JP3705536B2 - 無線中継増幅装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は例えば移動通信、特にデジタル通信や、スペクトラム拡散通信(CDMA方式、SS方式等)において電波が弱いエリアを救済するために用いられる無線中継増幅装置(以下ブースタ装置と称す)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
移動通信システムでは、基地局からの電波が弱いエリア、例えゾーン(セル)の周辺において通信の品質が低下する。また、山などがあると基地局に対し裏側には電波が届かなくなるので、地形的な理由でサービスを提供できない地域がある。このような条件のエリアでも高品質にサービスを行うためには基地局を設置すればよいが、サービスコストが高くなる欠点がある。
【0003】
そこで簡易に通信の中継が行えるブースタ装置が利用されてきた。ブースタ装置は基地局からの信号を受信して、その受信信号を増幅し、同一周波数で目的とするエリアに向かって強い電波を送信する。また目的とするエリアからの信号を受信し、その受信信号を増幅し、同一周波数で基地局に向かって強い電波を送信するものである。
しかし、ブースタ装置は設置上のいくつかの条件を満たす必要がある。もっとも大きな課題として、送信アンテナと受信アンテナの電磁的な結合により、送信用アンテナから放射された強い電波が、受信アンテナの本来の受信信号に混入し動作が不安定になる発振が問題であった。送信アンテナと受信アンテナの電磁的な結合による結合減衰量は、アンテナの近傍の木や車の動きなどで穏やかに変動するため、装置が安定に動作しているか、発振しているかを監視する必要があった。
【0004】
同じ通信周波数でユーザー多重を行うCDMA方式などでは、ブースタ装置の発振はブースタエリアでの通信が不可能になるだけではなく、ブースタと通信している基地局(親局)への中継信号のレベルが過大となることにより、親局の受信感度が低下するため、親局配下の全ての移動局は送信レベルを上げる。この移動局が送信レベルを上げる状態は同じ周波数を使っている周辺セルにまで影響し、親局を中心に近接する基地局までシステムダウンを引き起こす可能性がある。これを避けるため、ブースタシステムでは発振が起きる前に利得を制御し、未然に発振を防ぐ必要がある。
【0005】
そこで以下のようにブースタ装置に発振検出回路を付加したものが提案されている。
第1の方法は、送信信号にパイロット信号を付加する方法である。この方法は図9に示すように受信アンテナ11に入力される受信信号はバンドパスフィルタ13,16による帯域外信号の除去と、増幅器15による適正な増幅が行われた後、パイロット信号発生器21よりのパイロット信号と合成器17で合成され、その合成信号は送信信号として送信アンテナ18から送信される。
【0006】
一方、合成器17で合成され、送信アンテナ18から送信されたパイロット信号は、受信アンテナ11で受信され、カップラ12で分岐され、その分岐出力からフィルタ19で受信パイロット信号が抽出される。受信パイロット信号とパイロット信号発生器21からの信号との信号強度比を比較器20で測定することにより、送信アンテナ18からの廻り込み量を検出し、減衰器14を制御する。この方法では、パイロット信号を付加するために送信信号に擾乱が加わるという欠点があった。
【0007】
第2の方法は、受信信号を変調信号で変調してから増幅する方法である。この方法は図10に示すように、受信アンテナ11の受信信号が変調器23に入力され、この変調器23で変調信号発生器26から与えられる変調信号で変調されて送信アンテナ18から送信される。送信波はカップラ12で分岐された後、復調器24で復調されて変調信号成分を得、これと変調信号発生器26よりの変調信号との相関が相関器25によってとられ、その相関を測定することによって廻り込み波量を検出する。
【0008】
この従来の方法は、送信波に変調をかけているので、本来の送信信号とは異なり、擾乱が加わると言う欠点があった。
