JP4261940B2 - 画像形成方法、現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

画像形成方法、現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、レーザビームプリンタ等の電子写真方式を採用する各種画像形成装置に用いられる画像形成方法、現像装置その現像装置を用いたプロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
先ず、図7を参照しながら従来の電子写真方式を採用する画像形成装置について説明する。
【0003】
図7に示したように、一般的な画像形成装置は、回転自在な潜像担持体たる感光体101と、感光体101に対して従動回転し感光体101を所定の電位に帯電させる帯電装置102と、感光体101上に静電潜像を形成する露光装置103と、感光体101上の静電潜像を現像して顕像化する現像装置104と、感光体101上の可視像を転写材に転写する転写装置105と、可視像を永久画像として定着する定着装置108と、転写材に転写しきれずに感光体101上に残留した現像剤を回収するクリーニング装置106と、を有して構成されている。
【0004】
近年、これらの中の、感光体101、帯電装置102、現像装置104及びクリーニング装置106をプロセスカートリッジとして一体構成し、プロセスカートリッジを装置本体に着脱可能に構成することで、メインテナンスの必要がないユーザビリティーに優れた画像形成装置が提供されている。
【0005】
現像装置104は、少なくとも、現像剤111(以下、トナーと記す。)と、トナー111を担持・搬送する現像剤担持体110(以下、現像スリーブと記す。)と、現像スリーブ110上のトナーコーティングを規制するトナー層厚規制部材109(以下、現像ブレードと記す。)とにより構成されている。図7に示した画像形成装置を製造する場合に、現像装置104の組立工程内において、外観検査等の品質確認を行う目的で、現像スリーブ110上にトナー111がコートされていない状態で、現像スリーブ110を一定時間回転させることが一般的に行われている。
【0006】
しかしながら、このときに、現像ブレード109や現像スリーブ110上に摺擦傷ができることがあった。また、現像ブレード109がウレタンゴム等の弾性体で構成されていると、現像ブレード109と現像スリーブ110との摩擦抵抗によって、現像ブレード109が現像スリーブ110の回転方向側にめくれてしまうことがあった。このような製品が市場に出されると、トナー111を用いての使用が実際に開始した場合に、現像スリーブ110上に均一で良好なトナーコーティングがされないという問題が発生する。
【0007】
この問題を解決するために、組立工程で、トナー111がコートされていない状態で現像スリーブ110を一定時間回転させる場合に、現像ブレード109の現像スリーブ110に当接する側の面に潤滑剤を塗布することが行われることが一般的である。
【0008】
この際に使用する潤滑剤としては、適正な帯電特性や形状等を有するものが選択して用いられる。現像スリーブ110上にトナー111がコートされて、現像装置104が実際に使用され始めた初期段階においての現像特性や、現像スジの発生に潤滑剤が影響を及ぼすおそれがあるためである。
【0009】
例えば、特許文献1では、平均粒径5〜30μmの球形シリコーン樹脂粒子を現像スリーブ上に粉体で塗布する方法が提案されている。また、特許文献2では、平均粒径5〜45μmの樹脂粒子で、帯電量が適正なもの(球形PMMA、ウレタン、アクリル、ポリスチレン、PVDF)、或いは不定形のシリコーン樹脂粒子を塗布する方法の提案がなされている。また、最近では特許文献3において、平均円形度が0.90以上で、現像規制部材と現像剤担持体上に存在する長手方向における潤滑剤の塗布量が0.23〜1.4mg/cmの球形ポリマー粒子であり、重量平均粒径が現像剤担持体の表面粗さRzよりも大きいポリマー粒子を採用する提案がなされている。
【0010】
【特許文献1】
特開平8−211728号公報
【特許文献2】
特開平11−119551号公報
【特許文献3】
特開2002−278262公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術の潤滑剤を用いた場合においても、以下に述べるような問題を生ずることがあった。
【0012】
新しい現像装置においては、現像容器内のトナーは電荷付与されていない状態なので、現像ブレードと現像スリーブの当接部で電荷付与されても直ぐには適正なトナーの電荷まで至ることは難しい。よって、使い始めの段階においては十分な現像性を得られないことがあり、濃度が低めであったり、文字が細めになったりすることがある。
