JP2004044543A - 内燃機関のノッキング制御装置 - Google Patents

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高木 功
Seiji Hirowatari
広渡 誠治
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Abstract

【課題】機関冷却機構による機関冷却水温度の変更に伴うノッキング学習量の不安定化、ひいてはその不安定化に起因するノッキングの発生や機関出力の低下を抑制する。
【解決手段】電子制御装置40は機関運転状態に基づいて流量制御弁21を制御することにより、冷却通路14を通過する冷却水の温度を調節する。電子制御装置40は水温センサ52により検出される冷却水温度に対してなまし処理を行い、同冷却水温度に対して応答遅れを有する制御用冷却水温度を燃焼室の壁面温度と相関を有するパラメータとして算出する。電子制御装置40はこの制御用冷却水温度に基づいてノッキング発生限界点火時期を補正する。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、機関本体を循環する機関冷却水の温度を機関運転状態に基づいて制御する機関冷却機構を有する内燃機関にあって、そのノッキングの発生を抑制するノッキング制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の点火時期は、通常、機関負荷及び機関回転速度といった機関運転状態に基づいて、ノッキングを発生させることなく所定の機関出力が得られる時期(以下では、これを「ノッキング発生限界点火時期」と称する)に設定される。しかしながら、ノッキングは、吸気温、使用燃料の性状、実空燃比の経時変化等々、そのときどきの外的要因によってその発生状況が大きく変化する傾向がある。このため、内燃機関では通常、こうしたノッキングの発生を好適に抑制するためのノッキング制御が実行される。こうしたノッキング制御では、ノッキングセンサによってそのときどきのノッキングの発生状況が監視され、その監視結果に基づいて点火時期補正量(ノッキング制御量)が算出される。そして、ノッキングが発生しているときには、上記ノッキング発生限界点火時期を遅角側の時期に補正する一方、ノッキングが発生していないときにはノッキング発生限界点火時期を進角側の時期に補正するようにしている。このように、ノッキング制御量に基づいてノッキング発生限界点火時期を補正することにより、ノッキングの発生を速やかに抑制するようにしている。
【0003】
また、機関燃焼室内壁にカーボン等が付着して実圧縮比が上昇することにより、ノッキングが頻繁に発生するようになったり、或いはオクタン価の高い燃料使用されることによりノッキングが発生し難くなった場合には、ノッキング制御量が一定の傾向を有するようになる。
【0004】
例えば、ノッキングが頻繁に発生する状況下にあっては、ノッキング発生限界点火時期が常に遅角側の時期に補正されるように、一方、ノッキングが発生し難い状況下にあるときには、ノッキング発生限界点火時期が常に進角側の時期に補正されるように、ノッキング制御量が算出されるようになる。
【0005】
このため、こうしたノッキング制御にあっては、ノッキング制御量の大きさについてその定常的な傾向をノッキング学習量として学習するようにしている。そして、これらノッキング制御量及びノッキング学習量の双方によりノッキング発生限界点火時期を補正するようにしている。即ち、そのときどきのノッキングの発生についてはノッキング制御量によって即座に対応してこれを抑制する一方、ノッキングの定常的な発生傾向についてはノッキング学習量によりこれを打ち消すことにより、安定したノッキング制御を行うようにしている。そして、こうしたノッキング制御を通じて、ノッキング発生限界点火時期はノッキングの発生を抑制しつつ、機関出力が極力確保される進角側の時期に設定されるようになる。
【0006】
ところで、ノッキングは混合気の点火によって機関燃焼室内の温度及び圧力が上昇した際に、点火プラグ近傍からの火炎の伝搬とは無関係に混合気が部分的に自然発火する現象であり、通常こうしたノッキングの発生と機関燃焼室、特にその壁面温度との間には強い相関が存在している。
【0007】
そして、こうした機関燃焼室の壁面温度に影響を与える因子の一つとして機関冷却水温度が挙げられる。従って、機関冷却水温度が高い場合には、機関燃焼室の壁面温度が高くなるためにノッキングが発生し易くなる一方、機関冷却水温度が低い場合には、こうしたノッキングの発生は抑制されるようになる。従って、内燃機関のノッキング発生限界点火時期を設定する際には、機関負荷や機関回転速度等の他、こうした機関冷却水温度による影響についても考慮するのが本来望ましい。
【0008】
例えば、発明協会公開技報99−2923号に記載されるノッキング制御装置では、こうした機関冷却水温度に基づいてノッキング発生限界点火時期を設定するようにしている。
【0009】
即ち、同装置では、機関冷却水温度の温度が高い場合には、機関燃焼室の壁面温度も高いものとし、ノッキングの発生を抑制すべく、ノッキング発生限界点火時期を遅角側の時期に設定するようにしている。また一方、機関冷却水温度の温度が低い場合には、機関燃焼室の壁面温度も低いものとし、機関出力の向上を図るべく、ノッキング発生限界点火時期を進角側の時期に設定するようにしている。従って、同装置によれば、機関燃焼室の壁面温度変化に応じてノッキング発生限界点火時期を設定することができるようになる。
【0010】
ところで、通常、機関冷却水温度は、内燃機関の暖機完了後は略一定の温度に保持されるが、近年ではこうした機関冷却水温度を機関運転状態に応じて積極的に可変制御するようにした機関冷却機構も提案されている(例えば特開2002−21563号)。
【0011】
こうした機関冷却機構では、ラジエータを通過する機関冷却水の流量を調節する流量制御弁等を備えており、例えば機関高負荷時には、ラジエータを通過する機関冷却水の流量を増大させて同機関冷却水の温度を低下させるようにしている。このように機関冷却水の温度を低下させて機関負荷増大に起因する機関燃焼室、特にその壁面温度の上昇を抑えることにより、ノッキングの発生を抑制するようにしている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
こうした機関冷却機構を備えることにより、確かにノッキングの発生については抑制することができるようになる。しかしながら、こうした機関冷却機構を備える内燃機関において上述したような機関冷却水温度に基づくノッキング発生限界点火時期の補正並びにノッキング制御が実行される場合には、以下のような不都合も無視できないものとなる。
【0013】
即ち、上記機関冷却機構を備えた内燃機関では機関冷却水の温度が比較的大きく変動するが、このように機関冷却水温度が変動するとそれに伴って機関燃焼室壁面の温度も変動するようになる。しかしながら、これら機関冷却水温度と機関燃焼室の壁面温度とは相関を有して変化するものであるとはいえ、必ずしも時間的に同期して変化するわけではない。例えば、上記機関冷却機構の作動により機関冷却水温度が大きく低下し、これに応じて機関燃焼室の壁面温度が低下する場合についてみると、この壁面温度は機関冷却水温度に対して所定の応答遅れをもって変化するようになる。そして、所定期間経過した後に、機関燃焼室の壁面温度は機関冷却水温度に対応した温度になり、これら機関燃焼室壁面と機関冷却水とが熱的な平衡状態に達するようになる。
