JP2004052522A - 補強筋設置器および設置器具有補強筋 - Google Patents
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Abstract
【課題】鉄筋コンクリート建築物の梁や壁等に貫通孔を形成する際に使用するスリーブを適正な位置で固定する機能を具備するとともに、コンクリート打ち込み時のスリーブ位置ずれを防止可能な設置器具有補強筋を提供する。
【解決手段】設置器具有補強筋を、スリーブSを支持する複数本の支え足を有する枠部材および枠部材の下端に下方に向けて突出する連結部材6aを有してなる補強筋体6と、上方に接続部材9を有し所定の打ち込み具によって地面に対して固定される基礎手段8と、一端を補強筋体6の連結部材6aに他端を基礎手段8の接続部材9にそれぞれ着脱自在に連結され補強筋体6の連結部材6aとの接続位置を変化させることで補強筋体6と基礎手段8との両者の距離を調節可能とする高さ調節手段7aと、を備えて構成し、所定の結束具とともにスリーブSを固定し、結束具とともにコンクリート内に埋設する。
【選択図】 図4
【解決手段】設置器具有補強筋を、スリーブSを支持する複数本の支え足を有する枠部材および枠部材の下端に下方に向けて突出する連結部材6aを有してなる補強筋体6と、上方に接続部材9を有し所定の打ち込み具によって地面に対して固定される基礎手段8と、一端を補強筋体6の連結部材6aに他端を基礎手段8の接続部材9にそれぞれ着脱自在に連結され補強筋体6の連結部材6aとの接続位置を変化させることで補強筋体6と基礎手段8との両者の距離を調節可能とする高さ調節手段7aと、を備えて構成し、所定の結束具とともにスリーブSを固定し、結束具とともにコンクリート内に埋設する。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、建造物の梁や壁等に貫通孔を形成する際に使用するスリーブ補強筋を設置箇所に位置合わせするための補強筋設置器および設置器を備えてなる設置器具有補強筋に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄筋コンクリート建造物の梁や壁等に対して各種の配管を通すための貫通孔を形成するには、まず紙管や塩化ビニール管からなる円筒状のスリーブを鉄筋に支持させ、次いで型枠設置後においてこのスリーブの上方から型枠内にコンクリートを打ち込む。そして、コンクリートの固化後に型枠を外すことによってスリーブ設置位置には貫通孔が形成され、このスリーブは抜き出されるか、またはその場に固定される。そして、形成した貫通孔に目的の配管を通した後、必要に応じて貫通孔内に再びコンクリートが打ち込まれ一連の作業は終了する。
【0003】
ところで、貫通孔部周縁の補強を行うため、またスリーブを鉄筋に対して支持させるため、今日ではスリーブ補強筋が広く利用されている。図6に示す10はスリーブ補強筋であり、スリーブ補強筋10はスリーブSが挿通可能な適宜の大きさをなした枠状の部材と、スリーブSの下方側に接する2本の支え足と、を備えて構成されている。
このスリーブ補強筋10によってスリーブSを支持するには、スリーブSの両端部の近傍に一対のスリーブ補強筋10をそれぞれ通し、このスリーブ補強筋10の支え足上にスリーブSの両端部をそれぞれ載置させ、スリーブ補強筋10と鉄筋とが重なる各部位を針金や紐からなる複数本の結束線によって連結する。そして、このスリーブ補強筋10は複数の結束線とともにコンクリート内に埋設される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のスリーブ補強筋には次に挙げるような種々の不都合がある。
スリーブ補強筋を鉄筋に対して取り付ける際、作業者はスリーブ補強筋が落下する事がないようスリーブ補強筋を支えた状態を維持しつつスリーブ補強筋と鉄筋との結束作業を行う必要があり、これによって作業者には不自然な姿勢での困難な作業が要求される。
そして、こうした不都合はスリーブ補強筋が大型化、すなわちスリーブ補強筋の自重が増すに従い困難なもとなる。また、スリーブ補強筋の結束作業が困難であると、結束線の結びが緩やかになる、あるいはスリーブ補強筋が傾いて結束線が緩むという更なる不都合を誘発することになる。
【0005】
一方、スリーブ補強筋の固定位置(貫通孔形成位置)はそれぞれの現場の各箇所によってまちまちであるが、このスリーブ補強筋の位置決め、特に高さ方向の位置決めが極めて困難であるという不都合もある。
建造物内に複数適宜の間隔をおいて設けられる梁等に形成する貫通孔は、いずれも同一高さに統一する、あるいは勾配をもたせるため各梁によって高さを変化させる必要があるが、スリーブ補強筋と地面との距離を測定しつつスリーブ補強筋を固定するには時間を要する煩雑な作業が余儀なくされる。
特に排水管を挿通させるための貫通孔を形成するためには、排水管設置に不可欠な適度な勾配を貫通孔に対しても持たせる、すなわちスリーブを適度に傾斜させた状態で設置することが理想的であるが、スリーブの両端の各高さを微妙に調節して貫通孔に勾配を持たせることは極めて困難である。
近年、水平位置や微細な勾配をレーザー光によって表示可能な、安価で小型なレーザー位置出し装置が提供されているが、このスリーブ設置作業にはこうした装置がなんら利用されていないのが現状である。
【0006】
このスリーブ両端の高さ方向の誤差問題を解決するため、従来では形成する貫通孔の内径を必要以上に多くとる、すなわち内径の大きいスリーブおよび内径の大きいスリーブ補強筋を用いて充分に大きい水平の貫通孔を形成することによって、高さ方向の誤差を補い、配管が通過出来なくなるという問題を解消する対策がとられている。
しかしながら、上述のように内径の大きい(重量のある)スリーブ補強筋を使用すると結束作業が困難なものとなり、また大きなスリーブ補強筋を複数使用することで建築コストがかさむという問題も生じる。
【0007】
一方、上述のスリーブ補強筋の設置作業時における問題とは別に、スリーブ補強筋はコンクリートの打ち込み時において位置ずれを起こす、すなわち梁等に形成する貫通孔に位置ずれが生じるという看過できない重大な問題が発生する事がある。
