JP2004048198A - 無線中継方法およびその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】発生するノイズで相関演算を行い、相関演算の精度を向上させて、干渉波による影響を防ぐ。
【解決手段】一方のアンテナ10から受信された受信信号を他方のアンテナ20から送信するとともに、アンテナ10からの信号とアンテナ20から送信される信号の相関演算を行う無線中継方式において、アンテナ10から取り込まれたノイズと、遅延回路13で遅延されたノイズの相関をデジタル信号処理部17でとると、相関がとれたところで急峻な相関値が得られることとなり、相関演算の精度を向上できる。
【選択図】 図1
【解決手段】一方のアンテナ10から受信された受信信号を他方のアンテナ20から送信するとともに、アンテナ10からの信号とアンテナ20から送信される信号の相関演算を行う無線中継方式において、アンテナ10から取り込まれたノイズと、遅延回路13で遅延されたノイズの相関をデジタル信号処理部17でとると、相関がとれたところで急峻な相関値が得られることとなり、相関演算の精度を向上できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、受信した希望波を増幅して中継する無線中継方法およびその装置に関し、特にノイズを用いて相関演算を行う無線中継方法およびその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の無線中継装置は、例えば移動体通信などの無線基地局と携帯電話の移動局間において、山岳地域や平野部であってもビル内あるいはトンネル内などの電波の届きにくい場所で用いられている。このような無線中継装置には、符号分割多元接続方式あるいは符号分割多重方式を用いたリピータ装置があり、このリピータ装置は、基地局からの電波が届く、高台やビルの屋上に設置され、基地局用の送受信アンテナと移動局用の送受信アンテナを介して基地局と移動局間の希望波(携帯電話信号)の無線中継を行っていた。通常、これらのアンテナは、一方のアンテナから中継送信された電波が他方のアンテナに再受信されないように、十分に離れた場所に設置することが必要となる。
【0003】
ところが、例えばビル影などの電波の届きにくい場所での対策として、リピータ装置をビルの屋上に設置する場合には、基地局用のアンテナと移動局用のアンテナとを、設置スペースの関係から近接した場所に設置したい場合が生じる。この場合には、一方のアンテナから送信された電波は、他方のアンテナに回り込むこととなる。この再受信された電波(干渉波)は、希望波と同一周波数であるため、回り込んだ受信信号は、干渉信号となってリピータ装置の中継に影響を与える。そして、例えば回り込みの受信信号が大きな場合には、装置内で発振を起こすこととなる。
【0004】
そこで、この問題を解決するために、従来では、干渉抑圧波を制御して回り込んでくる干渉波をキャンセルするものがあった。つまり、この干渉波と干渉抑圧波の遅延を一致させ、干渉波と逆位相で、かつ同振幅となるように干渉抑圧波を制御して、この干渉抑圧波を干渉波に合成することにより、干渉波をキャンセルさせていた。
【0005】
この干渉波と干渉抑圧波の遅延を一致させるには、干渉波と干渉抑圧波の遅延量の差が検出できれば良い。この遅延量の差を検出する方法としては、例えば変調信号発振器(SG)による変調信号を用いて相関演算を行う方法があった。すなわち、受信アンテナと送信アンテナの間に2つの方向性結合器と増幅器と遅延回路が接続されるとともに、方向性結合器間には別経路で干渉抑圧部が接続されている。そして、後段の方向性結合器には、SGが接続されており、このSGからの変調信号が送信アンテナに出力されるとともに、分岐されて干渉抑圧部に出力されている。送信アンテナから送信された変調波は、干渉波となってアンテナ間を回り込み、受信アンテナで受信されている。
【0006】
この従来例では、相関演算部が受信アンテナで受信された干渉信号と、方向結合器で分岐された変調信号を取り込み、この干渉信号と変調信号の相関演算を行っている。この相関演算部は、この演算結果から干渉抑圧部の構成回路の一つである遅延回路の遅延調整を行い、干渉波と干渉抑圧波の遅延を一致させている。
【0007】
また、実際の希望波の中継を行う運用モード時に、無線中継装置に入力される外来波の信号により相関演算を行うものがあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の変調信号を用いた従来例では、図5に示すように、希望波に対して干渉波の周期が一周期ずれたような場合に、遅延がないと判断してしまい、正確な遅延量の差が検出できない。つまり、信号の周期性は長ければ長いほど、遅延がないと判断される確率は低くなる。しかし、信号発生器で発生することが可能な信号の周期性は有限であるという問題点があった。
【0009】
また、信号の帯域幅と時間分解能には関係がある。つまり、帯域幅は広ければ広いほど、時間分解能は高くなり、遅延の検出精度が向上する。しかし、信号発生器で発生することが可能な信号の帯域幅は有限であるという問題点があった。
【0010】
また、デジタル信号処理部で相関演算を行うには、その前処理として、高周波信号(例えば800MHz帯)をダウンコンバートする必要がある。例えば、帯域の中心にローカル信号を持ってきてダウンコンバートする場合には、図6(a)に示すように、800MHz帯における20MHz帯域信号では、DC〜10MHzの信号にダウンコンバートされ、図6(b)に示すように、800MHz帯における1MHz帯域信号では、DC〜500kHzの信号にダウンコンバートされることとなる。帯域の広い信号の方が、高い周波数成分を含んでいる。つまり、帯域の広い信号の方が、より多くの情報を含んでいることとなり、相関演算を行う際にも精度良く演算を行えることとなる。しかし、この場合も、上記と同様に、信号発生器で発生することが可能な信号帯域幅は有限であるという問題点があった。
【0011】
