JP3937773B2 - 電気光学装置及びその製造方法並びに電子機器 - Google Patents

電気光学装置及びその製造方法並びに電子機器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対の第1及び第2基板間に電気光学物質が挟持されてなり、画像表示領域内における各画素の開口領域を規定する格子状或いは帯状の遮光膜がこれらの基板に夫々設けられてなる液晶装置等の電気光学装置及びその製造方法、並びにそのような電気光学装置を具備してなる投射型表示装置等の電子機器の技術分野に属する。
【0002】
【背景技術】
一般にこの種の電気光学装置では、画素電極等の表示用電極、これをスイッチング制御する薄膜トランジスタ(以下適宜、TFT(Thin Film Transistor)と称す)や薄膜ダイオード(以下適宜、TFD(Thin Film Diode)と称す)等のスイッチング素子、これに接続され画像信号や走査信号を供給するデータ線、走査線等の配線などが設けられた素子アレイ基板を備える。更に、この素子アレイ基板の表示用電極等が配置された側に対向配置されており、カラーフィルタや対向電極等が設けられた対向基板を備える。これらの素子アレイ基板及び対向基板は、画像表示領域の周囲に位置するシール領域において、シール材により貼り合わせられ、両基板間に液晶等の電気光学物質が挟持される。
【0003】
対向基板には一般に、ブラックマトリクス、ブラックマスク等と称される遮光膜が、画像表示領域内において、表示に寄与する光が実際に透過又は反射により液晶等を介して出射する領域である各画素の開口領域の輪郭を規定する(即ち、開口領域を除く領域である各画素の非開口領域の輪郭を規定する)ように構成されている。
【0004】
他方、素子アレイ基板側にも、配線を形成する遮光性の導電膜と同一膜から、或いは配線自体が遮光膜を兼ねる形式で、各画素の開口領域を規定する内蔵遮光膜が作り込まれている。
【0005】
即ち、この種の電気光学装置では、対向基板側に形成される遮光膜と、素子アレイ基板側に形成される遮光膜との両者により、二重に各画素の開口領域の輪郭を規定するように構成されている。このような構成により、画素の間隙における光抜けを確実に防止してコントラスト比を高めることができ、更にカラーフィルタの各隣接色の混色を防止できるなど、表示画像の品位を高められる。
【0006】
そして特に、対向基板側に形成される遮光膜も、素子アレイ基板側に形成される遮光膜も、先ずそのパターンに対応するマスクを電子ビーム描画で形成し、このマスクを用いたフォトリソグラフィ及びエッチングにより、所定パターンを持つように形成されるのが一般的である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本願発明者の研究によれば、このように電子ビーム描画でマスクを形成すると、マスクには、描画走査の境目において周期的な描画むらが発生する。そして、このように描画むらを伴うマスクを用いてのフォトリソグラフィ及びエッチングにより夫々パターングした、対向基板側の遮光膜と素子アレイ基板側の遮光膜とを重ねて各画素の開口領域の輪郭を規定すると、当該描画むらとシール材等による両基板の貼り合せるにおける組ずれとに起因して、周期的な表示むらが表示画像全体に発生してしまうという問題点がある。
【0008】
尚、このような周期的な表示むらは、前述のマスクの形成時に電子ビーム描画を同一個所に対して冗長的に何度も繰り返して行なうことによって、マスク上における描画むらを低減することで改善可能であることが判明している。しかしながら、これでは製造工程の複雑或いは製造コストの上昇を招くという問題点がある。
【0009】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、比較的簡単な且つ製造が容易な構成によって、各画素の開口領域を規定する遮光膜の存在に起因して生じる表示画像における周期的な表示むらを低減可能な電気光学装置及びその製造方法、並びにそのような電気光学装置を具備してなる電子機器を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の電気光学装置は上記課題を解決するために、一対の第1及び第2基板間に電気光学物質が挟持されてなり、前記第1及び第2基板を相互に貼り合せるシール材と、前記画像表示領域内における前記第1及び第2基板のうち少なくとも一方に設けられた表示用電極と、前記画像表示領域内における前記第1基板上に設けられており第1方向に延びる帯状部分及び該第1方向に交わる第2方向に延びる帯状部分を含むと共に電子ビーム描画で形成されたマスクを用いたフォトリソグラフィによって形成されている格子状の第1遮光膜と、前記画像表示領域内における前記第2基板上に設けられており前記第1方向に延びる帯状部分及び前記第2方向に延びる帯状部分を含むと共に電子ビーム描画で形成されたマスクを用いたフォトリソグラフィによって形成されている格子状の第2遮光膜とを備えており、前記画像表示領域内では、前記第1及び第2遮光膜のうち少なくとも一方により各画素の開口領域の輪郭が規定されており、前記第1方向に垂直な断面内において、前記第1遮光膜の前記第1方向に延びる帯状部分と前記第2遮光膜の前記第1方向に延びる帯状部分とは、前記第2方向に所定距離だけ相対的にずらされている。
【0011】
本発明の第1の電気光学装置によれば、例えば画素電極等からなる表示用電極に、第1又は第2基板に設けられた配線や回路素子を介して画像信号を供給することにより、アクティブマトリクス駆動やパッシブマトリクス駆動等を行なえる。この際、第1及び第2遮光膜のうち少なくとも一方により各画素の開口領域の輪郭が規定されている。従って、電気光学物質を介して対向配置された格子状の遮光膜と格子状の遮光膜との組み合わせにより、各画素の間隙における光抜けを防止することにより、コントラスト比を向上でき、更にカラーフィルタを用いたカラー表示時における隣接画素間における混色を防止することも可能となる。ここで特に、例えば素子アレイ基板からなる第1基板上に設けられた格子状の第1遮光膜と、例えば対向基板からなる第2基板上に設けられた格子状の第2遮光膜との相対的な位置関係は、シール材による両基板の組ずれにより若干変動する。ここで仮に、第1遮光膜と第2遮光膜とを背景技術の如くオンラインに形成すると、即ち第1方向に垂直な断面内において第1遮光膜の第1方向に延びる帯状部分と第2遮光膜の前記第1方向に延びる帯状部分とを第2方向に相対的にずらされていないように形成すると、これらの遮光膜は電子ビーム描画で形成されたマスクを用いたフォトリソグラフィによって形成されているので、前述した背景技術の如く表示画像全域に周期的な表示むらが生じてしまう。
【0012】
しかるに本発明では、第1方向に垂直な断面内において第1遮光膜の第1方向に延びる帯状部分と第2遮光膜の第1方向に延びる帯状部分とは、第2方向に所定距離だけ相対的にずらされている。従って、これらの遮光膜が電子ビーム描画で形成されたマスクを用いたフォトリソグラフィによって形成されているにも拘わらず、当該電子ビーム描画による描画むらと両基板の貼り合わせの組ずれとに起因した、表示画像全域における周期的な表示むらの発生を抑制或いは阻止できるのである。しかも、第1及び第2遮光膜のうちの一方により、各画素の開口領域の輪郭を規定することにより、シール材による両基板の貼り合わせにおける組ずれによって各画素の開口領域が狭まる事態を、効果的に防止できるので、明るい画像表示を行なう上でも有利である。
