JP2004044251A - 防音パネル及びそれを用いた襖 - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量で使い易く、また、防音効果の高い、更に、廃段ボールのリサイクルが可能な防音パネル及びそれを用いた襖を提供する。
【解決手段】軟質の部材からなって、前後に貫通する多数の小孔が隣接して設けられた通音部材11、12と、軟質の部材からなって、通音部材11、12の後方に隙間を有して配置され、内部には多数の空間部を有する背面部材15と、少なくとも通音部材11、12を囲む枠体14と、少なくとも通音部材11、12の前面側を覆う通気性シート16とを有する。
【選択図】 図1
【解決手段】軟質の部材からなって、前後に貫通する多数の小孔が隣接して設けられた通音部材11、12と、軟質の部材からなって、通音部材11、12の後方に隙間を有して配置され、内部には多数の空間部を有する背面部材15と、少なくとも通音部材11、12を囲む枠体14と、少なくとも通音部材11、12の前面側を覆う通気性シート16とを有する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、防音パネル及びそれを用いた襖に関する。
【0002】
【従来の技術】
騒音とは、望ましくない音、例えば、音声、音楽などの伝達を妨害したり、耳に苦痛、傷害を与えたりする音であり、聞く人にとって好ましくない音であり、工場・事業場、建設作業現場、家庭生活等から発生する。また、ピアノ、クーラー、音響機器等による近隣騒音に対する苦情も増加している。そこで、騒音の低減のために防音材が開発されている。騒音を緩和する防音には、音が外部にもれたり内部に入りこんだりしないように遮断する遮音、及び、音を吸収する吸音という方法がある。遮音は、コンクリートや金属等の材料で形成された壁材で音を反射させて、透過音を少なくする方法であり、また、吸音は、音が綿や連続気泡性樹脂等の多孔質材料の内部に入り込み、孔の内部で拡散し、摩擦により音のエネルギーを熱エネルギーに変換させ、音を減少させる方法である。一般に、防音材は、これら遮音材と吸音材とを組み合わせて形成している。
【0003】
段ボールは、波形に成形した中芯紙の片面又は両面に段ボールライナ(平らな表板紙、ボール紙)を貼った紙で、片面段ボール、両面段ボール、複両面段ボールがある。段ボールで作った箱が段ボール箱であり、比較的安価で、国内のどこでも短い納期で大量に手配できることや、軽量であるにもかかわらず耐衝撃性、断熱性にすぐれ、組立てや開梱が容易にできることから、木箱に代わって包装資材の重要な地位を占めるようになった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、遮音材は、重量が重く、厚いほど遮音効果が高いので、運搬と取付けが大変であり、また、吸音材も、厚いほど吸音効果が高いので、コストがかかる。更に、使用済みの段ボールは、再利用されるか、古紙として回収され再生紙となるが、多くはそのままゴミとして廃棄され、資源の無駄となっていた。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、軽量で使い易く、また、防音効果の高い、更に、廃段ボールのリサイクルが可能な防音パネル及びそれを用いた襖を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う第1の発明に係る防音パネルは、軟質の部材からなって、前後に貫通する多数の小孔が隣接して設けられた通音部材と、軟質の部材からなって、通音部材の後方に隙間を有して配置され、内部には多数の空間部を有する背面部材と、少なくとも通音部材を囲む枠体と、少なくとも通音部材の前面側を覆う通気性シートとを有する。防音パネルに入射する音は、前面の通気性シートを通過して、通音部材の前後に貫通する多数の小孔に入る。音は小孔内で拡散し、小孔内部での摩擦により、熱に変換されるので、その分だけ音は小さくなる。更に、通音部材と背面部材の間に設けられた隙間(つまり、空気層)に入ると、小孔を通過した音は、空気層でそれぞれ干渉して打ち消し合い、更に小さくなる。更に、音は遮音性を有する背面部材に衝突するので、更に小さくなる。背面部材を通過する際に、背面部材に設けられた空間部で、拡散され、更に音が小さくなる。
【0006】
通音部材の材質としては、紙、合成樹脂、ゴム、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)等の軟質の材料が使用される。また、通音部材に設けられた小孔の断面形状は、円形、楕円形、三角形や六角形等の多角形でもよい。また、背面部材は、遮音材であり、紙、合成樹脂、ゴム、FRP等の軟質の材料が使用される。また、背面部材の内部には多数の空気層を有する空間部を設けているので、吸音材の効果もある。枠体は、防音パネルに強度を持たせる補強材であり、紙、合成樹脂、FRP等の材料が使用される。通気性シートは、紙や布が好適に使用される。
【0007】
第1の発明に係る防音パネルにおいて、通音部材と背面部材の隙間には、吸音性を有する音緩和部材が充填されてもよい。音緩和部材により、更に防音パネルを通過する音を小さくすることができる。音緩和部材としては、綿、グラスウール、連続気泡性樹脂等の防音材を用いることができる。音緩和部材に断熱性を有するグラスウール等の材料を使用すると、防音効果に加え、更に、断熱効果も付与することができる。
【0008】
第1の発明に係る防音パネルにおいて、通音部材は所定長さの段ボールを積層接合した段ボール体からなって、背面部材及び枠体は両面段ボールからなってもよい。防音パネルを形成する材料を段ボールにすると、ゴミとして捨てられ、資源として無駄になっていた段ボールの再利用ができる。また、段ボールで造られた防音パネルは、軽く丈夫であるので、使用し易い。また、中芯紙やライナに合成樹脂を混入したり、表面にワックス処理を行った段ボールを用いると、耐水性を有する防音パネルを造ることができる。
【0009】
