JP2004051841A - ポリエステルフィルムラミネート金属缶用ホワイト接着剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】ラミネート工程において色ムラなどの発生がなく、薄膜においても隠蔽力に優れたホワイト接着剤層を提供すること。
【解決手段】(A)シクロヘキサン環構造を有するジカルボン酸化合物をポリエステル樹脂を構成する酸成分中の30モル%以上含有する水酸基含有ポリエステル樹脂、(B)ブロック化ポリイソシアネート化合物、及び(C)平均粒子径0.20〜0.35μmのチタン白よりなることを特徴とするポリエステルフィルムラミネート金属缶用ホワイト接着剤であって、該チタン白(C)が、ポリエステル樹脂(A)及びブロック化ポリイソシアネート化合物(B)の合計固形分量100重量部に対して120〜160重量部の範囲内で含有するものであるポリエステルフィルムラミネート金属缶用ホワイト接着剤。
【選択図】なし
【解決手段】(A)シクロヘキサン環構造を有するジカルボン酸化合物をポリエステル樹脂を構成する酸成分中の30モル%以上含有する水酸基含有ポリエステル樹脂、(B)ブロック化ポリイソシアネート化合物、及び(C)平均粒子径0.20〜0.35μmのチタン白よりなることを特徴とするポリエステルフィルムラミネート金属缶用ホワイト接着剤であって、該チタン白(C)が、ポリエステル樹脂(A)及びブロック化ポリイソシアネート化合物(B)の合計固形分量100重量部に対して120〜160重量部の範囲内で含有するものであるポリエステルフィルムラミネート金属缶用ホワイト接着剤。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属缶にポリエステルフィルムをラミネートするためのホワイト接着剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術およびその課題】
従来、フィルムラミネート缶は、例えば、接着剤をポリエステル(PET)フィルムなどのプラスチックフィルムの接着面にロールコータにて塗布し、このものを鋼板などの金属板に貼り合わせた後、缶に成型加工する方法か、又は直接成型加工された缶に貼り合わせる方法などによって製造されており、そこに用いられるフィルムラミネート用の接着剤としては、エポキシ樹脂系、ポリエステル樹脂系などの接着剤が知られている。
【0003】
ポリエステルフィルムラミネート缶は、通常、ポリエステルフィルムに接着剤を塗付し、加熱などにより接着剤中の溶剤を揮散させ、かつ接着剤層を硬化させない程度に乾燥させた後、コイル状に巻き取った接着剤層を有するポリエステルフィルムを、成型缶又は金属板に貼り合わせて加熱硬化又は電子線硬化することによって得ることができる。
【0004】
また、缶外面用などに使用されるポリエステルフィルムは、通常、多色印刷が施されたものが用いられるが、見栄えの点から印刷インキ層の下には一般に着色層が必要であり、通常、素材の上にホワイトコートを塗装し、その上にポリエステルフィルムがラミネートされる。そこで、ラミネート用接着剤として着色顔料、なかでもチタン白を配合したものを使用すれば、ホワイトコートを兼ねることができ、缶の製造工程を一工程省略することができるため非常に有利である。
【0005】
しかしながら接着剤に顔料を添加していくとともに接着剤としての機能が低下し、素材との密着性が低下する。また、高い圧力をかけてフィルムをラミネートしていくためにホワイト接着剤層が引き伸ばされて、色ムラとなったり、全体が黒ずんで見えるなどの問題が発生する。また、製缶後のネックイン加工成型性やコスト面からは、接着剤層はできるだけ薄膜であることが好ましい。
【0006】
本発明の目的は、ラミネート工程において色ムラなどの発生がなく、薄膜においても隠蔽力に優れたホワイト接着剤層を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、シクロヘキサン環構造を有するポリエステル樹脂とブロック化ポリイソシアネート化合物とよりなる組成物に特定量のチタン白及び必要に応じて粒子径3〜8μmのナイロン微粒子を含有させることにより、色ムラのない白色度に優れた接着剤を得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
かくして本発明は、
(A)シクロヘキサン環構造を有するジカルボン酸化合物をポリエステル樹脂を構成する酸成分中の30モル%以上含有する水酸基含有ポリエステル樹脂、
(B)ブロック化ポリイソシアネート化合物、及び
(C)平均粒子径0.20〜0.35μmのチタン白
よりなることを特徴とするポリエステルフィルムラミネート金属缶用ホワイト接着剤であって、該チタン白(C)が、ポリエステル樹脂(A)及びブロック化ポリイソシアネート化合物(B)の合計固形分量100重量部に対して120〜160重量部の範囲内で含有するものであるポリエステルフィルムラミネート金属缶用ホワイト接着剤を提供することである。
【0009】
また、本発明は、上記のホワイト接着剤を用いて金属缶の外面となる側にポリエステルフィルムをラミネートしてなることを特徴とするフィルムラミネート金属缶を提供することである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステルフィルムラミネート金属缶用ホワイト接着剤は、シクロヘキサン環構造を有するジカルボン酸化合物をポリエステル樹脂を構成する酸成分中の30モル%以上含有する水酸基含有ポリエステル樹脂(A)、ブロック化ポリイソシアネート化合物(B)、平均粒子径0.20〜0.35μmのチタン白(C)及び必要に応じて平均粒子径3〜8μmのナイロン微粒子(D)を含有してなるものである。
【0011】
水酸基含有ポリエステル樹脂(A)
本発明の接着剤の(A)成分である水酸基含有ポリエステル樹脂は、多塩基酸成分と多価アルコール成分とのエステル化物からなるものであり、該多塩基酸成分中の30モル%以上、特に40〜80モル%がシクロヘキサン環構造を有するジカルボン酸化合物であることが、ラミネート後の白色度及び隠蔽性の点から適している。
【0012】