【0013】
本発明の第1の電気光学装置の一態様では、前記第2方向に垂直な断面内において、前記第1遮光膜の前記第2方向に延びる帯状部分と前記第2遮光膜の前記第2方向に延びる帯状部分とは、前記第1方向に所定距離だけ相対的にずらされている。
【0014】
この態様によれば、第1及び第2方向の両方について、第1及び第2遮光膜は、相対的にずらされて形成されているので、その製造プロセスにおける遮光膜の形成時に用いられるマスクを形成する際の電子ビーム描画の走査方向に寄らずに、当該電子ビーム描画による描画むらと両基板の貼り合わせの組ずれとに起因した、表示画像全域における周期的な表示むらの発生を抑制或いは阻止できる。
【0015】
本発明の第1の電気光学装置の他の態様では、前記第2方向に垂直な断面内において、前記第1遮光膜の前記第2方向に延びる帯状部分と前記第2遮光膜の前記第2方向に延びる帯状部分とは、前記第1方向に相対的にずらされていない。
【0016】
この態様によれば、第2方向にのみ第1及び第2遮光膜は、相対的にずらされて形成されているので、例えばその製造プロセスにおける遮光膜の形成時に用いられるマスクを形成する際の電子ビーム描画の走査方向を第2方向に対応するように設定すれば、当該電子ビーム描画による描画むらと両基板の貼り合わせの組ずれとに起因した、表示画像全域における周期的な表示むらの発生を抑制或いは阻止できる。
【0017】
本発明の第2の電気光学装置は上記課題を解決するために、一対の第1及び第2基板間に電気光学物質が挟持されてなり、前記第1及び第2基板を相互に貼り合せるシール材と、前記画像表示領域内における前記第1及び第2基板のうち少なくとも一方に設けられた表示用電極と、前記画像表示領域内における前記第1基板上に設けられており第1方向に延びる帯状部分及び該第1方向に交わる第2方向に延びる帯状部分を含むと共に電子ビーム描画で形成されたマスクを用いたフォトリソグラフィによって形成されている格子状の第1遮光膜と、前記画像表示領域内における前記第2基板上に設けられており前記第1方向及び前記第2方向のうち一方に延びると共に電子ビーム描画で形成されたマスクを用いたフォトリソグラフィによって形成されている帯状の第2遮光膜とを備えており、前記画像表示領域内では、前記第1及び第2遮光膜のうち少なくとも一方により各画素の開口領域の輪郭が規定されており、前記第1方向及び前記第2方向のうち一方に垂直な断面内において、前記第1遮光膜の前記第1方向及び前記第2方向のうち一方に延びる帯状部分と前記第2遮光膜とは、前記第1方向及び前記第2方向のうち他方に所定距離だけ相対的にずらされている。
【0018】
本発明の第2の電気光学装置によれば、例えば素子アレイ基板からなる第1基板に格子状の第1遮光膜が形成され、対向基板からなる第2基板に帯状の第2遮光膜が形成される。或いは、例えば対向基板からなる第1基板に格子状の第1遮光膜が形成され、素子アレイ基板からなる第2基板に帯状の第2遮光膜が形成される。従って、電気光学物質を介して対向配置された格子状の遮光膜と帯状の遮光膜との組み合わせにより、各画素の間隙における光抜けを防止することにより、コントラスト比を向上でき、更にカラーフィルタを用いたカラー表示時における隣接画素間における混色を防止することも可能となる。ここで特に、第1基板上に設けられた格子状の第1遮光膜と、第2基板上に設けられた帯状の第2遮光膜との相対的な位置関係は、シール材による両基板の組ずれにより若干変動する。しかるに本発明では、帯状の第2遮光膜が延びる方向に垂直な断面内において、この方向に交わる方向に所定距離だけ、帯状の第2遮光膜に沿って延びる第1遮光膜の帯状部分と帯状の第2遮光膜とは相対的にずらされている。従って、これらの遮光膜が電子ビーム描画で形成されたマスクを用いたフォトリソグラフィによって形成されているにも拘わらず、例えばその電子ビーム描画の走査方向を帯状の第2遮光膜が延びる方向に交わる方向に対応するように設定すれば、当該電子ビーム描画による描画むらと両基板の貼り合わせの組ずれとに起因した、表示画像全域における周期的な表示むらの発生を抑制或いは阻止できるのである。しかも、第1及び第2遮光膜のうちの一方により、各画素の開口領域の輪郭を規定することにより、シール材による両基板の貼り合わせにおける組ずれによって各画素の開口領域が狭まる事態を、効果的に防止できるので、明るい画像表示を行なう上でも有利である。
【0019】
本発明の第3の電気光学装置は上記課題を解決するために、一対の第1及び第2基板間に電気光学物質が挟持されてなり、前記第1及び第2基板を相互に貼り合せるシール材と、前記画像表示領域内における前記第1及び第2基板のうち少なくとも一方に設けられた表示用電極と、前記画像表示領域内における前記第1基板上に設けられており第1方向に延びると共に電子ビーム描画で形成されたマスクを用いたフォトリソグラフィによって形成されている帯状の第1遮光膜と、前記画像表示領域内における前記第2基板上に設けられており前記第1方向に延びると共に電子ビーム描画で形成されたマスクを用いたフォトリソグラフィによって形成されている帯状の第2遮光膜とを備えており、前記画像表示領域内では、前記第1及び第2遮光膜のうち少なくとも一方により各画素の開口領域の輪郭が部分的に規定されており、前記第1方向に垂直な断面内において、前記第1遮光膜と前記第2遮光膜とは、前記第1方向に交わる第2方向に所定距離だけ相対的にずらされている。
【0020】
本発明の第3の電気光学装置によれば、例えば素子アレイ基板からなる第1基板に帯状の第1遮光膜が形成され、対向基板からなる第2基板に帯状の第2遮光膜が形成される。従って、電気光学物質を介して対向配置された帯状の遮光膜と帯状の遮光膜との組み合わせにより、各画素の間隙における光抜けを防止することにより、コントラスト比を向上でき、更にカラーフィルタを用いたカラー表示時における隣接画素間における混色を防止することも可能となる。ここで特に、第1基板上に設けられた帯状の第1遮光膜と、第2基板上に設けられた帯状の第2遮光膜との相対的な位置関係は、シール材による両基板の組ずれにより若干変動する。しかるに本発明では、第1及び第2遮光膜が延びる第1方向に垂直な断面内において、この方向に交わる第2方向に所定距離だけ、第1遮光膜と第2遮光膜とは相対的にずらされている。従って、これらの遮光膜が電子ビーム描画で形成されたマスクを用いたフォトリソグラフィによって形成されているにも拘わらず、例えばその電子ビーム描画の走査方向を帯状の第1及び第2遮光膜が延びる第1方向に交わる第2方向に対応するように設定すれば、当該電子ビーム描画による描画むらと両基板の貼り合わせの組ずれとに起因した、表示画像全域における周期的な表示むらの発生を抑制或いは阻止できるのである。しかも、第1及び第2遮光膜のうちの一方により、各画素の開口領域の輪郭を規定することにより、シール材による両基板の貼り合わせにおける組ずれによって各画素の開口領域が狭まる事態を、効果的に防止できるので、明るい画像表示を行なう上でも有利である。
