JP2004057361A - 中立復帰のヒンジ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】枢支体Aに可撓復元性ばね部材Bにより常には中立位置に復帰する回動体Cを枢支するに当たり、上記可撓復元性ばね部材Bに改良工夫を施すことで、その弾撥復帰力の弱化、すなわち、ばね部材の「ヘタリ」による回動体の中立復帰動作の不安定要素をすべて除去すること。
【解決手段】固定基部8と細長い「U」字状の可撓対向弾片9とを有する可撓復元性ばね部材Bの固定基部8を縦長枢支体Aの下部における片側開放の切欠6内に固定して前記可撓対向弾片9を枢支体Aに横向き突設し、この可撓対向弾片9に回動体Cの中空部13を被せて前記切欠6を挟んだ枢支体上下の各枢軸に回動体Cの枢支孔14を係入することで、回動体Cを枢支体Aに枢支した。
【解決手段】固定基部8と細長い「U」字状の可撓対向弾片9とを有する可撓復元性ばね部材Bの固定基部8を縦長枢支体Aの下部における片側開放の切欠6内に固定して前記可撓対向弾片9を枢支体Aに横向き突設し、この可撓対向弾片9に回動体Cの中空部13を被せて前記切欠6を挟んだ枢支体上下の各枢軸に回動体Cの枢支孔14を係入することで、回動体Cを枢支体Aに枢支した。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ロール紙ホルダにおけるロール紙の芯管受けまたは空心受けとか、前後両開き各種ドアの中立自己閉止用ヒンジ(蝶番)やその他中立復帰部材の蝶番として用いて有用な中立復帰のヒンジ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の中立復帰ヒンジを用いたロール紙ホルダ機構としては、従来、例えば特開平9−215628号公報記載のもの、および特開平10−127525号公報中、図10と図11およびその説明文記載のものが周知である。
【0003】
これらの各従来の技術は、いずれも平面ほぼ「コ」字状または「ヨ」字状のロール紙ホルダにおける複数の側片の各対向面にそれぞれ撓みばねで中立突出復帰するロール紙空心受けを常には対向して設け、これらの空心受け間にその前方からロール紙を差し入れてロール紙をその芯管または空心で上記各空心受けに枢支セットして用いるのであるが、この枢支セット時には、予め内向きに中立対向突出している上記各ロール紙空心受けをその突出弾力に抗してロール紙側面で後方に斜めに押し傾けながらロール紙を後方に動かし、ロール紙芯管または空心の左右開口縁がロール紙空心受け先端に対向したとき、上記左右の各ロール紙空心受けをその内向き中立突出復帰弾力で上記芯管または空心内にそれぞれ突入させることで、ロール紙をロール紙ホルダに対し枢支セットするものである。
なお、上記各従来のロール紙ホルダから空になったロール紙芯管を取り除くには、この芯管を手前に引き出すことで、空の芯管内に弾力的に突入している上記左右の各ロール紙空心受けをその自己突出弾力に抗して前方斜めに傾けながら空になったロール紙芯管をロール紙ホルダから取り除くものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記した二つの各従来例は、いずれも前記のようにロール紙セット時における各ロール紙空心受けの後方斜め傾動と、空の芯管の取り除き時における各ロール紙空心受けの前方斜め傾動との後に、それぞれ各ロール紙空心受けを常にはロール紙ホルダの側片対向面から内向き中立に対向突出復帰させるために、ロール紙ホルダの側片に設けた枢支体に金属線材で作った蔓巻きばね、または可撓復元性プラスチックで一枚板状に成形した板ばね単板二枚を枢支体上下に配設し、その基部をそれぞれ枢支体に対し不動に支持して突設し、これら板ばねの弾性復帰部に係合せたロール紙空心受けを前記のように左右の側片に常には対向するように枢支突設したものである。
【0005】
したがって、これら各従来例は、いずれも左右の各ロール紙空心受けを常には弾力的にロール紙ホルダの側片対向面から内向き中立に対向突出維持するための肝心な可撓復元性ばね部材として、金属線材で作った蔓巻きばね、または可撓復元性プラスチックで一枚板状に成形した板ばね単板二枚を枢支体上下に配設して用いているが、これら可撓復元性ばね部材のうち、金属線材で作った蔓巻きばねは、細い針金を曲げたり巻いたりして複雑な形状に作ってあるので、その製造・管理・運搬・保管・購入・使用のすべての面で扱い辛く不便で面倒であるし、少しの外力でも弾け飛んで紛失し易いという本質的かつ、大きな問題点が有る。
【0006】
また、前記各従来例における「人」字状や「一文字」状の板ばね単板を枢支体上下に配設して用いた例では、これら可撓プラスチック製板ばね単板自体が薄い一枚板であるからその可撓復元弾力はもともと弱い上に、板ばね単板二枚を一枚ずつ枢支体上下に配設して用いているから、各板ばね単板の縦幅をロール紙空心受けの中空内法高さの約半分と幅狭にしなければならず、各板ばね単板の可撓復元弾力がますます弱化するとともに、前記のようにロール紙セット時における各ロール紙空心受けの後方斜め傾動と空の芯管の取り除き時における各ロール紙空心受けの前方斜め傾動の都度、各板ばね単板にその弾撥力に抗して加わる曲げ応力は、各板ばね単板の屈曲部だけに集中して繰り返し加わるため、上記板ばね屈曲部に曲がり癖が付き部分的に機械疲労し易く、その弾撥復帰力が極端に弱くなってしまうという所謂板ばねの「ヘタリ」が生じ、使用途中でロール紙空心受けの対向復帰位置が著しく不安定になってロール紙ホルダとして使い物にならなくなる物も出てくるという本質的かつ、大きな問題点が有る。
【0007】
