JP4168638B2 - ノック指標に基づいて冷却程度が制御される内燃機関 - Google Patents

ノック指標に基づいて冷却程度が制御される内燃機関 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、内燃機関を冷却する技術に関し、より詳しくは、ノックのし易さを考慮して適切に冷却することにより、機関性能の向上を図る技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関は、比較的小型でありながら大きな動力を出力可能であることから、自動車や、船舶、航空機など種々の移動手段の動力源として広く使用されている。これら内燃機関は、燃焼室で燃料を燃やすことにより熱を発生させ、発生した熱の一部を機械的仕事に変換して動力として出力している。こうした動作原理に起因して、内燃機関の少なくとも一部の部材は燃焼熱に晒されて、燃焼熱の一部が流入することは半ば避け難い。部材の温度が上昇すると、部材の機械的強度が低下したり、あるいは摺動面での焼き付きが発生し易くなるので、この様な問題を回避すべく、内燃機関は冷却しながら運転されるのが通常である。
【0003】
冷却方法としては、空冷、油冷、水冷など種々の方法が提案されているが、熱容量が大きいことに加えて、どのような高温条件下でも炭化することなく良好な冷却性能を有することから、冷却水を用いて冷却する水冷方式が広く使用されている。こうした水冷方式では、水温が許容温度を超えないように冷却水を適宜、放熱器に導いて放熱させながら、冷却水を循環させて内燃機関を冷却している。
【0004】
また、近年では、内燃機関の負荷に合わせて冷却水温を適切に制御することにより、機関性能の向上を図る技術も提案されている(特開平5−332136号、特開平10−131753号など)。こうした提案によれば、熱の発生量の少ない低負荷時には冷却水温は高めの温度に制御され、高負荷時には低めの温度に制御される。冷却水温を高めに制御すれば、潤滑油の粘度が低下するので内燃機関の摩擦損失が減少し、機関の燃料消費効率を向上させることができる。また、焼き付きの発生し易い高負荷時には、冷却水温度を低めに制御することで潤滑油の粘度を適切な範囲に保って焼き付きを防止するとともに、ノッキングの発生を回避して機関性能を向上させることが可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、内燃機関の負荷に合わせて冷却水温度の設定を変更しても、期待したほどの燃料消費効率の向上あるいは機関出力の増加といった、機関性能の改善効果が得られない場合があった。
【0006】
本発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、内燃機関を適切に冷却することにより、燃料消費効率および機関性能を効果的に向上させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の内燃機関は次の構成を採用した。すなわち、
燃焼室内で発生させた燃焼熱を機械的仕事に変換して出力する内燃機関であって、
前記内燃機関を冷却することにより、該内燃機関に流入した前記燃焼熱を除去する冷却手段と、
前記内燃機関の運転条件を検出する運転条件検出手段と、
ノッキングの発生し易さに関連した指標たるノック指標を、前記検出した運転条件に基づいて算出するノック指標算出手段と、
前記算出されたノック指標に基づいて前記冷却手段を制御することにより、前記内燃機関の冷却程度を変更する冷却制御手段と
を備えることを要旨とする。
【0008】
また、上記の内燃機関に対応する本発明の内燃機関の冷却方法は、
燃焼室内で発生させた燃焼熱を機械的仕事に変換して出力する内燃機関の冷却方法であって、
前記内燃機関の運転条件を検出し、
ノッキングの発生し易さに関連した指標たるノック指標を、前記検出した運転条件に基づいて算出し、
前記算出されたノック指標に基づいて、前記内燃機関の冷却程度を変更することを要旨とする。
【0009】
こうした構成を有する内燃機関あるいは内燃機関の冷却方法においては、ノッキングの発生し易さに関連したノック指標を算出し、該ノック指標に基づいて冷却程度を変更している。このため、以下に説明する理由から、内燃機関を適切に冷却して、機関性能を効果的に改善することができる。
【0010】
前述したように、内燃機関を冷却するための冷却水の温度を高めに設定してやれば、潤滑油の粘度が低下するので機関の摩擦損失を減少させることができ、また、冷却水温を高めに設定してやれば、ノッキングが発生し難くなるので燃料消費効率の向上、あるいは機関出力の増加を図ることができる。このように、内燃機関を適切に冷却することによって機関性能の向上を図ることが可能なことが知られている。そこで、内燃機関を適切に冷却して機関性能を改善するために、ノッキングの発生し難い低負荷時には冷却水温を高めに設定し、ノッキングが発生し易い高負荷時には冷却水温度を低めに設定することが行われている。しかし、本願発明者の経験によれば、機関の負荷はノッキングの発生し易さとは厳密には一致していない。このため、負荷に応じて冷却水温度を変更したのでは、ノッキングが発生し易い条件にも関わらず冷却水温が高めの温度に制御されて、ノッキングが発生してしまう場合がある。
【0011】
ノッキングが発生したまま内燃機関を運転していると機関が破損してしまうので、燃料の着火タイミングを遅らせてノッキングの発生を回避しなければならない。着火タイミングを遅らせることは、火花点火式の内燃機関では点火時期を遅らせることによって、圧縮着火式の内燃機関では燃料の噴射時期を遅らせることによって実現される。いずれの方式の内燃機関においても、着火タイミングには最適値が存在しており、ノッキングの発生を回避するために着火タイミングを遅らせると機関性能の低下を引き起こしてしまう。このため、機関負荷に応じて冷却水温度を変更しても、全体としては、期待したほどには機関性能の改善効果が得られない場合がある。内燃機関の負荷に応じて冷却水の温度を切り換えたのでは、期待したほどには機関性能を向上させることができないのは、このような理由によるものと考えられる。特に、自動車、船舶、航空機などに搭載されて、これらに動力を出力する内燃機関では運転条件が大きく変動することから、こうした傾向が顕著に現れていると考えられる。
【0012】
これに対して本発明の内燃機関および本発明の冷却方法においては、ノッキングの発生し易さに関する指標であるノック指標を、内燃機関の運転条件に基づいて算出し、算出したノック指標に基づいて内燃機関の冷却程度を変更している。ここでノック指標の算出は、運転条件の関数としてノック指標を記述しておき、関数値を求めることによってノック指標を算出するものに限らず、例えば、運転条件とノック指標とを対応づけた対応表を記憶しておき、かかる対応表を参照することによって運転条件に対応するノック指標を求めるものも含まれる。こうして算出したノック指標に基づいて冷却程度を変更してやれば、運転条件に応じて適切なノック指標を予め求めておくことにより、内燃機関を適切に冷却してノッキングの発生を回避することができる。このため、機関性能の十分な改善効果を得ることが可能となる。
【0013】
冷却液を循環させて内燃機関を冷却する場合は、該冷却液の温度を変更することによって、該内燃機関の冷却程度を変更することとしても良い。あるいは、冷却液の流量を変更することによって、該内燃機関の冷却程度を変更こととしても良い。これらの方法によれば、簡便に且つ確実に、内燃機関の冷却程度を変更することが可能である。尚、冷却液としては、水あるいは油などの液体を、特に熱容量の大きな液体を好適に用いることができる。
【0014】
前記内燃機関の冷却程度を変更するに際しては、前記ノック指標と所定の閾値とを比較し、二つの値の大小関係に基づいて該内燃機関の冷却程度を切り換えることとしてもよい。
【0015】
また、冷却液を循環させて前記内燃機関を冷却する場合には、ノック指標が前記所定の閾値より小さい場合には、冷却液の温度を第1の冷却液温度となるように制御し、該ノック指標が該所定の閾値より大きい場合には、該第1の冷却液温度よりも低温の第2の冷却液温となるように制御することとしてもよい。こうして冷却液温度を変更すれば、内燃機関の冷却程度を簡便に変更することができるので好ましい。
【0016】
こうした内燃機関においては、少なくとも前記内燃機関の回転速度と機関負荷とを検出し、これらの検出結果に基づいて前記ノック指標を算出することとしても良い。
【0017】
内燃機関の運転条件は、回転速度と機関負荷とを定めることによって特定することができるので、これらのパラメータに基づいてノック指標を求めることとすれば、内燃機関の運転条件に対応した適切なノック指標を定めることができる。こうして定めた適切なノック指標に基づいて冷却程度を変更してやれば、内燃機関を適切に冷却して、機関性能をより効果的に改善することが可能となるので好ましい。
【0018】
上述した内燃機関においては、該内燃機関の回転速度および機関負荷に加えて、該内燃機関が吸入する空気の温度、湿度、大気圧、あるいは前記冷却液の温度の少なくともいずれかを検出することとしてもよい。そして、ノック指標を算出するにあたっては、回転速度および機関負荷に加えて、これら検出した運転条件を考慮して前記ノック指標を算出することとしてもよい。
【0019】
内燃機関が吸入する空気の温度、湿度、大気圧、あるいは前記冷却液の温度は、ノッキングのし易さに影響を与える場合があるので、ノック指標を求めるに際して、内燃機関の回転速度および機関負荷の他に、これら運転条件も考慮してやれば、より適切なノック指標を求めることが可能となる。
