JP2004041380A - 輸液容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】使用前の状態では液体と薬剤が完全に分離されて薬剤の品質が良好に維持され、使用にあたって容易に輸液を調製できる輸液容器を提供する。
【解決手段】輸液容器1の薬剤収容器3は、インナーハウジング6、弁部材7、ゴム栓8、アウターハウジング9を有する。インナーハウジング6は、内筒11、隔壁15、水平孔18、垂直孔21を一体的に備えている。ゴム栓は、隔壁との間に薬剤収容室13を形成する。アウターハウジング9は、内筒に外装された外筒28と、ゴム栓をその一部が露出した状態で内筒に対して保持するフランジ29とを一体的に備えている。弁部材7は、軸部22と把持部23を有し、軸部が開口部を介して水平孔に嵌合されている。この弁部材は、連通孔25が垂直孔21と連通しない閉鎖位置と、連通孔が垂直孔と連通した開放位置との間を移動できる。
【選択図】図2
【解決手段】輸液容器1の薬剤収容器3は、インナーハウジング6、弁部材7、ゴム栓8、アウターハウジング9を有する。インナーハウジング6は、内筒11、隔壁15、水平孔18、垂直孔21を一体的に備えている。ゴム栓は、隔壁との間に薬剤収容室13を形成する。アウターハウジング9は、内筒に外装された外筒28と、ゴム栓をその一部が露出した状態で内筒に対して保持するフランジ29とを一体的に備えている。弁部材7は、軸部22と把持部23を有し、軸部が開口部を介して水平孔に嵌合されている。この弁部材は、連通孔25が垂直孔21と連通しない閉鎖位置と、連通孔が垂直孔と連通した開放位置との間を移動できる。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、輸液容器に関する。特に、本発明は、液体と薬剤とを分離して保存しておき、使用に際して液体に薬剤を即時に溶解又は混合できるようにした点滴用輸液を調製しうる輸液容器(例えば、輸液バッグ)に関する。また、本発明は、このような輸液容器に使用する薬剤収容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
凍結乾燥薬剤を収容する薬剤収容室と溶解液を収容する溶解液収容室とを有し、使用前は両収容室を流体的に隔離して凍結乾燥薬剤と溶解液との接触を防止し、使用に際してを両収容室を流体的に連通して凍結乾燥薬剤を溶解液に溶解する輸液容器が、特開2001−161791号公報で開示されている。この輸液容器は、溶解液収容室の口部に接続されたキャップを、溶解液収容室の口部に固定された筒状容器本体と、容器本体の内部空間(薬剤収容空間)と溶解液の内部空間とを開閉する回転式扉と、溶解液収容室から離れた筒状容器本体端部を閉鎖する回転式第1の栓体とで構成し、これら回転式第1の栓体と回転式扉とを機械的に係合させることで、第1の栓体の回転に基づいて回転式扉を回転し、これにより溶解液収容室と薬剤収容室とを連通するように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この輸液容器では、回転式の扉を構成する2つの部材がそれぞれ異なる樹脂で成型されており、成型と同時に部分的に接着させるようにしているため、高度の成型技術を必要とする。また、扉を構成する2つの部材の接着不良は、溶解液収容室と薬剤収容室の連通につながり、使用前に溶解液と薬剤とが接触するおそれがある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は、新たな輸液容器および輸液容器を構成する薬剤収容器を提供することを目的としてなされたものである。この輸液容器は、液体を収容した液体収容器と薬剤を収容した薬剤収容器とを備え、これら液体収容器と薬剤収容器とを使用時に流体的に連通させて液体に薬剤を溶解又は混合させるものである。この薬剤収容器のインナーハウジングは、一端が液体収容器の口部に接続された内筒と、内筒の中心軸と直交する方向に伸びて内筒の内部を空間と下部空間に区画する隔壁と、隔壁の内部を内筒の中心軸と直交する方向に伸びると共に少なくとも一端側が開口部を通じて開放された水平孔と、隔壁を内筒中心軸と平行な方向に貫通すると共に水平孔を介して上部空間と下部空間とを連通する垂直孔とを一体的に備えている。