JP2004059246A - 板状部材搬送装置及び板状部材保管装置 - Google Patents
板状部材搬送装置及び板状部材保管装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004059246A JP2004059246A JP2002220752A JP2002220752A JP2004059246A JP 2004059246 A JP2004059246 A JP 2004059246A JP 2002220752 A JP2002220752 A JP 2002220752A JP 2002220752 A JP2002220752 A JP 2002220752A JP 2004059246 A JP2004059246 A JP 2004059246A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- plate
- shaped member
- state
- moving
- support portion
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Feeding Of Articles By Means Other Than Belts Or Rollers (AREA)
Abstract
【課題】搬送すべき板状部材に圧縮気体を噴射することにより非接触状態に保持して搬送する構成に比較して省エネが可能となり、塵埃を含んだ気体が板状部材に吹き付けられる虞がない板状部材搬送装置を提供する。
【解決手段】板状部材搬送装置10は、台車11上に、板状部材12の下端を移動可能に支承する支承部13と、支承部13に支承された板状部材12に振動板14の音波の放射圧を付与して、板状部材12を非接触状態で傾斜した状態に保持可能な物体浮揚装置15とが装備されている。各支承部13はモータ、プーリ及びベルトにより回転される回転軸にそれぞれ一体回転可能に固定されている。
【選択図】 図1
【解決手段】板状部材搬送装置10は、台車11上に、板状部材12の下端を移動可能に支承する支承部13と、支承部13に支承された板状部材12に振動板14の音波の放射圧を付与して、板状部材12を非接触状態で傾斜した状態に保持可能な物体浮揚装置15とが装備されている。各支承部13はモータ、プーリ及びベルトにより回転される回転軸にそれぞれ一体回転可能に固定されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、板状部材搬送装置及び板状部材保管装置に係り、詳しくは液晶表示装置等の表示装置のガラスパネルや半導体ウエハー等の板状部材を立てた状態で搬送するのに好適な板状部材搬送装置及び板状部材保管装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラスパネル(ガラス基板)や半導体ウエハー等の薄くて傷つき易い板状部材を立てた状態で搬送する板状部材搬送装置が特開2001−213517号公報に開示されている。この板状部材搬送装置は、図7に示すように、支持基板51の片面に複数の圧力容器52が固定され、圧力容器52の前面に多孔質体53が取り付けられている。支持基板51の下端には、駆動シャフト54が回転可能に支持され、駆動シャフト54に駆動ローラ55が一体回転可能に固定され、各駆動ローラ55にベルト56が巻掛けられて搬送手段57が構成されている。図示しないモータにより駆動シャフト54が駆動されることにより、ベルト56が駆動される。そして、多孔質体53から噴射される圧力流体(圧縮空気)で搬送すべき板状部材58を支持するとともに、板状部材58に対して多孔質体53と反対側に配設された洗浄液噴霧ノズル59から洗浄液を噴霧しつつ、その板状部材58の下端部を搬送手段57で支持して搬送するようになっている。従って、この板状部材搬送装置では、ガラスパネルや半導体ウエハー等の薄くて傷つき易い板状部材58にその下端のみで接触した状態で搬送することができ、搬送時に板状部材58が傷つき難い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記従来装置では、搬送すべき板状部材58を非接触状態で保持するために多孔質体53から圧縮気体を噴射する構成のためエネルギー消費が大きいという問題があるとともに、多孔質体53を構成する多孔質セラミックからの発塵が問題になる場合がある。
【0004】
また、従来、液晶表示装置のガラスパネルは水平状態で保管されていたが、ガラスパネルの大型化に伴い、近年、ガラスパネルを立てた状態で保管することも検討されている。そして、ガラスパネルを立てた状態で保管する保管装置に前記板状部材搬送装置を応用することが考えられるが、前記の問題が残る。
【0005】
本発明は前記の問題に鑑みてなされたものであって、その第1の目的は搬送すべき板状部材に圧縮気体を噴射することにより非接触状態に保持して搬送する構成に比較して省エネが可能となり、塵埃を含んだ気体が板状部材に吹き付けられる虞がない板状部材搬送装置を提供することにある。また、第2の目的はガラスパネル等の板状部材を立てた状態で保管でき、保管位置への出し入れが容易な板状部材保管装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、板状部材の下端を移動可能に支承する支承部と、前記板状部材に振動板の音波の放射圧を付与して該板状部材を非接触状態で鉛直又は傾斜した状態に保持可能な物体浮揚装置と、前記板状部材を移動させる移動手段とを移動体上に装備した。
【0007】
この発明では、板状部材は下端が支承部に支承された状態で、振動板で発生した音波の放射圧により、振動板と非接触状態で鉛直又は傾斜した状態に保持される。そして、板状部材は支承部に支承された状態で移動手段の作用により移動される。従って、圧縮流体(圧縮空気)を噴射する構成の従来装置に比較して、少ないエネルギー消費で板状部材を、その下端部のみが支承部に接触する状態で搬送することができる。また、セラミック製の多孔質体から圧縮空気を噴射する場合と異なり、塵埃を板状部材に吹き付ける虞がない。また、前記作用を為す支承部、物体浮揚装置及び移動手段が移動体と共に移動可能なため、移動体を移動させることで板状部材の高速搬送が可能になる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記支承部、前記物体浮揚装置及び前記移動手段は一つのユニットとして構成され、該ユニットが前記移動体上に装備されている。この発明では、前記支承部、前記物体浮揚装置及び前記移動手段をユニットとして組み立てたものを移動体に組み付けるため、前記支承部、前記物体浮揚装置及び前記移動手段を一つずつ移動体上に組み付ける場合に比較して製造が簡単になる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記支承部は自由回転可能なローラであり、前記物体浮揚装置は少なくとも進行波を発生可能に構成され、進行波を発生する状態で前記移動手段としても機能する。この発明では、振動板から発生する進行波が板状部材を移動させる力になるため、移動手段の小型化が容易になる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記支承部は駆動手段により駆動されることで前記板状部材を移動可能に構成され、前記駆動手段とともに前記移動手段を構成する。この発明では、支承部が駆動されている間板状部材を移動させることができ、進行波を用いて移動させる構成に比較して、板状部材を任意の位置に浮揚状態で保持するのが容易になる。
【0011】
請求項5に記載の発明は、板状部材の下端を移動可能に支承する支承部と、
前記板状部材に振動板の音波の放射圧を付与して該板状部材を非接触状態で鉛直又は傾斜した状態に保持可能な物体浮揚装置と、前記板状部材を移動させる移動手段とを備えた。
【0012】
ここで、「立てた状態」とは、鉛直状態又は鉛直方向と為す角度が30度以上の状態を意味する。この発明では、板状部材は下端が支承部に支承された状態で、振動板で発生した音波の放射圧により、振動板と非接触状態で鉛直又は傾斜した状態に保持される。従って、ガラスパネル等の板状部材を立てた状態で保管できる。そして、板状部材の保管位置への出し入れは、板状部材が支承部に支承された状態で移動手段の作用により移動される。保管中は必ずしも振動板を振動させて板状部材を振動板と非接触状態に保持する必要はなく、板状部材が振動板と接触する状態で保管されてもよい。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記支承部は駆動手段により駆動されることで前記板状部材を移動可能に構成されている。この発明では、支承部が駆動されている間板状部材を移動させることができ、進行波を用いて移動させる構成に比較して、板状部材を任意の位置に浮揚状態で保持するのが容易になる。
