JP2004055113A - 光記録媒体 - Google Patents

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鈴木 栄子
Hajime Yuzurihara
譲原 肇
Koji Deguchi
出口 浩司
Yuji Miura
三浦 裕司
Mikiko Abe
安部 美樹子
Hiroko Tashiro
田代 浩子
Katsuyuki Yamada
山田 勝幸
Shinya Narumi
鳴海 慎也
Takeshi Kibe
木邊 剛
Masashi Taniguchi
谷口 賢史
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Abstract

【課題】DVDの4倍速(14m/s)程度以上の高線速記録においても、10回程度までの繰り返し記録によるジッターの上昇が低減され、繰り返し記録回数に依らず良好な記録再生特性を有する相変化型光記録媒体の提供。
【解決手段】1)レーザー光を照射し記録層の非晶質相と結晶相との可逆的な相変化を利用して記録再生を行う光記録媒体であって、初期結晶化後の未記録状態では、主たる結晶粒界が記録トラック方向に対して20°〜50°の傾きを持つ光記録媒体。
2)6〜15m/sの線速で回転する光記録媒体に初期化用レーザー光を照射することにより初期結晶化されている1)記載の光記録媒体。
3)記録層が、少なくともGe、Sb、Teを含む1)又は2)記載の光記録媒体。
【選択図】    図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、相変化型光記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来技術】
繰り返し記録回数が10回程度までに見られるジッターの増大を生じない光記録媒体、或いは、生じないようにする方法に関する発明として下記特許文献1〜11のものが知られている。しかし、特にDVDの4倍速相当(14m/s)の高速繰り返し記録が可能であるような媒体に対しては、何れも充分な効果が得られない。
・特許文献1:長円形となるように成形した初期化用のビームを、長軸方向を記録トラック方向に対してほぼ直角になるように照射することにより、記録膜の少なくとも一部を一度以上融解して初期化した光記録媒体。
・特許文献2:長円形、長方形、或いは扇形にビーム成形し、長軸方向を記録トラック方向に対してほぼ直角になるように照射することにより、融解後再結晶化させることにより、初期化後の結晶粒の最大幅を0.1μm以上とした光記録媒体。
・特許文献3:as−depo(アズ・デポ)膜を溶融した後急冷することにより非晶質化し、更に低パワーのレーザーを照射することにより結晶化した光記録媒体。
・特許文献4:レーザー光の波長750nm以上850nm以下、対物レンズの開口数0.4以上で、焦点が記録層位置から外れた状態で光照射して初期化した光記録媒体。
【0003】
・特許文献5:ディスクの回転方向に対して直角方向に幅広で、かつ、回転方向に対し2個以上のピークパワーを持つビームを照射して初期化することにより、100回繰り返し記録した後の結晶粒径の平均値に対して、初期化後の結晶粒径の平均値を2倍以内とした光記録媒体。
・特許文献6:初期化後の記録層の結晶粒の最大幅が50〜500nmである光記録媒体。
・特許文献7:市販の初期化装置を用いて初期化した後、更にスペース長が情報信号の最短スペース長以下であるようなマークを記録することにより初期化を行った光記録媒体。
・特許文献8:記録膜が溶融するパワーレベルと結晶化するパワーレベルのレーザー光を交互に照射し、最後に結晶化するパワーレベルのレーザー光を照射した光記録媒体。
・特許文献9:初期化後の結晶粒の最大幅が0.01μm以上0.1μm以下であることを特徴とする初期化方法。
・特許文献10:相変化記録層に隣接して相変化光記録層の結晶粒子サイズを制御する作用を有するシード層を設ける。
・特許文献11:レーザー光のパワー密度P(mW/μm)が1.0≦P≦5.0かつ照射時間T(μsec)が1≦T≦100である初期化方法。
【0004】
また、記録層にGe、Ga又はIn、Sb、Teを含む光記録媒体に関しては特許文献12〜15のような公知例がある。
しかし、特許文献12〜14には、初期結晶化について単に溶融結晶化が望ましい旨が記されているに過ぎず、繰り返し記録初期のジッターの増大を低減することまでは考慮されていない。また、特許文献15には、初期結晶化について全く記載されていない。
【0005】
半導体レーザービーム照射により情報の記録・再生及び消去可能な光記録媒体には、磁化の反転を行い記録消去する光磁気記録方式と、結晶相と非晶質(アモルファス)相の可逆的相変化を利用し記録消去する相変化記録方式がある。
後者は単一ビーム繰り返し記録が可能であり、ドライブ側の光学系もより単純であることを特徴とし、コンピューター関連や映像音響に関する記録媒体として応用されている。
相変化型光記録媒体は、基板上の記録層薄膜にレーザー光を照射することにより記録層を加熱し、記録層構造を結晶相と非晶質相間で相変化させることによりディスク反射率を変えて情報を記録・消去するものである。通常は未記録状態を高反射率の結晶相とし、これに低反射率の非晶質相からなるマークと高反射率の結晶相からなるスペースを形成することにより情報を記録する。記録層、保護層などを成膜して形成された媒体は、更に、大口径レーザービーム照射等により初期結晶化された状態で使用が開始される。
【0006】
相変化型光記録媒体に非晶質マークを記録する方法として、DVD+RWで使用されている方式を図1、2に示した。
レーザーパワーをピークパワーPp、消去パワーPe、バイアスパワーPb(Pp>Pe>Pb)の3値に変調した記録パルス波形を用いる。PpとPbからなるパルス列を照射されると記録層は溶融と急冷を繰り返し非晶質マークが形成される。Peが照射されると記録層は徐冷され、スペースが形成される。
DVD+RWでは、図1中に示したdTtop、Ttop、Tmp、dTeraの4つのパラメータにより記録パルス波形が決められる。Tは基準クロックであり、PpとPbからなるパルス列の先頭と後端の間のパルス列は、マルチパルスと呼ばれ、1T周期で設けられている。ここで、dTtopは先頭パルス開始時間、Ttopは先頭パルスの幅、Tmpはマルチパルス部のピークパワーパルスの幅、Twは基準クロックの幅、dTeraは消去開始時間である。
