JP2004059248A - 板状部材搬送装置間の被搬送物体移載方法及び板状部材搬送装置並びに板状部材保管装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】板状部材を振動板から発する音波の放射圧で振動板に対して非接触状態に保持して搬送する際、板状部材を二つの板状部材搬送ユニット間において円滑に移載する。
【解決手段】板状部材搬送装置10は、複数の板状部材搬送ユニット11を備えている。板状部材搬送ユニット11には、板状部材12の下端を支承する支承部13と、支承部13に支承された板状部材12に振動板14の音波の放射圧を付与して、板状部材12を非接触状態で傾斜した状態に保持可能な物体浮揚装置とが装備されている。各支承部13はモータにより回転される回転軸17にそれぞれ一体回転可能に固定されている。板状部材搬送ユニット11間には、板状部材12と振動板14との距離を大きくする距離拡大手段を構成するガイドローラ32が設けられている。ガイドローラ32は外周側ほど幅が拡がるテーパ状の溝32aを備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】板状部材搬送装置10は、複数の板状部材搬送ユニット11を備えている。板状部材搬送ユニット11には、板状部材12の下端を支承する支承部13と、支承部13に支承された板状部材12に振動板14の音波の放射圧を付与して、板状部材12を非接触状態で傾斜した状態に保持可能な物体浮揚装置とが装備されている。各支承部13はモータにより回転される回転軸17にそれぞれ一体回転可能に固定されている。板状部材搬送ユニット11間には、板状部材12と振動板14との距離を大きくする距離拡大手段を構成するガイドローラ32が設けられている。ガイドローラ32は外周側ほど幅が拡がるテーパ状の溝32aを備えている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、板状部材搬送装置間の被搬送物体移載方法及び板状部材搬送装置並びに板状部材保管装置に係り、詳しくは板状部材を振動板から発する音波の放射圧の作用で振動板に対して非接触状態に保持して搬送する板状部材搬送装置間の被搬送物体移載方法及び板状部材搬送装置並びに板状部材保管装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス基板やシリコンウエハー等の板状の物体を搬送する際に、物体に接触せずに浮揚状態で搬送する物体浮揚搬送装置が例えば、特開平8−277033号公報等に開示されている。この装置では振動体が発生する音波の放射圧により物体を浮揚させて搬送する。物体を浮揚状態で搬送する場合、物体が搬送経路から逸脱しないようにガイド部を設ける必要がある。特開平8−277033号公報に記載の装置では、振動体(振動板)の長手方向に沿ってその両側にガイドが設けられている。ガイドは振動体で発生した音波を反射して音波がガイドに沿って存在するように保持する役割を果たす。その結果、振動体によって浮揚された物体が直接ガイドに接触するのが抑制された状態で、ガイドに沿って案内される。また、ガイドに沿って音波が存在する構成を取らずに、単にガイドを設け、物体が搬送経路から逸脱しようとすると、ガイドの内側面に接触して逸脱が回避される構成のものもある。
【0003】
また、特開2001−213517号公報には、ガラスパネルや半導体ウエハー等の薄くて傷つき易い板状部材を立てた状態で搬送する板状部材搬送装置が開示されている。この板状部材搬送装置は、図9に示すように、支持基板51の片面に複数の圧力容器52が固定され、圧力容器52の前面に多孔質体53が取り付けられている。支持基板51の下端には、駆動シャフト54が回転可能に支持され、駆動シャフト54に駆動ローラ55が一体回転可能に固定され、各駆動ローラ55にベルト56が巻掛けられて搬送手段57が構成されている。図示しないモータにより駆動シャフト54が駆動されることにより、ベルト56が駆動される。そして、多孔質体53から噴射される圧力流体(圧縮空気)で搬送すべき板状部材58を支持するとともに、板状部材58に対して多孔質体53と反対側に配設された洗浄液噴霧ノズル59から洗浄液を噴霧しつつ、その板状部材58の下端部を搬送手段57で支持して搬送するようになっている。従って、この板状部材搬送装置では、ガラスパネルや半導体ウエハー等の薄くて傷つき易い板状部材58にその下端のみで接触した状態で搬送することができ、搬送時に板状部材58が傷つき難い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特開平8−277033号公報に記載の装置のように物体をほぼ水平状態で搬送する装置では、搬送装置を設置するために広い面積が必要となる。例えば、近年、液晶装置の製造工程において、ガラス基板として1m四方の大きさのものが使用されるようになっており、搬送装置の占める面積が大きくなっている。特開2001−213517号公報に開示された装置では、搬送すべき板状部材58を非接触状態で保持するために多孔質体53から圧縮気体を噴射する構成のためエネルギー消費が大きいという問題があるとともに、多孔質体53を構成する多孔質セラミックからの発塵が問題になる場合がある。
【0005】
本願出願人等は圧縮気体を板状物体に噴射して非接触状態で保持する構成に代えて、振動板から発生される音波の放射圧により板状部材を立てた状態で、かつ非接触状態で保持して搬送する板状部材搬送装置を考えた。
【0006】
ところが、板状部材を音波の放射圧で浮揚保持する場合、板状部材と振動板との間隔は数百μm程度と非常に小さい。従って、板状部材を直列に接続された複数の板状部材搬送装置により搬送する場合、二つの板状部材搬送装置間における板状部材の移載が円滑に行われるように、各板状部材搬送装置のアライメント調整を行うのが非常に難しい。この問題は板状部材を立てた状態で搬送する場合に限らず、板状部材を水平状態で搬送する場合でも同じである。
【0007】
本発明は前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その第1の目的は板状部材を振動板から発する音波の放射圧で振動板に対して非接触状態に保持して搬送する際、板状部材を二つの板状部材搬送装置間において円滑に移載することができる板状部材搬送装置間の被搬送物体移載方法を提供することにある。また、第2の目的は、前記の被搬送物体移載方法を実施することができる板状部材搬送装置及び板状部材保管装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記第1の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、長尺の振動板を励振手段で励振させて、振動板の音波の放射圧により振動板の表面上において板状の被搬送物体を浮揚させるとともに、前記被搬送物体の一部を支承部で支承した状態で搬送する板状部材搬送装置間の被搬送物体移載方法である。一方の板状部材搬送装置から他方の板状部材搬送装置へ被搬送物体を移載させる際、両板状部材搬送装置間の移載部における前記被搬送物体と前記振動板との距離を大きくした状態で前記被搬送物体を一方の板状部材搬送装置から他方の板状部材搬送装置へ移載する。
【0009】
この発明では、被搬送物体は一部が支承部に支承された状態で、振動板で発生した音波の放射圧の作用により振動板の表面から浮揚した状態で搬送される。そして、一方の板状部材搬送装置から他方の板状部材搬送装置へ被搬送物体が移載される際、両板状部材搬送装置間の移載部における被搬送物体と振動板との距離が大きくなった状態で、被搬送物体が一方の板状部材搬送装置から他方の板状部材搬送装置へ移載される。従って、被搬送物体は振動板の端部と干渉せずに、一方の板状部材搬送装置から他方の板状部材搬送装置へと円滑に移載される。
【0010】
第2の目的を達成するため、請求項2に記載の発明は、長尺の振動板を励振手段で励振させて、振動板の音波の放射圧により振動板の表面上において板状の被搬送物体を浮揚させるとともに、前記被搬送物体の一部を支承部で支承した状態で搬送する板状部材搬送ユニットを複数直列に配置し、前記板状部材搬送ユニット間で被搬送物体を移載可能に構成された板状部材搬送装置において、前記板状部材搬送ユニット間に、被搬送物体と前記振動板との距離を大きくする距離拡大手段を設けた。
【0011】
この発明では、板状の被搬送物体は一部が支承部に支承された状態で、振動板で発生した音波の放射圧により、振動板と非接触状態で搬送される。そして、駆動手段により支承部が駆動されることで板状部材が移動される。従って、圧縮流体(圧縮空気)を噴射する構成の従来装置に比較して、少ないエネルギー消費で板状部材を、その下端のみが支承部に接触する状態で搬送することができる。また、セラミック製の多孔質体から圧縮空気を噴射する場合と異なり、塵埃を板状部材に吹き付ける虞がない。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記板状部材搬送ユニットは、前記被搬送物体の下端を支承部で支承した状態で該被搬送物体を傾斜状態で搬送する。この発明では、被搬送物体は傾斜状態で搬送されるため、板状部材搬送装置の設置に必要な面積を小さくできる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の発明において、前記振動板には前記距離拡大手段として、前記励振手段への固定部より自由端側においてその厚みが薄く形成された部分が設けられている。この発明では、振動板の厚みが一定に形成された場合に比較して、自由端部の振動が同じ条件において大きくなり、放射圧も大きくなるため、被搬送物体と振動板とが干渉し難くなる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、隣り合うように配設された前記板状部材搬送ユニットの振動板は、高さ方向にずれた状態で、かつ上方から見た状態においてその長手方向の端部がオーバーラップするように配設されている。この発明では、振動板の長手方向の端部が上下方向においてオーバーラップするため、被搬送物体が振動板の端部と干渉せずに、一方の板状部材搬送ユニットから他方の板状部材搬送ユニットへとより円滑に移載される。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の発明において、前記距離拡大手段は前記被搬送物体と係合して前記被搬送物体を前記振動板から離間するように案内するガイド部である。この発明では、ガイド部の作用により、被搬送物体は振動板との距離が拡大された状態で移載されるべき板状部材搬送ユニットへと案内される。