第3の方法は、受信信号の周波数fL に対して微少の周波数オフセットΔfを変換させてから増幅する方法である。この方法は図11および図12に示すように、受信アンテナ11の受信信号が、カップラ12で分岐された後、検波器28によってオフセット周波数Δfの周波数成分を検出し、その信号強度より廻り込み波量を検出する。周波数のオフセットΔfは図11に示すように無限位相器27を周波数オフセット発生器29で制御して得る方法と、図12に示すミキサ30および31とローカル信号発生器32Aおよび32Bで構成し、ローカル信号発生器32Aと32Bの発振周波数に微少のずれを生じさせることによって得る方法とがある。なお、この周波数オフセット方式は特願昭61−111088と特願昭60−281219号、特願昭61−223496号の各明細書に記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の方法は送信波の周波数をずらしたり、或いはパイロット信号を付加したり、変調を掛けたりしているので本来の送信信号とは異なり、擾乱が加わっているという欠点があった。また中継時の中継信号擾乱により通信品質が劣化し、中継エリアの受信感度の低下や、エリア半径が小さくなるなどの問題があった。
【0010】
この発明の目的は受信信号を変調したり、周波数オフセットのような擾乱を加えずに廻り込み量を測定することによって未然に装置の発振を防ぐことができるブースタ装置を提供することにある。また、この発明によれば従来の方法では難しかったブースタの多段中継も可能となる。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1では、受信アンテナと、この受信アンテナで受信されたスペクトラム拡散された受信信号に遅延前の信号と遅延後の信号間をほぼ無相関とするための遅延を生じさせる第1遅延器と、この第1遅延器で遅延された受信信号の振幅を制御する利得制御部と、この利得制御部から出力される信号を送信信号に変換する送信部と、この送信部から出力される送信信号を送出する送信アンテナと、上記受信アンテナからの受信信号を受信する受信部と、この受信部で受信した受信結果に応じて上記利得制御部の利得を制御する判定制御部と、
によって構成した無線中継増幅装置を提案する。
【0012】
この発明の請求項2では請求項1記載の無線中継増幅装置において、受信部には受信信号のピークレベルと送信アンテナから受信アンテナへの廻り込み信号のピークレベルを検出するピークレベル検出回路を設けた構成とした無線中継増幅装置を提案する。
この発明の請求項3では請求項1記載の無線中継増幅装置において、受信部には親局からの受信希望波と、この受信希望波が所定の時間遅延して到来する遅延波を加え合わせた第1信号成分と、第1遅延器で遅延されて送信アンテナから送信された電波が受信アンテナに廻り込んだ廻り込み波と、この廻り込み波が遅延して到来する遅延波を加え合わせた第2信号成分とを分離して取り出すマッチトフィルタと、
このマッチトフィルタから出力される第1信号成分と第2信号成分の各ピークレベルを検出するピークレベル検出器と、
このピークレベル検出器で検出した第1信号成分のピーク検出値に遅延を与え、第1信号成分のピーク検出値と第2信号成分のピーク検出値の位相を合致させる第2遅延器とを含む構成とした無線中継増幅装置を提案する。
【0013】
この発明の請求項4では請求項1記載の無線中継増幅装置において、
受信部は受信アンテナで受信される受信信号を直交検波する直交検波器と、
この直交検波器から出力される直交検波信号の中の第1遅延器で遅延されない第1信号成分と第1遅延器で遅延された第2信号成分との間の時間差に相当する遅延時間を与える第2遅延器と、
この第2遅延器から出力される直交検波信号の虚数成分の極性を反転させ、直交検波信号を複素共役信号に変換する手段と、
直交検波信号と複素共役信号とが入力されて平均相関値ρ(t) を求める遅延検波器と、
この遅延検波器が出力する複数の平均相関値の平均値を求める相関平均処理器と、
第2遅延器の遅延時間を第2遅延器の遅延時間がゼロの状態と、相関平均値が極大値になる遅延時間に制御する廻り込み波遅延時間サーチャーと、
第2遅延器の遅延時間がゼロの状態で得られる相関平均値/ρ(0) と、相関平均値が極大値となる遅延時間に設定された状態で得られる相関平均値/ρ(Δt)との比を求め、受信アンテナと送信アンテナとの間の結合量を算出する結合量演算部と、