【0013】
更には、トナーの電荷付与不足によるゴースト現象も現れる。この場合のゴースト現象は、図8のように現像スリーブ1周前の画像がゴーストとなって現れるものである。
【0014】
特に現像装置の初期の段階では、画像上最初の現像スリーブ1周目は濃くなり、その2周目以降は薄くなるというネガゴーストが目立つ。これはトナーが現像された後の現像スリーブ上のトナーが直ぐに適正な電荷量及びコート量を得られないため、2周目以降での現像性が低下してネガゴーストが発生するのである。
【0015】
この問題に対し、適正なトナー電荷が得られるようにトナー自身の帯電特性を上げて、初期の段階から現像性を高めに設定することが考えられる。しかしこの場合には、トナー寿命の後半においては逆にトナーの過剰な電荷付与により濃度低下を招くことが多く、望ましくない。
【0016】
また、現像装置の初期の段階のみを検知して、画像形成装置本体の現像バイアスの設定などを現像性を高める側に変更して、濃度を高くする手段も考えられる。しかし、この手段では現像スリーブ1周目と2周目以降の濃度差を解消することができないので、ゴースト現象を抑制する効果はさほど得られない。
【0017】
一方、寿命後半においては次のような問題が生ずる。通紙枚数に応じて現像スリーブ表面の磨耗が進むため、表面の凹凸が徐々に小さくなっていく。そうすると、現像スリーブ表面のRa値が小さくなるため、寿命後半にいくほどトナーの担持力が低下する。加えて、トナー自体の劣化も進むため、寿命後半にいくほど濃度が薄くなってしまうのである。
【0018】
したがって、本発明は、全寿命を通して安定した濃度推移が得られ、特に使用初期で発生する濃度薄およびネガゴーストを抑制することのできる画像形成方法、現像装置プロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に接触して現像剤の層厚を規制する現像剤規制部材と、
備えた現像装置を用いて像担持体に現像剤像を形成する画像形成方法において、
前記現像剤に対して逆極性を示し、かつ、量平均粒径が前記現像剤担持体表面の算術平均粗さRa値よりも小さい潤滑剤が、
前記現像剤担持体に現像剤がコートされていない状態で、前記現像剤担持体と前記現像剤規制部材との接触部に塗布されることで前記現像剤担持体表面の凹凸部内に入り込んでいることを特徴とする。
【0020】
前記現像剤担持体表面の算術平均粗さRa値は、0.8μm以上であり、
前記潤滑剤の重量平均粒径は、0.1μm以下であることが好適である。
【0022】
前記現像剤の極性が負極性であって、前記潤滑剤がメラミン樹脂粒子であることが好適である。
【0023】
前記現像剤の極性が正極性であって、前記潤滑剤がフッ素樹脂粒子であることも好適である。
【0028】
また、本発明に係る現像装置は、上記記載の画像形成方法に用いられることを特徴とする。
また、本発明に係るプロセスカートリッジは、上記構成の現像装置を備え、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されていることを特徴とする。
また、本発明に係る画像形成装置は、上記記載の現像装置を備えることを特徴とする。
【0029】
【発明の実施の形態】
従来の技術では現像ブレード−現像スリーブ間の潤滑剤には、トナーの帯電性に影響のない範囲で、潤滑としての役割を得られる材料、形状を用いていた。これに対し、本発明者らは解決課題が現像装置あるいはプロセスカートリッジの使用初期の画質向上であることに着目して、潤滑剤を用いて現像性を向上させられないかとの着想を得た。この着想に基づき鋭意検討した結果、潤滑剤をマイクロキャリアとして作用させることを想起するに至った。
【0030】
具体的には、潤滑剤として、トナーの重量平均粒径よりも小さく、かつ、トナーとは逆極性の球形ポリマー粒子を用いる。
【0031】
図1は、現像スリーブと現像ブレードの接触部近傍を示す図である。同図では、現像剤規制部材である現像ブレード9を現像剤担持体である現像スリーブ10に接触させることにより、現像剤であるトナー11の層厚規制を行っている。図中、小さな黒丸で示した粒子が潤滑剤3である。
【0032】
この現像装置では、使用初期において、現像スリーブ10もしくは現像ブレード9に付着したポリマー粒子(潤滑剤3)に接触するようにトナー11が搬送される。潤滑剤3はトナー11とは逆極性であることからマイクロキャリアとして作用するので、トナー11の帯電量が増加する。その結果、使用初期段階においても、トナーの電荷量を適正にすることができ、濃度薄やネガゴーストの発生を抑制することが可能となる。