【0014】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明を液晶表示装置の基板ガラスの搬送に使用する板状部材搬送装置に具体化した第1の実施の形態を図1〜図5に従って説明する。図1は板状部材搬送装置の一部省略模式斜視図、図2(a)は板状部材搬送装置の模式側面図、図2(a)は(a)の部分拡大図、図3(a)は支承部と駆動手段の配置関係を示す模式正面図、図3(b)は励振手段の模式図、図4は板状部材搬送装置を振動板と平行な斜め上方から見た模式図である。
【0015】
図1及び図2に示すように、板状部材搬送装置10は、台車11上に、板状部材12の下端を移動可能に支承する支承部13と、支承部13に支承された板状部材12に振動板14の音波の放射圧を付与して、板状部材12を非接触状態で傾斜した状態に保持可能な物体浮揚装置15とが装備されている。移動体としての台車11は、複数個(この実施の形態では4個)の車輪11aを備えている。一部の車輪11aは図示しないモータにより駆動されるようになっている。
【0016】
台車11上には板状部材12の搬送方向に沿って延びるように支持壁16が固定され、支持壁16には所定間隔をおいて互いに平行に、複数本の回転軸17がその先端側(図2における左端側)に向かって上昇傾斜する状態に軸受(図示せず)を介して回転自在に支持されている。回転軸17の水平面に対する傾斜角度は、板状部材12が鉛直面と成す角度とほぼ同じに形成され、例えば10〜30度である。
【0017】
図4に示すように、各回転軸17の先端には支承部13としてのローラが一体回転可能に固定され、図2(a),(b)に示すように、支持壁16に対して支承部13と反対側にはプーリ18(図2(b),図3(a)に図示)が一体回転可能に固定されている。複数の回転軸17のうち、支持壁16の中間部に配設された1本の回転軸17はモータ19の出力軸19aに連結されている。なお、モータ19は台車11に支持ブロック20を介して取り付けられている。各回転軸17は、各プーリ18間に巻き掛けられたベルト21を介してモータ19により一定方向(図3(a)の時計回り方向)に回転される。回転軸17、プーリ18、モータ19及びベルト21により、支承部13を駆動する駆動手段22が構成されている。また、支承部13及び駆動手段22により板状部材12を移動させる移動手段が構成されている。
【0018】
支承部13としてのローラは外周面に無端状の溝13aが形成され、板状部材12は下端が溝13aに係合した状態で支承部13に支承されるようになっている。
【0019】
物体浮揚装置15を構成する振動子23は、振動板14が前記支承部13に支承された板状部材12に対してその上部側において音波の放射圧を付与可能な位置に配設されている。振動子23は、台車11上に固定されたフレーム24に対して所定の高さ位置において取り付けられている。フレーム24は正面から見た形状が門型に構成され、振動子23はフレーム24の一対の柱部分に取り付けられている。
【0020】
振動子23には所謂ランジュバン形振動子が使用され、図3(b)に示すように、一対のリング状のピエゾ素子25a,25bを備えている。両ピエゾ素子25a,25b間にリング状の電極板26が配置され、ピエゾ素子25a,25bの電極板26と当接する側と反対側の面に当接する金属ブロック27a,27bを、図示しないボルトによって締め付け固定することにより振動子23が構成されている。ボルトは金属ブロック27aに形成された図示しないねじ穴に、金属ブロック27b側から螺合されている。両金属ブロック27a,27bはボルトを介して互いに導通された状態となっている。金属ブロック27aにはフランジ28が形成され、金属ブロック27aはフレーム24に形成された孔(図示せず)に嵌合された状態で図示しないボルトによりフランジ28においてフレーム24に固定されている。振動子23は発振器29に接続されている。電極板26は配線30aを介して発振器29と接続され、発振器29の接地端子が配線30bを介して金属ブロック27bに接続されている。
【0021】
振動板14は両端部が、ホーン31の先端に図示しないねじにより固定されている。ホーン31は偏平なほぼ直方体状に形成され、振動板14の長手方向端部近傍において長手方向と直交する状態で取付けられている。ホーン31は振動板14の幅と同じ幅に形成され、振動板14が締結される面の反対側の面において振動子23に固定されている。ホーン31の先端面は振動子23の軸方向と直交する平面に形成され、ホーン31及び振動子23は、その中心軸が振動板14と垂直方向に延びる状態で配置されている。ホーン31、振動子23及び発振器29により振動板14を励振させる励振手段が構成されている。
【0022】
次に前記のように構成された板状部材搬送装置10の作用を説明する。
この板状部材搬送装置10は、例えば、図5に示すように、平行に配置された複数(3台のみ図示)の縦型コンベヤ32と、1台の縦型コンベヤ32とを備えた搬送システムにおける分岐部に配置されて使用される。縦型コンベヤ32は板状部材12を立てた状態(斜状)で搬送する装置であり、板状部材搬送装置10の台車11の代わりにベースプレート上に、支承部13、物体浮揚装置15及び駆動手段22が装備された構成となっている。そして、各縦型コンベヤ32の搬送距離が長い場合は、複数の物体浮揚装置15が直列に配置されている。縦型コンベヤ32は板状部材12の搬送方向が図5における左右方向となるように構成されている。板状部材搬送装置10は台車11の移動方向が縦型コンベヤ32による板状部材12の搬送方向と直交する方向となるように配置される。即ち、図5に矢印で示す方向に移動可能となる。
【0023】
そして、搬送中に板状部材12に塵埃等が付着するのを防止するため、台車11の移動範囲及び各縦型コンベヤ32の上方には、図示しないが、HEPAフィルタを備えたファンユニットが配設されている。ファンユニットからはHEPAフィルタで濾過された清澄なエアが板状部材搬送装置10及び各縦型コンベヤ32の上方から下方に向かって送風されるようになっている。
【0024】
振動子23が所定の共振周波数(例えば、20kHz前後)で励振され、ホーン31が縦振動してホーン31を介して振動板14が励振されて撓み振動を行う。両振動子23は振動板14に定在波が発生するように励振される。板状部材12は振動板14側へ向かって傾く状態で、下端が支承部13に支承されるため、振動板14から音波が発せられない状態では板状部材12の上部寄りにおいて振動板14と接触する状態となる。しかし、振動子23の振動に伴って振動板14から放射される音波の放射圧により、板状部材12は振動板14の表面から浮揚する。浮揚距離は例えば数10〜数100μmである。また、板状部材12の下端部は支承部13の溝13aに接触した状態で支承される。即ち、板状部材12は支承部13が駆動されない状態では、支承部13に支承された下端を除いて非接触状態で物体浮揚装置15により傾斜した状態で保持される。
【0025】
そして、モータ19が駆動されてベルト21等を介して各支承部13が所定方向に回転駆動されると、板状部材12は立てた状態で、かつ非接触状態で図1の右方向へ搬送される。
【0026】
例えば、符号Aで示す縦型コンベヤ32で搬送されて来た板状部材12を符号Bで示す縦型コンベヤ32へ搬送する場合は、図5に示すように、台車11は符号Aで示す縦型コンベヤ32と対応する位置に停止し、その状態で縦型コンベヤ32から板状部材12を受け取る。板状部材12が完全に台車11上の振動板14と対向する位置まで移動した時点でモータ19の駆動が停止され、その状態から台車11はBで示す縦型コンベヤ32と対応する位置まで移動する。そして、Bで示す縦型コンベヤ32と対応する位置において、再びモータ19が駆動され、板状部材12がBで示す縦型コンベヤ32上へと搬送される。
【0027】
以下、台車11は再び符号Aで示す縦型コンベヤ32と対応する位置に停止し、該縦型コンベヤ32から板状部材12を受け取り、受け取った板状部材12を受け渡すべき縦型コンベヤ32と対応する位置まで移動し、当該縦型コンベヤ32に板状部材12を搬送する作業を繰り返す。
【0028】
板状部材12は薄いガラス板で撓み易いが、立てた状態で搬送されるため、水平状態で搬送する場合に比較して撓み量が少なくなり、安定して搬送される。支承部13と接触する下端部は、常に支承部13に当接した状態となるため、汚れや擦り傷が付く可能性があるが、ガラス板の端部は最終的には製品とならない不用部となるので支障はない。
【0029】
この実施の形態では以下の効果を有する。
