JP2003332953A - 無線中継装置及び無線中継方法 - Google Patents

無線中継装置及び無線中継方法

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JP2003332953A
JP2003332953A JP2002143574A JP2002143574A JP2003332953A JP 2003332953 A JP2003332953 A JP 2003332953A JP 2002143574 A JP2002143574 A JP 2002143574A JP 2002143574 A JP2002143574 A JP 2002143574A JP 2003332953 A JP2003332953 A JP 2003332953A
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JP
Japan
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signal
antenna
relay device
wireless relay
control unit
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JP2002143574A
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English (en)
Inventor
Ichiro Seto
戸 一 郎 瀬
Hideo Kasami
見 英 男 笠
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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  • Cable Transmission Systems, Equalization Of Radio And Reduction Of Echo (AREA)
  • Radio Relay Systems (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 送信側あるいは受信側のアレイアンテナにお
ける放射パターンの自由度を発振防止のために損なうこ
となく発振を回避して、信頼性の高い無線中継装置を提
供する。 【解決手段】 本発明に係る無線中継装置は、指向性を
もつ受信アンテナ1と、複数(例えば4本)のアンテナ
素子2-1〜2-4からなる送信用アレイアンテナ2と、LN
A3と、雑音除去用BPF4と、ミキサ5と、局部発振
器6と、狭帯域BPF7と、増幅器8と、制御部9と、
ミキサ10-1〜10-4と、無線位相器11-1〜11-4と、イメー
ジ除去BPF12-1〜12-4と、PA(Power Amplifier)1
3-1〜13-4とを備えている。アレイアンテナ2の各アン
テナ素子に対して、相対位相に加えて共通の位相オフセ
ットを与えるため、アレイアンテナ2の放射パターンを
変えることなく、回り込み信号の位相状態を変えること
ができ、これにより、無線中継装置の発振を防止でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、受信アンテナで受
信したデジタル無線信号を増幅して送信アンテナから再
送信する無線中継装置及び無線中継方法に関する。
【0002】
【従来の技術】携帯電話や地上波デジタルなどに代表さ
れる無線通信サービスにおいて、移動局や加入者の受信
範囲の自由度を増加させるため、無線中継装置を用いた
無線通信サービルエリアの拡大が求められている。
【0003】無線中継装置は、無線信号を受信するため
の受信アンテナと、受信した無線信号を再送信するため
の送信アンテナとを備え、受信した無線信号を増幅し
て、送信アンテナから再送信するというシンプルな構成
である。
【0004】このため、電波の届きにくい都会、高層ビ
ル周辺、トンネル等の電波不感地帯、地下街など、様々
なエリアへの適用が検討されている。中継装置において
求められるものとして、送信アンテナ、あるいは受信ア
ンテナの放射パターンの選択がある。例えば、受信アン
テナにおいては、受信する無線信号は、中継して再送信
するため、マルチパスによるフェージングの影響を被っ
ていないスペクトル特性が良好なことが要求される。こ
のため、無線信号を送信している基地局方向に、強い指
向性のアンテナを向ける方法、あるいは、指向性を可変
なアレイアンテナを適用し、マルチパスの干渉を抑圧
し、フェージングの影響のない無線信号を抽出する方法
がある。
【0005】一方、送信アンテナにおいては、設置する
場所に応じて、放射したいエリアは異なるため、場所に
応じてアンテナ方向を合わせこむ必要があり、さらに、
放射エリアが離散していることも考えられる。
【0006】このような要望に対して、指向性アンテナ
は、指向性を物理的に向ける、放射エリアごとにアンテ
ナを変更する等、適応性が低く、設置に人的リソースが
必要となり、コスト高につながる問題がある。
【0007】そこで、人的リソースを改善するために、
送信アンテナをアレイ化し、各アレイアンテナ間の相対
位相を制御して、放射パターンを変化させられるアレイ
アンテナの中継器への適用が強く期待される。
【0008】アレイアンテナを送信アンテナに適用した
場合は、送信エリアが離散している場合においても放射
電力を有効活用でき、各エリアを狙って放射パターンを
整形することが可能であるし、また、障害物などが新た
に出現した場合においても、この障害物を回避して、冗
長な反射を増やさないように工夫することも可能であ
る。
【0009】以上から、送信アンテナにおいてもアレイ
アンテナの適用が期待されている。但し、無線中継装置
においては、受信信号から送信信号への増幅率に対し
て、送信アンテナから受信アンテナに再送信信号の回り
込み率が大きいと、中継装置が発振状態に陥るという問
題がある。無線中継装置が発振すると、無線信号の信号
品質が著しく劣化するため、中継装置としての役割を提
供することが不可能になる。発振状態を回避するために
は、回り込み率を小さくしたり、増幅率を抑える等の方
法がある。また、この問題に対し、送信アンテナあるい
は受信アンテナにアレイアンテナを用いた場合、送信ア
ンテナから受信アンテナへの回り込みを回避するような
放射パターンを作成することも考えられる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、中継器