【0016】
請求項7に記載の発明の板状部材保管装置は、板状部材の下端を支承するとともに、駆動手段により駆動されることで支承する物体を移動可能な支承部と、前記物体に長尺の振動板の音波の放射圧を付与して該物体を非接触状態で保持可能な物体浮揚装置とを備えた板状部材保管装置である。そして、搬入、搬出される板状部材と前記振動板との距離を大きくする距離拡大手段を設けた。
【0017】
この発明では、板状部材は下端が支承部に支承された状態で、振動板で発生した音波の放射圧により、振動板と非接触状態で傾斜した状態に保持される。従って、ガラスパネル等の板状部材を傾斜した状態で保管できる。板状部材の保管位置への出し入れは、板状部材が支承部に支承された状態で移動手段の作用により移動される。その際、距離拡大手段の作用により、板状部材と振動板との距離が大きくなった状態で移動されるため、板状部材と振動板との干渉が防止される。保管中は必ずしも振動板を振動させて板状部材を振動板と非接触状態に保持する必要はなく、板状部材が振動板と接触する状態で保管されてもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明を液晶表示装置の基板ガラスの搬送に使用する板状部材搬送装置に具体化した第1の実施の形態を図1〜図3に従って説明する。図1(a)は板状部材搬送装置を振動板と平行な斜め上方から見た一部省略模式図、図1(b)はガイドローラの模式斜視図、図2(a)は板状部材搬送装置の模式側面図、図2(b)は図2(a)の部分拡大図、図3は板状部材搬送装置の支承部と振動板との関係を示す模式正面図である。
【0019】
図1に示すように、板状部材搬送装置10は、複数(この実施の形態では2個)の板状部材搬送ユニット11を備えている。図2(a)に示すように、板状部材搬送ユニット11は、ベースプレート11a上に、板状の被搬送物体としての板状部材12の下端を支承する支承部13と、物体浮揚装置15とが装備されている。物体浮揚装置15は支承部13に支承された板状部材12に振動板14の音波の放射圧を付与して、板状部材12を非接触状態で傾斜した状態に保持可能となっている。
【0020】
ベースプレート11a上には板状部材12の搬送方向に沿って延びるように支持壁16が固定され、支持壁16には所定間隔をおいて互いに平行に、複数本の回転軸17がその先端側(図1における左端側)に向かって上昇傾斜する状態に軸受(図示せず)を介して回転自在に支持されている。回転軸17の水平面に対する傾斜角度は、板状部材12が鉛直面と成す角度とほぼ同じに形成され、例えば10〜30度である。
【0021】
図2(a)に示すように、各回転軸17の先端には支承部13としてのローラが一体回転可能に固定され、支持壁16に対して支承部13と反対側にはプーリ18(図2(b)に図示)が一体回転可能に固定されている。複数の回転軸17のうち、支持壁16の一端に配設された回転軸17はモータ19の出力軸19aに連結されている。なお、モータ19はベースプレート11aに支持ブロック20を介して取り付けられている。各回転軸17は、各プーリ18間に巻き掛けられたベルト21を介してモータ19により一定方向(図3の時計回り方向)に回転される。回転軸17、プーリ18、モータ19及びベルト21により、支承部13を駆動する駆動手段22が構成されている。
【0022】
支承部13としてのローラは外周面に無端状の溝13aが形成され、板状部材12は下端が溝13aに係合した状態で支承部13に支承されるようになっている。
【0023】
物体浮揚装置15を構成する振動子23は、振動板14が前記支承部13に支承された板状部材12に対してその上部側において音波の放射圧を付与可能な位置に配設されている。振動子23は、ベースプレート11a上に固定された支持台24aに固定されたフレーム24bに対して所定の高さ位置において取り付けられている。フレーム24bは正面から見た形状が門型に構成され、振動子23はフレーム24bの梁の部分に取り付けられている。
【0024】
図1(a)に示すように、振動子23には所謂ランジュバン形振動子が使用され、一対のリング状のピエゾ素子25a,25bを備えている。両ピエゾ素子25a,25b間にリング状の電極板26が配置され、ピエゾ素子25a,25bの電極板26と当接する側と反対側の面に当接する金属ブロック27a,27bを、図示しないボルトによって締め付け固定することにより振動子23が構成されている。ボルトは金属ブロック27aに形成された図示しないねじ穴に、金属ブロック27b側から螺合されている。両金属ブロック27a,27bはボルトを介して互いに導通された状態となっている。金属ブロック27aにはフランジ28が形成され、金属ブロック27aはフレーム24bに形成された孔(図示せず)に嵌合された状態で図示しないボルトによりフランジ28においてフレーム24bに固定されている。振動子23は発振器29に接続されている。電極板26は配線30aを介して発振器29と接続され、発振器29の接地端子が配線30bを介して金属ブロック27bに接続されている。
【0025】
振動板14は両端部が、ホーン31の先端に図示しないねじにより固定されている。ホーン31は偏平なほぼ直方体状に形成され、振動板14の長手方向端部近傍において長手方向と直交する状態で取付けられている。ホーン31は振動板14の幅と同じ幅に形成され、振動板14が締結される面の反対側の面において振動子23に固定されている。ホーン31の先端面は振動子23の軸方向と直交する平面に形成され、ホーン31及び振動子23は、その中心軸が振動板14と垂直方向に延びる状態で配置されている。ホーン31、振動子23及び発振器29により振動板14を励振させる励振手段が構成されている。
【0026】
図1(a)に示すように、両板状部材搬送ユニット11間には、板状部材12と振動板14との距離を大きくする距離拡大手段を構成するガイドローラ32が設けられている。図1(b)に示すように、ガイドローラ32は外周側ほど幅が拡がるテーパ状の溝32aを備えている。また、両板状部材搬送ユニット11の支承部13のうち、隣接する板状部材搬送ユニット11側の端部に近い位置に配設される支承部13の溝13aも外周側ほど幅が拡がるテーパ状に形成されている。この実施の形態ではそれぞれ2個の支承部13が他の支承部13よりも支持壁16との距離が大きく、かつ板状部材搬送ユニット11の端部の支承部13の方がその距離が大きくなるように配設されている。また、ガイドローラ32は溝32aの中央と支持壁16の延長面との距離が、前記端部に配設された支承部13のテーパ状の溝13aの中央と支持壁16との距離より大きくなる位置に配設されている。この実施の形態では、前記テーパ状の溝13aを備えた支承部13とガイドローラ32とで、板状部材12と振動板14との距離を大きくする距離拡大手段が構成されている。
【0027】
次に前記のように構成された板状部材搬送装置10の作用を説明する。
搬送中に板状部材12に塵埃等が付着するのを防止するため、板状部材搬送装置10の上方には、図示しないが、HEPAフィルタを備えたファンユニットが配設されている。ファンユニットからはHEPAフィルタで濾過された清澄なエアが板状部材搬送装置10の上方から下方に向かって送風されるようになっている。
【0028】
振動子23が所定の共振周波数(例えば、20kHz前後)で励振され、ホーン31が縦振動してホーン31を介して振動板14が励振されて撓み振動を行う。各振動子23は振動板14に定在波が発生するように励振される。板状部材12は振動板14側へ向かって傾く状態で、下端が支承部13に支承されるため、振動板14から音波が発せられない状態では板状部材12の上部寄りにおいて振動板14と接触する状態となる。しかし、振動子23の振動に伴って振動板14から放射される音波の放射圧により、板状部材12は振動板14の表面から浮揚する。浮揚距離は例えば200〜500μmである。また、板状部材12の下端部は支承部13の溝13aに接触した状態で支承される。即ち、板状部材12は支承部13が駆動されない状態では、支承部13に支承された下端を除いて非接触状態で物体浮揚装置15により傾斜した状態で保持される。
【0029】
そして、モータ19が駆動されてベルト21等を介して各支承部13が所定方向に回転駆動されると、板状部材12は立てた状態で、かつ非接触状態で図1及び図3の右方向へ搬送される。
【0030】
板状部材12は薄いガラス板で撓み易いが、立てた状態で搬送されるため、水平状態で搬送する場合に比較して撓み量が少なくなり、安定して搬送される。支承部13と接触する下端部は、常に支承部13に当接した状態となるため、汚れや擦り傷が付く可能性があるが、ガラス板の端部は最終的には製品とならない不用部となるので支障はない。
【0031】
板状部材12の振動板14からの浮揚量が数百μmと小さい。従って、板状部材12が単純に支承部13の溝13aにガイドされて搬送される構成では、両板状部材搬送ユニット11が正確に所定位置に設置されないと、板状部材12が一方の板状部材搬送ユニット11から他方の板状部材搬送ユニット11へ移載される際、板状部材12の端部が振動板14の端部と干渉する。その結果、板状部材12が他方の板状部材搬送ユニット11上に円滑に移載されない。
【0032】
しかし、この実施の形態では、図1(a)に示すように、板状部材12は一方の板状部材搬送ユニット11の端部に近づくと、板状部材12の搬送方向先端は支承部13の溝13aのテーパ面13bと係合することにより、支持壁16からの距離が徐々に大きくなるように2個の支承部13に案内される。そして、ガイドローラ32のテーパ面32bと係合して最も支持壁16から離れた状態となる。次に、他方の板状部材搬送ユニット11の端部寄りに配設された2個の支承部13の溝13aのテーパ面13bと係合して案内されることにより、板状部材12はその端部が支持壁16からの距離が一定に配設された支承部13と係合する状態となる。即ち、一方の板状部材搬送ユニット11から他方の板状部材搬送ユニット11へ板状部材12が移載される際、両板状部材搬送ユニット11間の移載部における板状部材12と振動板14との距離が大きくなった状態で、板状部材12が一方の板状部材搬送ユニット11から他方の板状部材搬送ユニット11へ移載される。従って、板状部材12は振動板14の端部と干渉せずに、一方の板状部材搬送ユニット11から他方の板状部材搬送ユニット11へと円滑に移載される。
