JP2004043806A - 樹脂ペースト及び半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】種々の基材表面に対して接着力に優れ、かつ、リフロークラックを起こさない樹脂ペーストと、これを用いた信頼性の高い半導体装置を提供する。
【解決手段】スクリーン印刷により支持部材に塗布する工程を含むダイボンディング方法に用いられる樹脂ペーストであって、該樹脂ペーストは、(A)特定の式(I)又は(II)で表されるポリイミド系樹脂及び(B)熱硬化性樹脂を含有してなり、上記ポリイミド系樹脂は、特定の式(III)で表される化合物を含有してなる酸無水物と、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパンから選ばれる少なくとも一つの化合物を含有してなるジアミンとを反応させたものである樹脂ペースト。あるいは、上記ポリイミド系樹脂及び熱硬化性樹脂に更に、(C)導電性フィラーを含有してなる樹脂ペースト。これらの樹脂ペーストを用いた半導体装置。
【選択図】なし。
【解決手段】スクリーン印刷により支持部材に塗布する工程を含むダイボンディング方法に用いられる樹脂ペーストであって、該樹脂ペーストは、(A)特定の式(I)又は(II)で表されるポリイミド系樹脂及び(B)熱硬化性樹脂を含有してなり、上記ポリイミド系樹脂は、特定の式(III)で表される化合物を含有してなる酸無水物と、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパンから選ばれる少なくとも一つの化合物を含有してなるジアミンとを反応させたものである樹脂ペースト。あるいは、上記ポリイミド系樹脂及び熱硬化性樹脂に更に、(C)導電性フィラーを含有してなる樹脂ペースト。これらの樹脂ペーストを用いた半導体装置。
【選択図】なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ICやLSIとリードフレームとの接合、すなわちダイボンディング用材料に用いられる樹脂ペースト、及びこれを用いた半導体装置(半導体デバイス)に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体装置における半導体素子とリードフレーム(支持部材)との接合方法として、(i)金−シリコン共晶体等の無機材料を接着剤として用いる方法、(ii)エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂等の有機材料等に銀粉等を分散させてペースト状態とし(銀ペースト)、これを接着剤として用いる方法、等が知られている。
【0003】
上記(i)の方法は、比較的コストが高く、350℃〜400℃程度の高い熱処理が必要であったり、また、接着剤が硬くて熱応力によるチップの破壊が起こる等の難点があるので、最近では上記(ii)の銀ペーストを用いる方法が主流となっている。銀ペーストを用いる方法では、通常、銀ペーストをディスペンサーやスタンピングマシンを用いてリードフレームのダイパッドに塗布した後、半導体素子をダイボンディングし加熱硬化させ接着する。加熱硬化は、オーブン中で処理されるバッチ方式と、加熱されたプレート上で処理されるインライン方式が知られている。
【0004】
また、半導体素子は、その外部が封止材により封止され、基板に半田付けされ、実装されて半導体装置となる。高密度・高効率の実装のための半田実装は、半導体装置のリードフレームを基板に直接半田付けする面付け実装法が主流で、この半田実装には基板全体を赤外線等で加熱するリフローソルダリングが用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
赤外線等で加熱すると、半導体装置のパッケージは200℃以上の高温に加熱され、パッケージ内部、特に接着層中又は封止材中に含まれる水分が気化してダイパッドと封止材の間に回り込み、パッケージにクラック(リフロークラック)を発生させる問題があった。本発明は、種々の基材表面に対して接着力に優れ、かつ、リフローソルダリング時にリフロークラックを起こさない樹脂ペーストと、これを用いた信頼性の高い半導体装置を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の樹脂ペーストは、下記(1)〜(3)の樹脂ペーストである。
(1)スクリーン印刷により支持部材に塗布する工程を含むダイボンディング方法に用いられる樹脂ペーストであって、該樹脂ペーストは、
(A)式(I)
【化4】
(ただし、nは2〜20の整数を示し、Rは2価の有機基を示す。)又は、式(II)
【化5】
(ただし、nは2〜20の整数を示し、Rは2価の有機基を示し、R’は水素又は1価の有機基を示す。)で表される反復単位を含有するポリイミド系樹脂、
及び(B)熱硬化性樹脂を含有してなり、
上記ポリイミド系樹脂は、式(III)
【化6】
(ただし、nは2〜20の整数を示す。)
で表される化合物を含有してなる酸無水物と、
2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパンから選ばれる少なくとも一つの化合物を含有してなるジアミンとを反応させたものである樹脂ペースト。
(2)(A)ポリイミド系樹脂、及び(B)熱硬化性樹脂のほかに(C)導電性フィラーを含有してなる、上記(1)の樹脂ペースト。
(3)(A)ポリイミド系樹脂;100重量部に対し(B)熱硬化性樹脂;0〜200重量部、を含有してなる、上記(1)又は(2)の樹脂ペースト。
【0007】
更にまた本発明は、半導体素子と基板とを上記(1)〜(3)のいずれかの樹脂ペーストで接着し、封止してなる半導体装置にも関する。
【0008】
なお、本発明においてポリイミド系樹脂とは、ポリイミド、ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、あるいはポリアミド酸が部分的にイミド化したものを総称する。
【0009】
反復単位が式(I)又は式(II)で表されるポリイミド系樹脂は、式(III)
【化7】
(ただし、nは2〜20の整数を示す。)で表されるテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを縮合反応させる方法のほかに、相当するテトラカルボン酸とジアミンとを縮合反応させる方法、テトラカルボン酸二ハロゲン化物とジアミンとを縮合反応させる方法、テトラカルボン酸二エステル化物とジアミンとを縮合反応させる方法、テトラカルボン酸二エステル二ハロゲン化物とジアミンとを縮合反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とジイソシアナートとを反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とトリメチルシリルジアミンとを反応させる方法、等により製造できる。
【0010】
