JP2007127110A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】基準位置学習の実行に伴う機関運転状態の不安定化を抑制することのできる内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】この装置は、吸気バルブの作用角VL(図9(e))を変更する作用角変更機構を備える。作用角変更機構の基準位置(同図(d):カウント値Cn=Cnb)からの相対動作量(カウント値Cn)に基づいて作用角VLを検出する。学習条件(同図(a))の成立時には基準位置学習を実行する(時刻t1以降)。作用角VLの変化速度が小さいときには同作用角VLに見合うように燃料噴射制御(同図(f))を実行し、作用角VLの変化速度が大きいときには同作用角VLの将来の変化を見越したかたちで燃料噴射制御を実行する。燃料噴射制御に用いる作用角VL(q)に対して基準位置学習の結果を徐々に反映させる(時刻t3〜t4)。
【選択図】図9

Description

本発明は、機関操作部材の操作位置を変更する変更機構を備える内燃機関の制御装置に係り、詳しくは変更機構の動作位置の変化速度が大きいときに同動作位置の将来の変化を見越して機関トルクを調節する調節制御と変更機構の動作位置についての基準位置を学習する学習制御と該を実行する内燃機関の制御装置に関するものである。
近年、特許文献1に見られるように、機関バルブのバルブ特性(具体的には、開弁時期および最大リフト量)を変更するための変更機構を内燃機関に設けることが提案されている。こうした装置では、変更機構の作動制御を通じて、そのときどきの機関運転状態に適したバルブ特性にて機関バルブが開閉される。上記変更機構の作動制御に際しては同変更機構の動作位置が検出される。そして、その検出した動作位置が所望のバルブ特性に対応する目標動作位置と一致するように、変更機構の作動制御が実行される。
ここで上記装置において、変更機構の相対動作量を検出するセンサが設けられ、同センサによって検出した相対動作量と予め定めた基準位置とから変更機構の絶対位置を検出するものがある。こうした装置では、ノイズの影響等によって相対動作量が誤って検出されると、その後に検出される絶対位置と実際の動作位置とが一致しなくなってしまう。
そのため従来、定期的に基準位置を学習する制御を実行することが提案されている。この学習制御は次のように実行される。通常、上記装置は変更機構の動作範囲限界においてその可動部が当接するストッパ部材を備えており、このストッパ部材によって変更機構の動作範囲限界を超えた動作が規制される。上記学習制御では、所定の学習条件が成立したときに、可動部がストッパ部材に当接した状態になるように変更機構が作動制御されて、同状態になったときの変更機構の動作位置が上記基準位置として学習される。
一方、内燃機関の運転制御にあっては、基本的に、機関トルクが前記絶対位置に見合うように調節される。また従来、例えば変更機構の動作位置の変化速度が所定速度以上であること等といった判定条件を通じて、内燃機関が過渡運転状態である旨を判定し、その旨が判定されるときにその後の機関運転状態の変化を見越したかたちで機関トルクを調節するものもある。
特開2003−41955号公報
ところで上述した装置では、基準位置の学習完了後においてその学習結果を反映させると、変更機構の実際の動作位置は変化しないにもかかわらず、見かけ上、前述のように検出される変更機構の絶対位置が急変してしまう。そして、この急変によって内燃機関が過渡運転状態であると誤って判定されて、その急変に見合うように機関トルク制御が実行される。これにより、機関運転状態の不安定化を招くおそれがあるばかりか、場合によってはオーバランの発生や、失火、機関ストールの発生を招くおそれもある。
なお、上述した装置の他、変更機構の動作位置が過渡運転状態の判定に用いられるのであれば、他の機関操作部材(例えばスロットルバルブやEGRバルブ等)の操作位置を変更する変更機構を有する装置にあっても同様の不都合が生じる。また、変更機構の絶対位置をその相対移動量と基準位置とから検出する装置に限らず、変更機構の絶対位置を位置センサによって直接検出する装置にあっても、同絶対位置についての基準位置学習が実行されるのであれば、上記不都合は同様に生じる。
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、基準位置学習の実行に伴う機関運転状態の不安定化を抑制することのできる内燃機関の制御装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段およびその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、機関操作部材の操作位置を変更する変更機構と、同変更機構の動作位置についての絶対位置を検出する検出手段と、前記変更機構の動作位置についての基準位置を学習する学習手段とを備え、前記絶対位置の変化速度が小さいときには同絶対位置に見合うように機関トルクの調節制御を実行し、前記絶対位置の変化速度が大きいときには同絶対位置の将来の変化を見越して機関トルクの調節制御を実行する内燃機関の制御装置において、前記調節制御に用いる前記絶対位置に対して前記学習手段による学習結果を徐々に反映させることをその要旨とする。