【0033】
なお、図1(a)では分かり易くするため、板状部材12の変形を誇張して描いているが、実際は10cm程度移動する間に1mm程度の変形が生じる僅かな変形であり、板状部材12に支障を来すような無理な力は加わらない。
【0034】
この実施の形態では以下の効果を有する。
(1) 板状部材12の下端を支承部13で支承し、振動板14で発生した音波の放射圧の作用により振動板14の表面から浮揚させた状態で板状部材12を搬送する際、一方の板状部材搬送ユニット11から他方の板状部材搬送ユニット11への移載部における板状部材12と振動板14との距離を大きくさせる。従って、板状部材12が一方の板状部材搬送ユニット11から他方の板状部材搬送ユニット11へ移載される際に、板状部材12は振動板14の端部と干渉せずに、一方の板状部材搬送ユニット11から他方の板状部材搬送ユニット11へと円滑に移載される。
【0035】
(2) 前記一方の板状部材搬送ユニット11から他方の板状部材搬送ユニット11への移載部における板状部材12と振動板14との距離を大きくさせる距離拡大手段としてテーパ状の溝32aを備えたガイドローラ32が設けられている。従って、簡単な構成で前記板状部材12と振動板14との距離を大きくさせることができる。
【0036】
(3) 距離拡大手段として前記ガイドローラ32に加えて、前記移載部寄りに配置された支承部13の一部にもテーパ状の溝13aを設けるとともに、その配設位置を支持壁16からの距離が徐々に大きくなるように設定した。従って、板状部材12をガイドローラ32へ無理なく案内することが容易になる。
【0037】
(4) 板状部材搬送ユニット11の設置公差を大きくできるため、構成部品の精度を高める必要がなく、構成部品を安価に製造できる。
(5) 振動板14をホーン31にねじで締付け固定する場合、その締付け力により、振動板14が反る場合があるが、ガイドローラ32及び支承部13のテーパ状の溝32a,13aの作用により、振動板14の端部の反りによる影響を受けずに、アライメント調整ができる。
【0038】
(6) 振動板14の端部の振動が小さくなっても、板状部材12と振動板14とのギャップを確保することができるので、振動板14や部品の公差を大きくでき、共振周波数をシビアに調整する必要がなくなる。
【0039】
(7) 板状部材12は下端が支承部13に支承された状態で、振動板14で発生した音波の放射圧により、振動板14と非接触状態で傾斜した状態に保持され、駆動手段により支承部13が駆動されることで板状部材12が移動される。従って、圧縮流体(圧縮空気)を噴射する構成の従来装置に比較して、少ないエネルギー消費で板状部材12を、その下端部のみが支承部13に接触する状態で搬送することができる。また、セラミック製の多孔質体から圧縮空気を板状部材に噴射する従来装置と異なり、塵埃を板状部材12に吹き付ける虞がない。
【0040】
(8) 板状部材12が傾いた状態で搬送されるため、板状部材12を水平状態で搬送する非接触式搬送装置に比較して、ベースプレート11aの占める面積、ひいては板状部材搬送装置10の設置に必要な面積を狭くできる。
【0041】
(9) 支承部13が外周面に溝13aを有するローラで構成されているため、一個のローラが板状部材12の下方への移動と、厚さ方向への移動とを規制する作用をなす。従って、少ない数のローラで板状部材12を所望の傾斜状態でガイド可能に支承することができる。
【0042】
(10) 全ての支承部13がモータ19により駆動されるベルト21を介して積極駆動されるため、簡単な構成で板状部材12に推力を確実に加えることができ、しかも個々の支承部13は板状部材12に大きな力を付与する必要がなく、板状部材12を小さな推力で円滑に移動させることができる。
【0043】
(11) 支承部13を駆動させる駆動手段が板状部材12の下方に配置されているため、プーリ18及びベルト21等から発塵しても、ファンユニットからの送風により塵埃が板状部材12に悪影響を及ぼさない。
【0044】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態を図4〜図6に従って説明する。この実施の形態では、板状部材12と振動板14との距離を拡大する手段にガイドローラ32等、板状部材12と直接接触して案内する手段を用いていない点が前記実施の形態と大きく異なる。前記実施の形態と同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略する。図4は板状部材搬送装置を振動板14と平行な斜め上方から見た一部省略模式図、図5は支承部13と振動板14との関係を示す模式正面図である。なお、図4及び図5ではプーリ18、ベルト21等の図示も省略している。図6は隣接する板状部材搬送ユニット11の振動板14の端部を示す部分模式図である。なお、実際は振動板14、振動子23等は一部が重なる状態となるが、分かり易くするため、ずらした状態で示している。
【0045】
図4及び図5に示すように、板状部材搬送装置33は3個の板状部材搬送ユニット11を備えている。各板状部材搬送ユニット11は支承部13が一直線上に位置するように配設されている。また、隣り合うように配設された板状部材搬送ユニット11の振動板14は、高さ方向にずれた状態で、かつ上方から見た状態においてその長手方向の端部がオーバーラップするように配設されている。中央に位置する板状部材搬送ユニット11の振動板14が両隣に位置する板状部材搬送ユニット11の振動板14に比較して、板状部材12との距離が大きくなるように配設されている。
【0046】
また、板状部材搬送ユニット11の振動板14には、ホーン31への固定部より自由端側において、その厚みが薄く形成された部分14aが設けられている。この実施の形態では振動板14の端部は自由端側ほど次第に厚さが薄くなるように形成されている。前記部分14aは距離拡大手段として機能する。
【0047】
この実施の形態では、各板状部材搬送ユニット11の振動子23が所定の共振周波数(例えば、20kHz前後)で励振され、前記実施の形態と同様に振動板14に定在波が発生するように励振される。そして、駆動手段22が駆動され、支承部13が図5の時計回り方向に回転され、板状部材12は図4及び図5の左側から右側へと搬送される。
【0048】
各板状部材搬送ユニット11の支承部13は一直線上に配置されているため、支承部13によっては板状部材12と振動板14との距離を変更することはできない。しかし、振動板14の長手方向の端部が上下方向においてオーバーラップし、隣接する板状部材搬送ユニット11の対向する側の振動板14の端部に、ホーン31への固定部より自由端側において、その厚みが薄く形成された部分14aが設けられている。振動板14の固定部より自由端側が薄い場合、振幅が大きくなるとともに、振動板14からの放射圧も大きくなるため、振動板14と板状部材12との間隔が広くなる。その結果、搬送方向上流側の板状部材搬送ユニット11から下流側の板状部材搬送ユニット11への移載部において、板状部材12の端部が振動板14の端部と干渉するのが防止される。
【0049】
この実施の形態では前記実施の形態の(1),(4),(7)〜(11)と同様な効果を有する他に次の効果を有する。
(12) 移載部において板状部材12と振動板14との距離を大きくするのに、ガイドローラ32等のように板状部材12と係合して板状部材12を変形させるのではなく、振動板14を薄くするとともに、振動板14の放射圧を高めることにより板状部材12と振動板14との距離を大きくしている。従って、直接板状部材12に係合して板状部材12を変形させる構成に比較して、板状部材12に無理な力が作用し難い。
【0050】
(13) ガイドローラ32等を使用する構成に比較して、部品点数及び部品の種類が少なくなる。
(14) 隣り合うように配設された板状部材搬送ユニット11の振動板14は、高さ方向にずれた状態で、かつ上方から見た状態においてその長手方向の端部がオーバーラップするように配設されている。従って、移載部において板状部材12の端部に作用する放射圧が大きくなり、板状部材12が振動板14の端部と干渉せずに、一方の板状部材搬送ユニット11から他方の板状部材搬送ユニット11へとより円滑に移載される。
【0051】
実施の形態は前記に限定されるものではなく、例えば次のように構成してもよい。
○ 第1の実施の形態において、板状部材12と係合して板状部材12を振動板14から離間するように案内するガイド部として、ガイドローラ32に代えて、摩擦抵抗の小さな材質(例えば、フッ素樹脂)で形成された固定のガイド部を設けてもよい。この場合、ローラに比較して構成が簡単になる。
【0052】
○ 第1の実施の形態において、一部の支承部13にテーパ状の溝13aを設けるとともに、その配設位置を次第に支持壁16から離れるように設定したが、板状部材12の撓み易さ等の関係で、支承部13の形状や配設位置を変更せずに、ガイド部(ガイドローラ32)だけを設けてもよい。この場合、構成が簡単になる。
【0053】
○ ガイドローラ32及び支承部13の溝32a,13aの両側にテーパ面32b,13bを設ける代わりに、支持壁16に近い側にのみ斜状のガイド面を設けてもよい。
【0054】
○ ガイドローラ32等のガイド部と、振動板14の自由端側を薄く加工する構成の両方を設けてもよい。この場合、より確実に板状部材12と振動板14との干渉を防止できる。
【0055】
○ 振動板14の自由端側を薄く加工する代わりに、図7(a)に示すように、振動板14のホーン31への固定部より端を切り落とした形状としてもよい。この場合、振動する自由端がないため、振動板14のホーン31への固定面と反対側の面の位置を、隣接する板状部材搬送ユニット11の振動板14の位置と同じにすることで、板状部材12と振動板14との干渉を防止できる。
【0056】
○ 振動板14の自由端側を薄く加工する際、第2の実施の形態のように自由端側ほど薄くなる形状に限らず、図7(b)に示すように、振動板14の固定部より薄い一定の厚さの部分14aを設けてもよい。この場合も、ほぼ同様な効果を奏する。