この発明は、枢支体に可撓復元性ばね部材により常には中立位置に復帰する回動体を枢支するに当たり、上記可撓復元性ばね部材に改良工夫を施すことで、その弾撥復帰力の弱化、すなわち、ばね部材の「ヘタリ」による回動体の中立復帰動作の不安定要素をすべて除去することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記したこの発明の目的は、枢支体に可撓復元性ばね部材により常には中立位置に復帰する回動体を枢支した中立復帰のヒンジ装置構成するに当たり、前記枢支体には、下部枢軸に下鍔と中心穴と二つの対向枢支突片とをそれぞれ形成し、これら各枢支突片に上部枢軸と片側開放の切欠とその反対側に縦溝を形成した縦長の枢支体を用い、また、前記可撓復元性ばね部材には、軟質の可撓復元性プラスチックにより前記枢支体の高さのほぼ半分の縦幅で成形した細長い「U」字状の可撓対向弾片、固定基部、縦孔および後部止片をそれぞれ一体形成した可撓復元性ばね部材を用い、前記可撓対向弾片をその基部で前記切欠内に固定して枢支体に横向き横設し、また前記ばね部材よりも一回り大きい下部開放の中空部と枢支孔とを有する回動体の枢支孔を前記枢支体上下の各枢軸に係入し、前記回動体中空部を前記ばね部材に被せて回動体を枢支体に枢支したことで達成できた。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態例について図面を参照して説明する。
先ず、この発明の基本形態は、図1のようなプラスチック成形による枢支体Aに可撓復元性ばね部材Bにより常には中立位置に復帰する回動体Cを枢支した中立復帰のヒンジ装置を構成するに当たり、前記枢支体Aとして、図2のように下部枢軸1に下鍔2と中心穴3と二つの対向枢支突片4とをそれぞれ形成し、これら各枢支突片4の上下にそれぞれ上部枢軸5と片側開放の切欠6とその反対側に縦溝7を形成した図2のような縦長の枢支体Aを用いる。
【0010】
また、前記可撓復元性ばね部材Bには、ポリエステル・エラストマなど軟質の可撓復元性プラスチックで図2のように、固定基部8および前記枢支体Aの高さのほぼ半分の縦幅で成形した細長い「U」字状の可撓対向弾片9、縦孔10、後部止片11をそれぞれ一体形成した同図2のような可撓復元性ばね部材Bを用い、このばね部材Bの前記固定基部8を図1のようにその縦孔10に通した中軸12により前記枢支体Aの切欠6内でその中心穴3に同図1のように軸止するとともに、前記止片11を同図1のように枢支体縦溝7に係入するなどして、前記ばね部材Bの固定基部8を枢支体Aに対し不動に支持し、ばね部材Bの可撓対向弾片9を同図1のように前記枢支体Aからほぼ直角に横向き突出させておく。
【0011】
さらに回動体Cには、図2のような前記ばね部材Bよりも一回り大きい下部開放の中空部13と枢支孔14とを有するプラスチック成形の例えば前記ロール紙空心受けのような回動体Cを用い、その枢支孔14を図1のように前記枢支体上下の各枢軸5、1に係入するとともに、前記中空部13を同図1のように前記ばね部材Bに被せて回動体Cを枢支体Aに枢支した後、適宜抜け止めを施すことで、本発明による中立復帰のヒンジ装置を構成することができた。
なお、図2のように各枢支突片4の上部に形成した係止鉤片4Aを被取付け体15の係止溝16に各枢支突片4の弾力に抗し「パチン」と係入後、各枢支突片4をその弾力で原状復帰させ、被取付け体15に枢支体Aの上部を図1のように定着することで、被取付け体15に枢支体Aを取着できるとともに、前記回動体Cの抜け止めを施すことができ、また中軸12は、その上端を上記被取付け体15の小孔15Aで支持することで、抜け止めと中心維持とを実行できる。
【0012】
本発明の構成は以上のようなもので、以下その動作例につき説明する。
先ず、前記可撓復元性ばね部材Bの固定基部8に対して図3(a)のように、ほぼ直角に中立突出した原状にある回動体Cを前記細長い「U」字状の可撓対向弾片9の中立突出復帰弾力に抗し、手指などの外力により図3(b)、図3(c)のように固定基部8に対してそれぞれ前後に各別傾動させることで、上記可撓対向弾片9を回動体Cの中空部13内で上記各図のようにそれぞれ前後交互にクネらせながら全体的に撓ませて強い直線化中立突出復帰弾力を蓄えることができ、上記回動体Cの外力解放による傾動解除により、主として前記可撓対向弾片9の固定基部8に対する直線化中立突出復帰弾力で回動体Cを図3(a)のように固定基部8に対してほぼ直角の中立突出状態に原状復帰させることができた。
【0013】
此処で、前記可撓復元性ばね部材Bにおける細長い「U」字状の可撓対向弾片9を固定基部8に対して全体的に「クネリ撓み」変形させた後、中立突出復帰させる場合の上記可撓対向弾片9の動作について、なお詳細に吟味する。
上記可撓対向弾片9をその復帰弾力に抗し、前記回動体Cに加えた外力により固定基部8に対して図3(b)、図3(c)のようにそれぞれクネらせながら前後各別に撓ませたときに、固定基部8付近の各可撓対向弾片9には、それぞれ上記各図のように内外屈曲径差を有する二つの屈曲部9A、9Bが生じるが、これら各屈曲部のうち、内側小径屈曲部9Aの内面が外側大径屈曲部9Bの内面を各図のように外向きに強く押圧して各屈曲部9A、9Bにそれぞれこれら各屈曲部単独固有の中立復帰弾力以上の強い直線化弾撥復帰力を蓄えた状態にある。
【0014】
これと同時に、上記内側小径屈曲部9Bには、前記屈曲径差に基づく余長分が生じて可撓対向弾片9の先細端付近に押し寄せる結果、この先細端付近が上記図3(b)、図3(c)のようにその直線保持弾撥力に抗し部分的に外方に膨らみ、膨出弾撥部9Cを形成することで上記余長分を吸収すると共に、直線化弾撥復帰力を蓄えることになり、細長い「U」字状の可撓対向弾片9全体としては、上記各図のようにそれぞれ交互各別に所謂「クネリ撓み」変形していて、上記二つの直線化弾撥復帰力を蓄えた状態となっている。
