JP2004045528A - 電子楽器、自動伴奏方法、コンピュータプログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents

電子楽器、自動伴奏方法、コンピュータプログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】自動伴奏中に発音する伴奏音が連続的に変更されてもアタック音が頻繁に発生することを可及的に防止し、滑らかな演奏を行えるようにする。
【解決手段】伴奏音として発音しているコードの構成音をバッファ23に記憶しておき、上記コードが変更された場合、上記発音しているコードと上記変更されたコードに共通する構成音があるか否かを検索し、ある場合には、上記発音しているコードの構成音をそのまま発音するようにし、ない場合には、上記変更されたコードの構成音に最も近いピッチの音のピッチを、上記変更されたコードのピッチに変更して発音することにより、発音中のコードを消音しなくても変更後のコードを再発音できるようにして、自動伴奏における再発音時にアタック音が煩雑に発生するのを防止し、滑らかな演奏を行うことができるようにする。
【選択図】   図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子楽器、自動伴奏方法、コンピュータプログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関し、特に、伴奏音を再発音するために用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、コードを変更しながら自動伴奏することが可能な電子楽器が提案されている。具体的に説明すると、例えば、鍵盤の押鍵内容に基づいて伴奏音である和音(以下、コードと称する)を検出し、コードが変更された場合には、現在発音しているコードの構成音を消音し、新たなコードの構成音で再発音処理を行うようにして自動伴奏を行う電子楽器が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の電子楽器で自動伴奏を行う場合、発音する伴奏音が変更されるたびにそれまで発音していた伴奏音を消音して再発音するようにしていたので、伴奏音を連続的に変更するとアタック音が頻繁に発生して演奏の妨げになってしまうという問題点があった。
【0004】
特に、自動演奏パターンに従ってコードが発音された直後にコードが変更されると、アタック音が続けて2回発音してしまい、演奏の流れが著しく不自然になってしまっていた。
【0005】
本発明は上述の問題点にかんがみ、自動伴奏中に発音する伴奏音が連続的に変更されてもアタック音が頻繁に発生することを可及的に防止し、滑らかな演奏を行えるようにすることを第1の目的とする。
【0006】
また、自動伴奏中にコードが連続的に変更されてもアタック音が煩雑に発生することを可及的に防止しながら、上記自動伴奏におけるコードの変更を検出した時には新たなコード演奏を速やかに行えるようにすることを第2の目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子楽器は、鍵盤の押鍵と離鍵とに基づく演奏音を伴奏するための伴奏音を発音して自動伴奏を行うことが可能な電子楽器であって、上記発音している伴奏音が変更された場合には、上記発音している伴奏音を用いて上記変更された新たな伴奏音を発音させるようにしたことを特徴としている。
また、本発明の他の特徴とするところは、鍵盤の押鍵と離鍵とに基づく演奏音を伴奏する伴奏音の発音を指示する伴奏音発音指示手段と、上記伴奏音発音指示手段による指示内容に基づいた伴奏音を発音させる伴奏音発音手段と、上記伴奏音発音手段により発音されている伴奏音を記憶媒体に記憶する記憶手段とを有し、上記伴奏音発音手段は、上記伴奏音発音指示手段により伴奏音を変更することが指示された場合には、上記記憶媒体に記憶されている発音中の伴奏音を用いて新たな伴奏音を発音させるようにしたことを特徴としている。
【0008】
本発明の自動伴奏方法は、鍵盤の押鍵と離鍵とに基づく演奏音を伴奏するための伴奏音を発音して自動伴奏を行う自動伴奏方法であって、上記発音している伴奏音が変更された場合には、上記発音している伴奏音を用いて上記変更された新たな伴奏音を発音させるようにしたことを特徴としている。
また、本発明の他の特徴とするところは、鍵盤の押鍵と離鍵とに基づく演奏音を伴奏する伴奏音の発音を指示する伴奏音発音指示処理と、上記伴奏音発音指示処理による指示内容に基づいた伴奏音を発音させる伴奏音発音処理と、上記伴奏音発音処理により発音されている伴奏音を記憶媒体に記憶する記憶処理とを行い、上記伴奏音発音処理は、上記伴奏音発音指示処理により伴奏音を変更することが指示された場合には、上記記憶媒体に記憶されている発音中の伴奏音を用いて新たな伴奏音を発音させるようにしたことを特徴としている。
