JP2004054999A - ディスク状記録媒体収納容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】よりコンパクトなDVDプレーヤ等によるDVD連続再生を可能とするとともに、異なるDVD間の連続的な再生処理を滑らかに、かつ、迅速に実現することを可能とするDVDケースを提供する。
【解決手段】本発明のDVDケース(XC)は、複数枚のDVD(100)を収納可能であり、かつ、相互に分離可能に構成された上蓋部(XC1)及び下蓋部(XC2)と、これらそれぞれに設けられ、DVDを固定するためのガイド機構(XG1及びXG2)と、第1蓋部及び第2蓋部に設けられ、DVDの外周の一部を外部に曝す開口部(XC14H及びXC15H)とを備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明のDVDケース(XC)は、複数枚のDVD(100)を収納可能であり、かつ、相互に分離可能に構成された上蓋部(XC1)及び下蓋部(XC2)と、これらそれぞれに設けられ、DVDを固定するためのガイド機構(XG1及びXG2)と、第1蓋部及び第2蓋部に設けられ、DVDの外周の一部を外部に曝す開口部(XC14H及びXC15H)とを備えている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CD(Compact Disc)、MD(Mini Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等のディスク状の記録媒体を収納可能な収納容器の技術分野に属する。
【0002】
【背景技術】
従来、CD、MD、DVD等の記録媒体及びこれらを再生する各プレーヤが提供されている。このうちプレーヤとしては、例えば、屋内で音楽鑑賞又は映画鑑賞等を楽しむためのものや、自動車等に搭載されて使用される車載用のものも普及しはじめている。後者では、既存のカーステレオに電気的接続されたスピーカやカーナビゲーションシステムに電気的接続された画像表示装置等を介して、音楽又は映像等を楽しむことができる。
【0003】
また、上述の各種の記録媒体のうちでは特に、DVDは、比較的大容量の映像情報、音声情報等のコンテンツ情報(例えば、映画一本分の画像及び音声等)を一枚のディスク内に収納可能な記録媒体であり、今後、主流の地位を占めるものと考えられる。
【0004】
このようなDVDは、情報再生装置の一例たるDVDプレーヤによって再生されるが、このDVDプレーヤとしては、従来において次のような構成を備えるものがあった。すなわち、複数枚のDVDを収納可能であり、一のDVDの再生終了後、該DVDの取り出し及び新たなDVDの挿入という手間をかけずに、次のDVDの再生処理を実行可能なDVDプレーヤである。このような連続再生処理を実現するため、より具体的には、複数枚のDVDを載置可能な複数のトレイを備えたディスク・ケースが用意されるとともに、当該DVDプレーヤに、このディスク・ケースを一括して装填する構造を有するものが知られている。このような構造では、あるDVDを再生しようとする場合、当該DVDが載置されたトレイをディスク・ケースの外側に引っ張り出した後、当該DVDに対して、ディスククランプ機構、並びにスピンドルモータ及びピックアップ等を備えたユニット(以下、単に「ピックアップユニット」という。)を所定の位置に配置させた上で、再生処理が開始されるということになる。このようなDVDプレーヤでは、上述の説明から明らかなように、DVDの挿脱ないし交換作業を一々行う必要がないから、ユーザの負担を軽減することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のようなDVDプレーヤにおいては、次のような問題点があった。すなわち、前記ディスク・ケースを装填可能なDVDプレーヤでは、当該DVDプレーヤ内において、前記トレイを引っ張り出すための空間、換言すれば、ピックアップユニットを適当な位置に配置するとともにDVDを再生するための空間を確保しなければならず、当該DVDプレーヤは、必然的に大型化せざるをえなかった点である。より具体的には、トレイの半分以上は、ディスク・ケースから引っ張り出す必要があった。このことは、該DVDプレーヤを車載用として構成する場合において大きな制約となる。自動車内において、上述のような空間を十分に確保できる場所としてはトランク内等しかないからである。つまり、このような連続再生処理可能なDVDプレーヤを、例えば、より好ましい設置場所として想定されるダッシュボードの一部として構成することは一般に極めて困難だったのである。
【0006】
また、上述のような構成となるDVDプレーヤでは、あるDVDの再生が完了した後、次のDVDの再生を行おうとする場合において、一般に、比較的長い時間がかかるという問題点もあった。これは、このような連続再生に係る動作を行おうとするためには、第一に、再生済みDVDからピックアップユニット等を退避させる、第二に、当該DVDを載置するトレイをディスク・ケース内に収納する。第三に、新たなDVDを載置するトレイをディスク・ケース内から引っ張り出す、第四に、当該DVDに対してピックアップユニット等を所定位置に配置する、という各動作が必要であることによる。したがって、せっかく複数枚のDVDを搭載しているにもかかわらず、異なるDVD間の滑らかな連続再生処理を行うことが困難だったのである。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、よりコンパクトなDVDプレーヤ等の情報再生装置による再生処理を可能とするとともに、異なるディスク状記録媒体間の連続的な再生処理を滑らかに、かつ、迅速に実現することを可能とするディスク状記録媒体収納容器を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のディスク状記録媒体収納容器は、上記課題を解決するため、相互に分離可能に構成された第1蓋部及び第2蓋部と、前記第1蓋部及び前記第2蓋部のそれぞれに設けられ、複数枚のディスク状記録媒体を同軸的に重ねて固定可能な固定手段と、前記第1蓋部と前記第2蓋部に設けられ、前記ディスク状記録媒体の外周縁の少なくとも一部を外部に曝す開口部とを備えている。
【0009】
本発明のディスク状記録媒体収納容器によれば、従来のように、ディスク状記録媒体の一例たるDVDの複数枚連続再生をするために、DVDプレーヤ内で比較的広大な空間を必要とするということがない。すなわち、本態様に係るディスク状記録媒体収納容器を利用すれば、よりコンパクトなDVDプレーヤ等の情報再生装置であっても、複数枚のDVDの連続再生処理を実現することができる。
また、本発明によれば、一のDVDから次のDVDへの連続再生処理をより短時間で実現することができる。これらは、本態様に係るディスク状記録媒体収納容器が、次のように運用可能であることによる。
【0010】
まず、本発明によれば、背景技術の項で述べたような「トレイ」はないものの、複数枚のDVDを収納可能であることは同様である。収納時においては、第1蓋部又は第2蓋部にそれぞれ設けられた固定手段によって、同軸的に重ねて積層された複数枚のDVDを適当に固定するとともに、該第1蓋部及び該第2蓋部を向かい合わせた上、適当な手段により接合(ただし、「相互に分離可能」である。)すれば、当該複数枚のDVDを収納可能である。また、このように複数枚のDVDを収納したディスク状記録媒体を、対応可能なDVDプレーヤに装填可能であることも従前と全く同様である。
【0011】
ここで、本発明では特に、以下に記す点が可能となる。すなわち、第1蓋部及び第2蓋部に設けられた「開口部」を利用することにより、その外部から、収納された複数枚のDVDのうちの一枚を握持することが可能な点、また、その握持されたDVDを中心として、その両側に位置するDVDとともに、第1蓋部及び第2蓋部を「分離」することが可能な点である。ここでは一例として、当該ディスク状記録媒体収納容器内に6枚のDVDが収納されており、その中の4枚目のDVDを握持する場合を考えると、その一方の片側には3枚のDVDが、他方の片側には2枚のDVDが存在することとなるから、該3枚のDVDと第1蓋部(又は第2蓋部)をともに移動させることが可能であり、該2枚のDVDと第2蓋部(又は第1蓋部)をともに移動させることが可能である。つまり、このような操作を行えば、再生しようとするDVDの分離を、場所をとることなく、かつ、滑らか且つ迅速に実現することが可能となるのである。
【0012】
すなわち、まず「場所をとること」がないという点について言えば、上述の例では、握持された4枚目のDVDの情報記録面と、前記3枚のDVD(又は前記2枚のDVD、当該4枚目のDVDの情報記録面がどちら側かによる。)の面との間に、ピックアップユニットが入り込むに十分な距離を確保すればよく、また、該情報記録面とは反対側に位置する前記2枚のDVD(又は前記3枚のDVD、上述と同じ趣旨。)と当該4枚目のDVDとが離間すべき距離は、互いに接触しないという条件を最低限満たしさえすればよいから、従来のようにトレイの半分以上をディスク・ケースから引っ張り出すための空間がDVDプレーヤ内に必要とはならないのである。
【0013】
また、このような動作を「滑らか且つ迅速に」実現できるのは、上述のように、再生対象のDVDを分離させるに必要な動作が比較的小さいがゆえである。具体的には、上記の状態から続いて、5枚目のDVDを選択したい場合には、まず、ピックアップユニットを退避させ、第1蓋部及び第2蓋部を再び接合した状態とし、5枚目のDVDを握持した後改めて、その一方の片側に位置する4枚のDVD及び他方の片側に位置する1枚のDVDを、第1蓋部及び第2蓋部とともに再び分離すればよい。この場合、上述の接合、握持及び分離の各動作は極めて小さな距離について行われるだけであるから、DVDの選択動作は、滑らかに、かつ、迅速に行われるのである。
【0014】
以上のように、本発明に係るディスク状記録媒体収納容器によれば、よりコンパクトなDVDプレーヤであっても、DVDの連続再生処理が可能であり、かつ、異なるDVD間の連続的な再生処理を滑らかに、かつ、迅速に実現することが可能である。
【0015】
なお、本発明において、第1蓋部及び第2蓋部は、ディスク状記録媒体を「収納可能」であり、かつ、「相互に分離可能」であるという要件を満たす必要があるが、これには、本発明の一態様として説明する後述の「凸部」及び「凹部」が備えられている形態が最も好ましい一例である。ただし、本発明の範囲内にある形態としては、その他種々のものを考えることができることは言うまでもない。
例えば、第1蓋部(又は第2蓋部)に所定個数の爪を設けておくとともに、第2蓋部(又は第1蓋部)に前記爪に位置的に対応するような所定個数の嵌合孔を設けておく等という形態が考えられる。これによれば、DVD等の「収納」は爪及び嵌合孔の嵌め合わせにより、第1蓋部及び第2蓋部の「分離」は爪及び嵌合孔間を離間させることで、それぞれ実現することが可能である。
【0016】
本発明のディスク状記録媒体収納容器の一態様では、前記固定手段は、前記ディスク状記録媒体をそれぞれの面が相互に接触するように積層配列させて固定可能である。
【0017】
この態様によれば、ディスク状記録媒体は、直接、すなわち、ある一枚のDVDの表面に他のDVDの裏面が接触するように、重ねて収容される。したがって、よりコンパクトな収容が可能となり、場所をとらないという上述の作用効果は、より効果的に達成されることになる。
【0018】
本発明のディスク状記録媒体収納容器の他の態様では、前記固定手段は、前記複数枚のディスク状記録媒体の中心孔に嵌め込み可能な円筒形状を有している。
【0019】
この態様によれば、DVDの中心孔に嵌め込み可能な円筒形状の固定手段が備えられていることにより、収納容器内のDVDの固定を確実になすことができ、保管・運搬等における安全性を高めることが可能となる。
【0020】
なお、固定手段が円筒形状を有している態様では特に、前記固定手段は、その内周にねじが切られた孔が設けられるとともに、その外周に突出部が設けられた円盤部と、該円盤部をその内側に収めるとともに、前記突出部を突出可能とするため、その外周かつ長手方向に沿って形成された孔を備えた円筒部と、前記円盤部の前記孔に螺合かつ貫通配置されたボールねじとを備えているようにするとよい。
【0021】
このような構成によれば、固定手段は、その外周側から順に、円筒部、円盤部及びボールねじというような少なくとも三つの構成を有することとなる。そして、ボールねじは円盤部における、内周にねじが切られた孔に螺合かつ貫通配置されており、該円盤部の外周に設けられた突出部は、前記円筒部の外周かつ長手方向に沿って形成された孔から突出されている。
【0022】
このような構造によれば、ボールねじをその軸方向を中心として回転させると、円盤部もそれとともに回転するはずのところ、該円盤部の突出部が前記円筒部の孔から突出しているため、該円盤部の回転動作が制約を受けることとなる。そして、このように回転動作が制約された円盤部は、その内周にねじが切られていることにより、前記ボールねじの回転によって、結局、円筒部に沿った動きをすることとなる。
【0023】