【0021】
本発明の第1、第2又は第3の電気光学装置の他の態様によれば、前記所定距離は、前記シール材による貼り合せにおける組ずれの最大値に等しい。
【0022】
この態様によれば、シール材による貼り合せにおける組ずれの最大値に等しい所定距離だけ、第1遮光膜と第2遮光膜とは相対的にずらされている。従って、貼り合わせにおける組ずれが最大限に発生した場合であっても、これらの遮光膜が電子ビーム描画で形成されたマスクを用いたフォトリソグラフィによって形成されているにも拘わらず、当該電子ビーム描画による描画むらと両基板の貼り合わせの組ずれとに起因した、表示画像全域における周期的な表示むらの発生を抑制或いは阻止できるのである。
【0023】
本発明の第1、第2又は第3の電気光学装置の他の態様によれば、前記第1方向に垂直な断面内において、前記第1遮光膜は、前記第2遮光膜よりも幅広に形成されている。
【0024】
この態様によれば、第2方向についての各画素の開口領域の輪郭は、幅広に形成された第1遮光膜により規定されている。従って、両基板の貼り合わせにおける組ずれが第2方向に生じても、この方向については開口領域の幅が殆ど又は全く狭まらないで済む。この結果、当該組ずれによって各画素の開口率(即ち、開口領域及び非開口領域を含めた各画素の全領域に対する開口領域の比率)が低下するのを効果的に防止できる。
【0025】
或いは本発明の第1、第2又は第3の電気光学装置の他の態様によれば、前記第1方向に垂直な断面内において、前記第2遮光膜は、前記第1遮光膜よりも幅広に形成されている。
【0026】
この態様によれば、第2方向についての各画素の開口領域の輪郭は、幅広に形成された第2遮光膜により規定されている。従って、両基板の貼り合わせにおける組ずれが第2方向に生じても、この方向については開口領域の幅が殆ど又は全く狭まらないで済む。この結果、当該組ずれによって各画素の開口率が低下するのを効果的に防止できる。
【0027】
本発明の第1、第2又は第3の電気光学装置の他の態様によれば、前記表示用電極は、各画素に設けられた画素電極からなり、当該電気光学装置は、前記画素電極に接続されたスイッチング素子と、該スイッチング素子に接続された配線とを更に備える。
【0028】
この態様によれば、例えば、走査線、データ線等の配線及びTFT、TFD等のスイッチング素子を介して、画像信号を各画素電極に供給することにより、TFTアクティブマトリクス駆動の如き、アクティブマトリクス駆動が可能となる。
【0029】
このスイッチング素子を備えた態様では、前記スイッチング素子及び前記配線は、各画素の非開口領域内に配置されているように構成してもよい。
【0030】
このように構成すれば、第1遮光膜や第2遮光膜で覆われた非開口領域内にスイッチング素子及び配線を配置することにより、これらの存在による各画素の開口率の低下を効果的に防止できる。
【0031】
このスイッチング素子を備えた態様では、前記スイッチング素子は薄膜トランジスタからなり、前記第1及び第2遮光膜のうち少なくとも一方は、前記薄膜トランジスタの少なくともチャネル領域を覆うように構成してもよい。
【0032】
このように構成すれば、例えばプロジェクタ用途における強力な投射光などの入射光が、チャネル領域に入射することで光リーク電流が発生して、薄膜トランジスタの特性が変化する事態を効果的に防止できる。更に、基板の裏面反射或いは当該電気光学装置内部における内面反射光、複数の電気光学装置をライトバルブとして複数組み合わせてなる複板式のプロジェクタにおける他の電気光学装置から出射されて合成光学系を突き抜けてくる光などの戻り光が、チャネル領域に入射することも効果的に防止できる。
【0033】
尚、このような第1遮光膜や第2遮光膜は、各基板上において薄膜トランジスタを上側から覆うように形成してもよいし、下側(即ち、基板側)から覆うように形成してもよい。
【0034】
加えて、このようにチャネル領域を覆う或いはチャネル領域に近接して配置される遮光膜は、その電位変動が薄膜トランジスタに悪影響を及ぼさないように、固定電位に落としてもよいし、フローティング電位としてもよい。
【0035】
本発明の第1、第2又は第3の電気光学装置の他の態様によれば、前記第1及び第2遮光膜のうち少なくとも一方は、少なくとも部分的に遮光性の導電膜からなり、配線又は回路素子の一部を兼ねる。
【0036】
この態様によれば、第1遮光膜や第2遮光膜は、遮光膜として機能するのみならず、配線や回路素子の一部としても機能するので、基板上における装置構成及び製造プロセスを簡略化する上で有利である。
【0037】
尚、このような第1及び第2遮光膜は、例えば高融点金属を含む導電性の遮光膜からなる。
【0038】
本発明の電気光学装置の製造方法は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を製造する製造方法であって、前記第1遮光膜を、電子ビーム描画で形成されたマスクを用いたフォトリソグラフィによって形成する第1遮光膜形成工程と、前記第2遮光膜を、電子ビーム描画で形成されたマスクを用いたフォトリソグラフィによって形成する第2遮光膜形成工程と、前記第1基板と前記第2基板とを、前記シール材により相互に貼り合わせる貼り合わせ工程とを含み、前記電子ビーム描画は夫々、前記第1又は第2方向に対応する方向に走査することで行なわれる。
【0039】
本発明の電気光学装置の製造方法によれば、第1遮光膜は、電子ビーム描画で形成されたマスクを用いたフォトリソグラフィによって形成する。他方、第2遮光膜は、電子ビーム描画で形成されたマスクを用いたフォトリソグラフィによって形成する。その後、両基板を貼り合わせると、第1基板上に設けられた第1遮光膜と、第2基板上に設けられた第2遮光膜との相対的な位置関係は、シール材による両基板の組ずれにより若干変動する。しかるに本発明では、上述の電子ビーム描画は夫々、第1又は第2方向に対応する方向に走査することで行なわれる。従って、例えばその電子ビーム描画の走査方向を第1及び第2遮光膜の両方が延びる第1又は第2方向に交わる方向に対応するように設定すれば、当該電子ビーム描画による描画むらと両基板の貼り合わせの組ずれとに起因した、表示画像全域における周期的な表示むらの発生を抑制或いは阻止できるのである。しかも、第1及び第2遮光膜のうちの一方により、各画素の開口領域の輪郭を規定することにより、シール材による両基板の貼り合わせにおける組ずれによって各画素の開口領域が狭まる事態を、効果的に防止できる。
【0040】
本発明の電気光学装置の製造方法の一態様では、前記第1遮光膜形成工程及び前記第2遮光膜形成工程は、前記電子ビーム描画における走査方向に対応する方向に一致する前記第1又は第2方向に垂直な断面内において前記第1遮光膜と前記第2遮光膜とが前記所定距離だけ相対的にずれるように、前記第1遮光膜及び前記第2遮光膜を形成する。
【0041】
この態様によれば、第1及び第2遮光膜形成工程で、第1及び第2遮光膜を夫々形成することにより、上述の如き第1遮光膜と前記第2遮光膜とが所定距離だけ相対的にずれた構成を有する本発明の第1、第2又は第3の電気光学装置を比較的容易に製造できる。