式(III)のテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを縮合反応させる方法で製造する場合、テトラカルボン酸二無水物としては、nが2〜5のとき、1,2−(エチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、1,3−(トリメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、1,4−(テトラメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、1,5−(ペンタメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、nが6〜20のとき、1,6−(ヘキサメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、1,7−(ヘプタメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、1,8−(オクタメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、1,9−(ノナメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、1,12−(ドデカメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、1,16−(ヘキサデカメチレン)ビストリメリテート二無水物、1,18−(オクタデカメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、等があり、これら2種以上を併用してもよい。
【0011】
また、ジアミンとしては、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン等の脂肪族ジアミン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,4’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、4,4’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフイド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフイド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフイド、
【0012】
3,3’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2’−(3,4’−ジアミノジフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−(3,4’−ジアミノジフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、3,4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、4,4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルフイド、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルフイド、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン等の芳香族ジアミン等がある。これらのジアミンの中で、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパンから選ばれる少なくとも一つの化合物を含有してなるジアミンを用いる。
【0013】
この縮合反応は、通常、等モルのテトラカルボン酸二無水物及びジアミンを有機溶媒中、80℃以下で、混合して行なう。有機溶媒としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリルアミド、シクロヘキサノン、m−クレゾール、o−クロルフェノール等がある。
【0014】
反応が進行するにつれ反応液の粘度が徐々に上昇し、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が生成する。
【0015】
上記ポリアミド酸を脱水閉環させると、ポリイミドが得られる。脱水閉環は120℃〜250℃で熱処理する方法や化学的方法を用いて行うことができる。120℃〜250℃で熱処理する方法の場合、通常、脱水反応で生じる水を系外に除去しながら行う。
【0016】
化学的方法で脱水閉環させる場合は、閉環剤として無水酢酸、無水プロピオン酸、無水安息香酸等の酸無水物、ジシクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミド化合物等を用いることができる。必要に応じてピリジン、イソキノリン、トリメチルアミン、アミノピリジン、イミダゾール等の閉環触媒を用いてもよい。
【0017】
前記式(III)のテトラカルボン酸二無水物又はそれに相当するテトラカルボン酸(エステル)成分と共存させることのできる酸成分としては、他のテトラカルボン酸があり、酸二無水物では、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、等があり、2種類以上を混合して用いてもよい。これらは、ぬれ性、接着性等の種々のダイボンディング特性を調整するため、必要に応じて共存させる。
【0018】
樹脂ペーストの接着力を向上させるため、ポリイミド系樹脂にシランカップリング剤、チタン系カップリング剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系添加剤等を適宜加えてもよい。
【0019】
本発明で用いる導電性フィラー(C)は、銀粉、金粉、銅粉等の導電性金属粉体を単独に、又は2種以上混合して用いる。これらにシリカ、アルミナ、チタニア、ガラス、酸化鉄等の無機絶縁体を混合して使用することもできる。導電性フィラーの量は、ポリイミド系樹脂100重量部に対し1〜8000重量部、好ましくは50〜4000重量部である。1重量部未満もしくは8000重量部を越えると接着性が低下する。
【0020】
本発明で用いる熱硬化性樹脂(B)は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及び硬化促進剤を含有する樹脂か、又は、1分子中に少なくとも2個の熱硬化性イミド基を有するイミド化合物がよい。なお、ここで、熱硬化性樹脂とは、加熱により3次元的網目構造を形成し、硬化する樹脂のことである。
【0021】
熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及び硬化促進剤を含有する樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂は、硬化性や硬化物特性の点から分子内に少なくとも2個のエポキシ基を含む樹脂が好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、ビスフェノールFもしくはハロゲン化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンの縮合物、フェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、ビスフェノールAノボラック樹脂のグリシジルエーテル等が挙げられる。エポキシ樹脂の量は、ポリイミド系樹脂100重量部に対し0〜200重量部、好ましくは0〜100重量部である。200重量部を越えると、接着性が低下する。
【0022】
用いられるフェノール樹脂は、分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有するもので、このような樹脂としては例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ポリ−p−ビニルフェノール、フェノールアラルキル樹脂等が挙げられる。フェノール樹脂の量は、エポキシ樹脂100重量部に対して2〜150重量部、好ましくは50〜120重量部で、2重量部未満もしくは150重量部を越えると硬化性が不充分となる。
【0023】