【0020】
上述した内燃機関においては、ノッキングの発生有無を検出し、検出結果に基づいて前記ノック指標を補正することとしてもよい。こうしてノッキングの有無を検出し、検出結果をノック指標に反映させてやれば、ノック指標を適切な値に補正することが可能であり、延いては、内燃機関を適切に冷却して機関性能を効果的に改善することが可能となる。
【0021】
ノッキングの発生有無によって前記ノック指標を補正するに際しては、ノッキングの発生有無によって、ノック指標の補正量を次のように異ならせても良い。すなわち、ノッキングが発生した場合の補正量がノッキングの発生を検出しない場合の補正量よりも大きくなるように、前記ノック指標を補正することとしてもよい。
【0022】
こうすれば、ノッキングの発生を検知した場合には、ノック指標を速やかに補正してノッキングの発生を抑制することができる。また、ノッキングが発生していない場合には、ノック指標を少しずつ補正することにより、より適切なノック指標に近づけることが可能となる。
【0023】
内燃機関の冷却程度を、ノック指標と閾値との大小関係に基づいて変更する場合は、該内燃機関の回転速度および機関負荷に加えて、該内燃機関が吸入する空気の温度、湿度、大気圧、あるいは前記冷却液の温度の少なくともいずれかを検出することとしてもよい。そして、これら検出した運転条件を考慮して前記閾値の値を補正することとしても良い。
【0024】
内燃機関が吸入する空気の温度、湿度、大気圧、あるいは前記冷却液の温度は、ノッキングのし易さに影響を与える場合があるので、これらを考慮して閾値の値を補正してやれば、ノッキングの発生し易さを適切に検出して、内燃機関の冷却程度を適切に変更することが可能となる。
【0025】
あるいは、ノッキングの発生有無を検出し、検出結果に基づいて前記閾値の補正量を大きくすることとしてもよい。更には、ノッキングの発生有無によって閾値を補正するに際して、補正程度を、ノッキングの発生有無に応じて次のように異ならせても良い。すなわち、ノッキングが発生した場合にはノッキングの発生を検出しない場合よりも、前記閾値の補正量を大きくすることとしてもよい。
【0026】
こうすれば、ノッキングの発生を検知した場合には、閾値を速やかに補正してノッキングの発生を抑制することができる。また、ノッキングが発生していない場合には、閾値を少しずつ補正することにより、より適切な閾値の設定に近づけることができる。このため、内燃機関を適切に冷却することで、機関性能をより効果的に改善することが可能となる。
【0027】
上述した内燃機関においては、運転条件を検出して所定時間経過後の運転条件を予測し、ノック指標を予測することとしてもよい。こうして得られたノック指標に基づいて内燃機関の冷却程度を変更する。
【0028】
冷却の制御を変更しても、実際に内燃機関の冷却程度に反映されるまでには、若干の遅れが存在するが、所定時間後のノック指標を予測して制御を変更すれば、冷却程度の応答遅れを補って、より適切に冷却程度を変更することができるので好ましい。
【0029】
こうして、所定時間経過後の運転条件を予測する内燃機関では、現在の運転条件に対するノック指標と、予測した運転条件でのノック指標とを比較して、値の大きな方のノック指標に基づいて冷却程度を変更することとしても良い。
【0030】
こうして、値の大きな方のノック指標に基づいて冷却程度を変更すれば、冷却程度はノッキングを抑制する方向に制御されることになる。このため、たとえ運転条件の予測精度が充分には高くない場合でもノッキングの発生を回避することができ、延いては機関性能を効果的に改善することが可能となる。
【0031】
上述した内燃機関を、該内燃機関を動力源として走行する車両に適用してもよい。車両の動力源として使用される内燃機関は、車両の走行条件の変動に伴って内燃機関の運転条件も大きく変動するので、ノッキングが生じ易い運転条件で使用されることも多くなる。従って、車両の運転条件から求めたノック指標に基づいて、内燃機関の冷却程度を変更すれば、機関の性能を大きく改善することが可能となるので好ましい。
【0032】
こうした内燃機関を動力源とする車両においては、前記車両が登坂中であるか否かを、前記検出した運転条件に基づいて判断し、前記車両が登坂中である場合は、前記ノック指標を大きな値に補正することとしてもよい。あるいは、内燃機関の冷却程度が、ノック指標と所定の閾値との大小関係に基づいて変更されている場合には、車両が登坂中であると判断された場合には、該閾値の値を小さな値に補正することとしても良い。
【0033】
車両が登坂中は、高負荷域が多用され、ノッキングが発生しやすい環境となっている。従って、車両が登坂中にはノック指標を大きな値に補正し、あるいは閾値の値を小さな値に補正してやれば、平坦路を走行中の場合に比べてノッキングが抑制される方向に制御されることになるので、機関性能をより効果的に改善することが可能となる。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明の作用・効果をより明確に説明するために、次のような順序に従って、本発明の実施例を説明する。
A.装置構成:
B.エンジン制御の概要:
C.第1実施例:
C−1.第1実施例の冷却制御:
C−2.変形例:
(1)第1の変形例:
(2)第2の変形例:
D.第2実施例:
D−1.第2実施例の冷却制御:
D−2.変形例:
E.第3実施例:
【0035】
A.装置構成:
図1は、本発明の内燃機関の概略構成を示す説明図である。以下では、内燃機関は、いわゆる火花点火式のエンジン10であるものとして説明するが、もちろん、ディーゼルエンジンなどの圧縮着火式のエンジンとすることもできる。
【0036】
周知のようにエンジンは、燃焼室内で燃料を燃焼させ、そのときに発生する燃焼熱を機械的仕事に変換して動力として出力することを動作原理としている。図1に示したエンジン10は、円筒状のシリンダが設けられたシリンダブロック11と、シリンダブロック11の上部に組み付けられたシリンダヘッド20と、シリンダ内部で摺動可能に組み付けられたピストン12とで燃焼室を形成する。
【0037】
シリンダヘッド20には、燃焼室内に空気を吸入するための吸気弁22と、燃焼室内から排気ガスを排出するための排気弁21と、点火プラグ23とが設けられている。また、シリンダヘッド20には、燃焼室に空気を導くための吸気マニホールド30と、燃焼室から排出された排気ガスを導くための排気マニホールド16とが取り付けられている。
【0038】
吸気マニホールド30は、サージタンク31と、吸気通路32とを介してエアクリーナ34に接続されている。外気はエアクリーナ34を通過する際に、エアクリーナに設けられたエレメントによって異物が除去される。また、吸気マニホールド30には、燃料を噴射するためのインジェクタ35も取り付けられている。インジェクタ35は、通電制御により開閉駆動されて燃料を噴射する電磁弁であり、図示しない燃料ポンプで加圧された燃料が供給されている。インジェクタ35から噴射された燃料は吸気マニホールド30内で蒸発し、吸気マニホールド30内の空気と混合して混合気を形成する。尚、ここでは、インジェクタ35は吸気マニホールド30内に燃料を噴射するものとしているが、インジェクタをシリンダヘッド20に設けて燃焼室内に燃料を直接噴射するものとしてもよい。
【0039】
サージタンク31の上流側の吸気通路32内には、燃焼室に流入する空気量を調整するためのスロットルバルブ36が設けられており、スロットルバルブ36はスロットルモータ37によって開閉駆動される。エンジン10の運転中にスロットルバルブ36を閉じ気味に制御すると、スロットルバルブ36を通過する空気量が減少して、サージタンク31および吸気マニホールド30内の負圧が増加する。サージタンク31には、吸気マニホールド30内の圧力を検出するための吸気圧センサ38も設けられている。
【0040】
ピストン12は、クランク機構を介してクランクシャフト17に接続されている。クランクシャフト17が回転すると、クランク機構の働きによって回転運動が往復直線運動に変換されて、ピストン12がシリンダ内を上下に摺動する。クランクシャフト17の先端には、クランクシャフトの回転位置を検出するためのクランク角度センサ41が設けられている。
【0041】
排気弁21を閉じ、吸気弁22を開いた状態でピストン12が下降すると、吸気マニホールド30内の空気と燃料とが、吸気弁22から燃焼室内に流入する。次いで吸気弁22を閉じてピストン12を上昇させ、吸入した混合気を圧縮した後、点火プラグ23から火花を飛ばすと、ピストン12によって圧縮された混合気が爆発的に燃焼して、ピストン12を下方に押し下げる。この力はクランク機構によって回転運動に変換されて、クランクシャフト17から動力として出力される。
【0042】
電子制御ユニット(以下、ECU)40は、エンジン10の全体の動作を制御する。ECU40は、中央処理装置(以下、CPU)、ROM、RAM、入出力回路などがバスによって相互に接続されて構成された論理演算回路である。ECU40は、スロットルバルブ36から流れ込む空気量に合わせて適切な量の燃料を噴射することにより、吸気マニホールド30内に形成される混合気の空気と燃料との比率(空燃比)を適切な値に保ったり、ピストン12の上昇に合わせて適切なタイミングで火花を飛ばすと行った種々の制御を行う。また、火花を飛ばすタイミングが早すぎると、燃焼室内の壁面付近で混合気が異常燃焼するノッキングと呼ばれる現象が生じ、ノッキングが発生した状態で運転しているとエンジンが破損してしまう。このため、エンジン10のシリンダブロック11には、ノッキングの発生を検出するノックセンサ13が設けられている。ノッキングが発生するとシリンダブロック11には特有の周波数成分を含む振動が生じるので、ノックセンサ13は、この周波数成分を共振現象を利用して検出することにより、ノッキングの発生を検出することができる。ECU40は、ノックセンサ13によってノッキングの発生が検出された場合には、点火のタイミングを遅らせてノッキングの発生を回避するための制御も行う。