【0014】
従って、こうした応答遅れが存在する過渡的な期間に、上述した機関冷却水温度に基づくノッキング発生限界点火時期の補正が行われると、機関燃焼室壁面の温度が未だその機関冷却水温度に対応する温度にまで低下していないため、そのノッキング発生限界点火時期が過度に進角側の時期に設定されてしまうようになる。そして、このような過度な進角補正が行われると、ノッキングが発生するようになる。
【0015】
尤も、こうしたノッキングが発生しても、これを抑制すべくノッキング制御量が大きく変化するようになる。但しこの場合、ノッキング制御量は過度に増大するようになり、それに基づいてノッキング学習量の学習も行われるようになる。即ち、このノッキング学習量は定常的なノッキングの発生状況のみならず、上記応答遅れに起因してノッキング発生限界点火時期が過進角側に設定されたことの影響をも含んだものなる。このため、このノッキング学習量は、ノッキング発生限界点火時期を過度に遅角側に補正するものとして学習されてしまうようになる。
【0016】
このため、その後、機関運転状態や機関冷却水温度が変化して、ノッキングの発生し難い状況に移行しても、過度に遅角側の時期として学習された学習量に基づいてノッキング発生限界点火時期が更新されるため、ノッキング制御量がその状況に対応するように減少するまでは、機関出力の不必要な低下を招くこととなる。更にこの場合には、ノッキング制御量が過度に減少するため、ノッキング学習量はノッキング発生限界点火時期を過度に進角側に補正するものとして学習されるようになる。従って、再び機関運転状態や機関冷却水温度が変化して、ノッキングの発生し易い状況に移行すれば、ノッキング制御量がその状況に対応するように増大するまでは、再びノッキングの発生を招くこととなる。
【0017】
このように、機関冷却機構の作動により機関冷却水温度が大きく変化すると、ノッキング学習量の学習処理についてその不安定化を招くこととなり、その信頼性が大きく低下してしまうようになる。また、燃焼室内壁のデポジット付着量推定処理や燃料性状の推定処理等々、こうしたノッキング学習量に基づいて他の各種制御を行っている場合には、それら制御への悪影響も懸念される。
【0018】
尚、例えばノッキング学習量の学習速度を予め大きく設定しておくようにすれば、こうした不安定化についてはある程度抑制することはできる。しかしながら、このように学習速度を予め大きく設定するようにしておくと、ノッキング学習量は内燃機関のノッキングの発生について過渡的な傾向に応じて変動するようになり、その定常的な傾向を打ち消すといったその本来の機能が低下してしまうこととなる。
【0019】
本発明はこうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、機関冷却機構により機関冷却水温度を可変制御する内燃機関のノッキング制御装置において、機関冷却機構による機関冷却水温度の変更に伴うノッキング学習量の不安定化、ひいてはその不安定化に起因するノッキングの発生や機関出力の低下を抑制することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための構成及びその作用効果について以下に記載する。
請求項1記載の発明は、機関本体を循環する機関冷却水の温度を機関運転状態に基づいて可変制御する機関冷却機構を有した内燃機関に適用され、機関運転状態に基づいてノッキング発生限界点火時期を設定する設定手段と、内燃機関のノッキングの発生を検出する検出手段と、同検出手段の検出結果に基づいて前記設定されるノッキング発生限界点火時期を進角側又は遅角側に変更するノッキング制御量を算出する算出手段と、このノッキング制御量の大きさについてその定常的な傾向を学習し、同傾向が打ち消されるように前記ノッキング発生限界点火時期を前記学習結果に基づいて更新する学習手段とを備える内燃機関のノッキング制御装置において、機関冷却水温度を検出する検出手段と、前記検出される機関冷却水温度の所定期間における推移を監視しその監視結果に基づいて機関燃焼室壁面の温度を推定する推定手段と、前記推定される機関燃焼室壁面の温度に基づいて前記設定されるノッキング発生限界点火時期を補正する補正手段とを備えるようにしている。
【0021】
一般に、機関燃焼室壁面と機関冷却水とが熱的な平衡状態(或いは熱的定常状態)にある場合、これらの温度は略一定に保持され、これら機関燃焼室壁面と機関冷却水との間で単位時間当たり及び単位面積当たりに移動する熱量、即ち熱流束ΔQについても略一定になっている。一方、こうした熱的平衡状態にあるときから機関冷却水の温度が変化すると、熱流束ΔQが変化するために熱的に過渡的な状態になる。そして、この熱流束ΔQの変化速度が徐々に低下してこれがに略一定になると、再び機関燃焼室壁面と機関冷却水とは熱的に平衡状態に移行するようになる。
【0022】
ここで、機関燃焼室壁面と機関冷却水とが熱的に過渡的な状態にある期間についてみると、例えば機関冷却水温度の変化速度が大きい場合、換言すれば所定期間において機関冷却水温度が大幅に変化するような場合にあっては、それに伴って変化する機関燃焼室温度の応答遅れも大きくなる。一方、機関冷却水温度の変化速度が小さい場合、換言すれば所定期間において機関冷却水温度の変化が極めて緩慢であるような場合には、機関燃焼室の壁面温度も比較的これに追従して変化するようになる。即ち、機関燃焼室壁面の温度変化は、機関冷却水温度が所定期間においてどのように推移するかに応じて異なる態様をとり得る。
【0023】
上記請求項1記載の構成では、この点に着目し、こうした機関冷却水温度についてその所定期間における推移を監視するようにしている。このため、機関冷却機構により機関冷却水温度が変更され、その後の過渡期間において機関燃焼室の壁面温度が変化するに際し応答遅れが存在する場合であっても、上記監視結果に基づいてこれを考慮しつつ機関燃焼室の壁面温度を推定することができるようになる。従って、この燃焼室の壁面の温度に基づいてノッキング発生限界点火時期を補正することにより、ノッキング学習量の不安定化、更にはそれに起因するノッキングの発生や機関出力の低下を抑制することができるようになる。
【0024】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の内燃機関のノッキング制御装置において、前記推定手段は前記検出される機関冷却水温度の変化速度を監視しその監視結果に基づいて機関燃焼室壁面の温度を推定するものであるとしている。
【0025】
機関冷却水温度の変化速度が大きい場合には、これに追従する機関燃焼室壁面の温度変化には大きな応答遅れが生じるようになる一方、機関冷却水温度の変化速度が小さい場合には、機関燃焼室壁面の温度はこの機関冷却水温度に比較的追従して変化するようになり、その応答遅れも小さくなる。
【0026】
上記請求項2記載の構成では、機関冷却水温度の変化速度を監視し、これに基づいて機関燃焼室壁面の温度を推定するようにしているため、これを正確に推定することができるようになる。
