JP2004047596A - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】不揮発性メモリを内蔵したマイコンのTATの短縮を図り、またコストを低減することのできる技術を提供する。
【解決手段】フラッシュメモリのメモリセルとほぼ同じ構造のメモリセルによって構成されるフラッシュROMをウエハの各チップに形成する。続いて、プローブ検査工程においてフラッシュROMのメモリセルに記憶情報を書き込む。続いて、フラッシュROMのメモリセルに書き込まれた記憶情報を書き換えできないようにして出荷後の記憶情報の書き換えを不可能とする。これにより、マスクROM内蔵マイコンに比べてTATの短縮を図ることができ、さらに管理および製造コストを低減できる。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置の製造技術に関し、特に、システムLSI(Large Scale Integrated Circuits)などに搭載される不揮発性メモリを有する半導体装置の製造方法に適用して有効な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
電源が切れても記憶情報を保持し続ける不揮発性メモリを搭載した汎用マイコンには、一般に顧客によるソフト開発またはデバッグを目的としたOTP(One Time Programmable)ROM(Read Only Memory)内蔵マイコンまたはフラッシュ(Flash)メモリ内蔵マイコン、あるいは量産時のコスト低減を目的としたマスクROM内蔵マイコンなどがある。ここで、OTPROMとは、顧客が一回限り記憶内容を書き込むことができる不揮発性メモリ(EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)を含む)、フラッシュメモリとは、記憶情報の消去・書き換えが全て電気的にできる不揮発性メモリ(EEPEOM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)を含む)、マスクROMとは、記憶情報を製造過程で書き込むプログラム固定の不揮発性メモリである。
【0003】
なお、たとえば岩崎らの特開平7−283287号公報には、1枚の半導体ウエハ上に複数種類の半導体素子を形成できるようにして、多品種の半導体の生産効率を向上させる技術が記載されている。
【0004】
また、山本らの特開平5−304277号公報には、フラッシュメモリ素子と読み出し専用素子とを併有する半導体装置の読み出し専用メモリ素子を半導体装置の製造工程中に書き込んで、製品化後に書き込まなくても読み出せる半導体装置の簡単な製法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、不揮発性メモリとしてマスクROMを内蔵したマイコンの製造方法について検討した。以下は、本発明者によって検討された技術であり、その概要は次にとおりである。
【0006】
図8は、本発明者によって検討されたマスクROM内蔵マイコンの製作フローの一例を示す工程図である。
【0007】
まず、顧客によってマスクROMのプログラムが開発され(工程100)、この顧客プログラムが製造現場へデータ電送される(工程101)。次に、送られてきたデータを変換し(工程102)、さらにこのデータに基づいてマスクを製作した後(工程103)、予め前工程(1)で製造されていたベースウエハ(工程104)に対して前工程(2)で上記マスクを用いて配線パターンを形成し(工程105)、マスクROM内蔵マイコンの試作品を製造する。なお、工程102においてデータを変換する際、後のプローブ検査および選別において用いられるテスト項目や規格なども同時に作成される。
【0008】
次に、ウエハ上の1個1個のチップに形成されたマスクROM内蔵マイコンの良・不良をプローブ検査した後(工程106)、顧客へ試作品を納入し(工程107)、顧客により試作品の評価が行われ、マスクROMおよびこれを内蔵したマイコンに問題なしと判断されると(工程108)、マスクROM内蔵マイコンの製造が製造現場へ正式に発注される(工程109)。その後、前工程(2)でベースウエハに対して上記マスクを用いて配線パターンを形成し(工程110)、ウエハ上の1個1個のチップに形成されたマスクROM内蔵マイコンの良・不良をプローブ検査した後(工程111)、マスクROM内蔵マイコンの良品を組み立て(工程112)、さらに製品規格に照らした選別を行い(工程113)、製品規格を満たしたマスクROM内蔵マイコンを梱包して出荷する(工程114)。