そして、上述の場合において、前記円盤部の突出部の先端を連ねて観念される円形の径と、DVDの中心に形成された孔の径とが、適当な関係にあれば、該円盤部を円筒部内で適当に移動させることのみをもって、前述したような複数枚のDVDのうちから再生対象となるDVDの特定、ひいてはその「分離」を容易に実現することが可能となるのである。より具体的には次のようである。
【0024】
上述した例に沿い、いま、収納容器内に6枚のDVDがあり、その4枚目のDVDを「分離」したい場合を考えると、第1蓋部(又は第2蓋部)に設けられた固定手段の円筒部内では、その長手方向に沿って、円盤部を3枚目のDVDが位置する箇所まで到達させる一方、第2蓋部(又は第1蓋部)に設けられた固定手段においては、前述と同様に、円盤部を2枚目のDVDが位置する箇所まで到達させる。いずれについても、それぞれ固定手段を構成するボールねじを適当な角度(例えば、2回転以上を360°、…、720°、…、1080°等とカウントし、逆回転の場合には、−360°、…、−720°等とする。)だけ回転させることによればよい。
【0025】
このとき、それぞれの場所においては、円盤部の突出部の先端が、DVDの中心に形成された孔の内周を適当な力で押さえ付けることが可能なように、両者の材質、形状等を調整しておけば、当該円盤部によって、DVDをその内側から握持することが可能となる。そして、この状態が実現された後、再生対象のDVDの外周縁を前記開口部を通して適当な手段により握持するとともに、第1及び第2蓋部の固定手段を作用点とする力を働かせれば、3枚のDVDと第1蓋部(又は第2蓋部)もろとも、及び、2枚のDVDと第2蓋部(又は第1蓋部)もろとも、のそれぞれを、当該再生対象のDVDから離間させるように移動させることが可能となるのである。なお、この場合、第1蓋部の固定手段に働かせる力と、第2蓋部のそれに働かせる力とは、ちょうど反対方向になることは言うまでもない。
【0026】
このように、本態様によれば、複数枚のDVDのうちの任意の一枚のDVDの特定、ひいてはその分離を容易に実現することが可能となるのである。
【0027】
本発明のディスク状記録媒体収納容器の他の態様では、前記第1蓋部及び前記第2蓋部のいずれか一方に設けられた凹部と他方に設けられた凸部とが嵌合して前記第1蓋部の前記第2蓋部に対する開閉動作を可能とし、さらに前記凹部と前記凸部との嵌合状態を解除することにより前記第1蓋部と前記第2蓋部とが分離可能に構成されている。
【0028】
この態様によれば、第1蓋部及び第2蓋部の接合及び開閉動作、並びに、両者間の分離を好適に実現することができる。
【0029】
この場合、これら凸部及び凹部の形成態様としては、具体的には、次のようにすると好ましい。
【0030】
すなわち、前記第1蓋部及び前記第2蓋部は、それぞれ、直方体上の一面を除く他の面の少なくとも一部により囲まれた空間を収納空間とする形状を有するとともに、これら第1蓋部及び第2蓋部は前記ディスク状記録媒体の収納時において前記一面を向かい合わせるように配置されてなり、前記第1蓋部は、前記収納空間を挟んで対向する二つの対向面の上に凸部を備え、前記第2蓋部は、前記第1蓋部における前記二つの対向面に対応する二つの対向面の上に、かつ、前記凸部に位置的に対応する凹部を備えており、前記凸部及び前記凹部が互いに嵌合されているような構成である。
【0031】
このような構成によれば、全体として、直方体形状を有するディスク状記録媒体収納容器を提供することができる。また、本態様においては、上述のような凸部及び凹部を備えてなることにより、これらが前記対向面の適当な位置に形成されておれば、該凸部及び凹部の嵌合部位を中心とした、第1蓋部(又は第2蓋部)に対する第2蓋部(又は第1蓋部)の回転動作が可能となる。つまり、第1蓋部及び第2蓋部間において、一般に広く市販されているプラスチック状のディスク・ケースと同様な開閉動作が可能となるのである。
【0032】
このように、本態様によれば、所定のDVDプレーヤ内にそのまま装填することにより連続再生処理を実現することが可能であるのに加え、通常のディスク・ケースと同様に持ち運びに便利なディスク状記録媒体収納容器を提供することができる。しかも、これは複数枚のDVDを収納可能であるから、収納の利便性はより高まる。
【0033】
また、この態様によれば、基本的に、前記凸部及び前記凹部の嵌合部位のみをもって、第1蓋部及び第2蓋部に係る前述したような接合、すなわちディスク状記録媒体の収納が可能である。この場合、第1蓋部に設けられる固定手段及び第2蓋部に設けられるそれとの間にも、適当な嵌合がなされるような形としておけばより好ましい。このようにしておけば、当該ディスク状記録媒体収納容器内におけるDVD等の固定は、簡便な構成でありながら、強固に実現することが可能であり、その持ち運びにとってより好都合となる。
【0034】
なお、場合によっては、凸部及び凹部が形成されるべき部位とはなるべく離れた部分に、上述したような爪及び嵌合孔を設けておけば、第1蓋部及び第2蓋部の接合をより強固にすることが可能である。
【0035】
また、上述にいう「直方体上の一面を除く他の面の少なくとも一部により囲まれた空間を収納空間とする形状を有する」というのは、第1蓋部及び第2蓋部が、現実に、直方体の一面を除く五面すべてを有していてもよいし、有していなくともよいということを意味している。すなわち、本発明による限定は、あくまでも観念的に、「直方体上の一面を除く五面…により囲まれた空間」を想定しており、そのような空間を収納空間とする以上は、上述した事項の範囲内にある。より具体的には、現実には、前記の五面のうち四面しか存在しないが、直方体上の第五面目を想定することができる場合には、それは前記の範囲内にあるのである(後述の実施形態における「上蓋部XC1」参照。)。
【0036】
この態様では特に、前記第1蓋部に設けられた固定手段は、その円筒直径が前記第2蓋部に設けられた固定手段の円筒直径より小さく形成され、前記嵌合状態にある凹部と凸部を中心として第1蓋部の前記第2蓋部に対する閉動作を行う際に前記第1蓋部の固定手段が前記第2の固定手段に嵌合されるように構成するとよい。
【0037】
このような構成によれば、第1蓋部及び第2蓋部にそれぞれ設けられた凸部及び凹部、並びに、各固定手段の配置関係は好適となり、ディスクケースとして好適に利用することが可能となる。
【0038】
また、第1蓋部及び第2蓋部それぞれに凸部及び凹部が設けられる態様では特に、前記第1蓋部及び前記第2蓋部の少なくともいずれか一方には、前記凹部と前記凸部との嵌合状態を解除可能とする解除部が設けられているような構成とするとよい。
【0039】
このような構成によれば、解除部の存在により、凸部及び凹部間の嵌合状態の解除、ひいては第1蓋部及び第2蓋部間の分離を、比較的容易に実現することができる。
【0040】
さらに、この構成では特に、前記解除部は、前記凹部又は前記凸部を含む前記第1蓋部又は前記第2蓋部の所定の領域が変形可能に形成されている変形部を有するような構成とするとよい。
【0041】
このような構成によれば、変形部の存在によって、第1蓋部及び第2蓋部の所定の領域が変形することにより、凸部及び凹部間の離間、ひいては第1蓋部及び第2外部の分離を、より容易に実現することができる。
【0042】
この場合、前記解除部ないし該変形部の具体的態様としては、上述の凸部及び凹部の形成態様が直方体状の第1蓋部及び第2蓋部を構成する対向面上に形成されているものである場合において、次のようにすると好ましい。
【0043】
すなわち、前記凸部又は前記凹部のいずれか一方が形成された前記二つの対向面のそれぞれの一部を構成するとともに、当該凸部又は当該凹部を含む平面形状を有し、該平面形状の外周部の一部が当該対向面と接続され、かつ、その残部が当該対向面から切り離された舌片部を更に備えてなり、前記舌片部を、前記外周部の一部を軸として、前記対向面が載る平面から離脱するように移動させることにより、前記凸部を前記凹部から離間させることが可能であるような構成である。
【0044】
このような構成によれば、解除部、ないし変形部とは、すなわち「舌片部」を含意することになる。すなわち、本構成では、凸部又は凹部のいずれか一方が形成された二つの対向面のそれぞれの一部を構成するように、上述のような舌片部が形成されている。この舌片部は、例えば、前記平面形状として四辺形状を想定すると、その一辺が前記対向面に接続され、残る三辺が当該対向面から切り離された形を有することになる。
【0045】
このような舌片部は、前記一辺を軸として、前記対向面が載る平面から離脱させるように移動可能である。例えば、前記残る三辺のうち、対向面に接続された一辺に対向する一辺の近傍を、当該ディスク状記録媒体収納容器の外部から内部へ向けて押すようにすれば、当該舌片部は、そのいわば先端が、基端(上述の、対向面に接続された、あるいは軸となる一辺である。)を支点として「しなる」ように移動することになるから、上述のような離脱に係る移動が実現されることになるのである。
【0046】
そして、本構成では、これにより、前記凸部及び前記凹部が離間するのである。これは、舌片部上に前記凸部又は前記凹部が含まれていることによる。つまり、舌片部が、対向面が載る平面から離脱するように移動することにより、凸部及び凹部の離間を実現することができるのである。なお、いま述べた例から明らかなように、前記凸部又は凹部は、前記残る三辺のうち、対向面に接続された一辺に対向する一辺の近傍、要するに舌片部の先端近傍に位置するようにしておけば好ましい。このようにしておけば、上述のしなるような移動を極力小さく抑制することが可能だからである。ちなみに、この好ましい位置の実現は、凸部又は凹部の形成位置を決定する際に、あるいは、舌片部の形成位置を決定する際に、又は、両者の形成位置を相関的に勘案して決定する際に、考慮に入れておけばよい。
【0047】
以上のように、本態様では、凸部及び凹部によって互いに嵌合している第1蓋部及び第2蓋部における直接的な接触部分の離間を容易に実現することが可能であるから、第1蓋部及び第2蓋部全体の分離を容易に実現することが可能となるのである。
【0048】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下では、本発明のディスク状記録媒体収納容器をDVDケースに適用した実施の形態について、図1乃至図6を参照しながら説明する。ここに図1は、本実施形態に係るDVDケースの全体的な概要を示す斜視図であり、図2は、前記DVDケースを構成する上蓋部の平面図である。また、図3は、図2における符号Aが示す円形内の拡大図であって、舌片部の構成を示す説明図であり、図4は、舌片部の全体構成を示す斜視図である。さらには、図5は、ガイド機構の詳細な構成を示す分解斜視図であり、図6は、該ガイド機構の動作を説明するための説明図である。
【0050】
図1において、DVDケースXCは、大きく、上蓋部XC1及び下蓋部XC2、並びに、これら上蓋部XC1及び下蓋部XC2に設けられたガイド機構XG1及びXG2(本発明にいう「固定手段」の一例に該当する。)等からなる。以下これらの構成について順次詳しく説明する。
【0051】
上蓋部XC1及び下蓋部XC2は、図1に示すように、直方体上の一面を除く他の面の少なくとも一部により囲まれた空間を収納空間とする形状を有している。すなわち、上蓋部XC1は、略直方形状の上面XC11、該上面XC11の一辺に垂直に立つ側壁面XC13、そして上面XC11の残る二辺に垂直に立つとともに前記側壁面XC13と垂直な関係にある対向面XC14及びXC15という四面を有する。なお、これらのうち側壁面XC13に対向すべき側壁面については、上蓋部XC1に現実には設けられていない。一方、下蓋部XC2においても、上述の上蓋部XC1と略同様に、下面XC21、側壁面XC22及びXC23、対向面XC24及びXC25という五面を有している。下蓋部XC2では、上述の上蓋部XC1においては存在しなかった側壁面に対応する側壁面XC22が、現実に設けられている(図1参照)。
【0052】
これら各面においては、次のような構成が備えられている。まず、上蓋部XC1の対向面XC14及びXC15には、それぞれ開口部XC14H及びXC15Hが、また、下蓋部XC2の対向面XC24及びXC25にも、それぞれ前記開口部XC14H及びXC15Hに対応するように、開口部XC24H及びXC25Hが形成されている。これら開口部XC14H、XC15H、X24H及びXH25は、図2に示すように、収納されたDVD100の外周を、その外側から握持することを可能とする(図2中の矢印参照。この矢印の指し示す方向が握持方向である。)。
【0053】
また、上蓋部XC1の対向面XC14及びXC15には、それぞれ凹部XC141及びXC151が形成されているとともに、下蓋部XC2の対向面XC24及びXC25には、それぞれ凸部XC241及びXC251が形成されている。
本実施形態において、これらは対向面XC14及びXC15並びにXC24及びXC25の図1中最左方に形成されている。そして、これらのうち、凹部XC141及び凸部XC241とは、図2に示す符号Aの部位の拡大図たる図3に示すように、後者が前者に嵌合されるようになっている。なお、図示はしないが凹部XC151及び凸部XC251ついても同様である。このような嵌合並びにこれら凸部XC241及びXC251及び凹部XC141及びXC151の形成位置により、本実施形態に係るDVDケースXCでは、図1に示すように、前記嵌合部位を中心とした上蓋部XC1の下蓋部XC2に対する開閉動作が可能とされている(図3の両矢印参照)。
