JP2004043222A - 窒化アルミニウム複合焼結体、セラミック基板、半導体装置及び焼結体の製造方法 - Google Patents
窒化アルミニウム複合焼結体、セラミック基板、半導体装置及び焼結体の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】高熱伝導性かつ高熱膨張率を備える窒化アルミニウム複合焼結体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の焼結体は、窒化アルミニウムを主体とした複合焼結体であって、窒化アルミニウムと窒化アルミニウムの焼結助剤を焼結して得られ、窒化アルミニウムの添加量及び焼結助剤の添加量を酸化物換算した値の合計を100重量部とした時に、焼結助剤が酸化物換算で10重量部以上含有するようにして、複合焼結体の室温における熱膨張率が5.5×10−6/K以上であり、室温における熱伝導率が80W/mK以上であるようにする。
【選択図】 図2
【解決手段】本発明の焼結体は、窒化アルミニウムを主体とした複合焼結体であって、窒化アルミニウムと窒化アルミニウムの焼結助剤を焼結して得られ、窒化アルミニウムの添加量及び焼結助剤の添加量を酸化物換算した値の合計を100重量部とした時に、焼結助剤が酸化物換算で10重量部以上含有するようにして、複合焼結体の室温における熱膨張率が5.5×10−6/K以上であり、室温における熱伝導率が80W/mK以上であるようにする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体やIC用の基板、パッケージとして有用な窒化アルミニウム複合焼結体、窒化アルミニウム複合焼結体を用いたセラミック基板、窒化アルミニウム複合焼結体やセラミック基板を用いた半導体装置、及び窒化アルミニウム複合焼結体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータや通信装置等に使用する半導体素子の高速化や集積度の増加が急速に進み、これに伴って半導体素子から発生する熱の影響が、伝送信号の安定性や信頼性において無視できないものになっている。そのため、半導体素子で発生した熱を効率的に除去するために、半導体基板材料には高い熱伝導率が要求されるようになっている。これに対して、窒化アルミニウム焼結体は、熱伝導率が従来基板材料として用いられてきたアルミナの10倍以上高く、電気絶縁性や機械的強度ともに優れているために、半導体基板材料として注目されている。
【0003】
一方、半導体素子においては、高速化に伴って、従来主に用いられてきたSiだけではなくGaAsも用いられるようになってきた。GaAsは熱伝導率が46W/mK、熱膨張率が5.9×10−6/Kであるが、熱伝導率が151W/mK、熱膨張率4.2×10−6/KのSiに比べて、熱伝導率が低いため、高発熱素子にGaAsを用いるときは素子厚を0.1mm以下に研磨することが多い。GaAsはSiに比べて脆いことで知られており、さらにこのように0.1mm以下まで研磨して使用するため、GaAs素子を基板に接合する際に発生する応力をできるだけ小さくしないと、素子の欠け、割れ等が生じる。特に、GaAs素子を基板に半田付けを行う際に働く熱応力の影響を小さくするために、基板材料の熱伝導率はGaAsに近い方が望ましい。
【0004】
ところが、窒化アルミニウムの熱膨張率は4.5×10−6/KとGaAsの熱膨張率と大きく異なるため、特に大面積、薄厚のGaAs素子を窒化アルミニウムに接合できないという問題があった。そのため、熱膨張率がGaAsに近く、熱伝導率が高い材料、例えば0.5mm厚程度のCu−WをGaAsと窒化アルミニウム基板の間に挿入するなどの方法で、GaAsの欠け、割れを防止していた。しかしながら、この方法は挿入材を追加する必要があり、挿入材の設置の工数も増えるため、コスト増大の原因になっている。さらには、挿入材を使用するために設計の自由度が無い、GaAs接合後の基板厚を薄くするのに限界がある等の問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、高出力の大面積、薄厚GaAs素子を直接接合できるような、高熱伝導率性の基板材料を提供すること、すなわち、熱膨張率がGaAsに近く、熱伝導率も高い窒化アルミニウム複合焼結体、窒化アルミニウム複合焼結体を用いた基板、窒化アルミニウム複合焼結体や基板を用いた半導体装置、及び窒化アルミニウム複合焼結体の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明が提供する窒化アルミニウム複合焼結体、窒化アルミニウム複合焼結体を用いた基板、窒化アルミニウム複合焼結体や基板を用いた半導体装置及び窒化アルミニウム複合焼結体の製造方法は、以下の(1)〜(15)である。
【0007】
(1)窒化アルミニウムと窒化アルミニウムの焼結助剤とを焼結して得られる窒化アルミニウムを主体とした複合焼結体であって、窒化アルミニウムに対する焼結助剤の添加量を制御することにより、室温における熱膨張率が5.5×10−6/K以上であり、室温における熱伝導率を80W/mK以上であるようにしたことを特徴とする窒化アルミニウム複合焼結体。
【0008】
(2)前記焼結助剤中の金属元素が希土類金属元素又はアルカリ土類金属元素の一つ以上であることを特徴とする(1)に記載の窒化アルミニウム複合焼結体。
【0009】
(3)前記焼結助剤中の金属元素がYであり、該YをY2O3換算で25重量部以上、70重量部含有していることを特徴とする(1)又は(2)に記載の窒化アルミニウム複合焼結体。
【0010】
(4)前記焼結助剤中の金属元素がYbであり、該YbをYb2O3換算で25重量部以上、70重量部含有していることを特徴とする(1)又は(2)に記載の窒化アルミニウム複合焼結体。
【0011】
(5)前記焼結助剤中の金属元素がCaであり、該CaをCaO換算で15重量部以上、70重量部以下含有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の窒化アルミニウム複合焼結体。
【0012】
(6)(1)に記載の窒化アルミニウム複合焼結体の製造方法であって、窒化アルミニウム粉末に、焼結助剤を焼結体の室温での熱膨張率が5.5×10−6/K以上であり、室温での熱伝導率が80W/mK以上になるような割合で添加し、非酸化性雰囲気の中で1600℃以上で焼結することを特徴とする窒化アルミニウム複合焼結体の製造方法。
【0013】
(7)前記焼結助剤が希土類金属の酸化物又はアルカリ土類金属の酸化物の一つ以上であることを特徴とする(5)に記載の窒化アルミニウム複合焼結体の製造方法。
(8)前記焼結助剤がY2O3であり、該Y2O3を25重量部以上、70重量部以下添加することを特徴とする(5)又は(6)に記載の窒化アルミニウム複合焼結体の製造方法。
【0014】
(9)前記焼結助剤がYb2O3であり、該Yb2O3を25重量部以上、70重量部以下添加することを特徴とする(5)又は(6)に記載の窒化アルミニウム複合焼結体の製造方法。
(10)前記焼結助剤がCaOであり、該CaOを15重量部以上、70重量部以下添加することを特徴とする(5)又は(6)に記載の窒化アルミニウム複合焼結体の製造方法。
【0015】
(11)(1)〜(4)のいずれか一項に記載の窒化アルミニウム複合焼結体又は(5)〜(8)のいずれか一項に記載の方法で作製された窒化アルミニウム複合焼結体で構成されたセラミック層に、1種類以上の高融点金属よりなる導体層を形成したことを特徴とする窒化アルミニウム複合焼結体を用いたセラミック基板。
【0016】
(12)前記高融点金属がW、Mo及びTaから選ばれた1種類以上の金属であることを特徴とする(9)に記載の窒化アルミニウム複合焼結体を用いたセラミック基板。
【0017】
(13)(1)〜(4)のいずれか一項に記載の窒化アルミニウム複合焼結体又は(5)〜(8)のいずれか一項に記載の方法で作製された窒化アルミニウム複合焼結体で構成されたセラミック層に、1種類以上の高融点金属よりなる導体層を形成し、セラミック層中に前記複数の導体層を電気的に接続するためのビアホールを形成し、該セラミック層を積層したことを特徴とする窒化アルミニウム複合焼結体を用いた多層セラミック基板。
【0018】
(14)前記高融点金属がW、Mo及びTaから選ばれた1種類以上の金属であることを特徴とする(11)に記載の窒化アルミニウム複合焼結体を用いた多層セラミック基板。
【0019】
(15)(1)〜(4)のいずれか一項に記載の窒化アルミニウム複合焼結体又は(5)〜(8)のいずれか一項に記載の方法で作製された窒化アルミニウム複合焼結体で構成されたセラミック層に、1種類以上の高融点金属よりなるビアホールを形成したことを特徴とする窒化アルミニウム複合焼結体を用いたセラミック基板。
(16)前記高融点金属がW、Mo及びTaから選ばれた1種類以上の金属であることを特徴とする(13)に記載の窒化アルミニウム複合焼結体を用いた多層セラミック基板。
【0020】
(17)(1)〜(4)のいずれか一項に記載の窒化アルミニウム複合焼結体、(5)〜(8)のいずれか一項に記載の方法で作製された窒化アルミニウム複合焼結体、及び、(9)〜(14)のいずれか一項に記載のセラミック基板のいずれかを用いたことを特徴とする半導体装置。
【0021】
(18)窒化アルミニウム複合焼結体又はセラミック基板がGaAsと接合されて用いられることを特徴とする(17)に記載の半導体装置。
【発明の実施の形態】
【0022】
