JP2004037928A - ボールレンズおよび光送受信モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便な構成で従来と同等の特性を保ち、より安価な双方向光通信を可能とするボールレンズ及び双方向送受信モジュールを得ることにある。
【解決手段】ボールレンズは、一対の半球レンズを、多層膜フィルタを介して一体に接合して成る。多層膜フィルタは、2波長を分離する多膜層又は平板ガラスに積層され、その径は、半球レンズの径と同じ、小径又は大径である。一方の半球面には、反射防止膜が形成されている。光送受信モジュールは、光ファイバと発光素子又は受光素子とを対向すると共にこれらの間に上述のボールレンズを配し、光ファイバと発光素子又は受光と結ぶ線分に対して直交する方向に受光素子又は発光素子を配し、ボールレンズの多層膜フィルタを線分に対して45°傾けた。
【選択図】 図1
【解決手段】ボールレンズは、一対の半球レンズを、多層膜フィルタを介して一体に接合して成る。多層膜フィルタは、2波長を分離する多膜層又は平板ガラスに積層され、その径は、半球レンズの径と同じ、小径又は大径である。一方の半球面には、反射防止膜が形成されている。光送受信モジュールは、光ファイバと発光素子又は受光素子とを対向すると共にこれらの間に上述のボールレンズを配し、光ファイバと発光素子又は受光と結ぶ線分に対して直交する方向に受光素子又は発光素子を配し、ボールレンズの多層膜フィルタを線分に対して45°傾けた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ、発光素子、受光素子、多層膜フィルタ、集光レンズなどを用いた光通信などに用いられる双方向の光送受信モジュールおよびこれに用いられるボールレンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、双方向の光送受信モジュールとしては、例えば、特開2000−180671号公報などに開示されるものが知られている。
その一例を図11に示す。
双方向の光送受信モジュール100は、光ファイバ(シングルモードファイバ)101と、発光素子(LD)103を含んだボールレンズ104付きLD−CAN102と、受光素子(PD)106を含んだボールレンズ107付きPD−CAN105と、多層膜フィルタ108とを金属製筐体109で固定した構造になっている。
【0003】
双方向の光送受信モジュール100によれば、例えば、1310nmの送信、1550nmの受信、または、1550nmの送信、1310nmの受信を1本の光ファイバ101で行うことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、双方向の光送受信モジュール100では、それぞれの調心(X/Y/Z軸)が必須であり、多くの時間を要するという問題があった。
その一例を挙げると、位置決め(調心)が必要な箇所として、下記のようなものがある。
・LD−CAN102のボールレンズ104の位置決め
・PD−CAN105のボールレンズ107の位置決め
・金属製筐体109とLD−CAN102との位置決め
・金属製筐体109とPD−CAN105との位置決め
・金属製筐体109と光ファイバ101との位置決め
また、双方向の光送受信モジュール100では、複数の部品が必要である。
【0005】
したがって、双方向の光送受信モジュール100では、安価なモジュール作製は困難であるといった問題があった。
本発明は斯かる従来の問題点を解決するために為されたもので、その目的は、簡便な構成で従来と同等の特性を保ち、より安価な双方向光通信を可能とするボールレンズおよびこれを用いた双方向の送受信モジュールを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、一対の半球レンズを、多層膜フィルタを介して一体に接合して成ることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1記載のボールレンズにおいて、前記多層膜フィルタは、2波長を分離する多膜層で構成されていることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1記載のボールレンズにおいて、前記多層膜フィルタは、2波長を分離する多膜層と、この多層膜を積層した平板ガラスとで構成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項4に係る発明は、請求項1記載のボールレンズにおいて、前記多層膜フィルタは、前記半球レンズに形成されていることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1記載のボールレンズにおいて、前記多層膜フィルタの径は、前記半球レンズの径と同じであることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項1記載のボールレンズにおいて、前記多層膜フィルタの径は、前記半球レンズの径より小さいことを特徴とする。
【0008】
請求項7に係る発明は、請求項1記載のボールレンズにおいて、前記多層膜フィルタの径は、前記半球レンズの径より大きいことを特徴とする。
請求項8に係る発明は、請求項1記載のボールレンズにおいて、前記半球レンズの何れか一方の半球面には、反射防止膜が形成されていることを特徴とする。請求項9に係る発明は、請求項1記載のボールレンズにおいて、前記半球レンズに反射防止膜を形成するとともに、前記多層膜フィルタと直交する前記一対の半球レンズの端部側に面取り部を形成して成ることを特徴とする。
【0009】
請求項10に係る発明は、光ファイバにより双方向に伝送される光を送受信する光送受信モジュールにおいて、受光素子と発光素子の間に、請求項1ないし請求項9の何れか1項記載のボールレンズを配して成ることを特徴とする。
請求項11に係る発明は、請求項10記載の光送受信モジュールにおいて、前記光ファイバと前記発光素子とを対向するとともにこれらの間に前記ボールレンズを配し、前記光ファイバと前記発光素子とを結ぶ線分に対して直交する方向に前記受光素子を配し、前記ボールレンズの前記多層膜フィルタを前記線分に対して45°傾けていることを特徴とする。