における送信用アレイアンテナは、移動局や加入者を優
先して、放射パターンを決定する必要がある。また、受
信アンテナにアレイアンテナを用いた場合においても、
再送用の無線信号を、マルチパスを抑圧して受信するこ
とを優先して放射パターンを決定する必要がある。
【0011】勿論、アレイアンテナの素子数を増やすこ
とで、アンテナ放射パターンの自由度を上げ、上記優先
事項を維持して、送信アンテナから受信アンテナ側にヌ
ル成分を向けることも考えられる。
【0012】しかしながら、現実的には、設置可能なア
ンテナ素子数には限界があり、中継器という小型再送信
というコンセプトから、アンテナ数は十分なヌルを形成
できるほど確保できないと考えられる。
【0013】アレイアンテナにおいて、より少ないアン
テナ数で一方向の放射パターンの自由度を高めるために
は、アンテナ配置は、円状ではなく、直線あるいは半円
状のリニア配置がとられる。
【0014】ところが、リニアアレイは、アンテナ表面
と裏面の両方において、同様の放射パターンをとるた
め、例えば、送信側の放射パターンを優先すると受信ア
ンテナ側にヌルを構成することが不可能であり、大きな
電力をもつ再送信信号が回り込むことが考えられる。
【0015】アダプティブにアレイアンテナの放射パタ
ーンを変更する場合は、再送信用の無線信号を得るた
め、あるいは移動局や加入者を優先して、放射パターン
を決定するため、この放射パターンに依存して、送信ア
ンテナ側から受信アンテナ側への漏れ電力が大きく変動
することも考えられる。
【0016】また、中継器の送信アンテナと受信アンテ
ナは、一つの筐体あるいは側近に配置されることが要求
されるため、アンテナ放射が近傍界となり、送信アンテ
ナから受信アンテナに対して、ちょっとした環境変化か
ら、十分なヌルを安定して向けることが困難である。
【0017】送信アンテナの裏面に反射板などを配置し
て、回り込みを防止する手段もあるが、反射板による回
折がおき、近接の受信アンテナに対して、十分なヌルを
向けられるかどうかは、設置条件に大きく依存するた
め、現実的には、安定して回り込みを防止することが困
難である。
【0018】すなわち、アレイアンテナを採用した無線
中継装置は、再送信用の無線信号に対して反射波を除去
し、より直接波に近いスペクトルで受信するため、無駄
な電力を費やさず、新たな反射等を増加させずに、所望
の通信エリアに無線信号を再送信できる等の利点があ
る。
【0019】しかしながら、これらの利点のために、送
信アンテナから受信アンテナに対する放射パターンが変
動し、回り込み率が大きくなり、中継装置を発振状態に
陥れ、中継器としての機能を損なわせるという問題がお
きるおそれがある。
【0020】本発明は、上記課題に鑑みてなされたもの
であり、送信側あるいは受信側のアレイアンテナの様々
な放射パターンに対する発振を防止して、安定性及び信
頼性に優れた無線中継装置及び無線中継方法を提供する
ことにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、本発明は、デジタル無線信号を受信するための
受信アンテナと、デジタル無線信号を送信するための複
数のアンテナ素子からなるアレイアンテナを有する送信
アンテナと、を備え、前記受信アンテナで受信したデジ
タル無線信号を増幅して、前記送信アンテナから再送信
する無線中継装置であって、前記受信アンテナと前記送
信アンテナとの間に配置され、所定の帯域の信号のみを
通過させるバンドパスフィルタと、前記複数のアンテナ
素子それぞれの相対位相差を制御する相対位相差制御部
と、前記複数のアンテナ素子それぞれに対して共通して
付与される位相オフセット量を制御する共通オフセット
量制御部と、前記バンドパスフィルタを通過した信号に
対して前記相対位相差制御部及び前記共通オフセット量
制御部のそれぞれにて位相調整を行った後の信号を、前
記送信アンテナから送信させる送信制御部と、を備え
る。
【0022】本発明では、各アレイアンテナに対して、
相対位相に加えて位相オフセット量を与えるため、アレ
イアンテナの放射パターンを変更することなく、回り込
み信号の位相状態を変更でき、無線中継装置の発振状態
を防止できる。
【0023】また、本発明は、デジタル無線信号を受信
するための複数のアンテナ素子からなるアレイアンテナ
を有する受信アンテナと、デジタル無線信号を送信する
ための送信アンテナと、前記受信アンテナで受信したデ
ジタル無線信号を増幅して、前記送信アンテナから再送
信する無線中継装置であって、前記複数のアンテナ素子
のそれぞれと前記送信アンテナとの間に配置され、所定
の帯域の信号のみを通過させるバンドパスフィルタと、
前記複数のアンテナ素子それぞれの相対位相差を制御す
る相対位相差制御部と、前記複数のアンテナ素子それぞ
れに対して共通して付与される位相オフセット量を制御
する共通オフセット量制御部と、前記バンドパスフィル
タを通過した信号に対して前記相対位相差制御部及び前
記共通オフセット量制御部のそれぞれにて位相調整を行
った後の信号を、前記送信アンテナから送信させる送信
制御部と、を備える。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る無線中継装置
及び無線中継方法について、図面を参照しながら具体的
に説明する。
【0025】(第1の実施形態)図1は本発明に係る無
線中継装置の第1の実施形態の概略構成を示すブロック
図である。図1の無線中継装置は、指向性をもつ受信ア
ンテナ1と、複数(例えば4本)のアンテナ素子2-1〜2
-4からなる送信用アレイアンテナ2と、LNA(Low No
ise Amplifier)3と、雑音除去用BPF(Band pass f
ilter)4と、ミキサ5と、局部発振器6と、狭帯域B
PF7と、増幅器8と、制御部9と、ミキサ10-1〜10-4
と、無線位相器11-1〜11-4と、イメージ除去BPF12-1
〜12-4と、PA(Power Amplifier)13-1〜13-4とを備
えている。
【0026】受信アンテナ1は、不図示の基地局からの
デジタル無線信号100を受信する。受信信号は、LN
A3と雑音除去用BPF4を経由し、ミキサ5にて、局
部発振器6から出力されたローカル信号101と乗算さ
れて周波数ダウンコンバートされ、デジタル無線信号1
02になる。
【0027】周波数ダウンコンバートされたデジタル無
線信号102は、狭帯域BPF7に供給される。狭帯域
BPF7は、周波数変換の際に発生するイメージと、デ
ジタル無線信号100の近接帯域に存在する他事業者か
らの干渉波を遮断する。