ゴム栓は、内筒の他端に着脱可能に装着される。アウターハウジングは、インナーハウジングの内筒に外装された外筒と、ゴム栓をその一部が露出した状態で内筒に対して保持するフランジとを一体的に備えている。弁部材は、開口部を介して水平孔に嵌合された軸部と、垂直孔に連通可能な連通孔とを一体的に備えている。そして、弁部材は、連通孔が垂直孔と連通しない閉鎖位置と、連通孔が垂直孔と連通した開放位置との間を移動できる。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を説明する。なお、以下の説明において、必要に応じて方向を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」、及びそれらを含む別の用語「上部」、「下部」)を用いるが、それは発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の本来の意味によって本発明の範囲が限定されるものでない。
【0006】
1.輸液容器の概略構成
図1に示す本発明の輸液容器1は、概略、液体を収容する液体収容器2と、薬剤を収容する薬剤収容器3で構成されている。なお、理解を容易にするために、図1では液体収容器2を下に表示し、この液体収容器2の上に薬剤収容器3を表示しているが、溶解液を供給する状態では、液体収容器2が上に位置し、薬剤収容器3が下に位置する。また、以下の説明に用いる図面には図1と同一の方向に輸液容器及びその各要素を向けた状態で表示されており、その表示された状態を参照して各要素の位置関係(例えば、上下関係等)説明する。
【0007】
(1)液体収容器:
液体収容器2は、液体(図示せず)を収容した液体収容器本体4を有する。この液体収容器本体4は、上端部に環状の口部5を有し、下端部(使用状態では上方に位置する)中央に吊り下げ用の孔100を有する。また、口部5はある程度の厚みを有し、多少の外力が作用した場合でも形状を保持できる強度を有する。
【0008】
液体収容器2の容量は、例えば20〜300mlである。2の液体収容器内に収容される液体としては、生理食塩水、ブドウ糖液または、システイン、トリプトファンなどを添加したアミノ酸液などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。また、液体収容器2は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン又はポリプロピレンにエラストマーを加えたもの等、比較的柔らかい合成樹脂のシートを融着して袋状に成形するか、これらの合成樹脂をブロー成形した可撓性の容器であり、厚みが約0.2〜0.5mmであることが好ましい。
【0009】
(2)薬剤収容器:
薬剤収容器3は、図2及び図3に示すように、インナーハウジング6、弁部材7、ゴム栓8、アウターハウジング9を備えている。これらインナーハウジング6とアウターハウジング9は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、環状ポリオレフィン系樹脂などの合成樹脂(COC,COP樹脂)又はアルミニウム、ステンレス鋼などの金属で構成することができ、好ましくは成形性の面からポリエチレン、ポリプロピレン又は環状ポリオレフィン系樹脂で構成されるのが有利である。また、それらインナーハウジング6とアウターハウジング9の厚みは、例えば約0.5〜2.5mmの範囲で設計される。また、薬剤が収容される薬剤収容室13の大きさは、液体収容器の容量あるいは薬剤の溶解度と関連するが、一般的には薬剤を液体に混合又は溶解した状態で容量5〜40mlであり、薬剤収容器3の高さは例えば約10〜40mm、直径は例えば約10〜40mmの範囲で設計される。
【0010】