【0043】
こうした制御は、運転者の操作したアクセル開度や、エンジンの回転速度、吸入空気量などの各種運転条件をECU40が検出し、ROMに格納されている各種プログラムに従って、スロットルモータ37、点火プラグ23、インジェクタ35などを駆動することによって行われる。アクセル開度は、アクセルペダルに設けられたアクセル開度センサ42によって検出し、エンジン回転速度はクランク角度センサ41に基づいて、吸入空気量は吸気圧センサ38に基づいて、それぞれ算出することができる。また、ECU40は、エアクリーナ34に設けられた吸気温センサ43、湿度センサ44、大気圧センサ45を用いて、それぞれ吸気温度、吸気の湿度、大気圧を検出することができる。
【0044】
混合気の燃焼によって生じた熱の一部は機械的仕事に変換されて動力として出力されるが、一部の熱はシリンダブロック11およびシリンダヘッド20に流入して、これらを加熱する。シリンダブロック11およびシリンダヘッド20が許容温度を越えて加熱されることのないように、シリンダブロック11およびシリンダヘッド20には、それぞれウォータギャラリ14,15が設けられている。これらウォータギャラリ14,15に冷却水を流して冷却することで、エンジン10の運転中も、シリンダブロック11およびシリンダヘッド20は適切な温度範囲に保たれている。以下では、シリンダブロック11およびシリンダヘッド20を適切な温度範囲に保つための機構について説明する。尚、シリンダブロック11およびシリンダヘッド20を冷却するために、ここではウォータギャラリ14,15に冷却水を流すものとして説明するが、冷却水の変わりに冷却油、あるいは空気などの気体を流す場合にも、以下の説明を同様に当てはめることができる。
【0045】
図2は、エンジン10を上面側から見た状態で、冷却系の構成を示した説明図である。図2では、エンジン10は、4つのシリンダ備えた4気筒エンジンであるものとして、図中に示した「#1」、「#2」、「#3」、「#4」はそれぞれ1番シリンダ、2番シリンダ、3番シリンダ、4番シリンダを表している。エンジン10の冷却系は、シリンダブロック11に設けられたウォータギャラリ14と、シリンダヘッド20に設けられたウォータギャラリ15と、これらギャラリに冷却水を圧送するためのウォータポンプ50と、冷却水の熱を外気に放熱するためのラジエータ55と、ウォータギャラリ15から出た冷却水をラジエータ55に導く下流側冷却水通路51と、ラジエータ55から出た冷却水をウォータポンプ50に導く上流側冷却水通路56と、ラジエータ55をバイパスするバイパス通路52と、上流側冷却水通路56とバイパス通路52とを切り換える三方弁53などから構成されている。ここではウォータポンプ50は、図示しないバッテリの電力を用いて駆動される電動ポンプであるとして説明するが、もちろん、エンジン10の出力する動力によってベルト駆動することも可能である。
【0046】
シリンダブロック11に設けられたウォータギャラリ14とシリンダヘッド20に設けられたウォータギャラリ15とは、互いに連通している。ウォータポンプ50から圧送された冷却水は、先ず初めにシリンダブロック側のウォータギャラリ14に流入し、ここからシリンダヘッド側のウォータギャラリ15に流入してシリンダヘッド20から下流側冷却水通路51に排出される。下流側冷却水通路51には水温センサ44が設けられており、シリンダヘッド20から排出された冷却水温度を検出することができる。以下では、エンジン10の冷却系の動作について説明する。
【0047】
図2(a)は、冷却水温が低い場合の冷却系の動作を示した説明図である。水温センサ44で検出された水温が所定温度以下の場合は、三方弁53が切り換えられて、シリンダヘッド20から流出した冷却水がバイパス通路52を介してウォータポンプ50に戻るような流路が形成される。本実施例のエンジン10では三方弁53は電磁弁であり、ECU40からの切り替え信号によって弁体54が駆動されて流路が切り換えられる。もちろん、水温に応じて膨張するワックスや水温に応じて変形するバイメタルなどが組み込まれて自動的に弁体が駆動されるような三方弁を用いることもできる。こうして、ウォータギャラリ14,15を冷却水が循環することで、エンジン10のシリンダブロック11およびシリンダヘッド20は適切な温度範囲に保たれる。
【0048】
図2(b)は、冷却水温が高い場合の冷却系の動作を示した説明図である。水温センサ44で検出された水温が所定温度以上になった場合は、ECU40からの切り換え信号により三方弁53が切り換えられる。すると、シリンダヘッド20から流出した冷却水は、下流側冷却水通路51を介してラジエータ55に流入し、ここで外気に熱を放出した後、上流側冷却水通路56を介してウォータポンプ50に戻って、再びシリンダブロック11のウォータギャラリ14に圧送される。こうすれば、シリンダヘッド20から流出して高温になった冷却水がラジエータ55で冷却されるので、冷却水温度を所定温度以下に冷却することができる。
【0049】
尚、ここでは、三方弁53は、ラジエータ55からウォータポンプ50に向かう上流側冷却水通路56とバイパス通路52との合流点に設けられているものとして説明した。これに限らず、シリンダヘッド20からの冷却水をラジエータ55に導くための下流側冷却水通路51とバイパス通路52との分岐点に三方弁53を設けることとすることもできる。
【0050】
以上に説明したように、エンジン10はウォータポンプ50で冷却水を循環させることによって、シリンダブロック11やシリンダヘッド20を冷却する。冷却水温は水温センサ44によってモニタされ、水温が所定温度を超えると三方弁53が切り換えられて冷却水がラジエータ55に導かれ、外気によって冷やされた後、再びウォータポンプ50に戻ってシリンダブロック11に圧送される。このように、水温に応じて三方弁53を切り換えながら冷却水を循環させることによって、シリンダブロック11およびシリンダヘッド20を適切な温度範囲に維持することができる。
【0051】
また、内燃機関を適切に冷却すれば、機関性能を向上させ得ることが知られている。例えば、内燃機関を高めの温度に維持すれば潤滑油の温度が上昇して粘度が低下するので、内燃機関の摩擦損失を減少させることができる。摩擦損失が減少すれば、その分だけ機関の出力増大および機関の効率向上を図ることができる。
【0052】
逆に、内燃機関を低めの温度に維持した場合は、潤滑油の温度が低下して粘度が増加するので、潤滑面での油膜切れに起因する焼き付きが発生し難くなり、機関の耐久信頼性を向上させることができる。加えて、内燃機関の温度を低めに維持しておけば、燃焼室内に流入する吸気温度を低下させることもできる。吸気温度が低下すれば空気の密度が増加するので、吸入空気量が増加することになり、その分だけ機関出力を向上させることができる。また、吸気温度を低下させると、いわゆるノッキングと呼ばれる現象を抑制することが可能なことも知られている。ノッキングが発生したまま機関を運転していると内燃機関の損傷に至るので、機関の運転条件を変更してノッキングの発生を回避する必要がある。ガソリンエンジンでは、通常、点火時期を遅らせることによってノッキングの発生を回避することが多いが、この様な運転条件の変更は、出力の低下や燃料消費効率の悪化といった弊害を伴うものである。このことから、吸気温度の低下によりノッキングの発生を回避することができれば、結果的には機関出力を増大させ、燃料消費効率を向上させることが可能である。
【0053】
本実施例のエンジン10では以下に説明するように、シリンダブロック11およびシリンダヘッド20を適切に冷却することで、エンジンの出力および燃料消費効率を、大幅に且つ確実に改善することが可能となっている。
【0054】
C.第1実施例:
C−1.第1実施例の冷却制御:
図3は、第1実施例の冷却制御の流れを示したフローチャートである。かかる制御は、ECU40に内蔵されたCPUが、ROMに格納されたプログラムを実行することによって行われる。
【0055】
ECU40は、冷却制御を開始すると先ず初めに、エンジン10の運転条件の読み込みを行う(ステップS100)。エンジンの運転条件としては、エンジン回転速度Neとエンジン負荷とを使用する。エンジン回転速度Neは、クランク角度センサ41の出力から算出することができる。また、エンジン負荷はアクセル開度センサ42の出力を使用し、アクセルの最大開度の状態をエンジン負荷100%、アクセル全閉の状態をエンジン負荷0%と読み替えて使用する。もちろん、アクセル開度の代わりにスロットルバルブ36の開度を検出して、エンジン負荷を算出しても構わない。こうすれば、アクセル操作に対してスロットルが非線形に開閉する場合でもエンジン負荷を精度良く検出することができるので好ましい。
【0056】
