JP2004050495A - 不燃性パネルおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】イソシアネートとポリオールを主原料とし、該主原料を触媒および発泡剤の存在下で反応させて成形されるポリウレタンフォーム成形体の両面に不燃性ボードが具備された不燃性パネルであって、赤外吸収スペクトル分析した際に、該ポリウレタンフォーム成形体の表皮部におけるイソシアヌレート環の吸収ピーク面積S1とベンゼン環の吸収ピーク面積S2との比S1/S2をAとし、前記ポリウレタンフォーム成形体の中央部におけるイソシアヌレート環の吸収ピーク面積C1とベンゼン環の吸収ピーク面積C2との比C1/C2をBとしたとき、AとBとの比A/Bが0.4以上であることを特徴とする不燃性パネル。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物、冷凍・冷蔵庫、保温・加熱室、暖・冷房室等の内外装材として使用される不燃性に優れた発泡硬質パネルおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
建築物、冷凍・冷蔵庫、保温・加熱、暖・冷房室等の内外装材には、軽量で断熱性の優れた硬質ポリウレタンフォーム成形体の両面に不燃性ボードを備えた不燃性パネルが使用されている。該不燃性パネルは、不燃性ボードを介して成形型内でイソシアネートとポリオールを、触媒および発泡剤の存在下でウレタン反応およびイソシアヌレート環形成反応させ、微細気泡を多数形成してポリウレタンフォーム化して製造されている。近時防火安全性向上の要求から、従前の前記不燃性パネルにおいても同様の安全性が要求され、性能評価機関の定めた性能試験、評価方法で合格することが望まれている。
【0003】
たとえばポリウレタンフォーム成形体の両面に、不燃性および断熱性を改良したボードを備えたサンドウィッチパネルが提案されているが、本質的な改善ではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、不燃性を高めたポリウレタンフォーム不燃性パネルおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、ポリウレタンフォーム成形体の不燃性向上を検討した結果、成形型の温度条件を高温にした場合は、該成形体の表皮を含めた表層部においても不燃性の向上が見られ、不燃性の高いポリウレタンフォームパネルが得られるとの知見を得て、本発明を完成したものである。
【0006】
即ち、第1の発明は、イソシアネートとポリオールを主原料とし、該主原料を触媒および発泡剤の存在下で反応させて成形されるポリウレタンフォーム成形体の両面に不燃性ボードが具備された不燃性パネルであって、赤外吸収スペクトル分析した際に、該ポリウレタンフォーム成形体の表皮部におけるイソシアヌレート環の吸収ピーク面積S1とベンゼン環の吸収ピーク面積S2との比S1/S2をAとし、前記ポリウレタンフォーム成形体の中央部におけるイソシアヌレート環の吸収ピーク面積C1とベンゼン環の吸収ピーク面積C2との比C1/C2をBとしたとき、前記Aと該Bとの比A/Bが0.4以上であることを特徴とする不燃性パネルである。
【0007】
ポリウレタンフォーム成形体のイソシアヌレート環の存在量を、成形体表皮において従来品よりも多くすることによって、成形体外部の熱源からの加熱によっても発火し難く、不燃性の高い成形体が得られる。
【0008】
前記成形体のイソシアネートインデックスを250以上とすることで不燃性パネルの不燃性が確実なものになる。
【0009】
第2の発明は、成形型内でイソシアネートとポリオールを主原料とし、該主原料を触媒および発泡剤の存在下で反応させてポリウレタンフォーム成形体の両面にボードが具備された不燃性パネルを製造するに際して、前記成形型の温度を70℃以上の温度に加熱した状態で前記反応を行わしめることを特徴とする不燃性パネルの製造方法である。
【0010】
成形型の温度を70℃以上の温度状態でイソシアネートとポリオールを反応させることによって、成形体表面層のイソシアヌレート環形成反応を促進せしめ、以って不燃性の高いポリウレタンフォームパネルを得ることができる。
【0011】
前記出発原料のイソシアネートインデックスを250以上とすることで不燃性の確実な不燃性パネルを製造することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に係る不燃性ポリウレタンフォームパネルの構成について説明する。
【0013】
イソシアネートは、ポリオールの存在下でウレタン反応を進行させ、同時にイソシアヌレート環を形成して硬質なポリウレタンを得るためのものである。
【0014】