本発明者等は、まず高出力の大面積、薄厚GaAs素子を直接接合するために必要な基板が有すべき条件を、シミュレーションや実験を行うことにより検討を重ねた結果、基板の熱膨張率が5.5×10−6〜10×10−6/Kでなければならないことを掴んだ。熱膨張率がこの範囲にないと、GaAsとの熱膨張率差が大きくなるために、GaAsをAu−GeやAu−Si等のAu系の半田や、Pb−Sn等の半田で接合する際の熱履歴により発生する熱応力が大きくなり、GaAs素子に割れ、欠け等が発生しやすくなる。また、最近の大出力素子で発生する熱を速やかに放熱するために必要な条件を同様に求めた結果、基板の熱伝導率として最低80W/mK以上は必要であることが判った。基板の熱伝導率としては、当然高い方が望ましいが、基板厚等の設計因子を最適化する前提では、最低でも熱伝導率80W/mKが必要となる。望ましくは100W/mK以上、さらに望ましくは120W/mK以上あれば、さらに好ましい。
【0023】
また、基板材料として用いるためには、配線等を備える必要があるため、絶縁体であることが必要となる。また、GaAs素子は数GHz以上の高周波動作することが多い。基板にも、この高周波信号が伝搬するため、基板の誘電率、誘電正接が重要な特性となる。一般的にはアルミナ基板の特性、すなわち比誘電率=9、誘電正接=1×10−4(1MHz)と同等、もしくは低い値が要求される。
【0024】
前述のような特性を備えた材料としてBeOがある。しかしながら、BeOは毒性があるという問題を有している。そこで、高熱伝導率材料として窒化アルミニウムが注目されているが、熱膨張率が4.5×10−6/Kと低く、前述のように直接GaAs素子を接合できないという根本的な問題がある。すなわち、前述のような特性を備えた絶縁体は無いというのが現状である。
【0025】
そこで、本発明者等は前述のような特性を備えた絶縁体を実現すべく、検討を重ねた結果、高熱伝導性の材料と高熱膨張率の材料とを複合させた構造が、最も実現の可能性が高いと結論づけた。そこで、まず高熱伝導性の材料の選択を行った。高熱伝導性の絶縁体材料としては、前述したように窒化アルミニウム、BeO、炭化ケイ素等が挙げられる。しかし、BeOは前述したように毒性があり、炭化ケイ素は多結晶体で比誘電率が40程度と高いため、窒化アルミニウムを高熱伝導性材料として選択した。
【0026】
一方、高熱膨張率の材料であるが、単体として熱膨張率が高いことと共に、窒化アルミニウムの焼結を促進させる材料である必要がある。そのような材料を検討した結果、イットリウム(Y)を初めとする希土類金属や、カルシウム(Ca)を初めとするアルカリ土類金属の酸化物等の窒化アルミニウムの焼結助剤として広く知られている材料が、要求される特性を有していることを見出した。これら焼結助剤の熱膨張率は、例えばY2O3が約9×10−6/K、Yb2O3が約9×10−6/K、CaOが約12×10−6/Kと高いため、窒化アルミニウムと適量混合することによって、窒化アルミニウムの熱膨張率を高めることが可能となる。
【0027】
本発明の窒化アルミニウム複合焼結体を得るには、その原料の混合において、窒化アルミニウム粉末と混合する焼結助剤粉末の割合が、窒化アルミニウム粉末と焼結助剤粉末の合計を100重量部としたときに、少なくとも10重量部でなければならない。混合する焼結助剤は、窒化アルミニウムの焼結を促進する焼結助剤本来としての働きと、複合焼結体として高熱膨張率に寄与する働きがある。混合量が10重量部より小さい場合、焼結助剤は窒化アルミニウムの焼結を促進する本来の焼結助剤としての働きしかしないため、ほとんど窒化アルミニウムの熱膨張率を上げることができない。すなわち、10重量部より小さい混合量では、図1に示したように、混合した焼結助剤が窒化アルミニウムの焼結粒子の先端部分のみに分布し、窒化アルミニウムの焼結粒子同士の粒界を分断するような分布にはならない。そのため、焼結体は窒化アルミニウム粒子のネットワークに支配される構造となっており、熱膨張率もほとんど変化がないのである。
【0028】
一方、混合量が10重量部以上になると、混合した焼結助剤が窒化アルミニウムの焼結粒子の先端部分だけではなく、粒界全体に分布するようになる。さらには、図2に示すように、混合した焼結助剤も粒子状に配列されるようになる。このように焼結助剤が粒界全体に分布するようになると、焼結体はもはや窒化アルミニウム粒子のネットワークだけに支配されるのではなく、窒化アルミニウムと焼結助剤の複合焼結体と言える構造となり、熱膨張率も焼飴助剤の影響を受ける。すなわち混合量を10重量部以上にすることによって、窒化アルミニウム(窒化アルミニウム複合焼結体)の熱膨張率を上げることができるのである。
【0029】
目標とする熱膨張率の範囲、5.5×10−6〜10×10−6/Kにするために焼結助剤の混合量をどれだけにすればよいかは、焼結助剤により単体の熱膨張率が異なるため、それぞれ最適な混合量にする必要がある。例えば、熱膨張率の高いCaOを例にとると、15重量部以上混合することによって、窒化アルミニウム焼結体の熱膨張率が5.5×10−6となる。一方、熱伝導率であるが、焼結助剤である希土類金属、アルカリ土類金属の酸化物等の熱伝導率は窒化アルミニウムより小さいために、混合量を増やすと窒化アルミニウム複合焼結体の熱伝導率が低下することになる。そのため、混合量最大量は、熱伝導率が80W/mK以上となるような値である必要がある。単体の熱伝導率が5W/mK程度であることを仮定すると、混合量の最大値は65〜75重量部程度となる。
【0030】
ところで、窒化アルミニウムに焼結助剤をある規定量以上混合する特許として特許第3183930号があるが、これは、焼結助剤を3重量%以上添加する旨の内容となっており、焼結助剤の上限値についての記載は無い。しかしながら、この特許の意図は、窒化アルミニウムの脱脂処理を含めた焼結性の安定化を図るものであり、本発明のように窒化アルミニウムの特性を変化させた窒化アルミニウム複合焼結体を得る意図は無いものである。実際に記載の実施例には焼結助剤量が7重量%より大きな記載はなく、本発明とは全く異なるものである。
【0031】
ところで、前述のように窒化アルミニウムに希土類金属やアルカリ土類金属の酸化物等の焼結助剤を10重量部以上混合することによって、熱膨張率5.5×10−6/K以上、熱伝導率80W/mK以上の窒化アルミニウム複合焼結体を作製することができる。このとき、焼結助剤としては、一般的に窒化アルミニウムの焼結助剤として好適に用いられている材料単体を用いても良いし、これらを2種類以上組み合わせて用いても良い。また、これらの焼結助剤としては、希土類金属の酸化物、もしくはアルカリ土類金属の酸化物を用いることが好ましい。これらの酸化物が窒化アルミニウムの焼結助剤として、最も一般的に用いられており、焼結等の制御条件を他の焼結助剤より緩く設定することができる。また、これらの酸化物どちらかの単体を用いても良いし、2種類以上の組み合わせでも良い。
【0032】
ただし、より好ましくは、希土類金属の酸化物を使用するのが望ましい。窒化アルミニウム複合焼結体は、前述のように窒化アルミニウム粒と焼結助剤が複合された構造となっているために、信頼性や機械的特性も窒化アルミニウムと焼結助剤単体の特性を併せ持ったものとなる。例えばアルカリ土類金属の酸化物の代表的なものとしてCaOが挙げられるが、空気中の水と二酸化炭素を吸収して、CaCO3とCa(OH)2になることが知られており、長期安定性に問題がある。このように、アルカリ土類金属の酸化物では長期安定性等の問題が生じやすいため、これらが起こりにくい希土類金属の酸化物の使用がより好ましいのである。
【0033】
また、希土類金属の酸化物としては、Y2O3やYb2O3を好適に用いることができる。Y2O3を用いた場合、窒化アルミニウムを100重量部としたときに、25重量部以上、70重量部以下であることが望ましい。Y2O3の熱膨張率は9×10−6/Kである。Y2O3量が25重量部より小さい場合は、窒化アルミニウム複合焼結体の熱膨張率が5.5×10−6/K以上とならないため好ましくない。一方、Y2O3の熱伝導率は5W/mKである。そのため、Y2O3量が70重量部より多くなると、窒化アルミニウム複合焼結体の熱伝導率が80W/mKより小さくなるため好ましくないのである。
【0034】
また、Yb2O3を用いた場合も、25重量部以上、70重量部以下であることが望ましい。Yb2O3の熱膨張率は9×10−6/Kであるため、Y2O3と同じ添加量で窒化アルミニウム複合焼結体の熱膨張率を5.5×10−6/K以上にすることができる。すなわち、Yb2O3でも25重量部以上あれば、窒化アルミニウム複合焼結体の熱膨張率を5.5×10−6/K以上にすることができるのである。一方、Yb2O3の熱伝導率も5W/mKである。そのため、Yb2O3量が70重量部より多くなると、窒化アルミニウム複合焼結体の熱伝導率が80W/mKより小さくなるため好ましくないのである。
【0035】
次に、窒化アルミニウム複合焼結体の製造方法について具体的に述べる。
まず成形方法としては、窒化アルミニウム粉末と焼結助剤粉末にポリビニルブチラール(PVB)等の樹脂結合剤、ジブチルフタレート(DBP)等の可塑剤を混合後、造粒後プレス等で成形を行っても良いし、混合後、ドクターブレード法でグリーンシートを作製しても良い。また、押し出し法等も適用することができる。ただし、複雑な配線構造を持つ基板を作製するのに不可欠な多層構造とするためには、窒化アルミニウム複合焼結体と配線を形成する金属化層を焼結前に積層し、同時焼成する必要がある。この場合、プレス成形では困難であり、グリーンシートを用いることが多い。上下層の配線の導通を確保するスルーホールやビアを形成する場合も、グリーンシートを用いて、同時焼成を行うのが一般的である。なお、これらの成形時に用いる粉末は、焼結性を考慮して平均粒径が0.5〜1.5μmのものが好適に用いられる。