【0010】
請求項12に係る発明は、請求項10記載の光送受信モジュールにおいて、前記光ファイバと前記受光素子とを対向するとともにこれらの間に前記ボールレンズを配し、前記光ファイバと前記受光素子とを結ぶ線分に対して直交する方向に前記発光素子を配し、前記ボールレンズの前記多層膜フィルタを前記線分に対して45°傾けていることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係るボールレンズを示す(請求項1、2、4、5に相当する)。
本実施形態に係るボールレンズ1は、例えば、公知のボールレンズの材料であるBK7にて形成された一対の半球レンズ2,3と、一方の半球体2の端面2aにガラスとほぼ同等の屈折率を有するガラス系UV硬化接着剤などによって接合された多層膜フィルタ4とを備え、一対の半球レンズ2,3を、端面2a,3a同士に多層膜フィルタ4を配してガラス系UV硬化接着剤などによって一体に接合されている。
【0012】
多層膜フィルタ4は、例えば、1310nmと1550nmとの2波長を分離する多膜層で構成されている。多層膜としては、例えば、TiO2、Ta2O5などの高屈折率物質と、SiO2などの低屈折率物質とを交互に積層することによって構成されている。
多層膜フィルタ4は、予め一方の半球レンズ2の端面2a全面に接着されている。
【0013】
多層膜フィルタ4の径4rは、一対の半球レンズ2,3の径2r,3rと同じにしてある。
なお、本実施形態では、多層膜フィルタ4として、一方の半球レンズ2の端面2a全面に直接接着する場合について説明したが、多層膜を積層した平板ガラスを用いても良い(請求項3に対応する)。
【0014】
図2は、本発明の第二実施形態に係るボールレンズを示す(請求項1、3、6に相当する)。
本実施形態に係るボールレンズ10は、例えば、公知のボールレンズの材料であるBK7にて形成された一対の半球レンズ11,12と、一対の半球レンズ11,12間に両半球体11,12の径11r,12rより小さい径13rを有する多層膜フィルタ13とを備え、一対の半球レンズ11,12を、端面11a,12a同士に多層膜フィルタ13を配してガラス系UV硬化接着剤などによって一体に接合されている。
【0015】
多層膜フィルタ13は、例えば、1310nmと1550nmとの2波長を分離する多膜層を平板ガラス上に積層することによって構成されている。多層膜としては、例えば、TiO2、Ta2O5などの高屈折率物質と、SiO2などの低屈折率物質とを交互に積層することによって構成されている。
なお、本実施形態では、多層膜フィルタ13として、一対の半球レンズ11,12間に多層膜を積層した平板ガラスを配する場合について説明したが、一方の半球レンズ11または12の端面11aまたは12aに予め直接接着しておいても良い(請求項3に対応する)。
【0016】
図3は、本発明の第三実施形態に係るボールレンズを示す(請求項1、3、7に相当する)。
本実施形態に係るボールレンズ20は、例えば、公知のボールレンズの材料であるBK7にて形成された一対の半球レンズ21,22と、一対の半球レンズ21,22間に両半球体21,22の径21r,22rより大きな径23rを有する多層膜フィルタ23とを備え、一対の半球レンズ21,22を、端面21a,22a同士に多層膜フィルタ23を配してガラス系UV硬化接着剤などによって一体に接合されている。
【0017】
多層膜フィルタ23は、例えば、1310nmと1550nmとの2波長を分離する多膜層を平板ガラス上に積層することによって構成されている。多層膜としては、例えば、TiO2、Ta2O5などの高屈折率物質と、SiO2などの低屈折率物質とを交互に積層することによって構成されている。
図4は、本発明の第四実施形態に係るボールレンズを示す(請求項1、3、7、8に相当する)。
【0018】
本実施形態に係るボールレンズ40は、図3に示すボールレンズ20の一方の半球体21(または22)の球面21b(または22b)全面に反射防止膜41を形成している。
反射防止膜41としては、例えば、Al2O3、SiO2、SiO、SiNなどによって構成されている。
【0019】
図5は、本発明の第五実施形態に係るボールレンズを示す(請求項1、3、7、9に相当する)。
本実施形態に係るボールレンズ50は、図4に示すボールレンズ40の多層膜フィルタ23と直交する一対の半球レンズ21,22の端部側に面取り部51を形成している。
【0020】
以上のように、本発明の第一実施形態ないし第五実施形態に係るボールレンズ1,10,20,40,50によれば、一対の半球体2,3、11,12、21,22が何れもそれぞれの端面2a,3a、11a,12a、21a,22aに多層膜フィルタ4,13,23を挟んで一体的に接合されているので、従来の双方向光通信用モジュールにおいて、ボールレンズとは別途に必要とされていた多層膜フィルタ、およびその固定ならびに固定に要する部品の削減が可能となる。
【0021】
また、一対の半球体2,3、11,12、21,22間に接合された多層膜フィルタ4,13,23が、位置決めの機能を発揮し、従来より位置決めに要する手間暇を削減することが可能となる。
また、ボールレンズ40,50のように、反射防止膜41を施した場合には、反射防止膜41によって生じる段差により、多層膜フィルタ4,13,23の有無の確認が容易となる。
【0022】
また、ボールレンズ50のように、端部に面取り部51があると、位置決めが容易となる。
なお、本実施形態では、反射防止膜41を、一方の半球体21に設けた場合について説明したが、他方の半球体22に設けても良いし、また両方に設けても良い。
次に、斯くして構成された本発明の第一実施形態ないし第五実施形態に係るボールレンズ1,10,20,40,50を用いた光送受信モジュールについて説明する(請求項10,11,12に対応する)。
【0023】
図6は、本発明の第一実施形態に係るボールレンズ1を用いた光送受信モジュールを示す一実施形態を示す原理図である。
