JP2004055076A - 光ピックアップ及び光ディスク記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】所望の情報を光ディスクのレーベル面に記録できる光ピックアップ、及び光ディスク記録装置を提供する。
【解決手段】ユーザが、光ディスク内層の記録面を中心とした領域と、光ディスク表面を中心とした領域と、のいずれか一方を選択して、入力手段から入力すると、制御手段がフォーカシングサーボ機構に対してフォーカシングサーボを行う領域を設定する。フォーカシングサーボ機構は、設定された領域で光ピックアップがフォーカシングを行うように制御する。したがって、ユーザは、異なる2点を中心とした領域のいずれか一方を選択して、光ディスク記録装置にフォーカシングサーボを行わせることができる。また、レーザ光の照射を受けると発色する特殊な塗料が光ディスクのレーベル面に塗布された記録形光ディスクに対しては、記録面にデータを記録でき、レーベル面に画像を形成することができる。
【選択図】図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光ディスク内層の記録面上と、光ディスク表面上と、で焦点を結ぶレーザ光を照射する光ピックアップ及び光ディスク記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光ディスクのレーベル面に、所望の情報を印刷できる専用プリンタがあった。また、用紙へ情報を印刷できるだけでなく、専用カートリッジを用いることで、光ディスクのレーベル面に情報を印刷できるプリンタがあった。さらに、レーベル面に商品名などが記載されずに無地で、印刷後にインクがすぐに安定する塗料を塗布した光ディスクがあった。
【0003】
ユーザは、上記の光ディスクや上記のプリンタを用いることで、光ディスクに記録したデータの情報など所望の情報を光ディスクのレーベル面に印刷できる。したがって、ユーザは、光ディスクを再生装置で再生することなく、光ディスクの記録内容を、レーベル面の印刷情報を確認することで、いつでも容易に把握できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、光ディスク記録装置で光ディスクにデータを記録した後に、その光ディスクを取り出して、前記のプリンタにセットしなければならないため、ユーザにとってこの作業が煩雑であるという問題があった。
【0005】
そこで、プリンタと光ディスク記録装置とが一体化され、光ディスクの記録面にデータを記録するとともに、データの記録が終了した光ディスクのレーベル面に所望の情報を印刷できる装置が提案されている。
【0006】
しかし、この装置は、上記のようにプリンタと光ディスク記録装置とが一体化された構成であるため、装置のサイズが従来の光ディスク記録装置よりも大きく、構成が複雑で高額になるという問題があった。また、プリンタがインクジェット方式の場合、インクの補充が必要であったり、長時間使用していない場合は、インクを吐出するノズルのクリーニングを実行させる必要があったりするため、メンテナンスが煩わしいという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、光ディスクの記録面にデータを記録するだけでなく、所望の画像を光ディスクのレーベル面に形成できる光ピックアップ、及び光ディスク記録装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の課題を解決するための手段として、以下の構成を備えている。
【0009】
(1)光ディスクの厚み方向に可動する対物レンズでレーザ光を集光させて、この光ディスクに照射する光ピックアップにおいて、
上記対物レンズの可動範囲を、光ディスク内層の記録面上でレーザ光が焦点を結ぶときに、光ディスクが面振れしても記録面との距離を一定に保つために上記対物レンズが可動する範囲の距離と、上記光ディスクの基板表面から上記記録面までの距離を光ディスク基板の絶対屈折率で徐した距離と、の和以上に設定したことを特徴とする。
【0010】
本発明は、光ピックアップで、光ディスクの記録面にデータを記録するだけでなく、光ディスクの記録面側とレーベル面側とを逆にセットして、この状態で光ピックアップを利用して所望の画像を特殊な塗料を塗布した光ディスクのレーベル面に形成できるようにしたものである。光ピックアップから照射するレーザ光が、[1]光ディスク内層の記録面上、及び、[2]光ディスクの面を反対にセットしたときのレーベル面上で焦点を結ぶようにする。また、本発明では[1]と[2]の両方の場合において、光ピックアップをフォーカシングサーボ制御で問題なく追従できるよう可動範囲を設定する。