【0036】
以下には、窒化アルミニウム複合焼結体を用いた多層配線基板を作製することを考え、グリーンシートを用いた同時焼成の作製方法について説明する。グリーンシートには必要に応じて、パンチ等を用いてスルーホールを形成する。このスルーホールには後述する組成のペーストが充填される。充填する方法としては、スクリーン印刷など周知の方法を適用すればよい。更に、必要に応じて回路配線等を同様に後述する組成のペーストを塗布して形成する。塗布方法としては、スクリーン印刷、刷毛塗り、スピンローラー塗りなど周知の方法を適用すればよい。
【0037】
前述のスルーホールに充填するペーストは、導体粉末、樹脂結合剤、溶剤からなる。導体粉末としては、W、Mo、Ta等から選ばれた1種類以上の金属を用いることができる。導体粉末は窒化アルミニウム複合焼結体と同時に焼結しなければならないため、後述する窒化アルミニウム複合焼結体の焼結温度で焼結可能な高融点の金属を用いる必要がある。さらには、本発明の窒化アルミニウム複合焼結体の熱膨張率は5.5×10−6/K以上であるため、熱膨張率が近いこれらの金属を用いることが好ましいのである。また、ペーストは、この導体粉末をエチルセルロース、ニトロセルロース等の樹脂結合剤とブチルカルビトール、テルピネオール等の溶剤に、ポットミル、ボールミル、三本ロール等の混合機を用いて分散させることによって作製される。通常樹脂結合剤は、W粉末やマッチング用ガラス等の粉末を100重量部とした場合、1〜3重量部混合し、溶剤は3〜15重量部程度混合する。また、導体粉末の平均粒径は、窒化アルミニウム複合焼結体の原料粉末の平均粒径に近い1〜2μmのものを好適に用いることができる。
【0038】
また、必要に応じてペーストに無機物粉末を混合しても良い。混合する無機物粉末は次の2つの役割を果たすようなものを選択すればよい。
(I)窒化アルミニウム複合焼結体の一部を構成する窒化アルミニウムは金属との濡れ性に劣るため、金属化が困難である。そこで、濡れ性を改善し、金属化した時の窒化アルミニウムとの接着強度を確保するような無機物粉末を混合することで、接着強度の高い金属化層を形成することができる。このような無機物粉末としては、窒化アルミニウム複合焼総体の焼結温度でガラス化するようなAl2O3−SiO2−MgO系粉末やAl2O3−SiO2−CaO系粉末が挙げられる。
【0039】
(II)窒化アルミニウム複合焼結体は後述するように1600〜2000℃で焼結するが、焼結開始する温度は1500〜1800℃である。一方、金属化層に用いるW、Mo、Ta等の導体粉末の焼結開始温度は1500℃程度である。このように、窒化アルミニウム複合焼結体と導体粉末の焼結開始温度が大きく異なるときには、例えばスルーホールに充填したペーストを考えると、母材が焼結開始、すなわち収縮開始するより前に、ペースト部分が収縮開始することになる。そのため、ビア周辺の結合が弱い部分にクラックが生じやすくなる。例えば、ビアホールに充填したペーストに不均一部分があればビア内部にクラックが生じ、母材に何かしらの欠陥があれば母材にクラックが生じ、さらに、これに起因して接合強度も低下する。これを防ぐためには、焼結開始温度の高い導体粉末を選択し、窒化アルミニウム複合焼結体の焼結開始温度に近づける必要がある。このような無機物粉末としては、窒化アルミニウム複合焼結体と同一組成の無機物粉末が挙げられる。
【0040】
上記のようなペーストをグリーンシートのスルーホールに充填した後、必要に応じて回路印刷を行う。回路印刷もビア形成と同様にスクリーン印刷等の方法を用いることができる。ペースト組成はビアで用いたペーストと同一組成のものを用いることができる。このように回路印刷した後、必要に応じてグリーンシートを積層する。積層はシートをモールド中にセットした後に、プレス機により50〜80℃程度に熱しながら、5〜10MPa程度の圧力を10〜20分程度かけることにより、熱圧着する。シート間には必要に応じて溶剤や接着剤を塗布してもよい。
【0041】
積層したシートは、任意の形に切断された後に焼結される。焼結に先立ち、グリーンシートの樹脂結合剤、可塑剤、及びペーストの媒体を除去するために、例えば300〜800℃というような温度で脱脂処理をしてもよい。
【0042】
焼結は非酸化性雰囲気中で行うが、窒素雰囲気中で行うのが好ましい。焼結温、焼結時間は、焼結後の窒化アルミニウム複合焼結体の熱膨張率、熱伝導率等の特性が所望の値となるように設定される。一般的に焼結温度は1600〜2000℃であり、焼結時間は1〜5時間程度に設定される。
【0043】
また、本発明の窒化アルミニウム複合焼結体を基板材料として用いる場合、基板表面の配線を形成する金属化層や接続端子が取り付けられる金属化層の表面には、耐食性を向上させたり、ろう材や半田の滞れ性を向上させて接合強度を高めるために、NiやAu等の導電性金属を電気めっき、無電解めっき等の手段により被覆してもよい。
【0044】
さらに、基板表面の金属化層にリード、ピン、半田ボール等の接続端子をろう材や半田で接続してもよい。また、基板表面にGaAS等の素子を実装した後、セラミックスや金属からなる蓋を基板表面に金属化層と同様な導体からなる金属層を介して接合することにより素子を気密に封止した半導体装置を得ることができる。
【0045】
前記のごとく、本発明の窒化アルミニウム複合焼結体は、熱膨張率が5.5×10−6/K以上で、熱伝導率が80W/mK以上であるため、高出力のGaAs素子を接合しても、GaAs素子に過大な熱応力が働かないため、GaAs素子に欠けや割れが生じることがない。そのため、GaAs素子実装用を初めとする種々の基板材料として好適に用いることができる。
【0046】
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
窒化アルミニウム粉末とY2O3粉末を種々の割合で混合して後掲の表1に示すとおりの混合比の試料1〜10を作製した。表1中のY2O3混合量は窒化アルミニウム粉末とY2O3粉末の合計を100重量部としたときに、混合したY2O3の割合である。それぞれの粉末は平均粒径0.8μmのものを使用した。混合は溶剤としてトルエンとメチルエチルケトンの混合溶剤中に粉末を投入し、ナイロン製のボールミルにて行った。まず、粉末と溶剤だけで混合し、後に樹脂結合剤、可塑剤を投入した。樹脂結合剤としてはポリビニルブチラール、可塑剤としてはジブチルフタレートを用い、それぞれ10重量部、5重量部混合した。その後、ドクターブレード法にて0.5mm厚のグリーンシートを成形した。
【0047】
これを金型を使用して100mm×100mmに打ち抜いた。次に、このシートを8枚重ねて積層した。積層はモールドにシートを8枚重ねてセットし、プレス機にて50℃に熱しつつ、10MPaの圧力で2分間熱圧着することで行った。その後、窒素雰囲気中で600℃にて脱脂を行い、窒素雰囲気中で1900℃、3時間の条件で焼結を行った。昇温時間は10℃/分とした。
【0048】
焼結後、熱膨張率と熱伝導率を測定するために、窒化アルミニウム複合焼結体を加工して試料を作製した。熱伝導率はレーザーフラッシュ法により測定し、熱膨張率は押し棒式により20〜400℃の平均熱膨張率を測定した。結果を下記の表1に示す。Y2O3の混合量を10重量部以上にすることによって、初めて窒化アルミニウム複合焼結体の熱膨張率が増加を始めることが分かる。また、Y2O3の混合量を25重量部以上とすることで、窒化アルミニウム複合焼結体の熱膨張率を5.5×10−6/K以上とすることができる。また、Y2O3の混合量を70重量部以下とすることで、窒化アルミニウム複合焼結体の熱伝導率を80W/mK以上とすることができる。
【0049】
【表1】
【0050】
【実施例2】
窒化アルミニウム粉末とYb2O3粉末を種々の割合で混合して後掲の表2に示すとおりの混合比の試料11〜20を作製した。表中2のYb2O3混合量は窒化アルミニウム粉末とYb2O3粉末の合計を100重量部としたときに、混合したYb2O3の割合である。それぞれの粉末は平均粒径0.8μmのものを使用した。その他を実施例1と同様にして熱膨張率と熱伝導率の測定を行った。結果を下記の表2に示す。
【0051】
表2から、Yb2O3の混合量を10重量部以上にすることによって、初めて窒化アルミニウム複合焼結体の熱膨張率が増加を如めることが分かる。また、Yb2O3の混合量を25重量部以上とすることで、窒化アルミニウム複合焼結体の熱膨張率を5.5×10−6/K以上とすることができる。また、Yb2O3の混合量を70重量部以下とすることで、窒化アルミニウム複合焼結体の熱伝導率を80W/mK以上とすることができる。
【0052】
【表2】
【0053】
【実施例3】
窒化アルミニウム粉末とCaO粉末とを種々の割合で混合した。それぞれの粉末は平均粒径0.8μmのものを使用した。その他の条件を実施例1と同様にして窒化アルミニウム複合焼結体を得て、その熱膨張率と熱伝導率の測定を行った。その結果を表3に示す。
表中のCaO混合量は窒化アルミニウム粉末とCaO粉末の合計を100重量部としたときの混合したCaOの割合である。CaOの混合割合を15重量部以上、70重量部以下とすることで、窒化アルミニウム複合焼結体の熱膨張率を