図6(a)に示す本実施形態においては、光ファイバ61と、この光ファイバ61の光路に対してボールレンズ1および1310nmの波長を送出する発光素子(LD)62を一直線上に配し、光ファイバ61の光路に対して直交する位置に1550nmの波長を受ける受光素子(PD)63を配している。
【0024】
そして、ボールレンズ1は、光ファイバ61の光路に対して多層膜フィルタ4を45°傾けている。
また、多層膜フィルタ4は、1310nmを通過し、1550nmを反射するように構成されている。
斯くして構成された本実施形態によれば、光ファイバ61から1550nmの波長が送られてくると、ボールレンズ1の多層膜フィルタ4では、これを反射し、受光素子(PD)63に集光することができる。
【0025】
同時に、発光素子(LD)62から1310nmの波長が送出されると、ボールレンズ1の多層膜フィルタ4では、これを通過させ、光ファイバ61に集光されることができる。
図6(b)に示す本実施形態においては、光ファイバ61と、この光ファイバ61の光路に対してボールレンズ1および1550nmの波長を送出する発光素子(LD)62を一直線上に配し、光ファイバ61の光路に対して直交する位置に1310nmの波長を受ける受光素子(PD)63を配している。
【0026】
そして、ボールレンズ1は、光ファイバ61の光路に対して多層膜フィルタ4を45°傾けている。
また、多層膜フィルタ4は、1550nmを通過し、1310nmを反射するように構成されている。
斯くして構成された本実施形態によれば、光ファイバ61から1310nmの波長が送られてくると、ボールレンズ1の多層膜フィルタ4では、これを反射し、受光素子(PD)63に集光することができる。
【0027】
同時に、発光素子(LD)62から1550nmの波長が送出されると、ボールレンズ1の多層膜フィルタ4では、これを通過させ、光ファイバ61に集光されることができる。
以上のように、本実施形態によれば、ボールレンズ1の多層膜フィルタ4における多層膜の構成を変えることによって、発光素子(LD)62および受光素子(PD)63の波長を変えることが可能となる。
【0028】
図7は、本発明の第一実施形態に係るボールレンズ1を用いた光送受信モジュールを示す別の実施形態を示す原理図である。
図7(a)に示す本実施形態においては、光ファイバ71と、この光ファイバ71の光路に対してボールレンズ1および1310nmの波長を受ける受光素子(PD)72を一直線上に配し、光ファイバ71の光路に対して直交する位置に1550nmの波長を送出する発光素子(LD)73を配している。
【0029】
そして、ボールレンズ1は、光ファイバ71の光路に対して多層膜フィルタ4を45°傾けている。
また、多層膜フィルタ4は、1310nmを通過し、1550nmを反射するように構成されている。
斯くして構成された本実施形態によれば、光ファイバ71から1310nmの波長が送られてくると、ボールレンズ1の多層膜フィルタ4では、これを通過させ、受光素子(PD)72に集光することができる。
【0030】
同時に、発光素子(LD)73から1550nmの波長が送出されると、ボールレンズ1の多層膜フィルタ4では、これを反射し、光ファイバ71に集光されることができる。
図7(b)に示す本実施形態においては、光ファイバ71と、この光ファイバ71の光路に対してボールレンズ1および1550nmの波長を受ける受光素子(PD)72を一直線上に配し、光ファイバ71の光路に対して直交する位置に1310nmの波長を送出する発光素子(LD)73を配している。
【0031】
そして、ボールレンズ1は、光ファイバ71の光路に対して多層膜フィルタ1を45°傾けている。
また、多層膜フィルタ4は、1550nmを通過し、1310nmを反射するように構成されている。
斯くして構成された本実施形態によれば、光ファイバ71から1550nmの波長が送られてくると、ボールレンズ1の多層膜フィルタ4では、これを通過させ、受光素子(PD)72に集光することができる。
【0032】
同時に、発光素子(LD)73から1310nmの波長が送出されると、ボールレンズ20の多層膜フィルタ4では、これを反射し、光ファイバ71に集光されることができる。
以上のように、本実施形態によれば、ボールレンズ1の多層膜フィルタ4における多層膜の構成を変えることによって、発光素子(LD)73および受光素子(PD)72の波長を変えることが可能となる。
【0033】
なお、図6および図7においては、本発明の第一実施形態に係るボールレンズ1を用いて説明したが、本発明の第二実施形態ないし第五実施形態に係るボールレンズ10,20,40,50でも同様の作用効果を奏することが可能である。
図8および図9は、本発明の第三実施形態に係るボールレンズ20を用いた光送受信モジュールの一実施形態を示す(請求項10、11、12に対応する)。
【0034】
本実施形態に係る光送受信モジュール80は、金属製筐体81と、金属製筐体81内に装着されるボールレンズ20と、金属製筐体81内に装着される受光素子(PD)84と、金属製筐体81内に装着される発光素子(LD)86と、金属製筐体81に取り付けられる光ファイバ88とで構成されている。
ボールレンズ20を入れる穴部82は、属製蓋89により閉鎖されるようになっている。
【0035】
金属製筐体81には、ボールレンズ20を入れる穴部82と、受光素子(PD)84を入れる穴部83と、発光素子(LD)86を入れる穴部85と、光ファイバ88を挿通する穴部87とが穿たれている。
ボールレンズ20を入れる穴部82は、金属製筐体81の一側面から中心に向かって穿たれている。
【0036】
受光素子(PD)84を入れる穴部83は、穴部82に対して直交するように、金属製筐体81を90°ずらした別の側面から金属筐体81の中心に向かって穿たれている。
発光素子(LD)86を入れる穴部85と光ファイバ88を挿通する穴部87とは、穴部82と直交するとともに、穴部83に対して90°ずらした別の側面から金属製筐体81を貫通して穿たれている。
【0037】
ボールレンズ20は、多層膜フィルタ23を接着剤82aで固定することにより、穴部82に固定されている。
受光素子(PD)84は、端子84bを有するステム84aに固定され、ステム84aを接着剤83aで固定することにより、穴部83に固定されている。