【0009】
本発明のコンピュータプログラムは、鍵盤の押鍵と離鍵とに基づく演奏音を伴奏するための伴奏音を発音して自動伴奏を行うに際して、上記発音している伴奏音が変更された場合には、上記発音している伴奏音を用いて上記変更された新たな伴奏音を発音させることをコンピュータに実行させることを特徴としている。また、本発明の他の特徴とするところは、鍵盤の押鍵と離鍵とに基づく演奏音を伴奏する伴奏音の発音を指示する伴奏音発音指示処理と、上記伴奏音発音指示処理による指示内容に基づいた伴奏音を発音させる伴奏音発音処理と、上記伴奏音発音処理により発音されている伴奏音を記憶媒体に記憶する記憶処理とを行い、上記伴奏音発音処理は、上記伴奏音発音指示処理により伴奏音を変更することが指示された場合には、上記記憶媒体に記憶されている発音中の伴奏音を用いて新たな伴奏音を発音させることをコンピュータに実行させることを特徴としている。
【0010】
本発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、上記何れかに記載のコンピュータプログラムを記録したことを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
次に、添付の図面を参照しながら、電子楽器、自動伴奏方法、コンピュータプログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体の第1の実施の形態を説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態の電子楽器の概略構成の一例を示すブロック図である。
図1において、電子楽器1は、中央処理装置(以下、CPUと称する)2と、リードオンリメモリ(以下、ROMと称する)3と、ランダムアクセスメモリ(以下、RAMと称する)4と、信号バス5と、キーボード部6と、操作パネル部7と、楽音発生部8と、デジタル/アナログ変換部(以下、D/A変換部と称する)9と、アナログ信号処理部10と、パワーアンプ11と、スピーカ部12とを有している。
【0013】
図1に示すように、CPU2、ROM3、RAM4、キーボード部6、操作パネル部7、及び楽音発生部8は、それぞれ信号バス5に接続され、相互に通信することが可能である。
【0014】
キーボード部6は、演奏を行うための複数の鍵とその鍵の各々に対応して設けられた鍵スイッチとを含む複数の鍵盤を有している。上記鍵スイッチは、上記鍵盤の押鍵や離鍵を検出するとともに、各鍵の動作スピードに関するKeyタッチレスポンス信号を検出するように構成されている。
【0015】
操作パネル部7は、音色や音量などを選択及び設定するための各種操作子と、これらの選択および設定状態を表示するためのLCD(液晶表示装置)またはLED(発光ダイオード)から成る表示装置とを有している。
【0016】
なお、上記音色や音量などを選択および設定するための各種操作子は、例えば、音色設定スイッチ、音量設定ボリューム、及び自動伴奏設定スイッチなどである。
【0017】
上記音色設定スイッチと上記音量設定ボリュームは、出力する楽音の音色と音量を設定するためのものであり、これら音色設定スイッチと音量設定ボリュームにより所望の音色と音量が設定されると、設定内容に応じた音色と音量を有する楽音が出力される。
【0018】
上記自動伴奏設定スイッチは、上記鍵盤の押鍵及び離鍵に応じたメロディー(演奏音)を発音させて行うマニュアル演奏を補助する伴奏機能を実行するときに設定されるスイッチである。この自動伴奏設定スイッチにおける具体的な設定内容としては、例えば、自動伴奏を行う楽音(音符)、音色、及びリズムなどである。
【0019】
CPU2は、本実施の形態の電子楽器1の全体を統括制御するためのものであり、ROM3に格納されている制御プログラムに従って、RAM4をワークメモリとして利用しながら、例えば次のような処理を行う。
【0020】
すなわち、CPU2は、キーボード部6の各鍵スイッチのスキャン処理を行って、各鍵の押鍵または離鍵に伴う鍵情報を楽音発生部8に割り当てる処理を行う。なお、上記各鍵の押鍵または離鍵に伴う鍵情報の具体例としては、Key ON/OFF信号、Key識別信号(鍵番号など)、Keyタッチレスポンス信号等が挙げられる。
【0021】
また、CPU2は、操作パネル部7に配設されている音色設定スイッチ、音量設定ボリューム、及び自動伴奏設定スイッチのスキャン処理を行い、設定内容に応じた所望のデジタル楽音信号DMSを楽音発生部8から発生させるための処理を行う。
【0022】
ROM3は、読み出し専用のメモリであり、上述のようなCPU2の制御プログラムの他、楽音発生部8から所望のデジタル楽音信号DMSを発生させるために必要なパラメータデータなど、種々のデータを格納する。
