JP2004050502A - 化粧シート、化粧シートの製造方法及び化粧シート積層金属板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】化粧シート積層金属板16は、金属板17上に接着剤層18、第1の熱可塑性樹脂層12、印刷インキ層13及び透明な第2の熱可塑性樹脂層15が順次積層されている。第1の熱可塑性樹脂層12はポリ塩化ビニル、オレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂のいずれかからなり、第2の熱可塑性樹脂層15は表面がエンボス加工されたポリエステル樹脂層である。第2の熱可塑性樹脂層15は、積層後のシートを昇温したときの結晶融解熱量ΔHmと、昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとの差(ΔHm−ΔHc)が5〜60J/g、かつ{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が0.2〜1である。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、化粧シート、化粧シートの製造方法及び化粧シート積層金属板に係り、特にパーティクルボード等の内装材用等の建材製品、エアコンカバー等の電化製品等に用いられる化粧シート、化粧シートの製造方法及び化粧シート積層金属板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、鋼板表面に着色や模様が施された化粧鋼板は、パーティクルボード、ユニットバス等の内装材用の建材製品や電気製品その他各種の分野で広く用いられている。このような積層金属板としては、例えば、絵柄の印刷されたポリエステルフィルムを金属の基板に積層した金属板(特公昭61−51988 号公報)、ポリ塩化ビニル被膜を被覆した金属板表面に、絵柄の印刷されたポリエステルフィルムを積層した金属板(特開昭60−174645号公報)がある。特開昭63−208627号公報には、金属板上に接着剤層、基礎熱可塑性樹脂層、印刷インキ層、接着剤層、透明な表層熱可塑性樹脂層の順に積層し、基礎熱可塑性樹脂と表層熱可塑性樹脂の溶融温度が所定の関係を有し、表層熱可塑性樹脂層の可視光線透過率を所定範囲に規定した高鮮映積層金属板が開示されている。また、特開2000−71401 号公報には、完全非晶性ポリエステル層に、接着剤層を介して透明な結晶性ポリエステル層を設け、完全非晶性ポリエステル層と接着剤層との間に印刷層を設けた積層化粧シートを、完全非晶性ポリエステル層に接着剤を塗布し鋼板に接着した化粧シート鋼板が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特開2000−71401 号公報に開示された化粧シート鋼板(積層金属板)は、表層が結晶性ポリエステル樹脂層であるために、その表面にエンボス加工を付与しようとすると、化粧シートを高温に保持して加工する必要があるなど容易ではない。
【0004】
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであって、その第1の目的はエンボス加工性に優れた化粧シートを提供することにあり、第2の目的はその製造方法を提供することにある。また、第3の目的は耐水性に優れた化粧シート積層金属板を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記第1の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、第1の熱可塑性樹脂層に印刷インキ層が積層された基材シートに、第2の熱可塑性樹脂層を積層して得られた化粧シートにおいて、前記第2の熱可塑性樹脂層がポリエステル樹脂層であって、面配向度ΔPが5×10−2以下であり、化粧シートを昇温したときの結晶融解熱量ΔHmと、昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとの差(ΔHm−ΔHc)が2J/g以上20J/g以下、かつ{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が0.1以上0.5以下である。
【0006】
この発明の化粧シートは、エンボス加工性、耐湿熱性及びラミネート性に優れている。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記第1の熱可塑性樹脂層が、ポリ塩化ビニル、オレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂のいずれかからなる。この発明では、両熱可塑性樹脂層の原料が入手し易く、取り扱いも容易で生産コストの低減が図れる。
【0007】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記第2の熱可塑性樹脂層の表面にエンボスが付与されている。この発明では、表面にエンボスが付与されているため、得られた化粧シートの意匠性が高くなる。
【0008】