スリーブ補強筋は複数の結束線のみによって鉄筋に固定されているので、スリーブの上方からコンクリートを打ち込むと、スリーブ補強筋がコンクリートの流動圧によって左右前後に揺動する、特に下方へと移動しようとする力がかかり、結束線だけではこのスリーブ補強筋の揺動を抑え止めることが出来なくなることがある。この問題はスリーブの内径が大きくなる、換言すれば流動するコンクリートに接する面が広い大型スリーブに顕著に表れる。
【0008】
また、スリーブ補強筋の設置作業を行う前には、予め下準備をしておく必要もある。スリーブ補強筋は鉄筋が組まれた後に設置されるものであるが、この鉄筋が組まれる前にスリーブ補強筋を設置する位置を予め明確に表示しておく必要がある。すなわち、スリーブ補強筋を設置する位置(貫通孔を形成する位置)を明確に表示しておかないと、その該当位置に鉄筋が組まれてしまうことになり、こうした不都合が生じると鉄筋の一部組み直し作業が必要となる。
この問題を解決するため、従来においては鉄筋組み立て前において床面上にペンキ等を用いて貫通孔形成位置を記す作業(墨出し)を行う必要があった。そして、この作業終了後から鉄筋の組み立てが終了するまでの間、スリーブ設置担当者は待機状態、換言すればなんら仕事を進めることが出来ない無駄な時間を過ごす状態となる。
【0009】
一方、従来の技術においては、貫通孔形成箇所の梁強度が低いという問題もある。上述のように貫通孔を形成する箇所を予め表示しておくことにより、鉄筋はその該当位置を避けて組まれることになるが、この際、等間隔で組まれる鉄筋が、この貫通孔形成位置においては他の鉄筋間隔よりも広く間をおいて(避けて)組まれることが多く、このように鉄筋間隔が広く間をおいて組まれると、当該位置の強度が他の箇所と比較して低くなるという問題が生じ、結果的に梁全体の強度を低下させることになる。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る補強筋設置器は、上記従来の課題を解決するためになされたものであり、補強筋設置器を、スリーブ補強筋を垂直状態に支持可能な補強筋保持手段と、一端を前記補強筋保持手段に固定され全長を調節するための全長調節手段を備えてなる伸縮手段と、前記伸縮手段の他端に連結され伸縮手段を地面上に直立させるため伸縮手段を所望の方向へ傾斜可能に支持する立上手段と、を備えて構成する。そして、この補強筋設置器によりスリーブ補強筋の位置合わせし、所定の結束具で固定した後、スリーブ補強筋から取り外し可能とした補強筋設置器を提供しようとするものである。
【0011】
一方、上記従来の課題を解決するための設置器具有補強筋を、スリーブを支持するための複数本の支え足を有する枠部材および枠部材の下端に外側に向けて突出する連結部材を有してなる補強筋体と、上方に接続部材を有し所定の打ち込み具によって地面に対して固定される基礎手段と、一端を前記補強筋体の連結部材に他端を前記基礎手段の接続部材にそれぞれ着脱自在に連結され補強筋体の連結部材との接続位置を変化させることで補強筋体と基礎手段との両者の距離を調節可能とする高さ調節手段を有してなる支柱手段と、を備えて構成する。
そして、この設置器具有補強筋と所定の結束具とによりスリーブを設置し、結束具とともにコンクリート内に埋設することで上記従来の課題を解決しようとするものである。
【0012】
また、前記基礎手段の接続部材を、前記支柱手段の下端部を保持可能な弾性部材によって構成し、前記補強筋体を所望の方向へ傾斜出来るよう構成して、適正位置への補強筋体の設置を可能にした設置器具有補強筋を提供しようとするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
図面に基づいてこの発明の実施の形態を説明する。図1はこの発明の請求の範囲第1項に係る補強筋設置器の一実施形態を示す斜視図であり、図2は図1に示した補強筋設置器によってスリーブ補強筋を鉄筋に設置させた状態を示す正面図である。
【0014】
図1において1は補強筋保持手段であり、この補強筋保持手段1は対向するように設けられる一対の金属板と、これら一対の金属板の開閉調節を行うための螺子棒を備えた回転具と、を備えている。そしてこの補強筋保持手段1は、一対の金属板間に大小の大きさの異なる市販のスリーブ補強筋10を垂直状態に支持することが出来る。(図2参照)
【0015】
一方、2は伸縮手段であり、この例において伸縮手段2はその全長を調節するための第1および第2全長調節手段3、4を備えている。
第1全長調節手段3は、収納パイプ3aと、常には収納パイプ3a内に格納され使用時において必要長さ分だけ収納パイプ3a内から引き出すことが可能な昇降パイプ3bと、収納パイプ3aの上端に設けられ昇降パイプ3bを固定するための締付け手段3cと、を備えて構成されている。なお、図1では昇降パイプ3bを最も上昇させた状態を示す。
また、第2全長調節手段4は、昇降パイプ3bの上端に固定されるナット4aと、下方に螺子棒部を有した回転レバー4bと、を備えている。なお、回転レバー4bは、図に示すよう中央に外側に突出するコ字形状のグリップ部を有し、このグリップ部は隣接する鉄筋間内で回転可能な適宜幅となっている。
そして、前記補強筋保持手段1は、この回転レバー4bの上端に回転自在に連結されている。すなわち、回転レバー4bを回転させても補強筋保持手段1は回転することがないようになっている。
【0016】
一方、5は立上手段であり、この立上手段5は伸縮手段2の収納パイプ3aの下端部を挿通するように支持するスプリング5aを固定する円形金属板と、この円形金属板の下面から下方に向けて設けられる先端が鋭利な3本の脚部と、を備えている。この立上手段5は3本の脚部によって伸縮手段2を直立させることが出来、また伸縮手段2は、立上手段5のスプリング5aによって所望の方向へと傾けることが出来るようになっている。
【0017】
以上の構成からなる補強筋設置器によりスリーブ補強筋10を設置するには、まず補強筋保持手段1によってスリーブ補強筋10を垂直状態に保持する。そして図2に示すように立上手段5によって補強筋設置器をスリーブ補強筋の設置現場に直立させる。ここで、床面が水平ではなく伸縮手段2が傾斜してしまう場合であっても、伸縮手段2を垂直位置まで容易に移動させることが出来る。すなわち、伸縮手段2は立上手段5のスプリング5aによって所望の方向へ移動可能である。
【0018】
次いで伸縮手段2の昇降パイプ3bを引き出して大まかなスリーブ補強筋10の高さを調節して締付け手段3cによって昇降パイプ3bを固定する。