段ボール体は、例えば、複数枚の両面段ボールを中芯紙とライナに囲まれた小孔を同じ方向に揃えて積層して、ライナをのりで貼り合わせ、小孔方向に厚みを有するように切断して造られる。また、両面段ボールを所定の長さに揃えて折り返して積層接合してもよく、その場合には、外側のライナに切れ目を入れると形成し易い。段ボール体に片面段ボールを使用する場合は、ライナと中芯紙の凸部(ライナの反対側の山)とをのりで貼り合わせて造るとよい。背面部材として、少なくとも1の両面段ボールを枠体に取付けるが、1の複両面段ボール、又は、複数の片面段ボール、両面段ボール又は複両面段ボールを積層して取付けてもよい。枠体は、貫通孔を前後方向に向け、段ボール体を囲むように形成される。また、前後方向の厚みは、少なくとも内包する段ボール体が収まればよい。
【0010】
第1の発明に係る防音パネルにおいて、通音部材は複数の段ボール体を前後方向に重合して構成され、しかも隣り合うそれぞれの段ボール体はその積層方向を変えて構成されてもよい。段ボール体は波形の中芯紙をライナで挟んで層を形成しており、ライナに垂直にかかる力に対しては、中芯紙が圧縮されて、その力を吸収するので、防音パネルに、ライナの垂直方向に力がかかると、枠体が壊れ、通気性シートが破れ、防音パネルが破壊する。段ボール体は、ライナと同方向には縮まないので、例えば、断面が実質的に同じ大きさであり、かつ積層方向(ライナの方向)が垂直となる2の段ボール体を前後方向に重合した積層体を用いると、防音パネルが壊れ難くなる。
【0011】
第1の発明に係る防音パネルにおいて、通音部材の厚みは0.5〜10cm、通音部材と背面部材の隙間は2〜20mm、背面部材の厚みは1.5〜5mmであるのが好ましい。通音部材の厚み、通音部材と背面部材の隙間及び背面部材の厚みが、それぞれ0.5cm、2mm、1.5mmよりも小さくなるにつれて、防音効果が認められなくなり、また、それぞれ10cm、20mm、5mmよりも大きくなるにつれて、防音効果は高くなるが、防音パネルが厚くなるので、使用し辛くなると共に、コストがかかる。
【0012】
前記目的に沿う第2の発明に係る防音パネルは、前後に隙間を設けて配置された軟質の部材からなって、前後に貫通する多数の小孔が隣接して設けられた第1、第2の通音部材と、軟質の部材からなって、第1、第2の通音部材の中間に配置され、内部には多数の空間部を有する中間部材と、第1、第2の通音部材及び中間部材を囲む枠体と、少なくとも第1の通音部材の前面側及び第2の通音部材の背面側を覆う通気性シートとを有する。防音パネルの前面側から入射する音は、前面の通気性シートを通過して、第1の通音部材の前後に貫通し隣接して設けられた多数の小孔に入る。音は小孔内で拡散し、小孔内部での摩擦により、熱に変換されるので、その分だけ音は小さくなる。更に、音は遮音性を有する中間部材に衝突するので、更に小さくなる。中間部材を通過する際には、音は、中間部材に設けられた空間部で、拡散され、更に小さくなり、中間部材を通過した音は、更に、第2の通音部材の小孔に入り、小さくなり、背面側の通気性シートを透過する。また、防音パネルの背面側から入射する音も、同様に小さくなる。
【0013】
第1、第2の通音部材の材質としては、紙、合成樹脂、ゴム、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)等の軟質の材料が使用される。また、第1、第2の通音部材に設けられた小孔の断面形状は、円形、楕円形、三角形や六角形等の多角形でもよい。また、中間部材は、遮音材であり、紙、合成樹脂、ゴム、FRP等の軟質の材料が使用される。また、中間部材の内部には多数の空気層を有する空間部を設けているので、吸音材の効果もある。枠体は、防音パネルに強度を持たせる補強材であり、紙、合成樹脂、FRP等の材料が使用される。通気性シートは、紙や布が好適に使用される。
【0014】
第2の発明に係る防音パネルにおいて、第1、第2の通音部材と中間部材との間にそれぞれ吸音性を有する音緩和部材を設けてもよい。音緩和部材としては、グラスウール、綿、連続気泡性樹脂等の防音材を用いることができる。音緩和部材に断熱性を有するグラスウール等の材料を使用すると、防音効果に加え、更に、断熱効果も付与することができる。
第2の発明に係る防音パネルにおいて、第1、第2の通音部材の厚みはそれぞれ0.5〜10cm、第1、第2の通音部材の隙間は5〜30mm、中間部材の厚みは1.5〜5mmであるのが好ましい。第1、第2の通音部材の厚み、第1、第2の通音部材の隙間及び中間部材の厚みが、それぞれ0.5cm、5mm、1.5mmよりも小さくなるにつれて防音効果が認められなくなり、また、それぞれ10cm、30mm、5mmよりも大きくなるにつれて、防音効果は高くなるが、防音パネルが厚くなるので、使用し辛くなると共に、コストがかかる。
【0015】
第1、第2の発明に係る防音パネルにおいて、音緩和部材は不織布、ロックウール、ガラスウール及び使用済段ボールを破砕した小片の1又は2以上からなってもよい。不織布、ロックウール、ガラスウール、使用済み段ボールを破砕した小片は、内部に空隙があり、優れた吸音材であり、また、断熱材でもある。これらを使用した防音パネルは、防音効果と共に断熱効果も有する。また、使用済み段ボールを叩解して繊維とし、綿状にして使用してもよい。
【0016】
前記目的に沿う第3の発明に係る襖は、第1、第2の発明に係る防音パネルを複数枚並べて配置されている。
第1、第2の発明に係る防音パネルで襖が造られているので、防音効果の高い襖を造ることができる。特に、第1の発明に係る防音パネルを用いた襖は、通気性シートから背面部材の方向に通過する音を小さくすることができる。また、第2の発明に係る防音パネルを用いた襖は、第1、第2の通音部材側の両面から入射する音を小さくすることができる。
第3の発明に係る襖において、防音パネルは襖本体の骨組を構成する格子状の桟内に嵌め込まれていてもよい。一般に、襖は木製格子(骨、一般には縦3本、横11本)の両面に、紙で下貼り、更にその上に仕上用の化粧をした紙、又は紙で裏打ちした布(襖紙)で上貼りを行い、周りに木製の縁を取付けている。ここで、襖本体の桟内に防音パネルを嵌め込むと、防音効果の高い襖を簡単に造ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の第1の実施の形態に係る防音パネルの構成を表す説明図、図2は同防音パネルの断面図、図3は同防音パネルの防音効果の実験装置の模式図、図4(A)、(B)は変形例に係る音緩和部材の説明図、図5は本発明の第2の実施の形態に係る防音パネルの断面図、図6は本発明の第3の実施の形態に係る襖の説明図である。