次いで、読み込んだエンジン回転速度Neとエンジン負荷とに基づいて、ノック指標Nindxを決定する(ステップS102)。ノック指標Nindxとは、ノッキングのし易さを表した指標である。Nindxの値「0」はノッキング発生のおそれが全くないことを意味しており、値が大きくなるに連れてノッキング発生の可能性が増大することを意味している。ノッキングは、燃焼室内に流入した混合気が点火による火炎に晒される前に自発着火する現象であり、ノッキングのし易さはエンジン負荷に大きく影響される。これはエンジン負荷が大きくなって、燃焼室内に流入した空気量が増加すると、圧縮による温度上昇が大きくなって自発着火し易くなるためである。もっとも、エンジン負荷以外の要因にも影響される。そこで、エンジン回転速度Neおよびエンジン負荷の組合せによる各種条件で、実験的な手法によってノック指標Nindxを予め測定しておき、得られた結果を、図4に示すようなマップとしてROMに記憶しておく。図3のステップS102では、この様なマップを参照することによって、エンジン運転条件に対応するノック指標Nindxを求めるのである。尚、ここでは、マップを参照することによってノック指標Nindxを求めるものとして説明したが、Nindxを、エンジン回転速度Neとエンジン負荷とを変数とする関数F(Ne,エンジン負荷)の形で記述しておき、演算によってNindxを算出することとしても良い。
【0057】
こうしてノック指標Nindxを決定したら、Nindxと所定の閾値thとを比較する(ステップS104)。そして、Nindxの方が閾値thよりも大きければ、ノッキングが発生し易い条件であると判断して、設定水温Tset を所定値TLow に設定する(ステップS106)。ここでは、閾値thは「1.5」に設定されており、従って、図4中で破線で示した境界より高負荷側の運転条件では、設定水温Tset が所定値TLow に設定される。設定水温Tset の意味するところについては後述する。逆に、Nindxの方が閾値thよりも小さければ、ノッキングが発生し難い条件と判断して、設定水温Tset を異なる所定値Thighに設定する(ステップS108)。すなわち、図4中に破線で示した境界より低負荷側の運転条件では、設定水温Tset は所定値Thighに設定される。尚、所定値Thighは、所定値TLow よりも高い値に設定されている。
【0058】
次いで、冷却水温Wtempを検出して(ステップS110)、検出した冷却水温Wtempと、先に設定した設定水温Tset とを比較する(ステップS112)。冷却水温Wtempは、水温センサ44によって検出する(図2参照)。そして、冷却水温Wtempが設定水温Tset より高い場合は(ステップS112:yes)、冷却水の温度を下げる必要があると判断し、三方弁53を「開」側に切り換える(ステップS114)。すると、冷却水はラジエータ55に導かれ、外気に放熱して冷やされた後、ウォータポンプ50に流入する(図2(b)参照)。エンジン10を運転すると、燃焼熱の一部が伝わって、シリンダブロック11やシリンダヘッド20が常に加熱されるので、冷却水温度は少しずつ上昇して行くが、こうして適宜ラジエータ55で放熱すれば冷却水温を常に適切な温度に保つことができる。その結果、シリンダブロック11やシリンダヘッド20を適切な温度範囲に維持することができる。
【0059】
一方、冷却水温Wtempが設定水温Tset より低い場合は(ステップS112:no)、三方弁53を「閉」側に切り換える(ステップS116)。すると、冷却水はバイパス通路52を経由して、ラジエータ55を通過することなくウォータポンプ50に流入する(図2(a)参照)。このように、設定水温Tset は三方弁53を「開」側に制御するか「閉」側に制御するかを判断するための基準となる温度である。三方弁53を「閉」側に切り換えた状態でエンジンを運転していると、燃焼熱によって暖められて冷却水温度は次第に上昇していき、冷却水温Wtempが設定水温Tset より高くなったら、再び三方弁53が「開」側に切り換えられ、ラジエータ55で放熱される。このように設定水温Tset に応じて三方弁53の開閉を制御することにより、冷却水は常に設定水温Tset 付近の温度に保たれることになる。
【0060】
以上のようにして三方弁53を開閉いずれかの状態に切り換えたら、エンジンが停止しているか否かを検出し(ステップS118)、エンジンが運転中であればステップS100に戻って、エンジンが停止されるまで続く処理を繰り返す。
【0061】
以上に説明した第1実施例の冷却制御では、エンジンの運転条件に基づいてノック指標を決定し、決定したノック指標が所定の閾値thよりも高ければ、冷却水は低めの設定水温TLow 付近に保たれる。冷却水温を低めに保てば、冷却能力が増加してシリンダブロック11あるいはシリンダヘッド20をより低温に冷却することができるので、ノッキングの発生を回避することができる。種々の運転条件でのノック指標Nindxは、予め実験的な手法によって適切な値を求めておくことができる。従って、こうして得られたノック指標Nindxに基づいて冷却水温を設定すれば、冷却能力を適切に切り換えることができ、延いてはノッキングの発生を確実に回避することができる。
【0062】
また、ノック指標が所定の閾値thよりも低ければ、冷却水は高めの設定水温Thigh付近に保たれるので、シリンダブロック11およびシリンダヘッド20の温度が高めとなって、潤滑油の粘度が低下する。その結果、エンジン10の摩擦損失が減少して、エンジンの出力を増大させ、燃料消費効率を向上させることができる。もちろん、シリンダブロック11およびシリンダヘッド20の温度が高めとなればノッキングが発生し易くなり、ノッキングが発生すると点火時期を遅らせなければならず、却って出力低下および燃料消費効率の悪化を引き起こしてしまう。しかし、本実施例のエンジン10では、実験的な手法によって運転条件に応じて求めておいたノック指標に基づいて冷却水温を設定している。このため、ノッキングの生じ難い運転条件でのみ冷却水温を高めに設定することができるので、ノッキングの発生による出力低下および燃料消費効率の悪化といった事態を招くことがない。
【0063】
このように、本実施例のエンジン10では、ノック指標に基づいて冷却能力を切り換えているので、ノッキングの発生を確実に回避して、エンジンの出力増大、燃料消費効率の向上を確実に実現することが可能となる。
【0064】
尚、以上の説明では、三方弁53を制御することで、冷却水温度を変更することによってエンジンの冷却程度を切り換えるものとして説明した。もちろん、三方弁53を制御する代わりに、ウォータポンプ50を制御して、ウォータギャラリ14,15を循環させる冷却水の流量を変更することとしてもよい。冷却水の流量を増やせばエンジンの冷却能力を増加させることができるので、流量の制御を通じて冷却能力を制御することも可能である。
【0065】
C−2.変形例:
上述した第1実施例の冷却制御においては、エンジン運転条件に応じて定められたノック指標Nindxに基づいて冷却能力を切り換えていた。こうすれば、エンジンの運転条件に応じて適切なNindxを設定しておくことができるので、ノッキングの発生を確実に回避しながらエンジン10を適切に冷却して、出力増加および燃料消費効率向上といった効果を得ることができる。加えて、エンジンの運転条件を考慮してノック指標Nindxの値をより適切な値に補正してやれば、エンジンの冷却能力をより適切に切り換えて、エンジン性能の更なる向上を図ることができる。以下では、こうした第1実施例の各種変形例の冷却制御について説明する。
【0066】
(1)第1の変形例:
図5は、第1実施例における第1の変形例の冷却制御の流れを示したフローチャートである。変形例の冷却制御は、図3に示した第1実施例の冷却制御に対して、Nindxを補正している点が大きく異なっている。以下、第1実施例との相違点を中心にして簡単に説明する。
【0067】
第1の変形例の冷却制御においても、制御を開始すると先ず初めに、エンジン回転速度Neおよびエンジン負荷を読み込んだ後(ステップS200)、ECU40に記憶されているマップ(図4参照)を参照することにより、ノック指標Nindxを算出する(ステップS202)。
【0068】
続いて第1の変形例の冷却制御では、各種の運転条件に応じてノック指標Nindxを補正する処理を開始する(ステップS204)。図6は、Nindxを補正する処理の流れを示したフローチャートである。Nindx補正処理を開始すると、先ず初めに冷却水温Wtemp、吸気温度Atemp、吸気の湿度M、大気圧Pa を読み込む(ステップS250)。冷却水温Wtempは下流側冷却水通路51に設けられた水温センサ44によって検出する。吸気温度Atemp、吸気の湿度M、大気圧Pa は、図1に示すように、エアクリーナ34に設けられた吸気温センサ43、湿度センサ44、大気圧センサ45を用いて、それぞれ検出することができる。
【0069】
次いで、これら運転条件の検出値に対応する補正係数を算出する(ステップS252)。ECU40に内蔵されたROMには、これら運転条件の検出値に応じて、補正係数が一次元マップの形式で予め記憶されている。図7は、各種運転条件に応じて補正係数が記憶されている様子を概念的に示した説明図である。図7(a)は、冷却水温Wtempの検出値に応じて水温補正係数Kw が設定されている様子を示している。エンジンの始動直後でエンジン暖気中はノッキングは生じ難く、また山道の走行後などエンジン温度が過渡的に高くなっている場合にはノッキングし易くなっている。この様なことを考慮して、水温補正係数Kw は冷却水温が低い場合には小さな値に、冷却水温が高い場合は大きな値に設定されている。
【0070】
吸気温度、吸気の湿度、大気圧などの各種条件も、冷却水温と同様に、ノッキングの生じ易さに影響を与える。そこで、これらの条件による影響も補正係数を用いて補正する。図7(b)は、吸気温度Atempの検出値に応じて吸気温補正係数Ka が設定されている様子を示し、図7(c)は、吸気の湿度Mに応じて湿度補正係数Km が設定されている様子を、図7(d)は、大気圧Pa の検出値に応じて大気圧補正係数Kp が設定されている様子を示している。図6のステップS252では、ROMに記憶されている一次元マップを参照して各種条件についての補正係数を求めた後、これら全ての条件を考慮した補正係数Kを、次式によって算出する。