【0033】
このとき、ポリマー粒子の粒径が現像スリーブの表面の算術平均粗さRa値よりも小さくなるように、ポリマー粒子と現像スリーブを選択するとよい。
【0034】
このような粒径のポリマー粒子からなる潤滑剤3をあらかじめ現像スリーブ10の表面上に塗布すると、図1のようにポリマー粒子が現像スリーブ10の表面の凹凸部内に入り込み、見かけ上、現像スリーブ10のRa値が小さくなる。
【0035】
Ra値が小さくなったことで、現像スリーブ10上に担持されるトナー量が低く抑えられるとともに、現像スリーブ10の1周目と2周目のトナーコート量の差が小さくなり、ネガゴーストの原因である現像力の差が小さくなる。したがって、現像装置の使用初期におけるネガゴースト抑制効果を高めることができる。
【0036】
また、この構成によれば、通紙枚数に応じて現像スリーブ表面の凹凸に入り込んだポリマー粒子が徐々に消費されていき、Ra値を増大させる。上述のように、寿命が進むにつれ現像スリーブ表面が磨耗しRa値が小さくなっていくが、このRa値の減少とポリマー粒子の消費によるRa値の増大とが相殺するので、トータルでの現像スリーブ表面のRa値は寿命初期〜寿命後半にかけてあまり変動しない。したがって、全寿命を通じてトナーのコート量が安定し、濃度も安定する。
【0037】
ポリマー粒子の重量平均粒径が、0.01μm〜1.5μmであるときに特に効果的に作用する。
【0038】
なお、潤滑剤の塗布量が多すぎると、安定した塗布ができなくなり塗布ムラができやすい。その場合、その塗布ムラ位置においてトナーの電荷付与が不安定になるために、トナーの濃度ムラを引き起こす原因になる。よって、ムラなく塗布するには塗布量が少ないほうが良いが、その一方であまりに少なすぎると塗布されない領域も出てくるため問題となる。
【0039】
そこで、潤滑剤の塗布量としては、現像ブレード上に塗布する場合、現像ブレード上に存在する塗布量が1.5〜15g/mの範囲であることが好ましく、また、現像スリーブ上に塗布する場合、現像スリーブ上に存在する塗布量が0.18〜1.9g/mの範囲であることが好ましい。これにより塗布量が適正となり、濃度ムラや縦スジ等の不良画像の発生を抑制することができる。なお、現像ブレード上に塗布する場合に塗布量が多いのは、現像スリーブ1周分の潤滑剤を供給できるようにするためである。
【0040】
潤滑剤の極性が、トナーとは逆極性であることも重要である。種々の材料を検討した結果、負極性のネガトナーに対してはメラミン樹脂粒子による潤滑剤が、正極性のポジトナーに対してはフッ素樹脂粒子による潤滑剤が適していることがわかった。
【0041】
ポリマー粒子が不定形の形状であるとトナーへの電荷付与性が低下する。また、不定形の形状であるとトナーとの付着性が高くなるので、ポリマー粒子がトナーに付着したまま現像に供されることが多くなる。そうすると、現像スリーブや現像ブレード上にあるポリマー粒子がすぐに無くなり、濃度薄、ネガゴーストの抑制効果の持続性が無くなってしまう。
【0042】
そこで、ポリマー粒子は、円形度が0.90以上の球形形状であることが好ましい。これにより、電荷付与効果を高めることができるとともに、潤滑剤としての役割とトナーに対するマイクロキャリアとしての役割とを持続して発揮させることが可能となる。
【0043】
トナーの極性と逆極性のポリマー粒子を潤滑剤として選択すれば、どのような形状のトナーに適用した場合でも、上述したような濃度薄・ネガゴースト抑制効果が得られるが、特に以下のようなトナーにおいては顕著な効果が得られる。
【0044】
すなわち、円相当径が3μm以上であって円形度が0.900以上のトナー粒子を個数基準累積値で90%以上有し、かつ、トナーの重量平均粒径をX(μm)、円形度0.950以上のトナー粒子の個数基準累積値をYとした場合に、
Y≧exp5.51×X−0.645
(ただし、5.0<X≦12.0)
を満たすトナーである。
【0045】
このような円形度の高いトナーは、従来の円形度の低いトナーに比べ、同一体積に対する表面積が異なるため、帯電する電荷量も少なめになり、特に使用初期においては電荷分布がブロードになりやすい。よって、使用初期においては強いネガゴーストが発生しやすいという欠点を有する。
【0046】
しかし、このような円形度の高いトナーに対して本実施形態の潤滑剤を選択することで、ネガゴーストを効果的に抑制し、良好な画像を得ることが可能となる。
【0047】
以上述べたように、本実施形態によれば、マイクロキャリアとして作用する潤滑剤を用いたので、現像装置及びそれを備えたプロセスカートリッジの使用初期で発生する濃度薄やネガゴーストを抑制することができ、全寿命を通して安定したトナー濃度推移を得ることができる。
