JP2004052050A - 金属フェルールの製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】フェルールのための円筒体の形成と同時にテーパ穴を形成すると共に、光ファイバ用の微細孔の軸線と正確に連通した状態でテーパ穴を形成する。
【解決手段】電鋳槽10内に電鋳金属及び電鋳液11を充填し、電鋳液11に芯線15を浸漬して状態で電鋳金属及び芯線に通電すると共に芯線15を周方向に回転させて芯線の外表面に金属被膜4を形成する電鋳を行う。その後、芯線15を除去して光ファイバ用の微細孔2を形成する。外面がテーパ状の成形型50を芯線15に所定間隔で設け、成形型50を芯線15と共に電鋳液11に浸漬して電鋳を行い、電鋳後に成形型59を離型して微細孔2と連通するテーパ穴3をフェルールの後端に形成する。
【選択図】 図2
【解決手段】電鋳槽10内に電鋳金属及び電鋳液11を充填し、電鋳液11に芯線15を浸漬して状態で電鋳金属及び芯線に通電すると共に芯線15を周方向に回転させて芯線の外表面に金属被膜4を形成する電鋳を行う。その後、芯線15を除去して光ファイバ用の微細孔2を形成する。外面がテーパ状の成形型50を芯線15に所定間隔で設け、成形型50を芯線15と共に電鋳液11に浸漬して電鋳を行い、電鋳後に成形型59を離型して微細孔2と連通するテーパ穴3をフェルールの後端に形成する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバを接続するために用いる金属フェルールに関し、特に、電鋳によって芯線に金属被膜を析出させることにより金属フェルールを製造する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図14は、金属からなるフェルール1を示し、中央部分に光ファイバを挿通させるための微細孔2が長さ方向に貫通している。このフェルール1の後端部には光ファイバを微細孔2に案内して挿入するためのテーパ穴3が形成される一方、先端部の外周が面取り加工されている。このようなフェルール1をセラミックジルコニアによって製造する場合には、高価となるばかりではなく、成形や研磨のため手間がかかり生産性に劣るため、近年、電鋳によって製造することが行われている。
【0003】
電鋳によって製造する場合には、電鋳槽内に電鋳金属及び電鋳液を充填し、電鋳液に金属からなる芯線を浸漬し、この状態で電鋳金属及び芯線に通電を行うことにより芯線の外表面に金属被膜を付着させる。また、電鋳の際には、芯線を回転させることにより、均一な肉厚の金属被膜を形成するようにしている。
【0004】
この電鋳の後、芯線をアルカリ溶液で溶解して除去することによって、光ファイバ用の微細孔が貫通した円筒体とし、この円筒体を所定の長さに切断してフェルールを作製している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の電鋳では、円筒体しか成形できないものとなっている。このため、微細孔2と連通するテーパ穴3を形成する工程が必要となっており、工程数が多い問題を有している。
【0006】
しかも、テーパ穴3は、光ファイバをフェルール1の微細孔2にスムーズに挿入するため、テーパ穴3を微細孔2と同軸上に正確に連通するように形成する必要がある。このため、テーパ穴3の形成に際して、手間と時間がかかる問題を有している。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、フェルールのための円筒体の形成と同時にテーパ穴を形成することにより、テーパ穴形成のための工程を不要とし、しかも光ファイバ用の微細孔の軸線と正確に連通した状態での形成が可能な金属フェルールの製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の金属フェルールの製造方法は、電鋳槽内に電鋳金属及び電鋳液を充填し、電鋳液に芯線を浸漬して状態で電鋳金属及び芯線に通電すると共に芯線を周方向に回転させて芯線の外表面に金属被膜を形成する電鋳を行った後、芯線を除去して光ファイバ用の微細孔を形成する金属フェルールの製造方法において、外面がテーパ状の成形型を前記芯線に所定間隔で設け、成形型を芯線と共に電鋳液に浸漬して前記電鋳を行い、電鋳後に成形型を離型して前記微細孔と連通するテーパ穴をフェルールの後端に形成することを特徴とする。
【0009】
電鋳液に浸漬した芯線及び電鋳金属に通電しながら芯線を周方向に回転させることにより、芯線の外表面に金属被膜が形成され、金属被膜形成の後に、芯線を除去することにより光ファイバ挿通用の微細孔を形成することができる。
【0010】
この発明では、外面がテーパ状の成形型を所定間隔で芯線に設けて芯線と共に電鋳を行うことにより、成形型配置部分に対しては金属被膜が形成されることがない。従って、電鋳後に、成形型を離型することにより、微細孔と連通するテーパ穴をフェルールの後端に形成することができる。
【0011】
このような発明では、電鋳によるフェルールの円筒体の形成と同時にテーパ穴を形成することができるため、後工程でのテーパ穴の形成が不要となる。また、テーパ穴を形成するための成形型を微細孔を形成するための芯線に設けているため、テーパ穴と微細孔との同軸精度を向上させることができる。
【0012】
本発明の金属フェルールの製造装置は、電鋳金属及び電鋳液が充填された電鋳槽と、電鋳液に浸漬される芯線と、芯線及び電鋳金属に通電する通電手段と、芯線を周方向に回転させる回転手段とを備えた金属フェルールの製造装置において、外面がテーパ状となっており、光ファイバ用の微細孔と連通するテーパ穴を形成するための成形型が前記芯線に所定間隔で設けられていることを特徴とする。
【0013】