イソシアネートとしては、ポリウレタンの技術分野において公知のポリイソシアネート化合物がいずれも使用可能であり、芳香族ポリイソシアネート化合物、脂肪族並びに脂環族ポリイソシアネートに分類されるものが例示できるが、コスト的要請、硬質ポリウレタンフォームの物理的特性、難燃性の観点より芳香族ポリイソシアネート化合物の使用が好適である。芳香族ポリイソシアネート化合物としては、具体的に以下のものが例示され、これらは市販されている。
【0015】
即ち、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、クルードMDI(c−MDI)(44V−10,44V−20等(バイエル社製)等)、ウレトンイミン含有MDI(液状MDI)(アイソネート143L)(ダウケミカル社製)、カルボジイミド含有MDI(ミリオネートMTL;日本ポリウレタン工業製)等が例示される。これらのうち、前述の理由より粗MDIを用いるのが好ましい。また、脂肪族並びに脂環族ポリイソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)などが挙げられる。
【0016】
ポリオールは、イソシアネートの存在下でウレタン反応を進行させポリウレタンを得るためのものである。ポリオールとしては、芳香族系ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールが使用されると共に、その他の各種ポリオールを必要に応じて使用することができる。
【0017】
用いられる触媒としては、例えばN,N,N’,N’,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、N,N,N’,N’−ヘキサメチルエチレンジアミン、DBU、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル等のアミン触媒、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫等の金属系触媒がウレタン化反応触媒として例示される。また、イソシアヌレート結合を形成する触媒としては、酢酸カリウム、オクチル酸カリウムが例示でき、上述のアミン触媒の中にもイソシアヌレート環形成反応をも促進するものがある。本発明では、イソシアヌレート結合生成を促進する触媒とウレタン結合生成を促進する触媒を併用することが好ましい。
【0018】
触媒の使用量(併用の場合は合計量)は、ポリオール成分100重量部に対して、0.001〜5重量部が好ましい。
【0019】
発泡剤としては、ポリウレタン用の発泡剤として公知の発泡剤はいずれも使用可能であり、HCFC−141b、HFC−365mfc、HFC−245fa、HCFC−22、HFC−134a等のフロン系等のフロン系発泡剤、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素、低沸点炭化水素(シクロペンタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ブタン等)、水等が例示される。中でも、水とHCFC−141bとの併用が好ましい。発泡剤の使用量は、水の場合、ポリオール成分100重量部に対し0〜3重量部が好ましく、1〜2重量部がより好ましい。その他の発泡剤の場合、ポリオール成分100重量部に対し0〜60重量部が好ましい。
【0020】
塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素、低沸点炭化水素、水等が好ましいが、単味でなく、他の発泡剤と併用することも各種サイズの気泡が発生し好ましいことである。
【0021】
その他更に整泡剤、難燃剤、可塑剤、着色剤、酸化防止剤等のポリウレタンフォーム成形分野で使用される添加剤が本発明の効果を損ねない範囲で添加されている。
【0022】
整泡剤としては、各種界面活性剤が使用できるか、ポリシロキサンにオキシアルキレンが付加したシリコーン系界面活性剤が特に好ましい。
【0023】
難燃剤としては、ハロゲン含有化合物、有機リン酸エステル類、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム等の金属化合物メタロセン類、金属アセチルアセトネート類、8−オキシキノリン金属錯体類、ジメチルグリオキシム金属錯体類等が例示される。
【0024】
ところでイソシアネートとポリオールの反応は、イソシアネートのイソシアネート基(−N=C=O)とポリオールの水酸基(−OH)が主として反応に関与し、骨格となるベンゼン環は反応に関与しない。従って、成形体のどの部分においてもベンゼン環の量は不変である。
【0025】