薬剤収容器3に収容される薬剤は粉末又は液体のいずれであってもよい。薬剤としては、例えば凍結乾燥薬剤が利用され、具体的には、抗生剤、抗腫瘍剤、抗潰瘍剤などが挙げられる。さらに具体的には、抗生剤としては、セファゾリンナトリウム、セフチゾキシムナトリウム、塩酸セフォチアム、塩酸セフメノキシム、セファセトリルナトリウム、セファマンドールナトリウム、セファロリジン、セファタキシムナトリウム、セフォテタンナトリウム、セフォペラゾンナトリウム、セフスロジンナトリウム、セフテゾールナトリウム、セフピラミドナトリウム、セフメタゾールナトリウム、セフロキシナトリウム、硫酸セフォクレス、フロモキセフナトリウム、塩酸セフカペンピボキシルなどのセフェム系抗生物質、ドリペネムなどのカルバペネム系抗生物質、またアンピシリンナトリウム、カルベニシリンナトリウム、スルベニシリンナトリウム、チカルシリンナトリウムなどのペニシリン系抗生物質、さらには塩酸バンコマイシンなどがある。抗腫瘍剤としては、マイトマイシンC、フルオロウラシル、テガフール、シタラビンなどがある。抗潰瘍剤としては、ファモチジン、塩酸ラニチジン、シメチジンなどがある。
【0011】
(a)インナーハウジング:
インナーハウジング6は、合成樹脂によって一体的に形成されており、液体収容器2の口部5に取り付けることができる大きさと形の環状フランジ10を有する。環状フランジ10の内周端には、上方に向かって伸びる内筒11が一体的に形成されている。内筒11は、その上端外周部に環状外側突起12を備えている。内筒11はまた、ほぼ中段付近に、内筒11の内部空間を上部空間(薬剤収容室)13と下部空間14に区画する隔壁15を有する。隔壁15は、内筒11の中心軸16と直交する水平軸17に沿って円筒状の水平孔18を備えており、この水平孔18の両端又は一端が開口部19を介して外部に開放されている。水平孔18の内径はすべての位置で同一にしてもよいが、図面上右側から左側に向かって徐々に内径が小さくなるように、テーパを付けてもよい。水平孔18の内面には、その一部を内方に膨出して、水平軸17を中心とする環状のリブ20が形成されている。隔壁15はまた、水平孔18を横切って中心軸16と平行な方向(上下方向)に伸びる2つの垂直孔21が形成されている。図示するように、2つの垂直孔21は、中心軸16に対称に形成するのが好ましい。
【0012】
(b)弁部材
弁部材7は、適当な合成樹脂により一体的に形成されており、インナーハウジング6における水平孔18の内面形状とほぼ同一の外面形状(筒状外面)を有する軸部22と、この軸部22の一端部を拡大して形成された把持部(コック)23とを有する。また、軸部22には、水平孔18に膨出する環状のリブ20に対応した環状の溝部24が形成されている。さらに、軸部22には、2つの連通孔25が形成されている。このように構成された弁部材7は、軸部22をインナーハウジング6の水平孔18に嵌合して組み付けられる。この状態で、軸部22の外周面とこれに対向する水平孔18の内周面が密着し、両者の間にシールを形成する。また、インナーハウジング6の環状リブ20が軸部22の環状溝部24と噛み合い、インナーハウジング6に対して弁部材7を位置決めする。さらに、弁部材7は、水平孔18の水平軸17を中心として回転し、2つの連通孔25がそれぞれ対応する垂直孔21と連通する位置(開放位置)と連通しない位置(遮断位置)との間を移動できるように保持される。なお、水平孔18の内周面と軸部22の外周面によって形成されるシールを確実なものにするために、弁部材7はインナーハウジング6を構成する材料と相性のよい材料(例えば、フッ素系エラストマー)で形成してもよい。
【0013】
(c)ゴム栓
ゴム栓8は、注射針が貫通可能な柔らかさのゴムで一体的に形成されており、インナーハウジング6における内筒11の上端外径とほぼ同一の外径を有する円盤状本体26と、該円盤状本体26の下面に設けられ、内筒11の内径とほぼ同一又はそれよりも僅かに大きな外径を有する嵌合部27とを有する。このゴム栓8は、インナーハウジング6の上部空間13に必要な薬剤を収容した後、嵌合部27を内筒11の上端に嵌合して緊密に固定される。
【0014】
(d)アウターハウジング
アウターハウジング9は、合成樹脂により一体的に形成されており、インナーハウジング6の内筒11よりも僅かに内径の大きな外筒28と、外筒28の上端から内方に突出した環状のフランジ部29とを有する。外筒28は、その内周面に環状の係合溝30を有し、その下端部から上方に向けて伸びる切り欠きによって形成された弁部材収容溝31を有する。このアウターハウジング9は、ゴム栓8が装着されたインナーハウジング6に外装し、係合溝30にインナーハウジング6の環状外側突起12を係合し、これらインナーハウジング6とアウターハウジング9でゴム栓8を上下から挟持する。また、弁部材収容溝31に弁部材7の把持部23を位置させる。また、薬剤収容器3の上端にタンパーシール40を貼り付けてゴム栓8の上を被覆し、タンパープルーフを保証する。