この発明では、電鋳液に浸漬される芯線と、芯線及び電鋳金属に通電する通電手段と、芯線を周方向に回転させる回転手段とを備えているため、上述した製造方法を好適に実施することができる。また、芯線としては、外面がテーパ状の成形型が間隔を有して取り付けられたものを使用するため、電鋳による円筒体の形成と同時にテーパ穴を形成することができ、テーパ穴を後から形成することが不要となると共に、テーパ穴と微細孔との同軸精度を向上させることができる。
【0014】
以上の発明において、フェルールの長さの約2倍の間隔となるように成形型を芯線に設けることができる。このように成形型を設けて電鋳を行うことにより、成形型の間にフェルール2本分の長さの円筒体が形成される。従って、円筒体の長さの略中央部分で切断することにより2本のフェルールを同時に製造することができ、生産効率が向上する。
【0015】
また、芯線として、鏡面仕上げ加工を施した真円に形成されたステンレス線を用いることができる。これにより、真円度の良好な円筒体を形成することができると共に、テーパ穴と微細孔との同軸度を高精度に確保することができる。
【0016】
さらに、電鋳金属としてニッケルを用い、電鋳液としてスルファミン酸ニッケルを用いることが可能であり、これにより、安価な金属フェルールを製造することができる。
【0017】
さらにまた、成形型は合成樹脂または金属からなり、円錐形の成形面を両側に有したソロバン玉形状となっているものを用いることができる。このような形状の成形型によれば、テーパ穴を確実に成形することができると共に、一つの成形型で二つの円筒体に対してのテーパ穴の形成が可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図面は本発明の一実施の形態であり、図1は、本発明の製造装置の全体を、図2〜図4は同装置の要部を、図5は芯線を、図6〜図8は製造工程をそれぞれ示している。
【0019】
図1に示すように製造装置は、電鋳液11が充填された電鋳槽10を有している。電鋳槽10の内部には、長尺な芯線15が水平に配置され、この芯線15の外表面に対し、電鋳処理によって円筒状の金属被膜4(図4参照)が形成される。この実施の形態において、芯線15としては、鏡面仕上げ加工を施すことにより真円度を高くした0.1〜0.2mm直径のステンレス線が使用されている。このように真円度の高い芯線15を用いることにより、光ファイバ用の微細孔2を均一な寸法で、しかも良好な真円度で形成することができる。なお、芯線15の外面には、必要に応じて離型材をコーティングすることができる。
【0020】
電鋳槽10に対しては、対向している側壁10aに対となっている通電ラック13を複数対引っ掛けている。対となっている通電ラック13の下端部には、電鋳液11に浸漬されるように金網12を掛け渡し、金網12内に電鋳金属としてのニッケルペレットを収納している。そして、通電ラック13を直流電源16の陽極と接続することにより、金網12及びニッケルペレットをアノードとしている。なお、電鋳金属としてニッケルを用いていることから、電鋳液11としては、スルファミン酸ニッケルの水溶液が使用されている。
【0021】
電鋳槽10には、管理槽20が連結されている。管理槽20は内部に、電鋳液11が充填されていると共に、電鋳槽10の外周部分に設けたオーバーフロー槽17と戻りパイプ21によって連結されており、管理槽20に設けた戻りノズル22に戻りパイプ21の先端部が連結されることにより、電鋳槽10からオーバーフローした電鋳液11が貯留される。また、管理槽20には排出ノズル23が取り付けられており、この排出ノズル23と電鋳槽10の底壁10bに形成した排出口とが、コック24を有する排出パイプ25を介して連結されている。
【0022】
電鋳槽10には、その底部に沿って散液パイプ26が配置されており、この散液パイプ26と管理槽20とが供給パイプ27によって連結されている。供給パイプ27には、ポンプ30、熱交換器31、フィルター32を管理槽20側から電鋳槽10側に向かって順に設けられている。熱交換器31は温度コントローラー33により制御されており、管理槽20からの電鋳液11を40〜70℃(好ましくは、55℃前後)に温度制御する。フィルター32は電鋳液11内に混入した塵等を除去する。このような供給パイプ27は、散液パイプ26に連結されており、温度調整された電鋳液11をポンプ30の駆動によって、散液パイプ26の散液孔26aから電鋳槽10に供給するように作用する。これにより、電鋳液11の回収・再生による循環使用が可能となっている。
【0023】
芯線15は図1に示すように、両端部が一対の芯線ホルダー41に保持された状態で、電鋳槽10内の電鋳液11に浸漬されている。芯線ホルダー41は、電鋳槽10の側壁10aに取り付けられるが、この取り付けは、側壁10aの上部に縦方向の複数のスリット10d(図1及び図3参照)を形成し、このスリット10dに後述するホルダー本体41aを挿入して係止することにより行われる。スリット10dの形成により、電鋳槽10内の電鋳液11はスリット10dからオーバーフロー槽17に流れ出るが、この流出により電鋳液11は管理槽20に戻される。
図4に示すように、芯線ホルダー41はホルダー本体41aと、ホルダー本体41aの外周部に円周方向に沿って回転する従動ギヤ41bとを備えており、ホルダー本体41aの端部には芯線15の巻取部41cが取り付けられている。芯線15は、対となっている芯線ホルダー41における巻取部41c間に掛け渡されることにより、水平状態で電鋳液11に浸漬される。
【0024】
電鋳に際し、芯線15はカソードとなるものであり、このため直流電源16の負極が芯線ホルダー41に接続されている。この接続構造は図3及び図4に示すように、直流電源16の負極からのリード線44の先端にばね45によって付勢された通電ブラシ43を取り付け、このブラシ43を芯線ホルダー41の本体41a外周部に接触させるようになっている。