第2の目的を達成するため、請求項4に記載の発明では、印刷インキ層が積層された第1の熱可塑性樹脂層の印刷層側に第2の熱可塑性樹脂層を積層すると同時に、第2の熱可塑性樹脂層の表面にエンボスを付与する。
【0009】
この発明では、第1の熱可塑性樹脂層に対して第2の熱可塑性樹脂層を積層する際に、エンボスの付与が同時に行われるため、生産性が向上するとともに、コストの低減が図れる。
【0010】
第3の目的を達成するため、請求項5に記載の発明では、第1の熱可塑性樹脂層が、ポリ塩化ビニル、オレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂のいずれかからなり、第2の熱可塑性樹脂層が表面がエンボス加工されたポリエステル樹脂層であって、積層後のシートを昇温したときの結晶融解熱量ΔHmと、昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとの差(ΔHm−ΔHc)が3より大きく50J/g以下、かつ{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が0.2より大きく1以下である化粧シートを金属板に積層した。この発明の化粧シート積層金属板は、意匠性の高い化粧シートで被覆され、かつ耐水性に優れる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施の形態を説明する。
図1(a)は本発明の化粧シートの模式図であり、図1(b)はエンボス加工が施された化粧シートの模式図であり、図1(c)は化粧シート積層金属板の模式図である。
【0012】
図1(a)に示すように、化粧シート11は、第1の熱可塑性樹脂層12に印刷インキ層13が積層された基材シート14と、基材シート14に積層された第2の熱可塑性樹脂層15とから構成されている。図1(b)に示す化粧シート11では、第2の熱可塑性樹脂層15の表面にエンボス15aが付与されている。
【0013】
第1の熱可塑性樹脂層12は、曲げ加工等の成形加工に対して良好な加工性を示すものであればよく、そのうちで特にポリ塩化ビニル、オレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、これら樹脂を無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性させた酸変性オレフィン系樹脂等が挙げられる。ポリエステル樹脂としてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。第1の熱可塑性樹脂層12の厚さは、用途に応じて0.01〜2mmの範囲で選定される。
【0014】
印刷インキ層13としては、例えば、木目、石目、天然皮革の表面柄、布目、抽象柄等を表現した絵柄印刷層や、第1の熱可塑性樹脂層12を隠蔽し、絵柄印刷層の印刷下地色を与えるものが設けられる。
【0015】
印刷層を形成するインキのベヒクルとしては、例えば、セルロース誘導体、スチレン樹脂又はスチレン共重合体、アクリル樹脂、ビニル重合体、熱硬化性樹脂が挙げられる。セルロース誘導体としては、エチルセルロース、硝酸セルロース、酢酸セルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート等が挙げられ、スチレン樹脂としてはポリスチレン、ポリα−メチルスチレン等が挙げられる。アクリル樹脂としてはポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等が挙げられ、ビニル重合体としてはポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン/尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等がある。これらに、必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤、体質顔料等を添加する。硬化剤として通常、イソシアネートが不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂に、アミンがエポキシ樹脂に、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル系樹脂によく使用される。
【0016】
印刷インキ層13は、第1の熱可塑性樹脂層12上に印刷を施すことにより形成されるが、それ以外の方法によって形成してもよい。第1の熱可塑性樹脂層12上への絵柄の印刷は、上記のようなインキを使用し、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等の既知の手法によればよい。
【0017】
インキ顔料としては、カーボンブラック、シアニンブルー等の公知の着色顔料、二酸化チタン被覆雲母等のパール顔料等を用い、絵柄や模様としては、木目柄、石目柄等の天然物柄、水玉、縞模様等の抽象柄、全面ベタあるいはこれらの組合せ等任意である。
【0018】