また、ある時間単位幅での信号の時間変動は、広帯域信号の方が狭帯域信号より多い。つまり、図7に示すように、広帯域信号の方が狭帯域信号より変化が多いため、偶然に一致する可能性が低くなり、相関演算が精度良く行える。ところが、この場合も上記と同様に、信号発生器で発生することが可能な信号帯域幅は有限であるという問題点があった。
【0012】
また、ある周波数帯域があった場合、その帯域全てを変調信号で満たすことはできない。例えば、図8に示すように、800MHz帯における5MHzの周波数帯域には、4.098MHz帯域幅の信号を配置することはある。つまり、この場合には、5MHzの帯域があったとしても、5MHz帯域全てを利用できるのではなく、その中の4.098MHz分しか利用できないこととなり、実際、相関演算に寄与する周波数帯域は更に狭くなるという問題点があった。
【0013】
また、外来波を用いる場合には、この外来波が広帯域信号であったとしても、有限な信号周期性を持っているので、信号周期がある程度長くないと、変調信号の場合と同様の問題点が生じる。また、外来波での相関演算では、例えば図9(a)、(b)に示すように、矩形波の広帯域信号における希望波と回り込んだ干渉波のずれが、少しの遅延のずれであれば両者の波形の重なりがあり、この重なり部分によって相関が取れてしまう。ところが、この相関値は、図9(c)に示すように、レベルが低くなり、かつピークが広くなってしまって相関演算部で精度良く検出することができないという問題点もあった。
【0014】
また、広帯域信号の場合には、図10の信号点配置図のように、信号の直交成分Qと同期成分Iを直交座標系に表示すると、位相情報は4つの組み合わせとなり、振幅情報は1つとなる。このため、SGによる変調信号および外来波を用いる場合には、信号点配置が限られているため、偶然に一致することがある。その可能性を極力低くするためには、サンプル数を多くする必要があるという問題点もあった。別の表現で言い換えるならば、広帯域信号であっても、限られた波(例えば、sin波)の組み合わせで構成されているため、偶然に一致することがあり得る。その可能性を極力低くするためには、相関演算を行う際の演算時間を長くして演算のサンプル数を多くして相関演算を行う必要があるという問題点があった。
【0015】
この発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、例えば無線中継装置自身が発生するノイズで相関演算を行い、相関演算の精度を向上させて、干渉波による影響を防ぐことができる無線中継方法およびその装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の請求項1では、第1のアンテナから受信された受信信号を第2のアンテナから送信するとともに、前記第1のアンテナからの信号と前記第2のアンテナから送信される信号の相関演算を行う無線中継方法において、前記第1のアンテナから取り込まれたノイズを遅延および増幅させた後に、前記第2のアンテナに出力するとともに、前記第2のアンテナに出力されるノイズを分岐し、前記第1のアンテナからのノイズと前記分岐されたノイズとの相関演算を行うことを特徴とする無線中継方法が提供される。
【0017】
この発明によれば、例えば無線中継装置自身が発生する周期性のないノイズを第2のアンテナから出力して第1のアンテナで受信し、遅延および増幅の後に、第2のアンテナから出力し、かつこのノイズを分岐させて第1のアンテナからのノイズと相関をとると、相関が一致したところで急峻な相関値がとれ、相関演算の精度が向上する。
【0018】
この発明の請求項2では、上記発明において、前記無線中継方法は、前記相関演算の演算結果に基づき、前記第1のアンテナからのノイズと前記分岐されたノイズの遅延量の差を検出し、該遅延量の差を解消して前記第1のアンテナからのノイズと前記分岐されたノイズとを合成することを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、この相関演算によって得られた時間差に基づき、この分岐されたノイズを遅延させて、受信アンテナから回り込むノイズとキャンセルをとることで、運用モード時に外来波が非常に低いレベルか、もしくは外来波がない場合においても、干渉波をキャンセル可能とする。
【0020】
この発明の請求項3では、電波を受信する第1のアンテナと、前記受信された信号を送信する第2のアンテナとを有する無線中継装置において、前記第1のアンテナから取り込まれたノイズを遅延する第1の遅延手段と、前記遅延されたノイズを増幅して前記第2のアンテナに出力する増幅手段と、前記第2のアンテナに出力されるノイズを分岐する分岐手段と、前記第1のアンテナからのノイズと前記分岐されたノイズとの相関演算を行う相関演算手段とを備えたことを特徴とする無線中継装置が提供される。
【0021】
この発明によれば、例えば周期性のないノイズを送信アンテナから送信して、回り込む干渉波を受信アンテナで受信して、この受信した受信信号と出力されたノイズとの相関演算を相関演算手段で行うと、相関が一致したところで急峻な相関値がとれ、相関演算の精度を向上させることができる。
【0022】
この発明の請求項4では、上記発明において、前記無線中継装置は、前記分岐されたノイズを遅延させる第2の遅延手段をさらに備え、前記相関演算手段は、前記相関演算の演算結果に基づいて当該分岐されたノイズと前記第1のアンテナから受信されたノイズとの遅延差を調整するように前記第2の遅延手段を遅延制御することを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、この相関演算手段での相関演算によって得られた時間差に基づき、この遅延手段を遅延させ、分岐されたノイズと第1のアンテナから受信されたノイズとの遅延差がなくなるように調整することで、運用モード時に外来波が非常に低いレベルか、もしくは外来波がない場合においても、干渉波をキャンセル可能とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に図1〜図4の添付図面を参照して、この発明にかかる無線中継方法およびその装置の好適な実施の形態を説明する。
【0025】