上記シクロヘキサン環構造を有するジカルボン酸化合物としては、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸ジメチル、ヘキサヒドロテレフタル酸ジメチルなどを挙げることができるが、中でもヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸ジメチル及びヘキサヒドロテレフタル酸ジメチルが好適である。
【0013】
上記以外の多塩基酸成分としては、例えば無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、無水マレイン酸、イタコン酸、ダイマー酸などから選ばれる1種以上の二塩基酸及びこれらの酸の低級アルキルエステル化物が主として用いられ、必要に応じて安息香酸、クロトン酸、p−t−ブチル安息香酸などの一塩基酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、無水ピロメリット酸などの3価以上の多塩基酸などが併用される。
【0014】
また、多価アルコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチルペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの二価アルコールが主に用いられ、さらに必要に応じてグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールを併用することができる。これらの多価アルコールは単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。両成分のエステル化又はエステル交換反応は、それ自体既知の方法によって行うことができ、例えば、前記多塩基酸成分と多価アルコール成分とを180〜250℃程度の温度で重縮合させることによって得ることができる。
【0015】
また、前記多塩基酸成分と多価アルコール成分とから水酸基を有するポリエステルを得た後、このポリエステルの水酸基に、マレイン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸などの多塩基酸を反応させることによって樹脂中にカルボキシル基を導入したポリエステル樹脂であってもよい。
【0016】
水酸基含有ポリエステル樹脂(A)の水酸基価としては、1〜30mgKOH/g、特に3〜20mgKOH/g、数平均分子量としては、7,000〜40,000、特に12,000〜30,000の範囲内が硬化性、密着性の点から適している。
【0017】
ブロック化ポリイソシアネート化合物(B)
本発明の接着剤の(B)成分であるブロック化ポリイソシアネート化合物は、上記水酸基含有ポリエステル樹脂の硬化剤として使用するものであり、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の一部又は全てをブロック剤でブロックしてなるものである。
【0018】
上記ポリイソシアネート化合物としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの如き脂肪族ジイソシアネート類;水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートの如き環状脂肪族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートの如き芳香族ジイソシアネート類;トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、4,4′−ジメチルジフェニルメタン−2,2′,5,5′−テトライソシアネートなどの3個以上のイソシアネ−ト基を有するポリイソシアネート化合物の如き有機ポリイソシアネートそれ自体、またはこれらの各有機ポリイソシアネートと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂もしくは水等との付加物、あるいは上記した各有機ポリイソシアネート同志の環化重合体、更にはイソシアネート・ビウレット体等を挙げることができる。なかでもヘキサメチレンジイソシアネートが環化重合したイソシアヌレートが好適に使用される。
【0019】
また、ブロック剤としては、フェノール、クレゾール、キシレノールなどのフェノール系;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピオラクタムなどのラクタム系;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコールなどのアルコール系;ホルムアミドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサンオキシムなどのオキシム系;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン系などのブロック剤を挙げることができる。なかでもオキシム系ブロック剤が好適に使用される。
【0020】
ブロック化ポリイソシアネート化合物(B)の配合量は、水酸基含有ポリエステル樹脂(A)100重量部あたり1〜40重量部、好ましくは5〜35重量部の範囲内が硬化性の点から適している。
【0021】
また、ブロック化ポリイソシアネート化合物の硬化性を上げるため硬化触媒を併用することができる。該硬化触媒としては、ブロック化ポリイソシアネート化合物(B)のブロック剤の解離を促進する硬化触媒を用いることが好適であり、例えば、オクチル酸錫、、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、2−エチルヘキサン酸鉛などの有機金属触媒などを好適に使用することができる。
【0022】
なお、ブロック化されていないポリイソシアネート化合物を一部併用してもかまわない。また、ブロック化されていないポリイソシアネート化合物を硬化剤として使用して2液型とすることもできるが、経済性の面からはブロック化ポリイソシアネート化合物を使用して1液型として用いることが適している。
【0023】
チタン白(C)