硬化促進剤は、エポキシ樹脂を硬化させるために用いられるものであれば特に制限はない。このようなものとしては例えば、イミダゾール類、ジシアンジアミド誘導体、ジカルボン酸ジヒドラジド、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール−テトラフェニルボレート、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7−テトラフェニルボレート等が用いられる。これらは、2種以上を併用してもよい。硬化促進剤の量はエポキシ樹脂100重量部に対し、0.01〜50重量部、好ましくは0.1〜20重量部で、0.01重量部未満では、硬化性が不充分となり、50重量部を越えると保存安定性が悪くなる。
【0024】
熱硬化性樹脂として、1分子中に少なくとも2個の熱硬化性イミド基を有するイミド化合物を使用する場合、その化合物の例としては、パラビスマレイミドベンゼン、メタビスマレイミドベンゼン、パラビスマレイミドベンゼン、1,4−ビス(p−マレイミドクミル)ベンゼン、1,4−ビス(m−マレイミドクミル)ベンゼンのほか、下記の式(IV)〜(VI)で表されるイミド化合物等がある。
【化8】
〔式(IV)中、XはO、CH2、CF2、SO2、S、CO、C(CH3)2又はC(CF3)2を示し、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に水素、低級アルキル基、低級アルコキシ基、フッ素、塩素又は臭素を示し、Dはエチレン性不飽和二重結合を有するジカルボン酸残基を示す。〕
【化9】
〔式(V)中、YはO、CH2、CF2、SO2、S、CO、C(CH3)2又はC(CF3)2を示し、R5、R6、R7及びR8はそれぞれ独立に水素、低級アルキル基、低級アルコキシ基、フッ素、塩素又は臭素を示し、Dはエチレン性不飽和二重結合を有するジカルボン酸残基を示す。〕
【化10】
〔式(VI)中、nは0〜4の整数を示す。〕
【0025】
本発明で用いられるイミド化合物の量は、ポリイミド系樹脂100重量部に対して0〜200重量部、好ましくは0〜100重量部である。200重量部を越えると、接着性が低下する。
【0026】
式(IV)のイミド化合物としては、例えば、4,4−ビスマレイミドジフェニルエーテル、4,4−ビスマレイミドジフェニルメタン、4,4−ビスマレイミド−3,3’−ジメチル−ジフェニルメタン、4,4−ビスマレイミドジフェニルスルホン、4,4−ビスマレイミドジフェニルスルフィド、4,4−ビスマレイミドジフェニルケトン、2,2’−ビス(4−マレイミドフェニル)プロパン、4,4−ビスマレイミドジフェニルフルオロメタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−マレイミドフェニル)プロパン、等がある。
【0027】
式(V)のイミド化合物としては、例えば、ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕フルオロメタン、ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕ケトン、2,2−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、等がある。
【0028】
これらイミド化合物の硬化を促進するため、ラジカル重合剤を使用してもよい。ラジカル重合剤としては、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等がある。このとき、ラジカル重合剤の使用量は、イミド化合物100重量部に対して概ね0.01〜1.0重量部が好ましい。
【0029】
本発明の樹脂ペーストの製造は、まず、ポリイミド系樹脂(A)を有機溶媒に溶解する。ここで使用できる有機溶媒は、均一に溶解又は混練できるものであれば特に制限はなく、そのようなものとしては例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トルエン、ベンゼン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブ、ジオキサン等がある。
【0030】
次いで、導電性フィラー(C)を加え、必要に応じ他の添加剤を加え、混合する。この場合、通常の攪拌機、らいかい機、三本ロール、ボールミルなどの分散機を適宜組み合せて、混練を行ってもよい。
【0031】
また、熱硬化性樹脂(B)を含む樹脂ペーストの製造は、以下のようにする。まずエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド系樹脂を有機溶媒に溶解する。有機溶媒は、上記材料を均一に溶解又は混練できるものであれば特に制限はなく、先に挙げたジメチルホルムアミド等の溶媒がある。
【0032】
次いで、硬化促進剤、導電性フィラー及び必要に応じ添加剤を加え、先に述べた手順と同様にして、混合・混練し、樹脂ペーストする。
【0033】
熱硬化性樹脂を含有させた樹脂ペーストは、熱時の剪断接着力が高くなる特徴がある。しかし、熱時のピール接着力は逆に低下するので、使用目的に応じて、熱硬化性樹脂を含む又は含まない樹脂ペーストとし、使い分けるとよい。
【0034】
本発明の樹脂ペーストを用いた半導体装置は、スクリーン印刷によりリードフレーム等の支持部材に樹脂ペーストを塗布し、これに半導体素子を圧着させ、その後熱風循環式乾燥機、ヒートブロック等の加熱装置を用いて加熱硬化させて、半導体素子と支持部材とを接合させ、その後、通常のワイヤボンディング工程、封止工程を経て半導体装置とされる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。
合成例1
温度計、攪拌機及び塩化カルシウム管を備えた500mlの四つ口フラスコに、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン41g(0.1モル)及びジメチルアセトアミド150gをとり、攪拌した。ジアミンの溶解後、フラスコを氷浴中で冷却しながら、1,2−(エチレン)ビス(トリメリテート二無水物)41g(0.1モル)を少量ずつ添加した。室温で3時間反応させたのち、キシレン30gを加え、N2ガスを吹き込みながら150℃で加熱し、水と共にキシレンを共沸除去した。その反応液を水中に注ぎ、沈澱したポリマーを濾過により採り、乾燥してポリイミド樹脂(A1)を得た。
【0036】
合成例2
温度計、攪拌機及び塩化カルシウム管を備えた500mlの四つ口フラスコに、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン43.2g(0.1モル)及びN−メチル−2−ピロリドン150gをとり、攪拌した。ジアミンの溶解後、室温で、1,4−(テトラメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)43.8g(0.1モル)を加えた。5℃以下で5時間反応させ、無水酢酸20.4g(0.2モル)及びピリジン15.8g(0.2モル)を加え、1時間室温で攪拌した。この反応液を水中に注ぎ、沈澱したポリマーを濾過により採り、乾燥してポリイミド樹脂(A2)を得た。
【0037】
合成例3