(1) 板状部材搬送装置10は板状部材12の下端を移動可能に支承する支承部13と、板状部材12に振動板14の音波の放射圧を付与して板状部材12を非接触状態で傾斜した状態に保持可能な物体浮揚装置15と、板状部材12を移動させる移動手段とが台車11上に装備されている。従って、圧縮流体(圧縮空気)を噴射する構成の従来装置に比較して、少ないエネルギー消費で板状部材12を、その下端部のみが支承部13に接触する状態で搬送することができる。また、セラミック製の多孔質体から圧縮空気を板状部材に噴射する従来装置と異なり、塵埃を板状部材12に吹き付ける虞がない。また、支承部13、物体浮揚装置15及び移動手段が台車11と共に移動可能なため、台車11を移動させることで所望の位置への板状部材12の高速搬送が可能になる。
【0030】
(2) 板状部材12が傾いた状態で搬送されるため、板状部材12を水平状態で搬送する非接触式搬送装置に比較して、台車11の占める面積、ひいては板状部材搬送装置10の設置に必要な面積を狭くできる。
【0031】
(3) 支承部13が外周面に溝13aを有するローラで構成されているため、一個のローラが板状部材12の下方への移動と、厚さ方向への移動とを規制する作用をなす。従って、少ない数のローラで板状部材12を所望の傾斜状態でガイド可能に支承することができる。
【0032】
(4) 全ての支承部13がモータ19により駆動されるベルト21を介して積極駆動されるため、簡単な構成で板状部材12に推力を確実に加えることができ、板状部材12は小さな推力で円滑に移動できる。
【0033】
(5) 支承部13を駆動させる駆動手段22が板状部材12の下方に配置されているため、プーリ18及びベルト21等から発塵しても、ファンユニットからの送風により塵埃が板状部材12に悪影響を及ぼさない。
【0034】
(6) 支承部13は駆動手段22により駆動されることで板状部材12を移動可能に構成され、駆動手段22とともに板状部材12を移動させる移動手段を構成する。従って、支承部13が駆動されている間、板状部材12を移動させることができ、進行波を用いて移動させる構成に比較して、板状部材12を任意の位置に浮揚状態で保持するのが容易になる。
【0035】
(7) 複数の縦型コンベヤ32が互いに平行に配置されて構成された搬送ラインの分岐部に、前記構成の板状部材搬送装置10を配置することにより、台車11が縦型コンベヤ32による板状部材12の搬送方向と直交する方向に移動することで、コンパクトな分岐部の構成が可能となる。
【0036】
(第2の実施の形態)
次に板状部材保管装置に具体化した第2の実施の形態を図6に従って説明する。図6は板状部材保管装置の一部と、板状部材保管装置と他の工程との間で板状部材12を搬送する板状部材搬送装置とを示す模式斜視図である。支承部及び物体浮揚装置等は前記実施の形態と同様な構成であり、同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0037】
板状部材12(ガラス基板)を立てた状態で1枚ずつ搬入、搬出可能に保管する板状部材保管装置33は、ベースプレート34上に支承部13と、物体浮揚装置15と、板状部材12を移動させる移動手段とが装備されている。前記支承部13、物体浮揚装置15及び移動手段は複数組が所定間隔で平行に配設されている。移動手段も前記実施の形態と同様に支承部13及び駆動手段により構成され、駆動手段は回転軸17、プーリ18、モータ19及びベルト21(いずれも図示せず)により構成されている。前記実施の形態ではモータ19は一定方向に回転される構成であったが、この実施の形態ではモータ19は正逆回転駆動可能に構成されている点が異なる。
【0038】
板状部材保管装置33の一側方には支持壁16の延びる方向と直交する方向に移動可能に板状部材搬送装置35が設けられている。板状部材搬送装置35は、一対のレール36に沿って移動可能に設けられた移動体37上に、支承部13と、物体浮揚装置15と、板状部材12を移動させる移動手段とが装備されている。
【0039】
移動体37はレール36上を転動する車輪を備え、リニア誘導モータの一次側可動子が移動体37上に装備され、二次側固定子が走行路面に配置された構成のリニア誘導モータ(図示せず)の作用によってレール36に沿って移動可能に構成されている。
【0040】
この実施の形態では板状部材保管装置33に保管された板状部材12を板状部材保管装置33から搬出する際は、搬出すべき板状部材12が保持されている物体浮揚装置15と対応する位置に移動体37が停止する。その状態で駆動手段が駆動されて各支承部13が図6の時計回り方向に回転されて、板状部材12が移動体37の支承部13上へ搬出される。そして、移動体37により所望の位置まで搬送される。
【0041】
一方、板状部材12を板状部材保管装置33へ搬入する際は、移動体37が板状部材12を搬入すべき箇所と対応する位置で停止する。その状態で駆動手段が駆動されて各支承部13が図6の反時計回り方向に回転されて、板状部材12が移動体37の支承部13上から板状部材保管装置33の支承部13上へ搬入される。
【0042】
保管中は必ずしも振動板14を振動させて板状部材12を振動板14と非接触状態に保持する必要はなく、板状部材12が振動板14と接触する状態で保管されてもよい。板状部材12が振動板14と接触する状態で保管された場合、仮に板状部材12が振動板14と接触していた部分に塵埃が付着しても、搬出時に超音波の作用により塵埃が除去されるため支障がない。
【0043】
この実施の形態は前記実施の形態の(1)〜(6)と同様な効果を有する。但し、台車11を移動体37に置き換える。また、次の効果を有する。
(8) ガラスパネル等の板状部材12を立てた状態で保管できる。そして、板状部材12の保管位置への出し入れは、板状部材12が支承部13に支承された状態で移動手段の作用により移動される。従って、板状部材保管装置33の占める面積を小さくでき、効率よく板状部材12を保管できる。また、保管位置への出し入れが容易になる。
【0044】
(9) 移動体37がリニアモータにより移動されるため、車輪を積極駆動させて移動体37を移動させる構成に比較して塵埃の発生が少なくなる。
実施の形態は前記に限定されるものではなく、例えば次のように構成してもよい。
【0045】
○ 物体浮揚装置15は、振動板14が定在波を発生するように振動される構成に代えて、振動板14が板状部材12をその移動方向へ付勢する進行波を発生するように構成してもよい。例えば、振動板14の一端側に締結されたホーン31を励振させる振動子23は前記実施の形態と同様に発振器29に接続する。一方、振動板14の他端側に締結されたホーン31を振動させる振動子23は、抵抗R及びコイルLが並列接続されたエネルギー変換手段としての負荷回路に接続する。負荷回路は一方の端子を電極板26に、他方の端子を金属ブロック27bにそれぞれ接続する。この構成では、振動板14の振動は負荷回路に接続された振動子23に伝達され、振動子23を構成するピエゾ素子25a,25bにより機械エネルギーである振動のエネルギーが電気エネルギーに変換される。この電気エネルギーが負荷回路の抵抗Rでジュール熱に変換されて放散される。そのため、振動板14に生じる振動の波が一方向へ進む進行波となり、板状部材12に対して、振動板14の一端側から他端側へ向かう推力が付与される。この場合、振動板14から発生する進行波が板状部材12を移動させる推力の一部を負担するため、支承部13の駆動力が小さくてすみ、駆動手段の小型化が容易となる。
【0046】
○ 振動板14の両端に設けられた振動子23をそれぞれ発振器29と負荷回路とに選択的に切り換え接続可能に構成する。この場合、発振器29に接続された状態と、負荷回路に接続された状態との切換を行うことにより、板状部材12の搬送方向を選択することができる。
【0047】
〇 台車11に物体浮揚装置15等を装備した構成の板状部材搬送装置10を第1の実施の形態のように、複数の縦型コンベヤ32を備えた搬送システムの分岐部に使用する場合、板状部材搬送装置10を複数台設けてもよい。この場合、待ち時間が少なくなり、搬送効率が向上する。
【0048】
○ 第1の実施の形態において、複数の縦型コンベヤ32を備えた搬送ラインにおいて、各縦型コンベヤ32による板状部材12の搬送方向が一定ではなく、図5における矢印方向及び反矢印方向の両方向に搬送可能とし、板状部材搬送装置10も板状部材12の搬送方向を変更可能に構成してもよい。この場合、分岐部に板状部材搬送装置10を複数配置することにより、搬送効率が向上する。例えば、図5にAで示す縦型コンベヤ32からBで示す縦型コンベヤ32に板状部材12を搬送させる作業と、Bで示す縦型コンベヤ32から搬送された板状部材12をCで示す縦型コンベヤ32で搬送する作業とが競合する状態を考える。板状部材搬送装置10(即ち、台車11)が1台であれば、作業はいずれか一方の作業が先に行われ、次に他方の作業が行われる。しかし、台車11が複数あれば、先ず1台の台車11が先にAで示す縦型コンベヤ32から板状部材12を受け取り、Bで示す縦型コンベヤ32の付近で待避する。そして、他の台車11がBで示す縦型コンベヤ32で搬送された板状部材12を受け取り、Cで示す縦型コンベヤ32と対応する位置へ移動した後、待避していた台車11が、Bで示す縦型コンベヤ32と対応する位置へ移動して当該縦型コンベヤ32上へ板状部材12を搬送(移載)することができる。従って、全体としての作業時間を短縮できる。