【0027】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の内燃機関のノッキング制御装置において、前記推定手段は前記機関冷却機構により温度が低下するように機関冷却水温度が可変制御される際に、前記検出される機関冷却水温度についてその変化の高周波成分が除去されるようにこれを所定の時定数をもって徐変処理し、同徐変処理後の機関冷却水温度に基づいて前記機関燃焼室壁面の温度を推定するものである。
【0028】
同構成では、機関冷却機構により温度が低下するように機関冷却水温度が可変制御される際に、機関冷却水温度についてその変化の高周波成分が除去されるようにこれを所定の時定数をもって徐変処理するようにしている。従って、この機関冷却水温度が時間的に大きく低下する場合には、この徐変処理を通じて得られる機関冷却水温度の変化は実際の変化よりも緩慢なものとなる。一方、機関冷却水温度の時間的な低下量が相対的に小さい場合には、この徐変処理による影響は小さくなり、同処理を通じて得られる機関冷却水温度の変化は実際の変化により近いものとなる。従って、これら徐変処理を通じて得られる機関冷却水温度は機関燃焼室の壁面温度変化に極めて即したものとなる。
【0029】
請求項3記載の上記構成によれば、こうした徐変処理を通じて得られる機関冷却水温度に基づいて機関燃焼室壁面の温度をより正確に推定することができるようになる。
【0030】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の内燃機関のノッキング制御装置において、前記推定手段は機関冷却水の時間当たりの循環量に基づいて前記時定数を可変設定するものであるとしている。
【0031】
機関冷却機構によって温度低下するように機関冷却水温度が可変制御され、機関冷却水温度が低下すると、それに応じて機関燃焼室壁面の温度も低下するようになる。
【0032】
ここで、機関燃焼室の壁面から機関冷却水に移動する熱流束ΔQが多いときほど、同機関燃焼室壁面の温度低下速度は大きくなり、熱的に過渡的な状態から再び平衡状態に移行するまでの期間も短くなる。
【0033】
従って、この熱流束ΔQが多いときほど、機関冷却水温度の変化に応じて機関燃焼室の壁面温度が低下する際の応答遅れ量は小さくなり、同温度変化の追従性は向上するようになる。一方、この熱流束ΔQが少ないときには、こうした応答遅れ量が大きくなり、機関燃焼室の壁面温度は機関冷却水温度と比較して緩慢に変化するようになる。
【0034】
また一般に、機関冷却水の流速、換言すれば機関冷却水の時間当たりの循環量が多いときほど、機関燃焼室壁面(正確には機関燃焼室壁面と対応する位置にあって機関冷却水が接触する機関本体の壁面)と機関冷却水との間における熱交換が促進され、上記熱流束ΔQは多くなる。
【0035】
請求項4記載の構成では、この点に着目しており、こうした機関冷却水の時間当たりの循環量に基づいて前記時定数を可変設定するようにしている。このため、この時定数を機関燃焼室壁面の温度が低下する際の応答速度に応じて適切に設定することができ、上記徐変処理を通じて得られる機関冷却水温度に基づいて機関燃焼室の壁面温度をより正確に推定することができるようになる。
【0036】
また、こうした機関冷却水の時間当たりの循環量については、機関冷却水の通路中に設けられる流量計や冷却水循環用ポンプの回転速度及びその吐出特性等に基づいて検出することも可能である。しかしながら、機関冷却機構が内燃機関の出力軸にて駆動されるポンプを通じて機関冷却水を循環させるものである場合にあっては、請求項5に記載される発明によるように、上記時定数を機関回転速度に基づいて可変設定するようにする、といった構成を採用するのが望ましい。こうした構成によれば、上記循環量を容易に且つ正確に検出することができ、これに基づいて時定数を可変設定することができるようになる。
【0037】
請求項6記載の発明は、請求項3乃至5のいずれかに記載の内燃機関のノッキング制御装置において、前記推定手段は機関負荷に基づいて前記時定数を可変設定するものであるとしている。
【0038】
機関燃焼室の壁面から機関冷却水に移動する熱流束ΔQは、機関冷却水の流速(循環量)の他、機関燃焼室の壁面温度Tcと機関冷却水温度Twとの温度差(Tc−Tw)によっても変化する。即ち、熱流束ΔQはこの温度差(Tc−Tw)が大きいときほど増大する。更に、機関燃焼室壁面の温度Tcは機関負荷(例えば燃料噴射量)が大きくなるほど高くなる。従って、熱流束ΔQは機関負荷が大きいときほど増大するようになる。
【0039】
この点、請求項6記載の構成では、こうした機関負荷に基づいて前記時定数を可変設定するようにしている。このため、この時定数を機関燃焼室の壁面温度が低下する際の応答速度に応じて適切に設定することができ、上記徐変処理を通じて得られる機関冷却水温度に基づいて機関燃焼室壁面の温度をより正確に推定することができるようになる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図1〜図8を参照して説明する。
図1は本実施形態にかかるノッキング制御装置及び同装置の制御対象となる筒内噴射式の車載内燃機関10の構成を概略的に示している。
【0041】
同図1に示されるように、内燃機関10の本体11には、機関冷却水(以下、単に「冷却水」という)によって同機関本体11、特にその燃焼室12の内部やその壁面を冷却するための冷却通路(ウォータジャケット)14が形成されている。
【0042】
この冷却通路14の内部には、冷却水循環用のポンプ20から吐出された冷却水が供給通路30を通じて供給される。このポンプ20は、内燃機関10の出力軸13に駆動連結されており、この出力軸13の回転力を駆動力として作動する。従って、ポンプ20の時間当たりの吐出量は機関回転速度に略比例する関係にある。
【0043】
ポンプ20から冷却通路14に供給された冷却水は、同冷却通路14を通過する際に機関本体11との間での熱交換が行われた後、同冷却通路14から戻り通路31に排出される。この戻り通路31の下流側は、その途中にラジエータ22が設けられたラジエータ用通路32、並びにラジエータ22を通過することなく供給通路30に戻される各バイパス通路311,312がそれぞれ接続されている。
【0044】
周知のように、ラジエータ22は冷却水が通過する複数の通路(図示略)と、この通路の周囲に配設された放熱フィン(図示略)とによって構成されるヒータコアを備えており、冷却水の熱を外部に放出してその温度を低下させる熱交換機能を有している。
【0045】
また、ラジエータ用通路32においてラジエータ22の下流側部分は、流量制御弁21の第1のポート211に接続されている。一方、流量制御弁21の第3のポート213には、供給通路30においてポンプ20の上流側部分が接続されている。従って、ラジエータ22を通過したラジエータ用通路32の冷却水は、流量制御弁21の第1のポート211と第3のポート213との間を通過して供給通路30に導入される。そして、このように供給通路30に導入された冷却水はポンプ20から再び機関本体11の冷却通路14に供給される。尚、以下では、流量制御弁21において、その弁体(図示略)によって絞られる第1のポート211と第3のポート213との間における冷却水通路路の面積を流量制御弁21の開度と称する。流量制御弁21は、その開度に応じて機関本体11の冷却通路14から排出された冷却水のうちラジエータ用通路32を介してラジエータ22を通過する冷却水を調量する。
