JP2004037873A - マイクロレンズアレイ、マイクロレンズ基板及びその製造方法、電気光学装置並びに電子機器 - Google Patents

マイクロレンズアレイ、マイクロレンズ基板及びその製造方法、電気光学装置並びに電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】液晶装置等の電気光学装置に組み合わせて用いた場合に、その投影透過率を向上させることができる、レンズ効率に優れたマイクロレンズアレイ及びマイクロレンズ基板を提供する。
【解決手段】マイクロレンズアレイは、一方の表面に複数のマイクロレンズのレンズ表面が形成された透明基板を備える。所定画素ピッチをx[μm]とし、マイクロレンズの高さをy[μm]とし、マイクロレンズの頂点における近似曲率半径をRt[μm]とするとき、次式(1)及び(2)を満たすようにレンズ表面は、非球面に形成されている。
(0.1914x+4.2024)−1.5<y<
(0.1914x+4.2024)+1.5         …(1)
(0.8428x−6.1276)−2<Rt<
(0.8428x−6.1276)+2           …(2)
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶装置等の電気光学装置に好適に用いられるマイクロレンズ及びこれを備えたマイクロレンズ基板、並びにそれらの製造方法の技術分野に属する。本発明は更に、このようなマイクロレンズ基板を備えた電気光学装置及び該電気光学装置を具備してなるプロジェクタ等の電子機器の技術分野にも属する。
【0002】
【背景技術】
液晶装置等の電気光学装置などでは、その画像表示領域内に、データ線、走査線、容量線等の各種配線や、薄膜トランジスタ(以下適宜、TFT(Thin Film Transistor)と称す)、薄膜ダイオード(以下適宜、TFD(Thin Film Diode)と称す)等の各種電子素子が作り込まれる。このため、各画素において、実際に表示に寄与し得る光が透過したり反射したりする領域は、各種配線や電子素子等の存在によって本質的に限られている。より具体的には、各画素について、全領域に対する、実際に表示に寄与する光が透過或いは反射する領域(即ち、各画素の開口領域)の比率である、各画素の開口率は、例えば50〜60%程度である。ここで電気光学装置に入射される光源光や外光は、少なくとも当該電気光学装置内における、液晶層等の電気光学物質層を通過する際には、概ね平行光である。しかるに、電気光学装置に平行光を入射した場合、そのままでは、全光量のうち各画素の開口率に応じた光量しか利用できない。
【0003】
そこで従来は、各画素に対応するマイクロレンズを含んでなるマイクロレンズアレイを対向基板に作り込んでマイクロレンズ基板としたり、マイクロレンズ基板を対向基板に貼り付けたりしている。或いは、TFTアレイ基板にマイクロレンズアレイを作り込んでマイクロレンズ基板としたり、TFTアレイ基板にマイクロレンズ基板を貼り付けたりしている。係るマイクロレンズ基板によって、そのままでは各画素における開口領域を除いた非開口領域に向かって進行する筈の光を、画素単位で集光して、電気光学物質層を透過する際には、各画素の開口領域内に導かれるようにしている。この結果、電気光学装置においては、明るい表示が可能となるとされている。
【0004】
尚、本願明細書では、一つ一つのレンズを「マイクロレンズ」と呼び、これらが複数配列されたものを「マイクロレンズアレイ」と呼ぶ。また、このようなマイクロレンズアレイに、屈折率の異なる接着剤でカバーガラスを貼りつけ、更にそのガラス厚を適宜調整してなる基板を、「マイクロレンズ基板」と呼ぶことなする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のマイクロレンズ基板によれば、各マイクロレンズにおける球面収差が大きいため等の理由により、電気光学装置の各画素の開口領域に適切に導かれ且つ実際に表示に寄与する光として利用可能な入射光の割合は限られている。即ち、従来のマイクロレンズ基板によれば、全体としての集光性能が十分であるとは言い難い。因みに本願発明者の研究によれば、マイクロレンズ基板を含めた電気光学装置の投影透過率は、例えば20%程度である。これは、マイクロレンズ基板を全く用いない場合における、例えば10数%程度の投影透過率と比べて若干高いが、改善の余地があると考えられる。
【0006】
このように、マイクロレンズアレイ或いはマイクロレンズ基板を含めた電気光学装置の投影透過率は概ね低いので、電気光学装置に明るい画像表示を可能とさせることが困難であるという技術的な問題点がある。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、例えば電気光学装置に組み合わせて或いは取り付けて用いた場合にその投影透過率を効率良く向上させ得る、レンズ効率に優れたマイクロレンズアレイ、マイクロレンズ基板及びそれらの製造方法、そのようなマイクロレンズ基板を備えた電気光学装置、並びに該電気光学装置を具備してなる電子機器を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のマイクロレンズアレイは上記課題を解決するために、一方の表面に所定画素ピッチで配列された複数のマイクロレンズのレンズ表面が形成されており第1屈折率を有する透明基板と、前記一方の表面上に配置されており前記第1屈折率とは異なる第2屈折率を有する透明媒質とを備えており、前記所定画素ピッチをx[μm]とし、前記マイクロレンズの高さをy[μm]とし、前記マイクロレンズの頂点における近似曲率半径をRt[μm]とするとき、次式(1)及び(2)を満たすように前記レンズ表面は非球面に形成されている。
【0009】
(0.1914x+4.2024)−1.5<y<
(0.1914x+4.2024)+1.5         …(1)
(0.8428x−6.1276)−2<Rt<
(0.8428x−6.1276)+2           …(2)
本発明のマイクロレンズアレイによれば、透明基板の一方の表面には、複数のマイクロレンズのレンズ表面が形成されており、この一方の表面上には、透明媒質が配置されている。そして、透明基板の第1屈折率と透明媒質の第2屈折率とは相異なるので、透明基板の一方の表面には、複数のマイクロレンズが構築されることになる。ここで特に、本願発明者の研究によれば、仮にマイクロレンズの画素ピッチx並びにマイクロレンズの高さy及びマイクロレンズの頂点における近似曲率半径Rtが、上記式(1)及び(2)を満たさなければ、当該マイクロレンズアレイを、例えば液晶装置等の電気光学装置におけるTFTアレイ基板等の素子基板に対向配置したり、該素子基板に重ねて配置したり、或いは当該マイクロレンズアレイから該素子基板を構築した場合に、その投影透過率を、例えば20%以上の極大的に高い値とすることはできない。理由は、例えば球面レンズである各マイクロレンズにおいては、球面収差によって理想上の集光点が実際にはかなり広い3次元空間領域に広がってしまい、集光したにも拘わらず各マイクロレンズを介して相当量の光が実際には各画素の非開口領域に対して照射されてしまうからであると考察される。
【0010】
これに対して、本発明のマイクロレンズアレイにおける複数のマイクロレンズは、例えばマトリクス状或いはアレイ状に所定画素ピッチで配列されており、その画素ピッチx或いは各マイクロレンズの底縁の径、並びに各マイクロレンズの高さy及びマイクロレンズの頂点における近似曲率半径Rtが上記式(1)及び(2)を満たすように、各レンズ表面が所定画素ピッチで配列され且つ非球面に形成されている。このため、各マイクロレンズにおいては、球面収差が低減され、理想上の集光点が実際上も相対的に非常に小さい3次元空間領域内に収まることになる。従って、各画素の非開口領域に対して各マイクロレンズを介して光が殆ど照射されないのである。この結果、当該マイクロレンズアレイを、例えば液晶装置、有機或いは無機EL表示装置等の電気光学装置におけるTFTアレイ基板等の素子基板に対向配置したり、該素子基板に重ねて配置したり、或いは当該マイクロレンズアレイから該素子基板を構築した場合に、その投影透過率を、例えば20%以上の極大的に高い値とすることができる。しかも、不等式である上記式(1)及び(2)の範囲にy或いはRtが入っているので、このような極大的に高い値を基準とする投影透過率の低下を、5%以内に抑えることが可能となる。
【0011】
以上のように本発明のマイクロレンズアレイによれば、レンズ効率を向上可能となり、例えば電気光学装置に組み合わせて或いは取り付けて用いた場合にその投影透過率を効率良く向上させ得る。
【0012】
本発明のマイクロレンズアレイの一態様では、前記マイクロレンズの底縁における近似曲率半径をRb[μm]とするとき、次式(3)を更に満たすように前記レンズ表面は非球面に形成されている。
(0.0059x+1.0858)−0.05<Rb/Rt<
(0.0059x+1.0858)+0.05        …(3)
この態様によれば、各レンズ表面は、画素ピッチxをパラメータとする上記式(3)を満たすように、非球面に形成されている。このため、各レンズ表面は、画素ピッチxに対してその頂点からその底縁に至るまで非球面形状が特定可能となり、各種画素ピッチについて確実にレンズ効率を極大的に高い値にまで向上させることが可能となる。しかも、不等式である上記式(3)の範囲にRb/Rtが入っているので、極大的に高い値を基準とする投影透過率の低下を、5%以内に抑えることも可能となる。
【0013】
或いは本発明のマイクロレンズアレイの他の態様では、前記マイクロレンズの底縁における近似曲率半径をRb[μm]とするとき、次式(4)を更に満たすように前記レンズ表面は非球面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロレンズアレイ。