その後、回動体Cの外力解放による可撓対向弾片9の傾動解除により、前記各屈曲部9A、9Bの強い直線化復元弾力と上記膨出弾撥部9C固有の直線化弾撥復帰力との和のより一層強い中立突出復元弾力で回動体Cを図3(a)のように固定基部8に対しほぼ直角の中立突出状態に原状復帰させることができた。
【0015】
また、本発明における前記可撓復元性ばね部材Bの細長い「U」字状の可撓対向弾片9は、前記外力とその解除により、それぞれ前後方向の全体的な「クネリ撓み」変形と直線化中立突出復帰という動作を交互に繰り返すことになり、この繰り返し動作の都度、可撓対向弾片9に加わる曲げ応力は全体的に分散し局所的に集中せず、可撓対向弾片9は、上記各図のように全体的に満遍なく交互正逆に変形しながら動くから、前記内外二つの屈曲部9A、9Bや膨出弾撥部9Cにはそれぞれ無理な外力が集中して加わることがなく、したがって上記可撓対向弾片9を全体的にクネらせながら交互各別に撓ませた後、これを直線化中立突出復帰させるという動作を長期に亘り多数回繰り返し実行しても、上記屈曲部9Bには曲がり癖が付かず、可撓対向弾片9の復元弾力に所謂「ヘタリ」が生じない。
【0016】
【実施例】
本発明による被取付け体15として、図4および図5のような平面ほぼ「コ」字状または「ヨ」字状の周知のロール紙ホルダHにおける左右の側片下部hを用いる場合には、これら側片下部に形成した図1のような係止溝に本発明による中立復帰のヒンジ装置における枢支片上部の係止鉤片4Aを枢支片上部の弾力に抗して前記のように「パチン」と係入後、枢支片上部をその弾力で原状復帰させて前記図1、図4および図5のように係止することで、被取付け体15に枢支体Aの上部を極く手易くワンタッチで定着でき、上記本発明による中立復帰のヒンジ装置の上部(枢支体Aの上部)をロール紙ホルダHの側片下部hに同図4および図5のようにロール紙空心受け17とした回動体Cを互いに対向突出させた状態で定着できるとともに、前記回動体Cと中軸12との抜け止めを施して回動体Cをロール紙空心受け17として用いることができる。
【0017】
すなわち、ロール紙ホルダHの側片下部hに対し、上記各図のようにほぼ直角に中立対向突出状態にある上記回動体C(ロール紙空心受け17)間に、その前方からロール紙18を差し入れてこのロール紙をその芯管19または空心で上記各空心受け17に図4から図6までの各図のように枢支セットして用いるのであるが、この枢支セット時には、予め内向きに中立対向突出している上記各ロール紙空心受け17を図7のように前記可撓復元性ばね部材Bの可撓対向弾片9の前述したような中立突出復帰弾力に抗してロール紙側面で後方斜めに押し傾けながらロール紙を後方に動かし、ロール紙芯管19または空心の左右開口縁がロール紙空心受け先端に対向したとき、上記左右の各ロール紙空心受け17をそれぞれ前述したような中立突出復帰弾力で図6のように上記芯管または空心内にそれぞれ突入させることができ、ロール紙18をロール紙ホルダHに対し前記図4および図5のように枢支セットすることができた。
【0018】
なお、上記各ロール紙ホルダから使用済のロール紙芯管19を取り除くには、空の芯管内19に突入している上記左右の各ロール紙空心受け17(回動体C)をその中立突出弾力に抗して図8のように前方斜めに傾けながら空になったロール紙芯管19を手前に引き出すことで、ロール紙ホルダから取り除くことができるとともに、上記各空心受け17(回動体C)は前記のように原状復帰する。
【0019】
また、本発明による中立復帰のヒンジ装置をキャビネットや建造物における前後両開き自己閉止扉やドアのヒンジとして用いるには、本発明による枢支体Aと回動体Cとをそれぞれキャビネットや建造物等の側体と扉やドアとの間に介在させ、適宜の実装手段で取着すればよい。
【0020】
【発明の効果】
本発明は、以上のような形態を採用したので、以下に記載の効果を奏する。
本発明における請求項1から請求項3までの各発明および請求項7の発明によれば、前記可撓復元性ばね部材Bにおける細長い「U」字状の可撓対向弾片9をその中立突出復帰弾力に抗し、前記回動体Cにより固定基部8に対してそれぞれ交互にクネらせながら撓ませたときに、固定基部8付近の各可撓対向弾片9に生じた内外屈曲径差を有する二つの屈曲部9A、9Bのうち、内側小径屈曲部9Aの内面で外側大径屈曲部9Bの内面を外向きに強く押圧して各屈曲部9A、9Bにそれぞれこれら各屈曲部単独固有の中立復帰弾力以上の強い中立突出復元弾力を発生させ得るし、内側小径屈曲部9Aの先端付近には内外屈曲径差に基づく余長分により生じた膨出弾撥部9Cによる復帰弾撥力も発生させることができ、したがって、前記回動体Cの外力解放により、各屈曲部9A、9Bに生じている前記の強い中立突出復帰弾力と上記膨出弾撥部9C固有の直線化弾撥復元弾力との和のさらに強い中立突出復帰弾力で前記「クネリ撓み」変形している細長い「U」字状の可撓対向弾片9と回動体Cとをそれぞれ同時に固定基部8に対しほぼ直角の中立突出状態に原状復帰させることができたという優れた効果が有る。
【0021】
また、前記各発明によれば、前記ばね部材Bの細長い「U」字状の可撓対向弾片9は、前記外力とその解除との繰り返しによる前後方向の全体的な「クネリ撓み」変形と直線化中立突出復帰という繰り返し動作の都度、可撓対向弾片9に加わる曲げ応力は交互に可撓対向弾片9全体に分散し、可撓対向弾片9は全体的に満遍なく交互正逆に変形しながら動くから、その内外二つの屈曲部9A、9Bや膨出弾撥部9Cには、それぞれ無理な外力が集中して加わることはなく、したがって、上記可撓対向弾片9を全体的にクネらせながら交互に撓ませた後、これを直線化中立突出復帰させるという動作を長期に亘り多数回繰り返し実行しても、上記各屈曲部9A、9Bには曲がり癖がつくことはなく、可撓対向弾片9の可撓復元弾力には所謂「ヘタリ」が生じないから、回動体Cを常に確実安定に原状復帰させ得たという優れた効果も有る。