【0049】
〇 縦型コンベヤ32を複数直列に接続して搬送ラインを構成する際、途中に台車11を配置することにより、不具合の発生した板状部材12が台車11と対応する位置まで搬送された時点で、台車11を板状部材12と共に搬送ラインから退避させる。そして、他の台車11を配置することで不具合の板状部材12を搬送ラインから退避させることができる。
【0050】
〇 台車11を分岐部や搬送ラインの接続部として使用する代わりに、板状部材12を非接触状態に保持して台車11を目的位置まで移動させ、目的位置で駆動手段22を駆動して板状部材12を受け渡すようにしてもよい。この場合、板状部材12の高速搬送が可能になる。
【0051】
〇 第2の実施の形態において、リニアモータにより移動可能な移動体37に代えて、台車11を設けてもよい。
〇 支承部13、物体浮揚装置15及び前記移動手段を台車11又は移動体37上に直接装備する代わりに、支承部13、物体浮揚装置15及び前記移動手段を一つのユニットとしてベースプレート上に構成し、該ユニットを台車11又は移動体37上に装備してもよい。この場合は、支承部13、物体浮揚装置15及び前記移動手段を一つずつ台車11又は移動体37上に組み付ける場合に比較して製造が簡単になる。
【0052】
○ 支承部13をローラで構成する場合、全ての支承部13が積極駆動される構成に限らず、一部の支承部13は積極駆動されず被動回転される構成としてもよい。例えば、一部の回転軸17に代えて支軸を支持壁16に固定し、その支軸に回転可能に支承部13としてのローラを設ける。
【0053】
○ 板状部材保管装置33の場合、支承部13を複数のローラで構成する場合、板状部材12の搬入、搬出側の端部に位置する支承部13を、正逆回転駆動可能なモータで直接駆動可能とする。この場合、1個の支承部13を駆動するだけで、搬入方向、搬出方向のいずれの方向へも確実に板状部材12を移動させることができる。
【0054】
○ 支承部13として板状部材12の搬送方向に沿って配置されたベルトを設けてもよい。ベルトは駆動プーリと被動プーリとの間に巻き掛けられ、モータにより駆動される。この場合多数のローラを設ける構成に比較して構造が簡単になる。
【0055】
○ 板状部材12を鉛直面に対して傾斜した状態で搬送する構成に限らず、板状部材12を鉛直状態に保持して搬送する構成としてもよい。例えば、板状部材12を挟むように振動板14を鉛直状態に配置する。しかし、板状部材12を傾斜した状態で搬送する方が、振動板14の数が少なくてよい。
【0056】
○ 板状部材搬送装置10の搬送距離は板状部材12の長さ又は幅とほぼ同じに限らず、板状部材12の長さ又は幅より長い(例えば2倍以上)長さの振動板14を備えてもよい。
【0057】
○ 板状部材搬送装置10は、板状部材12を立てた状態で、かつ接触状態で搬送する搬送装置から受け渡される板状部材12を搬送するシステムに使用してもよい。板状部材12を立てた状態で、かつ接触状態で搬送する搬送装置は、例えば、板状部材搬送装置10と同じ構成の支承部13を備えるとともに、物体浮揚装置15の代わりに、板状部材12の上部に当接して板状部材12を斜め状態で支承するガイド部(例えばガイドローラ)を備えた構成とする。ガイド部は支承部13と共同して、板状部材12を板状部材搬送装置10での搬送時における傾斜角度とほぼ同じ角度となるように支承する。このように、接触状態で搬送する搬送装置から受け渡される板状部材12を搬送する板状部材搬送装置10において、振動板14をガイド部と同じ高さに配置すれば、ガイド部と当接することにより板状部材12に付着した塵埃等を振動板14からの超音波による洗浄機能で自動的に除去できる。
【0058】
○ 板状部材12の高さが高く、斜めの状態においても撓みが大きな場合、撓みを抑制するため、振動板14を複数平行に配設してもよい。この場合、面積の大きな板状部材12をより安定した状態で搬送、あるいは保管することができる。
【0059】
○ 支承部13をローラで構成する際、支承部13に溝13aを形成せず、板状部材12の下端を支承するローラと、板状部材12の下部の表面又は裏面に当接して板状部材12の厚さ方向への移動を規制する作用をなすローラとを別々に設けてもよい。
【0060】
○ 複数の板状部材搬送装置10を直列に配設して搬送ラインを構成してもよい。
○ ホーン31の幅は振動板14の幅と同じでなくてもよく、振動板14の幅より広くても、狭くてもよいが、振動板14の幅以上が好ましい。
【0061】
○ 振動板14のホーン31への固定はねじによる締結に限らず、接着剤を使用したり、ロウ付けや溶接で固着してもよい。
○ 振動子23はランジュバン形振動子に限らず他の振動子を使用してもよい。
【0062】
前記実施の形態から把握される発明(技術的思想)について以下に記載する。(1) 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の発明において、前記支承部は前記板状部材を傾いた状態でガイド可能に配設されている。
【0063】
(2) 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記移動体はリニアモータで移動可能に構成されている。
(3) 請求項5又は請求項6に記載の発明において、前記支承部は複数のローラで構成され、前記駆動手段は前記板状部材の搬入、搬出側端部に配置された支承部を駆動するモータである。
【0064】
(4) 請求項1〜請求項6及び前記技術的思想(1)〜(3)のいずれかに記載の発明において、前記板状部材は表示装置用のガラス基板である。
【0065】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1〜請求項4に記載の発明によれば、搬送すべき板状部材に圧縮気体を噴射することにより非接触状態に保持して搬送する構成に比較して省エネが可能となり、塵埃を含んだ気体が板状部材に吹き付けられる虞がない。請求項5及び請求項6に記載の発明によれば、ガラスパネル等の板状部材を立てた状態で保管でき、保管位置への出し入れが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の板状部材搬送装置の一部省略模式斜視図。
【図2】(a)は同じく一部省略模式側面図、(b)は(a)の部分拡大図。
【図3】(a)は支承部とプーリ等との配置関係を示す一部省略模式正面図、(b)は励振手段を示す模式図。
【図4】板状部材搬送装置を斜め上方から見た一部省略模式図。
【図5】作用を説明する搬送システムの模式平面図。
【図6】第2の実施の形態の板状部材搬送装置の一部省略模式斜視図。
【図7】従来技術の搬送装置を示す断面図。
【符号の説明】
11…移動体としての台車、12…板状部材、13…支承部、14…振動板、15…物体浮揚装置、22…駆動手段、33…板状部材保管装置、37…移動体。
【発明の属する技術分野】
本発明は、板状部材搬送装置及び板状部材保管装置に係り、詳しくは液晶表示装置等の表示装置のガラスパネルや半導体ウエハー等の板状部材を立てた状態で搬送するのに好適な板状部材搬送装置及び板状部材保管装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラスパネル(ガラス基板)や半導体ウエハー等の薄くて傷つき易い板状部材を立てた状態で搬送する板状部材搬送装置が特開2001−213517号公報に開示されている。この板状部材搬送装置は、図7に示すように、支持基板51の片面に複数の圧力容器52が固定され、圧力容器52の前面に多孔質体53が取り付けられている。支持基板51の下端には、駆動シャフト54が回転可能に支持され、駆動シャフト54に駆動ローラ55が一体回転可能に固定され、各駆動ローラ55にベルト56が巻掛けられて搬送手段57が構成されている。図示しないモータにより駆動シャフト54が駆動されることにより、ベルト56が駆動される。そして、多孔質体53から噴射される圧力流体(圧縮空気)で搬送すべき板状部材58を支持するとともに、板状部材58に対して多孔質体53と反対側に配設された洗浄液噴霧ノズル59から洗浄液を噴霧しつつ、その板状部材58の下端部を搬送手段57で支持して搬送するようになっている。従って、この板状部材搬送装置では、ガラスパネルや半導体ウエハー等の薄くて傷つき易い板状部材58にその下端のみで接触した状態で搬送することができ、搬送時に板状部材58が傷つき難い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記従来装置では、搬送すべき板状部材58を非接触状態で保持するために多孔質体53から圧縮気体を噴射する構成のためエネルギー消費が大きいという問題があるとともに、多孔質体53を構成する多孔質セラミックからの発塵が問題になる場合がある。