印刷インキ層13と他の樹脂層との密着性を改良するために、接着剤層を介在させてもよい。この層の厚さは、10〜200μmの範囲が適当である。10μmより薄いものは、表面に設けた印刷層の厚さを吸収して凹凸をなくす作用が不十分であるし、化粧板としたときの曲げ加工性がよくない。一方、200μmより厚くすることも、加工性にとり、かえって好ましくない。また、第1の熱可塑性樹脂層12を透明、着色の2層にすることなどもできる。
【0019】
表面層を形成する透明な第2の熱可塑性樹脂層15は、印刷を保護する作用をなすとともに、化粧シート11の表面にエンボス模様を設けるためのものである。高い意匠性を実現するために、この層に使用する熱可塑性樹脂は、エンボスを付与する前の状態で、ヘイズ範囲が3〜8%であることが好ましい。ヘイズ度が小さすぎると、あまりに鮮映すぎて、印刷面に僅かなキズがあってもそれが非常に目立ってしまう。一方、ヘイズ度が8%より大きいと、内部の印刷が散乱して見え、鮮映感が十分でないなどの問題がでる。ここで、ヘイズ度(Haze度)とは、透過した光のうち拡散した光の割合を示すもので、その試料を通して物を見た場合のかすむ度合いを示し、ヘイズ度が高い程かすんで見える。全光線透過率をTt、拡散透過率をTdとすると、ヘイズ度(曇度)Hは、H=(Td/Tt)×100(%)により値が求められる。
【0020】
第2の熱可塑性樹脂層15はポリエステル樹脂で形成され、所定範囲のヘイズ度を有するものであれば特に制限されないが、中でもポリエステルフィルムが好ましい。ポリエステルフィルムは、特に面配向度ΔPが5.0×10−2以下、好ましくは1.0×10−4以上1.0×10−2以下に形成されている。また、ポリエステルフィルムは、シートを昇温したときの結晶融解熱量ΔHmと、昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとの差(ΔHm−ΔHc)が2J/g以上20J/g以下、かつ{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が0.1以上0.5以下であることが好適である。
【0021】
面配向度ΔPは、フィルムの厚み方向に対する面方向の配向度を表し、通常直交3軸方向の屈折率を測定し、以下の式で算出される。
ΔP={(γ+β)/2}−α
但し、α<β<γ、αはフィルム厚さ方向の屈折率、β及びγはフィルム面に平行な直交2軸の屈折率である。
【0022】
面配向度ΔPは結晶化度や結晶配向にも依存するが、大きくはフィルム面内の分子配向に依存するものであり、つまりフィルム面内、特にフィルムの流れ方向及びそれと直交する方向の少なくとも一方の方向に対し、分子配向を増大させることにより、面配向度ΔPが増大する。面配向度ΔPを増大させる方法としては、既知のあらゆる延伸法に加え、電場や磁場を利用した分子配向法を採用することもできる。
【0023】
通常はTダイ、Iダイ、丸ダイ等から溶融押し出しを行ったシート状物又は円筒状物を冷却キャストロールや水、圧縮空気等により急冷して非晶質に近い状態で固化させた後、ロール法、テンター法、チューブラー法等により一軸又は二軸に延伸する方法が工業的には望ましい。この場合、延伸条件の適性範囲は重合体の組成や、未延伸シートの熱履歴によって異なってくるので、面配向度ΔPの値を見ながら適宜決められる。
【0024】
面配向度ΔPを1.0×10−4以上とすることで、耐衝撃性が顕著に改良されるとともに、無配向シートが高温高湿雰囲気下にさらされた時に生じる、主に球晶成長に起因する脆化や白化を防止することができる。なお、面配向度ΔPの上限は5.0×10−2であり、これより面配向度ΔPを高めると、シート(フィルム)の表面へのエンボス付与性が困難となる。逆に、それより低いとエンボス付与性は容易であるが、耐熱性がない、耐衝撃性に劣る等の問題が出てくる。
【0025】
面配向度ΔPを5.0×10−2以下の範囲にすることにより、上述した効果が得られるが、その一方、シートの耐湿性、耐熱性が不良となり易い。例えば、化粧シート11の表面にエンボスを付与できたとしても、耐湿性、耐熱性が劣る等の問題、あるいは、第1の熱可塑性樹脂層を形成するためのフィルムに第2の熱可塑性樹脂層を形成するフィルムを熱融着によりラミネートすることが困難になる等の問題が出てくる。このため、実用的な耐湿性、耐熱性を得るために、シートを昇温したときの結晶融解熱量ΔHmと、昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとの差(ΔHm−ΔHc)を20J/g以下、かつ{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}を0.5以下に制御することが重要である。
【0026】
結晶融解熱量ΔHm、結晶化熱量ΔHcは、シートサンプルの示差走査熱量測定(DSC)により求められるもので、結晶融解熱量ΔHmは昇温速度10℃/分で昇温したときの全結晶を融解させるのに必要な熱量であって、樹脂の結晶融点付近に現れる結晶融解による吸熱ピークの面積から求められる。また、結晶化熱量ΔHcは、昇温過程で生じる結晶化の際に発生する発熱ピークの面積から求められる。
【0027】