繰り返し記録する際には、既に記録されているトラックに対し同様に変調されたレーザーを照射することにより、既に記録されているマークを消去しながら新しいマークを所定位置に形成する直接繰り返し記録が可能である。
【0007】
しかし、通常、初期結晶化された状態の記録層に初めて記録する初回記録に対し、繰り返し記録していくと、10回程度まではジッターが大きい状態が続いてしまう傾向がある。10回目以降は数千回、或いは数万回の繰り返し記録により膜質が劣化してしまうまでの間、比較的ジッターが小さい良好な記録ができる。また、相変化型光記録媒体は、今後、高密度画像記録への用途が拡大すると予想され、そのためには高速繰り返し記録を実現する必要がある。しかし、記録線速が高速になるに連れて、繰り返し記録10回程度までのジッターの増大が顕著になってしまう。
前記特許文献1〜11の発明のように、初期結晶化の条件を工夫することにより、このような問題を回避する方法がいくつか提案されている。しかし、特にDVDの4倍速相当(14m/s)の高速繰り返し記録が可能であるような媒体に対しては、何れも充分な効果が得られない。
また、特許文献7〜8の発明は、1トラックずつ処理をする必要があり、生産性に問題がある。
【特許文献1】
特開平9−212918号公報
【特許文献2】
特開平9−312036号公報
【特許文献3】
特開平10−241211号公報
【特許文献4】
特開2001−283477号公報
【特許文献5】
特開平10−112065号公報
【特許文献6】
特開2000−195111号公報
【特許文献7】
特開平10−198959号公報
【特許文献8】
特開平11−144336号公報
【特許文献9】
特開2002−133711号公報
【特許文献10】
特開平10−106027号公報
【特許文献11】
特許第2830336号公報
【特許文献12】
特開2001−56958号公報
【特許文献13】
特開2000−313170号公報
【特許文献14】
特開2000−79761号公報
【特許文献15】
特許第2629717号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、DVDの4倍速(14m/s)程度以上の高線速記録においても、10回程度までの繰り返し記録によるジッターの上昇が低減され、繰り返し記録回数に依らず良好な記録再生特性を有する相変化型光記録媒体の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、次の1)〜19)の発明(以下、本発明1〜19という)によって解決される。
1) レーザー光を照射し記録層の非晶質相と結晶相との可逆的な相変化を利用して記録再生を行う光記録媒体であって、初期結晶化後の未記録状態では、主たる結晶粒界が記録トラック方向に対して20°〜50°の傾きを持つことを特徴とする光記録媒体。
2) 6〜15m/sの線速で回転する光記録媒体に初期化用レーザー光を照射することにより初期結晶化されていることを特徴とする1)記載の光記録媒体。
3) 記録層が、少なくともGe、Sb、Teを含むことを特徴とする1)又は2)記載の光記録媒体。
4) SbとTeの原子比率Sb/(Sb+Te)が、0.65〜0.83であることを特徴とする3)記載の光記録媒体。
5) 記録層中のGeの添加量が、2〜7原子%であることを特徴とする3)又は4)記載の光記録媒体。
6) 記録層が、更にGa又はInを含むことを特徴とする3)〜5)の何れかに記載の光記録媒体。
7) 記録層中のGa又はInの添加量が、1〜7原子%であることを特徴とする6)記載の光記録媒体。
8) 透明基板上に少なくとも下部保護層/記録層/上部保護層/反射層がこの順、或いは逆順に形成され、記録層の膜厚が、8〜22nmであることを特徴とする1)〜7)の何れかに記載の光記録媒体。
9) 下部保護層及び上部保護層が、ZnS又はZrOを60〜90モル%含むことを特徴とする8)記載の光記録媒体。
10) 下部保護層の膜厚が、40〜220nmであることを特徴とする8)又は9)記載の光記録媒体。
11) 上部保護層の膜厚が、2〜20nmであることを特徴とする8)〜10)の何れかに記載の光記録媒体。
12) 反射層は、波長650〜670nmにおける屈折率(n+ik)のnが1以下、kが5以下の金属からなることを特徴とする8)〜11)の何れかに記載の光記録媒体。
13) 反射層の膜厚が、90〜200nmであることを特徴とする8)〜12)記載の光記録媒体。
14) 上部保護層と反射層の間に硫化防止層を設けたことを特徴とする12)又は13)記載の光記録媒体。
15) 硫化防止層が、Si又はSiCを主成分とする材料からなることを特徴とする14)記載の光記録媒体。
16) 硫化防止層の膜厚が3〜22nmであることを特徴とする14)又は15)記載の光記録媒体。
17) 記録層と下部保護層の間及び/又は記録層と上部保護層の間に酸化物からなる界面層が設けられていることを特徴とする8)〜16)の何れかに記載の光記録媒体。
18) 酸化物からなる界面層は、ZrO、TiO、SiO、Al、Taから選ばれる少なくとも1種の酸化物を含むことを特徴とする17)記載の光記録媒体。
19) 酸化物からなる界面層の厚さが、1〜20nmであることを特徴とする17)又は18)記載の光記録媒体。
【0010】
以下、上記本発明について詳しく説明する。
透明基板上に下部保護層、相変化記録層、上部保護層、反射層の順に成膜された光記録媒体は、初期結晶化された状態で使用が開始される。
初期結晶化に際しては、通常、波長790〜820nm程度のレーザーを1×100μm程度の大きさに成形し、回転する光記録媒体に、ビーム形の長軸方向が媒体のトラック方向に対して垂直になるように照射する。
初期結晶化の際に記録層が溶融した場合には、始めに生成した結晶核を起点として結晶成長が進行し、レーザービームの走査方向に細長い結晶粒が成長する。これは、TEM(Transmission Electron Microscopy、透過型電子顕微鏡)観察により確認できる。
【0011】
