JP2004058418A - フィルム積層体およびプラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents

フィルム積層体およびプラズマディスプレイパネルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】露光面の高いクリーン性を確保することができ、パターンに欠けやへこみなどの欠陥が生じることなく、パターン欠陥不良を抑制することができるフィルム積層体を提供すること。
【解決手段】ベースフィルム、転写層およびカバーフィルムを積層してなり、ベースフィルム外面における剥離強度が小さいフィルム積層体を提供する。
【選択図】     なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はフィルム積層体に関し、例えばプラズマディスプレイパネル、電子部材の構成部材を形成するための材料として好適に用いられるフィルム積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ベースフィルムとカバーフィルムとの2枚のプラスチックフィルムで機能性膜を挟み込んだフィルム積層体(ドライフィルム)は、その構造から周囲からの異物混入がほとんどなく、基板に転写される直前まで内容物の機能成膜に直接触れることがないため作業性が良好であること、また熱圧着などで基板に転写することにより容易に所望の膜形成が可能であることなどにより、特に感光層を有するフィルム積層体は電子部材の配線や突起状電極、また、プラズマディスプレイの配線形成、隔壁形成などに使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、両面に貼り合わされているプラスチックフィルムは帯電性があるため、容易に周辺の粘着性のあるほこりを吸着するという問題がある。また、フィルム裁断工程では裁断かすが付着することがある。このようなフィルム表面に付着した粘着性のあるほこりや裁断かすは、フィルム積層体がロール状に巻回した状態で保存される場合に、フィルム積層体間に挟まれて圧着されるため除去が困難であり、また、挟み込まれた付着物が、使用の際に露光障害となり、パターン欠陥などを引き起こす場合がある。
【0004】
本発明は以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、感光層を有するフィルム積層体において、ベースフィルム外面に適度な離型性を有することにより、露光面となるベースフィルム外面に光を遮断するような付着物が存在し難いフィルム積層体を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、ロール中に巻き込まれた粘着性のあるほこりや裁断かすなどの付着物を、露光面となるベースフィルム外面ではなくカバーフィルム外面に付着させることで、パターン欠陥などを抑制することが可能なフィルム積層体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、第一に、ベースフィルム、転写層およびカバーフィルムを積層してなり、引き剥がし角度180°、剥離速度300mm/分の条件下で測定した場合の当該ベースフィルム外面におけるポリエステル性粘着テープ(日東電工(株)製31B)の剥離強度が、500g/25mm以下であることを特徴とする、フィルム積層体により達成される。
上記課題は、第二に、ベースフィルム、転写層およびカバーフィルムを積層してなり、引き剥がし方向180°、剥離速度300mm/分の条件下で測定した場合のベースフィルム外面におけるポリエステル性粘着テープ(日東電工(株)製31B)の剥離強度が、カバーフィルム外面における当該テープの剥離強度より小さいことを特徴とする、フィルム積層体により達成される。
上記課題は、第三に、本発明のフィルム積層体における転写層を基板上に転写し、パターンを形成する工程を有することを特徴とする、プラズマディスプレイパネルの製造方法により達成される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のフィルム積層体は、ベースフィルム、転写層およびカバーフィルムを積層してなる。通常、ベースフィルム上に、一層または複数の層からなる転写層を形成し、当該転写層上にカバーフィルムを積層した形状を有する。
ベースフィルム外面における剥離強度は、500g/25mm以下であるか、カバーフィルム外面における当該テープの剥離強度より小さいか、少なくともいずれかの条件を満たしている必要がある。上記いずれの条件も満たしていない場合は、ロール上に巻き取られたフィルム積層体間に粘着性の付着物が混入した場合、巻き出し時にベースフィルム外面へ付着物が付着しやすい。なお、ベースフィルム外面における上記剥離強度は、好ましくは300g/25mm以下、更に好ましくは150g/25mm以下である。ここで、「外面」とは、ベースフィルムおよびカバーフィルムが転写層と接していない面、すなわち、フィルム積層体の外側に位置する面のことである。
【0007】
