JP2005006945A - 輸液用容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】薬剤を収納する薬剤収納室と、前記薬剤収納室に連設され、前記薬剤を溶解するための溶解液を収納する溶解液収納室とを備える。薬剤収納室は、溶解液収納室とは保存時には液密に区画され、かつ使用時には連通可能に構成される。さらに、薬剤収納室は、その構成壁が、内面層、外面層、及び内面層と外面層との間の中間層からなる3層樹脂構造である。内面層、外面層及び中間層はそれぞれ熱可塑性樹脂からなり、さらに中間層は、内面層、外面層よりも透湿度が小さい低透湿性樹脂からなる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、輸液用容器に関し、さらに詳しくは、粉末薬剤、凍結乾燥薬剤などの薬剤と、この薬剤を溶解するための溶解液とを分離した状態で保存しておき、使用直前に容器内で薬剤と溶解液とを無菌的に混合し、輸液として供給するための輸液用容器に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
この種の輸液用容器としては、溶解液を収納する合成樹脂製シートからなる溶解液収納室と、この溶解液収納室の一端に連設された薬剤を収納する薬剤収納室とを備えたものが公知である(例えば、特許文献1参照)。この輸液用容器は、薬剤収納室が、カップ型の構成壁と、この構成壁の開口部を密封するキャップ部材と、薬剤収納室の底部に設けられ、薬剤収納室と溶解液収納室とを連通させる連通孔と、前記底部に樹脂接着(仮止め)されて連通孔を液密に封鎖する突状部とを有し、この突状部の先端はキャップ部材の内側に設けられた係合孔に係合しており、キャップ部材を回すことにより突状部を回動させて樹脂接着を破り、連通孔を開口させて薬剤収納室と溶解液収納室を連通させ、溶解液収納室内の溶解液を薬剤収納室内に流入させて溶解液と薬剤とが混合するように構成されている。
この輸液用容器において、薬剤収納室及び溶解液収納室は、それぞれポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどの汎用樹脂素材からなる。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−161791号公報
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の輸液用容器では、薬剤収納室がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどの水蒸気透過性が比較的大きい汎用合成樹脂素材にて形成されているため、薬剤収納室の壁部を外部空気中の湿気(水蒸気)が徐々に透過し、薬剤収納室内に湿気が侵入するため、薬剤収納室内に吸湿性を有する薬剤を収納する場合、薬剤が湿気によって変質してしまう場合があるため、(1)薬剤変質防止剤として乾燥剤を、使用時の(薬剤と溶解液とが混合した)薬液に混合しないように薬剤収納室内に収納できる構造としたり、(2)輸液用容器全体を防湿性フィルムでラミネートあるいはラッピングしていた。
【0005】
しかし、上記(1)では、新たに乾燥剤が必要であると共に、乾燥剤を収納する乾燥剤収納室を薬剤収納室内に設けるため構造が複雑化し、輸液用容器の製造コストが大幅に増加していた。また、上記(2)では、使用時に防湿性フィルムを剥がすので新たにゴミが発生する問題があった。
【0006】
そこで、本発明の主要な目的の一つは、保存時には薬剤と溶解液とを液密に分離し、使用時には薬剤と溶解液とを無菌的に混合可能な輸液用容器において、薬剤を収納する薬剤収納室内への外部空気中の湿気の透過を確実に防止して薬剤の吸湿による変質を防止する輸液用容器を提供することにある。
