JP2004054577A - 作業機における表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】コンバインにおける初期設定モードの実行時に、作動エラーまたは初期設定モードを実行するのに適さない状態エラーが発生した場合に、エラー内容を簡単に特定できるようにする。
【解決手段】液晶表示装置60は、コンバインの各種モードの情報を表示する液晶パネル60bと、複数のモードのうち実行中のモードの情報を液晶パネル60bの画面に表示するように制御するCANコントローラC5とを備えている。CANコントローラC5は、初期設定モードを実行するにあたってエラーが発生した場合には、液晶パネル60bの画面にエラー情報を表示するように制御する。
【選択図】 図13
【解決手段】液晶表示装置60は、コンバインの各種モードの情報を表示する液晶パネル60bと、複数のモードのうち実行中のモードの情報を液晶パネル60bの画面に表示するように制御するCANコントローラC5とを備えている。CANコントローラC5は、初期設定モードを実行するにあたってエラーが発生した場合には、液晶パネル60bの画面にエラー情報を表示するように制御する。
【選択図】 図13
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、作業機(例えばコンバインやトラクタ等の農作業機、クレーン車等の特殊作業用車両または乗用車等)に設けた表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のコンバインは、走行機体に搭載したエンジンの出力(負荷)を制御する電子式ガバナの燃料噴射量検知センサ等の各種センサと、燃料噴射ポンプのラック位置を調節する電磁ソレノイド等の各種アクチュエータとを備えており、これら各機器(センサやアクチュエータ等)はマイクロコンピュータ等の制御手段で制御されている。
【0003】
そして最近では、コンバインの操作部近傍に液晶ディスプレイ等の表示装置が設けられており、路上走行や各種作業に際して、前記表示装置にコンバインの状態情報を表示することにより、オペレータが作動状況(例えばエンジンの回転数や負荷、走行速度、穀粒タンク内の穀粒積載量等)を視覚的に認識できるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種のコンバインでは、センサ間の精度のばらつきや取付け位置ずれによる検出誤差の影響をなくす等のため、センサや制御手段を交換したとき等に初期設定モードを実行して、刈取前処理装置や車高の昇降範囲等のような制御範囲を新たに設定できるように構成されている。
【0005】
しかし、前記従来のコンバインでは、初期設定モードの実行時に、センサの作動エラー(異常データを検出したり、検出データが全く変化しない等)や、アクチュエータの作動エラー(誤作動したり、全く作動しない等)、または初期設定モードを実行するのに適さない状態エラー(例えばエンジン回転数が定格回転数以下である等)が発生すると、このエラーの内容等を前記表示装置に表示することなく、従前の設定のままで初期設定モードを終了するようにしていたから、オペレータは初期設定モードを実行できない原因を全く特定できなかった。
【0006】
このため、例えば前記状態エラーのように、機器の故障等とは関係のないエラーが発生していたとしても、前記原因を特定するにはメーカ等に依頼するしかなく、点検・修理等が完了するまでに長期間を要するという問題があった。
【0007】
本発明は、以上の問題点を解消すべくなされたものであり、初期設定モードを実行できない原因を簡単に特定(把握)できるようにした表示装置を提供することを技術的課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この技術的課題を解決するため、請求項1の発明に係る作業機における表示装置は、作業機の各種モードの情報を表示するための表示手段と、前記複数のモードのうち実行中のモードの情報を前記表示手段の画面に表示するように制御するための制御手段とを備えた表示装置であって、前記制御手段は、初期設定モードを実行するにあたってエラーが発生した場合には、前記表示手段の画面に、前記エラーについての情報を表示するように制御するというものである。
【0009】
請求項2の発明に係る作業機における表示装置は、作業機の各種モードの情報を表示するための表示手段と、前記複数のモードのうち実行中のモードの情報を前記表示手段の画面に表示するように制御するための制御手段とを備えた表示装置であって、前記制御手段は、初期設定モードを実行するにあたってエラーが発生した場合には、前記初期設定モードの情報を示した画面から、前記エラーについての情報を示す画面に遷移させるように制御するというものである。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1または2に記載した作業機における表示装置において、前記制御手段は、前記エラーが前記初期設定モードを実行するのに適さない状態エラーの場合には、この状態エラーが解除されることにより、前記表示手段の画面に、前記初期設定モードの手順情報を切替え表示するように制御するというものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を具体化した実施形態を、コンバインに適用した場合の図面(図1〜図26)に基づいて説明する。
【0012】
コンバインにおける走行機体1は、左右一対の走行クローラ2,2に対して後述する走行部昇降駆動手段を介して昇降可能に構成されている。図1に示すように、走行機体1の進行方向に向かって左側には、作業部としての脱穀装置3が搭載されている。走行機体1の前部に配置した刈取前処理装置4は、走行機体1に対して、昇降フレーム14を介して昇降回動可能に支持されており、この昇降フレーム14と走行機体1との間に装着したアクチュエータとしての刈取部用油圧シリンダ9で昇降調節可能に構成されている。
【0013】
刈取前処理装置4の下部にはバリカン式の刈刃装置5が配置されており、前部には六条分の穀稈引起装置6が配置されている(図3参照)。この穀稈引起装置6と脱穀装置3におけるフィードチェーン7の前端との間には穀稈搬送装置8が配置されており、穀稈引起装置6の下部前方には、走行機体の進行方向に向かって突出する分草体10が取付けられている。そして、走行機体1の右側前部には運転室11が配置されており、この運転室11の後方には穀粒タンク12が配置されている。
【0014】
図4に示すように、運転室11の後方下部に配置したエンジン15からの出力(動力)の一部は、一つの動力伝達系統として、オーガクラッチ16を介して穀粒タンク12内の底スクリューコンベヤ17と排出オーガ28内の縦横スクリューコンベヤ18a,18bとに伝達される。
【0015】
エンジン15からの残りの動力は、動力分岐ミッション19を介して三つの動力伝達系統に分岐されて伝達される。すなわち、一つは油圧ポンプ油圧モータ式走行駆動部24を経て刈取前処理装置4に動力伝達され、もう一つは脱穀装置3の扱胴13及び処理胴20に動力伝達される。さらに、もう一つの動力伝達系統は、唐箕21、一番受樋のスクリューコンベヤ22a、二番受樋のスクリューコンベヤ22bやフィードチェーン7、穀粒タンク12への揚穀スクリューコンベヤ23、搖動選別機構40、排わらカッタ27等を回転駆動させるようになっている。
【0016】
刈取前処理装置4への動力は、走行速度と同期するときには、走行駆動部24からの出力軸26を介して伝達され、同期しないときには、動力分岐ミッション19からの分岐動力をワンウェイクラッチ25を介して伝達するようになっている。
【0017】
図1及び図2に示すように、穀粒タンク12内の穀粒を機外に排出するための排出オーガ28は、走行機体1の後端に配置した縦筒28aと、この縦筒28aの上端に上下回動可能に連設した横筒28bとからなり、縦筒28a内には縦スクリューコンベア18aが、横筒28b内には横スクリューコンベア18bがそれぞれ内装されている。
【0018】
縦筒28aは、駆動モータ29とギア機構30とで縦軸回りに旋回可能に構成されており、横筒28bは、縦筒28aとの間に装架したオーガ用油圧シリンダ31とリンク機構32とで上下傾斜角度を変更可能に構成されている。
【0019】
そして、駆動モータ29に設けたロータリエンコーダ等の旋回角センサ81(図10参照)により、縦筒28aの水平旋回角度、ひいては横筒28bの水平旋回位置を検出でき、オーガ用油圧シリンダ31またはリンク機構32の箇所に設けたポテンショメータ等の上下回動角センサ82(図10参照)により、横筒28bの上下傾斜角度、ひいては横筒28b先端の排出部の高さ位置を検出できるようになっている。
【0020】
なお、排出オーガ28を使用しないときには、穀粒タンク12の上面に設けたレスト台33等に横筒28bの中途部が載置されるようになっている。このレスト台33には、横筒28bが載置されたか否かを検出する接触センサ等のレスト検出器が取り付けられている。
【0021】
図1及び図2に示すように、左右各走行クローラ2は、トラックフレーム35の前後端に各々配置した駆動輪36及び従動輪37と、トラックフレーム35の下面中途部に複数個配置した転動輪38との外周に巻回してなるものである。
【0022】
左右各トラックフレーム35と走行機体1とは、図5に示す走行部用油圧シリンダ39a(39b)と、トラックフレーム35の前後位置に設けた側面視L字状の前後レバーを同時に作動させるように連結した連結杆(図示せず)等とからなる走行部昇降駆動手段を介して連結されている。
【0023】
左右の走行部用油圧シリンダ39a,39bは、互いに独立的に作動させることにより、左右各走行クローラ2を、走行機体1の左右に対して独立的に昇降させ得るようになっている。
【0024】
したがって、左右両側の走行部用油圧シリンダ39a,39bのピストンロッドを同時に突出させると、走行機体1は左右両走行クローラ2,2から上方に離れて(上昇し)、走行機体1の走行クローラ2,2に対する相対的高さ(車高)は高くなる。逆に、前記ピストンロッドを同時に後退させると、走行機体1は左右両走行クローラ2,2に近付いて(下降し)、走行機体1の走行クローラ2,2に対する相対的高さ(車高)は低くなる。
【0025】
そして、左走行部用油圧シリンダ39aのピストンロッドを突出させるか、または右走行部用油圧シリンダ39bのピストンロッドを後退させると(もしくはこの両方の動作を同時に実行しても)、右走行クローラ2に対する走行機体1の車高は低くなり(左走行クローラ2に対する走行機体1の車高は高くなり)、走行機体1は右下がりに傾斜する。
【0026】
逆に、右走行部用油圧シリンダ39bのピストンロッドを突出させるか、または左走行部用油圧シリンダ39aのピストンロッドを後退させると(もしくはこの両方の動作を同時に実行しても)、左走行クローラ2に対する走行機体1の車高は低くなり(右走行クローラ2に対する走行機体1の車高は高くなり)、走行機体1は左下がりに傾斜するのである。
【0027】
左右各走行部用油圧シリンダ39a,39bのピストンロッドの突出量を検出して、走行機体1の左右各走行クローラ2,2に対する相対高さ(車高)を検出するためのロータリエンコーダ等の車高センサ41a,41bは、前記連結杆に連設した連結ロッドやリンク機構(図示せず)を介して連動するように構成されている。走行機体1の左右の傾斜角度を検出するための振り子式(重力式)等の傾斜センサ43(図10参照)は、走行機体1の任意の位置、例えば運転室11内等に配置されている。
【0028】
なお、図3に示すように、刈取前処理装置4と圃場面との対地高さを検出するための超音波センサ44a,44bは、発信器の発信部(ホーン部)と受信器の受信部とを圃場面に向けた状態で、刈取前処理装置4の左右両側における穀稈引起装置6の裏面側に設けたブラケット(図示せず)に配置されている。
【0029】
超音波センサ44a,44bの設置高さと刈刃装置5の設置高さとが異なる場合には、超音波センサ44a,44bの検出値から所定の換算により刈取前処理装置4と圃場面との対地高さを求めることができるようになっている。
【0030】
また、昇降フレーム14の基端に取り付けた昇降ポジションセンサ45(図9参照)は、昇降フレーム14の回動角度を検出することにより、走行機体1と刈取前処理装置4との相対高さを求めることができるようになっている。
【0031】
図5に示すように、油圧シリンダ9,31,39a,39bのための油圧回路は、油圧ポンプ46からの圧油を分流する分流弁47を介して分岐しており、この分流弁47の一方の吐出路からは、オーガ用油圧シリンダ31と左側の走行部用油圧シリンダ39aとに対する第1油圧回路48ヘ圧油を送給し、他方の吐出路からは、刈取部用油圧シリンダ9と右側の走行部用油圧シリンダ39bとに対する第2油圧回路49へ圧油を送給するように構成されている。
【0032】