【0011】
そこで、本発明の光ピックアップは、対物レンズの可動範囲を以下のように構成している。まず、光ディスクの面振れに対しては、[1]と[2]の両方の場合で同じ可動範囲に設定する。このようにできるのは、光ディスクの面振れ量は、光ディスクの面を反対にセットしても変わらないからである。
【0012】
次に、[2]に対応するため、光ディスクの記録面と基板表面との距離を光ディスク基板の絶対屈折率で徐した距離を[1]の可動範囲に加算する。この距離は、光ディスク内層の記録面上でレーザ光が焦点を結ぶときの対物レンズの位置と、光ディスクの面を反対にセットして、光ディスクのレーベル面上でレーザ光が焦点を結ぶときの対物レンズの位置と、の間の距離とほぼ等価である。そして、対物レンズの可動範囲を、光ディスクの面振れに対して設定する可動範囲と、レーザ光が焦点を結ぶ位置を変更するために設定する可動範囲と、の和以上に設定する。これにより、対物レンズを、光ディスク内層の記録面上でレーザ光が焦点を結ぶときの位置から、光ディスクのレーベル面上でレーザ光が焦点を結ぶときの位置へ、移動させることができる。
【0013】
以上のように、本発明の光ピックアップを用いることで、面振れを考慮して光ディスクの記録面にデータを記録するだけでなく、光ディスクの記録面側とレーベル面側とを逆にセットし、この状態で光ピックアップを利用して所望の画像を、レーザ光の照射を受けると発色する特殊な塗料を塗布した光ディスクのレーベル面に形成できる。
【0014】
(2)光ディスク内層の記録面上で焦点を結ぶようにレーザ光を集光させる前記対物レンズの位置を第1の基点とし、前記光ディスクの基板表面またはレーベル面上で焦点を結ぶようにレーザ光を集光させる前記対物レンズの位置を第2の基点としたときに、
前記対物レンズが上記第1の基点から光ディスク側への可動範囲は、前記対物レンズが上記第2の基点から光ディスクと反対側への可動範囲とほぼ同じである。
【0015】
光ディスクが面振れした場合、第1の基点に対物レンズが位置していても、第2の基点に対物レンズが位置していても、光ディスクの面振れ量はほぼ同じある。そのため、同じ可動範囲に設定することで、対物レンズが上記のどちらに位置していても、光ディスクの面振れに対処できる。したがって、面振れする光ディスク内層の記録面上で常にレーザ光が焦点を結ばせることができるとともに、面振れする光ディスクの表面上で常にレーザ光が焦点を結ばせることができる。
【0016】
(3)(2)に記載の光ピックアップと、この光ピックアップが前記第1の基点または前記第2の基点を中心とした領域のいずれか一方でフォーカシングサーボを行うように制御するフォーカシングサーボ機構と、フォーカシングサーボを行う領域を選択するための入力手段と、この入力手段からの入力内容に応じて、上記フォーカシングサーボ機構がフォーカシングサーボを行う領域を設定する制御手段と、を備えている。
【0017】
この構成においては、ユーザが、異なる2点を中心とした領域のうちの一方を入力手段から入力すると、制御手段がフォーカシングサーボ機構に対してフォーカシングサーボを行う領域を設定する。そして、フォーカシングサーボ機構は、設定された領域で光ピックアップがフォーカシングを行うように制御することができる。
【0018】
(4)前記制御手段は、前記入力手段でフォーカシング領域として前記第2の基点を中心とした領域が選択されると、前記光ピックアップに、光ディスクのレーベル面に画像を形成するためのレーザ光照射パターンに基づいたレーザ光を照射させる。
【0019】
ユーザは、光ディスク記録装置にフォーカシングサーボを行わせる領域として、光ディスク表面上で焦点を結ぶようにレーザ光を集光させる前記対物レンズの位置を中心とした領域を選択した場合、光ディスク記録装置の制御手段は、にフォーカシングサーボを行わせることができる。また、光ピックアップに、レーベル面に画像を形成するためのレーザ光照射パターンに基づいたレーザ光を照射させることができる。したがって、レーザ光の照射を受けると発色する特殊な塗料が光ディスクのレーベル面に塗布された記録形光ディスクに対しては、記録面を光ピックアップに対向するようにセットすることで、記録面にデータを記録できる。また、レーベル面を光ピックアップに対向するようにセットすることで、レーベル面に画像を形成することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態に係る光ピックアップ及び光ディスク記録装置について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る光ディスク記録装置の構成を示したブロック図である。