また、本発明の主要なもう一つの目的は、薬剤変質防止剤が不要となって薬剤収納室の構造簡素化を図ることができると共に、防湿性フィルムが不要となってゴミの発生がない輸液用容器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明によれば、薬剤を収納する薬剤収納室と、前記薬剤収納室に連設され、前記薬剤を溶解するための溶解液を収納する溶解液収納室とを備え、前記薬剤収納室が、前記溶解液収納室とは保存時には液密に区画され、かつ使用時には連通可能に構成された輸液用容器であって、
前記薬剤収納室は、その構成壁が、内面層、外面層、及び内面層と外面層との間の中間層からなる3層樹脂構造であり、
前記内面層、外面層及び中間層はそれぞれ熱可塑性樹脂からなり、
さらに中間層は、内面層、外面層よりも透湿度が小さい低透湿性樹脂からなる輸液用容器が提供される。
【0008】
つまり、本発明は、薬剤が収納された薬剤収納室と、溶解液が収納された溶解液収納室とが液密に区画された輸液用容器であるため、保存状態(使用前)には薬剤収納室内の薬剤を、溶解液収納室内の湿気のみならず外部空気中の湿気からも保護する必要があり、そのために薬剤収納室の構成壁を3層樹脂構造とし、その中間層を内面層、外面層よりも透湿度が小さい低透湿性樹脂にて構成して外部空気中の湿気が構成壁を透過するのを防止し、薬剤収納室内を乾燥状態に保持するようにしているわけである。この場合、中間層は、具体的には、透湿度(膜厚:300μm、温度:40℃、相対湿度:90%)が0.3g/m2・24hr以下の低透湿性樹脂からなるのが好ましい(JIS Z 0208参照)。
本発明において、薬剤収納室は、その内部に収納する薬剤を特に限定するものではないが、上述したように薬剤収納室内の乾燥保持に優れるため、湿気によって変質する吸湿性薬剤を安定性を保持したままで収納することができる。
したがって、本発明は、薬剤収納室内の薬剤を吸湿により変質させることなく安定的に保存できる輸液用容器を提供することができる。また、本発明は、薬剤収納室内に薬剤変質防止剤及びこれを収納する構造が不要であり、また輸液用容器全体を被覆する防湿性フィルムが不要であり、ゴミ対策に配慮した輸液用容器を低コストにて提供することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
【0010】
本発明において、低透湿性樹脂は、例えば、シクロオレフィンポリマー(シクロオレフィンの開環重合体)、シクロオレフィンコポリマー(シクロオレフィンとαオレフィンの付加共重合体)などを挙げることができる。
【0011】
シクロオレフィンポリマーとしては、例えば、ゼオネックス(登録商標)(日本ゼオン(株)製)や、ゼオノア(登録商標)(日本ゼオン(株)製)や、ARTON(登録商標)(JSR社製)などのシクロオレフィンポリマーを挙げることができる。
【0012】
さらに、シクロオレフィンコポリマーとしては、例えば、アペル(登録商標)(三井化学(株)製)や、TOPAS(登録商標)(TICONA社製)などのシクロオレフィンコポリマーを挙げることができる。
【0013】
本発明において、薬剤収納室の構成壁の3層樹脂構造は、公知のサンドイッチ成形法によりスキン層として内面層及び外面層が形成され、かつコア層として中間層が形成されたものとすることができ、3層樹脂構造に構成壁を成形することができる。例えば、内面層及び外面層(スキン層)を、日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験法に記載されているポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂にて形成し、中間層を上述のシクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマーなどの低透湿性樹脂にて形成することができる。