図3に、従来行っていた初期結晶化工程により生成した初期結晶化後の結晶粒界の様子をTEM観察してスケッチしたものを示す。この図から主たる結晶粒界はほぼトラック方向に平行に存在し、結晶粒はほぼトラック方向に平行に成長していることが分る。
このような状態で、DVD4倍速相当の高線速でランダムパターンの繰り返し記録を行った場合のジッターの変動例を図4に示す。この図から、初回は低いジッターで記録できるが、繰り返し記録をすると急激にジッターが上昇してしまい、その後、10回程度までの繰り返し記録により、次第にジッターが低下して落ち着き、数千回から数万回の繰り返し記録により膜質が劣化して再びジッターが上昇するまでの間は繰り返し記録回数によるジッターの変動は小さいことが分る。このような、繰り返し記録初期に見られるジッターの上昇は、一般的に記録線速が速くなるほど顕著になってしまう傾向がある。
【0012】
本発明者らは、この問題について検討した結果、レーザーの照射条件を制御することにより、結晶粒を、従来のようにトラックにほぼ平行ではなく、20°〜50°の傾きを持つように成長させれば繰り返し記録初期に見られるジッターの上昇が低減できることを見出した。
即ち、従来は3m/s前後の線速でレーザーを照射していたが、記録層の結晶化速度程度の速い線速でレーザーを照射すれば、20°〜50°の傾きを持つように結晶粒を成長させることができる。その際のパワーは、層構成や記録層の種類に応じて、記録層が融点以上となり溶融再結晶が起り得るパワー以上で最適化する。送り幅はビーム径によって最適化する。なお、上記結晶化速度程度の線速とは、通常6〜15m/s程度であるが、記録層の組成によっても変動する。
【0013】
繰り返し記録初期にジッターが上昇する原因は明らかでないが、記録層や保護層等に、結晶の配向性、界面状態の変化等、記録による痕跡が何らかの形で残ることによると考えられる。その痕跡が形成された部分と未形成部分とでは、アモルファス形成過程や再結晶化過程が異なるために、マーク端の位置がずれてしまい、ジッターが上昇してしまう。
繰り返し記録の初期には、その痕跡が形成された部分と未形成部分とが混在している状態にあるが、10回程度繰り返し記録することで痕跡がトラック全体にほぼ均一に形成されるため、記録条件としては場所による依存性がなくなり、ジッターが低下すると考えられる。
トラックに対して20°〜50°の傾きを持つように結晶成長させるような初期結晶化時の熱処理は、ディスク全体に対して均一に記録の痕跡を形成したのと同じ効果を奏するため、繰り返し記録初期のジッター上昇が低く抑えられるものと考えられる。
【0014】
次に、各層の好ましい材料と膜厚範囲について説明する。
記録層はSb−Teのδ相に相当する組成を母相として、Ge、Ga、In、Ag等を添加した材料を用いることが好ましい。Sb−Te二元系は、平衡状態においてSbとTeの原子比率Sb/(Sb+Te)が0.63〜0.83の範囲内にδ相と呼ばれる均一相を形成することが知られている〔G.Ghosh,J.Phase Equilibria,15(3),349−360(1994)〕。おおよそこのδ相を形成する範囲内にある組成比のSb−Teは繰り返し記録特性に優れた材料であり、SbとTeの比を変えることにより、結晶化速度を調整することが可能であり、Sbの比率を高くすると結晶化速度を速くすることができる。
【0015】
本発明者らの実験によれば、Sb/(Sb+Te)は0.65以上であれば、少なくともCDの1倍速の線速(1.2m/s)で記録が可能である。0.65よりも小さいと1.2m/sでも繰り返し記録によるジッターの上昇が大きく、良好な記録を行うことができない。Sbの比率を高くしていくにつれて結晶化速度も速くなり、より高線速で良好な記録が可能になっていく。評価装置等の制約により、どの程度の線速まで良好な記録が可能であるかの上限は確定できていないが、少なくともDVD5倍速(17.5m/s)までは繰り返し記録が可能である。しかし、Sb/(Sb+Te)が0.83を越えると結晶化速度の上昇率が急激になり、非晶質マークの形成が殆んどできなくなってしまう。従って、母相のSb−Teの原子比率Sb/(Sb+Te)は0.65〜0.83とすることが好ましい。
記録速度の上限がDVD4倍速相当(14m/s)である場合には、母相のSb−Teの原子比率Sb/(Sb+Te)は0.74〜0.79とすることにより、適切な結晶化速度の記録層が得られ、良好な記録ができる。
【0016】
しかし、Sb−Teの二元系だけでは非晶質相の安定性が悪く、例えば、70〜80℃程度の高温環境下では50時間以内に非晶質マークが結晶化してしまうという問題がある。そのため非晶質相の安定性を高めることができるような第三元素を1種類以上添加して用いる。
このような第三元素としてはGeが有効であり、少量の添加でも保存信頼性を飛躍的に向上できる。添加量は2原子%以上であれば、非晶質相の安定性を向上させる効果が期待でき、添加量が増える程その効果は高くなるものの、特に結晶化速度が速く、高線速記録に適した記録層の場合、添加量が多すぎると記録感度及び繰り返し記録特性の低下を招くため、多くても7原子%以下とすることが望ましい。
【0017】
更に、Ga又はInを添加すると、結晶化速度を速くし、かつ、結晶化温度を上げることにより保存安定性を向上させることができる。
Geは保存安定性向上に効果的であるが、結晶化速度を遅くしてしまうため、一定の結晶化速度を確保するためにはGeの添加に伴いSb比率を高くする必要がある。しかし、Sb比率が高くなると記録感度が低下する傾向がある。
これに対し、GaやInを添加すれば、Sb比率を高くせずに結晶化速度を速くすることができ、記録感度に優れた記録層とすることができる。
GaやInの添加量は、1原子%より少ないと効果が明確でなく、多すぎると繰り返し記録特性及び再生光安定性が低下してしまうため、7原子%以下とすることが望ましい。
【0018】
以上のように、少なくともGe、Ga又はIn、Sb、Teを適切に組み合わせて用いることにより、DVD4倍速相当の高線速記録においても、繰り返し記録特性、記録感度、保存安定性に優れた相変化記録層を形成することができる。この他に、結晶化速度の調整等の目的で、Ag、Bi、C、Ca、Cr、Cu、Dy、Mg、Mn、Se、Si、Sn等を添加しても良い。
