JP2004043634A - 活性光線硬化型インクとそれを用いた画像形成方法及び記録装置 - Google Patents

活性光線硬化型インクとそれを用いた画像形成方法及び記録装置 Download PDF

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Toshiyuki Takabayashi
高林 敏行
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Abstract

【課題】本発明の目的は、様々な印字環境下においても、文字品質に優れ、色混じりの発生がなく、高精細画像を安定に記録することができる活性光線硬化型インクとそれを用いた画像形成方法及び記録装置を提供することにある。
【解決手段】少なくとも1種の光酸発生剤(A)と、少なくとも1種の下記一般式〔1〕で表されるホスホニウム塩化合物(B)と、置換基として水酸基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基またはアルコキシ基を少なくとも1つ有する多環芳香族化合物、カルバゾール誘導体及びチオキサントン誘導体から選ばれる少なくとも1種であり、かつ330nmよりも長波長に紫外線スペクトル吸収を有する増感剤(C)とを含有することを特徴とする活性光線硬化型インク。
【化1】
Figure 2004043634

【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、あらゆる記録材料に、様々な印字環境下においても、高精細な画像を安定に再現できる活性光線硬化型インクとそれを用いた画像形成方法及びそれに用いる記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェット記録方式は簡便・安価に画像を作成出来るため、写真、各種印刷、マーキング、カラーフィルター等の特殊印刷など、様々な印刷分野に応用されてきている。特に、微細なドットを出射、制御する記録装置や、色再現域、耐久性、出射適性等を改善したインク及びインクの吸収性、色材の発色性、表面光沢などを飛躍的に向上させた専用紙を用い、銀塩写真に匹敵する画質を得ることも可能となっている。今日のインクジェット記録方式の画質向上は、記録装置、インク、専用紙の全てが揃って初めて達成されている。
【0003】
しかしながら、専用紙を必要とするインクジェットシステムは、記録媒体が制限されること、記録媒体のコストアップが問題となる。そこで、専用紙と異なる被転写媒体へインクジェット方式により記録する試みが多数なされている。具体的には、室温で固形のワックスインクを用いる相変化インクジェット方式、速乾性の有機溶剤を主体としたインクを用いるソルベント系インクジェット方式や、記録後紫外線(UV)光により架橋させるUVインクジェット方式などである。
【0004】
中でも、UVインクジェット方式は、ソルベント系インクジェット方式に比べ比較的低臭気であり、速乾性、インク吸収性の無い記録媒体への記録が出来る点で、近年注目されつつあり、例えば、特公平5−54667号、特開平6−200204号、特表2000−504778において、紫外線硬化型インクジェットインクが開示されている。
【0005】
しかしながら、これらのインクを用いたとしても、記録材料の種類や作業環境によって、着弾後のドット径が大きく変化してしまい、すべての記録材料に対して、高精細な画像を形成することは不可能である。
【0006】
例えば、この紫外線硬化型インクとしては、アクリル系組成物を中心としたラジカル重合型紫外線硬化型インクとカチオン重合型紫外線硬化型インクがある。
【0007】
ラジカル重合型紫外線硬化型インクは、その重合メカニズム上、酸素が介在した環境では酸素阻害作用を受けるため硬化性が落ちる問題がある。一方、カチオン重合型紫外線硬化型インクは、酸素阻害作用をうけることがないが、重合反応の性質上、分子レベルの水分(湿度)の影響を受けやすいといった問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、様々な印字環境下においても、文字品質に優れ、色混じりの発生がなく、高精細な画像を非常に安定に記録することができる活性光線硬化型インクとそれを用いた画像形成方法及び記録装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成された。
【0010】
1.少なくとも1種の光酸発生剤(A)と、少なくとも1種の前記一般式〔1〕で表されるホスホニウム塩化合物(B)と、置換基として水酸基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基またはアルコキシ基を少なくとも1つ有する多環芳香族化合物、カルバゾール誘導体及びチオキサントン誘導体から選ばれる少なくとも1種であり、かつ330nmよりも長波長に紫外線スペクトル吸収を有する増感剤(C)とを含有することを特徴とする活性光線硬化型インク。
【0011】
2.前記一般式〔1〕で表されるホスホニウム塩化合物(B)が、リン原子とリン原子のα位の炭素原子との結合距離が0.160〜0.175nmであり、かつ該結合が切れた時の該炭素原子の電荷が+0.20〜+0.40であることを特徴とする前記1項に記載の活性光線硬化型インク。
【0012】
3.前記多環芳香族化合物が、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、クリセン誘導体またはフェナントレン誘導体であることを特徴とする前記1または2項に記載の活性光線硬化型インク。
【0013】
4.顔料を含有することを特徴とする前記1〜3項のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク。
【0014】
5.インクジェット記録ヘッドより、前記1〜4項のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクを記録材料上に噴射して該記録材料上に印刷を行う画像形成方法であって、該活性光線硬化型インクが着弾した後、0.001〜2.0秒の間に活性光線を照射することを特徴とする画像形成方法。
【0015】