【0023】
本実施の形態のROM3は、上記自動伴奏機能を実行するために、例えば、自動伴奏パターン、自動伴奏ヘッダ、及び自動伴奏リズムパターンを格納している。
【0024】
上記自動伴奏パターンは、音符などの情報で構成される演奏パターンであり、複数の楽器音(音色)及び演奏スタイルごとにテーブルとしてROM3内の所定の記憶領域に格納されているものである。
上記自動伴奏ヘッダは、上記テーブルのうち、どのテーブルを自動伴奏に使用するのかを示す情報である。
上記自動伴奏リズムパターンは、自動伴奏における発音タイミングを示すリズムパターンであり、楽器音(音色)及び演奏スタイルごとにROM3内の所定の記憶領域に格納されているものである。
【0025】
これら自動伴奏パターン、自動伴奏ヘッダ、及び上記自動伴奏リズムパターンは、上記自動伴奏設定スイッチにおける設定内容に従って、自動伴奏情報としてCPU2により読み出され、楽音発生部8に出力される。
すなわち、上記自動伴奏設定スイッチの設定に従って自動伴奏を行う楽音(音符)、音色、及びリズムなどを表す自動伴奏情報が楽音発生部8に出力される。
【0026】
RAM4は読み書きが可能なメモリであり、CPU2のプログラム実行過程において各種の必要なデータを一時的に記憶したり、編集可能なパラメータデータを記憶したりする記憶領域を有している。このRAM4の一部あるいは全部はバッテリーバックアップされており、操作パネル部7により設定された音色に応じた必要なデータを、電子楽器1の電源がオフにされても保持しておくことができるようになされている。
【0027】
楽音発生部8は、演奏音発生部8aと伴奏音発生部8bとを有する。
演奏音発生部8aは、上記鍵盤の押鍵操作の内容に応じた鍵情報(Key ON/OFF信号、Key識別信号(鍵番号など)、Keyタッチレスポンス信号等)と、操作パネル部7の設定内容とに基づいて、演奏者の鍵盤操作に従った演奏音に対応する所望のデジタル楽音信号DMSを発生させる。
【0028】
伴奏音発生部8bは、上記鍵盤の押鍵操作の内容に応じた鍵情報(Key ON/OFF信号、Key識別信号(鍵番号など)等)と、上記自動伴奏情報とに基づいて、上記演奏音を伴奏するための伴奏音に対応する所望のデジタル楽音信号DMSを発生させる。
【0029】
なお、本実施の形態では、上記伴奏音がコード(和音)の場合について説明を行う。
また、本実施の形態の電子楽器では、上記自動伴奏設定スイッチにより自動伴奏を行うことが設定されているときに所定の鍵盤が押鍵された場合に、上記押鍵された鍵盤に対応する所定のコードを発音するようにしている。
【0030】
D/A変換部9は、楽音発生部8で発生されたデジタル楽音信号DMSをアナログ楽音信号に変換する機能を有する。
アナログ信号処理部10は、D/A変換部9でD/A変換されたアナログ楽音信号に対し、簡単なフィルタ処理(ノイズ除去処理)を施す機能を有する。
【0031】
パワーアンプ11は、アナログ信号処理部10でノイズ除去処理が施されたアナログ楽音信号に対し、増幅処理を施して適当なレベルに増幅する。
スピーカ部12は、パワーアンプ11で増幅されたアナログ楽音信号を可聴信号として放音するためのものであり、1個あるいは複数個で構成されている。
【0032】
図2は、図1に示した本実施の形態の楽音発生部8(伴奏音発生部8b)の構成をより具体的に示したブロック図である。
図2において、伴奏音発生部8bは、伴奏音用波形メモリ20と、波形読み出し回路21と、伴奏音信号生成回路22と、バッファ23とを有している。
【0033】
伴奏音用波形メモリ20は、伴奏用楽音波形データADを、繰り返し波形データとして、あるいは立ち上がり部と繰り返し部とからなる波形データとして所定のエリアに予め記憶するためのメモリである。なお、この伴奏音用波形メモリ20は、演奏音発生部8aと共有するメモリであり、鍵盤の押鍵と離鍵とに基づく演奏音に対応する演奏音用楽音波形信号DMSを発生させる際にも用いられる。
【0034】
伴奏用楽音波形データADは、音色や音域に応じた種々の楽音波形データであり、上記自動伴奏を行うときに使用される。すなわち、伴奏用楽音波形データADは、上記伴奏音を発音させるためのデータである。
【0035】
波形読み出し回路21は、上記鍵盤の操作に応じて与えられるKey ON/OFF信号及びKey識別信号と、上記自動伴奏情報とに基づいて、所望の伴奏用楽音波形データADを所望の楽音周波数に応じた速度で伴奏音用波形メモリ20から読み出す。
【0036】
なお、伴奏用楽音波形データADの読み出しは、波形読み出し回路21から伴奏音用波形メモリ20に時分割で与えられるアドレス情報に従って行われる。
【0037】
バッファ23は、現在発音されているコードの各構成音を一時的に記憶するためのメモリである。このバッファ23への書き込み動作と消去動作は、伴奏音信号生成回路22により制御される。