【0048】
【実施例】
(第lの実施例)
本発明の第1の実施例を、図面に沿って説明する。
【0049】
図2に、本実施例の現像装置4を備えた画像形成装置の一例を示す。同図は、画像形成装置の概略構成を示す縦断面図である。
【0050】
同図に示す画像形成装置は、プリンタエンジンとしての画像形成装置本体(以下単に「装置本体」という。)を備えている。
【0051】
装置本体の内側には、像担持体としてドラム形の電子写真感光体(以下「感光ドラム」という。)1を備えている。感光ドラム1は駆動力が伝達されることにより、軸を中心に図2中の矢印R1方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転駆動される。
【0052】
感光ドラム1は、その表面が帯電装置としての帯電ローラ2によって帯電される。帯電ローラ2は、感光ドラム1表面に接触配置されており、感光ドラム1の矢印R1方向の回転に伴って従動回転する。帯電ローラ2には、帯電バイアス印加電源(不図示)によって、例えば交流電圧と直流電圧とが重畳された帯電バイアスが印加される。これにより、感光ドラム1表面が所定の極性、所定の電位に均一に帯電される。
【0053】
帯電後の感光ドラム1表面は、露光装置によって静電潜像が形成される。露光装置は、レーザスキャナ14a、ポリゴンミラー(不図示)、反射レンズ14b等を有しており、画像情報に基づいたレーザ光を感光ドラム1表面に照射して照射部分の電荷を除去し、静電潜像を形成するものである。
【0054】
こうして感光ドラム1表面に形成された静電潜像は、現像装置4によってトナーが付着され、トナー像として現像される。なお、現像装置4については、後に詳述する。
【0055】
感光ドラム1表面に形成されたトナー像は、転写装置としての転写ローラ5によって転写材13上に転写される。この転写材13は、給紙カセット14に収納され給紙ローラ12やレジストローラ15等によって感光ドラム1上のトナー像と同期をとって矢印P方向へ転写ニップ部に供給されたものである。転写ローラ5に、転写バイアス印加電源(不図示)によって感光ドラム1上のトナー像と逆極性の転写バイアスが印加され、これにより、感光ドラム1上のトナー像が転写材13上に転写される。
【0056】
転写材13に対するトナー像の転写後に表面に残ったトナーがクリーニング装置6のクリーニングブレード7によって除去された後、感光ドラム1は次の画像形成に供される。
【0057】
一方、トナー像転写後の転写材13は、定着装置8に搬送され、定着ローラ8a、加圧ローラ8bによる加熱、加圧を受けて、表面のトナー像が定着される。
【0058】
トナー像定着後の転写材13は、装置本体外部に排出され、これにより、画像形成が完了する。
【0059】
画像形成プロセスを行う上記部材のうち、感光ドラム1、帯電ローラ2、現像装置4およびクリーニング装置6はプロセスカートリッジとして一体構成され、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されている。
【0060】
つづいて、図3を参照して、本実施例の現像装置4について詳述する。同図は、現像装置の概略構成を示す縦断面図である。
【0061】
同図に示す現像装置4は、磁性一成分トナーを用いた現像装置であり、主に、トナー11を収納するトナー容器と、トナー容器に収納されたトナー11をほぐし搬送するための撹拌部材16と、搬送されたトナー11を担持搬送する現像スリーブ10と、現像スリーブ10に担持されたトナーの層厚規制を行う現像ブレード9とを有している。
【0062】
現像スリーブ10は、アルミニウムやステンレススチールのパイプによって形成された非磁性スリーブであり、トナー容器によって矢印R2方向に回転自在に支持されている。本実施例ではアルミ製の16.0mm径の中空円筒管を用いた。
【0063】
現像スリーブ10の長手方向(軸方向)の両端部にはそれぞれコロ(不図示)が固定されている。現像スリーブ10は、コロの外周面を対向する感光ドラム1に突き当てることにより、感光ドラム表面との間に所定のギャップ(間隙)を確保するようにしている。
【0064】
また、現像スリーブ10の内側には、マグネット17が配設されている。マグネット17は、円筒状に形成されており、その周方向にN極とS極とが交互に複数個形成されている。マグネット17は、現像スリーブ10が矢印R2方向に回転するのとは異なり、現像スリーブ10の内側に固定的に配置されている。
【0065】
現像ブレード9は、支持板金9aと弾性ブレード9bとを有して構成され、弾性ブレード9bが現像スリーブ10の表面に当接するように設けられている。
【0066】