6.インクジェット記録ヘッドより、前記1〜4項のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクを記録材料上に噴射して該記録材料上に印刷を行う画像形成方法であって、該活性光線硬化型インクが着弾し、活性光線を照射して硬化した後の総インク膜厚が、2〜20μmであることを特徴とする画像形成方法。
【0016】
7.インクジェット記録ヘッドより、前記1〜4項のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクを記録材料上に噴射して該記録材料上に印刷を行う画像形成方法であって、該記録ヘッドの各ノズルより吐出するインク液滴量が、2〜15plであることを特徴とする画像形成方法。
【0017】
8.前記5〜7項のいずれか1項に記載の画像形成方法で用いる記録装置であって、照射光源の総消費電力が1kW・hr未満であることを特徴とする記録装置。
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の活性光線硬化型インク(以下、単にインクともいう)は、少なくとも1種の光酸発生剤(A)と、少なくとも1種の前記一般式〔1〕で表されるホスホニウム塩化合物(B)と、置換基として水酸基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基またはアルコキシ基を少なくとも1つ有する多環芳香族化合物、カルバゾール誘導体及びチオキサントン誘導体から選ばれる少なくとも1種であり、かつ330nmよりも長波長に紫外線スペクトル吸収を有する増感剤(C)とを含有していることが特徴である。
【0019】
はじめに、光酸発生剤について説明する。
本発明で用いることのできる光開始剤である光酸発生剤としては、公知のあらゆる光酸発生剤を挙げることができる。
【0020】
光酸発生剤としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。本発明に好適な化合物の例を以下に挙げる。
【0021】
第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C 、PF 、AsF 、SbF 、CFSO 塩を挙げることができる。
【0022】
本発明で用いることのできるオニウム化合物の具体的な例を、以下に示す。
【0023】
【化2】
Figure 2004043634
【0024】
第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることができ、その具体的な化合物を、以下に例示する。
【0025】
【化3】
Figure 2004043634
【0026】
第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができ、以下にその具体的な化合物を例示する。
【0027】
【化4】
Figure 2004043634
【0028】
第4に、鉄アレン錯体を挙げることができる。
【0029】
【化5】
Figure 2004043634
【0030】
本発明に係るインクは、特開平8−248561号、特開平9−34106号をはじめてとし、既に公知となっている活性光線の照射で発生した酸により新たに酸を発生する酸増殖剤を含有することが好ましい。酸増殖剤を用いることで、さらなる吐出安定性向上を可能とする。
【0031】
次に、本発明に係る一般式〔1〕で表されるホスホニウム塩化合物について説明する。
【0032】
前記一般式〔1〕において、Rはリン原子のα位の炭素原子にF、Cl、Br、I等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェニル基、ビニル基及びメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、アセチル基、またはベンゾイル基等で置換されているアルキル基で、またはメチル、エチル、プロピル、ブチル等のアルキル基、F、Cl、Br、I等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェニル基またはメトキシカルボニル、エトキシカルボニル等のアルコキシカルボニル基で置換されていてもよいフェニル基である。R〜Rは各々炭素数1〜18のアルキル基、ヒドロキシ基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜18のアルキルカルボニルオキシ基またはハロゲン原子を表し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロピル基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基等のアルコキシ基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、デシルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンゾイルオキシ基等のカルボニル基、フェニルチオ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基等を挙げることができる。
【0033】
Xは非求核性のアニオン残基を表し、例えば、F、Cl、Br、I等のハロゲン原子、B(C、RCOO、RSO、SbF、AsF、PF又はBF等を挙げることができる。但し、R及びRは、各々メチル、エチル、プロピル、ブチル等のアルキル基、F、Cl、Br、I等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基等で置換されていてもよいアルキル基またはフェニル基を表す。この中でも、安全性の観点から、B(C、PFが好ましい。
【0034】
一般式〔1〕で表されるホスホニウム塩化合物の具体例としては、BEILSTEIN Abstractsなどで構造検索するだけでも、下記のものが挙げられる。合成方法についても、BEILSTEIN Abstractsにより容易に確認することができる。
【0035】
【化6】
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【0036】
【化7】
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【0037】
【化8】