発光素子(LD)86は、端子86bを有するステム86aに固定され、ステム86aを接着剤85aで固定することにより、穴部85に固定されている。
【0038】
光ファイバ88は、穴部87に接着剤87aによって固定されている。
本実施形態に係る光送受信モジュール80においても、光ファイバ88とボールレンズ20との延長線上に発光素子(LD)86が配され、光ファイバ88とボールレンズ20との延長線上に対し90°の位置に受光素子(PD)84が配され、ボールレンズ20で反射された波長が受光できるように、ボールレンズ20の多層膜フィルタ23が45°に傾斜されている。
【0039】
従って、本実施形態に係る光送受信モジュール80においても、図6および図7に示す原理図に示した作用効果を奏することが可能となる。
また、本実施形態によれば、従来5回程度行っていた位置決め(調心)を2回程度に減少させ、製作時間の短縮を図ることが可能となる。
また、多層膜フィルタ4とボールレンズ1を一体形成することによって、フィルタ固定用部品やボールレンズを削減でき、構造の複雑さを取り除き、より安価な双方向光通信用モジュール80の提供が可能となる。
【0040】
図10は、本発明の第一実施形態に係るボールレンズ1を用いた光送受信モジュールの一実施形態を示す(請求項10、11、12に対応する)。
本実施形態に係る光送受信モジュール90は、ボールレンズ1と、このボールレンズ1を取り付ける穴部92を設けた円筒形状の筒体91と、筒体91内に配した台座92と、台座92に取り付ける受光素子(PD)93と、台座92に取り付ける発光素子(LD)94と、台座92に取り付けるモニタ用受光素子95と、台座92に取り付けるPre−Amp96と、筒体91の開口部を覆うステム97と、このステム97に設けた端子98と、ボールレンズ1の上方に配される光ファイバ99とで構成されている。
【0041】
本実施形態に係る光送受信モジュール90においても、光ファイバ99とボールレンズ1との延長線上に発光素子(LD)94が配され、光ファイバ99とボールレンズ1との延長線上に対し90°の位置に受光素子(PD)93が配され、ボールレンズ1で反射された波長が受光できるように、ボールレンズ1の多層膜フィルタ4が45°に傾斜されている。
【0042】
従って、本実施形態に係る光送受信モジュール90においても、図6および図7に示す原理図に示した作用効果を奏することが可能となる。
また、本実施形態によれば、従来5回程度行っていた位置決め(調心)を2回程度に減少させ、製作時間の短縮を図ることが可能となる。
また、多層膜フィルタ4とボールレンズ1を一体形成することによって、フィルタ固定用部品やボールレンズを削減でき、構造の複雑さを取り除き、より安価な双方向光通信用モジュール80の提供が可能となる。
【0043】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、一対の半球体がそれぞれの端面に多層膜フィルタを挟んで一体的に接合されているので、従来の双方向光通信用モジュールのように、ボールレンズとは別途に必要とされていた多層膜フィルタ、およびその固定ならびに固定に要する部品の削減が可能となる。
また、一対の半球体間に接合された多層膜フィルタが、位置決めの機能を発揮し、従来より位置決めに要する手間暇を削減することが可能となる。
【0044】
また、ボールレンズに反射防止膜を施した場合には、反射防止膜によって生じる段差により、多層膜フィルタの有無の確認が容易となる。
また、端部に面取り部があると、位置決めが容易となる。
また、本発明によれば、一対の半球レンズと多層膜フィルタとを一体化させることによって、受光素子および発光素子からボールレンズを削減することが可能となり、位置決め時間を短縮することが可能となる。
【0045】
また、光ファイバと受光素子間の半球レンズを45°に傾けた構造にすることで、通常のボールレンズと同様の効果を得ることができる。
また、ある波長の光を多層膜フィルタで反射して受光側に集光し、別の波長の光を多層膜フィルタで透過し光ファイバ側に集光させることが可能となる。
また、多層膜フィルタを、半球レンズよりも大きくもしくは小さくすることによって、位置決めが容易となり、精度の高い集光が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態に係るボールレンズを示す図である。
【図2】本発明の第二実施形態に係るボールレンズを示す図である。
【図3】本発明の第三実施形態に係るボールレンズを示す図である。
【図4】本発明の第四実施形態に係るボールレンズを示す図である。
【図5】本発明の第五実施形態に係るボールレンズを示す図である。
【図6】本発明の第一実施形態に係るボールレンズを用いた光送受信モジュールを示す一実施形態を示す原理図である。
【図7】本発明の第一実施形態に係るボールレンズを用いた光送受信モジュールを示す別の実施形態を示す原理図である。
【図8】本発明の第三実施形態に係るボールレンズを用いた光送受信モジュールの一実施形態を示す図である。
【図9】図8におけるX−X線に沿った断面図である。
【図10】本発明の第一実施形態に係るボールレンズを用いた光送受信モジュールの一実施形態を示す図である。
【図11】従来のボールレンズを用いた光送受信モジュールの一実施形態を示す図である
【符号の説明】
1,10,20,40,50 ボールレンズ
2,3,11,12,21,22 半球レンズ
4,13,23 多層膜フィルタ
41 反射防止膜
51 面取り部
61,71,88,99光ファイバ
62,73,86,94 発光素子(LD)
63,72,84,93 受光素子(PD)
70,80,90 光送受信モジュール
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ、発光素子、受光素子、多層膜フィルタ、集光レンズなどを用いた光通信などに用いられる双方向の光送受信モジュールおよびこれに用いられるボールレンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、双方向の光送受信モジュールとしては、例えば、特開2000−180671号公報などに開示されるものが知られている。