【0046】
また、第1のバイパス通路311はスロットルボディ24の内部を介して流量制御弁21の第2のポート212に接続されている。この第1のバイパス通路311を通過する冷却水は、流量制御弁21の第2のポート212と第3のポート213との間を通過して供給通路30に導入され、ポンプ20から再び機関本体11の冷却通路14に供給される。
【0047】
因みに、この第1のバイパス通路311の冷却水は、機関本体11の冷却通路14を通過することにより温度上昇しているため、これをスロットルボディ24の内部に通過させることにより、冷間時においてスロットルバルブ(図示略)を開閉駆動する駆動系の温度上昇が図られるようになる。このため、同駆動系の凍結に起因する作動不良を抑制することができるようになる。尚、このようにスロットルボディ24を通過する冷却水、即ち第1のバイパス通路311を通過する冷却水の量は、流量制御弁21の開度が変化しても略一定に保持されている。
【0048】
具体的には、流量制御弁21の第2のポート212及び第3のポート213間における冷却水通路の通路面積は、その流量が略一定になるように流量制御弁21の開度に応じて変更されるようになっている。これは、スロットルボディ24を通過する冷却水によってスロットルバルブ駆動系を凍結させない程度にまで温度上昇させることができればよく、同温度上昇によるスロットルボディ24の過度の温度上昇は寧ろ吸入空気の温度上昇、ひいては充填率の低下を招くこととなり好ましくないからである。
【0049】
一方、第2のバイパス通路312は、ラジエータ用通路32や第1のバイパス通路311とは異なり、流量制御弁21を介することなく供給通路30に直接接続されている。この第2のバイパス通路312の途中には、車室内用空調装置(図示略)のヒータコア23が設けられている。
【0050】
流量制御弁21は、その開度に応じてラジエータ22を通過する冷却水を調量することにより、冷却水の温度を調節する機能を有している。即ち、この流量制御弁21の開度が大きくなると、ラジエータ22を通過する冷却水の流量が増大し、それに伴って各バイパス通路311,312をそれぞれ通過する冷却水の総量が減少するようになる。一方、流量制御弁21の開度が小さくなると、ラジエータ22を通過する冷却水の流量が減少し、それに伴って各バイパス通路311,312をそれぞれ通過する冷却水の総量が増大するようになる。
【0051】
その結果、流量制御弁21の開度に応じて冷却水全体のうちラジエータ22を通過して温度低下する冷却水の占める割合が変化するため、これにより冷却水温度(正確には冷却水全体の平均温度)を調節することができるようになる。具体的には、機関燃焼熱による温度上昇量及びポンプ20の吐出量がいずれも一定であると仮定した場合、この冷却水温度は流量制御弁21の開度が大きく、冷却水の上記割合が大きいときほど低くなる。
【0052】
本実施形態にあっては、これらポンプ20、流量制御弁21、ラジエータ22、機関本体11の冷却通路14、冷却水が通過するその他の通路30〜32、311,312、並びに流量制御弁21の開度を機関運転状態及び冷却水温度に基づいて制御する電子制御装置40等々によって機関冷却機構が構成されている。
【0053】
また、内燃機関10には、その運転状態や冷却水の温度、ノッキングの発生等を検出するための各種センサが設けられている。例えば、出力軸13の近傍には、機関回転速度NEを検出する回転速度センサ50が設けられている。また、機関吸気通路(図示略)においてスロットルバルブの上流側部分には、燃焼室12に導入される吸入空気の量を検出する吸入空気量センサ51が設けられている。機関本体11には、冷却通路14から戻り通路31に排出される冷却水の温度を検出する水温センサ52が設けられている。更に、同じく機関本体11には、ノッキングの発生を検出するノックセンサ53が設けられている。また、アクセルペダル(図示略)の近傍には、その踏込量(アクセル開度)を検出するアクセルセンサ54が設けられている。
【0054】
これら各種センサの検出結果はいずれも電子制御装置40に取り込まれる。電子制御装置40は、その検出結果並びにそのメモリ41に記憶された各種データを参照することにより、冷却水温度制御、ノッキング抑制処理を含めた点火時期制御等の各種制御を実行すべく、流量制御弁21や点火プラグ15等、各種アクチュエータを駆動する。因みに、電子制御装置40に取り込まれるこれら各センサの出力信号はCRフィルタ等によるノイズ除去処理が行われ、これを更にAD変換した値が上記各種制御に用いられる。
【0055】
また、水温センサ52により検出される出力信号についてもこうした処理の対象となるが、以下では、このようにノイズ除去処理及びAD変換された値を実際の冷却水温度THWとして、以下に説明する冷却水温度制御に用いるようにしている。
【0056】
以下、内燃機関10における冷却水温度制御、並びに本実施形態の装置にかかる点火時期制御について順に説明する。
この冷却水温度制御では、機関負荷Q(吸入空気量、燃料噴射量、或いはアクセル開度等)及び機関回転速度NEに基づいて機関本体11の冷却に供される冷却水温度の目標値(目標冷却水温度TTHW)が設定される。そして、この目標冷却水温度と水温センサ52により検出される実際の冷却水温度とが比較され、これらの偏差が所定値以下にまで減少するように、流量制御弁21の開度が上記偏差に基づいてフィードバック制御される。
【0057】
図2は、こうした目標冷却水温度TTHWの設定に際して用いられる関数マップの一例を示している。尚、同図2においては、機関回転速度NEを一定とした場合における機関負荷Qと目標冷却水温度と関係を示している。この機関負荷Qと目標冷却水温度TTHWとの関係は関数データとして電子制御装置40のメモリ41に記憶されている。
【0058】
同図に示されるように、機関負荷Qをその大きさに応じて低負荷領域(Q<QL)、中負荷領域(QL≦Q≦QH)、高負荷領域(Q>QH)といった各領域に区分した場合、これら各領域における目標冷却水温度TTHWL,TTHWM,TTHWHはおよそ以下のような傾向を有している。
【0059】
即ち、高負荷領域では、燃焼室12の壁面温度並びにその内部温度を低下させてノッキングの発生を極力抑制すべく、また、燃焼室12に吸入される吸入空気の質量流量を増大させて機関出力を高めるべく、目標冷却水温度TTHWHが他の領域と比較して相対的に低く設定される。
【0060】
これに対して、低負荷領域では、燃焼温度及び燃焼圧力が低くなり、高負荷領域や中負荷領域と比較してノッキングが発生し難くなる。また、この低負荷領域では燃焼室12で発生する燃焼熱が少なくなるため、冷却水によって機関本体11が過度に冷却されると、その燃焼室12の壁面温度及び内部温度が必要以上に低下してしまうようになり、燃焼の不安定化、更にはそれに起因する機関出力の低下や排気性状の悪化等が懸念されることとなる。このため、この低負荷領域では、目標冷却水温度TTHWLを他の領域よりも高温に設定することにより、こうした燃焼の不安定化に起因する機関出力の低下や排気性状の悪化を抑制するようにしている。
【0061】