記録層の膜厚は、8nmより薄いと変調度が小さく、また、再生光安定性も低下してしまうため8nm以上が好ましく、22nmより厚いと繰り返し記録によるジッターの上昇が大きいため、22nm以下が好ましい。より好ましくは10〜16nmとすることにより、特に繰り返し記録耐久性が向上する。
【0019】
保護層は、溶融凝固を繰り返す記録層が流動等により膜厚が変化したり、或いは何らかの反応により膜質が変化したりしないようにするという記録層を保護する役割の他に、記録層が吸収した熱を反射層や基板へ逃がす時間を遅らせて記録層の温度を高める役割や光学的特性を調整する役割を担う。従って、耐熱性があり、熱伝導率が低いという性質が求められる。
また、記録層の吸収率をより高くして光を効率よく利用するためには、吸収率kは0に近い方が良く、屈折率nは大きい方が良い。このような性質を持つ材料としては種々の酸化膜、窒化膜、硫化膜などが提案されているが、本発明者らが検討した結果に依れば、ZnS又はZrOを主成分とし、これにSiO、TiO等の酸化物を混合した膜を用いた場合に、感度が良好で繰り返し記録特性に優れた媒体が得られた。
【0020】
ZnSやZrOは優れた耐熱性材料であり、熱伝導率が低く、また、屈折率nが比較的大きく波長660nm近傍においてはn=2.2程度の値を持つという、相変化記録媒体の保護層として必要な性質を兼ね備えている。
但し、単独で使用すると初期結晶化や繰り返し記録時の熱によって結晶性の膜に変化し、非晶質マークの保存安定性に悪影響を及ぼす恐れがあるため、SiO、TiO等、保護膜の結晶化を阻害するような材料を混合して用いる。
ZnS又はZrOの保護膜としても特性を損なわないようにするためには、ZnS又はZrOを60モル%以上含むことが好ましく、結晶化防止という観点からは、SiO、TiO等を10モル%以上混合することが好ましい。
【0021】
下部保護層の膜厚は、好ましくは40〜220nm、より好ましくは、40〜80nmとする。これは、主として反射率から決定される値である。この範囲内で、十分な反射率と記録感度を両立できる膜厚を選ぶ。40nmよりも薄い場合には耐熱性が悪く、基板へ与えるダメージが大きくなってしまい、繰り返し記録によるジッター上昇が大きくなってしまう。220nmよりも厚いと膜剥がれや基板のそり等の弊害を生じてしまう。
上部保護層の膜厚は、好ましくは2〜20nm、より好ましくは8〜14nmとする。これは主として熱伝導から決定される値である。上部保護層の上に更に反射層が設けられているため、記録層で吸収された熱は上部保護層を通じて反射層へ拡散して冷却される。従って、薄すぎると熱拡散が速すぎて記録層は充分昇温されず記録感度が低下してしまう。厚すぎると冷却速度が不足するため非晶質マークが形成され難くなる。
【0022】
反射層としては従来Alを主成分とした合金が使用されている。Alは反射率が高く、熱伝導率も高いことに加え、ディスク化した場合の経時安定性にも優れている。しかし、記録層材料の結晶化速度が速い場合には、反射層として従来からよく使用されているAl合金を用いると、記録マークが細くなり易く、十分な変調度を有する記録を行うことは困難な場合があった。その理由としては、結晶化速度が速いと記録時に溶融領域の再結晶化領域が大きくなってしまい、形成される非晶質領域が小さくなってしまうことが挙げられる。
再結晶化領域を小さくするためには上部保護層を薄くして急冷構造とすればよいが、単純に上部保護層を薄くしただけでは、記録層が十分に昇温されず、溶融領域が小さくなってしまうため、再結晶化領域を小さくできたとしても、結局、形成される非晶質領域は小さくなってしまう。しかし、波長650〜670nmにおける屈折率(n+ik)のnが1以下、kが5以下と、n、kが共にAlより小さい金属を反射層に用いると、記録層の吸収率は向上し、変調度も大きくすることができる。nが1以下、kが5以下であるような金属としてはAu、Ag、Cu及びそれらを主成分とした合金が挙げられる。ここで、主成分とするとは、90原子%以上含有することを意味し、好ましくは95原子%以上である。
【0023】
これらの純金属からなるスパッタ膜のλ=660nmにおける屈折率の実測値、及び、熱伝導率の文献値(バルク)の値を表1に示す。
【表1】
Figure 2004055113
【0024】
表1からAu、Ag、Cuは何れもn、kが小さいだけでなく、熱伝導率が高いことが分る。従って、これらを反射層として用いると、記録層の光吸収率を向上させ、それにより、記録層の温度を上昇させて溶融領域を大きくする効果があるのと同時に、冷却速度も向上させるため冷却時の再結晶化領域が小さくなり、Al合金を用いた場合よりも大きな非晶質領域を形成することが可能になる。
記録マークの変調度は光学的な変調度とマークの大きさによって決まり、光学的な変調度が大きくマークが大きい程大きくなる。従って、記録層に結晶化速度が速い材料を用いて高線速記録を行う場合でも、上記反射層を用いれば、吸収率が大きく冷却速度が速いことから大きな記録マークが形成でき、変調度の大きい記録が可能になる。
【0025】
反射層の膜厚は、90nm以上であれば透過光が殆どなくなり、光を効率的に利用できるので、90nm以上とすることが望ましい。膜厚が厚い程、冷却速度が速くなり、結晶化速度の速い記録層を使用する場合には有利であるが、200nm以下で冷却速度は飽和し、200nmより厚くしても記録特性に変化がなく成膜に時間がかかるだけなので、200nm以下とすることが好ましい。
Au、Ag、Cu、及びそれらを主成分とする合金の中でも、特に、Ag及びAg合金は比較的安価であり、また、同様に安価なCu及びCu合金に比べて酸化し難いため、経時安定性に優れた媒体を形成することができ、反射層材料として好ましい。但し、硫化には弱いため、上部保護層にZnSとSiOの混合物のようなSを含む材料を用いる場合には、硫化防止層が必要となる。
【0026】
本発明者らは、種々の酸化膜や窒化膜等を硫化防止層として形成し、記録特性や保存信頼性の評価を行ったところ、SiC、Si、又はそれらの何れかを主成分とする材料が優れた機能を持つことが分った。ここで、主成分とするとは、材料中にSiC又はSiを90モル%以上含有することを意味し、好ましくは95モル%以上である。