本発明における上記剥離強度の測定は、アルミ板上にベースフィルムまたはカバーフィルムの外面とポリエステル性粘着テープ(日東電工(株)製31B)の粘着面とを重ね合わせ、圧力0.2MPaでロールにより圧着した後、引き剥がし角度180°、剥離速度300mm/分で引き剥がすという方法で行われる。このときの測定条件は、23℃、1気圧である。
【0008】
ベースフィルム・カバーフィルム
本発明のフィルム積層体を構成するベースフィルムおよびカバーフィルムは、耐熱性および耐溶剤性を有するとともに可撓性を有するプラスチックフィルムであることが好ましい。ベースフィルムが可撓性を有することにより、ロールコーター、ブレードコーターなどによって機能性組成物を塗布することができ、ロール状に巻回した状態で保存し、供給することができる。当該フィルム積層体におけるプラスチックフィルムは、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエステルアミド、ポリエーテル、ポリエーテルエステル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリフロロエチレン、ナイロン、セルロースの何れかであることが望ましい。中でもポリエステル、好ましくはポリエチレンテレフタレートが機械的特性、作業性の点から望ましい。プラスチックフィルムの厚さとしては、例えば20〜100μmとされる。
【0009】
ベースフィルムの外面には、剥離性を付与するための処理を行うことが好ましい。具体的には、ロールコーター、ブレードコーターなどにより剥離剤を塗布する処理を行うことが好ましい。上記剥離剤としては、シリコン樹脂系剥離剤、フッ素樹脂系剥離剤、オクタデシルイソシアネート系剥離剤、(メタ)アクリル酸エステル・シリコン共重合樹脂系剥離剤、シリコン変成第4級アンモニウム塩重合物系剥離剤、シリコン変成ウレタン樹脂系剥離剤などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
また、カバーフィルムの外面にも剥離性を付与するための処理を行ってもよいが、ベースフィルム外面の方が、カバーフィルム外面よりも高い剥離性を有していることが好ましい。
【0010】
転写層
フィルム積層体を構成する転写層は、基板上に転写される一層または複数の層からなり、通常、得られる部材を形成する無機粒子含有層を少なくとも一層有するものである。本発明に用いられる転写層は、通常、少なくとも一層が感光性を有する。具体的には、感光性を有する無機粒子含有層を少なくとも一層有するもの、感光性を有する層(レジスト層)と感光性または非感光性の無機粒子含有層との積層を有するものなどがあげられる。また、その他の層として、反射防止層、着色層などを有していてもよい。これらの層は、感光性を有していてもいなくてもよい。
【0011】
上記転写層は、ベースフィルム上に転写層を形成するための組成物を塗布し、塗膜を乾燥して溶剤の一部または全てを除去することにより形成することができる。転写層が複数の層を有する場合には、上記操作を複数回行う。
無機粒子含有組成物、感光性組成物などをベースフィルム上に塗布する方法としては、膜厚の厚い(例えば10μm以上)塗膜を効率よく形成することができるものであることが好ましく、具体的には、ロールコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、ワイヤーコーターによる塗布方法などを好ましいものとして挙げることができる。
【0012】
転写層を形成するための組成物(以下、「原料組成物」ともいう)としては、無機粒子含有層の場合には、通常、無機粒子、結着樹脂および溶剤を含有するペースト状の組成物(以下、「無機粒子含有組成物」ともいう)を用いる。無機粒子含有組成物は、各成分を、ロール混練機、ミキサー、ホモミキサー、サンドミルなどの混練・分散機を用いて混練することにより調製することができる。ここに、組成物の粘度としては、300〜30,000cpであることが好ましい。無機粒子含有層に感光性を持たせる場合には、上記無機粒子含有組成物に、後述する感光性成分を加える。また、レジスト層として感光性を有する層を形成する場合は、感光性成分と、必要に応じて溶剤とを有する組成物(以下、「レジスト組成物」ともいう)を用いる。
以下、原料組成物における各構成成分について詳述する。
【0013】
<無機粒子>
プラズマディスプレイパネルの隔壁を形成するための無機粒子含有組成物に用いられる無機粒子としては、好ましくは軟化点が400〜600℃の範囲内にあるガラス粉末を挙げることができる。ガラス粉末の軟化点が400℃未満である場合には、当該膜組成物による機能成膜の焼成工程において、結着樹脂などの有機物質が完全に分解除去されない段階でガラス粉末が溶融してしまうため、形成される隔壁中に有機物質の一部が残留する。この結果、隔壁が着色され、その光透過率が低下する傾向がある。一方、ガラス粉末の軟化点が600℃を超える場合には、600℃より高温で焼成する必要があるために、ガラス基板に歪みなどが発生しやすい。
【0014】
