JP2004038076A - 現像ローラ及びそれを有する現像装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】円筒状基体1の表面に樹脂で構成される表面層2を有する現像ローラ10において、(イ)該表面層2が、研磨テープにテンションを掛けた状態から30mm変位させたときの研磨テープの押し込み力を0.5〜3.0Kgfの範囲として研磨加工した表面を有し、(ロ)該表面の十点平均粗さRzが4μm以下であると共に、該表面の突起状の表面欠陥が高さ7μm以下であり、そして、(ハ)該表面の円周方向に発生した線状の表面欠陥が幅0.3mm以下であると共に、その線状の表面欠陥の深さが2μm以下である現像ローラとする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置において用いられる現像ローラに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置、特に、小型の電子写真装置の分野においては、メンテナンスの簡素化が進められており、非磁性1成分トナーを使用して現像するタイプの現像装置、例えば、感光体表面、感光紙、記録紙等の画像担持体上に形成された静電潜像を1成分トナーを使用して現像するタイプの現像装置が実用化されている。図3は、このような従来の現像装置の概略説明図である。
【0003】
図3に示すように、従来の現像装置120においては、現像ローラ110、芯軸の周囲に弾性層を形成してなる補給ローラ111、及び、トナー攪拌部材112は、ケース113の側板に軸支されている。トナー117は、トナー攪拌部材112及び補給ローラ111を介して現像ローラ110の表面に供給される。現像ローラ110上に供給されたトナー117は、さらに、トナー層規制部材114によって所定量に薄層化され、回転する現像ローラ110によって感光体115に搬送される。現像ローラ110は、感光体115に接触し、電極を介して感光体115の帯電電位と光書き込み後(露光後)の残留電位の中間のバイアス電圧がバイアス電源116によって印加されている。現像ローラ110上のトナー117は、感光体115との接触部に搬送され、そこで、感光体電位と現像バイアスによる現像電界に応じて帯電したトナー117は、感光体115に付着し静電潜像が可視像化される。
【0004】
かかる現像ローラ110によれば、その表面に薄層化させたトナーを担持させ、これを静電潜像の形成された感光体ドラム115に当接させると、トナーが感光体ドラム115に現像電界に応じて移行するので、感光体ドラム115に形成された静電潜像が可視像化される。このような現像ローラ110においては、トナー117と現像ローラ110の表面との接触による摩擦帯電によってトナーの帯電の極性及び帯電量を制御する必要がある。トナーの感光体ドラム115への移動は、トナーの帯電の極性及び現像電解に応じて、静電潜像の画像部及び非画像部(地肌部)を選択することにより行われる。この装置によれば、トナーに磁性材料を使うことなく、カラー化が容易であるという利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この種の一成分による現像装置では、カブリ、ゴースト等の発生を防ぎ、画像品質を維持するために、トナーを均一に高い電圧で帯電させることが必須であり、トナーと接触して摩擦帯電させる各部品の表面材質の選定が重要である。近年、環境問題により、現像装置の長寿命化が要求されているが、現像装置の部品の表面、特に、現像ローラ及びトナー規制部材の表面には、トナーが凝集・固着しやすく、また、かかる凝集・固着したトナーにより現像ローラ及びトナー規制部材の表面にキズ、亀裂、剥離等の損傷が発生するという問題があった。また、現像装置を長期間使用すると、トナー漏れ、トナー飛散等により画像形成装置の内部が汚染するという問題もあった。
【0006】