両油圧回路48,49には、それぞれの油圧シリンダ9,31,39a,39bに対する電磁制御弁50,51,52,53や逆止弁、リリーフ弁等が接続されている。
【0033】
次に、運転室11に設けた各種操作用のレバーやスイッチ類の構成を、図6及び図7を参照して説明する。運転座席56の前方のフロントコラムカバー体57から上向きに突出するハンドル軸(図示せず)には、走行機体1を操向操作する操向丸ハンドル58が取付けられており、運転座席56から見てフロントコラムカバー体57の右側面には、前後方向に回動可能なアクセルレバー59が設けられている。
【0034】
フロントコラムカバー体57の上端部位には、液晶表示装置60が、平面視で操向丸ハンドル58における略半円形状のハンドルホイル58aの内径側に位置するように取付けられている。
【0035】
液晶表示装置60は、フロントコラムカバー体57のみに固定されており、操向丸ハンドル58には連結していない。したがって、操向丸ハンドル58を回動させても、液晶表示装置60が動くことはない。また、液晶表示装置60の上面(画面)を操向丸ハンドル58のハンドルホイル58aよりも下方に位置させているので、この操向丸ハンドル58を回動させても、液晶表示装置60に接触することはない。
【0036】
運転座席56の左方には、前後に長いサイドコラム61が配置されており、このサイドコラム61の前端部位には、走行機体1の車高を手動で変更調節できる車高調節スイッチ62と、車高制御における自動操作と手動操作とを切替えるための車高制御切替スイッチ63と、走行機体1の左右傾斜角度を設定するための傾斜設定ダイヤル64とが配置されている。
【0037】
サイドコラム61上のうち車高調節スイッチ62等の後方部位には、車速を無段階変速させる主変速レバー65と、作業状態に応じて走行駆動部24の出力及び回転数を所定範囲に設定保持する副変速レバー66とが左右に平行状に配置されており、これら各レバー65,66は前後回動可能に構成されている。
【0038】
また、サイドコラム61上のうち副変速レバー66の右寄り部位には、刈取自動昇降スイッチ131や、定回転制御モードと手動モードとを切替え操作するための定回転制御切替スイッチ133等の各種スイッチ類が配置されており、副変速レバー66の後方部位には、刈取作業のための刈取レバー67と脱穀作業のための脱穀レバー68とが前後回動可能に配置されている。
【0039】
刈取レバー67は、前傾させると刈取作業を実行するための刈取スイッチ134(図12参照)が切り作動し、後傾させると刈取スイッチ134が入り作動するように構成されている。同様にして、脱穀レバー68も、前傾させると脱穀作業を実行するための脱穀スイッチ135(図12参照)が切り作動し、後傾させると入り作動するように構成されている。
【0040】
主変速レバー65の握り部65aの右側面には、刈取前処理装置4を強制的に上昇させるオートリフトスイッチ137と、刈取前処理装置4を所定の刈高さまで強制的に下降させるオートセットスイッチ138とが設けられている。握り部65aの前側面のうち右側には、刈取前処理装置4の昇降動を手動操作するための刈取昇降レバー139が配置されており、左側には、穀稈の扱深さ位置を手動で変更調節できる扱深さ調節レバー140が配置されている。
【0041】
図6及び図7に示すように、液晶表示装置60は、文字、記号、画像等の情報を表示できるモノクロのドットマトリクス形の液晶パネル60bと、これを収納するケース60aとにより構成されている。この液晶パネル60bは請求項に記載した表示手段に相当する。なお、液晶パネル60bはカラー型でもよい。
【0042】
このケース60aの表面のうち液晶パネル60bの外周側には、コンバイン全体の電源を入り切り操作する電源スイッチ142(図12参照)の入り操作時等に点灯する作業ランプ70と、画面表示の切替え等のための左右各2つのスイッチ71,72,73,74とが設けられている。これら各スイッチ71〜74は、スイッチの一回の押下により一つのONパルス信号が出るいわゆるプッシュスイッチで、ノンロックタイプのものである。
【0043】
ケース60a内であって液晶パネル60bの裏面側には、コンバインの各種モードのうち実行中のモードに対応した画像情報を液晶パネル60bの画面に表示するように制御するCAN(Controller Area Network )コントローラC5(図13参照)が内装されている。
【0044】
次に、走行機体1の車速、姿勢及び車高や、排出オーガ28の排出位置等、コンバインの作動全般を制御するとともに、実行中のモード(コンバインの動作状態)に対応した画像情報を液晶パネル60bの画面に表示するように制御する制御手段の構成について説明する。
【0045】
図8に示すように、制御手段としてのマイクロコンピュータ等の電子式制御装置75は、複数(実施形態では5つ)のCANコントローラC1,C2,C3,C4,C5と、これらの間を相互に接続するCAN通信バス76とで構成されている。CANコントローラC1及びC5には、制御データの反射を抑制する終端抵抗としての抵抗器(図示せず)が内蔵されている。
【0046】
各CANコントローラC1〜C5は、各種演算処理や制御を実行するCPU77、後述する各制御プログラムや各種データを記憶させる不揮発性メモリとしてのEEPROM78、前記各制御プログラムや各種データを一時的に記憶させるRAM79、タイマ機能としてのクロック、センサやアクチュエータ等に接続してデータを伝送する入出力インターフェイス(図示せず)等を備えている。
【0047】
CANコントローラC1〜C5のEEPROM78の各々には、それぞれの作動制御に対応したアプリケーション制御プログラム(ソフト)S1,S2,S3,S4,S5が予め記憶(格納)されている(図8参照)。
【0048】
アプリケーション制御プログラムS1は、脱穀装置3及び刈取前処理装置4の各種アクチュエータ(例えば刈取部用油圧シリンダ9等)を作動させるプログラムとし、アプリケーション制御プログラムS2は、刈取部用油圧シリンダ9及び走行機体1の左右の走行部用油圧シリンダ39a,39bを作動させて、刈取前処理装置4の刈高さ制御や走行機体1の姿勢及び車高制御を実行するためのプログラムとする。
【0049】
アプリケーション制御プログラムS3は、エンジン15の出力(動力)を制御するためのプログラムとし、アプリケーション制御プログラムS4は、排出オーガ28における駆動モータ29及びオーガ用油圧シリンダ31の作動を制御するためのプログラムとする。
【0050】
アプリケーション制御プログラムS5は、各CANコントローラC1〜C5に接続した全ての機器(センサやアクチュエータ等)の制御データ(情報)の入出力を管理・制御して、実行中のモードに対応した画像情報を液晶パネル60bの画面に表示する制御を司るプログラムとする。
【0051】
また、EEPROM78の各々には、CAN通信に必要な通信制御プログラムと、センサやアクチュエータ等の各機器間で制御データ(情報)を伝送するための入出力用制御プログラムとについても予め格納しており、アプリケーション制御プログラムに対して入出力用制御プログラムがベースとなるように階層化されている。
【0052】
各CANコントローラC1〜C5は、目安として、入出力系機器のハーネスの長さがなるべく短くなるように組み合せてこれらを制御するようにしており、それぞれの配置箇所でコントローラボックス(図示せず)内に格納されている。
【0053】
例えば、CANコントローラC1は、運転室11における床板の下面側に設置されている(図1〜図3参照)。このCANコントローラC1の入力インターフェイスには、昇降ポジションセンサ45、刈取前処理装置4において刈取穀稈を搬送しているか否かを検出する穀稈搬送センサ96、搬送中の刈取穀稈の長さを検出する穀稈長さセンサ97、扱深さセンサ98、オーガクラッチモータスイッチ99、超音波センサ44a,44b、車速センサ100、2番受樋スクリューコンベア回転センサ101、操向丸ハンドルリミットスイッチ102等が各々接続されている(図9参照)。
【0054】
CANコントローラC1の出力インターフェイスには、扱深さ制御モータにおけるリレーユニット等の制御回路部103、オーガクラッチモータにおけるリレーユニット等の制御回路部104、脱穀クラッチを駆動させるための電磁ソレノイド105等が各々接続されている(図9参照)。
【0055】
CANコントローラC2は、刈取前処理装置4の上部でかつ運転室11に近い箇所に設置されている(図1〜図3参照)。CANコントローラC2の入力インターフェイスには、燃料センサ106、傾斜センサ43、車高センサ41a,41b、選別装置の流穀板における籾流量センサ107、選別装置各部での籾の有無を検出する籾センサ108、排藁カッタ詰まりセンサ109、旋回角センサ81、横筒28bの先端部に設けて排出オーガ28の水平旋回等を操作する排出オーガ先端操作部110、上下回動角センサ82、オーガクラッチセンサ111、排出オーガ過負荷センサ112、搖動選別過負荷センサ113、扱胴回転センサ114、処理胴回転センサ115等が各々接続されている(図10参照)。
【0056】
CANコントローラC2の出力インターフェイスには、搖動選別駆動モータ116、FCクラッチ駆動回路部117、排出オーガ28の縦筒28aを水平旋回させるための駆動モータ29、排出オーガブレーキ118、オーガ用油圧シリンダ31に対する電磁制御弁51の電磁ソレノイド51a、走行機体1の左走行部用油圧シリンダ39aに対する電磁制御弁52の電磁ソレノイド52a、走行機体1の右走行部用油圧シリンダ39bに対する電磁制御弁53の電磁ソレノイド53a、刈取部用油圧シリンダ9に対する電磁制御弁50の電磁ソレノイド50a等が各々接続されている(図10参照)。
【0057】
図1〜図3に示すように、CANコントローラC3は、運転室11における運転座席56の後部に設置されている。CANコントローラC3の入力インターフェイスには、エンジン回転数センサ119、エンジンオイル量センサ120、エンジン水温センサ121、エンジン15の出力(負荷)を制御する電子ガバナ付き燃料噴射ポンプのラック位置を検出するための燃料噴射ポンプラック位置センサ122、エンジンスタータスイッチ123、排出オーガ28の水平旋回位置を予め記憶させるためのオーガセット位置ダイヤル124、運転室11に設けて排出オーガ28の水平旋回等を操作する排出オーガ操作部125、刈取クラッチモータリミットスイッチ126等が各々接続されている(図11参照)。
【0058】
CANコントローラC3の出力インターフェイスには、エンジン15の回転数が所定の回転数となるように燃料噴射ポンプのラック位置を調節するための燃料噴射ポンプラックアクチュエータ127、エンジンスタータリレー128、警報ブザー129等が各々接続されている(図11参照)。
【0059】
CANコントローラC4は運転室11のサイドコラム61内に設置されている(図1〜図3参照)。CANコントローラC4の入力インターフェイスには、アクセルレバー59の操作位置を検出するアクセルレバーセンサ59a、車高調節スイッチ62、車高制御切替スイッチ63、傾斜設定ダイヤル64、扱深さ自動制御スイッチ130、刈取自動昇降スイッチ131、刈取前処理装置4が所定の刈高さまで下降すると自動的に前記刈取前処理装置4へ動力伝達するための刈取オートクラッチスイッチ132、刈取スイッチ134、脱穀スイッチ135、選別装置における穀粒の選別状態を調節するための選別調節ダイヤル136、オートリフトスイッチ137、オートセットスイッチ138、刈取昇降レバー139、扱深さ調節レバー140、副変速レバー66、走行機体1を後退動させるための後退スイッチ141、電源スイッチ142等が各々接続されている(図12参照)。
【0060】
CANコントローラC4の出力インターフェイスには、車高制御を自動操作に切替えたときに点灯する車高制御切替スイッチランプ143、扱深さ制御を自動操作に切替えたときに点灯する扱深さ自動制御スイッチランプ144等が各々接続されている(図12参照)。
【0061】
ケース60a内に内装したCANコントローラC5の入力インターフェイスには、液晶パネル60bの画面上のカーソルを画面上方向に移動させるためのカーソル上移動スイッチ71、画面下方向に移動させるためのカーソル下移動スイッチ72、液晶パネル60bの画面表示を切替える操作等をするための第1及び第2切替スイッチ73,74等が各々接続されている(図13参照)。
【0062】
そして、CANコントローラC5の出力インターフェイスには、液晶パネル60b、電源スイッチ142の入り操作時等に点灯する作業ランプ70等が各々接続されている(図13参照)。
【0063】
次に、CANコントローラC5によるモードの切替え制御の態様について説明する。図14に示すように、コンバインのモード(動作の状態)は、初期モードM1、路上走行や各種作業をする通常モードM2、コンバインの異常状態を報知する警報表示モードM3、検出エラー等の各種エラーの内容を報知するエラー表示モードM5、及びエンジン15及び脱穀装置3における回転数制御等の設定を行うための環境設定モードM4の5つに大別される。