【0009】
なお、工程108における顧客評価において、マスクROMまたはこれを内蔵したマイコンにプログラム上の問題が生じた場合は、再度顧客によってプラグラムが検討され、以下、前記した工程と同様にして、マスクROM内蔵マイコンが試作され、評価される。
【0010】
しかしながら、本発明者が前記マスクROM内蔵マイコンの製造方法について検討したところ、以下の問題点が明らかとなった。
【0011】
マスクROMでは、顧客プログラムに基づいて専用のマスクを製作し、このマスクを用いて配線パターンを形成することにより、ベースチップに顧客プログラムが書き込まれる。このため、マスクROMは、生産数量に拘わらずマスク費用の負担が生じ、さらに製造工程のTAT(Turn−and Around Time)が長くなるという問題を有している。
【0012】
また、受注数量に応じてマスクROM内蔵マイコンを過不足なく生産することは難しいため、通常は必要数量よりも多く生産を行った後、顧客の要求に合わせて出荷数量を調整している。しかし、ウエハの大口径化が進むと、一社当たりのマスクROM内蔵マイコンの受注数量が1枚のウエハから取得されるマスクROM内蔵マイコンの数量よりも少なくなることが予想され、この場合、不要となったマスクROM内蔵マイコンによるマイコン製品の原価上昇が懸念される。
【0013】
一方、不揮発性メモリとしてフラッシュメモリを内蔵したマイコンの需要も増えてはいるが、マスクROM内蔵マイコンと比べて検査工程が複雑であり、その結果、TATが長く、また製造コストが高くなるという課題がある。このため、マイコンが内蔵するマスクROMを全てフラッシュメモリへ切り換えることは難しいと考えられる。
【0014】
本発明の目的は、不揮発性メモリを内蔵したマイコンのTATの短縮を図ることのできる技術を提供することにある。
【0015】
また、本発明の目的は、不揮発性メモリを内蔵したマイコンのコストを低減することのできる技術を提供することにある。
【0016】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0018】
本発明は、フラッシュメモリのメモリセルとほぼ同じ構造のメモリセルによって構成される不揮発性メモリを有する半導体装置をウエハ内の各チップに形成する工程と、この半導体装置の電極パッドにプローブを接触させて不揮発性メモリに記憶情報を書き込む工程と、不揮発性メモリに書き込まれた記憶情報を書き換えできなくする工程とを有し、不揮発性メモリに書き込まれる記憶情報を1枚のウエハ毎または複数枚のウエハ毎、あるいはウエハ内の1個のチップ毎またはウエハ内の複数個のチップ毎で異ならせて、仕様が互いに異なる複数種類の不揮発性メモリを形成するものである。
【0019】
また、本発明は、フラッシュメモリのメモリセルとほぼ同じ構造のメモリセルによって構成される不揮発性メモリを有する半導体装置をウエハ内の各チップに形成する工程と、顧客により開発されたプログラムをデータ変換する工程と、プローブ検査工程において不揮発性メモリに記憶情報を書き込んだ後、不揮発性メモリを有する半導体装置をプローブ検査する工程と、消去回路および書き込み回路を不動体化することにより、記憶情報を書き換えできなくする工程と、不揮発性メモリを有する半導体装置を組み立てる工程と、不揮発性メモリを有する半導体装置を選別する工程とを有し、顧客により開発されたプログラムをデータ変換した後、生産管理システムの指示に基づいて記憶情報が直接プローブ検査装置に転送されるものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0021】
なお、本願において、半導体装置というときは、単に単結晶シリコン基板上に作られるものだけでなく、特にそうでない旨が明示された場合を除き、SOI(Silicon on Insulator)基板やTFT(Thin Film Transistor)液晶用基板などといった他の基板上に作られるものを含むものとする。
【0022】
さらに、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲などを含む)に言及する場合、特に明示したときおよび原理的に明らかに特定の数に限定されるときを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等を含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合を除き、必ずしも必須のものではないことはいうまでもない。