硫化防止層の膜厚は3〜22nmとすることが好ましい。3nm以上あれば、スパッタにより形成された膜がほぼ均一になるので硫化防止機能を発揮するが、これよりも薄いと部分的に膜の欠陥を生じる確率が急に高くなってしまう。また、22nmを超えると膜厚の増加と共に反射率が低下してしまうし、成膜速度は大きく見積もっても記録層と同程度であるため、記録層よりも膜厚が厚いと生産効率が落ちてしまうことから、最大でも記録層の膜厚を超えないようにすることが望ましく、結局好ましい上限は22nmとなる。
【0027】
また、記録層と下部保護層の間及び/又は記録層と上部保護層の間に酸化物からなる界面層を設けると更に繰り返し記録初期に見られるジッターを低減することができる。数千回から数万回の繰り返し記録によって生じる膜質劣化によるジッター上昇を低減する効果もある。界面層に用いる材料として特に好ましいのは、ZrO、TiO、SiO、Al、Taを主成分とするもの、或いは、それらの混合物である。ここで、主成分とは40モル%以上含まれていることを指す。酸化物からなる界面層の役割は明らかでないが、核形成促進効果等、何らかの結晶成長促進効果によると推測している。
酸化物からなる界面層の厚さは、1nmより薄いと効果が明確でないため、1nm以上とする。通常は2〜5nm程度あれば充分な効果が得られる。これより厚くても効果は得られるが、一般的に酸化物の成膜速度は遅く生産効率が落ちてしまうため、厚くとも20nm以下とすることが望ましい。
【0028】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
なお、何れの実施例及び比較例についても、直径12cm、厚さ0.6mm、トラックピッチ0.74μmの案内溝付きポリカーボネートディスク基板上に各層をスパッタにより成膜し、更に、スピンコートにより形成された有機保護膜を介して直径12cm、厚さ0.6mmのポリカーボネートディスクを接着したものに対し、初期結晶化を行って試料として用いた。
記録再生は、基板側からNA0.65、波長656nmのピックアップヘッドによりレーザー光を照射して行った。
【0029】
実施例1〜2、比較例1
基板上に、下部保護層として(ZnS)80モル%(SiO)20モル%を厚さ65nm、記録層としてGe2.9Ga2.9Sb74.2Te20を厚さ17nm、上部保護層として(ZnS)80モル%(SiO)20モル%を厚さ8nm、硫化防止層としてSiを厚さ4nm、反射層としてAgを厚さ140nm、この順に積層して作成した光ディスクを、下記表2に示す条件で初期結晶化し評価した。
結晶粒界をTEMにより観察しスケッチしたところ、実施例1〜2の場合は、図5に示したようにトラック方向に対して20〜50°の傾きを持っていた。
これに対し、比較例1の場合は図3に類似しており、トラックに対してほぼ平行であった。
上記の初期結晶化された光ディスクに対し、線速17.5m/s、Pp=19mW、Pe=6mW、Pb=0.1mW、線密度0.267μm/bit、EFM+変調方式でランダムパターンを繰り返し記録した場合のジッター(datato clock jitter=データ・ツー・クロックジッター、クロストーク有り)の変化の様子を図6に示した。
図6から、比較例1では繰り返し記録初期のジッター上昇が大きいが、実施例1〜2のように初期化すれば、このような上昇を低く抑えられることが分る。
なお、上記光ディスクを70℃85%RH環境下に1000時間保存した後、記録済みのマークを再生したところ、何れの場合もジッター、変調度共に殆んど変化はなく、良好な保存特性を示した。
【表2】
Figure 2004055113
【0030】
実施例3〜4、比較例2
上部保護層として(ZrO−3モル%Y)80モル%(TiO)20モル%を厚さ14nm形成し、硫化防止層を設けなかった点以外は実施例1〜2の場合と全く同様にして光ディスクを作成し、下記表3に示す条件で初期結晶化し評価した。
結晶粒界をTEMにより観察したところ、実施例3〜4の場合は図5に類似でトラック方向に対して20〜50°の傾きを持っていた。これに対し、比較例2の場合は図3に類似しており、トラックに対してほぼ平行であった。
上記の初期結晶化された光ディスクに対し、線速17.5m/s、Pp=19mW、Pe=6.0mW、Pb=0.1mW、線密度0.267μm/bit、EFM+変調方式でランダムパターンを繰り返し記録した場合のジッター(data to clock jitter、クロストーク有り)の変化の様子を、図7に示した。
図7から、比較例2では繰り返し記録初期のジッター上昇が大きく、上部保護層として(ZnS)80モル%(SiO)20モル%を用いた比較例1と比較しても非常に大きいことが分るが、これは、(ZrO−3モル%Y)80モル%(TiO)20モル%を用いると、(ZnS)80モル%(SiO)20モル%を用いた場合に比べて、記録時の痕跡が形成された領域と未形成の領域との差が非常に大きくなってしまうためと考えられる。
しかし、この場合でも、実施例3〜4のように初期化することにより、繰り返し記録初期のジッター上昇を低く抑えることができた。
なお、上記光ディスクを70℃85%RH環境下に1000時間保存した後、記録済みのマークを再生したところ、何れの場合もジッター、変調度共に殆んど変化はなく、良好な保存特性を示した。
【表3】
Figure 2004055113
【0031】
実施例5〜6、比較例3
基板上に、下部保護層として(ZnS)80モル%(SiO)20モル%を厚さ70nm、記録層としてGe3.0Ga2.9Sb77.3Te16.8を厚さ17nm、上部保護層として(ZrO−3モル%Y)80モル%(TiO)20モル%を厚さ14nm、反射層としてAgを厚さ140nm、この順に積層して作成した光ディスクを、下記表4に示す条件で初期結晶化し評価した。
結晶粒界をTEMにより観察したところ、実施例5〜6の場合は図5に類似しており、トラック方向に対して20〜50°の傾きを持っていた。これに対し、比較例3では図3に類似しており、トラックに対してほぼ平行であった。
上記の初期結晶化された光ディスクに対し、線速17.5m/s、Pp=21mW、Pe=6.0mW、Pb=0.1mW、線密度0.267μm/bit、EFM+変調方式でランダムパターンを繰り返し記録した場合のジッター(data to clock jitter、クロストーク有り)の変化の様子を、図8に示した。
図8から、比較例3では繰り返し記録初期のジッター上昇が大きいが、実施例5〜6のように初期化することにより、このような上昇を低く抑えられることが分る。更に、繰り返し記録100回、1000回のジッターも比較例に比べて小さく、全体的に良好な記録を行えるようになった。