温度計、攪拌機、塩化カルシウム管を備えた500mlの四つ口フラスコに、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン32.8g(0.08モル)、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン5.08g(0.02モル)及びジメチルアセトアミド100gをとり、攪拌した。ジアミンの溶解後、フラスコを氷浴中で冷却しながら、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)41.8g(0.08モル)及びベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物6.44g(0.02モル)を少量ずつ添加した。添加終了後、氷浴中で3時間、更に室温で4時間反応させた後、無水酢酸25.5g(0.25モル)及びピリジン19.8g(0.25モル)を添加し、2時間室温で攪拌した。その反応液を水中に注ぎ、沈澱したポリマーを濾過により採り、乾燥してポリイミド樹脂(A3)を得た。
【0038】
合成例4
温度計、撹拌機、塩化カルシウム管を備えた500mlの四つ口フラスコに、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン41.0g(0.10モル)及びジメチルアセトアミド100gをとり、撹拌した。ジアミンの溶解後、フラスコを氷浴中で冷却しながら、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)41.8g(0.08モル)及びベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物6.44g(0.02モル)を少量ずつ添加した。添加終了後、氷浴中で3時間、更に室温で4時間反応させた。その反応液を水中に注ぎ、沈澱したポリマーを濾過により採り、乾燥してポリアミド酸樹脂(A4)を得た。
【0039】
実施例1
表1に示す配合表(単位は重量部、以下同じ。)に従い、らいかい機及び三本ロールを用いて混練し、3種類(No.1〜No.3)の均一な樹脂ペーストを調合した。
【0040】
【表1】
なお、表1における略号は、下記の意味である。
DMAA:ジメチルアセトアミド、CH:シクロヘキサノン
TCG−1:徳力化学、銀粉
【0041】
実施例2
【表2】
【0042】
表2に示す配合表に従い、らいかい機及び三本ロールを用いて混練し、No.4〜No.9の6種類の均一な樹脂ペーストを調合した。なお、表2において、種々の記号は下記の意味である。
YDCH−702:東都化成、クレゾールノボラック型エポキシ(エポキシ当量220)、N−865:大日本インキ製、ビスフェノールノボラック型エポキシ(エポキシ当量208)、ESCN−195:日本化薬、クレゾールノボラック型エポキシ(エポキシ当量200)、H−1:明和化成、フェノールノボラック(OH当量106)、VH−4170:大日本インキ、ビスフェノールAノボラック(OH当量118)、TCG−1:徳力化学、銀粉、DMAA:ジメチルアセトアミド、NMP:N−メチルピロリドン、CH:シクロヘキサノン
【0043】
実施例3
表3に示す配合表に従い、らいかい機及び三本ロールを用いて混練し、No.10〜No.15の6種類の均一な樹脂ペーストを調合した。
【0044】
【表3】
【0045】
ただし、表3中の記号は、下記の意味である。
BMDADPM:4,4’−ビスマレイミドジアミノジフェニルメタン
BMPPP:2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン
BMDADPE:4,4’−ビスマレイミドジアミノジフェニルエーテル
DMAA:ジメチルアセトアミド
NMP:N−メチルピロリドン
DMF:ジメチルホルムアミド
BPO:ベンゾイルパーオキサイド
DCPO:ジクミルパーオキサイド
CHPO:クメンハイドロパーオキサイド
【0046】
試験例1樹脂ペーストの剪断接着力(その1)
実施例1で得られた樹脂ペーストの剪断接着力を測定すると、表4に示す通りであった。なお、試験方法は、樹脂ペーストを用いて、4×4mmのシリコンチップと銀メッキ付リードフレームとを圧着し、180℃で1時間硬化させた後、プッシュプルゲージを用いて、室温時及び350℃加熱20秒後の熱時に、剪断接着力を測定した。
【0047】
【表4】
【0048】
試験例2樹脂ペーストの剪断接着力(その2)
実施例2で得られた樹脂ペーストの剪断接着力を測定すると、表5に示す通りであった。なお、試験方法は、樹脂ペーストを用いて4×4mmのシリコンチップと銀メッキ付リードフレームとを圧着し180℃で1時間硬化させたのち、プッシュプルゲージを用いて、室温時及び350℃加熱20秒後の熱時に、剪断接着力を測定した。
【0049】
【表5】
表4及び表5を比較すると、熱硬化性樹脂を含む樹脂ペースト(No.4〜9)は、熱硬化性樹脂を含まない樹脂ペースト(No.1〜3)よりも、350℃における剪断接着力が高いことが分かる。
【0050】
試験例3樹脂ペーストの剪断接着力(その3)
【表6】
実施例3で得られた導電性樹脂プレートの剪断接着力を測定すると、表6に示す通りであった。なお、試験方法は、試験例2に記載した方法と同様である。
【0051】
試験例4樹脂ペーストのピール接着力
実施例1及び実施例2で得られた樹脂ペーストのピール接着力を測定すると、表7に示す通りであった。なお、ピール接着力は、樹脂ペーストを用いて8×8mmのシリコンチップと銀メッキ付リードフレームとを圧着し、180℃で1時間硬化させたのち、250℃、20秒加熱時に測定した。
【0052】
【表7】
【0053】
熱硬化性樹脂を含む樹脂ペースト(No.4〜9)よりも熱硬化性樹脂を含まない樹脂ペースト(No.1〜3)のほうが、250℃におけるピール接着力は高いことが表7の結果から分かる。
【0054】
試験例5半田リフロークラック試験
下記リードフレームとシリコンチップを、実施例1〜3により得た樹脂ペーストを用いて下記硬化条件で接着させた。その後エポキシ封止材CEL−4620(日立化成工業)により封止し、半田リフロー試験用パッケージを得た。そのパッケージを温度及び湿度がそれぞれ85℃、85%に設定された恒温恒湿槽中で、48時間吸湿させた。その後215℃/90秒のリフロー条件で半田リフローを行い、パッケージの外部クラックの発生数を顕微鏡(倍率:15倍)で観察した。5個のサンプルを試験したときのクラツク発生サンプル数を表8に示した。並行して行なった2種類の比較例の試験結果も示した。
【0055】
〔硬化条件〕
チップサイズ:8mm×10mm
パッケージ:QFP、14mm×20mm×2mm
フレーム:42アロイ
温度条件:180℃まで30分で昇温、180℃で1時間硬化
【0056】
【表8】
【0057】
なお、比較例とした樹脂ペースト2種類は、次のようにして調製した。
比較例1
YDCN−702S(クレゾールノボラック樹脂、東都化成工業)30重量部にH−1(フェノールノボラツク型樹脂、明和化成工業)10重量部及び酢酸ブチルセロソルブ10重量部を加え、80℃に加熱して1時間撹拌してワニスを得た。その後23℃〜25℃まで冷却し、キュアゾール2P4MHZ(イミダソール、四国化成工業)0.5重量部、銀粉TCG−1(徳力化学)80重量部をらいかい機により混合し、樹脂ペーストを得た。
【0058】
比較例2
エピコート1001(ビスA型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ)35重量部にH−1(フェノールノボラツク型樹脂、明和化成工業)10重量部及び酢酸ブチルセロソルブ10重量部を加え、80℃に加熱して1時間撹拌してワニスを得た。その後23℃〜25℃まで冷却し、キュアゾール2P4MHZ(イミダソール、四国化成工業)0.5重量部、銀粉TCG−1(徳力化学)80重量部をらいかい機により混合し、樹脂ペーストを得た。
【0059】
【発明の効果】