一方、中負荷領域では、その目標冷却水温度TTHWMを低負荷領域の目標冷却水温度TTHWLよりも低く、高負荷領域の目標冷却水温度TTHWHよりも高く設定するようにしている。これにより、例えば燃焼室12の壁面とピストンリングとの接触部分等、潤滑油が供給される機関摺動部分は冷却水からの熱伝達によって温度上昇するようになる。その結果、この温度上昇に伴って潤滑油の粘度が低下し、摺動抵抗の低下、ひいては燃費の向上が図られるようになる。
【0062】
また、機関回転速度NEについては、これが高くなるほど時間当たりに発生する燃焼熱量が増大し、燃焼室12の壁面温度及びその内部温度が上昇する傾向にあるため、こうした温度上昇を抑制すべく、機関回転速度NEが高くなるほど目標冷却水温度TTHWは低く設定される。
【0063】
次に、本装置にかかる点火時期制御について説明する。
この点火時期制御では、ノッキングを発生させることなく、そのときの機関運転状態において最大の機関出力が得られる点火時期、即ちノッキング発生限界点火時期が同機関運転状態に基づいて算出される。因みに、こうしたノッキングが発生する点火時期は通常、最大機関出力が得られる点火時期よりも遅角側の時期になる。尚、本実施形態にかかる制御において、上記ノッキング発生限界点火時期は、基本点火時期ABASE、最大遅角量AKMAX、ノッキング学習量AGKNK、並びに冷却水温度補正量ATHWといった各パラメータによって設定される。これら各パラメータについては順次説明する。
【0064】
まず、このノッキング制御にあっては、まずノッキングが発生しないといった前提条件のもとで、最大機関出力が得られる点火時期(基本点火時期ABASE)がそのときの機関運転状態に基づいて算出される。この基本点火時期ABASEは、図3に示されるように、圧縮上死点(TDC)をその基準値として同基準値からの進角量(クランク角)として定義される。即ち、この基本点火時期ABASEが大きな値として算出されるときほど、最終的な点火時期は進角側の時期に設定されるようになる。
【0065】
次に、この基本点火時期ABASEついてこれをノッキングの発生が確実に防止できる遅角側の時期に補正するための補正量(以下、「最大遅角量AKMAX」という)が機関運転状態に基づいて算出される。図3に示されるように、この最大遅角量AKMAXは、この基本点火時期ABASEを遅角する際の最大量である。但し、この基本点火時期ABASE及び最大遅角量AKMAXは冷却水温度がその標準値にあることを想定して設定されている。このため、冷却水温度がこの標準値よりも高い場合には、後述する冷却水温度に基づく点火時期補正を通じてこの最大遅角量AKMAXよりも更に大きな遅角量をもって基本点火時期ABASEの補正が行われる場合もある。
【0066】
そして、ノッキング発生限界点火時期を冷却水温度に基づいて補正するための冷却水温度補正量ATHWが算出される。上述したように、この補正は燃焼室12の温度、特にその壁面の温度に応じてノッキングの発生状況が異なるようになるため、これに合わせてノッキング発生限界点火時期を適切に設定するためのものである。
【0067】
本実施形態にかかる装置では、この冷却水温度に基づく補正を行うに際して、水温センサ52により検出される冷却水温度THWをそのまま用いるのではなく、これに所定の時定数に基づく応答遅れをもたせた値を求め、これに基づいて算出される補正量によって上記補正を行うようにしている。
【0068】
具体的には、水温センサ52により検出される冷却水温度THWを所定の徐変係数nに基づいて徐変処理することにより、その高周波成分を除いた値(以下、これを「制御用冷却水温度THWS」という)を用いるようにしている。そして、こうした徐変処理を通じて、実際の冷却水温度THWについて現在の値のみならず、所定期間における推移を監視することにより、燃焼室12の壁面温度をより正確に推定して上記冷却水温度に基づく補正を行うようにしている。
【0069】
尚、以下では、上記冷却水温度THWはノイズ除去処理後のAD変換値を意味するものとする。
図4は、こうした制御用冷却水温度THWSとそれに基づいて設定される冷却水温度補正量ATHWとの関係を示している。
【0070】
同図4に示されるように、この冷却水温度補正量ATHWは、制御用冷却水温度THWSの標準値(例えば「80℃」)と一致するときには「0」に設定される。従って制御用冷却水温度THWS、具体的には冷却水温度補正量ATHWに基づく点火時期の補正は行われない。
【0071】
一方、この制御用冷却水温度THWSがこの標準値よりも低い場合には、冷却水温度補正量ATHWは正の値に設定され、この冷却水温度補正量ATHWに基づいて点火時期は進角側に補正されるようになる。更に、制御用冷却水温度THWSが低くなるほどこの冷却水温度補正量ATHWは大きな値に設定され、それに伴って点火時期の進角量も増大するようになる。
【0072】
これに対して、この制御用冷却水温度THWSがこの標準値よりも高い場合には、冷却水温度補正量ATHWは負の値に設定され、この冷却水温度補正量ATHWに基づいて点火時期は遅角側に補正されるようになる。更に、制御用冷却水温度THWSが高くなるほどこの冷却水温度補正量ATHWは小さな値に設定され、それに伴って点火時期の遅角量も増大するようになる。
【0073】
尚、上述した基本点火時期ABASEや最大遅角量AKMAXと機関運転状態(機関負荷Q及び機関回転速度NE)との関係、並びに制御用冷却水温度THWSと冷却水温度補正量ATHWとの関係は、予め実験等に基づいて求められている。そして、基本点火時期ABASE、最大遅角量AKMAX、並びに冷却水温度補正量ATHWを算出するための関数データとして電子制御装置40のメモリ41にそれぞれ記憶されている。
【0074】
次に、この制御用冷却水温度THWSの算出処理並びにこれに基づくノッキング抑制制御について更に詳細に説明する。
図5は、制御用冷却水温度THWSの算出する際の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、電子制御装置40により所定時間毎の割込処理として実行される。
【0075】
この一連の処理では、まず、現制御周期での冷却水温度THW(i)が読み込まれる(ステップS100)。次に、機関冷却機構によりその温度が低下するように冷却水温度が制御されているかが判断される(ステップS110)。この判断は、例えば目標冷却水温度TTHWが低下した時点からその低下量に応じて定まる所定期間が経過しているか否かに基づいて行われる。或いは、目標冷却水温度TTHWが低下してからの冷却水温度THWを推移を監視し、これが低下傾向を有していることに基づいてこれを判断するようにしてもよい。
【0076】
ここで、機関冷却機構を通じて冷却水温度を低下させる制御がなされていない旨の判断がなされた場合には(ステップS110:NO)、この一連の処理は一旦終了される。一方、冷却水温度を低下させる制御がなされている旨の判断がなされた場合には(ステップS110:YES)、次に機関回転速度NE及び機関負荷Qに基づいて上記徐変処理における徐変係数nが算出される(ステップS120)。
【0077】
このようにして徐変係数nが算出されると、以下の式(1)に基づいて現制御周期での制御用冷却水温度THWS(i)が算出される(ステップS130)。
THWS(i)
←{(n−1)THWS(iー1)+THW(i)}/n ・・・(1)
n:2以上の整数
