JP2004058310A - 自動車窓ガラス印刷用スクリーン版および自動車窓ガラスの印刷方法。 - Google Patents
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Abstract
【課題】1枚のスクリーン版を用いるのみで、複数種類の窓ガラスに異なる情報が印刷可能な窓ガラス印刷用スクリーン版および該スクリーン版を用いる窓ガラスの印刷方法を提供すること。
【解決手段】窓ガラスの周辺部に遮蔽(黒セラ)層を印刷する印刷領域と、該窓ガラスの情報印刷領域とが製版され、上記情報印刷領域が、情報内容がそれぞれ異なる複数個であることを特徴とする窓ガラス印刷用スクリーン版。
【選択図】 図1
【解決手段】窓ガラスの周辺部に遮蔽(黒セラ)層を印刷する印刷領域と、該窓ガラスの情報印刷領域とが製版され、上記情報印刷領域が、情報内容がそれぞれ異なる複数個であることを特徴とする窓ガラス印刷用スクリーン版。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車窓ガラス(以下単に「窓ガラス」という)印刷用スクリーン版および該スクリーン版を用いる窓ガラスの印刷方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車のフロントガラスやリヤガラスなどの窓ガラスにおいて、該窓ガラスの周辺部には種々の目的をもって、所謂「黒セラ」と称されるスクリーン印刷層が形成され、さらに窓ガラスの目立たない領域に、該窓ガラスを用いる自動車の自動車製造会社名、車種名、該窓ガラスの製造会社名、商品名、商品構成(板厚、色など)、取得認証、製造年月、製造場所などを表す情報が印刷され、窓ガラスの品質情報などとして利用されている。
【0003】
例えば、自動車のフロントガラスの場合には、図5に示すように、窓ガラス11の周辺に所謂黒セラ印刷部12が設けられるとともに、多くの場合、窓ガラスの目立たない位置に情報印刷部13が設けられている。また、図6に示すように、リヤガラス11の場合には、黒セラ印刷部12と窓ガラスの曇を取る電熱線やアンテナ線からなる導線14に加えて情報印刷部13が施されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の如き黒セラおよび導線は、通常スクリーン印刷によって形成されているが、情報印刷は、同一形状の窓ガラスであっても、商品構成、取得認証、製造年月などが異なる毎に、その情報内容が異なることから、これらの情報をスクリーン印刷で行うことは、その都度、別の印刷版が必要となり、また、ジョブチェンジにも時間を要し、コスト高となり、生産性も低下することから、従来は上記情報はサンドブラスト法で窓ガラスに記録していた。しかしながら、上記サンドブラスト法では、記録文字などにステンシルのスリットが入り、記録情報の判別容易性、多様性、デザイン性などに問題があった。
【0005】
勿論、上記情報を黒セラなどの印刷と同時に、窓ガラスに印刷方法で記録することは可能であるが、前述のように黒セラの印刷形状は全く同一であるにもかかわらず、窓ガラスの情報が異なる毎に新しい印刷版を用意せねばならず、コスト面および生産性の面などで現実性がない。なお、特開平10−190170号公報には、「ロット識別符号の印刷方法およびスクリーン版」に関する発明が記載されているが、上記の如き窓ガラスの印刷に関する課題と解決方法を示唆する記載はない。
従って本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、1枚のスクリーン版を用いるのみで、複数種類の窓ガラスに異なる情報が印刷可能な窓ガラス印刷用スクリーン版および該スクリーン版を用いる窓ガラスの印刷方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、自動車窓ガラスの周辺部に遮蔽(黒セラ)層を印刷する印刷領域と、該窓ガラスの情報印刷領域とが製版され、上記情報印刷領域が、情報内容がそれぞれ異なる複数個であることを特徴とする窓ガラス印刷用スクリーン版を提供する。
また、本発明は、自動車窓ガラスに導線を印刷する印刷領域と、該窓ガラスの情報印刷領域とが製版され、上記情報印刷領域が、情報内容がそれぞれ異なる複数個であることを特徴とする窓ガラス印刷用スクリーン版を提供する。
上記スクリーン版においては、情報の読み取りエラーが発生しないように、また、後述する情報印刷領域の目止めの作業性や目止めの段差などによる印刷品質への影響を考慮して、情報印刷領域と、遮蔽層印刷領域または導線印刷領域との間隔が少なくとも1mmであることが好ましい。
【0007】
また、本発明は、前記本発明のいずれかのスクリーン版を、自動車窓ガラスの面に配置して、印刷インクにより窓ガラスに印刷を施す窓ガラスの印刷方法において、上記スクリーン版の情報内容がそれぞれ異なる複数の情報印刷領域の内の所望の1部を残し、他の情報印刷領域を回復可能に目止して印刷することを特徴とする窓ガラスの印刷方法を提供する。ここで上記目止は、耐インク性のテープまたは水溶性樹脂を用いて行うことが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
図1は、本発明の1実施形態の製版されたスクリーン版の平面図である。図中Xは、スクリーン版の枠体であり、1は、該枠体X内に張設されたテトロン(ポリエステル)繊維などからなるスクリーンメッシュであり、該メッシュ1は通常90〜380メッシュ、例えば、180メッシュである。
【0009】
