JP2004058308A - インクジェット画像記録方法及びインクジェットプリンター - Google Patents

インクジェット画像記録方法及びインクジェットプリンター Download PDF

Info

Publication number
JP2004058308A
JP2004058308A JP2002216520A JP2002216520A JP2004058308A JP 2004058308 A JP2004058308 A JP 2004058308A JP 2002216520 A JP2002216520 A JP 2002216520A JP 2002216520 A JP2002216520 A JP 2002216520A JP 2004058308 A JP2004058308 A JP 2004058308A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
colored
colorless
resin
image
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002216520A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004058308A5 (ja
Inventor
Tomomi Yoshizawa
吉沢 友海
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2002216520A priority Critical patent/JP2004058308A/ja
Publication of JP2004058308A publication Critical patent/JP2004058308A/ja
Publication of JP2004058308A5 publication Critical patent/JP2004058308A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)

Abstract

【課題】本発明の目的は、印字部と非印字部の光沢差が小さく、かつ滲み耐性及びコックリング耐性が改良されたインクジェット画像記録方法及びそれを用いたインクジェットプリンターを提供することにある。
【解決手段】不透明な記録媒体上に、色材及び樹脂からなる着色樹脂微粒子を含有する着色インクを画像様に付着させ、かつ無色インクを少なくとも該着色インクの非印字部に付着させることを特徴とするインクジェット画像記録方法。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光沢差、滲み耐性及びコックリング耐性が改良されたインクジェット画像記録方法及びそれを用いたインクジェットプリンターに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて記録媒体に付着させ、画像、文字等の記録を行うものであるが、比較的高速、低騒音、多色化が容易であるという利点を有している。また、近年の技術進歩により、染料インクによるインクジェットプリントが、その銀塩写真に迫る高画質や装置の低価格化に伴い、その普及を加速させている。
【0003】
染料は溶媒に可溶であり、色素分子は分子状態もしくはクラスター状態で着色している。従って、各分子の環境が似通っているために、その吸収スペクトルはシャープであり高純度で鮮明な発色を呈する。更に、粒子に起因する粒状パターンがなく、また、散乱光や反射光が発生しないため、透明感が高く色相も鮮明なインクジェット画像を得ることができ、また色材粒子が存在しないため耐擦過性に優れた特性を有している。
【0004】
しかしその一方で、光化学反応等により分子が破壊された場合には、分子数の減少がそのまま着色濃度に反映するために、耐光性、褪色性が悪いという欠点を有している。染料インクを用いたインクジェット記録画像は、高画質であるが、経時保存による画像品質の低下が大きく、画像保存性の観点で銀塩写真を凌駕する技術が未だ現れていないのが現状である。
【0005】
染料インクに対して、光による退色に強い画像を必要とする用途向けのインクとして、耐光性が良好である顔料を着色剤として用いる顔料インクが使用されている。しかしながら、顔料は染料と比べて顔料粒子として存在するため、光の散乱を受けやすく、透明感のない画像を与えるので、色再現性の点で染料には及ばない欠点があった。
【0006】
上述のように、染料インクは、光沢性、透明性、耐擦過性に優れた点を有しているものの、耐光性、褪色性、滲み耐性に劣り、逆に、顔料インクは、耐光性、褪色性、画像滲み耐性に優れているものの、光沢性、透明性、耐擦過性に劣るという相反する特性である。
【0007】
以上述べたような水溶性染料を用いた水性インクの問題点を解決する方策として、エマルジョン、ラテックス等の樹脂微粒子を添加することが古くから検討されている。特開昭55−18418号には、「ゴム、樹脂等の成分を乳化剤により微細粒子の形で水中に分散せしめた一種のコロイド溶液」であるラテックスを添加したインクジェット記録用の記録剤に関する提案がある。該特許提案のようにラテックスを添加して耐光堅牢性を改善したり、滲み防止効果を持たせるためには、染料の使用量以上のラテックスが必要となり分散安定性、吐出安定性を確保することは非常に困難で、更に得られる画像として、粒状性や光沢性の点で写真画像に匹敵する画像を得るには至っていないのが現状である。
【0008】
前記の水溶性染料を用いた水性インクの耐水性、耐光堅牢性の低い問題を解決するため、油溶性染料、疎水性染料等により水分散性樹脂を着色する方法の提案がインクジェット記録用インクとしてなされている。例えば、特開昭55−139471号、同58−45272号、特開平3−250069号、同8−253720号、同8−92513号、同8−183920号、特開2001−11347等には油溶性染料によって染色された乳化重合粒子または分散した重合粒子(以下、着色微粒子という)を用いたインクが提案されている。このような着色微粒子を用いた水性インクにおいては、粒子表面や粒子外に染料が存在すると、耐光性効果が減じられ、分散安定性、吐出安定性、耐光堅牢性等の諸性能を高めることは困難であり、更に得られる画像として、粒状性や光沢性の点で写真画像に匹敵する画像を得るには至っていないのが現状である。
【0009】
更に、特開2001−19880では、キレート染料を含浸させた着色微粒子が提案され、印字濃度、耐光性、色調等が改良されるとされているが、この方法では目的とする写真画像に匹敵する画像を得るには不十分である。また一方、特開2001−139607では、キレート染料を含浸したコアシェル型の二重構造からなる着色微粒子によるインクヘッドの目詰まり、密着性を改良する方法が提案されているが、インク保存性に課題を残し、かつ写真画像に匹敵する耐光性や色再現性を得るには満足のいくレベルではない。
【0010】
しかしながら、上述の油溶性染料や顔料を用いた着色微粒子含有水性インクは、従来の水溶性染料、顔料分散体を用いた水性インクの問題点を克服し、高い記録品位を実現する可能性を秘めたものではあるが、印字した画像の光沢差に課題を有している。すなわち、着色微粒子を含有するインクは、光沢を高くする効果が大きいため、印字部と非印字部との光沢差が生じ、形成した画像に違和感を招く結果となる。特に、光沢の低い記録媒体を使用した際に、その違和感が顕著に表れる。
【0011】
上記課題に対し、特開2001−39006公報明細書には、印字した画像の前面に無色インクを付与させるインクジェット画像の記録方法が開示されているが、この方法では、無色インクが画像形成部にも一様に付着するため、印字部及び非印字部の双方の光沢度が共に高くなるため、印字部と非印字部の光沢差を改善するという観点では不十分である。また、通常、印字部はインク付着量が多い領域であり、この様な部分に更に無色インクを付与させることにより、滲みやコックリング(記録媒体のシワ)を招く結果となり、好ましくない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、印字部と非印字部の光沢差が小さく、かつ滲み耐性及びコックリング耐性が改良されたインクジェット画像記録方法及びそれを用いたインクジェットプリンターを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0014】
1.不透明な記録媒体上に、色材及び樹脂からなる着色樹脂微粒子を含有する着色インクを画像様に付着させ、かつ無色インクを少なくとも該着色インクの非印字部に付着させることを特徴とするインクジェット画像記録方法。
【0015】
2.不透明な記録媒体上に、色材及び樹脂からなる着色樹脂微粒子を含有する着色インクを画像様に付着させ、かつ無色インクを付着させるインクジェット画像記録方法であって、該着色インクの非印字部に付着させる該無色インクの付着量が、該着色インクが最も付着した部分に付着させる該無色インクの付着量より多いことを特徴とするインクジェット画像記録方法。
【0016】
ただし、該着色インクが最も付着した部分に付着させる該無色インクの付着量が、0であっても良い。
【0017】
3.前記無色インクが、無色微粒子を含有することを特徴とする前記1又は2項に記載のインクジェット画像記録方法。
【0018】
4.前記無色微粒子が、樹脂粒子であることを特徴とする前記3項に記載のインクジェット画像記録方法。
【0019】
5.前記1〜4項のいずれか1項に記載のインクジェット画像記録方法により、画像印字することを特徴とするインクジェットプリンター。
【0020】
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明においては、不透明な記録媒体上に、色材及び樹脂からなる着色樹脂微粒子を含有する着色インクを画像様に付着させ、かつ無色インクを該着色インクの非印字部に付着させることが特徴であり、また不透明な記録媒体上に、色材及び樹脂からなる着色樹脂微粒子を含有する着色インクを画像様に付着させ、かつ無色インクを付着させるインクジェット画像記録方法であって、該着色インクの非印字部に付着させる該無色インクの付着量が、該着色インクが最も付着した部分に付着させる該無色インクの付着量より多いことが特徴である。
【0021】
本発明では、着色インクを出射する記録ヘッドと、無色インクを出射する記録ヘッドとを有するインクジェットプリンターを用いて、不透明な記録媒体上に画像出力を行う。
【0022】