図1に示したように、本発明の実施形態に係る光ディスク記録装置1は、ホストコンピュータ3に、光ディスクドライブ2が接続された構成である。光ディスクドライブ2は、フィードモータ8、ガイドレール9、光ピックアップ10、スピンドルモータ11、RFアンプ12、サーボ回路13、アドレス検出回路14、デコーダ15、制御部16、エンコーダ17、ストラテジ回路18、レーザドライバ19、レーザパワー制御回路20、周波数発生器21、エンベロープ検出回路22、β検出回路24、記憶部25、バッファメモリ26、及びレーザ照射パターン変換回路27を備えている。また、ホストコンピュータ3は、表示部4、入力部5、メイン記憶部6、及びメイン制御部7を備えている。
【0021】
フィードモータ8は、光ピックアップ10を光ディスクDの半径方向に移動させるための駆動力を供給するモータである。
【0022】
ガイドレール9は、光ピックアップ10が光ディスクDの半径方向に移動するように、光ピックアップ10を支持する。
【0023】
スピンドルモータ11は、データを記録する対象である光ディスクDを回転駆動するモータである。また、スピンドルモータ11の回転軸先端部には、光ディスクDを保持(チャッキング)するためのターンテーブルなどからなる図外の光ディスク保持機構が設けられている。
【0024】
光ピックアップ10は、レーザダイオード、レンズ及びミラーなどの光学系、戻り光(反射光)受光素子、並びにフォーカスサーボ機構などを備えている。また、記録及び再生時には光ディスクDに対してレーザ光を照射し、ピットを形成してデータを記録する。また、光ピックアップ10は、光ディスクDからの戻り光を受光して受光信号であるEFM変調されたRF信号をRFアンプ12に出力する。なお、フォーカスサーボ機構は、光ピックアップ10の対物レンズと光ディスクDの内層の(データ)記録面との距離を一定に保つためのサーボ機構である。また、光ピックアップ10は、モニタダイオードを備えており、レーザダイオードが出射したレーザ光の一部を受光することによってモニタダイオードに電流が生じ、この電流がレーザパワー制御回路20へ供給されるようになっている。
【0025】
周波数発生器21は、スピンドルモータ11が出力した光ディスクDの相対位置信号を検出して、光ディスクDの回転角度や回転数を検出するための信号をサーボ回路13に出力する。
【0026】
RFアンプ12は、光ピックアップ10から供給されるEFM変調されたRF信号を増幅して、増幅後のRF信号をサーボ回路13、アドレス検出回路14、エンベロープ検出回路22、β検出回路24、及びデコーダ15に出力する。
【0027】
デコーダ15は、再生時には、RFアンプ12から供給されるEFM変調されたRF信号をEFM復調して再生データを生成し、データ記憶回路25に出力する。また、デコーダ15は、データ記録時には、テスト記録によって記録された領域を再生する際に、RFアンプ12から供給されたRF信号をEFM復調する。
【0028】
アドレス検出回路14は、RFアンプ12から供給されたEFM信号からウォブル信号成分を抽出し、このウォブル信号成分に含まれる各位置の時間情報(アドレス情報)、及び光ディスクDを識別する識別情報(ディスクID)や光ディスクDの色素などディスクの種類を示す情報を復号し、制御部16に出力する。なお、上記のウォブル信号成分に含まれる各位置の時間情報(アドレス情報)、及び光ディスクDを識別する識別情報(ディスクID)やディスクの色素などディスクの種類を示す情報は、ATIP(Absolute Time In Pregroove)情報とも称する。
【0029】
β検出回路24は、光ディスクDのテスト記録領域を再生しているときに、RFアンプ12から供給されるRF信号から再生信号品位に関するパラメータとしてβ(アシンメトリ)を算出し、算出結果を制御部16に出力する。ここで、βは、EFM変調された信号波形のピークレベル(符号は+)をa、ボトムレベル(符号は−)をbとすると、β=(a+b)/(a−b)で求めることができる。
【0030】
エンベロープ検出回路22は、光ディスクDへテスト記録を行う前に、光ディスクDのテスト領域のどの部分からテスト記録を開始するかを検出するために、上述した光ディスクDのカウント領域112bにおけるEFM信号のエンベロープを検出する。
【0031】