図中2は、図5に示す如き黒セラ印刷層のうちの黒ベタ印刷領域であり、3は図5に示す如き黒セラのグラディエーション部に相当する印刷領域である。このような印刷版は従来から公知であり、本発明のスクリーン版では、図1の黒セラ印刷領域(黒セラグラディエーション印刷領域)3より内側で、かつ窓ガラスの目立たない位置に情報印刷領域4が、情報内容がそれぞれ異なる複数個に製版されていることを特徴としている。
【0010】
本発明を特徴づける上記情報内容がそれぞれ異なる複数個の情報印刷領域4(41〜46)は、それぞれ窓ガラスに関する異なる情報が印刷されるように製版されている。例えば、図5および図6中の拡大図に示すように、該窓ガラスを用いる自動車の自動車製造会社名、車種名、該窓ガラスの製造会社名、商品名、商品構成(板厚、色など)、取得認証、製造年月、製造場所などの各種情報が、記号、数字、点の数、点同士の間隔などで記録されている。本発明では、このようにそれぞれ情報内容が異なる印刷領域4を、1枚のスクリーン版に複数個製版したことが特徴である。
【0011】
上記スクリーン版は、枠体Xと、該枠体X内に張設されたスクリーンメッシュ1とからなる周知のスクリーン原版に、感光性乳剤層を塗設し、常法により露光および現像して、上記の黒セラ印刷領域2,3および情報印刷領域4を製版することによって得られる。ここで使用するスクリーン原版および感光性乳剤は、従来から広く使用されているものでよく、特に限定されない。
【0012】
黒セラ印刷領域2,3および情報印刷領域4の形成方法自体は従来周知の方法でよく、例えば、黒セラ印刷領域2,3および情報印刷領域4は、これらのパターンとポジ−ネガ関係にある同一のパターンが形成されているマスクを使用し、露光および現像することによって製版できる。
【0013】
上記製版に際し、黒セラ印刷領域2,3および情報印刷領域4は、感光性乳剤の大部分がパターン状に現像除去され、メッシュ本体を除く開口率はほぼ100%に近くなっているが、100%にすることは必須ではなく、窓ガラスに所望の厚さの印刷層または所望の印刷パターンが形成できる開口率であればよい。
【0014】
上記スクリーン版に設ける、情報内容がそれぞれ異なる複数個の情報印刷領域4は、前記の如く被印刷体である窓ガラスの各種情報を有するものであり、情報印刷領域の目止めの作業性や目止めの段差などによる印刷品質への影響を考慮して、黒セラ領域の内側端縁から少なくとも1mm離れて形成することが好ましい。さらに、光学的読み取り性が高精度になるように、黒セラ印刷領域のグラディエーション部の黒点や各種位置決めマーク(不図示)などと混同しないように、黒セラ領域の内側端縁から少なくとも1mm、より好ましくは2mm以上離れて形成する。この点は、後述の図2に示すスクリーン版の場合と同様であり、図2に示すスクリーン版においては、さらに導線14からも少なくとも1mm、より好ましくは2mm以上離れて形成する。
【0015】
図1に示すスクリーン版を用いる本発明の窓ガラスの印刷方法では、窓ガラスの印刷に際しては、情報内容がそれぞれ異なる複数の情報印刷領域4のうちの所望の1部(例えば41)のみを残し、他の情報印刷領域(42〜46)を回復可能に目止して第一の窓ガラスに印刷する。この印刷の際、図1に示すスクリーン版を使用する場合には、黒セラ領域2,3と、選択された1部の情報印刷領域41を同時に印刷する。従って情報印刷領域41は黒セラと同一のインクにより印刷し、後処理を経て製品とする。このようにして得られた窓ガラスは図5に示す如くである。
【0016】
従来、上記の印刷された窓ガラスを適用する自動車が同一車種であって、かつ黒セラ印刷も同一であっても、印刷前の窓ガラス自体の商品構成、取得認証、製造年月などが異なるもの(第二の窓ガラス)である場合には、該第二の窓ガラスの情報が異なることから、前記と同一のスクリーン版で上記第二の窓ガラスを印刷することはできない。本発明では、前記第一の窓ガラスの印刷後、上記の如き情報が異なる第二の窓ガラスの印刷に、前記の第一の窓ガラスの印刷に使用したスクリーン版が使用できる。
【0017】
すなわち、第一の窓ガラスの印刷完了後、第一の情報印刷領域41を目止処理し、第一の窓ガラスの印刷時に目止されていた情報印刷領域(42〜46)のうちの所望の1部(例えば42)のみの目止処理を印刷可能に回復させて、前記第一の窓ガラスの場合と同様に、第二の窓ガラスを印刷する。この印刷された第二の窓ガラスは、図3に示すように第一の窓ガラス(図5)とは、情報印刷領域42の位置と情報の内容のみが異なり、他は同一である。このようにして、形成されている情報印刷領域4の数(例えば6個)に相当する(例えば、ガラスの色や板厚の異なる)複数種類の窓ガラスを1枚のスクリーン版で印刷することができる。
【0018】
図2に示す本発明のスクリーン版は、自動車のリヤガラスの印刷に有用である。すなわち、リヤガラスの場合には、図6に示すように黒セラ印刷部12に加えて、窓ガラスに曇り取り用の電熱線やアンテナ線からなる導線14を印刷する場合が多い。すなわち、図2に示すスクリーン版は、リア窓ガラスに導線を印刷する印刷領域5と、該窓ガラスの情報印刷領域4とが製版され、上記情報印刷領域4が、情報内容がそれぞれ異なる複数個(例えば41〜46)であることを特徴とする。
なお、黒セラ印刷部12と導線14とを有する場合には、情報印刷領域4をどちらのスクリーン版で印刷するかは特に限定されないが、パターンずれなどにより情報印刷領域4と導線14とが重なった際の導線14の性能や見栄えなどを考慮すると、導線用のスクリーン版に情報印刷領域4を設けておくことが好ましい。
【0019】