そして、回転レバー4bを回転させることでスリーブ補強筋10の高さを微調整する。
すなわち、この補強筋設置器によれば、スリーブ補強筋10の高さを第1調節手段3と第2調節手段4との両者によって調節可能であり、第2調節手段4は、回転レバー4bの回転量によって数ミリ単位の微細な調節が可能である。また、回転レバー4bは、外方向に突出したコ字形状のグリップ部を有しているので、スリーブSを支持した重量のあるスリーブ補強筋10であっても少ない力によって容易に高さ調節可能である。
【0019】
なお、スリーブ補強筋10を左右の隣接する鉄筋に接触させ、その状態において回転レバー4bを回転させればスリーブ補強筋10が回転レバー4bの回転によって従動回転することはない。
【0020】
そして、スリーブ補強筋10の位置合わせ終了後、複数の結束線によってスリーブ補強筋10を鉄筋に対して固定する。この際、作業者はスリーブ補強筋10が落下することがないようスリーブ補強筋10を支える必要はなく、結束作業が容易かつ迅速に行える。また、スリーブ補強筋10が大きく傾くこともないのでスリーブ補強筋10をしっかりと鉄筋に固定することが可能となる。
【0021】
更に、この補強筋設置器によれば、スリーブ補強筋10の高さ(スリーブSの高さ)をミリ単位で微調節可能であるので、レーザー位置出し装置の利用が可能となりスリーブSに適度な勾配を持たせることが出来る。これによって、スリーブSの高さ方向の誤差を補うために必要以上の大型スリーブ補強筋を複数利用せざるを得ないという従来の不都合を解消し、建築コストの低減化が実現可能となる。
そして、小型スリーブSを使用することによって、コンクリート打ち込み時におけるスリーブSの揺動を小さくし、スリーブSの位置ずれ(貫通孔の位置ずれ)を回避することが出来る。
【0022】
なお、補強筋設置器は、スリーブ補強筋10の固定作業終了後、補強筋保持手段1からスリーブ補強筋10を解放することで取り外す事が出来る。そして、補強筋設置器の未使用時、例えば運搬時、格納時等においては昇降パイプ3bを収納パイプ3a内に格納する事によって補強筋設置器をコンパクトにすることが可能である。
【0023】
次にこの発明の請求の範囲第2項および第3項に係る設置器具有補強筋の実施形態を説明する。
図3および図4はこの発明の請求の範囲第2項および第3項に係る設置器具有補強筋の一実施形態を示す図であり、図3は設置器具有補強筋の分解斜視図、図4は設置器具有補強筋を鉄筋に固定した状態を示す正面図である。
【0024】
図において6は補強筋体であり、この補強筋体6は設置するスリーブSの大きさに応じて内径の異なるものが複数容易されている。(図では3種示す)
そしてこの補強筋体6は、スリーブSを支持するための複数本の支え足と、下端部の中央から下方に向けて垂直に設けられる螺子棒からなる連結部材6aと、を有している。
なお、複数大きさの異なる各補強筋体6の各連結部材6aはそれぞれ同一径となっていて、いずれの補強筋体6も後述の支柱手段7に対して連結可能となっている。
【0025】
一方、8は基礎手段であり、この基礎手段8は図に示すように長方形の金属板からなり、各角部近傍には打ち込み具としての釘8aを挿通する貫通孔がそれぞれ設けられていて、4本の釘8aによって地面に固定することが出来るようになっている。また、この基礎手段8は、上面側に接続手段9を備えている。この例において接続手段9はスプリングによって構成されており、下端部を基礎手段8に溶着され垂直状態に設けられている。
【0026】
そして図に示す7は支柱手段であり、この支柱手段7は所定長さを有する螺子棒と、螺子棒の上端に設けられる高さ調節手段としてのターンバックル7aと、を備えている。この支柱手段7は、螺子棒の下端部を前記基礎手段8のスプリング9内に挿入することによって図4に示すように基礎手段8上に立ち上げることが出来る。
また、支柱手段7は、ターンバックル7aによって前記補強筋体6の螺子棒からなる連結部材6と接続することが出来、このターンバックル7の回転方向によって補強筋体6の高さが調節可能となっている。すなわち、支柱手段7の螺子棒と、補強筋体6の連結部材6と、の両者はターンバックル7aを回転させる方向によって互いにターンバックル7aから進出する、あるいは後退するように移動可能となっている。
【0027】
以上の構成からなる設置器具有補強筋は、設置作業前においては図3に示すように各部材が分解された状態となっており、これによって運搬および格納が容易に行える。
そして、この設置器具有補強筋を設置するには、まず鉄筋が組まれる前にスリーブ設置位置(貫通孔形成位置)の下方に基礎手段8を予め設置しておく。これによって従来において必須作業であった下準備としての「墨出し作業」を省略することが出来る。換言すれば、この基礎手段8の存在によって貫通孔を形成する位置を明確に表示する事が出来、鉄筋はこの基礎手段8を避けるようにして組み立てられる。
【0028】
ところで、鉄筋の組み立て作業時において、後の設置作業の下準備を進めることが出来る。すなわち、各梁の貫通孔形成高さに応じて支柱手段7の下方を適宜長さ分切断しておくことによって支柱手段7の大まかな長さ調節を行うことが出来る。また、支柱手段7と、補強筋体6と、の連結作業を予め進めることが出来る。
そして鉄筋の組み立て終了後、補強筋体6が連結された支柱手段7の下端を接続部材9内に挿入して支柱手段7を立ち上げる。
次いで支柱手段7のターンバックル7aを回転させて補強筋体6の微細な高さ位置を調節する。このターンバックル7aでの高さ調節は螺子を用いた微細な調節が可能であり、ミリ単位の調節が行える。
【0029】
一方、基礎手段8のスプリング9は、補強筋体6の微細な傾き角度の調節を可能とする。すなわち支柱手段7はスプリング9によって適宜の方向へと傾けることが出来るので地面に傾きがあり基礎手段8が水平にならなくとも補強筋体6を適正な位置へと容易に移動させることが可能である。
【0030】
そして、補強筋体6の位置決めが完了したら複数の結束線によって補強筋体6を鉄筋に対して固定する。これによって補強筋体6は、結束線と、支柱手段7と、の両者によって強固に固定され、この設置器具有補強筋の一連の設置作業は終了する。
なお、補強筋体6の結束作業は、補強筋体6の落下を防止するよう補強筋体6を支えつつ行う必要がないので容易かつ迅速に行える。