本発明の接着剤の(C)成分であるチタン白は、接着剤に白色の色を付けるための白色顔料であり、チタン白の平均粒子径としては、0.20〜0.35μm、特に0.25〜0.30μmの範囲内、接着剤への添加量としては、ポリエステル樹脂(A)及びブロック化ポリイソシアネート化合物(B)の合計固形分量100重量部に対して120〜160重量部、特に125〜155重量部の範囲内が、白色度及び隠蔽性の点から好適である。
【0024】
上記平均粒子径が0.20〜0.35μmのチタン白としては、市販品として、例えばCR−95(石原産業社製、平均粒子径約0.29μm)、R−62N(堺化学社製、平均粒子径約0.26μm)、JR−805(テイカ社製、平均粒子径約0.30μm)などが挙げられる。
【0025】
ナイロン微粒子(D)
本発明の接着剤の(D)成分であるナイロン微粒子は、必要に応じて添加する成分であるが、フィルムラミネート時の接着剤の膜厚を均一にするためには効果が大きく、添加するのが好ましい。これは、フィルムに高い圧力をかけて素材にラミネートする際に、フィルムと素材間にある接着剤が押出されて膜厚の不均一な部分を生じて色ムラになることをナイロン微粒子が抑える効果による。該効果は、同様の粒径を有するナイロン以外の有機樹脂や無機粒子であっても存するが、白色度を低下させずに且つラミネート時の圧力に抗して接着剤の膜厚を維持するためには、特にナイロン粒子が適している。
【0026】
フィルムラミネート時の接着剤の膜厚を均一にするためには、ナイロン微粒子(D)の平均粒子径としては3〜8μm、特に4〜7μmの範囲内が、また、添加量としてはポリエステル樹脂(A)及びブロック化ポリイソシアネート化合物(B)の合計固形分量100重量部に対して0.1〜10重量部、特に0.3〜5重量部の範囲内が適している。
【0027】
本発明の接着剤は、さらに必要に応じて着色顔料、添加剤(ブロッキング防止剤、潤滑性付与剤、消泡剤等)、有機溶剤などを添加してもよい。
【0028】
上記ブロッキング防止剤としては、体質顔料(例えば、シリカ微粉末、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、クレーなど)、ナイロン以外の有機微粒子(ポリオレフィン微粒子、アクリル樹脂微粒子、シリコンゴム微粒子、ウレタン樹脂微粒子、フェノール樹脂微粒子、ポリ四弗化エチレン微粒子など)などを挙げることができる。
【0029】
上記潤滑性付与剤は、接着剤表面に潤滑性を付与するために配合されるものであり、接着剤を塗布した金属板貼合せ用積層フィルムをコイル状に円滑に巻き取るため、また、このコイルを解くときの接着剤層表面の傷付きを防止するためなどの目的で配合されるものである。潤滑性付与剤としては、例えば、脂肪酸エステルワックス;ポリエチレンワックスなどのポリオレフィンワックス;ラノリン、蜜ろうなどの動物系ワックス;カルナウバワックス、水ろうなどの植物系ワックス;マイクロクリスタリンワックス、シリコン系ワックス、フッ素系ワックスなどのワックス類を挙げることができる。
【0030】
更に本発明の接着剤は、必要に応じて重合性不飽和二重結合を有するオリゴマー類を添加して、電子線硬化性を付与することができる。
【0031】
上記重合性不飽和二重結合を有するオリゴマー類としては、市販品として例えばアロニックスM−305(東亜合成社製)、TEICA(第一工業製薬社製)、ライトアクリレートTMP−6EO−3A(共栄社製)等を上げることができる。
【0032】
ポリエステルフィルムラミネート金属缶の製造
本発明の接着剤は、まずポリエステルフィルム上に塗布される。接着剤の塗布は、ロールコータ方式、ダイコータ方式、グラビア方式、グラビアオフセット方式、スプレー塗装方式など、それ自体既知の塗装手段にて行われる。また、乾燥は塗布液中の溶剤を揮散させる程度であり、フィルムをコイル状に巻き取ってもブロッキングを起こさないように通常50〜180℃程度の温度で行なわれる。接着剤の塗布量は、乾燥皮膜重量として、色ムラ、隠蔽性などの点から20〜200mg/dm2、好ましくは50〜160mg/dm2の範囲内が適している。
【0033】
上記ポリエステルフィルムとしては、エステル反復単位の75〜100%がエチレンテレフタレート単位からなるものが好適である。エチレンテレフタレート単位以外のエステル単位の酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸などを挙げることができる。ポリエステルフィルムは、インキや接着剤との付着性を向上させるために、その表面にコロナ放電処理等の表面処理が施されたものであってもよく、表面処理が施されたものが好ましい。ポリエステルフィルムの膜厚は、特に限定されるものではないが、通常、5〜30μm程度の膜厚のものが好適に使用される。
【0034】
また、ポリエステルフィルムはインキ層を有していてもよい。該インキ層は、ポリエステルフィルム上に、例えばグラビア印刷法などによりインキを印刷し、必要に応じて、加熱、活性光線照射などによって溶剤の除去や硬化を行うことによって形成することができる。
【0035】
ラミネート用フィルムの製造は、上記ポリエステルフィルム上(ポリエステルフィルムがインキ層を有する場合は、通常、インキ層面上)に、接着剤を塗布、乾燥して表面粘着性のない接着剤層を形成することによって得ることができる。この乾燥された接着剤層を有するポリエステルフィルムは通常コイル状に巻き取られる。
【0036】
上記で得られたラミネート用フィルムのコイルを解いて金属板に貼合せることによりポリエステルフィルムラミネート鋼板を得ることができる。
【0037】
上記の貼合せに使用される金属板としては、例えば、熱延鋼板、冷延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、鉄−亜鉛合金メッキ鋼板、亜鉛−アルミニウム合金メッキ鋼板、ニッケル−亜鉛合金メッキ鋼板、ニッケル−錫合金メッキ鋼板、ブリキ、クロムメッキ鋼板、アルミニウムメッキ鋼板、ターンメッキ鋼板、ニッケルメッキ鋼板、ステンレススチール、ティンフリースチール、アルミニウム板、銅板、チタン板などの金属板素材;これらの金属板素材に化成処理、例えば、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化膜処理などを行った化成処理金属板を挙げることができる。また、本発明において、「金属板」としては、上記金属板素材、化成処理金属板又はプライマー塗装金属板などの平板状の金属板が、例えば缶胴などに成型加工された加工金属板も包含される。