【0022】
本発明における請求項4,請求項5の各発明によれば、前記諸効果に加え、前記枢支片上部の係止鉤片4Aを被取付け体15の係止溝16に枢支片上部の弾力に抗して係入後、枢支片上部をその弾力で原状復帰させて係止することで、被取付け体15に枢支体Aの上部を極く手易くワンタッチで「パチン」と一発定着できるとともに、被取付け体15で前記回動体Cと中軸12との抜け止めを施すこともできたので、枢支体A・可撓復元性ばね部材Bおよび回動体Cの三者組立て状態を安定確実に保持できるという効果を付加できた。
【0023】
本発明による請求項6の発明では、前記諸効果に加え、前記可撓復元性ばね部材Bにポリエステル・エラストマを射出成形したばね部材を用いたので、可撓対向弾片9の可撓復元弾力をより一層安定確実に長期維持できる中立復帰のヒンジ装置を安価に多量製造することができるという効果を付加できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるヒンジ装置の実施形態の一例を示す要部切欠の斜視図
【図2】本発明によるヒンジ装置の組立て前の分解斜視図
【図3】本発明によるヒンジ装置の動作例を示す横断平面図
【図4】本発明によるヒンジ装置を用いたロール紙ホルダの一例を示す斜視図
【図5】本発明によるヒンジ装置を用いたロール紙ホルダの他例を示す斜視図
【図6】図4に示すものの動作例を示す横断平面図
【図7】図6に示すものと状態を異にした横断平面図
【図8】図7に示すものと状態を異にした横断平面図
【符号の説明】
A 枢支体
B 可撓復元性ばね部材
C 回動体
1 枢支体の下部枢軸
2 枢支体の下鍔
3 枢支体の中心穴
4 枢支体の対向枢支突片
4A 枢支片上部の係止鉤片
5 枢支体の上部枢軸
6 枢支体の片側開放の切欠
7 枢支体の縦溝
8 可撓復元性ばね部材の固定基部
9 細長い「U」字状の可撓対向弾片
9A 可撓対向弾片の屈曲部
9B 可撓対向弾片の屈曲部
9C 可撓対向弾片の膨出弾撥部
10 固定基部の縦孔
11 固定基部の後部止片
12 中軸
13 回動体の下部開放中空部
14 回動体の枢支孔
15 被取付け体
16 被取付け体の係止溝
【発明の属する技術分野】
この発明は、ロール紙ホルダにおけるロール紙の芯管受けまたは空心受けとか、前後両開き各種ドアの中立自己閉止用ヒンジ(蝶番)やその他中立復帰部材の蝶番として用いて有用な中立復帰のヒンジ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の中立復帰ヒンジを用いたロール紙ホルダ機構としては、従来、例えば特開平9−215628号公報記載のもの、および特開平10−127525号公報中、図10と図11およびその説明文記載のものが周知である。
【0003】
これらの各従来の技術は、いずれも平面ほぼ「コ」字状または「ヨ」字状のロール紙ホルダにおける複数の側片の各対向面にそれぞれ撓みばねで中立突出復帰するロール紙空心受けを常には対向して設け、これらの空心受け間にその前方からロール紙を差し入れてロール紙をその芯管または空心で上記各空心受けに枢支セットして用いるのであるが、この枢支セット時には、予め内向きに中立対向突出している上記各ロール紙空心受けをその突出弾力に抗してロール紙側面で後方に斜めに押し傾けながらロール紙を後方に動かし、ロール紙芯管または空心の左右開口縁がロール紙空心受け先端に対向したとき、上記左右の各ロール紙空心受けをその内向き中立突出復帰弾力で上記芯管または空心内にそれぞれ突入させることで、ロール紙をロール紙ホルダに対し枢支セットするものである。
なお、上記各従来のロール紙ホルダから空になったロール紙芯管を取り除くには、この芯管を手前に引き出すことで、空の芯管内に弾力的に突入している上記左右の各ロール紙空心受けをその自己突出弾力に抗して前方斜めに傾けながら空になったロール紙芯管をロール紙ホルダから取り除くものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記した二つの各従来例は、いずれも前記のようにロール紙セット時における各ロール紙空心受けの後方斜め傾動と、空の芯管の取り除き時における各ロール紙空心受けの前方斜め傾動との後に、それぞれ各ロール紙空心受けを常にはロール紙ホルダの側片対向面から内向き中立に対向突出復帰させるために、ロール紙ホルダの側片に設けた枢支体に金属線材で作った蔓巻きばね、または可撓復元性プラスチックで一枚板状に成形した板ばね単板二枚を枢支体上下に配設し、その基部をそれぞれ枢支体に対し不動に支持して突設し、これら板ばねの弾性復帰部に係合せたロール紙空心受けを前記のように左右の側片に常には対向するように枢支突設したものである。
【0005】
したがって、これら各従来例は、いずれも左右の各ロール紙空心受けを常には弾力的にロール紙ホルダの側片対向面から内向き中立に対向突出維持するための肝心な可撓復元性ばね部材として、金属線材で作った蔓巻きばね、または可撓復元性プラスチックで一枚板状に成形した板ばね単板二枚を枢支体上下に配設して用いているが、これら可撓復元性ばね部材のうち、金属線材で作った蔓巻きばねは、細い針金を曲げたり巻いたりして複雑な形状に作ってあるので、その製造・管理・運搬・保管・購入・使用のすべての面で扱い辛く不便で面倒であるし、少しの外力でも弾け飛んで紛失し易いという本質的かつ、大きな問題点が有る。
【0006】