その一例を図11に示す。
双方向の光送受信モジュール100は、光ファイバ(シングルモードファイバ)101と、発光素子(LD)103を含んだボールレンズ104付きLD−CAN102と、受光素子(PD)106を含んだボールレンズ107付きPD−CAN105と、多層膜フィルタ108とを金属製筐体109で固定した構造になっている。
【0003】
双方向の光送受信モジュール100によれば、例えば、1310nmの送信、1550nmの受信、または、1550nmの送信、1310nmの受信を1本の光ファイバ101で行うことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、双方向の光送受信モジュール100では、それぞれの調心(X/Y/Z軸)が必須であり、多くの時間を要するという問題があった。
その一例を挙げると、位置決め(調心)が必要な箇所として、下記のようなものがある。
・LD−CAN102のボールレンズ104の位置決め
・PD−CAN105のボールレンズ107の位置決め
・金属製筐体109とLD−CAN102との位置決め
・金属製筐体109とPD−CAN105との位置決め
・金属製筐体109と光ファイバ101との位置決め
また、双方向の光送受信モジュール100では、複数の部品が必要である。
【0005】
したがって、双方向の光送受信モジュール100では、安価なモジュール作製は困難であるといった問題があった。
本発明は斯かる従来の問題点を解決するために為されたもので、その目的は、簡便な構成で従来と同等の特性を保ち、より安価な双方向光通信を可能とするボールレンズおよびこれを用いた双方向の送受信モジュールを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、一対の半球レンズを、多層膜フィルタを介して一体に接合して成ることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1記載のボールレンズにおいて、前記多層膜フィルタは、2波長を分離する多膜層で構成されていることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1記載のボールレンズにおいて、前記多層膜フィルタは、2波長を分離する多膜層と、この多層膜を積層した平板ガラスとで構成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項4に係る発明は、請求項1記載のボールレンズにおいて、前記多層膜フィルタは、前記半球レンズに形成されていることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1記載のボールレンズにおいて、前記多層膜フィルタの径は、前記半球レンズの径と同じであることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項1記載のボールレンズにおいて、前記多層膜フィルタの径は、前記半球レンズの径より小さいことを特徴とする。
【0008】
請求項7に係る発明は、請求項1記載のボールレンズにおいて、前記多層膜フィルタの径は、前記半球レンズの径より大きいことを特徴とする。
請求項8に係る発明は、請求項1記載のボールレンズにおいて、前記半球レンズの何れか一方の半球面には、反射防止膜が形成されていることを特徴とする。請求項9に係る発明は、請求項1記載のボールレンズにおいて、前記半球レンズに反射防止膜を形成するとともに、前記多層膜フィルタと直交する前記一対の半球レンズの端部側に面取り部を形成して成ることを特徴とする。
【0009】
請求項10に係る発明は、光ファイバにより双方向に伝送される光を送受信する光送受信モジュールにおいて、受光素子と発光素子の間に、請求項1ないし請求項9の何れか1項記載のボールレンズを配して成ることを特徴とする。
請求項11に係る発明は、請求項10記載の光送受信モジュールにおいて、前記光ファイバと前記発光素子とを対向するとともにこれらの間に前記ボールレンズを配し、前記光ファイバと前記発光素子とを結ぶ線分に対して直交する方向に前記受光素子を配し、前記ボールレンズの前記多層膜フィルタを前記線分に対して45°傾けていることを特徴とする。
【0010】
請求項12に係る発明は、請求項10記載の光送受信モジュールにおいて、前記光ファイバと前記受光素子とを対向するとともにこれらの間に前記ボールレンズを配し、前記光ファイバと前記受光素子とを結ぶ線分に対して直交する方向に前記発光素子を配し、前記ボールレンズの前記多層膜フィルタを前記線分に対して45°傾けていることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係るボールレンズを示す(請求項1、2、4、5に相当する)。
本実施形態に係るボールレンズ1は、例えば、公知のボールレンズの材料であるBK7にて形成された一対の半球レンズ2,3と、一方の半球体2の端面2aにガラスとほぼ同等の屈折率を有するガラス系UV硬化接着剤などによって接合された多層膜フィルタ4とを備え、一対の半球レンズ2,3を、端面2a,3a同士に多層膜フィルタ4を配してガラス系UV硬化接着剤などによって一体に接合されている。
【0012】
多層膜フィルタ4は、例えば、1310nmと1550nmとの2波長を分離する多膜層で構成されている。多層膜としては、例えば、TiO2、Ta2O5などの高屈折率物質と、SiO2などの低屈折率物質とを交互に積層することによって構成されている。
多層膜フィルタ4は、予め一方の半球レンズ2の端面2a全面に接着されている。
【0013】
多層膜フィルタ4の径4rは、一対の半球レンズ2,3の径2r,3rと同じにしてある。
なお、本実施形態では、多層膜フィルタ4として、一方の半球レンズ2の端面2a全面に直接接着する場合について説明したが、多層膜を積層した平板ガラスを用いても良い(請求項3に対応する)。
【0014】
図2は、本発明の第二実施形態に係るボールレンズを示す(請求項1、3、6に相当する)。