5.5×10−6/K以上であり、室温における熱伝導率を80W/mK以上とすることができる。
【0054】
【表3】
【0055】
【実施例4】
実施例4では、図3に示すIC用パッケージを次に述べるように作製し、本発明の半導体装置の一例を製造した。
まず、窒化アルミニウム粉末とY2O3粉末を同重量となるように秤量し、トルエンとメチルエチルケトンを混合した溶剤中で混合した。混合はボールミルを用い12時間行った。使用した粉末はそれぞれ平均粒径0.8μmであった。粉末と溶剤の混合が終了した後、樹脂結合剤としてポリビニルブチラールを、可塑剤としてジブチルフタレートを、混合が終了したボールミル中に投入した。投入量は、窒化アルミニウム粉末とY2O3粉末の合計を100重量部とした場合、それぞれ10重量部、5重量部とした。このように樹脂結合剤と可塑剤を投入した後、さらに12時間ボールミル混合した。
【0056】
この様にしてできあがったスラリーをドクターブレード法にて0.3〜0.5mm厚のグリーンシートヘ成形した。これを金型を使用して100mm×100mmに打ち抜いた後、パンチャーにて直径0.3mmのスルーホールを形成した。次に、このスルーホールにWペーストを充填した。Wペーストは平均粒径1.5μmのW粉末を100重量部として、5重量部の樹脂結合剤であるエチルセルロースと、5重量部の溶媒であるブチルカルビトールに分散させることにより作製した。混合は3本ロールを用いて行った。また、充填はスクリーン印刷機により行った。さらに、同じペーストに5重量部のブチルカルビトールを混合し、粘度を低下させ、スクリーン印刷機にて325メッシュ、乳剤厚20μmのスクリーンを用いて回路印刷を行った。次に、印刷後のシートを8枚重ねて積層した。積層はモールドにシートを8枚重ねてセットし、プレス機にて50℃に熱しつつ、10MPaの圧力で2分間熱圧着することで行った。その後、窒素雰囲気中で600℃にて脱脂を行い、窒素雰囲気中で1900℃、3時間の条件で焼結を行った。得られた焼結体の熱膨張率は6.5×10−6/Kで、熱伝導率は100W/mKであった。
【0057】
この様に焼結された窒化アルミニウム基板の金属化層の上に、無電解めっき法にて厚み3μmのNiめっき層を形成した。次に800℃のホーミングガス中でめっき層をアニールし、次に直径0.5mm、引っ張り強度500MPaのFe−Ni−Co合金ピンを銀ろうを用いてろう付けした。ろう付け温度は800℃、雰囲気は水素及び窒素の混合ガス雰囲気であった。次に、さらに電気めっき法にて厚み3μmのNi−Auのめっき層を形成した。
【0058】
以上のようにして作製した図3に示すIC用パッケージについて説明する。本実施例のIC用パッケージの寸法は50mm×50mm×2.5mmであった。図3中、符号1は本発明の窒化アルミニウム複合焼結体層である。2は信号や電源等の導体層であり、窒化アルミニウム複合焼結体層に形成されたビア3を介して各層は電気的に接続されている。また、このIC用パッケージにはIC素子が実装できるようにダイパッド4及びボンデイングパッド5が形成されている。ダイパッド4上にIC素子を実装し、ワイヤーボンド等を用いてIC素子とボンデイングパッド5を接続することにより、IC素子と本IC用パッケージを電気的に接続することができる。また、IC用パッケージ外に信号や電源を取り出したり、ICパッケージ内に信号や電源を取り入れたりするための入出力用パッド6がICパッケージ裏面に形成されている。入出力用パッド6には、さらに入出力用ピン7がろう付けされており、IC用パッケージ外の様々な基板や装置と接続しやすい形態となっている。
【0059】
今までの説明にあるように図3に示すIC用パッケージではIC素子との電気的な接続をワイヤーボンドで行い、IC用パッケージ外の基板等との接続はピンで行った。しかし、例えばIC素子とIC用パッケージの接続を半田ボールや金ボールで行ったり、IC用パッケージ外との接続を半田ボールやリードフレーム等で行ったりすることもできる。
【0060】
次に、以上述べたIC用パッケージに、5mm×5mm×0.05mmの50Wの発熱回路を有するGaAs素子を、Au−Si系の半田を用いて接合した。接合温度は350℃とした。接合後、40倍の顕微鏡にてGaAs素子を観察したが、欠け、割れ等は全く発生していなかった。
【0061】
次に、50Wの発熱回路を有するGaAs素子と本IC用パッケージをワイヤーボンドにて電気的に接合した。また、本IC用パッケージを、電源装置等を組み込んだ大型基板上に接続し、IC用パッケージを通じてGaAs素子に給電してGaAs素子を発熱させた。GaAs素子の温度が安定した所で、GaAs素子の温度を測定したところ、90℃であり、GaAs素子の動作は安定していた。
【0062】
【比較例1】
実施例4で述べた図3に示すIC用パッケージを窒化アルミニウムを用いて作製した。
窒化アルミニウムは平均粒径0.8μmの窒化アルミニウム粉末と平均粒径0.8μmのY2O3粉末を97:3の割合で混合して作製した。できあがった窒化アルミニウム製IC用パッケージに実施例3と同様にGaAs素子をAu−Si系の半田を用いて接合した。接合温度は350℃とした。接合後、40倍の顕微鏡にてGaAs素子を観察したが、GaAs素子の端部に割れが認められた。次に、実施例3と同様にGaAs素子と本IC用パッケージをワイヤーボンドにて電気的に接合した後に、本IC用パッケージを、電源装置等を組み込んだ大型基板上に接続し、IC用パッケージを通じてGaAs素子に給電してGaAs素子を発熱させた。しかし、GaAs素子は正常な動作を示さなかった。
【0063】
【比較例2】
実施例4で述べた図3に示すIC用パッケージをアルミナを用いて作製した。次にできあがったアルミナ製IC用パッケージに実施例3と同様にGaAs素子をAu−Si系の半田を用いて接合した。接合温度は350℃とした。接合後、40倍の顕微鏡にてGaAs素子を観察したが、欠け、割れ等は全く発生していなかった。
【0064】
次に、実施例4と同様にGaAs素子と本IC用パッケージをワイヤーボンドにて電気的に接合した後に、本IC用パッケージを、電源装置等を組み込んだ大型基板上に接続し、IC用パッケージを通じてGaAs素子に給電してGaAs素子を発熱させた。しかし、当初GaAs素子は正常な動作を示したが、しばらくすると正常な動作をしなくなった。動作時の温度を測定すると、GaAs素子の温度が150℃以上の高温になっていたことが判った。
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、窒化アルミニウム粉末と窒化アルミニウムの焼結助剤の合計100重量部に対して、窒化アルミニウムの焼結助剤を10重量部以上添加することによって、室温における熱膨張率が5.5×10−6/K以上、室温における熱伝導率が80W/mK以上の窒化アルミニウム複合焼結体を得ることができる。焼結助剤としては、希土類金属の酸化物もしくはアルカリ土類金属の酸化物の一つ以上を用いることができ、特に25〜70重量部のY2O3、Yb2O3、15〜70重量部のCaOを好適に用いることができる。このような高熱膨張率、高熱伝導率を有する窒化アルミニウム複合焼結体は高出力GaAs素子を割れ、欠けなく直接接合することができるため、IC用の基板、パッケージとして好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】焼結助剤が少ないときの窒化アルミニウムの構造を示した模式図である。
【図2】焼結助剤が多い時の窒化アルミニウム複合焼結体の構造を示した模式図である。
【図3】実施例で製造したIC用パッケージを説明するための図である。
【符号の説明】
1 窒化アルミニウム複合焼結体層
2 導体層
3 ビア
4 ダイパッド
5 ボンディングパッド
6 入出力用パッド
7 入出力用ピン
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体やIC用の基板、パッケージとして有用な窒化アルミニウム複合焼結体、窒化アルミニウム複合焼結体を用いたセラミック基板、窒化アルミニウム複合焼結体やセラミック基板を用いた半導体装置、及び窒化アルミニウム複合焼結体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータや通信装置等に使用する半導体素子の高速化や集積度の増加が急速に進み、これに伴って半導体素子から発生する熱の影響が、伝送信号の安定性や信頼性において無視できないものになっている。そのため、半導体素子で発生した熱を効率的に除去するために、半導体基板材料には高い熱伝導率が要求されるようになっている。これに対して、窒化アルミニウム焼結体は、熱伝導率が従来基板材料として用いられてきたアルミナの10倍以上高く、電気絶縁性や機械的強度ともに優れているために、半導体基板材料として注目されている。
【0003】
一方、半導体素子においては、高速化に伴って、従来主に用いられてきたSiだけではなくGaAsも用いられるようになってきた。GaAsは熱伝導率が46W/mK、熱膨張率が5.9×10−6/Kであるが、熱伝導率が151W/mK、熱膨張率4.2×10−6/KのSiに比べて、熱伝導率が低いため、高発熱素子にGaAsを用いるときは素子厚を0.1mm以下に研磨することが多い。GaAsはSiに比べて脆いことで知られており、さらにこのように0.1mm以下まで研磨して使用するため、GaAs素子を基板に接合する際に発生する応力をできるだけ小さくしないと、素子の欠け、割れ等が生じる。特に、GaAs素子を基板に半田付けを行う際に働く熱応力の影響を小さくするために、基板材料の熱伝導率はGaAsに近い方が望ましい。