【0038】
前記接着剤層を有するラミネート用フィルムを上記金属板表面に貼合せる条件は、ラミネート用フィルムが劣化せず、ポリエステルフィルムと金属板とが十分に接着され、良好な外観のポリエステルフィルムラミネート金属板が得られる限り特に限定されるものではない。貼合せ条件の一例として、例えば、加熱ロールを用いる方法や金属板を予熱する方法などにより熱圧着時の金属板の温度を約120〜200℃とし、短時間(通常2秒以下)で、金属板と金属板貼合せ用積層フィルムとを熱圧着してラミネートする方法を挙げることができる。平板状の金属板を用いる場合には、平板状の金属板の片面又は両面にラミネート用フィルムを加熱ラミネートすることができる。
【0039】
上記ポリエステルフィルムラミネート金属板を切断し、成形加工することにより、ポリエステルフィルムラミネート缶を得ることができるが、前記ポリエステルラミネート用フィルムを成形された缶に直接ラミネートすることによってもポリエステルフィルムラミネート缶を得ることができる。
【0040】
ポリエステルフィルムラミネート缶としては、飲料缶、食缶、雑缶、5ガロン缶などに使用される。
【0041】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、以下、「部」及び「%」はいずれも重量基準によるものとする。
【0042】
ポリエステル樹脂の合成
合成例1
ヘキサヒドロテレフタル酸40モル、イソフタル酸50モル、テレフタル酸10モル、エチレングリコール30モル、ネオペンチルグリコール30モル、1,4−ブタンジオール20モル、シクロヘキサンジメタノール20モルをポリエステル反応容器に仕込み、さらに還流用のキシレン少量を加え、250℃まで徐々に加熱し同温度に5時間保持して、脱水しながらエステル化反応を行い、数平均分子量20,000及び水酸基価4mgKOH/gのポリエステル樹脂A1を得た。
【0043】
合成例2〜10
合成例1において多塩基酸成分及び多価アルコール成分を下記表1に示す配合とする以外は合成例1と同様にしてポリエステル樹脂を合成した。なお、表1に示す配合量はモル量で示した。
【0044】
【表1】
【0045】
ホワイト接着剤の製造
実施例1〜9及び比較例1〜6
後記表2に示す配合にて各ホワイト接着剤を作成した。なお、表2における(注1)の原料は下記の内容のものである。
(注1)デュラネートTPA−B80E:旭化成社製、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリイソシアヌレート体のブロック化合物。
【0046】
試験用ラミネート板の作成
上記実施例及び比較例で得た各ホワイト接着剤を、厚さ8μm、幅100mmのPETフィルムのコロナ放電処理面に乾燥塗膜重量が100mg/dm2となるように塗装し、溶剤を蒸発乾燥してラミネート用フィルムを得た。得られた各ラミネート用フィルムの皮膜層面を190℃に予熱したティンフリースチール板と重ね、190℃の熱ロールを用いて圧力40kg/cm2、速度100m/分にて熱圧着した後、該貼合わせ金属板を190℃で10分間焼付を行ない、皮膜層を硬化させたPETラミネート金属板を得た。
【0047】
得られた各PETラミネート金属板について下記試験方法にて各種試験を行なった。その試験結果を後記表2に示す。
【0048】
試験方法
外観(色ムラ、白さ):PETラミネート金属板のPETフィルム面側の外観(色ムラ、白さ)を目視にて下記基準により評価した。
◎:色ムラ、素地感がなく均一に白い。
○:色ムラ、素地感がわずかに見られるが、均一に白い。
△:色ムラ、素地感がわずかに見られ、白さもやや不充分である。
×:色ムラ、素地感が強く、全体に黒ずんで見える。
【0049】
外観(ラミネート適性):PETラミネート金属板のPETフィルム面側の外観(気泡、皺の発生等)を目視にて下記基準により評価した。
○:気泡、皺の発生がなく良好な外観である。
△:気泡、皺の発生がわずかに見られ、やや不良である。
×:気泡、皺の発生が多く見られ、不良である。
【0050】
密着性:PETラミネート金属板を、125℃で30分間レトルト処理する前と後について、JIS K−5400 8.5.2(1990)に準じて、該PETラミネート金属板のPETフィルム面に、ナイフで金属表面に達する切れ目を入れて1mm×1mmのマス目を100個作成し、その表面にセロハン粘着テープを貼着し、瞬時に剥離したときのマス目の膜の剥離状態を下記基準により評価した。
○:全く剥離しない。
△:マス目の1〜49個の膜が剥離する。
×:マス目の50個以上の膜が剥離する。
【0051】
加工性:PETラミネート金属板をPETフィルム面に、ナイフで金属表面に達するクロスカットを入れ、切り込みの交点を裏側からエリクセン試験機を用いて6mm押し出し、押し出し部のPETフィルムの接着状態を下記基準により評価した。
○:PETフィルムが剥離しない。
×:PETフィルムがクロスカットの交点から剥離する。
【0052】
【表2】
【0053】
【発明の効果】
本発明のラミネート用フィルムはホワイトコートを兼ねた接着剤層を持ち、金属素材との密着性に優れるだけでなく、ラミネート工程において色ムラなどの発生しない、薄膜でも隠蔽力、白色度に優れたラミネート板を得ることができ、特に缶用途やキャップなどの金属蓋用途に有用なものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属缶にポリエステルフィルムをラミネートするためのホワイト接着剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術およびその課題】