図1は、この発明にかかる無線中継装置の一実施例の構成を示す構成図である。図において、この実施例は、例えば符号分割多元接続方式のように自己相関特性に特徴がある信号を用いた場合の構成例である。この実施例において、送受信用のアンテナ10,20は、サーキュレータ11,21が接続されるとともに、自装置内で生成されたノイズ、例えば周期性のないランダムなガウス雑音(正規化した白色雑音)の放射および取り込みを行っている。
【0026】
このサーキュレータ11,21間の幹線には、2つの方向性結合器12,15と、遅延回路13と、増幅器14と、減衰器(以下、「ATT」という)18と、スイッチ19とが接続されるとともに、方向性結合器12,15間には別経路で干渉抑圧部16が接続されている。この遅延回路13は、受信信号に1チップ、例えば拡散符号速度が4Mchip/secの場合は250nsec以上の遅延量を与えて、受信信号と干渉信号の相関をなくしている。
【0027】
また、方向性結合器12,15および干渉抑制部16には、デジタル信号処理部17が接続されており、デジタル信号処理部17は、方向性結合器15を介してカプラ16bから信号▲1▼を、方向性結合器15および干渉抑圧部16を介して方向性結合器12から信号▲2▼を、また方向性結合器15およびアンテナ20,10を介して方向性結合器12から信号▲3▼を取り込んでいる。このデジタル信号処理部17は、この信号▲2▼と▲1▼の相関演算を行い、信号▲1▼に対する信号▲2▼の時間差Aを求め、またこの信号▲3▼と▲1▼の相関演算を行い、信号▲1▼に対する信号▲3▼の時間差Bを求める。そして、この時間差B−Aが干渉波伝達経路の遅延量になるので、デジタル信号処理部17は、干渉抑圧部16の遅延回路16aをこの遅延量に制御する。
【0028】
すなわち、このデジタル信号処理部17では、方向性結合器15からの入力ラインに対してデジタル信号処理部17の図示しない内部メモリを用いて、時間をずらしながら相関演算を行うと、この信号▲2▼と信号▲3▼が一致したところで急峻な相関値がとれる。
【0029】
このように、この信号▲2▼と信号▲3▼の時間差B−Aが干渉波伝達経路の遅延量になるので、デジタル信号処理部17は、この時間をモニタし、その時間差分(信号▲2▼の相関値が立った時間から信号▲3▼の相関値が立った時間の差)だけ、遅延回路16aを調整して、信号▲2▼を遅延させる。これにより、アンテナ20,10間を回り込んできたノイズ(信号▲3▼)と、遅延回路16aから入力するノイズ(信号▲2▼)とを一致させることができる。
【0030】
なお、この実施例では、相関演算を行う際のノイズにガウス雑音を用いた場合を説明したが、この発明はこれに限らず、周期性がないか、もしくは周期性が長ければ装置内外のいずれのノイズを用いても良い。また、ノイズは、アンテナ10,20で受信できることが可能な信号レベルであることが必要である。
【0031】
干渉抑圧部16は、遅延回路16aと、デジタル信号処理部17と接続されて信号▲1▼を出力するカプラ16bと、可変位相器(PS)16cと、可変減衰器(ATT)16dとから構成されており、デジタル信号処理部17は、このPS16cおよびATT17dの設定を可変制御して、入力する干渉参照信号の位相や振幅が、干渉信号と逆位相、同振幅になるように調整している。
【0032】
また、サーキュレータ11,21間の幹線には、2つの方向性結合器22,25と、遅延回路23と、増幅器24と、ATT28と、スイッチ29とが接続される。この方向性結合器22,25間には別経路で遅延回路26aと、デジタル信号処理部17と接続されるカプラ26bと、PS26cと、ATT26dとから構成される干渉抑圧部26が接続されている。
【0033】
これら方向性結合器22,25および干渉抑制部26には、デジタル信号処理部27が接続されており、方向性結合器25に自装置内で放射された例えば周期性のないガウス雑音を出力している。これら方向性結合器22,25、遅延回路23、増幅器24、干渉抑制部26およびデジタル信号処理部27は、上述した方向性結合器12,15、遅延回路13、増幅器14、干渉抑制部16およびデジタル信号処理部17と同様の機能を有しているので、ここでは詳しい説明は省略する。なお、異なる点は、アンテナ20から受信した受信信号をアンテナ10から送信している点であり、これによりこの無線中継装置では、基地局と移動局間の双方向通信を可能にしている。
【0034】
次に、この無線中継装置の干渉波と干渉抑圧波の遅延差を求める際の相関演算を行うための動作を、図2のフローチャートに基づいて説明する。なお、この相関演算の説明では、代表してデジタル信号処理部17における相関演算処理の動作を説明する。
【0035】
図において、デジタル信号処理部17は、スイッチ19をオン状態にして、例えば方向性結合器12,15間の主線系ライン(幹線)に接続発振が起こらない程度に増幅部14の利得を下げるか、もしくはATT18の減衰量を上げて信号通過を阻止する利得制御を行う。さらに、このデジタル信号処理部17は、例えば干渉抑圧部16のATT16dを最大減衰量として、ATT16dの信号通過を阻止する。この状態で、アンテナ20からは、装置内で発生したノイズが出力され、このノイズは空間を回り込んでアンテナ10によって受信される。たノイズ(信号▲3▼)を方向性結合器12および信号▲1▼を方向性結合器15を介してカプラ16bから取り込む(ステップ101)。
【0036】
デジタル信号処理部17は、この空間を回り込んでアンテナ10によって受信された信号▲3▼を方向性結合器12から取り込み、また方向性結合器15からの信号▲1▼をカプラ16bから取り込み、さらに信号▲1▼と信号▲3▼との相関演算を行い、信号▲1▼に対する信号▲3▼の時間差A=(信号▲3▼の相関値が立った時間)−(信号▲1▼の相関値が立った時間)を算出する(ステップ102)。
【0037】
