JP2004052877A - 軸の固定方法および固定装置 - Google Patents

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Yuji Kato
加藤 裕司
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Abstract

【課題】回転部材や回動部材を支持する軸に溝を設けて、この溝に係合する突部を有する脚部材に対して対応する一対の脚部材を、軸の反対側で軸に当接させて軸を固定するための、専用の取付け工具を必要とせず、かつ取扱い易くて再使用可能な、軸の固定方法をもたらす。
【解決手段】両端が軸承される軸の固定方法において、一対の細長い脚部材の一端を軸に当接し、該脚部材の中間に位置する中央脚部材の一端を、軸の溝に係合して軸を固定保持する。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸の固定方法および固定装置、特に、固定部材に回転可能に軸承された軸の固定方法とその固定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、回転部材や回動部材を回転可能に軸承するための軸は、固定部材または軸受のインナーレースに圧入して固定するのが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような軸の固定の場合には、軸の端部は、例えばローレット加工されて固定部材または軸受のインナーレースに圧入されて固定されるが、このような圧入による軸の固定においては軸の端部のローレット加工や仕上げ加工等の寸法加工が不完全で十分でない場合が多く、軸が回転してしまうことが度々見られる。
【0004】
従って、本発明の目的は、このような従来における問題を解決するために、回転部材や回動部材を支持する軸に溝を設けて、この溝に係合する突部を有する脚部材に対して対応する一対の脚部材を、軸の反対側で軸に当接させて軸を固定するための、専用の取付け工具を必要とせず、かつ取扱い易くて再使用可能な、軸の固定方法および固定装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明に依れば、軸の固定方法は、両端が軸承される軸の固定方法において、一対の細長い脚部材の一端を軸に当接し、該脚部材の中間に位置する中央脚部材の一端を、軸の溝に係合して軸を固定保持することを特徴とする。
【0006】
また、本発明の軸の固定方法は、前記一対の脚部材の一端に逆円弧状の当接面を形成し、前記中央脚部材の一端に逆円弧状に突出する突部を形成して前記軸の溝に係合させることを特徴とする。
【0007】
さらに、本発明の軸の固定方法は、前記一対の脚部材の逆円弧状の当接面が前記軸の横断面において前記軸の一方の側に当接し、前記中央脚部材の突部が前記軸の他方の側に位置することを特徴とする。
【0008】
さらにまた、本発明の軸の固定方法は、前記一対の脚部材と中央脚部材が一端側が軸を挟み込むように配置され、他端側において一体的に固着されたことを特徴とする。
【0009】
本発明の固定方法は、前記一対の脚部材と中央脚部材をほぼL字形に折り曲げて一端側で前記軸を挟み込み、他端側で一体的に固着されて、中央脚部材が一対の脚部材の間に位置されたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の軸の固定方法は、前記中央脚部材の突部の幅が、前記軸の溝に嵌まる寸法であることを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明の軸の固定方法は、前記一対の脚部材の当接面が、前記軸の周面に対応する曲率にて逆円弧状に形成されて密着されることを特徴とする。
【0012】
さらにまた、本発明の固定装置は、一対の細長い脚部材と、該脚部材の中間に配置される中央脚部材とを有し、これら脚部材を一端にて一体的に固着し、前記一対の脚部材の他端に当接面を形成し、前記中央脚部材の他端に軸の溝に係合する突部を設けたことを特徴とする。
【0013】
本発明の固定装置は、前記一対の脚部材と前記中央脚部材とをほぼL字形となして一端において一体的に固着し、前記当接面を前記軸の周面と対応する面となし、前記突部を前記軸の溝に係合する形状に形成したことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の固定装置は、前記一対の脚部材の当接面が、前記軸の周面に対応する曲率で逆円弧状に形成され、前記中央脚部材の突部が、幅が前記溝に嵌まる寸法であることを特徴とする。