【0018】
図1、図2を参照しながら、本発明の第1の実施の形態に係る防音パネル10を説明する。所定長さ(例えば、20cm)の多数の両面段ボールを中芯紙とライナに囲まれた貫通孔を同じ方向に揃えて積層して、ライナをのりで貼り合わせ、貫通孔方向に厚み(0.25〜5cm)を有するように切断して段ボール体11、12を形成している。段ボール体11、12は、貫通孔の開口している一方の面を前側、他方の面を後側として、積層方向を直角にして前後方向に重ね合わされて、厚み0.5〜10cmの通音部材を構成している。重合した貫通孔によって前後に貫通する小孔が形成されている。
また、音緩和部材の一例である平板状のグラスウール13は、通音部材の後部の段ボール体12の後方に重ね合わされている。段ボール体11、12とグラスウール13は、貫通孔を前後に向けた両面段ボールの枠体14で囲われている。また、枠体14の後面側には背面部材の一例であり厚みが1.5〜5mmの両面段ボールの背面板15が取付けられている。すなわち、通音部材(段ボール体11、12)と背面板15の間の2〜20mmの隙間にグラスウール13が充填された状態にある。更に、枠体14の前面は紙製の通気性シートの一例である厚みが0.2〜1mmの不織布16で覆われ、不織布16は端部が背面板15にかかるように、そして枠体14も覆うように取付けられている。
【0019】
また、段ボール体11と段ボール体12の断面形状はほぼ同じであり、更に、枠体14の内側の寸法と等しいか、少し小さく形成されている。また、枠体14の厚み(幅)は、少なくとも段ボール体11、12とグラスウール13の厚みと同じに、好ましくは大きく形成している。
ここでは、段ボール体11、12は、両面段ボールを使用しているが、片面段ボール、複両面段ボールを使用してもよい。また、通音部材としては、その他の多数の小孔が隣接して設けられた軟質の部材を用いることもできる。枠体14及び、背面板15は、強度、形成のし易さから、両面段ボール、複両面段ボールが好ましいが、内部に多数の空間部を有する他の軟質の部材を使用してもよい。
また、段ボール体11、12は同じ厚さに形成しているが、異なる厚さでもよく、更に、1つの段ボール体でも、3層以上に段ボール体を積層してもよい。
【0020】
次に、図2、図3を参照しながら、防音パネル10の防音効果の実験について説明する。上面開放している箱17の中に音源としてアラーム18を入れ、箱17の開放部19を防音パネル10により覆い、隙間を目張りしている。ここで、防音パネル10は、不織布16側(前面側)又は背面板15側(後面側)をアラーム18側(下側)に向け、アラーム18の音の聞こえ方の評価を行った。
測定の結果、不織布16をアラーム18側(下側)に向けた時の方が、音は小さくなった。特に、高周波数の音の減少が著しい。不織布16を通過した音は、段ボール体11、12の小孔内で拡散し、小孔内部での摩擦により、熱に変換されるので、その分だけ音は小さくなる。更に、グラスウール13に入ると、小孔を通過した音は、吸音されると共に、段ボール体12とグラスウール13の隙間の空気層、及び、グラスウール13と背面板15の隙間の空気層でそれぞれ干渉して打ち消し合い、更に小さくなる。更に、音は遮音性を有する背面板15に衝突するので、更に小さくなる。背面板15を通過する際には、背面板15に設けられた空間部で、拡散され、更に音が小さくなる。従って、不織布16側からの音を小さくすることができると考えられる。
【0021】
防音パネル10は段ボール体12と背面板15の間の隙間に吸音性を有するグラスウール13を一体的に充填したが、図4(A)、(B)に示すように、枠体14内の段ボール体12と背面板15の間の隙間に2層に積層接合した両面段ボールを縦に1本、横に2本組みわたして形成した桟21を配置し、桟21と枠体14で囲まれた6つの空隙部にそれぞれグラスウール22を充填することもできる。これにより、グラスウールの自重によって形成される隙間により防音効果が低下するのを防止し、防音パネルの補強が出来る。
【0022】
図5を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る防音パネル23を説明する。防音パネル23は、それぞれ段ボール体11、12からなる厚みがそれぞれ0.5〜10cmの第1の通音部材24と第2の通音部材25とを前後に5〜30mmの隙間を有して設け、その中間には内部に多数の空間部を有する軟質の部材の一例である平板状の段ボールで形成され、厚みが1.5〜5mmの中間部材26を設けている。更に、通音部材24、25と遮音性を有する中間部材26の間に形成されるそれぞれの隙間には、段ボール繊維から形成した綿状の第1、第2の音緩和部材27、28を充填している。前側から第1の通音部材24、第1の音緩和部材27、中間部材26、第2の音緩和部材28、第2の通音部材25の順に重ね合わせ、これらの積層体の周囲を貫通孔を前後に向けた両面段ボールの枠体29で囲んでいる。更に、第1の通音部材24の前面側、第2の通音部材25の背面側、及び枠体29の外面側は、紙製の通気性シート30で覆われている。防音パネル23では、第1の通音部材24側(前面側)及び第2の通音部材25側(背面側)の両方向から入射する音を小さくすることができる。
【0023】
図6を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る襖31を説明する。襖31は、木製の縁32内に、3本の縦木と、11本の横木を格子状にかけわたした桟33が設けられ、襖本体の骨組みを構成する縁32と桟33によって横に4、縦に12の空隙部が形成されている。この空隙部には、それぞれ防音パネル10が正面方向に不織布16側を向けて嵌め込まれている。更に、襖31の両面を通気性を有する不織布34で覆い、引手35が設けられている。