なお、上記光ディスクを70℃85%RH環境下に1000時間保存した後、記録済みのマークを再生したところ、何れの場合もジッター、変調度共に殆んど変化はなく、良好な保存特性を示した。
【表4】
Figure 2004055113
【0032】
実施例7〜8、比較例4
基板上に、下部保護層として(ZnS)80モル%(SiO)20モル%を厚さ65nm、記録層としてGe4.9Sb77.3Te17.8を厚さ16nm、上部保護層として(ZnS)80モル%(SiO)20モル%を厚さ10nm、硫化防止層としてSiを厚さ4nm、反射層としてAgを厚さ140nm、この順に積層して作成した光ディスクを、下記表5に示す条件で初期結晶化し評価した。
結晶粒界をTEMにより観察したところ、実施例7〜8の場合は、図5に類似しており、トラック方向に対して20〜50°の傾きを持っていた。これに対し、比較例4では図3に類似しており、トラックに対してほぼ平行であった。
上記の初期結晶化された光ディスクに対し、線速17.5m/s、Pp=19mW、Pe=6mW、Pb=0.1mW、線密度0.267μm/bit、EFM+変調方式でランダムパターンを繰り返し記録した場合のジッター(datato clock jitter、クロストーク有り)の変化の様子を図9に示した。
図9から、比較例4では繰り返し記録初期のジッター上昇が大きいが、実施例7〜8のように初期化することにより、このような上昇を低く抑えられることが分る。
なお、上記光ディスクを70℃85%RH環境下に1000時間保存した後、記録済みのマークを再生したところ、何れの場合もジッター、変調度共に殆んど変化はなく、良好な保存特性を示した。
【表5】
Figure 2004055113
【0033】
実施例9〜10、比較例5
基板上に、下部保護層として(ZnS)80モル%(SiO)20モル%を厚さ65nm、記録層としてGe3.8Sb75.7Te20.5を厚さ16nm、上部保護層として(ZnS)80モル%(SiO)20モル%を厚さ10nm、硫化防止層としてSiを厚さ4nm、反射層としてAgを厚さ140nm、この順に積層して作成した光ディスクを、下記表6に示す条件で初期結晶化し評価した。
結晶粒界をTEMにより観察したところ、実施例9〜10の場合は図5に類似しており、トラック方向に対して20〜50°の傾きを持っていた。これに対し、比較例4では図3に類似しており、トラックに対してほぼ平行であった。
上記の初期結晶化された光ディスクに対し、線速14.0m/s、Pp=17mW、Pe=5.5mW、Pb=0.1mW、線密度0.267μm/bit、EFM+変調方式でランダムパターンを繰り返し記録した場合のジッター(data to clock jitter、クロストーク有り)の変化の様子を、図10に示した。
図10から、比較例5では繰り返し記録初期のジッター上昇が大きいが、実施例9〜10のように初期化することにより、このような上昇を低く抑えられることが分る。
なお、上記光ディスクを70℃85%RH環境下に1000時間保存した後、記録済みのマークを再生したところ、何れの場合もジッター、変調度共に殆んど変化はなく、良好な保存特性を示した。
【表6】
Figure 2004055113
【0034】
実施例11〜12、比較例6
上部保護層として(ZrO−3モル%Y)80モル%(TiO)20モル%を厚さ14nm形成し、硫化防止層を設けなかった点以外は実施例7〜8の場合と全く同様にして光ディスクを作成し、下記表7に示す条件で初期結晶化し評価した。
結晶粒界をTEMにより観察したところ、実施例11〜12の場合は図5に類似しており、トラック方向に対して20〜50°の傾きを持っていた。これに対し、比較例6では図3に類似しており、トラックに対してほぼ平行であった。
上記の初期結晶化された光ディスクに対し、線速17.5m/s、Pp=19mW、Pe=6.0mW、Pb=0.1mW、線密度0.267μm/bit、EFM+変調方式でランダムパターンを繰り返し記録した場合のジッター(data to clock jitter、クロストーク有り)の変化の様子を、図11に示した。
図11から、比較例6では繰り返し記録初期のジッター上昇が大きく、上部保護層として(ZnS)80モル%(SiO)20モル%を用いた比較例4と比較しても非常に大きいが、これは、(ZrO−3モル%Y)80モル%(TiO)20モル%を用いると、(ZnS)80モル%(SiO)20モル%を用いた場合に比べて、記録時の痕跡が形成された領域と未形成の領域との差が非常に大きくなってしまうためと考えられる。
しかし、この場合でも、実施例11〜12のように初期化することにより、繰り返し記録初期のジッター上昇を低く抑えることができた。
なお、上記光ディスクを70℃85%RH環境下に1000時間保存した後、記録済みのマークを再生したところ、何れの場合もジッター、変調度共に殆んど変化はなく、良好な保存特性を示した。
【表7】
Figure 2004055113
【0035】
実施例13〜14、比較例7
基板上に、下部保護層として(ZnS)80モル%(SiO)20モル%を厚さ58nm、記録層としてAg0.2In3.5Ge3.5Sb71.4Te21.4を厚さ11nm、上部保護層として(ZnS)80モル%(SiO)20モル%を厚さ11nm、硫化防止層としてSiCを厚さ4nm、反射層としてAgを厚さ140nm、この順に積層して作成した光ディスクを、下記表8に示す条件で初期結晶化し評価した。
結晶粒界をTEMにより観察したところ、実施例13〜14の場合は図5に類似しており、トラック方向に対して20〜50°の傾きを持っていた。これに対し、比較例2の場合は図3に類似しておりトラックに対してほぼ平行であった。上記の初期結晶化された光ディスクに対し、線速14m/s、Pp=18mW、Pe=5.6mW、Pb=0.1mW、線密度0.267μm/bit、EFM+変調方式でランダムパターンを繰り返し記録した場合のジッター(datato clock jitter、クロストーク有り)の変化の様子を図12に示した。
図12から、比較例7では繰り返し記録初期のジッター上昇が大きいが、実施例13〜14のように初期化すれば、このような上昇を低く抑えられることが分る。