1.15<Rb/Rt<1.25              …(4)
この態様によれば、各レンズ表面は、画素ピッチxを含まない上記式(4)を満たすように、非球面に形成されている。このため、各レンズ表面は、画素ピッチによらずに、その頂点からその底縁に至るまで非球面形状が特定可能となり、各種画素ピッチについて確実にレンズ効率を極大的に高い値にまで向上させることが可能となる。しかも、不等式である上記式(4)の範囲にRb/Rtが入っているので、極大的に高い値を基準とする投影透過率の低下を、5%以内に抑えることも可能となる。
【0014】
本発明のマイクロレンズアレイの他の態様では、前記一方の表面上の少なくとも一方向について相隣接するレンズ表面は、それらの底縁で相接触するように前記レンズ表面は形成されている。
【0015】
この態様によれば、複数のマイクロレンズは、少なくとも一方向については、隙間なく配列されており、より多くの光を集光可能となり、レンズ効率を一層向上させられる。この場合、マイクロレンズの底縁の径と当該一方向における画素ピッチとは一致する。尚、一方の表面上において一方向に限らず、相直交するニ方向や三方向以上或いは全方向について隙間なく配列されるように底縁付近が相互に若干重なるように各マイクロレンズを形成することも可能である。
【0016】
或いは、相隣接するマイクロレンズは、相互に若干離間して形成されてもよい。この場合には、レンズ間隙に光抜けを防止する遮光膜を形成してもよい。
【0017】
本発明のマイクロレンズアレイの他の態様では、前記レンズ表面は、前記透明媒質に対して凸であり、前記第1屈折率は、前記第2屈折率よりも大きい。
【0018】
この態様によれば、高屈折の透明基板の一方の表面に凸状のレンズ表面が形成され、これが低屈折の透明媒質で覆われた凸レンズ構造が得られる。尚、透明媒質は、接着剤でもよいし、接着剤以外の樹脂、空気等でもよい。
【0019】
本発明のマイクロレンズアレイの他の態様では、前記レンズ表面は、前記透明媒質に対して凹であり、前記第1屈折率は、前記第2屈折率よりも小さい。
【0020】
この態様によれば、低屈折の透明基板の一方の表面に凹状のレンズ表面が掘られ、その内部が高屈折の透明媒質で満たされた凸レンズ構造が得られる。尚、透明媒質は、接着剤でもよいし、接着剤以外の樹脂、空気等でもよい。
【0021】
本発明のマイクロレンズ基板は上記課題を解決するために、上述した本発明のマイクロレンズアレイ(但し、その各種態様を含む)と、前記一方の表面に対向配置されたカバーガラスとを備えており、前記透明媒質は、前記カバーガラスを前記一方の表面に貼り付ける接着剤からなる。
【0022】
本発明にマイクロレンズ基板によれば、上述した本発明のマイクロレンズアレイを備えるので、例えば電気光学装置に組み合わせて或いは取り付けて用いた場合にその投影透過率を効率良く向上させ得る、
本発明のマイクロレンズ基板の一態様では、前記透明基板の厚みをTs[μm]とすると、次式(5)を更に満たす。
【0023】
(2.8613x−9.705)−8<Ts<
(2.8613x−9.705)+8          …(5)
この態様によれば、透明基板におけるレンズ表面が形成された一方の表面とは反対側が電気光学装置を構成する例えばTFTアレイ基板等の他の基板に面するように、マイクロレンズ基板を電気光学装置に取り付ければ、透明基板の厚みTsが上記式(5)を満たすので、透明基板内ではなく他の基板内に各マイクロレンズの集光点を位置させることが可能となる。よって、透明基板におけるレンズ表面が形成された一方の表面側から入射して各マイクロレンズを介して出射される光のうち、各画素の開口領域を通過する有効成分を増加できると共に各画素の非開口領域に照射される無効成分を減少できる。しかも、不等式である上記式(5)の範囲にTsが入っているので、極大的に高い値を基準とする投影透過率の低下を、5%以内に抑えることも可能となる。これらの結果、投影透過率を一層効率良く向上させ得る。
【0024】
或いは本発明のマイクロレンズ基板の他の態様では、前記カバーガラスの厚みをTs[μm]とすると、次式(5)を更に満たす。
【0025】
(2.8613x−9.705)−8<Ts<
(2.8613x−9.705)+8          …(5)
この態様によれば、カバーガラス側が電気光学装置を構成する例えばTFTアレイ基板等の他の基板に面するように、マイクロレンズ基板を電気光学装置に取り付ければ、カバーガラスの厚みTsが上記式(5)を満たすので、カバーガラス内或いは透明媒質内ではなく他の基板内に各マイクロレンズの集光点を位置させることが可能となる。よって、カバーガラスとは反対側から入射して各マイクロレンズ及びカバーガラスを介して出射される光のうち、各画素の開口領域を通過する有効成分を増加できると共に各画素の非開口領域に照射される無効成分を減少できる。しかも、不等式である上記式(5)の範囲にTsが入っているので、極大的に高い値を基準とする投影透過率の低下を、5%以内に抑えることも可能となる。これらの結果、投影透過率を一層効率良く向上させ得る。
【0026】
本発明のマイクロレンズ基板の他の態様では、前記カバーガラスには、前記マイクロレンズに対応する開口領域を規定する格子状の遮光膜が形成されている。
【0027】
この態様によれば、カバーガラスにより防塵性能及び耐熱性能を高めることができ、更にこのようなカバーガラスを貼り付ける接着剤と透明媒質を兼用できる。しかも、カバーガラスに形成された例えばCr(クロム)等を含んでなる格子状の遮光膜によって、各画素の開口領域をマイクロレンズとの位置ずれ或いは寸法ずれを低減しつつ規定できる。これにより、各マイクロレンズを出射した光をより高精度で各画素の開口領域に導くことが可能となる。
【0028】
本発明の第1電気光学装置は上記課題を解決するために、上述した本発明のマイクロレンズ基板(但し、その各種態様も含む)と、該マイクロレンズ基板に対向配置された他の基板と、該他の基板上に形成されており前記所定画素ピッチで配列された複数の画素電極と、前記他の基板上に形成されており前記画素電極に画像信号を供給するための配線及び電子素子とを備える。
【0029】
本発明の第1電気光学装置によれば、TFTアレイ基板、TFDアレイ基板、EL素子アレイ基板等の他の基板上に、画素電極、配線、TFT或いはTFD等の電子素子が形成されており、これに対し上述した本発明のマイクロレンズ基板が対向配置される。従って、非球面のマイクロレンズにより光源光、外光等を小さい球面収差で且つ効率良く集光でき、明るい画像表示が可能である液晶装置、有機又は無機EL装置、電気泳動装置等の各種電気光学装置を実現できる。
【0030】
本発明の第1電気光学装置の一態様では、前記マイクロレンズ基板を介して前記他の基板に入射される入射光が、前記他の基板における前記マイクロレンズ基板に対向する側の表面よりも前記マイクロレンズ基板から遠い位置に集光される。
【0031】
この態様によれば、各マイクロレンズを介して出射される光のうち、各画素の開口領域を通過する有効成分を増加できると共に各画素の非開口領域に照射される無効成分を減少できる。これらの結果、投影透過率を一層効率良く向上させ得る。
【0032】
本発明の第2電気光学装置は上記課題を解決するために、上述した本発明のマイクロレンズ基板(但し、その各種態様も含む)と、該マイクロレンズ基板上に形成されており前記所定画素ピッチで配列された複数の画素電極と、前記マイクロレンズ基板上に形成されており前記画素電極に画像信号を供給するための配線及び電子素子とを備える。
【0033】
本発明の第2電気光学装置によれば、上述した本発明のマイクロレンズ基板をTFTアレイ基板、TFDアレイ基板、EL素子アレイ基板等として利用し、この上に、画素電極、配線、TFT或いはTFD等の電子素子が形成される。従って、非球面のマイクロレンズにより光源光、外光等を小さい球面収差で且つ効率良く集光でき、明るい画像表示が可能である液晶装置、有機又は無機EL装置、電気泳動装置等の各種電気光学装置を実現できる。
【0034】
本発明のマイクロレンズアレイの製造方法は上記課題を解決するために、上述した本発明のマイクロレンズアレイ(但し、その各種態様も含む)を製造する方法であって、透明な原板上にフォトレジストを、予め前記式(1)及び(2)を満たすように設定された所定膜厚だけ形成する工程と、前記フォトレジストを前記マイクロレンズに夫々対応する島状だけ残すようにパターニングする工程と、前記パターニングされた島状のフォトレジストを夫々、熱処理により前記レンズ表面に対応する非球面を有するように形状変更する工程と、前記形状変更されたフォトレジストを介して前記原板を前記マイクロレンズを有するようにドライエッチングすることにより前記透明基板を形成する工程とを備える。
【0035】
本発明のマイクロレンズアレイの製造方法によれば、上述した本発明のマイクロレンズアレイを比較的容易に製造できる。
【0036】
本発明の第1のマイクロレンズ基板の製造方法は上記課題を解決するために、透明な原板上にフォトレジストを、予め前記式(1)及び(2)を満たすように設定された所定膜厚だけ形成する工程と、前記フォトレジストを前記マイクロレンズに夫々対応する島状だけ残すようにパターニングする工程と、前記パターニングされた島状のフォトレジストを夫々、熱処理により前記レンズ表面に対応する非球面を有するように形状変更する工程と、前記形状変更されたフォトレジストを介して前記原板を前記マイクロレンズを有するようにドライエッチングする工程と、前記接着剤からなる前記透明媒質によって前記カバーガラスを、前記原板における前記マイクロレンズを有する前記一方の表面に貼り付ける工程と、前記原板における他方の表面を研磨して、前記式(5)を満たす板厚にすることで前記透明基板を形成する工程とを備える。
【0037】