【0023】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素などの形状、位置関係などに言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合を除き、実質的にその形状などに近似または類似するものなどを含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0024】
図1は、本発明の一実施の形態であるフラッシュROMを内蔵するマイコンの製作フローの一例を示す工程図である。ここで、フラッシュROMとは、フラッシュメモリのメモリセルとほぼ同じ製造プロセスを用いて形成された、フラッシュメモリのメモリセルとほぼ同じ構造のメモリセルによって構成される不揮発性メモリであり、開発段階では記憶情報の書き込み・消去を可能とするが、出荷前に書き込まれた記憶情報を、出荷後には書き換え不可能とするプログラム固定の不揮発性メモリを言う。
【0025】
従って、フラッシュROMのメモリセルは、1トランジスタ積層ゲート構造であり、1個のメモリセルが基本的に1個の2層ゲートMISFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)で構成されている。その2層ゲートMISFETは、基板上にトンネル絶縁膜を介して浮遊ゲートを設け、さらにその上に層間膜を介して制御ゲートを積み重ねることで形成されており、たとえば上記浮遊ゲートに電子を注入することにより、情報が記憶される。
【0026】
予め、フラッシュメモリと同じ製造プロセスを用いて、配線パターンも含めてフラッシュROMが形成されたベースウエハを前工程で製造し、準備しておく(工程100)。次に、顧客によってフラッシュROMのプログラムが開発され(工程101)、この顧客プログラムが製造現場へデータ電送された後(工程102)、送られてきたデータを変換する(工程103)。データ変換の際には、後のプローブ検査および選別において用いられるテスト項目や製品規格なども同時に作成される。
【0027】
次に、ベースウエハ上の1個1個のベースチップに形成されたフラッシュROMへの記憶情報の書き込みと、フラッシュROM内蔵マイコンのプローブ検査とを行う(工程104)。この工程では、フラッシュROM内蔵マイコンの全電極パッドの配置に合わせてプローブ(探針)を配置したプローブ・カードを用いて、初めに生産管理システムの指示に基づいたフラッシュROMへの記憶情報の書き込みを行い、その後、フラッシュROM内蔵マイコンの良品・不良品の判定をプローブ検査で行う。なお、生産管理システムの指示に基づいて、変換されたデータを直接プローブ検査装置に転送してもよい。
【0028】
次に、顧客へ試作品を納入し(工程105)、顧客により試作品が評価されて、フラッシュROMおよびこれを内蔵したマイコンに問題なしと判断されると(工程106)、フラッシュROM内蔵マイコンの製造が製造現場へ正式に発注される(工程107)。
【0029】
次に、ベースウエハ上の1個1個のベースチップに形成されたフラッシュROMへの記憶情報の書き込みと、プローブ検査によるフラッシュROM内蔵マイコンの良品・不良品の判定とを行う(工程108)。ここで書き込まれた記憶情報は、出荷後に書き換えすることはできない。たとえば後述するように、消去回路および書き込み回路を不動体化することによって、記憶情報の書き換えを不可能とする。記憶情報は、たとえばフラッシュROMのメモリセルのしきい値(Vth)を相対的に高くすることで書き込まれるが、書き込みを過剰に行ってもよい。
【0030】
フラッシュROM内蔵マイコンでは、予めベースウエハ上に配線パターンを含めたフラッシュメモリとほぼ同じ構造のメモリセルによって構成されるフラッシュROMを形成しておき、プローブ検査を行う工程でプローブ・カードを用いてフラッシュROMに顧客プログラムが書き込まれる。従って、顧客プログラムを受け取った後に製作される専用のマスクを用いてベースウエハ上に配線パターンを形成するマスクROM内蔵マイコンのTAT(顧客からプログラムを受け取り、製品を納入するまでの期間)よりも、フラッシュROM内蔵マイコンのTATを短くすることができる。
【0031】
その後、フラッシュROM内蔵マイコンの良品を組み立て(工程109)、さらに製品規格に照らした選別を行い(工程110)、製品規格を満たしたフラッシュROM内蔵マイコンを梱包して出荷する(工程111)。上記選別では、プローブ検査で測定しきれなかったテスト項目が検査され、さらに外観状態や信頼性試験などが行われる。
【0032】