次に、このデジタル信号処理部17は、スイッチ19をオフ状態に切り替えてアンテナ20からのノイズ出力を阻止するとともに、ATT16dの減衰量をゼロにして干渉抑圧部16の信号通過を可能にする。この状態で、デジタル信号処理部17は、この方向性結合器15から分岐された信号▲1▼と、干渉抑圧部16を通過した信号▲2▼を方向性結合器12から取り込み、この信号▲1▼と信号▲2▼との相関演算を行い、信号▲1▼に対する信号▲2▼の時間差B=(信号▲2▼の相関が立った時間)−(信号▲1▼の相関値が立った時間)を算出する(ステップ103)。
【0038】
そして、干渉波伝達経路の遅延時間A−B=(信号▲3▼の相関値が立った時間)−(信号▲2▼の相関が立った時間)を求める(ステップ104)。次に、干渉抑圧部16の遅延回路16aにステップ104で求めた遅延時間A−Bを設定する(ステップ105)。
【0039】
上記の制御工程と演算工程が終了すると、デジタル信号処理部17は、このPS16cおよびATT16dの設定を可変制御する運用モードに移行し、干渉抑圧部16に入力する干渉参照信号の位相や振幅が、干渉信号と逆位相、同振幅になるように調整して干渉抑圧信号を生成する。そして、この実施例では、遅延回路に設定された遅延量によって遅延された干渉抑圧信号を、干渉抑圧部16から方向性結合器12に出力することで、実際の運用モード時にアンテナ10から入力する干渉信号と合成させて、干渉信号をキャンセルすることが可能になる。
【0040】
このように、この実施例では、例えば無線中継装置自身が発生するガウス雑音を一方のアンテナから受信して、図3に示すように、方向性結合器15で分岐された信号▲1▼(希望波に相当するノイズ)をリファレンスとして、干渉抑圧部16を通過した信号▲2▼および空間を回り込んでくる方向性結合器12からの信号▲3▼(回り込み干渉波に相当するノイズ)との相関をとることにより、相関がとれたところで急峻な相関値が得られ、これにより遅延回路16aに設定される遅延量が求まるので、相関演算の精度を向上させて、干渉波による影響を防ぐことができる。
【0041】
すなわち、ノイズは、無限の繰り返し信号と考えることができるので、信号▲1▼と信号▲2▼および信号▲1▼と信号▲3▼が少しでも時間的にずれていると相関が取れなくなり、逆に信号▲1▼と信号▲2▼および信号▲1▼と信号▲3▼が時間的なずれがなく、一致している場合には、高い相関値が得られるので、相関演算の精度が高くなる。
【0042】
また、この実施例の場合には、図4の信号配置図のように、ノイズの直交成分Qと同期成分Iを直交座標系に表示すると、位相情報も、振幅情報も無限数の組み合わせになり、一致性が極めて低いので、少ないサンプルで精度の良い相関演算が行える。つまり、ノイズは無限の波の無限の組み合わせであり、相関性が極めて低いので、少ないサンプル数で精度良く相関演算が行える。また、ノイズであるため、有限の信号帯域を持った変調信号や外来波信号とは異なり、装置などで通過することが可能な周波数帯域全てを利用できるため、相関演算が精度良く行える。
【0043】
また、この実施例では、移動局から基地局方向への電波に対する回り込みに対しても、各無線中継装置が独自にノイズを用いて相関演算を行うことができるので、移動局が送信を行っていない時でも相関をとることが可能となる。
【0044】
この発明は、これら実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の請求項1,3では、第1のアンテナから受信された受信信号を第2のアンテナから送信するとともに、前記第1のアンテナからの信号と前記第2のアンテナから送信される信号の相関演算を行う無線中継において、ノイズを一方の第1のアンテナから受信し、この受信されたノイズと、遅延および増幅後のノイズとの相関演算を行うので、相関がとれると急峻な相関値が得られ、精度良く相関演算を行うことができ、これにより干渉波による影響を防ぐことができる。
【0046】
また、この発明の請求項2,4では、相関演算によって得られた時間差に基づき、干渉抑圧部の遅延回路でノイズを遅延させて、受信アンテナから回り込むノイズとの相関をとるので、運用モード時に希望波と回り込み干渉波との相関を取ることができ、これにより干渉波による影響を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる無線中継装置の一実施例の構成を示す構成図である。
【図2】図1に示した無線中継装置の干渉波と干渉抑圧波の遅延差を求める際の相関演算を行うための動作を説明するフローチャートである。
【図3】この発明にかかる希望波、干渉波および相関値の波形を示す波形図である。
【図4】同じく、ノイズの直交成分と同期成分による信号の配置関係を示す信号配置図である。
【図5】従来例における希望波と干渉波の遅延によって生じる問題点を説明するための波形図である。
【図6】同じく、高周波信号をダウンコンバートする場合に生じる問題点を説明するための波形図である。
【図7】同じく、広帯域信号を用いた場合に生じる問題点を説明するための波形図である。
【図8】同じく、ある周波数帯域に所定帯域幅の信号を配置した場合に生じる問題点を説明するための波形図である。
【図9】同じく、従来例の希望波、干渉波および相関値の波形を示す波形図である。
【図10】同じく、従来例の広帯域信号の直交成分と同期成分による信号の配置関係を示す信号配置図である。
【符号の説明】
10,20 アンテナ
11,21 サーキュレータ
12,15,22,25 方向性結合器
13,16a,23,26a 遅延回路
14,24 増幅器
16,26 干渉抑圧部
16b,26b カプラ
16c,26c 位相器
16d,18,26d,28 減衰器
17,27 デジタル信号処理部
19,29 スイッチ
【発明の属する技術分野】
この発明は、受信した希望波を増幅して中継する無線中継方法およびその装置に関し、特にノイズを用いて相関演算を行う無線中継方法およびその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の無線中継装置は、例えば移動体通信などの無線基地局と携帯電話の移動局間において、山岳地域や平野部であってもビル内あるいはトンネル内などの電波の届きにくい場所で用いられている。このような無線中継装置には、符号分割多元接続方式あるいは符号分割多重方式を用いたリピータ装置があり、このリピータ装置は、基地局からの電波が届く、高台やビルの屋上に設置され、基地局用の送受信アンテナと移動局用の送受信アンテナを介して基地局と移動局間の希望波(携帯電話信号)の無線中継を行っていた。通常、これらのアンテナは、一方のアンテナから中継送信された電波が他方のアンテナに再受信されないように、十分に離れた場所に設置することが必要となる。