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【化9】
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【0063】
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【0066】
【化37】
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【0067】
【化38】
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【0068】
【化39】
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【0069】
【化40】
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【0070】
【化41】
Figure 2004043634
【0071】
一般式〔1〕で表されるホスホニウム塩化合物においては、リン原子とリン原子のα位の炭素原子との結合距離が0.160nm〜0.175nmであり、かつ、この結合が切れた時の該炭素原子の電荷が+0.20〜+0.40であることが好ましい。ここでいう「結合距離」、「電荷」は、WinMOPAC(富士通株式会社製)を用いた、分子軌道計算法により算出される値である。この条件を満たす具体例としては、前記具体的化合物例の中で、以下の化合物を一例として挙げることができるが、これら化合物のみに限定されるものではない。
【0072】
Figure 2004043634
本発明に係る一般式〔1〕で表されるホスホニウム塩化合物に類似の化合物が、特開平10−231307号に開示されているが、同特許に記載されているホスフィン化合物では、本発明が目的とする効果に対しては不十分であり、本発明に係る一般式〔1〕の構造を有するホスホニウム塩化合物を用いることにより、はじめて硬化環境(温度・湿度)に左右されずに優れた硬化性を得ることができるものである。
【0073】
次いで、置換基として水酸基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基またはアルコキシ基を少なくとも1つ有する多環芳香族化合物、カルバゾール誘導体、チオキサントン誘導体について説明する。
【0074】
本発明においては、置換基として水酸基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基またはアルコキシ基を少なくとも1つ有する多環芳香族化合物、カルバゾール誘導体及びチオキサントン誘導体から選ばれる少なくとも1種であり、かつ330nmよりも長波長に紫外線スペクトル吸収を有する増感剤を用いることが1つの特徴である。
【0075】
本発明で用いることのできる多環芳香族化合物としては、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体が好ましい。置換基であるアルコキシ基としては、炭素数1〜18のものが好ましく、特に炭素数1〜8のものが好ましい。アラルキルオキシ基としては、炭素数7〜10のものが好ましく、特に炭素数7〜8のベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基が好ましい。
【0076】
本発明に用いることのできる増感剤を例示すると、カルバゾール、N−エチルカルバゾール、N−ビニルカルバゾール、N−フェニルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、1−ナフトール、2−ナフトール、1−メトキシナフタレン、1−ステアリルオキシナフタレン、2−メトキシナフタレン、2−ドデシルオキシナフタレン、4−メトキシ−1−ナフトール、グリシジル−1−ナフチルエーテル、2−(2−ナフトキシ)エチルビニルエーテル、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジメトキシナフタレン、1,1’−チオビス(2−ナフトール)、1,1’−ビ−2−ナフトール、1,5−ナフチルジグリシジルエーテル、2,7−ジ(2−ビニルオキシエチル)ナフチルエーテル、4−メトキシ−1−ナフトール、ESN−175(新日鉄化学社製のエポキシ樹脂)またはそのシリーズ、ナフトール誘導体とホルマリンとの縮合体等のナフタレン誘導体、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2−tブチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9−メトキシ−10−メチルアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2−tブチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジエトキシアントラセン、9−エトキシ−10−メチルアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、2−tブチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、9−イソプロポキシ−10−メチルアントラセン、9,10−ジベンジルオキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジベンジルオキシアントラセン、2−tブチル−9,10−ジベンジルオキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジベンジルオキシアントラセン、9−ベンジルオキシ−10−メチルアントラセン、9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン、2−tブチル−9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン、9−(α−メチルベンジルオキシ)−10−メチルアントラセン、9,10−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ジ(2−カルボキシエトキシ)アントラセン等のアントラセン誘導体、1,4−ジメトキシクリセン、1,4−ジエトキシクリセン、1,4−ジプロポキシクリセン、1,4−ジベンジルオキシクリセン、1,4−ジ−α−メチルベンジルオキシクリセン等のクリセン誘導体、9−ヒドロキシフェナントレン、9,10−ジメトキシフェナントレン、9,10−ジエトキシフェナントレン等のフェナントレン誘導体などを挙げることができる。これら誘導体の中でも、特に、炭素数1〜4のアルキル基を置換基として有していても良い9,10−ジアルコキシアントラセン誘導体が好ましく、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基が好ましい。