弾性ブレード9bは、ウレタンゴムを板状に形成したものであり、その基端部が支持板金9aに固定されるとともに、その先端部を現像スリーブ10表面に所定の圧力で当接させて弾性変形している。弾性ブレード9bは、上述のマグネット17の磁力によって現像スリーブ10表面に引き付けられたトナー11の層厚を規制するものである。本実施例では弾性ブレード9bの厚みを1.0mmとし、現像スリーブ10との当接圧を線圧で29.4N/mに設定した。
【0067】
現像スリーブ10表面に担持されたトナーは、現像スリーブ10の矢印R2方向の回転によって搬送されることによるトナー相互の摩擦帯電、及び、現像ブレード9によって層厚が規制される際の現像スリーブ10と弾性ブレード9b間での摺擦による摩擦帯電により、適切な電荷が付与されながら、感光ドラム1表面に対向する現像領域へと搬送されていく。
【0068】
このとき、現像スリーブ10には、交流の現像バイアス印加電源と直流の現像バイアス印加電源とによって、交流と直流とが重畳された現像バイアスが摺動接点を介して印加される。これにより、現像スリーブ10上のトナーが、現像領域において、感光ドラム1に飛翔して静電的に静電潜像に付着し、静電潜像をトナー像として現像する。
【0069】
次に図4を用いて、現像スリーブに、潤滑剤を粉体で塗布する方法を説明する。現像スリーブ10への潤滑剤塗布は、スポンジローラに潤滑剤粒子(ポリマー粒子)をまぶし、それを現像スリーブ10に接触させて塗布させる方法とした。
【0070】
潤滑剤塗布装置は、潤滑剤3を収容する塗布容器19と、スリーブ10に接触して塗布容器19内の潤滑剤を塗布するスポンジローラ18とを有して構成される。本実施例では、スポンジローラ18に、平均発泡径が約360μmのポリウレタンフォーム製のものを使用した。
【0071】
塗布時には、現像スリーブ10は潤滑剤塗布装置内にスポンジローラ18と平行に配置される。現像スリーブ10を配置する際、現像スリーブ10を矢印B方向に押圧することで、現像スリーブ10の表面をスポンジローラ18の表面から約1mm侵入させている。このとき、現像スリーブ10の長手方向両端部を回転自在の軸受け(不図示)によって押圧することで、侵入量を長手方向に均一にすることができる。
【0072】
スポンジローラ18と現像スリーブ10は、図に示したように、夫々に対しカウンター方向に回転しており、スポンジローラ18上の潤滑剤3を現像スリーブ10上に擦りつけるように塗布を行う。
【0073】
現像スリーブ10上の潤滑剤3の塗布量は、現像スリーブ10のスポンジローラ18に対する侵入量、現像スリーブ10とスポンジローラ18の夫々の回転速度と相対速度、塗布容器19内の潤滑剤3の絶対量によって決定される。本実施例では現像スリーブ10の1周を塗布した。また、その後、組立工程で、現像スリーブ10を回転するときにバイアスを印加してドラムに現像させることによって、結果的に現像スリーブ10上に残る潤滑剤3をかなり小さくすることができる。
【0074】
ここで、本明細書における潤滑剤3のポリマー粒子の形状と、平均粒径の定義について説明する。
【0075】
<形状>
本明細書では、ポリマー粒子の円形度が0.90以上のものを球形粒子とし、0.90未満のものを不定形粒子として、夫々定義した。円形度とは、粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、粒子が完全な球形である場合には円形度は1.00を示し、表面形状が複雑になればこの値は小さくなる。かかる円形度は、以下の式を用いて定義される。
(円形度)=(粒子像と同じ投影面積をもつ円周長)/(粒子投影像の周囲長)
【0076】
<重量平均粒径>
ポリマー粒子の重量平均粒径は、以下のように定義される。円相当径がdiからdi+1の範囲の粒子総重量をfiとしたとき、
重量平均粒径=Σ(di×fi)/Σfi
尚、上記パラメータは、すべて、東亞合成医用電子(株)製フロー粒子像分析装置FPIA−1000を用いて測定した値を用いた。
【0077】
本実施例では重量平均粒径7μmの磁性一成分ネガトナーにシリカ等の粒子を外添したものを用いた。
【0078】
現像スリーブの表面に所望量のトナーが担持された時に適正な電荷が与えられるようにするため、現像スリーブの表面は、フェノール樹脂にカーボンおよび電荷制御剤を含有した溶剤に現像スリーブの表面粗度を調整するための荒らし材微粒子(粒径が5μmのもの)を分散させたものを、スプレー塗法によりコーティングした。この時の現像スリーブ表面の算術平均粗さRaは0.8μmであった。
【0079】
現像スリーブ表面の算術平均粗さRaの測定は、JIS B0601(2001)に基づき、サーフコーダーSE−3500(小坂研究所製)にて、カットオフを0.8mm、測定長さを4mm、送りスピードを0.5mm/secとして測定を行った。