インクジェット画像を形成する場合、着色インクと無色インクの出射順としては、着色インクが先でも、無色インクが先でも、あるいは同時に出射しても特に制限はないが、本発明の効果をより一層発揮する上では、着色インクを出射した後、着色インクの印字領域を確認、解析した後、未印字部分あるいは印字部分にその吐出量を制御しながら印字することが好ましい。
【0023】
本発明において、無色インクの未印字部分、あるいは着色インクによる印字部分への無色インクの付着量としては、固形分量として0.2〜3.0g/mであることが好ましい。また、着色インクの印字部分へ無色インクを付着する際に、少なくとも着色インクの付着として、固形分量で0.5g/m以下の画像領域に無色インクを付着させることが好ましい。
【0024】
上記の各条件で着色インクと無色インクとを付着させることにより、印字部と非印字部の光沢の差が縮小され、違和感のない画像を得ることができる。更に、印字部における着色インクと無色インクの総量と、非印字部の無色インク量を最適の関係に維持することにより、滲みやコックリングを防止することができる。
【0025】
はじめに、色材及び樹脂からなる着色微粒子について説明する。
本発明で用いることのできる樹脂(以下、ポリマーともいう)としては、一般に知られているポリマーから適宜選択して使用することが可能であるが、特に好ましいポリマーは、主な官能基としてアセタール基を含有するポリマー、炭酸エステル基を含有するポリマー、水酸基を含有するポリマー、および、エステル基を有するポリマーであり、特に最表部のシェル部分を構成するポリマーは、水酸基を有していることが好ましい。上記のポリマーは、置換基を有していてもよく、その置換基は直鎖状、分岐、あるいは環状構造をとっていてもよい。また、上記の官能基を有するポリマーは、各種のものが市販されているが、常法によって合成することもできる。また、これらの共重合体は、例えば、1つのポリマー分子中にエポキシ基を導入しておき、後に他のポリマーと縮重合させたり、光や放射線を用いてグラフト重合を行っても得られる。
【0026】
主な官能基としてアセタールを含有するポリマーとして好ましくは、ポリビニルブチラール樹脂を挙げることができる。例えば、電気化学工業株式会社製の#2000−L、#3000−1、#3000−2、#3000−4、#3000−K、#4000−1、#4000−2、#5000−A、#6000−C、#6000−EP、あるいは積水化学工業製のBL−1、BL−1H、BL−2、BL−2H、BL−5、BL−10、BL−S、BL−SH、BX−10、BX−L、BM−1、BM−2、BM−5、BM−S、BM−SH、BH−3、BH−6、BH−S、BX−1、BX−3、BX−5、KS−10、KS−1、KS−3、KS−5などがある。
【0027】
ポリビニルブチラール樹脂は、PVA(ポリビニルアルコール)の誘導体として得られるが、もとのPVAの水酸基のアセタール化は最大でも80mol%程度であり、通常は50mol%から、80mol%程度である。なお、ここで言うアセタールは狭義の1,1−ジエトキシエタン基を指すのではなく、オルトアルデヒドとの化合物一般を指す。水酸基については、特に規定はないが、最表部のシェル部分を構成するポリマーでは、水酸基を含有モノマーを5〜50mol%であることが好ましく、さらに好ましくは10〜30mol%である。また、アセチル基の含有率に特に規定はないが、10mol%以下であることが好ましい。主な官能基としてアセタールを含有するポリマーとは、ポリマー中に含まれる酸素原子のうち、少なくとも30mol%以上がアセタール基を形成していることをいう。
【0028】
他に主な官能基としてアセタールを含有するポリマーとして、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製のユピタールシリーズなども使用可能である。
【0029】
主な官能基として炭酸エステルを含有するポリマーとしては、ポリカーボネート樹脂が挙げられる。たとえば、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製のユーピロンシリーズ、ノバレックスシリーズがある。ユーピロンシリーズはビスフェノールAを原料として作られており、測定法によってその値は異なるが各種の分子量のものを用いることができる。ノバレックスシリーズでは分子量が2〜3万、ガラス転移点150℃付近のものを用いることができるが、これらに限るものではない。
【0030】
主な官能基として炭酸エステル基を含有するポリマーとは、ポリマー中に含まれる酸素原子のうち、少なくとも30mol%以上が炭酸エステル基の形成に寄与していることをいう。
【0031】
主な官能基として水酸基を含有するポリマーとしては、たとえば、PVAがあげられる。PVAの有機溶剤への溶解度は小さいものが多いが、けん化価の小さいPVAであれば、有機溶剤への溶解度は上昇する。水溶性が高いPVAは水相中に添加しておき有機溶剤除去後に、ポリマーのサスペンションに吸着させるようにして使用することもできる。
【0032】
PVAとしては市販のものを用いることができ、たとえば、クラレのポバールPVA−102、PVA−117、PVA−CSA、PVA−617、PVA−505などのほか、特殊銘柄のサイズ剤用PVA、熱溶融成形用PVA、その他機能性ポリマーとして、KL−506、C−118、R−1130、M−205、MP−203、HL−12E、SK−5102、などを用いることができる。けん化度は50mol%以上のものが一般的であるが、LM−10HDのように40mol%程度であっても、これを用いることは可能である。このようなPVA以外でも主な官能基として水酸基を有するものが使用可能であるが、ポリマー中に含まれる酸素原子のうち少なくとも20mol%以上が水酸基を形成しているものが使用可能である。
【0033】
主な官能基としてエステル基を含有するポリマーとしては、たとえばメタクリル樹脂が挙げられる。旭化成製デルペットシリーズの560F、60N、80N、LP−1、SR8500、SR6500などを用いることができる。主な官能基としてエステル基を含有するポリマーとは、ポリマー中に含まれる酸素原子のうち、少なくとも30mol%以上がエステル基を形成していることをいう。
【0034】
また、本発明では、エチレン性不飽和結合を有するモノマーを重合して調製できるビニル系樹脂も好ましく用いることができ、スチレン樹脂、アクリル系樹脂も好ましく用いることができる。用いることのできる樹脂としては、例えば、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等の単量体をラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合等の既存の方法で重合して用いることができるが、本発明においては、着色樹脂微粒子が含有する樹脂の少なくとも1種が、スチレン単位を有することが好ましい。
【0035】
これらのポリマーをそれぞれ1種ないし2種以上を混合して用いてもよい。また、これらのポリマーが質量比で50%以上含まれていれば、他のポリマーや無機物のフィラーが含有されていてもよい。
【0036】
これらのポリマーの共重合体を用いることも好ましいが、たとえば水酸基を含有するポリマーと、各種のポリマーを共重合させる方法として、水酸基をグリシジルメタクリレートのようなエポキシ基を有するモノマーと反応させ、その後、懸濁重合でメタクリル酸エステルモノマーと共重合させて得ることができる。
【0037】
本発明のインクにおいては、着色微粒子に用いられるポリマーは、該インク中に0.5〜50質量%配合されることが好ましく、0.5〜30質量%配合されることが更に好ましい。上記ポリマーの配合量が0.5質量%に満たないと、色材の保護能が十分でなく、50質量%を超えると、サスペンションのインクとしての保存安定性が低下したり、ノズル先端部でのインク蒸発に伴うインクの増粘やサスペンションの凝集が起こることによってプリンタヘッドの目詰りが起こる場合があるので、上記範囲内とすることが好ましい。
【0038】
本発明においては、上記樹脂の中で、ガラス転移温度が50℃以下であるものが好ましい。
【0039】
本発明に係る着色微粒子は、各種の方法で調製することができる。例えば、モノマー中に油溶性色材を溶解させ、水中で乳化後、重合によりポリマー中に色材を封入する方法、ポリマーと色材を有機溶剤中に溶解し、水中で乳化した後有機溶剤を除去する方法、色材溶液に多孔質のポリマー微粒子を添加し、色材を微粒子に吸着、含浸させる方法等が挙げられ、更に、それらの着色微粒子をポリマーで被覆するシェル化法も用いることができるが、本発明においては着色微粒子がコアシェル構造を有していることが好ましい。
【0040】
ポリマーシェルを設ける方法としては、コアの水系サスペンションに水溶性のポリマー分散剤を添加し吸着させる方法、モノマーを徐々に滴下し、重合と同時にコア表面に沈着させる方法、あるいは、有機溶剤に溶解したポリマーを徐々に滴下し、析出と同時にコア表面に吸着させる方法などがある。更に一段階でコアシェル形成する方法も考えられる。例えば、コアとなるポリマーと染料をシェルとなるポリマーと共に加熱、溶解後、水中で懸濁して重合する方法や、その液を活性剤ミセルを含有する水中に徐々に滴下しながら乳化重合していく方法などがある。あるいは、重合後にコアとなりうるモノマーとシェルとなりうるモノマーに染料を溶解または分散し、懸濁重合あるいは乳化重合する方法がある。
【0041】
本発明に係る着色微粒子は、シェル化したものでなくても、シェル化したものでも、特に制限はないが、発明の効果から考えて、着色微粒子が、色材を含有した樹脂の表面を更に樹脂で被覆したコアシェル構造であることが好ましい。その場合、シェルに用いられるポリマー量が、総ポリマー量の5質量%以上95質量%以下であることが好ましい。5質量%より少ないとシェルの厚みが不十分で、色材を多く含有するコアの一部が粒子表面に現れ易くなる。また、シェルのポリマーが多すぎると、コアポリマー量が相対的に減少し、色材保護機能の低下を起こし易い。さらに好ましくは10質量%以上90質量%以下である。
【0042】
本発明に係る着色微粒子においては、色材とポリマー(樹脂)の比率は、1/10〜2/1の範囲であることが好ましい。色材がポリマーに比して少なすぎると、吐出後の画像濃度が上がらず、また、色材の比率が高いとポリマーの保護能が十分に得られない。
【0043】
また、本発明においては、コア部分に疎水性高沸点有機溶媒を単独で、あるいはポリマーと併用して着色微粒子を形成することができる。単独で用いる場合には、上述の着色微粒子の調製及びポリマーシェルを設ける方法において、コア部分のポリマーを置き換えることで達成できる。また、ポリマーと併用する場合には、コアポリマーと同時に用いることで、着色微粒子を調製することができる。