【0004】
ところが、窒化アルミニウムの熱膨張率は4.5×10−6/KとGaAsの熱膨張率と大きく異なるため、特に大面積、薄厚のGaAs素子を窒化アルミニウムに接合できないという問題があった。そのため、熱膨張率がGaAsに近く、熱伝導率が高い材料、例えば0.5mm厚程度のCu−WをGaAsと窒化アルミニウム基板の間に挿入するなどの方法で、GaAsの欠け、割れを防止していた。しかしながら、この方法は挿入材を追加する必要があり、挿入材の設置の工数も増えるため、コスト増大の原因になっている。さらには、挿入材を使用するために設計の自由度が無い、GaAs接合後の基板厚を薄くするのに限界がある等の問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、高出力の大面積、薄厚GaAs素子を直接接合できるような、高熱伝導率性の基板材料を提供すること、すなわち、熱膨張率がGaAsに近く、熱伝導率も高い窒化アルミニウム複合焼結体、窒化アルミニウム複合焼結体を用いた基板、窒化アルミニウム複合焼結体や基板を用いた半導体装置、及び窒化アルミニウム複合焼結体の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明が提供する窒化アルミニウム複合焼結体、窒化アルミニウム複合焼結体を用いた基板、窒化アルミニウム複合焼結体や基板を用いた半導体装置及び窒化アルミニウム複合焼結体の製造方法は、以下の(1)〜(15)である。
【0007】
(1)窒化アルミニウムと窒化アルミニウムの焼結助剤とを焼結して得られる窒化アルミニウムを主体とした複合焼結体であって、窒化アルミニウムに対する焼結助剤の添加量を制御することにより、室温における熱膨張率が5.5×10−6/K以上であり、室温における熱伝導率を80W/mK以上であるようにしたことを特徴とする窒化アルミニウム複合焼結体。
【0008】
(2)前記焼結助剤中の金属元素が希土類金属元素又はアルカリ土類金属元素の一つ以上であることを特徴とする(1)に記載の窒化アルミニウム複合焼結体。
【0009】
(3)前記焼結助剤中の金属元素がYであり、該YをY2O3換算で25重量部以上、70重量部含有していることを特徴とする(1)又は(2)に記載の窒化アルミニウム複合焼結体。
【0010】
(4)前記焼結助剤中の金属元素がYbであり、該YbをYb2O3換算で25重量部以上、70重量部含有していることを特徴とする(1)又は(2)に記載の窒化アルミニウム複合焼結体。
【0011】
(5)前記焼結助剤中の金属元素がCaであり、該CaをCaO換算で15重量部以上、70重量部以下含有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の窒化アルミニウム複合焼結体。
【0012】
(6)(1)に記載の窒化アルミニウム複合焼結体の製造方法であって、窒化アルミニウム粉末に、焼結助剤を焼結体の室温での熱膨張率が5.5×10−6/K以上であり、室温での熱伝導率が80W/mK以上になるような割合で添加し、非酸化性雰囲気の中で1600℃以上で焼結することを特徴とする窒化アルミニウム複合焼結体の製造方法。
【0013】
(7)前記焼結助剤が希土類金属の酸化物又はアルカリ土類金属の酸化物の一つ以上であることを特徴とする(5)に記載の窒化アルミニウム複合焼結体の製造方法。
(8)前記焼結助剤がY2O3であり、該Y2O3を25重量部以上、70重量部以下添加することを特徴とする(5)又は(6)に記載の窒化アルミニウム複合焼結体の製造方法。
【0014】
(9)前記焼結助剤がYb2O3であり、該Yb2O3を25重量部以上、70重量部以下添加することを特徴とする(5)又は(6)に記載の窒化アルミニウム複合焼結体の製造方法。
(10)前記焼結助剤がCaOであり、該CaOを15重量部以上、70重量部以下添加することを特徴とする(5)又は(6)に記載の窒化アルミニウム複合焼結体の製造方法。
【0015】
(11)(1)〜(4)のいずれか一項に記載の窒化アルミニウム複合焼結体又は(5)〜(8)のいずれか一項に記載の方法で作製された窒化アルミニウム複合焼結体で構成されたセラミック層に、1種類以上の高融点金属よりなる導体層を形成したことを特徴とする窒化アルミニウム複合焼結体を用いたセラミック基板。
【0016】
(12)前記高融点金属がW、Mo及びTaから選ばれた1種類以上の金属であることを特徴とする(9)に記載の窒化アルミニウム複合焼結体を用いたセラミック基板。
【0017】
(13)(1)〜(4)のいずれか一項に記載の窒化アルミニウム複合焼結体又は(5)〜(8)のいずれか一項に記載の方法で作製された窒化アルミニウム複合焼結体で構成されたセラミック層に、1種類以上の高融点金属よりなる導体層を形成し、セラミック層中に前記複数の導体層を電気的に接続するためのビアホールを形成し、該セラミック層を積層したことを特徴とする窒化アルミニウム複合焼結体を用いた多層セラミック基板。
【0018】
(14)前記高融点金属がW、Mo及びTaから選ばれた1種類以上の金属であることを特徴とする(11)に記載の窒化アルミニウム複合焼結体を用いた多層セラミック基板。
【0019】
(15)(1)〜(4)のいずれか一項に記載の窒化アルミニウム複合焼結体又は(5)〜(8)のいずれか一項に記載の方法で作製された窒化アルミニウム複合焼結体で構成されたセラミック層に、1種類以上の高融点金属よりなるビアホールを形成したことを特徴とする窒化アルミニウム複合焼結体を用いたセラミック基板。
(16)前記高融点金属がW、Mo及びTaから選ばれた1種類以上の金属であることを特徴とする(13)に記載の窒化アルミニウム複合焼結体を用いた多層セラミック基板。
【0020】
(17)(1)〜(4)のいずれか一項に記載の窒化アルミニウム複合焼結体、(5)〜(8)のいずれか一項に記載の方法で作製された窒化アルミニウム複合焼結体、及び、(9)〜(14)のいずれか一項に記載のセラミック基板のいずれかを用いたことを特徴とする半導体装置。
【0021】
(18)窒化アルミニウム複合焼結体又はセラミック基板がGaAsと接合されて用いられることを特徴とする(17)に記載の半導体装置。
【発明の実施の形態】
【0022】
本発明者等は、まず高出力の大面積、薄厚GaAs素子を直接接合するために必要な基板が有すべき条件を、シミュレーションや実験を行うことにより検討を重ねた結果、基板の熱膨張率が5.5×10−6〜10×10−6/Kでなければならないことを掴んだ。熱膨張率がこの範囲にないと、GaAsとの熱膨張率差が大きくなるために、GaAsをAu−GeやAu−Si等のAu系の半田や、Pb−Sn等の半田で接合する際の熱履歴により発生する熱応力が大きくなり、GaAs素子に割れ、欠け等が発生しやすくなる。また、最近の大出力素子で発生する熱を速やかに放熱するために必要な条件を同様に求めた結果、基板の熱伝導率として最低80W/mK以上は必要であることが判った。基板の熱伝導率としては、当然高い方が望ましいが、基板厚等の設計因子を最適化する前提では、最低でも熱伝導率80W/mKが必要となる。望ましくは100W/mK以上、さらに望ましくは120W/mK以上あれば、さらに好ましい。
【0023】
また、基板材料として用いるためには、配線等を備える必要があるため、絶縁体であることが必要となる。また、GaAs素子は数GHz以上の高周波動作することが多い。基板にも、この高周波信号が伝搬するため、基板の誘電率、誘電正接が重要な特性となる。一般的にはアルミナ基板の特性、すなわち比誘電率=9、誘電正接=1×10−4(1MHz)と同等、もしくは低い値が要求される。
【0024】
前述のような特性を備えた材料としてBeOがある。しかしながら、BeOは毒性があるという問題を有している。そこで、高熱伝導率材料として窒化アルミニウムが注目されているが、熱膨張率が4.5×10−6/Kと低く、前述のように直接GaAs素子を接合できないという根本的な問題がある。すなわち、前述のような特性を備えた絶縁体は無いというのが現状である。
【0025】
そこで、本発明者等は前述のような特性を備えた絶縁体を実現すべく、検討を重ねた結果、高熱伝導性の材料と高熱膨張率の材料とを複合させた構造が、最も実現の可能性が高いと結論づけた。そこで、まず高熱伝導性の材料の選択を行った。高熱伝導性の絶縁体材料としては、前述したように窒化アルミニウム、BeO、炭化ケイ素等が挙げられる。しかし、BeOは前述したように毒性があり、炭化ケイ素は多結晶体で比誘電率が40程度と高いため、窒化アルミニウムを高熱伝導性材料として選択した。
【0026】
一方、高熱膨張率の材料であるが、単体として熱膨張率が高いことと共に、窒化アルミニウムの焼結を促進させる材料である必要がある。そのような材料を検討した結果、イットリウム(Y)を初めとする希土類金属や、カルシウム(Ca)を初めとするアルカリ土類金属の酸化物等の窒化アルミニウムの焼結助剤として広く知られている材料が、要求される特性を有していることを見出した。これら焼結助剤の熱膨張率は、例えばY2O3が約9×10−6/K、Yb2O3が約9×10−6/K、CaOが約12×10−6/Kと高いため、窒化アルミニウムと適量混合することによって、窒化アルミニウムの熱膨張率を高めることが可能となる。
【0027】