【0003】
ところが、例えばビル影などの電波の届きにくい場所での対策として、リピータ装置をビルの屋上に設置する場合には、基地局用のアンテナと移動局用のアンテナとを、設置スペースの関係から近接した場所に設置したい場合が生じる。この場合には、一方のアンテナから送信された電波は、他方のアンテナに回り込むこととなる。この再受信された電波(干渉波)は、希望波と同一周波数であるため、回り込んだ受信信号は、干渉信号となってリピータ装置の中継に影響を与える。そして、例えば回り込みの受信信号が大きな場合には、装置内で発振を起こすこととなる。
【0004】
そこで、この問題を解決するために、従来では、干渉抑圧波を制御して回り込んでくる干渉波をキャンセルするものがあった。つまり、この干渉波と干渉抑圧波の遅延を一致させ、干渉波と逆位相で、かつ同振幅となるように干渉抑圧波を制御して、この干渉抑圧波を干渉波に合成することにより、干渉波をキャンセルさせていた。
【0005】
この干渉波と干渉抑圧波の遅延を一致させるには、干渉波と干渉抑圧波の遅延量の差が検出できれば良い。この遅延量の差を検出する方法としては、例えば変調信号発振器(SG)による変調信号を用いて相関演算を行う方法があった。すなわち、受信アンテナと送信アンテナの間に2つの方向性結合器と増幅器と遅延回路が接続されるとともに、方向性結合器間には別経路で干渉抑圧部が接続されている。そして、後段の方向性結合器には、SGが接続されており、このSGからの変調信号が送信アンテナに出力されるとともに、分岐されて干渉抑圧部に出力されている。送信アンテナから送信された変調波は、干渉波となってアンテナ間を回り込み、受信アンテナで受信されている。
【0006】
この従来例では、相関演算部が受信アンテナで受信された干渉信号と、方向結合器で分岐された変調信号を取り込み、この干渉信号と変調信号の相関演算を行っている。この相関演算部は、この演算結果から干渉抑圧部の構成回路の一つである遅延回路の遅延調整を行い、干渉波と干渉抑圧波の遅延を一致させている。
【0007】
また、実際の希望波の中継を行う運用モード時に、無線中継装置に入力される外来波の信号により相関演算を行うものがあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の変調信号を用いた従来例では、図5に示すように、希望波に対して干渉波の周期が一周期ずれたような場合に、遅延がないと判断してしまい、正確な遅延量の差が検出できない。つまり、信号の周期性は長ければ長いほど、遅延がないと判断される確率は低くなる。しかし、信号発生器で発生することが可能な信号の周期性は有限であるという問題点があった。
【0009】
また、信号の帯域幅と時間分解能には関係がある。つまり、帯域幅は広ければ広いほど、時間分解能は高くなり、遅延の検出精度が向上する。しかし、信号発生器で発生することが可能な信号の帯域幅は有限であるという問題点があった。
【0010】
また、デジタル信号処理部で相関演算を行うには、その前処理として、高周波信号(例えば800MHz帯)をダウンコンバートする必要がある。例えば、帯域の中心にローカル信号を持ってきてダウンコンバートする場合には、図6(a)に示すように、800MHz帯における20MHz帯域信号では、DC〜10MHzの信号にダウンコンバートされ、図6(b)に示すように、800MHz帯における1MHz帯域信号では、DC〜500kHzの信号にダウンコンバートされることとなる。帯域の広い信号の方が、高い周波数成分を含んでいる。つまり、帯域の広い信号の方が、より多くの情報を含んでいることとなり、相関演算を行う際にも精度良く演算を行えることとなる。しかし、この場合も、上記と同様に、信号発生器で発生することが可能な信号帯域幅は有限であるという問題点があった。
【0011】
また、ある時間単位幅での信号の時間変動は、広帯域信号の方が狭帯域信号より多い。つまり、図7に示すように、広帯域信号の方が狭帯域信号より変化が多いため、偶然に一致する可能性が低くなり、相関演算が精度良く行える。ところが、この場合も上記と同様に、信号発生器で発生することが可能な信号帯域幅は有限であるという問題点があった。
【0012】
また、ある周波数帯域があった場合、その帯域全てを変調信号で満たすことはできない。例えば、図8に示すように、800MHz帯における5MHzの周波数帯域には、4.098MHz帯域幅の信号を配置することはある。つまり、この場合には、5MHzの帯域があったとしても、5MHz帯域全てを利用できるのではなく、その中の4.098MHz分しか利用できないこととなり、実際、相関演算に寄与する周波数帯域は更に狭くなるという問題点があった。
【0013】
また、外来波を用いる場合には、この外来波が広帯域信号であったとしても、有限な信号周期性を持っているので、信号周期がある程度長くないと、変調信号の場合と同様の問題点が生じる。また、外来波での相関演算では、例えば図9(a)、(b)に示すように、矩形波の広帯域信号における希望波と回り込んだ干渉波のずれが、少しの遅延のずれであれば両者の波形の重なりがあり、この重なり部分によって相関が取れてしまう。ところが、この相関値は、図9(c)に示すように、レベルが低くなり、かつピークが広くなってしまって相関演算部で精度良く検出することができないという問題点もあった。
【0014】
また、広帯域信号の場合には、図10の信号点配置図のように、信号の直交成分Qと同期成分Iを直交座標系に表示すると、位相情報は4つの組み合わせとなり、振幅情報は1つとなる。このため、SGによる変調信号および外来波を用いる場合には、信号点配置が限られているため、偶然に一致することがある。その可能性を極力低くするためには、サンプル数を多くする必要があるという問題点もあった。別の表現で言い換えるならば、広帯域信号であっても、限られた波(例えば、sin波)の組み合わせで構成されているため、偶然に一致することがあり得る。その可能性を極力低くするためには、相関演算を行う際の演算時間を長くして演算のサンプル数を多くして相関演算を行う必要があるという問題点があった。