なお、上記光ディスクを70℃85%RH環境下に1000時間保存した後、記録済みのマークを再生したところ、何れの場合もジッター、変調度共に殆んど変化はなく、良好な保存特性を示した。
【表8】
Figure 2004055113
【0036】
実施例15〜16、比較例8
基板上に、下部保護層として(ZnS)80モル%(SiO)20モル%を厚さ55nm、界面層として(ZrO−3モル%Y)80モル%(TiO)20モル%を厚さ3nm、記録層としてAg0.2In3.5Ge3.5Sb71.4Te21.4を厚さ11nm、上部保護層として(ZnS)80モル%(SiO)20モル%を厚さ11nm、硫化防止層としてSiCを厚さ4nm、反射層としてAgを厚さ140nm、この順に積層して作成した光ディスクを、下記表9に示す条件で初期結晶化し評価した。
結晶粒界をTEMにより観察したところ、実施例15〜16の場合は図5に類似でトラック方向に対して20〜50°の傾きを持っていた。これに対し、比較例8の場合は図3に類似しておりトラックに対してほぼ平行であった。
上記の初期結晶化された光ディスクに対し、線速14m/s、Pp=18mW、Pe=5.6mW、Pb=0.1mW、線密度0.267μm/bit、EFM+変調方式でランダムパターンを繰り返し記録した場合のジッター(datato clock jitter、クロストーク有り)の変化の様子を図13に示した。
図13から、比較例8では繰り返し記録初期のジッター上昇が大きいが、実施例15〜16のように初期化すれば、このような上昇を低く抑えられることが分る。
なお、上記光ディスクを70℃85%RH環境下に1000時間保存した後、記録済みのマークを再生したところ、何れの場合もジッター、変調度共に殆んど変化はなく、良好な保存特性を示した。
【表9】
Figure 2004055113
【0037】
実施例17、比較例9
基板上に、下部保護層として(ZnS)80モル%(SiO)20モル%を厚さ55nm、界面層としてSiOを厚さ3nm、記録層としてAg0.2In3.5Ge3.5Sb71.4Te21.4を厚さ11nm、上部保護層として(ZnS)80モル%(SiO)20モル%を厚さ11nm、硫化防止層としてSiCを厚さ4nm、反射層としてAgを厚さ140nm、この順に積層して作成した光ディスクを、下記表10に示す条件で初期結晶化し評価した。
結晶粒界をTEMにより観察したところ、実施例17の場合は図5に類似しておりトラック方向に対して20〜50°の傾きを持っていた。これに対し、比較例9の場合は図3に類似しておりトラックに対してほぼ平行であった。
上記の初期結晶化された光ディスクに対し、線速14m/s、Pp=18mW、Pe=5.6mW、Pb=0.1mW、線密度0.267μm/bit、EFM+変調方式でランダムパターンを繰り返し記録した場合のジッター(datato clock jitter、クロストーク有り)の変化の様子を図14に示した。
図14から、比較例9では繰り返し記録初期のジッター上昇が大きいが、実施例17のように初期化すれば、このような上昇を低く抑えられることが分る。
なお、上記光ディスクを70℃85%RH環境下に1000時間保存した後、記録済みのマークを再生したところ、何れの場合もジッター、変調度共に殆んど変化はなく、良好な保存特性を示した。
【表10】
Figure 2004055113
【0038】
実施例18、比較例10
基板上に、下部保護層として(ZnS)80モル%(SiO)20モル%を厚さ55nm、界面層としてAlを厚さ3nm、記録層としてAg0.2In3.5Ge3.5Sb71.4Te21.4を厚さ11nm、上部保護層として(ZnS)80モル%(SiO)20モル%を厚さ11nm、硫化防止層としてSiCを厚さ4nm、反射層としてAgを厚さ140nm、この順に積層して作成した光ディスクを、上記表10に示す条件で初期結晶化し評価した。
結晶粒界をTEMにより観察したところ、実施例18の場合は図5に類似しておりトラック方向に対して20〜50°の傾きを持っていた。これに対し、比較例10の場合は図3に類似しておりトラックに対してほぼ平行であった。
上記の初期結晶化された光ディスクに対し、線速14m/s、Pp=18mW、Pe=5.6mW、Pb=0.1mW、線密度0.267μm/bit、EFM+変調方式でランダムパターンを繰り返し記録した場合のジッター(datato clock jitter、クロストーク有り)の変化の様子を図15に示した。
図15から、比較例10では繰り返し記録初期のジッター上昇が大きいが、実施例18のように初期化すれば、このような上昇を低く抑えられることが分る。なお、上記光ディスクを70℃85%RH環境下に1000時間保存した後、記録済みのマークを再生したところ、何れの場合もジッター、変調度共に殆んど変化はなく、良好な保存特性を示した。
【0039】
実施例19、比較例11
基板上に、下部保護層として(ZnS)80モル%(SiO)20モル%を厚さ55nm、界面層としてTaを厚さ3nm、記録層としてAg0.2In3.5Ge3.5Sb71.4Te21.4を厚さ11nm、上部保護層として(ZnS)80モル%(SiO)20モル%を厚さ11nm、硫化防止層としてSiCを厚さ4nm、反射層としてAgを厚さ140nm、この順に積層して作成した光ディスクを、上記表10に示す条件で初期結晶化し評価した。
結晶粒界をTEMにより観察したところ、実施例19の場合は図5に類似しておりトラック方向に対して20〜50°の傾きを持っていた。これに対し、比較例11の場合は図3に類似しておりトラックに対してほぼ平行であった。
上記の初期結晶化された光ディスクに対し、線速14m/s、Pp=18mW、Pe=5.6mW、Pb=0.1mW、線密度0.267μm/bit、EFM+変調方式でランダムパターンを繰り返し記録した場合のジッター(datato clock jitter、クロストーク有り)の変化の様子を図16に示した。
図16から、比較例11では繰り返し記録初期のジッター上昇が大きいが、実施例19のように初期化すれば、このような上昇を低く抑えられることが分る。なお、上記光ディスクを70℃85%RH環境下に1000時間保存した後、記録済みのマークを再生したところ、何れの場合もジッター、変調度共に殆んど変化はなく、良好な保存特性を示した。
【0040】
【発明の効果】