サーボ回路13は、スピンドルモータ11の回転制御、並びに光ピックアップ10のフォーカス制御(フォーカシングサーボ)、トラッキング制御(トラッキングサーボ)、及びフィードモータ8による光ピックアップ10の送り制御を行う。
【0032】
ここで、本実施形態に係る光ディスク記録装置1では、記録時には光ディスクDを角速度一定で駆動する方式であるCAV(Constant Angular Velocity)方 式と、光ディスクDを線速度一定にして駆動する方式であるCLV(Constant Linear Velocity)方式と、を切り替えて行うことができるようになっている。そのため、サーボ回路13は、制御部16から供給される制御信号に応じてCAV方式とCLV方式とを切り替える。サーボ回路13はCAV制御の場合、周波数発生器21によって検出されるスピンドルモータ11の回転数が、設定された回転数と一致するように制御する。また、サーボ回路13は、CLV制御の場合、RFアンプ12から供給された信号のウォブル信号成分が設定された線速度倍率相当になるようにスピンドルモータ11を制御する。
【0033】
エンコーダ17は、メイン制御部7から出力された記録データをEFM変調し、ストラテジ回路18に出力する。ストラテジ回路18は、エンコーダ17からのEFM信号に対して時間軸補正処理などを行い、レーザドライバ19に出力する。レーザドライバ19は、ストラテジ回路18から供給される記録データに応じて変調された信号と、レーザパワー制御回路20の制御信号と、に従って光ピックアップ10のレーザダイオードを駆動する。
【0034】
レーザパワー制御回路20は、光ピックアップ10のレーザダイオードから照射されるレーザ光のパワーを制御する。具体的には、レーザパワー制御回路20は、光ピックアップ10のモニタダイオードから出力される電流値と、制御部16から送信される最適なレーザパワーの目標値を示す情報と、に基づいて、最適なレーザパワーのレーザ光が光ピックアップ10から照射されるように、レーザドライバ19を制御する。
【0035】
制御部16は、CPU、ROM、及びRAM等から構成されており、ROMに格納されたプログラムに従って光ディスク記録装置1の各部を制御して、光ディスクにデータの記録や可視画像の形成を行う。また、光ディスクに記録されたデータの再生を行う。また、制御部16は、セットされた記録用光ディスクの種類を判別するために、サーボの自動調整を行い、サーボ回路13、レーザパワー制御回路20、エンコーダ17にそれぞれ所定の信号を出力する。これらの信号が出力されると、光ピックアップ10は、所定の位置に移動するとともに、レーザ光を記録用光ディスクに照射して、データの記録を行う。また、光ディスクに記録されたデータの確認、再生、光ディスクの記録エラー位置の検出などを行う場合、光ピックアップ10の受光素子は、照射光の戻り光を受光して、受光量に応じた電気信号をRFアンプ12に出力する。RFアンプ12は、この信号を増幅してデコーダ15やβ検出回路24、アドレス検出回路14、及びエンベロープ検出回路22に出力する。制御部16は、これらの回路からの信号に基づいて上記の各処理を行う。
【0036】
記憶部25は、実験などを行って予め求めたデータや、光ディスク記録装置1のファームウェアなどを記憶する。
【0037】
バッファメモリ26は、メイン制御部7から転送される可視画像形成データを一時的に格納し、データ照射パターン変換回路27へ出力する。レーザ照射パターン変換回路27は、画像形成データをレーザ照射パターンへ変換し、レーザドライバ19へ出力する。なお、メイン制御部7でレーザ照射パターンへ変換を行う構成の場合は、バッファメモリ26及びレーザ照射パターン変換回路27は不要である。
【0038】
ホストコンピュータ3の表示部4は、光ディスクDに記録したデータの信号品位や、光ディスク記録装置1からユーザに伝達する情報などを表示するためのものである。入力部5は、ユーザが光ディスク記録装置1の各種制御や操作を行う。メイン記憶部6は、光ディスクドライブ2で光ディスクDのレーベル面に記録する画像に関するデータ処理を行うプログラムや、光ディスクのレーベル面に画像を記録するための情報である画像記録データなどを記憶する。メイン制御部7は、光ディスク記録装置の各部を制御して、データの記録・確認・再生、画像の記録を行う。
【0039】