【0031】
次いで、型枠設置後においてスリーブSの上方から型枠内にコンクリートを打ち込む。すなわち、この設置器具有補強筋は複数の結束線とともにコンクリート内に埋設される。
そして、このコンクリート打ち込み時において設置器具有補強筋はスリーブSが位置ずれを起こす事がないようスリーブSをしっかりと保持可能である。
すなわち、この設置器具有補強筋は、支柱手段7によりコンクリート流動圧によって下方へと移動する力を受けるスリーブSをその下方で強固に支えることが出来、スリーブSの位置ずれという重大な問題を回避可能である。
【0032】
また、この設置器具有補強筋は、コンクリート固化後において貫通孔下方の強度を確保することが出来る。換言すればこの設置器具有補強筋は、鉄筋と同様の作用をなし、貫通孔形成箇所を避けるように広く間を取って組まれる鉄筋の代用としての効果をなし、貫通孔下方の強度を充分に確保することが出来、結果的に梁全体の強度を確保可能である。
【0033】
なお、支柱手段7および連結部材6aは、鉄筋コンクリート建築物に要求される同径、同質部材の使用の原則を考慮して、鉄筋と同径、同質の部材によって形成することが望ましい。
【0034】
次に図5に基づいてこの発明の請求の範囲第2項および第3項に係る設置器具有補強筋の他の実施形態を説明する。なお、図3および図4に示した設置器具有補強筋と同一箇所には同一符号を付して重複説明は省略する。
図5に示す設置器具有補強筋は、補強金体6に設けられる連結部材6aが長手状の鉄板からなっていて、この連結部材6aの下方には垂直方向に適宜の間隔をおいて2つの貫通孔が形成されている。
【0035】
一方、支柱手段7もまた長手状の鉄板からなっていて、下端部は基礎手段8の接続部材としてのスプリング9内に挿入可能となっている。また、この支柱手段7には長手方向(垂直方向)に適宜の間隔、すなわち連結部材6aの2つの貫通孔と同様の間隔をおいて複数の貫通孔が形成されている。
【0036】
そして、補強筋体6は一対のボルトおよびナットによって支柱手段7のいずれかの貫通孔と連結可能となっている。換言すれば補強筋体6は支柱手段7に対して高さ位置調節可能となっていて、この支柱手段7に形成される複数の貫通孔と、一対のボルトおよびナットと、によって高さ調節手段が構成されている。
この設置器具有補強筋も図3および図4に示した設置器具有補強筋と同様にコンクリート打ち込み時においてスリーブSに位置ずれが生じる事がないようにしっかりとスリーブSを支持することが可能である。
【0037】
なお、図3ないし図5に示した設置器具有補強筋は、いずれも基礎手段に設けられる接続部材をスプリングにより構成する例を示したが、接続部材はこれに限定されるものではない。すなわち、接続部材を、挿入孔を有したゴム材等の弾性部材で構成しても良く、また、接続部材を円筒形部材等により構成し、支柱手段を傾斜不能に立ち上げるよう構成しても良い。
【0038】
また、基礎手段8を長方形に形成する例を示したが、基礎手段をT字形状等の他の形状で構成しても良く、また、スリーブ両端に設けられる一対の基礎手段を互いに連結可能に構成しても良く、一枚の共有鉄板で構成しても良い。
そしてまた、基礎手段を接続部材の下方に固定される1本の釘のみによって構成しても良い。
【0039】
【発明の効果】
この発明に係る補強筋設置器は、スリーブ補強筋の高さを微細調節可能にしたので、高さ方向の誤差を補うために大型スリーブ補強筋を利用せざるを得ないという不都合を解消し、建築コストの低減化が実現可能である。そして、小型スリーブの使用を可能とすることでコンクリート打ち込み時のスリーブの位置ずれを回避することが出来る。
また、スリーブ補強筋と鉄筋との結束作業時にスリーブ補強筋の落下を防止するため作業者がスリーブ補強筋を支え持つ必要がないので、スリーブ補強筋の結束作業を容易かつ迅速に行うことが出来、またこれに伴いより確実なスリーブ補強筋の結束が可能となる。
【0040】
一方、この発明に係る設置器具有補強筋は、補強筋体の高さを微調節可能にすると共に補強筋体を支持した状態の設置器具有補強筋をコンクリートに埋設するようにしたので、補強筋体の結束を容易かつ迅速にすると共に、コンクリート打ち込み時のスリーブの位置ずれを解消する事が出来る。
また、貫通孔の形成位置を予め表示する墨出し作業を、基礎手段の設置によって省略する事が出来、鉄筋が組まれるまでに他の準備を進める事により、待機時間の無駄をなくし、後の一連の施工を容易かつ迅速に進める事が可能となる。
そして、コンクリート固化後において設置器具有補強筋は、鉄筋と同様の作用をなし、貫通孔下方の強度を確保することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の請求の範囲第1項に係る補強筋設置器の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示した補強筋設置器によりスリーブ補強筋を鉄筋に設置した状態を示す正面図である。
【図3】この発明の請求の範囲第2項および第3項に係る設置器具有補強筋の一実施形態を示す分解斜視図である。
【図4】図3に示した設置器具有補強筋を鉄筋に設置した状態を示す正面図である。
【図5】この発明の請求の範囲第2項および第3項に係る設置器具有補強筋の他の構成例を示す分解斜視図である。
【図6】スリーブ補強筋によってスリーブを鉄筋に設置した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 補強筋保持手段
2 伸縮手段
3 全長調節手段(第1調節手段)
4 全長調節手段(第2調節手段)
5 立上手段
6 補強筋体
6a 連結部材
7 支柱手段
7a 高さ調節手段
8 基礎手段
8a 打ち込み具(釘)
9 接続手段(スプリング)
10 スリーブ補強筋
S スリーブ
【発明の属する技術分野】
この発明は、建造物の梁や壁等に貫通孔を形成する際に使用するスリーブ補強筋を設置箇所に位置合わせするための補強筋設置器および設置器を備えてなる設置器具有補強筋に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄筋コンクリート建造物の梁や壁等に対して各種の配管を通すための貫通孔を形成するには、まず紙管や塩化ビニール管からなる円筒状のスリーブを鉄筋に支持させ、次いで型枠設置後においてこのスリーブの上方から型枠内にコンクリートを打ち込む。そして、コンクリートの固化後に型枠を外すことによってスリーブ設置位置には貫通孔が形成され、このスリーブは抜き出されるか、またはその場に固定される。そして、形成した貫通孔に目的の配管を通した後、必要に応じて貫通孔内に再びコンクリートが打ち込まれ一連の作業は終了する。