K = Kw ×Ka ×Km ×Kp
【0071】
こうして補正係数Kを求めたら、得られた補正係数Kとノック指標Nindxとを乗算することによって、ノック指標の補正値を算出した後(ステップS254)、Nindx補正処理を終了して、図5に示す変形例の冷却制御に復帰する。
【0072】
こうしてノック指標Nindxを補正したら、この値を所定の閾値thと比較し(図5のステップS206)、補正したノック指標Nindxの方が大きければ、ノッキングが発生し易い条件であると判断して、設定水温Tset を所定値TLow に設定する(ステップS208)。逆に、補正したNindxの方が小さければ、ノッキングが発生し難い条件と判断して、設定水温Tset を異なる所定値Thighに設定する(ステップS210)。前述した第1実施例の冷却制御と同様に、所定値Thighは、所定値TLow よりも高い値に設定されている。
【0073】
次いで、冷却水温Wtempを検出し(ステップS212)、検出した冷却水温Wtempと設定水温Tset とを比較する(ステップS214)。冷却水温Wtempが設定水温Tset より高い場合は(ステップS214:yes)、冷却水の温度を下げるべく三方弁53を「開」側に切り換える(ステップS216)。また、冷却水温Wtempが設定水温Tset より低い場合は(ステップS214:no)、三方弁53を「閉」側に切り換える(ステップS218)。こうして三方弁53を開閉いずれかの状態に切り換えたら、エンジンが停止しているか否かを検出し(ステップS220)、エンジンが運転中であればステップS200に戻って、エンジンが停止されるまで続く処理を繰り返す。
【0074】
以上に説明した第1実施例における第1の変形例においては、ノッキングの発生のし易さに影響を与える各種の運転条件を検出し、ノック指標Nindxをより適切な値に補正することができる。こうして得られた精度の高いNindxに基づいて冷却水温を設定すれば、冷却能力をより適切に切り換えることができ、延いてはノッキングの発生を確実に回避して、更なるエンジン性能の向上を図ることができる。尚、上述した変形例では、ノック指標Nindxを補正するために考慮する条件としては、冷却水温、吸気温度、吸気の湿度、大気圧のみを検出したが、もちろん、ノッキングの発生に影響を与える条件であれば、他のどのような条件を考慮することも可能である。
【0075】
(2)第2の変形例:
ノック指標Nindxの補正に際しては、ノックセンサ13を用いて実際にノッキングの発生有無を検出し、検出結果を用いて補正することとしても良い。以下に説明する第2の変形例では、ノックセンサの出力によってノック指標Nindxを補正する。
【0076】
図8は、第2の変形例においてNindxを補正する処理の流れを示したフローチャートである。かかる処理は、図5に示した冷却制御におけるステップS204で行われる処理である。第2の変形例におけるNindx補正処理を開始すると、先ず初めにエンジン運転条件の変化量が所定値より小さいか否かを判断する(ステップS260)。これは次のような処理である。図10のNindx補正処理は、図5に示した冷却制御のループが1回まわる毎に1回ずつ実行される。そこで、前回のループがまわったときにステップS200で読み込んだエンジン運転条件(エンジン回転速度、エンジン負荷)と、今回のループ中で読み込んだエンジン運転条件とを比較して、エンジン回転速度あるいはエンジン負荷のいずれかが大きく異なっていないかどうかを判断する。
【0077】
いずれかの運転条件についての変化量が、所定値より大きい場合は(ステップS260:no)、ノック補正量Knkの値を「0」に初期化する(ステップS262)。ノック補正量Knkの意味するところについては後述する。逆に、運転条件の変化量が所定値より小さい場合は(ステップS260:yes)、ノック補正量Knkの初期化は行わない。
【0078】
次いで、ノッキングの発生有無を検出する(ステップS264)。ノッキングの発生有無は、図1を参照しながら前述したようにノックセンサ13によって検出することができる。そして、ノッキングが発生していない場合は(ステップS264:no)、ノック補正量Knkをわずかな所定値dnk1だけ減らして、この値を新たなノック補正量Knkとする(ステップS266)。逆にノッキングが発生している場合は(ステップS264:yes)、ノック補正量Knkに所定値dnk2を加えて、得られた値を新たなノック補正量Knkとする(ステップS268)。尚、ノッキング発生時に用いられる所定値dnk2は、ノッキングが発生していないときに用いられる所定値dnk1よりも大きな値が設定されている。こうしてノッキングの発生有無に応じてノック補正量Knkを更新したら、このノック補正量Knkをノック指標Nindxに加算して、得られた値を新たなNindxとする(ステップS270)。
【0079】
こうしてNindxを更新したら、図8に示したNindx補正処理を終了して、図5に示した冷却制御に復帰する。前述したように冷却制御では、ノック指標Nindxに基づいて設定水温Tset が設定され、設定水温Tset と冷却水温Wtempとの大小関係に応じて三方弁が制御される。
【0080】
このように第2の変形例の冷却制御においては、図5の冷却制御のルーチン中でエンジン運転条件に応じて算出されたノック指標Nindxが、図8のNindx補正処理において補正される。このことから明らかなようにノック補正量Knkは、ノック指標Nindxを補正するために用いられる変数である。そしてノック補正量Knkは、冷却制御ルーチンが1回まわる度に、ノッキングが発生していない場合はわずかな所定量dnk1ずつ減少していき、ノッキングが発生した場合は所定量dnk2ずつ増加していく。
【0081】
図9は、こうしてノック指標Nindxが、時間とともに変動する様子を概念的に示した説明図である。図示するようにNindxは、ノッキングが発生していない場合は、少しずつ小さな値に補正されていき、ノッキングの発生が検出されたら速やかに大きな値に戻される。尚、図中でノック指標Nindxが不連続となっている点では、エンジン運転条件が大きく変更されて、ノック補正量Knkがリセットされている。このように、ノッキングが発生していない場合は、ノック指標Nindxに若干の余裕があると判断して、ノッキングが発生するまでNindxを少しずつ減らしていけば、ノック指標Nindxをより適切な値とすることができる。適切に設定されたNindxに基づいて冷却制御を行えば、エンジン性能をより大きく改善することができる。
【0082】
また、ノッキングが発生したときにノック補正量Knkから減算されるdnk1は、ノッキングが発生しないときにノック補正量Knkに加算するdnk2よりも大きな値に設定されている。このため、ノッキングの発生が検知された場合にはノック指標Nindxは速やかに大きな値に戻され、かかるNindxに基づいて冷却水温が制御されるので、ノッキングの発生を速やかに抑制することができる。
【0083】
尚、以上では、エンジン運転条件に対応付けて記憶されているノック指標Nindxをマップから読み出して、この値に、ノッキングの発生有無に応じた補正を加えるものとして説明した。これに限らず、ノッキングの発生有無の検出に基づいて、エンジン運転条件に対応付けてマップに記憶されているノック指標Nindxの値を書き換えることとしてもよい。こうして、マップに記憶されているNindxを、ノッキングの検出結果に応じて修正していけば、それぞれのエンジンの個体差を反映して、より適切なノック指標Nindxとすることができ、延いてはエンジンをより適切に冷却することが可能となる。
【0084】
D.第2実施例:
上述した第1実施例の冷却制御では、閾値thは一定であるものとして説明したが、運転条件に応じて適切な閾値thを設定することとしてもよい。以下では、閾値を変更する第2実施例の冷却制御について説明する。
【0085】
D−1.第2実施例の冷却制御:
運転条件に応じて適切な閾値thを設定する冷却制御にも種々の方法が存在するが、閾値thを変更することにより冷却水温の切り換えにヒステリシス特性を付与する実施例について説明する。こうすることで、過渡的な運転条件においても、より確実にノッキングの発生を回避することが可能となる。
【0086】
図10は、第2実施例の冷却制御の流れを示すフローチャートである。図10に示した第2実施例の冷却制御は、図3を用いて前述した第1実施例の冷却制御に対して、閾値thの設定を変更可能な点が大きく異なっている。以下では、かかる相違点を中心として簡単に説明する。
【0087】
第2実施例の冷却制御においても第1実施例と同様に、制御を開始すると先ず初めにエンジン回転速度Neおよびエンジン負荷を読み込んで(ステップS300)、ノック指標Nindxを算出する(ステップS302)。
【0088】
こうしてノック指標Nindxを算出したら、続いて閾値thを設定する処理を開始する(ステップS304)。図11は、閾値thを設定する処理の流れを示したフローチャートである。閾値設定処理では、先ず初めに、現在の設定水温Tset の値を取得する(ステップS350)。図3および図4を用いて前述したように、エンジン10がノッキングし易い条件で運転されている場合は、設定水温Tset は低めの値TLow に設定されている。逆にノッキングの発生し難い条件で運転されている場合は、設定水温Tset は高めの値Thighに設定されている。従って、現在の設定水温Tset の設定値から、エンジン10がノッキングし易い条件で運転されているのか否かを判断することができる。