【0044】
(コアシェル化の評価)
本発明においては、実際にコアシェル化されているかの評価が重要である。本発明においては、個々の粒子径が150nm以下と非常に微小であるため、分析方法は分解能の観点から限られる。このような目的に沿う分析方法としては、透過型電子顕微鏡(TEM)や飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)などが適用できる。TEMによりコアシェル化した着色微粒子を観察する場合、カーボン支持膜上に分散体を塗布、乾燥させ観察することができる。TEMの観察像は、通常モノクロであるため、コアシェル化されているかどうかを評価するために、着色微粒子を染色する必要がある。コアだけの着色微粒子を染色しそのTEM観察を行い、シェルを設けたものと比較する。さらに、シェルを設けた微粒子と設けていない微粒子を混合し、染色し、染色度合いの異なる微粒子の割合がシェルの有無に一致しているかの確認を行う。TOF−SIMSでは、粒子表面にシェルを設けることで表面近傍の染料がコアだけの時よりも減少していることを確認する。色材にコアシェルのポリマーに含有されていない元素がある場合、その元素をプローブとして色材含有量の少ないシェルが設けられたかを確認することができる。そのような元素がない場合、適当な染色剤を用いてシェル中の色材含有量がシェルを設けていないものと比較することができる。コアシェル粒子をエポキシ樹脂内に包埋し、ミクロトームで超薄切片を作製、染色を行うことでコアシェル化はより明瞭に観察できる。ポリマーや、染料にプローブとなりうる元素がある場合、TEMによってコアシェルの組成、染料のコアとシェルへの分布量を見積もることもできる。
【0045】
次いで、本発明に係る色材について説明する。
本発明においては、上記ポリマーによって封入される色材としてインクジェットで公知の各種染料又は顔料を用いることができるが、本発明においては、色材として染料を用いることが好ましく、本発明で用いることのできる染料として、特に制限はなく、油性染料、分散染料、直接染料、酸性染料及び塩基性染料等の例を挙げることができる。
【0046】
色相としてはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、ブルー、グリーン、レッドが好ましく用いられ、特に、イエロー油溶性染料、マゼンタ油溶性染料、シアン油溶性染料、ブラック油溶性染料を各々用いることが好ましい。油溶性染料の中には、水溶性染料を長鎖の塩基と造塩することにより油溶性を示す染料も含まれる。油性染料としては、以下に限定されるものではないが、特に好ましい具体例としては、例えば、
オリエント化学工業株式会社製 Valifast Yellow 4120、Valifast Yellow 3150、Valifast Yellow 3108、Valifast Yellow 2310N、Valifast Yellow 1101、Valifast Red 3320、Valifast Red 3304、Valifast Red 1306、Valifast Blue 2610、Valifast Blue 2606、Valifast Blue 1603、Oil Yellow GG−S、OilYellow 3G、Oil Yellow 129、Oil Yellow107、Oil Yellow 105、Oil Scarlet 308、Oil Red RR、Oil Red OG、Oil Red 5B、OilPink 312、Oil Blue BOS、Oil Blue 613、Oil Blue 2N、Oil Black BY、Oil Black BS、Oil Black 860、Oil Black 5970、Oil Black 5906、Oil Black 5905、
日本化薬株式会社製 Kayaset Yellow SF−G、Kayaset Yellow K−CL、Kayaset Yellow GN、Kayaset Yellow A−G、Kayaset Yellow 2G、Kayaset Red SF−4G、Kayaset Red K−BL、Kayaset Red A−BR、KayasetMagenta312、Kayaset Blue K−FL、
有本化学工業株式会社製 FS Yellow 1015、FS Magenta 1404、FS Cyan 1522、FS Blue 1504、C.I.Solvent Yellow 88、Solvent Yellow 83、Solvent Yellow 82、Solvent Yellow 79、Solvent Yellow 56、Solvent Yellow 29、Solvent Yellow 19、Solvent Yellow 16、Solvent Yellow 14、Solvent Yellow 04、Solvent Yellow 03、Solvent Yellow 02、Solvent Yellow 01、C.I.Solvent Red 84:1、C.I.Solvent Red 84、C.I.Solvent Red 218、C.I.Solvent Red 132、C.I.Solvent Red 73、C.I.Solvent Red 72、C.I.Solvent Red 51、C.I.Solvent Red 43、C.I.Solvent Red 27、C.I.Solvent Red 24、Solvent Red 18、Solvent Red 01、Solvent Blue 70、Solvent Blue 67、Solvent Blue44、Solvent Blue 40、Solvent Blue 35、Solvent Blue 11、 Solvent Blue 02、Solvent Blue 01、Solvent Black 43、C.I.Solvent Black 70、C.I.Solvent Black 34、C.I.Solvent Black 29、C.I.Solvent Black 27、C.I.Solvent Black 22、C.I.Solvent Black 7、C.I.Solvent Black 3、C.I. Solvent Violet 3、C.I. Solvent Green 3及び7等が挙げられる。
【0047】
また、特開平9−277693号、同10−20559号、同10−30061号に示されるような、金属錯体色素も好ましく用いられ、好ましい構造としては下記一般式〔I〕で表されるものである。
【0048】
一般式〔I〕  M(Dye)(A)
式中、Mは金属イオンを表し、Dyeは金属と配位結合可能な色素を表す。Aは色素以外の配位子を表し、lは1ないし3、mは0、1、2、3を表す。mが0のときlは2または3を表し、その場合Dyeは同種でも異なっていてもよい。Mで表される金属イオンとしては、例えば、Al、Co、Cr、Cu、Fe、Mn、Mo、Ni、Sn、Ti、Pt、Pd、Zr及びZnのイオンが挙げられる。色調、各種耐久性からNi、Cu、Cr、Co、Zn、Feのイオンが特に好ましい。更に好ましくはNiイオンである。
【0049】
Aで表される色素以外の配位子としては、一価または二価の配位子を表し、例えば、ハロゲン化物イオンやカルボン酸誘導体、あるいは下記一般式〔A〕で表されるものを挙げることができる。
【0050】
【化1】
Figure 2004058308
【0051】
一般式〔A〕において、Rはシアノ基、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、またはヘテロ環基を表す。Rはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、またはヘテロ環基を表す。Xはシアノ基、アルキルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、またはアリールオキシカルボニル基を表す。
【0052】
Dyeで表される金属と配位結合可能な色素としては種々の色素構造が考えられるが、共役メチン色素、アゾメチン色素、アゾ色素骨格に配位基を有するものが好ましい。
【0053】
分散染料としては、以下に限定されるものではないが、特に好ましい具体例としては、C.I.ディスパーズイエロー5、42、54、64、79、82、83、93、99、100、119、122、124、126、160、184:1、186、198、199、204、224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ13、29、31:1、33、49、54、55、66、73、118、119及び163;C.I.ディスパーズレッド54、60、72、73、86、88、91、92、93、111、126、127、134、135、143、145、152、153、154、159、164、167:1、177、181、204、206、207、221、239、240、258、277、278、283、311、323、343、348、356及び362;C.I.ディスパーズバイオレット33;C.I.ディスパーズブルー56、60、73、87、113、128、143、148、154、158、165、165:1、165:2、176、183、185、197、198、201、214、224、225、257、266、267、287、354、358、365及び0368;並びにC.I.ディスパーズグリーン6:1及び9等が挙げられる。
【0054】
また、染料として、下記一般式(1)〜(3)で表される染料も好ましく用いることができる。
【0055】
【化2】
Figure 2004058308
【0056】
上記一般式(1)〜(3)において、Xはハロゲン化銀カラー写真感光材料で用いられるカプラー残基を表し、好ましくは、アセトアニリド、5−ピラゾロン、イミダゾール、ピラゾロピロール、ピラゾロイミダゾール、ピラゾロトリアゾール、ピラゾロテトラゾール、ピラゾロピリミジン−7−オン、バルビツール酸、チオバルビツール酸、ローダニン、ヒダントイン、チオヒダントイン、オキサゾロン、イソオキサゾロン、インダンジオン、ピラゾリジンジオン、オキサゾリジンジオン、ヒドロキシピリドン、ピラゾロピリドン、シクロヘキサジエノン、フェノール、ナフトールの誘導体を挙げることができる。nは0、1又は2を表す。
【0057】
Yは5〜6員の芳香族炭素環基又は複素環基を表し、好ましくは、ベンゼン、ピリジン、ピロール、チアゾール、オキサゾール、フラン、チオフェンの誘導体を表す。
【0058】