【0004】
また、従来、液晶表示装置のガラスパネルは水平状態で保管されていたが、ガラスパネルの大型化に伴い、近年、ガラスパネルを立てた状態で保管することも検討されている。そして、ガラスパネルを立てた状態で保管する保管装置に前記板状部材搬送装置を応用することが考えられるが、前記の問題が残る。
【0005】
本発明は前記の問題に鑑みてなされたものであって、その第1の目的は搬送すべき板状部材に圧縮気体を噴射することにより非接触状態に保持して搬送する構成に比較して省エネが可能となり、塵埃を含んだ気体が板状部材に吹き付けられる虞がない板状部材搬送装置を提供することにある。また、第2の目的はガラスパネル等の板状部材を立てた状態で保管でき、保管位置への出し入れが容易な板状部材保管装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、板状部材の下端を移動可能に支承する支承部と、前記板状部材に振動板の音波の放射圧を付与して該板状部材を非接触状態で鉛直又は傾斜した状態に保持可能な物体浮揚装置と、前記板状部材を移動させる移動手段とを移動体上に装備した。
【0007】
この発明では、板状部材は下端が支承部に支承された状態で、振動板で発生した音波の放射圧により、振動板と非接触状態で鉛直又は傾斜した状態に保持される。そして、板状部材は支承部に支承された状態で移動手段の作用により移動される。従って、圧縮流体(圧縮空気)を噴射する構成の従来装置に比較して、少ないエネルギー消費で板状部材を、その下端部のみが支承部に接触する状態で搬送することができる。また、セラミック製の多孔質体から圧縮空気を噴射する場合と異なり、塵埃を板状部材に吹き付ける虞がない。また、前記作用を為す支承部、物体浮揚装置及び移動手段が移動体と共に移動可能なため、移動体を移動させることで板状部材の高速搬送が可能になる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記支承部、前記物体浮揚装置及び前記移動手段は一つのユニットとして構成され、該ユニットが前記移動体上に装備されている。この発明では、前記支承部、前記物体浮揚装置及び前記移動手段をユニットとして組み立てたものを移動体に組み付けるため、前記支承部、前記物体浮揚装置及び前記移動手段を一つずつ移動体上に組み付ける場合に比較して製造が簡単になる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記支承部は自由回転可能なローラであり、前記物体浮揚装置は少なくとも進行波を発生可能に構成され、進行波を発生する状態で前記移動手段としても機能する。この発明では、振動板から発生する進行波が板状部材を移動させる力になるため、移動手段の小型化が容易になる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記支承部は駆動手段により駆動されることで前記板状部材を移動可能に構成され、前記駆動手段とともに前記移動手段を構成する。この発明では、支承部が駆動されている間板状部材を移動させることができ、進行波を用いて移動させる構成に比較して、板状部材を任意の位置に浮揚状態で保持するのが容易になる。
【0011】
請求項5に記載の発明は、板状部材の下端を移動可能に支承する支承部と、
前記板状部材に振動板の音波の放射圧を付与して該板状部材を非接触状態で鉛直又は傾斜した状態に保持可能な物体浮揚装置と、前記板状部材を移動させる移動手段とを備えた。
【0012】
ここで、「立てた状態」とは、鉛直状態又は鉛直方向と為す角度が30度以上の状態を意味する。この発明では、板状部材は下端が支承部に支承された状態で、振動板で発生した音波の放射圧により、振動板と非接触状態で鉛直又は傾斜した状態に保持される。従って、ガラスパネル等の板状部材を立てた状態で保管できる。そして、板状部材の保管位置への出し入れは、板状部材が支承部に支承された状態で移動手段の作用により移動される。保管中は必ずしも振動板を振動させて板状部材を振動板と非接触状態に保持する必要はなく、板状部材が振動板と接触する状態で保管されてもよい。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記支承部は駆動手段により駆動されることで前記板状部材を移動可能に構成されている。この発明では、支承部が駆動されている間板状部材を移動させることができ、進行波を用いて移動させる構成に比較して、板状部材を任意の位置に浮揚状態で保持するのが容易になる。
【0014】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明を液晶表示装置の基板ガラスの搬送に使用する板状部材搬送装置に具体化した第1の実施の形態を図1〜図5に従って説明する。図1は板状部材搬送装置の一部省略模式斜視図、図2(a)は板状部材搬送装置の模式側面図、図2(a)は(a)の部分拡大図、図3(a)は支承部と駆動手段の配置関係を示す模式正面図、図3(b)は励振手段の模式図、図4は板状部材搬送装置を振動板と平行な斜め上方から見た模式図である。
【0015】
図1及び図2に示すように、板状部材搬送装置10は、台車11上に、板状部材12の下端を移動可能に支承する支承部13と、支承部13に支承された板状部材12に振動板14の音波の放射圧を付与して、板状部材12を非接触状態で傾斜した状態に保持可能な物体浮揚装置15とが装備されている。移動体としての台車11は、複数個(この実施の形態では4個)の車輪11aを備えている。一部の車輪11aは図示しないモータにより駆動されるようになっている。
【0016】
台車11上には板状部材12の搬送方向に沿って延びるように支持壁16が固定され、支持壁16には所定間隔をおいて互いに平行に、複数本の回転軸17がその先端側(図2における左端側)に向かって上昇傾斜する状態に軸受(図示せず)を介して回転自在に支持されている。回転軸17の水平面に対する傾斜角度は、板状部材12が鉛直面と成す角度とほぼ同じに形成され、例えば10〜30度である。
【0017】
図4に示すように、各回転軸17の先端には支承部13としてのローラが一体回転可能に固定され、図2(a),(b)に示すように、支持壁16に対して支承部13と反対側にはプーリ18(図2(b),図3(a)に図示)が一体回転可能に固定されている。複数の回転軸17のうち、支持壁16の中間部に配設された1本の回転軸17はモータ19の出力軸19aに連結されている。なお、モータ19は台車11に支持ブロック20を介して取り付けられている。各回転軸17は、各プーリ18間に巻き掛けられたベルト21を介してモータ19により一定方向(図3(a)の時計回り方向)に回転される。回転軸17、プーリ18、モータ19及びベルト21により、支承部13を駆動する駆動手段22が構成されている。また、支承部13及び駆動手段22により板状部材12を移動させる移動手段が構成されている。
【0018】
支承部13としてのローラは外周面に無端状の溝13aが形成され、板状部材12は下端が溝13aに係合した状態で支承部13に支承されるようになっている。
【0019】
物体浮揚装置15を構成する振動子23は、振動板14が前記支承部13に支承された板状部材12に対してその上部側において音波の放射圧を付与可能な位置に配設されている。振動子23は、台車11上に固定されたフレーム24に対して所定の高さ位置において取り付けられている。フレーム24は正面から見た形状が門型に構成され、振動子23はフレーム24の一対の柱部分に取り付けられている。
【0020】
振動子23には所謂ランジュバン形振動子が使用され、図3(b)に示すように、一対のリング状のピエゾ素子25a,25bを備えている。両ピエゾ素子25a,25b間にリング状の電極板26が配置され、ピエゾ素子25a,25bの電極板26と当接する側と反対側の面に当接する金属ブロック27a,27bを、図示しないボルトによって締め付け固定することにより振動子23が構成されている。ボルトは金属ブロック27aに形成された図示しないねじ穴に、金属ブロック27b側から螺合されている。両金属ブロック27a,27bはボルトを介して互いに導通された状態となっている。金属ブロック27aにはフランジ28が形成され、金属ブロック27aはフレーム24に形成された孔(図示せず)に嵌合された状態で図示しないボルトによりフランジ28においてフレーム24に固定されている。振動子23は発振器29に接続されている。電極板26は配線30aを介して発振器29と接続され、発振器29の接地端子が配線30bを介して金属ブロック27bに接続されている。