本発明の窒化アルミニウム複合焼結体を得るには、その原料の混合において、窒化アルミニウム粉末と混合する焼結助剤粉末の割合が、窒化アルミニウム粉末と焼結助剤粉末の合計を100重量部としたときに、少なくとも10重量部でなければならない。混合する焼結助剤は、窒化アルミニウムの焼結を促進する焼結助剤本来としての働きと、複合焼結体として高熱膨張率に寄与する働きがある。混合量が10重量部より小さい場合、焼結助剤は窒化アルミニウムの焼結を促進する本来の焼結助剤としての働きしかしないため、ほとんど窒化アルミニウムの熱膨張率を上げることができない。すなわち、10重量部より小さい混合量では、図1に示したように、混合した焼結助剤が窒化アルミニウムの焼結粒子の先端部分のみに分布し、窒化アルミニウムの焼結粒子同士の粒界を分断するような分布にはならない。そのため、焼結体は窒化アルミニウム粒子のネットワークに支配される構造となっており、熱膨張率もほとんど変化がないのである。
【0028】
一方、混合量が10重量部以上になると、混合した焼結助剤が窒化アルミニウムの焼結粒子の先端部分だけではなく、粒界全体に分布するようになる。さらには、図2に示すように、混合した焼結助剤も粒子状に配列されるようになる。このように焼結助剤が粒界全体に分布するようになると、焼結体はもはや窒化アルミニウム粒子のネットワークだけに支配されるのではなく、窒化アルミニウムと焼結助剤の複合焼結体と言える構造となり、熱膨張率も焼飴助剤の影響を受ける。すなわち混合量を10重量部以上にすることによって、窒化アルミニウム(窒化アルミニウム複合焼結体)の熱膨張率を上げることができるのである。
【0029】
目標とする熱膨張率の範囲、5.5×10−6〜10×10−6/Kにするために焼結助剤の混合量をどれだけにすればよいかは、焼結助剤により単体の熱膨張率が異なるため、それぞれ最適な混合量にする必要がある。例えば、熱膨張率の高いCaOを例にとると、15重量部以上混合することによって、窒化アルミニウム焼結体の熱膨張率が5.5×10−6となる。一方、熱伝導率であるが、焼結助剤である希土類金属、アルカリ土類金属の酸化物等の熱伝導率は窒化アルミニウムより小さいために、混合量を増やすと窒化アルミニウム複合焼結体の熱伝導率が低下することになる。そのため、混合量最大量は、熱伝導率が80W/mK以上となるような値である必要がある。単体の熱伝導率が5W/mK程度であることを仮定すると、混合量の最大値は65〜75重量部程度となる。
【0030】
ところで、窒化アルミニウムに焼結助剤をある規定量以上混合する特許として特許第3183930号があるが、これは、焼結助剤を3重量%以上添加する旨の内容となっており、焼結助剤の上限値についての記載は無い。しかしながら、この特許の意図は、窒化アルミニウムの脱脂処理を含めた焼結性の安定化を図るものであり、本発明のように窒化アルミニウムの特性を変化させた窒化アルミニウム複合焼結体を得る意図は無いものである。実際に記載の実施例には焼結助剤量が7重量%より大きな記載はなく、本発明とは全く異なるものである。
【0031】
ところで、前述のように窒化アルミニウムに希土類金属やアルカリ土類金属の酸化物等の焼結助剤を10重量部以上混合することによって、熱膨張率5.5×10−6/K以上、熱伝導率80W/mK以上の窒化アルミニウム複合焼結体を作製することができる。このとき、焼結助剤としては、一般的に窒化アルミニウムの焼結助剤として好適に用いられている材料単体を用いても良いし、これらを2種類以上組み合わせて用いても良い。また、これらの焼結助剤としては、希土類金属の酸化物、もしくはアルカリ土類金属の酸化物を用いることが好ましい。これらの酸化物が窒化アルミニウムの焼結助剤として、最も一般的に用いられており、焼結等の制御条件を他の焼結助剤より緩く設定することができる。また、これらの酸化物どちらかの単体を用いても良いし、2種類以上の組み合わせでも良い。
【0032】
ただし、より好ましくは、希土類金属の酸化物を使用するのが望ましい。窒化アルミニウム複合焼結体は、前述のように窒化アルミニウム粒と焼結助剤が複合された構造となっているために、信頼性や機械的特性も窒化アルミニウムと焼結助剤単体の特性を併せ持ったものとなる。例えばアルカリ土類金属の酸化物の代表的なものとしてCaOが挙げられるが、空気中の水と二酸化炭素を吸収して、CaCO3とCa(OH)2になることが知られており、長期安定性に問題がある。このように、アルカリ土類金属の酸化物では長期安定性等の問題が生じやすいため、これらが起こりにくい希土類金属の酸化物の使用がより好ましいのである。
【0033】
また、希土類金属の酸化物としては、Y2O3やYb2O3を好適に用いることができる。Y2O3を用いた場合、窒化アルミニウムを100重量部としたときに、25重量部以上、70重量部以下であることが望ましい。Y2O3の熱膨張率は9×10−6/Kである。Y2O3量が25重量部より小さい場合は、窒化アルミニウム複合焼結体の熱膨張率が5.5×10−6/K以上とならないため好ましくない。一方、Y2O3の熱伝導率は5W/mKである。そのため、Y2O3量が70重量部より多くなると、窒化アルミニウム複合焼結体の熱伝導率が80W/mKより小さくなるため好ましくないのである。
【0034】
また、Yb2O3を用いた場合も、25重量部以上、70重量部以下であることが望ましい。Yb2O3の熱膨張率は9×10−6/Kであるため、Y2O3と同じ添加量で窒化アルミニウム複合焼結体の熱膨張率を5.5×10−6/K以上にすることができる。すなわち、Yb2O3でも25重量部以上あれば、窒化アルミニウム複合焼結体の熱膨張率を5.5×10−6/K以上にすることができるのである。一方、Yb2O3の熱伝導率も5W/mKである。そのため、Yb2O3量が70重量部より多くなると、窒化アルミニウム複合焼結体の熱伝導率が80W/mKより小さくなるため好ましくないのである。
【0035】
次に、窒化アルミニウム複合焼結体の製造方法について具体的に述べる。
まず成形方法としては、窒化アルミニウム粉末と焼結助剤粉末にポリビニルブチラール(PVB)等の樹脂結合剤、ジブチルフタレート(DBP)等の可塑剤を混合後、造粒後プレス等で成形を行っても良いし、混合後、ドクターブレード法でグリーンシートを作製しても良い。また、押し出し法等も適用することができる。ただし、複雑な配線構造を持つ基板を作製するのに不可欠な多層構造とするためには、窒化アルミニウム複合焼結体と配線を形成する金属化層を焼結前に積層し、同時焼成する必要がある。この場合、プレス成形では困難であり、グリーンシートを用いることが多い。上下層の配線の導通を確保するスルーホールやビアを形成する場合も、グリーンシートを用いて、同時焼成を行うのが一般的である。なお、これらの成形時に用いる粉末は、焼結性を考慮して平均粒径が0.5〜1.5μmのものが好適に用いられる。
【0036】
以下には、窒化アルミニウム複合焼結体を用いた多層配線基板を作製することを考え、グリーンシートを用いた同時焼成の作製方法について説明する。グリーンシートには必要に応じて、パンチ等を用いてスルーホールを形成する。このスルーホールには後述する組成のペーストが充填される。充填する方法としては、スクリーン印刷など周知の方法を適用すればよい。更に、必要に応じて回路配線等を同様に後述する組成のペーストを塗布して形成する。塗布方法としては、スクリーン印刷、刷毛塗り、スピンローラー塗りなど周知の方法を適用すればよい。
【0037】
前述のスルーホールに充填するペーストは、導体粉末、樹脂結合剤、溶剤からなる。導体粉末としては、W、Mo、Ta等から選ばれた1種類以上の金属を用いることができる。導体粉末は窒化アルミニウム複合焼結体と同時に焼結しなければならないため、後述する窒化アルミニウム複合焼結体の焼結温度で焼結可能な高融点の金属を用いる必要がある。さらには、本発明の窒化アルミニウム複合焼結体の熱膨張率は5.5×10−6/K以上であるため、熱膨張率が近いこれらの金属を用いることが好ましいのである。また、ペーストは、この導体粉末をエチルセルロース、ニトロセルロース等の樹脂結合剤とブチルカルビトール、テルピネオール等の溶剤に、ポットミル、ボールミル、三本ロール等の混合機を用いて分散させることによって作製される。通常樹脂結合剤は、W粉末やマッチング用ガラス等の粉末を100重量部とした場合、1〜3重量部混合し、溶剤は3〜15重量部程度混合する。また、導体粉末の平均粒径は、窒化アルミニウム複合焼結体の原料粉末の平均粒径に近い1〜2μmのものを好適に用いることができる。
【0038】
また、必要に応じてペーストに無機物粉末を混合しても良い。混合する無機物粉末は次の2つの役割を果たすようなものを選択すればよい。
(I)窒化アルミニウム複合焼結体の一部を構成する窒化アルミニウムは金属との濡れ性に劣るため、金属化が困難である。そこで、濡れ性を改善し、金属化した時の窒化アルミニウムとの接着強度を確保するような無機物粉末を混合することで、接着強度の高い金属化層を形成することができる。このような無機物粉末としては、窒化アルミニウム複合焼総体の焼結温度でガラス化するようなAl2O3−SiO2−MgO系粉末やAl2O3−SiO2−CaO系粉末が挙げられる。
【0039】
(II)窒化アルミニウム複合焼結体は後述するように1600〜2000℃で焼結するが、焼結開始する温度は1500〜1800℃である。一方、金属化層に用いるW、Mo、Ta等の導体粉末の焼結開始温度は1500℃程度である。このように、窒化アルミニウム複合焼結体と導体粉末の焼結開始温度が大きく異なるときには、例えばスルーホールに充填したペーストを考えると、母材が焼結開始、すなわち収縮開始するより前に、ペースト部分が収縮開始することになる。そのため、ビア周辺の結合が弱い部分にクラックが生じやすくなる。例えば、ビアホールに充填したペーストに不均一部分があればビア内部にクラックが生じ、母材に何かしらの欠陥があれば母材にクラックが生じ、さらに、これに起因して接合強度も低下する。これを防ぐためには、焼結開始温度の高い導体粉末を選択し、窒化アルミニウム複合焼結体の焼結開始温度に近づける必要がある。このような無機物粉末としては、窒化アルミニウム複合焼結体と同一組成の無機物粉末が挙げられる。