結晶融解熱量ΔHmは、主に樹脂そのものの結晶性に依存し、結晶性が大きい樹脂では大きな値をとる。結晶化熱量ΔHcは、樹脂の結晶性に対するその時のシートの結晶化度に関係する指標であり、結晶化熱量ΔHcが大きいときには、昇温過程でシートの結晶化が進行する。即ち、樹脂が有する結晶性を基準にシートの結晶化度が相対的に低かったことを表す。逆に、結晶化熱量ΔHcが小さい時は、樹脂が有する結晶性を基準にシートの結晶化度が相対的に高かったことを表す。
【0028】
結晶化熱量ΔHcを上げるためには、即ちシートの結晶化度を低めるためには、シートの成形加工条件を選定する必要がある。成形加工工程においてシートの結晶化度を下げるためには、面配向度ΔPが大きいほど結晶化温度が低下する傾向があるので、熱処理温度が低いほど、また熱処理時間が短いほど低くなる。
【0029】
(ΔHm−ΔHc)を所定の範囲に調整するためには、例えば、結晶性の高い原料に結晶性の低い原料をブレンドすればよく、本発明においては、第2の熱可塑性樹脂層がポリエステル樹脂で形成されるので、結晶性の高いポリエステル樹脂に結晶性の低いポリエステル樹脂をブレンドすることが好ましい。
【0030】
ここで、結晶性の高いポリエステル樹脂としては、ジカルボン酸とジオールの縮重合で得られる線状熱可塑性ポリエステルが挙げられる。前記線状熱可塑性ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート及びポリエチレン−2,6−ナフタレートで代表されるものである。ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の単独物又は混合物が挙げられる。ジオール成分としては、エチレングリコール、ブタンジオール、デカンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の単独物又は混合物が挙げられる。2種以上のジカルボン酸成分やジオール成分による共重合体や、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の他のモノマーやポリマーとの共重合体であってもよい。
【0031】
結晶性の低いポリエステル樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレートのシクロヘキサンジメタノール共重合体、ポリエチレンテレフタレートのアルキレンジオール共重合体、ポリエチレンテレフタレートのイソフタル酸共重合体が挙げられる。
【0032】
この第2の熱可塑性樹脂層を形成するポリエステルフィルムには、公知の添加剤を必要に応じて含有させることができる。例えば滑剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐光剤、耐衝撃性改良剤等を含有させてもよい。
【0033】
なお、このポリエステルフィルムの厚さは5〜200μmの範囲が適当である。5μmに足らない薄いものは、印刷の深み感に乏しく、かつ鮮映度が不足する。一方、200μmを超える厚いものは、曲げ加工が困難になるし、コスト的にも不利である。印刷適性の向上や第1の熱可塑性樹脂層との積層を容易とするために、表面フィルムをコロナ処理したり、易接着処理を施しておいてもよい。また、ヘイズ度を前記の範囲から逸脱させない範囲内で、透明な顔料、染料等を添加してもよい。
【0034】
また、本発明の積層金属板及び化粧シートの透明な第2の熱可塑性樹脂層の表面に前記のヘイズ度の範囲を逸脱しない範囲で、公知の各種ハードコート層を設けてもよい。例えば、電子線又は紫外線硬化型のポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート等のハードコート塗料を用いる。
【0035】
次に本発明の化粧シート11の製造方法を説明する。第1の熱可塑性樹脂層12の上に印刷を施し、表面に印刷インキ層13が形成された基材シート14を作製する。この基材シート14の印刷インキ層13側の面と、第2の熱可塑性樹脂層15としてのシート(フィルム)とを重ね合わせ、互いに2本の加圧ロール間に通して加熱しながら加圧することにより、両シートを融着して一枚の化粧シート11を作る。このときに、圧接するロールとして表面をエンボス加工したエンボスロールを用いることにより、貼合わせと、表面のエンボス加工とを同時に行うことができる。貼合わせ時のフィルム温度は、化粧シート11のエンボス深さ等を考慮しながら、適宜選択すればよい。
【0036】
図1(c)は、化粧シート積層金属板の模式断面図である。化粧シート積層金属板16は、金属板17上に接着剤層18、第1の熱可塑性樹脂層12、印刷インキ層13及び透明な第2の熱可塑性樹脂層15が順次積層されている。即ち、化粧シート積層金属板16は、図1(b)に示す構成の化粧シート11が接着剤層18を介して金属板17の上に積層されている。
【0037】
金属板17としては、例えば、軟鋼板、電鋳鉄箔、アルミニウム板、銅板、ステンレス板や、それらに亜鉛、スズ、鉛、アルミニウム、銅、クロム、ニッケルの1種又は2種以上をメッキしたものを用いることができる。
【0038】
上記金属板17と上記第1の熱可塑性樹脂層12との間及び第1の熱可塑性樹脂層12と印刷インキ層13との間の少なくとも一方に、必要に応じて接着剤層を設けることもできる。このような接着剤層を設けることにより、各層間の密着性がより確実なものとなる。