【0021】
振動板14は両端部が、ホーン31の先端に図示しないねじにより固定されている。ホーン31は偏平なほぼ直方体状に形成され、振動板14の長手方向端部近傍において長手方向と直交する状態で取付けられている。ホーン31は振動板14の幅と同じ幅に形成され、振動板14が締結される面の反対側の面において振動子23に固定されている。ホーン31の先端面は振動子23の軸方向と直交する平面に形成され、ホーン31及び振動子23は、その中心軸が振動板14と垂直方向に延びる状態で配置されている。ホーン31、振動子23及び発振器29により振動板14を励振させる励振手段が構成されている。
【0022】
次に前記のように構成された板状部材搬送装置10の作用を説明する。
この板状部材搬送装置10は、例えば、図5に示すように、平行に配置された複数(3台のみ図示)の縦型コンベヤ32と、1台の縦型コンベヤ32とを備えた搬送システムにおける分岐部に配置されて使用される。縦型コンベヤ32は板状部材12を立てた状態(斜状)で搬送する装置であり、板状部材搬送装置10の台車11の代わりにベースプレート上に、支承部13、物体浮揚装置15及び駆動手段22が装備された構成となっている。そして、各縦型コンベヤ32の搬送距離が長い場合は、複数の物体浮揚装置15が直列に配置されている。縦型コンベヤ32は板状部材12の搬送方向が図5における左右方向となるように構成されている。板状部材搬送装置10は台車11の移動方向が縦型コンベヤ32による板状部材12の搬送方向と直交する方向となるように配置される。即ち、図5に矢印で示す方向に移動可能となる。
【0023】
そして、搬送中に板状部材12に塵埃等が付着するのを防止するため、台車11の移動範囲及び各縦型コンベヤ32の上方には、図示しないが、HEPAフィルタを備えたファンユニットが配設されている。ファンユニットからはHEPAフィルタで濾過された清澄なエアが板状部材搬送装置10及び各縦型コンベヤ32の上方から下方に向かって送風されるようになっている。
【0024】
振動子23が所定の共振周波数(例えば、20kHz前後)で励振され、ホーン31が縦振動してホーン31を介して振動板14が励振されて撓み振動を行う。両振動子23は振動板14に定在波が発生するように励振される。板状部材12は振動板14側へ向かって傾く状態で、下端が支承部13に支承されるため、振動板14から音波が発せられない状態では板状部材12の上部寄りにおいて振動板14と接触する状態となる。しかし、振動子23の振動に伴って振動板14から放射される音波の放射圧により、板状部材12は振動板14の表面から浮揚する。浮揚距離は例えば数10〜数100μmである。また、板状部材12の下端部は支承部13の溝13aに接触した状態で支承される。即ち、板状部材12は支承部13が駆動されない状態では、支承部13に支承された下端を除いて非接触状態で物体浮揚装置15により傾斜した状態で保持される。
【0025】
そして、モータ19が駆動されてベルト21等を介して各支承部13が所定方向に回転駆動されると、板状部材12は立てた状態で、かつ非接触状態で図1の右方向へ搬送される。
【0026】
例えば、符号Aで示す縦型コンベヤ32で搬送されて来た板状部材12を符号Bで示す縦型コンベヤ32へ搬送する場合は、図5に示すように、台車11は符号Aで示す縦型コンベヤ32と対応する位置に停止し、その状態で縦型コンベヤ32から板状部材12を受け取る。板状部材12が完全に台車11上の振動板14と対向する位置まで移動した時点でモータ19の駆動が停止され、その状態から台車11はBで示す縦型コンベヤ32と対応する位置まで移動する。そして、Bで示す縦型コンベヤ32と対応する位置において、再びモータ19が駆動され、板状部材12がBで示す縦型コンベヤ32上へと搬送される。
【0027】
以下、台車11は再び符号Aで示す縦型コンベヤ32と対応する位置に停止し、該縦型コンベヤ32から板状部材12を受け取り、受け取った板状部材12を受け渡すべき縦型コンベヤ32と対応する位置まで移動し、当該縦型コンベヤ32に板状部材12を搬送する作業を繰り返す。
【0028】
板状部材12は薄いガラス板で撓み易いが、立てた状態で搬送されるため、水平状態で搬送する場合に比較して撓み量が少なくなり、安定して搬送される。支承部13と接触する下端部は、常に支承部13に当接した状態となるため、汚れや擦り傷が付く可能性があるが、ガラス板の端部は最終的には製品とならない不用部となるので支障はない。
【0029】
この実施の形態では以下の効果を有する。
(1) 板状部材搬送装置10は板状部材12の下端を移動可能に支承する支承部13と、板状部材12に振動板14の音波の放射圧を付与して板状部材12を非接触状態で傾斜した状態に保持可能な物体浮揚装置15と、板状部材12を移動させる移動手段とが台車11上に装備されている。従って、圧縮流体(圧縮空気)を噴射する構成の従来装置に比較して、少ないエネルギー消費で板状部材12を、その下端部のみが支承部13に接触する状態で搬送することができる。また、セラミック製の多孔質体から圧縮空気を板状部材に噴射する従来装置と異なり、塵埃を板状部材12に吹き付ける虞がない。また、支承部13、物体浮揚装置15及び移動手段が台車11と共に移動可能なため、台車11を移動させることで所望の位置への板状部材12の高速搬送が可能になる。
【0030】
(2) 板状部材12が傾いた状態で搬送されるため、板状部材12を水平状態で搬送する非接触式搬送装置に比較して、台車11の占める面積、ひいては板状部材搬送装置10の設置に必要な面積を狭くできる。
【0031】
(3) 支承部13が外周面に溝13aを有するローラで構成されているため、一個のローラが板状部材12の下方への移動と、厚さ方向への移動とを規制する作用をなす。従って、少ない数のローラで板状部材12を所望の傾斜状態でガイド可能に支承することができる。
【0032】
(4) 全ての支承部13がモータ19により駆動されるベルト21を介して積極駆動されるため、簡単な構成で板状部材12に推力を確実に加えることができ、板状部材12は小さな推力で円滑に移動できる。
【0033】
(5) 支承部13を駆動させる駆動手段22が板状部材12の下方に配置されているため、プーリ18及びベルト21等から発塵しても、ファンユニットからの送風により塵埃が板状部材12に悪影響を及ぼさない。
【0034】
(6) 支承部13は駆動手段22により駆動されることで板状部材12を移動可能に構成され、駆動手段22とともに板状部材12を移動させる移動手段を構成する。従って、支承部13が駆動されている間、板状部材12を移動させることができ、進行波を用いて移動させる構成に比較して、板状部材12を任意の位置に浮揚状態で保持するのが容易になる。
【0035】
(7) 複数の縦型コンベヤ32が互いに平行に配置されて構成された搬送ラインの分岐部に、前記構成の板状部材搬送装置10を配置することにより、台車11が縦型コンベヤ32による板状部材12の搬送方向と直交する方向に移動することで、コンパクトな分岐部の構成が可能となる。
【0036】
(第2の実施の形態)
次に板状部材保管装置に具体化した第2の実施の形態を図6に従って説明する。図6は板状部材保管装置の一部と、板状部材保管装置と他の工程との間で板状部材12を搬送する板状部材搬送装置とを示す模式斜視図である。支承部及び物体浮揚装置等は前記実施の形態と同様な構成であり、同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0037】
板状部材12(ガラス基板)を立てた状態で1枚ずつ搬入、搬出可能に保管する板状部材保管装置33は、ベースプレート34上に支承部13と、物体浮揚装置15と、板状部材12を移動させる移動手段とが装備されている。前記支承部13、物体浮揚装置15及び移動手段は複数組が所定間隔で平行に配設されている。移動手段も前記実施の形態と同様に支承部13及び駆動手段により構成され、駆動手段は回転軸17、プーリ18、モータ19及びベルト21(いずれも図示せず)により構成されている。前記実施の形態ではモータ19は一定方向に回転される構成であったが、この実施の形態ではモータ19は正逆回転駆動可能に構成されている点が異なる。
【0038】
板状部材保管装置33の一側方には支持壁16の延びる方向と直交する方向に移動可能に板状部材搬送装置35が設けられている。板状部材搬送装置35は、一対のレール36に沿って移動可能に設けられた移動体37上に、支承部13と、物体浮揚装置15と、板状部材12を移動させる移動手段とが装備されている。
【0039】