このようなトナーの凝集・固着の発生を防止するために、平板(ブレード)状のトナー規制部材に振動させる機構を設ける技術(特開平5−142938号公報)が提案されているが、この技術では、ブレード状のトナー規制部材を振動させるための構成部品が多数必要となるので、現像ユニットが非常に煩雑で大がかりな構成になるという問題があった。また、ブレード状のトナー規制部材では、現像ローラとの接触部分が限られているので、その接触部分が機械的に摩耗し、そのために、現像装置の寿命を延ばし難いという問題があった。
【0007】
このようなトナーの凝集・固着の発生を防止するために、トナー規制部材をトナー規制ローラで構成して、非現像時に所定のタイミングでトナー規制ローラを回転させる技術(特開平11−84867号公報)も提案されている。この技術は、ブレード状のトナー規制部材を有するものと較べて、現像ローラとトナー規制ローラとの接触部分が増加するので、トナー規制ローラの表面、現像ローラの機械的な摩耗を防ぐのに有効である。しかしながら、非現像時に所定のタイミングで回転させるトナー規制ローラを有する現像装置においては、現像ローラは現像時も非現像時も常に一定方向に回転し、また、トナー規制ローラが現像ローラの回転方向に対して逆方向に回転するので、現像ローラ及びトナー規制ローラで形成される楔形状領域に堆積したトナー凝集粉が、下流に移行することとなるので、トナー凝集粉に圧力が加わって、現像ローラの表面及びトナー規制ローラの表面にキズが発生しやすいという問題があった。従って、この種の現像装置を用いた画像形成装置では、作像回数として6千枚程度が限界であり、高寿命化を期待するのは不十分である。
【0008】
そして、現像ローラは、感光体上の静電潜像に直接トナーを現像するので、作像回数を重ねることによって発生する前述したような、現像ローラ表面に凝集・固着したトナー、及び、現像ローラの表面に生じたキズ、亀裂、剥離等の損傷が、異常画像として画像品質を損ねてしまうという問題があった。しかも、初期から存在する現像ローラ上の突起状、線状、穴状などの表面欠陥等も画像・画質と密接な関係を持っており、このような表面欠陥を起点として、現像ローラ表面に凝集・固着したトナー、及び、現像ローラの表面に生じたキズ、亀裂、剥離等の損傷が加速されると、異常画像として画像品質をさらに損ねてしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。
即ち、本発明は、現像ローラ表面に凝集・固着したトナー、及び、現像ローラの表面に生じたキズ、亀裂、剥離等の損傷による異常画像の発生を防止して、使用上の耐久性を向上させた現像ローラ及びそれを有する現像装置を低コストで提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、円筒状基体の表面に樹脂で構成される表面層を有する現像ローラにおいて、該表面層を、研磨テープにテンションを掛けた状態から30mm変位させたときの研磨テープの押し込み力を0.5〜3.0Kgfの範囲として研磨加工して、該表面の十点平均粗さRzを4μm以下とすると共に、該表面の突起状の表面欠陥を高さ7μm以下とし、そして、該表面の円周方向に発生した線状の表面欠陥を幅0.3mm以下とすると共に、その線状の表面欠陥を深さ2μm以下としたところ、現像ローラ表面に凝集・固着したトナー、及び、現像ローラの表面に生じたキズ、亀裂、剥離等の損傷による異常画像の発生を防止して、使用上の耐久性を向上させた現像ローラ及びそれを有する現像装置を低コストで提供することを見出して本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、円筒状基体の表面に樹脂で構成される表面層を有する現像ローラにおいて、
(イ)該表面層が、研磨テープにテンションを掛けた状態から30mm変位させたときの研磨テープの押し込み力を0.5〜3.0Kgfの範囲として研磨加工した表面を有し、
(ロ)該表面の十点平均粗さRzが4μm以下であると共に、該表面の突起状の表面欠陥が高さ7μm以下であり、そして、
(ハ)該表面の円周方向に発生した線状の表面欠陥が幅0.3mm以下であると共に、その線状の表面欠陥の深さが2μm以下である
ことを特徴とする現像ローラである。