【0039】
ここで使用することができる接着剤としては各種のものがある。例えば、熱硬化性樹脂に必要に応じて架橋剤、重合開始剤、重合促進剤等を添加したもの、熱可塑性樹脂、ゴム、天然樹脂等の1種又は2種以上の混合体を主成分とし、必要に応じ、これに公知の充填剤、顔料、染料、安定剤、溶剤、可塑剤等を添加したものを接着剤として使用することができる。
【0040】
熱硬化性樹脂としては、フェノール系樹脂、フラン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂がある。架橋剤としてはイソシアネート、アミン等があり、重合開始剤としてはメチルエチルケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等があり、重合促進剤としてはナフテン酸コバルト、ジメチルアニリン等がある。熱可塑性樹脂としては、ビニル重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、硝酸繊維素、酢酸繊維素、ポリアミド、アイオノマー等がある。ビニル重合体としては、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/ビニルアルコール共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等がある。ゴムとしてはブタジエン−アクリロニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等があり、天然樹脂としては膠、カゼイン、デキストリン、澱粉、アラビアゴム、ロジン等がある。
【0041】
これらの接着剤の硬化方式としては、溶剤乾燥型、エマルジョン型、熱溶融固化型、熱硬化型等適宜な方式を選定することができる。
また、化粧シート11の第2の熱可塑性樹脂層15は、シートを昇温したときの結晶融解熱量ΔHmと、結晶化熱量ΔHcとの差(ΔHm−ΔHc)が3J/gより大きく50J/g以下、かつ{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が0.2より大きく1以下であるポリエステル樹脂層である必要がある。また、{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が0.3より大きく0.9以下であるのが好ましい。なぜならば、(ΔHm−ΔHc)が50J/gより大きく、かつ{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が1より大きくになると、化粧シート積層金属板16の加工性が大きく低下する。また、(ΔHm−ΔHc)が3J/g以下で、{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が0.2以下になると、化粧シート積層金属板16の耐水性、耐熱性が著しく低下するためである。
【0042】
(実施例)
以下、実施例及び比較例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例及び比較例に示した化粧シート、化粧シート積層金属板の物性の測定規格、試験法は以下の通りである。
【0043】
[面配向度ΔP]
アッベ屈折計によって直交3軸方向の屈折率(α、β、γ)を測定し、次式で算出した。
【0044】
ΔP={(γ+β)/2}−α (α<β<γ)
γ:フィルム面内の最大屈折率
β:それに直交するフィルム面内方向の屈折率
α:フィルム厚さ方向の屈折率
[(ΔHm−ΔHc)及び(ΔHm−ΔHc)/ΔHm]
パーキンエルマー製DSC−7を用いて、フィルムサンプル10mgをJIS−K7122に基づいて、昇温速度を10℃/分で昇温したときのサーモグラムから結晶融解熱量ΔHmと、結晶化熱量ΔHcとを求め、それらの値を使用してそれぞれ算出した。また、鋼板に積層したものに関しては、フィルムを鋼板から剥がした後に、上記と同様にして測定し、算出した。
【0045】
[シートエンボス性]
予め表面にコロナ処理を施した厚み80μmの第1の熱可塑性樹脂フィルムの表面に塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体系のインキを用いて、絵柄をグラビア印刷した。このフィルムと所定の厚さ50μmのポリエステル樹脂フィルムを連続して走行させながら、100℃に加熱した金属製ロールに接触させて予備加熱した。引き続いて予熱したシートを赤外線ヒーターにより、シート温度が180℃になるように加熱し、表面に彫刻加工を施した金属ロールを当接させると同時に熱圧着した(温度=100℃、線圧=5Kg/cm)。得られた化粧シート表面と、彫刻加工した金属ロール表面の状態とを比較し、十分にエンボスが付与されているものを「〇」、付与が浅いものを「×」と評価した。
【0046】
なお、第1の熱可塑性樹脂フィルムがPP(ポリプロピレン)若しくはPBT(ポリブチレンテレフタレート)フィルムから成る場合には、表面にニトロセルロース系のインキを用いて、絵柄をグラビア印刷した後に、所定の厚さ50μmのポリエステル樹脂フィルムをウレタン系接着剤によりドライラミネートした。