なお、工程106における顧客評価において、フラッシュROMまたはこれを内蔵したマイコンにプログラム上の問題が生じた場合は、顧客によってプラグラムが再度検討された後、前記した工程と同様にしてフラッシュROM内蔵マイコンを再試作し、評価する。
【0033】
図2は、本発明の一実施の形態であるフラッシュROM内蔵マイコンが形成されたウエハ内のチップの配置例を示したものである。
【0034】
フラッシュROMに記憶情報を書き込むプローブ検査では、使用されるプローブ・カードに備わる複数のプローブに、それぞれ所定の信号を入力することができるので、ウエハ1枚ごとに製品仕様の異なるフラッシュROM(たとえば製品仕様A、製品仕様B、製品仕様C)を内蔵したマイコンを形成することができる(図2(a))。さらに、1枚のウエハ上であっても、複数の領域または1個1個のチップ毎に製品仕様の異なるフラッシュROM(たとえば製品仕様A、製品仕様B、製品仕様C)を内蔵したマイコンを形成することができる(図2(b),(c))。
【0035】
従って、製品仕様の異なるフラッシュROM内蔵マイコンをそれぞれ受注数量に応じて過不足なく提供することができるので、マスクROM内蔵マイコンのように、製品展開数と同じ数のベースウエハを製造し、顧客の要求に合わせて出荷数量を調整する必要がない。これにより、ベースウエハの管理数および工程仕掛かり数が減り、またマスク管理の必要がなくなるので、フラッシュROM内蔵マイコンの管理コストをマスクROM内蔵マイコンの管理コストよりも低減することができる。
【0036】
図3は、本発明の一実施の形態であるフラッシュROM内蔵マイコンの製品展開の一例を示したものである。
【0037】
本実施の形態では、フラッシュROMの仕様を換えてフラッシュROM内蔵マイコンが製品展開される場合を例示している。ここでは、製品仕様として第1〜第10を例示しており、予め用意されたベースウエハ上の1個1個のベースチップに、それぞれの製品仕様を満たすようにフラッシュROMへ記憶情報がプローブ検査工程(図1の工程104、108)で書き込まれる。
【0038】
一方、マスクROM内蔵マイコンでは、まず第1〜第10の製品仕様に合わせて前工程(2)(図7の工程105、110)で使用されるそれぞれの専用マスクが製作され、このマスクを用いて第1〜第10の製品仕様のマスクROM内蔵マイコンが形成される。さらに、マスクROM内蔵マイコンのテストには他のROM品、たとえばOTPROMまたはフラッシュメモリなどを必要とするため、他のROM品を開発する必要がある。
【0039】
従って、ROM品の製品展開をする際、フラッシュROM内蔵マイコンは、専用マスクを製作する必要がないので、専用マスクを用いるマスクROM内蔵マイコンよりも製造コストを低減することができる。さらに、フラッシュROMではテスト用の他のROM品が不要であることから、フラッシュROM内蔵マイコンでは、ROM品としてフラッシュROMのみを開発すればよく、マスクROM内蔵マイコンと比べて回路設計の設計工数が減り、開発期間の短縮を図ることができる。
【0040】
表1は、本発明の一実施の形態であるフラッシュROM内蔵マイコンおよび本発明者が検討したマスクROM内蔵マイコンの主な項目を比較してまとめたものである。
【0041】
【表1】
Figure 2004047596
【0042】
顧客からプログラムを受け取り、開発期間を経て製品を納入するまでのTATは、マスクROM内蔵マイコンでは4〜6週間程度かかる。これに対して、フラッシュROMマイコンでは、マスクROM内蔵マイコンで必要とされるマスク製作工程(図7の工程103)および前工程(2)(図7の工程105、110)が削除されて製造工程数を減らすことができるので、開発期間および製品製造時間の短縮が図れて、上記TATを0.5〜1週間程度とマスクROM内蔵マイコンのTATの約1/5以下に短縮することができる。
【0043】
また、受注数量に応じた製品仕様の異なるフラッシュROM内蔵マイコンを製造することができるので、マスクROM内蔵マイコンのように専用マスクに応じた多くのベースウエハを製造する必要がなく、フラッシュROM内蔵マイコンの管理コストを低減することができる。
【0044】
また、ROM品を製品展開する際、マスクROMでは顧客が必要とするROMの製品展開数と同じ数の専用マスクが必要であるが、フラッシュROMではマスクを必要としない。その結果、たとえば6インチウエハの場合、マスクROM内蔵マイコンでは150万円程度必要とするマスクチャージ費用が、フラッシュROM内蔵マイコンでは不要となり、製造コストを低減することができる。さらに、マスクROMのテストには他のROM品を用いるため、マスクROM内蔵マイコンでは2〜3品種(マスクROMに加えてOTPROM、フラッシュメモリ、またはOTPROMおよびフラッシュメモリ)のROM品が必要とされるが、フラッシュROMではフラッシュROMの1品種とすることができるので、開発期間の短縮を図ることができる。
