JP2003286424A - 着色微粒子分散体を含む水性インク - Google Patents

着色微粒子分散体を含む水性インク

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JP2003286424A
JP2003286424A JP2002091179A JP2002091179A JP2003286424A JP 2003286424 A JP2003286424 A JP 2003286424A JP 2002091179 A JP2002091179 A JP 2002091179A JP 2002091179 A JP2002091179 A JP 2002091179A JP 2003286424 A JP2003286424 A JP 2003286424A
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ink
polymer
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JP2002091179A
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Akihiko Takeda
昭彦 竹田
Takahito Chiba
隆人 千葉
Hidetaka Ninomiya
英隆 二宮
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Original Assignee
Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 停滞安定性及び吐出安定性の向上した着色微
粒子分散体を含む水性インクを提供すること。 【解決手段】 色材とポリマーからなる着色微粒子を水
中に分散させた着色微粒子分散体及び0.1〜50pp
mの吸着剤を含有することを特徴とする水性インク。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、停滞安定性及び吐
出安定性の向上した着色微粒子分散体を含む水性インク
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、プリンター、印刷機、マーカー、
筆記具等に用いられる記録材料、インキング材料にも脱
溶剤化、水性化が求められてきている。特にインクジェ
ット記録に用いられる水性の記録材料としては、水溶性
染料の水溶液を主体としたもの、顔料の微分散体を主体
としたものが広く用いられている。
【0003】水溶性染料を用いた水性インクとしては、
主として酸性染料、直接染料、一部の食品用染料等に分
類される水溶性染料の水溶液に、保湿剤としてグリコー
ル類、アルカノールアミン類、表面張力調整のための界
面活性剤、更に必要に応じて増粘剤等を添加したものが
用いられている。
【0004】これら水溶性染料を用いた水性インクは、
筆先、あるいはプリンターでの目詰まりを生じない高い
信頼性から、最も一般的に用いられているが、記録紙上
で滲み易く、使用用途の限定、記録品位の低下を余儀な
くされている。即ち、記録紙に単に浸透し、乾燥固着し
ているだけの水溶性染料は「染着」しているとは言い難
く、耐光堅牢度は非常に低い。
【0005】また、水溶性染料を用いた水性インクの耐
水性、耐光堅牢性が低いという問題を解決するために、
油溶性染料ないし疎水性染料により水分散性樹脂を着色
する提案がインクジェット記録用インクとして提案され
ている。例えば、特開昭55−139471号、同58
−45272号、特開平3−250069号、同8−2
53720号、同8−92513号、同8−18392
0号、特開2001−11347等には、油溶性染料に
よって染色された乳化重合粒子、または分散した重合粒
子を用いたインクが提案されている。また、油溶性染料
ないし疎水性染料により水分散性樹脂を着色するのみで
なく、色材及びこれを被覆した樹脂からなる着色微粒子
分散体、また色材と樹脂からなる色材粒子を更に皮膜形
成性樹脂で被覆した着色微粒子分散体を用いる試みもな
されている。
【0006】これらの技術により、水性インクの耐水
性、耐光堅牢性は確かに向上する。しかしながら、着色
微粒子分散体中に残存モノマーがあると、染料を溶解し
て粒径を増大させたり、ノズル表面に付着して表面物性
を変えて射出安定性を劣化させたり、画像中に存在する
とラジカル発生源となって画像劣化を促進する。また、
着色微粒子表面や着色微粒子外に染料が存在すると、イ
ンクジェット用インクに必要な分散安定性、吐出安定性
等の諸性能をが低下するという問題がある。
【0007】一方、顔料の微分散体を主体とした顔料イ
ンクにおいては、濃度がのらない、ブロンジング等の色
再現性の問題が起こりやすくなる等の問題を軽減するた
め、また、更に耐光性向上、分散安定性、吐出安定性等
を向上させる目的で、皮膜形成性樹脂により顔料の表面
を被覆する試みがなされている。例えば、特開平8−2
69374号、同9−151342号、同10−880
45号、同10−292143等には顔料を樹脂で被覆
した例が記載されている。
【0008】しかしながら、これらの着色粒子や顔料等
の色材微小粒子を被覆した着色微粒子分散体は、従来の
顔料を用いた水性インクの種々の問題点を克服し、高い
記録品位を実現する可能性を秘めたものではあるもの
の、製造後の分散安定性に問題があったり、更には、製
造時に工夫が要る等、製造安定性に問題があるほか、水
性媒体中での分散安定性が充分でなく、結果としてイン
クとしての安定性、また吐出安定性等が充分なレベルに
達していないのが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、停滞
安定性及び吐出安定性の向上した着色微粒子分散体を含