この結合量演算部から与えられる結合量が所定値を越える状態で送信信号のレベルを低下させる制御を行う判定制御部とによって構成した無線中継増幅装置を提案する。
【0014】
この発明の請求項5では請求項3または4記載の無線中継増幅装置のいずれかにおいて、上記第2遅延器は可変遅延器を用いた構成とした無線中継増幅装置を提案する。
この発明の請求項6では請求項3または4記載の無線中継増幅装置のいずれかにおいて、装置の立ち上げ時に送信アンテナと受信アンテナとの間の伝搬遅延時間を測定し、この測定結果を上記第2遅延器に設定する遅延時間設定手段を具備している構成とした無線中継増幅装置を提案する。
【0015】
この発明の請求項7では請求項3または4記載の無線中継増幅装置のいずれかにおいて、遅延検波により装置運用中の伝搬遅延時間を検出する遅延時間検出手段を装備した構成とした無線中継増幅装置を提案する。
この発明の請求項8では請求項6記載の無線中継増幅装置において、上記伝搬遅延時間の測定は手動で遅延時間を測定する手段で構成した無線中継増幅装置を提案する。
【0016】
この発明の請求項9では請求項6記載の無線中継増幅装置において、伝搬遅延時間の測定は自動で遅延時間を測定する手段で構成した無線中継増幅装置を提案する。
この発明の請求項10では請求項3または4記載の無線中継増幅装置のいずれかにおいて、受信信号の処理は電圧平均または電力平均を用いる手段を装備している構成とした無線中継増幅装置を提案する。
【0017】
この発明の請求項11では請求項3または4記載の無線中継増幅装置のいずれかにおいて、受信信号のレベルが低い状態では電圧平均を用い、受信信号のレベルが高いときは電力平均を用いる構成とした無線中継増幅装置を提案する。
【0018】
【作 用】
この発明による無線中継増幅装置によれば、受信信号に遅延を与えて中継するだけであるから、中継された信号に擾乱が与えられることはない。従って、擾乱を与えることなく発振するか否かを監視することができるから、中継時の中継信号擾乱により通信品質が劣化し、中継エリアの受信感度が低下したり、或いはエリア半径が小さくなる等の不都合が生じることはない。また従来の技術では不可能であったブースタ同士の多段中継も可能になる利点が得られる。
【0019】
【発明の実施の形態】
この発明による無線中継増幅装置では受信アンテナは基地局からの信号を受信希望波とするが、同時に送信アンテナからの送信信号が廻り込み波として混入しており、これらの重畳信号が受信信号となる。ブースタ装置の利得をG(dB),送受信アンテナの結合量をL(dB),ブースタ装置の動作マージンをM(dB)とすれば、ブースタ装置は下記の条件の下で動作する必要がある。この条件を満たさない場合、ブースタ装置の不安定動作または発振動作になる。
【0020】
G>L+M ・・・・・・・・・・・ (1)
この発明の請求項1で提案する無線中継増幅装置の基本構成に対応する実施例を図1に示す。以下に述べる信号は全て複素包絡線表示されているとする。すなわち、定数の信号をx(t) =Re{x(t) exp(j2πft)}のように複素包絡線x(t) で表す。
図1で示す実施例では無線中継増幅装置は受信アンテナ11と、この受信アンテナ11からの受信信号y(t) を所望の時間Δtだけ遅延させる第1遅延部33と、この第1遅延部33で遅延された受信信号y(t) の増幅利得を制御する利得制御部34と、送信部32と、送信アンテナ18とによって構成される。
【0021】
この無線中継増幅装置に対して請求項1で提案する無線中継増幅装置は、受信アンテナ11からの受信信号を受信する受信部35と、この受信部35の受信結果に従って利得制御部34の利得を制御する判定制御部36を付設して構成した場合を示す。ここでは受信部35と判定制御部36により図9乃至図12に示した発振検出手段22を構成することになる。
受信アンテナ11で受信された受信信号y(t)は第1遅延部33で時間Δtの遅延を受け、送信信号u(t)として送信アンテナ18に供給される。遅延時間Δtは中継する変調信号のシンボルレートまたはチップレート値で、1シンボルまたは1チップ以上の遅延時間に設定することにより、y(t)とu(t)の相関は、無相関または無相関に近い値と考えることができる。