【0012】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記現像ローラの表面に発生した穴状の表面欠陥の直径が0.3mm以下であることを特徴とするものである。
【0013】
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載された発明において、前記研磨テープが、砥粒径15μm以下(#1000番相当)のシリコンカーバイド系砥粒を有していることを特徴とするものである。
【0014】
請求項4に記載された発明は、静電潜像が形成された像担持体に接触しかつトナーを付着させて前記静電潜像を可視化させるために作像時に回転される現像ローラと、前記現像ローラに接触するように配置されて前記トナーを前記現像ローラに供給するトナー供給ローラと、前記現像ローラに付着するトナーの量を規制して前記現像ローラにトナー薄層を形成するトナー規制部材と、を有する現像装置において、該現像ローラとして、前記請求項1〜3のいずれかに記載の現像ローラを有することを特徴とする現像装置である。
【0015】
請求項5に記載された発明は、請求項4に記載された発明において、前記トナー規制部材がトナー規制ローラであることを特徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態を示す現像ローラの断面図である。図2は、本発明の一実施の形態を示す現像ローラを有する現像装置の概略説明図である。
【0017】
図1において、10は現像ローラである。現像ローラ10は、円筒状基体1の表面に樹脂で構成される表面層2を有している。前記円筒状基体1は、アルミニウム、ステンレススチール、真鍮等の金属で構成される。前記樹脂で構成される表面層2は、例えば、分子中にヒドロキシル基を有するポリエステル樹脂、メラミン系樹脂よりなる硬化剤及び導電性材料を分散した塗料を円筒状基体1の表面に塗布することにより形成される。前記メラミン樹脂は、アミノ基を含有しているので、通常のマイナス帯電トナーとは逆極性を示す。本発明においては、前記表面層2を構成する樹脂は、前記分子中にヒドロキシル基を有するポリエステル樹脂のみに限定されるものではなく、本発明の目的に反しない限り、メラミン系樹脂で架橋される分子中にヒドロキシル基、カルボキシル基等の活性基を有するそれ以外の樹脂であってもかまわない。
【0018】
前記導電性材料は、好ましくは、アルミナ粉をベースとし、この表面にインジウムドープ酸化錫をコーティングしたITOであるが、ケッチェンブラックEC、アセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン、酸化処理等を施したカラー用カーボン、熱分解カーボン、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、銅、銀、ゲルマニウム等の金属及び、金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマーであってもかまわない。また、前記導電性付与材は、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カルシウム、塩化リチウム等の無機イオン性導電物質、或いは、変性脂肪酸ジメチルアンモニウムエトサルファート、ステアリン酸アンモニウムアセテート、ラウリルアンモニウムアセテート、オクタデシルトリメチルアンモニウム過塩素酸塩等の有機イオン性導電性物質であってもかまわない。
【0019】
前記表面層2は、例えば、160℃で1時間焼成して硬化される。本発明においては、このように硬化された表面層2は、研磨テープにテンションを掛けた状態から30mm変位させたときの研磨テープの押し込み力を0.5〜3.0Kgfの範囲として研磨加工する。このような研磨加工をしない場合には、現像ローラの表面層に7μm以上の高さの突起状の表面欠陥が存在することがあり、その場合には、突起状の表面欠陥の輪郭に対応する位置では濃度が濃く、また、傾斜や頂点に対応する位置では濃度が薄い白く抜けた画像(白ポチ画像)が発生する。それ故、研磨テープ等による研磨加工が必要となる。しかし、テープの押し込み力や研磨テープの材質や番手が適切でないと、▲1▼突起状の表面欠陥の高さが十分低くならないこと、▲2▼幅の広い深い線状の表面欠陥が発生すること、▲3▼突起状の表面欠陥が脱離して穴が形成されること、等の表面欠陥が発生するので、逆に、表面粗さを悪化させること等の副作用が生じる。