む水性インクを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記手
段により達成される。
【0011】1.色材とポリマーからなる着色微粒子を
水中に分散させた着色微粒子分散体及び0.1〜50p
pmの吸着剤を含有することを特徴とする水性インク。
【0012】2.吸着剤の最大粒径が1μm以下、かつ
平均粒径が0.5μm以下であることを特徴とする上記
1記載の水性インク。
【0013】3.吸着剤が活性炭または吸着用合成樹脂
であることを特徴とする上記1または2記載の水性イン
ク。
【0014】以下、本発明を詳細に説明する。本発明者
は鋭意研究の結果、色材と樹脂からなる着色微粒子を水
中に分散させた着色微粒子分散体を含む水性インクに、
特定量の吸着剤を含有させることにより、停滞安定性及
び吐出安定性の向上した水性インク(以下、インクとも
言う)が得られることを見出した。すなわち、停滞安定
性及び吐出安定性向上の障害になっている原因物質であ
る、着色微粒子分散体中に残存するモノマー、着色微粒
子表面や着色微粒子外に存在する染料、その他の不純物
をインクから除去することなく、発明の目的を得る方法
を見出した。
【0015】これらの効果に対する吸着剤の機能につい
ては、着色微粒子分散体中に残存するモノマー、着色微
粒子表面や着色微粒子外に存在する染料、その他の不純
物を吸着剤が吸着することにより、染料を溶解して着色
微粒子の粒径を増大させたり、ノズル表面に付着して表
面物性を変えて射出安定性を劣化させたり、画像中に存
在してラジカル発生源となったりすることを防止し、ま
た、着色微粒子表面や着色微粒子外に存在する染料が凝
集して新粒子を形成することを防止するものと考えられ
る。
【0016】また、本発明の効果をより発現するために
は、吸着剤の最大粒径が1μm以下、かつ平均粒径が
0.5μm以下であること、また、吸着剤が活性炭また
は吸着用合成樹脂であることが好ましい。
【0017】本発明において、水性インク中に残存する
モノマーの総量が増加すると必要な吸着剤量が増加し、
後述のように吸着剤量が50ppmを越えるのは好まし
くないため、モノマーの総量は5000ppm以下であ
ることが好ましい。好ましくは0.1〜5000ppm
であり、より好ましくは0.1〜1000ppm、特に
好ましくは0.1〜100ppmである。特に、水性イ
ンク中に残存するモノマーの内、ホモポリマー換算SP
値が20(J/cm31/2以下のモノマー総量が100
0ppm以下であることが望ましい。これは、本発明者
らによる多くの実験の結果、このような極性の低いモノ
マー残存量が、着色微粒子分散体の不安定性の支配的要
因であることが突き止められた。これらを適正範囲内に
収めることにより、飛躍的に諸性能が向上する。
【0018】(吸着剤)本発明に用いられる吸着剤につ
いて詳細に説明する。本発明に用いられる吸着剤として
は、無機吸着剤としてゼオライト、アルミナ、シリカゲ
ル、活性白土、珪藻土等があり、また、有機吸着剤とし
て活性炭(粉末活性炭、粒状活性炭)、吸着用合成樹
脂、イオン交換樹脂、キレート樹脂等が挙げられる。中
でも活性炭または吸着用合成樹脂が好ましい。
【0019】これら吸着剤は、被処理液に直接添加また
は吸着剤を充填したカラムに被処理液を通液して精製工
程に用いた残留分(精製工程で使用し、ろ過して除去で
きなかった吸着剤、例えば、1μm以下の微小活性炭)
でも、インク化時に別途添加したものでもよい。
【0020】吸着剤の種類は、着色微粒子分散体中に残
存するモノマー、着色微粒子表面や着色微粒子外に存在
する染料、その他の不純物等の除去対象物に合わせて選
択することで効率的に吸着することができる。更に、こ
れらの吸着剤は、単独あるいは2種類以上を組み合わせ
て行うことができる。
【0021】吸着剤の最大粒径は1μm以下、かつ平均
粒径が0.5μm以下であることが好ましい。最大粒径
が1μmを、かつ平均粒径が0.5μmを超えるほど大
きな粒子では使用量にもよるが、ヘッドに詰まり易く、
また、インク中での沈降が起き易く、停滞安定性が劣化
する。吸着剤の最大粒径及び平均粒径は、大塚電子社製
のレーザー粒径解析システムを用いて測定するか、少な
くとも100粒子以上について透過型電子顕微鏡(TE
M)写真の投影面積から得られた円換算粒径を球形換算
して求められる。
【0022】市販されている吸着剤は、活性白土として
は、例えば、ガレオンアース(水澤化学工業社製)等、
活性炭としては、例えば、太閤K,S,M,P,A,S
G,SGP(以上、二村化学工業社製)、白鷺A,M,
C,P、カルボラフィン、強力白鷺(以上、武田薬品工
業社製)、梅蜂A,MA,HC(以上、太平化学産業社
製)、GS−A,GS−B,CL−K(以上、味の素フ
ァインテクノ社製)等が挙げられる。
【0023】また、吸着用合成樹脂としては、例えば、
ダイヤイオンHP10,HP20,HP30,HP1M
G,HP2MG、セパビーズSP70,SP205,S
P206,SP700,SP800,SP825,SP
850(以上、三菱化成社製)、アンバーライトXAD
4,XAD7HP,XAD16HP,XAD1180、
アンバーリスト15Dry,15JWET(以上、オル
ガノ社製)、KS,KH(以上、味の素ファインテクノ
社製)等が挙げられ、イオン交換樹脂としては、例え
ば、ダイヤイオンPK208,PK216,PA30
6,PA312,WK10,WK20,CR11(以
上、三菱化成社製)、アンバーライトIR120B−N
a,IR124B−Na,IRC50,IRC76,I
RA67,IRA400,IRA400J−Cl,IR
A410,IRA440J−Cl,IRA900J−C
l,IRC748(以上、オルガノ社製)、PF,S
B,MA(以上、味の素ファインテクノ社製)等が挙げ
られ、キレート樹脂の例としては、北条舒正著「キレー
ト樹脂、イオン交換樹脂」に記載されている化合物が挙
げられる。