好適なガラス粉末の具体例としては、・ 酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素(PbO−B O −SiO 系)の混合物、・ 酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素(ZnO−B O −SiO 系)の混合物、・ 酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム(PbO−B O −SiO −Al O 系)の混合物、・ 酸化鉛、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素(PbO−ZnO−B O −SiO 系)の混合物などを例示することができる。
これらのガラス粉末は隔壁以外の構成要素(例えば電極・抵抗体・蛍光体・カラーフィルター・ブラックマトリックス)を形成するための膜組成物中に含有(併用)されていてもよい。
【0015】
ガラス粉末の形状としては特に限定されず、平均粒径としては、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.5〜5μmである。上記ガラス粉末は単独であるいは異なるガラス粉末組成、異なる軟化点、異なる形状、異なる平均粒径を有するガラス粉末を2種以上組み合わせて使用することができる。
これらのガラス粉末は、隔壁以外の構成要素(例えば電極・抵抗体・蛍光体・カラーフィルター・ブラックマトリックス)を形成するための組成物中に含有されていてもよい。この場合のガラス粉末の含有量は、用途によって異なるが、低融点ガラス粉末を含む無機粒子全量100重量部に対して、通常、70重量部以下であり、好ましくは50重量部以下であり、より好ましくは30重量部以下である。
【0016】
プラズマディスプレイパネルの電極を形成するための無機粒子含有組成物に用いられる無機粒子としては、Ag、Au、Al、Ni、Ag−Pd合金、Cu、Crなどからなる金属粒子を挙げることができる。これらの中でも、大気中で焼成した場合においても酸化による導電性の低下が生じず、比較的安価なAgを用いることが好ましい。電極形成材料に使用される無機粒子の形状としては、粒状、球状、フレーク状等特に限定されず、単独であるいは二種以上の形状の無機粒子を混合して使用することもできる。また、平均粒径としては、好ましくは0.01〜10μm、より好ましくは0.05〜5μmであり、異なる平均粒径を有する無機粒子を混合して使用することもできる。
【0017】
また、透明電極形成材料に使用される無機粒子としては、酸化インジウム、酸化錫、錫含有酸化インジウム(ITO)、アンチモン含有酸化錫(ATO)、フッ素添加酸化インジウム(FIO)、フッ素添加酸化錫(FTO)、フッ素添加酸化亜鉛(FZO)、ならびに、Al、Co、Fe、In、SnおよびTiから選ばれた一種もしくは二種以上の金属を含有する酸化亜鉛微粒子などを挙げることができる。
【0018】
プラズマディスプレイパネルの抵抗体を形成するための無機粒子含有組成物に用いられる無機粒子としてはRuO などからなる粒子を挙げることができる。
【0019】
プラズマディスプレイパネルの蛍光体を形成するための無機粒子含有組成物に用いられる無機粒子としては、Y O :Eu3+、Y SiO :Eu3+、Y Al O12:Eu3+、YVO :Eu3+、(Y,Gd)BO :Eu3+、Zn (PO ) :Mnなどの赤色用蛍光物質;Zn SiO :Mn、BaAl1219:Mn、BaMgAl1423:Mn、LaPO :(Ce,Tb)、Y (Al,Ga) O12:Tbなどの緑色用蛍光物質;Y SiO :Ce、BaMgAl1017:Eu2+、BaMgAl1423:Eu2+、(Ca,Sr,Ba)10(PO ) Cl :Eu2+、(Zn,Cd)S:Agなどの青色用蛍光物質などからなる粒子を挙げることができる。
【0020】
プラズマディスプレイパネルのカラーフィルターを形成するための無機粒子含有組成物に用いられる無機粒子としては、Fe O 、Pb O などの赤色用物質、Cr O などの緑色用物質、2(Al Na Si O10)・Na S などの青色用物質などからなる粒子を挙げることができる。
【0021】
プラズマディスプレイパネルのブラックマトリックスを形成するための無機粒子含有組成物に用いられる無機粒子としては、Co、Cr、Cu、Fe、Mn、Fe、Crなどの金属およびその酸化物、複合酸化物、炭化物、窒化物、硫化物、けい化物、ほう化物やカーボンブラック、グラファイトなどからなる粒子を挙げることができ、単独であるいは二種以上を混合して使用することができる。この中で好ましい無機粒子としてはCo、Cr、Cu、Fe、Mn、NiおよびTiの群から選ばれた金属粒子、金属酸化物粒子および複合酸化物粒子が挙げられる。これらの平均粒径としては、好ましくは0.01〜10μm、より好ましくは0.05〜5μmであり、特に好ましくは0.1〜2μmである。
【0022】
<結着樹脂>
無機粒子含有樹脂組成物を構成する結着樹脂としては、種々の樹脂を用いることができるが、アルカリ可溶性樹脂が好ましい。ここに、「アルカリ可溶性」とは、アルカリ性の現像液によって溶解し、目的とする現像処理が遂行される程度に溶解性を有する性質をいう。