【0064】
そして、通常モードM2には、路上走行等をする非作業モードM2aと刈取脱穀作業をする作業モードM2bとがあり、非作業モードM2aからのみ移行できるメンテナンスモードM6も設定されている(図15参照)。
【0065】
まず最初に、電源スイッチ142を入り操作すると、初期モードM1が起動して、液晶パネル60bの画面に初期画像情報が表示される。
【0066】
次いで、CANコントローラC5のEEPROM78に予め設定された時間(実施形態では10秒)が経過するか、あるいはエンジン15の回転数が予め設定された回転数(実施形態では240rpm)以上になると、自動的に通常モードM2のうち非作業モードM2aに移行して(図15参照)、液晶パネル60bの画面の表示が、前記初期画像情報からエンジン回転数や燃料の残量等の画像情報(非作業モードM2aに対応した画像データ)に遷移する(図16参照)。
【0067】
この場合、液晶パネル60bの画面には、非作業モードM2aの画像情報として、走行機体1の走行速度(車速)を示す速度計85、エンジン回転数を示す略L字状の回転数グラフ86、穀粒タンク12内のもみの量を知らせるタンクモニタ87、燃料の残量を知らせる燃料計88、副変速レバー66の設定状態を知らせる副変速モニタ89、刈取前処理装置4の速度の設定状態を知らせる刈取変速モニタ90、及びエンジン15の稼動時間を積算した値等を知らせる積算値モニタ91とが表示される。
【0068】
初期モードM1の実行中に、脱穀装置3への動力伝達のための脱穀クラッチが入り作動している場合(脱穀スイッチ135入りの場合)は、警報表示モードM3に移行して、警報ブザー129が鳴動するとともに、液晶パネル60bの画面に扱胴詰まりの画像情報(図示せず)が切替え表示される。
【0069】
これは、実際に扱胴詰まりが発生したのではないが、前記扱胴詰まりの画像情報を代用して液晶パネル60bの画面に表示することにより、脱穀クラッチが入り状態であることをオペレータに報知し、このままで始動することを防ぐようにしたものである。
【0070】
その後、脱穀スイッチ135を切り作動させると、警報ブザー129は鳴動停止するとともに非作業モードM2aに移行して、液晶パネル60bの画面の表示が非作業モードM2aの画像情報に戻る(図16参照)。
【0071】
図15に示すように、通常モードM2のうち非作業モードM2aの実行中に脱穀スイッチ135を入り作動させると、作業モードM2bに移行して、図16の画像情報を示した画面の表示がエンジン負荷や燃料の残量等の画像情報(作業モードM2bに対応した画像データ)に遷移する(図17参照)。作業モードM2bの画像情報は、非作業モードM2aの画像情報のうちエンジン回転数を示す回転数グラフ86の表示領域に、これに代えてエンジン負荷を示す負荷グラフ86′を表示する点が異なるだけであり、その他は非作業モードM2aの場合と同様である。
【0072】
図14に示すように、通常モードM2の実行中に、コンバインにおいて許容される制御範囲から外れた異常データが発生した場合は、液晶パネル60bの画面の表示が、通常モードM2の画像情報から前記異常データに係る異常状態の画像情報(警報表示モードM3の画像情報、図示せず)に遷移する。なお、異常データが発生した場合には、液晶表示装置60のケース60aに設けた作業ランプ70(図7参照)が点灯する。
【0073】
異常データが複数発生した場合は、液晶パネル60bの画面に、適宜時間(実施形態では5秒)ずつ順送りで各異常状態の画像情報が表示される。
【0074】
また、油圧異常等のエンジン系異常状態だけが発生した場合は、第1切替スイッチ73を押下することにより、警報表示モードM3と通常モードM2との間において、液晶パネル60bの画面に各モードの情報を切替え表示できる。
【0075】
異常状態の全てが解消すると、警報表示モードM3から通常モードM2に復帰して、液晶パネル60bの画面に通常モードM2の画像情報が切替え表示される。なお、作業ランプ70(図7参照)はこのとき消灯する。
【0076】
図14に示すように、通常モードM2の実行中に第2切替スイッチ74を一回押下した場合は、環境設定モードM4に移行して、液晶パネル60bの画面の表示が通常モードM2の画像情報から環境設定モードM4の画像情報(図示せず)に遷移する。
【0077】
その後、もう一度第2切替スイッチ74を押下すると、通常モードM2に移行して、液晶パネル60bの画面の表示が環境設定モードM4の画像情報から通常モードM2の画像情報に戻る。実施形態では、環境設定モードM4を実行する頻度が少ないので、環境設定モードM4起動用の第2切替スイッチ74を第1切替スイッチ73とは別に設けて、不用意に環境設定モードM4を作動させないようにしている。
【0078】
図14に示すように、通常モードM2の実行中に、例えばセンサやアクチュエータ等の作動エラーが発生した場合は、液晶パネル60bの画面における副変速モニタ89の右側部位に、「エラー」の文字標識92が点滅表示される(図18参照)。このエラー標識92の点滅により、オペレータは、何らかの作動エラーが生じたことを、通常モードM2の画像情報を示した画面上で迅速に視認することができる。
【0079】
この状態で、第1切替スイッチ73を適宜時間(実施形態では5秒)以上押下すると、エラー表示モードM5に移行して、液晶パネル60bの画面の表示がこのとき発生した作動エラーの内容を示す画像情報(以下、作動エラー情報という、図21参照)に遷移する。これにより、オペレータは作動エラーの詳細を自らが望むときに確認できるので、作業効率や運転操作時の安全性が向上する。
【0080】
もう一度第1切替スイッチ73を一回押下するか、または前記エラーが解消されると、エラー表示モードM5から通常モードM2に戻って、液晶パネル60bの画面に、通常モードM2の画像情報が切替え表示される。
【0081】
次に、図15の通常モード間遷移図と、図19〜図25の画面図とを参照しながら、メンテナンスモードM6における制御態様を説明する。
【0082】
図15に示すように、非作業モードM2aの実行中に、エンジン回転数が予め設定された回転数(実施形態では1500rpm)以下でありかつ車速停止状態(実施形態では車速が0.03m/s以下)という条件下で、両カーソル移動スイッチ71,72を同時に適宜時間(実施形態では1秒)以上入り作動させたのち、続けて4つのスイッチ71〜74を同時に適宜時間(実施形態では5秒)以上入り作動させると、警報ブザー129の鳴動とともにメンテナンスモードM6に移行し、液晶パネル60bの画面には、メンテナンスモードM6における選択メニューの画像情報(以下、選択メニュー情報という)が切替え表示される(図19参照)。警報ブザー129は前記画面が切替わった時点で鳴動停止する。
【0083】
メンテナンスモードM6では、各種センサやアクチュエータ等の故障診断をするだけでなく、これら各機器の制御範囲を設定変更できるため、前述した複雑な手順を踏まないとメンテナンスモードM6へ移行しないようにして、いたずらや誤操作で各機器の制御範囲が変更されることを防止している。
【0084】
また、メンテナンスモードM6では、一旦電源スイッチ142を切り作動させない限り、他のモードM1〜M5への移行ができないようになっている。
【0085】
メンテナンスモードM6には、各センサやCANコントローラC1〜C5を交換したとき等に各機器の制御範囲を設定する初期設定モード、各機器の故障の有無を診断するチェッカモード、過去のメンテナンス情報を消去するリセットモード、及びCANコントローラC1〜C5におけるEEPROM78の記憶内容を書替えるための編集モードという四つの態様がある。
【0086】
図19に示すように、選択メニュー情報を示す画面には、「初期設定モード」、「チェッカモード」、「メンテナンス情報リセット」及び「EEPROM編集」の文字情報151〜154(項目)と、選択する文字情報を指し示すカーソル150とが表示される。
【0087】
この画面の四隅部位には、液晶表示装置60の各スイッチ71,72,73,74の機能を示す操作指示標識155,156,157,158が表示される(操作指示標識158は図26及び図27参照)。これら各操作指示標識155〜158は、それぞれの表示位置に対応したスイッチ71〜73を押下した際の作動内容を文字や図形等で簡略化して表したものである。
【0088】
例えば画面左上隅部の操作指示標識155に対応したカーソル上移動スイッチ71を押下すると、カーソル150が画面の上方向に移動し、左下隅部の操作指示標識156に対応したカーソル下移動スイッチ72を押下すると、カーソル150が画面の下方向に移動するのである。なお、図19の画面では、第2切替スイッチ74を押下しても何も作動しないので、第2切替スイッチ74に対する操作指示標識158は表示されていない。
【0089】
カーソル150で指し示した文字情報は反転表示される。例えば「初期設定モード」の文字情報151を反転表示させた状態で、画面右下隅部の操作指示標識157(「決定」の文字)に対応した第1切替スイッチ73を押下すると、初期設定モードを選択(決定)したことになり、選択メニュー情報を示した画面の表示が初期設定メニューの画像情報(以下、初期設定メニュー情報という)に遷移する(図20(a)(b)参照)。
【0090】
初期設定メニュー情報は、刈取前処理装置4の最上・最下位置や穀稈搬送装置8の浅扱・深扱位置などの七項目に分類されており、これら項目群は、液晶パネル60bの画面に表示できる画素数等に応じて、一画面にまとめてまたは二以上に分けて表示される(実施形態では二つに分けている)。
【0091】
前記画面(図20(a)(b)参照)における複数のメニュー情報の切替え表示は、前述した選択メニューでのスイッチ操作と同様に、カーソル下移動スイッチ72を押下して、カーソル150を画面の下方向に移動させ、このカーソル150で指し示した「次の(前の)画面へ」の文字情報159(160)を反転表示させた状態で、第1切替スイッチ73を押下することにより実行される。
【0092】
次に、初期設定モードの実行例として「車高最下位置」を設定する態様を説明する。図20(b)に示すように、「車高最下位置」の文字情報161を反転表示させた状態で第1切替スイッチ73を押下すると、CANコントローラC5は所定の作動エラーが発生したか否かを判別する。
【0093】
作動エラーが発生した場合は、液晶パネル60bの画面が初期設定メニュー情報から、発生した作動エラー情報に切替え表示される(図21(a)〜(d)参照)。この作動エラー情報は、請求項に記載した「エラーについての情報」の一例に相当する。
【0094】
「車高最下位置」を設定する際の作動エラーとしては、左右の車高センサ41a,41b、傾斜センサ43、傾斜設定ダイヤル64等という複数の態様があり、作動エラーが複数発生した場合は、液晶パネル60bの画面に、適宜時間(実施形態では5秒)ずつ順送りで各作動エラー情報が表示される。
【0095】
作動エラー情報を示した画面(図21(a)〜(d)参照)には、操作指示標識155〜157のうち第1切替スイッチ73に対する操作指示標識157だけが表示されており、第1切替スイッチ73を押下すると、液晶パネル60bの画面表示が初期設定メニュー情報に戻る(図20(a)(b)参照)。
【0096】
このように制御すると、初期設定メニュー情報中の文字情報(実施形態では「車高最下位置」の文字情報161)を反転表示させた状態で第1切替スイッチ73を押下したときに、前記所定の作動エラーが一つでも発生していれば、この作動エラー情報を液晶パネル60bの画面に切替え表示することになるので、オペレータの注意を喚起できるだけでなく、正確かつ詳細な情報も伝達できる。
【0097】
したがって、オペレータはこの作動エラー情報の内容から、発生した作動エラーの詳細を簡単に特定(把握)でき、例えば自らエラー箇所を修理したり部品を取り寄せたりするなど、発生した作動エラーに対して迅速かつ的確に対処できるのである。
【0098】
実施形態では、一度でも作動エラーが発生すると、その後エラー箇所を修理する等して作動エラーを解除しても、液晶パネル60bの画面表示は、後述する状態エラー情報や手順情報に遷移しないようになっている(初期設定モードを続行できない)。
【0099】
この場合、一旦電源スイッチ142を切り操作した後、再度電源スイッチ142を入り操作して、始めから初期設定モードをやり直すことになる。なお、作動エラーを解除した後、液晶パネル60bの画面表示を、後述する状態エラー情報や手順情報に遷移させるように設定してもよい。
【0100】
他方、所定の作動エラーが発生していない場合は、次いで、CANコントローラC5は所定の状態エラーが発生したか否かを判別する。ここで、状態エラーとは機器の故障等とは全く関係のないエラーであって、例えばエンジン回転数が定格回転数以下である等というように、初期設定モードを実行するのに適していないエラーのことをいう。