請求項2に記載の発明は、機関操作部材の操作位置を変更する変更機構と、同変更機構の可動部の当接によって該変更機構の動作位置の変化を規制するストッパ部材と、前記変更機構の相対動作量を検出する動作量センサと、前記ストッパ部材に当接した状態における前記変更機構の動作位置を基準位置として同基準位置からの前記相対動作量に基づき前記変更機構の絶対位置を検出する検出手段と、所定の学習条件の成立時に前記当接した状態になるように前記変更機構を作動させて同状態になったときの前記変更機構の動作位置を前記基準位置として学習する学習手段とを備え、前記絶対位置の変化速度が小さいときには同絶対位置に見合うように機関トルクの調節制御を実行し、前記絶対位置の変化速度が大きいときには同絶対位置の将来の変化を見越したかたちで機関トルクの調節制御を実行する内燃機関の制御装置において、前記調節制御に用いる前記絶対位置に対して前記学習手段による学習結果を徐々に反映させることをその要旨とする。
請求項1または2に記載の構成によれば、学習結果の反映に際して変更機構の絶対位置の変化速度が抑えられるために、絶対位置の将来の変化を見越したかたちでの機関トルク調節が不要に実行されることを抑制することができる。したがって、基準位置学習の実行に伴う機関運転状態の不安定化を抑制することができる。
なお機関操作部材には、機関バルブや、スロットルバルブ、EGRバルブ等が含まれる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置において、当該制御装置は、前記将来の変化を見越したかたちでの前記調節制御を前記絶対位置の変化速度が所定速度以上であることを条件に実行し、前記学習結果を徐々に反映させるに際してその反映を前記絶対位置の変化速度が前記所定速度未満となる範囲で行うことをその要旨とする。
上記構成によれば、絶対位置の将来の変化を見越したかたちでの機関トルク調節が不要に実行されることを的確に抑制することができ、学習結果の反映に起因する機関運転状態の不安定化を好適に抑制することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、当該制御装置は、前記変更機構の絶対位置と制御目標位置とを一致させるように同変更機構の作動制御を実行するものであり、前記作動制御に用いる絶対位置に対して、前記調節制御に用いる前記絶対位置への反映にかかる時間よりも短い時間で完了するように、前記学習結果を反映させるものであることをその要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、当該制御装置は、前記変更機構の絶対位置と制御目標位置とを一致させるように同変更機構の作動制御を実行するものであり、前記作動制御に用いる絶対位置に対して、前記学習結果を一時に反映させるものであることをその要旨とする。
請求項4または5に記載の構成によれば、変更機構の作動制御に用いる絶対位置に対しては学習結果が速やかに反映されるようになり、同絶対位置と実際の動作位置との不一致を速やかに解消させて、変更機構の実際の動作位置を制御目標位置まで速やかに変更することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、前記変更機構は電動機によって作動されるものであり、前記検出手段は前記電動機の相対回転量に基づいて前記絶対位置を検出するものであることをその要旨とする。
近年、変更機構の駆動源として電動機を設けるとともに、同変更機構の動作位置検出のために電動機の相対回転量を検出する回転量センサを設けることが多用されている。上記構成によれば、そうした電動機および回転量センサが設けられる装置にあって、機関運転状態の不安定化を抑制することができる。
なお請求項1〜6のいずれか一項に記載の構成は、請求項7に記載の構成によるように、変更機構として機関バルブの開弁期間および最大リフト量の少なくとも一方を変更するものが設けられた装置に適用することができる。
以下、本発明を具体化した一実施の形態について説明する。
図1に示すように、内燃機関11の気筒(シリンダ)12にはピストン13が往復動可能に収容されている。内燃機関11の燃焼室14には、スロットルバルブ15、サージタンク16、吸気マニホールド17等を有する吸気通路18が接続されている。内燃機関11の外部の空気は、吸気通路18の各部を順に通過して燃焼室14に吸入される。
スロットルバルブ15は吸気通路18の途中に回動可能に設けられており、電動機等からなるアクチュエータ19によって駆動される。アクチュエータ19は、アクセルペダル21の踏み込み操作等に応じて作動して、スロットルバルブ15を回動させる。吸気通路18を流れる空気の量(吸入空気量GA)は、スロットルバルブ15の回動角度(スロットル開度TA)や後述する吸気バルブ25の開弁期間(作用角VL)等に応じて変化する。
また、燃焼室14には、排気マニホールド22、触媒コンバータ23等を有する排気通路24が接続されている。燃焼室14で生じた燃焼ガスは、排気通路24の各部を順に通って内燃機関11の外部へ排出される。
内燃機関11には、燃焼室14の上記吸気通路18に対する開口部を開閉する吸気バルブ25と、燃焼室14の上記排気通路24に対する開口部を開閉する排気バルブ26とが設けられている。これら吸気バルブ25および排気バルブ26は共に、バルブスプリング27によって上記開口部を閉じる方向(閉弁方向)に常時付勢されている。
内燃機関11には吸気バルブ25に対応して吸気カムシャフト28が設けられ、また排気バルブ26に対応して排気カムシャフト29が設けられている。これら吸気カムシャフト28および排気カムシャフト29には、内燃機関11のクランクシャフト31の回転が伝達される。この伝達により吸気カムシャフト28および排気カムシャフト29が回転し、バルブスプリング27に抗して吸気バルブ25および排気バルブ26が押し開かれる。そして、吸気バルブ25が押し開かれることによって燃焼室14の上記吸気通路18に対する開口部が開放され、また排気バルブ26が押し開かれることによって燃焼室14の上記排気通路24に対する開口部が開放される。