【0077】
また、チオキサントン誘導体としては、例えば、チオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン2−クロロチオキサントン等を挙げることができる。
【0078】
これら、増感剤を用いることで、イエロー・マゼンタ・シアン・ブラック・ホワイト及び各淡色等、いずれの色でも硬化性に優れ、着弾後のDot径の制御が容易にでき、硬化環境(温度・湿度)によらず高画質な画像を形成することが可能となる。
【0079】
次いでカチオン重合性化合物について説明する。
カチオン重合性化合物としては、各種公知のカチオン重合性のモノマーが使用することができ、例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892、特開2001−40068、特開2001−55507、特開2001−310938、特開2001−310937、特開2001−220526等に例示されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
【0080】
芳香族エポキシドとして好ましいものは、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジまたはポリグリシジルエーテルであり、例えばビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、ならびにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0081】
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセンまたはシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによつて得られる、シクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましい。
【0082】
脂肪族エポキシドの好ましいものとしては、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテルまたは1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0083】
これらのエポキシドのうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシドおよび脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。本発明では、上記エポキシドの1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0084】
ビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
【0085】
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度を考慮すると、ジ又はトリビニルエーテル化合物が好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。本発明では、上記ビニルエーテル化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0086】
本発明に係るオキセタン化合物は、オキセタン環を有する化合物のことであり、特開2001−220526、特開2001−310937に紹介されているような公知のあらゆるオキセタン化合物を使用できる。
【0087】
本発明に係るオキセタン化合物において、オキセタン環を5個以上有する化合物を使用すると、インク組成物の粘度が高くなるため、取扱いが困難になったり、またインク組成物のガラス転移温度が高くなるため、得られる硬化物の粘着性が十分でなくなってしまう。本発明で使用するオキセタン環を有する化合物は、オキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。
【0088】
以下、本発明に係るオキセタン環を有する化合物の具体例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0089】
1個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(1)で示される化合物が挙げられる。
【0090】
【化42】
Figure 2004043634
【0091】
一般式(1)において、Rは水素原子やメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基またはチエニル基である。Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等の炭素数2〜6個のアルケニル基、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基、フェノキシエチル基等の芳香環を有する基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルキルカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルコキシカルボニル基、またはエチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、ペンチルカルバモイル基等の炭素数2〜6個のN−アルキルカルバモイル基等である。本発明で使用するオキセタン化合物としては、1個のオキセタン環を有する化合物を使用することが、得られる組成物が粘着性に優れ、低粘度で作業性に優れるため、特に好ましい。