本実施形態に係るボールレンズ10は、例えば、公知のボールレンズの材料であるBK7にて形成された一対の半球レンズ11,12と、一対の半球レンズ11,12間に両半球体11,12の径11r,12rより小さい径13rを有する多層膜フィルタ13とを備え、一対の半球レンズ11,12を、端面11a,12a同士に多層膜フィルタ13を配してガラス系UV硬化接着剤などによって一体に接合されている。
【0015】
多層膜フィルタ13は、例えば、1310nmと1550nmとの2波長を分離する多膜層を平板ガラス上に積層することによって構成されている。多層膜としては、例えば、TiO2、Ta2O5などの高屈折率物質と、SiO2などの低屈折率物質とを交互に積層することによって構成されている。
なお、本実施形態では、多層膜フィルタ13として、一対の半球レンズ11,12間に多層膜を積層した平板ガラスを配する場合について説明したが、一方の半球レンズ11または12の端面11aまたは12aに予め直接接着しておいても良い(請求項3に対応する)。
【0016】
図3は、本発明の第三実施形態に係るボールレンズを示す(請求項1、3、7に相当する)。
本実施形態に係るボールレンズ20は、例えば、公知のボールレンズの材料であるBK7にて形成された一対の半球レンズ21,22と、一対の半球レンズ21,22間に両半球体21,22の径21r,22rより大きな径23rを有する多層膜フィルタ23とを備え、一対の半球レンズ21,22を、端面21a,22a同士に多層膜フィルタ23を配してガラス系UV硬化接着剤などによって一体に接合されている。
【0017】
多層膜フィルタ23は、例えば、1310nmと1550nmとの2波長を分離する多膜層を平板ガラス上に積層することによって構成されている。多層膜としては、例えば、TiO2、Ta2O5などの高屈折率物質と、SiO2などの低屈折率物質とを交互に積層することによって構成されている。
図4は、本発明の第四実施形態に係るボールレンズを示す(請求項1、3、7、8に相当する)。
【0018】
本実施形態に係るボールレンズ40は、図3に示すボールレンズ20の一方の半球体21(または22)の球面21b(または22b)全面に反射防止膜41を形成している。
反射防止膜41としては、例えば、Al2O3、SiO2、SiO、SiNなどによって構成されている。
【0019】
図5は、本発明の第五実施形態に係るボールレンズを示す(請求項1、3、7、9に相当する)。
本実施形態に係るボールレンズ50は、図4に示すボールレンズ40の多層膜フィルタ23と直交する一対の半球レンズ21,22の端部側に面取り部51を形成している。
【0020】
以上のように、本発明の第一実施形態ないし第五実施形態に係るボールレンズ1,10,20,40,50によれば、一対の半球体2,3、11,12、21,22が何れもそれぞれの端面2a,3a、11a,12a、21a,22aに多層膜フィルタ4,13,23を挟んで一体的に接合されているので、従来の双方向光通信用モジュールにおいて、ボールレンズとは別途に必要とされていた多層膜フィルタ、およびその固定ならびに固定に要する部品の削減が可能となる。
【0021】
また、一対の半球体2,3、11,12、21,22間に接合された多層膜フィルタ4,13,23が、位置決めの機能を発揮し、従来より位置決めに要する手間暇を削減することが可能となる。
また、ボールレンズ40,50のように、反射防止膜41を施した場合には、反射防止膜41によって生じる段差により、多層膜フィルタ4,13,23の有無の確認が容易となる。
【0022】
また、ボールレンズ50のように、端部に面取り部51があると、位置決めが容易となる。
なお、本実施形態では、反射防止膜41を、一方の半球体21に設けた場合について説明したが、他方の半球体22に設けても良いし、また両方に設けても良い。
次に、斯くして構成された本発明の第一実施形態ないし第五実施形態に係るボールレンズ1,10,20,40,50を用いた光送受信モジュールについて説明する(請求項10,11,12に対応する)。
【0023】
図6は、本発明の第一実施形態に係るボールレンズ1を用いた光送受信モジュールを示す一実施形態を示す原理図である。
図6(a)に示す本実施形態においては、光ファイバ61と、この光ファイバ61の光路に対してボールレンズ1および1310nmの波長を送出する発光素子(LD)62を一直線上に配し、光ファイバ61の光路に対して直交する位置に1550nmの波長を受ける受光素子(PD)63を配している。
【0024】
そして、ボールレンズ1は、光ファイバ61の光路に対して多層膜フィルタ4を45°傾けている。
また、多層膜フィルタ4は、1310nmを通過し、1550nmを反射するように構成されている。
斯くして構成された本実施形態によれば、光ファイバ61から1550nmの波長が送られてくると、ボールレンズ1の多層膜フィルタ4では、これを反射し、受光素子(PD)63に集光することができる。
【0025】
同時に、発光素子(LD)62から1310nmの波長が送出されると、ボールレンズ1の多層膜フィルタ4では、これを通過させ、光ファイバ61に集光されることができる。
図6(b)に示す本実施形態においては、光ファイバ61と、この光ファイバ61の光路に対してボールレンズ1および1550nmの波長を送出する発光素子(LD)62を一直線上に配し、光ファイバ61の光路に対して直交する位置に1310nmの波長を受ける受光素子(PD)63を配している。
【0026】
そして、ボールレンズ1は、光ファイバ61の光路に対して多層膜フィルタ4を45°傾けている。
また、多層膜フィルタ4は、1550nmを通過し、1310nmを反射するように構成されている。
斯くして構成された本実施形態によれば、光ファイバ61から1310nmの波長が送られてくると、ボールレンズ1の多層膜フィルタ4では、これを反射し、受光素子(PD)63に集光することができる。
【0027】
同時に、発光素子(LD)62から1550nmの波長が送出されると、ボールレンズ1の多層膜フィルタ4では、これを通過させ、光ファイバ61に集光されることができる。
以上のように、本実施形態によれば、ボールレンズ1の多層膜フィルタ4における多層膜の構成を変えることによって、発光素子(LD)62および受光素子(PD)63の波長を変えることが可能となる。