【0020】
本発明においては、硬化された表面層2は、研磨テープにテンションを掛けた状態から30mm変位させたときの研磨テープの押し込み力を0.5〜3.0Kgfの範囲として研磨加工するので、線状の表面欠陥が発生したとしても、その幅が0.3mm以下に抑えられると共に、その深さが2μm以下に抑えられ、また、穴状の表面欠陥が発生したとしても、その直径が0.3mm以下に抑えられ、しかも、その表面の十点平均粗さRzが4μm以下となると共に、その表面の突起状の表面欠陥が高さ7μm以下となる。
【0021】
現像ローラの表面粗さが大きい場合、ガサついた画像になってしまう。これは粗さの凹凸によって、凹の位置では凹の深さに応じて供給されるトナー量が多くなり、凸の位置では凸の高さに応じて供給されるトナー量が少なくなることで、画像濃度がばらついてしまうことによる。また、現像ローラに突起状の表面欠陥が存在する場合、突起状の表面欠陥の輪郭に対応する位置では濃度が濃く、傾斜や頂点に対応する位置では濃度が薄く、白く抜けた画像(白ポチ画像)が発生する。このような「白ポチ画像」は、突起状の表面欠陥の位置では、その高さに応じて供給されるトナー量が少なくなるために発生する。さらに、現像ローラに線状の表面欠陥が存在する場合、線状の表面欠陥に対応する位置では濃度が濃く、黒スジ状の画像(黒スジ画像)が発生する。このような「黒スジ画像」は、線状の表面欠陥の位置では、その幅と深さに応じて供給されるトナー量が多くなるために発生する。しかしながら、本発明においては、表面層2の表面の十点平均粗さRzが4μm以下であると共に、該表面の突起状の表面欠陥の高さが7μm以下であるので、「画像濃度のばらつき」、「白ポチ画像」及び「黒スジ画像」が実用上問題にならない画像が得られ、10万枚現像後も同レベルの画像が維持される。
【0022】
本発明よれば、このように、
(イ)表面層2が、研磨テープにテンションを掛けた状態から30mm変位させたときの研磨テープの押し込み力を0.5〜3.0Kgfの範囲として研磨加工した表面を有し、
(ロ)該表面の十点平均粗さRzが4μm以下であると共に、該表面の突起状の表面欠陥が高さ7μm以下であり、そして、
(ハ)該表面の円周方向に発生した線状の表面欠陥が幅0.3mm以下であると共に、その線状の表面欠陥の深さが2μm以下である
ので、現像ローラ表面に凝集・固着したトナー、及び、現像ローラの表面に生じたキズ、亀裂、剥離等の損傷による「画像濃度のばらつき」、「白ポチ画像」、「黒スジ画像」等の異常画像の発生を防止して、使用上の耐久性を向上させた現像ローラ及びそれを有する現像装置を低コストで提供することができる。
【0023】
本発明においては、現像ローラ10の表面に発生した穴状の表面欠陥の直径は、0.3mm以下である。現像ローラに穴状の表面欠陥が存在する場合、穴状の表面欠陥に対応する位置では濃度が濃く、黒点状の画像(黒ポチ画像)が発生する。これは穴状の表面欠陥の位置では、その大きさに応じて供給されるトナー量が多くなるためである。本発明においては、現像ローラ10の表面に発生した穴状の表面欠陥の直径が0.3mm以下であるので、「黒ポチ画像」が実用上問題にならない画像が得られ、10万枚現像後も同レベルの画像が維持される。
【0024】
本発明においては、好ましくは、研磨テープは、砥粒径15μm以下(#1000番相当)のシリコンカーバイド系砥粒を有している。このように、本発明においては、研磨テープが砥粒径15μm以下(#1000番相当)のシリコンカーバイド系砥粒を有しているので、線状の表面欠陥が発生したとしても、その幅が0.3mm以下に抑えられると共に、その深さが2μm以下に抑えられ、また、穴状の表面欠陥が発生したとしても、その直径が0.3mm以下に抑えられ、しかも、その表面の十点平均粗さRzが4μm以下となると共に、その表面の突起状の表面欠陥が高さ7μm以下となる。したがって、本発明においては、前述したとおり、「画像濃度のばらつき」、「白ポチ画像」及び「黒スジ画像」が実用上問題にならない画像が得られ、10万枚現像後も同レベルの画像が維持される。