本発明の第1のマイクロレンズ基板の製造方法によれば、上述した本発明のマイクロレンズ基板を比較的容易に製造できる。この場合特に、透明基板が薄いので、カバーガラス側から光が入射し、透明基板側から集光した光を出射させるのに好適なマイクロレンズ基板が得られる。
【0038】
本発明の第2のマイクロレンズ基板の製造方法は上記課題を解決するために、透明な原板上にフォトレジストを、予め前記式(1)及び(2)を満たすように設定された所定膜厚だけ形成する工程と、前記フォトレジストを前記マイクロレンズに夫々対応する島状だけ残すようにパターニングする工程と、前記パターニングされた島状のフォトレジストを夫々、熱処理により前記レンズ表面に対応する非球面を有するように形状変更する工程と、前記形状変更されたフォトレジストを介して前記原板を前記マイクロレンズを有するようにドライエッチングすることで前記透明基板を形成する工程と、前記接着剤からなる前記透明媒質によって、ガラス板を前記一方の表面に貼り付ける工程と、前記ガラス板を研磨して、前記式(5)を満たす板厚にすることで前記カバーガラスを形成する工程とを備える。
【0039】
本発明の第2のマイクロレンズ基板の製造方法によれば、上述した本発明のカバーガラスを備えた態様におけるマイクロレンズ基板を比較的容易に製造できる。この場合特に、カバーガラスが薄いので、透明基板側から光が入射し、カバーガラス側から集光した光を出射させるのに好適なマイクロレンズ基板が得られる。
【0040】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の第1又は第2電気光学装置(但し、その各種態様を含む)を具備する。
【0041】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の第1又は第2電気光学装置を具備して構成されているので、明るく表示品質に優れた、プロジェクタ、液晶テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。
【0042】
本発明の電子機器の一態様では、光源光を発生する光源と、該発生された光源光をライトバルブとしての前記電気光学装置に導く照明系レンズと、前記電気光学装置から出射された光源光を投射する投射系レンズとを備えており、前記照明系レンズのF値は2.2以上であり且つ前記投射系レンズのF値は2.0以下である。
【0043】
この態様によれば、その動作時には、光源から発生された光源光が、照明系レンズによって、ライトバルブとしての電気光学装置に導かれる。更に、電気光学装置から出射された光源光が、投射系レンズによって、例えば投射スクリーン等に投射される。ここで特に、電気光学装置の入射側に配置された照明系レンズのF値は、2.2以上であるので、ほぼ平行光を電気光学装置に対して入射できる。例えば、光源光が、斜め光であっても、ほぼ平行光にでき、これにより投影透過率の低下を5%以内に抑えることが可能となる。更に、出射側に配置された投射系レンズのF値は、2.0以下であるので、出射される光源光をより投射光として利用する範囲が広くなり、これにより投影透過率の低下を5%以内に抑えることが可能となる。尚、F値とは、レンズ開口部(絞り)の相対的大きさを表す通常の意味である。
【0044】
この態様では好ましくは、前記照明系レンズのF値は2.5以上であり且つ前記投射系レンズのF値は1.7以下である。
【0045】
このように構成すれば、マイクロレンズ基板及び電気光学装置における投影透過率等によらずに、より確実に、照明系レンズ及び投射系レンズを含めた電子機器における光学系全体についての総合的な投影透過率の低下を5%以内に抑えることが可能となる。
【0046】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0048】
(マイクロレンズ基板)
本発明の実施形態に係るマイクロレンズアレイ及びマイクロレンズ基板について、図1から図10を参照して説明する。
【0049】
先ず本実施形態に係るマイクロレンズアレイ及びマイクロレンズ基板の基本構成について、図1から図3を参照して説明する。ここに、図1は、マイクロレンズ基板の概略斜視図であり、図2は、本実施形態のマイクロレンズ基板のうち4つのマイクロレンズに係る部分を拡大して示す部分拡大平面図であり、図3は、そのD−D’断面図である。
【0050】
図1に示すように、本実施形態のマイクロレンズ基板20は、例えば石英板等からなり複数のマイクロレンズ500がマイクロレンズアレイとしてマトリクス状に形成された透明板部材200と、接着層205と、接着層205によって透明板部材に貼り付けられたカバーガラス210とを備えて構成されている。
【0051】
図2及び図3に示すように、透明板部材200の表面には、マイクロレンズ500毎に、非球面のレンズ表面201が凸状に形成されている。尚、図2において、レンズ表面201は、等高線で示されており、レンズ底縁201b(図3で上端の縁)からレンズ頂点201t(図3で下端側の点)に至る非球面に形成されている。そして、レンズ表面201は、透明板部材200よりも低屈折率の接着層205に覆われている。マイクロレンズ基板20は、その使用時には、各マイクロレンズ500が、例えば後述する液晶装置等の電気光学装置における画素ピッチxでマトリクス状に配列された各画素に対応するように、配置される。従って、透明板部材200側(図3で上側)から各マイクロレンズ500に入射する入射光は、各マイクロレンズ500の集光作用により、電気光学装置における各画素の中央に向けて集光され、カバーガラス210側(図3で下側)から出射される。即ち、マイクロレンズ基板20を構成する各マイクロレンズ500は、図3中で下側に凸状に突出した非球面の凸レンズとして構築されている。
【0052】
このように本実施形態では、透明板部材200から、本発明に係る「透明基板」の一例が構成されており、接着層205から、本発明に係る「透明媒質」の一例が構成されている。
【0053】
透明板部材200の屈折率(第1屈折率)は、例えば1.6程度など1.5以上とされ、接着層205の屈折率(第2屈折率)は、例えば1.5程度など1.6以下とされる。いずれの場合にも、透明板部材200に凸状の表面を形成する本実施形態にあっては、透明板部材200を接着層205よりも高屈折率の材質となるように、両者の材質が選択される。但し、透明板部材200に凹状の表面を形成する変形形態にあっては、透明板部材200を接着層205よりも低屈折率の材質となるように、両者の材質が選択される。
【0054】
本実施形態では特に、図2及び図3に示した画素ピッチx、即ち、各マイクロレンズ500のレンズ底縁201bにおける径との関係で、レンズ高さy等の非球面のレンズ形状が規定されている。
【0055】
次にこのような本実施形態に係るマイクロレンズ500における非球面のレンズ形状について、図4から図10を参照して詳述する。ここに、図4は、一つのマイクロレンズについての、レンズ頂点201tにおける近似曲率半径Rt、レンズ底縁201bにおける近似曲率半径Rb、画素ピッチx、レンズの高さy等のパラメータを図式的に示した部分拡大断面図である。図5は、投影透過率が極大値(最適値)をとる際における画素ピッチx[μm]とレンズ高さy[μm]等との関係を示す特性図であり、図6は、投影透過率が極大値(最適値)をとる際における画素ピッチx[μm]と近似曲率半径Rt[μm]等との関係を示す特性図であり、図7は、投影透過率が極大値(最適値)をとる際における画素ピッチx[μm]とレンズ曲率半径比Rb/Rtとの関係を示す特性図であり、図8は、投影透過率が極大値(最適値)をとる際における画素ピッチx[μm]とレンズ基板の厚みTs[μm]との関係を示す特性図である。更に、図9は、本実施形態に係るマイクロレンズによる集光特性を図式的に示したマイクロレンズ基板の部分拡大断面図であり、図10は、比較例に係るマイクロレンズによる集光特性を図式的に示したマイクロレンズ基板の部分拡大断面図である。尚、本実施形態において「投影透過率」とは、マイクロレンズ基板20を、後述の如く電気光学装置にその対向基板として組み込んだ場合における、投影光の透過率を意味しており、電気光学装置が存在しない場合を基準、即ち投影透過率100%として規格化したものである。
【0056】
先ず本願発明者の研究結果によれば、図4から図9に示した各種特性線は、図示した通りに、少なくとも画素ピッチx=10〜30μm程度の範囲について有効である。因みに、図4から図9に示した各種特性線は、マイクロレンズ基板20を後述の如く電気光学装置の対向基板として利用した場合における、少なくともセルギャップ(即ち、基板間隔)1〜10μm程度について有効であり、少なくとも各画素の非開口領域を規定する格子状の遮光膜の線幅1〜10μm程度について有効である。但し、画素ピッチxの値を小さく設定するのに連れて、セルギャップ及び遮光膜の幅も、より小さい値を採用することが、画像品位向上及び明るさ確保の観点から通常である。例えば、画素ピッチ14〜15μmに対して、セルギャップ2〜4μm、遮光膜の幅3〜5μmとされる。加えて、このような格子状の遮光膜は、マイクロレンズ基板20側に形成されてもよく、これに対向配置されるTFTアレイ基板側に形成されてもよい。いずれにせよ、格子状の遮光膜の存在によって、各画素は、画素ピッチxでマトリクス状に区切られる。
【0057】
本実施形態では、図4に示すように、投影透過率が極大値をとる際のレンズ頂点201tにおけるレンズ表面は、中心点Ctを中心として近似曲率半径Rtを有し、レンズ底縁201bにおけるレンズ表面は、中心点Cbを中心として近似曲率半径Rbを有する。
【0058】
これら近似曲率半径Rt及びRbの間には先ず基本的に、“Rt<Rb”の関係がある。更に、レンズ頂点201tからレンズ底縁201bに向かうに連れて、レンズ表面201上の各点における近似曲率半径が、RtからRbに向かって連続的に単調増加するように、レンズ表面201は規定されている。
【0059】