【0092】
2個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(2)で示される化合物等が挙げられる。
【0093】
【化43】
Figure 2004043634
【0094】
一般式(2)において、Rは、上記一般式(1)におけるそれと同様の基である。Rは、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の線状または分枝状アルキレン基、ポリ(エチレンオキシ)基、ポリ(プロピレンオキシ)基等の線状または分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基、プロペニレン基、メチルプロペニレン基、ブテニレン基等の線状または分枝状不飽和炭化水素基、またはカルボニル基またはカルボニル基を含むアルキレン基、カルボキシル基を含むアルキレン基、カルバモイル基を含むアルキレン基等である。
【0095】
また、Rとしては、下記一般式(3)、(4)及び(5)で示される基から選択される多価基も挙げることができる。
【0096】
【化44】
Figure 2004043634
【0097】
一般式(3)において、Rは、水素原子やメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のアルコキシ基、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルキルカルボキシル基、カルボキシル基、またはカルバモイル基である。
【0098】
【化45】
Figure 2004043634
【0099】
一般式(4)において、Rは、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、NH、SO、SO、C(CF、又はC(CHを表す。
【0100】
【化46】
Figure 2004043634
【0101】
一般式(5)において、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。nは0〜2000の整数である。Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。Rとしては、更に、下記一般式(6)で示される基から選択される基も挙げることができる。
【0102】
【化47】
Figure 2004043634
【0103】
一般式(6)において、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。mは0〜100の整数である。
【0104】
2個のオキセタン環を有する化合物の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
【0105】
【化48】
Figure 2004043634
【0106】
例示化合物1は、前記一般式(2)において、Rがエチル基、Rがカルボキシル基である化合物である。また、例示化合物2は、前記一般式(2)において、Rがエチル基、Rが前記一般式(5)でR及びRがメチル基、nが1である化合物である。
【0107】
2個のオキセタン環を有する化合物において、上記の化合物以外の好ましい例としては、下記一般式(7)で示される化合物がある。一般式(7)において、Rは、前記一般式(1)のRと同義である。
【0108】
【化49】
Figure 2004043634
【0109】
また、3〜4個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(8)で示される化合物が挙げられる。
【0110】
【化50】
Figure 2004043634
【0111】
一般式(8)において、Rは、前記一般式(1)におけるRと同義である。Rとしては、例えば、下記A〜Cで示される基等の炭素数1〜12の分枝状アルキレン基、下記Dで示される基等の分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基又は下記Eで示される基等の分枝状ポリシロキシ基等が挙げられる。jは、3又は4である。
【0112】
【化51】
Figure 2004043634
【0113】
上記Aにおいて、R10はメチル基、エチル基又はプロピル基等の低級アルキル基である。また、上記Dにおいて、pは1〜10の整数である。
【0114】
3〜4個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、例示化合物3が挙げられる。
【0115】
【化52】
Figure 2004043634
【0116】
さらに、上記説明した以外の1〜4個のオキセタン環を有する化合物の例としては、下記一般式(9)で示される化合物が挙げられる。
【0117】
【化53】
Figure 2004043634
【0118】
一般式(9)において、Rは前記一般式(6)のRと同義である。R11はメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基又はトリアルキルシリル基であり、rは1〜4である。
【0119】
本発明で使用するオキセタン化合物の好ましい具体例としては、以下に示す化合物がある。
【0120】
【化54】
Figure 2004043634
【0121】
上述したオキセタン環を有する各化合物の製造方法は、特に限定されず、従来知られた方法に従えばよく、例えば、パティソン(D.B.Pattison,J.Am.Chem.Soc.,3455,79(1957))が開示している、ジオールからのオキセタン環合成法等がある。また、これら以外にも、分子量1000〜5000程度の高分子量を有する1〜4個のオキセタン環を有する化合物も挙げられる。これらの具体的化合物例としては、以下の化合物が挙げられる。
【0122】
【化55】
Figure 2004043634
【0123】
本発明の画像形成方法においては、インクをインクジェット記録方式により記録材料上に吐出、描画し、次いで紫外線などの活性光線を照射することで、インクを硬化して画像形成する。
【0124】