【0028】雑音除去用BPF4が十分な干渉波遮断を
行う場合には、周波数をダウンコンバートする必要はな
いが、通常、携帯電話や放送で使用されるRF帯域では、
狭帯域フィルタを生成するのが困難であるため、いった
ん1GHz以下のIF帯域に周波数をダウンコンバートしてか
ら、狭帯域BPF7を通過させる。
【0029】狭帯域BPF7を通過したデジタル無線信
号102は、増幅器8で十分な利得が与えられ、アレイ
アンテナ2の各ブランチに分岐される。このとき、デジ
タル無線信号102の信号成分の一部が制御部9に入力
される。制御部9の信号処理については後述する。
【0030】アレイアンテナ2の各ブランチでのデジタ
ル無線信号102は、ミキサ10-1〜10-4にて、再びロー
カル信号101と乗算され、デジタル無線信号100と
同帯域に周波数アップコンバートされて、デジタル無線
信号103になる。ミキサ10-1〜10-4に入力されるロー
カル信号101は、事前に無線位相器11-1〜11-4にて位
相重みが付加されるため、ミキサ10-1〜10-4から出力さ
れるデジタル無線信号103には、位相重みが重畳され
ることになる。このデジタル無線信号103は、イメー
ジ除去BPF12-1〜12-4により、イメージが取り除か
れ、PA13-1〜13-4(Power amplifier)で利得を与え
られ、アレイアンテナ2から再送信される。
【0031】図2は図1の無線中継装置の等価回路図で
ある。図2の等価回路は、合成器14と、バンドパスフ
ィルタ(BPF)15と、増幅器16と、位相オフセッ
ト器17と、分配器18と、相対位相器19と、回り込
み信号の合成器20と、制御部9とを有する。
【0032】合成器14,20は、図1のアレイアンテ
ナ2から放射されたデジタル無線信号103の一部が受
信アンテナ1に回り込む様子を等価的に示すものであ
り、図1のアレイアンテナ2と受信アンテナ1が図2の
合成器14,20に対応する。
【0033】BPF15は、ループフィルタの役割を果
たし、図1のBPF7に相当する。増幅器16は、無線
中継装置に利得αを与えるものである。図1の無線位相
器11-1〜11-4の相対位相とオフセット位相の役割を明確
化するために、図2では位相オフセット器17と相対位
相器19とに分けて示している。
【0034】受信アンテナ1で受信されたデジタル無線
信号100をs(t)とすると、アレイアンテナ2から送信
されるデジタル無線信号103は、(1)式で表され
る。
【0035】 sk(t) = α・s(t)・exp{-j・ω・T−j・(φkoffset)} …(1) φkは、相対位相器19で付加されるアレイ間の相対位
相であり、φoffsetは、位相オフセット器17で付加さ
れる位相オフセット量である。位相重みφkにより、ア
レイアンテナ2の放射パターンが制御され、位相オフセ
ットφoffsetは、放射パターンには関与しない。Tは受
信アンテナ1から送信アンテナを経由して受信アンテナ
12に回り込むまでの所要時間であり、ωはデジタル無
線信号の搬送波角振動周波数である。
【0036】送信アレイアンテナ2から受信アンテナ1
への回り込みによるデジタル無線信号104は、各アレ
イアンテナ2から受信アンテナ1までの距離は不変であ
ることから、回り込みの環境条件に急激な変動はなく、
また、各アレイアンテナ2から受信アンテナ1までの距
離差及び伝搬時間は無視できると考えられる。したがっ
て、回り込み信号s’(t)は(2)式で表される。
【0037】 s’(t) = Σn=1〜k α・β・s(t)・exp{-j・ω・T -j・(φkoffset)} … (2) ここで、βは回り込み率である。また、上記s’(t)を記
述し直すと、(3)式のようになる。
【0038】 s’(t) = α・β・γ・s(t)・exp(-j・ω・T -jφoffset-jφγ) …(3) ここで、γはアレイアンテナ2の放射パターンによるア
ンテナ利得であり、φ γはアンテナ放射パターン時の位
相を示している。このとき、デジタル無線信号100の
信号帯域において、デジタル無線信号104、 s’
(t)、デジタル無線信号100及び s(t)の間に、(4)
式及び(5)式の関係が成り立つときに、無線中継装置
は発振状態に陥る。
【0039】 α・β・γ ≧ 1.0 …(4) |ωT+φoffsetγ| = 2nπ (nは整数) …(5) α・β・γだけを考慮すると、前述したように、送信先
の放射パターンを優先する等の影響から、(4)式の条
件を回避することは困難である。
【0040】一方、φoffsetに関しては、全てのアレイ
アンテナ2の位相オフセット量であり、相対位相差φk
で決定するアレイアンテナ2の放射パターンは変化しな
い。また、ωTは固定値であり、φγも放射パターンの
みに依存する固定値であるから、位相オフセット量φ
offsetを制御することで、φoffsetのみに依存して、無
線中継装置としての特性を変えずに、(5)式の条件を
回避することができる。
【0041】また、以下の(6)式及び(7)式の条件
を満たすことで、フィードバックループが形成される。
【0042】 α・β・γ ≧ 1.0 …(6) π/2+2nπ ≦|ωT+φoffsetγ| ≦ 3π/2+2nπ …(7) 図1の無線中継装置は、他事業者の干渉波を抑圧するた
めの狭帯域フィルタ7等に相当するバンドパスフィルタ
15を備えており、このバンドパスフィルタ15はフィ
ードバックループとしての機能を果たすため、(6)式
の条件下においても、発振状態を回避し、安定動作させ
ることができる。
【0043】このように、第1の実施形態では、アレイ
アンテナ2の各アンテナ素子に対して、相対位相に加え
て共通の位相オフセットを与えるため、アレイアンテナ
2の放射パターンを変えることなく、回り込み信号の位
相状態を変えることができ、これにより、無線中継装置
の発振を防止できる。
【0044】(第2の実施形態)第1の実施形態では、
無線中継装置自体をフィードバックループとして、安定
化させている。このフィードバックループが安定動作す
るためには、デジタル無線信号100と回り込み信号1
04との遅延時間差Tが、デジタル無線信号の周波数帯
域の1/2に相当する時間以下でなければならない。
【0045】例えば、デジタル無線信号の周波数帯域が
10MHzとすると、デジタル無線信号100と回り込み信
号104の遅延差Tが、1/10MHz ×1/2 = 50 ns 以下で
あればよい。遅延時間差が50 ns以上となると、デジタ
ル無線信号の帯域内において、2波モデルフェージング
と同様に、位相が逆相になる帯域と同相になる帯域が現