、R及びRは各々、水素原子、ハロゲン原子又は1価の置換基を表し、R、R及びが表す1価の置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基及びアミノ基等が挙げられる。
【0059】
上記各一般式の中でも、一般式(1)又は(3)で表される染料が好ましく、一般式(3)で表される染料がより好ましい。また、nは0の染料が好ましい。
【0060】
以下に、本発明に好ましく用いられる染料の例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0061】
【化3】
Figure 2004058308
【0062】
【化4】
Figure 2004058308
【0063】
【化5】
Figure 2004058308
【0064】
【化6】
Figure 2004058308
【0065】
【化7】
Figure 2004058308
【0066】
【化8】
Figure 2004058308
【0067】
顔料としては以下に限定されるものではないが、好ましい具体例として、カーボンブラック顔料としては三菱化成社製No.2300、No.900、MCF−88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B、コロンビア社製Raven 700、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255、キャボット社製Regal 400R、Regal 330R、Regal 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch1300、Monarch 1400、デグサ社製Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color Black S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Printex 140V、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4、関西熱化学(株)社製マックスソーブ G−40、マックスソーブ G−15、マックスソーブ
G−08等を使用することが出来る。
【0068】
イエロー顔料としては、C.I.Pigment Yellow 1、C.I.Pigment Yellow 2、C.I.Pigment Yellow3、C.I.Pigment Yellow 12、C.I.PigmentYellow 13、C.I.Pigment Yellow 14、C.I.Pigment Yellow 16、C.I.Pigment Yellow 17、C.I.Pigment Yellow 73、C.I.Pigment Yellow 74、C.I.Pigment Yellow 75、C.I.Pigment Yellow 83、C.I.Pigment Yellow 93、C.I.Pigment Yellow 95、C.I.Pigment Yellow 97、C.I.Pigment Yellow 98、C.I.Pigment Yellow 114、C.I.Pigment Yellow 128、C.I.Pigment Yellow 129、C.I.Pigment Yellow 151、C.I.Pigment Yellow 154、
マゼンタ顔料としては、C.I.Pigment Red 5、C.I.Pigment Red 7、C.I.Pigment Red 12、C.I.Pigment Red 48(Ca)、C.I.Pigment Red 48(Mn)、C.I.Pigment Red 57(Ca)、C.I.Pigment Red 57:1、C.I.Pigment Red 112、C.I.Pigment Red 123、C.I.Pigment Red 168、C.I.Pigment Red 184、C.I.Pigment Red
202、
シアン顔料としては、C.I.Pigment Blue 1、C.I.Pigment Blue 2、C.I.Pigment Blue 3、C.I.Pigment Blue 15:3、C.I.Pigment Blue 15:34、C.I.Pigment Blue 16、C.I.PigmentBlue 22、C.I.Pigment Blue 60、C.I.Vat
Blue 4、C.I.Vat Blue 60、等が挙げられる
本発明に係る着色微粒子は、各種の乳化法で製造することができる。
【0069】
本発明においては、着色微粒子の体積平均粒子径が、5〜100nmであることが好ましいが、上記で規定する平均粒子径を達成する方法として、特に制限はないが、例えば、分散剤の種類や使用量、あるいは以下に示す各乳化方法を適宜選択、あるいは組み合わせることにより達成することができる。
【0070】
乳化法としては、各種の方法を用いることができる。それらの例は、例えば、「機能性乳化剤・乳化技術の進歩と応用展開 シー エム シー」の86ページの記載にまとめられている。本発明においては、特に、超音波、高速回転せん断、高圧による乳化分散装置を使用することが好ましい。
【0071】
超音波による乳化分散では、いわゆるバッチ式と連続式の2通りが使用可能である。バッチ式は、比較的少量のサンプル作製に適し、連続式は大量のサンプル作製に適する。連続式では、たとえば、UH−600SR(株式会社エスエムテー製)のような装置を用いることが可能である。このような連続式の場合、超音波の照射時間は、分散室容積/流速×循環回数で求めることができる。超音波照射装置が複数ある場合は、それぞれの照射時間の合計としてもとめられる。超音波の照射時間は、実際上は3秒以上必要であり、それ以内で乳化が完了するのであれば、超音波乳化分散装置を必要としない。また、10000秒以上必要であると、工程の負荷が大きく、実際上は乳化剤の再選択などにより乳化分散時間を短くする必要がある。そのため10000秒以上は必要でない。さらに好ましくは、10秒以上、2000秒以内である。
【0072】
高速回転せん断による乳化分散装置としては、「機能性乳化剤・乳化技術の進歩と応用展開 シー エム シー」の255〜256ページに記載されているような、ディスパーミキサーや、251ページに記載されているようなホモミキサー、256ページに記載されているようなウルトラミキサーなどが使用できる。これらの型式は、乳化分散時の液粘度によって使い分けることができる。これらの高速回転せん断による乳化分散機では、攪拌翼の回転数が重要である。ステーターとのクリアランスは通常0.5mm程度で、極端に狭くはできないので、せん断力は主として攪拌翼の周速に依存する。周速が5m/sec以上150m/sec以内であれば本発明の乳化・分散に使用できる。周速が遅い場合、乳化時間を延ばしても小粒径化が達成できない場合が多く、150m/secにするにはモーターの性能を極端に上げる必要があるからである。さらに好ましくは、20〜100m/secである。
【0073】
高圧による乳化分散では、LAB2000(エスエムテー社製)などが使用できるが、その乳化・分散能力は、試料にかけられる圧力に依存する。圧力は、10MPa以上、500MPa以下が好ましい。また、必要に応じて数回にわたり乳化・分散を行い、目的の粒径を得ることができる。圧力が低すぎる場合、何度乳化分散を行っても目的の粒径は達成できない場合が多く、また、圧力を500MPaにするためには、装置に大きな負荷がかかり実用的ではない。さらに好ましくは、50MPa以上、200MPa以下である。
【0074】
これらの乳化・分散装置は単独で用いてもよいが、必要に応じて組み合わせて使用することが可能である。コロイドミルや、フロージェットミキサなども単独では本発明の目的を達成できないが、上述した装置との組み合わせにより、単時間で乳化・分散を可能にするなど本発明の効果を高めることが可能である。
【0075】
また、本発明のインクは、上記の装置を用いるほか、いわゆる転相乳化によっても製造することができる。ここで、転相乳化は、上記ポリマーを、上記染料と共にエステル、ケトンなどの有機溶剤に溶解させ、必要に応じて中和剤を加えて該ポリマー中のカルボキシル基をイオン化し、次いで水相を加えた後、上記有機溶剤を留去して水系に転相することからなる。
【0076】
転相が完了した後、系を減圧下に加熱することにより、上記エステル、ケトン系溶剤を除去すると共に、所定量の水を除去して、所望の濃度を有する本発明の着色微粒子含有のインクが得られる。
【0077】
本発明に係る着色微粒子は、インク中に総固形分量として20質量%以下であることが好ましく、3〜20質量%配合されることがより好ましく、3〜15質量%配合されることが特に好ましい。上記着色微粒子の配合量が3質量%に満たないと印字濃度が不十分であり、20質量%を超えるとサスペンションの経時安定性が低下し、凝集等による粒子径増大の傾向があるので、上記範囲内とすることが好ましい。
【0078】
次いで、本発明に係る無色インクについて説明する。
本発明でいう無機インクとは、水性インク、例えば、顔料インクや染料インクにおいて、色材である顔料あるいは染料を除いた構成のインク組成物をいう。
【0079】
本発明に係る無色インクは、色材を除く公知のインク組成物より構成することができ、各種添加剤として、例えば、多価アルコール類のような湿潤剤、無機塩、界面活性剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、シリコーン系等の消泡剤、粘度調整剤又はEDTA等のキレート剤、又、亜硫酸塩等の酸素吸収剤、紫外線吸収剤や滑り剤等の機能性素材を必要に応じて添加してもよい。
【0080】
本発明においては、無色インクが無色微粒子を含有することが好ましい。ここでいう無色微粒子とは、着色を呈しておらず、透明性の高い微粒子を意味し、従来公知の無機白色顔料として知られているシリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ等の光透過性が低い微粒子は包含しない。
【0081】
本発明においては、無色微粒子が、樹脂粒子であることが好ましい。