本実施の形態では、防音パネル10を空隙部に嵌め込んでいるので、防音パネル10の不織布16側、つまり、正面側からの音を小さくすることができるが、防音パネル23、又は2枚の防音パネル10を背合わせに貼り付けたものを襖の空隙部に嵌め込むことにより、襖の正面及び背面方向の両方向の音を小さくすることができる。また、複数枚の防音パネル10を不織布16側を同一方向にし、枠体を貼り合わせることにより、襖を造ることもできる。この場合には、不織布16側からの音を小さくすることができる。また、複数枚の防音パネル23により、同様に襖を形成すると、襖の前後方向からの音を小さくすることができる。更に、襖と同じ大きさに枠体を形成し、一枚の防音パネルで襖を形成することも可能である。
【0024】
以上、本発明に係る実施の形態について説明してきたが、本発明は、実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明の防音パネル及び襖を構成する場合にも適用される。
例えば、通音部材の小孔の断面形状も限定しない。また、通音部材、背面部材、中間部材の材質については段ボールを用いたが、通音部材は多数の小孔が隣接して設けられた軟質の部材であればよく、背面部材と中間部材は内部に多数の空間部を有する軟質の部材であればよい。通気性シートとして、不織布を用いたが、例えば、日本紙、西洋紙、布、表面に模様が記載された通気孔を有する化粧紙であってもよい。また、吸音性を有する音緩和部材として、ガラスウール、綿状に形成した段ボールを用いたが不織布、ロックウール、使用済段ボールを破砕した小片でもよい。音緩和部材を充填するための桟の形状も限定されるものではない。
【0025】
【発明の効果】
請求項1及びこれに従属する請求項2〜5、9記載の防音パネルにおいては、軟質の部材からなって、前後に貫通する多数の小孔が隣接して設けられた通音部材と、軟質の部材からなって、通音部材の後方に隙間を有して配置され、内部には多数の空間部を有する背面部材と、少なくとも通音部材を囲む枠体と、少なくとも通音部材の前面側を覆う通気性シートとを有するので、通気性シート側から背面部材へと通過する音を小さくすることができる。
【0026】
特に、請求項2記載の防音パネルにおいては、音緩和部材が設けられているので、更に音を小さくすることができる。
請求項3記載の防音パネルにおいては、通音部材は段ボールを積層接合した段ボール体からなって、背面部材及び枠板は両面段ボールからなっているので、軽くて、しかも丈夫である。更に、廃段ボールの再利用ができる。
請求項4記載の防音パネルにおいては、通音部材は複数の段ボール体を前後方向に重合して構成され、しかも隣り合うそれぞれの段ボール体はその積層方向を変えて構成されているので、防音パネルの強度が上がる。
請求項5記載の防音パネルにおいては、通音部材の厚みは0.5〜10cm、通音部材と背面部材の隙間は2〜20mm、背面部材の厚みは1.5〜5mmであるので、防音効果があり、使い易い。
【0027】
請求項6及びこれに従属する7〜9記載の防音パネルにおいては、前後に隙間を設けて配置された軟質の部材からなって、前後に貫通する多数の小孔が隣接して設けられた第1、第2の通音部材と、軟質の部材からなって、第1、第2の通音部材の中間に配置され、内部には多数の空間部を有する中間部材と、第1、第2の通音部材及び中間部材を囲む枠体と、少なくとも第1の通音部材の前面側及び前記第2の通音部材の背面側を覆う通気性シートとを有するので、防音パネルの前後から透過する音を小さくすることができる。
特に、請求項7記載の防音パネルにおいては、音緩和部材が設けられているので、更に音を小さくすることができる。
請求項8記載の防音パネルにおいては、第1、第2の通音部材の厚みはそれぞれ0.5〜10cm、第1、第2の通音部材の隙間は5〜30mm、中間部材の厚みは1.5〜5mmであるので、防音効果があり、使い易い。
請求項9記載の防音パネルにおいては、音緩和部材は不織布、ロックウール、ガラスウール及び使用済段ボールを破砕した小片の1又は2以上からなるので、防音パネルに優れた防音効果を付与することができる。
【0028】
請求項10、11記載の襖においては、請求項1〜9のいずれか1項に記載の防音パネルが、複数枚並べて配置されているので、軽く、しかも、防音効果に優れた襖を造ることができる。
特に、請求項11記載の襖においては、防音パネルは襖本体の骨組を構成する格子状の桟内に嵌め込まれているので、防音パネルを桟に嵌め込むだけで、優れた防音効果を有する襖を簡単に造ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る防音パネルの構成を表す説明図である。
【図2】同防音パネルの断面図である。
【図3】同防音パネルの防音効果の実験装置の模式図である。
【図4】(A)、(B)は変形例に係る音緩和部材の説明図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る防音パネルの断面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る襖の説明図である。
【符号の説明】
10:防音パネル、11:段ボール体、12:段ボール体、13:グラスウール、14:枠体、15:背面板、16:不織布、17:箱、18:アラーム、19:開放部、21:桟、22:グラスウール、23:防音パネル、24:第1の通音部材、25:第2の通音部材、26:中間部材、27:第1の音緩和部材、28:第2の音緩和部材、29:枠体、30:通気性シート、31:襖、32:縁、33:桟、34:不織布、35:引手
【発明の属する技術分野】
本発明は、防音パネル及びそれを用いた襖に関する。
【0002】
【従来の技術】
騒音とは、望ましくない音、例えば、音声、音楽などの伝達を妨害したり、耳に苦痛、傷害を与えたりする音であり、聞く人にとって好ましくない音であり、工場・事業場、建設作業現場、家庭生活等から発生する。また、ピアノ、クーラー、音響機器等による近隣騒音に対する苦情も増加している。そこで、騒音の低減のために防音材が開発されている。騒音を緩和する防音には、音が外部にもれたり内部に入りこんだりしないように遮断する遮音、及び、音を吸収する吸音という方法がある。遮音は、コンクリートや金属等の材料で形成された壁材で音を反射させて、透過音を少なくする方法であり、また、吸音は、音が綿や連続気泡性樹脂等の多孔質材料の内部に入り込み、孔の内部で拡散し、摩擦により音のエネルギーを熱エネルギーに変換させ、音を減少させる方法である。一般に、防音材は、これら遮音材と吸音材とを組み合わせて形成している。