また、中間層の厚みは50μm〜3mmに設定することが、薬剤収納室内の薬剤の吸湿防止を十分に行える上で好ましい。なお、中間層の厚みが50μmよりも小さいと薬剤収納室内の薬剤が湿気るおそれがあり、3mmよりも大きいと剛性を確保する厚みとして過剰であり、かつ原料樹脂コストにおける高価な低透湿性樹脂(例えばシクロオレフィンポリマー)が占める割合が大きくなり、輸液用容器全体としてコスト高となる。
【0014】
本発明において、使用時に薬剤収納室と溶解液収納室とを連通可能とする構成としては、
薬剤収納室が、剛性を有し、底部に溶解液収納室と連通する連通孔を有するカップ型の構成壁と、構成壁の底部に樹脂接着(仮止め)されて前記連通孔を開放可能に液密に封鎖する突状部と、構成壁の口部を密封するキャップ部材とを備え、さらに、キャップ部材が、前記突状部の先端に係合される係合部を有し、キャップ部材の回転操作により係合部及び突状部を介して連通孔を開放可能とする構造を採用することができる。
【0015】
上記構成の場合、突状部は、少なくとも構成壁の連通孔を液密に封鎖する底部分が低透湿性樹脂である高密度ポリエチレン等にて形成されるのが好ましく、あるいは突状部全体をポリプロピレンやポリエチレン等の単独又は混合物にて形成する場合には、溶解液(水分)による底部分の透過を防止できる厚み:2 〜4mmに設定するのが好ましい。
【0016】
本発明における溶解液収納室は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどの比較的柔らかい熱可塑性樹脂のシートを融着して袋状に成形されるか、これらの樹脂をブロー成形した可撓性の容器であることが好ましく、薬剤収納室の構成壁の外面層と同じ樹脂からなることが双方を容易かつ液密に熱溶着して連設できる上でより好ましい。
換言すると、溶解液収納室の構成材料を当該分野の輸液用容器に用いられる一般的なポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂を使用する場合、薬剤収納室における溶解液収納室との少なくとも熱溶着部分の構成材料もこれらの樹脂と熱溶着可能な樹脂(好ましくは同一の樹脂)とする必要があり、本発明は薬剤収納室の構成壁をサンドイッチ成形法により3層樹脂構造としてその内面層及び外面層を溶解液収納室と同じ樹脂にて形成できることから、薬剤収納室と溶解液収納室とを熱溶着により液密に連設することが容易に行える。
【0017】
本発明において、薬剤収納室に収納される薬剤としては、具体的には、次の活性成分を例示できる。
抗生剤としては、セファゾリンナトリウム、セフチゾキシムナトリウム、塩酸セフォチアム、塩酸セフメノキシム、セファセトリルナトリウム、セファマンドールナトリウム、セファロリジン、セファタキシムナトリウム、セフォテタンナトリウム、セフォペラゾンナトリウム、セフスロジンナトリウム、セフテゾールナトリウム、セフピラミドナトリウム、セフメタゾールナトリウム、セフロキシムナトリウム、硫酸セフォクレス、硫酸セフピロムなどのセフェム系抗生物質、またアンピシリンナトリウム、カルベニシリンナトリウム、スルベニシリンナトリウム、チカルシリンナトリウムなどのペニシリン系抗生物質、さらには塩酸バンコマイシン、テイコプランなどがある。抗腫瘍剤としては、マイトマイシンC、フルオロウラシル、テガフール、シタラビンなどがある。抗潰瘍剤としては、ファモチジン、塩酸ラニチジン、シメチジンなどがある。
【0018】
本発明において、溶解液収納室に収納される溶解液としては、生理的食塩水、ブドウ糖液、またはシステイン、トリプトファンなどを添加したアミノ酸液などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0019】
以下、実施の形態を示す図面に基づいて本発明を詳説する。なお、この実施の形態によって本発明は限定されるものではない。
【0020】
図1は本発明に係る輸液用容器の実施の形態を示す縦断面図であり、図2は図1とは90°異なる方向の縦断面図であり、図3は図2の要部拡大縦断面図であり、図4は図2のA−A線断面図であり、図5は図3の丸部拡大断面図であり、図6は主として連通孔の開放状態を説明する一部分解斜視図である。