【0028】
図7は、本発明の第一実施形態に係るボールレンズ1を用いた光送受信モジュールを示す別の実施形態を示す原理図である。
図7(a)に示す本実施形態においては、光ファイバ71と、この光ファイバ71の光路に対してボールレンズ1および1310nmの波長を受ける受光素子(PD)72を一直線上に配し、光ファイバ71の光路に対して直交する位置に1550nmの波長を送出する発光素子(LD)73を配している。
【0029】
そして、ボールレンズ1は、光ファイバ71の光路に対して多層膜フィルタ4を45°傾けている。
また、多層膜フィルタ4は、1310nmを通過し、1550nmを反射するように構成されている。
斯くして構成された本実施形態によれば、光ファイバ71から1310nmの波長が送られてくると、ボールレンズ1の多層膜フィルタ4では、これを通過させ、受光素子(PD)72に集光することができる。
【0030】
同時に、発光素子(LD)73から1550nmの波長が送出されると、ボールレンズ1の多層膜フィルタ4では、これを反射し、光ファイバ71に集光されることができる。
図7(b)に示す本実施形態においては、光ファイバ71と、この光ファイバ71の光路に対してボールレンズ1および1550nmの波長を受ける受光素子(PD)72を一直線上に配し、光ファイバ71の光路に対して直交する位置に1310nmの波長を送出する発光素子(LD)73を配している。
【0031】
そして、ボールレンズ1は、光ファイバ71の光路に対して多層膜フィルタ1を45°傾けている。
また、多層膜フィルタ4は、1550nmを通過し、1310nmを反射するように構成されている。
斯くして構成された本実施形態によれば、光ファイバ71から1550nmの波長が送られてくると、ボールレンズ1の多層膜フィルタ4では、これを通過させ、受光素子(PD)72に集光することができる。
【0032】
同時に、発光素子(LD)73から1310nmの波長が送出されると、ボールレンズ20の多層膜フィルタ4では、これを反射し、光ファイバ71に集光されることができる。
以上のように、本実施形態によれば、ボールレンズ1の多層膜フィルタ4における多層膜の構成を変えることによって、発光素子(LD)73および受光素子(PD)72の波長を変えることが可能となる。
【0033】
なお、図6および図7においては、本発明の第一実施形態に係るボールレンズ1を用いて説明したが、本発明の第二実施形態ないし第五実施形態に係るボールレンズ10,20,40,50でも同様の作用効果を奏することが可能である。
図8および図9は、本発明の第三実施形態に係るボールレンズ20を用いた光送受信モジュールの一実施形態を示す(請求項10、11、12に対応する)。
【0034】
本実施形態に係る光送受信モジュール80は、金属製筐体81と、金属製筐体81内に装着されるボールレンズ20と、金属製筐体81内に装着される受光素子(PD)84と、金属製筐体81内に装着される発光素子(LD)86と、金属製筐体81に取り付けられる光ファイバ88とで構成されている。
ボールレンズ20を入れる穴部82は、属製蓋89により閉鎖されるようになっている。
【0035】
金属製筐体81には、ボールレンズ20を入れる穴部82と、受光素子(PD)84を入れる穴部83と、発光素子(LD)86を入れる穴部85と、光ファイバ88を挿通する穴部87とが穿たれている。
ボールレンズ20を入れる穴部82は、金属製筐体81の一側面から中心に向かって穿たれている。
【0036】
受光素子(PD)84を入れる穴部83は、穴部82に対して直交するように、金属製筐体81を90°ずらした別の側面から金属筐体81の中心に向かって穿たれている。
発光素子(LD)86を入れる穴部85と光ファイバ88を挿通する穴部87とは、穴部82と直交するとともに、穴部83に対して90°ずらした別の側面から金属製筐体81を貫通して穿たれている。
【0037】
ボールレンズ20は、多層膜フィルタ23を接着剤82aで固定することにより、穴部82に固定されている。
受光素子(PD)84は、端子84bを有するステム84aに固定され、ステム84aを接着剤83aで固定することにより、穴部83に固定されている。
発光素子(LD)86は、端子86bを有するステム86aに固定され、ステム86aを接着剤85aで固定することにより、穴部85に固定されている。
【0038】
光ファイバ88は、穴部87に接着剤87aによって固定されている。
本実施形態に係る光送受信モジュール80においても、光ファイバ88とボールレンズ20との延長線上に発光素子(LD)86が配され、光ファイバ88とボールレンズ20との延長線上に対し90°の位置に受光素子(PD)84が配され、ボールレンズ20で反射された波長が受光できるように、ボールレンズ20の多層膜フィルタ23が45°に傾斜されている。
【0039】
従って、本実施形態に係る光送受信モジュール80においても、図6および図7に示す原理図に示した作用効果を奏することが可能となる。
また、本実施形態によれば、従来5回程度行っていた位置決め(調心)を2回程度に減少させ、製作時間の短縮を図ることが可能となる。
また、多層膜フィルタ4とボールレンズ1を一体形成することによって、フィルタ固定用部品やボールレンズを削減でき、構造の複雑さを取り除き、より安価な双方向光通信用モジュール80の提供が可能となる。
【0040】
図10は、本発明の第一実施形態に係るボールレンズ1を用いた光送受信モジュールの一実施形態を示す(請求項10、11、12に対応する)。
本実施形態に係る光送受信モジュール90は、ボールレンズ1と、このボールレンズ1を取り付ける穴部92を設けた円筒形状の筒体91と、筒体91内に配した台座92と、台座92に取り付ける受光素子(PD)93と、台座92に取り付ける発光素子(LD)94と、台座92に取り付けるモニタ用受光素子95と、台座92に取り付けるPre−Amp96と、筒体91の開口部を覆うステム97と、このステム97に設けた端子98と、ボールレンズ1の上方に配される光ファイバ99とで構成されている。
【0041】