【0038】
伴奏音信号生成回路22は、伴奏音用波形メモリ20から読み出された伴奏用楽音波形データADを用いて、所望のコードに対応するデジタル楽音信号DMSを生成してコードの発音処理を行う。
【0039】
すなわち、伴奏音信号生成回路22は、伴奏音用波形メモリ20から読み出した伴奏用楽音波形データADに対して、フィルタ処理を施したり、エンベロープを付与したりするなどの発音処理を行って上記所望のコードに対応するデジタル楽音信号DMSを生成して出力する。
【0040】
ただし、上記発音処理を行うに際し、コードが変更されたことを検出した場合には以下のような処理を行う。
まず、上記変更されたコードの各構成音がバッファ23に記憶されているか否かを検索する。
【0041】
そして、記憶されている場合には新たな発音処理を行わず、現在発音している構成音をそのまま発音させ続けるようにする。
一方、記憶されていない場合には、バッファ23に記憶されている音の中から、上記変更された新たなコードの構成音に最も近いピッチを有する音を検索し、上記変更された新たなコードの構成音と上記検索した音とのピッチの差分を計算する。
【0042】
そして、上記計算した結果に基づいて、上記検索した音のピッチを、上記変更された新たなコードの構成音のピッチに変更して再発音を行うようにする。そして、変更された新たなコードの構成音をバッファ23に記憶する。
【0043】
次に、図3のフローチャートを参照しながら本実施の形態の楽音発生部8(伴奏音発生部8b)の動作の一例を説明する。なお、以下では、自動伴奏機能を実行する場合について説明する。
【0044】
まず、最初のステップS1において、波形読み出し回路21と伴奏音信号生成回路22は、所望の鍵情報(Key ON/OFF信号、Key識別信号)と自動伴奏情報とが入力されるまで待機し、これらの情報が入力され伴奏音の発音指令を受けるとステップS2に進む。
【0045】
次に、ステップS2において、波形読み出し回路21は、ステップS1で入力された鍵情報と自動伴奏情報とに基づいて、所望の伴奏用楽音波形データADを伴奏音用波形メモリ20から読み出して伴奏音信号生成回路22に出力する。
【0046】
次に、ステップS3において、伴奏音信号生成回路22は、上記伴奏用楽音波形データADに対し、フィルタ処理やエンベロープ付与処理などを施してデジタル楽音信号DMSを生成して、バッファ23に記憶する。
【0047】
次に、ステップS4において、伴奏音信号生成回路22は、鍵情報に基づいて、コードが変更されたか否かを判定する。この判定の結果、コードが変更されていない場合には、ステップS5からステップS8までの処理を省略して後述するステップS9に進む。
【0048】
一方、ステップS4の判定の結果、コードが変更された場合には、ステップS5に進み、変更された新たなコードの各構成音のうち、任意の1つの構成音を選択し、上記選択した構成音がバッファ23に記憶されているか否かを検索する。検索した結果、記憶されていない場合にはステップS6に進み、記憶されている場合にはステップS6の処理を省略して後述するステップS7に進む。
【0049】
次に、ステップS6において、伴奏音信号生成回路22は、バッファ23に記憶されている音の中から、上記変更された新たなコードの構成音に最も近いピッチの音を検索し、上記変更された新たなコードの構成音と上記検索した音とのピッチの差分を計算する。そして、上記計算結果に基づいて、上記検索した音のピッチを、上記変更されたコードの構成音に変更する処理を行う。
【0050】
次に、ステップS7において、伴奏音信号生成回路22は、上記変更された新たなコードの全ての構成音についてステップS5における検索処理が完了したか否かを判定する。判定の結果、完了していない場合には、完了するまでステップS5からステップS7までの処理を繰り返す。そして、完了するとステップS8に進み、ステップS6でピッチを変更した全ての構成音に対応するデジタル楽音信号DMSを生成し、ステップS3でバッファ23に記憶したデジタル楽音信号DMSを上記作成したデジタル楽音信号DMSに書き換える。
【0051】
次に、ステップS9において、伴奏音信号生成回路22は、ステップS3またはステップS8で作成したデジタル楽音信号DMSをD/A変換部9に出力する。なお、ステップS6で変更した構成音が複数の場合には、複数の構成音がコードとして発音されるように処理する。
【0052】
次に、ステップS10において、伴奏音信号生成回路23は、自動伴奏を行うための上記所定の鍵盤が離鍵されたことを、上記鍵情報に基づいて検出することにより消音指令を受け付けたか否かを判定する。判定の結果、消音指令を受け付けていない場合はステップS1に戻る。
【0053】