【0089】
次いで、取得した設定水温Tset が、高めの設定値Thigh以上の値に設定されているか否かを判断する(ステップS352)。設定水温Tset がThighより小さな値に設定されている場合は(ステップS352:no)、エンジン10は、ノッキングの発生し易い条件で運転されていると判断して、閾値thに小さめの所定値thL を設定する(ステップS354)。逆に、設定水温Tset がThigh以上の値に設定されている場合は(ステップS352:yes)、エンジン10は、ノッキングの発生し難い条件で運転されていると判断して、閾値thに通常用いられる所定値thn を設定する(ステップS356)。こうして閾値thの値を設定したら図11に示した閾値設定処理を終了して、図10に示した第2実施例の冷却制御に復帰する。
【0090】
第2実施例の冷却制御では、こうして設定した閾値thとノック指標Nindxとを比較し(図10のステップS306)、比較結果に応じて設定水温Tset を切り換える。すなわち、ノック指標Nindxの方が大きければ設定水温Tset を低めの所定値TLow に設定し(ステップS308)、Nindxの方が小さければ設定水温Tset を高めの所定値Thighに設定する(ステップS310)。
【0091】
ここで、図11で説明したように、現在の設定水温Tset が低めに設定されておりエンジン10がノッキングし易い条件で運転されていると判断された場合は(図11のステップS352:no)、閾値thは低めの所定値thL に設定されている。図10に示した第2実施例の冷却制御中のステップS306においては、このような低めの閾値thとノック指標Nindxとが比較される。このため、ノック指標Nindxの方が大きいと判断され易く(すなわち、ノッキングし易い運転条件と判断され易く)、冷却水の設定水温Tset は、そのまま低めの所定値TLow の状態が維持され易くなる。
【0092】
逆に、図11の閾値設定処理において、現在の設定水温Tset が高めの値に設定されておりエンジン10がノッキングし難い条件で運転されていると判断された場合は(図11のステップS352:yes)、閾値thは通常使用される所定値thn に設定される。従って、図10のステップS306においては、通常用いられる閾値thとノック指標Nindxとが比較される。そして、Nindxの方が大きければノッキングし易い運転条件と判断して設定水温Tset には低めの所定値TLow を設定し、Nindxの方が小さければノッキングし難い運転条件と判断して高めの所定値Thighを設定することになる。
【0093】
こうして設定水温Tset を設定したら、次いで、冷却水温Wtempを検出して設定水温Tset と比較する(ステップS312、S314)。そして、冷却水温Wtempが設定水温Tset より高ければ、三方弁53を「開」側に切り換えて(ステップS316)、冷却水をラジエータ55に導いてやる。また、冷却水温Wtempが設定水温Tset より低ければ、三方弁53を「閉」側に切り換えて(ステップS318)、冷却水をバイパス通路52に導いてやる。こうして三方弁53を開閉いずれかの状態に切り換えたら、エンジンが停止しているか否かを検出し(ステップS320)、エンジンが運転中であればステップS300に戻って、エンジンが停止されるまで続く処理を繰り返す。
【0094】
以上に説明した第2実施例の冷却制御においては、現在の冷却水の設定温度Tset に応じて閾値thの値を変更している。このため、エンジン10の運転条件が、ノッキングし難い条件からノッキングし易い条件に移動した場合には、速やかに設定水温Tset が低めの水温に切り変わる。これに対し、ノッキングし易い条件からノッキングし難い条件に移動した場合には、ノッキングのし易さがよほど大きく変わらない限りなかなか高めの水温に切り変わらず、しばらくは低めの水温を維持する、いわゆるヒステリシス特性を有することになる。
【0095】
図12は、第2実施例の冷却制御を行うことにより、冷却水温度にヒステリシス特性が現れる様子を概念的に示した説明図である。エンジン負荷が増加するとノック指標Nindxも増加していく。このため冷却水の設定水温Tset は、図中に実線で示したように、あるところで低めの水温に切り変わる。一方、エンジン負荷を下げた場合には、図中に破線で示すように、Nindxが減少しても設定水温Tset はなかなか切り変わらず、しばらくの間、低めの水温を維持するようになる。
【0096】
第2実施例の冷却制御を行った場合、冷却水の温度変化にこのようなヒステリシス特性が現れることから、ノッキングの発生をより確実に回避することができ、延いては、エンジン性能の確実な改善を図ることが可能となる。すなわち、例えば、山道の走行中など、エンジン負荷が大きく変動するような運転条件では、ほとんどの割合がノッキングし易い条件で運転されていながら、短い期間(例えば数秒程度)だけノッキングし難い条件で運転されることがある。この様な場合に、ノック指標Nindxに応じて一々設定水温Tset を切り換えていたのでは、ノッキングし難い条件で短期間だけ運転した後、再びノッキングし易い運転条件に移った直後で、ノッキングが発生してエンジン性能を低下させることがある。これに対して、第2実施例の冷却制御のように、ヒステリシス特性を付与しておけば、このように運転条件が変わった直後でノッキングが発生することを回避することができる。そのため、エンジン冷却の適正化による性能改善効果を、より確実に達成することが可能となる。
【0097】
また、ヒステリシス特性を付与すれば、設定水温Tset が高めの水温Thighと低めの水温TLow とに頻繁に切り換わり、これに伴って三方弁53などの可動部が頻繁に開閉して、可動部品が故障するといった事態の発生も回避することができるので好ましい。
【0098】
尚、上述した第2の実施例では、閾値thの設定を変更することによってヒステリシス特性を付与するものとして説明した。ヒステリシス特性を付与するための方法は閾値thを設定することに限られず、周知な異なる方法を適用することが可能なことは言うまでもない。例えば、設定水温Tset が低めの設定値TLow から高めの設定値Thighに切り変わるに際しては、所定時間(例えば数秒)だけ低めの設定値TLow を維持した後、高めの設定値Thighに切り変わるようにしてもよい。こうすれば、簡便な方法により、ヒステリシス特性を付与することが可能である。
【0099】
D−2.変形例:
上述した第2実施例では、閾値thを変更することで、設定水温Tset の切り換えにヒステリシス特性を付与した。内燃機関が車両に搭載されている場合には、車両が登坂走行中であることを検出して、登坂走行中は冷却水温が低めに制御されるように閾値thの設定を変更することとしてもよい。以下では、こうした第2実施例における変形例の冷却制御について説明する。
【0100】
図13は、第2実施例の変形例において、車両が登坂走行中であるか否かを検出して、閾値thを設定する処理の流れを示したフローチャートである。変形例の閾値設定処理では、先ず初めに、エンジンの運転条件およびギア比の設定を検出して、車両の加速度を算出する(ステップS370)。ここで算出する加速度は、検出したエンジン運転条件およびギア比の設定において、車両が平坦地を走行しているとしたときに実現されるであろう加速度である。ギア比は、車両に設けられたトランスミッションの図示しないシフトレバーの位置から検出することができる。以下、車両の加速度を算出する方法について説明する。
【0101】
図14は、車両の加速度を算出する原理を示す説明図である。車両の加速度は、車両の駆動トルクが走行抵抗に打ち勝って車両を加速させることによって生じるものである。図14に示した太い破線は車両の走行抵抗を示している。車両の走行抵抗は車速によってほぼ決定され、車速が大きくなるにつれて走行抵抗も大きくなる。走行抵抗を示す破線には、参考として車速の値も表示してある。車速は車輪の回転速度によって決まり、その車輪の回転速度はエンジン回転速度とギア比とによって決まる。このことから、車速とギア比が決まれば、対応するエンジン回転速度が決定される。図14中で走行抵抗を示す破線は、ギア比が4速に設定されているとしたときに、種々の車速での走行抵抗とエンジン回転速度をプロットしたものである。
【0102】
今、ステップS370で検出したエンジン運転条件が、図14中に黒い星印★で示す条件にあるものとする。エンジンの運転条件が決まると、発生するトルクも決まるので、図14中に、対応する対応する座標点を1つ決めることができる。前述したように、ギア比が決まるとエンジン回転速度と車速とは一対一に対応しており、ギア比4速では★印のエンジン回転速度は時速50km前後の車速に対応する。この車速での走行抵抗と、実際にエンジンが出力するトルクとの差が車両の加速に使われるトルクとなるので、車両重量が与えられれば加速度を算出することができる。図14中では、車両の加速に使用されるトルクを、白抜きの矢印で表示している。このように、図13のステップS370では、エンジン運転条件およびギア比を検出し、平坦地での加速度を算出する。算出に必要な車両重量は別途与えらえている。
【0103】