【0025】
図2に示すように、本発明の現像装置20は、静電潜像が形成された像担持体に接触しかつトナー16を付着させて前記静電潜像を可視化させるために作像時に回転される現像ローラ10と、前記現像ローラ10に接触するように配置されて前記トナー16を前記現像ローラ10に供給するトナー供給ローラ11と、前記現像ローラ10に付着するトナー16の量を規制して前記現像ローラ10にトナー薄層を形成するトナー規制部材(13)と、を有し、そして、前記現像ローラ10として、前記請求項1〜3のいずれかに記載の現像ローラを有している。前記トナー規制部材は、好ましくは、トナー規制ローラ13である。
【0026】
現像ローラ10、芯軸の周囲にスポンジを形成してなるトナー供給ローラ11、トナー搬送部材12は、ケース14の側板に軸支されている。トナー16は、トナー搬送部材12、及び、トナー供給ローラ11を介して現像ローラ10の表面に供給される。現像ローラ10上に供給されたトナー16は、さらに、トナー規制ローラ13によって所定量に薄層化され、現像ローラ10を回転させて、感光体(図示しない)に搬送される。現像ローラ10は感光体に接触し、そして、現像ローラ10には、電極を介して感光体の帯電電位と光書き込み後(露光後)の残留電位の中間であるバイアス電圧(図示しない)が印加されている。現像ローラ10上のトナー16は、感光体との接触部に搬送され、感光体電位と現像バイアスによる現像電界に応じて、感光体に付着し静電潜像が可視像化される。図2において、15はバネである。
【0027】
ここで用いるトナー16は、ポリエステル、ポリオール、スチレンアクリル等の樹脂に帯電制御剤(CCA)、色剤を混合し、その周りにシリカ、酸化チタン等の物質を外添して、その流動性を高めている。添加剤の粒径は通常0.1〜1.5μmの範囲である。色剤はカ−ボンブラック、フタロシアニンブル−、キナクリドン、カ−ミン等を上げることができる。帯電極性は、負帯電である。トナー16は、場合によっては、ワックス等を分散混合させた母体トナーに上記種類の添加剤を外添しているものも使用することができる。トナー16の体積平均粒径の範囲は、好ましくは、3〜12μmである。
【0028】
トナー規制ローラ13は、駆動回転させるものでなく、現像ローラ10を非現像時に作像時の回転と逆転させるものである。これによって、現像ローラ10とトナー規制ローラ13の間の楔部分に堆積したトナー16が、非現像時に一旦上流側へ押し戻される効果が発生する。トナー規制ローラ13を現像ローラ10と同方向に回転させることは、両ローラが共に楔内のトナー16を吐き出す方向に回転するために、当接部に堆積したトナー16を一旦上流側に吐き戻す作用が、現像ローラ10のみが逆転する場合よりさらに強いものとなる。具体的にはトナー規制ローラ13にワンウエイクラッチ(図示せず)を設けることで、現像ローラ10が逆回転する場合のみにトナー規制ローラ13を稼動させることが可能であり、トナー規制ローラ13と現像ローラ10の表面の摩擦抵抗のみによってトナー規制ローラ13を回転させることが可能となる。トナー規制ローラ13を同方向に強制的に駆動させる方式でも同じ効果を示すが、装置を煩雑にすることになり、また、ギアーの構成いかんによってはバンディング等の副作用が発生することに留意する必要がある。
【0029】
トナー規制ローラ13は、現像ローラ10を剛体としたので、弾性体ローラとした。このトナー規制ローラ13は、直径10mmのS45Cの芯金上に、ニトリルゴム、エピクロルヒドリンゴム等を被覆し、その表面にフッ素樹脂をスプレー塗装によって20μm形成したものである。また、トナー規制ローラ13において、ゴムの弾性体を用いると、現像ローラ10との当接箇所で弾性変形が生じるので、現像時(現像ローラ回転)に安定したニップ幅、及び、当接圧力を得ることができる。それにより、現像ローラ10上のトナー量も安定、均一化できる。