一方、ステップS10の判定の結果、消音指令を受け付けた場合は、ステップS11に進み、上記離鍵された鍵盤に対応するコードを消音する処理を行うとともに、上記消音したコードの構成音に関する情報をバッファ23から消去する。
【0054】
次に、ステップS12において、自動伴奏演奏が終了したか否かを判定し、演奏が終了していない場合は、ステップS2の処理の戻り、演奏が終了するまでステップS1からステップS12までの処理を繰り返す。
【0055】
以上のように本実施の形態では、伴奏音として発音しているコードの構成音をバッファ23に記憶しておき、上記コードが変更された場合、上記発音しているコードと上記変更されたコードに共通する構成音があるか否かを検索し、共通する構成音がある場合には、上記発音しているコードの構成音をそのまま発音するようにするとともに、ない場合には、上記変更されたコードの構成音に最も近い音のピッチを、上記変更されたコードのピッチに変更して発音するようにしたので、発音中のコードを消音しなくても変更後のコードを再発音することができる。また、発音処理を行う音数を可及的に少なくすることができる。
【0056】
したがって、コードを変更したときにアタック音が頻繁に発音されてしまうことを防止しながら、自動伴奏におけるコードの変更を検出した場合には変更された新たなコードによる演奏を速やかに行うことができ、自動伴奏を滑らかに行うことができる。
【0057】
また、コードが変更された場合に、発音しているコードの音色に応じてリトリガー処理(発音している音を消音して再発音する処理)を行うか否かを決定するようにして滑らかな自動伴奏を行う手法も考えられる。しかしながら、この手法では、上記リトリガー処理を行うか否かを決定するためのテーブルが必要になってしまう。
【0058】
これに対し、本実施の形態の電子楽器1で伴奏音を再発音させる際に記憶する情報は、発音しているコードに関する情報だけである。したがって、少ない情報で自動伴奏を滑らかに行うことができる。これにより、大きな容量を有するメモリを設ける必要がなくなり、コストを低減させることができる。
【0059】
なお、本実施の形態では、バッファ23を用いて発音中のコードの構成音を記憶するようにしたが、必ずしもバッファ23に記憶する必要はなく、例えばRAM4に記憶するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、伴奏音がコードの場合を例に挙げて説明したが、伴奏音が1音であってもよい。この場合は図3のステップS5とステップS7の処理を省略する。
【0060】
(第2の実施の形態)
次に、電子楽器、自動伴奏方法、コンピュータプログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体の第2の実施の形態を説明する。
【0061】
本実施の形態では、伴奏音であるコードを発音してから所定の時間が経過する前にコードが変更された場合には、上述した第1の実施の形態と同様の再発音処理を行う一方、上記所定の時間以上経過した後にコードが変更された場合には、発音しているコードの各構成音を消音して上記変更されたコードの構成音を再発音するリトリガー処理を行うようする。
【0062】
このように、伴奏音であるコードを発音してから所定の時間が経過する前にコードが変更された場合における本実施の形態の電子楽器の処理は、上述した第1の実施の形態と同様であるので、上述した第1の実施の形態と同一部分については図1及び図2に付した符号と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0063】
図4は、本実施の形態の楽音発生部(伴奏音発生部)の構成をより具体的に示したブロック図である。
図4において、伴奏音発生部8b2は、伴奏用メモリ20と、波形読み出し回路21と、バッファ23と、伴奏音信号生成回路31と、カウンタ33とを有している。なお、この伴奏音発生部8b2は、図1に示した第1の実施の形態の伴奏音発生部8bに対応する。
【0064】
伴奏音信号生成回路31は、伴奏用デジタル楽音信号DMSをD/A変換部9に出力してからの時間(コードを発音してからの時間)を、カウンタ33に計数させるようにする。そして、コードを発音してから新しいコードが検出されるまでの時間が所定の時間以上であるときには、第1の実施の形態で説明した図3のステップS5からステップS8までの処理と同様の処理を行う。一方、上記所定の時間未満であるときには、上記リトリガー処理を行う。
【0065】
なお、上記所定の時間は、発音中の音のゲートタイムの残り時間など、発音中の音の大きさに依存したパラメータを基準にして設定するようにする。例えば、コードを発音してから上記コードのゲートタイムの残りがある時間になるまでの時間を上記所定の時間として設定する。
【0066】