次いで、車両の実際の加速度を計測する(図13のステップS372)。実加速度は、車両の車軸に設けられた図示しない回転速度センサの出力変化によって基づいて算出することができる。こうして得られた実加速度と、先に算出した加速度とを比較する(ステップS374)。車両がほぼ平坦地を走行しているのであれば、実加速度は算出した加速度とほぼ等しい値となるはずである。そこで、算出した加速度と実加速度との差が所定値以下であれば、車両は平坦地を走行しているものと判断することができる。また、実加速度が算出した加速度よりも所定値以上隔たっている場合は、車両が登坂中あるいは降坂中であるため、走行抵抗が変わったためであると考えることができる。
【0104】
このことから、算出した加速度に対して実加速度が所定値以上に小さい場合は車両が登坂中であると考えることができ、この場合は(ステップS374:yes)、閾値thの値を小さめの所定値thL に設定する(ステップS376)。車両が登坂中でないと判断された場合は(ステップS374:no)、閾値thの値を通常の所定値thn に設定する(ステップS378)。こうして閾値thの値を設定したら、図13に示した変形例の閾値設定処理を終了して、図10に示した第2実施例の冷却制御に復帰する。
【0105】
図10の第2実施例の冷却制御に復帰すると、こうして設定した閾値thとノック指標Nindxとを比較し(ステップS306)、ノック指標Nindxの方が大きければ設定水温Tset を低めの所定値TLow に、また、Nindxの方が小さければ設定水温Tset を高めの所定値Thighに、それぞれ設定する(ステップS308、S310)。この結果、車両が登坂中と判断された場合には、冷却水温度が低めに制御され易くなる。登坂時は高負荷条件で運転されることが多くノッキングが発生し易いので、冷却水温を低めに制御すれば、ノッキングの発生を抑制してエンジン性能の改善を図ることができる。
【0106】
E.第3実施例:
上述した各種実施例では、現在のエンジン運転条件に対応するノック指標Nindxに基づいて冷却制御を行っていた。これに対して、所定時間後のエンジン運転条件を予測して、予測した条件に対応するノック指標(予測ノック指標Nantx)に基づいて冷却制御を行うようにしても良い。以下では、こうした第3実施例の冷却制御について説明する。
【0107】
図15は、第3実施例の冷却制御の流れを示すフローチャートである。図示した第2実施例の冷却制御は、図3を用いて前述した第1実施例の冷却制御に対して、所定時間後のエンジン運転条件を予測した制御を行う点が大きく異なっている。以下では、かかる相違点を中心に簡単に説明する。
【0108】
第3実施例の冷却制御においても第1実施例と同様に、制御を開始すると先ず初めにエンジン回転速度Neおよびエンジン負荷を読み込んで、ノック指標Nindxを算出する(ステップS400)。
【0109】
次いで、所定時間後のエンジン運転条件を予測して予測ノック指標Nantxを算出する処理を行う(ステップS402)。図16は、エンジン運転条件を予測して予測ノック指標Nantxを算出する処理の流れを示したフローチャートである。かかる処理は、ECU40に内蔵されたCPUがROMに記憶されたプログラムを実行することによって行われる。
【0110】
予測ノック指標決定処理を開始すると、先ず初めに、アクセル開度および車速を検出する(ステップS450)。アクセル開度は、アクセル開度センサ42によって検出する。また、車速は、車両の車軸に設けられた図示しない回転速度センサによって検出する。
【0111】
次いで、アクセル開度および車速から、車両の運転者が要求している要求出力を算出する(ステップS452)。これは次のような処理である。車両の運転者は、車両の走行中にエンジン10の発生するトルクを増やしたいと思った場合には、望むトルクの増加量に応じてアクセルペダルを踏み増す操作を行う。このことから、運転者が要求している発生トルクを、アクセル開度と車速とに基づいて求めることができる。詳しくは、ECU40に内蔵されているROMの中には、要求出力の値が、アクセル開度と車速とを変数とするマップの形式で予め記憶されており、このマップを参照することによって、ステップS450で検出した条件に対応する要求出力の値を求めるのである。
【0112】
こうして要求出力が求められたら、その要求出力値に対応するエンジン運転条件を決定する(ステップS454)。尚、前述したように、ここでもエンジン運転条件とは、エンジン回転速度およびエンジン負荷によって定められるものとする。要求出力に対応して、エンジン運転条件を決定することができる理由について説明する。一般に、エンジンが発生する出力はエンジン運転条件に応じて定まっている。このことを逆から見れば、要求された出力を発生させる運転条件は、エンジン10が採り得る運転条件の中から、いくつかの運転条件に絞られることになる。実際には、現在のエンジン運転条件を考慮することにより、これら運転条件の中から適切な運転条件を1つ決定することができる。例えば、エンジンの回転速度が維持されるものとすれば、要求出力を発生させる運転条件を1つ決定することができる。また、車速と変速パターンとを考慮して、所定時間後(例えば数秒後)のエンジン回転速度を推定し、そのときのエンジン負荷を求めることにより、エンジン運転条件を決定することとしても良い。
【0113】
図17は、こうして所定時間後のエンジン運転条件を予測した様子を概念的に示した説明図である。図17では、黒い星印で示した現在のエンジン運転条件から、所定時間後には、白抜きの星印で示した運転条件になると予測していることを示している。
【0114】
こうして予測されたエンジン運転条件を決定したら、ROMに記憶されているマップを参照することにより、予測したエンジン運転条件に対応するノック指標Nantxを決定する(図16のステップS456)。以上の様にして、予測したエンジン運転条件に対応するノック指標Nantxを決定したら、予測ノック指標決定処理を終了して図13に示す第3実施例の冷却制御に復帰する。
【0115】
冷却制御に復帰すると、現在のエンジン運転条件に基づいて決定したノック指標Nindxと、予測したエンジン運転条件に基づいて決定した予測ノック指標Nantxとを比較して、大きい方の値によりノック指標Nindxを更新する(図5のステップS404)。図17に示した例では、黒い星印で示した現在のエンジン運転条件に対応するノック指標Nindxは、ほぼ「1」前後の値を採り、白い星印で示した予測エンジン運転条件に対応する予測ノック指標Nantxは、ほぼ「2」前後の値を採っている。このことから、図13のステップS404においては、ノック指標Nindxの値が、予測ノック指標Nantxの値によって書き換えられることになる。
【0116】
こうしてノック指標Nindxの値を更新したら、後の処理は前述した第1実施例と同様である。以下、概要のみ説明する。ノック指標Nindxと閾値thとを比較して(ステップS406)、Nindxの方が大きければ低めの所定値TLow を、そうでなければ高めの所定値Thighを、それぞれ設定水温Tset に設定する(ステップS408、S410)。次いで、冷却水温Wtempを検出して設定水温Tset とを比較し(ステップS412、S414)、結果に応じて三方弁を「開」「閉」いずれかの状態に切り換える(ステップS416、S418)。その後、エンジンが停止しているか否かを検出し(ステップS420)、エンジンが運転中であればステップS400に戻って、エンジンが停止されるまで続く処理を繰り返す。
【0117】
上述した第3実施例の冷却制御においては、現在のエンジン運転条件に対応するノック指標Nindxに加えて、所定時間後のエンジン運転条件を予測して、その運転条件での予測ノック指標Nantxを算出する。次いで、これらノック指標を比較し、指標値の大きな方をノック指標Nindxとして用いて冷却制御を行う。エンジンの冷却能力を切り換えても、冷却水温の変化が現れるまでには、通常は、ある程度の遅れが存在するが、こうして所定時間後のエンジン運転条件を予測した制御を行えば、冷却水温の応答遅れを短縮化することができる。このため、ノックの発生を確実に回避することが可能となり、エンジンを適切に冷却することによるエンジン性能の改善効果を、より高めることが可能となる。
【0118】
以上、各種の実施例について説明してきたが、本発明は上記すべての実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の内燃機関の構成概要を示す説明図である。
【図2】本実施例の内燃機関に採用されている冷却系の概要を示す説明図である。
【図3】第1実施例の冷却制御の流れを示すフローチャートである。
【図4】エンジン運転条件に対応付けてノック指標が記憶されている様子を概念的に示した説明図である。
【図5】第1実施例の第1の変形例における冷却制御の流れを示すフローチャートである。
【図6】第1の変形例の冷却制御においてノック指標を補正する処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】各種の運転条件に対して補正係数が記憶されている様子を概念的に示す説明図である。
【図8】第1実施例の第2の変形例の冷却制御においてノック指標を補正する処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】第2の変形例の冷却制御においてノッキングの発生有無に応じてノック指標が補正されていく様子を概念的に示す説明図である。
【図10】第2実施例の冷却制御の流れを示すフローチャートである。
【図11】第2実施例の冷却制御において閾値の値を補正する処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】第2実施例の冷却制御において、冷却水温の設定にヒステリシス特性が付与される様子を概念的に示した説明図である。