【0101】
状態エラーが発生していない場合は、図23に示す手順情報が液晶パネル60bの画面に切替え表示される(詳細は後述する)。
【0102】
状態エラーが発生した場合は、液晶パネル60bの画面表示が初期設定メニュー情報から、発生した状態エラーに関する情報(状態エラー情報)に遷移する(図22(a)〜(c)参照)。この状態エラー情報も、請求項に記載した「エラーについての情報」の一例に相当する。
【0103】
「車高最下位置」を設定する際の状態エラーとしては、「エンジン回転数が定格回転数(実施形態では2000rpm)以下である」、「傾斜設定ダイヤル64が水平にセットされていない」、及び「傾斜センサ43の検出角度が0(零)を含む所定範囲から外れた値である」という三つの態様があり、状態エラーが複数発生した場合も、液晶パネル60bの画面に、適宜時間(実施形態では5秒)ずつ順送りで各状態エラー情報が表示される。
【0104】
図22(a)〜(c)には状態エラー情報を示す画面の例を示しており、(a)はエンジン回転数が定格回転数以下のときの状態エラー情報、(b)は傾斜設定ダイヤル64が水平にセットされていないときの状態エラー情報、(c)は傾斜センサ43の検出角度が0(零)を含む所定範囲から外れた値であるときの状態エラー情報の例である。
【0105】
液晶パネル60bの画面表示が状態エラー情報である場合も、第1切替スイッチ73を押下すると、状態エラー情報を示した画面から初期設定メニュー情報を示す画面に遷移する(図20(a)(b)参照)。
【0106】
この場合も、初期設定モードを実行するにあたって前記所定の状態エラーが一つでも発生していれば、状態エラー情報を液晶パネル60bの画面に切替え表示することになるので、オペレータに正確かつ詳細な情報を伝達できる。
【0107】
しかも、状態エラー情報の内容は次のステップへ進むための操作に関するもの(例えば「エンジンを定格にしてください。」等)となっているので、オペレータが液晶パネル60bの画面の表示内容に則した操作を行うことにより、メーカ等に点検を依頼することなく状態エラーを簡単に解除できる。なお、状態エラー情報の内容は、前述のものに限らず、次のステップに移行できない原因等(例えば「エンジン回転数が定格ではありません。」等)であってもよい。
【0108】
次いで、オペレータが状態エラー情報を示した画面の表示内容に則して操作を実行することにより、状態エラーが全て解除されると、液晶パネル60bの画面表示が状態エラー情報から手順情報に遷移する(図23参照)。
【0109】
この場合、手順情報を示した画面には「車高最下位置」を設定するための操作手順が表示される。これにより、オペレータは設定操作手順を簡単かつ正確に把握できることになる。
【0110】
そして、オペレータが図23に示す手順情報の指示の通り、エンジン回転数を定格回転数にして、走行機体1が下降するように車高調節スイッチ62を押し続けると、左右両側の走行部用油圧シリンダ39a,39bのピストンロッドが同時に後退して、走行機体1の車高が低くなる。
【0111】
次いで、車高調節スイッチ62の押下時間が所定時間(実施形態では10秒)以上となると、このときの左右両車高センサ41a,41bの検出値を車高下限値としてCANコントローラC5のEEPROM78に書込む。
【0112】
その後、液晶パネル60bの画面表示が手順情報から「正常終了」の文字情報に切替わり(図24(a)参照)、「車高最下位置」の初期設定が終了する。オペレータの操作ミス等で正常に設定できなかった場合は、「正常終了」の文字情報に代えて、液晶パネル60bの画面に「異常終了」の文字情報が切替え表示されるのである(図24(b)参照)。
【0113】
以上のように、本発明によると、機器の故障等とは関係のない状態エラーを解除した後は、オペレータが液晶パネル60bの画面に表示した手順情報に従って操作をすることにより、簡単かつスムーズに初期設定を実行できるのである。
【0114】
なお、液晶パネル60bの画面表示が図23及び図24(a)(b)のいずれの場合であっても、第1切替スイッチ73を押下すると、前記各画面から初期設定メニュー情報を示す画面に遷移する(図20(a)(b)参照)。図24(a)の「正常終了」の文字情報を示した画面から初期設定メニュー情報を示す画面に遷移するに際しては、「正常終了」した項目(実施形態では「車高最下位置」)が一目で分かるように、例えば「車高最下位置」の文字情報161の右寄り部位等にマーク162を表示したり(図25参照)、「車高最下位置」の文字情報161を点滅表示したりしてもよい。
【0115】
また、初期設定メニュー情報における他の六項目(刈取前処理装置4の最上・最下位置等)についても、同様にして、初期設定を実行できることはいうまでもない。
【0116】
ところで、メンテナンスモードM6においては、前述した初期設定モードで各機器(センサやアクチュエータ等)の制御範囲を設定する以外に、例えばチェッカモードを実行することにより、専用の診断装置等を使わず簡単に、前記各機器を故障診断することができるようになっている。
【0117】
以下に、図26及び図27を参照しながら、チェッカモードでの故障診断の例として、アクチュエータの一つである排出オーガ28旋回用の駆動モータ29を故障診断する態様を説明する。
【0118】
チェッカモードで駆動モータ29を故障診断するに際しては、液晶パネル60bの画面に、図26(a)に示す駆動モータ29の情報が表示される。
【0119】
この場合の画面には、故障診断する機器名163、診断結果164、故障診断の際の各スイッチの操作手順を示す備考165及び検出したCANコントローラ名が表示される。なお、ここでの診断結果184の表示は、故障診断中の機器の作動状態を示すものである。また、前記画面(図26(a)参照)には四つの操作指示標識155〜158も表示される。
【0120】
実施形態では、備考の表示通りに「右」を押下すると(カーソル上移動スイッチ71を押下すると)、駆動モータ29が正常であれば、診断結果164の文字表示が「停止」から「右旋回中」に切替わり(図26(b)参照)、カーソル上移動スイッチ71を押し続けている間、排出オーガ28の縦筒28aひいては横筒28bが図3の矢印R方向に旋回する。
【0121】
他方、「左」を押下すると(カーソル下移動スイッチ72を押下すると)、駆動モータ29が正常であれば、診断結果164の文字表示が「停止」から「左旋回中」に切替わり、カーソル下移動スイッチ72を押し続けている間、排出オーガ28が図3の矢印L方向に旋回するのである。
【0122】
通常、故障診断中の機器は、カーソル移動スイッチ71,72を押下しない限り作動しないようになっているが、例えば排出オーガ28の旋回範囲内に人がいるときに、センサの故障等で駆動モータ29が誤作動して排出オーガ28が旋回動したりすると、排出オーガ28が人にぶつかって怪我をするかもしれず、大変危険である。
【0123】
そこで、実施形態のコンバインでは、チェッカモードでアクチュエータ(前述の例では駆動モータ29)を故障診断する場合は、第2切替スイッチ74を押下するとアクチュエータ(前述の例では駆動モータ29)を強制停止させるように構成されている。
【0124】
このように制御すると、故障診断中にアクチュエータ(駆動モータ29)が誤作動して、このアクチュエータに対する作動部(前述の例では排出オーガ28)が不用意に駆動したとしても、オペレータが「停止」の操作指示標識158に対応した第2切替スイッチ74を押下するだけで、前記作動部(排出オーガ28)を迅速に停止させることができ、事故等の危険を回避できるのである。
【0125】
なお、搖動選別駆動モータ116等の他のアクチュエータも、前述のような故障診断を実行できることはいうまでもない。
【0126】
本発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。例えば作動及び状態エラーの有無の判別は、液晶パネル60bの画面表示が選択メニュー情報(図19参照)から初期設定メニュー情報(図20参照)に切替わる前に実行するようにしてもよい。
【0127】
この場合は、両エラーとも発生していないとき、または状態エラーのみ発生したがその後解消したときに限り、次のステップ(初期設定メニュー情報の表示)に移行するように設定することになる。このような制御によっても、前述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0128】
また、液晶表示装置60の各スイッチ71〜74に代えて、液晶パネル60bの画面上に、従来公知のタッチパネルを設けてもよい。
【0129】
この場合は、制御手段の入力インターフェイスにタッチパネルを接続し、オペレータがタッチパネルの表面のうち操作指示標識の部位を指等で押圧すると、タッチパネルが押圧部位を検出して、この押圧部位情報を制御手段に伝送することにより、当該押圧部位に対応した操作指示標識の内容(例えばカーソル150を画面の上方向に移動させる等)を実行するように構成すればよい。この構成によっても、前述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0130】
さらに、通信バス(回線)はCANプロトコルのみならず、LAN(Local Area Network) プロトコルを用いてもよく、本発明は、前述したCAN通信環境のみならず、LAN通信環境の制御システムに対しても適用できる。さらに、制御手段を構成するコントローラは複数でもよいし、単一のものでもよい。
【0131】
【発明の効果】
本発明のように構成すると、初期設定モードを実行するにあたってエラーが発生していれば、このエラーについての情報を前記表示手段の画面に表示することになるので、オペレータの注意を喚起できるばかりか、オペレータに前記エラーについての情報を正確かつ詳細に伝えることができる。
【0132】
これにより、オペレータは前記情報の内容から前記エラーの詳細を簡単に特定でき、例えば自らエラー箇所を修理したり部品を取り寄せたりするなど、前記エラーに対して迅速かつ的確に対処できるという効果を奏する。
【0133】
特に、請求項3の構成を採用すると、前記エラーが前記初期設定モードを実行するのに適さない状態エラーの場合には、前記状態エラーの解除後に、前記表示手段の画面に前記初期設定モードの手順情報を切替え表示することになるので、オペレータが前記表示手段の画面に表示した手順情報に従って操作をすることにより、簡単かつスムーズに初期設定を実行できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンバインの左側面図である。
【図2】コンバインの右側面図である。
【図3】コンバインの正面図である。
【図4】動力伝達系のスケルトン図である。
【図5】油圧回路図である。
【図6】運転室の概略平面図である。
【図7】操向丸ハンドル及び液晶表示装置を示す拡大平面図である。
【図8】制御装置全体の機能ブロック図である。
【図9】CANコントローラC1の機能ブロック図である。
【図10】CANコントローラC2の機能ブロック図である。
【図11】CANコントローラC3の機能ブロック図である。
【図12】CANコントローラC4の機能ブロック図である。
【図13】CANコントローラC5の機能ブロック図である。
【図14】各モードの遷移図である。
【図15】通常モードの遷移図である。
【図16】非作業モードの画像情報を示す画面図である。
【図17】作業モードの画像情報を示す画面図である。
【図18】エラー標識が表示された通常モードの画面図である。
【図19】メンテナンスモードのうち選択メニュー情報を示す画面図である。
【図20】(a)(b)ともに初期設定メニュー情報を示す画面図である。
【図21】作動エラー情報を示す画面図であり、(a)は傾斜設定ダイヤル、(b)は傾斜センサ、(c)(d)は車高センサである。
【図22】(a)〜(c)のいずれも状態エラー情報を示す画面図である。
【図23】初期設定モードの手順情報を示す画面図である。
【図24】(a)は「正常終了」の文字情報を示す画面図、(b)は「異常終了」の文字情報を示す画面図である。
【図25】初期設定メニュー情報の別例を示す画面図である。
【図26】(a)(b)ともチェッカモードにおける駆動モータの診断情報を示す画面図である。
【符号の説明】C1〜C5 CANコントローラ
S1〜S5 アプリケーション制御プログラム
M1 初期モード
M2 通常モード
M3 警報表示モード
M4 環境設定モード
M5 エラー表示モード
M6 メンテナンスモード
1 走行機体
2,2 走行クローラ
3 脱穀装置
15 エンジン
60 液晶表示装置
60b 表示手段としての液晶パネル
71 カーソル上移動スイッチ
72 カーソル下移動スイッチ
73 第1切替スイッチ
74 第2切替スイッチ