かかるアルカリ可溶性樹脂の具体例としては、例えばアクリル樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、ノボラック樹脂、ポリエステル樹脂などを挙げることができ、特に、アクリル樹脂が好ましい。結着樹脂としてアクリル樹脂が含有されていることにより、形成される転写層に、ガラス基板に対する優れた(加熱)接着性が発揮される。従って、無機粒子含有組成物を支持フィルム上に塗布してフィルム積層体を製造する場合において、得られるフィルム積層体は、転写性(ガラス基板への転写性)に優れたものとなる。
【0023】
かかるアクリル樹脂としては、適度な粘着性を有して無機粒子を結着させることができ、転写層の焼成処理温度(400℃〜600℃)によって完全に酸化除去される(共)重合体の中から選択されることが好ましい。
このようなアクリル樹脂の好ましい具体例としては、下記のモノマー(イ)とモノマー(ハ)との共重合体、モノマー(イ)、モノマー(ロ)およびモノマー(ハ)の共重合体などを挙げることができる。
【0024】
モノマー(イ):カルボキシル基含有モノマー類
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ケイ皮酸、コハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなど。
モノマー(ロ):OH含有モノマー類
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどの水酸基含有モノマー類;o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレンなどのフェノール性水酸基含有モノマー類など。
モノマー(ハ):その他の共重合可能なモノマー類
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ラウリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、グリシジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートなどのモノマー(イ)以外の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル系モノマー類;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン類;ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ベンジル等のポリマー鎖の一方の末端に(メタ)アクリロイル基などの重合性不飽和基を有するマクロモノマー類:
【0025】
上記モノマー(イ)とモノマー(ハ)との共重合体や、モノマー(イ)、モノマー(ロ)およびモノマー(ハ)の共重合体は、モノマー(イ)および/またはモノマー(ロ)のフェノール性水酸基含有モノマーに由来する共重合成分の存在により、アルカリ可溶性を有するものとなる。中でもモノマー(イ)、モノマー(ロ)およびモノマー(ハ)の共重合体は、無機粒子の分散安定性やアルカリ現像液への溶解性の観点から特に好ましい。この共重合体におけるモノマー(イ)に由来する共重合成分の含有率は、好ましくは1〜50質量%、特に好ましくは5〜30質量%であり、モノマー(ロ)に由来する共重合成分の含有率は、好ましくは1〜50質量%、特に好ましくは5〜30質量%である。また、モノマー(ロ)成分としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどの水酸基含有モノマー類が好ましい。
【0026】
結着樹脂の分子量としては、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、単に「重量平均分子量(Mw)」ともいう)として、2,000〜300,000であることが好ましく、さらに好ましくは5,000〜200,000とされる。
無機粒子含有組成物における結着樹脂の含有割合としては、無機粒子100重量部に対して、通常1〜200重量部とされ、好ましくは5〜50重量部とされる。なお、無機粒子含有組成物中にアルカリ可溶性樹脂以外の樹脂を含有してもよい。
【0027】
<感光性成分>
感光性成分としては、多官能性モノマーと光重合開始剤との組み合わせが望ましく、特にネガタイプの多官能性(メタ)アクリレートと光重合開始剤との組み合わせが望ましい。
【0028】
ネガタイプの感光性成分を構成する多官能性(メタ)アクリレートの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;両末端ヒドロキシポリブタジエン、両末端ヒドロキシポリイソプレン、両末端ヒドロキシポリカプロラクトンなどの両末端ヒドロキシル化重合体のジ(メタ)アクリレート類;グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールアルカン、テトラメチロールアルカン、ジペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類;3価以上の多価アルコールのポリアルキレングリコール付加物のポリ(メタ)アクリレート類;1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ベンゼンジオール類などの環式ポリオールのポリ(メタ)アクリレート類;ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、アルキド樹脂(メタ)アクリレート、シリコーン樹脂(メタ)アクリレート、スピラン樹脂(メタ)アクリレートなどのオリゴ(メタ)アクリレート類などを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0029】