上記第二のスクリーン版を用いる窓ガラスの印刷方法では、第一の窓ガラスに対して先ず常法に従い黒セラ領域を印刷し、該黒セラ領域が印刷された窓ガラスに対して、例えば、銀ペーストインクにより、前記図1に示すスクリーン版の場合と同様に、導線印刷領域5と情報印刷領域4の1部(例えば41)を用いて、導線14と情報印刷部13とを同時に印刷する(図6参照)。その結果得られる第一の窓ガラスは図6に示すと同様である。
【0020】
第一の窓ガラスに印刷完了後、前記第一のスクリーン版を用いる場合と同様にして、情報印刷領域41を目止し、他の印刷領域の1部(例えば42)の目止を開放して、例えば、商品構成などの異なる第二の窓ガラスを印刷することができる。この印刷された第二の窓ガラスは、図4に示すように第一の窓ガラス(図6)とは、情報印刷領域42の位置と情報の内容のみが異なり、他は同一である。第三の窓ガラスの印刷も同様である。以上の通り、本発明によれば、1枚のスクリーン版を用いて異なる複数種類の窓ガラスに異なる情報が印刷可能である。
【0021】
次に本発明で使用する印刷材料について説明する。本発明の印刷対象となる窓ガラスは自動車用窓ガラスであれば、フロントガラス、リヤガラス、サイドガラス、ルーフガラスなど、特に限定されるものではない。また、本発明で使用するスクリーン原版それ自体、およびスクリーン印刷方法それ自体は従来公知であり、従来公知のいずれのスクリーン原版およびスクリーン印刷方法も本発明で使用できる。
【0022】
また、黒セラ印刷用インクあるいは導線印刷用銀ペーストインクなども公知のものがそのまま使用可能である。具体的には、黒セラインクは、例えば、窓ガラスの周辺部に焼き付けることにより、着色不透明層を形成し、窓ガラスをその周辺で保持しているウレタンシーラントの紫外線による劣化を防止する目的、あるいは窓ガラスの周辺に取り付けられている電熱線やアンテナ線の端子などが車外から透視できないような目的などに使用されているインクであって、従来公知のこのようなインクは何れも本発明で使用できる。例えば、黒色顔料(クロム酸銅など)を10〜30質量%、ガラスフリットを45〜65質量%、耐火物フィラーを0〜10質量%、樹脂(エチルセルロースなど)を1〜10質量%、および溶剤(α−テルピネオールなど)を5〜20質量%を含むインクが挙げられる。これらのインクは、例えば、図1に示す実施形態では、情報印刷領域における情報の印刷インクでもある。
【0023】
また、導線印刷用銀ペーストインクは、例えば、銀粉末54〜81質量%、ガラスフリット1〜10質量%、有機金属化合物0〜3質量%、アルキッド樹脂0〜3質量%、エチルセルロース0〜10質量%、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート0〜10質量%、ジエチレングリコールモノブチルエーテル0〜10質量%、テルピネオール0〜5質量%の組成を有している。これらのインクは、例えば、図2に示す実施形態では、情報印刷領域における情報の印刷インクでもある。
【0024】
本発明の印刷方法において、情報内容がそれぞれ異なる複数の情報印刷領域の1部(例えば1個)を残して他の情報印刷領域を目止する方法は、何れの方法によって行ってもよいが、好ましい方法は、情報印刷領域に、黒セラ用または銀ペーストインクに対して耐久性のあるテープを貼着する方法である。作業性を考慮すると粘着テープが好ましい。粘着テープを使用すれば、乾式で目止が容易であり、かつ不要になった後のテープの剥離も容易である。該テープの素材としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリウレタンなどの耐油性素材が好ましい。このような粘着テープとしては種々のものが市場から入手して使用可能であるが、例えば、厚み約0.09mmのポリプロピレンフィルムの一方の表面にゴム系粘着剤層を設け、他方の面を長鎖アルキル基含有化合物で処理した粘着テープが使用できる。以上の如きテープはあまり厚いとスクリーン版面に凹凸を生じるので、例えば、0.1mm以下の厚さであることが好ましい。なお、粘着テープを貼る面については、スクリーン版のスキージー側の面であるか、またはガラス側の面であるかは、特に限定されないが、印刷品質を考慮するとガラス側の面に貼ることが好ましい。
【0025】
他の目止方法としては、水溶性樹脂の濃厚溶液を目止すべき領域に塗布および乾燥する方法が挙げられる。この方法は、前記テープを用いる方法に比較すれば、煩雑であるものの、スクリーン版の表面に凸部を形成せず、版の平滑性が維持し易いという利点がある。目止を解消し印刷可能にする場合には、水洗などで水溶性樹脂を容易に除去することができる。水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニルのケン化物などの合成樹脂や、澱粉、アルギン酸、カゼイン、カルボキシメチルセルロースなどの天然樹脂が挙げられる。
【0026】
【実施例】
次に例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
例1(スクリーン版の製造例)
スクリーン枠内に張設されたスクリーン原版のスキージ側の表面からガラス基体側の表面に至るまでのスクリーンメッシュ(テトロン繊維からなるスクリーンメッシュで、180メッシュ)内に、乳剤をほぼ均一な厚み(約85μm)で塗設し、乾燥したスクリーン原版を準備する。図1に示すパターンとポジ−ネガ関係にある同一のパターンが形成されたマスクを準備し、上記スクリーン原版とマスクとを用いて、常法により露光および現像を行なって製版し、黒セラ印刷領域2,3と3個の情報印刷領域(図1の41〜43)を有する本発明のスクリーン版を作製した。なお、黒セラ領域(黒セラグラディエーション印刷領域)3の端部と情報印刷領域41〜43の端部との間隔は10mmとした。