【0042】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を具備してなる。
【0043】
本発明の電子機器は、上述した本発明の電気光学装置を具備してなるので、表示画像全域における周期的な表示むらの発生が低減されており、高品位の画像表示が可能な、投射型表示装置、液晶テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。
【0044】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態は、本発明の電気光学装置を液晶装置に適用したものである。
【0046】
(電気光学装置)
先ず、本発明の実施形態における電気光学装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。ここでは、電気光学装置の一例である駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。
【0047】
図1は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図であり、図2は、図1のH−H’断面図である。
【0048】
図1及び図2において、本実施形態に係る電気光学装置では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
【0049】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。また、シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。即ち、本実施形態の電気光学装置は、プロジェクタのライトバルブ用として小型で拡大表示を行うのに適している。但し、当該電気光学装置が液晶ディスプレイや液晶テレビのように大型で等倍表示を行う液晶装置であれば、このようなギャップ材は、液晶層50中に含まれてもよい。
【0050】
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
【0051】
画像表示領域の周辺に広がる領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する周辺領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられており、走査線駆動回路104が、この一辺に隣接する2辺に沿って設けられている。更にTFTアレイ基板10の残る一辺には、画像表示領域10aの両側に設けられた走査線駆動回路104間をつなぐための複数の配線105が設けられている。また図1に示すように、対向基板20の4つのコーナー部には、両基板間の上下導通端子として機能する上下導通材106が配置されている。他方、TFTアレイ基板10にはこれらのコーナーに対向する領域において上下導通端子が設けられている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0052】
図2において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が形成された後の画素電極9a上に、配向膜が形成されている。他方、対向基板20上には、対向電極21の他、最上層部分に配向膜が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
【0053】
尚、図1及び図2に示したTFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等に加えて、画像信号をサンプリングしてデータ線に供給するサンプリング回路301、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
【0054】
次に、以上のような全体構成を有する電気光学装置において、TFTアレイ基板10上及び対向基板20上に夫々設けられ、画像表示領域10a内で各画素の開口領域を規定する遮光膜の構成及び作用について図3から図9を参照して説明する。ここに、図3は、TFTアレイ基板10上に形成される遮光膜を抽出してその平面レイアウトを拡大して示す拡大平面図(左半面)を、該遮光膜をパターニングするのに用いられる電子ビーム描画により形成されるマスクの平面図(右半面)と共に示す概念図であり、図4は、対向基板20上に形成される遮光膜を抽出してその平面レイアウトを拡大して示す拡大平面図(左半面)を、該遮光膜をパターニングするのに用いられる電子ビーム描画により形成されるマスクの平面図(右半面)と共に示す概念図である。図5及び図6は、両基板が貼り合わされた状態における、図3及び図4の拡大平面図におけるE−E’断面の具体例を夫々示す断面図である。図7は、比較例におけるE−E’断面に対応する個所における断面図である。更に、図8は、両基板が貼り合わされた状態における、図3及び図4の拡大平面図におけるF−F’断面の各種具体例を示す断面図であり、図9は、変形形態における、対向基板20上に形成される遮光膜を抽出してその平面レイアウトを拡大して示す拡大平面図(左半面)を、該遮光膜をパターニングするのに用いられる電子ビーム描画により形成されるマスクの平面図(右半面)と共に示す概念図である。
【0055】
図3に示すように本実施形態では、TFTアレイ基板10上には、X方向に延びる帯状部分及びY方向に延びる帯状部分を含むと共に、電子ビーム装置で、ガラス基板上、ウエーハ上などに描画されることにより形成されたマスク501を用いたフォトリソグラフィによって形成されている格子状の第1遮光膜601が設けられている。特に、図3の右半面に示した矢印D1で示す、マスク501に対する電子ビーム描画の走査方向は、図3の左半面に矢印D1’に示したように第1遮光膜601のX方向に一致するように、マスク501を用いたフォトリソグラフィが行なわることにより、このような第1遮光膜601は、形成されている。
【0056】
図4に示すように本実施形態では、対向基板20上には、X方向に延びる帯状部分及びY方向に延びる帯状部分を含むと共に、電子ビーム装置でガラス基板上、ウエーハ上などに描画されることにより形成されたマスク502を用いたフォトリソグラフィによって形成されている格子状の第2遮光膜602が設けられている。特に、図4の右半面に示した矢印D2で示す、マスク502に対する電子ビーム描画の走査方向は、図4の左半面に矢印D2’に示したように第2遮光膜602のX方向に一致するように、マスク502を用いたフォトリソグラフィが行なわることにより、このような第2遮光膜602は、形成されている。
【0057】
そして、これらの第1遮光膜601及び第2遮光膜602が重ねられることにより、画像表示領域10a内には、マトリクス状に配列されると共に各々がほぼ正方形である、各画素の開口領域の輪郭が規定される。
【0058】
従って本実施形態によれば、液晶層50(図1参照)を介して対向配置された格子状の第1遮光膜601と格子状の第2遮光膜602との組み合わせにより、各画素の間隙における光抜けを防止することにより、コントラスト比を向上でき、更にカラーフィルタを用いたカラー表示時における隣接画素間における混色を防止できる。
【0059】