【0024】本発明に係る着色微粒子は、各種の方法で
調製することができる。例えば、モノマー中に油溶性染
料を溶解させ、水中で乳化後、重合によりポリマー中に
染料を封入する方法、ポリマーと染料を有機溶剤中に溶
解し、水中で乳化した後有機溶剤を除去する方法、染料
溶液に多孔質のポリマー微粒子を添加し、染料を微粒子
に吸着、含浸させる方法等が挙げられ、更に、それらの
着色微粒子をポリマーで被覆するコア/シェル化法も用
いることができる。
【0025】本発明に係る着色微粒子は、コア/シェル
化したものでも、コア/シェル化したものでなくても、
特に制限はないが、これを用いてインクを作製したと
き、長期に亘って着色微粒子分散体の凝集を防止し、微
粒子のインクサスペンションとしての安定性を向上さ
せ、メディアに印画したときの画像の色調や光沢、更に
耐光性等、画像に堅牢性を付与するためには、コア/シ
ェル化したものが好ましい。
【0026】コア/シェル構造を有する着色微粒子は、
最初に色材を含有するポリマーコアを作製した後、ポリ
マーシェルを設ける方法と、コア及びシェルを同時に設
ける手法がある。
【0027】(微粒子コア〈色材粒子〉作製後にシェル
を設ける場合)色材として染料を用いた場合、コアとな
る染料含有ポリマーは、各種の手法で調製することがで
きる。例えば、モノマー中に油溶性染料を溶解させ、水
中で乳化後、重合によりポリマー中に染料を封入する方
法、ポリマーと染料を有機溶剤中に溶解し、水中で乳化
後有機溶剤を除去する方法、染料溶液に多孔質のポリマ
ー微粒子を添加し、染料を微粒子に吸着、含浸させる手
法等がある。
【0028】また、顔料を用いる場合、コアとして顔料
そのものを使用してもよい。それにポリマーのシェルを
設ける手法としては、コアとなるポリマーの水系サスペ
ンションに水溶性のポリマー分散剤を添加し吸着させる
手法、モノマーを徐々に滴下し、重合と同時にコア表面
に沈着させる方法、あるいは、有機溶剤に溶解したポリ
マーを徐々に滴下し、析出と同時にコア表面に吸着させ
る方法等がある。例えば、ヒドロキシエチルメタアクリ
レート及び不飽和二重結合を有する重合性モノマーをコ
アとなるポリマーの水系サスペンジョンに徐々に滴下し
重合させコア表面に沈着させる方法である。
【0029】あるいは、顔料をポリマーと混練し、その
後水系で分散しポリマー被覆顔料を作製したり、更にこ
れを微粒子コアとして上記の方法によりシェル化を行う
ことも可能である。
【0030】本発明においては、コアとなるポリマーの
水系サスペンションにモノマーを徐々に滴下し、重合と
同時にコア表面に沈着させる方法が特に好ましい。
【0031】(微粒子形成時にコアとシェルを同時に設
ける手法)コアとなるポリマーと染料もしくは顔料を、
重合後にシェルとなるモノマーに溶解または分散し、水
中で懸濁後重合する手法や、その液を活性剤ミセルを含
有する水中に徐々に滴下しながら乳化重合していく手法
等もある。モノマーが重合後にコア、ポリマーとして加
えられた材料がシェルとなってもよい。あるいは、重合
後にコアとなり得るモノマーと、シェルとなり得るモノ
マー混合液に染料もしくは顔料を溶解または分散し、懸
濁重合あるいは乳化重合する手法もある。
【0032】(コア/シェル化の評価)実際にコア/シ
ェル化されているかを評価することは重要である。本発
明においては、個々の粒子径が非常に微小であるため、
分析手法は分解能の観点から限られる。このような目的
に沿う分析手法としては、TEMやTOF−SIMS等
が適用できる。TEMによりコア/シェル化した微粒子
を観察する場合、カーボン支持膜上に分散液を塗布、乾
燥させ観察することができる。TEMの観察像は、有機
物であるポリマーの種類のみではコントラスト差が小さ
い場合があるため、コア/シェル化されているか否かを
評価するために、微粒子を、4酸化オスミウム、4酸化
ルテニウム、クロロスルホン酸/酢酸ウラニル、硫化銀
等を用いて染色することが好ましい。コアだけの微粒子
を染色しそのTEM観察を行い、シェルを設けたものと
比較する。更に、シェルを設けた微粒子と設けていない
微粒子を混合後、染色し、染色度合いの異なる微粒子の
割合がシェルの有無に一致しているかの確認を行う。
【0033】また、コア/シェル粒子をエポキシ樹脂内
に埋胞し、ミクロトームで超薄い切片を作製、染色を行
うことでコア/シェル化はより明瞭に観察できる。上記
のように、ポリマーや、色材にプローブとなりうる元素
がある場合、TOF−SIMSやTEMによってコア/
シェルの組成、色材のコアとシェルへの分布量を見積も
ることもできる。
【0034】好ましい粒子径を得るには、処方の最適化
と、乳化法の選定が重要である。処方は用いる色材、ポ
リマーによって異なるが、水中のサスペンションである
ので、コアを構成するポリマーよりシェルを構成するポ
リマーの方が一般的に親水性が高いことが必要である。
また、シェルを構成するポリマーに含有される色材は、
前記のようにコアを構成するポリマー中より少ないこと
が好ましく、色材もシェルを構成するポリマーよりも親
水性の低いことが必要である。親水性、疎水性は、例え
ば溶解性パラメータ(SP)を用いて見積もることがで
きる。溶解性パラメータは、その値や、測定、計算法が
POLYMER HANDBOOK 第4版(JOHN
WILEY & SONS,INC.)675頁から
の記載が参考になる。
【0035】また、コアで用いられるポリマーは、その
数平均分子量が500〜100,000、特に1,00
0〜30,000であることが、印刷後の製膜性、その
耐久性及びサスペンションの形成性の点から好ましい。
【0036】ポリマーのTg(ガラス転移温度)は、各
種のものを用いることが可能であるが、用いるポリマー
のうち、少なくとも1種以上はTgが10℃以上である
ものを用いるのが好ましい。
【0037】本発明においては、一般に知られている全
てのポリマーを使用可能であるが、特に好ましいポリマ