【0025】
このように芯線15をカソードとする芯線ホルダー41及び上述したように電鋳金属をアノードとする金網12、芯線ホルダー41及び金網12に電力を供給する直流電源16によって通電手段が構成されている。
【0026】
また、電鋳に際し、芯線15が周方向に回転するものであり、この回転を行うため、回転手段が電鋳槽10に配置される。回転手段は、図2に示すように電鋳槽10の長さ方向における略中間部分に配置された回転駆動源としてのモータ47と、電鋳槽10の対向する側壁10aに沿って伸びるように配置された連結駆動軸48と、モータ47の出力軸に固定された駆動ギヤ47a及び連結駆動軸48の端部に固定された連動ギヤ48aに掛け渡された無端状のチェーン49とによって形成されている。さらに、連結駆動軸48の長さ方向には、連結ギヤ48bが所定間隔で固定されており、この連結ギヤ48bによって芯線15の周方向の回転力が伝達される。
【0027】
芯線ホルダー41は、各連結ギヤ48bと対応するように、連結駆動軸48の長さ方向に沿って複数配置されており、図3及び図4に示すように、その従動ギヤ41bが連結駆動軸48の連結ギヤ48bに噛合することによりモータ47の回転力が芯線ホルダー41に伝達される。このような構造では、モータ47の駆動力が左右のチェーン49に分配され、側壁10aに沿って配置した連結駆動軸48の連動ギヤ48a、連結ギヤ48bから芯線ホルダー41に伝達される。これにより、芯線ホルダー41が回転するため、同ホルダー41に保持されている芯線15が周方向に回転する。
【0028】
この実施の形態において、芯線15には成形型50が所定間隔で長さ方向に設けられている。図5は、成形型50が設けられた芯線15を示す。成形型50は、芯線15から径方向に膨出する形状となって複数が設けられている。各成形型50は、周囲の解放側から芯線15に向かって斜めとなることにより、円錐形となったテーパ状の成形面51が両側に形成されている。両側の成形面51は軸方向に沿った連続面52によって連結されており、これにより各成形型50はソロバン玉形状となっている。成形型50をこのようなソロバン玉形状とすることにより、フェルール1のテーパ穴3を確実に成形することができ、しかも一つの成形型50で二つの円筒体に対してテーパ穴3を形成することができるメリットがある。このような成形型50は、合成樹脂または非導電性の金属によって成形された状態で芯線15に設けられている。合成樹脂の場合には、非電解性で且つ収縮率が小さなエポキシ系樹脂が良好である。
【0029】
このような成形型50を芯線15に設け、芯線15と共に電鋳液11に浸漬して電鋳を行う場合、成形型50の配置部位では金属被膜が堆積することがない。すなわち、電鋳では、芯線15の周囲に金属被膜が付着して堆積するが、成形型50が金属被膜の付着を阻止するためである。これにより、成形型50の成形面51に沿った形状のテーパ穴を形成することができる。
【0030】
以上の成形型50に対し、芯線ホルダー41には、図4に示すようにサイドストッパ55が設けられている。サイドストッパ55は対となっている芯線ホルダー41におけるホルダー本体41aの先端面から芯線15の軸方向に延びるように形成されている。このサイドストッパ55の先端には、成形型50における成形面51と同様な成形面56が形成されており、これにより、サイドストッパ55側におけるテーパ穴の形成が可能となっている。
【0031】
この実施の形態において、フェルール3を形成する電鋳金属の材料としては、ニッケルに加えたニッケル合金、鉄または鉄合金、銅または銅合金、コバルトまたはコバルト合金、タングステンまたはその合金、その他の材料を使用することができる。これにより、廉価で加工に優れ、他の部材との溶接が可能なフェルールを製造することができる。
【0032】
芯線15の材料としては、ステンレスの他に、アルミニウム、銅、鉄、あるいはこれらの合金、金、銀等の金属、または導電処理された合成樹脂等の非金属を使用することができる。
【0033】
電鋳液11としては、スルファミン酸ニッケルの他に、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、スルファミン酸第一鉄、ホウフッ化第一鉄、ピロリン酸銅、硫酸銅、ホウフッ化銅、ケイフッ化銅、アルカノールスルフォン酸銅、硫酸コバルト、タングステン酸ナトリウム等の水溶液を使用することができる。
【0034】
次に、この実施の形態によるフェルール3の製造を工程順に説明する。
【0035】
図1に示すように、芯線ホルダー41の本体41aを対向している電鋳槽10の側壁10aにおけるスリット10dに差し込むことにより、芯線15を電鋳液11に浸漬する。この状態で、芯線ホルダー41に陰極電流を通電し、アノードとなっている金網12に通電ラック13を介して陽極電流を通電すると共に、モータ47を駆動して電鋳液11内の全ての芯線15を同一方向且つ同一速度で周方向に回転させる。また、芯線15の回転と同時に管理槽20から電鋳槽10内に電鋳液11を連続的に供給する。これにより、電鋳液11中のニッケル等の金属が電気分解によって芯線15の表面に析出して付着し、円筒状の金属被膜4が形成される。
【0036】
この電鋳においては、芯線15に間隔を有して設けられた成形型50が合成樹脂や非導電性金属によって成形されているため、成形型50には電鋳液11中の金属が付着することがない。従って、金属被膜4は成形型50間の芯線15周囲にだけ形成される。
【0037】
以上の電鋳工程の後、芯線ホルダー41を電鋳槽10から取り外す。そして、図6に示すように、金属被膜4付着状態の芯線15を直線状とし、カッタ60の切断刃61によって切断を行う。切断は、成形型50が存在していない部分に対して行う。