請求項1〜3の樹脂ペーストは、種々の基材表面に対する接着力に優れ、かつ、リフローソルダリング時にリフロークラックを起こさない。請求項4の半導体装置は、リフロークラックを起こさないので信頼性が高い。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ICやLSIとリードフレームとの接合、すなわちダイボンディング用材料に用いられる樹脂ペースト、及びこれを用いた半導体装置(半導体デバイス)に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体装置における半導体素子とリードフレーム(支持部材)との接合方法として、(i)金−シリコン共晶体等の無機材料を接着剤として用いる方法、(ii)エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂等の有機材料等に銀粉等を分散させてペースト状態とし(銀ペースト)、これを接着剤として用いる方法、等が知られている。
【0003】
上記(i)の方法は、比較的コストが高く、350℃〜400℃程度の高い熱処理が必要であったり、また、接着剤が硬くて熱応力によるチップの破壊が起こる等の難点があるので、最近では上記(ii)の銀ペーストを用いる方法が主流となっている。銀ペーストを用いる方法では、通常、銀ペーストをディスペンサーやスタンピングマシンを用いてリードフレームのダイパッドに塗布した後、半導体素子をダイボンディングし加熱硬化させ接着する。加熱硬化は、オーブン中で処理されるバッチ方式と、加熱されたプレート上で処理されるインライン方式が知られている。
【0004】
また、半導体素子は、その外部が封止材により封止され、基板に半田付けされ、実装されて半導体装置となる。高密度・高効率の実装のための半田実装は、半導体装置のリードフレームを基板に直接半田付けする面付け実装法が主流で、この半田実装には基板全体を赤外線等で加熱するリフローソルダリングが用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
赤外線等で加熱すると、半導体装置のパッケージは200℃以上の高温に加熱され、パッケージ内部、特に接着層中又は封止材中に含まれる水分が気化してダイパッドと封止材の間に回り込み、パッケージにクラック(リフロークラック)を発生させる問題があった。本発明は、種々の基材表面に対して接着力に優れ、かつ、リフローソルダリング時にリフロークラックを起こさない樹脂ペーストと、これを用いた信頼性の高い半導体装置を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の樹脂ペーストは、下記(1)〜(3)の樹脂ペーストである。
(1)スクリーン印刷により支持部材に塗布する工程を含むダイボンディング方法に用いられる樹脂ペーストであって、該樹脂ペーストは、
(A)式(I)
【化4】
(ただし、nは2〜20の整数を示し、Rは2価の有機基を示す。)又は、式(II)
【化5】
(ただし、nは2〜20の整数を示し、Rは2価の有機基を示し、R’は水素又は1価の有機基を示す。)で表される反復単位を含有するポリイミド系樹脂、
及び(B)熱硬化性樹脂を含有してなり、
上記ポリイミド系樹脂は、式(III)
【化6】
(ただし、nは2〜20の整数を示す。)
で表される化合物を含有してなる酸無水物と、
2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパンから選ばれる少なくとも一つの化合物を含有してなるジアミンとを反応させたものである樹脂ペースト。
(2)(A)ポリイミド系樹脂、及び(B)熱硬化性樹脂のほかに(C)導電性フィラーを含有してなる、上記(1)の樹脂ペースト。
(3)(A)ポリイミド系樹脂;100重量部に対し(B)熱硬化性樹脂;0〜200重量部、を含有してなる、上記(1)又は(2)の樹脂ペースト。
【0007】
更にまた本発明は、半導体素子と基板とを上記(1)〜(3)のいずれかの樹脂ペーストで接着し、封止してなる半導体装置にも関する。
【0008】
なお、本発明においてポリイミド系樹脂とは、ポリイミド、ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、あるいはポリアミド酸が部分的にイミド化したものを総称する。
【0009】
反復単位が式(I)又は式(II)で表されるポリイミド系樹脂は、式(III)
【化7】
(ただし、nは2〜20の整数を示す。)で表されるテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを縮合反応させる方法のほかに、相当するテトラカルボン酸とジアミンとを縮合反応させる方法、テトラカルボン酸二ハロゲン化物とジアミンとを縮合反応させる方法、テトラカルボン酸二エステル化物とジアミンとを縮合反応させる方法、テトラカルボン酸二エステル二ハロゲン化物とジアミンとを縮合反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とジイソシアナートとを反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とトリメチルシリルジアミンとを反応させる方法、等により製造できる。
【0010】
式(III)のテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを縮合反応させる方法で製造する場合、テトラカルボン酸二無水物としては、nが2〜5のとき、1,2−(エチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、1,3−(トリメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、1,4−(テトラメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、1,5−(ペンタメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、nが6〜20のとき、1,6−(ヘキサメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、1,7−(ヘプタメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、1,8−(オクタメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、1,9−(ノナメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、1,12−(ドデカメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、1,16−(ヘキサデカメチレン)ビストリメリテート二無水物、1,18−(オクタデカメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)、等があり、これら2種以上を併用してもよい。
【0011】
また、ジアミンとしては、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン等の脂肪族ジアミン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,4’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、4,4’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフイド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフイド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフイド、
【0012】