次に、図5のフローチャートを参照しながら本実施の形態の楽音発生部8(伴奏音発生部8b2)の動作の一例を説明する。なお、以下では、自動伴奏機能を実行する場合について説明する。
【0067】
まず、最初のステップS21において、波形読み出し回路21と伴奏音信号生成回路31は、所望の鍵情報と自動伴奏情報が入力されるまで待機し、入力されるとステップS22に進み、波形読み出し回路21は、所望の伴奏用楽音波形データADを読み出して伴奏音信号生成回路31に出力する。
【0068】
次に、ステップS23において、伴奏音信号生成回路31は、上記伴奏用楽音波形データADに対し、フィルタ処理やエンベロープ付与処理などを施してデジタル楽音信号DMSを生成して、バッファ23に記憶する。
【0069】
次に、ステップS24において、伴奏音信号生成回路31は、上記鍵情報に基づいて、コードが変更されたか否かを判定する。判定の結果、コードが変更されていない場合には、後述するステップS25からステップS29及びステップ34の処理を省略してステップS30に進む。
【0070】
一方、コードが変更された場合には、ステップS25に進み、伴奏音信号生成回路31は、カウンタ33の値を参照することにより、前回のコード出力(発音)から新しいコードが検出されるまでの時間が所定の時間以上であるか否かを判定する。
【0071】
ステップS25の判定の結果、所定の時間未満である場合には、図1に示したステップS5からステップS8までの処理と同様のステップS26からステップS29までの処理を行う。そして、ステップS30において、伴奏音信号生成回路31は、図1に示したステップS9の処理と同様にしてデジタル楽音信号DMSをD/A変換部9に出力するとともに、カウンタ33の計数を開始する。
【0072】
一方、所定の時間以上である場合には、ステップS34に進み、伴奏音信号生成回路31は、発音中のコードを消音する上記リトリガー処理を行って上記ステップS30に進む。
そして、ステップS31において、伴奏音信号生成回路31は、図3のステップS10と同様にして消音指令を受け付けたか否かを判定する。この判定の結果、受け付けていない場合はステップS21に戻る。
【0073】
一方、受け付けた場合は、ステップS32に進み、上記離鍵された鍵盤に対応するコードを消音する処理を行うとともに、上記消音したコードの構成音に関する情報をバッファ23から消去する。そして、カウンタ33をリセットする。
【0074】
次に、ステップS33において、自動伴奏が終了したか否かを判定し、演奏が終了していない場合は、ステップS22の処理の戻り、自動伴奏が終了するまでステップS21からステップS34までの処理を繰り返す。
【0075】
以上のように、本実施の形態では、伴奏音としてコードを発音してから新しいコードが検出されるまでの時間が所定の時間が経過する前においては、上述した第1の実施の形態と同様の発音処理を行う一方、上記所定の時間が経過した後においてはリトリガー処理を行うようにしたので、リトリガー処理を行って自動伴奏を行っても、アタック音が煩雑に発生してしまうことを防止することができる。
【0076】
なお、本実施の形態では、伴奏音としてコードを発音してから新しいコードが検出されるまでの時間を、カウンタ33を用いて計数するようにしたが、ハードウェアを用いずにソフトウェア処理による計測手段により時間を管理するようにしてもよい。
【0077】
また、本実施の形態においても、伴奏音がコードの場合を例に挙げて説明したが、伴奏音が1音であってもよい。この場合は図5のステップS26とステップS28の処理を省略する。
【0078】
(本発明の他の実施形態)
上述した実施形態の機能を実現するべく各種のデバイスを動作させるように、該各種デバイスと接続された装置あるいはシステム内のコンピュータに対し、上記実施形態の機能を実現するためのソフトウェアのプログラムコードを供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(CPUあるいはMPU)に格納されたプログラムに従って上記各種デバイスを動作させることによって実施したものも、本発明の範疇に含まれる。
【0079】
また、この場合、上記ソフトウェアのプログラムコード自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、およびそのプログラムコードをコンピュータに供給するための手段、例えば、かかるプログラムコードを格納した記録媒体は本発明を構成する。かかるプログラムコードを記憶する記録媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0080】