【0057】
○ 隣接する板状部材搬送ユニット11の振動板14の端部を上下方向においてオーバーラップさせる際、搬送方向上流側あるいは下流側のいずれの振動板14が上側に配置されてもよい。
【0058】
○ 物体浮揚装置15は、振動板14が定在波を発生するように振動される構成に代えて、振動板14が板状部材12をその移動方向へ付勢する進行波を発生するように構成してもよい。例えば、振動板14の一端側に締結されたホーン31を励振させる振動子23は前記実施の形態と同様に発振器29に接続する。一方、振動板14の他端側に締結されたホーン31を振動させる振動子23は、抵抗及びコイルからなるエネルギー変換手段としての負荷回路に接続する。負荷回路は一方の端子を電極板26に、他方の端子を金属ブロック27bにそれぞれ接続する。この構成では、振動板14の振動は負荷回路に接続された振動子23に伝達され、振動子23を構成するピエゾ素子25a,25bにより機械エネルギーである振動のエネルギーが電気エネルギーに変換される。この電気エネルギーが負荷回路の抵抗でジュール熱に変換されて放散される。そのため、振動板14に生じる振動の波が一方向へ進む進行波となり、板状部材12に対して、振動板14の一端側から他端側へ向かう推力が付与される。この場合、振動板14から発生する進行波が板状部材12を移動させる推力の一部を負担するため、支承部13の駆動力が小さくてすみ、駆動手段の小型化が容易となる。
【0059】
○ 振動板14の両端に設けられた振動子23をそれぞれ発振器29と負荷回路とに選択的に切り換え接続可能に構成する。この場合、発振器29に接続された状態と、負荷回路に接続された状態との切換を行うことにより、板状部材12の搬送方向を変更することができる。
【0060】
○ 支承部13をローラで構成する場合、全ての支承部13が積極駆動される構成に限らず、一部の支承部13は積極駆動されず被動回転される構成としてもよい。例えば、一部の回転軸17に代えて支軸を支持壁16に固定し、その支軸に回転可能に支承部13としてのローラを設ける。
【0061】
○ 積極回転すべき支承部13毎にモータを設けて駆動する構成としてもよい。
○ 支承部13として板状部材12の搬送方向に沿って配置されたベルトを設けてもよい。ベルトは駆動プーリと被動プーリとの間に巻き掛けられ、モータにより駆動される。この場合、多数のローラを設ける構成に比較して構造が簡単になる。
【0062】
○ 板状部材搬送ユニット11の搬送距離は板状部材12の長さ又は幅の2倍程度に限らず、適宜変更してもよい。
○ 板状部材12の高さが高く、斜めの状態においても撓みが大きな場合、撓みを抑制するため、振動板14を複数平行に配設してもよい。この場合、面積の大きな板状部材12をより安定した状態で搬送することができる。
【0063】
○ 支承部13をローラで構成する際、支承部13に溝13aを形成せず、板状部材12の下端を支承するローラと、板状部材12の下部の表面又は裏面に当接して板状部材12の厚さ方向への移動を規制する作用をなすローラとを別々に設けてもよい。
【0064】
○ 1つの板状部材搬送装置10に装備された複数の板状部材搬送ユニット11間での板状部材12の移載に限らず、複数の板状部材搬送装置10間における板状部材12の移載に適用してもよい。例えば、複数の板状部材搬送装置10を直列に配置した後、隣接する板状部材搬送装置10の間の支承部13と同じ高さに、距離拡大手段としてのガイドローラ32を配設する。このとき、板状部材搬送装置10の端部寄りに配置された支承部13を、第1の実施の形態のように構成するのが望ましい。即ち、支承部13にテーパー状の溝13aを形成するとともに、支持壁16からの距離が大きくなるように配置する。また、ガイドローラ32を設けずに、隣接する板状部材搬送装置10として振動板14の配設高さが異なる装置を準備し、振動板14の端部が上下方向でオーバーラップするように配設し、各振動板14の自由端部に厚さの薄い部分14aを形成してもよい。
【0065】
○ 板状部材12を保管する板状部材保管装置、例えば、板状部材12(ガラス基板)を立てた状態で1枚ずつ搬入、搬出可能に保管する板状部材保管装置に適用してもよい。図8に示すように、板状部材保管装置34は、ベースプレート35上に支承部13と、物体浮揚装置15と、板状部材12を移動させる移動手段とが装備されている。前記支承部13、物体浮揚装置15及び移動手段は複数組が所定間隔で平行に配設されている。物体浮揚装置15はベースプレート35上に固定されたフレーム24上に装備されている。移動手段も第1の実施の形態と同様に支承部13及び駆動手段により構成され、駆動手段は回転軸17と、プーリ18、モータ19及びベルト21(いずれも図示せず)とにより構成されている。第1の実施の形態ではモータ19は一定方向に回転される構成であったが、この実施の形態ではモータ19は正逆回転駆動可能に構成されている点が異なる。板状部材保管装置34には板状部材12の搬入、搬出側の所定位置にガイドローラ32が配設されている。
【0066】
板状部材保管装置34の一側方には支持壁16の延びる方向と直交する方向に移動可能に板状部材搬送装置36が設けられている。板状部材搬送装置36は、一対のレール37に沿って移動可能に設けられた移動体38上に、支承部13と、物体浮揚装置15と、板状部材12を移動させる移動手段とが装備されている。移動体38はレール37上を転動する車輪を備え、リニア誘導モータの一次側可動子が移動体38上に装備され、二次側固定子が走行路面に配置された構成のリニア誘導モータ(図示せず)の作用によってレール37に沿って移動可能に構成されている。
【0067】
この実施の形態では板状部材保管装置34に保管された板状部材12を板状部材保管装置34から搬出する際は、搬出すべき板状部材12が保持されている物体浮揚装置15と対応する位置に移動体38が停止する。その状態で駆動手段が駆動されて各支承部13が図8の時計回り方向に回転されて、板状部材12が移動体38の支承部13上へ搬出される。そして、移動体38により所望の位置まで搬送される。一方、板状部材12を板状部材保管装置34へ搬入する際は、移動体38が板状部材12を搬入すべき箇所と対応する位置で停止する。その状態で駆動手段が駆動されて各支承部13が図8の反時計回り方向に回転されて、板状部材12が移動体38の支承部13上から板状部材保管装置34の支承部13上へ搬入される。この実施の形態でも、ガイドローラ32が第1の実施の形態と同様に機能して板状部材12の移載が円滑に行われる。
【0068】
○ 板状部材12を傾斜した状態で搬送する構成の板状部材搬送装置10に限らず、板状部材を水平状態で搬送する構成の板状部材搬送装置間での板状部材の移載を行う際に適用してもよい。例えば、板状部材の両端をガイドローラで支承し、板状部材の中央部に振動板からの放射圧を作用させて振動板と非接触状態に保持して搬送する搬送装置において、搬送装置間の移載部に、板状部材の端部を前記ガイドローラより高い位置で案内するガイド部を設ける。この場合、板状部材はガイド部に案内されて振動板との距離が大きくなった状態で移載部を通過し、一方の搬送装置から他方の搬送装置へと円滑に移載される。
【0069】
○ 搬送距離が長い場合は、複数の板状部材搬送装置10,33を直列に配設してもよい。
○ ホーン31の幅は振動板14の幅と同じでなくてもよく、振動板14の幅より広くても、狭くてもよいが、振動板14の幅以上が好ましい。
【0070】
○ 振動板14のホーン31への固定はねじによる締結に限らず、接着剤を使用したり、ロウ付けや溶接で固着してもよい。ねじによる締結以外の固定方法を採用した場合でも、振動板14の隣接する板状部材搬送ユニット11側の自由端部に薄くなる部分14aを設けてもよい。
【0071】
○ 振動子23はランジュバン形振動子に限らず他の振動子を使用してもよい。
前記実施の形態から把握される発明(技術的思想)について以下に記載する。
【0072】
(1) 請求項6に記載の発明において、前記ガイド部は周面にテーパ状の溝が形成された回転可能なローラである。
(2) 請求項1〜請求項6及び前記技術的思想(1)のいずれかに記載の発明において、前記被搬送物体はガラス基板である。
【0073】
(3) 請求項7に記載の発明において、前記板状部材はガラス基板である。
【0074】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明によれば、板状部材を振動板から発する音波の放射圧で振動板に対して非接触状態に保持して搬送する際、板状部材を二つの板状部材搬送装置間において円滑に移載することができる。請求項2〜請求項6に記載の発明によれば、板状部材搬送装置において請求項1に記載の発明の方法を容易に実施することができる。請求項7に記載の発明によれば、板状部材保管装置において請求項1に記載の発明の方法を容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は第1の実施の形態の板状部材搬送装置を振動板と平行な斜め上方から見た一部省略模式図、(b)はガイドローラの模式斜視図。
【図2】(a)は板状部材搬送装置の模式側面図、(b)は(a)の部分拡大図。
【図3】板状部材搬送装置の支承部と振動板との関係を示す模式正面図。
【図4】第2の実施の形態の図1に対応する一部省略模式図。
【図5】同じく支承部と振動板との関係を示す模式正面図。
【図6】隣接する板状部材搬送ユニットの振動板の部分拡大模式図。
【図7】(a),(b)は別の実施の形態の振動板の形状を示す部分模式図。
【図8】板状部材保管装置の部分模式斜視図。
【図9】従来技術の搬送装置を示す断面図。
【符号の説明】
10,33,36…板状部材搬送装置、11…板状部材搬送ユニット、12…板状部材、13…支承部、14…振動板、14a…距離拡大手段としての部分、15…物体浮揚装置、22…駆動手段、32…距離拡大手段としてのガイドローラ、34…板状部材保管装置。
【発明の属する技術分野】