樹脂粒子に用いられる素材としては、ワックス、ポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライド、ビニルクロライド−ビニリデンクロライド共重合体、塩素化ポリプロピレン、ビニルクロライド−ビニルアセテート共重合体、ビニルクロライド−ビニルアセテート−無水マレイン酸共重合体、エチルセルロース、ニトロセルロース、ポリアクリル酸エステル、亜麻仁油改質アルキッド樹脂、ロジン改質アルキッド樹脂、フェノール改質アルキッド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル、ポリビニルブチラール、ポリイソシアナート樹脂、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリアミド、クロマン樹脂、ゴムダマール、ケトン樹脂、マレイン酸樹脂、ビニルポリマー、ポリスチレン及びポリビニルトルエン又はビニルポリマーとメタクリレートもしくはアクリレートとの共重合体、低分子量ポリエチレン、フェノール改質ペンタエリスリトールエステル、スチレン−インデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−インデン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、シロキサンとの共重合体、ポリアルケン及びスチレン−ブタジエン共重合体などが挙げられる。これらは単一で用いても、組み合わせて用いてもよい。
【0082】
本発明で用いる樹脂粒子としては、MFT(最低造膜温度)が70℃以下であることが好ましく、また樹脂粒子の平均粒径としては、体積平均粒子径として100nm以下が好ましい。
【0083】
本発明に係る着色インク及び無色インクには、前述のように、例えば、多価アルコール類のような湿潤剤、無機塩、界面活性剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、シリコーン系等の消泡剤、粘度調整剤又はEDTA等のキレート剤、又、亜硫酸塩等の酸素吸収剤等を必要に応じて添加してもよい。
【0084】
ここで、上記湿潤剤としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、ジエチルカルビトール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコール及びそのエーテル、アセテート類、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、トリエタノールアミン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド等の含窒素化合物類、ジメチルサルフォキサイドの一種又は二種以上を使用することができる。これらの湿潤剤の配合量に特に制限はないが、上記水性インク中に好ましくは0.1〜50質量%配合することができ、更に好ましくは0.1〜30質量%配合することができる。
【0085】
又、インクの粘度を安定に保つため、発色をよくするために、インク中に無機塩を添加してもかまわない。無機塩としてはたとえば塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化マグネシウム、硫化マグネシウム等が挙げられる。本発明を実施する場合、これらに限定されるものではない。
【0086】
また、乳化剤、分散剤としては特に制限されるものではないが、そのHLB値が8〜18であることが、効果の発現の点からみて或いはサスペンションの粒子径の増大抑制効果がある点から好ましい。
【0087】
界面活性剤としては、陽イオン性、陰イオン性、両性、非イオン性のいずれも用いることが出来る。
【0088】
乳化剤或いは分散剤として、好ましくは陰イオン性界面活性剤又は高分子界面活性剤であり、陰イオン性界面活性剤が特によい。
【0089】
又、インクの表面張力調整用の活性剤としては好ましくはノニオン性界面活性剤である。
【0090】
陽イオン性界面活性剤としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。
【0091】
陰イオン性界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、N−アシル−N−メチルグリシン塩、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩、N−アシルグルタミン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、第2級高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート、脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等が挙げられる。
【0092】
両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
【0093】
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(たとえばエマルゲン911)、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(たとえばニューポールPE−62)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキサイド、アセチレングリコール、アセチレンアルコール等が挙げられる。その他に、界面活性剤としては、例えば花王(株)製の分散剤デモールSNB、MS、N、SSL、ST、P(商品名)もあげられる。
【0094】
これらの界面活性剤を使用する場合、単独又は2種類以上を混合して用いることが出来、インク全量に対して、0.001〜1.0質量%の範囲で添加することにより、インクの表面張力を任意に調整することが出来る。本発明を実施する場合、これらに限定されるものではない。インクの長期保存安定性を保つため、防腐剤、防黴剤をインク中に添加してもかまわない。
【0095】
又、高分子界面活性剤として、以下の水溶性樹脂を用いることができ、吐出安定性の観点から好ましい。水溶性樹脂として好ましく用いられるのは、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等を挙げることができる。高分子界面活性剤の例として、その他に、アクリル−スチレン系樹脂であるジョンクリル等(ジョンソン社)が挙げられる。これらの高分子界面活性剤は、2種以上併用することも可能である。
【0096】
上記の各高分子界面活性剤の分散インク全量に対する添加量としては、0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.3〜5質量%である。配合量が0.01質量%に満たないとサスペンションの小粒径化が困難であり、10質量%を超えるとサスペンションの粒径が増大したりサスペンション安定性が低下し、ゲル化するおそれがある。
【0097】
防腐剤・防黴剤としては、芳香族ハロゲン化合物(たとえばPreventol CMK、クロロメチルフェノール等)、メチレンジチオシアナート、含ハロゲン窒素硫黄化合物、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(たとえばPROXEL GXL)などが挙げられるが、本発明を実施する場合、これらに限定されるものではない。
【0098】
インク中を安定に保つために、インク中にpH調整剤を添加してもかまわない。pH調整剤としては、塩酸や酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を水など薄めたりそのまま使用したりできる。
【0099】
また、上記消泡剤としては、特に制限なく、市販品を使用することができる。そのような市販品としては、例えば信越シリコーン社製のKF96、66、69、KS68、604、607A、602、603、KM73、73A、73E、72、72A、72C、72F、82F、70、71、75、80、83A、85、89、90、68−1F、68−2F(商品名)等が挙げられる。これら化合物の配合量に特に制限はないが、本発明の水性インク中に、0.001〜2質量%配合されることが好ましい。該化合物の配合量が0.001質量%に満たないとインク調製時に泡が発生し易く、又、インク内での小泡の除去が難しく、2質量%を超えると泡の発生は抑えられるものの、印字の際、インク内でハジキが発生し印字品質の低下が起こる場合があるので、上記範囲内とすることが好ましい。
【0100】
本発明に係る各インクにおいては、インクジェット用インクの表面張力として、25mN/m以上、50mN/m以下であることが好ましく、より好ましくは30〜40mN/mである。本発明のインクジェット用インクの表面張力の調整手段としては、各種界面活性剤を用いて、その種類及び添加量を適宜調整することが好ましい。
【0101】
本発明に係る各インクにおいては、インクのpHが、6.0以上11.0以下であることが好ましく、更に好ましくは8.0以上10.0以下である。本発明のインクジェット用インクで用いられるpH調整剤としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の各種有機アミン、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸物等の無機アルカリ剤、有機酸や、鉱酸が挙げられる。
【0102】
本発明のインクジェット画像記録方法においては、本発明に係る着色インク及び無色インクを、不透明な記録媒体上に印字を行うことが特徴である。
【0103】
本発明に係る不透明な記録媒体では、不透明度が、80%以上であることが好ましく、これにより鮮明な画像を得る上で好ましい。特に90%以上の不透明度が好ましい。
【0104】
記録媒体の不透明度を80%以上とするためには、支持体の厚みを増したり、白色顔料(例えば、酸化チタン、炭酸カルシウム等)を支持体中に添加したり、或いは紙又はフィルム支持体上に白色顔料を含有する不透明層を設け、これらの厚みを適宜コントロールすることにより達成することができる。
【0105】
紙支持体として、通常100g以上の坪量があれば、80%以上の不透明度が得られるが、特に好ましいのは、90g以上の坪量を有する原紙の上に酸化チタンを50%以上含有する樹脂層を設けた支持体である。
【0106】
本発明のインクジェット記録用紙で用いられる不透明支持体は、例えば紙支持体、不透明プラスチックフィルム支持体、紙の表面をプラスチック樹脂金属板、着色硝子などが挙げられる。
【0107】
普通紙や通常のコート紙などのように、表面の光沢が低い場合には、着色インクのみで形成された画像は、白地部分の光沢が低いので、本発明の効果がいかんなく発揮される。
【0108】
高光沢の写真画像を得るための好ましい不透明支持体は、キャストコート紙および原紙の両面をポリエチレンなどの疎水性樹脂で被覆した支持体、および白色プラスチックフィルム支持体であり、高光沢性、種々の面質が可能である点、および比較的厚手の高級感のある支持体が低価格で使用できるなどの点からポリエチレン等のポリオレフィンで紙の両面を被覆した支持体が好ましい。