次に、光ピックアップ10の詳細な構成、及び動作について説明する。図2は、対物レンズと光ディスクとの位置関係を示した図である。本発明の光ディスク記録装置1の光ピックアップ10は、異なる2点を中心とした領域のいずれか一方を選択して、フォーカシングサーボを行うことができる。すなわち、図2(B)に示したように、光ディスクDの記録面上にレーザ光が焦点を結ぶときに、このレーザ光を集光させる対物レンズ31の位置(以下、第1の基点と称する。)41を中心として、光ディスクの厚み方向に可動させて、フォーカシングサーボを行うことができる。また、図2(C)に示したように、光ディスクDの表面上にレーザ光が焦点を結ぶときに、このレーザ光を集光させる対物レンズ31の位置(以下、第2の基点と称する。)42を中心として、光ディスクの厚み方向に可動させて、フォーカシングサーボを行うことができる。なお、第1の基点を中心としたフォーカシング領域(以下、第1の領域と称する。)51、及び第2の基点を中心としたフォーカシング領域(以下、第2の領域と称する。)52は、光ディスクDを回転させたときの面振れや反りを考慮して、双方ともほぼ同じ距離(範囲)に設定する。例えば、図2に示した例では、第1の領域51及び第2の領域52を±0.8mmに設定する。
【0040】
また、光ピックアップ10は、ホストコンピュータ3の入力部4から所定の入力を行うことで、フォーカシングサーボ機構により対物レンズ41の位置を、第1の基点41または第2の基点42に移動させることができる。
【0041】
したがって、光ピックアップ10の対物レンズ31の可動範囲は、第1の領域51における光ディスク側の距離(範囲)と、第2の領域52における光ディスクと反対側の距離(範囲)と、光ディスクにおける記録面とポリカーボネート基板表面との間の距離を、ポリカーボネートの絶対屈折率(=1.584)で除した距離と、の合計、またはそれ以上に設定する。なお、光ディスクにおける記録面とポリカーボネート基板表面との間の距離を、ポリカーボネートの絶対屈折率(=1.584)で除した距離は、光ディスクの表面から記録面までをレーザ光が進む距離(光ディスク基板の光路長)を空気中の光路長に換算したものである。図2に示した例では、第1の領域51における光ディスク側の距離(範囲)、及び第2の領域52における光ディスクと反対側の距離(範囲)は、共に0.8mmである。また、光ディスクにおける記録面とポリカーボネート基板表面との間の長さ(1.2mm)を、ポリカーボネートの絶対屈折率(=1.584)で除した長さは、約0.76mmである。したがって、対物レンズ41の可動範囲は、約2.4mm(≒2.36mm)である。
【0042】
なお、第1の領域51における光ディスク側の距離(範囲)は、光ディスクが回転駆動中に面振れしても、対物レンズ41が光ディスクの表面に当たらないように設定する。
【0043】
また、光ディスク記録装置1の設計者は、光ピックアップ10の対物レンズ41の初期の位置(ホームポジションまたはニュートラルポジションともいう。)を、図2(A)に示したように、第1の基点41とした場合、対物レンズ31の光ディスクDと反対側への可動範囲を、光ディスクD側への可動範囲の2倍以上となるように設定すると良い。これにより、本発明の光ピックアップ10は、新規に設計しても良いが、第1の領域のみが可動範囲である従来の光ピックアップに対して、可動範囲を光ディスクと反対側の方向に延長する改良設計を施すことで、容易に得ることができる。
【0044】
本発明の光ピックアップ10は、第1の領域51でフォーカシングを行うことで、従来の光ピックアップと同様に、光ディスク内層の記録面へレーザ光を照射してピットを形成することにより、所望のデータを記録することができる。また、本発明の光ピックアップ10は、第2の領域52でフォーカシングを行うことで、従来の光ピックアップとは異なり、光ディスク表面の記録面へレーザ光を照射して、例えば、特殊な塗料が塗布された光ディスクの表面(レーベル面)に、所望の情報を表示する画像を形成することができる。所望の情報として、例えば、光ディスクDに記録したデータに関する文字、記号、絵画、写真などの画像を形成することができる。もちろん、光ディスクDに記録したデータ以外の情報に関する画像を形成しても良い。
【0045】
ここで、光ピックアップ10からレーベル面に照射したレーザ光の反射光は、記録面に照射したレーザ光の反射光に比べて弱くなる。これは、例えば、CD−Rの場合、記録面(有機色素層)の下層には、金属(金、銀またはアルミなど)によって形成された反射層が設けられているのに対して、レーベル面にはそのような反射層が設けられていないためである。そのため、光ディスク記録装置1では、第2の領域52でフォーカシングを行って光ディスクのレーベル面にレーザ光を照射する場合、フォーカシングエラーが発生しないように、受光ゲインを上げる必要がある。つまり、光ディスク記録装置のAGC(Auto Gain Contloller)を、第1の領域でフォーカシングを行う場合と、及び第2の領域でフォーカシングを行う場合と、でゲインの調整ができるように、AGCの調整範囲を広く設定したり、フォーカシングを行う領域に応じてゲインの切り替えができるように構成する必要がある。