そして特にレンズ表面201は、画素ピッチx[μm]及びレンズ高さy[μm]が、図5における“非球面”を示す特性線(図中、上側の特性線)の上下1μm幅の領域に対応するように、即ち上記式(1)を満たすように、非球面に形成されている。
【0060】
同時にレンズ表面201は、画素ピッチx[μm]及びレンズ頂点201tにおける近似曲率半径Rt[μm]が、図6における“非球面top”を示す特性線(図中、一番下側の特性線)の上下2μm幅の領域に対応するように、即ち上記式(2)を満たすように、非球面に形成されている。
【0061】
好ましくは、レンズ表面201は、画素ピッチx[μm]及び近似曲率半径Rtに対する近似曲率半径Rbの比であるレンズ曲率半径比“Rb/Rt”が、図7における特性線の上下0.05幅の領域に対応するように、即ち上記式(3)を満たすように、非球面に形成されている。
【0062】
或いは、より単純には、レンズ曲率半径比“Rb/Rt”の値は、1.20の上下0.05幅の領域に対応するように、即ち上記式(4)を満たすように、非球面に形成されている。
【0063】
更に好ましくは、マイクロレンズアレイ板20を、透明板部材200側を入射側とし且つカバーガラス210側を出射側として後述の電気光学装置に組み込んで利用する場合には、画素ピッチx[μm]及びレンズ頂点201tからカバーガラス210の出射側表面までの距離に等しい“基板厚み”Ts[μm]が、図8における特性線の上下5[μm]幅の領域に対応するように、即ち上記式(5)を更に満たすように、接着層205及びカバーガラス210の厚みが設定されている。或いは、マイクロレンズ基板20を、カバーガラス210側を入射側とし且つ透明板部材200側を出射側として後述の電気光学装置に組み込んで利用する場合には、画素ピッチx[μm]及びレンズ頂点201tから透明板部材200の出射側表面までの距離に等しい“基板厚み”Ts[μm]が、図8における特性線の上下5[μm]幅の領域に対応するように、即ち上記式(5)を更に満たすように、透明板部材200の厚みが設定されている。
【0064】
このように本実施形態では特に、複数のマイクロレンズ500は、上記式(1)及び(2)を満たすように、各レンズ表面201が所定画素ピッチxで配列され且つ非球面に形成されている。従って図9に示すように、各マイクロレンズ500においては、その動作時に、入射光L1が入射した際における出射光L2に発生する球面収差が低減され、理想上の集光点が実際上も相対的に非常に小さい3次元空間領域Lf内に収まることになる。ここで、マイクロレンズ基板20を電気光学装置にその対向基板として組み込む場合には、各画素の非開口領域を規定する例えばCr等からなる遮光膜240が格子状或いはストライプ状にカバーガラス210上に保護膜241と共に形成される。若しくはこれに代えて又は加えて、電気光学基板装置100側に格子状或いはストライプ状の内蔵遮光膜100sが形成される。一般には、このような非開口領域を規定する遮光膜240や内蔵遮光膜100sに対して、マイクロレンズ500により集光された出射光L2が照射されることが、投影透過率低下の主要因となるのである。しかるに本実施形態によれば、上記式(1)及び(2)が満たされているため、このような遮光膜240や内蔵遮光膜100sに対して、各マイクロレンズ500を介して出射光L2が殆ど照射されない。これにより投影透過率が向上する訳である。
【0065】
ここで図10に示した比較例の如く、マイクロレンズ500cが上記式(1)及び(2)を満足しない非球面の或いは球面のレンズ表面を有するマイクロレンズ基板20cの場合には、マイクロレンズ基板20cを、電気光学装置にその対向基板として組み込んで利用すると、各マイクロレンズ500cにおいては、その動作時に、入射光L1が入射した際における出射光L2cに球面収差が発生する。そして、この球面収差によって理想上の集光点が実際にはかなり広い3次元空間領域Lfcに広がってしまい、入射光L1を集光したにも拘わらず各マイクロレンズ500cを介して相当量の出射光L2cが、実際には各画素の非開口領域に配置された遮光膜240や内蔵遮光膜100s対して照射されてしまうのである。これにより投影透過率が低下してしまう訳である。
【0066】
以上説明したように、本実施形態に係るマイクロレンズ基板20によれば、レンズ効率が非常に高められており、例えば電気光学装置に組み合わせて用いた場合にその投影透過率を効率良く向上させ得る。
【0067】
本実施形態では望ましくは、レンズ表面201は、画素ピッチx[μm]及びレンズ高さy[μm]が、図5における“非球面”を示す特性線(図中、上側の特性線)にのるように、即ち次式(1s)を満たすように、非球面に形成される。
【0068】
(0.1914x+4.2024)=y           …(1s)
同時に望ましくは、レンズ表面201は、画素ピッチx[μm]及びレンズ頂点201tにおける近似曲率半径Rt[μm]が、図6における“非球面top”を示す特性線(図中、一番下側の特性線)にのるように、即ち次式(2s)を満たすように、非球面に形成される。
【0069】
(0.8428x−6.1276)=Rt           …(2s)
このように投影透過率を最適値とする式(1s)及び(2s)を満たすようにレンズ表面201を形成すれば、例えば20%を遥かに超えるような非常に高い投影透過率を得ることも可能となる。
【0070】
但し、上記式(1S)に対して±1.5μmの幅を持たせた不等式である上記式(1)の範囲に、画素ピッチxに対するレンズ高さyが入っていれば、上記式(1s)を満たす理想的な場合における投影透過率と比較した場合の、当該投影透過率の低下を、5%以内に抑えることが可能となる。更に、上記式(2S)に対して±2μmの幅を持たせた不等式である上記式(2)の範囲に、画素ピッチxに対する近似曲率半径Rtが入っていれば、上記式(2s)を満たす理想的な場合における投影透過率と比較した場合の、当該投影透過率の低下を、5%以内に抑えることが可能となる。より具体的には、投影透過率を、例えば20%以上の高い値とすることができる。即ち、上記式(1)及び(2)を満たしていれば、実用上の問題は殆ど或いは全く生じない。このことは、後述する製造方法による形状制御上の限界や寸法精度に鑑みれば、実用上大変有利である。
【0071】
尚、図5及び図6に比較のために示した“球面”を示す特性線は、球面レンズの場合における投影透過率の極大値(最適値)を与えるものである。このような球面レンズの場合には、図10を参照して説明した比較例の如く、球面収差が大きくなるので、投影透過率は、例えば15%程度しか得られない。
【0072】
他方、図6において、“非球面center”を示す即ちレンズ頂点201tとレンズ底縁201bとの中間点における近似曲率半径Rの極大値(最適値)を与える特性線を満たすこと、或いは、“非球面Bottom”を示す即ちレンズ底縁201bにおける近似曲率半径Rbの極大値(最適値)を与える特性線を満たすことは重要である。但し、本実施形態では、図5の如くレンズ高さy及び画素ピッチx(即ちレンズ底縁201bの径)を条件とし且つ図6の如く“非球面top”を示す即ちレンズ頂点201tにおける近似曲率半径Rtの極大値(最適値)を与える特性線を条件としているので、図6における“非球面center”や“非球面Bottom”に関する条件は特に規定しなくても十分である。但し、これらを規定することも可能である。
【0073】
即ち、本実施形態において、上記式(2)に代えて又は加えて、レンズ頂点201tとレンズ底縁201bとの中間点における近似曲率半径Rmの範囲を、画素ピッチxの一次関数を用いた不等式により規定することも可能である。
【0074】
或いは、本実施形態において、上記式(2)に代えて又は加えて、レンズ底縁Rbの範囲を、画素ピッチxの一次関数を用いた不等式により規定することも可能である。
【0075】
既に図7を参照して説明したように上記式(3)を満たすようにレンズ表面201が非球面に形成されている場合には、各レンズ表面201は、画素ピッチxに対してそのレンズ頂点201tからそのレンズ底縁201bに至るまで非球面形状が特定可能となり、これにより各種画素ピッチxについて確実にレンズ効率を極大的に高い値にまで向上させることが可能となる。更に、より望ましくは、レンズ表面201は、画素ピッチx[μm]及びレンズ曲率半径比 “Rb/Rt”が、図7における特性線にのるように、即ち次式(3s)を満たすように、非球面に形成される。
(0.0059x+1.0858)=Rb/Rt        …(3s)
このように投影透過率を最適値とする式(3s)を満たすようにレンズ表面201を形成すれば、例えば20%を遥かに超えるような非常に高い投影透過率を得ることも可能となる。
【0076】
但し、上記式(3S)に対して±0.05(即ち、5%)の幅を持たせた不等式である上記式(3)の範囲に、画素ピッチxに対するレンズ曲率半径比Rb/Rtが入っていれば、上記式(3s)を満たす理想的な場合における投影透過率と比較した場合、当該投影透過率の低下を、5%以内に抑えることが可能となる。より具体的には、投影透過率を、例えば20%以上の高い値とすることができる。即ち、上記式(3)を満たしていれば、実用上の問題は殆ど或いは全く生じない。このことは、後述する製造方法による形状制御上の限界や寸法精度に鑑みれば、実用上大変有利である。
【0077】
尚、簡単のためには、レンズ曲率半径比Rb/Rtを、擬似的な理想値1.20に近づけるように或いは1.20±0.05(即ち、5%)の範囲内となるように、レンズ表面201を形成してもよい。
【0078】
既に図8を参照して説明したように上記式(5)を満たすように基板厚みTsが設定されている場合には、図9に示したように、集光領域たる領域Lfを電気光学基板装置100の基板内部に位置させることが可能となる。よって、各マイクロレンズ500を介して出射される出射光L2のうち、各画素の開口領域を通過する有効成分を増加できると共に各画素の非開口領域に照射される無効成分を減少できる。更に、より望ましくは、基板厚みTsは、画素ピッチx[μm]に対して図8における特性線にのるように、即ち次式(5s)を満たすように形成される。