【0003】
段ボールは、波形に成形した中芯紙の片面又は両面に段ボールライナ(平らな表板紙、ボール紙)を貼った紙で、片面段ボール、両面段ボール、複両面段ボールがある。段ボールで作った箱が段ボール箱であり、比較的安価で、国内のどこでも短い納期で大量に手配できることや、軽量であるにもかかわらず耐衝撃性、断熱性にすぐれ、組立てや開梱が容易にできることから、木箱に代わって包装資材の重要な地位を占めるようになった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、遮音材は、重量が重く、厚いほど遮音効果が高いので、運搬と取付けが大変であり、また、吸音材も、厚いほど吸音効果が高いので、コストがかかる。更に、使用済みの段ボールは、再利用されるか、古紙として回収され再生紙となるが、多くはそのままゴミとして廃棄され、資源の無駄となっていた。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、軽量で使い易く、また、防音効果の高い、更に、廃段ボールのリサイクルが可能な防音パネル及びそれを用いた襖を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う第1の発明に係る防音パネルは、軟質の部材からなって、前後に貫通する多数の小孔が隣接して設けられた通音部材と、軟質の部材からなって、通音部材の後方に隙間を有して配置され、内部には多数の空間部を有する背面部材と、少なくとも通音部材を囲む枠体と、少なくとも通音部材の前面側を覆う通気性シートとを有する。防音パネルに入射する音は、前面の通気性シートを通過して、通音部材の前後に貫通する多数の小孔に入る。音は小孔内で拡散し、小孔内部での摩擦により、熱に変換されるので、その分だけ音は小さくなる。更に、通音部材と背面部材の間に設けられた隙間(つまり、空気層)に入ると、小孔を通過した音は、空気層でそれぞれ干渉して打ち消し合い、更に小さくなる。更に、音は遮音性を有する背面部材に衝突するので、更に小さくなる。背面部材を通過する際に、背面部材に設けられた空間部で、拡散され、更に音が小さくなる。
【0006】
通音部材の材質としては、紙、合成樹脂、ゴム、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)等の軟質の材料が使用される。また、通音部材に設けられた小孔の断面形状は、円形、楕円形、三角形や六角形等の多角形でもよい。また、背面部材は、遮音材であり、紙、合成樹脂、ゴム、FRP等の軟質の材料が使用される。また、背面部材の内部には多数の空気層を有する空間部を設けているので、吸音材の効果もある。枠体は、防音パネルに強度を持たせる補強材であり、紙、合成樹脂、FRP等の材料が使用される。通気性シートは、紙や布が好適に使用される。
【0007】
第1の発明に係る防音パネルにおいて、通音部材と背面部材の隙間には、吸音性を有する音緩和部材が充填されてもよい。音緩和部材により、更に防音パネルを通過する音を小さくすることができる。音緩和部材としては、綿、グラスウール、連続気泡性樹脂等の防音材を用いることができる。音緩和部材に断熱性を有するグラスウール等の材料を使用すると、防音効果に加え、更に、断熱効果も付与することができる。
【0008】
第1の発明に係る防音パネルにおいて、通音部材は所定長さの段ボールを積層接合した段ボール体からなって、背面部材及び枠体は両面段ボールからなってもよい。防音パネルを形成する材料を段ボールにすると、ゴミとして捨てられ、資源として無駄になっていた段ボールの再利用ができる。また、段ボールで造られた防音パネルは、軽く丈夫であるので、使用し易い。また、中芯紙やライナに合成樹脂を混入したり、表面にワックス処理を行った段ボールを用いると、耐水性を有する防音パネルを造ることができる。
【0009】
段ボール体は、例えば、複数枚の両面段ボールを中芯紙とライナに囲まれた小孔を同じ方向に揃えて積層して、ライナをのりで貼り合わせ、小孔方向に厚みを有するように切断して造られる。また、両面段ボールを所定の長さに揃えて折り返して積層接合してもよく、その場合には、外側のライナに切れ目を入れると形成し易い。段ボール体に片面段ボールを使用する場合は、ライナと中芯紙の凸部(ライナの反対側の山)とをのりで貼り合わせて造るとよい。背面部材として、少なくとも1の両面段ボールを枠体に取付けるが、1の複両面段ボール、又は、複数の片面段ボール、両面段ボール又は複両面段ボールを積層して取付けてもよい。枠体は、貫通孔を前後方向に向け、段ボール体を囲むように形成される。また、前後方向の厚みは、少なくとも内包する段ボール体が収まればよい。
【0010】
第1の発明に係る防音パネルにおいて、通音部材は複数の段ボール体を前後方向に重合して構成され、しかも隣り合うそれぞれの段ボール体はその積層方向を変えて構成されてもよい。段ボール体は波形の中芯紙をライナで挟んで層を形成しており、ライナに垂直にかかる力に対しては、中芯紙が圧縮されて、その力を吸収するので、防音パネルに、ライナの垂直方向に力がかかると、枠体が壊れ、通気性シートが破れ、防音パネルが破壊する。段ボール体は、ライナと同方向には縮まないので、例えば、断面が実質的に同じ大きさであり、かつ積層方向(ライナの方向)が垂直となる2の段ボール体を前後方向に重合した積層体を用いると、防音パネルが壊れ難くなる。
【0011】
第1の発明に係る防音パネルにおいて、通音部材の厚みは0.5〜10cm、通音部材と背面部材の隙間は2〜20mm、背面部材の厚みは1.5〜5mmであるのが好ましい。通音部材の厚み、通音部材と背面部材の隙間及び背面部材の厚みが、それぞれ0.5cm、2mm、1.5mmよりも小さくなるにつれて、防音効果が認められなくなり、また、それぞれ10cm、20mm、5mmよりも大きくなるにつれて、防音効果は高くなるが、防音パネルが厚くなるので、使用し辛くなると共に、コストがかかる。
【0012】