【0030】
本発明の現像装置は、前記請求項1〜3のいずれかに記載の現像ローラを有しているので、現像ローラ表面に凝集・固着したトナー、及び、現像ローラの表面に生じたキズ、亀裂、剥離等の損傷による「画像濃度のばらつき」、「白ポチ画像」、「黒スジ画像」等の異常画像の発生を防止して、使用上の耐久性を向上させることができる。また、本発明の現像装置は、トナー規制部材がローラ形状であり、これと現像ローラに当接させることによりトナーに帯電性を付与すると共に、トナー量を規制することによって、現像ローラ上に均一なトナー薄層を形成させることができる。
【0031】
【実施例】
(実施例1)
ヒドロキシル基を有するポリエステル樹脂に70重量部にメチル化メラミン樹脂30重量部及びITO導電性粒子(アルミナ粉ベース)54重量部を分散させてなる塗料をアルミニウムで構成される直径26mmの円筒状基体の表面にスプレーコートし、そして、このスプレーコートした円筒状基体をオーブンにて160℃で1時間焼成し、架橋反応を進行させ硬化させて、表面層を形成することにより、現像ローラとした。このようにして得られた現像ローラの表面層の膜厚は、7.5μmであった。次に、この現像ローラの表面層にシリコンカーバイド系砥粒1.5μm(#6000)を有する研磨テープを用いて、押し込み力を0.5Kgfとし、ワーク回転数を1800rpmとして、現像ローラの表面層にテープ研磨処理を施した。このように表面処理された現像ローラの表面特性は、▲1▼表面の十点平均粗さRz;2.3〜3.0μm、▲2▼突起状の表面欠陥(最大);高さ7.0μm、▲3▼線状の表面欠陥(最大);幅0.05mm、その深さ;ほぼフラット、及び、▲4▼穴状の表面欠陥(最大);なし、であった。また、その現像ローラの全面ベタ画像は、突起状の表面欠陥の輪郭位置での濃度がやや濃く、傾斜位置や頂点位置での濃度がやや薄いが、実用上問題のないものであった。そして、10万枚現像後においても同レベルの画像品質が維持された。
【0032】
(実施例2)
シリコンカーバイド系砥粒15μm(#1000)を有する研磨テープを用いて、押し込み力を3.0Kgfとした以外は、実施例1と同様にしてテープ研磨処理を行って現像ローラとした。このようにして得られた現像ローラの表面特性は、▲1▼表面の十点平均粗さRz;3.3〜4.0μm、▲2▼突起状の表面欠陥(最大);高さ2.0μm、▲3▼線状の表面欠陥(最大);幅0.30mm、その深さ;2.0μm、及び、▲4▼穴状の表面欠陥(最大);直径0.30mm、であった。また、その現像ローラの全面ベタ画像は、線状の表面欠陥の位置での濃度、及び、穴状の表面欠陥の位置での濃度がやや濃いが、実用上問題のないものであった。そして、10万枚現像後においても同レベルの画像品質が維持された。
【0033】
(実施例3)
シリコンカーバイド系砥粒15μm(#1000)を有する研磨テープを用いて、押し込み力を0.5Kgfとした以外は、実施例1と同様にしてテープ研磨処理を行って現像ローラとした。このようにして得られた現像ローラの表面特性は、▲1▼表面の十点平均粗さRz;2.6〜3.3μm、▲2▼突起状の表面欠陥(最大);高さ5.0μm、▲3▼線状の表面欠陥(最大);幅0.12mm、その深さ;0.8μm、及び、▲4▼穴状の表面欠陥(最大);直径0.12mm、であった。また、その現像ローラの全面ベタ画像は、実用上問題のないものであった。そして、10万枚現像後においても同レベルの画像品質が維持された。
【0034】
(実施例4)
シリコンカーバイド系砥粒1.5μm(#6000)を有する研磨テープを用いて押し込み力を3.0Kgfとした以外は、実施例1と同様にテープ研磨処理を行って現像ローラとした。このようにして得られた現像ローラの表面特性は、▲1▼表面の十点平均粗さRz;1.8〜2.4μm、▲2▼突起状の表面欠陥(最大);高さ.3.8μm、▲3▼線状の表面欠陥(最大);幅0.25mm、その深さ;1.8μm、及び、▲4▼穴状の表面欠陥(最大);直径0.25mm、であった。また、その現像ローラの全面ベタ画像は、実用上問題のないものであった。