【0021】
この輸液用容器10は、図1と図2に示すように、凍結乾燥薬剤(図示省略)を収納した薬剤収納室1と、前記凍結乾燥薬剤を溶解するための溶解液(図示省略)を収納した溶解液収納室2とから主として構成されている。
【0022】
薬剤収納室1は、透明な広口のカップ型で、その底部6を溶解液収納室2に連設された構成壁8と、キャップ部材3とからなる。
【0023】
構成壁8は、その上端には、キャップ部材3を装着可能な口部1aを有すると共に、溶解液収納室2と液密に連設する底部6には、薬剤収納室1と溶解液収納室2とを連通させるための連通孔5(5a、5b)が形成されている。また、構成壁8は、その口部1a近傍の外周面に180°の対向位置に一対の凸部11、12が形成されると共に、外周面の下部に、後述するキャップ部材3を回す際に持ち易くするために一対の段落部40、41が180°間隔にて形成されている。
【0024】
この構成壁8は、図3〜図5に示すように、公知のサンドイッチ成形法によりスキン層として内面層8a及び外面層8bが形成され、かつコア層として中間層8cが形成された3層樹脂構造であり、平均厚みT:約2mmである。
内面層8a及び外面層8bは、ポリプロピレン(膜厚:50μm、温度:40℃、相対湿度:90%のときの透湿度:3g/m2・24hr)にてそれぞれ略等しい平均厚みT1、T2:約0.5mmに形成されている。また、中間層8cはシクロオレフィンポリマー(膜厚:300μm、温度:40℃、相対湿度:90%のときの透湿度:0.29g/m2・24hr以下)にて上記平均厚みT1、T2と略等しい平均厚みT3:約0.5mmに形成されている。
このシクロオレフィンポリマーとしては、例えば、ゼオネックス(登録商標)690R(日本ゼオン(株)製)が好適に用いられる。
【0025】
本発明において、サンドイッチ成形法による構成壁8の成形では、溶融したポリプロピレンを金型内に所定量射出した直後に、溶融した上記シクロオレフィンポリマーを所定量金型内に射出して成形するため、内面層8a・外面層8bと中間層8cとが相互に隙間なく密着し一体化している。したがって、各層8a、8b、8cの密着性に優れた構成壁8が得られる。
【0026】
さらに、薬剤収納室1は、構成壁8内に突出し、連通孔5に被さって密封する突状部7としての一対の突部7c、7dを有している。これらの突部7c、7dは、横に並んだ一対の塔状で、ねじりに対する強度を付与するために特にひれ状のリブ7f、7gを備え、かつそれらの下端を連結する底部分7eに扇状の一対の切欠き(又は開口)7a、7bを形成してなる。
【0027】
ここで、薬剤収納室1の底部6に形成された扇状の連通孔5a、5bは、底部6の中心で対向して形成され、中心角度がいずれも約90°である。一方、突状部7の扇状の切欠き7a、7bは、上記連通孔5a、5bに対応して形成されている。したがって、突部7c、7dの回動により、底部分7eの切欠き7a、7bと薬剤収納室1の底部6の一対の連通孔5a、5bとを合わせると、薬剤収納室1と溶解液収納室2とを連通させることができる。なお、7hは底部分7e上に形成された突状部7の1つとしての突条である。
この突状部7は、使用前は突状部7の底部分7eの下面が構成壁8の底部6に樹脂接着(仮止め)され、それによって連通孔5a、5bは突状部7の底部分7eにて液密に密封される。すなわち、溶解液収納室2内の溶解液(水分)が突状部7の底部分7eを透過しない構成とするために、突状部7は高密度ポリエチレンにて形成され、底部分7eは厚み:2.5mmとされている。また、突状部7の底部分7eを構成壁8の底部6に接着する樹脂接着部はポリプロピレンにて幅:2.5mmに形成されている。
【0028】
キャップ部材3は、キャップ本体3aと、キャップ本体3aの内側に設けられたゴム栓20と、キャップ本体3aの外側に取外し可能に付設された上蓋部9とを備える。さらに、キャップ部材3は、構成壁8の口部1aが挿入されるキャップ本体3aとゴム栓20の間の隙間の奥部にO型リングパッキング33が設けられている。