【0027】
例2(スクリーン版の製造例)
スクリーン枠内に張設されたスクリーン原版のスキージ側の表面からガラス基体側の表面に至るまでのスクリーンメッシュ(テトロン繊維からなるスクリーンメッシュで、250メッシュ)内に、乳剤をほぼ均一な厚み(約80μm)で塗設し、乾燥したスクリーン原版を準備する。図2に示すパターンとポジ−ネガ関係にある同一のパターンが形成されたマスクを準備し、上記スクリーン原版とマスクとを用いて、常法により露光および現像を行なって製版し、導線印刷領域5と3個の情報印刷領域(図2の41〜43)を有する本発明のスクリーン版を作製した。なお、導線印刷領域5の端部と情報印刷領域41〜43の端部との間隔は5mmとした。印刷後の黒セラ印刷部12の端部と情報印刷部13の端部との間隔は10mmである。
【0028】
例3
前記例1において製版したスクリーン版の内の情報印刷領域の42と43とを粘着テープ(厚み約0.09mmのポリプロピレンフィルムの一方の表面にゴム系粘着剤層を設け、他方の面を長鎖アルキル基含有化合物で処理した粘着テープ)でガラス側の面から目止処理した。このスクリーン版と、粘度40Pa・s at 1.04sec−1(組成は下記の通りである)のインクとを使用して、1ロット(500枚)の窓ガラスに印刷を行なって、図5に示す如き印刷窓ガラスを得た。
[インク組成]
黒色顔料(Cu−Cr−Mn−O系) 20質量%
ガラスフリット 55質量%
耐火物フィラー(Al2O3) 4質量%
樹脂(エチルセルロース) 2質量%
溶剤(α−テルピオネール) 19質量%
【0029】
次に上記で使用したスクリーン版の情報印刷領域41を前記と同じ粘着テープで目止処理し、情報印刷領域42の部分の粘着テープを剥離し印刷可能にした。このスクリーン版と前記の黒色インクとを用いて、前記とは異なるロットの500枚の窓ガラスに印刷し、図3に示す如き印刷窓ガラスを得た。さらに同様にして情報印刷領域43のみを印刷可能にして、別のロットの500枚の窓ガラスに印刷した。
【0030】
例4
前記例1と同様のスクリーン版の情報印刷領域4の全てを前記と同じ粘着テープで目止処理した。このスクリーン版と例3の黒セラ用インクを用いて、3ロット(500枚×3)のリヤ窓ガラスに黒セラを印刷した。この印刷窓ガラスは、導線14と情報印刷領域42が印刷されていないことを除き、図4に示す窓ガラスと同様である。次に例2に示すスクリーン版において、前記と同様な粘着テープを用いて情報印刷領域41のみを印刷可能にした。このスクリーン版と第一のロットの500枚の上記黒セラ印刷済の窓ガラスを重ね、下記組成の銀ペーストを用いて印刷した。この印刷窓ガラスは、図6に示すと同様に印刷されていた。
【0031】
[インク組成]
銀粉末 75質量%
ガラスフリット 5質量%
有機金属化合物 3質量%
酸化物 2質量%
有機樹脂 5質量%
(エチルセルロース系)
有機溶剤 10質量%
(ジエチレングルコールモノブチルエーテルアセテ
ート、ジエチレングルコールモノブチルエーテル、
テルピネオール)
【0032】
次に上記で使用したスクリーン版の情報印刷領域41を前記と同じ粘着テープで目止処理し、情報印刷領域42の部分の粘着テープを剥離し印刷可能にした。このスクリーン版と前記の銀ペーストとを用いて、前記とは異なるロットの500枚の窓ガラスに印刷し、図4に示す如き印刷窓ガラスを得た。さらに同様にして情報印刷領域43のみを印刷可能にして、別のロットの500枚の窓ガラスに印刷し、情報印刷領域の位置のみが異なる印刷窓ガラスを得た。
【0033】
【発明の効果】
上記本発明によれば、1枚のスクリーン版を用いるのみで、複数種類の窓ガラスに異なる情報が印刷可能な窓ガラス印刷用スクリーン版および該スクリーン版を用いる窓ガラスの印刷方法を提供することができる。
さらに、複数の情報印刷領域の内の所望の1部を残し、他の情報印刷領域を目止して印刷することにより、情報印刷領域の位置が、窓ガラスの商品構成や生産月度などにより異なるようになるため、各生産工程や出荷段階などでの識別管理が容易となり、異品混入防止などが強化され、窓ガラスの安定した品質が確保される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスクリーン版の1実施例を示す平面図。
【図2】本発明のスクリーン版の他の実施例を示す平面図。
【図3】印刷窓ガラスを説明する図。
【図4】印刷窓ガラスを説明する図。
【図5】印刷窓ガラスを説明する図。
【図6】印刷窓ガラスを説明する図。
【符号の説明】
1:メッシュ
2:黒セラベタ印刷領域
3:黒セラグラディエーション印刷領域
4:情報印刷領域
5:導線印刷領域
11:窓ガラス
12:黒セラ印刷部
13:情報印刷部
14:導線
X:枠体
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車窓ガラス(以下単に「窓ガラス」という)印刷用スクリーン版および該スクリーン版を用いる窓ガラスの印刷方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車のフロントガラスやリヤガラスなどの窓ガラスにおいて、該窓ガラスの周辺部には種々の目的をもって、所謂「黒セラ」と称されるスクリーン印刷層が形成され、さらに窓ガラスの目立たない領域に、該窓ガラスを用いる自動車の自動車製造会社名、車種名、該窓ガラスの製造会社名、商品名、商品構成(板厚、色など)、取得認証、製造年月、製造場所などを表す情報が印刷され、窓ガラスの品質情報などとして利用されている。
【0003】