ーは、主な官能基としてアセタール基を含有するポリマ
ー、炭酸エステル基を含有するポリマー、ヒドロキシル
基を含有するポリマー及びエステル基を有するポリマー
である。上記のポリマーは、更に置換基を有してもよ
く、その置換基は直鎖状、分岐、あるいは環状構造をと
ってもよい。また、上記の官能基を有するポリマーは、
各種のものが市販されているが、常法によって合成する
こともできる。また、これらの共重合体は、例えば一つ
のポリマー分子中にエポキシ基を導入しておき、後に他
のポリマーと縮重合させたり、光や放射線を用いてグラ
フト重合を行っても得られる。
【0038】好ましい着色微粒子分散体において、ポリ
マーのコアは、主として色材を包含し、その堅牢性や色
調を保持するのに寄与するが、一方、ポリマーのシェル
は色材を包含した微粒子のインクサスペンションとして
の安定性を増すことに寄与し、更にメディア上での色材
の定着を促進、凝集を防止し、画質の向上に寄与する。
また、色材の堅牢性、色調の保持にも貢献する。
【0039】本発明において、水系インクに用いられる
色材含有コア/シェル着色微粒子分散体は、体積平均粒
子径が5nm以下になると単位体積当たりの表面積が非
常に大きくなるため、色材をコア/シェルポリマー中に
封入する効果が小さくなる。一方、100nmを超える
ほど大きな粒子では、ヘッドに詰まり易く、また、イン
ク中での沈降が起き易く、停滞安定性が劣化する。従っ
て、着色微粒子分散体の平均粒子径は5〜100nmで
あることが好ましく、10〜100nmがより好まし
い。平均粒子径が100nmを超えると、水性インクと
した場合、光沢メディアに記録した画像では光沢感の劣
化が起こり、透明媒体に記録した画像では著しい透明感
の劣化が起こる。
【0040】体積平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(T
EM)写真の投影面積(少なくとも100粒子以上に対
して求める)の平均値から得られた円換算平均粒径を、
球形換算して求められる。体積平均粒子径とその標準偏
差を求め、標準偏差を体積平均粒子径で割ることで変動
係数を求められる。あるいは、動的光散乱法を利用して
変動係数を求めることもできる。例えば、大塚電子社製
レーザー粒径解析システムや、マルバーン社製ゼータサ
イザーを用いて求めることができる。
【0041】粒子径の変動係数は、粒子径の標準偏差を
粒子径で割った値であるが、この値が大きいほど粒子径
の分布が広いことを意味する。体積平均粒子径の変動係
数が80%以上であると、粒径分布が非常に広くなり、
コア/シェルの厚みが不均一となり易く、粒子間の表面
物性にばらつきが生じ易くなる。表面物性のばらつきは
粒子の凝集を招き易く、インクジェットヘッドの詰まり
を起こしやすい。また、粒子の凝集はメディア上で、色
材の光散乱を招き易く、画質の低下も招き易くする。粒
径の変動係数は50%以下が好ましく、30%以下が更
に好ましい。
【0042】本発明においては、シェルに用いられるポ
リマー量が総ポリマー量の5〜95質量%であることが
好ましい。5質量%より少ないとシェルの厚みが不十分
で、色材を多く含有するコアの一部が粒子表面に現れや
すくなる。また、シェルのポリマーが多すぎると、コア
の色材保護能低下を起こしやすい。更に好ましくは10
〜90質量%である。
【0043】色材の総量は、総ポリマー量に対して20
〜1,000質量%であることが好ましい。色材量がポ
リマーに比して少なすぎると、吐出後の画像濃度が上が
らず、また、色材質量が多すぎるとポリマーの保護能が
十分に得られない。
【0044】次に、上記ポリマーによって封入される色
材について説明する。本発明に用いられる色材の色相と
してはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、ブル
ー、グリーン、レッドが好ましく用いられ、特に好まし
くはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各染料で
ある。油溶性染料は、通常カルボン酸やスルホン酸等の
水溶性基を有さない有機溶剤に可溶で水に不溶な染料で
あるが、水溶性染料を長鎖の塩基と造塩することにより
油溶性を示す染料も含まれる。例えば、酸性染料、直接
染料、反応性染料と長鎖アミンとの造塩染料が知られて
いる。油溶性染料としては、以下に限定されるものでは
ないが、特に好ましい具体例としては、例えばオリエン
ト化学工業社製のValifast Yellow41
20,3150,3108,2310N,1101、V
alifastRed 3320,3304,130
6、Valifast Blue 2610,260
6,1603、Oil Yellow GG−S,3
G,129,107,105、Oil Scarlet
308、Oil Red RR,OG,5B、Oil
Pink 312、Oil Blue BOS,61
3,2N、Oil Black BY,BS,860,
5970,5906,5905;日本化薬社製のKay
aset Yellow SF−G,K−CL,GN,
A−G,2G、Kayaset Red SF−4G,
K−BL,A−BR、Kayaset Magenta
312、Kayaset Blue K−FL;有本化
学工業社製のFS Yellow 1015、FS M
agenta 1404、FS Cyan 1522、
FS Blue 1504、C.I.Solvent
Yellow 88,83,82,79,56,29,
19,16,14,04,03,02,01、C.I.
Solvent Red 84:1、C.I.Solv
ent Red 84,218,132,73,72,
51,43,27,24,18,01、C.I.Sol
vent Blue 70,67,44,40,35,
11,02,01、C.I.Solvent Blac
k 43,70,34,29,27,22,7,3、