【0038】
本実施の形態においては、成形型50の間隔を目的とするフェルール1の長さの約2倍となるように設定することができる。これにより、成形型50の間にはフェルール2本分に相当した長さの金属被膜4が付着して円筒体となる。従って、金属被膜4の長さの略中央部分を切断することにより、フェルール2本分に相当した成形体5を同時に得ることができる。これにより、生産効率が向上する。
【0039】
図7及び図8は、切断によって得られた成形体5から芯線15を除去する工程を示す。成形体5は成形型50を中心としてその両側に金属被膜4が所定長さで形成されており、成形体5の両端部を一対のチャック63によって把持し、その後、この把持状態でチャック63を相互の離隔方向に移動させる。この移動によって左右の金属被膜4だけがチャック63と共に移動し、図8に示すように芯線15が左右の金属被膜4から引き抜かれる。この引き抜きによって、金属被膜4の中心には光ファイバー用の微細孔2が形成される。
【0040】
この引き抜きの際には、金属被膜4は芯線15に設けられている成形型50から離れて離型が行われる。この離型により、成形型50の成形面51に対応したテーパ穴3が各金属被膜4の端部(後端部)に形成される。これにより、金属被膜4からなる円筒体の形成と、テーパ穴3の形成とを同時に行うことができる。
【0041】
図9〜図13は、その後の工程を示し、外周研削砥石64によって円筒状の金属被膜4の外面を研削し(図9)、その後、端面研削砥石65によって金属被膜4の両端面を研削する(図10)。そして、図11に示すように面取り砥石66,67によって、金属被膜4の長さ方向両端部を面取り加工する。さらに、図12に示すように、一対のチャック68によって金属被膜4を保持し、この保持状態で研磨砥石69により外面を研磨する。そして、図13に示すように、金属被膜4の角部に発生しているバリをバリ取り具70により除去することにより、図14に示すフェルール1が製造され、その後、洗浄を行って完成品とする。
【0042】
このような実施の形態では、成形型50を所定間隔で設けた芯線15を用い、この芯線15に対して金属被膜4を形成した後、芯線15の引き抜き及び成形型50の離型を行うため、金属被膜4からなる円筒体への微細孔2の形成と、テーパ穴3の形成とを同時に行うことができる。このため、テーパ穴3を後から形成する必要がなくなり、そのための時間と手間を省くことができるため、生産効率が向上する。
【0043】
また、テーパ穴3を成形するための成形型50を微細孔2を形成するための芯線15に設けているため、テーパ穴3と微細孔2との同軸精度を向上させた状態でフェルール1を製造することができる。
さらに、電鋳の際には、芯線15を周方向に回転させながら金属被膜4を付着させるため、厚みが均一の金属被膜を形成することができ、高精度のフェルールとすることができる。
【0044】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々変更が可能である。例えば、芯線15を金属被膜4からの引き抜きによって除去しているが、アルカリ溶液により溶解して除去しても良い。また、成形型50をフェルール1の長さの2倍以外の間隔で芯線15に設けても良い。
【0045】
【発明の効果】
本発明は、外面がテーパ状の成形型を芯線に対し所定間隔で設けて電鋳を行うことにより芯線に金属被膜を形成した後、芯線を金属被膜から除去すると共に成形型を離型するため、微細孔と微細孔に連通するテーパ穴とを同時に形成することができる。このため、後工程でテーパ穴を加工する必要がなく、生産効率が向上する。
【0046】
また、テーパ穴を形成する成形型を微細孔を形成する芯線に設けているため、テーパ穴と微細孔との同軸精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造装置を示す全体断面図である。
【図2】回転手段を示す平面図である。
【図3】通電手段を示す断面図である。
【図4】芯線を周方向に回転させる構造を示す断面図である。
【図5】成形型を設けた芯線の断面図である。
【図6】金属被膜形成後の切断工程を示す断面図である。
【図7】芯線の除去及び離型の工程を行う前の側面図である。
【図8】芯線の除去及び離型の工程を示す側面図である。
【図9】外周研削を示す断面図である。
【図10】端面研削を示す断面図である。
【図11】面取り加工を示す断面図である。
【図12】仕上げ研磨を示す断面図である。
【図13】バリ取り工程を示す断面図である。
【図14】フェルールの断面図である。
【符号の説明】
1 フェルール
2 微細孔
3 テーパ穴
4 金属被膜
10 電鋳槽
11 電鋳液
12 金網
50 成形型
51 成形面
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバを接続するために用いる金属フェルールに関し、特に、電鋳によって芯線に金属被膜を析出させることにより金属フェルールを製造する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図14は、金属からなるフェルール1を示し、中央部分に光ファイバを挿通させるための微細孔2が長さ方向に貫通している。このフェルール1の後端部には光ファイバを微細孔2に案内して挿入するためのテーパ穴3が形成される一方、先端部の外周が面取り加工されている。このようなフェルール1をセラミックジルコニアによって製造する場合には、高価となるばかりではなく、成形や研磨のため手間がかかり生産性に劣るため、近年、電鋳によって製造することが行われている。
【0003】