前記目的に沿う第2の発明に係る防音パネルは、前後に隙間を設けて配置された軟質の部材からなって、前後に貫通する多数の小孔が隣接して設けられた第1、第2の通音部材と、軟質の部材からなって、第1、第2の通音部材の中間に配置され、内部には多数の空間部を有する中間部材と、第1、第2の通音部材及び中間部材を囲む枠体と、少なくとも第1の通音部材の前面側及び第2の通音部材の背面側を覆う通気性シートとを有する。防音パネルの前面側から入射する音は、前面の通気性シートを通過して、第1の通音部材の前後に貫通し隣接して設けられた多数の小孔に入る。音は小孔内で拡散し、小孔内部での摩擦により、熱に変換されるので、その分だけ音は小さくなる。更に、音は遮音性を有する中間部材に衝突するので、更に小さくなる。中間部材を通過する際には、音は、中間部材に設けられた空間部で、拡散され、更に小さくなり、中間部材を通過した音は、更に、第2の通音部材の小孔に入り、小さくなり、背面側の通気性シートを透過する。また、防音パネルの背面側から入射する音も、同様に小さくなる。
【0013】
第1、第2の通音部材の材質としては、紙、合成樹脂、ゴム、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)等の軟質の材料が使用される。また、第1、第2の通音部材に設けられた小孔の断面形状は、円形、楕円形、三角形や六角形等の多角形でもよい。また、中間部材は、遮音材であり、紙、合成樹脂、ゴム、FRP等の軟質の材料が使用される。また、中間部材の内部には多数の空気層を有する空間部を設けているので、吸音材の効果もある。枠体は、防音パネルに強度を持たせる補強材であり、紙、合成樹脂、FRP等の材料が使用される。通気性シートは、紙や布が好適に使用される。
【0014】
第2の発明に係る防音パネルにおいて、第1、第2の通音部材と中間部材との間にそれぞれ吸音性を有する音緩和部材を設けてもよい。音緩和部材としては、グラスウール、綿、連続気泡性樹脂等の防音材を用いることができる。音緩和部材に断熱性を有するグラスウール等の材料を使用すると、防音効果に加え、更に、断熱効果も付与することができる。
第2の発明に係る防音パネルにおいて、第1、第2の通音部材の厚みはそれぞれ0.5〜10cm、第1、第2の通音部材の隙間は5〜30mm、中間部材の厚みは1.5〜5mmであるのが好ましい。第1、第2の通音部材の厚み、第1、第2の通音部材の隙間及び中間部材の厚みが、それぞれ0.5cm、5mm、1.5mmよりも小さくなるにつれて防音効果が認められなくなり、また、それぞれ10cm、30mm、5mmよりも大きくなるにつれて、防音効果は高くなるが、防音パネルが厚くなるので、使用し辛くなると共に、コストがかかる。
【0015】
第1、第2の発明に係る防音パネルにおいて、音緩和部材は不織布、ロックウール、ガラスウール及び使用済段ボールを破砕した小片の1又は2以上からなってもよい。不織布、ロックウール、ガラスウール、使用済み段ボールを破砕した小片は、内部に空隙があり、優れた吸音材であり、また、断熱材でもある。これらを使用した防音パネルは、防音効果と共に断熱効果も有する。また、使用済み段ボールを叩解して繊維とし、綿状にして使用してもよい。
【0016】
前記目的に沿う第3の発明に係る襖は、第1、第2の発明に係る防音パネルを複数枚並べて配置されている。
第1、第2の発明に係る防音パネルで襖が造られているので、防音効果の高い襖を造ることができる。特に、第1の発明に係る防音パネルを用いた襖は、通気性シートから背面部材の方向に通過する音を小さくすることができる。また、第2の発明に係る防音パネルを用いた襖は、第1、第2の通音部材側の両面から入射する音を小さくすることができる。
第3の発明に係る襖において、防音パネルは襖本体の骨組を構成する格子状の桟内に嵌め込まれていてもよい。一般に、襖は木製格子(骨、一般には縦3本、横11本)の両面に、紙で下貼り、更にその上に仕上用の化粧をした紙、又は紙で裏打ちした布(襖紙)で上貼りを行い、周りに木製の縁を取付けている。ここで、襖本体の桟内に防音パネルを嵌め込むと、防音効果の高い襖を簡単に造ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の第1の実施の形態に係る防音パネルの構成を表す説明図、図2は同防音パネルの断面図、図3は同防音パネルの防音効果の実験装置の模式図、図4(A)、(B)は変形例に係る音緩和部材の説明図、図5は本発明の第2の実施の形態に係る防音パネルの断面図、図6は本発明の第3の実施の形態に係る襖の説明図である。
【0018】
図1、図2を参照しながら、本発明の第1の実施の形態に係る防音パネル10を説明する。所定長さ(例えば、20cm)の多数の両面段ボールを中芯紙とライナに囲まれた貫通孔を同じ方向に揃えて積層して、ライナをのりで貼り合わせ、貫通孔方向に厚み(0.25〜5cm)を有するように切断して段ボール体11、12を形成している。段ボール体11、12は、貫通孔の開口している一方の面を前側、他方の面を後側として、積層方向を直角にして前後方向に重ね合わされて、厚み0.5〜10cmの通音部材を構成している。重合した貫通孔によって前後に貫通する小孔が形成されている。
また、音緩和部材の一例である平板状のグラスウール13は、通音部材の後部の段ボール体12の後方に重ね合わされている。段ボール体11、12とグラスウール13は、貫通孔を前後に向けた両面段ボールの枠体14で囲われている。また、枠体14の後面側には背面部材の一例であり厚みが1.5〜5mmの両面段ボールの背面板15が取付けられている。すなわち、通音部材(段ボール体11、12)と背面板15の間の2〜20mmの隙間にグラスウール13が充填された状態にある。更に、枠体14の前面は紙製の通気性シートの一例である厚みが0.2〜1mmの不織布16で覆われ、不織布16は端部が背面板15にかかるように、そして枠体14も覆うように取付けられている。
【0019】
また、段ボール体11と段ボール体12の断面形状はほぼ同じであり、更に、枠体14の内側の寸法と等しいか、少し小さく形成されている。また、枠体14の厚み(幅)は、少なくとも段ボール体11、12とグラスウール13の厚みと同じに、好ましくは大きく形成している。