従来、フィルムラミネート缶は、例えば、接着剤をポリエステル(PET)フィルムなどのプラスチックフィルムの接着面にロールコータにて塗布し、このものを鋼板などの金属板に貼り合わせた後、缶に成型加工する方法か、又は直接成型加工された缶に貼り合わせる方法などによって製造されており、そこに用いられるフィルムラミネート用の接着剤としては、エポキシ樹脂系、ポリエステル樹脂系などの接着剤が知られている。
【0003】
ポリエステルフィルムラミネート缶は、通常、ポリエステルフィルムに接着剤を塗付し、加熱などにより接着剤中の溶剤を揮散させ、かつ接着剤層を硬化させない程度に乾燥させた後、コイル状に巻き取った接着剤層を有するポリエステルフィルムを、成型缶又は金属板に貼り合わせて加熱硬化又は電子線硬化することによって得ることができる。
【0004】
また、缶外面用などに使用されるポリエステルフィルムは、通常、多色印刷が施されたものが用いられるが、見栄えの点から印刷インキ層の下には一般に着色層が必要であり、通常、素材の上にホワイトコートを塗装し、その上にポリエステルフィルムがラミネートされる。そこで、ラミネート用接着剤として着色顔料、なかでもチタン白を配合したものを使用すれば、ホワイトコートを兼ねることができ、缶の製造工程を一工程省略することができるため非常に有利である。
【0005】
しかしながら接着剤に顔料を添加していくとともに接着剤としての機能が低下し、素材との密着性が低下する。また、高い圧力をかけてフィルムをラミネートしていくためにホワイト接着剤層が引き伸ばされて、色ムラとなったり、全体が黒ずんで見えるなどの問題が発生する。また、製缶後のネックイン加工成型性やコスト面からは、接着剤層はできるだけ薄膜であることが好ましい。
【0006】
本発明の目的は、ラミネート工程において色ムラなどの発生がなく、薄膜においても隠蔽力に優れたホワイト接着剤層を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、シクロヘキサン環構造を有するポリエステル樹脂とブロック化ポリイソシアネート化合物とよりなる組成物に特定量のチタン白及び必要に応じて粒子径3〜8μmのナイロン微粒子を含有させることにより、色ムラのない白色度に優れた接着剤を得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
かくして本発明は、
(A)シクロヘキサン環構造を有するジカルボン酸化合物をポリエステル樹脂を構成する酸成分中の30モル%以上含有する水酸基含有ポリエステル樹脂、
(B)ブロック化ポリイソシアネート化合物、及び
(C)平均粒子径0.20〜0.35μmのチタン白
よりなることを特徴とするポリエステルフィルムラミネート金属缶用ホワイト接着剤であって、該チタン白(C)が、ポリエステル樹脂(A)及びブロック化ポリイソシアネート化合物(B)の合計固形分量100重量部に対して120〜160重量部の範囲内で含有するものであるポリエステルフィルムラミネート金属缶用ホワイト接着剤を提供することである。
【0009】
また、本発明は、上記のホワイト接着剤を用いて金属缶の外面となる側にポリエステルフィルムをラミネートしてなることを特徴とするフィルムラミネート金属缶を提供することである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステルフィルムラミネート金属缶用ホワイト接着剤は、シクロヘキサン環構造を有するジカルボン酸化合物をポリエステル樹脂を構成する酸成分中の30モル%以上含有する水酸基含有ポリエステル樹脂(A)、ブロック化ポリイソシアネート化合物(B)、平均粒子径0.20〜0.35μmのチタン白(C)及び必要に応じて平均粒子径3〜8μmのナイロン微粒子(D)を含有してなるものである。
【0011】
水酸基含有ポリエステル樹脂(A)
本発明の接着剤の(A)成分である水酸基含有ポリエステル樹脂は、多塩基酸成分と多価アルコール成分とのエステル化物からなるものであり、該多塩基酸成分中の30モル%以上、特に40〜80モル%がシクロヘキサン環構造を有するジカルボン酸化合物であることが、ラミネート後の白色度及び隠蔽性の点から適している。
【0012】
上記シクロヘキサン環構造を有するジカルボン酸化合物としては、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸ジメチル、ヘキサヒドロテレフタル酸ジメチルなどを挙げることができるが、中でもヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸ジメチル及びヘキサヒドロテレフタル酸ジメチルが好適である。
【0013】
上記以外の多塩基酸成分としては、例えば無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、無水マレイン酸、イタコン酸、ダイマー酸などから選ばれる1種以上の二塩基酸及びこれらの酸の低級アルキルエステル化物が主として用いられ、必要に応じて安息香酸、クロトン酸、p−t−ブチル安息香酸などの一塩基酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、無水ピロメリット酸などの3価以上の多塩基酸などが併用される。
【0014】
また、多価アルコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチルペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの二価アルコールが主に用いられ、さらに必要に応じてグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールを併用することができる。これらの多価アルコールは単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。両成分のエステル化又はエステル交換反応は、それ自体既知の方法によって行うことができ、例えば、前記多塩基酸成分と多価アルコール成分とを180〜250℃程度の温度で重縮合させることによって得ることができる。
【0015】