本実施形態では特に、電子ビーム描画の走査方向に対応するX方向に垂直な断面内において、第1遮光膜601のX方向に延びる帯状部分と第2遮光膜602のX方向に延びる帯状部分とは、Y方向に所定距離だけ相対的にずらされている。
【0060】
より具体的には、このような配置の一具体例として、図5に示すように、第1遮光膜601のうちX方向に延びる帯状部分におけるY方向の幅W1は、第2遮光膜602のうちX方向に延びる帯状部分におけるY方向の幅W2よりも大きく(W1>W2)なるように、これら第1遮光膜601及び第2遮光膜602は、形成されており、両者の縁の平面位置は、一致しておらずに、{(W1−W2)/2}だけ、ずらされて配置されている。
【0061】
或いは、このような配置の他の具体例として、図6に示すように、第1遮光膜601のうちX方向に延びる帯状部分におけるY方向の幅W1は、第2遮光膜602のうちX方向に延びる帯状部分におけるY方向の幅W2よりも小さく(W1<W2)なるように、これら第1遮光膜601及び第2遮光膜602は、形成されており、両者の縁の平面位置は、一致しておらずに、{(W2−W1)/2}だけ、ずらされて配置されている。
【0062】
即ち図5及び図6に示すように、本実施形態では、第1遮光膜601と第2遮光膜602とは、オフライン配置とされている。
【0063】
これ対して、図7に示した比較例では、第1遮光膜601のうちX方向に延びる帯状部分におけるY方向の幅W1は、第2遮光膜602のうちX方向に延びる帯状部分におけるY方向の幅W2と等しく(W1=W2)なるように、これら第1遮光膜601及び第2遮光膜602は、形成されており、両者の縁の平面位置は、一致して配置されている。即ち比較例では、第1遮光膜601と第2遮光膜602とは、オンライン配置とされている。
【0064】
しかるに本実施形態の如き、一対の基板をシール材52(図1参照)により貼り合わせてなる電気光学装置においては、第1遮光膜601と第2遮光膜602との相対的な位置関係は、シール材52による貼り合せの組ずれにより若干変動する。
【0065】
ここで図7に示した比較例の如く、第1遮光膜601と第2遮光膜602とをオンライン配置に形成すると、これらの遮光膜は電子ビーム描画で形成されたマスクを用いたフォトリソグラフィによって形成されているので、マスク501及び502における描画むらの影響により、表示画像全域に周期的な表示むらが生じてしまう。より具体的には、図3及び図4に示したように、矢印D1或いはD2で示した電子ビーム描画における走査方向を、X方向に対応させた場合には、描画むらと両基板の貼り合わせにおける組ずれとにより、X方向にのびる縞模様状の表示むらが、画像表示領域10a(図1参照)の全域に発生してしまうのである。
【0066】
これに対して図5及び図6に示した如き本実施形態によれば、図3及び図4におけるX方向に垂直な断面内において第1遮光膜601と第2遮光膜602とはオフライン配置に形成されているので、描画むらを大なり小なり伴うマスク501及び502を用いてパターニングしているにも拘わらず、描画むらと両基板の貼り合わせの組ずれとに起因した、画像表示領域10(図1参照)の全域における周期的な表示むらの発生は、低減されているのである。
【0067】
しかも、図5及び図6に示しように、第1遮光膜601及び第2遮光膜602のいずれか一方により、各画素の開口領域の輪郭を規定することにより、両基板の貼り合わせにおける組ずれによって各画素の開口領域が狭まる事態を、両遮光膜の幅の差によって吸収することにより、効果的に防止できる。
【0068】
尚、本実施形態では、図3及び図4において、Y方向に垂直な断面内において、第1遮光膜601のY方向に延びる帯状部分と第2遮光膜602のY方向に延びる帯状部分とは、図8の(a)及び図8(b)に示すように、オフライン配置に形成されてもよいし、或いは、図8の(c)に示すように、オンライン配置に形成されてもよい。即ち、電子ビーム描画の走査方向に対応する方向が、X方向であるため、Y方向に垂直な断面内における第1遮光膜601のY方向に延びる帯状部分と第2遮光膜602のY方向に延びる帯状部分とは、図8(c)に示すように、オンライン配置とされても、マスク501及び502における描画むらが、表示画像における表示むらを引き起こすことは殆どないのである。
【0069】
逆に、図8の(a)及び図8(b)に示すように、Y方向に垂直な断面内における第1遮光膜601のY方向に延びる帯状部分と第2遮光膜602のY方向に延びる帯状部分とをオフライン配置にしておけば、仮に図3及び図4に示した電子ビーム描画における走査方向がY方向に対応している場合にも、描画むらと両基板の貼り合わせにおける組ずれとの影響による表示むらの発生を効果的に低減できる。
【0070】
本実施形態では好ましくは、図5及び図6に示した構成において、第1遮光膜601と第2遮光膜602とのずれ量(=(W1−W2)/2又は(W2−W1)/2)が、シール材52による貼り合せにおける組ずれの最大値に等しくなるように、これらの第1遮光膜601と第2遮光膜602とは形成される。このように構成すれば、シール材53による貼り合わせにおける組ずれが最大限に発生した場合であっても、電子ビーム描画による描画むらと両基板の貼り合わせの組ずれとに起因した、表示画像全域における周期的な表示むらの発生を抑制できると同時に、当該組ずれによって各画素の開口領域が狭められる事態を有効に回避できる。
【0071】
更に本実施形態では好ましくは、TFTアレイ基板10上に形成されるTFT30や、後に詳述するデータ線、走査線、容量線等の配線は、図3及び図4に示した如き格子状である各画素の非開口領域内に配置される。即ち、このように構成すれば、これらの回路素子や配線等の存在によって各画素の開口率が低下することを回避できる。
【0072】
更にまた本実施形態では好ましくは、図3及び図4の如き平面レイアウトを有する第1遮光膜601及び第2遮光膜602のうち少なくとも一方を、例えば高融点金属膜等の遮光性の導電膜から形成することにより、配線又は回路素子の一部を兼ねるように構成してもよい。この場合、遮光膜により形成する配線或いは回路素子の一部における形状によっては、当該遮光膜を部分的に、各種の形状に分断形成することも可能である。
【0073】
以上の結果、本実施形態によれば、第1遮光膜601や第2遮光膜602を形成するのに用いるマスク501や502に、電子ビーム描画による描画むらが存在していても、これに基づく表示画像における周期的な表示むらを低減できるので大変有利である。特に、電子ビーム描画における描画むらを低減するために、前述の如く同一個所を冗長的に何度も走査して描画する必要も無い。
【0074】
尚、上述の実施形態では、図3及び図4に示したように、第1遮光膜601及び第2遮光膜602を共に格子状の遮光膜としたが、図9に変形形態として示すように、第2遮光膜602については、X方向に延びる帯状部分からのみなるように形成してもよい。或いは、第1遮光膜601については、X方向に延びる帯状部分からのみなるように形成してもよい。更に、第1遮光膜601及び第2遮光膜602を共に、帯状の遮光膜とすることも可能である。いずれにせよ、電子ビーム描画の走査方向に対応する方向に垂直な断面内で、第1遮光膜601及び第2遮光膜602が図5及び図6に示したようなオフライン配置とされていれば、上述した実施形態の場合と同様或いは類似の効果が期待できる。