れるため、発振を確実に回避することは困難になる。以
下に説明する第2の実施形態は、このような遅延差に対
する制限をなくしたものである。
【0046】図3は本発明に係る無線中継装置の第2の
実施形態の概略構成を示すブロック図である。図3で
は、図1と共通する構成部分には同一符号を付してお
り、以下では相違点を中心に説明する。
【0047】図3の無線中継装置は、狭帯域BPF7と
増幅器8との間に、遅延回路21、利得制御用アンプ2
2及び加算器23を設けている。
【0048】受信アンテナ1で受信された基地局からの
デジタル無線信号100は、LNA3と雑音除去用BP
F4を経由して、ミキサ5にて、局部発振器6から出力
されたローカル信号と乗算されて周波数ダウンコンバー
トされ、デジタル無線信号102になる。
【0049】このデジタル無線信号102は、必要に応
じて、周波数変換の際のイメージ除去や、近接帯域に存
在する他事業者からの干渉波を遮断するための狭帯域B
PF7を通過した後、遅延回路21により、デジタル無
線信号における1シンボルの時間長以上の遅延を与えら
れる。
【0050】遅延回路21で遅延処理されたデジタル無
線信号105の一部は、利得制御用アンプ22を経由
し、加算器23により、デジタル無線信号102に重畳
される。また、分岐されなかった残りのデジタル無線信
号105は、増幅器8で十分な利得を与えられ、アレイ
アンテナ2の各ブランチに伝達される。
【0051】また、デジタル無線信号102とデジタル
無線信号105とを加算器23にて加算処理したデジタ
ル無線信号の一部は、信号処理用に制御部9に入力され
る。制御部9の信号処理については後述する。
【0052】アレイアンテナ2の各ブランチのデジタル
無線信号105は、再びローカル信号101とミキサ10
-1〜10-4で乗算され、デジタル無線信号100と同帯域
に周波数アップコンバートされて、デジタル無線信号1
06が生成される。ローカル信号101は、無線位相器
11-1〜11-4にて位相重みが付加されるため、ミキサ10-1
〜10-4にてローカル信号101と乗算されたデジタル無
線信号106には、位相重みが重畳されることになる。
デジタル無線信号106は、イメージ除去BPF12-1〜
12-4にてイメージが取り除かれ、PA13-1〜13-4で利得
が与えられ、アレイアンテナ2から再送信される。
【0053】図4は図3の無線中継装置の等価回路図で
ある。以下、図4を参照して、第2の実施形態の制御部
9の信号処理と無線中継装置の処理動作を説明する。受
信アンテナ1で受信したデジタル無線信号100を、s
(t)と記述する。各アレイアンテナ2から受信アンテナ
1までの距離は不変であり、アレイアンテナ2から受信
アンテナ1への回り込みの環境条件に急激な変動はな
く、各アレイアンテナ2から受信アンテナ1までの距離
差は無視できると考えられるため、回り込みによるデジ
タル無線信号107 s’(t)は、(8)式のように記述で
きる。
【0054】 s’(t) =Σn=1〜k α・β・s(t-τ)・exp{-j・(ωT+φkoffset)} …( 8) ここで、βは回り込み率、τは遅延時間、Tは受信アン
テナ12から送信アンテナ1を経由して受信アンテナ1
2に回り込むまでの所要時間である。上記s’(t)を簡易
に記述し直すと、(9)式が得られる。
【0055】 s’(t) = α・β・γ・s(t-τ)・exp{-j・(ωT+φoffsetγ)} …(9) ここで、γはアレイアンテナ2の放射パターンによるア
ンテナ利得であり、φ γはアンテナ放射パターン時の位
相を示している。第1の実施形態と大きく異なる点は、
回り込み信号107に1シンボル時間以上の遅延τが付
加されていることである。
【0056】デジタル無線信号に1シンボル時間以上の
遅延が存在すると、元のデジタル無線信号と比較して、
相関性が低くなる。また、遅延回路21の一部の出力
を、利得可変の増幅器8を介してループバックして加算
器23でデジタル無線信号102に加算すると、加算器
23後のデジタル無線信号108 s”(t)は、(10)
式のようになる。
【0057】 s”(t) = s(t) + α・β・γ・s(t-τ)・exp{-j・(ωT+φoffsetγ)} +ε・s(t−τ)exp(-j・ωT’) …(10) ここで、εは増幅器8の利得を示しており、T’は増幅
器8を介してループバックされて加算されるまでの時間
を示しており、T’< Tである。
【0058】送信用アレイアンテナ2から受信アンテナ
1を経由して再びアレイアンテナ2に回り込む時間Tが
1シンボル時間よりも小さいと、S”(t)の第2項と第3
項は相関が強いが、第1項は第2及び第3項とは相関が
低いことがわかる。
【0059】したがって、アレイアンテナ2の干渉除去
などで使用されている出力電力最小化アルゴリズムを回
り込み信号の抑圧に適用することができる。ωT、ωT’
及びφγは固定値であるため、制御パラメータとして
は、第2項と第3項の位相関係を決定するφoffsetを用
いて、第3項と相関の強い第2項を打ち消す。
【0060】また、必要に応じて、つまり、いっそうの
回り込み信号107を抑圧するために、第3項の振幅も
制御してもよい。具体的には、増幅器8を可変利得増幅
器8として、利得εを制御部9で制御する。
【0061】図3及び図4では、増幅器8を可変利得ア
ンプとして図示している。振幅制御に関しては、アレイ
アンテナ2の自由度に余裕がある場合は、アレイアンテ
ナ2の放射パターンのメインローブを固定して、サイド
ローブのみを変化させて、アンテナ利得γを制御しても
よい。この場合には、φγが変化するが、変化後は固定
値であるため、位相オフセットφoffsetの制御には問題
がない。
【0062】また、無線中継装置が発振に陥るのは、第
2項の回り込み成分が第1項より強度が大きい場合であ
り、第1項のみを残存させることで最小電力となる。ま
た、第1項は第3項と相関が低く、第3項とは振幅のみ
の自由度であることから、第1項を除去することはな
い。したがって、第2項を、ループバックさせたデジタ
ル無線信号である第3項で打ち消すことができ、理想的
には、回り込み信号107を完全に抑圧することができ
る。
【0063】第2の実施形態では、送信側にアレイアン
テナ2を用いているため、回り込みによる発振を防止す
るための付加回路は、遅延回路21、利得可変の増幅器
8、加算器23、及び制御部9内の出力電力最小化等の
アルゴリズムを遂行する信号処理部のみである。
【0064】第2の実施形態の場合、アレイアンテナ2