【0046】
本発明の光ディスク記録装置1で、光ディスクDのレーベル面に画像形成するためには、前記のように特殊な塗料がレーベル面に塗布された光ディスクを使用する必要がある。この特殊な塗料としては、レーザ光を照射すると感光して発色する感光剤、レーザ光を照射すると感熱して発色する感熱剤、レーザ光を照射するとレーザの熱でカプセルが溶け、カプセル内に封入された塗料が流出して発色するマイクロカプセル化塗料などを用いる。本発明の光ディスク記録装置1のユーザは、このような光ディスクを使用することで、所望の情報を表示する画像を光ディスクのレーベル面に形成することができる。
【0047】
次に、本発明の光ディスク記録装置1で、光ディスクのレーベル面に画像形成する動作について説明する。図3は、直交座標系の画像及び画像用の極座標系の画像を示した図である。光ディスク記録装置1は、光ディスクを回転させながら、光ディスクの記録面にデータを記録するための光ピックアップ10からレーザ光を照射して、光ディスクDのレーベル面に画像を形成する。したがって、光ディスク記録装置1は、光ディスクDに形成する画像用のレーザ照射パターンとして、図3(A)に示したように、極座標系の画像に基づいたものを使用する。
【0048】
ここで、コンピュータなどで扱う一般的な画像は、図3(B)に示したように、直交座標系の画像であり、極座標系の画像ではない。そのため、光ディスク記録装置1は、直交座標系の画像データを極座標系の画像データに変換し、この極座標系の画像データ(画像形成データ)に基づいて、光ディスクを回転させながらレーザ光を照射して、画像を形成するためのレーザ照射パターンデータを連続的につなげたデータ(以下、シリアルデータと称する。)を作成する。そして、このシリアルデータに基づいて、指定された記録開始位置(R,θ)から光ディスクDのレーベル面に画像を形成する。
【0049】
例えば、光ディスク記録装置1は、メイン制御部7で、直交座標系の画像データの一例であるbmp(ビットマップ)形式の画像データに基づいて、画像形成データを作成する。図4は、直交座標系から極座標系に画像変換するイメージ図である。まず、画像を形成した際に所定の階調表現ができるように、例えば、階調に応じてレーザ光の照射パワーの強弱を調整したり、bmp形式の画像をディザ処理したりする。なお、ディザ処理とは、ドットの分布や密度を変化させることで濃淡を表す方法である。続いて、ディザ処理したbmp形式の画像を極座標上に配置し、任意の1点を決定して、bmp形式の画像データを極座標系の画像データに変換する。つまり、図4に示したように、直交座標系の画像の右下角 (x,y)=(X,Y)を基準点として、
r=√(X+Y),θ=tan−1(Y/X)
の式に基づいて変換する。そして、光ディスク記録装置1でレーザ光を光ディスクに照射して画像を形成するために、極座標系の画像データを、シリアルデータにする。光ディスク記録装置1は、このようにして作成したシリアルデータに基づいて、指定された記録開始位置からレーザ光を照射して、光ディスクのレーベル面上に画像を形成する。
【0050】
なお、光ディスクドライブ2において、光ピックアップ10の光ディスクの半径方向の送り量(例えば、8μm)は、光ディスクのレーベル面には、光ディスクの記録面に形成されたプリグルーブのピッチ(1.6μm)よりも大きく、その送り量でレーザ光を照射して画像を形成すると、レーベル面に形成した画素の密度が低くなってしまう。そのため、光ディスク記録装置1では、光ピックアップを光ディスクの半径方向に所定の周期でまたは周期を1周毎に変えながら所定の振幅で振動させて、複数回同じ円周上にレーザ光を照射する。これにより、同じ円周であっても、レーザ光を異なる位置へ照射できるので、レーベル面に形成する画像の画素密度を高くできる。
【0051】