また、前記多塩基酸成分と多価アルコール成分とから水酸基を有するポリエステルを得た後、このポリエステルの水酸基に、マレイン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸などの多塩基酸を反応させることによって樹脂中にカルボキシル基を導入したポリエステル樹脂であってもよい。
【0016】
水酸基含有ポリエステル樹脂(A)の水酸基価としては、1〜30mgKOH/g、特に3〜20mgKOH/g、数平均分子量としては、7,000〜40,000、特に12,000〜30,000の範囲内が硬化性、密着性の点から適している。
【0017】
ブロック化ポリイソシアネート化合物(B)
本発明の接着剤の(B)成分であるブロック化ポリイソシアネート化合物は、上記水酸基含有ポリエステル樹脂の硬化剤として使用するものであり、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の一部又は全てをブロック剤でブロックしてなるものである。
【0018】
上記ポリイソシアネート化合物としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの如き脂肪族ジイソシアネート類;水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートの如き環状脂肪族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートの如き芳香族ジイソシアネート類;トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、4,4′−ジメチルジフェニルメタン−2,2′,5,5′−テトライソシアネートなどの3個以上のイソシアネ−ト基を有するポリイソシアネート化合物の如き有機ポリイソシアネートそれ自体、またはこれらの各有機ポリイソシアネートと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂もしくは水等との付加物、あるいは上記した各有機ポリイソシアネート同志の環化重合体、更にはイソシアネート・ビウレット体等を挙げることができる。なかでもヘキサメチレンジイソシアネートが環化重合したイソシアヌレートが好適に使用される。
【0019】
また、ブロック剤としては、フェノール、クレゾール、キシレノールなどのフェノール系;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピオラクタムなどのラクタム系;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコールなどのアルコール系;ホルムアミドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサンオキシムなどのオキシム系;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン系などのブロック剤を挙げることができる。なかでもオキシム系ブロック剤が好適に使用される。
【0020】
ブロック化ポリイソシアネート化合物(B)の配合量は、水酸基含有ポリエステル樹脂(A)100重量部あたり1〜40重量部、好ましくは5〜35重量部の範囲内が硬化性の点から適している。
【0021】
また、ブロック化ポリイソシアネート化合物の硬化性を上げるため硬化触媒を併用することができる。該硬化触媒としては、ブロック化ポリイソシアネート化合物(B)のブロック剤の解離を促進する硬化触媒を用いることが好適であり、例えば、オクチル酸錫、、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、2−エチルヘキサン酸鉛などの有機金属触媒などを好適に使用することができる。
【0022】
なお、ブロック化されていないポリイソシアネート化合物を一部併用してもかまわない。また、ブロック化されていないポリイソシアネート化合物を硬化剤として使用して2液型とすることもできるが、経済性の面からはブロック化ポリイソシアネート化合物を使用して1液型として用いることが適している。
【0023】
チタン白(C)
本発明の接着剤の(C)成分であるチタン白は、接着剤に白色の色を付けるための白色顔料であり、チタン白の平均粒子径としては、0.20〜0.35μm、特に0.25〜0.30μmの範囲内、接着剤への添加量としては、ポリエステル樹脂(A)及びブロック化ポリイソシアネート化合物(B)の合計固形分量100重量部に対して120〜160重量部、特に125〜155重量部の範囲内が、白色度及び隠蔽性の点から好適である。
【0024】
上記平均粒子径が0.20〜0.35μmのチタン白としては、市販品として、例えばCR−95(石原産業社製、平均粒子径約0.29μm)、R−62N(堺化学社製、平均粒子径約0.26μm)、JR−805(テイカ社製、平均粒子径約0.30μm)などが挙げられる。
【0025】
ナイロン微粒子(D)
本発明の接着剤の(D)成分であるナイロン微粒子は、必要に応じて添加する成分であるが、フィルムラミネート時の接着剤の膜厚を均一にするためには効果が大きく、添加するのが好ましい。これは、フィルムに高い圧力をかけて素材にラミネートする際に、フィルムと素材間にある接着剤が押出されて膜厚の不均一な部分を生じて色ムラになることをナイロン微粒子が抑える効果による。該効果は、同様の粒径を有するナイロン以外の有機樹脂や無機粒子であっても存するが、白色度を低下させずに且つラミネート時の圧力に抗して接着剤の膜厚を維持するためには、特にナイロン粒子が適している。
【0026】
フィルムラミネート時の接着剤の膜厚を均一にするためには、ナイロン微粒子(D)の平均粒子径としては3〜8μm、特に4〜7μmの範囲内が、また、添加量としてはポリエステル樹脂(A)及びブロック化ポリイソシアネート化合物(B)の合計固形分量100重量部に対して0.1〜10重量部、特に0.3〜5重量部の範囲内が適している。
【0027】
本発明の接着剤は、さらに必要に応じて着色顔料、添加剤(ブロッキング防止剤、潤滑性付与剤、消泡剤等)、有機溶剤などを添加してもよい。
【0028】