そこで赤外吸収スペクトル分析法において、各部位の吸光度グラフにおけるイソシアヌレート環とベンゼン環の吸収ピーク面積比を計算し、各部位間でこの吸収ピーク面積比の比を計算すれば、測定における日間、時間、サンプル量等の変動が消去され、イソシアヌレート環の各部位間の含有量比が得られる。即ち、成形体の表皮部におけるイソシアヌレート環およびベンゼン環について赤外吸収スペクトル分析法で各々吸収ピーク面積S1およびS2を測定し、それらの面積比S1/S2をAとし、一方で成形体の中央部におけるイソシアヌレート環およびベンゼン環について赤外吸収スペクトル分析法で各々吸収ピーク面積C1およびC2を測定し、それらの面積比C1/C2をBとして、AとBの比A/Bを計算すれば、A/Bの値は、成形体の表皮部におけるイソシアヌレート環の量に対する中央部におけるイソシアヌレート環の量の存在倍数を示すこととなる。
【0026】
即ち本発明においては、ポリウレタンフォーム成形体の両面に、不燃性ボードが具備されたパネルにおける成形体のA/Bの値を0.4以上とすることによって、成形体そのものに不燃性を付与し、性能評価機関の定めた性能試験、評価方法に合格する不燃性ポリウレタンフォームパネルとなる。好ましくはA/Bは0.5以上、更に好ましくは順次0.6、0.7、0.8以上である。
【0027】
本発明に係わるポリウレタンフォーム成形体はイソシアネートとポリオールを主原料とするものであるが、該主原料のイソシアネートインデックスを250以上とすると、十分な量のイソシアヌレート環が成形体表皮部においても存在し、不燃性を一層向上させることができる。
【0028】
このような本発明に係わる前記成形体は加熱炉内で発泡成形してもよく、また以下に説明する成形型を加熱して発泡成形しても得られる。
【0029】
従来の不燃性ポリウレタンフォームパネルは、前記したように発泡成形後の成形体の両面に不燃性の改善されたボードを貼り付けていたが、しかしながらこのような方法は本質的な改善ではない。
【0030】
そこで本発明に係る不燃性パネルは、前記の主原料を前記の触媒および発泡剤の存在下において、成形型内で反応させて発泡成形させる際に、該成形型の温度を70℃以上として反応および養生させると、成形型面に接する成形体表皮部においてもイソシアヌレート環形成反応が促進し、前記のA/Bの値が0.4以上の成形体が得られ、成形体の不燃性を向上させることができる。また前記成形型の温度を80℃以上とすれば更に前記イソシアヌレート環形成反応が促進し易く、前記のA/Bの値が0.6以上の成形体が得られ易くなる。反応乃至養生時間は30分間で十分であり、以後は脱型して差し支えない。
【0031】
ここでイソシアネート、ポリオール、触媒および発泡剤は前記の如きものであるが、まずイソシアネートの使用量は、イソシアヌレート環形成反応と不燃性の観点から、ポリオールとの混合物において、該混合物の平均値として、イソシアネートインデックス(イソシアネート基の当量/酸化物の当量)で250以上が好ましい。250以上あれば成形型の温度と相俟って十分な量のイソシアヌレート環の形成が確実に行なわれると共に、硬質な成形体が得られる。250未満では、成形型温度との関係もあるが、不燃性のものが得難くなり用途が限定される傾向にある。イソシアネートインデックスは大きい値のものが良く、好ましくは300以上である。更に好ましくは350以上である。上限は特に限定するものではないが、500を超えるとフォーム成形体が硬質脆化したり、養生時間が長くなる傾向がある。
【0032】
ポリオールの使用量は、前記イソシアネートインデックスを考慮して前記イソシアネートの使用量から換算される範囲のものとして計算される。
【0033】
触媒の使用量は、種類により最適量を実験から定めるものであるが、目安としては触媒使用合計量として使用ポリオール量100重量部に対して、0.005〜5重量部が好ましい。
【0034】
発泡剤の使用量は、発泡剤の種類によって異なるが、概略値として、水の場合はポリオール100重量部に対して0.1〜6重量部、その他の発泡剤の場合はポリオール100重量部に対して2〜70重量部である。
【0035】
その他、更に整泡剤、難燃剤、可塑剤、着色剤、酸化防止剤等のポリウレタンフォーム成形分野で使用される添加剤は、本発明の効果を損ねない範囲で添加することができる。
【0036】
上述したこれらの原料および添加剤を攪拌し、成形型内に注入発泡させる。
【0037】
ポリウレタンフォームを芯材として不燃性ボードを両面に具備するサンドイッチ状の成形体パネルとするには、発泡成形後に成形体両面に不燃性ボードを不燃性接着剤で貼り付けてもよいが、以下の方法で発泡成形させると不燃性ボードが成形体に密着して好ましい。
【0038】