【0015】
(3)薬剤収容器の組立
このように構成された薬剤収容器3は、インナーハウジング6の環状フランジ10を容器本体4の口部5に合わせて両者の接触部を溶着して液体収容器2に連結される。
【0016】
(4)使用方法
液体収容器2と薬剤収容器3とが一体化された輸液容器1を使用する場合、薬剤収容器3を保持した状態で弁部材7の把持部23を持ってこれを水平軸17の回りで回転する。その結果、軸部22の連通孔25とインナーハウジング6の貫通孔21を介して、薬剤を収容した上部空間13が液体収容器本体4の内部空間と連通する(図3参照)。したがって、図1に示す輸液容器1を逆さまにすると、液体収容器2の溶解液が薬剤収容器3の上部空間13に流れ込み、この上部空間13に収容されている薬剤を溶解または混合する。このように輸液容器の倒立正立操作を数回反復して薬剤を液体へ完全に溶解または混合した後、タンパーシール40を剥ぎ取り、アウターハウジング9の環状フランジ部29に囲まれた領域から露出するゴム栓8に点滴用注射針(図示せず)を穿刺して、この注射針を介して薬剤溶解液(すなわち、輸液)を点滴投与する。
【0017】
(5)変形例
以上の説明では、インナーハウジング6の水平孔18を円筒形状に形成し、この円筒状の水平孔18の中に該水平孔18の中心軸を中心として回転自在に弁部材7を保持したが、水平孔18の中に該水平孔18の中心軸方向に移動可能に弁部材を保持してもよい。
【0018】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る輸液容器によれば、使用前の状態で液体と薬剤は完全に分離されており、薬剤の品質が良好に維持される。また、使用に際して極めて簡単な操作で薬剤を液体に混合又は溶解することができ、点滴用輸液を迅速に調製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る輸液容器の断面図。
【図2】図1に示す輸液容器における薬剤収容器の断面図であって、薬剤収容室が液体収容器と連通していない状態を示す。
【図3】図1に示す輸液容器における薬剤収容器の断面図であって、薬剤収容室が液体収容器と連通した状態を示す。
【符号の説明】
1:輸液容器
2:液体収容器
3:薬剤収容器
4:液体収容器本体
5:口部
6:インナーハウジング
7:弁部材
8:ゴム栓
9:アウターハウジング
11:内筒
13:上部空間(薬剤収容室)
14:下部空間
19:開口部
21:貫通孔
25:連通孔
28:外筒
【発明の属する技術分野】
本発明は、輸液容器に関する。特に、本発明は、液体と薬剤とを分離して保存しておき、使用に際して液体に薬剤を即時に溶解又は混合できるようにした点滴用輸液を調製しうる輸液容器(例えば、輸液バッグ)に関する。また、本発明は、このような輸液容器に使用する薬剤収容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
凍結乾燥薬剤を収容する薬剤収容室と溶解液を収容する溶解液収容室とを有し、使用前は両収容室を流体的に隔離して凍結乾燥薬剤と溶解液との接触を防止し、使用に際してを両収容室を流体的に連通して凍結乾燥薬剤を溶解液に溶解する輸液容器が、特開2001−161791号公報で開示されている。この輸液容器は、溶解液収容室の口部に接続されたキャップを、溶解液収容室の口部に固定された筒状容器本体と、容器本体の内部空間(薬剤収容空間)と溶解液の内部空間とを開閉する回転式扉と、溶解液収容室から離れた筒状容器本体端部を閉鎖する回転式第1の栓体とで構成し、これら回転式第1の栓体と回転式扉とを機械的に係合させることで、第1の栓体の回転に基づいて回転式扉を回転し、これにより溶解液収容室と薬剤収容室とを連通するように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この輸液容器では、回転式の扉を構成する2つの部材がそれぞれ異なる樹脂で成型されており、成型と同時に部分的に接着させるようにしているため、高度の成型技術を必要とする。