【0075】
次に以上の如く構成された電気光学装置における回路構成及び動作について図10を参照して説明する。図10は、電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路を示す回路図である。
【0076】
図1において、本実施形態における電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素には夫々、画素電極9aと当該画素電極9aをスイッチング制御するためのTFT30とが形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしても良い。また、TFT30のゲートに走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。画素電極9aを介して電気光学物質の一例としての液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、対向基板に形成された対向電極との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能にする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として電気光学装置からは画像信号に応じたコントラストを持つ光が出射する。ここで、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70を付加する。走査線3aに並んで、蓄積容量70の固定電位側容量電極を含むと共に定電位に固定された容量線300が設けられている。
【0077】
次に、本発明の実施形態の電気光学装置の画像表示領域における構成について、図11及び図12を参照して説明する。図11は、データ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図である。図12は、図11のA−A’断面図である。尚、図12においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
【0078】
図11において、電気光学装置のTFTアレイ基板上には、マトリクス状に複数の透明な画素電極9a(点線部9a’により輪郭が示されている)が設けられており、画素電極9aの縦横の境界に各々沿ってデータ線6a及び走査線3aが設けられている。
【0079】
また、半導体層1aのうち図中右上がりの斜線領域で示したチャネル領域1a’に対向するように走査線3aが配置されており、走査線3aはゲート電極として機能する。このように、走査線3aとデータ線6aとの交差する個所には夫々、チャネル領域1a’に走査線3aがゲート電極として対向配置された画素スイッチング用のTFT30が設けられている。
【0080】
図11及び図12に示すように、蓄積容量70は、TFT30の高濃度ドレイン領域1e及び画素電極9aに接続された画素電位側容量電極としての中継層71と、固定電位側容量電極としての容量線300の一部とが、誘電体膜75を介して対向配置されることにより形成されている。
【0081】
容量線300は平面的に見て、走査線3aに沿ってストライプ状に伸びており、TFT30に重なる個所が図11中上下に突出している。このような容量線300は好ましくは、高融点金属を含む導電性遮光膜からなり、容量線300或いは蓄積容量70の固定電位側容量電極としての機能の他、TFT30の上側において入射光からTFT30を遮光する遮光層としての機能を持つ。
【0082】
他方、TFTアレイ基板10上におけるTFT30の下側には、下側遮光膜11aが格子状に設けられている。下側遮光膜11aは、例えば、Ti(チタン)、Cr(クロム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)等の高融点金属のうち少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの等からなる。或いは、Al(アルミニウム)膜から下側遮光膜11aを形成することも可能である。
【0083】
そして、図11中縦方向に夫々伸びるデータ線6aと図11中横方向に夫々伸びる容量線300とが相交差して形成されること及び格子状に形成された下側遮光膜11aにより、各画素の開口領域を規定している。
【0084】
即ち、本実施形態では特に、遮光性の下側遮光膜11a、遮光性の容量線300及び遮光性のデータ線6aから、図3に示した格子状の遮光膜601がTFTアレイ基板10上に構築されている。
【0085】
図11及び図12に示すように、データ線6aは、コンタクトホール81を介して、例えばポリシリコン膜からなる半導体層1aのうち高濃度ソース領域1dに電気的に接続されている。尚、上述した中継層71と同一膜からなる中継層を形成して、当該中継層及び2つのコンタクトホールを介してデータ線6aと高濃度ソース領域1dとを電気的に接続してもよい。
【0086】
また容量線300は好ましくは、画素電極9aが配置された画像表示領域10a(図1参照)からその周囲に延設され、定電位源と電気的に接続されて、固定電位とされる。このような定電位源としては、データ線駆動回路に供給される正電源や負電源の定電位源でもよいし、対向基板20の対向電極21に供給される定電位でも構わない。更に、TFT30の下側に設けられる下側遮光膜11aについても、その電位変動がTFT30に対して悪影響を及ぼすことを避けるために、容量線300と同様に、画像表示領域からその周囲に延設して定電位源に接続するとよい。
【0087】
画素電極9aは、中継層71を中継することにより、コンタクトホール83及び85を介して半導体層1aのうち高濃度ドレイン領域1eに電気的に接続されている。
【0088】
図11及び図12において、電気光学装置は、透明なTFTアレイ基板10と、これに対向配置される透明な対向基板20とを備えている。TFTアレイ基板10は、例えば石英基板、ガラス基板、シリコン基板からなり、対向基板20は、例えばガラス基板や石英基板からなる。
【0089】
図12に示すように、TFTアレイ基板10には、画素電極9aが設けられており、その上側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜16が設けられている。画素電極9aは例えば、ITO膜などの透明導電性膜からなる。また配向膜16は例えば、ポリイミド膜などの透明な有機膜からなる。
【0090】
他方、対向基板20には、その全面に渡って対向電極21が設けられており、その下側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜22が設けられている。対向電極21は例えば、ITO膜などの透明導電性膜からなる。また配向膜22は、ポリイミド膜などの透明な有機膜からなる。
【0091】