【0029】
キャップ本体3aは、全体がポリプロピレンにて形成されており、中心に薬剤取出部4としての孔部3bを有する環状壁と、環状壁の外周縁に沿って設けられ、構成壁8の口部1aに嵌合される外周壁とからなり、この外周壁の内面には90°の範囲で口部1aの上記一対の凸部11、12との相対移動を規制する凹溝34、35が形成されている。また、キャップ本体3aの環状壁の下面には、一対のY字状ツメ31、32が180°で対向する位置に突設されている。
【0030】
ゴム栓20は、大部分を占める、薬剤(固形)との安定性を向上させるために選択された塩素化ブチルゴム製の栓本体20aと、この栓本体20aの上面の略中心に位置し、キャップ本体3aの孔部3bに対応して穿刺針の貫通後の液漏れを防止する小ゴム栓部20bとの二重構造からなる。
栓本体20aの下面には、穿刺針の刺通を容易にするための下凹部20cと、突部7c、7dの先端部に係合する係合孔20d、20eとが形成されている。これらの係合孔20d、20eの直径は2〜6mmに設定されている。一方、栓本体20aの上面には、小ゴム栓部20bの下端と嵌合する嵌合凹部が形成されると共に、キャップ本体3aの上記一対のY字状ツメ31、32と係合してキャップ本体3aの回動を栓本体20aへ確実に伝達するためのY字状凹部21、22が形成されている。なお、栓本体20aの下部表面には、薬剤を溶解液に溶解させるに際してキャップ部材3の回動を容易にするために(口部1aに対する摩擦抵抗を軽減するために)超高分子ポリエチレンフィルムをラミネート加工している。
小ゴム栓部20bは、復元性のよいイソプレンゴム製であり、孔部3bで一部露出しているが、その露出部表面が汚染されないように孔部3bが上蓋部9にて施蓋されている。
上蓋部9は、キャップ本体3aの孔部3bの周縁に熱溶着によって装着されており、上蓋部9の引張片9aを引っ張り、溶着部を破って開くことにより、孔部3bを介して小ゴム栓部20bが現れるように構成されている。なお、上蓋部9はその上面を平坦とし、薬剤及び溶解液を備えた輸液用容器10をキャップ部材3を下にして自立できるようにしている。
【0031】
このように構成されたキャップ部材3を構成壁8の口部1aに嵌合することにより、口部1aの上端縁がO型リングパッキング33に圧接して密封され、キャップ本体3aと構成壁8の隙間から湿気を含む外部空気の薬剤収納室1内への侵入が防止され、一方キャップ本体3aの上面側は小ゴム栓部20b及び栓本体20aによって湿気を含む外部空気の薬剤収納室1内への侵入が防止される。無論、使用時の薬液(薬剤と溶解液との混合液)の薬剤収納室からの外部漏れも防止される。
【0032】
溶解液収納室2は、透明なポリプロピレンにより液密で扁平な袋状(厚み:0.2〜0.5mm)にブロー成形され、十分な可撓性と弾力性を有している。溶解液収納室2の上部には、薬剤収納室1の下端部に形成されたポート1bに連設するフランジ状の口部2bが形成されている。溶解液収納室2の下端の縁部2aには、吊り下げ支持部としての吊り下げ孔部23が形成されている。薬剤収納室1の構成壁8のポート1bと溶解液収納室2の外フランジ状の口部2bとを、熱溶着することにより、薬剤収納室1が溶解液室収納室2に連設(連接)される。この際、図3に示すように、構成壁8のポート1b下端の断面構造は、中間層8cの下端を内面層8aと外面層8bの下端が覆い被さった断面構造であるため、構成壁8の内面層8a・外面層8bを構成するポリプロピレンと、溶解液収納室2を構成するポリプロピレンとが相互に液密に熱溶着する。なお、構成壁8のポート1b下端を、溶解液収納室2の口部2bのように外フランジ状に形成してもよく、そうすれば構成壁8の内面層8aと溶解液収納室2の口部2bとを熱溶着することができ、あるいは構成壁8のポート1b下端を内フランジ状に形成すれば、構成壁8の外面層8bと溶解液収納室2の口部2bとを熱溶着することができる。
【0033】