また、扉を構成する2つの部材の接着不良は、溶解液収容室と薬剤収容室の連通につながり、使用前に溶解液と薬剤とが接触するおそれがある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は、新たな輸液容器および輸液容器を構成する薬剤収容器を提供することを目的としてなされたものである。この輸液容器は、液体を収容した液体収容器と薬剤を収容した薬剤収容器とを備え、これら液体収容器と薬剤収容器とを使用時に流体的に連通させて液体に薬剤を溶解又は混合させるものである。この薬剤収容器のインナーハウジングは、一端が液体収容器の口部に接続された内筒と、内筒の中心軸と直交する方向に伸びて内筒の内部を空間と下部空間に区画する隔壁と、隔壁の内部を内筒の中心軸と直交する方向に伸びると共に少なくとも一端側が開口部を通じて開放された水平孔と、隔壁を内筒中心軸と平行な方向に貫通すると共に水平孔を介して上部空間と下部空間とを連通する垂直孔とを一体的に備えている。ゴム栓は、内筒の他端に着脱可能に装着される。アウターハウジングは、インナーハウジングの内筒に外装された外筒と、ゴム栓をその一部が露出した状態で内筒に対して保持するフランジとを一体的に備えている。弁部材は、開口部を介して水平孔に嵌合された軸部と、垂直孔に連通可能な連通孔とを一体的に備えている。そして、弁部材は、連通孔が垂直孔と連通しない閉鎖位置と、連通孔が垂直孔と連通した開放位置との間を移動できる。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を説明する。なお、以下の説明において、必要に応じて方向を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」、及びそれらを含む別の用語「上部」、「下部」)を用いるが、それは発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の本来の意味によって本発明の範囲が限定されるものでない。
【0006】
1.輸液容器の概略構成
図1に示す本発明の輸液容器1は、概略、液体を収容する液体収容器2と、薬剤を収容する薬剤収容器3で構成されている。なお、理解を容易にするために、図1では液体収容器2を下に表示し、この液体収容器2の上に薬剤収容器3を表示しているが、溶解液を供給する状態では、液体収容器2が上に位置し、薬剤収容器3が下に位置する。また、以下の説明に用いる図面には図1と同一の方向に輸液容器及びその各要素を向けた状態で表示されており、その表示された状態を参照して各要素の位置関係(例えば、上下関係等)説明する。
【0007】
(1)液体収容器:
液体収容器2は、液体(図示せず)を収容した液体収容器本体4を有する。この液体収容器本体4は、上端部に環状の口部5を有し、下端部(使用状態では上方に位置する)中央に吊り下げ用の孔100を有する。また、口部5はある程度の厚みを有し、多少の外力が作用した場合でも形状を保持できる強度を有する。
【0008】
液体収容器2の容量は、例えば20〜300mlである。2の液体収容器内に収容される液体としては、生理食塩水、ブドウ糖液または、システイン、トリプトファンなどを添加したアミノ酸液などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。また、液体収容器2は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン又はポリプロピレンにエラストマーを加えたもの等、比較的柔らかい合成樹脂のシートを融着して袋状に成形するか、これらの合成樹脂をブロー成形した可撓性の容器であり、厚みが約0.2〜0.5mmであることが好ましい。
【0009】
(2)薬剤収容器:
薬剤収容器3は、図2及び図3に示すように、インナーハウジング6、弁部材7、ゴム栓8、アウターハウジング9を備えている。これらインナーハウジング6とアウターハウジング9は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、環状ポリオレフィン系樹脂などの合成樹脂(COC,COP樹脂)又はアルミニウム、ステンレス鋼などの金属で構成することができ、好ましくは成形性の面からポリエチレン、ポリプロピレン又は環状ポリオレフィン系樹脂で構成されるのが有利である。また、それらインナーハウジング6とアウターハウジング9の厚みは、例えば約0.5〜2.5mmの範囲で設計される。また、薬剤が収容される薬剤収容室13の大きさは、液体収容器の容量あるいは薬剤の溶解度と関連するが、一般的には薬剤を液体に混合又は溶解した状態で容量5〜40mlであり、薬剤収容器3の高さは例えば約10〜40mm、直径は例えば約10〜40mmの範囲で設計される。
【0010】
薬剤収容器3に収容される薬剤は粉末又は液体のいずれであってもよい。薬剤としては、例えば凍結乾燥薬剤が利用され、具体的には、抗生剤、抗腫瘍剤、抗潰瘍剤などが挙げられる。さらに具体的には、抗生剤としては、セファゾリンナトリウム、セフチゾキシムナトリウム、塩酸セフォチアム、塩酸セフメノキシム、セファセトリルナトリウム、セファマンドールナトリウム、セファロリジン、セファタキシムナトリウム、セフォテタンナトリウム、セフォペラゾンナトリウム、セフスロジンナトリウム、セフテゾールナトリウム、セフピラミドナトリウム、セフメタゾールナトリウム、セフロキシナトリウム、硫酸セフォクレス、フロモキセフナトリウム、塩酸セフカペンピボキシルなどのセフェム系抗生物質、ドリペネムなどのカルバペネム系抗生物質、またアンピシリンナトリウム、カルベニシリンナトリウム、スルベニシリンナトリウム、チカルシリンナトリウムなどのペニシリン系抗生物質、さらには塩酸バンコマイシンなどがある。抗腫瘍剤としては、マイトマイシンC、フルオロウラシル、テガフール、シタラビンなどがある。抗潰瘍剤としては、ファモチジン、塩酸ラニチジン、シメチジンなどがある。
【0011】
(a)インナーハウジング:
インナーハウジング6は、合成樹脂によって一体的に形成されており、液体収容器2の口部5に取り付けることができる大きさと形の環状フランジ10を有する。環状フランジ10の内周端には、上方に向かって伸びる内筒11が一体的に形成されている。内筒11は、その上端外周部に環状外側突起12を備えている。内筒11はまた、ほぼ中段付近に、内筒11の内部空間を上部空間(薬剤収容室)13と下部空間14に区画する隔壁15を有する。隔壁15は、内筒11の中心軸16と直交する水平軸17に沿って円筒状の水平孔18を備えており、この水平孔18の両端又は一端が開口部19を介して外部に開放されている。水平孔18の内径はすべての位置で同一にしてもよいが、図面上右側から左側に向かって徐々に内径が小さくなるように、テーパを付けてもよい。水平孔18の内面には、その一部を内方に膨出して、水平軸17を中心とする環状のリブ20が形成されている。隔壁15はまた、水平孔18を横切って中心軸16と平行な方向(上下方向)に伸びる2つの垂直孔21が形成されている。図示するように、2つの垂直孔21は、中心軸16に対称に形成するのが好ましい。
【0012】
(b)弁部材
弁部材7は、適当な合成樹脂により一体的に形成されており、インナーハウジング6における水平孔18の内面形状とほぼ同一の外面形状(筒状外面)を有する軸部22と、この軸部22の一端部を拡大して形成された把持部(コック)23とを有する。また、軸部22には、水平孔18に膨出する環状のリブ20に対応した環状の溝部24が形成されている。さらに、軸部22には、2つの連通孔25が形成されている。このように構成された弁部材7は、軸部22をインナーハウジング6の水平孔18に嵌合して組み付けられる。この状態で、軸部22の外周面とこれに対向する水平孔18の内周面が密着し、両者の間にシールを形成する。また、インナーハウジング6の環状リブ20が軸部22の環状溝部24と噛み合い、インナーハウジング6に対して弁部材7を位置決めする。さらに、弁部材7は、水平孔18の水平軸17を中心として回転し、2つの連通孔25がそれぞれ対応する垂直孔21と連通する位置(開放位置)と連通しない位置(遮断位置)との間を移動できるように保持される。なお、水平孔18の内周面と軸部22の外周面によって形成されるシールを確実なものにするために、弁部材7はインナーハウジング6を構成する材料と相性のよい材料(例えば、フッ素系エラストマー)で形成してもよい。
