JP2020037404A - 車両用窓ガラス - Google Patents
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Abstract
Description
無鉛はんだは、鉛を含む有鉛はんだに比べてヤング率が高く、剛性が高い。このため、機械的な応力や、熱膨張係数の違いによる応力が加わった場合、ガラス板にクラック等が発生したり、剥がれたりする可能性がある。
請求項1に記載の発明は、ガラス板と、前記ガラス板の表面に形成された10μmより厚く25μm以下の膜厚のカラーセラミック層と、前記カラーセラミック層の表面に形成された銀を主成分とする導電体層と、を備え、前記導電体層と、前記導電体層に通電する端子との間が無鉛はんだにより接続される車両用窓ガラスである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用窓ガラスであって、前記カラーセラミック層の厚さが、16μm以上であること、を特徴とする車両用窓ガラスである。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車両用窓ガラスであって、前記導電体層は、1枚のスクリーンで塗布して形成されたものであること、を特徴とする車両用窓ガラスである。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用窓ガラスであって、前記導電体層は、7〜8μmの膜厚であること、を特徴とする車両用窓ガラスである。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用窓ガラスの製造方法であって、セラミックペーストを、開口率が38%より大きく60%より小さいスクリーンで前記ガラス板に印刷してカラーセラミック層の前駆体の塗膜を形成する工程と、銀ペーストを、前記カラーセラミック層の前駆体の塗膜上に、1枚のスクリーンで印刷する工程と、を備える車両用窓ガラスの製造方法である。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の車両用窓ガラスの製造方法であって、セラミックペーストの印刷回数が1回である、車両用窓ガラスの製造方法である。
なお、上記構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
本実施形態の車両用窓ガラス1は、例えばリアウィンドウとして用いられるものであるが、これに限定されない。図1に示す車両用窓ガラス1は、車両に組み込まれた場合、図中の下が車の外側となり、上が車の内側となる。
図示するように、車両用窓ガラス1は、外側から、ガラス板11と、カラーセラミック層(セラミック焼結層)12と、導電体層13と、無鉛はんだ14と、給電端子15とを備える。
ガラス板11は、曲げ加工により湾曲した形状を備えていることが好ましい。例えば、ガラス板11が後部窓ガラスとして使用される場合は、略台形の湾曲した形状を有するものとするとよい。
ガラス板11は、風冷強化法や化学強化法によって、表面に圧縮応力層(外部圧力応用力)を形成させた強化ガラスや、2枚のガラス板を樹脂フィルムによって貼り合わせた合わせガラスであってもよい。
ガラス板11の材質としては、ISO16293−1で規定されているようなソーダ石灰珪酸塩ガラスの他、公知のガラス組成のものを使用することができる。また、ガラス板11の材質として、鉄やコバルト等の着色成分がガラス組成の成分として適宜調整され、グレー、緑、青などの色調を呈するものも使用してもよい。
カラーセラミック層12は、窓枠へ車両用窓ガラス1を接着した際の、ウレタン系接着剤の外部よりの日射による劣化防止、および車両用窓ガラス1の車内側の面に形成された導電体層13の配線等を外部から隠す等の目的で形成されるもので、好ましくは、黒色のものが使用される。
組成物として、無機成分である耐熱性顔料(金属酸化物)の粉末、およびガラス材料であるガラスフリットの粉末が、ビヒクルと共に混練され形成されたセラミックペーストがスクリーン印刷によってガラス板11の表面に塗布され、その塗布物が焼成されて形成されたものを用いることができる。
さらに、青色系顔料の例として、コバルトブルー、緑色系顔料の例として、クロムグリーン、コバルト−亜鉛−ニッケル−チタン複合酸化物、コバルト−アルミニウム−クロム複合酸化物等が挙げられる。
ガラスフリットの粒径は、スクリーン印刷時のセラミックペーストの塗布性を考慮して適宜決定され、例えば、50%粒子径において、0.1〜10μm、好ましくは0.5〜5μm、より好ましくは1〜4μm程度のものを使用できる。