【0054】
さらに、下蓋部XC2の対向面XC24及びXC25にはそれぞれ、図1及び図3に示すように、前記の凸部XC241及びXC251を含むように舌片部XC24Z及びXC25Zが形成されている。このうち舌片部XC24Zは、図3及び図4に示すように略四辺形状を有しており、その一辺が対向面XC24に接続され(以下、当該一辺を「接続辺Z1」という。)、かつ、他の三辺が当該対向面XC24から切り離されている(以下、当該三辺を「切断辺Z2」という。)。これにより、当該舌片部XC24Zは、図3に示す破線のように、接続辺Z1を軸として、対向面XC24が載る平面から離脱するように移動させることが可能となっている。すなわち、舌片部XC24Zは、その先端がいわば「しなる」ように変形可能となっているのである。ちなみに、上蓋部XC1の対向面XC14には、図3に示すように、舌片部XC24Zの先端付近を外部から押すことが可能なように、切り欠き部XC142及びXC152が形成されている。この切り欠き部XC142及びXC152により、図3に示す白抜き矢印のように、舌片部XC24Zを外部から押すことが可能となる。なお、図示はしないが、これらの構成は、対向面XC25における舌片部XC25Zについても全く同様に備えられている。
【0055】
ちなみに、このような構成となる上蓋部XC1及びXC2は、適当なプラスチック材料等により構成すればよい。本実施形態においては、これら上蓋部XC1及びXC2は、透明なプラスチック材料で構成されている。そのため、図1においては、本来ならば背後に隠れるべき部位もまた示されている。
【0056】
さて一方、上蓋部XC1の上面XC11の中心及び下蓋部XC2の下面XC21の中心には、それぞれ、ガイド機構XG1及びXG2が設けられている。このガイド機構XG1及びXG2は、図1等に示すように、その外形が略円筒形状を有しており、収納されたDVD100の中心に形成された孔に嵌め込み可能となっている。また、該ガイド機構XG1及びXG2同士では、前者の外径が後者の内径よりも小さく形成されており、そのような関係において(すなわち、前者が後者に対して)嵌め込み可能とされている。
【0057】
このガイド機構XG1及びXG2は、上述のように、その径が異なるように形成されているものの、残余は略同様な構成を備えている。以下、その詳細を説明する。
【0058】
ガイド機構XG1及びXG2(以下、「XG1」に代表させる。)は、図5に示すように、大きく、円盤部XG11、円筒部XG12及びボールねじXG13からなる。円盤部XG11は、その内周にねじが切られた孔XG111を有しているとともに、その外周に突出部XG112を設けた構成となっている。突出部XG112は、適当な弾性を有する材料から構成されており、図5に示すように、円盤部XG11の外周から四方に飛び出すように(すなわち、各々が90°間隔を保って)形成されている。これら各突出部XG112の先端を連ねると略円形状となるが、その大きさは、DVD100の中心に形成された孔の大きさに略一致している。また、この突出部XG112とDVD100の中心に形成された孔との間においては、いま述べた「大きさ」に関する他、後述するような一定の関係が存在している。
【0059】
円筒部XG12は、前記円盤部XG11をその内側に収めるとともに、前記突出部XG112を突出可能とするため、その側壁XG121上かつ該円筒部XG12の長手方向に沿って形成された孔XG122を備えている。この孔XG112は、突出部XG112が四方に形成されていたことに対応して、やはり側壁XG121の四方に形成されている。
【0060】
ボールねじXG13は、円盤部XG131の孔XG111に螺合かつ貫通配置される。また、本実施形態においては特に、このボールねじXG13の先端には、掴み部XG131が形成されており、本実施形態に係るDVDケースXCを収納可能なDVDプレーヤにおいて、前記掴み部XG131を握持し、かつ、回転させることの可能な適当な構成を備えることによって、ボールねじXG13を、その軸を中心として回転させることが可能となる。
【0061】
ガイド機構XG1は、これら三つの構成が図5又は図6に示すように一体的に構成され、これが、上蓋部XC1に形成されたガイド機構取付孔XCGに対して装着されて構成されている。
【0062】
以上のような構成により、ガイド機構XG13における円盤部XG11は、図6(a)及び(b)に示すように、ボールねじXG13を回転させることによって、円筒部XG12に沿う図中上下の方向に移動することとなる。これは、本来であれば、ボールねじXG13を回転させると、それに伴って円盤部XG11も共に回転するところ、図1、図5及び図6においては、該円盤部XG11の突出部XG112が円筒部XG12の孔XG122から突出しているため、該円盤部XG11の回転動作が制約を受けることによる。したがって、その内周にねじが切られた孔XG111を有する円盤部XG12は、円筒部XG11に沿って図中上下に移動することとなるのである。
【0063】
なお、このような構成は、下蓋部XC2に設けられたガイド機構XG2についても全く同様である。すなわち、該ガイド機構XG2は、上述と略同様にして、その内周にねじが切られた孔XG211及び突出部XG212を有する円盤部XG21、前記突出部XG212を突出させるための孔XG222を有する円筒部XG22、並びに、掴み部XG231を有するボールねじXG23等から構成されている。
【0064】
ただし、本実施形態においては、上述したように、上蓋部XC1のガイド機構XG1が、下蓋部XG2のガイド機構XG2に嵌め込み可能に形成されているため、前記の円盤部XG21及び円筒部XG22等の大きさは、円盤部XG11、円筒部XG12の大きさとは異なっている。しかしながら、円盤部XG11の突出部XG112の先端を連ねた円形の大きさと、円盤部XG21の突出部XG212のそれとは同じにしなければならない。これは、後述するように、突出部XG112及びXG212のいずれにしても、DVD100の中心に形成された孔の内径と一定の関係にある必要があるからである(後に参照する図8参照)。
【0065】
また、ガイド機構XG1がガイド機構XG2に嵌め込み可能に構成されているため、場合によっては、ガイド機構XG1を構成する円盤部XG11が、ガイド機構XG2を構成する円筒部XG22内にまで至る可能性がある。このような場合においても円盤部XG11の動きを滞りなく行うためには、少なくとも、円盤部XG11及びXG21に形成する孔XG111及びXG211の径、並びに、ボールねじXG13及びXG23の径を等しくするとともに、円筒部XG12及びXG22に形成された孔XG122及びXG222が連続した一つの孔を構成するように、ガイド機構XG1及びXG2の上面XC11及び下面XC21に対する取付を実施しなければならない(後に参照する図8参照)。
【0066】
以下では、以上のような構成となるDVDケースXCを運用例について、図8等を参照しながら説明する。なお、本実施形態においては、上述したようなDVDケースXCをそのまま装填可能であり、かつ、再生対象となるDVD100を選択するための上蓋部XC1及び下蓋部XC2の分離、該DVD100に対するピックアップユニットの所定位置への配置等を自動的に行うことの可能なDVDプレーヤにおいて、前記DVDケースXCを使用する態様について主に説明することとする。したがって、以下ではまず、そのようなDVDプレーヤの構成等について、図7を参照しながら簡単な説明をしておく。
【0067】
図7において、DVDプレーヤ1は、大きく、筐体1B、DVD握持機構2、DVDケース分離機構3、再生対象DVD分離機構4、ピックアップユニット5等からなっている。このうち筐体1Bには、図7に示すように、DVDケースXCを挿脱するための挿脱口1BHが形成さている。DVDケースXCは、この挿脱口1BHを通じて、上述の各種構成(DVD握持機構2、DVDケース分離機構3、再生対象DVD分離機構4及びピックアップユニット5)の概ね中心に配置されるようになっている。
【0068】
DVD握持機構2は、ボールねじによって貫通されたチャック部201を有している。これにより、チャック部201は、当該ボールねじを所定角度だけ回転させることにより、その上下位置の調整が行えるようになっている。また、DVDケース分離機構3は、舌片部押しピン301を有しており、該舌片部押しピン301の基端に適当なカム機構等を備えることで、図中右方向へ飛び出す動作、及び、図中左方向へ引っ込む動作が可能となっている。
【0069】
さらに、再生対象DVD分離機構4は、DVDケースXCに設けられた前記のガイド機構XG1及びXG2における掴み部XG131及びXG231を握持し、かつ、これを回転させる握持回転部401、該握持回転部401をその先端に備えるアーム部402、及び、該アーム部402の基端に貫通配置されたボールねじ403等を有している。このうちアーム部402は、ボールねじ403の軸を中心とした回転動作が可能なようにも構成されている。このような構造により、まず、アーム部402及び握持回転部401は、ボールねじ403の回転に伴って図中上下に移動可能である。また、アーム部402の基端を中心とした回転動作により、その先端を、DVDプレーヤ1内に装着されたDVDケースXC中のDVD100の中心に対して、位置付ける動作又は回避させる動作が可能となっている。そして、握持回転部401は、ガイド機構XG1及びXG2の掴み部XG131及びXG231を握持した上で、これを回転させることが可能である。これにより、図6に示したような回転動作をガイド機構XG1及びXG2のボールねじXG13及びXG23に与えることが可能であるから、円盤部XG11及びXG21を上下に移動させることが可能となる。なお、上述した、アーム部402の基端を中心とした回転動作は必ずしも必要ではない。すなわち、アーム部402の先端が装填済みDVDケースXCの掴み部XG131及びXG231を貫く線上に位置するように(すなわち、該アーム部402が上下動するのみで握持回転部401による掴み部XG131及びXG231の握持が可能なように)、該アーム部402を予め固定しておくような形態としてもよい。
【0070】
更には、ピックアップユニット5は、DVD100を回転させるためのスピンドルモータ501、DVD100の情報記録面に記録されたコンテンツ情報を読み取るためのピックアップ502、該ピックアップ502のDVD100径方向の移動を行うためのキャリッジモータ503等を備えているが、これらについては公知の構成であるため、その他の説明は省略する。
【0071】
以下では、このようなDVDプレーヤ1の動作態様についても適宜触れつつ、本実施形態に係るDVDケースXCの運用が如何に行われるかを説明する。
【0072】
まず、本実施形態に係るDVDケースXCに対して、複数枚のDVD100を装着する。この装着は、図8に示すように、DVD100の中心に形成された孔100Nに、ガイド機構XG1及びXG2を通すようにして行われる。また、この装着は、複数枚のDVD100の面同士が相互に触れるように、直接的に積層されてなる。なお、以下では、6枚のDVD100が積層される場合について説明し、各DVD100については、図8に示すように、1番上からDVD100(1)、100(2)、…、100(6)という符号を付すこととする。
【0073】
次に、このようにDVD100を装着したDVDケースXCを、上述したようなDVDプレーヤ1に対して装填する。装填されたDVDケースXCは、該DVDプレーヤ1内において、上述の各種構成の概ね中心に位置するように配置される。
【0074】
次に、ユーザからの再生指令等を待った上で、DVDの再生処理を開始する。
ここでは、ユーザからの再生指令が、DVDケースXC内における上から4枚目のDVD100(4)である場合を想定した説明を行うこととする。
【0075】
まず、DVDプレーヤ1が、当該再生指令を受けると、DVD握持機構2及びDVDケース分離機構3が動作する。DVD握持機構2は、4枚目のDVD100(4)を握持すべくチャック部201を上下動させて所定の位置に配置させる。そして、本実施形態においては特に、このチャック部201によるDVD100(4)の握持は、DVDケースXCに形成されている開口部XC14H及びXC15H並びにXC24H及びXC25H(以下、符号「XC14H」に代表させる。)を利用して行うことが可能である。すなわち、これら開口部XC14Hにおいては、図2を参照して説明したように、DVD100の外周部が外部に露出しているから、その握持は容易に行えるのである。
【0076】
次に、DVDケース分離機構3の舌片部押しピン301を、DVDケースXCにおける上蓋部XC1の切り欠き部XC142及びXC152に通し、かつ、該ピン301を舌片部XC24Z及びXC25Zに当接させるとともに適度な力で押す。すると、図3を参照して説明したように、舌片部XC241は、その先端がしなるように変形することで、下蓋部XC2の凸部XC241と上蓋部XC1の凹部XC141とを離間させることが可能となる。これにより、上蓋部XC1及び下蓋部XC2の分離(後述する。)を可能とすることになる。なお、図3では片側のみ示していたが、舌片部押しピン301は、図7に示すように図中左右両側に設けられており、DVDケースXCの両側について、上述のような凸部・凹部間の離間動作が行われることとなる。