3,3’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2’−(3,4’−ジアミノジフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−(3,4’−ジアミノジフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、3,4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、4,4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルフイド、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルフイド、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン等の芳香族ジアミン等がある。これらのジアミンの中で、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパンから選ばれる少なくとも一つの化合物を含有してなるジアミンを用いる。
【0013】
この縮合反応は、通常、等モルのテトラカルボン酸二無水物及びジアミンを有機溶媒中、80℃以下で、混合して行なう。有機溶媒としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリルアミド、シクロヘキサノン、m−クレゾール、o−クロルフェノール等がある。
【0014】
反応が進行するにつれ反応液の粘度が徐々に上昇し、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が生成する。
【0015】
上記ポリアミド酸を脱水閉環させると、ポリイミドが得られる。脱水閉環は120℃〜250℃で熱処理する方法や化学的方法を用いて行うことができる。120℃〜250℃で熱処理する方法の場合、通常、脱水反応で生じる水を系外に除去しながら行う。
【0016】
化学的方法で脱水閉環させる場合は、閉環剤として無水酢酸、無水プロピオン酸、無水安息香酸等の酸無水物、ジシクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミド化合物等を用いることができる。必要に応じてピリジン、イソキノリン、トリメチルアミン、アミノピリジン、イミダゾール等の閉環触媒を用いてもよい。
【0017】
前記式(III)のテトラカルボン酸二無水物又はそれに相当するテトラカルボン酸(エステル)成分と共存させることのできる酸成分としては、他のテトラカルボン酸があり、酸二無水物では、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、等があり、2種類以上を混合して用いてもよい。これらは、ぬれ性、接着性等の種々のダイボンディング特性を調整するため、必要に応じて共存させる。
【0018】
樹脂ペーストの接着力を向上させるため、ポリイミド系樹脂にシランカップリング剤、チタン系カップリング剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系添加剤等を適宜加えてもよい。
【0019】
本発明で用いる導電性フィラー(C)は、銀粉、金粉、銅粉等の導電性金属粉体を単独に、又は2種以上混合して用いる。これらにシリカ、アルミナ、チタニア、ガラス、酸化鉄等の無機絶縁体を混合して使用することもできる。導電性フィラーの量は、ポリイミド系樹脂100重量部に対し1〜8000重量部、好ましくは50〜4000重量部である。1重量部未満もしくは8000重量部を越えると接着性が低下する。
【0020】
本発明で用いる熱硬化性樹脂(B)は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及び硬化促進剤を含有する樹脂か、又は、1分子中に少なくとも2個の熱硬化性イミド基を有するイミド化合物がよい。なお、ここで、熱硬化性樹脂とは、加熱により3次元的網目構造を形成し、硬化する樹脂のことである。
【0021】
熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及び硬化促進剤を含有する樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂は、硬化性や硬化物特性の点から分子内に少なくとも2個のエポキシ基を含む樹脂が好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、ビスフェノールFもしくはハロゲン化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンの縮合物、フェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、ビスフェノールAノボラック樹脂のグリシジルエーテル等が挙げられる。エポキシ樹脂の量は、ポリイミド系樹脂100重量部に対し0〜200重量部、好ましくは0〜100重量部である。200重量部を越えると、接着性が低下する。
【0022】
用いられるフェノール樹脂は、分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有するもので、このような樹脂としては例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ポリ−p−ビニルフェノール、フェノールアラルキル樹脂等が挙げられる。フェノール樹脂の量は、エポキシ樹脂100重量部に対して2〜150重量部、好ましくは50〜120重量部で、2重量部未満もしくは150重量部を越えると硬化性が不充分となる。
【0023】
硬化促進剤は、エポキシ樹脂を硬化させるために用いられるものであれば特に制限はない。このようなものとしては例えば、イミダゾール類、ジシアンジアミド誘導体、ジカルボン酸ジヒドラジド、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール−テトラフェニルボレート、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7−テトラフェニルボレート等が用いられる。これらは、2種以上を併用してもよい。硬化促進剤の量はエポキシ樹脂100重量部に対し、0.01〜50重量部、好ましくは0.1〜20重量部で、0.01重量部未満では、硬化性が不充分となり、50重量部を越えると保存安定性が悪くなる。
【0024】
熱硬化性樹脂として、1分子中に少なくとも2個の熱硬化性イミド基を有するイミド化合物を使用する場合、その化合物の例としては、パラビスマレイミドベンゼン、メタビスマレイミドベンゼン、パラビスマレイミドベンゼン、1,4−ビス(p−マレイミドクミル)ベンゼン、1,4−ビス(m−マレイミドクミル)ベンゼンのほか、下記の式(IV)〜(VI)で表されるイミド化合物等がある。
【化8】
〔式(IV)中、XはO、CH2、CF2、SO2、S、CO、C(CH3)2又はC(CF3)2を示し、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に水素、低級アルキル基、低級アルコキシ基、フッ素、塩素又は臭素を示し、Dはエチレン性不飽和二重結合を有するジカルボン酸残基を示す。〕
【化9】
〔式(V)中、YはO、CH2、CF2、SO2、S、CO、C(CH3)2又はC(CF3)2を示し、R5、R6、R7及びR8はそれぞれ独立に水素、低級アルキル基、低級アルコキシ基、フッ素、塩素又は臭素を示し、Dはエチレン性不飽和二重結合を有するジカルボン酸残基を示す。〕
【化10】