また、ネガタイプの感光性組成物を構成する光重合開始剤の具体例としては、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾフェノン、カンファーキノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−〔4’−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンなどのカルボニル化合物;アゾイソブチロニトリル、4−アジドベンズアルデヒドなどのアゾ化合物あるいはアジド化合物;メルカプタンジスルフィドなどの有機硫黄化合物;ベンゾイルパーオキシド、ジ−tret−ブチルパーオキシド、tret−ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、パラメタンハイドロパーオキシドなどの有機パーオキシド;1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−クロロフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−(2−フラニル)エチレニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどのトリハロメタン類;2,2’−ビス(2−クロロフェニル)4,5,4’,5’−テトラフェニル1,2’−ビイミダゾールなどのイミダゾール二量体などを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0030】
この感光性組成物における感光性成分の含有割合としては、アルカリ可溶性樹脂100重量部当たり、通常1〜200重量部とされ、好ましくは5〜100重量部である。
【0031】
<溶剤>
原料組成物に用いられる溶剤としては、無機粒子含有組成物においては無機粒子との親和性、結着樹脂の溶解性が良好であり、また、感光性組成物においては例示した多官能性(メタ)アクリレートと光重合開始剤との親和性、溶解性が良好で、原料組成物に適度な粘性を付与することができると共に、乾燥されることにより容易に蒸発除去できるものであることが好ましい。特に好ましい溶剤として、標準沸点(1気圧における沸点)が100〜200℃であるケトン類、アルコール類およびエステル類(以下、これらを「特定溶剤」という。)を挙げることができる。
かかる特定溶剤の具体例としては、ジエチルケトン、メチルブチルケトン、ジプロピルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;n−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、シクロヘキサノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル系アルコール類;酢酸−n−ブチル、酢酸アミルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;乳酸エチル、乳酸−n−ブチルなどの乳酸エステル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのエーテル系エステル類などを例示することができ、これらのうち、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、エチル−3−エトキシプロピオネートなどが好ましい。これらの特定溶剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
特定溶剤以外の溶剤の具体例としては、テレビン油、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、テルピネオール、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコールなどを挙げることができる。
無機粒子含有組成物における溶剤の含有割合としては、当該組成物の粘度を好適な範囲に維持する観点から、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して、5〜50重量部であることが好ましい。
また、全溶剤に対する特定溶剤の含有割合は、50質量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは70質量%以上とされる。
【0032】
<他の成分>
無機粒子含有組成物においては、無機粒子の分散安定性の向上、形成される機能成膜における可撓性の向上などを目的として、シランカップリング剤が含有されていてもよい。