また、コンピュータが供給されたプログラムコードを実行することにより、上述の実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)あるいは他のアプリケーションソフト等と共同して上述の実施形態の機能が実現される場合にもかかるプログラムコードは本発明の実施形態に含まれることは言うまでもない。
【0081】
さらに、供給されたプログラムコードがコンピュータの機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに格納された後、そのプログラムコードの指示に基づいてその機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合にも本発明に含まれることは言うまでもない。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、発音中の伴奏音が変更された場合には、上記発音中の伴奏音を用いて上記変更された新たな伴奏音を発音させるようにしたので、発音している伴奏音を消音することなく変更後の伴奏音を発音することができる。これにより、伴奏音が変更された際に行われる再発音時にアタック音が煩雑に発生するのを可及的に防止し、滑らかな演奏を行うことができる。
【0083】
また、本発明の他の特徴によれば、発音している和音を記憶媒体に記憶しておき、上記和音を変更することが指示された場合、上記変更が指示された新たな和音を構成する各音のうち、上記記憶媒体に記憶されている和音を構成する音と異なる音のみを生成するようにし、同じ音についてはそのまま発音を続行させるようにしたので、発音している和音を消音せずに変更後の新たな和音を発音することができる。また、発音制御を行う音数を可及的に少なくすることができる。したがって、自動伴奏における和音が連続的に変更されてもアタック音が煩雑に発生することを可及的に防止するとともに、上記自動伴奏における和音の変更を検出した時には変更された新たな和音による演奏を速やかに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示し、電子楽器の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示し、楽音発生部の構成をより具体的に示したブロック図である。
【図3】本発明の実施の第1の形態を示し、楽音発生部の動作の一例を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施の形態を示し、楽音発生部の構成をより具体的に示したブロック図である。
【図5】本発明の実施の第2の形態を示し、楽音発生部の動作の一例を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1 電子楽器
6 キーボード部
7 操作パネル部
8 楽音発生部
20 伴奏用波形メモリ
21 波形読み出し回路
22、31 伴奏音信号生成回路
23 バッファ
33 カウンタ

Claims (17)

  1. 鍵盤の押鍵と離鍵とに基づく演奏音を伴奏するための伴奏音を発音して自動伴奏を行うことが可能な電子楽器であって、
    上記発音している伴奏音が変更された場合には、上記発音している伴奏音を用いて上記変更された新たな伴奏音を発音させるようにしたことを特徴とする電子楽器。
  2. 鍵盤の押鍵と離鍵とに基づく演奏音を伴奏する伴奏音の発音を指示する伴奏音発音指示手段と、
    上記伴奏音発音指示手段による指示内容に基づいた伴奏音を発音させる伴奏音発音手段と、
    上記伴奏音発音手段により発音されている伴奏音を記憶媒体に記憶する記憶手段とを有し、
    上記伴奏音発音手段は、上記伴奏音発音指示手段により伴奏音を変更することが指示された場合には、上記記憶媒体に記憶されている発音中の伴奏音を用いて新たな伴奏音を発音させるようにしたことを特徴とする電子楽器。
  3. 上記伴奏音発音手段は、上記記憶媒体に記憶されている発音中の伴奏音のピッチと、上記変更することが指示された新たな伴奏音のピッチとの差分を計算し、上記計算した結果を用いて上記発音中の伴奏音のピッチを上記新たな伴奏音のピッチに変更し、上記ピッチを変更した伴奏音を上記新たな伴奏音として発音させるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の電子楽器。
  4. 上記伴奏音発音手段により伴奏音が発音されてからの時間を計測する計測手段を有し、
    上記伴奏音発音手段は、上記伴奏音を発音させてから所定の時間が経過したことが上記計測手段により計測された後に、上記伴奏音を変更することが指示された場合には、上記発音中の伴奏音を消音して新たな伴奏音を発音させるようにしたことを特徴とする請求項2または3に記載の電子楽器。
  5. 上記伴奏音は和音であり、