【0013】
(c)ゴム栓
ゴム栓8は、注射針が貫通可能な柔らかさのゴムで一体的に形成されており、インナーハウジング6における内筒11の上端外径とほぼ同一の外径を有する円盤状本体26と、該円盤状本体26の下面に設けられ、内筒11の内径とほぼ同一又はそれよりも僅かに大きな外径を有する嵌合部27とを有する。このゴム栓8は、インナーハウジング6の上部空間13に必要な薬剤を収容した後、嵌合部27を内筒11の上端に嵌合して緊密に固定される。
【0014】
(d)アウターハウジング
アウターハウジング9は、合成樹脂により一体的に形成されており、インナーハウジング6の内筒11よりも僅かに内径の大きな外筒28と、外筒28の上端から内方に突出した環状のフランジ部29とを有する。外筒28は、その内周面に環状の係合溝30を有し、その下端部から上方に向けて伸びる切り欠きによって形成された弁部材収容溝31を有する。このアウターハウジング9は、ゴム栓8が装着されたインナーハウジング6に外装し、係合溝30にインナーハウジング6の環状外側突起12を係合し、これらインナーハウジング6とアウターハウジング9でゴム栓8を上下から挟持する。また、弁部材収容溝31に弁部材7の把持部23を位置させる。また、薬剤収容器3の上端にタンパーシール40を貼り付けてゴム栓8の上を被覆し、タンパープルーフを保証する。
【0015】
(3)薬剤収容器の組立
このように構成された薬剤収容器3は、インナーハウジング6の環状フランジ10を容器本体4の口部5に合わせて両者の接触部を溶着して液体収容器2に連結される。
【0016】
(4)使用方法
液体収容器2と薬剤収容器3とが一体化された輸液容器1を使用する場合、薬剤収容器3を保持した状態で弁部材7の把持部23を持ってこれを水平軸17の回りで回転する。その結果、軸部22の連通孔25とインナーハウジング6の貫通孔21を介して、薬剤を収容した上部空間13が液体収容器本体4の内部空間と連通する(図3参照)。したがって、図1に示す輸液容器1を逆さまにすると、液体収容器2の溶解液が薬剤収容器3の上部空間13に流れ込み、この上部空間13に収容されている薬剤を溶解または混合する。このように輸液容器の倒立正立操作を数回反復して薬剤を液体へ完全に溶解または混合した後、タンパーシール40を剥ぎ取り、アウターハウジング9の環状フランジ部29に囲まれた領域から露出するゴム栓8に点滴用注射針(図示せず)を穿刺して、この注射針を介して薬剤溶解液(すなわち、輸液)を点滴投与する。
【0017】
(5)変形例
以上の説明では、インナーハウジング6の水平孔18を円筒形状に形成し、この円筒状の水平孔18の中に該水平孔18の中心軸を中心として回転自在に弁部材7を保持したが、水平孔18の中に該水平孔18の中心軸方向に移動可能に弁部材を保持してもよい。
【0018】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る輸液容器によれば、使用前の状態で液体と薬剤は完全に分離されており、薬剤の品質が良好に維持される。また、使用に際して極めて簡単な操作で薬剤を液体に混合又は溶解することができ、点滴用輸液を迅速に調製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る輸液容器の断面図。
【図2】図1に示す輸液容器における薬剤収容器の断面図であって、薬剤収容室が液体収容器と連通していない状態を示す。
【図3】図1に示す輸液容器における薬剤収容器の断面図であって、薬剤収容室が液体収容器と連通した状態を示す。
【符号の説明】
1:輸液容器
2:液体収容器
3:薬剤収容器
4:液体収容器本体
5:口部
6:インナーハウジング
7:弁部材
8:ゴム栓
9:アウターハウジング
11:内筒
13:上部空間(薬剤収容室)
14:下部空間
19:開口部
21:貫通孔
25:連通孔
28:外筒
Claims (2)
- 液体を収容した液体収容器と薬剤を収容した薬剤収容器とを備え、これら液体収容器と薬剤収容器とを使用時に流体的に連通させて液体に薬剤を溶解又は混合させる輸液容器であって、
前記薬剤収容器は、