内燃機関11には電磁駆動式の燃料噴射弁32が取り付けられている。この燃料噴射弁32は通電により開弁し、燃焼室14内に高圧燃料を噴射供給する。燃料噴射弁32から噴射された燃料は、燃焼室14内に吸入された空気と混ざり合って混合気となる。
内燃機関11には、点火プラグ33が取り付けられている。点火プラグ33は、イグナイタ34からの点火信号に基づいて作動する。点火プラグ33には、点火コイル35から出力される高電圧が印加される。そして、前記混合気は点火プラグ33の火花放電によって着火され、燃焼する。
このときに生じた高温高圧の燃焼ガスによりピストン13が往復動される。ピストン13の往復運動は、コネクティングロッド36によって回転運動に変換された後、クランクシャフト31に伝達される。この伝達によりクランクシャフト31が回転されて、内燃機関11の駆動力(出力トルク)が得られる。燃焼によって生じたガス(排気)は、排気バルブ26の開弁にともない排気通路24に排出される。
内燃機関11にはバルブタイミング変更機構37が設けられている。このバルブタイミング変更機構37は、クランク角(クランクシャフト31の回転角)に対する吸気バルブ25のバルブタイミングVTを変更するためのものであり、具体的には、クランクシャフト31に対する吸気カムシャフト28の相対回転位相を変化させる。
吸気バルブ25のバルブタイミングは、例えば、図2に示すように開弁時期IVOおよび閉弁時期IVCで表すことができる。このバルブタイミングVTは、吸気バルブ25の開弁期間(開弁時期IVOから閉弁時期IVCまでの期間)が一定に保持された状態で進角又は遅角させられる。ちなみに、図2中のEVO,EVCは排気バルブ26の開弁時期および閉弁時期EVCである。
また、図1に示すように、内燃機関11には作用角変更機構38が設けられている。作用角変更機構38は、吸気バルブ25の作用角VLを変更するためのものである。なお図3に示すように、上記作用角VLは、吸気カムシャフト28の回転角(図3ではクランク角で表現)における吸気バルブ25の開弁期間(開弁時期IVOから閉弁時期IVCまでの角度範囲)である。
本実施の形態では、作用角変更機構38により、吸気バルブ25の最大リフト量も連続的に変更される。なお最大リフト量は、吸気カムシャフト28によって吸気バルブ25が押し開かれている期間(開弁期間)において同吸気バルブ25の閉弁位置からの移動量(リフト量)が最大になったときの同移動量である。
このように本実施の形態では、作用角変更機構38によって、吸気バルブ25の作用角VLおよび最大リフト量が互いに同期して変化させられ、例えば作用角VLが小さくなるほど最大リフト量も小さくなる。そして、作用角VLが小さくなるのに従って、吸気バルブ25の開弁時期IVOと閉弁時期IVCとが互いに近寄って開弁期間が短くなり、気筒12に吸入される空気の量が少なくなる。
図1に示すように、作用角変更機構38による作用角VLの調節制御は、1本のシャフト(コントロールシャフト40)を軸方向へ移動させることにより行われる。コントロールシャフト40は、回転−直線運動変換機構42を介して作用角変更用の電動機43に連結されている。なお上記回転−直線運動変換機構42は、電動機43の回転を直線運動に変換してコントロールシャフト40に伝達する機構である。
そして、電動機43が回転してコントロールシャフト40が軸方向へ移動されることで作用角変更機構38が駆動され、吸気バルブ25の作用角VLが連続的に変化させられる。コントロールシャフト40が一方向(例えば図1の左方向)に移動した場合には作用角VLが小さくなって吸入空気量GAが少なくなり、これとは逆に、コントロールシャフト40が他方向(図1の右方向)に移動した場合には作用角VLが大きくなって吸入空気量GAが多くなる。
なお、内燃機関11には上記作用角変更機構38の可動部(本実施の形態ではコントロールシャフト40)との当接によって同作用角変更機構38の可動範囲を規制するストッパ部材41が設けられており、作用角変更機構38はこの可動範囲内で作動して吸気バルブ25の作用角VLを変化させる。この可動範囲においてコントロールシャフト40とストッパ部材41とが当接するようになる可動限界位置のうち、作用角VLが小さい側の可動限界位置を「Lo端」と表現し、作用角VLが大きい側の可動限界位置を「Hi端」と表現する。作用角変更機構38は、「Lo端」よりも作用角VLを小さくする側へは作動できず、「Hi端」よりも作用角VLを大きくする側へは作動できない。なお、上記ストッパ部材41による作用角変更機構38の可動範囲の規制に際しては、コントロールシャフト40のストロークが規制されるのに加えて、電動機43の回転量も規制される。
内燃機関11およびその周辺には、各部の状態を検出するための各種センサが取り付けられている。これらセンサとしては、例えばクランクシャフト31の回転角度(クランク角)および回転速度(機関回転速度NE)を検出するためのクランク角センサ45や、吸入空気量GAを検出するためのエアフロメータ46、スロットル開度TAを検出するためのスロットルセンサ47が設けられている。また、アクセルペダル21の踏み込み量(アクセル踏み込み量ACC)を検出するためのアクセルセンサ48が設けられている。その他、吸気バルブ25の作用角VL(詳しくは、作用角変更機構38の動作位置)を検出するための作用角センサ49、吸気バルブ25のバルブタイミングVT(詳しくは、バルブタイミング変更機構37の動作位置)を検出するための位置センサ50等も設けられている。
内燃機関11は、例えばマイクロコンピュータを有して構成される電子制御装置56を備えている。この電子制御装置56は、各種センサ45〜50の検出信号を取り込むとともに各種の演算を行い、その演算結果に基づいて各種制御を実行する。