また、前記各従来例における「人」字状や「一文字」状の板ばね単板を枢支体上下に配設して用いた例では、これら可撓プラスチック製板ばね単板自体が薄い一枚板であるからその可撓復元弾力はもともと弱い上に、板ばね単板二枚を一枚ずつ枢支体上下に配設して用いているから、各板ばね単板の縦幅をロール紙空心受けの中空内法高さの約半分と幅狭にしなければならず、各板ばね単板の可撓復元弾力がますます弱化するとともに、前記のようにロール紙セット時における各ロール紙空心受けの後方斜め傾動と空の芯管の取り除き時における各ロール紙空心受けの前方斜め傾動の都度、各板ばね単板にその弾撥力に抗して加わる曲げ応力は、各板ばね単板の屈曲部だけに集中して繰り返し加わるため、上記板ばね屈曲部に曲がり癖が付き部分的に機械疲労し易く、その弾撥復帰力が極端に弱くなってしまうという所謂板ばねの「ヘタリ」が生じ、使用途中でロール紙空心受けの対向復帰位置が著しく不安定になってロール紙ホルダとして使い物にならなくなる物も出てくるという本質的かつ、大きな問題点が有る。
【0007】
この発明は、枢支体に可撓復元性ばね部材により常には中立位置に復帰する回動体を枢支するに当たり、上記可撓復元性ばね部材に改良工夫を施すことで、その弾撥復帰力の弱化、すなわち、ばね部材の「ヘタリ」による回動体の中立復帰動作の不安定要素をすべて除去することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記したこの発明の目的は、枢支体に可撓復元性ばね部材により常には中立位置に復帰する回動体を枢支した中立復帰のヒンジ装置構成するに当たり、前記枢支体には、下部枢軸に下鍔と中心穴と二つの対向枢支突片とをそれぞれ形成し、これら各枢支突片に上部枢軸と片側開放の切欠とその反対側に縦溝を形成した縦長の枢支体を用い、また、前記可撓復元性ばね部材には、軟質の可撓復元性プラスチックにより前記枢支体の高さのほぼ半分の縦幅で成形した細長い「U」字状の可撓対向弾片、固定基部、縦孔および後部止片をそれぞれ一体形成した可撓復元性ばね部材を用い、前記可撓対向弾片をその基部で前記切欠内に固定して枢支体に横向き横設し、また前記ばね部材よりも一回り大きい下部開放の中空部と枢支孔とを有する回動体の枢支孔を前記枢支体上下の各枢軸に係入し、前記回動体中空部を前記ばね部材に被せて回動体を枢支体に枢支したことで達成できた。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態例について図面を参照して説明する。
先ず、この発明の基本形態は、図1のようなプラスチック成形による枢支体Aに可撓復元性ばね部材Bにより常には中立位置に復帰する回動体Cを枢支した中立復帰のヒンジ装置を構成するに当たり、前記枢支体Aとして、図2のように下部枢軸1に下鍔2と中心穴3と二つの対向枢支突片4とをそれぞれ形成し、これら各枢支突片4の上下にそれぞれ上部枢軸5と片側開放の切欠6とその反対側に縦溝7を形成した図2のような縦長の枢支体Aを用いる。
【0010】
また、前記可撓復元性ばね部材Bには、ポリエステル・エラストマなど軟質の可撓復元性プラスチックで図2のように、固定基部8および前記枢支体Aの高さのほぼ半分の縦幅で成形した細長い「U」字状の可撓対向弾片9、縦孔10、後部止片11をそれぞれ一体形成した同図2のような可撓復元性ばね部材Bを用い、このばね部材Bの前記固定基部8を図1のようにその縦孔10に通した中軸12により前記枢支体Aの切欠6内でその中心穴3に同図1のように軸止するとともに、前記止片11を同図1のように枢支体縦溝7に係入するなどして、前記ばね部材Bの固定基部8を枢支体Aに対し不動に支持し、ばね部材Bの可撓対向弾片9を同図1のように前記枢支体Aからほぼ直角に横向き突出させておく。
【0011】
さらに回動体Cには、図2のような前記ばね部材Bよりも一回り大きい下部開放の中空部13と枢支孔14とを有するプラスチック成形の例えば前記ロール紙空心受けのような回動体Cを用い、その枢支孔14を図1のように前記枢支体上下の各枢軸5、1に係入するとともに、前記中空部13を同図1のように前記ばね部材Bに被せて回動体Cを枢支体Aに枢支した後、適宜抜け止めを施すことで、本発明による中立復帰のヒンジ装置を構成することができた。
なお、図2のように各枢支突片4の上部に形成した係止鉤片4Aを被取付け体15の係止溝16に各枢支突片4の弾力に抗し「パチン」と係入後、各枢支突片4をその弾力で原状復帰させ、被取付け体15に枢支体Aの上部を図1のように定着することで、被取付け体15に枢支体Aを取着できるとともに、前記回動体Cの抜け止めを施すことができ、また中軸12は、その上端を上記被取付け体15の小孔15Aで支持することで、抜け止めと中心維持とを実行できる。
【0012】
本発明の構成は以上のようなもので、以下その動作例につき説明する。
先ず、前記可撓復元性ばね部材Bの固定基部8に対して図3(a)のように、ほぼ直角に中立突出した原状にある回動体Cを前記細長い「U」字状の可撓対向弾片9の中立突出復帰弾力に抗し、手指などの外力により図3(b)、図3(c)のように固定基部8に対してそれぞれ前後に各別傾動させることで、上記可撓対向弾片9を回動体Cの中空部13内で上記各図のようにそれぞれ前後交互にクネらせながら全体的に撓ませて強い直線化中立突出復帰弾力を蓄えることができ、上記回動体Cの外力解放による傾動解除により、主として前記可撓対向弾片9の固定基部8に対する直線化中立突出復帰弾力で回動体Cを図3(a)のように固定基部8に対してほぼ直角の中立突出状態に原状復帰させることができた。
【0013】
此処で、前記可撓復元性ばね部材Bにおける細長い「U」字状の可撓対向弾片9を固定基部8に対して全体的に「クネリ撓み」変形させた後、中立突出復帰させる場合の上記可撓対向弾片9の動作について、なお詳細に吟味する。