【0079】
(2.8613x−9.705)=Ts          …(5s)
このように投影透過率を最適値とする式(5s)を満たすように基板厚みTsを形成すれば、例えば20%を遥かに超えるような非常に高い投影透過率を得ることも可能となる。
【0080】
但し、上記式(5S)に対して±8μmの幅を持たせた不等式である上記式(5)の範囲に、画素ピッチxに対する基板厚みTsが入っていれば、上記式(5s)を満たす理想的な場合における投影透過率と比較した場合、当該投影透過率の低下を、5%以内に抑えることが可能となる。より具体的には、投影透過率を、例えば20%以上の極大的に高い値とすることができる。即ち、上記式(5)を満たしていれば、実用上の問題は殆ど或いは全く生じないで済む。このことは、後述する製造方法による形状制御上の限界や寸法精度に鑑みれば、実用上大変有利である。
【0081】
尚、上述の如く本実施形態では、図2及び図3に示したように、相隣接するマイクロレンズ500は相接触しているが、これらは相互に若干離間して形成されてもよい。この場合には、レンズ間隙に光抜けを防止する遮光膜240(図9参照)を形成するとよい。
【0082】
また、上述の実施形態では、透明板部材200の表面に凸状のレンズ表面201が形成され、これが低屈折率の接着層205で覆われているが、透明媒質は、少なくとも部分的に接着剤以外の樹脂、液体、気体、空気等でもよい。更に、透明板部材200に凹状のレンズ表面を掘って、この内部に透明板部材よりも高屈折率の透明媒質を満たすことで、凸レンズを構築することも可能である。
【0083】
加えて、図9に示した如きマイクロレンズ基板20に対して、遮光膜240により区切られた各画素の開口領域にR(赤)、G(緑)又はB(青)のカラーフィルタを作り込むことも可能である。
【0084】
以上詳細に説明したように本実施形態に係るマイクロレンズ基板20によれば、投射光等の入射光を、非球面レンズである各マイクロレンズ500による集光作用によって効率的に表示に寄与する光として利用できる。これらの結果、以下に説明する電気光学装置によって、最終的には、明るく鮮明な画像表示が可能となる。
【0085】
(電気光学装置)
次に、本発明の電気光学装置に係る実施形態の全体構成について、図11及び図12を参照して説明する。ここでは、電気光学装置の一例である駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。
【0086】
図11は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に、対向基板として用いられる上述のマイクロレンズ基板側から見た平面図であり、図12は、図11のH−H’断面図である。
【0087】
図11及び図12において、本実施形態に係る電気光学装置では、TFTアレイ基板10と、対向基板として用いられるマイクロレンズ基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10とマイクロレンズ基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10とマイクロレンズ基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
【0088】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。また、シール材52中には、TFTアレイ基板10とマイクロレンズ基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。即ち、本実施形態の電気光学装置は、プロジェクタのライトバルブ用として小型で拡大表示を行うのに適している。但し、当該電気光学装置が液晶ディスプレイや液晶テレビのように大型で等倍表示を行う液晶装置であれば、このようなギャップ材は、液晶層50中に含まれてもよい。
【0089】
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、マイクロレンズ基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
【0090】
画像表示領域の周辺に広がる領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する周辺領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられており、走査線駆動回路104が、この一辺に隣接する2辺に沿って設けられている。更にTFTアレイ基板10の残る一辺には、画像表示領域10aの両側に設けられた走査線駆動回路104間をつなぐための複数の配線105が設けられている。また図11に示すように、マイクロレンズ基板20の4つのコーナー部には、両基板間の上下導通端子として機能する上下導通材106が配置されている。他方、TFTアレイ基板10にはこれらのコーナーに対向する領域において上下導通端子が設けられている。これらにより、TFTアレイ基板10とマイクロレンズ基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0091】
図12において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が形成された後の画素電極9a上に、配向膜が形成されている。他方、マイクロレンズ基板20には、前述した透明板部材200、カバーガラス210等の他、対向電極21が形成され、更に最上層部分(図12で、マイクロレンズ基板20の下側表面)に配向膜が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
【0092】
尚、図11及び図12に示したTFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等に加えて、画像信号線上の画像信号をサンプリングしてデータ線に供給するサンプリング回路、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
【0093】
次に以上の如く構成された電気光学装置における回路構成及び動作について図13を参照して説明する。図13は、電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路を示すブロック図である。
【0094】
図13において、本実施形態における電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素には夫々、画素電極9aと当該画素電極9aをスイッチング制御するためのTFT30とが形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。そして、画像信号S1、S2、…、Snが、各データ線6aに供給されるように構成されている。このようにデータ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしても良い。
【0095】
また、画素スイッチング用のTFT30のゲートに走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。画素電極9aを介して電気光学物質の一例としての液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、対向基板に形成された対向電極との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電位レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能にする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として電気光学装置からは画像信号に応じたコントラストを持つ光が出射する。ここで、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70を付加する。走査線3aと並行して、蓄積容量70の固定電位側容量電極を含むと共に定電位に固定された容量線300が設けられている。
【0096】
次に、本発明の実施形態の電気光学装置の画像表示領域における構成について、図14及び図15を参照して説明する。図14は、データ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図である。図15は、図14のA−A’断面図である。尚、図15においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
【0097】
図14において、電気光学装置のTFTアレイ基板上には、マトリクス状に複数の透明な画素電極9a(点線部9a’により輪郭が示されている)が設けられており、画素電極9aの縦横の境界に各々沿ってデータ線6a及び走査線3aが設けられている。
【0098】
また、半導体層1aのうち図中右上がりの斜線領域で示したチャネル領域1a’に対向するように走査線3aが配置されており、走査線3aはゲート電極として機能する。このように、走査線3aとデータ線6aとの交差する個所には夫々、チャネル領域1a’に走査線3aがゲート電極として対向配置された画素スイッチング用のTFT30が設けられている。
【0099】
図14及び図15に示すように、蓄積容量70は、TFT30の高濃度ドレイン領域1e及び画素電極9aに接続された画素電位側容量電極としての中継層71と、固定電位側容量電極としての容量線300の一部とが、誘電体膜75を介して対向配置されることにより形成されている。