本実施の形態では、燃焼室14内に吸入される空気量の調節をスロットル開度TAの調整によって行うことに加えて、吸気バルブ25の作用角VLを変更することによっても行うことができる。そのため、同一の空気量を様々なスロットル開度TAおよび作用角VLの組み合わせで実現することが可能である。例えば、吸気バルブ25の作用角VLを大きくするときにはスロットル開度TAを相対的に小さくし、逆に作用角VLを小さくするときにはスロットル開度TAを相対的に大きくすることで上記空気量を一定に保持することが可能である。
そうした空気量の調節は具体的には、以下のように実行される。
すなわち先ず、アクセル踏み込み量ACCおよび機関回転速度NEに基づいてマップから、空気量についての制御目標値(要求吸入空気量Tga)が算出される。なお上記マップには、アクセル踏み込み量ACCおよび機関回転速度NEによって定まる機関運転状態と同状態に見合う空気量との関係が実験結果などを通じて予め求められ、設定されている。
その後、要求吸入空気量Tgaおよび機関回転速度NEに基づく各別のマップ演算を通じて、スロットル開度TAについての制御目標値(目標スロットル開度Tta)、作用角VLについての制御目標値(目標作用角Tvl)、およびバルブタイミングVTについての制御目標値(目標バルブタイミングTvt)がそれぞれ算出される。それらのマップ演算に用いられるマップにはそれぞれ、要求吸入空気量Tgaおよび機関回転速度NEにより定まる機関運転状態と同状態に適した制御目標値との関係が実験結果などを通じて予め求められ、設定されている。
そして、目標スロットル開度Ttaと実際のスロットル開度TAとが一致するようにアクチュエータ19の駆動制御(スロットル制御)が実行される。また、目標作用角Tvlと実際の作用角VLとが一致するように電動機43の駆動制御(作用角制御)が実行される。さらに、目標バルブタイミングTvtと実際のバルブタイミングVTとが一致するようにバルブタイミング変更機構37の作動制御(バルブタイミング制御)が実行される。
本実施の形態では、燃料噴射弁32の駆動制御(燃料噴射制御)を通じて、同燃料噴射弁32から噴射供給される燃料量(燃料噴射量Q)が調節される。
この燃料噴射制御では、内燃機関11の通常運転時(通常モード選択時)と過渡運転時(過渡モード選択時)とで異なる態様をもって燃料噴射弁32の駆動制御が実行される。なお内燃機関11の通常運転時は機関運転状態が比較的安定しているときであり、内燃機関11の過渡運転時は、例えば加減速時など、機関運転状態が大幅に変化するときである。本実施の形態では、作用角やスロットル開度TA等といった機関パラメータの変化速度が小さい状態が続いているときに通常モードが選択され、例えば(条件イ)および(条件ロ)のいずれか一方が満たされる等、機関パラメータの変化速度が大きくなったときに過渡モードが選択される。
(条件イ)作用角の変化速度が所定速度α以上であること。
(条件ロ)スロットル開度TAの変化速度が所定速度β以上であること。
以下、本実施の形態にかかる燃料噴射制御にかかる処理について、図4を参照しつつ説明する。
この処理では先ず、燃焼室14内に吸入される空気量の推定値(推定空気量Vga)が通常モード選択時と過渡モード選択時とで異なる態様をもって算出される。
通常モード選択時においては(ステップS100:NO)、上記推定空気量Vgaとして現状の機関運転状態に見合う空気量、言い換えれば、このときの実際の機関パラメータに見合う空気量が算出される(ステップS101)。
ここで燃料噴射制御にあっては、推定空気量Vgaの算出が行われてからその算出結果に基づく燃料噴射が実際に行われるまでにタイムラグが有る。そのため、単に機関パラメータの検出結果に基づいて算出された推定空気量Vgaは、実際に噴射が行われる時点よりもそのタイムラグ分だけ以前の検出結果に対応したものとなってしまう。したがって、機関パラメータの変化速度が大きい内燃機関11の過渡運転時において、実際に噴射が行われる時点での燃焼室14内に吸入される空気量を正確に把握するには、これを機関パラメータの将来の変化を見越して予め推定(予測)することが望ましい。
この点をふまえ、本実施の形態では、過渡モード選択時において(ステップS100:YES)、スロットル開度TAや作用角、バルブタイミングVTの将来の変化が予測され、その予測された各値に見合う空気量が推定空気量Vgaとして算出される(ステップS102)。
なお本実施の形態にあっては、スロットルバルブ15、サージタンク16、吸気マニホールド17、吸気バルブ25等からなる機関吸気系をモデル化した物理モデル(吸気モデル)が構築されており、通常モードおよび過渡モードのいずれが選択されている場合にも、同吸気モデルを通じて上記推定空気量Vgaが算出される。詳しくは、吸入空気量GA、機関回転速度NE、スロットル開度TA、作用角、並びにバルブタイミングVTを変数とするモデル式が予め定められ、同モデル式を通じて推定空気量Vgaが算出される。
このように推定空気量Vgaが算出された後、同推定空気量Vgaに基づいて混合気の空燃比が所定の比率になる燃料噴射量Qが目標燃料噴射量Tqとして算出される(ステップS103)。なお所定の比率としては、基本的に、理論空燃比近傍の比率(例えば14.5)が設定される。そして、目標燃料噴射量Tqに対応する時間にわたって燃料噴射弁32に通電され、その通電により燃料噴射弁32が開弁されて、目標燃料噴射量Tqと同量の燃料が燃料噴射弁32から噴射される(ステップS104)。
ここで、吸気バルブ25の作用角VLは、上記作用角センサ49の検出信号をもとに以下のように算出される。