即ち、成形型の上にトレーを載せ、その上に一方の不燃性ボードを載置し、該一方の不燃性ボードの周囲に成形体の厚みを確保する外周枠体を配置し、更に該枠体の上に他方の不燃性ボードを載せ、次に成形型を載せて、この二枚の不燃性ボード間で前記主原料を触媒および発泡剤の存在下で加熱反応させて発泡成形すればよい。加熱反応は、成形型を調温加熱することにより所定温度で反応させることができる。成形型を調温加熱するには、成形型内に調温流体、例えば熱風、熱オイル、熱水等を通過させる。成形型にヒーターを埋設してもよい。不燃性ボードとしてはアルミニウム製、鉄製などの金属板に限らないが、不燃性の観点からすれば金属板が好ましい。なお加熱反応は、反応当初から高温度にする必要はなく、発泡工程の途中で所要温度に加熱しても本発明の効果を奏する。この方法は下記の連続工程の場合、有効である。
【0039】
すなわち、別の製造方法として、前記上下の不燃性ボードをコイル状の連続シートとし、この上下シートを前記成形体の厚みを確保する間隔に保持しながら巻出し、その上下シート間に前記主原料を触媒および発泡剤を連続して投入し、加熱炉内で連続的に反応させて発泡成形するダブルベルト方式でもよい。
【0040】
パネルの面積が広い場合は、複数箇所に原材料を注入して発泡成形させると、反応がパネル各部位で均一進行して好ましい。
【0041】
【実施例】
本発明による不燃性パネルを下記の手順で作製した。
【0042】
表1に、使用するイソシアネート、ポリオール、触媒、発泡剤および整泡剤の種類と量を示す。
【0043】
【表1】
【0044】
表1に示す原料を用い、ポリオールに触媒と発泡剤と整泡剤を添加攪拌して攪拌原料とした。
【0045】
図7に示すように、成形型10上にトレー12を敷き、その上に不燃性ボードとして厚さ0.5mmの下鉄板14を載せ、成形体Pの四辺を定める枠16を介して同じ厚さの上鉄板18を載せ、更にその上に成形型20を載せた。上下の鉄板14と18の間隔は50mmとして、上記の攪拌原料を注入した。なお、上記部材10〜20の組合せを図7のように複数組重ねて、一回の処理で複数枚の不燃性パネルを作製することもできる。
【0046】
この時の成形型の温度を45℃、70℃、90℃、130℃に加熱した状態とした。ここで成形型の温度を45℃から始めたのは、発泡樹脂が前記不燃性パネルに好ましく接着する温度であるからである。なお、成形型の温度管理は、成形型内に調温した加熱オイルを通過させることにより行なった。
【0047】
前記攪拌原料を注入後、反応および養生時間として30分間保持し、型開きして、両面に鉄板を具備したパネルを取り出した。
【0048】
取り出したパネルの鉄板を剥がし、各々を試料とした。
【0049】
各試料について、赤外吸収スペクトル分析を行い、表皮部におけるイソシアヌレート環の吸収ピーク面積とベンゼン環の吸収ピーク面積、および中央部におけるイソシアヌレート環の吸収ピーク面積とベンゼン環の吸収ピーク面積を測定した。
【0050】
吸収ピーク面積は日本電子(株)社製型式ダイアモンド20FT−IRスペクトロフォトメータで測定した。
【0051】
比較例として45℃で反応させた成形体の光の波数と吸光度の関係を示す吸光度グラフを図1,2に示す。図1は表皮部、図2の中央部の測定値である。横軸は波数(単位:cm−1)、縦軸は吸光度(任意単位)である。
【0052】
イソシアヌレート環が吸収する光の波数は1400cm−1であることが知られている。またベンゼン環の吸収する波数は1600cm−1であることが知られている。
【0053】
図1において、光の波数1400cm−1のイソシアヌレート環の吸収ピーク面積S1と1600cm−1のベンゼン環の吸収ピーク面積S2との比A(=S1/S2)を測定すると1.6であった。
【0054】
一方、図2において、波数1400cm−1のイソシアヌレート環の吸収ピーク面積C1と1600cm−1のベンゼン環の吸収ピーク面積C2との比B(=C1/C2)を測定すると5.1であった。
【0055】
即ち45℃で発泡させたポリウレタンフォーム成形体の表皮部と中央部におけるイソシアヌレート環とベンゼン環の吸収ピーク面積比AとBとの比A/Bの値は、1.6/5.1=0.31となる。
【0056】
他方、本発明例として成形型温度90℃で反応させた成形体の光の波数と吸光度の関係を示すグラフを図3,4に示す。図3は表皮部、図4は中央部の測定値である。
【0057】
図3では、前記Aの値が4.0、図4では、前記Bの値が5.2であって、AとBとの比A/Bの値は、4.0/5.2=0.77となる。
【0058】
同様にして測定した成形型温度70℃、130℃に加熱した状態で攪拌原料を反応させた成形体の表皮部および中央部におけるイソシアヌレート環の吸収ピーク面積とベンゼン環の吸収ピーク面積比AとBとの比A/Bを測定した。結果をまとめて表2に示す。
【0059】
【表2】
【0060】
次に前記方法で準備した両面に鉄板を具備するパネルを性能試験のための試料とし性能評価機関の定めた性能試験に供した。試験方法は次の基準によった。