【0077】
次に、再生対象DVD分離機構4の握持回転部401によって、上蓋部XC1及び下蓋部XC2それぞれのガイド機構XG1及びXG2の掴み部XG131及びXG231を握持するとともに、これを所定角度だけ回転させる。すると、図6を参照して説明したように、ガイド機構XG1及びXG2における円盤部XG11及びXG21は、円筒部XG12及びXG22内を上下に移動することとなる。
【0078】
ここで、突出部XG112とDVD100の孔100Nとの間には、次に記すような「一定の関係」がある。すなわち、本実施形態においては、図6で説明したような円盤部XG11の上下の移動及び突出部XG12によるDVD100の孔100Nの内周の握持によって、再生対象のDVD100の直上(又は直下)に位置するDVD100を、該再生対象のDVD100から離間・分離させる作用を発揮するが、この際まず、前者の「移動」を実現するためには、図8における3枚目のDVD100(3)に到達するまで、円盤部XG11は、2枚のDVD100(1)及び100(2)それぞれの孔100Nを通過しなければならない。このとき、突出部XG112の剛性があまりに大きいと、これが不可能となる。また、後者の「握持」を実現するためには、当該3枚目のDVD100(3)に到達した時点において、これを握持しなければならないが、突出部XG112の弾性があまりに大きいと、これが不可能となる。このように、両者を実現するためには、一般に、突出部XG112とDVD100の孔100Nとの間には、その材料、形状等に関して、満たされるべき一定の好ましい条件がある。
【0079】
より具体的には、突出部XG112の先端を連ねて観念される円形の大きさとDVD100の孔100Nの大きさとが略一致し、かつ、該突出部XG112が適当な材料で構成されることが好ましい。本実施形態においては、突出部XG112が、既述のように、適当な弾性を有する材料から構成されているため、上述のような「一定の関係」は好適に満たされることとなる。
【0080】
以上のことから、本実施形態においては、図9及び図10に示すように、再生対象のDVD100(4)の分離がなされることになる。すなわちまず、図9に示すように、DVD握持機構2のチャック部201によって握持された再生対象のDVD100(4)の直上及び直下に位置するDVD100(3)及び100(5)の孔100Nを、それぞれ、ガイド機構XG1及びXG2における円盤部XG11及びXG21の突出部XG112及びXG212によって握持する。これは、図9に示すように、ガイド機構XG1及びXG2の掴み部XG131及びXG231を再生対象DVD分離機構4の握持回転部401によって握持した後、これを回転動作させることにより実現することができる。この際、上述したように、突出部XG112及びXG212が適当な弾性を有する材料からなり、かつ、これらの先端を連ねた円形の大きさと孔100Nの大きさとは略一致しているため、円盤部XG11及びXG21のスムースな移動と、突出部XG112及びXG212による孔100Nの内周の握持との両者を、円滑かつ確実に行うことができる。そして次に、図10に示すように、再生対象DVD分離機構4のアーム部402を、図中上下に移動させることによって、図9において握持されたDVD100(3)より上層に位置する構成、すなわちDVD100(2)及び100(1)並びに上蓋部XC1は上に、同じくDVD100(5)より下層に位置する構成、すなわちDVD100(6)及び下蓋部XC2は下に、それぞれ移動することとなる。その結果、再生対象のDVD100(4)は、いわば宙に浮いたような状態となり、これにより当該DVD100(4)の分離作業が終了することとなる。なお、図11においては、このような状態を斜視的に示している。この図においても、上蓋部XC1及び下蓋部XC2は上下に分離され、チャック部201に握持されたDVD100(4)のみが宙に浮いているかの如き状態が現出されていることがわかる。
【0081】
この後は、DVD100(4)の孔100Nに対してスピンドルモータ501の出力軸が嵌め込まれるように(より実際的には、図示しないディスク・クランプ機構等によって、DVD100(4)の孔100Nの内周をクランプすることによって、スピンドルモータ501の出力軸を当該孔100Nに機械的に接続するような形となる。)、あるいは、DVD100(4)の情報記録面にピックアップ503が対向するように、ピックアップユニット5を所定位置に移動させた後(図10参照)、通常の再生処理を実行すればよい。
【0082】
このような運用が可能となるDVDケースXCでは、DVD100の複数枚連続再生を実現するために、従来のように、DVDプレーヤ1内で比較的広大な空間を必要とするということがない。逆にいえば、本実施形態に係るDVDケースXCを利用すれば、よりコンパクトなDVDプレーヤ1であっても、複数枚のDVD100の連続再生処理を実現することができる。これは、上記実施形態で述べたように、握持された4枚目のDVD100(4)の情報記録面と、2枚のDVD100(5)及び100(6)との間に、ピックアップユニット5が入り込むに十分な距離を確保すればよく、また、該情報記録面とは反対側に位置する3枚のDVD100(1)〜100(3)と当該4枚目のDVD100(4)とが離間すべき距離は、互いに接触しないという条件を最低限満たしさえすればよいからである。要するに、DVD100(4)の分離に必要な装置動作が比較的小さいため、DVDプレーヤ1を、よりコンパクトに構成可能なのである。
【0083】
また、本実施形態によれば、一のDVD100(n1)から、次のDVD100(n2)(ただし、n1≠n2)への連続再生処理をより短時間で、換言すれば、滑らかに且つ迅速に実現することができる。これもまた、再生対象のDVD100を分離させるに必要な動作が比較的小さいがゆえである。
【0084】
以上のような本実施形態に係る作用効果は、図12に示す従来のディスク・ケースXCCとの対比においてより明確になる。ここに図12は、従来のディスク・ケースXCCの構成を示す図であり、(a)は全体斜視図、(b)は該ディスク・ケースXCCからDVD100を載置したトレイXCCTを引き出した状態を示す全体斜視図、(c)は該ディスク・ケースXCCを装填した状態における従来のDVDプレーヤ1C内の様子を示す説明図である。
【0085】
この図12に示すように、従来のディスク・ケースXCCでは、複数枚のDVD100を装着可能である点については本実施形態に係るDVD100と同様であるが、該複数枚のDVD100の各々は複数のトレイXCCT上に載置される形で装着されるようになっている。したがって、再生対象のDVD100を選択するためには、図12(b)に示すように、ディスク・ケースXCC内から、当該DVD100が載置されたトレイXCCTごと、外部へと引っ張り出さなければならなかった。これにより、図12(c)に示すように、従来のDVDプレーヤ1C内では、ディスク・ケースXCCが設置されるべき空間とは別に、上述のようなトレイXCCTが引っ張り出される領域分だけ余計な空間を確保しておかなければならなかったのである。また、このような形態では、一のDVDから次のDVDへの連続再生を実施する際には、トレイXCCTのディスク・ケースXCC内への搬入動作(再生済みDVD)及び搬出動作(新たな再生対象のDVD)を行わなければならず、比較的長期の時間がかかっていたのである。
【0086】
しかるに、本実施形態に係るDVDケースXCは、既に述べたように、上記二つの問題点を有効に解消し、コンパクトなDVDプレーヤ1における連続再生が可能であり、かつ、滑らか且つ迅速な連続再生が可能なのである。
【0087】
ちなみに、本実施形態のDVDケースXCに係る上述のような作用効果は、上述のDVDプレーヤ1が車載用である場合にとりわけ有効である。というのも、DVDプレーヤをよりコンパクトに構成することが可能であるから、従来、一般的にトランク等に設置されていたDVDプレーヤを、例えば、より快適な操作が可能となるダッシュボードの一部として構成する、等ということが可能となるからである。
【0088】
また、本実施形態に係るDVDケースXCにおいては、上述のようなDVDプレーヤ1の存在如何に関わらず、その持ち運びの利便性が高まるという利点を享受することも可能である。
【0089】
すなわち、本実施形態のDVDケースXCでは、常態において、下蓋部XC2における凸部XC241及びXC251は、上蓋部XC1における凹部XC141及びXC151に嵌合されていることにより、図1に示すように、その嵌合部位を中心とした、上蓋部XC1(又は下蓋部XC2)に対する下蓋部XC2(又は上蓋部XC1)の回転動作、すなわちDVDケースXCの開閉動作が可能となっているから、広く市場に供給されている、いわゆるディスク・ケースと全く同様な態様でその使用が可能となっている。さらには、本実施形態では、上蓋部XC1のガイド機構XG1が、下蓋部XC2のガイド機構XG2に対して嵌め込み可能に構成されていたから、DVDケースXCを閉めた状態においては、複数枚のDVD100の固定は強固である。以上のことから、本実施形態に係るDVDケースXCは、複数枚のDVD100を保管・運搬等する際においても便利に利用することが可能なのである。
【0090】
なお、上記実施形態においては、DVDケースXC内に収納可能なDVD100は6枚とされていたが、本発明は、このような形態に限定されるものでないことは当然である。
【0091】
また、DVD100を収納するためのDVDケースXCについて説明したが、本発明は、このような形態に限定されるものではない。例えば、CD、MD等のディスク状記録媒体を収納する容器についても、全く同様に当てはめて考えることができる。
【0092】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うディスク状記録媒体収納容器もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るDVDケースの全体的な概要を示す斜視図である。
【図2】前記DVDケースを構成する上蓋部の平面図である。
【図3】図2における符号Aが示す円形内の拡大図であって、舌片部の構成を示す説明図である。
【図4】図3に示す舌片部の全体構成を示す斜視図である。
【図5】図1に示すDVDケースを構成するガイド機構の詳細な構成を示す分解斜視図である。
【図6】図1に示すDVDケースを構成するガイド機構の動作を説明するための説明図である
【図7】図1に示すDVDケースを好適に運用することの可能なDVDプレーヤの概略的な構成を示す斜視図である。
【図8】図1に示すDVDケースに対して複数枚のDVDを装着した状態を示す断面図である。
【図9】図8に示す状態より進み、再生対象のDVDの直上及び直下に位置するDVDの孔の内周をガイド機構における円盤部の突出部によって握持する状態を示す断面図である。
【図10】図9に示す状態より進み、再生対象のDVDの分離を実現し、該DVDの情報記録面に対してピックアップユニットを対向させた状態を示す断面図である。
【図11】再生対象のDVDの分離を実現した状態を斜視的に示す説明図である。
【図12】従来のディスク・ケースの構成を示す図であり、(a)は全体斜視図、(b)は該ディスク・ケースXCCからDVD100を載置したトレイXCCTを引き出した状態を示す全体斜視図、(c)は該ディスク・ケースXCCを装填した状態における従来のDVDプレーヤ1C内の様子を示す説明図である。
【符号の説明】
100…DVD
100N…(DVDの中心に形成された)孔
XC…DVDケース
XC1…上蓋部
XC2…下蓋部
XC11…上面
XC13、XC22、XC23…側壁面
XC14、XC15、XC24、XC25…対向面
XC14H、XC15H、XC24H、XC25H…開口部
XC141、XC151…凹部
XC241、XC251…凸部
XC24Z、XC25Z…舌片部
XC142、XC152…切り欠き部
XG1、XG2…ガイド機構
XG11、XG21…円盤部
XG111、XG211…内周にねじが切られた孔
XG112、XG212…突出部
XG12、XG22…円筒部
XG121、XG221…側壁
XG122、XG222…孔
XG13、XG23…ボールねじ
XG131、XG231…掴み部
XCG…ガイド機構取付孔
1…DVDプレーヤ
2…DVD握持機構
201…チャック部
3…DVDケース分離機構
301…舌片部押しピン
4…再生対象DVD分離機構
401…握持回転部
402…アーム部
403…ボールねじ
5…ピックアップユニット
501…スピンドルモータ
502…ピックアップ
503…キャリッジモータ
【発明の属する技術分野】
本発明は、CD(Compact Disc)、MD(Mini Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等のディスク状の記録媒体を収納可能な収納容器の技術分野に属する。
【0002】
【背景技術】