【0100】
容量線300は平面的に見て、走査線3aに沿ってストライプ状に伸びており、TFT30に重なる個所が図14中上下に突出している。このような容量線300は好ましくは、例えば金属を含む遮光性の導電膜からなる。このように構成すれば、容量線300は、蓄積容量70の固定電位側容量電極としての機能の他、TFT30の上側において入射光からTFT30を遮光する遮光層としての機能を持つ。
【0101】
他方、TFTアレイ基板10上におけるTFT30の下側には、下側遮光膜11aが格子状に設けられている。下側遮光膜11aは、例えば、Ti(チタン)、Cr(クロム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)等の高融点金属のうち少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの等からなる。
【0102】
そして、図14中縦方向に夫々伸びるデータ線6aと図14中横方向に夫々伸びる容量線300とが相交差して形成されること及び格子状に形成された下側遮光膜11aにより、各画素の非開口領域を規定している。
【0103】
図14及び図15に示すように、データ線6aは、コンタクトホール81を介して、例えばポリシリコン膜からなる半導体層1aのうち高濃度ソース領域1dに電気的に接続されている。尚、上述した中継層71と同一膜からなる中継層を形成して、当該中継層及び2つのコンタクトホールを介してデータ線6aと高濃度ソース領域1dとを電気的に接続してもよい。
【0104】
また容量線300は好ましくは、画素電極9aが配置された画像表示領域10a(図11参照)からその周囲に延設され、定電位源と電気的に接続されて、固定電位とされる。このような定電位源としては、データ線駆動回路や走査線駆動回路に供給される正電源や負電源の定電位源でもよいし、マイクロレンズ基板20の対向電極21に供給される定電位でも構わない。更に、TFT30の下側に設けられる下側遮光膜11aについても、その電位変動がTFT30に対して悪影響を及ぼすことを避けるために、容量線300と同様に、画像表示領域10aからその周囲に延設して定電位源に接続するとよい。
【0105】
画素電極9aは、中継層71を中継することにより、コンタクトホール83及び85を介して半導体層1aのうち高濃度ドレイン領域1eに電気的に接続されている。
【0106】
図14及び図15において、電気光学装置は、透明なTFTアレイ基板10と、これに対向配置されるマイクロレンズ基板20(図1から図9参照)とを備えている。TFTアレイ基板10は、例えば石英基板、ガラス基板、シリコン基板からなる。
【0107】
図15に示すように、TFTアレイ基板10には、画素電極9aが設けられており、その上側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜16が設けられている。画素電極9aは例えば、ITO膜などの透明導電性膜からなる。また配向膜16は例えば、ポリイミド膜などの透明な有機膜からなる。
【0108】
他方、マイクロレンズ基板20には、その全面に渡って対向電極21が設けられており、その下側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜22が設けられている。対向電極21は例えば、ITO膜などの透明導電性膜からなる。また配向膜22は、ポリイミド膜などの透明な有機膜からなる。
【0109】
マイクロレンズ基板20には、図9に示した如く、各画素の非開口領域に対応して格子状又はストライプ状の遮光膜240を設けるようにしてもよい。このような構成を採ることで、前述の如く非開口領域を規定する容量線300やデータ線6aと共に当該マイクロレンズ基板20上の遮光膜240により、マイクロレンズ基板20側からの入射光がチャネル領域1a’や低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cに侵入するのを、より確実に阻止できる。
【0110】
このように構成された、画素電極9aと対向電極21とが対面するように配置されたTFTアレイ基板10とマイクロレンズ基板20との間には、シール材52(図11及び図12参照)により囲まれた空間に電気光学物質の一例である液晶が封入され、液晶層50が形成される。
【0111】
更に、画素スイッチング用のTFT30下には、下地絶縁膜12が設けられている。下地絶縁膜12は、下側遮光膜11aからTFT30を層間絶縁する機能の他、TFTアレイ基板10の全面に形成されることにより、TFTアレイ基板10の表面の研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等で画素スイッチング用のTFT30の特性変化を防止する機能を有する。
【0112】
図15において、画素スイッチング用のTFT30は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、走査線3a、当該走査線3aからの電界によりチャネルが形成される半導体層1aのチャネル領域1a’、走査線3aと半導体層1aとを絶縁するゲート絶縁膜を含む絶縁膜2、半導体層1aの低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c、半導体層1aの高濃度ソース領域1d並びに高濃度ドレイン領域1eを備えている。
【0113】
走査線3a上には、高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール81及び高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール83が各々開孔された第1層間絶縁膜41が形成されている。
【0114】
第1層間絶縁膜41上には中継層71及び容量線300が形成されており、これらの上には、高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール81及び中継層71へ通じるコンタクトホール85が各々開孔された第2層間絶縁膜42が形成されている。
【0115】
第2層間絶縁膜42上にはデータ線6aが形成されており、これらの上には、中継層71へ通じるコンタクトホール85が形成された平坦化した第3層間絶縁膜43が形成されている。画素電極9aは、このように構成された第3層間絶縁膜43の上面に設けられている。
【0116】
本実施形態では、第3層間絶縁膜43の表面は、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械研磨)処理等により平坦化されており、その下方に存在する各種配線や素子による段差に起因する液晶層50における液晶の配向不良を低減する。
【0117】
ここで図16を参照して、電気光学装置におけるマイクロレンズ基板20の集光機能について説明する。図16は、対向基板として用いられるマイクロレンズ基板20の各マイクロレンズ500により入射光が集光される様子を概略的に示す断面図である。尚、図16では、各マイクロレンズ500は、そのレンズ中心が、各画素中心に一致するように配置されている。
【0118】
図16に示すように、マイクロレンズ基板20は、図中上方から入射される入射光を複数の画素電極9aに夫々集光する、マトリクス状に配置された複数のマイクロレンズ500を備える。そして、カバーガラス210の上に(図中下側に)、対向電極21及び配向膜22が形成されている。
【0119】
以上のように構成されているため、本実施形態の電気光学装置によれば、複数のマイクロレンズ500により、マイクロレンズ基板20側からの入射光は、複数の画素電極9a上に夫々集光される。従って、マイクロレンズ500が無い場合と比較して、各画素における実効開口率が高められている。
【0120】
本実施形態では特に、マイクロレンズ500は非球面であり、レンズ効率に優れ且つ球面収差も小さい。このため、入射光の利用効率が非常に高い。
【0121】
以上図1から図16を参照して説明した各実施形態では、データ線駆動回路101や走査線駆動回路104をTFTアレイ基板10の上に設ける代わりに、例えばTAB(Tape Automated bonding)基板上に実装された駆動用LSIに、TFTアレイ基板10の周辺部に設けられた異方性導電フィルムを介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。また、マイクロレンズ基板20の投射光が入射する側及びTFTアレイ基板10の出射光が出射する側には各々、例えば、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertically Aligned)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード等の動作モードや、ノーマリーホワイトモード/ノーマリーブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板などが所定の方向で配置される。
【0122】
尚、図11から図16に示した実施形態では、対向基板として図1から図9に示した如きマイクロレンズ基板20を用いているが、このようなマイクロレンズ基板20を、TFTアレイ基板10として利用することも可能である。或いは対向基板として(マイクロレンズ基板20ではなく)単純にガラス基板等に対向電極や配向膜が形成されたものを使用して、TFTアレイ基板10側にマイクロレンズアレイ基板20を取り付けることも可能である。即ち、本発明のマイクロレンズを含む構造(図1から図4参照)は、TFTアレイ基板10側に作り込むこと或いは取り付けることが可能である。
【0123】