インクの吐出条件としては、記録ヘッド及びインクを35〜100℃に加熱して吐出することが、吐出安定性の点で好ましい。活性光線硬化型インクは、温度変動による粘度変動幅が大きく、粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴吐出速度に大きく影響を与え、画質劣化を起こすため、インク温度を上げながらその温度を一定に保つことが必要である。インク温度の制御幅としては、設定温度±5℃、好ましくは設定温度±2℃、更に好ましくは設定温度±1℃である。
【0125】
本発明において、インクが着弾し、活性光線照射して硬化した後の総インク膜厚が2〜20μmであることが好ましい。ここでいう総インク膜厚とは、記録材料に描画されたインクの膜厚の最大値を意味し、単色でも、それ以外の2色重ね(2次色)、3色重ね(3次色)、4色重ね(白インクベースなど)のインクジェット記録方式で記録を行った場合でも、総インク膜厚の意味するところは同様である。スクリーン印刷分野の活性光線硬化型インクジェット記録では、総インク膜厚が20μmを越えているのが現状であるが、記録材料として薄いプラスチック材料を用いるケースが多い軟包装印刷分野では、記録材料のカール・しわの問題でだけでなく、印刷物全体のこし・質感が変わってしまうという問題が有るため使えない。
【0126】
また、本発明では、各ノズルより吐出する液滴量が2〜15plであることが好ましい。高精細画像を形成するためには、液滴量がこの範囲であることが必要であるが、この液滴量で吐出する場合、吐出安定性が特に厳しくなる。
【0127】
本発明の画像記録方法においては、発生光線の照射条件として、インク着弾後0.001〜2.0秒の間に活性光線が照射されることが好ましく、より好ましくは0.001〜1.0秒である。高精細な画像を形成するためには、照射タイミングができるだけ早いことが、特に重要となる。
【0128】
活性光線の照射方法として、その基本的な方法は、特開昭60−132767号に開示されている。これによると、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射は、インク着弾後、一定時間を置いて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。米国特許第6,145,979号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法や、コリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明の画像形成方法においては、これらいずれの照射方法も用いることができる。
【0129】
また、活性光線を照射を2段階に分け、まずインク着弾後0.001〜2.0秒の間に前述の方法で活性光線を照射し、かつ、全印字終了後、更に活性光線を照射する方法も好ましい態様の1つである。活性光線の照射を2段階に分けることで、よりインク硬化の際に起こる記録材料の収縮を抑えることが可能となる。
【0130】
本発明では、活性光線の照射光源の総消費電力が1kW・hr未満であることが好ましい。従来、UVインクジェット方式では、インク着弾後のドット広がり、滲みを抑制のために、光源の総消費電力が1kW・hrを超える高照度の光源が用いられるのが通常であった。しかしながら、これらの光源を用いると、特にシュリンクラベルなどでは、記録材料の収縮があまりにも大きく、実質上使用できないのが現状であった。
【0131】
総消費電力が1kW・hr未満の光源の例としては、蛍光管、冷陰極管、LEDなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0132】
本発明で用いることのできる色材としては、重合性化合物の主成分に溶解または分散できる色材であればいずれも使用することができるが、耐候性の観点から顔料が好ましい。
【0133】
本発明で好ましく用いることのできる顔料を、以下に列挙する。
C.I Pigment Yellow−1、3、12、13、14、17、81、83、87、95、109、42、
C.I Pigment Orange−16、36、38、
C.I Pigment Red−5、22、38、48:1、48:2、48:4、49:1、53:1、57:1、63:1、144、146、185、101、
C.I Pigment Violet−19、23、
C.I Pigment Blue−15:1、15:3、15:4、18、60、27、29、
C.I Pigment Green−7、36、
C.I Pigment White−6、18、21、
C.I Pigment Black−7、
また、本発明において、プラスチックフィルムのような透明基材での色の隠蔽性を上げる為に、白インクを用いることが好ましい。特に、軟包装印刷、ラベル印刷においては、白インクを用いることが好ましいが、吐出量が多くなるため、吐出安定性、記録材料のカール・しわの発生の観点から、自ずと使用量に関しては制限がある。
【0134】
上記顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等を用いることができる。また、顔料の分散を行う際に、分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、高分子分散剤を用いることが好ましく、高分子分散剤としてはAvecia社のSolsperseシリーズが挙げられる。また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤および分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。分散媒体は、溶剤または重合性化合物を用いて行うが、本発明に用いる照射線硬化型インクでは、インク着弾直後に反応・硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。溶剤が硬化画像に残ってしまうと、耐溶剤性の劣化、残留する溶剤のVOCの問題が生じる。よって、分散媒体は溶剤では無く重合性化合物、その中でも最も粘度の低いモノマーを選択することが分散適性上好ましい。
【0135】
顔料の分散は、顔料粒子の平均粒径を0.08〜0.5μmとすることが好ましく、最大粒径は0.3〜10μm、好ましくは0.3〜3μmとなるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を適宜設定する。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性および硬化感度を維持することができる。