【0003】
ところで、貫通孔部周縁の補強を行うため、またスリーブを鉄筋に対して支持させるため、今日ではスリーブ補強筋が広く利用されている。図6に示す10はスリーブ補強筋であり、スリーブ補強筋10はスリーブSが挿通可能な適宜の大きさをなした枠状の部材と、スリーブSの下方側に接する2本の支え足と、を備えて構成されている。
このスリーブ補強筋10によってスリーブSを支持するには、スリーブSの両端部の近傍に一対のスリーブ補強筋10をそれぞれ通し、このスリーブ補強筋10の支え足上にスリーブSの両端部をそれぞれ載置させ、スリーブ補強筋10と鉄筋とが重なる各部位を針金や紐からなる複数本の結束線によって連結する。そして、このスリーブ補強筋10は複数の結束線とともにコンクリート内に埋設される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のスリーブ補強筋には次に挙げるような種々の不都合がある。
スリーブ補強筋を鉄筋に対して取り付ける際、作業者はスリーブ補強筋が落下する事がないようスリーブ補強筋を支えた状態を維持しつつスリーブ補強筋と鉄筋との結束作業を行う必要があり、これによって作業者には不自然な姿勢での困難な作業が要求される。
そして、こうした不都合はスリーブ補強筋が大型化、すなわちスリーブ補強筋の自重が増すに従い困難なもとなる。また、スリーブ補強筋の結束作業が困難であると、結束線の結びが緩やかになる、あるいはスリーブ補強筋が傾いて結束線が緩むという更なる不都合を誘発することになる。
【0005】
一方、スリーブ補強筋の固定位置(貫通孔形成位置)はそれぞれの現場の各箇所によってまちまちであるが、このスリーブ補強筋の位置決め、特に高さ方向の位置決めが極めて困難であるという不都合もある。
建造物内に複数適宜の間隔をおいて設けられる梁等に形成する貫通孔は、いずれも同一高さに統一する、あるいは勾配をもたせるため各梁によって高さを変化させる必要があるが、スリーブ補強筋と地面との距離を測定しつつスリーブ補強筋を固定するには時間を要する煩雑な作業が余儀なくされる。
特に排水管を挿通させるための貫通孔を形成するためには、排水管設置に不可欠な適度な勾配を貫通孔に対しても持たせる、すなわちスリーブを適度に傾斜させた状態で設置することが理想的であるが、スリーブの両端の各高さを微妙に調節して貫通孔に勾配を持たせることは極めて困難である。
近年、水平位置や微細な勾配をレーザー光によって表示可能な、安価で小型なレーザー位置出し装置が提供されているが、このスリーブ設置作業にはこうした装置がなんら利用されていないのが現状である。
【0006】
このスリーブ両端の高さ方向の誤差問題を解決するため、従来では形成する貫通孔の内径を必要以上に多くとる、すなわち内径の大きいスリーブおよび内径の大きいスリーブ補強筋を用いて充分に大きい水平の貫通孔を形成することによって、高さ方向の誤差を補い、配管が通過出来なくなるという問題を解消する対策がとられている。
しかしながら、上述のように内径の大きい(重量のある)スリーブ補強筋を使用すると結束作業が困難なものとなり、また大きなスリーブ補強筋を複数使用することで建築コストがかさむという問題も生じる。
【0007】
一方、上述のスリーブ補強筋の設置作業時における問題とは別に、スリーブ補強筋はコンクリートの打ち込み時において位置ずれを起こす、すなわち梁等に形成する貫通孔に位置ずれが生じるという看過できない重大な問題が発生する事がある。
スリーブ補強筋は複数の結束線のみによって鉄筋に固定されているので、スリーブの上方からコンクリートを打ち込むと、スリーブ補強筋がコンクリートの流動圧によって左右前後に揺動する、特に下方へと移動しようとする力がかかり、結束線だけではこのスリーブ補強筋の揺動を抑え止めることが出来なくなることがある。この問題はスリーブの内径が大きくなる、換言すれば流動するコンクリートに接する面が広い大型スリーブに顕著に表れる。
【0008】
また、スリーブ補強筋の設置作業を行う前には、予め下準備をしておく必要もある。スリーブ補強筋は鉄筋が組まれた後に設置されるものであるが、この鉄筋が組まれる前にスリーブ補強筋を設置する位置を予め明確に表示しておく必要がある。すなわち、スリーブ補強筋を設置する位置(貫通孔を形成する位置)を明確に表示しておかないと、その該当位置に鉄筋が組まれてしまうことになり、こうした不都合が生じると鉄筋の一部組み直し作業が必要となる。
この問題を解決するため、従来においては鉄筋組み立て前において床面上にペンキ等を用いて貫通孔形成位置を記す作業(墨出し)を行う必要があった。そして、この作業終了後から鉄筋の組み立てが終了するまでの間、スリーブ設置担当者は待機状態、換言すればなんら仕事を進めることが出来ない無駄な時間を過ごす状態となる。
【0009】
一方、従来の技術においては、貫通孔形成箇所の梁強度が低いという問題もある。上述のように貫通孔を形成する箇所を予め表示しておくことにより、鉄筋はその該当位置を避けて組まれることになるが、この際、等間隔で組まれる鉄筋が、この貫通孔形成位置においては他の鉄筋間隔よりも広く間をおいて(避けて)組まれることが多く、このように鉄筋間隔が広く間をおいて組まれると、当該位置の強度が他の箇所と比較して低くなるという問題が生じ、結果的に梁全体の強度を低下させることになる。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る補強筋設置器は、上記従来の課題を解決するためになされたものであり、補強筋設置器を、スリーブ補強筋を垂直状態に支持可能な補強筋保持手段と、一端を前記補強筋保持手段に固定され全長を調節するための全長調節手段を備えてなる伸縮手段と、前記伸縮手段の他端に連結され伸縮手段を地面上に直立させるため伸縮手段を所望の方向へ傾斜可能に支持する立上手段と、を備えて構成する。そして、この補強筋設置器によりスリーブ補強筋の位置合わせし、所定の結束具で固定した後、スリーブ補強筋から取り外し可能とした補強筋設置器を提供しようとするものである。