THWS(iー1):前制御周期の制御用冷却水温度
上式(1)に示されるように、ここでは、徐変処理として冷却水温度THWに対して加重平均処理、いわゆる、なまし処理を行うことにより制御用冷却水温度THWS(i)を求めるようにしている。具体的には、前制御周期において求められた制御用冷却水温度THWS(i−1)に対して「(n−1)/n」、現制御周期での冷却水温度THW(i)に対して「1/n」をそれぞれ乗じて重み付けを行い、それらの加算値を現制御周期の制御用冷却水温度THWS(i)として算出するようにしている。こうした徐変処理が行われることにより、冷却水温度THWの変化についてその高周波成分が除去されたかたちで制御用冷却水温度THWSが算出されるようになる。換言すると、冷却水温度THWの変化速度についてそれが大きい場合にはその影響が小さくなるように、制御用冷却水温度THWSが算出されるようになる。
【0078】
またここで、上記徐変係数nが大きく設定されるほど、制御用冷却水温度THWS(i)が変化する際の時定数は大きくなる。このように時定数が大きくなると、冷却水温度THW(i)が変化する際において、この冷却水温度THW(i)に応じて変化する制御用冷却水温度THWS(i)の追従性が低下するようになる。その結果、制御用冷却水温度THWS(i)は冷却水温度THWに対してより大きな応答遅れをもって徐々に変化するようになる。
【0079】
図6は、この徐変係数nと機関回転速度NE及び機関負荷Qとの関係を示す関数マップである。こうした関係は関数データとして電子制御装置40のメモリ41に記憶されており、同電子制御装置40は先の図5のステップS120における徐変係数nの算出に際してこの関数マップを参照する。尚、同図では、機関回転速度NE及び機関負荷Qに応じて徐変係数nは連続的な値をとるものとして示しているが、実際にはこれは離散的な値(2以上整数)のみをとる。
【0080】
同図6に示されるように、徐変係数nは機関回転速度NEが高いときほど、また機関負荷Qが大きいときほど、小さな値に設定される。これは以下の理由による。
【0081】
所定の機関運転状態に基づいて目標冷却水温度TTHWが設定され、同温度TTHWと水温センサ52により検出される冷却水温度THWとが一致するように流量制御弁21の開度がフィードバック制御されると、最終的には、この冷却水温度THW及び燃焼室12の壁面温度も略一定値に収束するようになる。従って、これら冷却水及び燃焼室壁面は熱的に平衡状態に達する。
【0082】
こうした平衡状態から機関運転状態の変化に伴って目標冷却水温度TTHWが低下した場合、冷却水温度THWは目標冷却水温度TTHWに収束するように徐々に変化し、燃焼室12の壁面温度もこの冷却水温度THWの変化に伴い所定の応答遅れをもって低下するようになる。
【0083】
ここで、燃焼室12の壁面から冷却水に移動する熱流束ΔQが多いときほど、同壁面の温度低下速度は大きくなり、熱的に過渡的な状態から再び平衡状態に移行するまでの期間も短くなる。
【0084】
従って、この熱流束ΔQが多いときほど、冷却水温度THWに対する燃焼室12の壁面の温度低下における応答遅れ量は小さくなり、その温度変化の追従性は向上する。一方、この熱流束ΔQが少ないときには、こうした応答遅れ量が大きくなり、燃焼室12の壁面温度は相対的に緩慢に変化するようになる。
【0085】
ここで、冷却水の流速、換言すればこの冷却水の時間当たりの循環量が多いときほど、燃焼室12の壁面(正確には燃焼室12の壁面と対応する位置にある冷却通路14の壁面)と冷却水との間における熱交換が促進され、上記熱流束ΔQは多くなる。従って、この循環量であるポンプ20の吐出量、更にその吐出量を決定する機関回転速度NEが高くなるほど、冷却水温度THWに応じて燃焼室12の壁面温度が低下する際の応答遅れ量も小さくなる。このため、本実施形態にかかる装置では、図6に示されるように、機関回転速度NEが高くなるほど徐変係数nが小さくなるようにこれを設定するようにしている。
【0086】
また一方、燃焼室12の壁面から冷却水に移動する熱流束ΔQは、冷却水の循環量の他、これら燃焼室12の壁面温度Tcと冷却水温度Tw(ここでは冷却水温度THW)との温度差(Tc−Tw)によっても変化する。即ち、熱流束ΔQはこの温度差(Tc−Tw)が大きいときほど増大する。更に、燃焼室12の壁面温度Tcは機関負荷Qが大きくなるほど高くなる。従って、熱流束ΔQは機関負荷Qが大きいときほど増大するようになる。従って、この機関負荷Qが大きくなるほど、冷却水温度THWに応じて燃焼室12の壁面温度が低下する際の応答遅れ量も小さくなる。このため、図6に示されるように、機関負荷Qが大きいときほど徐変係数nが小さくなるようにこれを設定するようにしている。
【0087】
このように徐変係数nを機関回転速度NE及び機関負荷Qに基づいて設定することにより、冷却水温度THWから燃焼室12の壁面温度を推定するための制御用冷却水温度THWSを、同壁面温度の推移に合わせて正確に求めることができるようになる。
【0088】
次に、この制御用冷却水温度THWSに基づいて行われるノッキング抑制制御について説明する。
図7は、このノッキング抑制制御の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は電子制御装置40により所定クランク角毎の割込処理として実行される。
【0089】
この一連の処理では、まず、機関負荷Q及び機関回転速度NEに基づいて基本点火時期ABASE及び最大遅角量AKMAXが算出される(ステップS210)。このようにして基本点火時期ABASE及び最大遅角量AKMAXが算出された後、先の図4の関数マップが参照され、制御用冷却水温度THWSに基づいて冷却水温度補正量ATHWが算出される(ステップS220)。
【0090】
次に、メモリ41に記憶保持されているノッキング学習量AGKNKが読み込まれる(ステップS230)。
このノッキング学習量AGKNKは、上記基本点火時期ABASEを最大遅角量AKMAX分だけ遅角させた最遅角時期(ABASE−AKMAX)をノッキングの発生状況に応じて進角補正するためのものである。即ち、このノッキング学習量AGKNKは、ノックキングが頻繁に発生する傾向がある場合には徐々に小さい値に更新され、逆にノッキングの発生頻度が小さい場合には徐々に大きい値に更新される。従って、このノッキング学習量AGKNKは、燃焼室12の内壁面へのデポジット付着や使用燃料のオクタン価の変化等々に起因した定常的なノッキングの発生頻度を反映するものとなる。
【0091】
このようにしてステップS230において、ノッキング学習量AGKNKが読み込まれた後、ノックセンサ53の検出結果に基づいて内燃機関10にノッキングが発生しているか否かが判定される(ステップS240)。
【0092】
ここでノッキングが発生していると判定されると(ステップS240:YES)、現在のノッキング制御量AKCSに所定値α1が加算され、その加算値(AKCS+α1)が新たなノッキング制御量AKCSとして設定される(ステップS250)。
【0093】