上記可撓対向弾片9をその復帰弾力に抗し、前記回動体Cに加えた外力により固定基部8に対して図3(b)、図3(c)のようにそれぞれクネらせながら前後各別に撓ませたときに、固定基部8付近の各可撓対向弾片9には、それぞれ上記各図のように内外屈曲径差を有する二つの屈曲部9A、9Bが生じるが、これら各屈曲部のうち、内側小径屈曲部9Aの内面が外側大径屈曲部9Bの内面を各図のように外向きに強く押圧して各屈曲部9A、9Bにそれぞれこれら各屈曲部単独固有の中立復帰弾力以上の強い直線化弾撥復帰力を蓄えた状態にある。
【0014】
これと同時に、上記内側小径屈曲部9Bには、前記屈曲径差に基づく余長分が生じて可撓対向弾片9の先細端付近に押し寄せる結果、この先細端付近が上記図3(b)、図3(c)のようにその直線保持弾撥力に抗し部分的に外方に膨らみ、膨出弾撥部9Cを形成することで上記余長分を吸収すると共に、直線化弾撥復帰力を蓄えることになり、細長い「U」字状の可撓対向弾片9全体としては、上記各図のようにそれぞれ交互各別に所謂「クネリ撓み」変形していて、上記二つの直線化弾撥復帰力を蓄えた状態となっている。
その後、回動体Cの外力解放による可撓対向弾片9の傾動解除により、前記各屈曲部9A、9Bの強い直線化復元弾力と上記膨出弾撥部9C固有の直線化弾撥復帰力との和のより一層強い中立突出復元弾力で回動体Cを図3(a)のように固定基部8に対しほぼ直角の中立突出状態に原状復帰させることができた。
【0015】
また、本発明における前記可撓復元性ばね部材Bの細長い「U」字状の可撓対向弾片9は、前記外力とその解除により、それぞれ前後方向の全体的な「クネリ撓み」変形と直線化中立突出復帰という動作を交互に繰り返すことになり、この繰り返し動作の都度、可撓対向弾片9に加わる曲げ応力は全体的に分散し局所的に集中せず、可撓対向弾片9は、上記各図のように全体的に満遍なく交互正逆に変形しながら動くから、前記内外二つの屈曲部9A、9Bや膨出弾撥部9Cにはそれぞれ無理な外力が集中して加わることがなく、したがって上記可撓対向弾片9を全体的にクネらせながら交互各別に撓ませた後、これを直線化中立突出復帰させるという動作を長期に亘り多数回繰り返し実行しても、上記屈曲部9Bには曲がり癖が付かず、可撓対向弾片9の復元弾力に所謂「ヘタリ」が生じない。
【0016】
【実施例】
本発明による被取付け体15として、図4および図5のような平面ほぼ「コ」字状または「ヨ」字状の周知のロール紙ホルダHにおける左右の側片下部hを用いる場合には、これら側片下部に形成した図1のような係止溝に本発明による中立復帰のヒンジ装置における枢支片上部の係止鉤片4Aを枢支片上部の弾力に抗して前記のように「パチン」と係入後、枢支片上部をその弾力で原状復帰させて前記図1、図4および図5のように係止することで、被取付け体15に枢支体Aの上部を極く手易くワンタッチで定着でき、上記本発明による中立復帰のヒンジ装置の上部(枢支体Aの上部)をロール紙ホルダHの側片下部hに同図4および図5のようにロール紙空心受け17とした回動体Cを互いに対向突出させた状態で定着できるとともに、前記回動体Cと中軸12との抜け止めを施して回動体Cをロール紙空心受け17として用いることができる。
【0017】
すなわち、ロール紙ホルダHの側片下部hに対し、上記各図のようにほぼ直角に中立対向突出状態にある上記回動体C(ロール紙空心受け17)間に、その前方からロール紙18を差し入れてこのロール紙をその芯管19または空心で上記各空心受け17に図4から図6までの各図のように枢支セットして用いるのであるが、この枢支セット時には、予め内向きに中立対向突出している上記各ロール紙空心受け17を図7のように前記可撓復元性ばね部材Bの可撓対向弾片9の前述したような中立突出復帰弾力に抗してロール紙側面で後方斜めに押し傾けながらロール紙を後方に動かし、ロール紙芯管19または空心の左右開口縁がロール紙空心受け先端に対向したとき、上記左右の各ロール紙空心受け17をそれぞれ前述したような中立突出復帰弾力で図6のように上記芯管または空心内にそれぞれ突入させることができ、ロール紙18をロール紙ホルダHに対し前記図4および図5のように枢支セットすることができた。
【0018】
なお、上記各ロール紙ホルダから使用済のロール紙芯管19を取り除くには、空の芯管内19に突入している上記左右の各ロール紙空心受け17(回動体C)をその中立突出弾力に抗して図8のように前方斜めに傾けながら空になったロール紙芯管19を手前に引き出すことで、ロール紙ホルダから取り除くことができるとともに、上記各空心受け17(回動体C)は前記のように原状復帰する。
【0019】
また、本発明による中立復帰のヒンジ装置をキャビネットや建造物における前後両開き自己閉止扉やドアのヒンジとして用いるには、本発明による枢支体Aと回動体Cとをそれぞれキャビネットや建造物等の側体と扉やドアとの間に介在させ、適宜の実装手段で取着すればよい。
【0020】
【発明の効果】
本発明は、以上のような形態を採用したので、以下に記載の効果を奏する。
本発明における請求項1から請求項3までの各発明および請求項7の発明によれば、前記可撓復元性ばね部材Bにおける細長い「U」字状の可撓対向弾片9をその中立突出復帰弾力に抗し、前記回動体Cにより固定基部8に対してそれぞれ交互にクネらせながら撓ませたときに、固定基部8付近の各可撓対向弾片9に生じた内外屈曲径差を有する二つの屈曲部9A、9Bのうち、内側小径屈曲部9Aの内面で外側大径屈曲部9Bの内面を外向きに強く押圧して各屈曲部9A、9Bにそれぞれこれら各屈曲部単独固有の中立復帰弾力以上の強い中立突出復元弾力を発生させ得るし、内側小径屈曲部9Aの先端付近には内外屈曲径差に基づく余長分により生じた膨出弾撥部9Cによる復帰弾撥力も発生させることができ、したがって、前記回動体Cの外力解放により、各屈曲部9A、9Bに生じている前記の強い中立突出復帰弾力と上記膨出弾撥部9C固有の直線化弾撥復元弾力との和のさらに強い中立突出復帰弾力で前記「クネリ撓み」変形している細長い「U」字状の可撓対向弾片9と回動体Cとをそれぞれ同時に固定基部8に対しほぼ直角の中立突出状態に原状復帰させることができたという優れた効果が有る。