【0022】
送信信号u(t) は空間に放射され、その一部は送受信アンテナの結合量qの減衰を受け、受信アンテナ11にリークし、その廻り込み信号はqu(t) で表すことができる。受信アンテナ11の受信信号y(t) は希望信号(直接波)s(t) と廻り込み波(反射波)qu(t) の重畳信号が入力されると考えられる。受信部35では受信アンテナ11からの受信信号y(t) を検波し、y(t) とu(t) の相関検出を行い、廻り込み量を推定する。受信波y(t) と送信波u(t) との相関検出を行い測定相関値から廻り込み量を推定し、判定制御部36に報告する。判定制御部36では推定廻り込み量がしきい値を越えた場合、利得制御部34の利得を制御することにより不安定動作および発振を防ぐことができる。
【0023】
前述した受信部35の相関の検出方法には各種の方法が考えられる。具体的な実施例を図2と図3に示す。ブースタ設置運用中はアンテナを移動することがないので、基地局(親局)と受信アンテナ11と間の伝搬路の変動はほとんど無い。送受信アンテナ11と18の結合量qは変動しないとする。また、基地局の送信アンテナと、受信アンテナ11は地上高の高い見通しの良いところに付けられるので、見通し伝搬に近く、パス数(反射波の数)は1パスから多くても3パス程度と考えることができる。図4Aに受信希望波(直接波)のプロファイルを示す。この例では受信希望波が遅延して到来する遅延波のパス数が2つの例を示す。図4Bはマッチトフィルタ39によって図4Aに示した受信希望波とその遅延波とを同一の位相に合わせ込んだ様子を示す。ブースタ装置の送信を開始した場合の受信プロファイルを図4Cに示す。希望波レベル(実線)の後にブースタ装置からの廻り込みレベル(点線)が観測される。回り込み信号は送信アンテナ18から送信されるまでの間に上述したように第1遅延部33で1シンボルまたは1チップ以上の遅延が既に与えられているため、受信希望波と無相関とされるため、受信希望波の位相に合成されない。
【0024】
図2の実施例では、送信スイッチ38によってブースタ運用開始時や再起動時に送信を停止し、マッチトフィルタ39によって一度パスサーチを行い、受信レベルが最大になるように、つまりピークレベル検出器40が出力するピークV1が最大になるように、マッチトフィルタ39を制御する(図4B参照)。基地局からブースタ間のパスは前述の理由でほとんど変化しないので、マッチトフィルタ39のフィルタ係数も変化しない。
【0025】
次に、送信スイッチ38を閉じて送信を開始し、徐々に利得を上げる。このときの受信信号プロファイルを図4Dに示す。送信アンテナ18から受信アンテナ11への伝搬時間をtdとすれば、受信希望波のピーク値V1の信号から、Δt+tdの遅延時間の後にブースタからの廻り込み信号のピーク値V2の信号が受信される。ピーク値V2の信号は直接判定制御部36に入力するが、ピーク値V1の信号はピーク値V2の信号の遅延時間td+Δtだけ第2遅延器41で遅延させ、判定制御部36にピーク値V1とV2の信号が同一のタイミングで入力されるように構成する。
【0026】
2つのピーク値V1とV2はピーク値V1は常時一定値を維持するが廻り込み量が大きくなるとピーク値V2が大きくなる。このようにして廻り込み量を測定することができる。なお、廻り込み量の測定は上述した電圧測定による方法に加えて、電力測定による方法とがある。電圧測定方法と電力測定方法とを組み合わせて廻り込み量を測定する実施例は後で説明することにするが、ここでは電圧測定方法に代えて電力測定方法を採ることができることだけを明記して置くことにする。電力でピーク値V1とV2を測定する場合は、各ピーク値V1とV2はV1(t) ,V2(t) で表示される その場合のアンテナ結合量qは電圧測定方法の場合の結合量qV は(2)式で示すことができ、電力測定の場合の結合量qP は(3)で示すことができる。
【0027】
qV =ΣN{V1/V2}/N ・・・・・・・・・・・・・・ (2)
qP =ΣN{V1(t) /V2(t) }/N ・・・・・・・・・・ (3)