上記作用角センサ49は、電動機43の相対的な移動量(回転角)を検出する一対の相対位置センサを有している。図5に示すように、それら相対位置センサは共に、電動機43が一定角度回転する毎にパルス状の回転角信号SG1,SG2を出力する。また一方の相対位置センサはその回転角信号SG1(同図(a))として、他方の相対位置センサの回転角信号SG2(同図(b))に対して所定角度だけ回転位相のずれた値を出力する。そして、それら回転角信号SG1,SG2を計数することにより、電動機43が回転した角度(相対回転量)が求められる。
上記相対回転量は、具体的には、カウンタのカウント値Cn(図5(c)参照)を用いて次のように算出される。このカウンタは、図6に示すように、両回転角信号SG1,SG2のいずれかが「L」から「H」に立ち上がるとき(「↑」にて表記)、または「H」から「L」に立ち下がるとき(「↓」にて表記)にカウント動作する。このカウント動作には、カウント値Cnのインクリメント(「+」にて表記)と、同カウント値Cnのデクリメント(「−」にて表記)とがある。
カウンタがカウント動作する状況としては、図6に示す8通りの状況がある。そして、これら状況のうち下記の(A),(D),(F),(G)の状況においてはカウント値Cnがインクリメントされる。
(A)回転角信号SG1が「H」のときに回転角信号SG2が立ち上がったとき。
(D)回転角信号SG1が「L」のときに回転角信号SG2が立ち下がったとき。
(F)回転角信号SG2が「H」のときに回転角信号SG1が立ち下がったとき。
(G)回転角信号SG2が「L」のときに回転角信号SG1が立ち上がったとき。
また、下記の(B),(C),(E),(J)の状況においてはカウント値Cnがデクリメントされる。
(B)回転角信号SG1が「H」のときに回転角信号SG2が立ち下がったとき。
(C)回転角信号SG1が「L」のときに回転角信号SG2が立ち上がったとき。
(E)回転角信号SG2が「H」のときに回転角信号SG1が立ち上がったとき。
(J)回転角信号SG2が「L」のときに回転角信号SG1が立ち下がったとき。
このようにインクリメントまたはデクリメントされるカウント値Cnと、回転角信号SG1(またはSG2)が出力されてから次の回転角信号SG1(またはSG2)が出力されるまでに電動機43が回転する角度とに基づいて、電動機43の相対回転量が求められる。
また、この相対回転量だけでは、電動機43が可動範囲のどの位置(絶対位置、この場合には絶対回転角)にあるのか判らない。そのため、電動機43の基準位置(基準回転角)が別途定められている。この基準回転角としては前記Lo端に対応する回転角(所定回転角BSE)が定められている。本実施の形態では、この基準回転角から上記相対回転量だけ回転した回転角が電動機43の絶対回転角として求められ、これが作用角VLとして検出される。
ここで、このように吸気バルブ25の作用角VLを検出する場合、ノイズの影響等によって相対回転量が誤って検出されると、その後に検出される作用角VLと実際の作用角とが一致しなくなってしまう。そのため本実施の形態では、そうした不一致の解消を図るために、上記基準回転角を学習する処理が定期的に実行される。
以下、基準回転角を学習する処理の具体的な処理手順について、図7に示すフローチャートを参照しつつ説明する。なお、このフローチャートに示される一連の処理は基準回転角学習処理の具体的な処理手順を概念的に示したものであり、実際の処理は所定周期毎の処理として電子制御装置56により実行される。
この処理では先ず、所定の学習条件が成立していることを条件に(ステップS200:YES)、作用角変更機構38の動作位置が確実に前記Lo端になるように、作用角変更機構38の可動部をストッパ部材41に突き当てる制御(突き当て制御)が実行される(ステップS201)。具体的には、吸気バルブ25の作用角VLが徐々に小さくなるように作用角制御が実行される。これに併せて、作用角VLの減少に伴う空気量の減少分を補うべく、スロットル開度TAが徐々に大きくなるようにスロットル制御が実行される。
なお上記学習条件としては、内燃機関11が減速運転中であることといった条件が設定される。こうした条件を設定したのは、内燃機関11の減速運転中においては作用角VLが小さいために学習時間を確保し易く、また燃焼室14内に吸入される空気量が変動した場合であってもドライバビリティの低下を招き難いためである。
その後、作用角VLの変化速度が「0」となり、その状態が所定時間(数回の制御周期)にわたって継続されると(ステップS202:YES)、このときの電動機43の回転角が前記所定回転角BSEとされる(ステップS203)。具体的には、前記カウンタのカウント値Cnが前記所定回転角BSEに対応する値(所定カウント値Cnb)に変更される。
このように基準回転角が学習された後、作用角VLおよびスロットル開度TAを前記突き当て制御(ステップS201)の実行前の状態にまで徐々に復帰させる制御(復帰制御)が実行される(ステップS204)。そして、作用角VLおよびスロットル開度TAが前記突き当て制御の実行前の状態にまで復帰した後、本処理は一旦終了される。
このように基準回転角学習処理を実行することにより、上述のように検出される作用角VLと実際の作用角との不一致が解消される。
ただし、そうした基準回転角学習が上記作用角VLと実際の作用角とが大きく乖離した状態で実行され、その学習結果が一時に反映されると、次のような不都合が生じるおそれがある。この場合には、学習結果の反映に際して実際の作用角は変化しないにもかかわらず、見かけ上、作用角VLが急変する。そして、この急変により内燃機関11の過渡運転時であると誤って判定されて前記過渡モードが選択され、その急変に見合うように燃料噴射制御が実行されてしまう。これにより、内燃機関11の運転状態の不安定化を招くおそれがあるばかりか、燃料噴射量Qの不要な増加に伴うオーバランの発生や、燃料噴射量Qの不要な減少に伴う失火、機関ストールの発生を招くおそれもある。