上記ブロッキング防止剤としては、体質顔料(例えば、シリカ微粉末、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、クレーなど)、ナイロン以外の有機微粒子(ポリオレフィン微粒子、アクリル樹脂微粒子、シリコンゴム微粒子、ウレタン樹脂微粒子、フェノール樹脂微粒子、ポリ四弗化エチレン微粒子など)などを挙げることができる。
【0029】
上記潤滑性付与剤は、接着剤表面に潤滑性を付与するために配合されるものであり、接着剤を塗布した金属板貼合せ用積層フィルムをコイル状に円滑に巻き取るため、また、このコイルを解くときの接着剤層表面の傷付きを防止するためなどの目的で配合されるものである。潤滑性付与剤としては、例えば、脂肪酸エステルワックス;ポリエチレンワックスなどのポリオレフィンワックス;ラノリン、蜜ろうなどの動物系ワックス;カルナウバワックス、水ろうなどの植物系ワックス;マイクロクリスタリンワックス、シリコン系ワックス、フッ素系ワックスなどのワックス類を挙げることができる。
【0030】
更に本発明の接着剤は、必要に応じて重合性不飽和二重結合を有するオリゴマー類を添加して、電子線硬化性を付与することができる。
【0031】
上記重合性不飽和二重結合を有するオリゴマー類としては、市販品として例えばアロニックスM−305(東亜合成社製)、TEICA(第一工業製薬社製)、ライトアクリレートTMP−6EO−3A(共栄社製)等を上げることができる。
【0032】
ポリエステルフィルムラミネート金属缶の製造
本発明の接着剤は、まずポリエステルフィルム上に塗布される。接着剤の塗布は、ロールコータ方式、ダイコータ方式、グラビア方式、グラビアオフセット方式、スプレー塗装方式など、それ自体既知の塗装手段にて行われる。また、乾燥は塗布液中の溶剤を揮散させる程度であり、フィルムをコイル状に巻き取ってもブロッキングを起こさないように通常50〜180℃程度の温度で行なわれる。接着剤の塗布量は、乾燥皮膜重量として、色ムラ、隠蔽性などの点から20〜200mg/dm2、好ましくは50〜160mg/dm2の範囲内が適している。
【0033】
上記ポリエステルフィルムとしては、エステル反復単位の75〜100%がエチレンテレフタレート単位からなるものが好適である。エチレンテレフタレート単位以外のエステル単位の酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸などを挙げることができる。ポリエステルフィルムは、インキや接着剤との付着性を向上させるために、その表面にコロナ放電処理等の表面処理が施されたものであってもよく、表面処理が施されたものが好ましい。ポリエステルフィルムの膜厚は、特に限定されるものではないが、通常、5〜30μm程度の膜厚のものが好適に使用される。
【0034】
また、ポリエステルフィルムはインキ層を有していてもよい。該インキ層は、ポリエステルフィルム上に、例えばグラビア印刷法などによりインキを印刷し、必要に応じて、加熱、活性光線照射などによって溶剤の除去や硬化を行うことによって形成することができる。
【0035】
ラミネート用フィルムの製造は、上記ポリエステルフィルム上(ポリエステルフィルムがインキ層を有する場合は、通常、インキ層面上)に、接着剤を塗布、乾燥して表面粘着性のない接着剤層を形成することによって得ることができる。この乾燥された接着剤層を有するポリエステルフィルムは通常コイル状に巻き取られる。
【0036】
上記で得られたラミネート用フィルムのコイルを解いて金属板に貼合せることによりポリエステルフィルムラミネート鋼板を得ることができる。
【0037】
上記の貼合せに使用される金属板としては、例えば、熱延鋼板、冷延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、鉄−亜鉛合金メッキ鋼板、亜鉛−アルミニウム合金メッキ鋼板、ニッケル−亜鉛合金メッキ鋼板、ニッケル−錫合金メッキ鋼板、ブリキ、クロムメッキ鋼板、アルミニウムメッキ鋼板、ターンメッキ鋼板、ニッケルメッキ鋼板、ステンレススチール、ティンフリースチール、アルミニウム板、銅板、チタン板などの金属板素材;これらの金属板素材に化成処理、例えば、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化膜処理などを行った化成処理金属板を挙げることができる。また、本発明において、「金属板」としては、上記金属板素材、化成処理金属板又はプライマー塗装金属板などの平板状の金属板が、例えば缶胴などに成型加工された加工金属板も包含される。
【0038】
前記接着剤層を有するラミネート用フィルムを上記金属板表面に貼合せる条件は、ラミネート用フィルムが劣化せず、ポリエステルフィルムと金属板とが十分に接着され、良好な外観のポリエステルフィルムラミネート金属板が得られる限り特に限定されるものではない。貼合せ条件の一例として、例えば、加熱ロールを用いる方法や金属板を予熱する方法などにより熱圧着時の金属板の温度を約120〜200℃とし、短時間(通常2秒以下)で、金属板と金属板貼合せ用積層フィルムとを熱圧着してラミネートする方法を挙げることができる。平板状の金属板を用いる場合には、平板状の金属板の片面又は両面にラミネート用フィルムを加熱ラミネートすることができる。
【0039】
上記ポリエステルフィルムラミネート金属板を切断し、成形加工することにより、ポリエステルフィルムラミネート缶を得ることができるが、前記ポリエステルラミネート用フィルムを成形された缶に直接ラミネートすることによってもポリエステルフィルムラミネート缶を得ることができる。
【0040】
ポリエステルフィルムラミネート缶としては、飲料缶、食缶、雑缶、5ガロン缶などに使用される。
【0041】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、以下、「部」及び「%」はいずれも重量基準によるものとする。
【0042】
ポリエステル樹脂の合成
合成例1
ヘキサヒドロテレフタル酸40モル、イソフタル酸50モル、テレフタル酸10モル、エチレングリコール30モル、ネオペンチルグリコール30モル、1,4−ブタンジオール20モル、シクロヘキサンジメタノール20モルをポリエステル反応容器に仕込み、さらに還流用のキシレン少量を加え、250℃まで徐々に加熱し同温度に5時間保持して、脱水しながらエステル化反応を行い、数平均分子量20,000及び水酸基価4mgKOH/gのポリエステル樹脂A1を得た。