従来、CD、MD、DVD等の記録媒体及びこれらを再生する各プレーヤが提供されている。このうちプレーヤとしては、例えば、屋内で音楽鑑賞又は映画鑑賞等を楽しむためのものや、自動車等に搭載されて使用される車載用のものも普及しはじめている。後者では、既存のカーステレオに電気的接続されたスピーカやカーナビゲーションシステムに電気的接続された画像表示装置等を介して、音楽又は映像等を楽しむことができる。
【0003】
また、上述の各種の記録媒体のうちでは特に、DVDは、比較的大容量の映像情報、音声情報等のコンテンツ情報(例えば、映画一本分の画像及び音声等)を一枚のディスク内に収納可能な記録媒体であり、今後、主流の地位を占めるものと考えられる。
【0004】
このようなDVDは、情報再生装置の一例たるDVDプレーヤによって再生されるが、このDVDプレーヤとしては、従来において次のような構成を備えるものがあった。すなわち、複数枚のDVDを収納可能であり、一のDVDの再生終了後、該DVDの取り出し及び新たなDVDの挿入という手間をかけずに、次のDVDの再生処理を実行可能なDVDプレーヤである。このような連続再生処理を実現するため、より具体的には、複数枚のDVDを載置可能な複数のトレイを備えたディスク・ケースが用意されるとともに、当該DVDプレーヤに、このディスク・ケースを一括して装填する構造を有するものが知られている。このような構造では、あるDVDを再生しようとする場合、当該DVDが載置されたトレイをディスク・ケースの外側に引っ張り出した後、当該DVDに対して、ディスククランプ機構、並びにスピンドルモータ及びピックアップ等を備えたユニット(以下、単に「ピックアップユニット」という。)を所定の位置に配置させた上で、再生処理が開始されるということになる。このようなDVDプレーヤでは、上述の説明から明らかなように、DVDの挿脱ないし交換作業を一々行う必要がないから、ユーザの負担を軽減することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のようなDVDプレーヤにおいては、次のような問題点があった。すなわち、前記ディスク・ケースを装填可能なDVDプレーヤでは、当該DVDプレーヤ内において、前記トレイを引っ張り出すための空間、換言すれば、ピックアップユニットを適当な位置に配置するとともにDVDを再生するための空間を確保しなければならず、当該DVDプレーヤは、必然的に大型化せざるをえなかった点である。より具体的には、トレイの半分以上は、ディスク・ケースから引っ張り出す必要があった。このことは、該DVDプレーヤを車載用として構成する場合において大きな制約となる。自動車内において、上述のような空間を十分に確保できる場所としてはトランク内等しかないからである。つまり、このような連続再生処理可能なDVDプレーヤを、例えば、より好ましい設置場所として想定されるダッシュボードの一部として構成することは一般に極めて困難だったのである。
【0006】
また、上述のような構成となるDVDプレーヤでは、あるDVDの再生が完了した後、次のDVDの再生を行おうとする場合において、一般に、比較的長い時間がかかるという問題点もあった。これは、このような連続再生に係る動作を行おうとするためには、第一に、再生済みDVDからピックアップユニット等を退避させる、第二に、当該DVDを載置するトレイをディスク・ケース内に収納する。第三に、新たなDVDを載置するトレイをディスク・ケース内から引っ張り出す、第四に、当該DVDに対してピックアップユニット等を所定位置に配置する、という各動作が必要であることによる。したがって、せっかく複数枚のDVDを搭載しているにもかかわらず、異なるDVD間の滑らかな連続再生処理を行うことが困難だったのである。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、よりコンパクトなDVDプレーヤ等の情報再生装置による再生処理を可能とするとともに、異なるディスク状記録媒体間の連続的な再生処理を滑らかに、かつ、迅速に実現することを可能とするディスク状記録媒体収納容器を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のディスク状記録媒体収納容器は、上記課題を解決するため、相互に分離可能に構成された第1蓋部及び第2蓋部と、前記第1蓋部及び前記第2蓋部のそれぞれに設けられ、複数枚のディスク状記録媒体を同軸的に重ねて固定可能な固定手段と、前記第1蓋部と前記第2蓋部に設けられ、前記ディスク状記録媒体の外周縁の少なくとも一部を外部に曝す開口部とを備えている。
【0009】
本発明のディスク状記録媒体収納容器によれば、従来のように、ディスク状記録媒体の一例たるDVDの複数枚連続再生をするために、DVDプレーヤ内で比較的広大な空間を必要とするということがない。すなわち、本態様に係るディスク状記録媒体収納容器を利用すれば、よりコンパクトなDVDプレーヤ等の情報再生装置であっても、複数枚のDVDの連続再生処理を実現することができる。
また、本発明によれば、一のDVDから次のDVDへの連続再生処理をより短時間で実現することができる。これらは、本態様に係るディスク状記録媒体収納容器が、次のように運用可能であることによる。
【0010】
まず、本発明によれば、背景技術の項で述べたような「トレイ」はないものの、複数枚のDVDを収納可能であることは同様である。収納時においては、第1蓋部又は第2蓋部にそれぞれ設けられた固定手段によって、同軸的に重ねて積層された複数枚のDVDを適当に固定するとともに、該第1蓋部及び該第2蓋部を向かい合わせた上、適当な手段により接合(ただし、「相互に分離可能」である。)すれば、当該複数枚のDVDを収納可能である。また、このように複数枚のDVDを収納したディスク状記録媒体を、対応可能なDVDプレーヤに装填可能であることも従前と全く同様である。
【0011】
ここで、本発明では特に、以下に記す点が可能となる。すなわち、第1蓋部及び第2蓋部に設けられた「開口部」を利用することにより、その外部から、収納された複数枚のDVDのうちの一枚を握持することが可能な点、また、その握持されたDVDを中心として、その両側に位置するDVDとともに、第1蓋部及び第2蓋部を「分離」することが可能な点である。ここでは一例として、当該ディスク状記録媒体収納容器内に6枚のDVDが収納されており、その中の4枚目のDVDを握持する場合を考えると、その一方の片側には3枚のDVDが、他方の片側には2枚のDVDが存在することとなるから、該3枚のDVDと第1蓋部(又は第2蓋部)をともに移動させることが可能であり、該2枚のDVDと第2蓋部(又は第1蓋部)をともに移動させることが可能である。つまり、このような操作を行えば、再生しようとするDVDの分離を、場所をとることなく、かつ、滑らか且つ迅速に実現することが可能となるのである。
【0012】
すなわち、まず「場所をとること」がないという点について言えば、上述の例では、握持された4枚目のDVDの情報記録面と、前記3枚のDVD(又は前記2枚のDVD、当該4枚目のDVDの情報記録面がどちら側かによる。)の面との間に、ピックアップユニットが入り込むに十分な距離を確保すればよく、また、該情報記録面とは反対側に位置する前記2枚のDVD(又は前記3枚のDVD、上述と同じ趣旨。)と当該4枚目のDVDとが離間すべき距離は、互いに接触しないという条件を最低限満たしさえすればよいから、従来のようにトレイの半分以上をディスク・ケースから引っ張り出すための空間がDVDプレーヤ内に必要とはならないのである。
【0013】
また、このような動作を「滑らか且つ迅速に」実現できるのは、上述のように、再生対象のDVDを分離させるに必要な動作が比較的小さいがゆえである。具体的には、上記の状態から続いて、5枚目のDVDを選択したい場合には、まず、ピックアップユニットを退避させ、第1蓋部及び第2蓋部を再び接合した状態とし、5枚目のDVDを握持した後改めて、その一方の片側に位置する4枚のDVD及び他方の片側に位置する1枚のDVDを、第1蓋部及び第2蓋部とともに再び分離すればよい。この場合、上述の接合、握持及び分離の各動作は極めて小さな距離について行われるだけであるから、DVDの選択動作は、滑らかに、かつ、迅速に行われるのである。
【0014】
以上のように、本発明に係るディスク状記録媒体収納容器によれば、よりコンパクトなDVDプレーヤであっても、DVDの連続再生処理が可能であり、かつ、異なるDVD間の連続的な再生処理を滑らかに、かつ、迅速に実現することが可能である。
【0015】
なお、本発明において、第1蓋部及び第2蓋部は、ディスク状記録媒体を「収納可能」であり、かつ、「相互に分離可能」であるという要件を満たす必要があるが、これには、本発明の一態様として説明する後述の「凸部」及び「凹部」が備えられている形態が最も好ましい一例である。ただし、本発明の範囲内にある形態としては、その他種々のものを考えることができることは言うまでもない。
例えば、第1蓋部(又は第2蓋部)に所定個数の爪を設けておくとともに、第2蓋部(又は第1蓋部)に前記爪に位置的に対応するような所定個数の嵌合孔を設けておく等という形態が考えられる。これによれば、DVD等の「収納」は爪及び嵌合孔の嵌め合わせにより、第1蓋部及び第2蓋部の「分離」は爪及び嵌合孔間を離間させることで、それぞれ実現することが可能である。
【0016】
本発明のディスク状記録媒体収納容器の一態様では、前記固定手段は、前記ディスク状記録媒体をそれぞれの面が相互に接触するように積層配列させて固定可能である。
【0017】
この態様によれば、ディスク状記録媒体は、直接、すなわち、ある一枚のDVDの表面に他のDVDの裏面が接触するように、重ねて収容される。したがって、よりコンパクトな収容が可能となり、場所をとらないという上述の作用効果は、より効果的に達成されることになる。
【0018】
本発明のディスク状記録媒体収納容器の他の態様では、前記固定手段は、前記複数枚のディスク状記録媒体の中心孔に嵌め込み可能な円筒形状を有している。
【0019】
この態様によれば、DVDの中心孔に嵌め込み可能な円筒形状の固定手段が備えられていることにより、収納容器内のDVDの固定を確実になすことができ、保管・運搬等における安全性を高めることが可能となる。
【0020】
なお、固定手段が円筒形状を有している態様では特に、前記固定手段は、その内周にねじが切られた孔が設けられるとともに、その外周に突出部が設けられた円盤部と、該円盤部をその内側に収めるとともに、前記突出部を突出可能とするため、その外周かつ長手方向に沿って形成された孔を備えた円筒部と、前記円盤部の前記孔に螺合かつ貫通配置されたボールねじとを備えているようにするとよい。
【0021】
このような構成によれば、固定手段は、その外周側から順に、円筒部、円盤部及びボールねじというような少なくとも三つの構成を有することとなる。そして、ボールねじは円盤部における、内周にねじが切られた孔に螺合かつ貫通配置されており、該円盤部の外周に設けられた突出部は、前記円筒部の外周かつ長手方向に沿って形成された孔から突出されている。
【0022】
このような構造によれば、ボールねじをその軸方向を中心として回転させると、円盤部もそれとともに回転するはずのところ、該円盤部の突出部が前記円筒部の孔から突出しているため、該円盤部の回転動作が制約を受けることとなる。そして、このように回転動作が制約された円盤部は、その内周にねじが切られていることにより、前記ボールねじの回転によって、結局、円筒部に沿った動きをすることとなる。
【0023】
そして、上述の場合において、前記円盤部の突出部の先端を連ねて観念される円形の径と、DVDの中心に形成された孔の径とが、適当な関係にあれば、該円盤部を円筒部内で適当に移動させることのみをもって、前述したような複数枚のDVDのうちから再生対象となるDVDの特定、ひいてはその「分離」を容易に実現することが可能となるのである。より具体的には次のようである。
【0024】
上述した例に沿い、いま、収納容器内に6枚のDVDがあり、その4枚目のDVDを「分離」したい場合を考えると、第1蓋部(又は第2蓋部)に設けられた固定手段の円筒部内では、その長手方向に沿って、円盤部を3枚目のDVDが位置する箇所まで到達させる一方、第2蓋部(又は第1蓋部)に設けられた固定手段においては、前述と同様に、円盤部を2枚目のDVDが位置する箇所まで到達させる。いずれについても、それぞれ固定手段を構成するボールねじを適当な角度(例えば、2回転以上を360°、…、720°、…、1080°等とカウントし、逆回転の場合には、−360°、…、−720°等とする。)だけ回転させることによればよい。
【0025】
このとき、それぞれの場所においては、円盤部の突出部の先端が、DVDの中心に形成された孔の内周を適当な力で押さえ付けることが可能なように、両者の材質、形状等を調整しておけば、当該円盤部によって、DVDをその内側から握持することが可能となる。そして、この状態が実現された後、再生対象のDVDの外周縁を前記開口部を通して適当な手段により握持するとともに、第1及び第2蓋部の固定手段を作用点とする力を働かせれば、3枚のDVDと第1蓋部(又は第2蓋部)もろとも、及び、2枚のDVDと第2蓋部(又は第1蓋部)もろとも、のそれぞれを、当該再生対象のDVDから離間させるように移動させることが可能となるのである。なお、この場合、第1蓋部の固定手段に働かせる力と、第2蓋部のそれに働かせる力とは、ちょうど反対方向になることは言うまでもない。