この点をふまえ、本実施の形態では、燃料噴射制御に用いる作用角VL(q)に対して基準回転角学習処理による学習結果を反映させる際に、同作用角VL(q)の変化速度が前記所定速度α(前記(条件イ))未満となる範囲で、同学習結果を徐々に反映させるようにしている。
これにより、学習結果の反映に際して作用角VL(q)の変化速度が的確に抑えられて、過渡モードが誤って選択されることが回避され、内燃機関11の過渡運転時に見合った燃料噴射制御が誤って実行されることが回避される。
ここで、基準回転角の学習時(図7のステップS203)においては、突き当て制御(同ステップS201)を通じて実際の作用角が、上記可動部とストッパ部材41とが当接した状態に対応する角度になっている。そのため、学習の完了とともに作用角制御に用いる作用角VLに学習結果を一時に反映させても、これに起因して実際の作用角の急変を招くことはない。
この点をふまえ、本実施の形態では、作用角制御に用いる作用角VLに対して上記学習結果を反映させる際には、同学習結果を一時に反映させるようにしている。これにより、作用角制御に用いる作用角VLに対しては学習結果が速やかに反映されるようになり、同作用角VLと実際の作用角との不一致を速やかに解消させて、実際の作用角を目標作用角Tvlまで速やかに変更することができる。
以下、燃料噴射制御に用いる作用角VL(q)を検出する処理について、図8に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
なお、このフローチャートの一連の処理は、上記作用角VL(q)を検出する処理の具体的な処理手順を示したものであり、所定周期毎の処理として電子制御装置56により実行される。
この処理では先ず、徐変条件が成立しているか否かが判断される(ステップS300)。ここでは、以下の条件が共に満たされていることをもって、徐変条件が成立していると判断される。
・基準回転角の学習が完了したこと。
・学習完了後において、本処理における学習結果の作用角VLへの反映が完了したこと。
上記徐変条件が成立している場合には(ステップS300:YES)、カウント値Cn(q)を徐々に変化させるための徐変値Kが算出される。
すなわち先ず、学習結果の反映開始時においては(ステップS301:YES)、基準回転角の学習時(図7のステップS203)におけるカウント値(学習前カウント値Cnm)が読み込まれるとともに、同学習前カウント値Cnmと前記所定カウント値Cnbとの差ΔCn(=Cnm−Cnb)が求められる。そして、同差ΔCnの絶対値から所定値γを減算した値が徐変値Kとして算出される(ステップS302)。その後においては、本処理が実行される度に(ステップS301:NO)、徐変値Kから所定値γを減算した値が新たな徐変値Kとして算出される(ステップS303)。
なお学習前カウント値Cnmは、基準回転角の学習時において電子制御装置56に記憶されている。また前記所定値γは、前記復帰制御(図7のステップS204)の実行時において、カウント値Cnを同所定値γだけ変更した値をカウント値Cn(q)とした場合であっても、作用角VL(q)の変化速度を前記所定速度α未満に抑えることの可能な値である。
そして、上記徐変値Kが「0」よりも大きい場合には(ステップS304:NO)、以下のようにカウント値Cn(q)が算出される。
すなわち、学習前カウント値Cnmが所定カウント値Cnbよりも大きい場合には(ステップS305:YES)、上記徐変値Kを前記カウント値Cnに加算した値が上記カウント値Cn(q)として記憶される(ステップS306)。一方、学習前カウント値Cnmが所定カウント値Cnbよりも小さい場合には(ステップS305:NO)、上記徐変値Kを前記カウント値Cnから減算した値が上記カウント値Cn(q)として記憶される(ステップS307)。
その後、本処理が繰り返し実行されて、徐変値Kが「0」以上になると(ステップS304:YES)、カウント値Cn(q)として上記カウント値Cnが記憶される(ステップS308)。なお、その後においては、学習結果の反映が完了したと判断されるようになって(ステップS300:NO)、上記カウント値Cnとカウント値Cn(q)とが等しくなる。
このようにカウント値Cn(q)が算出された後(ステップS306,S307,308)、同カウント値Cn(q)および前記基準回転角に基づいて作用角VL(q)が算出される(ステップS309)。なおカウント値Cn(q)および前記作用角VL(q)は燃料噴射制御に用いる値であり、作用角制御に用いられるカウント値Cnおよび作用角VLとは異なる。
このように作用角VL(q)を検出し、これを燃料噴射制御に用いることによる作用について、図9に示すタイミングチャートを参照しつつ説明する。
なお図9は、学習前カウント値Cnmが所定カウント値Cnbよりも小さい場合における各種制御の処理態様の一例を示している。
時刻t1において所定の学習条件(同図(a))が成立すると、突き当て制御の実行が開始され、その後においてカウント値Cn(=Cn(q))および作用角VL(=VL(q)が徐々に小さくなる(同図(d)および同図(e))。
その後、作用角VLが殆ど変化しなくなり、さらにその状態が所定時間(時刻t2〜t3)継続されると、基準回転角の学習が実行されて上記カウント値Cnが所定カウント値Cnbに変更される(同図(d)の一点鎖線参照)。そして、これに伴って作用角VLが急変する(同図(e)の一点鎖線参照)。
このとき本実施の形態では、前記徐変条件(同図(b))が成立し、上記カウント値Cnに徐変値K(同図(c))を加算した値がカウント値Cn(q)として算出される。この徐変値Kとしては、前記差ΔCn(=「学習前カウント値Cnm」−「所定カウント値Cnb」)の絶対値から所定値γを減算した値が設定されている。そのため、カウント値Cn(q)が上記カウント値Cnのように急変することはなく、また同カウント値Cn(q)に基づき算出される作用角VL(q)が上記作用角VLのように急変することもない。