本発明は、板状部材搬送装置間の被搬送物体移載方法及び板状部材搬送装置並びに板状部材保管装置に係り、詳しくは板状部材を振動板から発する音波の放射圧の作用で振動板に対して非接触状態に保持して搬送する板状部材搬送装置間の被搬送物体移載方法及び板状部材搬送装置並びに板状部材保管装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス基板やシリコンウエハー等の板状の物体を搬送する際に、物体に接触せずに浮揚状態で搬送する物体浮揚搬送装置が例えば、特開平8−277033号公報等に開示されている。この装置では振動体が発生する音波の放射圧により物体を浮揚させて搬送する。物体を浮揚状態で搬送する場合、物体が搬送経路から逸脱しないようにガイド部を設ける必要がある。特開平8−277033号公報に記載の装置では、振動体(振動板)の長手方向に沿ってその両側にガイドが設けられている。ガイドは振動体で発生した音波を反射して音波がガイドに沿って存在するように保持する役割を果たす。その結果、振動体によって浮揚された物体が直接ガイドに接触するのが抑制された状態で、ガイドに沿って案内される。また、ガイドに沿って音波が存在する構成を取らずに、単にガイドを設け、物体が搬送経路から逸脱しようとすると、ガイドの内側面に接触して逸脱が回避される構成のものもある。
【0003】
また、特開2001−213517号公報には、ガラスパネルや半導体ウエハー等の薄くて傷つき易い板状部材を立てた状態で搬送する板状部材搬送装置が開示されている。この板状部材搬送装置は、図9に示すように、支持基板51の片面に複数の圧力容器52が固定され、圧力容器52の前面に多孔質体53が取り付けられている。支持基板51の下端には、駆動シャフト54が回転可能に支持され、駆動シャフト54に駆動ローラ55が一体回転可能に固定され、各駆動ローラ55にベルト56が巻掛けられて搬送手段57が構成されている。図示しないモータにより駆動シャフト54が駆動されることにより、ベルト56が駆動される。そして、多孔質体53から噴射される圧力流体(圧縮空気)で搬送すべき板状部材58を支持するとともに、板状部材58に対して多孔質体53と反対側に配設された洗浄液噴霧ノズル59から洗浄液を噴霧しつつ、その板状部材58の下端部を搬送手段57で支持して搬送するようになっている。従って、この板状部材搬送装置では、ガラスパネルや半導体ウエハー等の薄くて傷つき易い板状部材58にその下端のみで接触した状態で搬送することができ、搬送時に板状部材58が傷つき難い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特開平8−277033号公報に記載の装置のように物体をほぼ水平状態で搬送する装置では、搬送装置を設置するために広い面積が必要となる。例えば、近年、液晶装置の製造工程において、ガラス基板として1m四方の大きさのものが使用されるようになっており、搬送装置の占める面積が大きくなっている。特開2001−213517号公報に開示された装置では、搬送すべき板状部材58を非接触状態で保持するために多孔質体53から圧縮気体を噴射する構成のためエネルギー消費が大きいという問題があるとともに、多孔質体53を構成する多孔質セラミックからの発塵が問題になる場合がある。
【0005】
本願出願人等は圧縮気体を板状物体に噴射して非接触状態で保持する構成に代えて、振動板から発生される音波の放射圧により板状部材を立てた状態で、かつ非接触状態で保持して搬送する板状部材搬送装置を考えた。
【0006】
ところが、板状部材を音波の放射圧で浮揚保持する場合、板状部材と振動板との間隔は数百μm程度と非常に小さい。従って、板状部材を直列に接続された複数の板状部材搬送装置により搬送する場合、二つの板状部材搬送装置間における板状部材の移載が円滑に行われるように、各板状部材搬送装置のアライメント調整を行うのが非常に難しい。この問題は板状部材を立てた状態で搬送する場合に限らず、板状部材を水平状態で搬送する場合でも同じである。
【0007】
本発明は前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その第1の目的は板状部材を振動板から発する音波の放射圧で振動板に対して非接触状態に保持して搬送する際、板状部材を二つの板状部材搬送装置間において円滑に移載することができる板状部材搬送装置間の被搬送物体移載方法を提供することにある。また、第2の目的は、前記の被搬送物体移載方法を実施することができる板状部材搬送装置及び板状部材保管装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記第1の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、長尺の振動板を励振手段で励振させて、振動板の音波の放射圧により振動板の表面上において板状の被搬送物体を浮揚させるとともに、前記被搬送物体の一部を支承部で支承した状態で搬送する板状部材搬送装置間の被搬送物体移載方法である。一方の板状部材搬送装置から他方の板状部材搬送装置へ被搬送物体を移載させる際、両板状部材搬送装置間の移載部における前記被搬送物体と前記振動板との距離を大きくした状態で前記被搬送物体を一方の板状部材搬送装置から他方の板状部材搬送装置へ移載する。
【0009】
この発明では、被搬送物体は一部が支承部に支承された状態で、振動板で発生した音波の放射圧の作用により振動板の表面から浮揚した状態で搬送される。そして、一方の板状部材搬送装置から他方の板状部材搬送装置へ被搬送物体が移載される際、両板状部材搬送装置間の移載部における被搬送物体と振動板との距離が大きくなった状態で、被搬送物体が一方の板状部材搬送装置から他方の板状部材搬送装置へ移載される。従って、被搬送物体は振動板の端部と干渉せずに、一方の板状部材搬送装置から他方の板状部材搬送装置へと円滑に移載される。
【0010】
第2の目的を達成するため、請求項2に記載の発明は、長尺の振動板を励振手段で励振させて、振動板の音波の放射圧により振動板の表面上において板状の被搬送物体を浮揚させるとともに、前記被搬送物体の一部を支承部で支承した状態で搬送する板状部材搬送ユニットを複数直列に配置し、前記板状部材搬送ユニット間で被搬送物体を移載可能に構成された板状部材搬送装置において、前記板状部材搬送ユニット間に、被搬送物体と前記振動板との距離を大きくする距離拡大手段を設けた。
【0011】
この発明では、板状の被搬送物体は一部が支承部に支承された状態で、振動板で発生した音波の放射圧により、振動板と非接触状態で搬送される。そして、駆動手段により支承部が駆動されることで板状部材が移動される。従って、圧縮流体(圧縮空気)を噴射する構成の従来装置に比較して、少ないエネルギー消費で板状部材を、その下端のみが支承部に接触する状態で搬送することができる。また、セラミック製の多孔質体から圧縮空気を噴射する場合と異なり、塵埃を板状部材に吹き付ける虞がない。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記板状部材搬送ユニットは、前記被搬送物体の下端を支承部で支承した状態で該被搬送物体を傾斜状態で搬送する。この発明では、被搬送物体は傾斜状態で搬送されるため、板状部材搬送装置の設置に必要な面積を小さくできる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の発明において、前記振動板には前記距離拡大手段として、前記励振手段への固定部より自由端側においてその厚みが薄く形成された部分が設けられている。この発明では、振動板の厚みが一定に形成された場合に比較して、自由端部の振動が同じ条件において大きくなり、放射圧も大きくなるため、被搬送物体と振動板とが干渉し難くなる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、隣り合うように配設された前記板状部材搬送ユニットの振動板は、高さ方向にずれた状態で、かつ上方から見た状態においてその長手方向の端部がオーバーラップするように配設されている。この発明では、振動板の長手方向の端部が上下方向においてオーバーラップするため、被搬送物体が振動板の端部と干渉せずに、一方の板状部材搬送ユニットから他方の板状部材搬送ユニットへとより円滑に移載される。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の発明において、前記距離拡大手段は前記被搬送物体と係合して前記被搬送物体を前記振動板から離間するように案内するガイド部である。この発明では、ガイド部の作用により、被搬送物体は振動板との距離が拡大された状態で移載されるべき板状部材搬送ユニットへと案内される。
【0016】
請求項7に記載の発明の板状部材保管装置は、板状部材の下端を支承するとともに、駆動手段により駆動されることで支承する物体を移動可能な支承部と、前記物体に長尺の振動板の音波の放射圧を付与して該物体を非接触状態で保持可能な物体浮揚装置とを備えた板状部材保管装置である。そして、搬入、搬出される板状部材と前記振動板との距離を大きくする距離拡大手段を設けた。
【0017】
この発明では、板状部材は下端が支承部に支承された状態で、振動板で発生した音波の放射圧により、振動板と非接触状態で傾斜した状態に保持される。従って、ガラスパネル等の板状部材を傾斜した状態で保管できる。板状部材の保管位置への出し入れは、板状部材が支承部に支承された状態で移動手段の作用により移動される。その際、距離拡大手段の作用により、板状部材と振動板との距離が大きくなった状態で移動されるため、板状部材と振動板との干渉が防止される。保管中は必ずしも振動板を振動させて板状部材を振動板と非接触状態に保持する必要はなく、板状部材が振動板と接触する状態で保管されてもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明を液晶表示装置の基板ガラスの搬送に使用する板状部材搬送装置に具体化した第1の実施の形態を図1〜図3に従って説明する。図1(a)は板状部材搬送装置を振動板と平行な斜め上方から見た一部省略模式図、図1(b)はガイドローラの模式斜視図、図2(a)は板状部材搬送装置の模式側面図、図2(b)は図2(a)の部分拡大図、図3は板状部材搬送装置の支承部と振動板との関係を示す模式正面図である。
【0019】
図1に示すように、板状部材搬送装置10は、複数(この実施の形態では2個)の板状部材搬送ユニット11を備えている。図2(a)に示すように、板状部材搬送ユニット11は、ベースプレート11a上に、板状の被搬送物体としての板状部材12の下端を支承する支承部13と、物体浮揚装置15とが装備されている。物体浮揚装置15は支承部13に支承された板状部材12に振動板14の音波の放射圧を付与して、板状部材12を非接触状態で傾斜した状態に保持可能となっている。