【0080】
本実施例の潤滑剤3のポリマー粒子としては、トナーとは逆極性となるメラミン樹脂粒子を使用した。ポリマー粒子の重量平均粒径は、現像スリーブ表面の算術平均粗さRaよりも小さい0.1μmのものを選んだ。
【0081】
一方、比較例として、潤滑剤を使用しない場合と、Raよりも大きい重量平均粒径2μmのメラミン樹脂粒子を使用した場合とについても実験した。
【0082】
潤滑剤の塗布量は約0.55g/mとし、現像スリーブに塗布することとした。
【0083】
本実験では、A4サイズの5%印字で6000枚通紙可能な現像装置を用いて、ゴーストの目立ちやすい15℃環境にて連続通紙を行った。そして、画像先端に文字および25mm角の黒パターンを出力するとともに、その文字および25mm角の黒パターンからスリーブ1周期後に約40%ドット比率のハーフトーンパターンで構成された画像を出力した。評価は、そのハーフトーン内に生じるゴースト画像の目立ち方で比較した。
【0084】
このときのネガゴーストの判断を、「××:非常に目立つ」、「×:一見で目に付き許容できない」、「△:よく見ないとわからなく許容範囲内」、○「:発生なし」の4段階で判断した。
【0085】
また、本実験では、現像スリーブにコートされたトナー量についても測定した。
【0086】
長手方向全域を潜像電位にし、現像を行った直後の現像スリーブに新たにコートされたトナー量と、その後現像スリーブが3周空回転した後の現像スリーブにコートされているトナー量とを比較した。現像直後のトナー量は、図8におけるハーフトーン領域の「あいうえお」の文字ゴースト部分に対応し、現像スリーブ3周後のトナー量はその文字ゴースト部分以外の部分に対応する。
【0087】
その結果を表1および図5のグラフに示す。
【0088】
【表1】
Figure 0004261940
【0089】
表1から分かるように、潤滑剤を使用しない場合に比べ、メラミン樹脂粒子の潤滑剤を使用することでネガゴーストを抑制する効果が見られた。また、粒径が2μmのメラミン樹脂粒子よりも、0.1μmの粒子のほうが、使用初期段階からネガゴースト抑制効果を奏することができた。
【0090】
現像スリーブ上にコートされているトナー量を確認したところ、比較例(メラミン樹脂粒子の粒径が2μmのもの)では、図5(b)のように、使用初期から3000枚まで現像直後のトナー量より3周後のトナー量が多くなっており、ネガゴーストが発生していることが分かる。3000枚の後は通紙枚数が増えるにつれ、両者の差が小さくなっていった。
【0091】
一方、本実施例(粒径が0.1μmのもの)では、同図(a)のように、現像直後のトナー量と3周後のトナー量の差は非常に小さく、ネガゴーストが十分に抑制されていることが分かる。しかも、使用初期から寿命後半まで全寿命を通じてトナー量が安定していることも確認できる。
【0092】
このように、使用するトナーに対して逆極性のポリマー粒子であって、かつ、現像スリーブ表面の算術粗さRaよりも小さい粒径のポリマー粒子である潤滑剤を選択することで、潤滑剤としての作用だけでなく、トナーの電荷安定性のための電荷付与の作用と、現像スリーブ上にコートされるトナー量を安定させる作用とを発揮させることができ、現像特性を安定させることが可能となる。
【0093】
本実施例ではネガトナーについて述べたが、ポジトナーについても同様に逆極性のポリマー粒子を選択することで、同じ効果を得ることができる。特に、ポジトナーに対してはフッ素樹脂粒子が有効で、本実施例と同様に適正な粒径を採用することが好ましい。
【0094】
以上のように、使用するトナーに対して逆極性のポリマー粒子からなる潤滑剤を用い、かつ、そのポリマー粒子の粒径と現像スリーブ表面の算術粗さRaとを上記のごとく設定することで、現像装置の使用初期に発生しやすいネガゴーストを解消することができた。
【0095】
(第2の実施例)
本実施例ではより安定した潤滑剤の塗布方法について説明する。
【0096】
粒径が非常に小さいポリマー粒子は凝集しやすいため、潤滑剤を安定して塗布することが難しい。現像ブレードまたは現像スリーブの長手方向において潤滑剤が均一に塗布されていない、つまり塗布ムラのある状態では、その位置においてトナーの電荷が不安定になることから濃度ムラを発生しやすい。この濃度ムラは、現像ブレードおよび現像スリーブ上の潤滑剤が存在しなくなるまで、発生する可能性がある。したがって、使用初期の画質向上のためには、潤滑剤を均一に塗布する必要がある。
【0097】
本実施例では長手方向に均一、かつ、少な目に塗布する方法として、ポリマー粒子を溶剤で分散させた潤滑剤を塗布する方法について述べる。