【0109】
本発明で用いる不透明な記録媒体としては、普通紙や通常のコート紙などを記録媒体として用いても良いし、あるいは不透明性の支持体上に、主に親水性バインダーと無機微粒子の軟凝集により形成された空隙型のインク吸収層を有する記録媒体を用いても良い。
【0110】
本発明のインクジェットプリンターとしては、記録ヘッドとして少なくとも着色インクを出射する記録ヘッドと、無色インクを出射する記録ヘッドを有していれば、特に制限はなく、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(R)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。
【0111】
【実施例】
以下に、合成例、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例の範囲に限定されるものではない。
【0112】
《各インクの調製》
〔着色インク1の調製〕
(樹脂の合成)
3リットルの四つ口フラスコに、滴下装置、温度計、窒素ガス導入管、撹拌装置及び還流冷却管を付し、酢酸エチル1000gを加熱還流した。次いで、ステアリルメタクリレート200g、メチルメタクリレート500g及び2−アセトアセトキシエチルメタクリレート300g、N,N′−アゾビスイソバレロニトリル1gの混合液を2時間かけて滴下し、同温度にて5時間反応させた後、溶剤を減圧留去して樹脂P−1を得た。
【0113】
(着色微粒子の製造)
クレアミックスCLM−0.8S(エムテクニク(株)社製)のポットに、12gのPR8375(Plast Red 8375 有本化学製)のマゼンタ染料、12gの樹脂P−1(樹脂)及び120gの酢酸エチルを入れ、攪拌して染料を完全溶解させた。ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)3g(界面活性剤)を含む水溶液270gを添加後、回転速度20000rpmで5分間乳化した。その後、減圧下で酢酸エチルを除去し、コア型の着色微粒子を得た。
【0114】
上記コア型の着色微粒子を3頭のセパラブルフラスコに移し、フラスコ内をN置換した後、ヒーターを付して80℃に加温後、4.5gのスチレン(ST)、1.5gのメタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)(シェルモノマー組成)及び0.3gのN,N′−アゾビスイソバレロニトリル(開始剤)の混合液を1時間で滴下し、更に6時間反応させて、コアシェル型の着色微粒子1を得た。
【0115】
(着色インクの調製)
上記調製した着色微粒子1に、下記の溶剤、界面活性剤及び防腐剤Proxel GX(Avecia社製)0.1質量%を加えて残りが純水になるように調整して100gに仕上げ、次いで、0.8μmのメンブレンフィルターによって濾過し、ゴミ及び粗大粒子を除去して着色インク1を調製した。
【0116】
着色微粒子1                        50g
エチレングリコール                     15g
グリセリン                         15%
E1010(オルフィンE1010 日信化学製)      0.4g
防腐剤Proxel GX(Avecia社製)       0.1g
〔着色インク2の調製〕
マゼンタ染料PR8375(Plast Red 8375 有本化学製)8g、界面活性剤(花王製、商品名エマール20C)40gを、高沸点有機溶媒(S−1)6g、高沸点有機溶媒(S−2)10g及び酢酸エチル50ml中に70℃にて溶解させた。この溶液中に、500mlの純水をマグネチックスターラーで撹拌しながら添加し、水中油滴型の粗粒分散物を調製した。次に、この粗粒分散物を、マイクロフロダイザー(MICROFLUIDEXINC)にて60MPaの圧力で5回通過させることで、微粒子化を行った。更に、出来上がった乳化物をロータリーエバポレーターを用いて、酢酸エチルの臭気が無くなるまで脱溶媒を行った。
【0117】
上記のようにして得られた疎水性染料の微細乳化物に、ジエチレングリコール140g、グリセリン64gおよび尿素等の添加剤を加えた後、純水900mlを加え、KOH(10mol/L)にて、pHを9に調整することにより下記の組成からなる着色インク2を調製した。
【0118】
PR8375                      5.00g
高沸点有機溶媒(S−1)                3.25g
高沸点有機溶媒(S−2)                6.25g
エマール20C                     25.0g
ジエチレングリコール                  87.5g
尿素                          46.0g
グリセリン                       40.0g
トリエタノールアミン                   7.5g
ベンゾトリアゾール                  0.075g
Proxel XL2(Avecia社製)         2.5g
以上の各組成物を添加した後、純水で1Lに仕上げた後、0.8μmのメンブレンフィルターによって濾過し、ゴミ及び粗大粒子を除去して着色インク2を調製した。
【0119】
【化9】
Figure 2004058308
【0120】
〔無色インクの調製〕
下記の組成からなる、無色インクを調製した。
【0121】
SF130(ウレタン樹脂微粒子 スーパーフレックス130 MFT=55
℃ 体積平均粒子径=42nm 第一工業製薬社製)     10質量%
サーフィノール465(日信化学社製)         0.4質量%
エチレングリコール                   20質量%
グリセリン                       10質量%
純水                        59.6質量%
《インクジェット画像の印字》
(画像1の作成)
上記調製した着色インク1と無色インクとを純正カラーインクカートリッジに詰めて、インクジェットプリンターCL−750(セイコーエプソン社製)により、記録媒体として普通紙に、着色インク1により、濃度を0%から100%まで10段階に変化させた画像サンプル(ウェッジ)と帯状のテストチャートを、全普通紙面積の60%を覆うように印字した。このときの着色インク1中の着色微粒子の平均付着量を0.7g/m、最大付着量を1.4g/mとなるように吐出量を調整した。
【0122】
次いで、上記着色インク1を印字していない非印字部(40%面積部)に、無色インクを固形分量として、0.7g/mとなるように印字して、画像1を作成した。
【0123】
(画像2の作成)
上記画像1の作成において、着色インク1を用いて同様の画像を全普通紙面積の60%を覆うように印字した後、無色インクを普通紙全面に、固形分量として、0.7g/mとなるように印字して、画像2を作成した。
【0124】
(画像3の作成)
上記画像2の作製において、着色インク1の付着量が固形分量で0.2g/m以下の画像領域及び非印字部分に、無色インクを固形分量として、0.7g/mとなるように印字して、画像3を作成した。
【0125】
(画像4の作成)
上記画像1の作成において、無色インクを非印字部には1.0g/mとなるように、また印字部については、着色インク1の付着量が固形分量で1.1〜0.7g/mの画像領域には、無色インクを固形分量として、0.2g/mとなるように、また着色インク1の付着量が固形分量で0.7g/m未満の画像領域には、無色インクを固形分量として、0.7g/mとなるように印字して、画像4を作成した。
【0126】
(画像5の作成)
上記画像1の作成において、着色インク1に代えて着色インク2を用いた以外は同様にして、画像5を作成した。
【0127】
(画像6の作成)
上記画像1の作成において、無色インクを用いないで、着色インク1のみ使用した以外は同様にして、画像6を作成した。
【0128】
《インクジェット画像の評価》
以上のようにして作成した各画像について、以下の評価を行った。
【0129】
(光沢差の評価)
得られた画像の印字及び非印字部の光沢感について、目視評価にて、以下に示す基準に則り評価を行った。
【0130】
◎:印字部及び非印字部に光沢感があり、かつ印字部と非印字部との光沢感の差が全く気にならない
○:印字部及び非印字部に光沢感があり、かつ印字部と非印字部との光沢感の差が気にならない
×:印字部と非印字部との光沢感の差が著しい
(滲み耐性の評価)
印字した帯状テストチャートについて、境界における色滲みの発生の有無を目視観察し、以下に示す基準に則り評価を行った。
【0131】
○:非印字部との境界部で滲みの発生が認められない
△:非印字部との境界でやや滲みが観察されたるが、実用上問題はない
×:非印字部との境界で、明らかな滲みが観察され、実用上問題がある
(コックリング耐性の評価)
印字した後の記録媒体面を目視観察し、下記基準でコックリング耐性を判定した。
【0132】
○:記録媒体のうねりは判らず、美観を損なわない
△:記録媒体のうねりは小さく、美観を損なうことはない
×:記録媒体のうねりは大きく、美観を損なう
以上により得られた結果を表1に示す。
【0133】
【表1】
Figure 2004058308
【0134】
表1より明らかなように、本発明の方法に従い、着色インクと無色インクを用いて形成した画像は、比較例に対して、印字部と非印字部との光沢差が小さく、かつ滲み耐性及びコックリング耐性に優れていることが分かる。また、そのなかでも、印字方法としては、着色インク1を用いて、無色インクを非印字部に印字する方法、あるいは非印字部の無色インクの付き量を、着色インクの付着量が最大の領域に印字する無色インクの量より多くして印字する方法がより好ましいことが分かる。
【0135】
実施例2
実施例1に記載の方法に準じて、イエローインク、シアンインク、ブラックインク及び全色を用いたカラーインクセットについて、同様の評価を行ったところ、実施例1の結果と同様に、本発明のインクジェット画像記録方法に従って作成した画像は、印字部と非印字部との光沢差が小さく、かつ滲み耐性及びコックリング耐性に優れていることを確認することができた。
【0136】
【発明の効果】
本発明により、印字部と非印字部の光沢差が小さく、かつ滲み耐性及びコックリング耐性が改良されたインクジェット画像記録方法及びそれを用いたインクジェットプリンターを提供することができた。