ここでは、段ボール体11、12は、両面段ボールを使用しているが、片面段ボール、複両面段ボールを使用してもよい。また、通音部材としては、その他の多数の小孔が隣接して設けられた軟質の部材を用いることもできる。枠体14及び、背面板15は、強度、形成のし易さから、両面段ボール、複両面段ボールが好ましいが、内部に多数の空間部を有する他の軟質の部材を使用してもよい。
また、段ボール体11、12は同じ厚さに形成しているが、異なる厚さでもよく、更に、1つの段ボール体でも、3層以上に段ボール体を積層してもよい。
【0020】
次に、図2、図3を参照しながら、防音パネル10の防音効果の実験について説明する。上面開放している箱17の中に音源としてアラーム18を入れ、箱17の開放部19を防音パネル10により覆い、隙間を目張りしている。ここで、防音パネル10は、不織布16側(前面側)又は背面板15側(後面側)をアラーム18側(下側)に向け、アラーム18の音の聞こえ方の評価を行った。
測定の結果、不織布16をアラーム18側(下側)に向けた時の方が、音は小さくなった。特に、高周波数の音の減少が著しい。不織布16を通過した音は、段ボール体11、12の小孔内で拡散し、小孔内部での摩擦により、熱に変換されるので、その分だけ音は小さくなる。更に、グラスウール13に入ると、小孔を通過した音は、吸音されると共に、段ボール体12とグラスウール13の隙間の空気層、及び、グラスウール13と背面板15の隙間の空気層でそれぞれ干渉して打ち消し合い、更に小さくなる。更に、音は遮音性を有する背面板15に衝突するので、更に小さくなる。背面板15を通過する際には、背面板15に設けられた空間部で、拡散され、更に音が小さくなる。従って、不織布16側からの音を小さくすることができると考えられる。
【0021】
防音パネル10は段ボール体12と背面板15の間の隙間に吸音性を有するグラスウール13を一体的に充填したが、図4(A)、(B)に示すように、枠体14内の段ボール体12と背面板15の間の隙間に2層に積層接合した両面段ボールを縦に1本、横に2本組みわたして形成した桟21を配置し、桟21と枠体14で囲まれた6つの空隙部にそれぞれグラスウール22を充填することもできる。これにより、グラスウールの自重によって形成される隙間により防音効果が低下するのを防止し、防音パネルの補強が出来る。
【0022】
図5を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る防音パネル23を説明する。防音パネル23は、それぞれ段ボール体11、12からなる厚みがそれぞれ0.5〜10cmの第1の通音部材24と第2の通音部材25とを前後に5〜30mmの隙間を有して設け、その中間には内部に多数の空間部を有する軟質の部材の一例である平板状の段ボールで形成され、厚みが1.5〜5mmの中間部材26を設けている。更に、通音部材24、25と遮音性を有する中間部材26の間に形成されるそれぞれの隙間には、段ボール繊維から形成した綿状の第1、第2の音緩和部材27、28を充填している。前側から第1の通音部材24、第1の音緩和部材27、中間部材26、第2の音緩和部材28、第2の通音部材25の順に重ね合わせ、これらの積層体の周囲を貫通孔を前後に向けた両面段ボールの枠体29で囲んでいる。更に、第1の通音部材24の前面側、第2の通音部材25の背面側、及び枠体29の外面側は、紙製の通気性シート30で覆われている。防音パネル23では、第1の通音部材24側(前面側)及び第2の通音部材25側(背面側)の両方向から入射する音を小さくすることができる。
【0023】
図6を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る襖31を説明する。襖31は、木製の縁32内に、3本の縦木と、11本の横木を格子状にかけわたした桟33が設けられ、襖本体の骨組みを構成する縁32と桟33によって横に4、縦に12の空隙部が形成されている。この空隙部には、それぞれ防音パネル10が正面方向に不織布16側を向けて嵌め込まれている。更に、襖31の両面を通気性を有する不織布34で覆い、引手35が設けられている。
本実施の形態では、防音パネル10を空隙部に嵌め込んでいるので、防音パネル10の不織布16側、つまり、正面側からの音を小さくすることができるが、防音パネル23、又は2枚の防音パネル10を背合わせに貼り付けたものを襖の空隙部に嵌め込むことにより、襖の正面及び背面方向の両方向の音を小さくすることができる。また、複数枚の防音パネル10を不織布16側を同一方向にし、枠体を貼り合わせることにより、襖を造ることもできる。この場合には、不織布16側からの音を小さくすることができる。また、複数枚の防音パネル23により、同様に襖を形成すると、襖の前後方向からの音を小さくすることができる。更に、襖と同じ大きさに枠体を形成し、一枚の防音パネルで襖を形成することも可能である。
【0024】
以上、本発明に係る実施の形態について説明してきたが、本発明は、実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明の防音パネル及び襖を構成する場合にも適用される。
例えば、通音部材の小孔の断面形状も限定しない。また、通音部材、背面部材、中間部材の材質については段ボールを用いたが、通音部材は多数の小孔が隣接して設けられた軟質の部材であればよく、背面部材と中間部材は内部に多数の空間部を有する軟質の部材であればよい。通気性シートとして、不織布を用いたが、例えば、日本紙、西洋紙、布、表面に模様が記載された通気孔を有する化粧紙であってもよい。また、吸音性を有する音緩和部材として、ガラスウール、綿状に形成した段ボールを用いたが不織布、ロックウール、使用済段ボールを破砕した小片でもよい。音緩和部材を充填するための桟の形状も限定されるものではない。
【0025】
【発明の効果】
請求項1及びこれに従属する請求項2〜5、9記載の防音パネルにおいては、軟質の部材からなって、前後に貫通する多数の小孔が隣接して設けられた通音部材と、軟質の部材からなって、通音部材の後方に隙間を有して配置され、内部には多数の空間部を有する背面部材と、少なくとも通音部材を囲む枠体と、少なくとも通音部材の前面側を覆う通気性シートとを有するので、通気性シート側から背面部材へと通過する音を小さくすることができる。
【0026】
特に、請求項2記載の防音パネルにおいては、音緩和部材が設けられているので、更に音を小さくすることができる。