75 制御手段としての電子式制御装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、作業機(例えばコンバインやトラクタ等の農作業機、クレーン車等の特殊作業用車両または乗用車等)に設けた表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のコンバインは、走行機体に搭載したエンジンの出力(負荷)を制御する電子式ガバナの燃料噴射量検知センサ等の各種センサと、燃料噴射ポンプのラック位置を調節する電磁ソレノイド等の各種アクチュエータとを備えており、これら各機器(センサやアクチュエータ等)はマイクロコンピュータ等の制御手段で制御されている。
【0003】
そして最近では、コンバインの操作部近傍に液晶ディスプレイ等の表示装置が設けられており、路上走行や各種作業に際して、前記表示装置にコンバインの状態情報を表示することにより、オペレータが作動状況(例えばエンジンの回転数や負荷、走行速度、穀粒タンク内の穀粒積載量等)を視覚的に認識できるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種のコンバインでは、センサ間の精度のばらつきや取付け位置ずれによる検出誤差の影響をなくす等のため、センサや制御手段を交換したとき等に初期設定モードを実行して、刈取前処理装置や車高の昇降範囲等のような制御範囲を新たに設定できるように構成されている。
【0005】
しかし、前記従来のコンバインでは、初期設定モードの実行時に、センサの作動エラー(異常データを検出したり、検出データが全く変化しない等)や、アクチュエータの作動エラー(誤作動したり、全く作動しない等)、または初期設定モードを実行するのに適さない状態エラー(例えばエンジン回転数が定格回転数以下である等)が発生すると、このエラーの内容等を前記表示装置に表示することなく、従前の設定のままで初期設定モードを終了するようにしていたから、オペレータは初期設定モードを実行できない原因を全く特定できなかった。
【0006】
このため、例えば前記状態エラーのように、機器の故障等とは関係のないエラーが発生していたとしても、前記原因を特定するにはメーカ等に依頼するしかなく、点検・修理等が完了するまでに長期間を要するという問題があった。
【0007】
本発明は、以上の問題点を解消すべくなされたものであり、初期設定モードを実行できない原因を簡単に特定(把握)できるようにした表示装置を提供することを技術的課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この技術的課題を解決するため、請求項1の発明に係る作業機における表示装置は、作業機の各種モードの情報を表示するための表示手段と、前記複数のモードのうち実行中のモードの情報を前記表示手段の画面に表示するように制御するための制御手段とを備えた表示装置であって、前記制御手段は、初期設定モードを実行するにあたってエラーが発生した場合には、前記表示手段の画面に、前記エラーについての情報を表示するように制御するというものである。
【0009】
請求項2の発明に係る作業機における表示装置は、作業機の各種モードの情報を表示するための表示手段と、前記複数のモードのうち実行中のモードの情報を前記表示手段の画面に表示するように制御するための制御手段とを備えた表示装置であって、前記制御手段は、初期設定モードを実行するにあたってエラーが発生した場合には、前記初期設定モードの情報を示した画面から、前記エラーについての情報を示す画面に遷移させるように制御するというものである。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1または2に記載した作業機における表示装置において、前記制御手段は、前記エラーが前記初期設定モードを実行するのに適さない状態エラーの場合には、この状態エラーが解除されることにより、前記表示手段の画面に、前記初期設定モードの手順情報を切替え表示するように制御するというものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を具体化した実施形態を、コンバインに適用した場合の図面(図1〜図26)に基づいて説明する。
【0012】
コンバインにおける走行機体1は、左右一対の走行クローラ2,2に対して後述する走行部昇降駆動手段を介して昇降可能に構成されている。図1に示すように、走行機体1の進行方向に向かって左側には、作業部としての脱穀装置3が搭載されている。走行機体1の前部に配置した刈取前処理装置4は、走行機体1に対して、昇降フレーム14を介して昇降回動可能に支持されており、この昇降フレーム14と走行機体1との間に装着したアクチュエータとしての刈取部用油圧シリンダ9で昇降調節可能に構成されている。
【0013】
刈取前処理装置4の下部にはバリカン式の刈刃装置5が配置されており、前部には六条分の穀稈引起装置6が配置されている(図3参照)。この穀稈引起装置6と脱穀装置3におけるフィードチェーン7の前端との間には穀稈搬送装置8が配置されており、穀稈引起装置6の下部前方には、走行機体の進行方向に向かって突出する分草体10が取付けられている。そして、走行機体1の右側前部には運転室11が配置されており、この運転室11の後方には穀粒タンク12が配置されている。
【0014】
図4に示すように、運転室11の後方下部に配置したエンジン15からの出力(動力)の一部は、一つの動力伝達系統として、オーガクラッチ16を介して穀粒タンク12内の底スクリューコンベヤ17と排出オーガ28内の縦横スクリューコンベヤ18a,18bとに伝達される。
【0015】
エンジン15からの残りの動力は、動力分岐ミッション19を介して三つの動力伝達系統に分岐されて伝達される。すなわち、一つは油圧ポンプ油圧モータ式走行駆動部24を経て刈取前処理装置4に動力伝達され、もう一つは脱穀装置3の扱胴13及び処理胴20に動力伝達される。さらに、もう一つの動力伝達系統は、唐箕21、一番受樋のスクリューコンベヤ22a、二番受樋のスクリューコンベヤ22bやフィードチェーン7、穀粒タンク12への揚穀スクリューコンベヤ23、搖動選別機構40、排わらカッタ27等を回転駆動させるようになっている。
【0016】
刈取前処理装置4への動力は、走行速度と同期するときには、走行駆動部24からの出力軸26を介して伝達され、同期しないときには、動力分岐ミッション19からの分岐動力をワンウェイクラッチ25を介して伝達するようになっている。
【0017】
図1及び図2に示すように、穀粒タンク12内の穀粒を機外に排出するための排出オーガ28は、走行機体1の後端に配置した縦筒28aと、この縦筒28aの上端に上下回動可能に連設した横筒28bとからなり、縦筒28a内には縦スクリューコンベア18aが、横筒28b内には横スクリューコンベア18bがそれぞれ内装されている。
【0018】
縦筒28aは、駆動モータ29とギア機構30とで縦軸回りに旋回可能に構成されており、横筒28bは、縦筒28aとの間に装架したオーガ用油圧シリンダ31とリンク機構32とで上下傾斜角度を変更可能に構成されている。
【0019】
そして、駆動モータ29に設けたロータリエンコーダ等の旋回角センサ81(図10参照)により、縦筒28aの水平旋回角度、ひいては横筒28bの水平旋回位置を検出でき、オーガ用油圧シリンダ31またはリンク機構32の箇所に設けたポテンショメータ等の上下回動角センサ82(図10参照)により、横筒28bの上下傾斜角度、ひいては横筒28b先端の排出部の高さ位置を検出できるようになっている。
【0020】
なお、排出オーガ28を使用しないときには、穀粒タンク12の上面に設けたレスト台33等に横筒28bの中途部が載置されるようになっている。このレスト台33には、横筒28bが載置されたか否かを検出する接触センサ等のレスト検出器が取り付けられている。
【0021】
図1及び図2に示すように、左右各走行クローラ2は、トラックフレーム35の前後端に各々配置した駆動輪36及び従動輪37と、トラックフレーム35の下面中途部に複数個配置した転動輪38との外周に巻回してなるものである。
【0022】
左右各トラックフレーム35と走行機体1とは、図5に示す走行部用油圧シリンダ39a(39b)と、トラックフレーム35の前後位置に設けた側面視L字状の前後レバーを同時に作動させるように連結した連結杆(図示せず)等とからなる走行部昇降駆動手段を介して連結されている。
【0023】
左右の走行部用油圧シリンダ39a,39bは、互いに独立的に作動させることにより、左右各走行クローラ2を、走行機体1の左右に対して独立的に昇降させ得るようになっている。
【0024】
したがって、左右両側の走行部用油圧シリンダ39a,39bのピストンロッドを同時に突出させると、走行機体1は左右両走行クローラ2,2から上方に離れて(上昇し)、走行機体1の走行クローラ2,2に対する相対的高さ(車高)は高くなる。逆に、前記ピストンロッドを同時に後退させると、走行機体1は左右両走行クローラ2,2に近付いて(下降し)、走行機体1の走行クローラ2,2に対する相対的高さ(車高)は低くなる。
【0025】
そして、左走行部用油圧シリンダ39aのピストンロッドを突出させるか、または右走行部用油圧シリンダ39bのピストンロッドを後退させると(もしくはこの両方の動作を同時に実行しても)、右走行クローラ2に対する走行機体1の車高は低くなり(左走行クローラ2に対する走行機体1の車高は高くなり)、走行機体1は右下がりに傾斜する。
【0026】
逆に、右走行部用油圧シリンダ39bのピストンロッドを突出させるか、または左走行部用油圧シリンダ39aのピストンロッドを後退させると(もしくはこの両方の動作を同時に実行しても)、左走行クローラ2に対する走行機体1の車高は低くなり(右走行クローラ2に対する走行機体1の車高は高くなり)、走行機体1は左下がりに傾斜するのである。
【0027】
左右各走行部用油圧シリンダ39a,39bのピストンロッドの突出量を検出して、走行機体1の左右各走行クローラ2,2に対する相対高さ(車高)を検出するためのロータリエンコーダ等の車高センサ41a,41bは、前記連結杆に連設した連結ロッドやリンク機構(図示せず)を介して連動するように構成されている。走行機体1の左右の傾斜角度を検出するための振り子式(重力式)等の傾斜センサ43(図10参照)は、走行機体1の任意の位置、例えば運転室11内等に配置されている。
【0028】
なお、図3に示すように、刈取前処理装置4と圃場面との対地高さを検出するための超音波センサ44a,44bは、発信器の発信部(ホーン部)と受信器の受信部とを圃場面に向けた状態で、刈取前処理装置4の左右両側における穀稈引起装置6の裏面側に設けたブラケット(図示せず)に配置されている。
【0029】
超音波センサ44a,44bの設置高さと刈刃装置5の設置高さとが異なる場合には、超音波センサ44a,44bの検出値から所定の換算により刈取前処理装置4と圃場面との対地高さを求めることができるようになっている。
【0030】
また、昇降フレーム14の基端に取り付けた昇降ポジションセンサ45(図9参照)は、昇降フレーム14の回動角度を検出することにより、走行機体1と刈取前処理装置4との相対高さを求めることができるようになっている。
【0031】
図5に示すように、油圧シリンダ9,31,39a,39bのための油圧回路は、油圧ポンプ46からの圧油を分流する分流弁47を介して分岐しており、この分流弁47の一方の吐出路からは、オーガ用油圧シリンダ31と左側の走行部用油圧シリンダ39aとに対する第1油圧回路48ヘ圧油を送給し、他方の吐出路からは、刈取部用油圧シリンダ9と右側の走行部用油圧シリンダ39bとに対する第2油圧回路49へ圧油を送給するように構成されている。
【0032】
両油圧回路48,49には、それぞれの油圧シリンダ9,31,39a,39bに対する電磁制御弁50,51,52,53や逆止弁、リリーフ弁等が接続されている。
【0033】
次に、運転室11に設けた各種操作用のレバーやスイッチ類の構成を、図6及び図7を参照して説明する。運転座席56の前方のフロントコラムカバー体57から上向きに突出するハンドル軸(図示せず)には、走行機体1を操向操作する操向丸ハンドル58が取付けられており、運転座席56から見てフロントコラムカバー体57の右側面には、前後方向に回動可能なアクセルレバー59が設けられている。
【0034】
フロントコラムカバー体57の上端部位には、液晶表示装置60が、平面視で操向丸ハンドル58における略半円形状のハンドルホイル58aの内径側に位置するように取付けられている。
【0035】
液晶表示装置60は、フロントコラムカバー体57のみに固定されており、操向丸ハンドル58には連結していない。したがって、操向丸ハンドル58を回動させても、液晶表示装置60が動くことはない。また、液晶表示装置60の上面(画面)を操向丸ハンドル58のハンドルホイル58aよりも下方に位置させているので、この操向丸ハンドル58を回動させても、液晶表示装置60に接触することはない。
【0036】