実施形態では特に、対向基板20には、各画素の非開口領域に対応して図3に示した如き平面レイアウトを有する、格子状の遮光膜602を備えている。このような構成を採ることで、前述の如くTFTアレイ基板10上に形成された容量線300及びデータ線6a、即ち図3に示した遮光膜601の一部と共に、対向基板20上の遮光膜602により、対向基板20側からの入射光がチャネル領域1a’や低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cに侵入するのを、より確実に阻止できる。更に、このような対向基板20上の遮光膜602は、少なくとも入射光が照射される面を高反射な膜で形成することにより、電気光学装置の温度上昇を防ぐ働きをする。加えて、対向基板20上の遮光膜602は、両基板の貼り合わせずれによって各画素の開口領域を狭めないように、非開口領域の内側に細めに形成するのが好ましい(図5参照)。このように細めに形成しても、冗長的な遮光を行うと共に入射光による電気光学装置内部の温度上昇を防ぐ効果は発揮される。尚、変形形態としては、遮光膜602は、図9に示したように、X方向或いはY方向にストライプ状に延びる帯状部分のみからなるように対向基板20上に形成してもよい。
【0092】
このように構成された、画素電極9aと対向電極21とが対面するように配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20との間には、シール材52(図1及び図2参照)により囲まれた空間に電気光学物質の一例である液晶が封入され、液晶層50が形成される。
【0093】
更に、画素スイッチング用のTFT30下には、下地絶縁膜12が設けられている。下地絶縁膜12は、下側遮光膜11aからTFT30を層間絶縁する機能の他、TFTアレイ基板10の全面に形成されることにより、TFTアレイ基板10の表面の研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等で画素スイッチング用のTFT30の特性変化を防止する機能を有する。
【0094】
図12において、画素スイッチング用のTFT30は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、走査線3a、当該走査線3aからの電界によりチャネルが形成される半導体層1aのチャネル領域1a’、走査線3aと半導体層1aとを絶縁するゲート絶縁膜を含む絶縁膜2、半導体層1aの低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c、半導体層1aの高濃度ソース領域1d並びに高濃度ドレイン領域1eを備えている。
【0095】
走査線3a上には、高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール81及び高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール83が各々開孔された第1層間絶縁膜41が形成されている。
【0096】
第1層間絶縁膜41上には中継層71及び容量線300が形成されており、これらの上には、高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール81及び中継層71へ通じるコンタクトホール85が各々開孔された第2層間絶縁膜42が形成されている。
【0097】
第2層間絶縁膜42上にはデータ線6aが形成されており、これらの上には、中継層71へ通じるコンタクトホール85が形成された平坦化した第3層間絶縁膜43が形成されている。画素電極9aは、このように構成された第3層間絶縁膜43の上面に設けられている。
【0098】
本実施形態では、第3層間絶縁膜43の表面は、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械研磨)処理等により平坦化されており、その下方に存在する各種配線や素子による段差に起因する液晶層50における液晶の配向不良を低減する。
【0099】
以上説明したように本実施形態によれば、第1遮光膜601を構成する下側遮光膜11a、容量線300及びデータ線6aや、第2遮光膜602を形成するのに用いるマスク501や502に、電子ビーム描画による描画むらが存在していても、これに基づく表示画像における周期的な表示むらは低減されており、高品位の画像表示を行なえる。
【0100】
なお以上説明した実施形態では、図12に示したように多数の導電層を積層することにより、画素電極9aの下地面(即ち、第3層間絶縁膜43の表面)におけるデータ線6aや走査線3aに沿った領域に段差が生じるのを、第3層間絶縁膜43の表面を平坦化することで緩和しているが、これに代えて或いは加えて、TFTアレイ基板10、下地絶縁膜12、第1層間絶縁膜41、第2層間絶縁膜42或いは第3層間絶縁膜43に溝を掘って、データ線6a等の配線やTFT30等を埋め込むことにより平坦化処理を行ってもよいし、第2層間絶縁膜42の上面の段差をCMP処理等で研磨することにより、或いは有機又は無機SOGを用いて平らに形成することにより、当該平坦化処理を行ってもよい。
【0101】
以上図1から図12を参照して説明した実施形態では、データ線駆動回路101や走査線駆動回路104をTFTアレイ基板10の上に設ける代わりに、例えばTAB(Tape Automated bonding)基板上に実装された駆動用LSIに、TFTアレイ基板10の周辺部に設けられた異方性導電フィルムを介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。また、対向基板20の投射光が入射する側及びTFTアレイ基板10の出射光が出射する側には各々、例えば、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertically Aligned)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード等の動作モードや、ノーマリーホワイトモード/ノーマリーブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板などが所定の方向で配置される。
【0102】
以上説明した実施形態における電気光学装置は、プロジェクタに適用されるため、3枚の電気光学装置がRGB用のライトバルブとして各々用いられ、各ライトバルブには各々RGB色分解用のダイクロイックミラーを介して分解された各色の光が投射光として各々入射されることになる。従って、実施形態では、対向基板20に、カラーフィルタは設けられていない。しかしながら、画素電極9aに対向する所定領域にRGBのカラーフィルタをその保護膜と共に、対向基板20上に形成してもよい。このようにすれば、プロジェクタ以外の直視型や反射型のカラー電気光学装置について、各実施形態における電気光学装置を適用できる。また、対向基板20上に1画素1個対応するようにマイクロレンズを形成してもよい。或いは、TFTアレイ基板10上のRGBに対向する画素電極9a下にカラーレジスト等でカラーフィルタ層を形成することも可能である。このようにすれば、入射光の集光効率を向上することで、明るい電気光学装置が実現できる。更にまた、対向基板20上に、何層もの屈折率の相違する干渉層を堆積することで、光の干渉を利用して、RGB色を作り出すダイクロイックフィルタを形成してもよい。このダイクロイックフィルタ付き対向基板によれば、より明るいカラー電気光学装置が実現できる。