【0015】
本発明のその他の目的や特徴および利点は、添付図面に示される本発明の実施例に就いての以下の詳細な説明から明らかである。
【0016】
【発明の実施の形態】
(実施例)
図1乃至図5には、本発明の軸の固定方法における一実施例が示されており、図1は、本発明の軸の固定方法を実施するための固定装置において、適用される軸に固定脚部材を挟み込む時の中央縦断面図で、図2は、軸に固定脚部材が挟み込まれた時の中央縦断面図、図3は、図2の挟み込み状態の時の軸の中心を通る水平断面図、図4は本発明の固定装置の一対の細長い脚部材の1つの立面図で、図5は本発明の固定装置の中央脚部材の立面図である。
【0017】
本発明の軸の固定方法は、両端が軸承される軸の固定方法において、一対の細長い脚部材の一端を軸に当接し、これら脚部材の中間に位置する中央脚部材の一端を、軸の溝に係合して軸を固定保持することを特徴とするものである。
【0018】
図示されるように、本発明の軸の固定方法を実施するための固定装置10は、一対の細長い脚部材11と、これら脚部材11、11の間に位置する中央脚部材12とを有しており、一対の細長い脚部材11、11の一端が軸1に当接され、中央脚部材12の一端の突部20が、軸1の溝2に係合して軸1を回転しないように固定保持している。
【0019】
このような本発明の軸の固定方法を実施するための固定装置10においては、本発明が適用される軸1は、両端が固定部材3、4に支持されており、ほぼ中央に溝2が周面に一定の深さで形成されている。
【0020】
図1、図3、図4および図5に示されるように、本発明の固定装置10においては、一対の脚部材11、11と中央脚部材12は、ほぼL字形の形状をなしていて、一方の上方の端部において互いに一体的に固着されており、他方の下方の端部において、脚部材11は、逆円弧状の当接面16を有していて軸1の外周面に当接されて接触されており、中央脚部材12の端部は、脚部材11の端部の当接面16と軸1を間に挟んで対向して位置するように設けられていて、逆円弧状に突出する突部20が軸1の溝2内に係合されるように設けられている。
【0021】
従って、突部20は、中央脚部材12の対向する端部に突出して設けられており、かつ逆円弧状に、軸1の中心に向って突出するように形成されていて、軸1の溝2に嵌まるように係合する突部20として形成されている。従って、このような突部20は、幅と高さが、軸1の溝2の幅と深さとに対応して定められており、突部20が溝2に嵌まり込む形状をなしていて、先端部の断面形状が円弧状に形成されるのが好適である。
【0022】
図1、図3および図4に示されるように、本発明の固定装置10の一対の脚部材11、11は、中央脚部材12を間に挟んで間隔を置いて配置されており、ほぼL字形をなしていて、一端において中央脚部材12と共に一体的に形成されるように固着されており、水平脚部14と垂直脚部15とを有するように形成されている。このような脚部材11の一端には、軸1の周面と当接されて接触する当接面16が形成されている。この当接面16は軸の半径に対応する曲率をもって逆円弧状に形成されている。
【0023】
図1、図3および図5に示されるように、本発明の固定装置10の中央脚部材12は、両側に脚部材11が位置されるように配置されており、ほぼL字形をなしていて、一端において両側の脚部材11と共に一体的に形成されるように固着されており、水平脚部18と垂直脚部19とを有するように形成されていて、他端に軸1の溝2内に係合する突部20が設けられている。この突部20は図示されるように中央脚部材12の端部に逆円弧状に形成されていて、軸1の溝2に嵌まって係合できるように幅と突出高さとが溝2の幅と深さとに対応して定められており、溝2内に良好に嵌まって係合できるように形成されている。
【0024】
このようにほぼL字形にそれぞれ形成された一対の脚部材11、11と中央脚部材12は、中央脚部材12が中央に位置するように間に挟み込んで両側に脚部材11が位置されるように配置されて、上方の一端において一緒に一体的に形成されるように固着される。従って、一対の脚部材11の当接面16と、中央脚部材12の突部20とは図示されるように軸1を間に挟んで対向して配置されている。
【0025】