の位相制御は、第1の実施形態と同様に、無線位相器11
-1〜11-4がアレイアンテナ2に位相オフセット量φ
offsetを重畳するだけであり、新しく回路を追加する必
要はない。したがって、第2の実施形態によれば、無線
中継装置としての回路規模の増大を最小限に留めること
ができ、かつ、回り込みによる発振状態も回避できる。
【0065】第2の実施形態において、デジタル無線信
号を遅延させる具体的な手段は特に問わない。例えば、
図5は光ファイバを用いた遅延回路21の構成を示して
いる。デジタル無線信号をレーザ24に入力し、デジタ
ル無線信号の波形で、レーザ24から出力される光信号
強度を変調する。出力された光信号は、光ファイバ25
を介して、フォトデテクター25に入力され、光信号強
度を再びデジタル無線信号として取り出す。この際の光
ファイバ25の長さにより、遅延時間を設定する。光フ
ァイバの伝播時間は、1kmあたり、約5μsである。し
たがって、3.84McpsのIMT-2000のCDM信号であれば、約5
0 mの長さを伝送させると0.25 μsの遅延が付加さ
れ、回り込み信号は、1チップ以上の遅延が与えられる
ことになる。
【0066】また、1.223 McpsのIMT-2000のCDM信号で
あれば、160 m の光ファイバ長を伝送させれば、回り込
み信号に1チップ以上の遅延が与えられる。光ファイバ
は、0.5 dB/km以下と低損失であり、200mの長さを伝送
させても伝播損失は0.1 dB程度と低損失であり、遅延線
として適している。また、光ファイバ伝送を無線中継装
置の一部分として使用すると、一般的に、利得が大きく
発振しやすい無線中継装置において、光送信側と光受信
側に利得を分散して、電気的アイソレーションを高める
ことが可能となる。このため、光送信側と光受信側の利
得を抑えられ、基板内での回り込みによる発振、電源ラ
インを介しての回り込み等を抑えて、より安定度の高い
無線中継装置を提供できる。
【0067】このように、第2の実施形態では、無線中
継装置の受信アンテナと送信アンテナとの間に、回りこ
み信号が主受信信号に対して無相関になるように遅延回
路(具体的には、CDM信号であれば1チップ以上)を設
け、かつアレイアンテナからの送信する全ての再送信信
号に位相オフセットを与えるため、回り込み信号のパワ
ーが最小となるようなアダプティブ制御が可能となり、
無線通信サービス運用時においても、発振を防止でき
る。
【0068】遅延回路21は光ファイバ等で構成できる
ため、装置構成は複雑にならず、また、アレイアンテナ
2の放射パターンの自由度を失わずに無線中継装置の発
振を防止できる。
【0069】これにより、アレイアンテナ2と受信アン
テナ1とを近接して配置でき、無線中継装置全体の規模
を小型化できる。
【0070】また、本実施形態によるアレイアンテナを
用いた無線中継装置は、位相オフセットという制御パラ
メータを追加し、遅延回路とループバック線路を追加す
るだけで済み、装置構成は複雑にはならず、また、アレ
イアンテナの放射パターンの自由度も失わずに、無線中
継装置の発振を回避できる。これにより、送信アンテナ
と受信アンテナの距離をより接近することができ、無線
中継装置全体の装置規模の小型化できる。
【0071】(第3の実施形態)第3の実施形態は、受
信アンテナ1をアレイアンテナ2にしたものである。
【0072】図6は本発明に係る無線中継装置の第3の
実施形態の概略構成を示すブロック図である。図6の無
線中継装置は、複数(例えば4本)のアンテナ素子1-1
〜1-4からなるアレイアンテナと、各アンテナ素子に対
応して設けられるLNA3-1〜3-4、雑音除去用BPF4-
1〜4-4、ミキサ5-1〜5-4及び無線位相器11-1〜11-4と、
局部発振器6と、狭帯域BPF7と、遅延回路21と、
利得制御用アンプ22と、加算器23と、制御部9と、
ミキサ10と、BPF12と、PA13と、送信アンテ
ナ2とを備えている。
【0073】アレイアンテナで受信されたデジタル無線
信号100は、LNA3-1〜3-4と雑音除去用BPF4-1
〜4-4を介して、局部発振器6からのLO信号101とミ
キサ10で乗算され、周波数ダウンコンバートされる。
【0074】LO信号101は、無線位相器11-1〜11-4に
て相対位相と位相オフセットが付加されるため、各ミキ
サ10にて周波数ダウンコンバートされたデジタル無線
信号100には、位相情報が付与されることになる。
【0075】周波数ダウンコンバートされたデジタル無
線信号100は合成された後、イメージ除去用BPF7を
通過して、デジタル無線信号108が生成される。デジ
タル無線信号108は、遅延回路21を経由した後に一
部が分岐され、利得可変アンプ22を経由してループバ
ックし、加算器23にてデジタル無線信号108に加算
される。
【0076】分岐されなかったデジタル無線信号108
は、ミキサ10で再びLO信号101により周波数アップ
コンバートされて、デジタル無線信号100と同帯域に
なり、BPF12とPA13を介して、送信アンテナ2
から再送信される。
【0077】制御部9は、ループバックしたデジタル無
線信号108と、デジタル無線信号100とともに受信
される回り込みによるデジタル無線信号109とを打ち
消す制御を行うために、加算器23の出力の一部を取り
入れる。
【0078】アルゴリズムとしては、例えば、出力電力
最小化アルゴリズムを用いて、ループバックするデジタ
ル無線信号108の振幅を利得可変アンプ22より制御
し、さらに、回り込みによるデジタル無線信号109の
位相を、無線位相器11-1〜11-4の位相オフセット量で制
御する。このとき、受信アンテナ1は、相対位相差に基
づいて所望波に対して指向を向けているが、全てのアン
テナの位相オフセット変化に対しては不感応である。し
たがって、同じ無線位相器11-1〜11-4を使用することが
可能であり、無線中継装置としての構成も簡略化でき
る。
【0079】出力電力最小化アルゴリズムでは、ループ
バックしたデジタル無線信号108で、デジタル無線信
号100まで抑圧してしまうおそれがある。しかしなが
ら、遅延回路21で1チップ以上の遅延が加えられるこ
とで、デジタル無線信号100との相関が低くなり、ま
たデジタル無線信号100とループバックしているデジ
タル無線信号108に対する制御対象は、位相のみで自
由度がないため、デジタル無線信号100が抑圧される
おそれはない。
【0080】無線中継装置の発振を確実に防止するに
は、ループバックしたデジタル無線信号108と回り込
みによるデジタル無線信号109との遅延を、1チップ