【0021】
また、前記各発明によれば、前記ばね部材Bの細長い「U」字状の可撓対向弾片9は、前記外力とその解除との繰り返しによる前後方向の全体的な「クネリ撓み」変形と直線化中立突出復帰という繰り返し動作の都度、可撓対向弾片9に加わる曲げ応力は交互に可撓対向弾片9全体に分散し、可撓対向弾片9は全体的に満遍なく交互正逆に変形しながら動くから、その内外二つの屈曲部9A、9Bや膨出弾撥部9Cには、それぞれ無理な外力が集中して加わることはなく、したがって、上記可撓対向弾片9を全体的にクネらせながら交互に撓ませた後、これを直線化中立突出復帰させるという動作を長期に亘り多数回繰り返し実行しても、上記各屈曲部9A、9Bには曲がり癖がつくことはなく、可撓対向弾片9の可撓復元弾力には所謂「ヘタリ」が生じないから、回動体Cを常に確実安定に原状復帰させ得たという優れた効果も有る。
【0022】
本発明における請求項4,請求項5の各発明によれば、前記諸効果に加え、前記枢支片上部の係止鉤片4Aを被取付け体15の係止溝16に枢支片上部の弾力に抗して係入後、枢支片上部をその弾力で原状復帰させて係止することで、被取付け体15に枢支体Aの上部を極く手易くワンタッチで「パチン」と一発定着できるとともに、被取付け体15で前記回動体Cと中軸12との抜け止めを施すこともできたので、枢支体A・可撓復元性ばね部材Bおよび回動体Cの三者組立て状態を安定確実に保持できるという効果を付加できた。
【0023】
本発明による請求項6の発明では、前記諸効果に加え、前記可撓復元性ばね部材Bにポリエステル・エラストマを射出成形したばね部材を用いたので、可撓対向弾片9の可撓復元弾力をより一層安定確実に長期維持できる中立復帰のヒンジ装置を安価に多量製造することができるという効果を付加できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるヒンジ装置の実施形態の一例を示す要部切欠の斜視図
【図2】本発明によるヒンジ装置の組立て前の分解斜視図
【図3】本発明によるヒンジ装置の動作例を示す横断平面図
【図4】本発明によるヒンジ装置を用いたロール紙ホルダの一例を示す斜視図
【図5】本発明によるヒンジ装置を用いたロール紙ホルダの他例を示す斜視図
【図6】図4に示すものの動作例を示す横断平面図
【図7】図6に示すものと状態を異にした横断平面図
【図8】図7に示すものと状態を異にした横断平面図
【符号の説明】
A 枢支体
B 可撓復元性ばね部材
C 回動体
1 枢支体の下部枢軸
2 枢支体の下鍔
3 枢支体の中心穴
4 枢支体の対向枢支突片
4A 枢支片上部の係止鉤片
5 枢支体の上部枢軸
6 枢支体の片側開放の切欠
7 枢支体の縦溝
8 可撓復元性ばね部材の固定基部
9 細長い「U」字状の可撓対向弾片
9A 可撓対向弾片の屈曲部
9B 可撓対向弾片の屈曲部
9C 可撓対向弾片の膨出弾撥部
10 固定基部の縦孔
11 固定基部の後部止片
12 中軸
13 回動体の下部開放中空部
14 回動体の枢支孔
15 被取付け体
16 被取付け体の係止溝
Claims (7)
- 枢支体Aに可撓復元性ばね部材Bにより常には中立位置に復帰する回動体Cを枢支した中立復帰のヒンジ装置において、固定基部8と細長い「U」字状の可撓対向弾片9とを有する可撓復元性ばね部材Bの固定基部8を縦長の枢支体Aにおける片側開放の下部切欠6内に固定して前記可撓対向弾片9を枢支体Aに横向き突設し、この可撓対向弾片9に回動体Cの下部開放中空部13を被せ、前記枢支体に回動体Cの枢支孔14を係入することで、回動体Cを枢支体Aに枢支してなる中立復帰のヒンジ装置。
- 枢支体Aに可撓復元性ばね部材Bにより常には中立位置に復帰する回動体Cを枢支した中立復帰のヒンジ装置において、前記枢支体Aとして、下部枢軸1に下鍔2と中心穴3と二つの対向枢支突片4とをそれぞれ形成し、これら各枢支突片4の上下にそれぞれ上部枢軸5と片側開放の切欠6とその反対側に縦溝7を形成した縦長の枢支体Aを用い、また、前記可撓復元性ばね部材Bには、軟質の可撓復元性プラスチックにより固定基部8および前記枢支体Aの高さのほぼ半分の縦幅で成形した細長い「U」字状の可撓対向弾片9、縦孔10、後部止片11をそれぞれ一体形成した可撓復元性ばね部材Bを用い、このばね部材Bの前記基部9をその縦孔10に通した中軸12により前記枢支体Aの切欠6内でその中心穴3に軸止するとともに、前記止片11を枢支体縦溝7に係入することで、前記ばね部材Bをその基部9で不動に支持して前記枢支体Aに横向き突設し、また回動体Cには、前記ばね部材Bよりも一回り大きい下部開放の中空部13と枢支孔14とを有する回動体Cを用い、その枢支孔14を前記枢支体上下の各枢軸1、5に係入するとともに、前記中空部13を前記ばね部材Bに被せて回動体Cを枢支体Aに枢支してなる中立復帰のヒンジ装置。