【0040】
上記のようなペーストをグリーンシートのスルーホールに充填した後、必要に応じて回路印刷を行う。回路印刷もビア形成と同様にスクリーン印刷等の方法を用いることができる。ペースト組成はビアで用いたペーストと同一組成のものを用いることができる。このように回路印刷した後、必要に応じてグリーンシートを積層する。積層はシートをモールド中にセットした後に、プレス機により50〜80℃程度に熱しながら、5〜10MPa程度の圧力を10〜20分程度かけることにより、熱圧着する。シート間には必要に応じて溶剤や接着剤を塗布してもよい。
【0041】
積層したシートは、任意の形に切断された後に焼結される。焼結に先立ち、グリーンシートの樹脂結合剤、可塑剤、及びペーストの媒体を除去するために、例えば300〜800℃というような温度で脱脂処理をしてもよい。
【0042】
焼結は非酸化性雰囲気中で行うが、窒素雰囲気中で行うのが好ましい。焼結温、焼結時間は、焼結後の窒化アルミニウム複合焼結体の熱膨張率、熱伝導率等の特性が所望の値となるように設定される。一般的に焼結温度は1600〜2000℃であり、焼結時間は1〜5時間程度に設定される。
【0043】
また、本発明の窒化アルミニウム複合焼結体を基板材料として用いる場合、基板表面の配線を形成する金属化層や接続端子が取り付けられる金属化層の表面には、耐食性を向上させたり、ろう材や半田の滞れ性を向上させて接合強度を高めるために、NiやAu等の導電性金属を電気めっき、無電解めっき等の手段により被覆してもよい。
【0044】
さらに、基板表面の金属化層にリード、ピン、半田ボール等の接続端子をろう材や半田で接続してもよい。また、基板表面にGaAS等の素子を実装した後、セラミックスや金属からなる蓋を基板表面に金属化層と同様な導体からなる金属層を介して接合することにより素子を気密に封止した半導体装置を得ることができる。
【0045】
前記のごとく、本発明の窒化アルミニウム複合焼結体は、熱膨張率が5.5×10−6/K以上で、熱伝導率が80W/mK以上であるため、高出力のGaAs素子を接合しても、GaAs素子に過大な熱応力が働かないため、GaAs素子に欠けや割れが生じることがない。そのため、GaAs素子実装用を初めとする種々の基板材料として好適に用いることができる。
【0046】
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
窒化アルミニウム粉末とY2O3粉末を種々の割合で混合して後掲の表1に示すとおりの混合比の試料1〜10を作製した。表1中のY2O3混合量は窒化アルミニウム粉末とY2O3粉末の合計を100重量部としたときに、混合したY2O3の割合である。それぞれの粉末は平均粒径0.8μmのものを使用した。混合は溶剤としてトルエンとメチルエチルケトンの混合溶剤中に粉末を投入し、ナイロン製のボールミルにて行った。まず、粉末と溶剤だけで混合し、後に樹脂結合剤、可塑剤を投入した。樹脂結合剤としてはポリビニルブチラール、可塑剤としてはジブチルフタレートを用い、それぞれ10重量部、5重量部混合した。その後、ドクターブレード法にて0.5mm厚のグリーンシートを成形した。
【0047】
これを金型を使用して100mm×100mmに打ち抜いた。次に、このシートを8枚重ねて積層した。積層はモールドにシートを8枚重ねてセットし、プレス機にて50℃に熱しつつ、10MPaの圧力で2分間熱圧着することで行った。その後、窒素雰囲気中で600℃にて脱脂を行い、窒素雰囲気中で1900℃、3時間の条件で焼結を行った。昇温時間は10℃/分とした。
【0048】
焼結後、熱膨張率と熱伝導率を測定するために、窒化アルミニウム複合焼結体を加工して試料を作製した。熱伝導率はレーザーフラッシュ法により測定し、熱膨張率は押し棒式により20〜400℃の平均熱膨張率を測定した。結果を下記の表1に示す。Y2O3の混合量を10重量部以上にすることによって、初めて窒化アルミニウム複合焼結体の熱膨張率が増加を始めることが分かる。また、Y2O3の混合量を25重量部以上とすることで、窒化アルミニウム複合焼結体の熱膨張率を5.5×10−6/K以上とすることができる。また、Y2O3の混合量を70重量部以下とすることで、窒化アルミニウム複合焼結体の熱伝導率を80W/mK以上とすることができる。
【0049】
【表1】
【0050】
【実施例2】
窒化アルミニウム粉末とYb2O3粉末を種々の割合で混合して後掲の表2に示すとおりの混合比の試料11〜20を作製した。表中2のYb2O3混合量は窒化アルミニウム粉末とYb2O3粉末の合計を100重量部としたときに、混合したYb2O3の割合である。それぞれの粉末は平均粒径0.8μmのものを使用した。その他を実施例1と同様にして熱膨張率と熱伝導率の測定を行った。結果を下記の表2に示す。
【0051】
表2から、Yb2O3の混合量を10重量部以上にすることによって、初めて窒化アルミニウム複合焼結体の熱膨張率が増加を如めることが分かる。また、Yb2O3の混合量を25重量部以上とすることで、窒化アルミニウム複合焼結体の熱膨張率を5.5×10−6/K以上とすることができる。また、Yb2O3の混合量を70重量部以下とすることで、窒化アルミニウム複合焼結体の熱伝導率を80W/mK以上とすることができる。
【0052】
【表2】
【0053】
【実施例3】
窒化アルミニウム粉末とCaO粉末とを種々の割合で混合した。それぞれの粉末は平均粒径0.8μmのものを使用した。その他の条件を実施例1と同様にして窒化アルミニウム複合焼結体を得て、その熱膨張率と熱伝導率の測定を行った。その結果を表3に示す。
表中のCaO混合量は窒化アルミニウム粉末とCaO粉末の合計を100重量部としたときの混合したCaOの割合である。CaOの混合割合を15重量部以上、70重量部以下とすることで、窒化アルミニウム複合焼結体の熱膨張率を
5.5×10−6/K以上であり、室温における熱伝導率を80W/mK以上とすることができる。
【0054】
【表3】
【0055】
【実施例4】
実施例4では、図3に示すIC用パッケージを次に述べるように作製し、本発明の半導体装置の一例を製造した。
まず、窒化アルミニウム粉末とY2O3粉末を同重量となるように秤量し、トルエンとメチルエチルケトンを混合した溶剤中で混合した。混合はボールミルを用い12時間行った。使用した粉末はそれぞれ平均粒径0.8μmであった。粉末と溶剤の混合が終了した後、樹脂結合剤としてポリビニルブチラールを、可塑剤としてジブチルフタレートを、混合が終了したボールミル中に投入した。投入量は、窒化アルミニウム粉末とY2O3粉末の合計を100重量部とした場合、それぞれ10重量部、5重量部とした。このように樹脂結合剤と可塑剤を投入した後、さらに12時間ボールミル混合した。
【0056】
この様にしてできあがったスラリーをドクターブレード法にて0.3〜0.5mm厚のグリーンシートヘ成形した。これを金型を使用して100mm×100mmに打ち抜いた後、パンチャーにて直径0.3mmのスルーホールを形成した。次に、このスルーホールにWペーストを充填した。Wペーストは平均粒径1.5μmのW粉末を100重量部として、5重量部の樹脂結合剤であるエチルセルロースと、5重量部の溶媒であるブチルカルビトールに分散させることにより作製した。混合は3本ロールを用いて行った。また、充填はスクリーン印刷機により行った。さらに、同じペーストに5重量部のブチルカルビトールを混合し、粘度を低下させ、スクリーン印刷機にて325メッシュ、乳剤厚20μmのスクリーンを用いて回路印刷を行った。次に、印刷後のシートを8枚重ねて積層した。積層はモールドにシートを8枚重ねてセットし、プレス機にて50℃に熱しつつ、10MPaの圧力で2分間熱圧着することで行った。その後、窒素雰囲気中で600℃にて脱脂を行い、窒素雰囲気中で1900℃、3時間の条件で焼結を行った。得られた焼結体の熱膨張率は6.5×10−6/Kで、熱伝導率は100W/mKであった。
【0057】
この様に焼結された窒化アルミニウム基板の金属化層の上に、無電解めっき法にて厚み3μmのNiめっき層を形成した。次に800℃のホーミングガス中でめっき層をアニールし、次に直径0.5mm、引っ張り強度500MPaのFe−Ni−Co合金ピンを銀ろうを用いてろう付けした。ろう付け温度は800℃、雰囲気は水素及び窒素の混合ガス雰囲気であった。次に、さらに電気めっき法にて厚み3μmのNi−Auのめっき層を形成した。
【0058】
以上のようにして作製した図3に示すIC用パッケージについて説明する。本実施例のIC用パッケージの寸法は50mm×50mm×2.5mmであった。図3中、符号1は本発明の窒化アルミニウム複合焼結体層である。2は信号や電源等の導体層であり、窒化アルミニウム複合焼結体層に形成されたビア3を介して各層は電気的に接続されている。また、このIC用パッケージにはIC素子が実装できるようにダイパッド4及びボンデイングパッド5が形成されている。ダイパッド4上にIC素子を実装し、ワイヤーボンド等を用いてIC素子とボンデイングパッド5を接続することにより、IC素子と本IC用パッケージを電気的に接続することができる。また、IC用パッケージ外に信号や電源を取り出したり、ICパッケージ内に信号や電源を取り入れたりするための入出力用パッド6がICパッケージ裏面に形成されている。入出力用パッド6には、さらに入出力用ピン7がろう付けされており、IC用パッケージ外の様々な基板や装置と接続しやすい形態となっている。