【0015】
この発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、例えば無線中継装置自身が発生するノイズで相関演算を行い、相関演算の精度を向上させて、干渉波による影響を防ぐことができる無線中継方法およびその装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の請求項1では、第1のアンテナから受信された受信信号を第2のアンテナから送信するとともに、前記第1のアンテナからの信号と前記第2のアンテナから送信される信号の相関演算を行う無線中継方法において、前記第1のアンテナから取り込まれたノイズを遅延および増幅させた後に、前記第2のアンテナに出力するとともに、前記第2のアンテナに出力されるノイズを分岐し、前記第1のアンテナからのノイズと前記分岐されたノイズとの相関演算を行うことを特徴とする無線中継方法が提供される。
【0017】
この発明によれば、例えば無線中継装置自身が発生する周期性のないノイズを第2のアンテナから出力して第1のアンテナで受信し、遅延および増幅の後に、第2のアンテナから出力し、かつこのノイズを分岐させて第1のアンテナからのノイズと相関をとると、相関が一致したところで急峻な相関値がとれ、相関演算の精度が向上する。
【0018】
この発明の請求項2では、上記発明において、前記無線中継方法は、前記相関演算の演算結果に基づき、前記第1のアンテナからのノイズと前記分岐されたノイズの遅延量の差を検出し、該遅延量の差を解消して前記第1のアンテナからのノイズと前記分岐されたノイズとを合成することを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、この相関演算によって得られた時間差に基づき、この分岐されたノイズを遅延させて、受信アンテナから回り込むノイズとキャンセルをとることで、運用モード時に外来波が非常に低いレベルか、もしくは外来波がない場合においても、干渉波をキャンセル可能とする。
【0020】
この発明の請求項3では、電波を受信する第1のアンテナと、前記受信された信号を送信する第2のアンテナとを有する無線中継装置において、前記第1のアンテナから取り込まれたノイズを遅延する第1の遅延手段と、前記遅延されたノイズを増幅して前記第2のアンテナに出力する増幅手段と、前記第2のアンテナに出力されるノイズを分岐する分岐手段と、前記第1のアンテナからのノイズと前記分岐されたノイズとの相関演算を行う相関演算手段とを備えたことを特徴とする無線中継装置が提供される。
【0021】
この発明によれば、例えば周期性のないノイズを送信アンテナから送信して、回り込む干渉波を受信アンテナで受信して、この受信した受信信号と出力されたノイズとの相関演算を相関演算手段で行うと、相関が一致したところで急峻な相関値がとれ、相関演算の精度を向上させることができる。
【0022】
この発明の請求項4では、上記発明において、前記無線中継装置は、前記分岐されたノイズを遅延させる第2の遅延手段をさらに備え、前記相関演算手段は、前記相関演算の演算結果に基づいて当該分岐されたノイズと前記第1のアンテナから受信されたノイズとの遅延差を調整するように前記第2の遅延手段を遅延制御することを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、この相関演算手段での相関演算によって得られた時間差に基づき、この遅延手段を遅延させ、分岐されたノイズと第1のアンテナから受信されたノイズとの遅延差がなくなるように調整することで、運用モード時に外来波が非常に低いレベルか、もしくは外来波がない場合においても、干渉波をキャンセル可能とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に図1〜図4の添付図面を参照して、この発明にかかる無線中継方法およびその装置の好適な実施の形態を説明する。
【0025】
図1は、この発明にかかる無線中継装置の一実施例の構成を示す構成図である。図において、この実施例は、例えば符号分割多元接続方式のように自己相関特性に特徴がある信号を用いた場合の構成例である。この実施例において、送受信用のアンテナ10,20は、サーキュレータ11,21が接続されるとともに、自装置内で生成されたノイズ、例えば周期性のないランダムなガウス雑音(正規化した白色雑音)の放射および取り込みを行っている。
【0026】
このサーキュレータ11,21間の幹線には、2つの方向性結合器12,15と、遅延回路13と、増幅器14と、減衰器(以下、「ATT」という)18と、スイッチ19とが接続されるとともに、方向性結合器12,15間には別経路で干渉抑圧部16が接続されている。この遅延回路13は、受信信号に1チップ、例えば拡散符号速度が4Mchip/secの場合は250nsec以上の遅延量を与えて、受信信号と干渉信号の相関をなくしている。
【0027】
また、方向性結合器12,15および干渉抑制部16には、デジタル信号処理部17が接続されており、デジタル信号処理部17は、方向性結合器15を介してカプラ16bから信号▲1▼を、方向性結合器15および干渉抑圧部16を介して方向性結合器12から信号▲2▼を、また方向性結合器15およびアンテナ20,10を介して方向性結合器12から信号▲3▼を取り込んでいる。このデジタル信号処理部17は、この信号▲2▼と▲1▼の相関演算を行い、信号▲1▼に対する信号▲2▼の時間差Aを求め、またこの信号▲3▼と▲1▼の相関演算を行い、信号▲1▼に対する信号▲3▼の時間差Bを求める。そして、この時間差B−Aが干渉波伝達経路の遅延量になるので、デジタル信号処理部17は、干渉抑圧部16の遅延回路16aをこの遅延量に制御する。
【0028】