入力信号が周波数選択性フェージングなどがあり、パス分離がしにくく、ピーク値V1の信号時間幅がΔt+td以上の時間幅があり、ピーク値V2の時間までレベルが及ぶときは、ピーク値V1とV2の複素包絡線信号による相関平均によるものでも良い。第2遅延器41で1シンボルまたは1チップ以上の遅延時間Δtの遅延が生じるので、ピーク値V1とV2は無関係であり、廻り込みレベルが高くなれば相関値が高くなる。Δt+tdの測定は、第2遅延器41の遅延時間を手動または自動的に変えながらピーク値V2を測定し、最大値を得る第2遅延器41の遅延時間を探すことでΔt+tdに設定することができる。このときピーク値V1(t) とV2(t) の関係は(4)式で示される。
【0028】
V2(t) =V1* (t+td+Δt) ・・・・・・・・・・ (4)
ここでV* はVの共役複素数を示す。
なお、(t+td+Δt)は第2遅延器41でピーク値V1の信号に与えられる遅延時間である。
図3の実施例は受信部35の検波に遅延検波を用いる方法である。はじめに受信アンテナ11からの信号を直交検波器43で受信し、複素包絡線V3(t) を遅延検波器47に加える。このときの受信信号のプロファイル例として受信希望信号が2パスの場合を図5Aに示す。希望信号を実線で、希望信号からtd+Δtだけ遅れて測定される廻り込み信号を点線で示す。これらの合成信号が受信信号として受信される。一方、第2遅延器41では廻り込み波遅延時間サーチャー49から与えられる制御信号により遅延時間t1が制御され、最適状態ではV3にtd+Δtの遅延を生じさせ、乗算器46と符号反転器45によってV3(t) を複素共役信号に変換したのち遅延検波器47にV4(t) として加える。このときV3(t) とV4(t) の関係は以下で示される。
【0029】
V4(t) =V3* (t+td+Δt) ・・・・・・・・・・ (5)
ここでV* はVの共役複素数を示す。遅延検波器47ではV3とV4の複素受信信号から下記演算にて平均相関値ρ(t) を求める。
ρ(t) =ΣN{V3(t) ・V4(t) }/N ・・・・・・・・・ (6)
廻り込み波が強くなると相関が高くなり、ρ(t) が高くなる。ρを求めることによって廻り込み量を検出することができる。
【0030】
この図3の実施例では第2遅延器41 の遅延時間t1の設定は、廻り込み波遅延時間サーチャー49により自動的に最適値(ピーク値V3とV4が最大になる状態)に設定される。
図5A〜Cは第2遅延器41の遅延時間t1をt1=0とt1<td+Δtの状態と、t1=td+Δtの状態に設定した場合の受信プロファイルの様子を示している。つまり、第2遅延器41の遅延時間t1がt1=0のときの受信プロファイルs(t) を図5Aに示す。t1<td+Δtのときの受信プロファイルs(t+t1)を図5Bに、またt1=td+Δtのときの受信プロファイルs(t+dt+Δt)を図5Cに示す。
【0031】
図5Dは図5Aに示した受信プロファイルの相関プロファイルρ(t) と平均相関値/ρ(t) の関係を示す。図5Eは受信プロファイルs(t) とs(t+t1)の相関プロファイルρ(t) と平均相関値/ρ(t) の関係を示す。図5Fはt1=t+td+Δtにおける相関プロファイルρ(t+td+Δt)と、平均相関値/ρ(t+td+Δt)を示す。
平均相関値/ρ(t) は図6に示すように、t1=0のとき最大の一定値を示し、t1=td+Δtのとき極大値を示す。t1=td+Δtにおける極大値と、t1=0における平均相関値/ρ(0)との差が受信側と送信側の結合量となる。t1=t+dt+Δtにおける平均相関値/ρ(t+td+Δt)は廻り込み波の量に比例して増減する。従って結合量演算部50は、結合量LをL=/ρ(t+dt+Δt)//ρ(0)を演算し、その値を判定制御部36に報告する。判定制御部36は結合量Lが所定値を越えると利得制御部34に減衰指令を出力し、送信レベルを低下させ、発振の防止を行う。尚、図3の実施例では|V|(t)を用いてレベル検出を行うこともできる。
【0032】
図7は図2に示した実施例の変形実施例を示す。この図7に示す実施例では、請求項9および10で提案する受信信号の処理を電圧平均で処理するか、或いは電力平均で処理するかを選択できる構成を付加した実施例を示す。