Claims (5)

  1. 不透明な記録媒体上に、色材及び樹脂からなる着色樹脂微粒子を含有する着色インクを画像様に付着させ、かつ無色インクを少なくとも該着色インクの非印字部に付着させることを特徴とするインクジェット画像記録方法。
  2. 不透明な記録媒体上に、色材及び樹脂からなる着色樹脂微粒子を含有する着色インクを画像様に付着させ、かつ無色インクを付着させるインクジェット画像記録方法であって、該着色インクの非印字部に付着させる該無色インクの付着量が、該着色インクが最も付着した部分に付着させる該無色インクの付着量より多いことを特徴とするインクジェット画像記録方法。
    ただし、該着色インクが最も付着した部分に付着させる該無色インクの付着量が、0であっても良い。
  3. 前記無色インクが、無色微粒子を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット画像記録方法。
  4. 前記無色微粒子が、樹脂粒子であることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット画像記録方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット画像記録方法により、画像印字することを特徴とするインクジェットプリンター。
JP2002216520A 2002-07-25 2002-07-25 インクジェット画像記録方法及びインクジェットプリンター Pending JP2004058308A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002216520A JP2004058308A (ja) 2002-07-25 2002-07-25 インクジェット画像記録方法及びインクジェットプリンター

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002216520A JP2004058308A (ja) 2002-07-25 2002-07-25 インクジェット画像記録方法及びインクジェットプリンター