次に、本発明の光ディスク記録装置の動作について、フローチャートに基づいて説明する。図5は、光ディスク記録装置の動作を説明するためのフローチャートである。ユーザは、光ディスクのレーベル面に画像を形成する場合、まず、光ディスク記録装置1でレーベル面に形成する画像を設定する。すなわち、ホストコンピュータ3にインストールされた画像作成プログラムを使用して、所望の画像を作成する。画像形成データの作成は、以下のような手順で行う。図6は、画像作成プログラムの表示例である。まず、図6(A)に示したように、ユーザは、光ディスク記録装置1の表示部4に、表示された画像作成プログラムのアイコン61を選択して、画像作成プログラムの起動操作を行う。光ディスク記録装置1のメイン制御部7は、この操作を検出すると、メイン記憶部6が記憶する画像作成プログラムを読み出して起動する(s1)。そして、図6(B)に示したように、メイン制御部7は、表示部4に、画像として光ディスクに形成したい任意の文字や絵画(直交座標系の画像データ)などを設定するように、ユーザに促す表示62を表示させる(s2)。図6(C)に示したように、ユーザは、この表示に従って、画像として光ディスクに記録する任意の文字や絵画などの画像63を設定する。この時、ユーザは、任意の文字を入力部5から入力しても良いし、別の画像作成ソフトを起動して任意の画像を作成し、この画像を使用するようにしても良い。また、ホストコンピュータ3の記憶部6が記憶している文字データや画像データを読み出しても良い。さらには、インターネット上のホームページから文字データや画像データを入手するようにしても良い。
【0052】
光ディスク記録装置1は、任意の画像63が設定されると(s3)、図6(D)に示したように、設定されたbmp形式の画像データを、光ディスクに重畳した画像(画像のイメージ)64を表示部4に表示させる(s4)。そして、メイン制御部7は、画像の編集を行うか否かをユーザに問い合わせる表示65を表示部4に表示させる(s5)。ユーザは、表示部4に表示された画像の形成後の表示画像で良ければ、表示部4に表示された決定ボタンを選択して、光ディスク記録装置1に画像形成データの作成を指示する。一方、ユーザは表示部4に表示された画像形成後の表示画像に問題がある場合、画像の形成位置を変更したり画像のサイズを調整したりして、表示された画像の加工を行う(s6)。そして、調整が完了すれば決定ボタンを選択して、光ディスク記録装置1に画像形成データの作成を指示する。
【0053】
光ディスク記録装置1のメイン制御部7は、ユーザから画像形成データの作成指示があると、例えば、ユーザによって設定された直交座標系の画像データを極座標系の画像データに変換する(s7)。続いて、メイン制御部7は、この極座標系の画像データに基づいて、光ディスクに画像を形成するために照射するレーザ光照射パターンデータを連続的につなげたシリアルデータを作成し、このシリアルデータと画像の形成開始位置情報とから画像形成データを作成する(s8)。
【0054】
メイン制御部7は、画像形成データの作成を完了すると、画像形成データを光ディスクドライブ2へ転送する。また、メイン制御部7は、ユーザに対してレーベル面に画像形成する光ディスクをセットするようにユーザに促す表示を表示部4に表示される(s9)。この表示を確認したユーザは、光ディスクのレーベル面が光ピックアップと対向するように光ディスクをセットする。
【0055】
光ディスク記録装置1のメイン制御部7は、光ディスクがセットされたことを検出すると(s10)、光ディスクのレーベル面が光ピックアップと対向するようにセットされているかどうかを確認する。すなわち、メイン制御部7は、光ピックアップ10の対物レンズ31を第2の基点へ移動させる信号を、制御部16からサーボ回路13へ出力させる。サーボ回路13は、この信号を受けると、フォーカシングサーボ機構を制御して、対物レンズ31を第2の基点へ移動させ、第2の領域でフォーカシングサーボを行うように設定する。また、メイン制御部7は、制御部16にRFアンプ12に設けられたAGC回路のゲインを第2の領域用へ切り替える(s11)。そして、セットされた光ディスクに対してデータを再生するときに照射する程度の弱いパワーのレーザ光を照射し、反射光の受光パワーによって光ディスクの表裏を判定する(s12)。メイン制御部7は、レーザ光の反射光が所定のパワー以上のときは、光ディスクの記録面が光ピックアップと対向するようにセットされているので、光ディスクの表裏を入れ替えて再セットするように促す内容を表示部4に表示させる(s13)。メイン制御部7は、ユーザによって光ディスクの表裏が入れ替えられたことを検出すると(s14)、再度、s12の処理を行う。
【0056】
一方、メイン制御部7は、レーザ光の反射光が所定のパワー未満のときは、光ディスクのレーベル面が光ピックアップと対向するようにセットされているので、光ディスクのレーベル面へ画像の形成を開始する。すなわち、所定の画像記録開始位置に光ピックアップを移動させ、その位置からシリアルデータに基づいてレーザ光を照射しながら、光ディスクのレーベル面に画像を形成する(s15)。
【0057】