つまり、ピークレベル検出器40に電圧測定手段40Aと電力測定手段40Bとを設け、受信信号のピーク値V1および廻り込み波のピーク値V2を電圧で計測した電圧平均と、電力で計測した電力平均を出力させる。判定制御手段36は電圧平均値を用いるか、電力平均値を用いるかを決定する。この決定は受信波のレベルによって切り替えられる。信号のレベルが設定値より低いとき電圧平均を用い、信号のレベルが設定値より高いとき電力平均を用いる。
【0033】
このように、信号のレベルによって平均化処理の方法を選択することにより、ノイズに対して安定した動作を期待することができる。つまり、信号のレベルが低く、信号がノイズに埋もれてしまいそうな場合は判定制御部36は電圧平均値を採用し、信号のレベルがノイズより充分大きい場合は電力平均を採用する。このように電圧平均と電力平均を選択して利用することにより、ノイズに対して安定に動作する中継増幅器を提供することができる利点が得られる。
【0034】
図8は図6に示した技術思想を図3に示した実施例に応用した場合を示す。この場合も、遅延検波器47に電圧測定手段47Aと電力測定手段47Bを設け、その電圧測定結果と電力測定結果を相関平均処理器48に入力する。この場合の電力測定は|V3 |2 及び|V4 |2 を相関平均処理器48に入力し、相関平均処理器48でいずれの測定結果を採るかを決定する。この決定には受信信号のレベルが或る設定値より小であれば電圧測定結果を選択し、受信信号のレベルが設定値より大きければ電力測定結果を採用する。結合量演算部50では|V4 (Δt)|2 /|V3 (Δt)|2 /|V4 (0)|2 /|V3 (0)|2 を判定制御部36に報告する。このように受信信号のレベルに応じて電圧測定結果に電力測定結果を選択して用いられることにより、ノイズに強い無線中継増幅装置を提供することができる。
【0035】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によればパイロット信号の挿入、変調および周波数のオフセット等を行わずに廻り込みの検出を行うことができるので、送信波には何の擾乱も加わらないので中継性能が著しく優れている。また、ブースタ同士の多段中継も可能になる利点も得られる。またこの発明は移動通信、特にスペクトラム拡散通信(CDMA方式、SS方式等)に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による無線中継増幅装置の基本構成を説明するためのブロック図。
【図2】図1に示した基本構成を具体的実施例として示したブロック図。
【図3】図1に示した基本構成を具体的実施例として示した他の例を示すブロック図。
【図4】図2に示した実施例の動作を説明するためのグラフ。
【図5】図3に示した実施例の動作を説明するためのグラフ。
【図6】図3に示した実施例の動作を説明するためのグラフ。
【図7】図2に示したこの発明による無線中継増幅装置の変形実施例を示すブロック図。
【図8】図3に示したこの発明による無線中継増幅装置の変形実施例を示すブロック図。
【図9】従来の技術を説明するためのブロック図。
【図10】従来の技術の他の例を示すブロック図。
【図11】従来の技術の更に他の例を示すブロック図。
【図12】従来の技術の更に他の例を示すブロック図。
【符号の説明】
11 受信アンテナ
12 カップラ
13,16 バンドパスフィルタ
14 減衰器
15 増幅器
17 合成器
18 送信アンテナ
33 第1遅延器
34 利得制御部
35 受信部
36 判定制御部
38 送信スイッチ
39 マッチトフィルタ
40 ピークレベル検出器
41 第2遅延器
43 直交検波器
45 符号反転器
46 乗算器
47 遅延検波器
48 相関平均処理器
49 廻り込み波遅延時間サーチャー
50 結合量演算部
Claims (11)
- A.受信アンテナと、
B.この受信アンテナで受信されたスペクトラム拡散された受信信号に遅延前の信号と遅延後の信号間をほぼ無相関とするための遅延を生じさせる第1遅延器と、
C.この第1遅延器で遅延された受信信号の振幅を制御する利得制御部と、
D.この利得制御部から出力される信号を送信信号に変換する送信部と、