電鋳によって製造する場合には、電鋳槽内に電鋳金属及び電鋳液を充填し、電鋳液に金属からなる芯線を浸漬し、この状態で電鋳金属及び芯線に通電を行うことにより芯線の外表面に金属被膜を付着させる。また、電鋳の際には、芯線を回転させることにより、均一な肉厚の金属被膜を形成するようにしている。
【0004】
この電鋳の後、芯線をアルカリ溶液で溶解して除去することによって、光ファイバ用の微細孔が貫通した円筒体とし、この円筒体を所定の長さに切断してフェルールを作製している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の電鋳では、円筒体しか成形できないものとなっている。このため、微細孔2と連通するテーパ穴3を形成する工程が必要となっており、工程数が多い問題を有している。
【0006】
しかも、テーパ穴3は、光ファイバをフェルール1の微細孔2にスムーズに挿入するため、テーパ穴3を微細孔2と同軸上に正確に連通するように形成する必要がある。このため、テーパ穴3の形成に際して、手間と時間がかかる問題を有している。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、フェルールのための円筒体の形成と同時にテーパ穴を形成することにより、テーパ穴形成のための工程を不要とし、しかも光ファイバ用の微細孔の軸線と正確に連通した状態での形成が可能な金属フェルールの製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の金属フェルールの製造方法は、電鋳槽内に電鋳金属及び電鋳液を充填し、電鋳液に芯線を浸漬して状態で電鋳金属及び芯線に通電すると共に芯線を周方向に回転させて芯線の外表面に金属被膜を形成する電鋳を行った後、芯線を除去して光ファイバ用の微細孔を形成する金属フェルールの製造方法において、外面がテーパ状の成形型を前記芯線に所定間隔で設け、成形型を芯線と共に電鋳液に浸漬して前記電鋳を行い、電鋳後に成形型を離型して前記微細孔と連通するテーパ穴をフェルールの後端に形成することを特徴とする。
【0009】
電鋳液に浸漬した芯線及び電鋳金属に通電しながら芯線を周方向に回転させることにより、芯線の外表面に金属被膜が形成され、金属被膜形成の後に、芯線を除去することにより光ファイバ挿通用の微細孔を形成することができる。
【0010】
この発明では、外面がテーパ状の成形型を所定間隔で芯線に設けて芯線と共に電鋳を行うことにより、成形型配置部分に対しては金属被膜が形成されることがない。従って、電鋳後に、成形型を離型することにより、微細孔と連通するテーパ穴をフェルールの後端に形成することができる。
【0011】
このような発明では、電鋳によるフェルールの円筒体の形成と同時にテーパ穴を形成することができるため、後工程でのテーパ穴の形成が不要となる。また、テーパ穴を形成するための成形型を微細孔を形成するための芯線に設けているため、テーパ穴と微細孔との同軸精度を向上させることができる。
【0012】
本発明の金属フェルールの製造装置は、電鋳金属及び電鋳液が充填された電鋳槽と、電鋳液に浸漬される芯線と、芯線及び電鋳金属に通電する通電手段と、芯線を周方向に回転させる回転手段とを備えた金属フェルールの製造装置において、外面がテーパ状となっており、光ファイバ用の微細孔と連通するテーパ穴を形成するための成形型が前記芯線に所定間隔で設けられていることを特徴とする。
【0013】
この発明では、電鋳液に浸漬される芯線と、芯線及び電鋳金属に通電する通電手段と、芯線を周方向に回転させる回転手段とを備えているため、上述した製造方法を好適に実施することができる。また、芯線としては、外面がテーパ状の成形型が間隔を有して取り付けられたものを使用するため、電鋳による円筒体の形成と同時にテーパ穴を形成することができ、テーパ穴を後から形成することが不要となると共に、テーパ穴と微細孔との同軸精度を向上させることができる。
【0014】
以上の発明において、フェルールの長さの約2倍の間隔となるように成形型を芯線に設けることができる。このように成形型を設けて電鋳を行うことにより、成形型の間にフェルール2本分の長さの円筒体が形成される。従って、円筒体の長さの略中央部分で切断することにより2本のフェルールを同時に製造することができ、生産効率が向上する。
【0015】
また、芯線として、鏡面仕上げ加工を施した真円に形成されたステンレス線を用いることができる。これにより、真円度の良好な円筒体を形成することができると共に、テーパ穴と微細孔との同軸度を高精度に確保することができる。
【0016】
さらに、電鋳金属としてニッケルを用い、電鋳液としてスルファミン酸ニッケルを用いることが可能であり、これにより、安価な金属フェルールを製造することができる。
【0017】
さらにまた、成形型は合成樹脂または金属からなり、円錐形の成形面を両側に有したソロバン玉形状となっているものを用いることができる。このような形状の成形型によれば、テーパ穴を確実に成形することができると共に、一つの成形型で二つの円筒体に対してのテーパ穴の形成が可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図面は本発明の一実施の形態であり、図1は、本発明の製造装置の全体を、図2〜図4は同装置の要部を、図5は芯線を、図6〜図8は製造工程をそれぞれ示している。
【0019】
図1に示すように製造装置は、電鋳液11が充填された電鋳槽10を有している。電鋳槽10の内部には、長尺な芯線15が水平に配置され、この芯線15の外表面に対し、電鋳処理によって円筒状の金属被膜4(図4参照)が形成される。この実施の形態において、芯線15としては、鏡面仕上げ加工を施すことにより真円度を高くした0.1〜0.2mm直径のステンレス線が使用されている。このように真円度の高い芯線15を用いることにより、光ファイバ用の微細孔2を均一な寸法で、しかも良好な真円度で形成することができる。なお、芯線15の外面には、必要に応じて離型材をコーティングすることができる。