【0136】
本発明に係るインクにおいては、色材濃度としては、インク全体の1質量%乃至10質量%であることが好ましい。
【0137】
本発明に係るインクには、上記説明した以外に様々な添加剤を用いることができる。例えば、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することができる。また、保存安定性を改良する目的で、公知のあらゆる塩基性化合物を用いることができるが、代表的なものとして、塩基性アルカリ金属化合物、塩基性アルカリ土類金属化合物、アミンなどの塩基性有機化合物などがあげられる。また、ラジカル重合性モノマーと開始剤を組み合わせ、ラジカル・カチオンのハイブリッド型硬化インクとすることも可能である。
【0138】
本発明で用いることのできる記録材料としては、通常の非コート紙、コート紙などの他、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性のプラスチックおよびそのフィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルムを挙げることができる。その他のプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが使用できる。また、金属類や、ガラス類にも適用可能である。これらの記録材料の中でも、特に熱でシュリンク可能な、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルムへ画像を形成する場合に本発明の構成は、有効となる。これらの基材は、インクの硬化収縮、硬化反応時の発熱などにより、フィルムのカール、変形が生じやすいばかりでなく、インク膜が基材の収縮に追従し難い。
【0139】
これら、各種プラスチックフィルムの表面エネルギーは大きく異なり、記録材料によってインク着弾後のドット径が変わってしまうことが、従来から問題となっていた。本発明の構成では、表面エネルギーの低いOPPフィルム、OPSフィルムや表面エネルギーの比較的大きいPETまでを含む、表面エネルギーが35〜60dyn/cmの広範囲の記録材料に良好な高精細な画像を形成できる。
【0140】
本発明において、包装の費用や生産コスト等の記録材料のコスト、プリントの作製効率、各種のサイズのプリントに対応できる等の点で、長尺(ウェブ)な記録材料を使用する方が有利である。
【0141】
【実施例】
以下に本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらの例に限定されるものではない。
【0142】
《ホスホニウム塩化合物の合成》
下記に記載のスキームに従って、例示化合物Hit19、27、79、84の合成を行った。
【0143】
【化56】
Figure 2004043634
【0144】
【化57】
Figure 2004043634
【0145】
【化58】
Figure 2004043634
【0146】
【化59】
Figure 2004043634
【0147】
《インク組成物の調製》
表1に記載の構成からなるインク組成物セット1(比較例)及び表2〜5に記載の構成からなるインク組成物セット2〜5(本発明)を調製した。
【0148】
【表1】
Figure 2004043634
【0149】
【表2】
Figure 2004043634
【0150】
【表3】
Figure 2004043634
【0151】
【表4】
Figure 2004043634
【0152】
【表5】
Figure 2004043634
【0153】
表1〜表5に記載の各インクと各化合物の詳細は、以下の通りである。
K:濃ブラックインク
C:濃シアンインク
M:濃マゼンタインク
Y:濃イエローインク
W:ホワイトインク
Lk:淡ブラックインク
Lc:淡シアンインク
Lm:淡マゼンタインク
Ly:淡イエローインク
色材1:C.I.pigment Black−7
色材2:C.I.pigment Blue−15:3
色材3:C.I.pigment Red−57:1
色材4:C.I.pigment Yellow−13
色材5:酸化チタン(アナターゼ型 平均粒径0.20μm)
*A:セロキサイド3000 ダイセル化学工業社製
*B:DAIMIC S300K ダイセル化学工業社製
*C:エポリードPB3600 ダイセル化学工業社製
*D:DAIMIC L500 ダイセル化学工業社製
OXT−121:東亜合成化学社製
OXT−211:東亜合成化学社製
OXT−212:東亜合成化学社製
OXT−221:東亜合成化学社製
アクプレス11M:日本ケミックス社製
SP152:旭電化化学工業社製
IBPF:三和ケミカル社製
CS−7102:アントラセン誘導体、日本曹達社製
CI−5102:日本曹達社製
CS−7001:ナフタレン誘導体、日本曹達社製
DBA:アントラセン誘導体、川崎化成工業社製
*1:トリブチルアミン
*2:N−エチルジエタノールアミン
*3:ジエチルチオオキサントン(日本化薬社製)
【0154】
【化60】
Figure 2004043634
【0155】
【化61】
Figure 2004043634
【0156】
《インクジェット画像形成方法》
ピエゾ型インクジェットノズルを備えたインクジェット記録装置に、上記調製した各インク組成物セットを装填し、表6、表7に記載の表面エネルギーをもつ巾600mm、長さ1000mの長尺の各記録材料へ下記の各画像記録を連続して行った。インク供給系は、インクタンク、供給パイプ、ヘッド直前の前室インクタンク、フィルター付き配管、ピエゾヘッドからなり、ピエゾヘッド部は、60℃に温度調整した。ピエゾヘッド部は、2〜15plのマルチサイズドットを720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動して、各インクを連続吐出した。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。着弾した後、試料1〜14については0.2秒後に、また、試料15〜35については0.1秒後に、表6、表7に記載の照射条件で硬化処理を行った。記録後、トータルインク膜厚を測定したところ、2.3〜13.0μmの範囲であった。なお、インクジェット画像の形成は、上記方法に従って、10℃、20%RHの環境下、25℃、50%RHの環境下及び32℃、80%RHの環境下でそれぞれ行った。