    上記伴奏音発音手段は、上記伴奏音発音指示手段により和音を変更することが指示された場合、上記変更することが指示された新たな和音の構成音のうち、上記記憶媒体に記憶されている発音中の和音の構成音と異なる構成音のみを変更して新たに発音させるようにし、同じ構成音についてはそのまま発音を続行させるようにしたことを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の電子楽器。
  6. 上記伴奏音発音手段は、上記記憶媒体に記憶されている発音中の和音の構成音のうち、上記変更することが指示された新たな和音の構成音とピッチが最も近い構成音を用いて、上記新たな和音の構成音を生成して発音させるようにしたことを特徴とする請求項5に記載の電子楽器。
  7. 上記伴奏音発音指示手段は、所定の鍵盤が押鍵されたときに上記伴奏音の発音を指示することを特徴とする請求項2〜6の何れか1項に記載の電子楽器。
  8. 鍵盤の押鍵と離鍵とに基づく演奏音を伴奏するための伴奏音を発音して自動伴奏を行う自動伴奏方法であって、
    上記発音している伴奏音が変更された場合には、上記発音している伴奏音を用いて上記変更された新たな伴奏音を発音させるようにしたことを特徴とする自動伴奏方法。
  9. 鍵盤の押鍵と離鍵とに基づく演奏音を伴奏する伴奏音の発音を指示する伴奏音発音指示処理と、
    上記伴奏音発音指示処理による指示内容に基づいた伴奏音を発音させる伴奏音発音処理と、
    上記伴奏音発音処理により発音されている伴奏音を記憶媒体に記憶する記憶処理とを行い、
    上記伴奏音発音処理は、上記伴奏音発音指示処理により伴奏音を変更することが指示された場合には、上記記憶媒体に記憶されている発音中の伴奏音を用いて新たな伴奏音を発音させるようにしたことを特徴とする自動伴奏方法。
  10. 上記伴奏音発音処理は、上記記憶媒体に記憶されている発音中の伴奏音のピッチと、上記変更することが指示された新たな伴奏音のピッチとの差分を計算し、上記計算した結果を用いて上記発音中の伴奏音のピッチを上記新たな伴奏音のピッチに変更し、上記ピッチを変更した伴奏音を上記新たな伴奏音として発音させるようにしたことを特徴とする請求項9に記載の自動伴奏方法。
  11. 上記伴奏音発音処理により伴奏音が発音されてからの時間を計測する計測処理を行い、
    上記伴奏音発音処理は、上記伴奏音を発音させてから所定の時間が経過したことが上記計測処理により計測された後に、上記伴奏音を変更することが指示された場合には、上記発音中の伴奏音を消音して新たな伴奏音を発音させるようにしたことを特徴とする請求項9または10に記載の自動伴奏方法。
  12. 上記伴奏音発音処理は、上記伴奏音発音指示処理により和音を変更することが指示された場合、上記変更することが指示された新たな和音の構成音のうち、上記記憶媒体に記憶されている発音中の和音の構成音と異なる構成音のみを変更して新たに発音させるようにし、同じ構成音についてはそのまま発音を続行させるようにしたことを特徴とする請求項9〜11の何れか1項に記載の自動伴奏方法。
  13. 上記伴奏音発音処理は、上記記憶媒体に記憶されている発音中の和音の構成音のうち、上記変更することが指示された新たな和音の構成音とピッチが最も近い構成音を用いて、上記新たな和音の構成音を生成して発音させるようにしたことを特徴とする請求項12に記載の自動伴奏方法。
  14. 上記伴奏音発音指示処理は、所定の鍵盤が押鍵されたときに上記伴奏音の発音を指示することを特徴とする請求項9〜13の何れか1項に記載の自動伴奏方法。
  15. 鍵盤の押鍵と離鍵とに基づく演奏音を伴奏するための伴奏音を発音して自動伴奏を行うに際して、上記発音している伴奏音が変更された場合には、上記発音している伴奏音を用いて上記変更された新たな伴奏音を発音させることをコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
  16. 鍵盤の押鍵と離鍵とに基づく演奏音を伴奏する伴奏音の発音を指示する伴奏音発音指示処理と、
    上記伴奏音発音指示処理による指示内容に基づいた伴奏音を発音させる伴奏音発音処理と、
    上記伴奏音発音処理により発音されている伴奏音を記憶媒体に記憶する記憶処理とを行い、
    上記伴奏音発音処理は、上記伴奏音発音指示処理により伴奏音を変更することが指示された場合には、上記記憶媒体に記憶されている発音中の伴奏音を用いて新たな伴奏音を発音させることをコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
  17. 上記請求項15または16に記載のコンピュータプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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