C.I.SolventViolet 3、C.I.S
olvent Green 3,7等が挙げられる。ま
た、特開平9−277693号、同10−20559
号、同10−30061号等に示されるような金属錯体
色素も好ましく用いられる。
【0045】油溶性染料として分散染料を用いることが
できる。分散染料としては、以下に限定されるものでは
ないが、特に好ましい具体例としては、C.I.ディス
パーズイエロー5,42,54,64,79,82,8
3,93,99,100,119,122,124,1
26,160,184:1,186,198,199,
204,224,237;C.I.ディスパーズオレン
ジ13,29,31:1,33,49,54,55,6
6,73,118,119,163;C.I.ディスパ
ーズレッド54,60,72,73,86,88,9
1,92,93,111,126,127,134,1
35,143,145,152,153,154,15
9,164,167:1,177,181,204,2
06,207,221,239,240,258,27
7,278,283,311,323,343,34
8,356,362;C.I.ディスパーズバイオレッ
ト33;C.I.ディスパーズブルー56,60,7
3,87,113,128,143,148,154,
158,165,165:1,165:2,176,1
83,185,197,198,201,214,22
4,225,257,266,267,287,35
4,358,365,368並びにC.I.ディスパー
ズグリーン6:1,9等が挙げられる。
【0046】本発明のコア/シェルの形態を有する着色
微粒子分散体は、ポリマー量として本発明の水系インク
中に0.5〜50質量%配合されることが好ましく、
0.5〜30質量%配合されることが更に好ましい。上
記ポリマーの配合量が0.5質量%に満たないと、色材
の保護能が十分でなく、50質量%を超えると、サスペ
ンションのインクとしての停滞安定性が低下したり、ノ
ズル先端部でのインク蒸発に伴うインクの増粘やサスペ
ンションの凝集が起こることによってプリンタヘッドの
目詰りが起こる場合があるので、上記範囲内とすること
が好ましい。
【0047】一方、上記染料及び顔料等の色材として
は、インク中に1〜30質量%配合されることが好まし
く、1.5〜25質量%配合されることが更に好まし
い。上記色材の配合量が1質量%に満たないと印字濃度
が不十分であり、30質量%を超えるとサスペンション
の経時安定性が低下し、凝集等による粒径増大の傾向が
あるので、上記範囲内とすることが好ましい。
【0048】本発明のインクは、水を媒体とし、上記色
材を封入したポリマーのサスペンションからなり、該サ
スペンションには、従来公知の各種添加剤、例えば、無
機塩、界面活性剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、粘度
調整剤、ヒドロトロープ剤、湿潤剤、分散剤、消泡剤等
を必要に応じて添加することができる。
【0049】インクの粘度を安定に保つため及び発色を
よくするために、インク中に無機塩を添加しても構わな
い。無機塩としては、例えば塩化ナトリウム、硫酸ナト
リウム、塩化マグネシウム、硫化マグネシウム等が挙げ
られる。
【0050】界面活性剤としては、カチオン牲、アニオ
ン性、両性、ノニオン性の何れも用いることができる
が、好ましくはノニオン性界面活性剤である。
【0051】カチオン性界面活性剤としては、脂肪族ア
ミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム
塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリ
ニウム塩等が挙げられる。
【0052】アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸石
鹸、N−アシル−N−メチルグリシン塩、N−アシル−
N−メチル−β−アラニン塩、N−アシルグルタミン酸
塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチ
ド、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン
酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルス
ルホ琥珀酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オ
レフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン、硫
酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級ア
ルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、第
2級高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシ
エチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサ
ルフェート、脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル
塩、アルキルエーテル燐酸エステル塩、アルキル燐酸エ
ステル塩等が挙げられる。
【0053】両性界面活性剤としては、カルボキシベタ
イン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミ
ダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
【0054】ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン2級
アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェ
ニルエーテル(エマルゲン911等)、ポリオキシエチ
レンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン
誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアル
キルエーテル(ニューポールPE−62等)、ポリオキ
シエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチ
レンヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソル
ビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトー
ル脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エス
テル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エ
ステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコ
ール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、脂肪酸アル
カノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポ
リオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキ
サイド、アセチレングリコール、アセチレンアルコール
等が挙げられる。
【0055】これらの界面活性剤を使用する場合、単独
または2種類以上を混合して用いることができ、インク
全量に対して、0.001〜1.0質量%の範囲で添加
することにより、インクの表面張力を任意に調整するこ
とができる。
【0056】インクの長期停滞安定性を保つため、防腐
剤、防黴剤をインク中に添加してもよい。防腐剤、防黴
剤としては、芳香族ハロゲン化合物(Prevento
lCMK)、メチレンジチオシアナート、含ハロゲン窒
素硫黄化合物、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オ
ン(PROXEL GXL等)等が挙げられる。
【0057】インクを安定に保つために、pH調整剤を
添加しても構わない。pH調整剤としては、塩酸や酢
酸、枸櫞酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を水
等で薄めたり、そのまま使用したりできる。
【0058】湿潤剤としては、例えば、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、
トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、
ポリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリ
コールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブ
チルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテ
ル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレン
グリコールモノブチルエーテル、メチルカルビトール、
エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカル
ビトールアセテート、ジエチルカルビトール、トリエチ
レングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリ
コールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ
メチルエーテル等の多価アルコール及びそのエーテル、
アセテート類、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−
ジメチルイミダゾリジノン、トリエタノールアミン、ホ
ルムアミド、ジメチルホルムアミド等の含窒素化合物
類、ジメチルサルフォキサイドの1種または2種以上を
使用することができる。これら湿潤剤の配合量に特に制
限はないが、上記水性インク中に好ましくは0.1〜5
0質量%配合することができ、更に好ましくは0.1〜
30質量%の配合である。
【0059】分散剤は特に制限されるものではないが、
そのHLB値(親水性・親油性バランス)が8〜18で
あることが、分散剤としての効果が発現し、サスペンシ
ョンの粒子径の増大抑制効果がある点から好ましい。顔
料用として高分子分散剤(ジョンクリル等)が挙げら
れ、また、分散染料用としてアルキルナフタレンスルホ
ン酸塩等が挙げられるが、低分子のドデシル硫酸ナトリ
ウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等、低分
子のアニオン性界面活性剤が好ましい。
【0060】分散剤として市販品も使用することができ
る。そのような市販品としては、例えば花王社製の分散
剤デモールSNB,MS,N,SSL,ST,P(商品
名)が挙げられる。
【0061】分散剤の配合量に特に制限はないが、本発
明の水性インク中に、0.01〜10質量%配合される
ことが好ましい。配合量が0.01質量%に満たないと
サスペンションの小粒径化が困難であり、10質量%を
超えるとサスペンションの粒径が増大したりサスペンシ
ョン安定性が低下し、ゲル化する懼れがあるので、上記
範囲内とすることが好ましい。
【0062】また、消泡剤としても、特に制限なく市販