輸液用容器10は、このような構成からなるので、使用の際、キャップ部材3を回転操作すると、それに伴ってゴム栓20が回動し、さらにゴム栓20の係合孔20d、20eを介して突部7c、7dも回動して薬剤収納室1の底部6との樹脂接着(仮止め)を破り、薬剤収納室1と溶解液収納室2の間に、大きい連通孔5(5a、5b)を容易に形成することができる(特に図6参照)。
さらに、輸液用容器10を上下逆にするか、又は溶解液収納室2を押圧することにより、溶解液を連通孔5を介して薬剤収納室1に流し込む。
【0034】
次いで、上蓋部9をその引張片9aによって取り外して、薬液取出部4としての孔部3bを開放し、点滴具(図示省略、以下同様)に一体に接続された穿刺針を、露出したゴム栓20の小ゴム栓部20bに刺通し、さらに栓本体20aを刺通してから、溶解液収納室2の吊り下げ孔部23をスタンドに掛けると、薬剤と溶解液とを混合してなる薬液を輸液として点滴具の他端に取り出すことができる。
【0035】
以上のごとく、この輸液用容器によれば、薬剤を収納する薬剤収納室内の湿気防止に優れるため、薬剤の湿気による変質を防止して安定的に保存することができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、薬剤収納室内に薬剤変質防止剤(乾燥剤)及びこれを収納する構造が不要であり、薬剤収納室内の薬剤を変質させることなく安定的に保存できる輸液用容器を提供することができる。
また、本発明によれば、薬剤収納室内に薬剤変質防止剤及びこれを収納する構造が不要であり、また輸液用容器全体を被覆する防湿性フィルムが不要であり、ゴミ対策に配慮した輸液用容器を低コストにて提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る輸液用容器の実施の形態を示す縦断面図である。
【図2】図1とは90°異なる方向の縦断面図である。
【図3】図2の要部拡大縦断面図である。
【図4】図2のA−A線断面図である。
【図5】図3の丸部拡大断面図である。
【図6】主として連通孔の開放状態を説明する一部分解斜視図である。
【符号の説明】
1 薬剤収納室
2 溶解液収納室
8 構成壁
8a 内面層
8b 外面層
8c 中間層
T3 中間層の厚み
Claims (6)
- 薬剤を収納する薬剤収納室と、前記薬剤収納室に連設され、前記薬剤を溶解するための溶解液を収納する溶解液収納室とを備え、前記薬剤収納室が、前記溶解液収納室とは保存時には液密に区画され、かつ使用時には連通可能に構成された輸液用容器であって、
前記薬剤収納室は、その構成壁が、内面層、外面層、及び内面層と外面層との間の中間層からなる3層樹脂構造であり、
前記内面層、外面層及び中間層はそれぞれ熱可塑性樹脂からなり、
さらに中間層は、内面層、外面層よりも透湿度が小さい低透湿性樹脂からなることを特徴とする輸液用容器。 - 中間層は、透湿度(膜厚:300μm、温度:40℃、相対湿度:90%)が0.3g/m2・24hr以下の低透湿性樹脂からなる請求項1に記載の輸液用容器。
- 中間層は、その厚みが50μm〜3mmに設定された請求項1又は2に記載の輸液用容器。
- 低透湿性樹脂が、シクロオレフィンポリマー又はシクロオレフィンコポリマーからなる請求項1〜3の何れか1つに記載の輸液用容器。
- 3層樹脂構造は、サンドイッチ成形法によりスキン層として内面層及び外面層が形成され、かつコア層として中間層が形成された請求項1〜4の何れか1つに記載の輸液用容器。
- 薬剤が、粉末薬剤又は凍結乾燥薬剤である請求項1〜5の何れか1つに記載の輸液用容器。
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2003
- 2003-06-19 JP JP2003175074A patent/JP2005006945A/ja active Pending
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