加えて、マイクロレンズ基板20の取り付け方についても、上述の如く透明板部材200側を入射側とし且つカバーガラス210側を出射側としてもよいし、逆に、カバーガラス210側を入射側とし且つ透明板部材200側を出射側としてもよい。いずれの場合にも、図8を参照して説明したように、出射側におけるレンズ基板厚みTsを所定の薄さ以下とすることで、集光点をTFTアレイ基板10内に配置させることが可能となり、これにより投影透過率を向上させることが可能となる。
【0124】
(マイクロレンズ基板の製造方法)
次に、本実施形態に係るマイクロレンズ基板20の製造方法について、図17を参照して説明する。
【0125】
先ず図17(a)に示すように、例えば石英基板等の透明の原板200a上に、感光性を有するとともに、熱変形性を有するフォトレジスト層601を形成する。続いて、原板200a上のうち、エッチングすべき領域をポジ像として有するマスクをレジスト層601に重なるように位置合わせにし、当該マスクを介して紫外線を照射してフォトレジスト層601の露光を行う。更に、露光後のフォトレジスト層601を現像して露光された部分を除去する。その結果、マイクロレンズが形成される部分にフォトレジスト層601が残る。
【0126】
次に図17(b)に示すように、加熱工程を行う。その結果、フォトレジスト層601は軟化し、フォトレジスト層601の角の部分が丸められる。
【0127】
次に図17(c)に示すように、フォトレジスト層601が凸面としてマトリクス状に配列された上面に対して、図中上方から指向性の高いドライエッチングを行う。これにより、フォトレジストの凸面を原板200aを転写して、複数のマイクロレンズ500がマイクロレンズアレイとして表面に形成された透明板部材200を完成させる。
【0128】
次に図17(d)に示すように、マイクロレンズ500の表面に光硬化性或いは熱硬化性の接着剤を塗布して、例えば石英板、ネオセラム等からなるガラス板210aを押し付けて接着する。その後、紫外線照射或いは熱照射によって、接着剤を硬化させることで、接着層205を完成させる。
【0129】
次に図17(e)に示すように、ガラス板210aをCMP(Chemical Mechanical Polishing化学的機械研磨)処理等によって、その表面の研磨除去を行うことで、所定膜厚を有するカバーガラス210を完成させる。尚、当初から、所定膜厚のカバーガラス210を貼り付けることも可能である。
【0130】
次に図17(f)に示すように、カバーガラス210上に、遮光膜240をスパッタリング、パターニング等により格子状或いはストライプ状に形成する。
【0131】
次に図17(g)に示すように、スパッタリング、コーティング等により、保護膜241を形成するを形成することで、図9に示した如きマイクロレンズ基板20が完成する。尚、その後は、このような保護膜241上に、ITO膜等からなる対向電極21がスパッタリング等で形成され、更に配向膜22が形成される。この際、保護膜241を省略して、遮光膜240上に対向電極21を直接形成することも可能である。
【0132】
上述した本実施形態の製造方法の中では特に、図17(a)で形成するフォトレジスト層601の膜厚、材質等の条件、図17(b)で熱処理する際の温度、加熱時間、圧力等の条件、更に図17(c)でドライエッチングする際のエッチャントの種類、圧力、ガス流量、エッチング時間等の条件を適宜設定することで、前述した式(1)〜(4)を満たす非球面のレンズ表面201を形成する。更に好ましくは、図17(d)で接着する際の接着剤の厚み、粘性等の条件、図17(e)で研磨する際の研磨量、研磨時間等の条件を適宜設定することで、前述した式(5)を満たす基板厚みTsを有するようにカバーガラス210等を形成する。
【0133】
この際、図4から図9を参照して説明した、投影透過率或いはレンズ効率の観点から好ましい非球面のレンズ表面201を正確に実現するための、これら各工程における前述の各式(1)〜(5)を満たすための各種条件設定は、実際に用いる装置仕様、原材料或いは部品の種類等に鑑み、実験的、経験的、理論的、数学的、或いはシミュレーション等により個別具体的に行えばよい。特に、上記式(1s)、(2s)、(3s)、(4s)及び(5s)を全て満たすレンズ表面201及びカバーガラス210を形成することは望ましいものの、実際に用いる装置仕様、原材料或いは部品の種類等によっては実現が困難であるかもしれない。しかるに、本実施形態によれば、前述した式(1)〜(5)は不等式であり、一定の範囲が規定されている。よって、これらのうち少なくとも式(1)及び(2)、好ましくは(3)及び(4)を同時に満足させるように更に式(5)を同時に満足させるように、上記各工程における各種条件設定を行うことは十分に可能である。このように本実施形態のマイクロレンズ基板20は、その製造の容易性の観点からも大変優れている。
【0134】
加えて、このように特に非球面のレンズ表面201を図17(a)〜(c)に示した工程の如くドライエッチングにより形成する方法の以外にも、例えば、透明の原板に、ウエットエッチングで各マイクロレンズの非球面のレンズ表面となる凹部を掘り、この内部を透明の原板よりも高屈折率の透明媒質で埋める工程を含む製造方法によっても、上述した本実施形態におけるマイクロレンズ基板20を製造することは可能である。或いは、2P法(フォトポリマー法)を用いて、透明基板に非球面のレンズ表面を形成する工程を含む製造方法によっても、上述した本実施形態におけるマイクロレンズ基板20を製造することは可能である。いずれの製造方法によっても、最終的に上記式(1)及び(2)、更に好ましくは上記式(3)〜(5)を満たすようにレンズ表面の形状等が形成される限りにおいて、同様のレンズ効率を得ることが可能となる。
【0135】
以上説明したように本実施形態の製造方法によれば、図1から図9を参照して説明した非球面のマイクロレンズ500がアレイ状に形成されたマイクロレンズ基板20を比較的効率良く製造できる。
【0136】
(電子機器の実施形態)
次に、以上詳細に説明した電気光学装置をライトバルブとして用いた電子機器の具体例として、複板式カラープロジェクタの実施形態について、その全体構成、特に光学的な構成について説明する。ここに図18は、複板式カラープロジェクタの図式的断面図である。
【0137】
図18において、本実施形態における複板式カラープロジェクタの一例たる、液晶プロジェクタ1100は、駆動回路がTFTアレイ基板上に搭載された電気光学装置を含む液晶モジュールを3個用意し、夫々RGB用のライトバルブ100R、100G及び100Bとして用いたプロジェクタとして構成されている。液晶プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投射光が発せられると、照明系レンズ1103によって平行光とされた後、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によって、RGBの3原色に対応する光成分R、G、Bに分けられ、各色に対応するライトバルブ100R、100G及び100Bに夫々導かれる。この際特にB光は、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。そして、ライトバルブ100R、100G及び100Bにより夫々変調された3原色に対応する光成分は、ダイクロイックプリズム1112により再度合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投射される。
【0138】
本実施形態では特に、照明系レンズ1103のF値は2.2以上に設定されている。このため、例えば光源光が斜め光成分を無視し得ない程に含んでいても、ほぼ平行光である入射光を各ライトバルブ100R、100G及び100Bに入射させられる。これにより、各ライトバルブ100R、100G及び100Bを構成するマイクロレンズ基板20(図1〜図9参照)により、入射光の殆どを各画素の開口領域内に有効光として集光できる。これにより投影透過率の低下を5%以内に抑えることが可能となる。尚、照明系レンズ1103のF値を2.5以上に設定すれば、このような効果をより一層顕在化させることができる。
【0139】
更に本実施形態では特に、投射レンズ1114のF値は2.0以下に設定されている。このため、マイクロレンズ基板20により集光された後に液晶層やTFTアレイ基板を介して出射される出射光の殆どを投射光として利用できる。これにより投影透過率の低下を5%以内に抑えることが可能となる。尚、投射レンズ1114のF値を1.7以下に設定すれば、このような効果をより一層顕在化させることができる。
【0140】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴なうマイクロレンズ基板及びその製造方法、電気光学装置及び電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマイクロレンズ基板に係る実施形態の概略斜視図である。
【図2】マイクロレンズ基板に係る実施形態のうち、4つのマイクロレンズに係る部分を拡大して示す部分拡大平面図である。
【図3】図2のD−D’大断面図である。
【図4】実施形態における一つのマイクロレンズについての、レンズ頂点における近似曲率半径、レンズ底縁における近似曲率半径等のパラメータを図式的に示した部分拡大断面図である。
【図5】実施形態における、投影透過率が極大値(最適値)をとる際における画素ピッチとレンズ高さ等との関係を示す特性図である。
【図6】実施形態における、投影透過率が極大値(最適値)をとる際における画素ピッチと近似曲率半径等との関係を示す特性図である。
【図7】実施形態における、投影透過率が極大値(最適値)をとる際における画素ピッチとレンズ曲率半径比との関係を示す特性図である。
【図8】実施形態における、投影透過率が極大値(最適値)をとる際における画素ピッチとレンズ基板の厚みとの関係を示す特性図である。