【0098】
本実施例では、現像装置4の組立段階において、トナーがコートされていない状態で、現像ブレード9に潤滑剤である球形のポリマー粒子を塗布する。潤滑剤は、現像ブレード9の弾性ブレード9bのうち少なくとも現像スリーブ10と接触する領域に塗布される。
【0099】
なお、潤滑剤は現像ブレード9でなく現像スリーブ10側に塗布しても構わない。この場合も、現像スリーブ10のうち少なくとも現像ブレード9と接触する領域に潤滑剤を塗布するとよい。
【0100】
以下、図6を参照して潤滑剤の塗布方法について説明する。同図は、弾性ブレード9bへの潤滑剤の塗布方法を示す図である。なお、図中の斜線部は潤滑剤を示している。
【0101】
先ず、潤滑剤(球形のポリマー粒子)を、揮発性の溶媒に、(潤滑剤):(PF5060):(IPE)=2.5:4:11の質量比で分散・混合させる。ここでPF5060はフロリナートであり、IPEはイソプロピルエーテルである。
【0102】
次に、図6に示したように、上記のようにして調製した容器内の潤滑剤含有溶液21を、上下左右に移動可能な塗布機22のノズル23で吸引する。弾性ブレード9bを固定配置しておき、ノズル23を塗布開始位置まで移動する。そして、ノズル23より潤滑剤含有溶液21を吐出させながら、塗布開始位置から塗布終了位置までノズル23を移動させることによって、塗布を行う(図中の21´は塗布部分)。
【0103】
また、本実施例で使用するポリマー粒子は凝集しやすいので、塗布時においては溶剤を撹拌手段により、常時均一に分散しておくと効果的である。
【0104】
なお、球形のポリマー粒子を含有する潤滑剤含有溶液21の上記比率は一例であり、混合溶液中のポリマー粒子濃度に応じて、潤滑剤の塗布量を適宜に調整することが好ましい。このとき、溶媒の揮発後の潤滑剤の塗布量が0.18〜1.9g/mの範囲になるように塗布量を調整するとよい。この範囲内であれば、濃度ムラの発生を抑制することができ、また、濃度薄およびネガゴーストの抑制効果も十分に得られる。
【0105】
上記方法により潤滑剤を現像ブレード9に均一に塗布できるので、その後に組み込まれる現像スリーブ10上にはトナーが長手方向に均一にコートされる。
【0106】
このようにして得られた現像ブレードを組み入れた現像装置(プロセスカートリッジ)を用いて第1の実施例と同様の画像形成を行ったところ、縦方向の白帯、黒帯の濃度ムラは発生することがなく、良好な結果が得られた。また、濃度薄およびネガゴーストについても第1の実施例と同様の抑制効果が得られた。
【0107】
(第3の実施例)
本実施例では、円形度の高いトナーについての検討を行った。その結果、円形度の高いトナーほど、濃度薄およびネガゴーストの抑制効果が顕著にあらわれることを確認できた。
【0108】
本実施例では、円相当径が3μm以上であって円形度が0.900以上のトナー粒子を個数基準の累積値で90%以上有し、かつ、トナーの重量平均粒径をX(μm)、円形度0.950以上のトナー粒子の個数基準の累積値をYとした場合に、
Y≧exp5.51×X−0.645
(ただし、5.0<X≦12.0)
を満たすトナーを用いた。
【0109】
このような円形度の高い粒子が多く存在するトナーは、そうでない円形度の低いトナーより現像性に優れており、適正なプロセス制御をすることにより高品質な画像形成装置を提供することが可能となるため、将来有望視されている。
【0110】
しかしながら、かかる形状のトナーは従来の円形度の低いトナーに比べ、全く電荷を持っていない使用初期の段階では、一度の現像ブレードと現像スリーブの摩擦帯電だけでは所定の電荷には至らないので、強いネガゴーストが発生することがある。
【0111】
本実施例では、重量平均粒径7μmであるネガトナー代表例としてスチレン系樹脂トナーA、ポリエステル系樹脂トナーBについて確認した。
【0112】
重量平均粒径7μmでは、exp5.51×X−0.645=70.4である。そこで、表2にあるようにトナーA、Bにおいて、Y=75〜78の本実施例のトナーと、比較例としてY=60〜62のトナーについて比較した。
【0113】
第1の実施例と同様に、A4サイズの5%印字で6000枚通紙可能な現像装置を用いて、ゴーストの目立ちやすい15℃環境にて連続通紙を行った。そして、画像先端に文字および25mm角の黒パターンを出力するとともに、その文字および25mm角の黒パターンからスリーブ1周期後に約40%ドット比率のハーフトーンパターンで構成された画像を出力した。評価は、そのハーフトーン内に生じるゴースト画像の目立ち方で比較した。
【0114】
このときのネガゴーストの判断は第1の実施例と同じである。
【0115】