運転座席56の左方には、前後に長いサイドコラム61が配置されており、このサイドコラム61の前端部位には、走行機体1の車高を手動で変更調節できる車高調節スイッチ62と、車高制御における自動操作と手動操作とを切替えるための車高制御切替スイッチ63と、走行機体1の左右傾斜角度を設定するための傾斜設定ダイヤル64とが配置されている。
【0037】
サイドコラム61上のうち車高調節スイッチ62等の後方部位には、車速を無段階変速させる主変速レバー65と、作業状態に応じて走行駆動部24の出力及び回転数を所定範囲に設定保持する副変速レバー66とが左右に平行状に配置されており、これら各レバー65,66は前後回動可能に構成されている。
【0038】
また、サイドコラム61上のうち副変速レバー66の右寄り部位には、刈取自動昇降スイッチ131や、定回転制御モードと手動モードとを切替え操作するための定回転制御切替スイッチ133等の各種スイッチ類が配置されており、副変速レバー66の後方部位には、刈取作業のための刈取レバー67と脱穀作業のための脱穀レバー68とが前後回動可能に配置されている。
【0039】
刈取レバー67は、前傾させると刈取作業を実行するための刈取スイッチ134(図12参照)が切り作動し、後傾させると刈取スイッチ134が入り作動するように構成されている。同様にして、脱穀レバー68も、前傾させると脱穀作業を実行するための脱穀スイッチ135(図12参照)が切り作動し、後傾させると入り作動するように構成されている。
【0040】
主変速レバー65の握り部65aの右側面には、刈取前処理装置4を強制的に上昇させるオートリフトスイッチ137と、刈取前処理装置4を所定の刈高さまで強制的に下降させるオートセットスイッチ138とが設けられている。握り部65aの前側面のうち右側には、刈取前処理装置4の昇降動を手動操作するための刈取昇降レバー139が配置されており、左側には、穀稈の扱深さ位置を手動で変更調節できる扱深さ調節レバー140が配置されている。
【0041】
図6及び図7に示すように、液晶表示装置60は、文字、記号、画像等の情報を表示できるモノクロのドットマトリクス形の液晶パネル60bと、これを収納するケース60aとにより構成されている。この液晶パネル60bは請求項に記載した表示手段に相当する。なお、液晶パネル60bはカラー型でもよい。
【0042】
このケース60aの表面のうち液晶パネル60bの外周側には、コンバイン全体の電源を入り切り操作する電源スイッチ142(図12参照)の入り操作時等に点灯する作業ランプ70と、画面表示の切替え等のための左右各2つのスイッチ71,72,73,74とが設けられている。これら各スイッチ71〜74は、スイッチの一回の押下により一つのONパルス信号が出るいわゆるプッシュスイッチで、ノンロックタイプのものである。
【0043】
ケース60a内であって液晶パネル60bの裏面側には、コンバインの各種モードのうち実行中のモードに対応した画像情報を液晶パネル60bの画面に表示するように制御するCAN(Controller Area Network )コントローラC5(図13参照)が内装されている。
【0044】
次に、走行機体1の車速、姿勢及び車高や、排出オーガ28の排出位置等、コンバインの作動全般を制御するとともに、実行中のモード(コンバインの動作状態)に対応した画像情報を液晶パネル60bの画面に表示するように制御する制御手段の構成について説明する。
【0045】
図8に示すように、制御手段としてのマイクロコンピュータ等の電子式制御装置75は、複数(実施形態では5つ)のCANコントローラC1,C2,C3,C4,C5と、これらの間を相互に接続するCAN通信バス76とで構成されている。CANコントローラC1及びC5には、制御データの反射を抑制する終端抵抗としての抵抗器(図示せず)が内蔵されている。
【0046】
各CANコントローラC1〜C5は、各種演算処理や制御を実行するCPU77、後述する各制御プログラムや各種データを記憶させる不揮発性メモリとしてのEEPROM78、前記各制御プログラムや各種データを一時的に記憶させるRAM79、タイマ機能としてのクロック、センサやアクチュエータ等に接続してデータを伝送する入出力インターフェイス(図示せず)等を備えている。
【0047】
CANコントローラC1〜C5のEEPROM78の各々には、それぞれの作動制御に対応したアプリケーション制御プログラム(ソフト)S1,S2,S3,S4,S5が予め記憶(格納)されている(図8参照)。
【0048】
アプリケーション制御プログラムS1は、脱穀装置3及び刈取前処理装置4の各種アクチュエータ(例えば刈取部用油圧シリンダ9等)を作動させるプログラムとし、アプリケーション制御プログラムS2は、刈取部用油圧シリンダ9及び走行機体1の左右の走行部用油圧シリンダ39a,39bを作動させて、刈取前処理装置4の刈高さ制御や走行機体1の姿勢及び車高制御を実行するためのプログラムとする。
【0049】
アプリケーション制御プログラムS3は、エンジン15の出力(動力)を制御するためのプログラムとし、アプリケーション制御プログラムS4は、排出オーガ28における駆動モータ29及びオーガ用油圧シリンダ31の作動を制御するためのプログラムとする。
【0050】
アプリケーション制御プログラムS5は、各CANコントローラC1〜C5に接続した全ての機器(センサやアクチュエータ等)の制御データ(情報)の入出力を管理・制御して、実行中のモードに対応した画像情報を液晶パネル60bの画面に表示する制御を司るプログラムとする。
【0051】
また、EEPROM78の各々には、CAN通信に必要な通信制御プログラムと、センサやアクチュエータ等の各機器間で制御データ(情報)を伝送するための入出力用制御プログラムとについても予め格納しており、アプリケーション制御プログラムに対して入出力用制御プログラムがベースとなるように階層化されている。
【0052】
各CANコントローラC1〜C5は、目安として、入出力系機器のハーネスの長さがなるべく短くなるように組み合せてこれらを制御するようにしており、それぞれの配置箇所でコントローラボックス(図示せず)内に格納されている。
【0053】
例えば、CANコントローラC1は、運転室11における床板の下面側に設置されている(図1〜図3参照)。このCANコントローラC1の入力インターフェイスには、昇降ポジションセンサ45、刈取前処理装置4において刈取穀稈を搬送しているか否かを検出する穀稈搬送センサ96、搬送中の刈取穀稈の長さを検出する穀稈長さセンサ97、扱深さセンサ98、オーガクラッチモータスイッチ99、超音波センサ44a,44b、車速センサ100、2番受樋スクリューコンベア回転センサ101、操向丸ハンドルリミットスイッチ102等が各々接続されている(図9参照)。
【0054】
CANコントローラC1の出力インターフェイスには、扱深さ制御モータにおけるリレーユニット等の制御回路部103、オーガクラッチモータにおけるリレーユニット等の制御回路部104、脱穀クラッチを駆動させるための電磁ソレノイド105等が各々接続されている(図9参照)。
【0055】
CANコントローラC2は、刈取前処理装置4の上部でかつ運転室11に近い箇所に設置されている(図1〜図3参照)。CANコントローラC2の入力インターフェイスには、燃料センサ106、傾斜センサ43、車高センサ41a,41b、選別装置の流穀板における籾流量センサ107、選別装置各部での籾の有無を検出する籾センサ108、排藁カッタ詰まりセンサ109、旋回角センサ81、横筒28bの先端部に設けて排出オーガ28の水平旋回等を操作する排出オーガ先端操作部110、上下回動角センサ82、オーガクラッチセンサ111、排出オーガ過負荷センサ112、搖動選別過負荷センサ113、扱胴回転センサ114、処理胴回転センサ115等が各々接続されている(図10参照)。
【0056】
CANコントローラC2の出力インターフェイスには、搖動選別駆動モータ116、FCクラッチ駆動回路部117、排出オーガ28の縦筒28aを水平旋回させるための駆動モータ29、排出オーガブレーキ118、オーガ用油圧シリンダ31に対する電磁制御弁51の電磁ソレノイド51a、走行機体1の左走行部用油圧シリンダ39aに対する電磁制御弁52の電磁ソレノイド52a、走行機体1の右走行部用油圧シリンダ39bに対する電磁制御弁53の電磁ソレノイド53a、刈取部用油圧シリンダ9に対する電磁制御弁50の電磁ソレノイド50a等が各々接続されている(図10参照)。
【0057】
図1〜図3に示すように、CANコントローラC3は、運転室11における運転座席56の後部に設置されている。CANコントローラC3の入力インターフェイスには、エンジン回転数センサ119、エンジンオイル量センサ120、エンジン水温センサ121、エンジン15の出力(負荷)を制御する電子ガバナ付き燃料噴射ポンプのラック位置を検出するための燃料噴射ポンプラック位置センサ122、エンジンスタータスイッチ123、排出オーガ28の水平旋回位置を予め記憶させるためのオーガセット位置ダイヤル124、運転室11に設けて排出オーガ28の水平旋回等を操作する排出オーガ操作部125、刈取クラッチモータリミットスイッチ126等が各々接続されている(図11参照)。
【0058】
CANコントローラC3の出力インターフェイスには、エンジン15の回転数が所定の回転数となるように燃料噴射ポンプのラック位置を調節するための燃料噴射ポンプラックアクチュエータ127、エンジンスタータリレー128、警報ブザー129等が各々接続されている(図11参照)。
【0059】
CANコントローラC4は運転室11のサイドコラム61内に設置されている(図1〜図3参照)。CANコントローラC4の入力インターフェイスには、アクセルレバー59の操作位置を検出するアクセルレバーセンサ59a、車高調節スイッチ62、車高制御切替スイッチ63、傾斜設定ダイヤル64、扱深さ自動制御スイッチ130、刈取自動昇降スイッチ131、刈取前処理装置4が所定の刈高さまで下降すると自動的に前記刈取前処理装置4へ動力伝達するための刈取オートクラッチスイッチ132、刈取スイッチ134、脱穀スイッチ135、選別装置における穀粒の選別状態を調節するための選別調節ダイヤル136、オートリフトスイッチ137、オートセットスイッチ138、刈取昇降レバー139、扱深さ調節レバー140、副変速レバー66、走行機体1を後退動させるための後退スイッチ141、電源スイッチ142等が各々接続されている(図12参照)。
【0060】
CANコントローラC4の出力インターフェイスには、車高制御を自動操作に切替えたときに点灯する車高制御切替スイッチランプ143、扱深さ制御を自動操作に切替えたときに点灯する扱深さ自動制御スイッチランプ144等が各々接続されている(図12参照)。
【0061】
ケース60a内に内装したCANコントローラC5の入力インターフェイスには、液晶パネル60bの画面上のカーソルを画面上方向に移動させるためのカーソル上移動スイッチ71、画面下方向に移動させるためのカーソル下移動スイッチ72、液晶パネル60bの画面表示を切替える操作等をするための第1及び第2切替スイッチ73,74等が各々接続されている(図13参照)。
【0062】
そして、CANコントローラC5の出力インターフェイスには、液晶パネル60b、電源スイッチ142の入り操作時等に点灯する作業ランプ70等が各々接続されている(図13参照)。
【0063】
次に、CANコントローラC5によるモードの切替え制御の態様について説明する。図14に示すように、コンバインのモード(動作の状態)は、初期モードM1、路上走行や各種作業をする通常モードM2、コンバインの異常状態を報知する警報表示モードM3、検出エラー等の各種エラーの内容を報知するエラー表示モードM5、及びエンジン15及び脱穀装置3における回転数制御等の設定を行うための環境設定モードM4の5つに大別される。
【0064】
そして、通常モードM2には、路上走行等をする非作業モードM2aと刈取脱穀作業をする作業モードM2bとがあり、非作業モードM2aからのみ移行できるメンテナンスモードM6も設定されている(図15参照)。
【0065】
まず最初に、電源スイッチ142を入り操作すると、初期モードM1が起動して、液晶パネル60bの画面に初期画像情報が表示される。
【0066】
次いで、CANコントローラC5のEEPROM78に予め設定された時間(実施形態では10秒)が経過するか、あるいはエンジン15の回転数が予め設定された回転数(実施形態では240rpm)以上になると、自動的に通常モードM2のうち非作業モードM2aに移行して(図15参照)、液晶パネル60bの画面の表示が、前記初期画像情報からエンジン回転数や燃料の残量等の画像情報(非作業モードM2aに対応した画像データ)に遷移する(図16参照)。
【0067】