〔式(VI)中、nは0〜4の整数を示す。〕
【0025】
本発明で用いられるイミド化合物の量は、ポリイミド系樹脂100重量部に対して0〜200重量部、好ましくは0〜100重量部である。200重量部を越えると、接着性が低下する。
【0026】
式(IV)のイミド化合物としては、例えば、4,4−ビスマレイミドジフェニルエーテル、4,4−ビスマレイミドジフェニルメタン、4,4−ビスマレイミド−3,3’−ジメチル−ジフェニルメタン、4,4−ビスマレイミドジフェニルスルホン、4,4−ビスマレイミドジフェニルスルフィド、4,4−ビスマレイミドジフェニルケトン、2,2’−ビス(4−マレイミドフェニル)プロパン、4,4−ビスマレイミドジフェニルフルオロメタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−マレイミドフェニル)プロパン、等がある。
【0027】
式(V)のイミド化合物としては、例えば、ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕フルオロメタン、ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕ケトン、2,2−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、等がある。
【0028】
これらイミド化合物の硬化を促進するため、ラジカル重合剤を使用してもよい。ラジカル重合剤としては、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等がある。このとき、ラジカル重合剤の使用量は、イミド化合物100重量部に対して概ね0.01〜1.0重量部が好ましい。
【0029】
本発明の樹脂ペーストの製造は、まず、ポリイミド系樹脂(A)を有機溶媒に溶解する。ここで使用できる有機溶媒は、均一に溶解又は混練できるものであれば特に制限はなく、そのようなものとしては例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トルエン、ベンゼン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブ、ジオキサン等がある。
【0030】
次いで、導電性フィラー(C)を加え、必要に応じ他の添加剤を加え、混合する。この場合、通常の攪拌機、らいかい機、三本ロール、ボールミルなどの分散機を適宜組み合せて、混練を行ってもよい。
【0031】
また、熱硬化性樹脂(B)を含む樹脂ペーストの製造は、以下のようにする。まずエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド系樹脂を有機溶媒に溶解する。有機溶媒は、上記材料を均一に溶解又は混練できるものであれば特に制限はなく、先に挙げたジメチルホルムアミド等の溶媒がある。
【0032】
次いで、硬化促進剤、導電性フィラー及び必要に応じ添加剤を加え、先に述べた手順と同様にして、混合・混練し、樹脂ペーストする。
【0033】
熱硬化性樹脂を含有させた樹脂ペーストは、熱時の剪断接着力が高くなる特徴がある。しかし、熱時のピール接着力は逆に低下するので、使用目的に応じて、熱硬化性樹脂を含む又は含まない樹脂ペーストとし、使い分けるとよい。
【0034】
本発明の樹脂ペーストを用いた半導体装置は、スクリーン印刷によりリードフレーム等の支持部材に樹脂ペーストを塗布し、これに半導体素子を圧着させ、その後熱風循環式乾燥機、ヒートブロック等の加熱装置を用いて加熱硬化させて、半導体素子と支持部材とを接合させ、その後、通常のワイヤボンディング工程、封止工程を経て半導体装置とされる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。
合成例1
温度計、攪拌機及び塩化カルシウム管を備えた500mlの四つ口フラスコに、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン41g(0.1モル)及びジメチルアセトアミド150gをとり、攪拌した。ジアミンの溶解後、フラスコを氷浴中で冷却しながら、1,2−(エチレン)ビス(トリメリテート二無水物)41g(0.1モル)を少量ずつ添加した。室温で3時間反応させたのち、キシレン30gを加え、N2ガスを吹き込みながら150℃で加熱し、水と共にキシレンを共沸除去した。その反応液を水中に注ぎ、沈澱したポリマーを濾過により採り、乾燥してポリイミド樹脂(A1)を得た。
【0036】
合成例2
温度計、攪拌機及び塩化カルシウム管を備えた500mlの四つ口フラスコに、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン43.2g(0.1モル)及びN−メチル−2−ピロリドン150gをとり、攪拌した。ジアミンの溶解後、室温で、1,4−(テトラメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)43.8g(0.1モル)を加えた。5℃以下で5時間反応させ、無水酢酸20.4g(0.2モル)及びピリジン15.8g(0.2モル)を加え、1時間室温で攪拌した。この反応液を水中に注ぎ、沈澱したポリマーを濾過により採り、乾燥してポリイミド樹脂(A2)を得た。
【0037】
合成例3
温度計、攪拌機、塩化カルシウム管を備えた500mlの四つ口フラスコに、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン32.8g(0.08モル)、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン5.08g(0.02モル)及びジメチルアセトアミド100gをとり、攪拌した。ジアミンの溶解後、フラスコを氷浴中で冷却しながら、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)41.8g(0.08モル)及びベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物6.44g(0.02モル)を少量ずつ添加した。添加終了後、氷浴中で3時間、更に室温で4時間反応させた後、無水酢酸25.5g(0.25モル)及びピリジン19.8g(0.25モル)を添加し、2時間室温で攪拌した。その反応液を水中に注ぎ、沈澱したポリマーを濾過により採り、乾燥してポリイミド樹脂(A3)を得た。
【0038】
合成例4
温度計、撹拌機、塩化カルシウム管を備えた500mlの四つ口フラスコに、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン41.0g(0.10モル)及びジメチルアセトアミド100gをとり、撹拌した。ジアミンの溶解後、フラスコを氷浴中で冷却しながら、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート二無水物)41.8g(0.08モル)及びベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物6.44g(0.02モル)を少量ずつ添加した。添加終了後、氷浴中で3時間、更に室温で4時間反応させた。その反応液を水中に注ぎ、沈澱したポリマーを濾過により採り、乾燥してポリアミド酸樹脂(A4)を得た。
【0039】
実施例1
表1に示す配合表(単位は重量部、以下同じ。)に従い、らいかい機及び三本ロールを用いて混練し、3種類(No.1〜No.3)の均一な樹脂ペーストを調合した。
【0040】
【表1】
なお、表1における略号は、下記の意味である。
DMAA:ジメチルアセトアミド、CH:シクロヘキサノン
TCG−1:徳力化学、銀粉
【0041】
実施例2