【0020】
ベースプレート11a上には板状部材12の搬送方向に沿って延びるように支持壁16が固定され、支持壁16には所定間隔をおいて互いに平行に、複数本の回転軸17がその先端側(図1における左端側)に向かって上昇傾斜する状態に軸受(図示せず)を介して回転自在に支持されている。回転軸17の水平面に対する傾斜角度は、板状部材12が鉛直面と成す角度とほぼ同じに形成され、例えば10〜30度である。
【0021】
図2(a)に示すように、各回転軸17の先端には支承部13としてのローラが一体回転可能に固定され、支持壁16に対して支承部13と反対側にはプーリ18(図2(b)に図示)が一体回転可能に固定されている。複数の回転軸17のうち、支持壁16の一端に配設された回転軸17はモータ19の出力軸19aに連結されている。なお、モータ19はベースプレート11aに支持ブロック20を介して取り付けられている。各回転軸17は、各プーリ18間に巻き掛けられたベルト21を介してモータ19により一定方向(図3の時計回り方向)に回転される。回転軸17、プーリ18、モータ19及びベルト21により、支承部13を駆動する駆動手段22が構成されている。
【0022】
支承部13としてのローラは外周面に無端状の溝13aが形成され、板状部材12は下端が溝13aに係合した状態で支承部13に支承されるようになっている。
【0023】
物体浮揚装置15を構成する振動子23は、振動板14が前記支承部13に支承された板状部材12に対してその上部側において音波の放射圧を付与可能な位置に配設されている。振動子23は、ベースプレート11a上に固定された支持台24aに固定されたフレーム24bに対して所定の高さ位置において取り付けられている。フレーム24bは正面から見た形状が門型に構成され、振動子23はフレーム24bの梁の部分に取り付けられている。
【0024】
図1(a)に示すように、振動子23には所謂ランジュバン形振動子が使用され、一対のリング状のピエゾ素子25a,25bを備えている。両ピエゾ素子25a,25b間にリング状の電極板26が配置され、ピエゾ素子25a,25bの電極板26と当接する側と反対側の面に当接する金属ブロック27a,27bを、図示しないボルトによって締め付け固定することにより振動子23が構成されている。ボルトは金属ブロック27aに形成された図示しないねじ穴に、金属ブロック27b側から螺合されている。両金属ブロック27a,27bはボルトを介して互いに導通された状態となっている。金属ブロック27aにはフランジ28が形成され、金属ブロック27aはフレーム24bに形成された孔(図示せず)に嵌合された状態で図示しないボルトによりフランジ28においてフレーム24bに固定されている。振動子23は発振器29に接続されている。電極板26は配線30aを介して発振器29と接続され、発振器29の接地端子が配線30bを介して金属ブロック27bに接続されている。
【0025】
振動板14は両端部が、ホーン31の先端に図示しないねじにより固定されている。ホーン31は偏平なほぼ直方体状に形成され、振動板14の長手方向端部近傍において長手方向と直交する状態で取付けられている。ホーン31は振動板14の幅と同じ幅に形成され、振動板14が締結される面の反対側の面において振動子23に固定されている。ホーン31の先端面は振動子23の軸方向と直交する平面に形成され、ホーン31及び振動子23は、その中心軸が振動板14と垂直方向に延びる状態で配置されている。ホーン31、振動子23及び発振器29により振動板14を励振させる励振手段が構成されている。
【0026】
図1(a)に示すように、両板状部材搬送ユニット11間には、板状部材12と振動板14との距離を大きくする距離拡大手段を構成するガイドローラ32が設けられている。図1(b)に示すように、ガイドローラ32は外周側ほど幅が拡がるテーパ状の溝32aを備えている。また、両板状部材搬送ユニット11の支承部13のうち、隣接する板状部材搬送ユニット11側の端部に近い位置に配設される支承部13の溝13aも外周側ほど幅が拡がるテーパ状に形成されている。この実施の形態ではそれぞれ2個の支承部13が他の支承部13よりも支持壁16との距離が大きく、かつ板状部材搬送ユニット11の端部の支承部13の方がその距離が大きくなるように配設されている。また、ガイドローラ32は溝32aの中央と支持壁16の延長面との距離が、前記端部に配設された支承部13のテーパ状の溝13aの中央と支持壁16との距離より大きくなる位置に配設されている。この実施の形態では、前記テーパ状の溝13aを備えた支承部13とガイドローラ32とで、板状部材12と振動板14との距離を大きくする距離拡大手段が構成されている。
【0027】
次に前記のように構成された板状部材搬送装置10の作用を説明する。
搬送中に板状部材12に塵埃等が付着するのを防止するため、板状部材搬送装置10の上方には、図示しないが、HEPAフィルタを備えたファンユニットが配設されている。ファンユニットからはHEPAフィルタで濾過された清澄なエアが板状部材搬送装置10の上方から下方に向かって送風されるようになっている。
【0028】
振動子23が所定の共振周波数(例えば、20kHz前後)で励振され、ホーン31が縦振動してホーン31を介して振動板14が励振されて撓み振動を行う。各振動子23は振動板14に定在波が発生するように励振される。板状部材12は振動板14側へ向かって傾く状態で、下端が支承部13に支承されるため、振動板14から音波が発せられない状態では板状部材12の上部寄りにおいて振動板14と接触する状態となる。しかし、振動子23の振動に伴って振動板14から放射される音波の放射圧により、板状部材12は振動板14の表面から浮揚する。浮揚距離は例えば200〜500μmである。また、板状部材12の下端部は支承部13の溝13aに接触した状態で支承される。即ち、板状部材12は支承部13が駆動されない状態では、支承部13に支承された下端を除いて非接触状態で物体浮揚装置15により傾斜した状態で保持される。
【0029】
そして、モータ19が駆動されてベルト21等を介して各支承部13が所定方向に回転駆動されると、板状部材12は立てた状態で、かつ非接触状態で図1及び図3の右方向へ搬送される。
【0030】
板状部材12は薄いガラス板で撓み易いが、立てた状態で搬送されるため、水平状態で搬送する場合に比較して撓み量が少なくなり、安定して搬送される。支承部13と接触する下端部は、常に支承部13に当接した状態となるため、汚れや擦り傷が付く可能性があるが、ガラス板の端部は最終的には製品とならない不用部となるので支障はない。
【0031】
板状部材12の振動板14からの浮揚量が数百μmと小さい。従って、板状部材12が単純に支承部13の溝13aにガイドされて搬送される構成では、両板状部材搬送ユニット11が正確に所定位置に設置されないと、板状部材12が一方の板状部材搬送ユニット11から他方の板状部材搬送ユニット11へ移載される際、板状部材12の端部が振動板14の端部と干渉する。その結果、板状部材12が他方の板状部材搬送ユニット11上に円滑に移載されない。
【0032】
しかし、この実施の形態では、図1(a)に示すように、板状部材12は一方の板状部材搬送ユニット11の端部に近づくと、板状部材12の搬送方向先端は支承部13の溝13aのテーパ面13bと係合することにより、支持壁16からの距離が徐々に大きくなるように2個の支承部13に案内される。そして、ガイドローラ32のテーパ面32bと係合して最も支持壁16から離れた状態となる。次に、他方の板状部材搬送ユニット11の端部寄りに配設された2個の支承部13の溝13aのテーパ面13bと係合して案内されることにより、板状部材12はその端部が支持壁16からの距離が一定に配設された支承部13と係合する状態となる。即ち、一方の板状部材搬送ユニット11から他方の板状部材搬送ユニット11へ板状部材12が移載される際、両板状部材搬送ユニット11間の移載部における板状部材12と振動板14との距離が大きくなった状態で、板状部材12が一方の板状部材搬送ユニット11から他方の板状部材搬送ユニット11へ移載される。従って、板状部材12は振動板14の端部と干渉せずに、一方の板状部材搬送ユニット11から他方の板状部材搬送ユニット11へと円滑に移載される。
【0033】
なお、図1(a)では分かり易くするため、板状部材12の変形を誇張して描いているが、実際は10cm程度移動する間に1mm程度の変形が生じる僅かな変形であり、板状部材12に支障を来すような無理な力は加わらない。
【0034】
この実施の形態では以下の効果を有する。
(1) 板状部材12の下端を支承部13で支承し、振動板14で発生した音波の放射圧の作用により振動板14の表面から浮揚させた状態で板状部材12を搬送する際、一方の板状部材搬送ユニット11から他方の板状部材搬送ユニット11への移載部における板状部材12と振動板14との距離を大きくさせる。従って、板状部材12が一方の板状部材搬送ユニット11から他方の板状部材搬送ユニット11へ移載される際に、板状部材12は振動板14の端部と干渉せずに、一方の板状部材搬送ユニット11から他方の板状部材搬送ユニット11へと円滑に移載される。
【0035】
(2) 前記一方の板状部材搬送ユニット11から他方の板状部材搬送ユニット11への移載部における板状部材12と振動板14との距離を大きくさせる距離拡大手段としてテーパ状の溝32aを備えたガイドローラ32が設けられている。従って、簡単な構成で前記板状部材12と振動板14との距離を大きくさせることができる。
【0036】
(3) 距離拡大手段として前記ガイドローラ32に加えて、前記移載部寄りに配置された支承部13の一部にもテーパ状の溝13aを設けるとともに、その配設位置を支持壁16からの距離が徐々に大きくなるように設定した。従って、板状部材12をガイドローラ32へ無理なく案内することが容易になる。
【0037】
(4) 板状部材搬送ユニット11の設置公差を大きくできるため、構成部品の精度を高める必要がなく、構成部品を安価に製造できる。
(5) 振動板14をホーン31にねじで締付け固定する場合、その締付け力により、振動板14が反る場合があるが、ガイドローラ32及び支承部13のテーパ状の溝32a,13aの作用により、振動板14の端部の反りによる影響を受けずに、アライメント調整ができる。