この場合、液晶パネル60bの画面には、非作業モードM2aの画像情報として、走行機体1の走行速度(車速)を示す速度計85、エンジン回転数を示す略L字状の回転数グラフ86、穀粒タンク12内のもみの量を知らせるタンクモニタ87、燃料の残量を知らせる燃料計88、副変速レバー66の設定状態を知らせる副変速モニタ89、刈取前処理装置4の速度の設定状態を知らせる刈取変速モニタ90、及びエンジン15の稼動時間を積算した値等を知らせる積算値モニタ91とが表示される。
【0068】
初期モードM1の実行中に、脱穀装置3への動力伝達のための脱穀クラッチが入り作動している場合(脱穀スイッチ135入りの場合)は、警報表示モードM3に移行して、警報ブザー129が鳴動するとともに、液晶パネル60bの画面に扱胴詰まりの画像情報(図示せず)が切替え表示される。
【0069】
これは、実際に扱胴詰まりが発生したのではないが、前記扱胴詰まりの画像情報を代用して液晶パネル60bの画面に表示することにより、脱穀クラッチが入り状態であることをオペレータに報知し、このままで始動することを防ぐようにしたものである。
【0070】
その後、脱穀スイッチ135を切り作動させると、警報ブザー129は鳴動停止するとともに非作業モードM2aに移行して、液晶パネル60bの画面の表示が非作業モードM2aの画像情報に戻る(図16参照)。
【0071】
図15に示すように、通常モードM2のうち非作業モードM2aの実行中に脱穀スイッチ135を入り作動させると、作業モードM2bに移行して、図16の画像情報を示した画面の表示がエンジン負荷や燃料の残量等の画像情報(作業モードM2bに対応した画像データ)に遷移する(図17参照)。作業モードM2bの画像情報は、非作業モードM2aの画像情報のうちエンジン回転数を示す回転数グラフ86の表示領域に、これに代えてエンジン負荷を示す負荷グラフ86′を表示する点が異なるだけであり、その他は非作業モードM2aの場合と同様である。
【0072】
図14に示すように、通常モードM2の実行中に、コンバインにおいて許容される制御範囲から外れた異常データが発生した場合は、液晶パネル60bの画面の表示が、通常モードM2の画像情報から前記異常データに係る異常状態の画像情報(警報表示モードM3の画像情報、図示せず)に遷移する。なお、異常データが発生した場合には、液晶表示装置60のケース60aに設けた作業ランプ70(図7参照)が点灯する。
【0073】
異常データが複数発生した場合は、液晶パネル60bの画面に、適宜時間(実施形態では5秒)ずつ順送りで各異常状態の画像情報が表示される。
【0074】
また、油圧異常等のエンジン系異常状態だけが発生した場合は、第1切替スイッチ73を押下することにより、警報表示モードM3と通常モードM2との間において、液晶パネル60bの画面に各モードの情報を切替え表示できる。
【0075】
異常状態の全てが解消すると、警報表示モードM3から通常モードM2に復帰して、液晶パネル60bの画面に通常モードM2の画像情報が切替え表示される。なお、作業ランプ70(図7参照)はこのとき消灯する。
【0076】
図14に示すように、通常モードM2の実行中に第2切替スイッチ74を一回押下した場合は、環境設定モードM4に移行して、液晶パネル60bの画面の表示が通常モードM2の画像情報から環境設定モードM4の画像情報(図示せず)に遷移する。
【0077】
その後、もう一度第2切替スイッチ74を押下すると、通常モードM2に移行して、液晶パネル60bの画面の表示が環境設定モードM4の画像情報から通常モードM2の画像情報に戻る。実施形態では、環境設定モードM4を実行する頻度が少ないので、環境設定モードM4起動用の第2切替スイッチ74を第1切替スイッチ73とは別に設けて、不用意に環境設定モードM4を作動させないようにしている。
【0078】
図14に示すように、通常モードM2の実行中に、例えばセンサやアクチュエータ等の作動エラーが発生した場合は、液晶パネル60bの画面における副変速モニタ89の右側部位に、「エラー」の文字標識92が点滅表示される(図18参照)。このエラー標識92の点滅により、オペレータは、何らかの作動エラーが生じたことを、通常モードM2の画像情報を示した画面上で迅速に視認することができる。
【0079】
この状態で、第1切替スイッチ73を適宜時間(実施形態では5秒)以上押下すると、エラー表示モードM5に移行して、液晶パネル60bの画面の表示がこのとき発生した作動エラーの内容を示す画像情報(以下、作動エラー情報という、図21参照)に遷移する。これにより、オペレータは作動エラーの詳細を自らが望むときに確認できるので、作業効率や運転操作時の安全性が向上する。
【0080】
もう一度第1切替スイッチ73を一回押下するか、または前記エラーが解消されると、エラー表示モードM5から通常モードM2に戻って、液晶パネル60bの画面に、通常モードM2の画像情報が切替え表示される。
【0081】
次に、図15の通常モード間遷移図と、図19〜図25の画面図とを参照しながら、メンテナンスモードM6における制御態様を説明する。
【0082】
図15に示すように、非作業モードM2aの実行中に、エンジン回転数が予め設定された回転数(実施形態では1500rpm)以下でありかつ車速停止状態(実施形態では車速が0.03m/s以下)という条件下で、両カーソル移動スイッチ71,72を同時に適宜時間(実施形態では1秒)以上入り作動させたのち、続けて4つのスイッチ71〜74を同時に適宜時間(実施形態では5秒)以上入り作動させると、警報ブザー129の鳴動とともにメンテナンスモードM6に移行し、液晶パネル60bの画面には、メンテナンスモードM6における選択メニューの画像情報(以下、選択メニュー情報という)が切替え表示される(図19参照)。警報ブザー129は前記画面が切替わった時点で鳴動停止する。
【0083】
メンテナンスモードM6では、各種センサやアクチュエータ等の故障診断をするだけでなく、これら各機器の制御範囲を設定変更できるため、前述した複雑な手順を踏まないとメンテナンスモードM6へ移行しないようにして、いたずらや誤操作で各機器の制御範囲が変更されることを防止している。
【0084】
また、メンテナンスモードM6では、一旦電源スイッチ142を切り作動させない限り、他のモードM1〜M5への移行ができないようになっている。
【0085】
メンテナンスモードM6には、各センサやCANコントローラC1〜C5を交換したとき等に各機器の制御範囲を設定する初期設定モード、各機器の故障の有無を診断するチェッカモード、過去のメンテナンス情報を消去するリセットモード、及びCANコントローラC1〜C5におけるEEPROM78の記憶内容を書替えるための編集モードという四つの態様がある。
【0086】
図19に示すように、選択メニュー情報を示す画面には、「初期設定モード」、「チェッカモード」、「メンテナンス情報リセット」及び「EEPROM編集」の文字情報151〜154(項目)と、選択する文字情報を指し示すカーソル150とが表示される。
【0087】
この画面の四隅部位には、液晶表示装置60の各スイッチ71,72,73,74の機能を示す操作指示標識155,156,157,158が表示される(操作指示標識158は図26及び図27参照)。これら各操作指示標識155〜158は、それぞれの表示位置に対応したスイッチ71〜73を押下した際の作動内容を文字や図形等で簡略化して表したものである。
【0088】
例えば画面左上隅部の操作指示標識155に対応したカーソル上移動スイッチ71を押下すると、カーソル150が画面の上方向に移動し、左下隅部の操作指示標識156に対応したカーソル下移動スイッチ72を押下すると、カーソル150が画面の下方向に移動するのである。なお、図19の画面では、第2切替スイッチ74を押下しても何も作動しないので、第2切替スイッチ74に対する操作指示標識158は表示されていない。
【0089】
カーソル150で指し示した文字情報は反転表示される。例えば「初期設定モード」の文字情報151を反転表示させた状態で、画面右下隅部の操作指示標識157(「決定」の文字)に対応した第1切替スイッチ73を押下すると、初期設定モードを選択(決定)したことになり、選択メニュー情報を示した画面の表示が初期設定メニューの画像情報(以下、初期設定メニュー情報という)に遷移する(図20(a)(b)参照)。
【0090】
初期設定メニュー情報は、刈取前処理装置4の最上・最下位置や穀稈搬送装置8の浅扱・深扱位置などの七項目に分類されており、これら項目群は、液晶パネル60bの画面に表示できる画素数等に応じて、一画面にまとめてまたは二以上に分けて表示される(実施形態では二つに分けている)。
【0091】
前記画面(図20(a)(b)参照)における複数のメニュー情報の切替え表示は、前述した選択メニューでのスイッチ操作と同様に、カーソル下移動スイッチ72を押下して、カーソル150を画面の下方向に移動させ、このカーソル150で指し示した「次の(前の)画面へ」の文字情報159(160)を反転表示させた状態で、第1切替スイッチ73を押下することにより実行される。
【0092】
次に、初期設定モードの実行例として「車高最下位置」を設定する態様を説明する。図20(b)に示すように、「車高最下位置」の文字情報161を反転表示させた状態で第1切替スイッチ73を押下すると、CANコントローラC5は所定の作動エラーが発生したか否かを判別する。
【0093】
作動エラーが発生した場合は、液晶パネル60bの画面が初期設定メニュー情報から、発生した作動エラー情報に切替え表示される(図21(a)〜(d)参照)。この作動エラー情報は、請求項に記載した「エラーについての情報」の一例に相当する。
【0094】
「車高最下位置」を設定する際の作動エラーとしては、左右の車高センサ41a,41b、傾斜センサ43、傾斜設定ダイヤル64等という複数の態様があり、作動エラーが複数発生した場合は、液晶パネル60bの画面に、適宜時間(実施形態では5秒)ずつ順送りで各作動エラー情報が表示される。
【0095】
作動エラー情報を示した画面(図21(a)〜(d)参照)には、操作指示標識155〜157のうち第1切替スイッチ73に対する操作指示標識157だけが表示されており、第1切替スイッチ73を押下すると、液晶パネル60bの画面表示が初期設定メニュー情報に戻る(図20(a)(b)参照)。
【0096】
このように制御すると、初期設定メニュー情報中の文字情報(実施形態では「車高最下位置」の文字情報161)を反転表示させた状態で第1切替スイッチ73を押下したときに、前記所定の作動エラーが一つでも発生していれば、この作動エラー情報を液晶パネル60bの画面に切替え表示することになるので、オペレータの注意を喚起できるだけでなく、正確かつ詳細な情報も伝達できる。
【0097】
したがって、オペレータはこの作動エラー情報の内容から、発生した作動エラーの詳細を簡単に特定(把握)でき、例えば自らエラー箇所を修理したり部品を取り寄せたりするなど、発生した作動エラーに対して迅速かつ的確に対処できるのである。
【0098】
実施形態では、一度でも作動エラーが発生すると、その後エラー箇所を修理する等して作動エラーを解除しても、液晶パネル60bの画面表示は、後述する状態エラー情報や手順情報に遷移しないようになっている(初期設定モードを続行できない)。
【0099】
この場合、一旦電源スイッチ142を切り操作した後、再度電源スイッチ142を入り操作して、始めから初期設定モードをやり直すことになる。なお、作動エラーを解除した後、液晶パネル60bの画面表示を、後述する状態エラー情報や手順情報に遷移させるように設定してもよい。
【0100】
他方、所定の作動エラーが発生していない場合は、次いで、CANコントローラC5は所定の状態エラーが発生したか否かを判別する。ここで、状態エラーとは機器の故障等とは全く関係のないエラーであって、例えばエンジン回転数が定格回転数以下である等というように、初期設定モードを実行するのに適していないエラーのことをいう。
【0101】
状態エラーが発生していない場合は、図23に示す手順情報が液晶パネル60bの画面に切替え表示される(詳細は後述する)。
【0102】
状態エラーが発生した場合は、液晶パネル60bの画面表示が初期設定メニュー情報から、発生した状態エラーに関する情報(状態エラー情報)に遷移する(図22(a)〜(c)参照)。この状態エラー情報も、請求項に記載した「エラーについての情報」の一例に相当する。
【0103】
「車高最下位置」を設定する際の状態エラーとしては、「エンジン回転数が定格回転数(実施形態では2000rpm)以下である」、「傾斜設定ダイヤル64が水平にセットされていない」、及び「傾斜センサ43の検出角度が0(零)を含む所定範囲から外れた値である」という三つの態様があり、状態エラーが複数発生した場合も、液晶パネル60bの画面に、適宜時間(実施形態では5秒)ずつ順送りで各状態エラー情報が表示される。
【0104】
図22(a)〜(c)には状態エラー情報を示す画面の例を示しており、(a)はエンジン回転数が定格回転数以下のときの状態エラー情報、(b)は傾斜設定ダイヤル64が水平にセットされていないときの状態エラー情報、(c)は傾斜センサ43の検出角度が0(零)を含む所定範囲から外れた値であるときの状態エラー情報の例である。