【0011】
一方、上記従来の課題を解決するための設置器具有補強筋を、スリーブを支持するための複数本の支え足を有する枠部材および枠部材の下端に外側に向けて突出する連結部材を有してなる補強筋体と、上方に接続部材を有し所定の打ち込み具によって地面に対して固定される基礎手段と、一端を前記補強筋体の連結部材に他端を前記基礎手段の接続部材にそれぞれ着脱自在に連結され補強筋体の連結部材との接続位置を変化させることで補強筋体と基礎手段との両者の距離を調節可能とする高さ調節手段を有してなる支柱手段と、を備えて構成する。
そして、この設置器具有補強筋と所定の結束具とによりスリーブを設置し、結束具とともにコンクリート内に埋設することで上記従来の課題を解決しようとするものである。
【0012】
また、前記基礎手段の接続部材を、前記支柱手段の下端部を保持可能な弾性部材によって構成し、前記補強筋体を所望の方向へ傾斜出来るよう構成して、適正位置への補強筋体の設置を可能にした設置器具有補強筋を提供しようとするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
図面に基づいてこの発明の実施の形態を説明する。図1はこの発明の請求の範囲第1項に係る補強筋設置器の一実施形態を示す斜視図であり、図2は図1に示した補強筋設置器によってスリーブ補強筋を鉄筋に設置させた状態を示す正面図である。
【0014】
図1において1は補強筋保持手段であり、この補強筋保持手段1は対向するように設けられる一対の金属板と、これら一対の金属板の開閉調節を行うための螺子棒を備えた回転具と、を備えている。そしてこの補強筋保持手段1は、一対の金属板間に大小の大きさの異なる市販のスリーブ補強筋10を垂直状態に支持することが出来る。(図2参照)
【0015】
一方、2は伸縮手段であり、この例において伸縮手段2はその全長を調節するための第1および第2全長調節手段3、4を備えている。
第1全長調節手段3は、収納パイプ3aと、常には収納パイプ3a内に格納され使用時において必要長さ分だけ収納パイプ3a内から引き出すことが可能な昇降パイプ3bと、収納パイプ3aの上端に設けられ昇降パイプ3bを固定するための締付け手段3cと、を備えて構成されている。なお、図1では昇降パイプ3bを最も上昇させた状態を示す。
また、第2全長調節手段4は、昇降パイプ3bの上端に固定されるナット4aと、下方に螺子棒部を有した回転レバー4bと、を備えている。なお、回転レバー4bは、図に示すよう中央に外側に突出するコ字形状のグリップ部を有し、このグリップ部は隣接する鉄筋間内で回転可能な適宜幅となっている。
そして、前記補強筋保持手段1は、この回転レバー4bの上端に回転自在に連結されている。すなわち、回転レバー4bを回転させても補強筋保持手段1は回転することがないようになっている。
【0016】
一方、5は立上手段であり、この立上手段5は伸縮手段2の収納パイプ3aの下端部を挿通するように支持するスプリング5aを固定する円形金属板と、この円形金属板の下面から下方に向けて設けられる先端が鋭利な3本の脚部と、を備えている。この立上手段5は3本の脚部によって伸縮手段2を直立させることが出来、また伸縮手段2は、立上手段5のスプリング5aによって所望の方向へと傾けることが出来るようになっている。
【0017】
以上の構成からなる補強筋設置器によりスリーブ補強筋10を設置するには、まず補強筋保持手段1によってスリーブ補強筋10を垂直状態に保持する。そして図2に示すように立上手段5によって補強筋設置器をスリーブ補強筋の設置現場に直立させる。ここで、床面が水平ではなく伸縮手段2が傾斜してしまう場合であっても、伸縮手段2を垂直位置まで容易に移動させることが出来る。すなわち、伸縮手段2は立上手段5のスプリング5aによって所望の方向へ移動可能である。
【0018】
次いで伸縮手段2の昇降パイプ3bを引き出して大まかなスリーブ補強筋10の高さを調節して締付け手段3cによって昇降パイプ3bを固定する。
そして、回転レバー4bを回転させることでスリーブ補強筋10の高さを微調整する。
すなわち、この補強筋設置器によれば、スリーブ補強筋10の高さを第1調節手段3と第2調節手段4との両者によって調節可能であり、第2調節手段4は、回転レバー4bの回転量によって数ミリ単位の微細な調節が可能である。また、回転レバー4bは、外方向に突出したコ字形状のグリップ部を有しているので、スリーブSを支持した重量のあるスリーブ補強筋10であっても少ない力によって容易に高さ調節可能である。
【0019】
なお、スリーブ補強筋10を左右の隣接する鉄筋に接触させ、その状態において回転レバー4bを回転させればスリーブ補強筋10が回転レバー4bの回転によって従動回転することはない。
【0020】
そして、スリーブ補強筋10の位置合わせ終了後、複数の結束線によってスリーブ補強筋10を鉄筋に対して固定する。この際、作業者はスリーブ補強筋10が落下することがないようスリーブ補強筋10を支える必要はなく、結束作業が容易かつ迅速に行える。また、スリーブ補強筋10が大きく傾くこともないのでスリーブ補強筋10をしっかりと鉄筋に固定することが可能となる。
【0021】
更に、この補強筋設置器によれば、スリーブ補強筋10の高さ(スリーブSの高さ)をミリ単位で微調節可能であるので、レーザー位置出し装置の利用が可能となりスリーブSに適度な勾配を持たせることが出来る。これによって、スリーブSの高さ方向の誤差を補うために必要以上の大型スリーブ補強筋を複数利用せざるを得ないという従来の不都合を解消し、建築コストの低減化が実現可能となる。
そして、小型スリーブSを使用することによって、コンクリート打ち込み時におけるスリーブSの揺動を小さくし、スリーブSの位置ずれ(貫通孔の位置ずれ)を回避することが出来る。
【0022】
なお、補強筋設置器は、スリーブ補強筋10の固定作業終了後、補強筋保持手段1からスリーブ補強筋10を解放することで取り外す事が出来る。そして、補強筋設置器の未使用時、例えば運搬時、格納時等においては昇降パイプ3bを収納パイプ3a内に格納する事によって補強筋設置器をコンパクトにすることが可能である。
【0023】
次にこの発明の請求の範囲第2項および第3項に係る設置器具有補強筋の実施形態を説明する。