このノッキング制御量AKCSは、図3に示されるように、現在のノッキングの発生頻度に応じて点火時期を遅角側の時期に補正するためのものである。ノッキング制御量AKCSも上記ノッキング学習量AGKNKと同様、ノッキングの発生状況に応じて更新されるものであるが、両者は以下の点において異なる性質を有している。即ち、ノッキング学習量AGKNKが比較的長い期間におけるノッキングの発生頻度に応じて徐々に更新されるのに対して、このノッキング制御量AKCSはその時々のノッキングの発生の有無に応じて頻繁に更新される点でこれら両者の間には相違がある。
【0094】
一方、先のステップS240において、ノッキングが発生していないと判定された場合(ステップS240:NO)、現在のノッキング制御量AKCSから所定値α2が減算され、その減算値(AKCS−α2)が新たなノッキング制御量AKCSとして設定される(ステップS255)。
【0095】
こうした更新が行われることにより、ノッキング制御量AKCSはノッキングが発生しているときには所定量α1ずつ徐々に増大する一方、ノッキングが発生していないときには所定量α2ずつ徐々に減少するようになる。そして、このようにしてノッキング制御量AKCSが現在のノッキングの発生の有無に応じて更新された後、以下の演算式(2)に基づいて点火時期遅角量AKNKが算出される(ステップS260)。この点火時期遅角量AKNKは、上記基本点火時期ABASEをノッキングの発生状況に応じてこれを抑制すべく遅角させる際の最終的な遅角量に相当するものである。
【0096】
AKNK←AKMAX−AGKNK−ATHW+AKCS ・・・(2)
次のステップS160以降における一連の処理では、ノッキング制御量AKCSの大きさについてその定常的な傾向に基づきノッキング学習量AGKNKの学習が行われる(ステップS270〜S300)。
【0097】
具体的には、まず、ノッキング制御量AKCSと所定値β1とが比較される(ステップS270)。ここでノッキング制御量AKCSが所定値β1より大きい旨判断された場合、即ちノッキングの発生頻度が所定頻度より大きい場合(ステップS270:YES)、現在のノッキング学習量AGKNKから所定値γが減算される。そして、その減算値(AGKNK−γ)が新たなノッキング学習量AGKNKとして設定される(ステップS290)。
【0098】
一方、ノッキング制御量AKCSが所定値β1以下であると判断された場合(ステップS270:NO)、更にこのノッキング制御量AKCSと所定値β2とが比較される(ステップS280)。そしてここで、ノッキング制御量AKCSが所定値β2より小さい旨判断された場合、即ちノッキングの発生頻度が所定頻度より小さい場合(ステップS280:YES)、現在のノッキング学習量AGKNKに所定値γが加算される。そして、その加算値(AGKNK+γ)が新たなノッキング学習量AGKNKとして設定される(ステップS295)。
【0099】
こうしたノッキング制御量AKCSと各所定値β1,β2との比較を通じてノッキング学習量AGKNKが学習更新されることにより、ノッキングが頻繁に発生する状況下ではこのノッキング学習量AGKNKは徐々に小さな値に更新され、点火時期はより遅角側の時期に変更されるようになる。その結果、基本点火時期ABASEに対する遅角量が増大してノッキングの発生が抑制されるようになる。一方、ノッキングの発生し難い状況下ではこのノッキング学習量AGKNKは徐々に大きな値に更新され、点火時期はより進角側の時期に変更されるようになる。その結果、基本点火時期ABASEに対する遅角量が減少してより大きな機関出力が確保されるようになる。
【0100】
このようにしてノッキング学習量AGKNKが更新された後、その更新後のノッキング学習量AGKNKが電子制御装置40のメモリ41に記憶保持される(ステップS300)。また、ノッキング制御量AKCSが(β2≦AKCS≦β1)の範囲にあると判断された場合には(ステップS270,ステップS280:NO)、こうしたノッキング学習量AGKNKの更新は行われず、その現在値がメモリ41に記憶保持される(ステップS300)。
【0101】
このようにしてノッキング学習量AGKNKの学習が行われると、以下の式(3)に基づいて最終点火時期AOPが算出される(ステップS310)。
AOP←ABASE−AKNK ・・・(3)
尚、ここで、上述したノッキング発生限界点火時期は上式(2),(3)から以下のように表すことができる。
【0102】
[ノッキング発生限界点火時期]=ABASE−AKMAX+AGKNK+ATHW ・・・(4)
本実施形態にかかる装置では、このノッキング発生限界点火時期を内燃機関10の冷却水温度に基づいて補正するに際し、水温センサ52により検出される冷却水温度THWをそのまま用いるのではなく、これを機関回転速度NE及び機関負荷Qにより設定される徐変係数nに基づいて徐変処理を行うようにしている。そして、この徐変処理を通じて求められる制御用冷却水温度THWSに基づいて冷却水温度補正量ATHWを算出するようにしている。
【0103】
図8は、アクセルペダルが踏み込まれ、その踏み込みによる機関負荷Qの増大に応じて目標冷却水温度TTHWが低下した場合について、冷却水温度THW(実線)及び制御用冷却水温度THWS(各一点鎖線)の推移をそれぞれ示している。
【0104】
同図8に示されるように、本実施形態の装置によれば、目標冷却水温度TTHWが低下し、それに応じて冷却水温度THWが低下する場合、そのときの機関回転速度NEが低いときや、機関負荷Qが小さいときには、冷却水温度THWの低下に対して制御用冷却水温度THWSが大きな応答遅れをもって低下する。従って、この場合は、冷却水温度補正量ATHWも燃焼室12の壁面温度の低下に合わせて徐々に変化するようになる。一方、機関回転速度NEが高いときや、機関負荷Qが大きいときには、こうした制御用冷却水温度THWSが低下する際の応答遅れ量は小さくなる。従って、この場合は、冷却水温度補正量ATHWも燃焼室12の壁面温度の低下に合わせて速やかに変化するようになる。
【0105】
以上説明したように、本実施形態にかかる装置によれば、以下の作用効果を奏することができる。
・上記実施形態にかかる装置では、水温センサ52により検出される冷却水温度THWに対して徐変処理(なまし処理)を行って制御用冷却水温度THWSを求め、これに基づいて冷却水温度補正量ATHWを算出するようにしている。従って、冷却水温度THWに対する燃焼室12の温度低下において大きな応答遅れが生じる場合であれ、或いはそれが小さくなる場合であれ、その応答遅れに応じてノッキング発生限界点火時期に対し冷却水温度に基づく補正を適切に行うことができる。その結果、ノッキング学習量の不安定化、更にはそれに起因するノッキングの発生や機関出力に低下を抑制することができるようになる。
【0106】
・また、上記徐変処理における徐変係数nを冷却水の循環量、具体的にはポンプ20の吐出量を決定する機関回転速度NEに基づいて可変設定するようにしているため、この徐変係数nを燃焼室12の壁面温度が低下する際の応答速度に応じて適切に設定することができるようになる。その結果、上記徐変処理を通じて得られる制御用冷却水温度THWSに基づいて燃焼室12の壁面温度をより正確に推定し、適切な冷却水温度補正量ATHWをもってノッキング発生限界点火時期の補正を行うことができるようになる。
【0107】
・更に、上記徐変係数nを循環量の他、機関負荷Qに基づいて可変設定するようにしているため、この徐変係数nを燃焼室12の壁面温度が低下する際の応答速度に応じて適切に設定することができるようになる。その結果、上記徐変処理を通じて得られる制御用冷却水温度THWSに基づいて燃焼室12の壁面温度をより正確に推定し、適切な冷却水温度補正量ATHWをもってノッキング発生限界点火時期の補正を行うことができるようになる。