このように構成された本発明の固定装置10によって軸1を固定すためには、図3の平面配置になるように、軸1の溝2の位置に、本発明の固定装置10の中央脚部材12の突部20が位置するように配置して、図1に示されるように軸1に対して上方に固定装置10を配置し、軸1の溝2に、中央脚部材12の突部20が嵌め込まれるように上方から下方に向って矢印A方向に押し降ろしていく。これによって、先ず、脚部材11と中央脚部材12の先端部が軸1の外周面に当接されて、次第に、脚部材11と中央脚部材12の先端部が左右の方向に押し広げられて矢印B方向に順次押し開かれていき、突部20が下方の端から軸1の溝2に嵌まり込み始めるようになり、脚部材11と中央脚部材12の先端部間の最も狭い部分が通過するようになる。従って、このように脚部材11と中央脚部材12の先端部が押し嵌め込まれていって最大の幅にまで押し開かれた後は、次第に狭まるようになり、突部20が軸1の溝2内に良好に嵌め込まれて、先端部間が狭まる方向に脚部材11と中央脚部材12が弾性によって押し狭まりながら、突部20が軸1の溝2内にしっかりと嵌まり込み、やがて図2に示される状態に完全に嵌め込まれるようになる。
【0026】
このように、図2に示される状態に本発明の固定装置10の脚部材11の先端部の当接部16が軸1の外周面上に当接されて接触された状態となり、同時に中央脚部材12の突部20が軸1の溝2内に嵌め込まれて係合された状態となり、脚部材11と中央脚部材12が互いに弾性力によって対向する方向に押し合うために脚部材11と中央脚部材12によって軸1が挟み込まれた状態に保持され、しかもしっかりと固持されるので軸1を固定保持することができるようになる。
【0027】
上述したように、本発明の固定装置10においては、一対の脚部材11と中央脚部材12とが上方の端部において一体的に固着されていて、他方の下側の端部付近において片持ち梁状に弾性的に変位可能に構成されていて、軸1を挟み込むように弾性的に押圧して保持することができるために、脚部材11と中央脚部材12との互いに向かい合う方向の弾性的な挟み込みによって軸1がしっかりと固持され、加えて突部20が軸1の溝2内に係合されることによって一層しっかりと固定できるようになる。
【0028】
また、このような本発明の固定装置10において、固定装置10を軸1から取外すには、固定装置10を軸1に対して上方に引張れば、脚部材11の当接面16と、中央脚部材12の突部20とがそれぞれ外方に押し広げられながら上方に引張られるために、脚部材11と中央脚部材12との先端部から軸1が外れて取外されるようになる。このような本発明の固定装置10の取付けと取外しは容易にでき、何度でも固定装置10を繰り返して用いることができる。なお、このような脚部材11と中央脚部材12の締め付け力を調整することによって軸1の固定保持状態を調整することができるので、軸1を回転可能な状態で支持することもできる。
【0029】
従って、本発明の軸の固定方法によれば、一対の脚部材11の先端部の当接面16を軸1の外周面に当接し、中央脚部材12の突部12を軸1の溝12に係合することによって軸1をしっかりと固定保持することができ、しかも脚部材11と中央脚部材12の先端部のばね機能によって軸1に対して弾性変位可能な状態に脚部材11と中央脚部材12の弾性力によって軸1が好適に保持されるようになる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、請求項1記載の軸の固定方法は、両端が軸承される軸の固定方法において、一対の細長い脚部材の一端を軸に当接し、該脚部材の中間に位置する中央脚部材の一端を、軸の溝に係合して軸を固定保持するので、軸を両側からしっかりと挟み込んで保持して固定することができ、軸の溝と中央脚部材の突部との係合によって好適に固定することができる。
【0031】
本発明の請求項2記載の軸の固定方法は、前記一対の脚部材の一端に逆円弧状の当接面を形成し、前記中央脚部材の一端に逆円弧状に突出する突部を形成して前記軸の溝に係合させるので、軸を両側から挟み込んで保持することができ、しっかりと固定できる。
【0032】
本発明の請求項3記載の軸の固定方法は、前記一対の脚部材の逆円弧状の当接面が前記軸の横断面において前記軸の一方の側に当接し、前記中央脚部材の突部が前記軸の他方の側に位置するので、軸を両側から挟み込んで保持してしっかりと固定することができる。
【0033】
本発明の請求項4記載の軸の固定方法は、前記一対の脚部材と中央脚部材が一端側が軸を挟み込むように配置され、他端側において一体的に固着されるので、軸をしっかりと挟み込んで固定保持することができる固定手段を得ることができる。
【0034】
本発明の請求項5記載の軸の固定方法は、前記一対の脚部材と中央脚部材をほぼL字形に折り曲げて一端側で前記軸を挟み込み他端側で一体に固着されて中央脚部材が一対の脚部材の間に位置されるので、一対の脚部材と中央脚部材とが協働して軸をしっかりと挟み込んで固定保持することができ、何度でも取外しが容易に使用することができる。