【0026】
このように、本態様によれば、複数枚のDVDのうちの任意の一枚のDVDの特定、ひいてはその分離を容易に実現することが可能となるのである。
【0027】
本発明のディスク状記録媒体収納容器の他の態様では、前記第1蓋部及び前記第2蓋部のいずれか一方に設けられた凹部と他方に設けられた凸部とが嵌合して前記第1蓋部の前記第2蓋部に対する開閉動作を可能とし、さらに前記凹部と前記凸部との嵌合状態を解除することにより前記第1蓋部と前記第2蓋部とが分離可能に構成されている。
【0028】
この態様によれば、第1蓋部及び第2蓋部の接合及び開閉動作、並びに、両者間の分離を好適に実現することができる。
【0029】
この場合、これら凸部及び凹部の形成態様としては、具体的には、次のようにすると好ましい。
【0030】
すなわち、前記第1蓋部及び前記第2蓋部は、それぞれ、直方体上の一面を除く他の面の少なくとも一部により囲まれた空間を収納空間とする形状を有するとともに、これら第1蓋部及び第2蓋部は前記ディスク状記録媒体の収納時において前記一面を向かい合わせるように配置されてなり、前記第1蓋部は、前記収納空間を挟んで対向する二つの対向面の上に凸部を備え、前記第2蓋部は、前記第1蓋部における前記二つの対向面に対応する二つの対向面の上に、かつ、前記凸部に位置的に対応する凹部を備えており、前記凸部及び前記凹部が互いに嵌合されているような構成である。
【0031】
このような構成によれば、全体として、直方体形状を有するディスク状記録媒体収納容器を提供することができる。また、本態様においては、上述のような凸部及び凹部を備えてなることにより、これらが前記対向面の適当な位置に形成されておれば、該凸部及び凹部の嵌合部位を中心とした、第1蓋部(又は第2蓋部)に対する第2蓋部(又は第1蓋部)の回転動作が可能となる。つまり、第1蓋部及び第2蓋部間において、一般に広く市販されているプラスチック状のディスク・ケースと同様な開閉動作が可能となるのである。
【0032】
このように、本態様によれば、所定のDVDプレーヤ内にそのまま装填することにより連続再生処理を実現することが可能であるのに加え、通常のディスク・ケースと同様に持ち運びに便利なディスク状記録媒体収納容器を提供することができる。しかも、これは複数枚のDVDを収納可能であるから、収納の利便性はより高まる。
【0033】
また、この態様によれば、基本的に、前記凸部及び前記凹部の嵌合部位のみをもって、第1蓋部及び第2蓋部に係る前述したような接合、すなわちディスク状記録媒体の収納が可能である。この場合、第1蓋部に設けられる固定手段及び第2蓋部に設けられるそれとの間にも、適当な嵌合がなされるような形としておけばより好ましい。このようにしておけば、当該ディスク状記録媒体収納容器内におけるDVD等の固定は、簡便な構成でありながら、強固に実現することが可能であり、その持ち運びにとってより好都合となる。
【0034】
なお、場合によっては、凸部及び凹部が形成されるべき部位とはなるべく離れた部分に、上述したような爪及び嵌合孔を設けておけば、第1蓋部及び第2蓋部の接合をより強固にすることが可能である。
【0035】
また、上述にいう「直方体上の一面を除く他の面の少なくとも一部により囲まれた空間を収納空間とする形状を有する」というのは、第1蓋部及び第2蓋部が、現実に、直方体の一面を除く五面すべてを有していてもよいし、有していなくともよいということを意味している。すなわち、本発明による限定は、あくまでも観念的に、「直方体上の一面を除く五面…により囲まれた空間」を想定しており、そのような空間を収納空間とする以上は、上述した事項の範囲内にある。より具体的には、現実には、前記の五面のうち四面しか存在しないが、直方体上の第五面目を想定することができる場合には、それは前記の範囲内にあるのである(後述の実施形態における「上蓋部XC1」参照。)。
【0036】
この態様では特に、前記第1蓋部に設けられた固定手段は、その円筒直径が前記第2蓋部に設けられた固定手段の円筒直径より小さく形成され、前記嵌合状態にある凹部と凸部を中心として第1蓋部の前記第2蓋部に対する閉動作を行う際に前記第1蓋部の固定手段が前記第2の固定手段に嵌合されるように構成するとよい。
【0037】
このような構成によれば、第1蓋部及び第2蓋部にそれぞれ設けられた凸部及び凹部、並びに、各固定手段の配置関係は好適となり、ディスクケースとして好適に利用することが可能となる。
【0038】
また、第1蓋部及び第2蓋部それぞれに凸部及び凹部が設けられる態様では特に、前記第1蓋部及び前記第2蓋部の少なくともいずれか一方には、前記凹部と前記凸部との嵌合状態を解除可能とする解除部が設けられているような構成とするとよい。
【0039】
このような構成によれば、解除部の存在により、凸部及び凹部間の嵌合状態の解除、ひいては第1蓋部及び第2蓋部間の分離を、比較的容易に実現することができる。
【0040】
さらに、この構成では特に、前記解除部は、前記凹部又は前記凸部を含む前記第1蓋部又は前記第2蓋部の所定の領域が変形可能に形成されている変形部を有するような構成とするとよい。
【0041】
このような構成によれば、変形部の存在によって、第1蓋部及び第2蓋部の所定の領域が変形することにより、凸部及び凹部間の離間、ひいては第1蓋部及び第2外部の分離を、より容易に実現することができる。
【0042】
この場合、前記解除部ないし該変形部の具体的態様としては、上述の凸部及び凹部の形成態様が直方体状の第1蓋部及び第2蓋部を構成する対向面上に形成されているものである場合において、次のようにすると好ましい。
【0043】
すなわち、前記凸部又は前記凹部のいずれか一方が形成された前記二つの対向面のそれぞれの一部を構成するとともに、当該凸部又は当該凹部を含む平面形状を有し、該平面形状の外周部の一部が当該対向面と接続され、かつ、その残部が当該対向面から切り離された舌片部を更に備えてなり、前記舌片部を、前記外周部の一部を軸として、前記対向面が載る平面から離脱するように移動させることにより、前記凸部を前記凹部から離間させることが可能であるような構成である。
【0044】
このような構成によれば、解除部、ないし変形部とは、すなわち「舌片部」を含意することになる。すなわち、本構成では、凸部又は凹部のいずれか一方が形成された二つの対向面のそれぞれの一部を構成するように、上述のような舌片部が形成されている。この舌片部は、例えば、前記平面形状として四辺形状を想定すると、その一辺が前記対向面に接続され、残る三辺が当該対向面から切り離された形を有することになる。
【0045】
このような舌片部は、前記一辺を軸として、前記対向面が載る平面から離脱させるように移動可能である。例えば、前記残る三辺のうち、対向面に接続された一辺に対向する一辺の近傍を、当該ディスク状記録媒体収納容器の外部から内部へ向けて押すようにすれば、当該舌片部は、そのいわば先端が、基端(上述の、対向面に接続された、あるいは軸となる一辺である。)を支点として「しなる」ように移動することになるから、上述のような離脱に係る移動が実現されることになるのである。
【0046】
そして、本構成では、これにより、前記凸部及び前記凹部が離間するのである。これは、舌片部上に前記凸部又は前記凹部が含まれていることによる。つまり、舌片部が、対向面が載る平面から離脱するように移動することにより、凸部及び凹部の離間を実現することができるのである。なお、いま述べた例から明らかなように、前記凸部又は凹部は、前記残る三辺のうち、対向面に接続された一辺に対向する一辺の近傍、要するに舌片部の先端近傍に位置するようにしておけば好ましい。このようにしておけば、上述のしなるような移動を極力小さく抑制することが可能だからである。ちなみに、この好ましい位置の実現は、凸部又は凹部の形成位置を決定する際に、あるいは、舌片部の形成位置を決定する際に、又は、両者の形成位置を相関的に勘案して決定する際に、考慮に入れておけばよい。
【0047】
以上のように、本態様では、凸部及び凹部によって互いに嵌合している第1蓋部及び第2蓋部における直接的な接触部分の離間を容易に実現することが可能であるから、第1蓋部及び第2蓋部全体の分離を容易に実現することが可能となるのである。
【0048】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下では、本発明のディスク状記録媒体収納容器をDVDケースに適用した実施の形態について、図1乃至図6を参照しながら説明する。ここに図1は、本実施形態に係るDVDケースの全体的な概要を示す斜視図であり、図2は、前記DVDケースを構成する上蓋部の平面図である。また、図3は、図2における符号Aが示す円形内の拡大図であって、舌片部の構成を示す説明図であり、図4は、舌片部の全体構成を示す斜視図である。さらには、図5は、ガイド機構の詳細な構成を示す分解斜視図であり、図6は、該ガイド機構の動作を説明するための説明図である。
【0050】
図1において、DVDケースXCは、大きく、上蓋部XC1及び下蓋部XC2、並びに、これら上蓋部XC1及び下蓋部XC2に設けられたガイド機構XG1及びXG2(本発明にいう「固定手段」の一例に該当する。)等からなる。以下これらの構成について順次詳しく説明する。
【0051】
上蓋部XC1及び下蓋部XC2は、図1に示すように、直方体上の一面を除く他の面の少なくとも一部により囲まれた空間を収納空間とする形状を有している。すなわち、上蓋部XC1は、略直方形状の上面XC11、該上面XC11の一辺に垂直に立つ側壁面XC13、そして上面XC11の残る二辺に垂直に立つとともに前記側壁面XC13と垂直な関係にある対向面XC14及びXC15という四面を有する。なお、これらのうち側壁面XC13に対向すべき側壁面については、上蓋部XC1に現実には設けられていない。一方、下蓋部XC2においても、上述の上蓋部XC1と略同様に、下面XC21、側壁面XC22及びXC23、対向面XC24及びXC25という五面を有している。下蓋部XC2では、上述の上蓋部XC1においては存在しなかった側壁面に対応する側壁面XC22が、現実に設けられている(図1参照)。
【0052】
これら各面においては、次のような構成が備えられている。まず、上蓋部XC1の対向面XC14及びXC15には、それぞれ開口部XC14H及びXC15Hが、また、下蓋部XC2の対向面XC24及びXC25にも、それぞれ前記開口部XC14H及びXC15Hに対応するように、開口部XC24H及びXC25Hが形成されている。これら開口部XC14H、XC15H、X24H及びXH25は、図2に示すように、収納されたDVD100の外周を、その外側から握持することを可能とする(図2中の矢印参照。この矢印の指し示す方向が握持方向である。)。
【0053】
また、上蓋部XC1の対向面XC14及びXC15には、それぞれ凹部XC141及びXC151が形成されているとともに、下蓋部XC2の対向面XC24及びXC25には、それぞれ凸部XC241及びXC251が形成されている。
本実施形態において、これらは対向面XC14及びXC15並びにXC24及びXC25の図1中最左方に形成されている。そして、これらのうち、凹部XC141及び凸部XC241とは、図2に示す符号Aの部位の拡大図たる図3に示すように、後者が前者に嵌合されるようになっている。なお、図示はしないが凹部XC151及び凸部XC251ついても同様である。このような嵌合並びにこれら凸部XC241及びXC251及び凹部XC141及びXC151の形成位置により、本実施形態に係るDVDケースXCでは、図1に示すように、前記嵌合部位を中心とした上蓋部XC1の下蓋部XC2に対する開閉動作が可能とされている(図3の両矢印参照)。
【0054】
さらに、下蓋部XC2の対向面XC24及びXC25にはそれぞれ、図1及び図3に示すように、前記の凸部XC241及びXC251を含むように舌片部XC24Z及びXC25Zが形成されている。このうち舌片部XC24Zは、図3及び図4に示すように略四辺形状を有しており、その一辺が対向面XC24に接続され(以下、当該一辺を「接続辺Z1」という。)、かつ、他の三辺が当該対向面XC24から切り離されている(以下、当該三辺を「切断辺Z2」という。)。これにより、当該舌片部XC24Zは、図3に示す破線のように、接続辺Z1を軸として、対向面XC24が載る平面から離脱するように移動させることが可能となっている。すなわち、舌片部XC24Zは、その先端がいわば「しなる」ように変形可能となっているのである。ちなみに、上蓋部XC1の対向面XC14には、図3に示すように、舌片部XC24Zの先端付近を外部から押すことが可能なように、切り欠き部XC142及びXC152が形成されている。この切り欠き部XC142及びXC152により、図3に示す白抜き矢印のように、舌片部XC24Zを外部から押すことが可能となる。なお、図示はしないが、これらの構成は、対向面XC25における舌片部XC25Zについても全く同様に備えられている。
【0055】
ちなみに、このような構成となる上蓋部XC1及びXC2は、適当なプラスチック材料等により構成すればよい。本実施形態においては、これら上蓋部XC1及びXC2は、透明なプラスチック材料で構成されている。そのため、図1においては、本来ならば背後に隠れるべき部位もまた示されている。