【0020】
電鋳槽10に対しては、対向している側壁10aに対となっている通電ラック13を複数対引っ掛けている。対となっている通電ラック13の下端部には、電鋳液11に浸漬されるように金網12を掛け渡し、金網12内に電鋳金属としてのニッケルペレットを収納している。そして、通電ラック13を直流電源16の陽極と接続することにより、金網12及びニッケルペレットをアノードとしている。なお、電鋳金属としてニッケルを用いていることから、電鋳液11としては、スルファミン酸ニッケルの水溶液が使用されている。
【0021】
電鋳槽10には、管理槽20が連結されている。管理槽20は内部に、電鋳液11が充填されていると共に、電鋳槽10の外周部分に設けたオーバーフロー槽17と戻りパイプ21によって連結されており、管理槽20に設けた戻りノズル22に戻りパイプ21の先端部が連結されることにより、電鋳槽10からオーバーフローした電鋳液11が貯留される。また、管理槽20には排出ノズル23が取り付けられており、この排出ノズル23と電鋳槽10の底壁10bに形成した排出口とが、コック24を有する排出パイプ25を介して連結されている。
【0022】
電鋳槽10には、その底部に沿って散液パイプ26が配置されており、この散液パイプ26と管理槽20とが供給パイプ27によって連結されている。供給パイプ27には、ポンプ30、熱交換器31、フィルター32を管理槽20側から電鋳槽10側に向かって順に設けられている。熱交換器31は温度コントローラー33により制御されており、管理槽20からの電鋳液11を40〜70℃(好ましくは、55℃前後)に温度制御する。フィルター32は電鋳液11内に混入した塵等を除去する。このような供給パイプ27は、散液パイプ26に連結されており、温度調整された電鋳液11をポンプ30の駆動によって、散液パイプ26の散液孔26aから電鋳槽10に供給するように作用する。これにより、電鋳液11の回収・再生による循環使用が可能となっている。
【0023】
芯線15は図1に示すように、両端部が一対の芯線ホルダー41に保持された状態で、電鋳槽10内の電鋳液11に浸漬されている。芯線ホルダー41は、電鋳槽10の側壁10aに取り付けられるが、この取り付けは、側壁10aの上部に縦方向の複数のスリット10d(図1及び図3参照)を形成し、このスリット10dに後述するホルダー本体41aを挿入して係止することにより行われる。スリット10dの形成により、電鋳槽10内の電鋳液11はスリット10dからオーバーフロー槽17に流れ出るが、この流出により電鋳液11は管理槽20に戻される。
図4に示すように、芯線ホルダー41はホルダー本体41aと、ホルダー本体41aの外周部に円周方向に沿って回転する従動ギヤ41bとを備えており、ホルダー本体41aの端部には芯線15の巻取部41cが取り付けられている。芯線15は、対となっている芯線ホルダー41における巻取部41c間に掛け渡されることにより、水平状態で電鋳液11に浸漬される。
【0024】
電鋳に際し、芯線15はカソードとなるものであり、このため直流電源16の負極が芯線ホルダー41に接続されている。この接続構造は図3及び図4に示すように、直流電源16の負極からのリード線44の先端にばね45によって付勢された通電ブラシ43を取り付け、このブラシ43を芯線ホルダー41の本体41a外周部に接触させるようになっている。
【0025】
このように芯線15をカソードとする芯線ホルダー41及び上述したように電鋳金属をアノードとする金網12、芯線ホルダー41及び金網12に電力を供給する直流電源16によって通電手段が構成されている。
【0026】
また、電鋳に際し、芯線15が周方向に回転するものであり、この回転を行うため、回転手段が電鋳槽10に配置される。回転手段は、図2に示すように電鋳槽10の長さ方向における略中間部分に配置された回転駆動源としてのモータ47と、電鋳槽10の対向する側壁10aに沿って伸びるように配置された連結駆動軸48と、モータ47の出力軸に固定された駆動ギヤ47a及び連結駆動軸48の端部に固定された連動ギヤ48aに掛け渡された無端状のチェーン49とによって形成されている。さらに、連結駆動軸48の長さ方向には、連結ギヤ48bが所定間隔で固定されており、この連結ギヤ48bによって芯線15の周方向の回転力が伝達される。
【0027】
芯線ホルダー41は、各連結ギヤ48bと対応するように、連結駆動軸48の長さ方向に沿って複数配置されており、図3及び図4に示すように、その従動ギヤ41bが連結駆動軸48の連結ギヤ48bに噛合することによりモータ47の回転力が芯線ホルダー41に伝達される。このような構造では、モータ47の駆動力が左右のチェーン49に分配され、側壁10aに沿って配置した連結駆動軸48の連動ギヤ48a、連結ギヤ48bから芯線ホルダー41に伝達される。これにより、芯線ホルダー41が回転するため、同ホルダー41に保持されている芯線15が周方向に回転する。
【0028】
この実施の形態において、芯線15には成形型50が所定間隔で長さ方向に設けられている。図5は、成形型50が設けられた芯線15を示す。成形型50は、芯線15から径方向に膨出する形状となって複数が設けられている。各成形型50は、周囲の解放側から芯線15に向かって斜めとなることにより、円錐形となったテーパ状の成形面51が両側に形成されている。両側の成形面51は軸方向に沿った連続面52によって連結されており、これにより各成形型50はソロバン玉形状となっている。成形型50をこのようなソロバン玉形状とすることにより、フェルール1のテーパ穴3を確実に成形することができ、しかも一つの成形型50で二つの円筒体に対してテーパ穴3を形成することができるメリットがある。このような成形型50は、合成樹脂または非導電性の金属によって成形された状態で芯線15に設けられている。合成樹脂の場合には、非電解性で且つ収縮率が小さなエポキシ系樹脂が良好である。