【表2】
【0042】
表2に示す配合表に従い、らいかい機及び三本ロールを用いて混練し、No.4〜No.9の6種類の均一な樹脂ペーストを調合した。なお、表2において、種々の記号は下記の意味である。
YDCH−702:東都化成、クレゾールノボラック型エポキシ(エポキシ当量220)、N−865:大日本インキ製、ビスフェノールノボラック型エポキシ(エポキシ当量208)、ESCN−195:日本化薬、クレゾールノボラック型エポキシ(エポキシ当量200)、H−1:明和化成、フェノールノボラック(OH当量106)、VH−4170:大日本インキ、ビスフェノールAノボラック(OH当量118)、TCG−1:徳力化学、銀粉、DMAA:ジメチルアセトアミド、NMP:N−メチルピロリドン、CH:シクロヘキサノン
【0043】
実施例3
表3に示す配合表に従い、らいかい機及び三本ロールを用いて混練し、No.10〜No.15の6種類の均一な樹脂ペーストを調合した。
【0044】
【表3】
【0045】
ただし、表3中の記号は、下記の意味である。
BMDADPM:4,4’−ビスマレイミドジアミノジフェニルメタン
BMPPP:2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン
BMDADPE:4,4’−ビスマレイミドジアミノジフェニルエーテル
DMAA:ジメチルアセトアミド
NMP:N−メチルピロリドン
DMF:ジメチルホルムアミド
BPO:ベンゾイルパーオキサイド
DCPO:ジクミルパーオキサイド
CHPO:クメンハイドロパーオキサイド
【0046】
試験例1樹脂ペーストの剪断接着力(その1)
実施例1で得られた樹脂ペーストの剪断接着力を測定すると、表4に示す通りであった。なお、試験方法は、樹脂ペーストを用いて、4×4mmのシリコンチップと銀メッキ付リードフレームとを圧着し、180℃で1時間硬化させた後、プッシュプルゲージを用いて、室温時及び350℃加熱20秒後の熱時に、剪断接着力を測定した。
【0047】
【表4】
【0048】
試験例2樹脂ペーストの剪断接着力(その2)
実施例2で得られた樹脂ペーストの剪断接着力を測定すると、表5に示す通りであった。なお、試験方法は、樹脂ペーストを用いて4×4mmのシリコンチップと銀メッキ付リードフレームとを圧着し180℃で1時間硬化させたのち、プッシュプルゲージを用いて、室温時及び350℃加熱20秒後の熱時に、剪断接着力を測定した。
【0049】
【表5】
表4及び表5を比較すると、熱硬化性樹脂を含む樹脂ペースト(No.4〜9)は、熱硬化性樹脂を含まない樹脂ペースト(No.1〜3)よりも、350℃における剪断接着力が高いことが分かる。
【0050】
試験例3樹脂ペーストの剪断接着力(その3)
【表6】
実施例3で得られた導電性樹脂プレートの剪断接着力を測定すると、表6に示す通りであった。なお、試験方法は、試験例2に記載した方法と同様である。
【0051】
試験例4樹脂ペーストのピール接着力
実施例1及び実施例2で得られた樹脂ペーストのピール接着力を測定すると、表7に示す通りであった。なお、ピール接着力は、樹脂ペーストを用いて8×8mmのシリコンチップと銀メッキ付リードフレームとを圧着し、180℃で1時間硬化させたのち、250℃、20秒加熱時に測定した。
【0052】
【表7】
【0053】
熱硬化性樹脂を含む樹脂ペースト(No.4〜9)よりも熱硬化性樹脂を含まない樹脂ペースト(No.1〜3)のほうが、250℃におけるピール接着力は高いことが表7の結果から分かる。
【0054】
試験例5半田リフロークラック試験
下記リードフレームとシリコンチップを、実施例1〜3により得た樹脂ペーストを用いて下記硬化条件で接着させた。その後エポキシ封止材CEL−4620(日立化成工業)により封止し、半田リフロー試験用パッケージを得た。そのパッケージを温度及び湿度がそれぞれ85℃、85%に設定された恒温恒湿槽中で、48時間吸湿させた。その後215℃/90秒のリフロー条件で半田リフローを行い、パッケージの外部クラックの発生数を顕微鏡(倍率:15倍)で観察した。5個のサンプルを試験したときのクラツク発生サンプル数を表8に示した。並行して行なった2種類の比較例の試験結果も示した。
【0055】
〔硬化条件〕
チップサイズ:8mm×10mm
パッケージ:QFP、14mm×20mm×2mm
フレーム:42アロイ
温度条件:180℃まで30分で昇温、180℃で1時間硬化
【0056】
【表8】
【0057】
なお、比較例とした樹脂ペースト2種類は、次のようにして調製した。
比較例1
YDCN−702S(クレゾールノボラック樹脂、東都化成工業)30重量部にH−1(フェノールノボラツク型樹脂、明和化成工業)10重量部及び酢酸ブチルセロソルブ10重量部を加え、80℃に加熱して1時間撹拌してワニスを得た。その後23℃〜25℃まで冷却し、キュアゾール2P4MHZ(イミダソール、四国化成工業)0.5重量部、銀粉TCG−1(徳力化学)80重量部をらいかい機により混合し、樹脂ペーストを得た。
【0058】
比較例2
エピコート1001(ビスA型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ)35重量部にH−1(フェノールノボラツク型樹脂、明和化成工業)10重量部及び酢酸ブチルセロソルブ10重量部を加え、80℃に加熱して1時間撹拌してワニスを得た。その後23℃〜25℃まで冷却し、キュアゾール2P4MHZ(イミダソール、四国化成工業)0.5重量部、銀粉TCG−1(徳力化学)80重量部をらいかい機により混合し、樹脂ペーストを得た。
【0059】
【発明の効果】
請求項1〜3の樹脂ペーストは、種々の基材表面に対する接着力に優れ、かつ、リフローソルダリング時にリフロークラックを起こさない。請求項4の半導体装置は、リフロークラックを起こさないので信頼性が高い。
Claims (4)
- スクリーン印刷により支持部材に塗布する工程を含むダイボンディング方法に用いられる樹脂ペーストであって、該樹脂ペーストは、
(A)式(I)
及び(B)熱硬化性樹脂を含有してなり、
上記ポリイミド系樹脂は、式(III)
で表される化合物を含有してなる酸無水物と、
2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパンから選ばれる少なくとも一つの化合物を含有してなるジアミンとを反応させたものである樹脂ペースト。 - (A)ポリイミド系樹脂、及び(B)熱硬化性樹脂のほかに(C)導電性フィラーを含有してなる、請求項1の樹脂ペースト。
- (A)ポリイミド系樹脂;100重量部に対し(B)熱硬化性樹脂;0〜200重量部、を含有してなる、請求項1又は2の樹脂ペースト。
- 半導体素子と基板とを請求項1〜3のいずれかの樹脂ペーストで接着し、封止してなる半導体装置。
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WO2005105943A1 (ja) * | 2004-04-27 | 2005-11-10 | Hitachi Chemical Co., Ltd. | ダイボンディング用樹脂ペースト |
JP2010189469A (ja) * | 2009-02-16 | 2010-09-02 | Hitachi Chem Co Ltd | 接着剤組成物、接着シート及び半導体装置 |
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2003
- 2003-06-19 JP JP2003174744A patent/JP2004043806A/ja active Pending
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