- 枢支体Aに可撓復元性ばね部材Bにより常には中立位置に復帰する回動体Cを枢支した中立復帰のヒンジ装置において、前記枢支体Aとして、下部枢軸1に下鍔2と中心穴3と二つの対向枢支突片4とをそれぞれ形成し、これら各枢支突片4の上下にそれぞれ上部枢軸5と片側開放の切欠6とその反対側に縦溝7を形成した縦長の枢支体Aを用い、また、前記可撓復元性ばね部材Bには、軟質の可撓復元性プラスチックにより固定基部8および前記枢支体Aの高さのほぼ半分の縦幅で成形した細長い「U」字状の可撓対向弾片9、縦孔10、後部止片11をそれぞれ一体形成した可撓復元性ばね部材Bを用い、このばね部材Bの前記基部9をその縦孔10に通した中軸12により前記枢支体Aの切欠6内でその中心穴3に軸止するとともに、前記止片11を枢支体縦溝7に係入することで、前記ばね部材Bをその基部9で不動に支持して前記枢支体Aに横向き突設し、また回動体Cには前記ばね部材Bよりも一回り大きい下部開放の中空部13と枢支孔14とを有する回動体Cを用い、その枢支孔14を前記枢支体上下の各枢軸1、5に係入するとともに、前記中空部13を前記ばね部材Bに被せて回動体Cを枢支体Aに枢支することで、回動体Cの外力による傾動により前記可撓復元性ばね部材Bの可撓対向弾片9を回動体Cの中空部13内で全体的に「クネリ撓み」変形させた後、上記回動体Cの傾動解除により、この回動体Cを前記可撓対向弾片9の復元弾力で中立突出復帰可能となした中立復帰のヒンジ装置。
- 枢支体Aに可撓復元性ばね部材Bにより常には中立位置に復帰する回動体Cを枢支した中立復帰のヒンジ装置において、前記枢支体Aとして、下部枢軸1に下鍔2と中心穴3と二つの対向枢支突片4とをそれぞれ形成し、これら各枢支突片4の上下にそれぞれ上部枢軸5と片側開放の切欠6とその反対側に縦溝7を形成した縦長の枢支体Aを用い、また、前記可撓復元性ばね部材Bには、軟質の可撓復元性プラスチックにより固定基部8および前記枢支体Aの高さのほぼ半分の縦幅で成形した細長い「U」字状の可撓対向弾片9、縦孔10、後部止片11をそれぞれ一体形成した可撓復元性ばね部材Bを用い、このばね部材Bの前記基部9をその縦孔10に通した中軸12により前記枢支体Aの切欠6内でその中心穴3に軸止するとともに、前記止片11を枢支体縦溝7に係入することで、前記ばね部材Bをその基部9で不動に支持して前記枢支体Aに横向き突設し、また回動体Cには、前記ばね部材Bよりも一回り大きい下部開放の中空部13と枢支孔14とを有する回動体Cを用い、その枢支孔14を前記枢支体上下の各枢軸1、5に係入するとともに、前記中空部13を前記ばね部材Bに被せて回動体Cを枢支体Aに枢支し、かつ、枢支片上部の係止鉤片4Aを被取付け体15の係止溝16に係入係止することで、被取付け体15に枢支体Aの上部を定着するとともに、前記回動体Cと中軸12との抜け止めを施してなる中立復帰のヒンジ装置。
- 枢支体Aに可撓復元性ばね部材Bにより常には中立位置に復帰する回動体Cを枢支した中立復帰のヒンジ装置において、前記枢支体Aとして、下部枢軸1に下鍔2と中心穴3と二つの対向枢支突片4とをそれぞれ形成し、これら各枢支突片4の上下にそれぞれ上部枢軸5と片側開放の切欠6とその反対側に縦溝7を形成した縦長の枢支体Aを用い、また、前記可撓復元性ばね部材Bには、軟質の可撓復元性プラスチックにより固定基部8および前記枢支体Aの高さのほぼ半分の縦幅で成形した細長い「U」字状の可撓対向弾片9、縦孔10、後部止片11をそれぞれ一体形成した可撓復元性ばね部材Bを用い、このばね部材Bの前記基部9をその縦孔10に通した中軸12により前記枢支体Aの切欠6内でその中心穴3に軸止するとともに、前記止片11を枢支体縦溝7に係入することで、前記ばね部材Bをその基部9で不動に支持して前記枢支体Aに横向き突設し、また回動体Cには、前記ばね部材Bよりも一回り大きい下部開放の中空部13と枢支孔14とを有する回動体Cを用い、その枢支孔14を前記枢支体上下の各枢軸1、5に係入するとともに、前記中空部13を前記ばね部材Bに被せて回動体Cを枢支体Aに枢支することで、前記可撓復元性ばね部材Bの可撓対向弾片9を回動体Cの中空部13内で回動体Cの外力による傾動により全体的に「クネリ撓み」変形させた後、上記回動体Cの傾動解除により、この回動体Cを前記可撓対向弾片9の復元弾力で中立突出復帰可能となし、かつ、枢支片上部の係止鉤片4Aを被取付け体15の係止溝16に係入係止することで、被取付け体15に枢支体Aの上部を定着するとともに、前記回動体Cと中軸12との抜け止めを施してなる中立復帰のヒンジ装置。
- 前記可撓復元性ばね部材Bにポリエステル・エラストマを射出成形したばね部材を用いてなる請求項1から請求項5までのいずれか一つの請求項に記載の中立復帰のヒンジ装置。
- 前記可撓復元性ばね部材Bの可撓対向弾片9をその中立突出復帰弾力に抗し外力で傾動させることで、可撓対向弾片9にそれぞれ屈曲径差を有する二つの屈曲部9A、9Bと一つの膨出弾撥部9Cとを形成して可撓対向弾片9を全体的に「クネリ撓み」変形させた後、この可撓対向弾片9の傾動解除により、上記各屈曲部9A、9B固有の中立突出復帰弾力と膨出弾撥部9C自体の直線化弾撥復帰力との和の中立突出復帰弾力で前記可撓対向弾片9を原状復帰可能となした請求項1から請求項6までのいずれか一つの請求項に記載の中立復帰のヒンジ装置。
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Cited By (1)
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JP2005323805A (ja) * | 2004-05-14 | 2005-11-24 | Kazutaka Kume | ロール紙ホルダ |
-
2002
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JP2005323805A (ja) * | 2004-05-14 | 2005-11-24 | Kazutaka Kume | ロール紙ホルダ |
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