また、その後においては前記作用角算出処理が実行される度に所定値γずつ徐変値Kが小さくなる。そのため、徐変値Kが「0」になるまでの(時刻t3〜t4)、カウント値Cn(q)および作用角VL(q)が徐々に変化するようになり、それらカウント値Cn(q)および作用角VL(q)の急変が回避される。
そして本実施の形態では、こうした作用角VL(q)が燃料噴射制御での演算に用いられる。ここで前述したように、所定値γとしては、前記復帰制御(図7のステップS204)の実行時において作用角VL(q)の変化速度を前記所定速度α未満に抑えることの可能な値が設定されている。
そのため、燃料噴射制御において過渡モードが誤って選択されることを回避することができ、学習結果の反映に際して燃料噴射量Q(同図(f))が誤って急増することを抑制することができる。したがって、基準回転角の学習実行に伴う機関運転状態の不安定化を抑制することができる。なお同図(f)の一点鎖線には、比較例として、作用角VLを燃料噴射制御での演算に用いた場合における燃料噴射量Qの推移の一例を示している。
ここで図9に示す例とは逆に、学習前カウント値Cnmが所定カウント値Cnbよりも大きい場合に、基準回転角の学習結果の反映に際して過渡モードが誤って選択されると、燃料噴射量Qの急減を招いてしまう。本実施の形態では、そうした場合にも、過渡モードが誤って選択されることを回避することができ、燃料噴射量Qが誤って急増することを抑制することができる。したがって、そのような場合にも基準回転角の学習実行に伴う機関運転状態の不安定化を抑制することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下に記載する効果が得られるようになる。
(1)燃料噴射制御に用いる作用角VL(q)に対して前記基準回転角の学習結果を徐々に反映させるようにしたために、基準回転角の学習実行に伴う機関運転状態の不安定化を抑制することができる。
(2)作用角VL(q)の変化速度が所定速度α以上であるときに過渡モードが選択される装置にあって、同作用角VL(q)に対して上記学習結果を反映させる際に、その反映を作用角VL(q)の変化速度が所定速度α未満となる範囲で行うようにした。そのため、燃料噴射制御において過渡モードが誤って選択されることを的確に回避することができ、機関運転状態の不安定化を好適に抑制することができる。
(3)作用角制御に用いる作用角VLに対して上記学習結果を反映させる際には、同学習結果を一時に反映させるようにした。そのため、作用角制御に用いる作用角VLに対しては学習結果が速やかに反映されるようになり、同作用角VLと実際の作用角との不一致を速やかに解消させて、実際の作用角を目標作用角Tvlまで速やかに変更することができる。
なお、上記実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・作用角制御に用いられる作用角VLに対して、基準回転角の学習時においてその学習結果を一時に反映させる必要はない。例えば学習が完了してから若干の時間をおいた後にその学習結果を反映させることや、作用角VLが徐々に変化するように学習結果を反映させることなどが可能である。なお上記構成にあっては、燃料噴射制御に用いる作用角VL(q)への学習結果の反映にかかる時間よりも短い時間で完了するように、作用角VLに対して学習結果を反映させることが望ましい。これにより、作用角VLに対しては学習結果を速やかに反映させることができ、同作用角VLと実際の動作位置との不一致の速やかな解消を図ることができる。
・上記実施の形態では、作用角検出処理が実行される度に所定値γずつ小さくなる徐変値Kを通じて、カウント値Cn(q)および作用角VL(q)に前記学習結果を徐々に反映させるようにした。作用角VL(q)の変化速度が所定速度α未満に抑えられるように学習結果が徐々に反映されるのであれば、その反映態様は任意に変更可能である。
・上記実施の形態は、前記Lo端に対応する電動機43の回転角を基準回転角として学習する装置に限らず、前記Hi端に対応する電動機43の回転角を基準回転角として学習する装置や、例えばバネ機構等といった何らかの機構によって回転動作が規制される任意の回転角を基準回転角として学習する装置にも適用可能である。
・本発明は、コントロールシャフトの相対動作量を検出する動作量センサの検出信号に基づいて吸気バルブの作用角を検出する装置にも適用可能である。
・本発明は、電動機の絶対回転角またはコントロールシャフトの絶対位置を検出する位置センサが設けられた装置であって、同位置センサの検出信号に基づいて吸気バルブの作用角を検出する装置にも適用可能である。こうした構成にあって基準位置の学習結果を燃料噴射制御に用いる作用角に反映させる際には、基準位置を、学習前の基準位置から学習した基準位置へと徐々に変更すればよい。
・本発明は、例えば油圧アクチュエータ等といった電動機以外のアクチュエータによって作動される作用角変更機構を備えた内燃機関の制御装置にも適用することができる。
・本発明は、吸気バルブの作用角以外の機関操作部材の操作位置を変更する変更機構を備え、同変更機構の動作位置についての基準位置を学習する装置にも適用することができる。なお、そうした機関操作部材の操作位置としては、例えば排気バルブの作用角、吸気バルブのバルブタイミング、排気バルブのバルブタイミング、スロットルバルブの開度、或いはEGRバルブの開度などを挙げることができる。