その例としては、熱可塑性樹脂(オレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体など)、熱硬化性樹脂(熱硬化性アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等)、これらの混合物等などが挙げられる。アクリル系樹脂が好ましい。バインダーのビヒクル全体に対する割合は、5〜80質量%、好ましくは10〜50質量%、さらに好ましくは15〜40質量%としてもよい。
導電体層13は、図2に示すように、ガラス板11の側辺両側のカラーセラミック層12上に形成された、バスバー13aと、両バスバー13aを連結して所定間隔で平行に配列された、線条13bとを有する。
導電体層13は、銀金属(銀、又は銀合金)、とガラス板11の軟化点温度よりも低い軟化点温度を有するガラス材料とを有する導電体組成物である。組成物は、銀を主成分とする銀ペーストを、カラーセラミック層12の上に、所定パターンに従ってスクリーン印刷によって塗布され、その塗布物が焼成されて形成されている。導電体層13は、例えばデフォッガやデフロスタの熱線プリントであるが、放送受信用のアンテナプリントであってもよい。
銀ペーストは、銀、又は銀合金からなる銀粉末、導電体組成物でのガラス材料となるガラスフリット、ビヒクル、必要に応じてその他添加剤を含むものである。
導電体組成物中の銀金属の含有量、及び銀ペースト中の銀粉末の粒径は、導電体層13の比抵抗を考慮して適宜決定される。導電体組成物中の銀金属の含有量は、例えば、85〜99質量%、好ましくは88〜98質量%とすることができる。
他の成分は、実質的にはガラス板11の軟化点温度よりも低い軟化点温度を有するガラス材料からなり、このガラス成分は、ガラスフリットを焼成して形成することができる。銀粉末の粒径は、50%粒子径において、0.1〜10μm、好ましくは0.2〜7μm程度のものを使用することができる。
無鉛はんだ14は、導電体層13で形成された、デフォッガ熱線やアンテナ線と給電端子15とを接合する。
無鉛はんだ14は、例えば、Sn−Ag系、Sn−Ag−Cu系無鉛はんだであるがこれに限定されない。ただし、無鉛はんだ14による銀線の銀くわれ、すなわち導電体層13中の銀が無鉛はんだ14に拡散し、導電体層14中の銀の含有率が低下することを抑制するため、無鉛はんだ14は、Agを含むことが好ましい。
無鉛はんだ中、Snの含有量95質量%以上含んでいるものは使用され、その含有量は、好ましくは95〜99質量%、より好ましくは96〜98質量%とされる。Agの含有量は、5質量%以下で、好ましくは1.5〜5質量%、より好ましくは2〜4質量%とされる。無鉛はんだがCuを含む場合、1.5質量%以下で、好ましくは1〜0.1質量%含むものとすることができる。
給電端子15は、車両に積載された電源(図示せず)と接続されるものであり、導電体層13に電流を供給するために設けられるものである。端子15の材料としては、導電性物質が良好で、機械加工が容易なものが好ましく、銅、黄銅(真鍮)のようなものを使用できる。
給電端子15の構造例としては、無鉛はんだ14と接合する一対の端子座15aと、これらを連結する脚部15bと、電気ケーブルを接続させるための部位(図示せず)を有するものが挙げられる。
ここで、導電体層13により形成されたデフォッガ配線やアンテナ配線には、給電端子15を介して、電流が流れたり遮断されたりする。これにより、ガラス板11は加熱と冷却とが繰り返される。また、大気環境の影響によって、加熱と冷却が繰り返される。
無鉛はんだ14は、従来の有鉛はんだと比べてヤング率が大きく、剛性が高いため、ガラス板11の膨張収縮に対して柔軟に追従しにくい。したがって、ガラス板11との熱膨張係数が異なると、ガラス板11に応力が加わり、クラック(亀裂、割れ、ヒビ等)が生じやすい。
1.カラーセラミック層12、導電体層13のガラス板11への形成
ガラス板11(300mm角(厚さ3.5mm)の平板ガラス)の周縁部にカラー(黒色)セラミックペーストをスクリーン印刷によって塗布し、120℃で20分間乾燥し、カラーセラミック層13の前駆体塗膜をガラス板11の周縁部に額縁状に形成した。
その後、銀ペーストをスクリーン印刷によって、カラーセラミック層12の前駆体の塗膜上、及びガラス板11上に塗布し、120℃で10分間乾燥し、導電体層13の前駆体塗膜を形成した。
各実施例、比較例のカラーセラミック層12の厚み、導電体層13の厚み、導電体層の表面粗さ(Ra)、スクリーン印刷の条件は表1に示すとおりである。
