタンプレポリマー(X−1)を得た。
【0097】
実施例1〜3(本発明(i))、比較例1〜3
[組成物の調製]
表1に示す配合で、プラネタリーミキサーを用いて材料を均一に混合した後、1時間真空下で撹拌脱泡することによって、本発明(i)による実施例1〜3のポリウレタンペースト組成物、および比較例1〜3の組成物を調製した。
【0098】
【表1】
Figure 2004059906
【0099】
ポリマイドL−2590:ダイマー酸系ポリアミン系ポリアミドアミン(三洋化成工業製)
ポリマイドL−45−3:ダイマー酸−ポリアルキレンポリアミン系ポリアミドアミン(三洋化成工業製)
可塑剤(#41):ジフェニルオクチルホスフェート(大八化学工業製)
充填剤(重質炭カル):重質炭酸カルシウム(「NS−100」、日東粉化工業製)
接着性付与剤当量比:ブロック化ウレタンプレポリマー(X−1)/ポリアミドアミン(y−1またはy−2)
【0100】
実施例4〜6(本発明(ii))、比較例4〜5
[組成物の調製]
表2に示す配合で、プラネタリーミキサーを用いて材料を均一に混合した後、1時間真空下で撹拌脱泡することによって、本発明(ii)による実施例4〜6のポリウレタンペースト組成物、および比較例4〜5の組成物を調製した。
【0101】
【表2】
Figure 2004059906
【0102】
実施例7〜9(本発明(iii))、比較例6〜8
[ウレタン樹脂組成物の調製]
表3に示す配合で、プラネタリーミキサーを用いて材料を均一に混合した後、1時間真空下で撹拌脱泡することによって、本発明(iii)による実施例7〜9、および比較例6〜8のウレタン樹脂組成物を調製した。
【0103】
【表3】
Figure 2004059906
【0104】
[評価試験]
表1〜3の各組成物について、以下の項目のうち必要なものにつき試験を行った。
【0105】
(ペースト粘度)
調製した各実施例および比較例の組成物についての粘度は、25℃での粘度をBH型粘度計(東京計器製)(回転数20rpm、ロータNo.7)にて測定した。
【0106】
(密着性・剪断接着力)
予めカチオン電着塗装をした金属板を試験片とし、JIS K6830に規定する方法に従って、各組成物を塗布し、次いで150℃で20分間加熱して、焼き付けを行った。次いで、JIS K6830に規定する方法に従い剪断接着試験を行った。密着性の評価基準は、以下の通りである。
○:完全な凝集破壊
△:部分的に界面破壊が生じる痕跡破壊
×:完全な界面剥離
【0107】
(温水浸漬後密着性・温水浸漬後剪断接着力)
上記と同様に、各組成物を塗布し、焼き付けた後、40℃の温水に10日間浸漬した。次いで、JIS K6830に規定する方法に従い剪断接着試験を行った。評価基準は、上記密着性の場合と同様とした。
【0108】
(低温折り曲げ試験)
カチオン電着塗装した試験板上に耐熱離型紙を貼り付け、その上に、調製した組成物を100mm×30mm、厚さ3±1mmとなるように塗布し、140℃で30分間加熱して固化(又は硬化)させた。この固化(硬化)物を−30℃の恒温槽に3時間保持後、素早く(2秒以内)180°折り曲げ、柔軟性を調べた。
○:クラックを生じない
△:若干のクラック発生
×:割れる
【0109】
(固化(硬化)物物性)
カチオン電着塗装した試験板上に耐熱離型紙を貼り付け、その上に、調製した組成物を厚さ3±1mmとなるように塗布し、140℃で30分間加熱して固化(硬化)させた。この固化(硬化)物に関して25℃における破断強度、伸び率および硬度(JIS A)を、JIS K6301に準じて測定した(試験片の寸法は、JIS K6301に記載の通りとした)。尚、硬度に関しては、焼き付けた固化(硬化)物を重ね合わせて厚さ約10±1mmとしてから測定した。
【0110】
(貯蔵安定性)
各組成物を、35℃、7日間保管後に、25℃での粘度を測定した(粘度計のメーカ、型番、測定条件は上記ペースト粘度に同じ)。評価は、増粘率を下記の式に従って算出することによって行った。
増粘率=[(保管後粘度−初期粘度)/初期粘度]×100
【0111】
(垂れ性)
カチオン電着塗装した試験板上に直径10mm、長さ100mmの半円型のビード状に各組成物を塗布し、試験板を垂直に保持し、140℃で30分間加熱し、取り出した後、室温まで放冷後垂れ流れ距離を測定した。
【0112】
(アミン価)
カチオン電着塗装した試験板上に直径10mm、長さ100mmの半円型のビード状に各組成物を塗布し、140℃で30分間加熱した。固化物約2gを三角フラスコに採取し、ジメチルホルムアミド30gを加え溶解した。ブロムクレゾールグリーン指示薬を入れN/100塩酸標準溶液で滴定した。青色から黄色に変わった点を終点とした。下記計算式に基づき計算し、アミン価とした。同様にして、ジメチルホルムアミド30gについて空試験を行い、空試験時の滴定ml数をA’とする。
アミン価=(A−A’)×f×(1/100)×(1/1000)×56.1×1000×(1/S)
=(((A−A’)×f×56.1)/S)/100
=[(A−A’)×f×0.561]/S
ただし、A:N/100塩酸標準溶液の滴定ml数
A’:N/100塩酸標準溶液の空試験時の滴定ml数
f:N/100塩酸標準溶液の力価
S:試料採取量g数
尚、56.1は水酸化カリウムの化学式量である。
【0113】
(オーバーベイク黄変性)