【0035】
本発明の請求項6記載の軸の固定方法は、前記中央脚部材の突部の幅が、前記軸の溝に嵌まる寸法であるので、軸をしっかりと挟み込んで固定保持することができる。
【0036】
本発明の請求項7記載の軸の固定方法は、前記一対の脚部材の当接面が、前記軸の周面に対応する曲率にて円弧状に形成されて密着されるので、軸を良好に固定保持することができる。
【0037】
本発明の請求項8記載の軸の固定装置は、一対の細長い脚部材と、該脚部材の中間に配置される中央脚部材とを有し、これら脚部材を一端にて一体的に固着し、前記一対の脚部材の他端に当接面を形成し、前記中央脚部材の他端に軸の溝に係合する突部を設けているので、弾性をもった脚部材を用いることによって何度でも良好に取外しが容易にでき、軸をしっかりと挟み込んで固定保持することができると共に、回転可能な状態で固定することができる。
【0038】
本発明の請求項9記載の固定装置は、前記一対の脚部材と前記中央脚部材とをほぼL字形となして一端において一体的に固着し、前記当接面を前記軸の周面と対応する面となし、前記突部を前記軸の溝に係合する形状に形成しているので、弾性を有した良好な脚部材として形成でき、軸を両側から挟み込む状態で押え込んで良好にしっかりと固定保持することができる。
【0039】
本発明の請求項10記載の固定装置は、前記一対の脚部材の当接面が、前記軸の周面に対応する曲率で逆円弧状に形成され、前記中央脚部材の突部が、幅が前記溝に嵌まる寸法であるので、何度でも取外しが容易にでき、かつ軸を良好にしっかりと挟み込んで固定保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の軸の固定方法を実施するための固定装置の一実施例を示すもので、適用される軸に固定脚部材を挟み込む時の中央縦断面図である。
【図2】軸に固定脚部材が挟み込まれた時の中央縦断面図である。
【図3】図2の挟み込み状態の時の軸の中心を通る水平断面図である。
【図4】本発明の固定装置の一対の細長いの脚部材の1つの立面図である。
【図5】本発明の固定装置の中央脚部材の立面図である。
【符号の説明】
1  軸
2  溝
3  固定部材
4  固定部材
10 固定装置
11 脚部材
12 中央脚部材
14 水平脚部
15 垂直脚部
16 当接面
18 水平脚部
19 垂直脚部
20 突部

Claims (10)

  1. 両端が軸承される軸の固定方法において、一対の細長い脚部材の一端を軸に当接し、該脚部材の中間に位置する中央脚部材の一端を、軸の溝に係合して軸を固定保持することを特徴とする軸の固定方法。
  2. 前記一対の脚部材の一端に逆円弧状の当接面を形成し、前記中央脚部材の一端に逆円弧状に突出する突部を形成して前記軸の溝に係合させることを特徴とする請求項1記載の軸の固定方法。
  3. 前記一対の脚部材の逆円弧状の当接面は、前記軸の横断面において前記軸の一方の側に当接し、前記中央脚部材の突部は前記軸の他方の側に位置することを特徴とする請求項2記載の軸の固定方法。
  4. 前記一対の脚部材と中央脚部材は一端側が軸を挟み込むように配置され、他端側において一体的に固着されたことを特徴とする請求項2記載の軸の固定方法。
  5. 前記一対の脚部材と中央脚部材をほぼL字形に折り曲げて一端側で前記軸を挟み込み、他端側で一体に固着されて、中央脚部材が一対の脚部材の間に位置されたことを特徴とする請求項2記載の軸の固定方法。
  6. 前記中央脚部材の突部の幅は、前記軸の溝に嵌まる寸法であることを特徴とする請求項2記載の軸の固定方法。
  7. 前記一対の脚部材の当接面は、前記軸の周面に対応する曲率にて逆円弧状に形成されて密着されることを特徴とする請求項2記載の軸の固定方法。
  8. 一対の細長い脚部材と、該脚部材の中間に配置される中央脚部材とを有し、これら脚部材を一端にて一体的に固着し、前記一対の脚部材の他端に当接面を形成し、前記中央脚部材の他端に軸の溝に係合する突部を設けたことを特徴とする固定装置。
  9. 前記一対の脚部材と前記中央脚部材とをほぼL字形となして一端において一体的に固着し、前記当接面を前記軸の周面と対応する面となし、前記突部を前記軸の溝に係合する形状に形成したことを特徴とする請求項8記載の固定装置。
  10. 前記一対の脚部材の当接面は、前記軸の周面に対応する曲率で逆円弧状に形成され、前記中央脚部材の突部は、幅が前記溝に嵌まる寸法であることを特徴とする請求項8記載の固定装置。
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