【0105】
液晶パネル60bの画面表示が状態エラー情報である場合も、第1切替スイッチ73を押下すると、状態エラー情報を示した画面から初期設定メニュー情報を示す画面に遷移する(図20(a)(b)参照)。
【0106】
この場合も、初期設定モードを実行するにあたって前記所定の状態エラーが一つでも発生していれば、状態エラー情報を液晶パネル60bの画面に切替え表示することになるので、オペレータに正確かつ詳細な情報を伝達できる。
【0107】
しかも、状態エラー情報の内容は次のステップへ進むための操作に関するもの(例えば「エンジンを定格にしてください。」等)となっているので、オペレータが液晶パネル60bの画面の表示内容に則した操作を行うことにより、メーカ等に点検を依頼することなく状態エラーを簡単に解除できる。なお、状態エラー情報の内容は、前述のものに限らず、次のステップに移行できない原因等(例えば「エンジン回転数が定格ではありません。」等)であってもよい。
【0108】
次いで、オペレータが状態エラー情報を示した画面の表示内容に則して操作を実行することにより、状態エラーが全て解除されると、液晶パネル60bの画面表示が状態エラー情報から手順情報に遷移する(図23参照)。
【0109】
この場合、手順情報を示した画面には「車高最下位置」を設定するための操作手順が表示される。これにより、オペレータは設定操作手順を簡単かつ正確に把握できることになる。
【0110】
そして、オペレータが図23に示す手順情報の指示の通り、エンジン回転数を定格回転数にして、走行機体1が下降するように車高調節スイッチ62を押し続けると、左右両側の走行部用油圧シリンダ39a,39bのピストンロッドが同時に後退して、走行機体1の車高が低くなる。
【0111】
次いで、車高調節スイッチ62の押下時間が所定時間(実施形態では10秒)以上となると、このときの左右両車高センサ41a,41bの検出値を車高下限値としてCANコントローラC5のEEPROM78に書込む。
【0112】
その後、液晶パネル60bの画面表示が手順情報から「正常終了」の文字情報に切替わり(図24(a)参照)、「車高最下位置」の初期設定が終了する。オペレータの操作ミス等で正常に設定できなかった場合は、「正常終了」の文字情報に代えて、液晶パネル60bの画面に「異常終了」の文字情報が切替え表示されるのである(図24(b)参照)。
【0113】
以上のように、本発明によると、機器の故障等とは関係のない状態エラーを解除した後は、オペレータが液晶パネル60bの画面に表示した手順情報に従って操作をすることにより、簡単かつスムーズに初期設定を実行できるのである。
【0114】
なお、液晶パネル60bの画面表示が図23及び図24(a)(b)のいずれの場合であっても、第1切替スイッチ73を押下すると、前記各画面から初期設定メニュー情報を示す画面に遷移する(図20(a)(b)参照)。図24(a)の「正常終了」の文字情報を示した画面から初期設定メニュー情報を示す画面に遷移するに際しては、「正常終了」した項目(実施形態では「車高最下位置」)が一目で分かるように、例えば「車高最下位置」の文字情報161の右寄り部位等にマーク162を表示したり(図25参照)、「車高最下位置」の文字情報161を点滅表示したりしてもよい。
【0115】
また、初期設定メニュー情報における他の六項目(刈取前処理装置4の最上・最下位置等)についても、同様にして、初期設定を実行できることはいうまでもない。
【0116】
ところで、メンテナンスモードM6においては、前述した初期設定モードで各機器(センサやアクチュエータ等)の制御範囲を設定する以外に、例えばチェッカモードを実行することにより、専用の診断装置等を使わず簡単に、前記各機器を故障診断することができるようになっている。
【0117】
以下に、図26及び図27を参照しながら、チェッカモードでの故障診断の例として、アクチュエータの一つである排出オーガ28旋回用の駆動モータ29を故障診断する態様を説明する。
【0118】
チェッカモードで駆動モータ29を故障診断するに際しては、液晶パネル60bの画面に、図26(a)に示す駆動モータ29の情報が表示される。
【0119】
この場合の画面には、故障診断する機器名163、診断結果164、故障診断の際の各スイッチの操作手順を示す備考165及び検出したCANコントローラ名が表示される。なお、ここでの診断結果184の表示は、故障診断中の機器の作動状態を示すものである。また、前記画面(図26(a)参照)には四つの操作指示標識155〜158も表示される。
【0120】
実施形態では、備考の表示通りに「右」を押下すると(カーソル上移動スイッチ71を押下すると)、駆動モータ29が正常であれば、診断結果164の文字表示が「停止」から「右旋回中」に切替わり(図26(b)参照)、カーソル上移動スイッチ71を押し続けている間、排出オーガ28の縦筒28aひいては横筒28bが図3の矢印R方向に旋回する。
【0121】
他方、「左」を押下すると(カーソル下移動スイッチ72を押下すると)、駆動モータ29が正常であれば、診断結果164の文字表示が「停止」から「左旋回中」に切替わり、カーソル下移動スイッチ72を押し続けている間、排出オーガ28が図3の矢印L方向に旋回するのである。
【0122】
通常、故障診断中の機器は、カーソル移動スイッチ71,72を押下しない限り作動しないようになっているが、例えば排出オーガ28の旋回範囲内に人がいるときに、センサの故障等で駆動モータ29が誤作動して排出オーガ28が旋回動したりすると、排出オーガ28が人にぶつかって怪我をするかもしれず、大変危険である。
【0123】
そこで、実施形態のコンバインでは、チェッカモードでアクチュエータ(前述の例では駆動モータ29)を故障診断する場合は、第2切替スイッチ74を押下するとアクチュエータ(前述の例では駆動モータ29)を強制停止させるように構成されている。
【0124】
このように制御すると、故障診断中にアクチュエータ(駆動モータ29)が誤作動して、このアクチュエータに対する作動部(前述の例では排出オーガ28)が不用意に駆動したとしても、オペレータが「停止」の操作指示標識158に対応した第2切替スイッチ74を押下するだけで、前記作動部(排出オーガ28)を迅速に停止させることができ、事故等の危険を回避できるのである。
【0125】
なお、搖動選別駆動モータ116等の他のアクチュエータも、前述のような故障診断を実行できることはいうまでもない。
【0126】
本発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。例えば作動及び状態エラーの有無の判別は、液晶パネル60bの画面表示が選択メニュー情報(図19参照)から初期設定メニュー情報(図20参照)に切替わる前に実行するようにしてもよい。
【0127】
この場合は、両エラーとも発生していないとき、または状態エラーのみ発生したがその後解消したときに限り、次のステップ(初期設定メニュー情報の表示)に移行するように設定することになる。このような制御によっても、前述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0128】
また、液晶表示装置60の各スイッチ71〜74に代えて、液晶パネル60bの画面上に、従来公知のタッチパネルを設けてもよい。
【0129】
この場合は、制御手段の入力インターフェイスにタッチパネルを接続し、オペレータがタッチパネルの表面のうち操作指示標識の部位を指等で押圧すると、タッチパネルが押圧部位を検出して、この押圧部位情報を制御手段に伝送することにより、当該押圧部位に対応した操作指示標識の内容(例えばカーソル150を画面の上方向に移動させる等)を実行するように構成すればよい。この構成によっても、前述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0130】
さらに、通信バス(回線)はCANプロトコルのみならず、LAN(Local Area Network) プロトコルを用いてもよく、本発明は、前述したCAN通信環境のみならず、LAN通信環境の制御システムに対しても適用できる。さらに、制御手段を構成するコントローラは複数でもよいし、単一のものでもよい。
【0131】
【発明の効果】
本発明のように構成すると、初期設定モードを実行するにあたってエラーが発生していれば、このエラーについての情報を前記表示手段の画面に表示することになるので、オペレータの注意を喚起できるばかりか、オペレータに前記エラーについての情報を正確かつ詳細に伝えることができる。
【0132】
これにより、オペレータは前記情報の内容から前記エラーの詳細を簡単に特定でき、例えば自らエラー箇所を修理したり部品を取り寄せたりするなど、前記エラーに対して迅速かつ的確に対処できるという効果を奏する。
【0133】
特に、請求項3の構成を採用すると、前記エラーが前記初期設定モードを実行するのに適さない状態エラーの場合には、前記状態エラーの解除後に、前記表示手段の画面に前記初期設定モードの手順情報を切替え表示することになるので、オペレータが前記表示手段の画面に表示した手順情報に従って操作をすることにより、簡単かつスムーズに初期設定を実行できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンバインの左側面図である。
【図2】コンバインの右側面図である。
【図3】コンバインの正面図である。
【図4】動力伝達系のスケルトン図である。
【図5】油圧回路図である。
【図6】運転室の概略平面図である。
【図7】操向丸ハンドル及び液晶表示装置を示す拡大平面図である。
【図8】制御装置全体の機能ブロック図である。
【図9】CANコントローラC1の機能ブロック図である。
【図10】CANコントローラC2の機能ブロック図である。
【図11】CANコントローラC3の機能ブロック図である。
【図12】CANコントローラC4の機能ブロック図である。
【図13】CANコントローラC5の機能ブロック図である。
【図14】各モードの遷移図である。
【図15】通常モードの遷移図である。
【図16】非作業モードの画像情報を示す画面図である。
【図17】作業モードの画像情報を示す画面図である。
【図18】エラー標識が表示された通常モードの画面図である。
【図19】メンテナンスモードのうち選択メニュー情報を示す画面図である。
【図20】(a)(b)ともに初期設定メニュー情報を示す画面図である。
【図21】作動エラー情報を示す画面図であり、(a)は傾斜設定ダイヤル、(b)は傾斜センサ、(c)(d)は車高センサである。
【図22】(a)〜(c)のいずれも状態エラー情報を示す画面図である。
【図23】初期設定モードの手順情報を示す画面図である。
【図24】(a)は「正常終了」の文字情報を示す画面図、(b)は「異常終了」の文字情報を示す画面図である。
【図25】初期設定メニュー情報の別例を示す画面図である。
【図26】(a)(b)ともチェッカモードにおける駆動モータの診断情報を示す画面図である。
【符号の説明】C1〜C5 CANコントローラ
S1〜S5 アプリケーション制御プログラム
M1 初期モード
M2 通常モード
M3 警報表示モード
M4 環境設定モード
M5 エラー表示モード
M6 メンテナンスモード
1 走行機体
2,2 走行クローラ
3 脱穀装置
15 エンジン
60 液晶表示装置
60b 表示手段としての液晶パネル
71 カーソル上移動スイッチ
72 カーソル下移動スイッチ
73 第1切替スイッチ
74 第2切替スイッチ
75 制御手段としての電子式制御装置
Claims (3)
- 作業機の各種モードの情報を表示するための表示手段と、前記複数のモードのうち実行中のモードの情報を前記表示手段の画面に表示するように制御するための制御手段とを備えた表示装置であって、
前記制御手段は、初期設定モードを実行するにあたってエラーが発生した場合には、前記表示手段の画面に、前記エラーについての情報を表示するように制御することを特徴とする作業機における表示装置。 - 作業機の各種モードの情報を表示するための表示手段と、前記複数のモードのうち実行中のモードの情報を前記表示手段の画面に表示するように制御するための制御手段とを備えた表示装置であって、
前記制御手段は、初期設定モードを実行するにあたってエラーが発生した場合には、前記初期設定モードの情報を示した画面から、前記エラーについての情報を示す画面に遷移させるように制御することを特徴とする作業機における表示装置。 - 前記制御手段は、前記エラーが前記初期設定モードを実行するのに適さない状態エラーの場合には、この状態エラーが解除されることにより、前記表示手段の画面に、前記初期設定モードの手順情報を切替え表示するように制御することを特徴とする請求項1または2に記載した作業機における表示装置。
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