【0045】
図4は、フラッシュROM内蔵マイコン、マスクROM内蔵マイコンおよびフラッシュメモリ内蔵マイコンのそれぞれの製造フローを示す工程図である。
【0046】
図4(a)に示す本実施の形態であるフラッシュROM内蔵マイコンの場合、前工程においてフラッシュメモリとほぼ同じ製造プロセスを用いて、配線パターンを備えたフラッシュメモリとほぼ同一構造のメモリセルが形成される。その後、第1のプローブ検査工程でメモリセルに記憶情報が書き込まれた後、第1および第2のプローブ検査工程でフラッシュROMの検査を行い、続いて第3のプローブ検査工程でRAM(Random Access Memory)およびロジックの機能・性能などの検査が行われる。プローブ検査で良品と判定されたフラッシュROM内蔵マイコンは後工程で組み立てられ、製品規格に照らした選別が選別工程で行われる。
【0047】
図4(b)に示すマスクROM内蔵マイコンの場合、前工程(1)において配線パターンを備えないメモリセルが形成される。続いて前工程(2)において専用マスクを用いて配線パターンを形成し、メモリセルに記憶情報が書き込まれる。その後、プローブ検査工程でマスクROM、RAMおよびロジックの機能・性能などの検査が行われる。プローブ検査で良品と判定されたマスクROM内蔵マイコンは後工程で組み立てられ、製品規格に照らした選別が選別工程で行われる。
【0048】
図4(c)に示すフラッシュメモリ内蔵マイコンの場合、前工程において配線パターンを備えたメモリセルが形成される。次に、第1および第2のプローブ検査工程で専用のメモリテスタを用いたフラッシュメモリの検査を行い、続いて第3のプローブ検査工程でRAMおよびロジックの機能・性能などの検査を行う。第1、第2および第3のプローブ検査工程で良品と判定されたフラッシュメモリ内蔵マイコンは後工程で組み立てられ、製品規格に照らした選別が選別工程で行われる。この選別工程では、まず第1の選別工程で専用のメモリテスタを用いたフラッシュメモリのテストが行われ、第2の選別工程でRAMおよびロジックのテストが行われる。
【0049】
図5にフラッシュROM内蔵マイコンのプローブ検査工程(1)、(2)におけるフラッシュROMのテスト内容の一例、図6にフラッシュメモリ内蔵マイコンのプローブ検査工程(1)、(2)におけるフラッシュメモリのテスト内容の一例を示す。
【0050】
フラッシュROMのテスト内容としては、たとえば書き込みテスト、リードテスト、ディスターブテスト、さらにウエハベーク後のリードテストなどである。一方、フラッシュメモリのテスト内容としては、たとえばリードテスト、書き込みテスト、消去テスト、ディスターブテスト、さらにウエハベーク後の高温リテンション、ディプリートテストなどであり、各テストの項目も多岐に渡る。
【0051】
フラッシュROM内蔵マイコンでは、フラッシュメモリ内蔵マイコンで行うこのようなフラッシュメモリ特有の多岐に渡るテストが不要となるので、フラッシュメモリ内蔵マイコンに比べて、テストの工程数を1/10程度に減らすことができ、さらに専用のメモリテスタも不要となる。従って、フラッシュROM内蔵マイコンのTATをフラッシュメモリ内蔵マイコンのTATよりも短くでき、さらに設備投資費の削減により、フラッシュROM内蔵マイコンの製品コストをフラッシュメモリ内蔵マイコンの製造コストよりも低くすることができる。
【0052】
なお、フラッシュROM内蔵マイコンでは、書き込まれた記憶情報が消失するリテンション不良を検出するテストをフラッシュROMのリードテストにおいて行うとしたが、たとえばフラッシュメモリよりも書き込みを過剰に行うことができるので、フラッシュROM内蔵マイコンはリテンションテストを必ずしも必要としない。
【0053】
図7は、本発明の一実施の形態であるフラッシュROM内蔵マイコンを構成するフラッシュROMの機能ブロック内の回路配置例である。図中、1はフラッシュROMユーザ使用領域、2はフラッシュROM非開放領域、3は第1の読み出し回路、4は第2の読み出し回路、5は書き込み回路、6は消去回路である。
【0054】
フラッシュROMユーザ使用領域1に顧客プログラムが書き込まれる。フラッシュROM内蔵マイコンを出荷する際には、書き込み回路5および消去回路6を不動体化しており、出荷後にフラッシュROMの記憶情報は書き換えられない。
【0055】