【0043】
合成例2〜10
合成例1において多塩基酸成分及び多価アルコール成分を下記表1に示す配合とする以外は合成例1と同様にしてポリエステル樹脂を合成した。なお、表1に示す配合量はモル量で示した。
【0044】
【表1】
【0045】
ホワイト接着剤の製造
実施例1〜9及び比較例1〜6
後記表2に示す配合にて各ホワイト接着剤を作成した。なお、表2における(注1)の原料は下記の内容のものである。
(注1)デュラネートTPA−B80E:旭化成社製、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリイソシアヌレート体のブロック化合物。
【0046】
試験用ラミネート板の作成
上記実施例及び比較例で得た各ホワイト接着剤を、厚さ8μm、幅100mmのPETフィルムのコロナ放電処理面に乾燥塗膜重量が100mg/dm2となるように塗装し、溶剤を蒸発乾燥してラミネート用フィルムを得た。得られた各ラミネート用フィルムの皮膜層面を190℃に予熱したティンフリースチール板と重ね、190℃の熱ロールを用いて圧力40kg/cm2、速度100m/分にて熱圧着した後、該貼合わせ金属板を190℃で10分間焼付を行ない、皮膜層を硬化させたPETラミネート金属板を得た。
【0047】
得られた各PETラミネート金属板について下記試験方法にて各種試験を行なった。その試験結果を後記表2に示す。
【0048】
試験方法
外観(色ムラ、白さ):PETラミネート金属板のPETフィルム面側の外観(色ムラ、白さ)を目視にて下記基準により評価した。
◎:色ムラ、素地感がなく均一に白い。
○:色ムラ、素地感がわずかに見られるが、均一に白い。
△:色ムラ、素地感がわずかに見られ、白さもやや不充分である。
×:色ムラ、素地感が強く、全体に黒ずんで見える。
【0049】
外観(ラミネート適性):PETラミネート金属板のPETフィルム面側の外観(気泡、皺の発生等)を目視にて下記基準により評価した。
○:気泡、皺の発生がなく良好な外観である。
△:気泡、皺の発生がわずかに見られ、やや不良である。
×:気泡、皺の発生が多く見られ、不良である。
【0050】
密着性:PETラミネート金属板を、125℃で30分間レトルト処理する前と後について、JIS K−5400 8.5.2(1990)に準じて、該PETラミネート金属板のPETフィルム面に、ナイフで金属表面に達する切れ目を入れて1mm×1mmのマス目を100個作成し、その表面にセロハン粘着テープを貼着し、瞬時に剥離したときのマス目の膜の剥離状態を下記基準により評価した。
○:全く剥離しない。
△:マス目の1〜49個の膜が剥離する。
×:マス目の50個以上の膜が剥離する。
【0051】
加工性:PETラミネート金属板をPETフィルム面に、ナイフで金属表面に達するクロスカットを入れ、切り込みの交点を裏側からエリクセン試験機を用いて6mm押し出し、押し出し部のPETフィルムの接着状態を下記基準により評価した。
○:PETフィルムが剥離しない。
×:PETフィルムがクロスカットの交点から剥離する。
【0052】
【表2】
【0053】
【発明の効果】
本発明のラミネート用フィルムはホワイトコートを兼ねた接着剤層を持ち、金属素材との密着性に優れるだけでなく、ラミネート工程において色ムラなどの発生しない、薄膜でも隠蔽力、白色度に優れたラミネート板を得ることができ、特に缶用途やキャップなどの金属蓋用途に有用なものである。
Claims (5)
- (A)シクロヘキサン環構造を有するジカルボン酸化合物をポリエステル樹脂を構成する酸成分中の30モル%以上含有する水酸基含有ポリエステル樹脂、
(B)ブロック化ポリイソシアネート化合物、及び
(C)平均粒子径0.20〜0.35μmのチタン白
よりなることを特徴とするポリエステルフィルムラミネート金属缶用ホワイト接着剤であって、該チタン白(C)が、ポリエステル樹脂(A)及びブロック化ポリイソシアネート化合物(B)の合計固形分量100重量部に対して120〜160重量部の範囲内で含有するものであるポリエステルフィルムラミネート金属缶用ホワイト接着剤。 - さらに、平均粒子径3〜8μmのナイロン微粒子(D)を、ポリエステル樹脂(A)及びブロック化ポリイソシアネート化合物(B)の合計固形分量100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲内で含有することを特徴とする、請求項1に記載のポリエステルフィルムラミネート金属缶用ホワイト接着剤。
- シクロヘキサン環構造を有するジカルボン酸化合物が、ヘキサヒドロイソフタル酸及び/又はヘキサヒドロテレフタル酸である請求項1又は2に記載のポリエステルフィルムラミネート金属缶用ホワイト接着剤。
- ポリエステル樹脂(A)の水酸基価が1〜30mgKOH/g、数平均分子量が7000〜40000の範囲内である請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリエステルフィルムラミネート金属缶用ホワイト接着剤。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載のホワイト接着剤を用いて金属缶の外面となる側にポリエステルフィルムをラミネートしてなることを特徴とするフィルムラミネート金属缶。
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JP2009173705A (ja) * | 2008-01-22 | 2009-08-06 | Kansai Paint Co Ltd | 金属缶外面用接着剤及びポリエステルフィルム貼り合せ金属板 |
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-
2002
- 2002-07-22 JP JP2002212918A patent/JP2004051841A/ja active Pending
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