潤滑剤を使用しなかった場合(表2)、Y<70.4のものは使用初期から1000枚までにおいて許容できないネガゴーストが発生するのに対して、Y≧70.4のものは約2000枚近くまで強いネガゴーストが発生していた。
【0116】
【表2】
Figure 0004261940
【0117】
次に、重量平均粒径0.1μmのメラミン樹脂粒子を潤滑剤として塗布した装置を用いた場合の結果を表3に示す。なお、潤滑剤については、第2の実施例の塗布方法を使用し、3.0g/mの重量で塗布を行った。
【0118】
【表3】
Figure 0004261940
【0119】
表3から分かるように、Y<70.4の円形度の低いものが多いトナーはもちろんのこと、Y≧70.4の円形度の高いトナーにおいてもネガゴーストがほとんど見られなくなり、トナー寿命まで良好な画像を得ることができた。特にポリエステル樹脂トナーBにおいては効果が大きかった。
【0120】
以上のように、円形度の高いトナーと組み合わせることで、マイクロキャリアとして作用する潤滑剤の効果がより十分に発揮され、高品質な画像が得られるとともに問題になっていたネガゴーストを抑えることができた。
【0121】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、使用初期で発生する濃度薄およびネガゴーストを抑制することができ、現像装置あるいはプロセスカートリッジの全寿命を通して安定した濃度推移を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】現像スリーブと現像ブレードの接触部近傍を示す図である。
【図2】画像形成装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図3】現像装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図4】現像スリーブへの潤滑剤塗布方法を示す図である。
【図5】ポリマー粒子の粒径違いにおけるトナー量の比較を示すグラフである。
【図6】現像ブレードへの潤滑剤塗布方法を示す図である。
【図7】従来の画像形成装置の概略構成を示す模式図である。
【図8】ネガゴーストの説明図である。
【符号の説明】
1 感光ドラム
2 帯電ローラ
3 潤滑剤
4 現像装置
5 転写ローラ
6 クリーニング装置
7 クリーニングブレード
8 定着装置
8a 定着ローラ
8b 加圧ローラ
9 現像ブレード
9a 支持板金
9b 弾性ブレード
10 現像スリーブ
11 トナー
12 給紙ローラ
13 転写材
14 給紙カセット
14a レーザスキャナ
14b 反射レンズ
15 レジストローラ
16 撹拌部材
17 マグネット
18 スポンジローラ
19 塗布容器
21 潤滑剤含有溶液
22 塗布機
23 ノズル

Claims (7)

  1. 現像剤を担持する現像剤担持体と、
    前記現像剤担持体に接触して現像剤の層厚を規制する現像剤規制部材と、
    備えた現像装置を用いて像担持体に現像剤像を形成する画像形成方法において、
    前記現像剤に対して逆極性を示し、かつ、量平均粒径が前記現像剤担持体表面の算術平均粗さRa値よりも小さい潤滑剤が、
    前記現像剤担持体に現像剤がコートされていない状態で、前記現像剤担持体と前記現像剤規制部材との接触部に塗布されることで前記現像剤担持体表面の凹凸部内に入り込んでいることを特徴とする画像形成方法
  2. 前記現像剤担持体表面の算術平均粗さRa値は、0.8μm以上であり、
    前記潤滑剤の重量平均粒径は、0.1μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法
  3. 前記現像剤の極性が負極性であって、前記潤滑剤がメラミン樹脂粒子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法
  4. 前記現像剤の極性が正極性であって、前記潤滑剤がフッ素樹脂粒子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法
  5. 請求項1乃至4のうちいずれかに記載の画像形成方法に用いられることを特徴とする現像装置。
  6. 請求項に記載の現像装置を備え、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  7. 請求項に記載の現像装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
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