フラッシュメモリのメモリセルのしきい値は、所定の範囲内に設定する必要があり、しきい値がこの範囲を外れた場合には、フラッシュメモリは不良と判定されるが、フラッシュROMでは、相対的に高いしきい値と相対的に低いしきい値とを判断して、メモリセルに書き込まれた記憶情報が読み出される。従って、フラッシュROMのメモリセルではしきい値の規格範囲をフラッシュメモリよりも広くとれるので、フラッシュROM内蔵マイコンの製造歩留まりは、フラッシュメモリ内蔵マイコンの製造歩留まりよりも高くなる。
【0056】
このように、本実施の形態によれば、マスクROM内蔵マイコンで記憶情報の書き込みに必要とするマスク製作工程および配線パターンが形成される前工程(2)が、フラッシュROM内蔵マイコンでは不要となるので、フラッシュROM内蔵マイコンのTATをマスクROM内蔵マイコンのTATよりも短くすることができる。
【0057】
さらに、製品仕様の異なるフラッシュROM内蔵マイコンをそれぞれ受注数量に応じて過不足なく提供することができるので、マスクROM内蔵マイコンと比べて、フラッシュROM内蔵マイコンの管理コストを低減することができる。
【0058】
さらに、ROM品の製品展開をする際、フラッシュROM内蔵マイコンは、専用マスクを製作する必要がなく、マスクROM内蔵マイコンよりも製造コストを低減することができる。またフラッシュROM内蔵マイコンではテスト用の他のROM品を必要としないので、テスト用の他のROM品を必要とするマスクROM内蔵マイコンと比べて回路設計の設計工数が減り、開発期間の短縮を図ることができる。
【0059】
さらに、フラッシュROM内蔵マイコンではフラッシュメモリ内蔵マイコンで行われるフラッシュメモリ特有の多岐に渡るテストが不要であることから、フラッシュROM内蔵マイコンのTATをフラッシュメモリ内蔵マイコンよりも短縮することができる。
【0060】
さらに、フラッシュROMのメモリセルではしきい値の規格範囲をフラッシュメモリよりも広くとれるので、フラッシュROM内蔵マイコンの製造歩留まりをフラッシュメモリ内蔵マイコンの製造歩留まりよりも高くすることができる。
【0061】
以上、本発明者によってなされた発明を発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0062】
たとえば、前記実施の形態では、マイコンに内蔵されるROM品に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、たとえば単体として製造されるROM製品にも適用することができる。
【0063】
また、前記実施の形態では、フラッシュROMのメモリセルは、フラッシュメモリのメモリセルとほぼ同一構造としたが、たとえば強誘電体膜に書き込む機能を持たせた強誘電体RAM(Random Access Memory)のメモリセルまたは情報の記憶担体に強磁性体の磁化方向を利用したMRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)のメモリセルとほぼ同一構造とすることができる。
【0064】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0065】
マイコンに内蔵する不揮発性メモリに、フラッシュメモリのメモリセルとほぼ同じ構造のメモリセルを有し、プローブ検査工程で記憶情報を書き込み、出荷後の記憶情報の書き換えを不可能とするフラッシュROMを採用する。これにより、マスクROM内蔵マイコンと比べてTATの短縮を図ることができ、さらに管理および製造コストを低減することができる。また、フラッシュメモリ内蔵マイコンと比べてTATの短縮を図ることができ、さらに製造歩留まりを上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態であるフラッシュROMを内蔵するマイコンの製作フローの一例を示す工程図である。
【図2】(a)〜(c)は本発明の一実施の形態であるフラッシュROM内蔵マイコンが形成されたウエハ内のチップの配置例を示したものである。
【図3】本発明の一実施の形態であるフラッシュROM内蔵マイコンの製品展開の一例を示したものである。
【図4】(a)〜(c)はフラッシュROM内蔵マイコン、マスクROM内蔵マイコンおよびフラッシュメモリ内蔵マイコンのそれぞれの製造フローを示す工程図である。
【図5】フラッシュROM内蔵マイコンのプローブ検査工程におけるテスト内容の一例である。
【図6】フラッシュメモリ内蔵マイコンのプローブ検査工程におけるテスト内容の一例である。
【図7】本発明の一実施の形態であるフラッシュROM内蔵マイコンを構成するフラッシュROMの機能ブロック内の回路配置例である。