例えば、自動車のフロントガラスの場合には、図5に示すように、窓ガラス11の周辺に所謂黒セラ印刷部12が設けられるとともに、多くの場合、窓ガラスの目立たない位置に情報印刷部13が設けられている。また、図6に示すように、リヤガラス11の場合には、黒セラ印刷部12と窓ガラスの曇を取る電熱線やアンテナ線からなる導線14に加えて情報印刷部13が施されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の如き黒セラおよび導線は、通常スクリーン印刷によって形成されているが、情報印刷は、同一形状の窓ガラスであっても、商品構成、取得認証、製造年月などが異なる毎に、その情報内容が異なることから、これらの情報をスクリーン印刷で行うことは、その都度、別の印刷版が必要となり、また、ジョブチェンジにも時間を要し、コスト高となり、生産性も低下することから、従来は上記情報はサンドブラスト法で窓ガラスに記録していた。しかしながら、上記サンドブラスト法では、記録文字などにステンシルのスリットが入り、記録情報の判別容易性、多様性、デザイン性などに問題があった。
【0005】
勿論、上記情報を黒セラなどの印刷と同時に、窓ガラスに印刷方法で記録することは可能であるが、前述のように黒セラの印刷形状は全く同一であるにもかかわらず、窓ガラスの情報が異なる毎に新しい印刷版を用意せねばならず、コスト面および生産性の面などで現実性がない。なお、特開平10−190170号公報には、「ロット識別符号の印刷方法およびスクリーン版」に関する発明が記載されているが、上記の如き窓ガラスの印刷に関する課題と解決方法を示唆する記載はない。
従って本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、1枚のスクリーン版を用いるのみで、複数種類の窓ガラスに異なる情報が印刷可能な窓ガラス印刷用スクリーン版および該スクリーン版を用いる窓ガラスの印刷方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、自動車窓ガラスの周辺部に遮蔽(黒セラ)層を印刷する印刷領域と、該窓ガラスの情報印刷領域とが製版され、上記情報印刷領域が、情報内容がそれぞれ異なる複数個であることを特徴とする窓ガラス印刷用スクリーン版を提供する。
また、本発明は、自動車窓ガラスに導線を印刷する印刷領域と、該窓ガラスの情報印刷領域とが製版され、上記情報印刷領域が、情報内容がそれぞれ異なる複数個であることを特徴とする窓ガラス印刷用スクリーン版を提供する。
上記スクリーン版においては、情報の読み取りエラーが発生しないように、また、後述する情報印刷領域の目止めの作業性や目止めの段差などによる印刷品質への影響を考慮して、情報印刷領域と、遮蔽層印刷領域または導線印刷領域との間隔が少なくとも1mmであることが好ましい。
【0007】
また、本発明は、前記本発明のいずれかのスクリーン版を、自動車窓ガラスの面に配置して、印刷インクにより窓ガラスに印刷を施す窓ガラスの印刷方法において、上記スクリーン版の情報内容がそれぞれ異なる複数の情報印刷領域の内の所望の1部を残し、他の情報印刷領域を回復可能に目止して印刷することを特徴とする窓ガラスの印刷方法を提供する。ここで上記目止は、耐インク性のテープまたは水溶性樹脂を用いて行うことが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
図1は、本発明の1実施形態の製版されたスクリーン版の平面図である。図中Xは、スクリーン版の枠体であり、1は、該枠体X内に張設されたテトロン(ポリエステル)繊維などからなるスクリーンメッシュであり、該メッシュ1は通常90〜380メッシュ、例えば、180メッシュである。
【0009】
図中2は、図5に示す如き黒セラ印刷層のうちの黒ベタ印刷領域であり、3は図5に示す如き黒セラのグラディエーション部に相当する印刷領域である。このような印刷版は従来から公知であり、本発明のスクリーン版では、図1の黒セラ印刷領域(黒セラグラディエーション印刷領域)3より内側で、かつ窓ガラスの目立たない位置に情報印刷領域4が、情報内容がそれぞれ異なる複数個に製版されていることを特徴としている。
【0010】
本発明を特徴づける上記情報内容がそれぞれ異なる複数個の情報印刷領域4(41〜46)は、それぞれ窓ガラスに関する異なる情報が印刷されるように製版されている。例えば、図5および図6中の拡大図に示すように、該窓ガラスを用いる自動車の自動車製造会社名、車種名、該窓ガラスの製造会社名、商品名、商品構成(板厚、色など)、取得認証、製造年月、製造場所などの各種情報が、記号、数字、点の数、点同士の間隔などで記録されている。本発明では、このようにそれぞれ情報内容が異なる印刷領域4を、1枚のスクリーン版に複数個製版したことが特徴である。
【0011】
上記スクリーン版は、枠体Xと、該枠体X内に張設されたスクリーンメッシュ1とからなる周知のスクリーン原版に、感光性乳剤層を塗設し、常法により露光および現像して、上記の黒セラ印刷領域2,3および情報印刷領域4を製版することによって得られる。ここで使用するスクリーン原版および感光性乳剤は、従来から広く使用されているものでよく、特に限定されない。
【0012】
黒セラ印刷領域2,3および情報印刷領域4の形成方法自体は従来周知の方法でよく、例えば、黒セラ印刷領域2,3および情報印刷領域4は、これらのパターンとポジ−ネガ関係にある同一のパターンが形成されているマスクを使用し、露光および現像することによって製版できる。
【0013】
上記製版に際し、黒セラ印刷領域2,3および情報印刷領域4は、感光性乳剤の大部分がパターン状に現像除去され、メッシュ本体を除く開口率はほぼ100%に近くなっているが、100%にすることは必須ではなく、窓ガラスに所望の厚さの印刷層または所望の印刷パターンが形成できる開口率であればよい。