【0029】
このような成形型50を芯線15に設け、芯線15と共に電鋳液11に浸漬して電鋳を行う場合、成形型50の配置部位では金属被膜が堆積することがない。すなわち、電鋳では、芯線15の周囲に金属被膜が付着して堆積するが、成形型50が金属被膜の付着を阻止するためである。これにより、成形型50の成形面51に沿った形状のテーパ穴を形成することができる。
【0030】
以上の成形型50に対し、芯線ホルダー41には、図4に示すようにサイドストッパ55が設けられている。サイドストッパ55は対となっている芯線ホルダー41におけるホルダー本体41aの先端面から芯線15の軸方向に延びるように形成されている。このサイドストッパ55の先端には、成形型50における成形面51と同様な成形面56が形成されており、これにより、サイドストッパ55側におけるテーパ穴の形成が可能となっている。
【0031】
この実施の形態において、フェルール3を形成する電鋳金属の材料としては、ニッケルに加えたニッケル合金、鉄または鉄合金、銅または銅合金、コバルトまたはコバルト合金、タングステンまたはその合金、その他の材料を使用することができる。これにより、廉価で加工に優れ、他の部材との溶接が可能なフェルールを製造することができる。
【0032】
芯線15の材料としては、ステンレスの他に、アルミニウム、銅、鉄、あるいはこれらの合金、金、銀等の金属、または導電処理された合成樹脂等の非金属を使用することができる。
【0033】
電鋳液11としては、スルファミン酸ニッケルの他に、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、スルファミン酸第一鉄、ホウフッ化第一鉄、ピロリン酸銅、硫酸銅、ホウフッ化銅、ケイフッ化銅、アルカノールスルフォン酸銅、硫酸コバルト、タングステン酸ナトリウム等の水溶液を使用することができる。
【0034】
次に、この実施の形態によるフェルール3の製造を工程順に説明する。
【0035】
図1に示すように、芯線ホルダー41の本体41aを対向している電鋳槽10の側壁10aにおけるスリット10dに差し込むことにより、芯線15を電鋳液11に浸漬する。この状態で、芯線ホルダー41に陰極電流を通電し、アノードとなっている金網12に通電ラック13を介して陽極電流を通電すると共に、モータ47を駆動して電鋳液11内の全ての芯線15を同一方向且つ同一速度で周方向に回転させる。また、芯線15の回転と同時に管理槽20から電鋳槽10内に電鋳液11を連続的に供給する。これにより、電鋳液11中のニッケル等の金属が電気分解によって芯線15の表面に析出して付着し、円筒状の金属被膜4が形成される。
【0036】
この電鋳においては、芯線15に間隔を有して設けられた成形型50が合成樹脂や非導電性金属によって成形されているため、成形型50には電鋳液11中の金属が付着することがない。従って、金属被膜4は成形型50間の芯線15周囲にだけ形成される。
【0037】
以上の電鋳工程の後、芯線ホルダー41を電鋳槽10から取り外す。そして、図6に示すように、金属被膜4付着状態の芯線15を直線状とし、カッタ60の切断刃61によって切断を行う。切断は、成形型50が存在していない部分に対して行う。
【0038】
本実施の形態においては、成形型50の間隔を目的とするフェルール1の長さの約2倍となるように設定することができる。これにより、成形型50の間にはフェルール2本分に相当した長さの金属被膜4が付着して円筒体となる。従って、金属被膜4の長さの略中央部分を切断することにより、フェルール2本分に相当した成形体5を同時に得ることができる。これにより、生産効率が向上する。
【0039】
図7及び図8は、切断によって得られた成形体5から芯線15を除去する工程を示す。成形体5は成形型50を中心としてその両側に金属被膜4が所定長さで形成されており、成形体5の両端部を一対のチャック63によって把持し、その後、この把持状態でチャック63を相互の離隔方向に移動させる。この移動によって左右の金属被膜4だけがチャック63と共に移動し、図8に示すように芯線15が左右の金属被膜4から引き抜かれる。この引き抜きによって、金属被膜4の中心には光ファイバー用の微細孔2が形成される。
【0040】
この引き抜きの際には、金属被膜4は芯線15に設けられている成形型50から離れて離型が行われる。この離型により、成形型50の成形面51に対応したテーパ穴3が各金属被膜4の端部(後端部)に形成される。これにより、金属被膜4からなる円筒体の形成と、テーパ穴3の形成とを同時に行うことができる。
【0041】
図9〜図13は、その後の工程を示し、外周研削砥石64によって円筒状の金属被膜4の外面を研削し(図9)、その後、端面研削砥石65によって金属被膜4の両端面を研削する(図10)。そして、図11に示すように面取り砥石66,67によって、金属被膜4の長さ方向両端部を面取り加工する。さらに、図12に示すように、一対のチャック68によって金属被膜4を保持し、この保持状態で研磨砥石69により外面を研磨する。そして、図13に示すように、金属被膜4の角部に発生しているバリをバリ取り具70により除去することにより、図14に示すフェルール1が製造され、その後、洗浄を行って完成品とする。
【0042】
このような実施の形態では、成形型50を所定間隔で設けた芯線15を用い、この芯線15に対して金属被膜4を形成した後、芯線15の引き抜き及び成形型50の離型を行うため、金属被膜4からなる円筒体への微細孔2の形成と、テーパ穴3の形成とを同時に行うことができる。このため、テーパ穴3を後から形成する必要がなくなり、そのための時間と手間を省くことができるため、生産効率が向上する。