0.3〜0.6g量のSn(98質量%)−Ag(2質量%)からなる無鉛はんだ14を加熱して、給電端子15の端子座15aに付着させた。
その後、無鉛はんだ14にフラックスを塗布し、導電体層13(バスバー13a)上に無鉛はんだ14を局所加熱して、導電体層13(バスバー13a)への無鉛はんだ14を介しての給電端子15の接合を行った。
尚、本実施例では、ガラス板11への無鉛はんだ14の影響を見るための実験として、平板ガラスを用いたが、車両ガラスに使用される三次元に曲げ加工されたガラス板であっても同様の結果が得られることは言うまでもない。
接合部の良否を、耐冷熱サイクル試験を車両用窓ガラス1に行うことで評価した。具体的には、20℃ →−40℃(90分)→20℃ →105℃(120分)→20℃を1サイクルとし、60サイクルを繰り返し実施した後のガラス板11へのクラック発生有無を観察した。
なお、カラーセラミック層12を形成するためには、印刷の回数を1回とできるように、メッシュオープニングが140〜180μm(好ましくは150〜170μm)、開口率が40〜60%(好ましくは45〜55%)のスクリーンを使用することが好ましいことがわかる。また、導電体層13を形成するためには、印刷の回数を1回とできるように、メッシュオープニングが53〜93μm(好ましくは63〜83μm)、開口率が24〜39%(好ましくは28〜36%)のスクリーンを使用することが好ましい。
表に示すように、カラーセラミック層12の厚さが10μm(#180を1回)の場合は、導電体層13の膜厚にかかわらず、ガラス板11にクラックが発生した。
カラーセラミック層12の厚さが18μm(#110を1回)の場合は、導電体層13の膜厚が7〜8μmにおいて、ガラス板11にクラックが発生しなかったが、導電体層13の膜厚が10μm以上において、ガラス板11にクラックが発生した。
カラーセラミック層12の厚さが20μm(#180を2回)の場合は、導電体層13の膜厚にかかわらずガラス板11にクラックが発生しなかった。
したがって、カラーセラミック層12の厚さは、10μmより厚いことが好ましい。さらに、18μm以上であることがより好ましい。
一方、カラーセラミック層12の厚さは、25μm超えになると、生産効率が低下するという問題がある。
したがって、本実施形態のカラーセラミック層12の厚さは、10μmより厚く、25μm以下であることが好ましく、18μm以上22μm以下であることがより好ましい。
セラミック層12の厚さが18μmとなるのは、#110を1回の場合である。すなわち、開口率は48%なので、開口率は48%以上であることがより好ましい。
なお、セラミック層12の厚さが25μmとなるのは、開口率が60%以上の場合である。
上述のように、カラーセラミック層12の厚さが10μmの場合は、導電体層13の膜厚にかかわらず、ガラス板11にクラックが発生した。
カラーセラミック層12の厚さが18μmの場合は、導電体層13の膜厚が7〜8μmにおいて、ガラス板11にクラックが発生しなかったが、導電体層13の膜厚が10μm以上において、ガラス板11にクラックが発生した。
カラーセラミック層12の厚さが20μmの場合は、導電体層13の膜厚にかかわらずガラス板11にクラックが発生しなかった。
すなわち、カラーセラミック層12の厚さが10μmの場合、カラーセラミック層12が薄いので、無鉛はんだ14とガラス板11との間の熱膨張の差によって生じる応力を緩衝することができず、ガラス板11にクラックが発生する。
カラーセラミック層12の厚さが20μmの場合、カラーセラミック層12が厚いので、無鉛はんだ14とガラス板11との間の熱膨張の差によって生じる応力が緩衝され、ガラス板11にクラックが発生しない。
したがって、導電体層13の状態もガラスのクラックの有無に影響を与え、導電体層13が、スクリーン印刷を1回行って厚さが7〜8μmである場合、ガラス板11にクラックが発生せず、スクリーン印刷を2回行って厚さが10μm以上である場合、ガラス板11にクラックが発生すると考えられる。
導電体層13は、2枚のスクリーンで塗布されて形成されたものであると、1枚のスクリーンで塗布されて形成された場合より導電体層13の表面が粗くなる。表面が粗くなるほど、アンカー効果で導電体層13と無鉛はんだ14との接着が強くなる。接着力が強すぎると、ガラス板11の膨張係数と無鉛はんだ14の熱膨張係数との差によってガラス板11へ加わる応力が大きく、クラックが発生しやすくなる。
すなわち、導電体層13と無鉛はんだ14との間の接着力は、剥がれが生じるほどではないが、無鉛はんだ14とガラス板11との間の熱膨張の差を緩衝する程度に弱かったためガラス板11にクラックの発生が生じなかったと考えられる。