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004058308A true JP2004058308A (ja) 2004-02-26
JP2004058308A5 JP2004058308A5 (ja) 2005-10-27

Family

ID=31938257

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002216520A Pending JP2004058308A (ja) 2002-07-25 2002-07-25 インクジェット画像記録方法及びインクジェットプリンター

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004058308A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008229981A (ja) * 2007-03-19 2008-10-02 Seiko Epson Corp 液体吐出装置、液体吐出方法
JP2008229980A (ja) * 2007-03-19 2008-10-02 Seiko Epson Corp 液体吐出装置、液体吐出方法
JP2010173287A (ja) * 2009-02-02 2010-08-12 Ricoh Co Ltd 記録方法、クリアインク、インク、およびメディア
EP2228226A1 (en) 2009-03-12 2010-09-15 Fujifilm Corporation Image forming method and apparatus
US8939528B2 (en) 2010-02-10 2015-01-27 Fujifilm Corporation Inkjet printing apparatus and inkjet printing method
JP2017164925A (ja) * 2016-03-14 2017-09-21 株式会社リコー 保護液付与制御装置、画像形成システム、画像形成装置、保護液付与制御方法、保護液付与制御プログラム
JP2018126972A (ja) * 2017-02-10 2018-08-16 株式会社リコー 画像形成装置、画像形成方法、並びにインクと液体のセット、及び液体

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008229981A (ja) * 2007-03-19 2008-10-02 Seiko Epson Corp 液体吐出装置、液体吐出方法
JP2008229980A (ja) * 2007-03-19 2008-10-02 Seiko Epson Corp 液体吐出装置、液体吐出方法
JP2010173287A (ja) * 2009-02-02 2010-08-12 Ricoh Co Ltd 記録方法、クリアインク、インク、およびメディア
EP2228226A1 (en) 2009-03-12 2010-09-15 Fujifilm Corporation Image forming method and apparatus
US8939528B2 (en) 2010-02-10 2015-01-27 Fujifilm Corporation Inkjet printing apparatus and inkjet printing method
JP2017164925A (ja) * 2016-03-14 2017-09-21 株式会社リコー 保護液付与制御装置、画像形成システム、画像形成装置、保護液付与制御方法、保護液付与制御プログラム
JP2018126972A (ja) * 2017-02-10 2018-08-16 株式会社リコー 画像形成装置、画像形成方法、並びにインクと液体のセット、及び液体
JP7073625B2 (ja) 2017-02-10 2022-05-24 株式会社リコー 画像形成装置、及び画像形成方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4273418B2 (ja) インクセット、これを用いた記録方法、及び記録物
JP2004256737A (ja) インクジェット用水性シアンインクとそれを用いたインクジェット用カラーインクセット及び画像形成方法
JP4154899B2 (ja) インクジェット画像記録方法
JP2003221533A (ja) 着色微粒子の水性分散体、水性インク及び画像形成方法
JP2002363460A (ja) 着色微粒子含有水性インク及び画像形成方法
JP2004058308A (ja) インクジェット画像記録方法及びインクジェットプリンター
JP4281318B2 (ja) 着色微粒子分散体、水性インク及びそれを用いた画像形成方法
US7132464B2 (en) Ink for ink-jet recording and image forming method
JP4277479B2 (ja) 着色微粒子分散体インク、インクジェット用水性インクおよび画像形成方法
JP2003238855A (ja) インクジェット用インク及び画像形成方法
JP3915472B2 (ja) インクジェット用インクとそれを用いたインクジェットカートリッジ、インクジェット画像記録方法及びインクジェット記録画像
JP2004051882A (ja) インクジェット記録用水性インクとその製造方法、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
JP4453239B2 (ja) 水性インク及びそれを用いた画像形成方法
JP2004067861A (ja) インクジェット用水性インクセット
JP2003313389A (ja) 着色微粒子分散体、水性インク及び該水性インクを用いた画像形成方法
JP2003096358A (ja) インクジェット用インクとそれを用いたインクジェットカートリッジ、インクジェット画像記録方法及びインクジェット記録画像
JP2003206430A (ja) 着色微粒子の水分散体、水性インク及び画像形成方法
JP2003313479A (ja) インクジェット用インク及び画像形成方法
JP2003286424A (ja) 着色微粒子分散体を含む水性インク
JP2003238858A (ja) インクジェット用インク及びインクジェット画像形成方法
JP2003313473A (ja) インクジェット記録用水性インク及びインクジェット記録用水性インクセット
JP2003313472A (ja) インクジェット記録用水性インク及びインクジェット記録用水性インクセット
JP2003238867A (ja) インクジェット記録用水性インク
JP2003313474A (ja) インクジェット記録用水性インク及びインクジェット記録用水性インクセット
JP2005068267A (ja) インクジェット記録用水性インク及びそれを用いたインクジェット画像形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050721

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050721

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070418

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070424

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070828