【0043】
また、テーパ穴3を成形するための成形型50を微細孔2を形成するための芯線15に設けているため、テーパ穴3と微細孔2との同軸精度を向上させた状態でフェルール1を製造することができる。
さらに、電鋳の際には、芯線15を周方向に回転させながら金属被膜4を付着させるため、厚みが均一の金属被膜を形成することができ、高精度のフェルールとすることができる。
【0044】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々変更が可能である。例えば、芯線15を金属被膜4からの引き抜きによって除去しているが、アルカリ溶液により溶解して除去しても良い。また、成形型50をフェルール1の長さの2倍以外の間隔で芯線15に設けても良い。
【0045】
【発明の効果】
本発明は、外面がテーパ状の成形型を芯線に対し所定間隔で設けて電鋳を行うことにより芯線に金属被膜を形成した後、芯線を金属被膜から除去すると共に成形型を離型するため、微細孔と微細孔に連通するテーパ穴とを同時に形成することができる。このため、後工程でテーパ穴を加工する必要がなく、生産効率が向上する。
【0046】
また、テーパ穴を形成する成形型を微細孔を形成する芯線に設けているため、テーパ穴と微細孔との同軸精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造装置を示す全体断面図である。
【図2】回転手段を示す平面図である。
【図3】通電手段を示す断面図である。
【図4】芯線を周方向に回転させる構造を示す断面図である。
【図5】成形型を設けた芯線の断面図である。
【図6】金属被膜形成後の切断工程を示す断面図である。
【図7】芯線の除去及び離型の工程を行う前の側面図である。
【図8】芯線の除去及び離型の工程を示す側面図である。
【図9】外周研削を示す断面図である。
【図10】端面研削を示す断面図である。
【図11】面取り加工を示す断面図である。
【図12】仕上げ研磨を示す断面図である。
【図13】バリ取り工程を示す断面図である。
【図14】フェルールの断面図である。
【符号の説明】
1 フェルール
2 微細孔
3 テーパ穴
4 金属被膜
10 電鋳槽
11 電鋳液
12 金網
50 成形型
51 成形面
Claims (10)
- 電鋳槽内に電鋳金属及び電鋳液を充填し、電鋳液に芯線を浸漬して状態で電鋳金属及び芯線に通電すると共に芯線を周方向に回転させて芯線の外表面に金属被膜を形成する電鋳を行った後、芯線を除去して光ファイバ用の微細孔を形成する金属フェルールの製造方法において、
外面がテーパ状の成形型を前記芯線に所定間隔で設け、成形型を芯線と共に電鋳液に浸漬して前記電鋳を行い、電鋳後に成形型を離型して前記微細孔と連通するテーパ穴をフェルールの後端に形成することを特徴とする金属フェルールの製造方法。 - 前記成形型をフェルールの所定長さの約2倍の間隔を有して芯線に設けることを特徴とする請求項1記載の金属フェルールの製造方法。
- 前記芯線として、鏡面仕上げ加工を施した真円に形成されたステンレス線を用いることを特徴とする請求項1または2記載の金属フェルールの製造方法。
- 前記電鋳金属としてニッケルを用い、前記電鋳液としてスルファミン酸ニッケルを用いることを特徴とする請求項1記載の金属フェルールの製造方法。
- 前記成形型は合成樹脂または金属からなり、円錐形の成形面を両側に有したソロバン玉形状となっていることを特徴とする請求項1または2記載の金属フェルールの製造方法。
- 電鋳金属及び電鋳液が充填された電鋳槽と、電鋳液に浸漬される芯線と、芯線及び電鋳金属に通電する通電手段と、芯線を周方向に回転させる回転手段とを備えた金属フェルールの製造装置において、
外面がテーパ状となっており、光ファイバ用の微細孔と連通するテーパ穴を形成するための成形型が前記芯線に所定間隔で設けられていることを特徴とする金属フェルールの製造装置。 - 前記成形型がフェルールの所定長さの約2倍の間隔を有して芯線に設けられていることを特徴とする請求項6記載の金属フェルールの製造装置。
- 前記芯線は、鏡面仕上げ加工を施した真円に形成されたステンレス線であることを特徴とする請求項7または8記載の金属フェルールの製造装置。
- 前記電鋳金属はニッケルであり、前記電鋳液はスルファミン酸ニッケルであることを特徴とする請求項6記載の金属フェルールの製造装置。
- 前記成形型が合成樹脂または金属からなり、円錐形の成形面を両側に有したソロバン玉形状に成形されていることを特徴とする請求項6または7記載の金属フェルールの製造装置。
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JP2012041600A (ja) * | 2010-08-18 | 2012-03-01 | Morioka Seiko Instruments Inc | 電鋳部品の製造方法 |
CN103556188A (zh) * | 2013-10-31 | 2014-02-05 | 常州华日升反光材料股份有限公司 | 一种电铸设备 |
JP2017072653A (ja) * | 2015-10-05 | 2017-04-13 | 住友電気工業株式会社 | 光接続部品、光処理装置、光接続部品を作製する方法、ガイド部材生産物を作製する方法 |
-
2002
- 2002-07-22 JP JP2002212061A patent/JP2004052050A/ja active Pending
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