【0047】
得られた化粧シート11を上記と同様にして、連続して走行させながら、100℃に加熱した金属製ロールに接触させて予備加熱した。引き続いて予熱したシートを赤外線ヒーターにより、シート温度が180℃になるように加熱し、表面に彫刻加工を施した金属ロールを当接させると同時に熱圧着した(温度=100℃、線圧=5Kg/cm)。得られた化粧シート表面と、彫刻加工した金属ロール表面の状態とを比較し、十分にエンボスが付与されているものを「〇」、付与が浅いものを「×」と評価した。
【0048】
[シート耐湿熱性]
前記シートエンボス性評価用として得られたシートを、60℃×80%RHの条件下に30日間、恒温恒湿槽内に放置した後、シートの白化を目視で判定した。「×」は使用に耐えないレベルを示し、「△」は「×」より良いが実用レベルを満たしていないレベルを示し、「〇」は実用レベル以上のレベルを示す。
【0049】
[ラミネート性]
表面にウレタン系接着剤が乾燥後で5μmとなるように塗布した溶融亜鉛メッキ鋼板(亜鉛目付け量120g/m2)厚さ0.45mmを230℃で焼き付け、前記シート耐湿熱性評価で用いたシートをラミネートした。得られた化粧シート積層金属板の外観を目視観察し、実用上問題のないものを「〇」、実用上問題のあるものを「×」と評価した。
【0050】
[実施例1〜実施例3、比較例1〜比較例4]
<積層用シートの調整>
表1に示す割合からなるポリエステル樹脂をブレンダーで混合した後、得られた混合物を、先端にTダイを装備した二軸混練押出機を使用し、シリンダー温度を240〜270℃の範囲で押し出して、厚さ50μmの透明フィルムを得た。このフィルムのヘイズ度、(ΔHm−ΔHc)、(ΔHm−ΔHc)/ΔHmを表1に示す。
【0051】
続いて、上述した方法により、このフィルムにエンボス加工を行うと同時に基材樹脂フィルムとを積層し、化粧シートを得た。この化粧シートを60℃×80%RH下で保管することで耐湿熱性を評価した。その後、この化粧シートを溶融亜鉛メッキ鋼板にラミネートし、そのラミネート性を評価した。
【0052】
[実施例4〜実施例7、比較例5〜比較例7]
第1の熱可塑性樹脂フィルムにPBTフィルムを使用して、前記各実施例及び各比較例と同様の方法で表2に示す化粧シートを得た。溶融亜鉛メッキ鋼板(亜鉛目付け量120g/m2)の表面にウレタン系接着剤を乾燥後の厚みが5μmとなるように塗布し、230℃で焼き付けた後に、表2に示すシートをラミネートした。得られた化粧シート積層金属板を沸騰水中に5時間浸漬した。その後、シート表面に5mm間隔の井形を入れた後に、JIS−K7121で規定されるエリクセン試験装置を用いて、シート積層側が凸部となるように張り出し加工を行った。その際に、シートの剥がれが認められたものを「×」、シートの剥がれ等の異常のないものを「〇」と評価した。
【0053】
各実施例及び比較例の評価結果等を表1〜表3に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
なお、表1〜表3に示す各原料は以下の通りである。
・塩ビ
理研ビニル(株)製 BS12 厚さ 100μm
・PBT ホモ・ポリブチレンテレフタレート
ノバデュール5024S:三菱エンジニアリングプラスチック(株)製
厚さ 80μm
・PP ポリプロピレン
ノバテックPP EG7F:日本ポリケム(株)製
(ガラス転移点;45[℃]、結晶融解ピーク温度;223[℃])
・PETG ポリエチレンテレフタレートのエチレングリコール部分の約31%を1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換した非晶性ポリエステル系樹脂イースター6763:イーストマンケミカル(株)製
・PET ポリエチレンテレフタレート
表1及び表2から明らかに、ポリ塩化ビニル、PBTのいずれかからなる第1の熱可塑性樹脂層12に印刷インキ層13が積層されたシートに、第2の熱可塑性樹脂層15を積層して得られ、請求項1の要件を満たす実施例1及び実施例2の化粧シート11は、エンボス性、耐湿熱性、ラミネート性を満足す。即ち、第2の熱可塑性樹脂層15がポリエステル樹脂層であって、面配向度ΔPが5.0×10−2以下、(ΔHm−ΔHc)が2J/g以上、20J/g以下、かつ{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が0.1以上、0.5以下であれば、エンボス性、耐湿熱性、ラミネート性が良好となる。
【0057】
第1の熱可塑性樹脂層12がポリプロピレンからなり、面配向度ΔP、(ΔHm−ΔHc)及び{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が請求項1の要件を満たす実施例3に関しては、耐湿熱性、ラミネート性は良好で、エンボス性はややエンボスの入り方が浅いものの実用上問題のないレベルのものであった。
【0058】