【0035】
(比較例1)
テープ研磨処理を行わなかった以外は、実施例1と同様に現像ローラとした。このようにして得られた現像ローラの表面特性は、▲1▼表面の十点平均粗さRz;2.3〜3.0μm、▲2▼突起状の表面欠陥(最大);高さ12.5μm、▲3▼線状の表面欠陥(最大);なし、及び、▲4▼穴状の表面欠陥(最大);なし、であった。また、その現像ローラの全面ベタ画像は、突起状の表面欠陥の輪郭位置での濃度が濃く、しかも、傾斜位置や頂点位置での濃度が薄いので、実用にならないものであった。
【0036】
(比較例2)
シリコンカーバイド系砥粒1.5μm(#6000)を有する研磨テープを用いて、押し込み力を4.0Kgfとした以外は、実施例1と同様にテープ研磨処理を行って現像ローラとした。このようにして得られた現像ローラの表面特性は、▲1▼表面の十点平均粗さRz;2.0〜2.8μm、▲2▼突起状の表面欠陥(最大);高さ.3.3μm、▲3▼線状の表面欠陥(最大);幅0.33mm、その深さ;2.8μm、及び、▲4▼穴状の表面欠陥(最大);直径0.25mm、であった。また、その現像ローラの全面ベタ画像は、線状の表面欠陥の位置での濃度が濃いので、実用にならないものであった。
【0037】
(比較例3)
シリコンカーバイド系砥粒15μm(#1000)を有する研磨テープを用いて押し込み力を3.0Kgfとした以外は、実施例1と同様にテープ研磨処理を行って現像ローラとした。このようにして得られた現像ローラの表面特性は、▲1▼表面の十点平均粗さRz;4.2〜4.5μm、▲2▼突起状の表面欠陥(最大);高さ.2.0μm、▲3▼線状の表面欠陥(最大);幅0.33mm、その深さ;2.5μm、及び、▲4▼穴状の表面欠陥(最大);直径0.35mm、であった。また、その現像ローラの全面ベタ画像は、線状の表面欠陥の位置での濃度、及び、穴状の表面欠陥の位置での濃度が濃く、しかも、全体的にガサついた画像であるので、実用にならないものであった。
【0038】
【発明の効果】
(1)請求項1に記載された本発明によれば、(イ)表面層2が、研磨テープにテンションを掛けた状態から30mm変位させたときの研磨テープの押し込み力を0.5〜3.0Kgfの範囲として研磨加工した表面を有し、(ロ)該表面の十点平均粗さRzが4μm以下であると共に、該表面の突起状の表面欠陥が高さ7μm以下であり、そして、(ハ)該表面の円周方向に発生した線状の表面欠陥が幅0.3mm以下であると共に、その線状の表面欠陥の深さが2μm以下であるので、現像ローラ表面に凝集・固着したトナー、及び、現像ローラの表面に生じたキズ、亀裂、剥離等の損傷による「画像濃度のばらつき」、「白ポチ画像」、「黒スジ画像」等の異常画像の発生を防止して、使用上の耐久性を向上させた現像ローラ及びそれを有する現像装置を低コストで提供することができる。
【0039】
(2)請求項2に記載された本発明によれば、現像ローラの表面に発生した穴状の表面欠陥の直径が0.3mm以下であるので、「黒ポチ画像」が実用上問題にならない画像が得られ、10万枚現像後も同レベルの画像が維持される。
【0040】
(3)請求項3に記載された本発明によれば、研磨テープが砥粒径15μm以下(#1000番相当)のシリコンカーバイド系砥粒を有しているので、線状の表面欠陥が発生したとしても、その幅が0.3mm以下に抑えられると共に、その深さが2μm以下に抑えられ、また、穴状の表面欠陥が発生したとしても、その直径が0.3mm以下に抑えられ、しかも、その表面の十点平均粗さRzが4μm以下となると共に、その表面の突起状の表面欠陥が高さ7μm以下となり、それらのために、前述したとおり、「画像濃度のばらつき」、「白ポチ画像」及び「黒スジ画像」が実用上問題にならない画像が得られ、10万枚現像後も同レベルの画像が維持される。
【0041】