【0014】
上記スクリーン版に設ける、情報内容がそれぞれ異なる複数個の情報印刷領域4は、前記の如く被印刷体である窓ガラスの各種情報を有するものであり、情報印刷領域の目止めの作業性や目止めの段差などによる印刷品質への影響を考慮して、黒セラ領域の内側端縁から少なくとも1mm離れて形成することが好ましい。さらに、光学的読み取り性が高精度になるように、黒セラ印刷領域のグラディエーション部の黒点や各種位置決めマーク(不図示)などと混同しないように、黒セラ領域の内側端縁から少なくとも1mm、より好ましくは2mm以上離れて形成する。この点は、後述の図2に示すスクリーン版の場合と同様であり、図2に示すスクリーン版においては、さらに導線14からも少なくとも1mm、より好ましくは2mm以上離れて形成する。
【0015】
図1に示すスクリーン版を用いる本発明の窓ガラスの印刷方法では、窓ガラスの印刷に際しては、情報内容がそれぞれ異なる複数の情報印刷領域4のうちの所望の1部(例えば41)のみを残し、他の情報印刷領域(42〜46)を回復可能に目止して第一の窓ガラスに印刷する。この印刷の際、図1に示すスクリーン版を使用する場合には、黒セラ領域2,3と、選択された1部の情報印刷領域41を同時に印刷する。従って情報印刷領域41は黒セラと同一のインクにより印刷し、後処理を経て製品とする。このようにして得られた窓ガラスは図5に示す如くである。
【0016】
従来、上記の印刷された窓ガラスを適用する自動車が同一車種であって、かつ黒セラ印刷も同一であっても、印刷前の窓ガラス自体の商品構成、取得認証、製造年月などが異なるもの(第二の窓ガラス)である場合には、該第二の窓ガラスの情報が異なることから、前記と同一のスクリーン版で上記第二の窓ガラスを印刷することはできない。本発明では、前記第一の窓ガラスの印刷後、上記の如き情報が異なる第二の窓ガラスの印刷に、前記の第一の窓ガラスの印刷に使用したスクリーン版が使用できる。
【0017】
すなわち、第一の窓ガラスの印刷完了後、第一の情報印刷領域41を目止処理し、第一の窓ガラスの印刷時に目止されていた情報印刷領域(42〜46)のうちの所望の1部(例えば42)のみの目止処理を印刷可能に回復させて、前記第一の窓ガラスの場合と同様に、第二の窓ガラスを印刷する。この印刷された第二の窓ガラスは、図3に示すように第一の窓ガラス(図5)とは、情報印刷領域42の位置と情報の内容のみが異なり、他は同一である。このようにして、形成されている情報印刷領域4の数(例えば6個)に相当する(例えば、ガラスの色や板厚の異なる)複数種類の窓ガラスを1枚のスクリーン版で印刷することができる。
【0018】
図2に示す本発明のスクリーン版は、自動車のリヤガラスの印刷に有用である。すなわち、リヤガラスの場合には、図6に示すように黒セラ印刷部12に加えて、窓ガラスに曇り取り用の電熱線やアンテナ線からなる導線14を印刷する場合が多い。すなわち、図2に示すスクリーン版は、リア窓ガラスに導線を印刷する印刷領域5と、該窓ガラスの情報印刷領域4とが製版され、上記情報印刷領域4が、情報内容がそれぞれ異なる複数個(例えば41〜46)であることを特徴とする。
なお、黒セラ印刷部12と導線14とを有する場合には、情報印刷領域4をどちらのスクリーン版で印刷するかは特に限定されないが、パターンずれなどにより情報印刷領域4と導線14とが重なった際の導線14の性能や見栄えなどを考慮すると、導線用のスクリーン版に情報印刷領域4を設けておくことが好ましい。
【0019】
上記第二のスクリーン版を用いる窓ガラスの印刷方法では、第一の窓ガラスに対して先ず常法に従い黒セラ領域を印刷し、該黒セラ領域が印刷された窓ガラスに対して、例えば、銀ペーストインクにより、前記図1に示すスクリーン版の場合と同様に、導線印刷領域5と情報印刷領域4の1部(例えば41)を用いて、導線14と情報印刷部13とを同時に印刷する(図6参照)。その結果得られる第一の窓ガラスは図6に示すと同様である。
【0020】
第一の窓ガラスに印刷完了後、前記第一のスクリーン版を用いる場合と同様にして、情報印刷領域41を目止し、他の印刷領域の1部(例えば42)の目止を開放して、例えば、商品構成などの異なる第二の窓ガラスを印刷することができる。この印刷された第二の窓ガラスは、図4に示すように第一の窓ガラス(図6)とは、情報印刷領域42の位置と情報の内容のみが異なり、他は同一である。第三の窓ガラスの印刷も同様である。以上の通り、本発明によれば、1枚のスクリーン版を用いて異なる複数種類の窓ガラスに異なる情報が印刷可能である。
【0021】
次に本発明で使用する印刷材料について説明する。本発明の印刷対象となる窓ガラスは自動車用窓ガラスであれば、フロントガラス、リヤガラス、サイドガラス、ルーフガラスなど、特に限定されるものではない。また、本発明で使用するスクリーン原版それ自体、およびスクリーン印刷方法それ自体は従来公知であり、従来公知のいずれのスクリーン原版およびスクリーン印刷方法も本発明で使用できる。
【0022】
また、黒セラ印刷用インクあるいは導線印刷用銀ペーストインクなども公知のものがそのまま使用可能である。具体的には、黒セラインクは、例えば、窓ガラスの周辺部に焼き付けることにより、着色不透明層を形成し、窓ガラスをその周辺で保持しているウレタンシーラントの紫外線による劣化を防止する目的、あるいは窓ガラスの周辺に取り付けられている電熱線やアンテナ線の端子などが車外から透視できないような目的などに使用されているインクであって、従来公知のこのようなインクは何れも本発明で使用できる。例えば、黒色顔料(クロム酸銅など)を10〜30質量%、ガラスフリットを45〜65質量%、耐火物フィラーを0〜10質量%、樹脂(エチルセルロースなど)を1〜10質量%、および溶剤(α−テルピネオールなど)を5〜20質量%を含むインクが挙げられる。これらのインクは、例えば、図1に示す実施形態では、情報印刷領域における情報の印刷インクでもある。