こうした構成にあっても、変更機構の絶対位置の変化速度が小さいときには同絶対位置に見合うように燃料噴射制御が実行される一方、上記絶対位置の変化速度が大きいときには同絶対位置の将来の変化を見越して燃料噴射制御が実行される装置において、基準位置の学習実行に伴う機関運転状態の不安定化を抑制することができる。
また、そうした燃料噴射制御を実行する装置に限らず、吸入空気量制御や点火時期制御などといった機関トルクの調節制御を変更機構の絶対位置の変化速度に応じて実行する装置であれば同様に、機関運転状態の不安定化を抑制することができる。
本発明にかかる内燃機関の制御装置を具体化した一実施の形態についてその概略構成を示す略図。 吸気バルブのバルブタイミングの変化態様を示すグラフ。 吸気バルブの作用角および最大リフト量の変化態様を示すグラフ。 燃料噴射制御にかかる処理の具体的な処理手順を示すフローチャート。 (a)〜(c)作用角の検出に用いられる各値の推移の一例を示すタイミングチャート。 各回転角信号とカウンタのカウント動作との対応関係を示す略図。 基準回転角学習処理の具体的な処理手順を示すフローチャート。 作用角検出処理の具体的な処理手順を示すフローチャート。 (a)〜(f)各種処理の処理態様の一例を示すタイミングチャート。
符号の説明
11…内燃機関、12…気筒、13…ピストン、14…燃焼室、15スロットルバルブ、16…サージタンク、17…吸気マニホールド、18…吸気通路、19…アクチュエータ、21…アクセルペダル、22…排気マニホールド、23…触媒コンバータ、24…排気通路、25…吸気バルブ、26…排気バルブ、27…バルブスプリング、28…吸気カムシャフト、29…排気カムシャフト、31…クランクシャフト、32…燃料噴射弁、33…点火プラグ、34…イグナイタ、35…点火コイル、36…コネクティングロッド、37…バルブタイミング変更機構、38…作用角変更機構、40…コントロールシャフト、41…ストッパ部材、43…電動機、45…クランク角センサ、46…エアフロメータ、47…スロットルセンサ、48…アクセルセンサ、49…作用角センサ、50…位置センサ、56…電子制御装置。

Claims (7)

  1. 機関操作部材の操作位置を変更する変更機構と、同変更機構の動作位置についての絶対位置を検出する検出手段と、前記変更機構の動作位置についての基準位置を学習する学習手段とを備え、前記絶対位置の変化速度が小さいときには同絶対位置に見合うように機関トルクの調節制御を実行し、前記絶対位置の変化速度が大きいときには同絶対位置の将来の変化を見越して機関トルクの調節制御を実行する内燃機関の制御装置において、
    前記調節制御に用いる前記絶対位置に対して前記学習手段による学習結果を徐々に反映させる
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 機関操作部材の操作位置を変更する変更機構と、同変更機構の可動部の当接によって該変更機構の動作位置の変化を規制するストッパ部材と、前記変更機構の相対動作量を検出する動作量センサと、前記ストッパ部材に当接した状態における前記変更機構の動作位置を基準位置として同基準位置からの前記相対動作量に基づき前記変更機構の絶対位置を検出する検出手段と、所定の学習条件の成立時に前記当接した状態になるように前記変更機構を作動させて同状態になったときの前記変更機構の動作位置を前記基準位置として学習する学習手段とを備え、前記絶対位置の変化速度が小さいときには同絶対位置に見合うように機関トルクの調節制御を実行し、前記絶対位置の変化速度が大きいときには同絶対位置の将来の変化を見越したかたちで機関トルクの調節制御を実行する内燃機関の制御装置において、
    前記調節制御に用いる前記絶対位置に対して前記学習手段による学習結果を徐々に反映させる
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  3. 請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置において、
    当該制御装置は、前記将来の変化を見越したかたちでの前記調節制御を前記絶対位置の変化速度が所定速度以上であることを条件に実行し、前記学習結果を徐々に反映させるに際してその反映を前記絶対位置の変化速度が前記所定速度未満となる範囲で行う
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、
    当該制御装置は、前記変更機構の絶対位置と制御目標位置とを一致させるように同変更機構の作動制御を実行するものであり、前記作動制御に用いる絶対位置に対して、前記調節制御に用いる前記絶対位置への反映にかかる時間よりも短い時間で完了するように、前記学習結果を反映させるものである
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、
    当該制御装置は、前記変更機構の絶対位置と制御目標位置とを一致させるように同変更機構の作動制御を実行するものであり、前記作動制御に用いる絶対位置に対して、前記学習結果を一時に反映させるものである
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、
    前記変更機構は電動機によって作動されるものであり、前記検出手段は前記電動機の相対回転量に基づいて前記絶対位置を検出するものである
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、
    前記変更機構は機関バルブの開弁期間および最大リフト量の少なくとも一方を変更するものである
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
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