カチオン電着塗装した試験板上に幅45mm厚さ3mmとなるように各組成物を塗布し、140℃で10分仮焼き付けをした。その後、中塗り塗料と白色上塗り塗料をウエット−オン−ウエットで塗布し、140℃で30分焼き付けたものを基準塗板とした。そして、基準塗板をさらに160℃・30分の条件で3回繰り返して焼き付けたものを試料とし、基準塗板に対する色差(ΔE)を測定してオーバーベイク黄変性とした。
【0114】
表1〜3の各組成物につき、上記各評価試験の試験結果を、それぞれ表4〜6に示す。
【0115】
【表4】
Figure 2004059906
【0116】
【表5】
Figure 2004059906
【0117】
【表6】
Figure 2004059906
【0118】
【発明の効果】
本発明(i)〜(iii)のポリウレタンペースト組成物は、従来のポリウレタンペースト組成物と同様、固化物の低温柔軟性、耐薬品性、機械的強度等の物性が良好である。更に本発明(i)のポリウレタンペースト組成物は、従来のポリウレタンペースト組成物に比して電着板への接着性、温水浸漬後の接着性に優れている。また、本発明(ii)のポリウレタンペースト組成物は、従来のポリウレタンペースト組成物に比して上塗り塗料の黄変が少ないという利点を有する。更に、本発明(iii)のポリウレタン組成物は、従来のポリウレタン組成物に比して破断強度が強く、かつ加熱時に垂れにくいという利点を有する。
上記効果を奏することから、本発明の組成物は、自動車のシーリング用組成物およびアンダーコート用組成物、土木・建築分野でのシーリング材、パテ、目地止め材等に有用である。

Claims (20)

  1. 長径/短径の比が1.0〜1.5の範囲にある粒子を数平均で50%以上含有し且つ体積平均粒径が0.1〜200μmであるポリウレタン樹脂(a)からなる微粒子(A)、可塑剤(B)、充填剤(C)および接着性付与剤(D)からなるペースト組成物であって、(D)が、ポリオールと有機イソシアネートからなるウレタンプレポリマーのブロック化物(X)と、イソシアネート基と反応することができる官能基を1分子中に2個以上有する化合物(y)とからなることを特徴とするペースト樹脂組成物。
  2. 焼き付け固化後のアミン価が1以下であることを特徴とする請求項1記載の組成物。
  3. 該粒子が球状である請求項1又は2記載の組成物。
  4. (y)中の官能基が、水酸基、アミノ基、エポキシ基、または活性メチレン基である請求項1ないし3記載の組成物。
  5. (y)のイソシアネート基と反応することができる官能基1当量に対する、ウレタンプレポリマーのブロック化物(X)中のブロック化されたイソシアネート基の当量比が0.5〜5の範囲内にある請求項1ないし4に記載の組成物。
  6. (y)のイソシアネート基と反応することができる官能基1当量に対する、ウレタンプレポリマーのブロック化物(X)中のブロック化されたイソシアネート基の当量比が1.1〜20の範囲内にある請求項1ないし4のいずれかに記載の組成物。
  7. (X)のブロック化剤がオキシム化合物である請求項1ないし6のいずれかに記載の組成物。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載の組成物からなるシーリング材。
  9. 請求項1ないし7のいずれかに記載の組成物が支持体に担持されてなるシーリング材。
  10. 請求項1ないし9のいずれかに記載の組成物を加熱固化させてなる固化物。
  11. 請求項8または9に記載のシーリング材を車体の鋼板接合部及び/又は鋼板エッジ部に塗布した自動車ボデー。
  12. 長径/短径の比が1.0〜1.5の範囲にある粒子を数平均で50%以上含有し且つ体積平均粒径が0.1μm以上200μm以下であるポリウレタン樹脂(a)からなる微粒子(A)100重量部、可塑剤(B)100重量部以上1000重量部以下、充填剤(C)1重量部以上1000重量部以下、及び硬化剤(D’)100重量部を越え600重量部以下からなるウレタン樹脂組成物であって、(D’)が、ポリオールと有機イソシアネートからなるウレタンプレポリマーのブロック化物(X)90重量部を越え300重量部以下とイソシアネート基と反応し得る官能基を1分子中に2個以上有する化合物(Z)10重量部を越え300重量部以下からなることを特徴とするウレタン樹脂組成物。
  13. (Z)中の官能基が、水酸基、アミノ基、エポキシ基、または活性メチレン基である請求項12記載の組成物。
  14. (X)のブロック化剤がオキシム化合物である請求項12または13に記載の組成物。
  15. (Z)のイソシアネート基と反応し得る官能基1当量に対する、ウレタンプレポリマーのブロック化物(X)中のブロック化されたイソシアネート基の当量比が0.5以上5以下である請求項12ないし14のいずれかに記載の組成物。
  16. 組成物の総和に対して(A)の含有量が10重量%以上である請求項12ないし15のいずれかに記載の組成物。
  17. (X)、(Z)及び(B)の重量比が下記の式(1)を満足する請求項12ないし16いずれかに記載の組成物。
    (X)+(Z)>(B) ・・・・(1)
  18. 請求項12ないし17のいずれかに記載の組成物からなるシーラ材。
  19. 請求項12ないし18のいずれかに記載の組成物を加熱硬化させてなる硬化物。
  20. 請求項18記載の組成物を車体の鋼板接合部及び/又は鋼板エッジ部に塗布した自動車ボデー。
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