(4)請求項4に記載された本発明によれば、静電潜像が形成された像担持体に接触しかつトナーを付着させて前記静電潜像を可視化させるために作像時に回転される現像ローラと、前記現像ローラに接触するように配置されて前記トナーを前記現像ローラに供給するトナー供給ローラと、前記現像ローラに付着するトナーの量を規制して前記現像ローラにトナー薄層を形成するトナー規制部材と、を有する現像装置において、該現像ローラとして、前記請求項1〜3のいずれかに記載の現像ローラを有しているので、現像ローラ表面に凝集・固着したトナー、及び、現像ローラの表面に生じたキズ、亀裂、剥離等の損傷による「画像濃度のばらつき」、「白ポチ画像」、「黒スジ画像」等の異常画像の発生を防止して、使用上の耐久性を向上させることができる。
【0042】
(5)請求項5に記載された本発明によれば、トナー規制部材がローラ形状であるので、これと現像ローラに当接させることによりトナーに帯電性を付与すると共に、トナー量を規制することによって、現像ローラ上に均一なトナー薄層を形成させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の一実施の形態を示す現像ローラの断面図である。
【図2】
本発明の一実施の形態を示す現像ローラを有する現像装置の概略説明図である。
【図3】
従来の現像装置の概略説明図である。
【符号の説明】
1 円筒状基体
2 表面層
10 現像ローラ
11 トナー供給ローラ
12 トナー搬送部材
13 トナー規制ローラ
14 ケース
15 バネ
16 トナー
20 現像装置
Claims (5)
- 円筒状基体の表面に樹脂で構成される表面層を有する現像ローラにおいて、
(イ)該表面層が、研磨テープにテンションを掛けた状態から30mm変位させたときの研磨テープの押し込み力を0.5〜3.0Kgfの範囲として研磨加工した表面を有し、
(ロ)該表面の十点平均粗さRzが4μm以下であると共に、該表面の突起状の表面欠陥が高さ7μm以下であり、そして、
(ハ)該表面の円周方向に発生した線状の表面欠陥が幅0.3mm以下であると共に、その線状の表面欠陥の深さが2μm以下である
ことを特徴とする現像ローラ。 - 前記現像ローラの表面に発生した穴状の表面欠陥の直径が0.3mm以下であることを特徴とする請求項1記載の現像ローラ。
- 前記研磨テープが、砥粒径15μm以下(#1000番相当)のシリコンカーバイド系砥粒を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像ローラ。
- 静電潜像が形成された像担持体に接触しかつトナーを付着させて前記静電潜像を可視化させるために作像時に回転される現像ローラと、前記現像ローラに接触するように配置されて前記トナーを前記現像ローラに供給するトナー供給ローラと、前記現像ローラに付着するトナーの量を規制して前記現像ローラにトナー薄層を形成するトナー規制部材と、を有する現像装置において、該現像ローラとして、前記請求項1〜3のいずれかに記載の現像ローラを有することを特徴とする現像装置。
- 前記トナー規制部材がトナー規制ローラであることを特徴とする請求項4に記載の現像装置。
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JP2002198559A JP2004038076A (ja) | 2002-07-08 | 2002-07-08 | 現像ローラ及びそれを有する現像装置 |
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Cited By (1)
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CN110579950A (zh) * | 2018-06-07 | 2019-12-17 | 佳能株式会社 | 定影构件和热定影装置 |
-
2002
- 2002-07-08 JP JP2002198559A patent/JP2004038076A/ja active Pending
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