すなわち、このデジタル信号処理部17では、方向性結合器15からの入力ラインに対してデジタル信号処理部17の図示しない内部メモリを用いて、時間をずらしながら相関演算を行うと、この信号▲2▼と信号▲3▼が一致したところで急峻な相関値がとれる。
【0029】
このように、この信号▲2▼と信号▲3▼の時間差B−Aが干渉波伝達経路の遅延量になるので、デジタル信号処理部17は、この時間をモニタし、その時間差分(信号▲2▼の相関値が立った時間から信号▲3▼の相関値が立った時間の差)だけ、遅延回路16aを調整して、信号▲2▼を遅延させる。これにより、アンテナ20,10間を回り込んできたノイズ(信号▲3▼)と、遅延回路16aから入力するノイズ(信号▲2▼)とを一致させることができる。
【0030】
なお、この実施例では、相関演算を行う際のノイズにガウス雑音を用いた場合を説明したが、この発明はこれに限らず、周期性がないか、もしくは周期性が長ければ装置内外のいずれのノイズを用いても良い。また、ノイズは、アンテナ10,20で受信できることが可能な信号レベルであることが必要である。
【0031】
干渉抑圧部16は、遅延回路16aと、デジタル信号処理部17と接続されて信号▲1▼を出力するカプラ16bと、可変位相器(PS)16cと、可変減衰器(ATT)16dとから構成されており、デジタル信号処理部17は、このPS16cおよびATT17dの設定を可変制御して、入力する干渉参照信号の位相や振幅が、干渉信号と逆位相、同振幅になるように調整している。
【0032】
また、サーキュレータ11,21間の幹線には、2つの方向性結合器22,25と、遅延回路23と、増幅器24と、ATT28と、スイッチ29とが接続される。この方向性結合器22,25間には別経路で遅延回路26aと、デジタル信号処理部17と接続されるカプラ26bと、PS26cと、ATT26dとから構成される干渉抑圧部26が接続されている。
【0033】
これら方向性結合器22,25および干渉抑制部26には、デジタル信号処理部27が接続されており、方向性結合器25に自装置内で放射された例えば周期性のないガウス雑音を出力している。これら方向性結合器22,25、遅延回路23、増幅器24、干渉抑制部26およびデジタル信号処理部27は、上述した方向性結合器12,15、遅延回路13、増幅器14、干渉抑制部16およびデジタル信号処理部17と同様の機能を有しているので、ここでは詳しい説明は省略する。なお、異なる点は、アンテナ20から受信した受信信号をアンテナ10から送信している点であり、これによりこの無線中継装置では、基地局と移動局間の双方向通信を可能にしている。
【0034】
次に、この無線中継装置の干渉波と干渉抑圧波の遅延差を求める際の相関演算を行うための動作を、図2のフローチャートに基づいて説明する。なお、この相関演算の説明では、代表してデジタル信号処理部17における相関演算処理の動作を説明する。
【0035】
図において、デジタル信号処理部17は、スイッチ19をオン状態にして、例えば方向性結合器12,15間の主線系ライン(幹線)に接続発振が起こらない程度に増幅部14の利得を下げるか、もしくはATT18の減衰量を上げて信号通過を阻止する利得制御を行う。さらに、このデジタル信号処理部17は、例えば干渉抑圧部16のATT16dを最大減衰量として、ATT16dの信号通過を阻止する。この状態で、アンテナ20からは、装置内で発生したノイズが出力され、このノイズは空間を回り込んでアンテナ10によって受信される。たノイズ(信号▲3▼)を方向性結合器12および信号▲1▼を方向性結合器15を介してカプラ16bから取り込む(ステップ101)。
【0036】
デジタル信号処理部17は、この空間を回り込んでアンテナ10によって受信された信号▲3▼を方向性結合器12から取り込み、また方向性結合器15からの信号▲1▼をカプラ16bから取り込み、さらに信号▲1▼と信号▲3▼との相関演算を行い、信号▲1▼に対する信号▲3▼の時間差A=(信号▲3▼の相関値が立った時間)−(信号▲1▼の相関値が立った時間)を算出する(ステップ102)。
【0037】
次に、このデジタル信号処理部17は、スイッチ19をオフ状態に切り替えてアンテナ20からのノイズ出力を阻止するとともに、ATT16dの減衰量をゼロにして干渉抑圧部16の信号通過を可能にする。この状態で、デジタル信号処理部17は、この方向性結合器15から分岐された信号▲1▼と、干渉抑圧部16を通過した信号▲2▼を方向性結合器12から取り込み、この信号▲1▼と信号▲2▼との相関演算を行い、信号▲1▼に対する信号▲2▼の時間差B=(信号▲2▼の相関が立った時間)−(信号▲1▼の相関値が立った時間)を算出する(ステップ103)。
【0038】
そして、干渉波伝達経路の遅延時間A−B=(信号▲3▼の相関値が立った時間)−(信号▲2▼の相関が立った時間)を求める(ステップ104)。次に、干渉抑圧部16の遅延回路16aにステップ104で求めた遅延時間A−Bを設定する(ステップ105)。
【0039】
上記の制御工程と演算工程が終了すると、デジタル信号処理部17は、このPS16cおよびATT16dの設定を可変制御する運用モードに移行し、干渉抑圧部16に入力する干渉参照信号の位相や振幅が、干渉信号と逆位相、同振幅になるように調整して干渉抑圧信号を生成する。そして、この実施例では、遅延回路に設定された遅延量によって遅延された干渉抑圧信号を、干渉抑圧部16から方向性結合器12に出力することで、実際の運用モード時にアンテナ10から入力する干渉信号と合成させて、干渉信号をキャンセルすることが可能になる。
【0040】
このように、この実施例では、例えば無線中継装置自身が発生するガウス雑音を一方のアンテナから受信して、図3に示すように、方向性結合器15で分岐された信号▲1▼(希望波に相当するノイズ)をリファレンスとして、干渉抑圧部16を通過した信号▲2▼および空間を回り込んでくる方向性結合器12からの信号▲3▼(回り込み干渉波に相当するノイズ)との相関をとることにより、相関がとれたところで急峻な相関値が得られ、これにより遅延回路16aに設定される遅延量が求まるので、相関演算の精度を向上させて、干渉波による影響を防ぐことができる。
【0041】