移動体37はレール36上を転動する車輪を備え、リニア誘導モータの一次側可動子が移動体37上に装備され、二次側固定子が走行路面に配置された構成のリニア誘導モータ(図示せず)の作用によってレール36に沿って移動可能に構成されている。
【0040】
この実施の形態では板状部材保管装置33に保管された板状部材12を板状部材保管装置33から搬出する際は、搬出すべき板状部材12が保持されている物体浮揚装置15と対応する位置に移動体37が停止する。その状態で駆動手段が駆動されて各支承部13が図6の時計回り方向に回転されて、板状部材12が移動体37の支承部13上へ搬出される。そして、移動体37により所望の位置まで搬送される。
【0041】
一方、板状部材12を板状部材保管装置33へ搬入する際は、移動体37が板状部材12を搬入すべき箇所と対応する位置で停止する。その状態で駆動手段が駆動されて各支承部13が図6の反時計回り方向に回転されて、板状部材12が移動体37の支承部13上から板状部材保管装置33の支承部13上へ搬入される。
【0042】
保管中は必ずしも振動板14を振動させて板状部材12を振動板14と非接触状態に保持する必要はなく、板状部材12が振動板14と接触する状態で保管されてもよい。板状部材12が振動板14と接触する状態で保管された場合、仮に板状部材12が振動板14と接触していた部分に塵埃が付着しても、搬出時に超音波の作用により塵埃が除去されるため支障がない。
【0043】
この実施の形態は前記実施の形態の(1)〜(6)と同様な効果を有する。但し、台車11を移動体37に置き換える。また、次の効果を有する。
(8) ガラスパネル等の板状部材12を立てた状態で保管できる。そして、板状部材12の保管位置への出し入れは、板状部材12が支承部13に支承された状態で移動手段の作用により移動される。従って、板状部材保管装置33の占める面積を小さくでき、効率よく板状部材12を保管できる。また、保管位置への出し入れが容易になる。
【0044】
(9) 移動体37がリニアモータにより移動されるため、車輪を積極駆動させて移動体37を移動させる構成に比較して塵埃の発生が少なくなる。
実施の形態は前記に限定されるものではなく、例えば次のように構成してもよい。
【0045】
○ 物体浮揚装置15は、振動板14が定在波を発生するように振動される構成に代えて、振動板14が板状部材12をその移動方向へ付勢する進行波を発生するように構成してもよい。例えば、振動板14の一端側に締結されたホーン31を励振させる振動子23は前記実施の形態と同様に発振器29に接続する。一方、振動板14の他端側に締結されたホーン31を振動させる振動子23は、抵抗R及びコイルLが並列接続されたエネルギー変換手段としての負荷回路に接続する。負荷回路は一方の端子を電極板26に、他方の端子を金属ブロック27bにそれぞれ接続する。この構成では、振動板14の振動は負荷回路に接続された振動子23に伝達され、振動子23を構成するピエゾ素子25a,25bにより機械エネルギーである振動のエネルギーが電気エネルギーに変換される。この電気エネルギーが負荷回路の抵抗Rでジュール熱に変換されて放散される。そのため、振動板14に生じる振動の波が一方向へ進む進行波となり、板状部材12に対して、振動板14の一端側から他端側へ向かう推力が付与される。この場合、振動板14から発生する進行波が板状部材12を移動させる推力の一部を負担するため、支承部13の駆動力が小さくてすみ、駆動手段の小型化が容易となる。
【0046】
○ 振動板14の両端に設けられた振動子23をそれぞれ発振器29と負荷回路とに選択的に切り換え接続可能に構成する。この場合、発振器29に接続された状態と、負荷回路に接続された状態との切換を行うことにより、板状部材12の搬送方向を選択することができる。
【0047】
〇 台車11に物体浮揚装置15等を装備した構成の板状部材搬送装置10を第1の実施の形態のように、複数の縦型コンベヤ32を備えた搬送システムの分岐部に使用する場合、板状部材搬送装置10を複数台設けてもよい。この場合、待ち時間が少なくなり、搬送効率が向上する。
【0048】
○ 第1の実施の形態において、複数の縦型コンベヤ32を備えた搬送ラインにおいて、各縦型コンベヤ32による板状部材12の搬送方向が一定ではなく、図5における矢印方向及び反矢印方向の両方向に搬送可能とし、板状部材搬送装置10も板状部材12の搬送方向を変更可能に構成してもよい。この場合、分岐部に板状部材搬送装置10を複数配置することにより、搬送効率が向上する。例えば、図5にAで示す縦型コンベヤ32からBで示す縦型コンベヤ32に板状部材12を搬送させる作業と、Bで示す縦型コンベヤ32から搬送された板状部材12をCで示す縦型コンベヤ32で搬送する作業とが競合する状態を考える。板状部材搬送装置10(即ち、台車11)が1台であれば、作業はいずれか一方の作業が先に行われ、次に他方の作業が行われる。しかし、台車11が複数あれば、先ず1台の台車11が先にAで示す縦型コンベヤ32から板状部材12を受け取り、Bで示す縦型コンベヤ32の付近で待避する。そして、他の台車11がBで示す縦型コンベヤ32で搬送された板状部材12を受け取り、Cで示す縦型コンベヤ32と対応する位置へ移動した後、待避していた台車11が、Bで示す縦型コンベヤ32と対応する位置へ移動して当該縦型コンベヤ32上へ板状部材12を搬送(移載)することができる。従って、全体としての作業時間を短縮できる。
【0049】
〇 縦型コンベヤ32を複数直列に接続して搬送ラインを構成する際、途中に台車11を配置することにより、不具合の発生した板状部材12が台車11と対応する位置まで搬送された時点で、台車11を板状部材12と共に搬送ラインから退避させる。そして、他の台車11を配置することで不具合の板状部材12を搬送ラインから退避させることができる。
【0050】
〇 台車11を分岐部や搬送ラインの接続部として使用する代わりに、板状部材12を非接触状態に保持して台車11を目的位置まで移動させ、目的位置で駆動手段22を駆動して板状部材12を受け渡すようにしてもよい。この場合、板状部材12の高速搬送が可能になる。
【0051】
〇 第2の実施の形態において、リニアモータにより移動可能な移動体37に代えて、台車11を設けてもよい。
〇 支承部13、物体浮揚装置15及び前記移動手段を台車11又は移動体37上に直接装備する代わりに、支承部13、物体浮揚装置15及び前記移動手段を一つのユニットとしてベースプレート上に構成し、該ユニットを台車11又は移動体37上に装備してもよい。この場合は、支承部13、物体浮揚装置15及び前記移動手段を一つずつ台車11又は移動体37上に組み付ける場合に比較して製造が簡単になる。
【0052】
○ 支承部13をローラで構成する場合、全ての支承部13が積極駆動される構成に限らず、一部の支承部13は積極駆動されず被動回転される構成としてもよい。例えば、一部の回転軸17に代えて支軸を支持壁16に固定し、その支軸に回転可能に支承部13としてのローラを設ける。
【0053】
○ 板状部材保管装置33の場合、支承部13を複数のローラで構成する場合、板状部材12の搬入、搬出側の端部に位置する支承部13を、正逆回転駆動可能なモータで直接駆動可能とする。この場合、1個の支承部13を駆動するだけで、搬入方向、搬出方向のいずれの方向へも確実に板状部材12を移動させることができる。
【0054】
○ 支承部13として板状部材12の搬送方向に沿って配置されたベルトを設けてもよい。ベルトは駆動プーリと被動プーリとの間に巻き掛けられ、モータにより駆動される。この場合多数のローラを設ける構成に比較して構造が簡単になる。
【0055】
○ 板状部材12を鉛直面に対して傾斜した状態で搬送する構成に限らず、板状部材12を鉛直状態に保持して搬送する構成としてもよい。例えば、板状部材12を挟むように振動板14を鉛直状態に配置する。しかし、板状部材12を傾斜した状態で搬送する方が、振動板14の数が少なくてよい。
【0056】
○ 板状部材搬送装置10の搬送距離は板状部材12の長さ又は幅とほぼ同じに限らず、板状部材12の長さ又は幅より長い(例えば2倍以上)長さの振動板14を備えてもよい。
【0057】
○ 板状部材搬送装置10は、板状部材12を立てた状態で、かつ接触状態で搬送する搬送装置から受け渡される板状部材12を搬送するシステムに使用してもよい。板状部材12を立てた状態で、かつ接触状態で搬送する搬送装置は、例えば、板状部材搬送装置10と同じ構成の支承部13を備えるとともに、物体浮揚装置15の代わりに、板状部材12の上部に当接して板状部材12を斜め状態で支承するガイド部(例えばガイドローラ)を備えた構成とする。ガイド部は支承部13と共同して、板状部材12を板状部材搬送装置10での搬送時における傾斜角度とほぼ同じ角度となるように支承する。このように、接触状態で搬送する搬送装置から受け渡される板状部材12を搬送する板状部材搬送装置10において、振動板14をガイド部と同じ高さに配置すれば、ガイド部と当接することにより板状部材12に付着した塵埃等を振動板14からの超音波による洗浄機能で自動的に除去できる。