【0157】
【表6】
Figure 2004043634
【0158】
【表7】
Figure 2004043634
【0159】
なお、表6、表7に記載の各記録材料の略称の詳細は、以下の通りである。
OPP:oriented polypropylene
PET:polyethylene terephthalate
ONy:oriented nylon
PVC:polyvinylchloride
シュリンクOPS:シュリンクしたoriented polystyrene
また、表6、表7に記載の照射光源の詳細は、以下の通りである。
【0160】
照射光源1:120W/cmメタルハライドランプ(日本電池社製 MAL400NL 電源電力3kW・hr)
照射光源2:LED(日亜化学工業社製の特注品 電源電力1kW・hr未満)
照射光源3:冷陰極管(ハイベック社製 電源電力1kW・hr未満)
照射光源4:蛍光灯(ニッポ電気社製の特注品 電源電力1kW・hr未満)
《インクジェット記録画像の評価》
上記画像形成方法で記録した各画像について、下記の各評価を行った。なお、各評価は、上記3つの印字環境について評価した。
【0161】
(文字品質)
Y、M、C、K各色インクを用いて、目標濃度で6ポイントMS明朝体文字を印字し、文字のガサツキをルーペで拡大評価し、下記の基準に則り文字品質の評価を行った。
【0162】
◎:ガサツキなし
○:僅かにガサツキが見える
△:ガサツキが見えるが、文字として判別でき、ギリギリ使えるレベル
×:ガサツキがひどく、文字がかすれていて使えないレベル
(色混じり(滲み))
720dpiで、Y、M、C、K各色1dotが隣り合うように印字し、隣り合う各色dotをルーペで拡大し、滲み具合を目視観察し、下記の基準に則り色混じりの評価を行った。
【0163】
◎:隣り合うdot形状が真円を保ち、滲みがない
○:隣り合うdot形状はほぼ真円を保ち、ほとんど滲みがない
△:隣り合うdotが少し滲んでいてdot形状が少しくずれているが、ギリギリ使えるレベル
×:隣り合うdotが滲んで混じりあっており、使えないレベル
以上により得られた各評価結果を、表8に示す。
【0164】
【表8】
Figure 2004043634
【0165】
表8より明らかなように、本発明の活性光線硬化型インクからなるインクセットを用いた画像記録方法は、あらゆる記録材料に対して、印字環境として、低温低湿から高温高湿の様々な環境においても、文字品質に優れ、色混じりの発生もない高精細な画像を記録することができることが分かる。
【0166】
【発明の効果】
本発明により、様々な印字環境下においても、文字品質に優れ、色混じりの発生がなく、高精細な画像を非常に安定に記録することができる活性光線硬化型インクとそれを用いた画像形成方法及び記録装置を提供することができた。

Claims (8)

  1. 少なくとも1種の光酸発生剤(A)と、少なくとも1種の下記一般式〔1〕で表されるホスホニウム塩化合物(B)と、置換基として水酸基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基またはアルコキシ基を少なくとも1つ有する多環芳香族化合物、カルバゾール誘導体及びチオキサントン誘導体から選ばれる少なくとも1種であり、かつ330nmよりも長波長に紫外線スペクトル吸収を有する増感剤(C)とを含有することを特徴とする活性光線硬化型インク。
    Figure 2004043634
    〔式中、Rはリン原子のα位の炭素原子にハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基、フェニル基、ビニル基及びアルコキシカルボニル基から選ばれた少なくとも1種を有するアルキル基又は置換されていてもよいフェニル基を表す。R〜Rは各々炭素数1〜18のアルキル基、ヒドロキシ基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜18のアルキルカルボニルオキシ基またはハロゲン原子を表す。Xは非求核性のアニオン残基を表す。〕
  2. 前記一般式〔1〕で表されるホスホニウム塩化合物(B)が、リン原子とリン原子のα位の炭素原子との結合距離が0.160〜0.175nmであり、かつ該結合が切れた時の該炭素原子の電荷が+0.20〜+0.40であることを特徴とする請求項1に記載の活性光線硬化型インク。
  3. 前記多環芳香族化合物が、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、クリセン誘導体またはフェナントレン誘導体であることを特徴とする請求項1または2に記載の活性光線硬化型インク。
  4. 顔料を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク。
  5. インクジェット記録ヘッドより、請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクを記録材料上に噴射して該記録材料上に印刷を行う画像形成方法であって、該活性光線硬化型インクが着弾した後、0.001〜2.0秒の間に活性光線を照射することを特徴とする画像形成方法。
  6. インクジェット記録ヘッドより、請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクを記録材料上に噴射して該記録材料上に印刷を行う画像形成方法であって、該活性光線硬化型インクが着弾し、活性光線を照射して硬化した後の総インク膜厚が、2〜20μmであることを特徴とする画像形成方法。
  7. インクジェット記録ヘッドより、請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクを記録材料上に噴射して該記録材料上に印刷を行う画像形成方法であって、該記録ヘッドの各ノズルより吐出するインク液滴量が、2〜15plであることを特徴とする画像形成方法。
  8. 請求項5〜7のいずれか1項に記載の画像形成方法で用いる記録装置であって、照射光源の総消費電力が1kW・hr未満であることを特徴とする記録装置。
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