また、無機粒子含有組成物には、形成される機能成膜に良好な可撓性と燃焼性とを発現させるために、可塑剤が含有されていてもよい。
さらに、原料組成物には、分散剤、粘着性付与剤、表面張力調整剤、安定剤、消泡剤などの各種添加剤が任意成分として含有されていてもよい。
【0033】
【作用】
ベースフィルム外面の剥離強度を低くすることにより、粘着性のあるほこりや裁断かすなどの付着物が巻き取られてロール中に混入した場合であっても、再び巻き出した際に露光面となるベースフィルム外面に付着物が介在せず、カバーフィルム外面に移行することにより、パターン不良率の低下につながる。
【0034】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。実施例における評価方法は以下に示した方法を用いた。
【0035】
〔フィルム剥離強度〕
23℃、1気圧の条件下で、アルミ板上にベースフィルムまたはカバーフィルムの外面とポリエステル性粘着テープ(日東電工(株)製31B)の粘着面とを重ね合わせ、圧力0.2MPaでロールにより圧着した後、1分間放置し、山本鍍金試験器(株)製 密着強度測定試験器にて引き剥がし角度180°、剥離速度300mm/分にて剥離し、剥離強度を測定した。
【0036】
<実施例1〜3、比較例1,2>
(1)無機粒子含有組成物の調製:
無機粒子粉末として、平均粒子径3μmのAg粒子100部、メタクリル酸(20重量%)とメタクリル酸メチル(80重量%)との共重合体(重量平均分子量:50,000)(結着樹脂)50部、ポリエチレングリコールジアクリレートとポリエステルジアクリレート(多官能性(メタ)アクリレート)10部、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(光重合開始剤)7部およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶剤)50部を混練することにより、粘度2,000cpの無機粒子含有組成物を調製した。
(2)フィルム積層体の作成:
表1に示す剥離強度を有するポリエチレンテレフタレートフィルム(長さ500m、幅0.7m、厚み38μm)をベースフィルムとして、前記無機粒子含有組成物をロールコーターを用いて塗布し、塗膜を100℃で5分間乾燥して溶剤を除去して転写層を形成した。その後、当該転写層の表面に、カバーフィルムとして、表1に示す剥離強度を有するカバーフィルム(厚み38μm)を密着させてフィルム積層体を作製した。なお、ベースフィルムおよびカバーフィルムの剥離強度は、フィルム外面にシリコン系オイルを塗布することにより調整した。
【0037】
(3)フィルム積層体間の異物付着性の確認:
上記(1)で得られた無機粒子含有樹脂組成物を、無処理のポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布し、乾燥条件を、A:80℃で5分間、B:100℃で5分間、C:100℃で10分間とそれぞれ変更した以外は上記(2)と同様にして、フィルム積層体A、B、Cを作製した。その後、上記フィルム積層体A,B,Cを裁断して裁断カスA、B、Cを得た。
各々の裁断カスを上記(2)のロール中に100個/100m程度混入させ、フィルム積層体を張力8.0kg/cm2でロール状に巻き取った。巻き取り後のロールを約1日静置後、3.0m/分で巻き出したときの付着物の付着面を目視にて観察し、カバーフィルム面のみに付着している場合を○、ベースフィルム面に付着している場合を×として評価した。
【0038】
【表1】
Figure 2004058418
【0039】
【発明の効果】
本発明のフィルム積層体によれば、従来のフィルム積層体と比較して、粘着性のあるほこりや裁断かすなどの付着物がロール中に混入した場合であっても、露光面となるベースフィルム外面に付着物が介在することなく、露光面の高いクリーン性を確保することができる。このため、パターンに欠けやへこみなどの欠陥が生じることなく、パターン欠陥不良を抑制することができる。

Claims (4)

  1. ベースフィルム、転写層およびカバーフィルムを積層してなり、引き剥がし角度180°、剥離速度300mm/分の条件下で測定した場合の当該ベースフィルム外面におけるポリエステル性粘着テープ(日東電工(株)製31B)の剥離強度が、500g/25mm以下であることを特徴とする、フィルム積層体。
  2. ベースフィルム、転写層およびカバーフィルムを積層してなり、引き剥がし方向180°、剥離速度300mm/分の条件下で測定した場合のベースフィルム外面におけるポリエステル性粘着テープ(日東電工(株)製31B)の剥離強度が、カバーフィルム外面における当該テープの剥離強度より小さいことを特徴とする、フィルム積層体。
  3. 転写層が一層または複数の層からなり、少なくとも一層が感光性を有することを特徴とする、請求項1乃至2に記載のフィルム積層体。
  4. 請求項1乃至2に記載のフィルム積層体における転写層を基板上に転写し、パターンを形成する工程を有することを特徴とする、プラズマディスプレイパネルの製造方法。
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