【図8】本発明者によって検討されたマスクROMを内蔵するマイコンの製作フローの一例を示す工程図である。
【符号の説明】
1 フラッシュROMユーザ使用領域
2 フラッシュROM非開放領域
3 第1の読み出し回路
4 第2の読み出し回路
5 書き込み回路
6 消去回路

Claims (24)

  1. (a)ウエハ上に第1の絶縁膜を介して形成された第1のゲート電極と、前記第1のゲート電極上に第2の絶縁膜を介して形成された第2のゲート電極とを備えたメモリセルによって構成される不揮発性メモリを有する半導体装置を前記ウエハ内の各チップに形成する工程と、
    (b)前記不揮発性メモリに記憶情報を書き込む工程と、
    (c)前記不揮発性メモリに書き込まれた前記記憶情報を書き換えできなくする工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 請求項1記載の半導体装置の製造方法において、前記不揮発性メモリを有する半導体装置の電極パッドにプローブを接触させて、前記不揮発性メモリに前記記憶情報を書き込むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  3. 請求項2記載の半導体装置の製造方法において、前記不揮発性メモリに書き込まれる前記記憶情報を1枚のウエハ毎または複数枚のウエハ毎で異ならせて、仕様が互いに異なる複数種類の不揮発性メモリを形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  4. 請求項2記載の半導体装置の製造方法において、前記不揮発性メモリに書き込まれる前記記憶情報を前記ウエハ内の1個のチップ毎または前記ウエハ内の複数個のチップ毎で異ならせて、前記ウエハ内に仕様が互いに異なる複数種類の不揮発性メモリを形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  5. 請求項2記載の半導体装置の製造方法において、前記不揮発性メモリへの前記記憶情報の書き込みを過剰に行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  6. 請求項1記載の半導体装置の製造方法において、前記メモリセルは、フラッシュメモリのメモリセルとほぼ同じ構造であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  7. 請求項1記載の半導体装置の製造方法において、前記(b)工程は、前記不揮発性メモリを有する半導体装置のプローブ検査工程で行われることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  8. 請求項1記載の半導体装置の製造方法において、前記(c)工程では、消去回路および書き込み回路を不動体化することにより、前記記憶情報を書き換えできなくすることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  9. 請求項1記載の半導体装置の製造方法において、少なくとも前記不揮発性メモリが形成される機能ブロック内に、フラッシュメモリまたはOTPROMを形成しないことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  10. (a)ウエハ上に第1の絶縁膜を介して形成された第1のゲート電極と、前記第1のゲート電極上に第2の絶縁膜を介して形成された第2のゲート電極とを備えたメモリセルによって構成される不揮発性メモリを有する半導体装置を前記ウエハ内の各チップに形成する工程と、
    (b)顧客により開発されたプログラムをデータ変換する工程と、
    (c)プローブ検査工程において前記不揮発性メモリに記憶情報を書き込んだ後、前記不揮発性メモリを有する半導体装置をプローブ検査する工程と、
    (d)消去回路および書き込み回路を不動体化することにより、前記記憶情報を書き換えできなくする工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  11. 請求項10記載の半導体装置の製造方法において、前記メモリセルは、フラッシュメモリのメモリセルとほぼ同じ構造であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  12. 請求項10記載の半導体装置の製造方法において、前記顧客により開発されたプログラムをデータ変換した後、生産管理システムの指示に基づいて前記記憶情報が直接プローブ検査装置に転送されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  13. 請求項10記載の半導体装置の製造方法において、前記(b)工程では、前記不揮発性メモリに書き込まれる前記記憶情報に加えて前記プローブ検査において用いられるテスト項目または製品規格が作成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  14. 請求項10記載の半導体装置の製造方法において、