【0061】
発熱性試験(コーンカロリメータ)
・試料寸法は99mm×99mm×50mm厚さ、輻射電気ヒータの発熱量は50KW/m2 。
【0062】
・合格基準:下記3条件A、B、Cを全て満たすこと。
【0063】
A)20分間の総発熱量(J)が8MJ/m2 以下。
【0064】
B)20分間で防火上有害な裏面まで貫通する亀裂および穴の発生なし。
【0065】
C)20分間で最高発熱速度が10秒以上継続して200KW/m2 を超えない。
【0066】
前記比較例として成形型温度室温で発泡成形したパネルおよび成形型温度90℃で発泡成形したパネルを前記の発熱性試験に供し、測定した発熱速度、発炎、総発熱量の状態変化を表すグラフを図5および図6に示す。横軸は試験時間(秒)、左縦軸は発熱速度(KW/m2 )、右縦軸は総発熱量(MJ/m2 )である。
【0067】
即ち、図5は成形型温度室温で発泡成形したパネルで、総発熱量は14.5MJ/m2 、最高発熱速度は68KW/m2 である。
【0068】
一方図6は成形型温度90℃で発泡成形したパネルで、総発熱量は2.8MJ/m2 、最高発熱速度は9KW/m2 である。
【0069】
各試料を前記の条件で試験した。結果を表3に示す。
【0070】
【表3】
【0071】
表2および表3の結果より、成形型温度を高くして発泡成形した本発明例(試料番号2,3,4)は、表皮部におけるイソシアヌレート環の吸収ピーク面積とベンゼン環の吸収ピーク面積との比Aと中央部におけるイソシアヌレート環の吸収ピーク面積とベンゼン環の吸収ピーク面積との比Bとの比A/Bが0.4以上であり、このようなものの発熱性試験は各項目に合格し、優れた性能を有する不燃性ポリウレタンフォーム成形体であることが判る。
【0072】
これに対して従来例(試験番号1)は、前記A/Bが低く、しかも発熱性試験では何れかの項目に於いて外れ、不燃材料には不適であることが判る。
【0073】
【発明の効果】
本発明によれば、不燃性を高めたポリウレタンフォーム不燃性パネルおよびその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、成形型温度45℃で反応させて得られた比較例の不燃性パネルのポリウレタンフォーム成形体について、表皮部の赤外吸収スペクトルを示すグラフである。
【図2】図2は、成形型温度45℃で反応させて得られた比較例の不燃性パネルのポリウレタンフォーム成形体について、中央部の赤外吸収スペクトルを示すグラフである。
【図3】図3は、成形型温度90℃で反応させて得られた本発明例の不燃性パネルのポリウレタンフォーム成形体について、表皮部の赤外吸収スペクトルを示すグラフである。
【図4】図4は、成形型温度90℃で反応させて得られた本発明例の不燃性パネルのポリウレタンフォーム成形体について、中央部の赤外吸収スペクトルを示すグラフである。
【図5】図5は、成形型温度室温で反応させて得られた比較例の不燃性パネルについて、試験時間と総発熱量および発熱速度との関係を示すグラフである。
【図6】図6は、成形型温度90℃で反応させて得られた本発明例の不燃性パネルについて、試験時間と総発熱量および発熱速度との関係を示すグラフである。
【図7】図7は、不燃性パネルを作製するために組み合わせた各部材の配置を示す立面図である。
【符号の説明】
10、20…成形型
12…トレー
14、18…不燃性ボード(鉄板)
16…枠
Claims (4)
- イソシアネートとポリオールを主原料とし、該主原料を触媒および発泡剤の存在下で反応させて成形されるポリウレタンフォーム成形体の両面に不燃性ボードが具備された不燃性パネルであって、赤外吸収スペクトル分析した際に、該ポリウレタンフォーム成形体の表皮部におけるイソシアヌレート環の吸収ピーク面積S1とベンゼン環の吸収ピーク面積S2との比S1/S2をAとし、前記ポリウレタンフォーム成形体の中央部におけるイソシアヌレート環の吸収ピーク面積C1とベンゼン環の吸収ピーク面積C2との比C1/C2をBとしたとき、前記AとBとの比A/Bが0.4以上であることを特徴とする不燃性パネル。
- 前記成形体のイソシアネートインデックスを250以上とすることを特徴とする請求項1記載の不燃性パネル。
- 成形型内でイソシアネートとポリオールを主原料とし、該主原料を触媒および発泡剤の存在下で反応させて成形されるポリウレタンフォーム成形体の両面に不燃性ボードが具備された不燃性パネルを製造するに際して、前記成形型の温度を70℃以上の温度に加熱した状態で前記反応を行わしめることを特徴とする不燃性パネルの製造方法。
- 前記出発原料のイソシアネートインデックスを250以上とすることを特徴とする請求項3記載の不燃性パネルの製造方法。
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