【図9】本実施形態に係るマイクロレンズによる集光特性を図式的に示したマイクロレンズ基板の部分拡大断面図である。
【図10】比較例に係るマイクロレンズによる集光特性を図式的に示したマイクロレンズ基板の部分拡大断面図である。
【図11】本発明の電気光学装置に係る実施形態おけるTFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図である。
【図12】図11のH−H’断面図である。
【図13】電気光学装置に係る実施形態における画像表示領域を構成するマトリクス状の複数の画素に設けられた各種素子、配線等の等価回路を示すブロック図である。
【図14】電気光学装置に係る実施形態におけるデータ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図である。
【図15】図14のA−A’断面図である。
【図16】電気光学装置に係る実施形態において、対向基板として用いられるマイクロレンズ基板の各マイクロレンズにより入射光が集光される様子を概略的に示す断面図である。
【図17】マイクロレンズ基板の製造方法を示す工程図である。
【図18】本発明の電子機器の実施形態である複板式カラープロジェクタの一例たるカラー液晶プロジェクタを示す図式的断面図である。
【符号の説明】
10…TFTアレイ基板
20…マイクロレンズ基板
50…液晶層
200…透明板部材
201…レンズ表面
201t…レンズ頂点
201b…レンズ底縁
205…接着層
210…カバーガラス
240…遮光膜
500…マイクロレンズ

Claims (19)

  1. 一方の表面に所定画素ピッチで配列された複数のマイクロレンズのレンズ表面が形成されており第1屈折率を有する透明基板と、
    前記一方の表面上に配置されており前記第1屈折率とは異なる第2屈折率を有する透明媒質と
    を備えており、
    前記所定画素ピッチをx[μm]とし、前記マイクロレンズの高さをy[μm]とし、前記マイクロレンズの頂点における近似曲率半径をRt[μm]とするとき、次式(1)及び(2)を満たすように前記レンズ表面は非球面に形成されていることを特徴とするマイクロレンズアレイ。
    (0.1914x+4.2024)−1.5<y<
    (0.1914x+4.2024)+1.5         …(1)
    (0.8428x−6.1276)−2<Rt<
    (0.8428x−6.1276)+2           …(2)
  2. 前記マイクロレンズの底縁における近似曲率半径をRb[μm]とするとき、次式(3)を更に満たすように前記レンズ表面は非球面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロレンズアレイ。
    (0.0059x+1.0858)−0.05<Rb/Rt<
    (0.0059x+1.0858)+0.05        …(3)
  3. 前記マイクロレンズの底縁における近似曲率半径をRb[μm]とするとき、次式(4)を更に満たすように前記レンズ表面は非球面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロレンズアレイ。
    1.15<Rb/Rt<1.25              …(4)
  4. 前記一方の表面上の少なくとも一方向について相隣接するレンズ表面は、それらの底縁で相接触するように前記レンズ表面は形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のマイクロレンズアレイ。
  5. 前記レンズ表面は、前記透明媒質に対して凸であり、
    前記第1屈折率は、前記第2屈折率よりも大きいことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のマイクロレンズアレイ。
  6. 前記レンズ表面は、前記透明媒質に対して凹であり、
    前記第1屈折率は、前記第2屈折率よりも小さいことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のマイクロレンズアレイ。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載のマイクロレンズアレイと、
    前記一方の表面に対向配置されたカバーガラスと
    を備えており、
    前記透明媒質は、前記カバーガラスを前記一方の表面に貼り付ける接着剤からなることを特徴とするマイクロレンズ基板。
  8. 前記透明基板の厚みをTs[μm]とすると、次式(5)を更に満たすことを特徴とする請求項7に記載のマイクロレンズ基板。
    (2.8613x−9.705)−8<Ts<
    (2.8613x−9.705)+8          …(5)
  9. 前記カバーガラスの厚みをTs[μm]とすると、次式(5)を更に満たすことを特徴とする請求項7に記載のマイクロレンズ基板。
    (2.8613x−9.705)−8<Ts<
    (2.8613x−9.705)+8          …(5)
  10. 前記カバーガラスには、前記マイクロレンズに対応する開口領域を規定する格子状の遮光膜が形成されていることを特徴とする請求項7から9のいずれか一項に記載のマイクロレンズ基板。
  11. 請求項7から10のいずれか一項に記載のマイクロレンズアレイ基板と、
    該マイクロレンズ基板に対向配置された他の基板と、
    該他の基板上に形成されており前記所定画素ピッチで配列された複数の画素電極と、
    前記他の基板上に形成されており前記画素電極に画像信号を供給するための配線及び電子素子と
    を備えたことを特徴とする電気光学装置。
  12. 前記マイクロレンズ基板を介して前記他の基板に入射される入射光が、前記他の基板における前記マイクロレンズ基板に対向する側の表面よりも前記マイクロレンズ基板から遠い位置に集光されることを特徴とする請求項11に記載の電気光学装置。
  13. 請求項7から10のいずれか一項に記載のマイクロレンズ基板と、
    該マイクロレンズ基板上に形成されており前記所定画素ピッチで配列された複数の画素電極と、
    前記マイクロレンズ基板上に形成されており前記画素電極に画像信号を供給するための配線及び電子素子と
    を備えたことを特徴とする電気光学装置。
  14. 請求項1から6のいずれか一項に記載のマイクロレンズアレイを製造する製造方法であって、
    透明な原板上にフォトレジストを、予め前記式(1)及び(2)を満たすように設定された所定膜厚だけ形成する工程と、
    前記フォトレジストを前記マイクロレンズに夫々対応する島状だけ残すようにパターニングする工程と、
    前記パターニングされた島状のフォトレジストを夫々、熱処理により前記レンズ表面に対応する非球面を有するように形状変更する工程と、
    前記形状変更されたフォトレジストを介して前記原板を前記マイクロレンズを有するようにドライエッチングすることにより前記透明基板を形成する工程と
    を備えたことを特徴とするマイクロレンズアレイの製造方法。
  15. 請求項8に記載のマイクロレンズ基板を製造する製造方法であって、
    透明な原板上にフォトレジストを、予め前記式(1)及び(2)を満たすように設定された所定膜厚だけ形成する工程と、
    前記フォトレジストを前記マイクロレンズに夫々対応する島状だけ残すようにパターニングする工程と、
    前記パターニングされた島状のフォトレジストを夫々、熱処理により前記レンズ表面に対応する非球面を有するように形状変更する工程と、
    前記形状変更されたフォトレジストを介して前記原板を前記マイクロレンズを有するようにドライエッチングする工程と、
    前記接着剤からなる前記透明媒質によって前記カバーガラスを、前記原板における前記マイクロレンズを有する前記一方の表面に貼り付ける工程と、
    前記原板における他方の表面を研磨して、前記式(5)を満たす板厚にすることで前記透明基板を形成する工程と
    を備えたことを特徴とするマイクロレンズ基板の製造方法。
  16. 請求項9に記載のマイクロレンズ基板を製造する製造方法であって、
    透明な原板上にフォトレジストを、予め前記式(1)及び(2)を満たすように設定された所定膜厚だけ形成する工程と、
    前記フォトレジストを前記マイクロレンズに夫々対応する島状だけ残すようにパターニングする工程と、
    前記パターニングされた島状のフォトレジストを夫々、熱処理により前記レンズ表面に対応する非球面を有するように形状変更する工程と、
    前記形状変更されたフォトレジストを介して前記原板を前記マイクロレンズを有するようにドライエッチングすることで前記透明基板を形成する工程と、
    前記接着剤からなる前記透明媒質によって、ガラス板を前記一方の表面に貼り付ける工程と、
    前記ガラス板を研磨して、前記式(5)を満たす板厚にすることで前記カバーガラスを形成する工程と
    を備えたことを特徴とするマイクロレンズ基板の製造方法。
  17. 請求項11から13のいずれか一項に記載の電気光学装置を具備してなることを特徴とする電子機器。
  18. 光源光を発生する光源と、
    該発生された光源光をライトバルブとしての前記電気光学装置に導く照明系レンズと、
    前記電気光学装置から出射された光源光を投射する投射系レンズと
    を備えており、
    前記照明系レンズのF値は2.2以上であり且つ前記投射系レンズのF値は2.0以下であることを特徴とする請求項17に記載の電子機器。
  19. 前記照明系レンズのF値は2.5以上であり且つ前記投射系レンズのF値は1.7以下であることを特徴とする請求項18に記載の電子機器。
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