本発明1〜19によれば、少なくともCDの1倍速(1.2m/s)〜DVDの5倍速(17.5m/s)まで繰り返し記録が可能であり、DVDの4倍速(14m/s)程度以上の高線速記録においても、10回程度までの繰り返し記録によるジッターの上昇が低減され、繰り返し記録回数に依らず、記録感度、変調度、再生光安定性、光の利用効率の高い、良好な記録再生特性を有する相変化型光記録媒体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】相変化型光記録媒体に非晶質マークを記録する方法として、通常使用されている方式を示す図。
【図2】相変化型光記録媒体に非晶質マークを記録する方法として、通常使用されている方式を示す図。
【図3】従来行っていた初期結晶化工程により生成した初期結晶化後の結晶粒界の様子をTEM観察してスケッチしたものを示す図。
【図4】図3のような状態で、DVD4倍速相当の高線速で繰り返し記録を行った場合のジッターの変動例を示す図。
【図5】実施例1〜2の光ディスクについて初期結晶化後の記録層の結晶粒界をTEM観察しスケッチしたものを示す図。
【図6】実施例1〜2及び比較例1の初期結晶化された光ディスクに対し、ランダムパターンを繰り返し記録した場合のジッターの変化の様子を示す図。
【図7】実施例3〜4及び比較例2の初期結晶化された光ディスクに対し、ランダムパターンを繰り返し記録した場合のジッターの変化の様子を示す図。
【図8】実施例5〜6及び比較例3の初期結晶化された光ディスクに対し、ランダムパターンを繰り返し記録した場合のジッターの変化の様子を示す図。
【図9】実施例7〜8及び比較例4の初期結晶化された光ディスクに対し、ランダムパターンを繰り返し記録した場合のジッターの変化の様子を示す図。
【図10】実施例9〜10及び比較例5の初期結晶化された光ディスクに対し、ランダムパターンを繰り返し記録した場合のジッターの変化の様子を示す図。
【図11】実施例11〜12及び比較例6の初期結晶化された光ディスクに対し、ランダムパターンを繰り返し記録した場合のジッターの変化の様子を示す図。
【図12】実施例13〜14及び比較例7の初期結晶化された光ディスクに対し、ランダムパターンを繰り返し記録した場合のジッターの変化の様子を示す図。
【図13】実施例15〜16及び比較例8の初期結晶化された光ディスクに対し、ランダムパターンを繰り返し記録した場合のジッターの変化の様子を示す図。
【図14】実施例17及び比較例9の初期結晶化された光ディスクに対し、ランダムパターンを繰り返し記録した場合のジッターの変化の様子を示す図。
【図15】実施例18及び比較例10の期結晶化された光ディスクに対し、ランダムパターンを繰り返し記録した場合のジッターの変化の様子を示す図。
【図16】実施例19及び比較例11の初期結晶化された光ディスクに対し、ランダムパターンを繰り返し記録した場合のジッターの変化の様子を示す図。
【符号の説明】
Tw 基準クロックの幅
Pp ピークパワー
Pe 消去パワー
Pb バイアスパワー
Ttop 先頭パルスの幅
dTtop 先頭パルス開始時間
Tmp マルチパルス部のピークパワーパルスの幅
dTera 消去開始時間

Claims (19)

  1. レーザー光を照射し記録層の非晶質相と結晶相との可逆的な相変化を利用して記録再生を行う光記録媒体であって、初期結晶化後の未記録状態では、主たる結晶粒界が記録トラック方向に対して20°〜50°の傾きを持つことを特徴とする光記録媒体。
  2. 6〜15m/sの線速で回転する光記録媒体に初期化用レーザー光を照射することにより初期結晶化されていることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
  3. 記録層が、少なくともGe、Sb、Teを含むことを特徴とする請求項1又は2記載の光記録媒体。
  4. SbとTeの原子比率Sb/(Sb+Te)が、0.65〜0.83であることを特徴とする請求項3記載の光記録媒体。
  5. 記録層中のGeの添加量が、2〜7原子%であることを特徴とする請求項3又は4記載の光記録媒体。
  6. 記録層が、更にGa又はInを含むことを特徴とする請求項3〜5の何れかに記載の光記録媒体。
  7. 記録層中のGa又はInの添加量が、1〜7原子%であることを特徴とする請求項6記載の光記録媒体。
  8. 透明基板上に少なくとも下部保護層/記録層/上部保護層/反射層がこの順、或いは逆順に形成され、記録層の膜厚が、8〜22nmであることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の光記録媒体。
  9. 下部保護層及び上部保護層が、ZnS又はZrOを60〜90モル%含むことを特徴とする請求項8記載の光記録媒体。
  10. 下部保護層の膜厚が、40〜220nmであることを特徴とする請求項8又は9記載の光記録媒体。
  11. 上部保護層の膜厚が、2〜20nmであることを特徴とする請求項8〜10の何れかに記載の光記録媒体。
  12. 反射層は、波長650〜670nmにおける屈折率(n+ik)のnが1以下、kが5以下の金属からなることを特徴とする請求項8〜11の何れかに記載の光記録媒体。
  13. 反射層の膜厚が、90〜200nmであることを特徴とする請求項8〜12記載の光記録媒体。
  14. 上部保護層と反射層の間に硫化防止層を設けたことを特徴とする請求項12又は13記載の光記録媒体。
  15. 硫化防止層が、Si又はSiCを主成分とする材料からなることを特徴とする請求項14記載の光記録媒体。
  16. 硫化防止層の膜厚が3〜22nmであることを特徴とする請求項14又は15記載の光記録媒体。
  17. 記録層と下部保護層の間及び/又は記録層と上部保護層の間に酸化物からなる界面層が設けられていることを特徴とする請求項8〜16の何れかに記載の光記録媒体。
  18. 酸化物からなる界面層は、ZrO、TiO、SiO、Al、Taから選ばれる少なくとも1種の酸化物を含むことを特徴とする請求項17記載の光記録媒体。
  19. 酸化物からなる界面層の厚さが、1〜20nmであることを特徴とする請求項17又は18記載の光記録媒体。
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