メイン制御部7は、画像の形成が完了すると、光ディスクのレーベル面への画像形成が終了したことを示す内容を表示部4に表示させる(s16)。そして、処理を終了する。
【0058】
なお、以上の説明では、光ディスクのレーベル面上でレーザ光が焦点を結ぶように設定して、画像を形成する場合について説明したが、これに限るものではない。すなわち、光ディスクの記録面側の基板表面に、例えば、所定の幅で外周に沿って特殊塗料が塗布されていた場合、この塗料が塗布された領域にレーザ光が焦点を結ぶように照射することで、光ディスクの記録面側の基板表面上にも画像を形成することができる。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0060】
(1)本発明の光ピックアップを用いることで、面振れを考慮して光ディスクの記録面にデータを記録するだけでなく、光ディスクの記録面側とレーベル面側とを逆にセットし、この状態で光ピックアップを利用して所望の画像を、レーザ光の照射を受けると発色する特殊な塗料を塗布した光ディスクのレーベル面に形成できる。
【0061】
(2)面振れする光ディスク内層の記録面上で常にレーザ光が焦点を結ばせることができるとともに、面振れする光ディスクの表面上で常にレーザ光が焦点を結ばせることができる。
【0062】
(3)ユーザが、異なる2点を中心とした領域のうちの一方を入力手段から入力すると、制御手段がフォーカシングサーボ機構に対してフォーカシングサーボを行う領域を設定して、フォーカシングサーボ機構に、設定された領域で光ピックアップがフォーカシングを行うように制御させることができる。
【0063】
(4)レーザ光の照射を受けると発色する特殊な塗料が光ディスクのレーベル面に塗布された記録形光ディスクに対しては、記録面を光ピックアップに対向するようにセットすることで、記録面にデータを記録できる。また、レーベル面を光ピックアップに対向するようにセットすることで、レーベル面に画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る光ディスク記録装置の構成を示したブロック図である。
【図2】対物レンズと光ディスクとの位置関係を示した図である。
【図3】直交座標系の画像及び画像用の極座標系の画像を示した図である。
【図4】直交座標系から極座標系に画像変換するイメージ図である。
【図5】光ディスク記録装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】画像作成プログラムの表示例である。
【符号の説明】
1−光ディスク記録装置
4−表示部
5−入力部
6−メイン記憶部
7−メイン制御部
10−光ピックアップ
16−制御部

Claims (4)

  1. 光ディスクの厚み方向に可動する対物レンズでレーザ光を集光させて、この光ディスクに照射する光ピックアップにおいて、
    上記対物レンズの可動範囲を、光ディスク内層の記録面上でレーザ光が焦点を結ぶときに、光ディスクが面振れしても記録面との距離を一定に保つために上記対物レンズが可動する範囲の距離と、上記光ディスクの基板表面から上記記録面までの距離を光ディスク基板の絶対屈折率で徐した距離と、の和以上に設定したことを特徴とする光ピックアップ。
  2. 光ディスク内層の記録面上で焦点を結ぶようにレーザ光を集光させる前記対物レンズの位置を第1の基点とし、前記光ディスクの基板表面またはレーベル面上で焦点を結ぶようにレーザ光を集光させる前記対物レンズの位置を第2の基点としたときに、
    前記対物レンズが上記第1の基点から光ディスク側への可動範囲は、前記対物レンズが上記第2の基点から光ディスクと反対側への可動範囲とほぼ同じである請求項1に記載の光ピックアップ。
  3. 請求項2に記載の光ピックアップと、この光ピックアップが前記第1の基点または前記第2の基点を中心とした領域のいずれか一方でフォーカシングサーボを行うように制御するフォーカシングサーボ機構と、フォーカシングサーボを行う領域を選択するための入力手段と、この入力手段からの入力内容に応じて、上記フォーカシングサーボ機構がフォーカシングサーボを行う領域を設定する制御手段と、を備えた光ディスク記録装置。
  4. 前記制御手段は、前記入力手段でフォーカシング領域として前記第2の基点を中心とした領域が選択されると、前記光ピックアップに、光ディスクのレーベル面に画像を形成するためのレーザ光照射パターンに基づいたレーザ光を照射させる請求項3に記載の光ディスク記録装置。
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