導電体層13を形成するためには、1枚のスクリーンできるように、メッシュオープニングは#200、すなわち開口率32%が好ましい。
(1)本実施形態の車両用窓ガラス1は、ガラス板11と、ガラス板11の表面に形成されたカラーセラミック層12と、カラーセラミック層12の表面に形成された銀を主成分とする導電体層13と、を備え、導電体層13と、導電体層3に通電する端子15との間が無鉛はんだ14により接続されている。そして、カラーセラミック層12の厚さが、10μmより厚く25μm以下である。
本実施形態によると、カラーセラミック層12の厚さが、10μmより厚いので、ガラス板1にクラックが発生しにくい。
(2)また、カラーセラミック層12の厚さが、18μm以上の場合、クラックがより発生しにくい。さらに、カラーセラミック層12の厚さが、20μm以上の場合、ガラス板1にクラックがさらに発生しにくい。
(3)実施形態の車両用窓ガラス1カラーセラミック層12の厚さが18μmで、導電体層13が1枚のスクリーンで塗布して形成されたものであるので、ガラス板1にクラックが発生しにくい。
(4)実施形態の車両用窓ガラス1の導電体層13は、カラーセラミック層12の厚さが、18μmの場合、7〜8μmの膜厚であるので、ガラス板1にクラックが発生しにくい。
請求項1に記載の発明は、ガラス板と、前記ガラス板の表面に形成された10μmより厚く25μm以下の膜厚のカラーセラミック層と、前記カラーセラミック層の表面に形成された銀を主成分とする導電体層と、を備え、前記導電体層と、前記導電体層に通電する端子との間が、Sn−Ag系、又はSn−Ag−Cu系の無鉛はんだにより接続される車両用窓ガラスである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用窓ガラスであって、前記無鉛はんだのSn含有量が95質量%〜99質量%である、車両用窓ガラスである。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の車両用窓ガラスであって、前記無鉛はんだのAg含有量が1.5質量%〜5質量%である、車両用窓ガラスである。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用窓ガラスであって、前記カラーセラミック層の厚さが18μm以上で、前記導電体層が7〜8μmの膜厚であること、を特徴とする車両用窓ガラスである。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用窓ガラスであって、前記カラーセラミック層の厚さが20μmであること、を特徴とする車両用窓ガラスである。
請求項6に記載の発明は、 請求項1から5のいずれか1項に記載の車両用窓ガラスであって、前記導電体層は、1枚のスクリーンで塗布して形成されたものであること、を特徴とする車両用窓ガラスである。
なお、上記構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
Claims (6)
- ガラス板と、
前記ガラス板の表面に形成された10μmより厚く25μm以下の膜厚のカラーセラミック層と、
前記カラーセラミック層の表面に形成された銀を主成分とする導電体層と、を備え、
前記導電体層と、前記導電体層に通電する端子との間が無鉛はんだにより接続される車両用窓ガラス。 - 請求項1に記載の車両用窓ガラスであって、
前記カラーセラミック層の厚さが、16μm以上であること、
を特徴とする車両用窓ガラス。 - 請求項1又は2に記載の車両用窓ガラスであって、
前記導電体層は、1枚のスクリーンで塗布して形成されたものであること、
を特徴とする車両用窓ガラス。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用窓ガラスであって、
前記導電体層は、7〜8μmの膜厚であること、
を特徴とする車両用窓ガラス。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用窓ガラスの製造方法であって、
セラミックペーストを、開口率が38%より大きく60%より小さいスクリーンで前記ガラス板に印刷してカラーセラミック層の前駆体の塗膜を形成する工程と、
銀ペーストを、前記カラーセラミック層の前駆体の塗膜上に、1枚のスクリーンで印刷する工程と、
を備える車両用窓ガラスの製造方法。 - 請求項5に記載の車両用窓ガラスの製造方法であって、セラミックペーストの印刷回数が1回である、車両用窓ガラスの製造方法。
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