    (e)前記不揮発性メモリを有する半導体装置を組み立てる工程と、
    (f)前記不揮発性メモリを有する半導体装置を選別する工程とをさらに含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  15. 請求項14記載の半導体装置の製造方法において、前記(b)工程では、前記不揮発性メモリに書き込まれる前記記憶情報に加えて前記選別において用いられるテスト項目または製品規格が作成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  16. (a)ウエハ上の第1および第2のチップ領域のそれぞれに、ほぼ同一の構造を有する論理回路と電気的に書き換え可能なROM回路とを形成する工程と、
    (b)前記ウエハの状態で、前記第1および第2のチップ領域に対して、個別的にまたは同時に第1の電気的な動作試験を実行する工程と、
    (c)前記工程(b)の後、前記第1の電気的な動作試験の前またはその下位工程として、第1および第2のユーザ使用に対応する第1および第2のROMパターンデータを、それぞれ前記第1および第2のチップ領域の前記ROM回路に電気的に書き込む工程と、
    (d)前記工程(c)の後、前記ウエハを前記第1および第2のチップ領域に分割する工程と、
    (e)チップ領域に分割された前記第1および第2のチップ領域のそれぞれについて、第2の電気的な動作試験を実行する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  17. 請求項16記載の半導体装置の製造方法において、前記工程(d)の前に、前記第1および第2のROMパターンデータは、通常ユーザに開放されている電気的信号操作によっては、消去または書き換え不能にされていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  18. 請求項16記載の半導体装置の製造方法において、前記第1および第2のROMパターンデータは、相互に同一であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  19. 請求項16記載の半導体装置の製造方法において、前記第1および第2のROMパターンデータは、相互に異なることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  20. 請求項16記載の半導体装置の製造方法において、前記電気的に書き換え可能なROM回路は、フラッシュメモリ回路に対応する構造を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  21. 請求項16記載の半導体装置の製造方法において、前記電気的に書き換え可能なROM回路は、強誘電体RAM回路に対応する構造を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  22. 請求項16記載の半導体装置の製造方法において、前記電気的に書き換え可能なROM回路は、MRAM回路に対応する構造を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  23. 請求項16記載の半導体装置の製造方法において、前記電気的に書き換え可能なROM回路に対しては、少なくとも前記工程(d)以前に、リテンションテストを実行しないことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  24. 請求項16記載の半導体装置の製造方法において、
    (f)前記工程(d)の前であって、前記工程(c)の後、またはその下位工程として、前記電気的に書き換え可能なROM回路に対して、リテンションテストを実行する工程とをさらに含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
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