【0058】
○ 板状部材12の高さが高く、斜めの状態においても撓みが大きな場合、撓みを抑制するため、振動板14を複数平行に配設してもよい。この場合、面積の大きな板状部材12をより安定した状態で搬送、あるいは保管することができる。
【0059】
○ 支承部13をローラで構成する際、支承部13に溝13aを形成せず、板状部材12の下端を支承するローラと、板状部材12の下部の表面又は裏面に当接して板状部材12の厚さ方向への移動を規制する作用をなすローラとを別々に設けてもよい。
【0060】
○ 複数の板状部材搬送装置10を直列に配設して搬送ラインを構成してもよい。
○ ホーン31の幅は振動板14の幅と同じでなくてもよく、振動板14の幅より広くても、狭くてもよいが、振動板14の幅以上が好ましい。
【0061】
○ 振動板14のホーン31への固定はねじによる締結に限らず、接着剤を使用したり、ロウ付けや溶接で固着してもよい。
○ 振動子23はランジュバン形振動子に限らず他の振動子を使用してもよい。
【0062】
前記実施の形態から把握される発明(技術的思想)について以下に記載する。(1) 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の発明において、前記支承部は前記板状部材を傾いた状態でガイド可能に配設されている。
【0063】
(2) 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記移動体はリニアモータで移動可能に構成されている。
(3) 請求項5又は請求項6に記載の発明において、前記支承部は複数のローラで構成され、前記駆動手段は前記板状部材の搬入、搬出側端部に配置された支承部を駆動するモータである。
【0064】
(4) 請求項1〜請求項6及び前記技術的思想(1)〜(3)のいずれかに記載の発明において、前記板状部材は表示装置用のガラス基板である。
【0065】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1〜請求項4に記載の発明によれば、搬送すべき板状部材に圧縮気体を噴射することにより非接触状態に保持して搬送する構成に比較して省エネが可能となり、塵埃を含んだ気体が板状部材に吹き付けられる虞がない。請求項5及び請求項6に記載の発明によれば、ガラスパネル等の板状部材を立てた状態で保管でき、保管位置への出し入れが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の板状部材搬送装置の一部省略模式斜視図。
【図2】(a)は同じく一部省略模式側面図、(b)は(a)の部分拡大図。
【図3】(a)は支承部とプーリ等との配置関係を示す一部省略模式正面図、(b)は励振手段を示す模式図。
【図4】板状部材搬送装置を斜め上方から見た一部省略模式図。
【図5】作用を説明する搬送システムの模式平面図。
【図6】第2の実施の形態の板状部材搬送装置の一部省略模式斜視図。
【図7】従来技術の搬送装置を示す断面図。
【符号の説明】
11…移動体としての台車、12…板状部材、13…支承部、14…振動板、15…物体浮揚装置、22…駆動手段、33…板状部材保管装置、37…移動体。
Claims (6)
- 板状部材の下端を移動可能に支承する支承部と、
前記板状部材に振動板の音波の放射圧を付与して該板状部材を非接触状態で鉛直又は傾斜した状態に保持可能な物体浮揚装置と、
前記板状部材を移動させる移動手段と
を移動体上に装備した板状部材搬送装置。 - 前記支承部、前記物体浮揚装置及び前記移動手段は一つのユニットとして構成され、該ユニットが前記移動体上に装備されている請求項1に記載の板状部材搬送装置。
- 前記支承部は自由回転可能なローラであり、前記物体浮揚装置は少なくとも進行波を発生可能に構成され、進行波を発生する状態で前記移動手段としても機能する請求項1又は請求項2に記載の板状部材搬送装置。
- 前記支承部は駆動手段により駆動されることで前記板状部材を移動可能に構成され、前記駆動手段とともに前記移動手段を構成する請求項1又は請求項2に記載の板状部材搬送装置。
- 板状部材の下端を移動可能に支承する支承部と、
前記板状部材に振動板の音波の放射圧を付与して該板状部材を非接触状態で鉛直又は傾斜した状態に保持可能な物体浮揚装置と、
前記板状部材を移動させる移動手段と
を備えた板状部材保管装置。 - 前記支承部は駆動手段により駆動されることで前記板状部材を移動可能に構成されている請求項5に記載の板状部材保管装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002220752A JP2004059246A (ja) | 2002-07-30 | 2002-07-30 | 板状部材搬送装置及び板状部材保管装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002220752A JP2004059246A (ja) | 2002-07-30 | 2002-07-30 | 板状部材搬送装置及び板状部材保管装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004059246A true JP2004059246A (ja) | 2004-02-26 |
Family
ID=31941251
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002220752A Withdrawn JP2004059246A (ja) | 2002-07-30 | 2002-07-30 | 板状部材搬送装置及び板状部材保管装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004059246A (ja) |
-
2002
- 2002-07-30 JP JP2002220752A patent/JP2004059246A/ja not_active Withdrawn
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2012091122A (ja) | 塗布システム | |
JP4992906B2 (ja) | 基板搬送システム | |
JP3956605B2 (ja) | 物体の浮揚状態での荷取り方法 | |
JP4003568B2 (ja) | 物体浮揚装置、物体搬送装置及び荷取り装置 | |
JP2008066661A (ja) | 基板搬送装置及び基板搬送方法 | |
JP3948636B2 (ja) | 物体浮揚装置を具備した物体搬送装置 | |
JP2005162479A (ja) | 音波浮揚装置 | |
JP2004059246A (ja) | 板状部材搬送装置及び板状部材保管装置 | |
JP2005119808A (ja) | 板状部材搬送システム | |
JP3552793B2 (ja) | 物体搬送装置 | |
JP2005239391A (ja) | 物体浮揚装置及び物体浮揚搬送装置 | |
JP2004059247A (ja) | 板状部材搬送装置 | |
JP2003040421A (ja) | 物体搬送装置 | |
JP2005239392A (ja) | 物体浮揚搬送装置 | |
JP2002308421A (ja) | 板状部材収納装置 | |
JP4168149B2 (ja) | 無接触搬送装置 | |
JP2004059248A (ja) | 板状部材搬送装置間の被搬送物体移載方法及び板状部材搬送装置並びに板状部材保管装置 | |
JP3967855B2 (ja) | 物体浮揚装置 | |
JP4882726B2 (ja) | 枚葉基板搬送方法及び枚葉基板搬送装置 | |
JP4048313B2 (ja) | 物体浮揚装置 | |
JP2003040422A (ja) | 物体浮揚搬送装置 | |
JP2002096920A (ja) | 物体浮揚装置の制御方法及び物体浮揚装置 | |
TWI299722B (en) | A sound wave floating device | |
KR100619370B1 (ko) | 판상부재의 박리대전 억제방법 및 박리대전 억제장치,판상부재의 제전방법 및, 판상부재의 하역방법, 하역장치및 수하장치 | |
JP3975666B2 (ja) | 物体浮揚装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20041130 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20060911 |