【0023】
また、導線印刷用銀ペーストインクは、例えば、銀粉末54〜81質量%、ガラスフリット1〜10質量%、有機金属化合物0〜3質量%、アルキッド樹脂0〜3質量%、エチルセルロース0〜10質量%、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート0〜10質量%、ジエチレングリコールモノブチルエーテル0〜10質量%、テルピネオール0〜5質量%の組成を有している。これらのインクは、例えば、図2に示す実施形態では、情報印刷領域における情報の印刷インクでもある。
【0024】
本発明の印刷方法において、情報内容がそれぞれ異なる複数の情報印刷領域の1部(例えば1個)を残して他の情報印刷領域を目止する方法は、何れの方法によって行ってもよいが、好ましい方法は、情報印刷領域に、黒セラ用または銀ペーストインクに対して耐久性のあるテープを貼着する方法である。作業性を考慮すると粘着テープが好ましい。粘着テープを使用すれば、乾式で目止が容易であり、かつ不要になった後のテープの剥離も容易である。該テープの素材としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリウレタンなどの耐油性素材が好ましい。このような粘着テープとしては種々のものが市場から入手して使用可能であるが、例えば、厚み約0.09mmのポリプロピレンフィルムの一方の表面にゴム系粘着剤層を設け、他方の面を長鎖アルキル基含有化合物で処理した粘着テープが使用できる。以上の如きテープはあまり厚いとスクリーン版面に凹凸を生じるので、例えば、0.1mm以下の厚さであることが好ましい。なお、粘着テープを貼る面については、スクリーン版のスキージー側の面であるか、またはガラス側の面であるかは、特に限定されないが、印刷品質を考慮するとガラス側の面に貼ることが好ましい。
【0025】
他の目止方法としては、水溶性樹脂の濃厚溶液を目止すべき領域に塗布および乾燥する方法が挙げられる。この方法は、前記テープを用いる方法に比較すれば、煩雑であるものの、スクリーン版の表面に凸部を形成せず、版の平滑性が維持し易いという利点がある。目止を解消し印刷可能にする場合には、水洗などで水溶性樹脂を容易に除去することができる。水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニルのケン化物などの合成樹脂や、澱粉、アルギン酸、カゼイン、カルボキシメチルセルロースなどの天然樹脂が挙げられる。
【0026】
【実施例】
次に例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
例1(スクリーン版の製造例)
スクリーン枠内に張設されたスクリーン原版のスキージ側の表面からガラス基体側の表面に至るまでのスクリーンメッシュ(テトロン繊維からなるスクリーンメッシュで、180メッシュ)内に、乳剤をほぼ均一な厚み(約85μm)で塗設し、乾燥したスクリーン原版を準備する。図1に示すパターンとポジ−ネガ関係にある同一のパターンが形成されたマスクを準備し、上記スクリーン原版とマスクとを用いて、常法により露光および現像を行なって製版し、黒セラ印刷領域2,3と3個の情報印刷領域(図1の41〜43)を有する本発明のスクリーン版を作製した。なお、黒セラ領域(黒セラグラディエーション印刷領域)3の端部と情報印刷領域41〜43の端部との間隔は10mmとした。
【0027】
例2(スクリーン版の製造例)
スクリーン枠内に張設されたスクリーン原版のスキージ側の表面からガラス基体側の表面に至るまでのスクリーンメッシュ(テトロン繊維からなるスクリーンメッシュで、250メッシュ)内に、乳剤をほぼ均一な厚み(約80μm)で塗設し、乾燥したスクリーン原版を準備する。図2に示すパターンとポジ−ネガ関係にある同一のパターンが形成されたマスクを準備し、上記スクリーン原版とマスクとを用いて、常法により露光および現像を行なって製版し、導線印刷領域5と3個の情報印刷領域(図2の41〜43)を有する本発明のスクリーン版を作製した。なお、導線印刷領域5の端部と情報印刷領域41〜43の端部との間隔は5mmとした。印刷後の黒セラ印刷部12の端部と情報印刷部13の端部との間隔は10mmである。
【0028】
例3
前記例1において製版したスクリーン版の内の情報印刷領域の42と43とを粘着テープ(厚み約0.09mmのポリプロピレンフィルムの一方の表面にゴム系粘着剤層を設け、他方の面を長鎖アルキル基含有化合物で処理した粘着テープ)でガラス側の面から目止処理した。このスクリーン版と、粘度40Pa・s at 1.04sec−1(組成は下記の通りである)のインクとを使用して、1ロット(500枚)の窓ガラスに印刷を行なって、図5に示す如き印刷窓ガラスを得た。
[インク組成]
黒色顔料(Cu−Cr−Mn−O系) 20質量%
ガラスフリット 55質量%
耐火物フィラー(Al2O3) 4質量%
樹脂(エチルセルロース) 2質量%
溶剤(α−テルピオネール) 19質量%
【0029】
次に上記で使用したスクリーン版の情報印刷領域41を前記と同じ粘着テープで目止処理し、情報印刷領域42の部分の粘着テープを剥離し印刷可能にした。このスクリーン版と前記の黒色インクとを用いて、前記とは異なるロットの500枚の窓ガラスに印刷し、図3に示す如き印刷窓ガラスを得た。さらに同様にして情報印刷領域43のみを印刷可能にして、別のロットの500枚の窓ガラスに印刷した。