以内とすればよい。これにより、回り込み信号109と
ループバックしたデジタル無線信号108との相関を強
く保ちつつ、位相と振幅から複素の自由度が両者に与え
られるため、デジタル無線信号109を出力電力最小化
アルゴリズムで抑圧することができる。
【0081】また、デジタル無線信号100の強度を保
つ、あるいはデジタル無線信号100が伝搬してくる方
向を固定するという拘束条件を制御部9に付加すること
で、受信アンテナ1の放射パターンをある程度の範囲で
可変して、回り込み信号109を抑圧する位相条件を、
無線位相器11-1〜11-4に付加してもよい。
【0082】このように、第3の実施形態では、受信ア
ンテナ1がアレイアンテナの場合にも、送信アンテナ2
からの回り込み信号に対して位相オフセットを与えるた
め、無線中継装置の発振を防止できる。また、第2の実
施形態と同様に、回り込み信号の遅延成分を相殺するた
め、回り込み信号が遅延していても、その影響を受けな
くなる。
【0083】なお、回り込み信号109の遅延があまり
問題にならない場合は、図6の無線中継装置から、遅延
回路21、利得制御用アンプ22及び加算器23を省略
してもよい。
【0084】(第4の実施形態)第4の実施形態は、無
線中継装置が発振状態に陥ったか否かを自動的に判断
し、発振状態に陥ったと判断されると、利得可変アンプ
22の利得を下げて発振を回避するものである。
【0085】図7は本発明に係る無線中継装置の第4の
実施形態の概略構成を示すブロック図である。図7の無
線中継装置は、受信アンテナ1と、LNA3と、干渉波
除去用のフィルタ4と、利得可変アンプ27と、発振検
知器28と、スプリアス除去用BPF12と、PA13
と、送信アンテナ2とを備えている。
【0086】受信アンテナ1で受信したデジタル無線信
号100は、LNA3で増幅された後、干渉波除去用のフ
ィルタ4を通過して、デジタル無線信号110になる。
デジタル無線信号110は、利得可変アンプ27で利得
を与えられ、スプリアス除去用BPFとPA13を介し
て、送信アンテナ2から再送信信号111として、再送
信される。
【0087】図7の無線中継装置は、再送信するデジタ
ル無線信号の一部を分岐し、発振検知器28に入力す
る。分岐する箇所を本実施形態では利得可変アンプ27
の出力としているが、受信アンテナ1から送信アンテナ
2の間であればどこでもよい。
【0088】発振検知器28は、デジタル無線信号11
0のスペクトルの形状から、無線中継装置が発振してい
るか否かを判断する。無線中継装置が発振状態ではなく
正常に動作している場合は、デジタル無線信号110
は、図8(a)に示すようなスペクトル形状である。し
かし、無線中継装置が発振状態に陥ると、特定の周波数
に利得が偏るため、図8(b)に示すように、スペクト
ル形状が大きく変化する。このため、発振検知器28
は、分岐したデジタル無線信号110を信号帯域より小
さい帯域に分割して信号強度を測定し、この強度差が平
均レベルに対して所定値以上であれば、発振状態と判断
する。
【0089】例えば、デジタル無線信号の信号帯域を8
分割して、各帯域の強度を平均レベルに対するしきい値
を2 dBと設定する。例えば、各帯域の強度は、基準に対
して、-0.1 dB, -1.1 dB, -0.2 dB, +0.3 dB, +0.1 dB,
-0.2 dB, -0.5 dBであれば、全てしきい値以下であ
り、発振状態ではないと判断できる。
【0090】各帯域の強度が、平均レベルの基準に対し
て、-0.1 dB, +0.1 dB, +0.2 dB, +0.3 dB, +1.0 dB, +
5.2 dB, +1.5 dBであれば、しきい値以上の帯域があ
り、発振状態による特定帯域への利得の偏りと考えられ
る。したがって、デジタル無線信号のスペクトルの平坦
性から、無線中継装置の発振状態を判断することができ
る。受信アンテナ1で受信したデジタル無線信号110
に、回り込み信号112が含まれていたり、デジタル無
線信号100の伝搬路においてフェージングの影響があ
ると、デジタル無線信号110のスペクトル内に強度差
が現れる。
【0091】しかしながら、これらの影響は、図8
(c)のように、デジタル無線信号の平均レベル強度に
対して、特定周波数においてノッチが発生するような、
強度レベルの減少として現れる。発振状態においては、
デジタル無線信号の平均レベルに対して、特定周波数の
強度レベルが著しく増加するため、フェージングとは区
別して、発振状態を検知できることになる。また、デジ
タル無線信号100が直交周波数分割多重(OFDM: Orth
ogonal Frequency Division Multiplexing)信号の場
合、OFDM信号は、A/D変換後に、逆フーリエ変換(IF
FT)することで、各サブキャリア成分に分割することが
できる。したがって、OFDM信号に対する無線中継の場合
は、発振検知器28において、分岐したデジタル無線信
号にIFFT処理を行い、各サブキャリア信号に分割後、各
サブキャリア信号の強度レベルを比較して、発振状態か
否かを判断してもよい。
【0092】発振検知器28が無線中継装置の発振を検
知した場合は、発振状態を回避するための制御処理を施
す。具体的には、利得可変アンプ27の利得を下げ、受
信アンテナ1から送信アンテナ2まで、さらに回り込み
デジタル無線信号112を介した受信アンテナ1までの
利得が、0 dB以下になるようにする。または、図示して
いないが、第1〜第3の実施形態に示したように、送信
あるいは受信アンテナ1にアレイアンテナを用いている
場合は、全アレイアンテナの位相オフセット量を制御し
てもよい。アレイアンテナでない場合でも、無線位相器
11-1〜11-4を例えばPAの出力段に挿入して、回り込み信
号112とデジタル無線信号110の位相関係を反転状
態にして、発振状態を回避してもよい。
【0093】一方、発振検知器28により、無線中継装
置が発振していないと判断される場合は、加算器23に
よる加算処理を中断するようにしてもよい。
【0094】また、発振検知器28は、デジタル無線信
号110の周波数スペクトル以外から発振検知を行って
もよい。例えば、受信アンテナ1から送信アンテナ2の
間の利得可変アンプ27で消費される電流をモニタして
もよい。無線中継装置が発振状態に陥ると、利得可変ア
ンプ27の出力が最大側にはりつくため、消費電流が大
きくなることが多い。この電流値にしきい値を設けて、
しきい値以上であれば発振と判断してもよい。また、利
得可変アンプ27の出力強度を監視し、この強度に対し
て、同様にしきい値を設定してもよい。発振状態を回避