すなわち、ノイズは、無限の繰り返し信号と考えることができるので、信号▲1▼と信号▲2▼および信号▲1▼と信号▲3▼が少しでも時間的にずれていると相関が取れなくなり、逆に信号▲1▼と信号▲2▼および信号▲1▼と信号▲3▼が時間的なずれがなく、一致している場合には、高い相関値が得られるので、相関演算の精度が高くなる。
【0042】
また、この実施例の場合には、図4の信号配置図のように、ノイズの直交成分Qと同期成分Iを直交座標系に表示すると、位相情報も、振幅情報も無限数の組み合わせになり、一致性が極めて低いので、少ないサンプルで精度の良い相関演算が行える。つまり、ノイズは無限の波の無限の組み合わせであり、相関性が極めて低いので、少ないサンプル数で精度良く相関演算が行える。また、ノイズであるため、有限の信号帯域を持った変調信号や外来波信号とは異なり、装置などで通過することが可能な周波数帯域全てを利用できるため、相関演算が精度良く行える。
【0043】
また、この実施例では、移動局から基地局方向への電波に対する回り込みに対しても、各無線中継装置が独自にノイズを用いて相関演算を行うことができるので、移動局が送信を行っていない時でも相関をとることが可能となる。
【0044】
この発明は、これら実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の請求項1,3では、第1のアンテナから受信された受信信号を第2のアンテナから送信するとともに、前記第1のアンテナからの信号と前記第2のアンテナから送信される信号の相関演算を行う無線中継において、ノイズを一方の第1のアンテナから受信し、この受信されたノイズと、遅延および増幅後のノイズとの相関演算を行うので、相関がとれると急峻な相関値が得られ、精度良く相関演算を行うことができ、これにより干渉波による影響を防ぐことができる。
【0046】
また、この発明の請求項2,4では、相関演算によって得られた時間差に基づき、干渉抑圧部の遅延回路でノイズを遅延させて、受信アンテナから回り込むノイズとの相関をとるので、運用モード時に希望波と回り込み干渉波との相関を取ることができ、これにより干渉波による影響を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる無線中継装置の一実施例の構成を示す構成図である。
【図2】図1に示した無線中継装置の干渉波と干渉抑圧波の遅延差を求める際の相関演算を行うための動作を説明するフローチャートである。
【図3】この発明にかかる希望波、干渉波および相関値の波形を示す波形図である。
【図4】同じく、ノイズの直交成分と同期成分による信号の配置関係を示す信号配置図である。
【図5】従来例における希望波と干渉波の遅延によって生じる問題点を説明するための波形図である。
【図6】同じく、高周波信号をダウンコンバートする場合に生じる問題点を説明するための波形図である。
【図7】同じく、広帯域信号を用いた場合に生じる問題点を説明するための波形図である。
【図8】同じく、ある周波数帯域に所定帯域幅の信号を配置した場合に生じる問題点を説明するための波形図である。
【図9】同じく、従来例の希望波、干渉波および相関値の波形を示す波形図である。
【図10】同じく、従来例の広帯域信号の直交成分と同期成分による信号の配置関係を示す信号配置図である。
【符号の説明】
10,20 アンテナ
11,21 サーキュレータ
12,15,22,25 方向性結合器
13,16a,23,26a 遅延回路
14,24 増幅器
16,26 干渉抑圧部
16b,26b カプラ
16c,26c 位相器
16d,18,26d,28 減衰器
17,27 デジタル信号処理部
19,29 スイッチ
Claims (4)
- 第1のアンテナから受信された受信信号を第2のアンテナから送信するとともに、前記第1のアンテナからの信号と前記第2のアンテナから送信される信号の相関演算を行う無線中継方法において、
前記第1のアンテナから取り込まれたノイズを遅延および増幅させた後に、前記第2のアンテナに出力するとともに、前記第2のアンテナに出力されるノイズを分岐し、前記第1のアンテナからのノイズと前記分岐されたノイズとの相関演算を行うことを特徴とする無線中継方法。 - 前記無線中継方法は、前記相関演算の演算結果に基づき、前記第1のアンテナからのノイズと前記分岐されたノイズの遅延量の差を検出し、該遅延量の差を解消して前記第1のアンテナからのノイズと前記分岐されたノイズとを合成することを特徴とする請求項1に記載の無線中継方法。
- 電波を受信する第1のアンテナと、前記受信された信号を送信する第2のアンテナとを有する無線中継装置において、
前記第1のアンテナから取り込まれたノイズを遅延する第1の遅延手段と、
前記遅延されたノイズを増幅して前記第2のアンテナに出力する増幅手段と、
前記第2のアンテナに出力されるノイズを分岐する分岐手段と、
前記第1のアンテナからのノイズと前記分岐されたノイズとの相関演算を行う相関演算手段とを備えたことを特徴とする無線中継装置。 - 前記無線中継装置は、前記分岐されたノイズを遅延させる第2の遅延手段をさらに備え、前記相関演算手段は、前記相関演算の演算結果に基づいて当該分岐されたノイズと前記第1のアンテナから受信されたノイズとの遅延差を調整するように前記第2の遅延手段を遅延制御することを特徴とする請求項3に記載の無線中継装置。
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JP2008172645A (ja) * | 2007-01-15 | 2008-07-24 | Japan Radio Co Ltd | 無線中継装置 |
JP2008199562A (ja) * | 2007-02-16 | 2008-08-28 | Softbank Bb Corp | 移動体通信用中継増幅装置 |
-
2002
- 2002-07-09 JP JP2002200653A patent/JP2004048198A/ja active Pending
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