一端が上記液体収容器の口部に接続された内筒と、上記内筒の中心軸と直交する方向に伸びて上記内筒の内部を上部空間と下部空間に区画する隔壁と、上記隔壁の内部を上記内筒の中心軸と直交する方向に伸びると共に少なくとも一端側が開口部を通じて開放された水平孔と、上記隔壁を上記内筒の中心軸と平行な方向に貫通すると共に上記水平孔を介して上記上部空間と下部空間とを連通する垂直孔とを一体的に備えたインナーハウジングと、
上記内筒の他端に着脱可能に装着されたゴム栓と、
上記インナーハウジングの内筒に外装された外筒と、上記ゴム栓をその一部が露出した状態で上記内筒に対して保持するフランジとを一体的に備えたアウターハウジングと、
上記開口部を介して上記水平孔に嵌合された軸部と、上記垂直孔に連通可能な連通孔とを一体的に備えた弁部材とを有し、
上記弁部材は、上記連通孔が上記垂直孔と連通しない閉鎖位置と、上記連通孔が上記垂直孔と連通した開放位置との間を移動できるように支持されていることを特徴とする輸液容器。 - 薬剤を収容する薬剤収容器であって、液体を収容した液体収容器と組み合わされ、使用時に流体的に連通させて液体に薬剤を溶解又は混合する輸液容器を構成するものにおいて、
前記薬剤収容器は、
一端が上記液体収容器の口部に接続された内筒と、上記内筒の中心軸と直交する方向に伸びて上記内筒の内部を上部空間と下部空間に区画する隔壁と、上記隔壁の内部を上記内筒の中心軸と直交する方向に伸びると共に少なくとも一端側が開口部を通じて開放された水平孔と、上記隔壁を上記内筒の中心軸と平行な方向に貫通すると共に上記水平孔を介して上記上部空間と下部空間とを連通する垂直孔とを一体的に備えたインナーハウジングと、
上記内筒の他端に着脱可能に装着されたゴム栓と、
上記インナーハウジングの内筒に外装された外筒と、上記ゴム栓をその一部が露出した状態で上記内筒に対して保持するフランジとを一体的に備えたアウターハウジングと、
上記開口部を介して上記水平孔に嵌合された軸部と、上記垂直孔に連通可能な連通孔とを一体的に備えた弁部材とを有し、
上記弁部材は、上記連通孔が上記垂直孔と連通しない閉鎖位置と、上記連通孔が上記垂直孔と連通した開放位置との間を移動できるように支持されていることを特徴とする薬剤収容器。
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---|---|---|---|
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Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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JP2004041380A true JP2004041380A (ja) | 2004-02-12 |
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Family Applications (1)
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JP2002201746A Withdrawn JP2004041380A (ja) | 2002-07-10 | 2002-07-10 | 輸液容器 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004041380A (ja) |
-
2002
- 2002-07-10 JP JP2002201746A patent/JP2004041380A/ja not_active Withdrawn
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A621 | Written request for application examination |
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A761 | Written withdrawal of application |
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