【0056】
さて一方、上蓋部XC1の上面XC11の中心及び下蓋部XC2の下面XC21の中心には、それぞれ、ガイド機構XG1及びXG2が設けられている。このガイド機構XG1及びXG2は、図1等に示すように、その外形が略円筒形状を有しており、収納されたDVD100の中心に形成された孔に嵌め込み可能となっている。また、該ガイド機構XG1及びXG2同士では、前者の外径が後者の内径よりも小さく形成されており、そのような関係において(すなわち、前者が後者に対して)嵌め込み可能とされている。
【0057】
このガイド機構XG1及びXG2は、上述のように、その径が異なるように形成されているものの、残余は略同様な構成を備えている。以下、その詳細を説明する。
【0058】
ガイド機構XG1及びXG2(以下、「XG1」に代表させる。)は、図5に示すように、大きく、円盤部XG11、円筒部XG12及びボールねじXG13からなる。円盤部XG11は、その内周にねじが切られた孔XG111を有しているとともに、その外周に突出部XG112を設けた構成となっている。突出部XG112は、適当な弾性を有する材料から構成されており、図5に示すように、円盤部XG11の外周から四方に飛び出すように(すなわち、各々が90°間隔を保って)形成されている。これら各突出部XG112の先端を連ねると略円形状となるが、その大きさは、DVD100の中心に形成された孔の大きさに略一致している。また、この突出部XG112とDVD100の中心に形成された孔との間においては、いま述べた「大きさ」に関する他、後述するような一定の関係が存在している。
【0059】
円筒部XG12は、前記円盤部XG11をその内側に収めるとともに、前記突出部XG112を突出可能とするため、その側壁XG121上かつ該円筒部XG12の長手方向に沿って形成された孔XG122を備えている。この孔XG112は、突出部XG112が四方に形成されていたことに対応して、やはり側壁XG121の四方に形成されている。
【0060】
ボールねじXG13は、円盤部XG131の孔XG111に螺合かつ貫通配置される。また、本実施形態においては特に、このボールねじXG13の先端には、掴み部XG131が形成されており、本実施形態に係るDVDケースXCを収納可能なDVDプレーヤにおいて、前記掴み部XG131を握持し、かつ、回転させることの可能な適当な構成を備えることによって、ボールねじXG13を、その軸を中心として回転させることが可能となる。
【0061】
ガイド機構XG1は、これら三つの構成が図5又は図6に示すように一体的に構成され、これが、上蓋部XC1に形成されたガイド機構取付孔XCGに対して装着されて構成されている。
【0062】
以上のような構成により、ガイド機構XG13における円盤部XG11は、図6(a)及び(b)に示すように、ボールねじXG13を回転させることによって、円筒部XG12に沿う図中上下の方向に移動することとなる。これは、本来であれば、ボールねじXG13を回転させると、それに伴って円盤部XG11も共に回転するところ、図1、図5及び図6においては、該円盤部XG11の突出部XG112が円筒部XG12の孔XG122から突出しているため、該円盤部XG11の回転動作が制約を受けることによる。したがって、その内周にねじが切られた孔XG111を有する円盤部XG12は、円筒部XG11に沿って図中上下に移動することとなるのである。
【0063】
なお、このような構成は、下蓋部XC2に設けられたガイド機構XG2についても全く同様である。すなわち、該ガイド機構XG2は、上述と略同様にして、その内周にねじが切られた孔XG211及び突出部XG212を有する円盤部XG21、前記突出部XG212を突出させるための孔XG222を有する円筒部XG22、並びに、掴み部XG231を有するボールねじXG23等から構成されている。
【0064】
ただし、本実施形態においては、上述したように、上蓋部XC1のガイド機構XG1が、下蓋部XG2のガイド機構XG2に嵌め込み可能に形成されているため、前記の円盤部XG21及び円筒部XG22等の大きさは、円盤部XG11、円筒部XG12の大きさとは異なっている。しかしながら、円盤部XG11の突出部XG112の先端を連ねた円形の大きさと、円盤部XG21の突出部XG212のそれとは同じにしなければならない。これは、後述するように、突出部XG112及びXG212のいずれにしても、DVD100の中心に形成された孔の内径と一定の関係にある必要があるからである(後に参照する図8参照)。
【0065】
また、ガイド機構XG1がガイド機構XG2に嵌め込み可能に構成されているため、場合によっては、ガイド機構XG1を構成する円盤部XG11が、ガイド機構XG2を構成する円筒部XG22内にまで至る可能性がある。このような場合においても円盤部XG11の動きを滞りなく行うためには、少なくとも、円盤部XG11及びXG21に形成する孔XG111及びXG211の径、並びに、ボールねじXG13及びXG23の径を等しくするとともに、円筒部XG12及びXG22に形成された孔XG122及びXG222が連続した一つの孔を構成するように、ガイド機構XG1及びXG2の上面XC11及び下面XC21に対する取付を実施しなければならない(後に参照する図8参照)。
【0066】
以下では、以上のような構成となるDVDケースXCを運用例について、図8等を参照しながら説明する。なお、本実施形態においては、上述したようなDVDケースXCをそのまま装填可能であり、かつ、再生対象となるDVD100を選択するための上蓋部XC1及び下蓋部XC2の分離、該DVD100に対するピックアップユニットの所定位置への配置等を自動的に行うことの可能なDVDプレーヤにおいて、前記DVDケースXCを使用する態様について主に説明することとする。したがって、以下ではまず、そのようなDVDプレーヤの構成等について、図7を参照しながら簡単な説明をしておく。
【0067】
図7において、DVDプレーヤ1は、大きく、筐体1B、DVD握持機構2、DVDケース分離機構3、再生対象DVD分離機構4、ピックアップユニット5等からなっている。このうち筐体1Bには、図7に示すように、DVDケースXCを挿脱するための挿脱口1BHが形成さている。DVDケースXCは、この挿脱口1BHを通じて、上述の各種構成(DVD握持機構2、DVDケース分離機構3、再生対象DVD分離機構4及びピックアップユニット5)の概ね中心に配置されるようになっている。
【0068】
DVD握持機構2は、ボールねじによって貫通されたチャック部201を有している。これにより、チャック部201は、当該ボールねじを所定角度だけ回転させることにより、その上下位置の調整が行えるようになっている。また、DVDケース分離機構3は、舌片部押しピン301を有しており、該舌片部押しピン301の基端に適当なカム機構等を備えることで、図中右方向へ飛び出す動作、及び、図中左方向へ引っ込む動作が可能となっている。
【0069】
さらに、再生対象DVD分離機構4は、DVDケースXCに設けられた前記のガイド機構XG1及びXG2における掴み部XG131及びXG231を握持し、かつ、これを回転させる握持回転部401、該握持回転部401をその先端に備えるアーム部402、及び、該アーム部402の基端に貫通配置されたボールねじ403等を有している。このうちアーム部402は、ボールねじ403の軸を中心とした回転動作が可能なようにも構成されている。このような構造により、まず、アーム部402及び握持回転部401は、ボールねじ403の回転に伴って図中上下に移動可能である。また、アーム部402の基端を中心とした回転動作により、その先端を、DVDプレーヤ1内に装着されたDVDケースXC中のDVD100の中心に対して、位置付ける動作又は回避させる動作が可能となっている。そして、握持回転部401は、ガイド機構XG1及びXG2の掴み部XG131及びXG231を握持した上で、これを回転させることが可能である。これにより、図6に示したような回転動作をガイド機構XG1及びXG2のボールねじXG13及びXG23に与えることが可能であるから、円盤部XG11及びXG21を上下に移動させることが可能となる。なお、上述した、アーム部402の基端を中心とした回転動作は必ずしも必要ではない。すなわち、アーム部402の先端が装填済みDVDケースXCの掴み部XG131及びXG231を貫く線上に位置するように(すなわち、該アーム部402が上下動するのみで握持回転部401による掴み部XG131及びXG231の握持が可能なように)、該アーム部402を予め固定しておくような形態としてもよい。
【0070】
更には、ピックアップユニット5は、DVD100を回転させるためのスピンドルモータ501、DVD100の情報記録面に記録されたコンテンツ情報を読み取るためのピックアップ502、該ピックアップ502のDVD100径方向の移動を行うためのキャリッジモータ503等を備えているが、これらについては公知の構成であるため、その他の説明は省略する。
【0071】
以下では、このようなDVDプレーヤ1の動作態様についても適宜触れつつ、本実施形態に係るDVDケースXCの運用が如何に行われるかを説明する。
【0072】
まず、本実施形態に係るDVDケースXCに対して、複数枚のDVD100を装着する。この装着は、図8に示すように、DVD100の中心に形成された孔100Nに、ガイド機構XG1及びXG2を通すようにして行われる。また、この装着は、複数枚のDVD100の面同士が相互に触れるように、直接的に積層されてなる。なお、以下では、6枚のDVD100が積層される場合について説明し、各DVD100については、図8に示すように、1番上からDVD100(1)、100(2)、…、100(6)という符号を付すこととする。
【0073】
次に、このようにDVD100を装着したDVDケースXCを、上述したようなDVDプレーヤ1に対して装填する。装填されたDVDケースXCは、該DVDプレーヤ1内において、上述の各種構成の概ね中心に位置するように配置される。
【0074】
次に、ユーザからの再生指令等を待った上で、DVDの再生処理を開始する。
ここでは、ユーザからの再生指令が、DVDケースXC内における上から4枚目のDVD100(4)である場合を想定した説明を行うこととする。
【0075】
まず、DVDプレーヤ1が、当該再生指令を受けると、DVD握持機構2及びDVDケース分離機構3が動作する。DVD握持機構2は、4枚目のDVD100(4)を握持すべくチャック部201を上下動させて所定の位置に配置させる。そして、本実施形態においては特に、このチャック部201によるDVD100(4)の握持は、DVDケースXCに形成されている開口部XC14H及びXC15H並びにXC24H及びXC25H(以下、符号「XC14H」に代表させる。)を利用して行うことが可能である。すなわち、これら開口部XC14Hにおいては、図2を参照して説明したように、DVD100の外周部が外部に露出しているから、その握持は容易に行えるのである。
【0076】
次に、DVDケース分離機構3の舌片部押しピン301を、DVDケースXCにおける上蓋部XC1の切り欠き部XC142及びXC152に通し、かつ、該ピン301を舌片部XC24Z及びXC25Zに当接させるとともに適度な力で押す。すると、図3を参照して説明したように、舌片部XC241は、その先端がしなるように変形することで、下蓋部XC2の凸部XC241と上蓋部XC1の凹部XC141とを離間させることが可能となる。これにより、上蓋部XC1及び下蓋部XC2の分離(後述する。)を可能とすることになる。なお、図3では片側のみ示していたが、舌片部押しピン301は、図7に示すように図中左右両側に設けられており、DVDケースXCの両側について、上述のような凸部・凹部間の離間動作が行われることとなる。
【0077】
次に、再生対象DVD分離機構4の握持回転部401によって、上蓋部XC1及び下蓋部XC2それぞれのガイド機構XG1及びXG2の掴み部XG131及びXG231を握持するとともに、これを所定角度だけ回転させる。すると、図6を参照して説明したように、ガイド機構XG1及びXG2における円盤部XG11及びXG21は、円筒部XG12及びXG22内を上下に移動することとなる。
【0078】
ここで、突出部XG112とDVD100の孔100Nとの間には、次に記すような「一定の関係」がある。すなわち、本実施形態においては、図6で説明したような円盤部XG11の上下の移動及び突出部XG12によるDVD100の孔100Nの内周の握持によって、再生対象のDVD100の直上(又は直下)に位置するDVD100を、該再生対象のDVD100から離間・分離させる作用を発揮するが、この際まず、前者の「移動」を実現するためには、図8における3枚目のDVD100(3)に到達するまで、円盤部XG11は、2枚のDVD100(1)及び100(2)それぞれの孔100Nを通過しなければならない。このとき、突出部XG112の剛性があまりに大きいと、これが不可能となる。また、後者の「握持」を実現するためには、当該3枚目のDVD100(3)に到達した時点において、これを握持しなければならないが、突出部XG112の弾性があまりに大きいと、これが不可能となる。このように、両者を実現するためには、一般に、突出部XG112とDVD100の孔100Nとの間には、その材料、形状等に関して、満たされるべき一定の好ましい条件がある。