図3および図4はこの発明の請求の範囲第2項および第3項に係る設置器具有補強筋の一実施形態を示す図であり、図3は設置器具有補強筋の分解斜視図、図4は設置器具有補強筋を鉄筋に固定した状態を示す正面図である。
【0024】
図において6は補強筋体であり、この補強筋体6は設置するスリーブSの大きさに応じて内径の異なるものが複数容易されている。(図では3種示す)
そしてこの補強筋体6は、スリーブSを支持するための複数本の支え足と、下端部の中央から下方に向けて垂直に設けられる螺子棒からなる連結部材6aと、を有している。
なお、複数大きさの異なる各補強筋体6の各連結部材6aはそれぞれ同一径となっていて、いずれの補強筋体6も後述の支柱手段7に対して連結可能となっている。
【0025】
一方、8は基礎手段であり、この基礎手段8は図に示すように長方形の金属板からなり、各角部近傍には打ち込み具としての釘8aを挿通する貫通孔がそれぞれ設けられていて、4本の釘8aによって地面に固定することが出来るようになっている。また、この基礎手段8は、上面側に接続手段9を備えている。この例において接続手段9はスプリングによって構成されており、下端部を基礎手段8に溶着され垂直状態に設けられている。
【0026】
そして図に示す7は支柱手段であり、この支柱手段7は所定長さを有する螺子棒と、螺子棒の上端に設けられる高さ調節手段としてのターンバックル7aと、を備えている。この支柱手段7は、螺子棒の下端部を前記基礎手段8のスプリング9内に挿入することによって図4に示すように基礎手段8上に立ち上げることが出来る。
また、支柱手段7は、ターンバックル7aによって前記補強筋体6の螺子棒からなる連結部材6と接続することが出来、このターンバックル7の回転方向によって補強筋体6の高さが調節可能となっている。すなわち、支柱手段7の螺子棒と、補強筋体6の連結部材6と、の両者はターンバックル7aを回転させる方向によって互いにターンバックル7aから進出する、あるいは後退するように移動可能となっている。
【0027】
以上の構成からなる設置器具有補強筋は、設置作業前においては図3に示すように各部材が分解された状態となっており、これによって運搬および格納が容易に行える。
そして、この設置器具有補強筋を設置するには、まず鉄筋が組まれる前にスリーブ設置位置(貫通孔形成位置)の下方に基礎手段8を予め設置しておく。これによって従来において必須作業であった下準備としての「墨出し作業」を省略することが出来る。換言すれば、この基礎手段8の存在によって貫通孔を形成する位置を明確に表示する事が出来、鉄筋はこの基礎手段8を避けるようにして組み立てられる。
【0028】
ところで、鉄筋の組み立て作業時において、後の設置作業の下準備を進めることが出来る。すなわち、各梁の貫通孔形成高さに応じて支柱手段7の下方を適宜長さ分切断しておくことによって支柱手段7の大まかな長さ調節を行うことが出来る。また、支柱手段7と、補強筋体6と、の連結作業を予め進めることが出来る。
そして鉄筋の組み立て終了後、補強筋体6が連結された支柱手段7の下端を接続部材9内に挿入して支柱手段7を立ち上げる。
次いで支柱手段7のターンバックル7aを回転させて補強筋体6の微細な高さ位置を調節する。このターンバックル7aでの高さ調節は螺子を用いた微細な調節が可能であり、ミリ単位の調節が行える。
【0029】
一方、基礎手段8のスプリング9は、補強筋体6の微細な傾き角度の調節を可能とする。すなわち支柱手段7はスプリング9によって適宜の方向へと傾けることが出来るので地面に傾きがあり基礎手段8が水平にならなくとも補強筋体6を適正な位置へと容易に移動させることが可能である。
【0030】
そして、補強筋体6の位置決めが完了したら複数の結束線によって補強筋体6を鉄筋に対して固定する。これによって補強筋体6は、結束線と、支柱手段7と、の両者によって強固に固定され、この設置器具有補強筋の一連の設置作業は終了する。
なお、補強筋体6の結束作業は、補強筋体6の落下を防止するよう補強筋体6を支えつつ行う必要がないので容易かつ迅速に行える。
【0031】
次いで、型枠設置後においてスリーブSの上方から型枠内にコンクリートを打ち込む。すなわち、この設置器具有補強筋は複数の結束線とともにコンクリート内に埋設される。
そして、このコンクリート打ち込み時において設置器具有補強筋はスリーブSが位置ずれを起こす事がないようスリーブSをしっかりと保持可能である。
すなわち、この設置器具有補強筋は、支柱手段7によりコンクリート流動圧によって下方へと移動する力を受けるスリーブSをその下方で強固に支えることが出来、スリーブSの位置ずれという重大な問題を回避可能である。
【0032】
また、この設置器具有補強筋は、コンクリート固化後において貫通孔下方の強度を確保することが出来る。換言すればこの設置器具有補強筋は、鉄筋と同様の作用をなし、貫通孔形成箇所を避けるように広く間を取って組まれる鉄筋の代用としての効果をなし、貫通孔下方の強度を充分に確保することが出来、結果的に梁全体の強度を確保可能である。
【0033】
なお、支柱手段7および連結部材6aは、鉄筋コンクリート建築物に要求される同径、同質部材の使用の原則を考慮して、鉄筋と同径、同質の部材によって形成することが望ましい。
【0034】
次に図5に基づいてこの発明の請求の範囲第2項および第3項に係る設置器具有補強筋の他の実施形態を説明する。なお、図3および図4に示した設置器具有補強筋と同一箇所には同一符号を付して重複説明は省略する。
図5に示す設置器具有補強筋は、補強金体6に設けられる連結部材6aが長手状の鉄板からなっていて、この連結部材6aの下方には垂直方向に適宜の間隔をおいて2つの貫通孔が形成されている。
【0035】
一方、支柱手段7もまた長手状の鉄板からなっていて、下端部は基礎手段8の接続部材としてのスプリング9内に挿入可能となっている。また、この支柱手段7には長手方向(垂直方向)に適宜の間隔、すなわち連結部材6aの2つの貫通孔と同様の間隔をおいて複数の貫通孔が形成されている。
【0036】
そして、補強筋体6は一対のボルトおよびナットによって支柱手段7のいずれかの貫通孔と連結可能となっている。換言すれば補強筋体6は支柱手段7に対して高さ位置調節可能となっていて、この支柱手段7に形成される複数の貫通孔と、一対のボルトおよびナットと、によって高さ調節手段が構成されている。