する手段として、発振の回避を判断する評価項目とし
て、これら利得可変アンプ27の消費電流や出力強度を
用いてもよい。
【0095】このように、第4の実施形態では、無線中
継装置内に発振検知器28を設けるため、発振状態か否
かを正確かつ迅速に判断でき、発振が検知された場合に
すばやく発振防止のための対策を取ることができる。
【0096】(この他の実施形態)第4の実施形態にお
ける発振検知機能を第2及び第3の実施形態に設けても
よい。つまり、無線中継装置が発振状態に陥っていない
状態であるならば、遅延後に分岐してループバックする
線路を遮断し、制御部9のアルゴリズムをストップさせ
ても構わない。例えば、出力電力最小化アルゴリズムに
おいて、デジタル無線信号100と遅延させたデジタル
無線信号の相関は、低いものの、同じ帯域内の同じ変調
信号であるため、ゼロではない。このため、あるレベル
でのデジタル無線信号100の抑圧方向に、制御部9の
アルゴリズムが動作する可能性がある。このような不安
定な動作を回避するために、無線中継装置が発振状態で
はない場合は、可変利得アンプ22をオフにする等し
て、ループバック線路を遮断し、ループバックされたデ
ジタル無線信号108が、加算器23で主線路に加算さ
れることを回避する。
【0097】このように、発振状態でない場合は、ルー
プバックを遮断し出力電力最小化等の信号処理をオフに
して、発振状態が検知されたら、ループバックを接続し
て出力電力最小化等の信号処理をオンにすることで、無
線中継装置としての動作安定性を高めてもよい。
【0098】上述した第2〜第5の実施形態において
は、主に、出力電力最小化法のアルゴリズムを適用した
無線中継装置について述べたが、アルゴリズムは、最小
2乗誤差法、CMA (Constant Modulas Algorithm)法、あ
るいはそれ以外でもよく、回り込みデジタル無線信号を
抑圧して、無線中継装置の発振を回避可能であれば、具
体的な手法は特に問わない。
【0099】上述した各実施形態において、無線中継装
置で中継するデジタル無線信号の種類は特に問わず、例
えば、符号分割多重(CDM)信号や直交周波数分割多
重(OFDM)信号である。図3に示した遅延回路21は、
デジタル無線信号が符号分割多重信号の場合には、1チ
ップ以上の遅延を与えるのが望ましい。
【0100】また、図7に示した発振検知器28は、デ
ジタル無線信号が直交周波数分割多重信号の場合には、
デジタル無線信号をAD変換した後、高速フーリエ変換処
理を施し、各サブキャリア信号に分割して、各サブキャ
リア信号に対する強度を測定し、その強度から発振状態
を判断する。
【0101】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、アレイアンテナを構成するすべてのアンテナ素子
に対して共通の位相オフセット量を与えることで、送信
アンテナから受信アンテナに対する回りこみ率に起因す
る無線中継装置の発振を回避する。
【0102】このような共通の位相オフセット量を与え
ても、アレイアンテナの相対位相差は変化しないため、
アレイアンテナとしての放射パターンに変動はない。つ
まり、アレイアンテナの自由度を発振防止のために損な
うことなく、発振状態を回避できる高い信頼性を備えた
無線中継装置を提供できる。また、アレイアンテナの放
射パターンの自由度が維持できることで、受信アンテナ
にアレイアンテナを適用した場合は、デジタル無線信号
を受信する際に発振防止のために反射波や干渉波などを
除去して、より劣化の少ないデジタル無線信号が得られ
る。また、送信アンテナにアレイアンテナを適用した場
合は、より自由に、任意のエリアに再送信信号を送信で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る無線中継装置の第1の実施形態の
概略構成を示すブロック図。
【図2】図1の無線中継装置の等価回路図。
【図3】本発明に係る無線中継装置の第2の実施形態の
概略構成を示すブロック図。
【図4】図3の無線中継装置の等価回路図。
【図5】光ファイバを用いた遅延回路21の構成を示す
図。
【図6】本発明に係る無線中継装置の第3の実施形態の
概略構成を示すブロック図。
【図7】本発明に係る無線中継装置の第4の実施形態の
概略構成を示すブロック図。
【図8】デジタル無線信号のスペクトル波形を示す図。
【符号の説明】
1 受信アンテナ 2 送信用アレイアンテナ 3 LNA(Low Noise Amplifier) 4 雑音除去用BPF(Band pass filter) 5 ミキサ 6 局部発振器 7 狭帯域BPF 8 増幅器 9 制御部 10−1〜10−4 ミキサ 11−1〜11−4 無線位相器 12−1〜12−4 イメージ除去BPF 13−1〜13−4 PA(Power Amplifier)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5K022 EE01 EE11 EE21 5K046 AA05 HH02 5K072 AA04 AA29 BB13 BB27 CC20 CC32 DD11 DD16 DD17 GG03 GG05 GG14 GG22 GG44

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】デジタル無線信号を受信するための受信ア
    ンテナと、 デジタル無線信号を送信するための複数のアンテナ素子
    からなるアレイアンテナを有する送信アンテナと、を備
    え、 前記受信アンテナで受信したデジタル無線信号を増幅し
    て、前記送信アンテナから再送信する無線中継装置であ
    って、 前記受信アンテナと前記送信アンテナとの間に配置さ
    れ、所定の帯域の信号のみを通過させるバンドパスフィ
    ルタと、 前記複数のアンテナ素子それぞれの相対位相差を制御す
    る相対位相差制御部と、 前記複数のアンテナ素子それぞれに対して共通して付与
    される位相オフセット量を制御する共通オフセット量制
    御部と、 前記バンドパスフィルタを通過した信号に対して前記相
    対位相差制御部及び前記共通オフセット量制御部のそれ
    ぞれにて位相調整を行った後の信号を、前記送信アンテ
    ナから送信させる送信制御部と、を備えることを特徴と
    する無線中継装置。
  2. 【請求項2】前記バンドパスフィルタを通過した信号を
    1シンボル以上遅延させた遅延信号を生成する遅延部
    と、 前記遅延信号の一部を前記遅延部で遅延させる前の信号