【0038】
(6) 振動板14の端部の振動が小さくなっても、板状部材12と振動板14とのギャップを確保することができるので、振動板14や部品の公差を大きくでき、共振周波数をシビアに調整する必要がなくなる。
【0039】
(7) 板状部材12は下端が支承部13に支承された状態で、振動板14で発生した音波の放射圧により、振動板14と非接触状態で傾斜した状態に保持され、駆動手段により支承部13が駆動されることで板状部材12が移動される。従って、圧縮流体(圧縮空気)を噴射する構成の従来装置に比較して、少ないエネルギー消費で板状部材12を、その下端部のみが支承部13に接触する状態で搬送することができる。また、セラミック製の多孔質体から圧縮空気を板状部材に噴射する従来装置と異なり、塵埃を板状部材12に吹き付ける虞がない。
【0040】
(8) 板状部材12が傾いた状態で搬送されるため、板状部材12を水平状態で搬送する非接触式搬送装置に比較して、ベースプレート11aの占める面積、ひいては板状部材搬送装置10の設置に必要な面積を狭くできる。
【0041】
(9) 支承部13が外周面に溝13aを有するローラで構成されているため、一個のローラが板状部材12の下方への移動と、厚さ方向への移動とを規制する作用をなす。従って、少ない数のローラで板状部材12を所望の傾斜状態でガイド可能に支承することができる。
【0042】
(10) 全ての支承部13がモータ19により駆動されるベルト21を介して積極駆動されるため、簡単な構成で板状部材12に推力を確実に加えることができ、しかも個々の支承部13は板状部材12に大きな力を付与する必要がなく、板状部材12を小さな推力で円滑に移動させることができる。
【0043】
(11) 支承部13を駆動させる駆動手段が板状部材12の下方に配置されているため、プーリ18及びベルト21等から発塵しても、ファンユニットからの送風により塵埃が板状部材12に悪影響を及ぼさない。
【0044】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態を図4〜図6に従って説明する。この実施の形態では、板状部材12と振動板14との距離を拡大する手段にガイドローラ32等、板状部材12と直接接触して案内する手段を用いていない点が前記実施の形態と大きく異なる。前記実施の形態と同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略する。図4は板状部材搬送装置を振動板14と平行な斜め上方から見た一部省略模式図、図5は支承部13と振動板14との関係を示す模式正面図である。なお、図4及び図5ではプーリ18、ベルト21等の図示も省略している。図6は隣接する板状部材搬送ユニット11の振動板14の端部を示す部分模式図である。なお、実際は振動板14、振動子23等は一部が重なる状態となるが、分かり易くするため、ずらした状態で示している。
【0045】
図4及び図5に示すように、板状部材搬送装置33は3個の板状部材搬送ユニット11を備えている。各板状部材搬送ユニット11は支承部13が一直線上に位置するように配設されている。また、隣り合うように配設された板状部材搬送ユニット11の振動板14は、高さ方向にずれた状態で、かつ上方から見た状態においてその長手方向の端部がオーバーラップするように配設されている。中央に位置する板状部材搬送ユニット11の振動板14が両隣に位置する板状部材搬送ユニット11の振動板14に比較して、板状部材12との距離が大きくなるように配設されている。
【0046】
また、板状部材搬送ユニット11の振動板14には、ホーン31への固定部より自由端側において、その厚みが薄く形成された部分14aが設けられている。この実施の形態では振動板14の端部は自由端側ほど次第に厚さが薄くなるように形成されている。前記部分14aは距離拡大手段として機能する。
【0047】
この実施の形態では、各板状部材搬送ユニット11の振動子23が所定の共振周波数(例えば、20kHz前後)で励振され、前記実施の形態と同様に振動板14に定在波が発生するように励振される。そして、駆動手段22が駆動され、支承部13が図5の時計回り方向に回転され、板状部材12は図4及び図5の左側から右側へと搬送される。
【0048】
各板状部材搬送ユニット11の支承部13は一直線上に配置されているため、支承部13によっては板状部材12と振動板14との距離を変更することはできない。しかし、振動板14の長手方向の端部が上下方向においてオーバーラップし、隣接する板状部材搬送ユニット11の対向する側の振動板14の端部に、ホーン31への固定部より自由端側において、その厚みが薄く形成された部分14aが設けられている。振動板14の固定部より自由端側が薄い場合、振幅が大きくなるとともに、振動板14からの放射圧も大きくなるため、振動板14と板状部材12との間隔が広くなる。その結果、搬送方向上流側の板状部材搬送ユニット11から下流側の板状部材搬送ユニット11への移載部において、板状部材12の端部が振動板14の端部と干渉するのが防止される。
【0049】
この実施の形態では前記実施の形態の(1),(4),(7)〜(11)と同様な効果を有する他に次の効果を有する。
(12) 移載部において板状部材12と振動板14との距離を大きくするのに、ガイドローラ32等のように板状部材12と係合して板状部材12を変形させるのではなく、振動板14を薄くするとともに、振動板14の放射圧を高めることにより板状部材12と振動板14との距離を大きくしている。従って、直接板状部材12に係合して板状部材12を変形させる構成に比較して、板状部材12に無理な力が作用し難い。
【0050】
(13) ガイドローラ32等を使用する構成に比較して、部品点数及び部品の種類が少なくなる。
(14) 隣り合うように配設された板状部材搬送ユニット11の振動板14は、高さ方向にずれた状態で、かつ上方から見た状態においてその長手方向の端部がオーバーラップするように配設されている。従って、移載部において板状部材12の端部に作用する放射圧が大きくなり、板状部材12が振動板14の端部と干渉せずに、一方の板状部材搬送ユニット11から他方の板状部材搬送ユニット11へとより円滑に移載される。
【0051】
実施の形態は前記に限定されるものではなく、例えば次のように構成してもよい。
○ 第1の実施の形態において、板状部材12と係合して板状部材12を振動板14から離間するように案内するガイド部として、ガイドローラ32に代えて、摩擦抵抗の小さな材質(例えば、フッ素樹脂)で形成された固定のガイド部を設けてもよい。この場合、ローラに比較して構成が簡単になる。
【0052】
○ 第1の実施の形態において、一部の支承部13にテーパ状の溝13aを設けるとともに、その配設位置を次第に支持壁16から離れるように設定したが、板状部材12の撓み易さ等の関係で、支承部13の形状や配設位置を変更せずに、ガイド部(ガイドローラ32)だけを設けてもよい。この場合、構成が簡単になる。
【0053】
○ ガイドローラ32及び支承部13の溝32a,13aの両側にテーパ面32b,13bを設ける代わりに、支持壁16に近い側にのみ斜状のガイド面を設けてもよい。
【0054】
○ ガイドローラ32等のガイド部と、振動板14の自由端側を薄く加工する構成の両方を設けてもよい。この場合、より確実に板状部材12と振動板14との干渉を防止できる。
【0055】
○ 振動板14の自由端側を薄く加工する代わりに、図7(a)に示すように、振動板14のホーン31への固定部より端を切り落とした形状としてもよい。この場合、振動する自由端がないため、振動板14のホーン31への固定面と反対側の面の位置を、隣接する板状部材搬送ユニット11の振動板14の位置と同じにすることで、板状部材12と振動板14との干渉を防止できる。
【0056】
○ 振動板14の自由端側を薄く加工する際、第2の実施の形態のように自由端側ほど薄くなる形状に限らず、図7(b)に示すように、振動板14の固定部より薄い一定の厚さの部分14aを設けてもよい。この場合も、ほぼ同様な効果を奏する。
【0057】
○ 隣接する板状部材搬送ユニット11の振動板14の端部を上下方向においてオーバーラップさせる際、搬送方向上流側あるいは下流側のいずれの振動板14が上側に配置されてもよい。
【0058】
○ 物体浮揚装置15は、振動板14が定在波を発生するように振動される構成に代えて、振動板14が板状部材12をその移動方向へ付勢する進行波を発生するように構成してもよい。例えば、振動板14の一端側に締結されたホーン31を励振させる振動子23は前記実施の形態と同様に発振器29に接続する。一方、振動板14の他端側に締結されたホーン31を振動させる振動子23は、抵抗及びコイルからなるエネルギー変換手段としての負荷回路に接続する。負荷回路は一方の端子を電極板26に、他方の端子を金属ブロック27bにそれぞれ接続する。この構成では、振動板14の振動は負荷回路に接続された振動子23に伝達され、振動子23を構成するピエゾ素子25a,25bにより機械エネルギーである振動のエネルギーが電気エネルギーに変換される。この電気エネルギーが負荷回路の抵抗でジュール熱に変換されて放散される。そのため、振動板14に生じる振動の波が一方向へ進む進行波となり、板状部材12に対して、振動板14の一端側から他端側へ向かう推力が付与される。この場合、振動板14から発生する進行波が板状部材12を移動させる推力の一部を負担するため、支承部13の駆動力が小さくてすみ、駆動手段の小型化が容易となる。
【0059】
○ 振動板14の両端に設けられた振動子23をそれぞれ発振器29と負荷回路とに選択的に切り換え接続可能に構成する。この場合、発振器29に接続された状態と、負荷回路に接続された状態との切換を行うことにより、板状部材12の搬送方向を変更することができる。
【0060】
○ 支承部13をローラで構成する場合、全ての支承部13が積極駆動される構成に限らず、一部の支承部13は積極駆動されず被動回転される構成としてもよい。例えば、一部の回転軸17に代えて支軸を支持壁16に固定し、その支軸に回転可能に支承部13としてのローラを設ける。
【0061】
○ 積極回転すべき支承部13毎にモータを設けて駆動する構成としてもよい。