E.この送信部から出力される送信信号を送出する送信アンテナと、
F.上記受信アンテナからの受信信号を受信する受信部と、
G.この受信部で推定した上記送信アンテナから上記受信アンテナへの廻り込み量に応じて上記利得制御部の利得を制御する判定制御部と、
によって構成したことを特徴とする無線中継増幅装置。 - 請求項1記載の無線中継増幅装置において、上記受信部には受信信号のピークレベルと送信アンテナから受信アンテナへの廻り込み信号のピークレベルを検出するピークレベル検出器を設けた構成としたことを特徴とする無線中継増幅装置。
- 請求項1記載の無線中継増幅装置において、上記受信部は親局が発信した希望波とこの希望波から遅延して到来する遅延波を加え合わせた第1信号成分と、上記第1遅延器で遅延されて上記送信アンテナから発信した電波の廻り込み波及びこの廻り込み波から遅延して到来する遅延波を加え合わせた第2信号成分とを分離して取り出すマッチトフィルタと、
このマッチトフィルタから出力される上記第1信号成分と第2信号成分の各ピークレベルを検出するピークレベル検出器と、
このピークレベル検出器で検出した上記第1信号成分のピーク検出値に遅延を与え、上記第1信号成分のピーク検出値と第2信号成分のピーク検出値の位相を合致させる第2遅延器とを含む構成としたことを特徴とする無線中継増幅装置。 - 請求項1記載の無線中継増幅装置において、
上記受信部は上記受信アンテナで受信される受信信号を直交検波する直交検波器と、
この直交検波器から出力される直交検波信号の中の上記第1遅延器で遅延されない第1信号成分と第1遅延器で遅延された第2信号成分との間の時間差に相当する遅延時間を与える第2遅延器と、
この第2遅延器から出力される直交検波信号の虚数成分の極性を反転させ、上記直交検波信号を複素共役信号に変換する手段と、
上記直交検波信号と上記複素共役信号とが入力されて平均相関値ρ(t) を求める遅延検波器と、
この遅延検波器が出力する複数の平均相関値の平均値を求める相関平均処理器と、
上記第2遅延器の遅延時間を上記第2遅延器の遅延時間がゼロの状態と、上記相関平均値が極大値となる遅延時間に制御する廻り込み波遅延時間サーチャーと、
上記第2遅延器の遅延時間がゼロの状態で得られる相関平均値/ρ(0) と、上記相関平均値が極大値となる遅延時間に設定された状態で得られる相関平均値/ρ(Δt)との比を求め、上記受信アンテナと送信アンテナとの間の結合量を算出する結合量演算部と、
この結合量演算部から与えられる結合量が所定値を越える状態で上記利得制御部の利得を制御し、上記送信信号のレベルを低下させる制御を行う判定制御部と、
によって構成したことを特徴とする無線中継増幅装置。 - 請求項3または4記載の無線中継増幅装置のいずれかにおいて、上記第2遅延器は可変遅延器を用いた構成としたことを特徴とする無線中継増幅装置。
- 請求項3または4記載の無線中継増幅装置のいずれかにおいて、装置の立ち上げ時に送信アンテナと受信アンテナとの間の伝搬遅延時間を測定し、この測定結果を上記第2遅延器に設定する遅延時間設定手段を具備している構成としたことを特徴とする無線中継増幅装置。
- 請求項3または4記載の無線中継増幅装置のいずれかにおいて、遅延検波により装置運用中に上記伝搬遅延時間を検出する遅延時間検出手段を装備した構成としたことを特徴とする無線中継増幅装置。
- 請求項6記載の無線中継増幅装置において、上記伝搬遅延時間の測定は手動で遅延時間を測定する手段で構成したことを特徴とする無線中継増幅装置。
- 請求項6記載の無線中継増幅装置において、上記伝搬遅延時間の測定は自動で遅延時間を測定する手段で構成したことを特徴とする無線中継増幅装置。
- 請求項3または4記載の無線中継増幅装置のいずれかにおいて、受信信号の処理は電圧平均または電力平均を用いる手段を装備している構成としたことを特徴とする無線中継増幅装置。
- 請求項3または4記載の無線中継増幅装置において、受信信号のレベルが低い状態では電圧平均を用い、受信信号のレベルが高いときは電力平均を用いる構成としたことを特徴とする無線中継増幅装置。
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