    に合成する合成部と、を備え、 前記送信制御部は、前記合成部で合成された信号に対し
    て前記相対位相差制御部及び前記共通オフセット量制御
    部のそれぞれにて位相調整を行った後の信号を、前記送
    信アンテナに送信させることを特徴とする請求項1に記
    載の無線中継装置。
  3. 【請求項3】デジタル無線信号を受信するための複数の
    アンテナ素子からなるアレイアンテナを有する受信アン
    テナと、 デジタル無線信号を送信するための送信アンテナと、 前記受信アンテナで受信したデジタル無線信号を増幅し
    て、前記送信アンテナから再送信する無線中継装置であ
    って、 前記複数のアンテナ素子のそれぞれと前記送信アンテナ
    との間に配置され、所定の帯域の信号のみを通過させる
    バンドパスフィルタと、 前記複数のアンテナ素子それぞれの相対位相差を制御す
    る相対位相差制御部と、 前記複数のアンテナ素子それぞれに対して共通して付与
    される位相オフセット量を制御する共通オフセット量制
    御部と、 前記バンドパスフィルタを通過した信号に対して前記相
    対位相差制御部及び前記共通オフセット量制御部のそれ
    ぞれにて位相調整を行った後の信号を、前記送信アンテ
    ナから送信させる送信制御部と、を備えることを特徴と
    する無線中継装置。
  4. 【請求項4】前記バンドパスフィルタを通過して、前記
    相対位相差制御部及び前記共通オフセット量制御部のそ
    れぞれにて位相調整を行った後の信号を1シンボル以上
    遅延させた遅延信号を生成する遅延部と、 前記遅延信号の一部を前記遅延部で遅延させる前の信号
    に合成する合成部と、を備え、 前記送信制御部は、前記合成部で合成された信号を前記
    送信アンテナに送信させることを特徴とする請求項3に
    記載の無線中継装置。
  5. 【請求項5】前記遅延部は、 デジタル無線信号を光信号に変換する電気/光変換器
    と、 前記光信号を伝搬させる光ファイバと、 前記光ファイバで伝搬させた光信号を電気信号に変換す
    る光/電気変換器と、 を有することを特徴とする請求項2または4に記載の無
    線中継装置。
  6. 【請求項6】前記デジタル無線信号は符号分割多重(C
    DM)信号であり、 前記遅延部は、前記デジタル無線信号の1チップ以上の
    遅延を与えることを特徴とする請求項2、4及び5のい
    ずれかに記載の無線中継装置。
  7. 【請求項7】前記共通オフセット量制御部は、前記合成
    部で合成される信号の電力が最小になるように前記位相
    オフセット量を制御することを特徴とする請求項2、
    4、5及び6のいずれかに記載の無線中継装置。
  8. 【請求項8】前記共通オフセット量制御部は、無線中継
    装置内での発振が防止されるように前記位相オフセット
    量を制御することを特徴とする請求項1及至7のいずれ
    かに記載の無線中継装置。
  9. 【請求項9】無線中継装置の発振状態を検知する発振状
    態検知部を備え、 前記共通オフセット量制御部は、前記発振状態検知部の
    検知結果に基づいて前記位相オフセット量を制御するこ
    とを特徴とする請求項1及8のいずれかに記載の無線中
    継装置。
  10. 【請求項10】無線中継装置の発振状態を検知する発振
    状態検知部を備え、 前記合成部は、前記発振状態検知部により発振状態であ
    ると検知された場合のみ、合成処理を行うことを特徴と
    する請求項2、4、5、6及び7のいずれかに記載の無
    線中継装置。
  11. 【請求項11】前記受信アンテナで受信されたデジタル
    無線信号の周波数特性の平坦性の度合いを測定する平坦
    性測定部を備え、 前記発振状態検知部は、前記測定された周波数特性の平
    坦性の度合いに基づいて、無線中継装置の発振状態を検
    知することを特徴とする請求項9または10に記載の無
    線中継装置。
  12. 【請求項12】前記デジタル無線信号は、直交周波数分
    割多重(OFDM)信号であり、 前記平坦性測定部は、前記デジタル無線信号をA/D変
    換した後に高速フーリエ変換処理を施して各サブキャリ
    ア信号に分割し、各サブキャリア信号に対する強度を測
    定し、 前記発振状態検知部は、前記測定された強度に基づいて
    発振状態を検知することを特徴とする請求項11に記載
    の無線中継装置。
  13. 【請求項13】デジタル無線信号を受信するための受信
    アンテナと、 デジタル無線信号を送信するための複数のアンテナ素子
    からなるアレイアンテナを有する送信アンテナと、を用
    いて、前記受信アンテナで受信したデジタル無線信号を
    増幅して、前記送信アンテナから再送信する無線中継方
    法であって、前記受信アンテナで受信された信号のう
    ち、所定の帯域の信号のみを通過させるステップと、 前記複数のアンテナ素子それぞれの相対位相差を制御す
    るステップと、 前記複数のアンテナ素子それぞれに対して共通して付与
    される位相オフセット量を制御するステップと、 前記所定の帯域の信号のみを通過させた信号に対して前
    記相対位相差及び前記位相オフセット量を制御した後の
    信号を、前記送信アンテナから送信させるステップと、
    を備えることを特徴とする無線中継方法。
  14. 【請求項14】デジタル無線信号を受信するための複数
    のアンテナ素子からなるアレイアンテナを有する受信ア
    ンテナと、デジタル無線信号を送信するための送信アン
    テナと 、を用いて、前記受信アンテナで受信したデジタル無線
    信号を増幅して、前記送信アンテナから再送信する無線
    中継方法であって、 前記複数のアンテナ素子で受信された信号のうち、所定
    の帯域の信号のみを通過させるステップと、 前記複数のアンテナ素子それぞれの相対位相差を制御す
    るステップと、 前記複数のアンテナ素子それぞれに対して共通して付与
    される位相オフセット量を制御するステップと、 前記所定の帯域の信号のみを通過させた信号に対して前
    記相対位相差及び前記位相オフセット量を制御した後の
    信号を、前記送信アンテナから送信させるステップと、
    を備えることを特徴とする無線中継方法。
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