【0059】
今までの説明にあるように図3に示すIC用パッケージではIC素子との電気的な接続をワイヤーボンドで行い、IC用パッケージ外の基板等との接続はピンで行った。しかし、例えばIC素子とIC用パッケージの接続を半田ボールや金ボールで行ったり、IC用パッケージ外との接続を半田ボールやリードフレーム等で行ったりすることもできる。
【0060】
次に、以上述べたIC用パッケージに、5mm×5mm×0.05mmの50Wの発熱回路を有するGaAs素子を、Au−Si系の半田を用いて接合した。接合温度は350℃とした。接合後、40倍の顕微鏡にてGaAs素子を観察したが、欠け、割れ等は全く発生していなかった。
【0061】
次に、50Wの発熱回路を有するGaAs素子と本IC用パッケージをワイヤーボンドにて電気的に接合した。また、本IC用パッケージを、電源装置等を組み込んだ大型基板上に接続し、IC用パッケージを通じてGaAs素子に給電してGaAs素子を発熱させた。GaAs素子の温度が安定した所で、GaAs素子の温度を測定したところ、90℃であり、GaAs素子の動作は安定していた。
【0062】
【比較例1】
実施例4で述べた図3に示すIC用パッケージを窒化アルミニウムを用いて作製した。
窒化アルミニウムは平均粒径0.8μmの窒化アルミニウム粉末と平均粒径0.8μmのY2O3粉末を97:3の割合で混合して作製した。できあがった窒化アルミニウム製IC用パッケージに実施例3と同様にGaAs素子をAu−Si系の半田を用いて接合した。接合温度は350℃とした。接合後、40倍の顕微鏡にてGaAs素子を観察したが、GaAs素子の端部に割れが認められた。次に、実施例3と同様にGaAs素子と本IC用パッケージをワイヤーボンドにて電気的に接合した後に、本IC用パッケージを、電源装置等を組み込んだ大型基板上に接続し、IC用パッケージを通じてGaAs素子に給電してGaAs素子を発熱させた。しかし、GaAs素子は正常な動作を示さなかった。
【0063】
【比較例2】
実施例4で述べた図3に示すIC用パッケージをアルミナを用いて作製した。次にできあがったアルミナ製IC用パッケージに実施例3と同様にGaAs素子をAu−Si系の半田を用いて接合した。接合温度は350℃とした。接合後、40倍の顕微鏡にてGaAs素子を観察したが、欠け、割れ等は全く発生していなかった。
【0064】
次に、実施例4と同様にGaAs素子と本IC用パッケージをワイヤーボンドにて電気的に接合した後に、本IC用パッケージを、電源装置等を組み込んだ大型基板上に接続し、IC用パッケージを通じてGaAs素子に給電してGaAs素子を発熱させた。しかし、当初GaAs素子は正常な動作を示したが、しばらくすると正常な動作をしなくなった。動作時の温度を測定すると、GaAs素子の温度が150℃以上の高温になっていたことが判った。
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、窒化アルミニウム粉末と窒化アルミニウムの焼結助剤の合計100重量部に対して、窒化アルミニウムの焼結助剤を10重量部以上添加することによって、室温における熱膨張率が5.5×10−6/K以上、室温における熱伝導率が80W/mK以上の窒化アルミニウム複合焼結体を得ることができる。焼結助剤としては、希土類金属の酸化物もしくはアルカリ土類金属の酸化物の一つ以上を用いることができ、特に25〜70重量部のY2O3、Yb2O3、15〜70重量部のCaOを好適に用いることができる。このような高熱膨張率、高熱伝導率を有する窒化アルミニウム複合焼結体は高出力GaAs素子を割れ、欠けなく直接接合することができるため、IC用の基板、パッケージとして好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】焼結助剤が少ないときの窒化アルミニウムの構造を示した模式図である。
【図2】焼結助剤が多い時の窒化アルミニウム複合焼結体の構造を示した模式図である。
【図3】実施例で製造したIC用パッケージを説明するための図である。
【符号の説明】
1 窒化アルミニウム複合焼結体層
2 導体層
3 ビア
4 ダイパッド
5 ボンディングパッド
6 入出力用パッド
7 入出力用ピン
Claims (18)
- 窒化アルミニウムと窒化アルミニウムの焼結助剤とを焼結して得られる窒化アルミニウムを主体とした複合焼結体であって、窒化アルミニウムに対する焼結助剤の添加量を制御することにより、室温における熱膨張率が5.5×10−6/K以上であり、室温における熱伝導率を80W/mK以上であるようにしたことを特徴とする窒化アルミニウム複合焼結体。
- 前記焼結助剤中の金属元素が希土類金属元素又はアルカリ土類金属元素の一つ以上であることを特徴とする請求項1に記載の窒化アルミニウム複合焼結体。
- 前記焼結助剤中の金属元素がYであり、該YをY2O3換算で25重量部以上、70重量部以下含有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の窒化アルミニウム複合焼結体。
- 前記焼結助剤中の金属元素がYbであり、該YbをYb2O3換算で25重量部以上、70重量部以下含有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の窒化アルミニウム複合焼結体。
- 前記焼結助剤中の金属元素がCaであり、該CaをCaO換算で15重量部以上、70重量部以下含有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の窒化アルミニウム複合焼結体。
- 請求項1に記載の窒化アルミニウム複合焼結体の製造方法であって、窒化アルミニウム粉末に対して、焼結助剤を焼結体の室温での熱膨張率が5.5×10−6/K以上であり、室温での熱伝導率が80W/mK以上になるような割合で添加し、非酸化性雰囲気の中で1600℃以上で焼結することを特徴とする窒化アルミニウム複合焼結体の製造方法。
- 前記焼結助剤が希土類金属の酸化物又はアルカリ土類金属の酸化物の一つ以上であることを特徴とする請求項6に記載の窒化アルミニウム複合焼結体の製造方法。
- 前記焼結助剤がY2O3であり、該Y2O3を25重量部以上、70重量部以下添加することを特徴とする請求項6又は7に記載の窒化アルミニウム複合焼結体の製造方法。
- 前記焼結助剤がYb2O3であり、該Yb2O3を25重量部以上、70重量部以下添加することを特徴とする請求項6又は7に記載の窒化アルミニウム複合焼結体の製造方法。
- 前記焼結助剤がCaOであり、該CaOを15重量部以上、70重量部以下添加することを特徴とする請求項6又は7に記載の窒化アルミニウム複合焼結体の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の窒化アルミニウム複合焼結体又は請求項6〜10のいずれか一項に記載の方法で作製された窒化アルミニウム複合焼結体で構成されたセラミック層に、1種類以上の高融点金属よりなる導体層を形成したことを特徴とする窒化アルミニウム複合焼結体を用いたセラミック基板。
- 前記高融点金属がW、Mo及びTaから選ばれた1種類以上の金属であることを特徴とする請求項11に記載の窒化アルミニウム複合焼結体を用いたセラミック基板。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の窒化アルミニウム複合焼結体又は請求項6〜10のいずれか一項に記載の方法で作製された窒化アルミニウム複合焼結体で構成されたセラミック層に、1種類以上の高融点金属よりなる導体層を形成し、セラミック層中に前記複数の導体層を電気的に接続するためのビアホールを形成し、該セラミック層を積層したことを特徴とする窒化アルミニウム複合焼結体を用いた多層セラミック基板。
- 前記高融点金属がW、Mo及びTaから選ばれた1種類以上の金属であることを特徴とする請求項13に記載の窒化アルミニウム複合焼結体を用いた多層セラミック基板。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の窒化アルミニウム複合焼結体又は請求項6〜10のいずれか一項に記載の方法で作製された窒化アルミニウム複合焼結体で構成されたセラミック層に、1種類以上の高融点金属よりなるビアホールを形成したことを特徴とする窒化アルミニウム複合焼結体を用いたセラミック基板。
- 前記高融点金属がW、Mo及びTaから選ばれた1種類以上の金属であることを特徴とする請求項15に記載の窒化アルミニウム複合焼結体を用いた多層セラミック基板。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の窒化アルミニウム複合焼結体、請求項6〜10のいずれか一項に記載の方法で作製された窒化アルミニウム複合焼結体、及び、請求項11〜16のいずれか一項に記載のセラミック基板のいずれかを用いたことを特徴とする半導体装置。
- 窒化アルミニウム複合焼結体又はセラミック基板がGaAsと接合されて用いられることを特徴とする請求項17に記載の半導体装置。
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