この設置器具有補強筋も図3および図4に示した設置器具有補強筋と同様にコンクリート打ち込み時においてスリーブSに位置ずれが生じる事がないようにしっかりとスリーブSを支持することが可能である。
【0037】
なお、図3ないし図5に示した設置器具有補強筋は、いずれも基礎手段に設けられる接続部材をスプリングにより構成する例を示したが、接続部材はこれに限定されるものではない。すなわち、接続部材を、挿入孔を有したゴム材等の弾性部材で構成しても良く、また、接続部材を円筒形部材等により構成し、支柱手段を傾斜不能に立ち上げるよう構成しても良い。
【0038】
また、基礎手段8を長方形に形成する例を示したが、基礎手段をT字形状等の他の形状で構成しても良く、また、スリーブ両端に設けられる一対の基礎手段を互いに連結可能に構成しても良く、一枚の共有鉄板で構成しても良い。
そしてまた、基礎手段を接続部材の下方に固定される1本の釘のみによって構成しても良い。
【0039】
【発明の効果】
この発明に係る補強筋設置器は、スリーブ補強筋の高さを微細調節可能にしたので、高さ方向の誤差を補うために大型スリーブ補強筋を利用せざるを得ないという不都合を解消し、建築コストの低減化が実現可能である。そして、小型スリーブの使用を可能とすることでコンクリート打ち込み時のスリーブの位置ずれを回避することが出来る。
また、スリーブ補強筋と鉄筋との結束作業時にスリーブ補強筋の落下を防止するため作業者がスリーブ補強筋を支え持つ必要がないので、スリーブ補強筋の結束作業を容易かつ迅速に行うことが出来、またこれに伴いより確実なスリーブ補強筋の結束が可能となる。
【0040】
一方、この発明に係る設置器具有補強筋は、補強筋体の高さを微調節可能にすると共に補強筋体を支持した状態の設置器具有補強筋をコンクリートに埋設するようにしたので、補強筋体の結束を容易かつ迅速にすると共に、コンクリート打ち込み時のスリーブの位置ずれを解消する事が出来る。
また、貫通孔の形成位置を予め表示する墨出し作業を、基礎手段の設置によって省略する事が出来、鉄筋が組まれるまでに他の準備を進める事により、待機時間の無駄をなくし、後の一連の施工を容易かつ迅速に進める事が可能となる。
そして、コンクリート固化後において設置器具有補強筋は、鉄筋と同様の作用をなし、貫通孔下方の強度を確保することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の請求の範囲第1項に係る補強筋設置器の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示した補強筋設置器によりスリーブ補強筋を鉄筋に設置した状態を示す正面図である。
【図3】この発明の請求の範囲第2項および第3項に係る設置器具有補強筋の一実施形態を示す分解斜視図である。
【図4】図3に示した設置器具有補強筋を鉄筋に設置した状態を示す正面図である。
【図5】この発明の請求の範囲第2項および第3項に係る設置器具有補強筋の他の構成例を示す分解斜視図である。
【図6】スリーブ補強筋によってスリーブを鉄筋に設置した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 補強筋保持手段
2 伸縮手段
3 全長調節手段(第1調節手段)
4 全長調節手段(第2調節手段)
5 立上手段
6 補強筋体
6a 連結部材
7 支柱手段
7a 高さ調節手段
8 基礎手段
8a 打ち込み具(釘)
9 接続手段(スプリング)
10 スリーブ補強筋
S スリーブ
Claims (3)
- 建造物の梁等に貫通孔を形成する際に使用されるスリーブ補強筋を設置箇所に位置合わせするための補強筋設置器であって、
この補強筋設置器を、
スリーブ補強筋を垂直状態に支持可能な補強筋保持手段と、
一端を前記補強筋保持手段に固定され、全長を調節するための全長調節手段を備えてなる伸縮手段と、
前記伸縮手段の他端に連結され、伸縮手段を地面上に直立させるため伸縮手段を所望の方向へ傾斜可能に支持する立上手段と、
を備えて構成し、この補強筋設置器によりスリーブ補強筋の位置合わせし、所定の結束具で固定した後、補強筋設置器を取り外し可能としたことを特徴とする補強筋設置器。 - 建造物の梁等に貫通孔を形成する際に使用し、所定の結束具とともにコンクリート内に埋設される設置器具有補強筋であって、
この設置器具有補強筋を、
スリーブを支持するための複数本の支え足を有する枠部材および枠部材の下端に外側に向けて突出する連結部材を有してなる補強筋体と、
上方に接続部材を有し、所定の打ち込み具によって地面に対して固定される基礎手段と、
一端を前記補強筋体の連結部材に、他端を前記基礎手段の接続部材に、それぞれ着脱自在に連結され、補強筋体の連結部材との接続位置を変化させることで補強筋体と基礎手段との両者の距離を調節可能とする高さ調節手段を有してなる支柱手段と、
を備えて構成し、この設置器具有補強筋と所定の結束具とによりスリーブを設置し、結束具とともにコンクリート内に埋設するようにしたことを特徴とする設置器具有補強筋。 - 前記基礎手段の接続部材は、前記支柱手段の下端部を保持する弾性部材により構成し、前記補強筋体を所望の方向へ傾斜可能に構成したことを特徴とする請求項2記載の設置器具有補強筋。
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Cited By (3)
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CN105714986A (zh) * | 2016-03-14 | 2016-06-29 | 江苏建筑职业技术学院 | 剪力墙钢筋限位安装装置及使用方法 |
CN109385977A (zh) * | 2018-11-20 | 2019-02-26 | 广东省长大公路工程有限公司 | 一种防裂混凝土面板及其施工方法 |
CN114960931A (zh) * | 2022-06-10 | 2022-08-30 | 华济建设工程集团有限公司 | 一种混凝土预制墙板及其装配方法 |
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2002
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