面配向度ΔPが5.0×10−2より大きく、(ΔHm−ΔHc)が20J/gより大きく、かつ{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が0.5より大きく、いずれの値も請求項1の要件を満たさない比較例1では、エンボス性が劣り、実用レベルに達しなかった。また、面配向度ΔPが5.0×10−2以下と請求項1の要件を満たしても、(ΔHm−ΔHc)が20J/gより大きく、かつ{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が0.5より大きく、両者の値が請求項1の要件を満たさない比較例4でも、エンボス性が劣り、実用レベルに達しなかった。
【0059】
面配向度ΔPが5.0×10−2以下と請求項1の要件を満たしても、(ΔHm−ΔHc)及び{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が請求項1の範囲を満たさない比較例2では、エンボス性は満足するものの、耐湿熱性に劣るものであった。
【0060】
第2の熱可塑性樹脂層が非晶性のポリエステル樹脂(PETG)のみで形成された比較例3の場合は、エンボス性、耐湿熱性を満足するものの、ラミネート時にエンボスが消失する等の、外観不良を起こす等、ラミネート性に問題があった。
【0061】
また、表3から明らかに、第1の熱可塑性樹脂層12にPBTフィルムを使用し、第2の熱可塑性樹脂層15の結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂との割合を変えた場合、(ΔHm−ΔHc)及び(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が請求項5の要件を満たす実施例4〜7は、耐水性が良好であった。
【0062】
表3から、第1の熱可塑性樹脂層12にPBTフィルムを使用し、第2の熱可塑性樹脂層15の結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂との割合を変えた場合、結晶性ポリエステル樹脂(PBT)を25%以上とすれば、耐水性が良好な化粧シート積層金属板16が得られることが分かる。
【0063】
一方、(ΔHm−ΔHc)及び{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が請求項5の要件を満たさない比較例5〜7の化粧シート積層金属板は、シート積層後の耐水性に問題があった。
【0064】
この実施の形態では以下の効果を有する。
(1) 第1の熱可塑性樹脂層12に印刷インキ層13が積層された基材シート14に、第2の熱可塑性樹脂層15を積層して得られた化粧シート11において、第2の熱可塑性樹脂層15が以下の要件を有するポリエステル樹脂層で形成されている。面配向度ΔPが5×10−2以下であり、化粧シートを昇温したときの結晶融解熱量ΔHmと、昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとの差(ΔHm−ΔHc)が2J/g以上20J/g以下、かつ{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が0.1以上0.5以下である。従って、この化粧シート11は、エンボス加工性、耐湿熱性及びラミネート性に優れている。
【0065】
(2) 第1の熱可塑性樹脂層12を、ポリ塩化ビニル、オレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂のいずれかで形成した場合、熱可塑性樹脂層の原料が入手し易く、取り扱いも容易で生産コストの低減が図れる。
【0066】
(3) 第2の熱可塑性樹脂層15の表面にエンボス15aを付与した場合、得られた化粧シート11の意匠性が高くなる。
(4) 印刷インキ層13が形成された第1の熱可塑性樹脂層12の印刷層側に第2の熱可塑性樹脂層15を積層すると同時に、第2の熱可塑性樹脂層15の表面にエンボス15aを付与するようにして化粧シート11を製造すれば、両熱可塑性樹脂層12,15の積層の際に、エンボスの付与が同時に行われる。従って、生産性が向上するとともに、コストの低減が図れる。
【0067】
(5) 化粧シート積層金属板16は、金属板17上に接着剤層18、第1の熱可塑性樹脂層12、印刷インキ層13及び透明な第2の熱可塑性樹脂層15が順次積層されている。第1の熱可塑性樹脂層12はポリ塩化ビニル、オレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂のいずれかからなり、第2の熱可塑性樹脂層15はポリエステル樹脂で形成されている。第2の熱可塑性樹脂層15は、積層後のシートを昇温したときの結晶融解熱量ΔHmと、昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとの差(ΔHm−ΔHc)が3〜50J/g、かつ{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が0.2〜1である。従って、この化粧シート積層金属板16は、意匠性の高い化粧シートを得るためのエンボス加工が容易で耐水性に優れる。
【0068】