本実施形態に係る光送受信モジュール90においても、光ファイバ99とボールレンズ1との延長線上に発光素子(LD)94が配され、光ファイバ99とボールレンズ1との延長線上に対し90°の位置に受光素子(PD)93が配され、ボールレンズ1で反射された波長が受光できるように、ボールレンズ1の多層膜フィルタ4が45°に傾斜されている。
【0042】
従って、本実施形態に係る光送受信モジュール90においても、図6および図7に示す原理図に示した作用効果を奏することが可能となる。
また、本実施形態によれば、従来5回程度行っていた位置決め(調心)を2回程度に減少させ、製作時間の短縮を図ることが可能となる。
また、多層膜フィルタ4とボールレンズ1を一体形成することによって、フィルタ固定用部品やボールレンズを削減でき、構造の複雑さを取り除き、より安価な双方向光通信用モジュール80の提供が可能となる。
【0043】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、一対の半球体がそれぞれの端面に多層膜フィルタを挟んで一体的に接合されているので、従来の双方向光通信用モジュールのように、ボールレンズとは別途に必要とされていた多層膜フィルタ、およびその固定ならびに固定に要する部品の削減が可能となる。
また、一対の半球体間に接合された多層膜フィルタが、位置決めの機能を発揮し、従来より位置決めに要する手間暇を削減することが可能となる。
【0044】
また、ボールレンズに反射防止膜を施した場合には、反射防止膜によって生じる段差により、多層膜フィルタの有無の確認が容易となる。
また、端部に面取り部があると、位置決めが容易となる。
また、本発明によれば、一対の半球レンズと多層膜フィルタとを一体化させることによって、受光素子および発光素子からボールレンズを削減することが可能となり、位置決め時間を短縮することが可能となる。
【0045】
また、光ファイバと受光素子間の半球レンズを45°に傾けた構造にすることで、通常のボールレンズと同様の効果を得ることができる。
また、ある波長の光を多層膜フィルタで反射して受光側に集光し、別の波長の光を多層膜フィルタで透過し光ファイバ側に集光させることが可能となる。
また、多層膜フィルタを、半球レンズよりも大きくもしくは小さくすることによって、位置決めが容易となり、精度の高い集光が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態に係るボールレンズを示す図である。
【図2】本発明の第二実施形態に係るボールレンズを示す図である。
【図3】本発明の第三実施形態に係るボールレンズを示す図である。
【図4】本発明の第四実施形態に係るボールレンズを示す図である。
【図5】本発明の第五実施形態に係るボールレンズを示す図である。
【図6】本発明の第一実施形態に係るボールレンズを用いた光送受信モジュールを示す一実施形態を示す原理図である。
【図7】本発明の第一実施形態に係るボールレンズを用いた光送受信モジュールを示す別の実施形態を示す原理図である。
【図8】本発明の第三実施形態に係るボールレンズを用いた光送受信モジュールの一実施形態を示す図である。
【図9】図8におけるX−X線に沿った断面図である。
【図10】本発明の第一実施形態に係るボールレンズを用いた光送受信モジュールの一実施形態を示す図である。
【図11】従来のボールレンズを用いた光送受信モジュールの一実施形態を示す図である
【符号の説明】
1,10,20,40,50 ボールレンズ
2,3,11,12,21,22 半球レンズ
4,13,23 多層膜フィルタ
41 反射防止膜
51 面取り部
61,71,88,99光ファイバ
62,73,86,94 発光素子(LD)
63,72,84,93 受光素子(PD)
70,80,90 光送受信モジュール
Claims (12)
- 一対の半球レンズを、多層膜フィルタを介して一体に接合して成ることを特徴とするボールレンズ。
- 請求項1記載のボールレンズにおいて、前記多層膜フィルタは、2波長を分離する多膜層で構成されていることを特徴とするボールレンズ。
- 請求項1記載のボールレンズにおいて、前記多層膜フィルタは、2波長を分離する多膜層と、この多層膜を積層した平板ガラスとで構成されていることを特徴とするボールレンズ。
- 請求項1記載のボールレンズにおいて、前記多層膜フィルタは、前記半球レンズに形成されていることを特徴とするボールレンズ。
- 請求項1記載のボールレンズにおいて、前記多層膜フィルタの径は、前記半球レンズの径と同じであることを特徴とするボールレンズ。
- 請求項1記載のボールレンズにおいて、前記多層膜フィルタの径は、前記半球レンズの径より小さいことを特徴とするボールレンズ。
- 請求項1記載のボールレンズにおいて、前記多層膜フィルタの径は、前記半球レンズの径より大きいことを特徴とするボールレンズ。
- 請求項1記載のボールレンズにおいて、前記半球レンズの何れか一方の半球面には、反射防止膜が形成されていることを特徴とするボールレンズ。
- 請求項1記載のボールレンズにおいて、前記半球レンズに反射防止膜を形成するとともに、前記多層膜フィルタと直交する前記一対の半球レンズの端部側に面取り部を形成して成ることを特徴とするボールレンズ。
- 光ファイバにより双方向に伝送される光を送受信する光送受信モジュールにおいて、受光素子と発光素子の間に、請求項1ないし請求項9の何れか1項記載のボールレンズを配して成ることを特徴とする光送受信モジュール。
- 請求項10記載の光送受信モジュールにおいて、前記光ファイバと前記発光素子とを対向するとともにこれらの間に前記ボールレンズを配し、前記光ファイバと前記発光素子とを結ぶ線分に対して直交する方向に前記受光素子を配し、前記ボールレンズの前記多層膜フィルタを前記線分に対して45°傾けていることを特徴とする光送受信モジュール。
- 請求項10記載の光送受信モジュールにおいて、前記光ファイバと前記受光素子とを対向するとともにこれらの間に前記ボールレンズを配し、前記光ファイバと前記受光素子とを結ぶ線分に対して直交する方向に前記発光素子を配し、前記ボールレンズの前記多層膜フィルタを前記線分に対して45°傾けていることを特徴とする光送受信モジュール。
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