品を使用することができる。そのような市販品として
は、例えば信越シリコーン社製のKF96,66,6
9,KS68,604,607A,602,603,K
M73,73A,73E,72,72A,72C,72
F,82F,70,71,75,80,83A,85,
89,90,68−1F,68−2F(商品名)等が挙
げられる。これら化合物の配合量に特に制限はないが、
本発明の水性インク中に、0.001〜2質量%配合さ
れることが好ましい。配合量が0.001質量%に満た
ないとインク調製時に泡が発生し易く、また、インク内
での小泡の除去が難しく、2質量%を超えると泡の発生
は抑えられるものの、印字の際、インク内でハジキが発
生し印字品質の低下が起こる場合があるので、上記範囲
内とすることが好ましい。
【0063】次に、本発明のインクの製造において用い
られる乳化方法について説明する。本発明のインクは、
例えば、コアとなる色材粒子の製造において、また、直
接顔料粒子とポリマーからコア/シェル着色微粒子分散
体を製造する際等、各種の乳化法を用いることができ
る。乳化法としては、各種の方法を用いることができ
る。それらの例は、例えば「機能性乳化剤・乳化技術の
進歩と応用展開(シー・エム・シー)」の86頁の記載
にまとめられている。本発明においては、特に、超音
波、高速回転せん断、高圧による乳化分散装置を使用す
ることが好ましい。
【0064】超音波による乳化分散では、所謂バッチ式
と連続式の二通りが使用可能である。バッチ式は、比較
的少量のサンプル作製に適し、連続式は大量のサンプル
作製に適する。連続式では、例えば、UH−600SR
(エスエムテー社製)のような装置を用いることが可能
である。このような連続式の場合、超音波の照射時間
は、分散室容積/流速×循環回数で求めることができ
る。超音波照射装置が複数ある場合は、それぞれの照射
時間の合計として求められる。超音波の照射時間は実際
上は10,000秒以下である。また、10,000秒
以上必要であると、工程の負荷が大きく、実際上は乳化
剤の再選択等により乳化分散時間を短くする必要があ
る。そのため10,000秒以上は必要でない。更に好
ましくは10〜2000秒の範囲である。
【0065】高速回転剪断による乳化分散装置として
は、「機能性乳化剤・乳化技術の進歩と応用展開(シー
・エム・シー)」の255〜256頁に記載されるよう
な、ディスパーミキサーや、251頁に記載のホモミキ
サー、256頁に記載のウルトラミキサー等が使用でき
る。これらの型式は、乳化分散時の液粘度によって使い
分けることができる。
【0066】これらの高速回転剪断による乳化分散機で
は、攪拌翼の回転数が重要である。ステーターを有する
装置の場合、攪拌翼とステーターとのクリアランスは通
常0.5mm程度で、極端に狭くはできないので、剪断
力は主として攪拌翼の周速に依存する。周速が5〜15
0m/sec内であれば、本発明の乳化・分散に使用で
きる。周速が遅い場合、乳化時間を延ばしても小粒径化
が達成できない場合が多く、150m/secにするに
はモーターの性能を極端に上げる必要があるからであ
る。更に好ましくは20〜100m/secである。
【0067】高圧による乳化分散では、LAB2000
(エスエムテー社製)等が使用できるが、その乳化・分
散能力は、試料に掛けられる圧力に依存する。圧力は1
4kPa〜5×105kPaの範囲が好ましい。また、
必要に応じて数回乳化・分散を行い、目的の粒径を得る
ことができる。圧力が低すぎる場合、何度乳化分散を行
っても目的の粒径は達成できない場合が多く、また、圧
力を5×105kPaにするためには、装置に大きな負
荷が掛かり実用的ではない。更に好ましくは5×104
kPa〜2×105kPaの範囲である。
【0068】これらの乳化・分散装置は単独で用いても
よいが、必要に応じて組み合わせて使用することが可能
である。コロイドミルや、フロージェットミキサ等も単
独では本発明の目的を達成できないが、本発明の装置と
の組み合わせにより、短時間で乳化・分散を可能にする
等本発明の効果を高めることが可能である。
【0069】インクジェット方式で、本発明の水系イン
クを吐出して画像形成を行う際に、使用するインクジェ
ットヘッドはオンデマンド方式でもコンティニュアス方
式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械
変換方式(シングルキャビティ型、ダブルキャビティ
型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェ
アードウォール型等)、電気−熱変換方式(サーマルイ
ンクジェット型、バブルジェット(R)型等)等何れの
吐出方式を用いても構わない。
【0070】本発明の水系インクを用いた画像形成方法
においては、例えば、水系インクを装填したプリンター
等により、デジタル信号に基づきインクジェットヘッド
よりインクを液滴として吐出させインク受容体に付着さ
せることで、例えばインクジェット画像記録媒体上に画
像が形成されたインクジェットプリントが得られる。
【0071】インクジェット画像記録媒体としては、例
えば、普通紙、コート紙、キャストコート紙、光沢紙、
光沢フィルム、OHPフィルムの何れも使用することが
でき、中でも例えば多孔質層が形成されている、所謂、
空隙層を有する被記録媒体が好ましい。上述した支持体
の素材あるいは形状に特に限定はなく、例えばシート状
に形成されたもの以外に立体的な構造を有するものであ
ってもよい。
【0072】本発明の水性インクは、インクジェット記
録用のインクとして用いること以外に、例えば、一般の
万年筆、ボールペン、サインペン等の筆記具用のインク
としても使用可能である。本発明のサスペンションを乾
燥し、微粒の粉体を得ることもできる。得られた粉体
は、電子写真のトナー等にも使用可能である。
【0073】