【図13】第2実施例の変形例の冷却制御において閾値の値を補正する処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】車両が登坂中であるか否かを運転条件に基づいて判断する方法を示す説明図である。
【図15】第3実施例の冷却制御の流れを示すフローチャートである。
【図16】第3実施例の冷却制御において、所定時間経過後のノック指標を予測する処理の流れを示すフローチャートである。
【図17】第3実施例の冷却制御において所定時間経過後のノック指標を予測している様子を概念的に示す説明図である。
【符号の説明】
10…エンジン
11…シリンダブロック
12…ピストン
13…ノックセンサ
14,15…ウォータギャラリ
16…排気マニホールド
17…クランクシャフト
20…シリンダヘッド
21…排気弁
22…吸気弁
23…点火プラグ
30…吸気マニホールド
31…サージタンク
32…吸気通路
34…エアクリーナ
35…インジェクタ
36…スロットルバルブ
37…スロットルモータ
38…吸気圧センサ
40…ECU
41…クランク角度センサ
42…アクセル開度センサ
43…吸気温センサ
44…湿度センサ
44…水温センサ
45…大気圧センサ
50…ウォータポンプ
51…下流側冷却水通路
52…バイパス通路
53…三方弁
54…弁体
55…ラジエータ
56…上流側冷却水通路

Claims (13)

  1. 燃焼室内で発生させた燃焼熱を機械的仕事に変換して出力する内燃機関であって、
    前記内燃機関を冷却することにより、該内燃機関に流入した前記燃焼熱を除去する冷却手段と、
    前記内燃機関の運転条件を検出する運転条件検出手段と、
    ノッキングの発生し易さに関連した指標たるノック指標を、前記検出した運転条件に基づいて算出するノック指標算出手段と、
    ノッキングの発生有無を検出するノック検出手段と、
    前記ノッキングの発生有無の検出結果に基づいて、前記ノック指標を補正するノック指標補正手段と、
    前記ノック指標に基づいて前記冷却手段を制御することにより、前記内燃機関の冷却程度を変更する冷却制御手段と
    を備える内燃機関。
  2. 請求項1記載の内燃機関であって、
    前記ノック指標補正手段は、ノッキングの発生を検出した場合の前記ノック指標の補正量が、ノッキングの発生を検出しない場合の該補正量よりも大きくなるように、該ノック指標を補正する手段である内燃機関。
  3. 燃焼室内で発生させた燃焼熱を機械的仕事に変換して出力する内燃機関であって、
    前記内燃機関を冷却することにより、該内燃機関に流入した前記燃焼熱を除去する冷却手段と、
    前記内燃機関の運転条件を検出する運転条件検出手段と、
    ノッキングの発生し易さに関連した指標たるノック指標を、前記検出した運転条件に基づいて算出するノック指標算出手段と、
    前記冷却手段を制御することにより、前記内燃機関の冷却程度を変更する冷却制御手段と、
    ノッキングの発生有無を検出するノック検出手段と、
    前記ノッキングの発生有無の検出結果に基づいて、所定の閾値を補正する閾値補正手段と
    を備え、
    前記冷却制御手段は、前記ノック指標と前記補正した閾値とを比較することにより、前記内燃機関の冷却程度を切り換える手段である内燃機関。
  4. 請求項3記載の内燃機関であって、
    前記閾値補正手段は、ノッキングの発生を検出した場合にはノッキングの発生を検出しない場合よりも、前記閾値を大きく補正する手段である内燃機関。
  5. 請求項1ないしのいずれかに記載の内燃機関であって、
    前記検出した運転条件に基づいて、所定時間経過後の運転条件を予測する運転条件予測手段を備え、
    前記ノック指標算出手段は、前記予測した運転条件に基づいて前記ノック指標を算出する手段である内燃機関。
  6. 燃焼室内で発生させた燃焼熱を機械的仕事に変換して出力する内燃機関であって、
    前記内燃機関を冷却することにより、該内燃機関に流入した前記燃焼熱を除去する冷却手段と、
    前記内燃機関の運転条件を検出する運転条件検出手段と、
    ノッキングの発生し易さに関連した指標たるノック指標を、前記検出した運転条件に基づいて算出するノック指標算出手段と、
    前記ノック指標に基づいて前記冷却手段を制御することにより、前記内燃機関の冷却程度を変更する冷却制御手段と、
    前記検出した運転条件に基づいて、所定時間経過後の運転条件を予測する運転条件予測手段と
    を備え、
    前記ノック指標算出手段は、前記予測した運転条件に基づいて前記ノック指標を算出する手段である内燃機関。
  7. 請求項または記載の内燃機関であって、
    前記検出した運転条件に対応するノック指標と、前記予測した運転条件に対応するノック指標とを比較して、値の大きなノック指標を選択するノック指標選択手段を備え、
    前記冷却制御手段は、前記選択されたノック指標に基づいて前記冷却手段を制御する手段である内燃機関。
  8. 燃焼室内で発生させた燃焼熱を機械的仕事に変換する内燃機関を動力源として搭載した車両であって、
    前記内燃機関を冷却することにより、該内燃機関に伝わった前記燃焼熱を除去する冷却手段と、
    前記車両の運転条件を検出する運転条件検出手段と、
    ノッキングの発生し易さに関連した指標たるノック指標を、前記検出した運転条件に基づいて算出するノック指標算出手段と、
    ノッキングの発生有無を検出するノック検出手段と、
    前記ノッキングの発生有無の検出結果に基づいて、前記ノック指標を補正するノック指標補正手段と、
    前記ノック指標に基づいて前記冷却手段を制御することにより、前記内燃機関の冷却程度を変更する冷却制御手段と、
    を備える車両。
  9. 燃焼室内で発生させた燃焼熱を機械的仕事に変換する内燃機関を動力源として搭載した車両であって、
    前記内燃機関を冷却することにより、該内燃機関に伝わった前記燃焼熱を除去する冷却手段と、
    前記車両の運転条件を検出する運転条件検出手段と、
    ノッキングの発生し易さに関連した指標たるノック指標を、前記検出した運転条件に基づいて算出するノック指標算出手段と、
    前記冷却手段を制御することにより、前記内燃機関の冷却程度を変更する冷却制御手段と、
    ノッキングの発生有無を検出するノック検出手段と、
    前記ノッキングの発生有無の検出結果に基づいて、所定の閾値を補正する閾値補正手段と
    を備え、
    前記冷却制御手段は、前記ノック指標と前記補正した閾値とを比較することにより、前記内燃機関の冷却程度を切り換える手段である
    車両。
  10. 燃焼室内で発生させた燃焼熱を機械的仕事に変換する内燃機関を動力源として搭載した車両であって、
    前記内燃機関を冷却することにより、該内燃機関に伝わった前記燃焼熱を除去する冷却手段と、
    前記車両の運転条件を検出する運転条件検出手段と、
    ノッキングの発生し易さに関連した指標たるノック指標を、前記検出した運転条件に基づいて算出するノック指標算出手段と、
    前記算出されたノック指標に基づいて前記冷却手段を制御することにより、前記内燃機関の冷却程度を変更する冷却制御手段と、
    前記検出した運転条件に基づいて、所定時間経過後の運転条件を予測する運転条件予測手段と
    を備え、
    前記ノック指標算出手段は、前記予測した運転条件に基づいて前記ノック指標を算出する手段である、
    を備える車両。
  11. 燃焼室内で発生させた燃焼熱を機械的仕事に変換して出力する内燃機関の冷却方法であって、
    前記内燃機関の運転条件を検出する工程と、
    ノッキングの発生し易さに関連した指標たるノック指標を、前記検出した運転条件に基づいて算出する工程と、
    ノッキングの発生有無を検出する工程と、
    前記ノッキングの発生有無の検出結果に基づいて、前記ノック指標を補正する工程と、
    前記ノック指標に基づいて、前記内燃機関の冷却程度を変更する工程と
    を備える冷却方法。
  12. 燃焼室内で発生させた燃焼熱を機械的仕事に変換して出力する内燃機関の冷却方法であって、
    前記内燃機関の運転条件を検出する運転条件検出工程と、
    ノッキングの発生し易さに関連した指標たるノック指標を、前記検出した運転条件に基づいて算出するノック指標算出工程と、
    前記内燃機関の冷却程度を変更する冷却制御工程と、
    ノッキングの発生有無を検出するノック検出工程と、
    前記ノッキングの発生有無の検出結果に基づいて、前記閾値を補正する閾値補正工程と
    を備え、
    前記冷却制御工程は、前記ノック指標と前記補正した閾値とを比較することにより、前記内燃機関の冷却程度を切り換える工程を含む冷却方法。
  13. 燃焼室内で発生させた燃焼熱を機械的仕事に変換して出力する内燃機関の冷却方法であって、
    前記内燃機関の運転条件を検出する運転条件検出工程と、
    ノッキングの発生し易さに関連した指標たるノック指標を、前記検出した運転条件に基づいて算出するノック指標算出工程と、
    前記算出されたノック指標に基づいて、前記内燃機関の冷却程度を変更する冷却制御工程と、
    前記検出した運転条件に基づいて、所定時間経過後の運転条件を予測する運転条件予測工程を備え、
    を備え、
    前記ノック指標算出工程は、前記予測した運転条件に基づいて前記ノック指標を算出する工程を含む冷却方法。
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