【0108】
以上説明した実施形態は以下のようにその構成や制御構造の一部を変更して実施することもできる。
・上記実施形態では、水温センサ52を設け、同センサ52により冷却通路14から戻り通路31に排出される冷却水の温度を検出し、これを徐変処理することにより燃焼室12の壁面温度を推定するようにしたが、例えば以下のような構成を採用することもできる。即ち、上記水温センサ52の他、冷却通路14に流入する冷却水の温度を検出する水温センサを設け、これら各センサにより冷却通路14に流入する冷却水の温度THWinと同冷却通路14から流出する冷却水の温度THWoutを検出する。そして、これらの偏差ΔTHW(=THWout−THWin)の単位時間Δt当たりの変化率ΔTHW/Δtを求める。更に、機関回転速度等に基づいて冷却水の単位時間Δt当たりの循環量Pを求める。そして、次式に基づいて単位時間Δt当たりに機関本体11から冷却通路14の冷却水に伝達される熱量ΔQの変化量ΔΔQを求める。
【0109】
ΔΔQ←ΔTHW・P/Δt ・・・(5)
ΔTHW=THWout−THWin
ここで、上式(5)に示される熱量変化量ΔΔQについてみると、燃焼室12の壁面と冷却水とが熱的に平衡状態に達しているときには、燃焼室12の壁面から冷却水に伝達される熱量ΔQは一定になるため、その変化速度ΔΔQは「0」になる。一方、目標冷却水温度TTHWの変更された直後など、熱的に過渡状態にあるときには、この熱量ΔΔQが大きくなる。従って、これを利用して例えば以下の式(6)に基づいて制御用冷却水温度THWSを算出することができる。
【0110】
THWS(i)←THW(i)−K・Δq ・・・(6)
K:定数
尚、上記循環量Pについては、現制御周期の機関回転速度に基づいて求められる値P(i)や前制御周期の機関回転速度に基づいて求められる値P(i−1)、或いはこれらの平均値等、いずれを採用してもよい。また、上記定数Kについては実験等によりこれを求めることができる。
【0111】
・上記実施形態では、徐変処理として上式(1)に示される、いわゆるなまし処理を行うようにしたが、例えば、これに代えてアナログフィルタ或いはディジタルフィルタ等による濾波処理によってこれを行うようにしてもよい。
【0112】
・上記実施形態では、機関冷却機構により目標冷却水温度TTHWと冷却水温度THWとが一致するように流量制御弁21の開度をフィードバック制御するようにしたが、こうした冷却水温度にかかる制御はオープンループ制御であってもよい。
【0113】
・上記実施形態では、徐変係数nの算出するに際し、機関回転速度NE及び機関負荷Qの双方を用いるようにしたが、機関回転速度NEのみ、或いは機関負荷Qのみに基づいてこの徐変係数nを算出するようにしてもよい。
【0114】
・上記実施形態では、冷却水循環用のポンプ20を内燃機関10の出力軸13により駆動されるものとしたが、これを例えば電動ポンプによって構成することも可能である。但し、この場合にはその吐出量と機関回転速度NEとの間に相関が存在しなくなるため、冷却通路14に流入する冷却水の流量を流量計等を用いて検出するようにしたり、或いは電動ポンプへの供給電力に基づいて同流量を推定するようにするのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】内燃機関のノッキング制御装置についてその概要を示す概略構成図。
【図2】機関負荷と目標冷却水温度との関係を示すグラフ。
【図3】ノッキング発生限界点火時期を説明するための説明図。
【図4】制御用冷却水温度と冷却水温度補正量との関係を示す関数マップ。
【図5】制御用冷却水温度の算出手順を示すフローチャート。
【図6】機関回転速度及び機関負荷と徐変係数との関係を示す関数マップ。
【図7】ノッキング抑制制御の処理手順を示すフローチャート。
【図8】冷却水温度及び制御用冷却水温度の推移例を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
10…内燃機関、11…機関本体、12…燃焼室、13…出力軸、14…冷却通路、15…点火プラグ、20…ポンプ、21…流量制御弁、22…ラジエータ、23…ヒータコア、24…スロットルボディ、40…電子制御装置(設定手段、学習手段、算出手段、検出手段、推定手段、補正手段)、41…メモリ、30…供給通路、31…戻り通路、32…ラジエータ用通路、50…回転速度センサ、51…吸入空気量センサ、52…水温センサ(検出手段)、53…ノックセンサ、54…アクセルセンサ、211…第1のポート、212…第2のポート、213…第3のポート、311…第1のバイパス通路、312…第2のバイパス通路。

Claims (6)

  1. 機関本体を循環する機関冷却水の温度を機関運転状態に基づいて可変制御する機関冷却機構を有した内燃機関に適用され、機関運転状態に基づいてノッキング発生限界点火時期を設定する設定手段と、内燃機関のノッキングの発生を検出する検出手段と、同検出手段の検出結果に基づいて前記設定されるノッキング発生限界点火時期を進角側又は遅角側に変更するノッキング制御量を算出する算出手段と、このノッキング制御量の大きさについてその定常的な傾向を学習し、同傾向が打ち消されるように前記ノッキング発生限界点火時期を前記学習結果に基づいて更新する学習手段とを備える内燃機関のノッキング制御装置において、
    機関冷却水温度を検出する検出手段と、
    前記検出される機関冷却水温度の所定期間における推移を監視しその監視結果に基づいて機関燃焼室壁面の温度を推定する推定手段と、
    前記推定される機関燃焼室壁面の温度に基づいて前記設定されるノッキング発生限界点火時期を補正する補正手段と
    を備えることを特徴とする内燃機関のノッキング制御装置。
  2. 前記推定手段は前記検出される機関冷却水温度の変化速度を監視しその監視結果に基づいて機関燃焼室壁面の温度を推定するものである
    請求項1記載の内燃機関のノッキング制御装置。
  3. 前記推定手段は前記機関冷却機構により温度が低下するように機関冷却水温度が可変制御される際に、前記検出される機関冷却水温度についてその変化の高周波成分が除去されるようにこれを所定の時定数をもって徐変処理し、同徐変処理後の機関冷却水温度に基づいて前記機関燃焼室壁面の温度を推定するものである
    請求項1又は2記載の内燃機関のノッキング制御装置。
  4. 前記推定手段は機関冷却水の時間当たりの循環量に基づいて前記時定数を可変設定するものである
    請求項3記載の内燃機関のノッキング制御装置。
  5. 前記機関冷却機構は内燃機関の出力軸にて駆動されるポンプを通じて機関冷却水を循環させるものであり、
    前記推定手段は機関回転速度に基づいて前記時定数を可変設定するものである
    請求項4記載の内燃機関のノッキング制御装置。
  6. 前記推定手段は機関負荷に基づいて前記時定数を可変設定するものである
    請求項3乃至5のいずれかに記載の内燃機関のノッキング制御装置。
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