【実施例】次に、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明がこれら実施例に限定されるものではな
い。
【0074】実施例1 (水性インク1の作製)50gのポリビニルブチラール
(電気化学社製:3000K、平均重合度800)、4
0gのC.I.Solvent Yellow 162
及び10gのC.I.Solvent Yellow
29及び400gの酢酸エチルをセパラブルフラスコに
入れ、攪拌して上記ポリマー及び染料を完全溶解させ
た。ラウリル硫酸ナトリウム5gを含む水溶液1000
gを滴下後、超音波分散機(エスエムテー社製:UH−
150型)を用いて10分間乳化した。その後、減圧下
で酢酸エチルを除去し、染料を含浸した着色微粒子の分
散液を得た。
【0075】フラスコ内を窒素置換後、この分散液に
1.5gの過硫酸カリウムを加えて溶解し、ヒーターを
付して70℃に加温後、更に20gのスチレン及び10
gの2−ヒドロキシエチルメタクリレートの混合液を滴
下しながら4時間反応させてコア/シェル型の着色微粒
子分散体を水中に分散した水性インク1を得た。
【0076】この着色微粒子分散体の体積平均粒径は、
大塚電子社製レーザー粒径解析システムで測定した結果
88nmであった。
【0077】(水性インク2〜4の作製)1kgの水性
インク1に、珪藻土0.2gを添加し、室温下で2時間
撹拌し、水性インク2を作製した。同様に、1kgの水
性インク1に、珪藻土を0.05、0.001gを添加
し、それぞれ水性インク3、4を作製した。
【0078】(水性インク5の作製)1kgの水性イン
ク1に、珪藻土0.5gを添加し、室温下で2時間撹拌
の後、0.8μmのフィルターでろ過し、水性インクを
得た。さらに、この水性インク10gにアセトン200
gを添加し、60℃下で2時間撹拌の後、1.0及び
0.1μmのフィルターで順にろ過し、残存する珪藻土
を分離し、水性インク5を作製した。
【0079】(水性インク6の作製)1kgの水性イン
ク1に、活性炭白鷺C(武田薬品工業社製)0.5gを
添加し、室温下で2時間撹拌の後、0.8μmのフィル
ターでろ過し、水性インクを得た。さらに、この水性イ
ンク10gにアセトン200gを添加し、60℃で2時
間撹拌の後、1.0及び0.1μmのフィルターで順に
ろ過し、残存する活性炭を分離し、水性インク6を作製
した。
【0080】(評価)作製した水性インクについて、下
記のようにして吸着剤の含有量、最大粒径及び平均粒径
を測定した。さらに、吐出安定性、停滞安定性の指標と
して着色微粒子の粒径変動及びろ過性を評価した。その
結果を表1に示す。
【0081】〈吸着剤の含有量〉珪藻土については、I
CP法で測定したケイ素原子量を珪藻土に換算して求め
た。
【0082】活性炭については、溶剤除去後の固形分を
300℃で加熱分解した残さから、ICP法で測定した
残さ中のNa、K量をそれぞれの酸化物に換算した質量
を差し引いて求めた。
【0083】〈吸着剤の最大粒径及び平均粒径〉大塚電
子社製のレーザー粒径解析システムを用いて測定した。
【0084】〈吐出安定性〉水性インクを充填したイン
クカートリッジをインクジェットプリンターにセット
し、5分間連続吐出/1分間停止を10回繰り返し、以
下の3段階で評価した。
【0085】 ◎:ノズル欠が0回(許容レベル) ○:ノズル欠が1〜4回(許容レベル) ×:ノズル欠が5回以上(不可レベル) 〈粒径変動〉水性インクを60℃で1週間保管し、動的
光散乱法を利用した大塚電子社製レーザー粒径解析シス
テムを用いて着色微粒子の粒径変動係数を求め、以下の
3段階で評価した。
【0086】 ◎:粒径変動係数が5%未満のもの :粒径変動係数が5〜10%未満のもの(許容レベル) ×:粒径変動係数が10%以上のもの(不可レベル) 水性インクに残存モノマーがあると、残存モノマーが染
料を溶解し粒径が大きい着色微粒子が生成するため、着
色微粒子の粒径変動係数が大きくなる。
【0087】〈ろ過性〉水性インクを60℃で1週間保
管した後に、5mlを採取し0.8μmのセルロースア
セテートメンブランフィルターでろ過を行い、以下の3
段階で評価した。
【0088】 ◎:全量ろ過できたもの ○:半量以上ろ過できたもの(許容レベル) ×:半量未満しかろ過できないもの(不可レベル)
【0089】
【表1】
【0090】表1から明らかなように、特定量範囲の吸
着剤を含有する本発明の着色微粒子分散体を含有する水
性インク3〜6は、停滞安定性(粒径変動、ろ過性)に
優れ、吐出安定性に問題がない優れたインクである。一
方、吸着剤を含有しない、または特定量範囲量より多い
着色微粒子分散体を含有する水性インク1、2は、停滞
安定性、吐出安定性も劣る結果であった。
【0091】
【発明の効果】本発明により、停滞安定性及び吐出安定
性の向上した着色微粒子分散体を含む水性インクを提供
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 FC02 2H086 BA53 BA55 BA59 BA60 BA62 4J039 BA04 BE01 BE02 CA06 EA15 EA16 EA17 EA19 EA20 EA41 EA44

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 色材とポリマーからなる着色微粒子を水
    中に分散させた着色微粒子分散体及び0.1〜50pp
    mの吸着剤を含有することを特徴とする水性インク。
  2. 【請求項2】 吸着剤の最大粒径が1μm以下、かつ平
    均粒径が0.5μm以下であることを特徴とする請求項
    1記載の水性インク。
  3. 【請求項3】 吸着剤が活性炭または吸着用合成樹脂で
    あることを特徴とする請求項1または2記載の水性イン
    ク。
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