○ 支承部13として板状部材12の搬送方向に沿って配置されたベルトを設けてもよい。ベルトは駆動プーリと被動プーリとの間に巻き掛けられ、モータにより駆動される。この場合、多数のローラを設ける構成に比較して構造が簡単になる。
【0062】
○ 板状部材搬送ユニット11の搬送距離は板状部材12の長さ又は幅の2倍程度に限らず、適宜変更してもよい。
○ 板状部材12の高さが高く、斜めの状態においても撓みが大きな場合、撓みを抑制するため、振動板14を複数平行に配設してもよい。この場合、面積の大きな板状部材12をより安定した状態で搬送することができる。
【0063】
○ 支承部13をローラで構成する際、支承部13に溝13aを形成せず、板状部材12の下端を支承するローラと、板状部材12の下部の表面又は裏面に当接して板状部材12の厚さ方向への移動を規制する作用をなすローラとを別々に設けてもよい。
【0064】
○ 1つの板状部材搬送装置10に装備された複数の板状部材搬送ユニット11間での板状部材12の移載に限らず、複数の板状部材搬送装置10間における板状部材12の移載に適用してもよい。例えば、複数の板状部材搬送装置10を直列に配置した後、隣接する板状部材搬送装置10の間の支承部13と同じ高さに、距離拡大手段としてのガイドローラ32を配設する。このとき、板状部材搬送装置10の端部寄りに配置された支承部13を、第1の実施の形態のように構成するのが望ましい。即ち、支承部13にテーパー状の溝13aを形成するとともに、支持壁16からの距離が大きくなるように配置する。また、ガイドローラ32を設けずに、隣接する板状部材搬送装置10として振動板14の配設高さが異なる装置を準備し、振動板14の端部が上下方向でオーバーラップするように配設し、各振動板14の自由端部に厚さの薄い部分14aを形成してもよい。
【0065】
○ 板状部材12を保管する板状部材保管装置、例えば、板状部材12(ガラス基板)を立てた状態で1枚ずつ搬入、搬出可能に保管する板状部材保管装置に適用してもよい。図8に示すように、板状部材保管装置34は、ベースプレート35上に支承部13と、物体浮揚装置15と、板状部材12を移動させる移動手段とが装備されている。前記支承部13、物体浮揚装置15及び移動手段は複数組が所定間隔で平行に配設されている。物体浮揚装置15はベースプレート35上に固定されたフレーム24上に装備されている。移動手段も第1の実施の形態と同様に支承部13及び駆動手段により構成され、駆動手段は回転軸17と、プーリ18、モータ19及びベルト21(いずれも図示せず)とにより構成されている。第1の実施の形態ではモータ19は一定方向に回転される構成であったが、この実施の形態ではモータ19は正逆回転駆動可能に構成されている点が異なる。板状部材保管装置34には板状部材12の搬入、搬出側の所定位置にガイドローラ32が配設されている。
【0066】
板状部材保管装置34の一側方には支持壁16の延びる方向と直交する方向に移動可能に板状部材搬送装置36が設けられている。板状部材搬送装置36は、一対のレール37に沿って移動可能に設けられた移動体38上に、支承部13と、物体浮揚装置15と、板状部材12を移動させる移動手段とが装備されている。移動体38はレール37上を転動する車輪を備え、リニア誘導モータの一次側可動子が移動体38上に装備され、二次側固定子が走行路面に配置された構成のリニア誘導モータ(図示せず)の作用によってレール37に沿って移動可能に構成されている。
【0067】
この実施の形態では板状部材保管装置34に保管された板状部材12を板状部材保管装置34から搬出する際は、搬出すべき板状部材12が保持されている物体浮揚装置15と対応する位置に移動体38が停止する。その状態で駆動手段が駆動されて各支承部13が図8の時計回り方向に回転されて、板状部材12が移動体38の支承部13上へ搬出される。そして、移動体38により所望の位置まで搬送される。一方、板状部材12を板状部材保管装置34へ搬入する際は、移動体38が板状部材12を搬入すべき箇所と対応する位置で停止する。その状態で駆動手段が駆動されて各支承部13が図8の反時計回り方向に回転されて、板状部材12が移動体38の支承部13上から板状部材保管装置34の支承部13上へ搬入される。この実施の形態でも、ガイドローラ32が第1の実施の形態と同様に機能して板状部材12の移載が円滑に行われる。
【0068】
○ 板状部材12を傾斜した状態で搬送する構成の板状部材搬送装置10に限らず、板状部材を水平状態で搬送する構成の板状部材搬送装置間での板状部材の移載を行う際に適用してもよい。例えば、板状部材の両端をガイドローラで支承し、板状部材の中央部に振動板からの放射圧を作用させて振動板と非接触状態に保持して搬送する搬送装置において、搬送装置間の移載部に、板状部材の端部を前記ガイドローラより高い位置で案内するガイド部を設ける。この場合、板状部材はガイド部に案内されて振動板との距離が大きくなった状態で移載部を通過し、一方の搬送装置から他方の搬送装置へと円滑に移載される。
【0069】
○ 搬送距離が長い場合は、複数の板状部材搬送装置10,33を直列に配設してもよい。
○ ホーン31の幅は振動板14の幅と同じでなくてもよく、振動板14の幅より広くても、狭くてもよいが、振動板14の幅以上が好ましい。
【0070】
○ 振動板14のホーン31への固定はねじによる締結に限らず、接着剤を使用したり、ロウ付けや溶接で固着してもよい。ねじによる締結以外の固定方法を採用した場合でも、振動板14の隣接する板状部材搬送ユニット11側の自由端部に薄くなる部分14aを設けてもよい。
【0071】
○ 振動子23はランジュバン形振動子に限らず他の振動子を使用してもよい。
前記実施の形態から把握される発明(技術的思想)について以下に記載する。
【0072】
(1) 請求項6に記載の発明において、前記ガイド部は周面にテーパ状の溝が形成された回転可能なローラである。
(2) 請求項1〜請求項6及び前記技術的思想(1)のいずれかに記載の発明において、前記被搬送物体はガラス基板である。
【0073】
(3) 請求項7に記載の発明において、前記板状部材はガラス基板である。
【0074】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明によれば、板状部材を振動板から発する音波の放射圧で振動板に対して非接触状態に保持して搬送する際、板状部材を二つの板状部材搬送装置間において円滑に移載することができる。請求項2〜請求項6に記載の発明によれば、板状部材搬送装置において請求項1に記載の発明の方法を容易に実施することができる。請求項7に記載の発明によれば、板状部材保管装置において請求項1に記載の発明の方法を容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は第1の実施の形態の板状部材搬送装置を振動板と平行な斜め上方から見た一部省略模式図、(b)はガイドローラの模式斜視図。
【図2】(a)は板状部材搬送装置の模式側面図、(b)は(a)の部分拡大図。
【図3】板状部材搬送装置の支承部と振動板との関係を示す模式正面図。
【図4】第2の実施の形態の図1に対応する一部省略模式図。
【図5】同じく支承部と振動板との関係を示す模式正面図。
【図6】隣接する板状部材搬送ユニットの振動板の部分拡大模式図。
【図7】(a),(b)は別の実施の形態の振動板の形状を示す部分模式図。
【図8】板状部材保管装置の部分模式斜視図。
【図9】従来技術の搬送装置を示す断面図。
【符号の説明】
10,33,36…板状部材搬送装置、11…板状部材搬送ユニット、12…板状部材、13…支承部、14…振動板、14a…距離拡大手段としての部分、15…物体浮揚装置、22…駆動手段、32…距離拡大手段としてのガイドローラ、34…板状部材保管装置。
Claims (7)
- 長尺の振動板を励振手段で励振させて、振動板の音波の放射圧により振動板の表面上において板状の被搬送物体を浮揚させるとともに、前記被搬送物体の一部を支承部で支承した状態で搬送する板状部材搬送装置間の被搬送物体移載方法であって、
一方の板状部材搬送装置から他方の板状部材搬送装置へ被搬送物体を移載させる際、両板状部材搬送装置間の移載部における前記被搬送物体と前記振動板との距離を大きくした状態で前記被搬送物体を一方の板状部材搬送装置から他方の板状部材搬送装置へ移載する板状部材搬送装置間の被搬送物体移載方法。 - 長尺の振動板を励振手段で励振させて、振動板の音波の放射圧により振動板の表面上において板状の被搬送物体を浮揚させるとともに、前記被搬送物体の一部を支承部で支承した状態で搬送する板状部材搬送ユニットを複数直列に配置し、前記板状部材搬送ユニット間で被搬送物体を移載可能に構成された板状部材搬送装置において、
前記板状部材搬送ユニット間に、被搬送物体と前記振動板との距離を大きくする距離拡大手段を設けた板状部材搬送装置。 - 前記板状部材搬送ユニットは、前記被搬送物体の下端を支承部で支承した状態で該被搬送物体を傾斜状態で搬送する請求項2に記載の板状部材搬送装置。
- 前記振動板には前記距離拡大手段として、前記励振手段への固定部より自由端側においてその厚みが薄く形成された部分が設けられている請求項2又は請求項3に記載の板状部材搬送装置。
- 隣り合うように配設された前記板状部材搬送ユニットの振動板は、高さ方向にずれた状態で、かつ上方から見た状態においてその長手方向の端部がオーバーラップするように配設されている請求項2〜請求項4のいずれか一項に記載の板状部材搬送装置。
- 前記距離拡大手段は前記被搬送物体と係合して前記被搬送物体を前記振動板から離間するように案内するガイド部である請求項2又は請求項3に記載の板状部材搬送装置。
- 板状部材の下端を支承するとともに、駆動手段により駆動されることで支承する板状部材を移動可能な支承部と、前記板状部材に長尺の振動板の音波の放射圧を付与して該板状部材を非接触状態で保持可能な物体浮揚装置とを備えた板状部材保管装置であって、
搬入、搬出される前記板状部材と前記振動板との距離を大きくする距離拡大手段を設けた板状部材保管装置。
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- 2002-07-30 JP JP2002220754A patent/JP2004059248A/ja not_active Withdrawn
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