(6) 化粧シート積層金属板16を製造する際、第1の熱可塑性樹脂層12をPBTフィルムで形成し、第2の熱可塑性樹脂層15を結晶性ポリエステル樹脂(PBT)と非晶性ポリエステル樹脂(PETG)とのブレンド物としPBTを25%以上とすれば、耐水性が良好な化粧シート積層金属板16が得られる。
【0069】
実施の形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
〇 第2の熱可塑性樹脂層15にエンボス15aが付与された化粧シート11の製造方法は、第1の熱可塑性樹脂層12に第2の熱可塑性樹脂層15を積層する際に同時にエンボス付与を行う方法に限らない。例えば、両熱可塑性樹脂層12,15が積層された化粧シート11を作製した後、該化粧シート11に一般的なエンボス付与機を用いてエンボス付与を行ってもよい。
【0070】
○ 第2の熱可塑性樹脂層15の表面にエンボス15aが付与された化粧シート11が積層された化粧シート積層金属板16を製造する方法とし、エンボス15aが付与されていない化粧シート11を金属板17に積層した後、エンボスを付与するようにしてもよい。
【0071】
○ 結晶性ポリエステル樹脂としてPBTに代えてホモ・ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)樹脂を使用してもよい。この場合も、PBTを使用した場合とほぼ同様な効果が得られる。
【0072】
○ 化粧シート11は金属板17に接着剤を介して積層して化粧シート積層金属板16を形成する用途に限らず、木質板、合板等の基材に積層して使用してもよい。
【0073】
前記実施の形態から把握される発明(技術的思想)について、以下に記載する。
(1) 請求項1又は請求項3に記載の発明において、前記第1の熱可塑性樹脂層はポリブチレンテレフタレートで形成され、第2の熱可塑性樹脂層は結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂とのブレンド物で形成されている。
【0074】
(2) 技術的思想(1)に記載の発明において、前記結晶性ポリエステル樹脂はポリブチレンテレフタレートであり、非晶性ポリエステル樹脂はその厚みが1〜10μmである。
【0075】
【発明の効果】
以上、詳述したように、請求項1〜請求項3に記載の発明によれば、エンボス加工性、耐湿熱性及びラミネート性に優れている。請求項4に記載の発明によれば、生産性が向上するとともに、コストの低減が図れる。請求項5に記載の発明によれば、意匠性の高い化粧シートを得るためのエンボス加工が容易で耐水性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b)は化粧シートの模式図、(c)は化粧シート積層金属板の模式図。
【符号の説明】
11…化粧シート、12…第1の熱可塑性樹脂層、13…印刷インキ層、14…基材シート、15…第2の熱可塑性樹脂層、15a…エンボス、17…金属板、16…化粧シート積層金属板。
Claims (5)
- 第1の熱可塑性樹脂層に印刷インキ層が積層された基材シートに、第2の熱可塑性樹脂層を積層して得られた化粧シートにおいて、前記第2の熱可塑性樹脂層がポリエステル樹脂層であって、面配向度ΔPが5×10−2以下であり、化粧シートを昇温したときの結晶融解熱量ΔHmと、昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとの差(ΔHm−ΔHc)が2J/g以上20J/g以下、かつ{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が0.1以上0.5以下であることを特徴とする化粧シート。
- 前記第1の熱可塑性樹脂層が、ポリ塩化ビニル、オレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂のいずれかからなる請求項1に記載の化粧シート。
- 前記第2の熱可塑性樹脂層の表面にエンボスが付与されている請求項1又は請求項2に記載の化粧シート。
- 印刷インキ層が積層された第1の熱可塑性樹脂層の印刷層側に第2の熱可塑性樹脂層を積層すると同時に、前記第2の熱可塑性樹脂層の表面にエンボスを付与することを特徴とする化粧シートの製造方法。
- 第1の熱可塑性樹脂層が、ポリ塩化ビニル、オレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂のいずれかからなり、第2の熱可塑性樹脂層が表面がエンボス加工されたポリエステル樹脂層であって、積層後のシートを昇温したときの結晶融解熱量ΔHmと、昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとの差(ΔHm−ΔHc)が3より大きく50J/g以下、かつ{(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}が0.2より大きく1以下である化粧シートを金属板に積層したことを特徴とする化粧シート積層金属板。
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