【0030】
例4
前記例1と同様のスクリーン版の情報印刷領域4の全てを前記と同じ粘着テープで目止処理した。このスクリーン版と例3の黒セラ用インクを用いて、3ロット(500枚×3)のリヤ窓ガラスに黒セラを印刷した。この印刷窓ガラスは、導線14と情報印刷領域42が印刷されていないことを除き、図4に示す窓ガラスと同様である。次に例2に示すスクリーン版において、前記と同様な粘着テープを用いて情報印刷領域41のみを印刷可能にした。このスクリーン版と第一のロットの500枚の上記黒セラ印刷済の窓ガラスを重ね、下記組成の銀ペーストを用いて印刷した。この印刷窓ガラスは、図6に示すと同様に印刷されていた。
【0031】
[インク組成]
銀粉末 75質量%
ガラスフリット 5質量%
有機金属化合物 3質量%
酸化物 2質量%
有機樹脂 5質量%
(エチルセルロース系)
有機溶剤 10質量%
(ジエチレングルコールモノブチルエーテルアセテ
ート、ジエチレングルコールモノブチルエーテル、
テルピネオール)
【0032】
次に上記で使用したスクリーン版の情報印刷領域41を前記と同じ粘着テープで目止処理し、情報印刷領域42の部分の粘着テープを剥離し印刷可能にした。このスクリーン版と前記の銀ペーストとを用いて、前記とは異なるロットの500枚の窓ガラスに印刷し、図4に示す如き印刷窓ガラスを得た。さらに同様にして情報印刷領域43のみを印刷可能にして、別のロットの500枚の窓ガラスに印刷し、情報印刷領域の位置のみが異なる印刷窓ガラスを得た。
【0033】
【発明の効果】
上記本発明によれば、1枚のスクリーン版を用いるのみで、複数種類の窓ガラスに異なる情報が印刷可能な窓ガラス印刷用スクリーン版および該スクリーン版を用いる窓ガラスの印刷方法を提供することができる。
さらに、複数の情報印刷領域の内の所望の1部を残し、他の情報印刷領域を目止して印刷することにより、情報印刷領域の位置が、窓ガラスの商品構成や生産月度などにより異なるようになるため、各生産工程や出荷段階などでの識別管理が容易となり、異品混入防止などが強化され、窓ガラスの安定した品質が確保される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスクリーン版の1実施例を示す平面図。
【図2】本発明のスクリーン版の他の実施例を示す平面図。
【図3】印刷窓ガラスを説明する図。
【図4】印刷窓ガラスを説明する図。
【図5】印刷窓ガラスを説明する図。
【図6】印刷窓ガラスを説明する図。
【符号の説明】
1:メッシュ
2:黒セラベタ印刷領域
3:黒セラグラディエーション印刷領域
4:情報印刷領域
5:導線印刷領域
11:窓ガラス
12:黒セラ印刷部
13:情報印刷部
14:導線
X:枠体
Claims (5)
- 自動車窓ガラスの周辺部に遮蔽層を印刷する印刷領域と、該窓ガラスの情報印刷領域とが製版され、上記情報印刷領域が、情報内容がそれぞれ異なる複数個であることを特徴とする自動車窓ガラス印刷用スクリーン版。
- 自動車窓ガラスに導線を印刷する印刷領域と、該窓ガラスの情報印刷領域とが製版され、上記情報印刷領域が、情報内容がそれぞれ異なる複数個であることを特徴とする自動車窓ガラス印刷用スクリーン版。
- 情報印刷領域と、遮蔽層印刷領域または導線印刷領域との間隔が少なくとも1mmである請求項1または2に記載の自動車窓ガラス印刷用スクリーン版。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動車窓ガラス印刷用スクリーン版を、自動車窓ガラスの面に配置して、印刷インクにより自動車窓ガラスに印刷を施す自動車窓ガラスの印刷方法において、上記自動車窓ガラス印刷用スクリーン版の情報内容がそれぞれ異なる複数個の情報印刷領域の内の所望の1部を残し、他の情報印刷領域を回復可能に目止して印刷することを特徴とする自動車窓ガラスの印刷方法。
- 目止を、耐インク性テープまたは水溶性樹脂を用いて行う請求項4に記載の自動車窓ガラスの印刷方法。
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JP2002216568A JP2004058310A (ja) | 2002-07-25 | 2002-07-25 | 自動車窓ガラス印刷用スクリーン版および自動車窓ガラスの印刷方法。 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006266809A (ja) * | 2005-03-23 | 2006-10-05 | Asahi Glass Co Ltd | 結露状態検出センサと車両用窓用板状体 |
JP2007300177A (ja) * | 2006-04-27 | 2007-11-15 | Daikyo Nishikawa Kk | 車両のアンテナ装置 |
CN104057740A (zh) * | 2014-06-17 | 2014-09-24 | 观致汽车有限公司 | 一种汽车后风挡玻璃上标识的标注方法 |
JP2020037404A (ja) * | 2019-10-25 | 2020-03-12 | セントラル硝子株式会社 | 車両用窓ガラス |
-
2002
- 2002-07-25 JP JP2002216568A patent/JP2004058310A/ja active Pending
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