請求項3記載の防音パネルにおいては、通音部材は段ボールを積層接合した段ボール体からなって、背面部材及び枠板は両面段ボールからなっているので、軽くて、しかも丈夫である。更に、廃段ボールの再利用ができる。
請求項4記載の防音パネルにおいては、通音部材は複数の段ボール体を前後方向に重合して構成され、しかも隣り合うそれぞれの段ボール体はその積層方向を変えて構成されているので、防音パネルの強度が上がる。
請求項5記載の防音パネルにおいては、通音部材の厚みは0.5〜10cm、通音部材と背面部材の隙間は2〜20mm、背面部材の厚みは1.5〜5mmであるので、防音効果があり、使い易い。
【0027】
請求項6及びこれに従属する7〜9記載の防音パネルにおいては、前後に隙間を設けて配置された軟質の部材からなって、前後に貫通する多数の小孔が隣接して設けられた第1、第2の通音部材と、軟質の部材からなって、第1、第2の通音部材の中間に配置され、内部には多数の空間部を有する中間部材と、第1、第2の通音部材及び中間部材を囲む枠体と、少なくとも第1の通音部材の前面側及び前記第2の通音部材の背面側を覆う通気性シートとを有するので、防音パネルの前後から透過する音を小さくすることができる。
特に、請求項7記載の防音パネルにおいては、音緩和部材が設けられているので、更に音を小さくすることができる。
請求項8記載の防音パネルにおいては、第1、第2の通音部材の厚みはそれぞれ0.5〜10cm、第1、第2の通音部材の隙間は5〜30mm、中間部材の厚みは1.5〜5mmであるので、防音効果があり、使い易い。
請求項9記載の防音パネルにおいては、音緩和部材は不織布、ロックウール、ガラスウール及び使用済段ボールを破砕した小片の1又は2以上からなるので、防音パネルに優れた防音効果を付与することができる。
【0028】
請求項10、11記載の襖においては、請求項1〜9のいずれか1項に記載の防音パネルが、複数枚並べて配置されているので、軽く、しかも、防音効果に優れた襖を造ることができる。
特に、請求項11記載の襖においては、防音パネルは襖本体の骨組を構成する格子状の桟内に嵌め込まれているので、防音パネルを桟に嵌め込むだけで、優れた防音効果を有する襖を簡単に造ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る防音パネルの構成を表す説明図である。
【図2】同防音パネルの断面図である。
【図3】同防音パネルの防音効果の実験装置の模式図である。
【図4】(A)、(B)は変形例に係る音緩和部材の説明図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る防音パネルの断面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る襖の説明図である。
【符号の説明】
10:防音パネル、11:段ボール体、12:段ボール体、13:グラスウール、14:枠体、15:背面板、16:不織布、17:箱、18:アラーム、19:開放部、21:桟、22:グラスウール、23:防音パネル、24:第1の通音部材、25:第2の通音部材、26:中間部材、27:第1の音緩和部材、28:第2の音緩和部材、29:枠体、30:通気性シート、31:襖、32:縁、33:桟、34:不織布、35:引手
Claims (11)
- 軟質の部材からなって、前後に貫通する多数の小孔が隣接して設けられた通音部材と、
軟質の部材からなって、前記通音部材の後方に隙間を有して配置され、内部には多数の空間部を有する背面部材と、
少なくとも前記通音部材を囲む枠体と、
少なくとも前記通音部材の前面側を覆う通気性シートとを有することを特徴とする防音パネル。 - 請求項1記載の防音パネルにおいて、前記通音部材と前記背面部材の隙間には、吸音性を有する音緩和部材が充填されていることを特徴とする防音パネル。
- 請求項1及び2のいずれか1項に記載の防音パネルにおいて、前記通音部材は所定長さの段ボールを積層接合した段ボール体からなって、前記背面部材及び前記枠体は両面段ボールからなっていることを特徴とする防音パネル。
- 請求項3記載の防音パネルにおいて、前記通音部材は複数の前記段ボール体を前後方向に重合して構成され、しかも隣り合う前記それぞれの段ボール体はその積層方向を変えて構成されていることを特徴とする防音パネル。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の防音パネルにおいて、前記通音部材の厚みは0.5〜10cm、前記通音部材と前記背面部材の隙間は2〜20mm、前記背面部材の厚みは1.5〜5mmであることを特徴とする防音パネル。
- 前後に隙間を設けて配置された軟質の部材からなって、前後に貫通する多数の小孔が隣接して設けられた第1、第2の通音部材と、
軟質の部材からなって、前記第1、第2の通音部材の中間に配置され、内部には多数の空間部を有する中間部材と、
前記第1、第2の通音部材及び前記中間部材を囲む枠体と、
少なくとも前記第1の通音部材の前面側及び前記第2の通音部材の背面側を覆う通気性シートとを有することを特徴とする防音パネル。 - 請求項6記載の防音パネルにおいて、前記第1、第2の通音部材と前記中間部材との間にそれぞれ吸音性を有する音緩和部材が設けられたことを特徴とする防音パネル。
- 請求項6及び7のいずれか1項に記載の防音パネルにおいて、前記第1、第2の通音部材の厚みはそれぞれ0.5〜10cm、前記第1、第2の通音部材の隙間は5〜30mm、前記中間部材の厚みは1.5〜5mmであることを特徴とする防音パネル。
- 請求項2及び7のいずれか1項に記載の防音パネルにおいて、前記音緩和部材は不織布、ロックウール、ガラスウール及び使用済段ボールを破砕した小片の1又は2以上からなることを特徴とする防音パネル。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の防音パネルが、複数枚並べて配置されていることを特徴とする襖。
- 請求項10記載の襖において、前記防音パネルは襖本体の骨組を構成する格子状の桟内に嵌め込まれていることを特徴とする襖。
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