【0079】
より具体的には、突出部XG112の先端を連ねて観念される円形の大きさとDVD100の孔100Nの大きさとが略一致し、かつ、該突出部XG112が適当な材料で構成されることが好ましい。本実施形態においては、突出部XG112が、既述のように、適当な弾性を有する材料から構成されているため、上述のような「一定の関係」は好適に満たされることとなる。
【0080】
以上のことから、本実施形態においては、図9及び図10に示すように、再生対象のDVD100(4)の分離がなされることになる。すなわちまず、図9に示すように、DVD握持機構2のチャック部201によって握持された再生対象のDVD100(4)の直上及び直下に位置するDVD100(3)及び100(5)の孔100Nを、それぞれ、ガイド機構XG1及びXG2における円盤部XG11及びXG21の突出部XG112及びXG212によって握持する。これは、図9に示すように、ガイド機構XG1及びXG2の掴み部XG131及びXG231を再生対象DVD分離機構4の握持回転部401によって握持した後、これを回転動作させることにより実現することができる。この際、上述したように、突出部XG112及びXG212が適当な弾性を有する材料からなり、かつ、これらの先端を連ねた円形の大きさと孔100Nの大きさとは略一致しているため、円盤部XG11及びXG21のスムースな移動と、突出部XG112及びXG212による孔100Nの内周の握持との両者を、円滑かつ確実に行うことができる。そして次に、図10に示すように、再生対象DVD分離機構4のアーム部402を、図中上下に移動させることによって、図9において握持されたDVD100(3)より上層に位置する構成、すなわちDVD100(2)及び100(1)並びに上蓋部XC1は上に、同じくDVD100(5)より下層に位置する構成、すなわちDVD100(6)及び下蓋部XC2は下に、それぞれ移動することとなる。その結果、再生対象のDVD100(4)は、いわば宙に浮いたような状態となり、これにより当該DVD100(4)の分離作業が終了することとなる。なお、図11においては、このような状態を斜視的に示している。この図においても、上蓋部XC1及び下蓋部XC2は上下に分離され、チャック部201に握持されたDVD100(4)のみが宙に浮いているかの如き状態が現出されていることがわかる。
【0081】
この後は、DVD100(4)の孔100Nに対してスピンドルモータ501の出力軸が嵌め込まれるように(より実際的には、図示しないディスク・クランプ機構等によって、DVD100(4)の孔100Nの内周をクランプすることによって、スピンドルモータ501の出力軸を当該孔100Nに機械的に接続するような形となる。)、あるいは、DVD100(4)の情報記録面にピックアップ503が対向するように、ピックアップユニット5を所定位置に移動させた後(図10参照)、通常の再生処理を実行すればよい。
【0082】
このような運用が可能となるDVDケースXCでは、DVD100の複数枚連続再生を実現するために、従来のように、DVDプレーヤ1内で比較的広大な空間を必要とするということがない。逆にいえば、本実施形態に係るDVDケースXCを利用すれば、よりコンパクトなDVDプレーヤ1であっても、複数枚のDVD100の連続再生処理を実現することができる。これは、上記実施形態で述べたように、握持された4枚目のDVD100(4)の情報記録面と、2枚のDVD100(5)及び100(6)との間に、ピックアップユニット5が入り込むに十分な距離を確保すればよく、また、該情報記録面とは反対側に位置する3枚のDVD100(1)〜100(3)と当該4枚目のDVD100(4)とが離間すべき距離は、互いに接触しないという条件を最低限満たしさえすればよいからである。要するに、DVD100(4)の分離に必要な装置動作が比較的小さいため、DVDプレーヤ1を、よりコンパクトに構成可能なのである。
【0083】
また、本実施形態によれば、一のDVD100(n1)から、次のDVD100(n2)(ただし、n1≠n2)への連続再生処理をより短時間で、換言すれば、滑らかに且つ迅速に実現することができる。これもまた、再生対象のDVD100を分離させるに必要な動作が比較的小さいがゆえである。
【0084】
以上のような本実施形態に係る作用効果は、図12に示す従来のディスク・ケースXCCとの対比においてより明確になる。ここに図12は、従来のディスク・ケースXCCの構成を示す図であり、(a)は全体斜視図、(b)は該ディスク・ケースXCCからDVD100を載置したトレイXCCTを引き出した状態を示す全体斜視図、(c)は該ディスク・ケースXCCを装填した状態における従来のDVDプレーヤ1C内の様子を示す説明図である。
【0085】
この図12に示すように、従来のディスク・ケースXCCでは、複数枚のDVD100を装着可能である点については本実施形態に係るDVD100と同様であるが、該複数枚のDVD100の各々は複数のトレイXCCT上に載置される形で装着されるようになっている。したがって、再生対象のDVD100を選択するためには、図12(b)に示すように、ディスク・ケースXCC内から、当該DVD100が載置されたトレイXCCTごと、外部へと引っ張り出さなければならなかった。これにより、図12(c)に示すように、従来のDVDプレーヤ1C内では、ディスク・ケースXCCが設置されるべき空間とは別に、上述のようなトレイXCCTが引っ張り出される領域分だけ余計な空間を確保しておかなければならなかったのである。また、このような形態では、一のDVDから次のDVDへの連続再生を実施する際には、トレイXCCTのディスク・ケースXCC内への搬入動作(再生済みDVD)及び搬出動作(新たな再生対象のDVD)を行わなければならず、比較的長期の時間がかかっていたのである。
【0086】
しかるに、本実施形態に係るDVDケースXCは、既に述べたように、上記二つの問題点を有効に解消し、コンパクトなDVDプレーヤ1における連続再生が可能であり、かつ、滑らか且つ迅速な連続再生が可能なのである。
【0087】
ちなみに、本実施形態のDVDケースXCに係る上述のような作用効果は、上述のDVDプレーヤ1が車載用である場合にとりわけ有効である。というのも、DVDプレーヤをよりコンパクトに構成することが可能であるから、従来、一般的にトランク等に設置されていたDVDプレーヤを、例えば、より快適な操作が可能となるダッシュボードの一部として構成する、等ということが可能となるからである。
【0088】
また、本実施形態に係るDVDケースXCにおいては、上述のようなDVDプレーヤ1の存在如何に関わらず、その持ち運びの利便性が高まるという利点を享受することも可能である。
【0089】
すなわち、本実施形態のDVDケースXCでは、常態において、下蓋部XC2における凸部XC241及びXC251は、上蓋部XC1における凹部XC141及びXC151に嵌合されていることにより、図1に示すように、その嵌合部位を中心とした、上蓋部XC1(又は下蓋部XC2)に対する下蓋部XC2(又は上蓋部XC1)の回転動作、すなわちDVDケースXCの開閉動作が可能となっているから、広く市場に供給されている、いわゆるディスク・ケースと全く同様な態様でその使用が可能となっている。さらには、本実施形態では、上蓋部XC1のガイド機構XG1が、下蓋部XC2のガイド機構XG2に対して嵌め込み可能に構成されていたから、DVDケースXCを閉めた状態においては、複数枚のDVD100の固定は強固である。以上のことから、本実施形態に係るDVDケースXCは、複数枚のDVD100を保管・運搬等する際においても便利に利用することが可能なのである。
【0090】
なお、上記実施形態においては、DVDケースXC内に収納可能なDVD100は6枚とされていたが、本発明は、このような形態に限定されるものでないことは当然である。
【0091】
また、DVD100を収納するためのDVDケースXCについて説明したが、本発明は、このような形態に限定されるものではない。例えば、CD、MD等のディスク状記録媒体を収納する容器についても、全く同様に当てはめて考えることができる。
【0092】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うディスク状記録媒体収納容器もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るDVDケースの全体的な概要を示す斜視図である。
【図2】前記DVDケースを構成する上蓋部の平面図である。
【図3】図2における符号Aが示す円形内の拡大図であって、舌片部の構成を示す説明図である。
【図4】図3に示す舌片部の全体構成を示す斜視図である。
【図5】図1に示すDVDケースを構成するガイド機構の詳細な構成を示す分解斜視図である。
【図6】図1に示すDVDケースを構成するガイド機構の動作を説明するための説明図である
【図7】図1に示すDVDケースを好適に運用することの可能なDVDプレーヤの概略的な構成を示す斜視図である。
【図8】図1に示すDVDケースに対して複数枚のDVDを装着した状態を示す断面図である。
【図9】図8に示す状態より進み、再生対象のDVDの直上及び直下に位置するDVDの孔の内周をガイド機構における円盤部の突出部によって握持する状態を示す断面図である。
【図10】図9に示す状態より進み、再生対象のDVDの分離を実現し、該DVDの情報記録面に対してピックアップユニットを対向させた状態を示す断面図である。
【図11】再生対象のDVDの分離を実現した状態を斜視的に示す説明図である。
【図12】従来のディスク・ケースの構成を示す図であり、(a)は全体斜視図、(b)は該ディスク・ケースXCCからDVD100を載置したトレイXCCTを引き出した状態を示す全体斜視図、(c)は該ディスク・ケースXCCを装填した状態における従来のDVDプレーヤ1C内の様子を示す説明図である。
【符号の説明】
100…DVD
100N…(DVDの中心に形成された)孔
XC…DVDケース
XC1…上蓋部
XC2…下蓋部
XC11…上面
XC13、XC22、XC23…側壁面
XC14、XC15、XC24、XC25…対向面
XC14H、XC15H、XC24H、XC25H…開口部
XC141、XC151…凹部
XC241、XC251…凸部
XC24Z、XC25Z…舌片部
XC142、XC152…切り欠き部
XG1、XG2…ガイド機構
XG11、XG21…円盤部
XG111、XG211…内周にねじが切られた孔
XG112、XG212…突出部
XG12、XG22…円筒部
XG121、XG221…側壁
XG122、XG222…孔
XG13、XG23…ボールねじ
XG131、XG231…掴み部
XCG…ガイド機構取付孔
1…DVDプレーヤ
2…DVD握持機構
201…チャック部
3…DVDケース分離機構
301…舌片部押しピン
4…再生対象DVD分離機構
401…握持回転部
402…アーム部
403…ボールねじ
5…ピックアップユニット
501…スピンドルモータ
502…ピックアップ
503…キャリッジモータ
Claims (7)
- 相互に分離可能に構成された第1蓋部及び第2蓋部と、
前記第1蓋部及び前記第2蓋部のそれぞれに設けられ、複数枚のディスク状記録媒体を同軸的に重ねて固定可能な固定手段と、
前記第1蓋部と前記第2蓋部に設けられ、前記ディスク状記録媒体の外周縁の少なくとも一部を外部に曝す開口部と、
を備えたことを特徴とするディスク状記録媒体収納容器。 - 前記固定手段は、
前記ディスク状記録媒体をそれぞれの面が相互に接触するように積層配列させて固定可能であることを特徴とする請求項1に記載のディスク状記録媒体収納容器。 - 前記固定手段は、
前記複数枚のディスク状記録媒体の中心孔に嵌め込み可能な円筒形状を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のディスク状記録媒体収納容器。 - 前記第1蓋部及び前記第2蓋部のいずれか一方に設けられた凹部と他方に設けられた凸部とが嵌合して前記第1蓋部の前記第2蓋部に対する開閉動作を可能とし、さらに前記凹部と前記凸部との嵌合状態を解除することにより前記第1蓋部と前記第2蓋部とが分離可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のディスク状記録媒体収納容器。
- 前記第1蓋部に設けられた固定手段は、その円筒直径が前記第2蓋部に設けられた固定手段の円筒直径より小さく形成され、
前記嵌合状態にある凹部と凸部を中心として第1蓋部の前記第2蓋部に対する閉動作を行う際に前記第1蓋部の固定手段が前記第2の固定手段に嵌合されることを特徴とする請求項4に記載のディスク状記録媒体収納容器。 - 前記第1蓋部及び前記第2蓋部の少なくともいずれか一方には、前記凹部と前記凸部との嵌合状態を解除可能とする解除部が設けられていることを特徴とする請求項4又は5に記載のディスク状記録媒体収納容器。
- 前記解除部は、前記凹部又は前記凸部を含む前記第1蓋部又は前記第2蓋部の所定の領域が変形可能に形成されている変形部を有することを特徴とする請求項6に記載のディスク状記録媒体収納容器。
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