【0103】
(製造プロセス)
次に以上の如き構成を有する電気光学装置の製造プロセスについて、図3及び図4に示した第1遮光膜601及び第2遮光膜602の形成を中心に図13を参照して説明する。ここに、図13は、電気光学装置の製造プロセスを示すフローチャートである。
図13においてTFTアレイ基板側については先ず、シリコン基板、石英基板、ガラス基板等の基板を用意する(ステップS11)。更に、各画素の開口領域を規定する第1遮光膜601の下層側に配置される下地絶縁膜、配線等については、これらも基板10上に形成しておく。そして、遮光膜601となる遮光膜材料層を最上層一面に、スパッタリング、CVD等により形成する。
【0104】
他方、これとは別に、図3の右半面に示した如き、第1遮光膜601をパターニングするためのマスク501を電子ビーム描画により作成する(ステップS21)。ここでは、例えば、電子ビームを用いてガラス基板やウエーハ上に所定のパターンを描く装置である電子ビーム描画装置が用いられる。より具体的には、ガラス基板やウエーハをステージに載せた状態で、電子銃から発せられる電子ビームを、電子レンズ及び偏向器等を経て、これに照射する。この際、微細なビームを多数回照射することによって、比較的広範囲に渡るガラス基板上やウエーハ上に、微細なパターンを正確に描画できる。レチクルは、この電子ビーム描画技術を用いて、ブランクスへの電子ビーム用レジストの塗布、電子ビーム露光、現像、エッチング、レジスト剥離という一連の工程により作成される。このようにして、第1遮光膜601に対応する所定パターンを有するマスク501が、電子ビーム描画により作成される。
【0105】
次に、ステップS11で遮光膜材料層が最上層一面に形成された基板に対して、ステップS21で作成されたマスクを用いたフォトリソグラフィを行ない(ステップS12)、続いてドライエッチング又はウエットエッチング等のエッチングにより、このようなマスク501に対応する所定パターンを有する第1遮光膜601を形成する(ステップS13)。続いて、第1遮光膜601の上層側に位置する層間絶縁膜、配線等を形成する(ステップS14)。尚、本実施形態では、第1遮光膜601は、下側遮光膜11a、容量線300及びデータ線6aの組み合わせとして形成されるので、実際の製造工程は、ステップS21により予め複数のマスク501を作成しておき、ステップS11又はステップS14における絶縁膜、導電膜、半導体膜等の形成と相前後して或いは同時に、対応するマスク501を用いてのステップS12及びこれに続くステップS14が複数回行なわれることになる。但し、単純に、第1遮光膜601を単一層から形成するのであれば、ステップS21でマスク501を一つ作成し、その後、このマスク501を用いて、ステップS12を行なった後に、ステップS13を行なえば、図3に示した如き平面レイアウトを有する第1遮光膜601を形成できる。
【0106】
他方、図13において、対向基板側については先ず、シリコン基板、石英基板、ガラス基板等の基板を用意する(ステップS31)。そして、遮光膜602となる遮光膜材料層を最上層一面に、スパッタリング、CVD等により形成する。
【0107】
他方、これとは別に、図4の右半面に示した如き、第2遮光膜602をパターニングするためのマスク502を電子ビーム描画により作成する(ステップS41)。ここでは、前述したステップS21と同様に、電子ビーム描画装置によって、第2遮光膜602に対応する所定パターンを有するマスク502が、電子ビーム描画により作成される。
【0108】
次に、ステップS31で遮光膜材料層が最上層一面に形成された基板に対して、ステップS41で作成されたマスクを用いたフォトリソグラフィを行ない(ステップS32)、続いてドライエッチング又はウエットエッチング等のエッチングにより、このようなマスク502に対応する所定パターンを有する第2遮光膜602を形成する(ステップS33)。続いて、第2遮光膜602の上層側に位置する電極膜等を形成する(ステップS34)。
【0109】
次に、ステップS14により完成したTFTアレイ基板側と、ステップS34により完成した対向基板側とを、紫外線硬化樹脂等からなるシール材により相互に接着して液晶セルを組み立てた後(ステップS15)、真空注入等により液晶を封入する(ステップS16)。
【0110】
以上説明した製造プロセスによれば、ステップS21における電子ビーム描画によって、一の走査方向に描画走査することで、描画むらを有するマスク501が形成される。従って、ステップS12では、描画むらを有するマスク501を用いたフォトリソグラフィによって、第1遮光膜601を形成することになる。同様に、ステップS41における電子ビーム描画によって、一の走査方向に描画走査することで、描画むらを有するマスク502が形成される。従って、ステップS32では、描画むらを有するマスク502を用いたフォトリソグラフィによって、第2遮光膜602を形成することになる。しかるに、本実施形態では、係る電子ビーム描画の走査方向を、図3及び図4に示したように、X方向に対応するように設定してあり、しかも、図5及び図6に示したように、X方向に垂直な断面内で第1遮光膜601と第2遮光膜602とはオフライン配置に形成されている。これらの結果、ステップS21及びS41における電子ビーム描画による描画むらと、ステップS15における両基板の貼り合わせの組ずれとに起因した、表示画像全域における周期的な表示むらの発生は、抑制されているのである。
【0111】
ここで以上のように製造される本実施形態に係る各種具体例及び比較例における、対向基板側の遮光膜の寸法(設計値)と表示画像における周期的なむらとの関係について、図14の図表を参照して説明を加える。
【0112】
図14に示すように、各種具体例及び比較例におけるTFアレイ基板側の第1遮光膜601の平面レイアウトについては、X方向に延びる帯状部分の横幅を5.5μmとし且つY方向に延びる帯状部分の縦幅を5.0μmとして統一してある。
【0113】
このとき、図表の番号6及び7の行に示した夫々比較例としての、機種名「F」及び「G」については、対向基板側の第2遮光膜602の平面レイアウトとしてX方向に延びる帯状部分の横幅を5.5μmとし、Y方向に延びる帯状部分の縦幅を5.0μmとしてある。即ち、これらの比較例では、第1遮光膜601と第2遮光膜602とを、前述したオンライン配置としてある。これらの比較例では夫々、目視検査により、表示画像に周期的なむらが確認される。
【0114】
これに対して、図表の番号1から5の行に示した夫々本実施形態の具体例としての、機種名「A」、「B」、「C」、「D」及び「E」については、第1遮光膜601と第2遮光膜602とを、前述したオフライン配置としてある。これらの具体例では夫々、目視検査により、表示画像に周期的なむらが殆ど確認されていない。そして、図表から分かるように、表示画面のサイズ、駆動周波数、画素ピッチ等とは殆ど関係なく、上記の如き結果が得られていることが分かる。
【0115】
図14に示した各種具体例及び比較例から分かるように、本実施形態によれば、第1遮光膜601や第2遮光膜602を形成するのに用いるマスク501や502に、電子ビーム描画による描画むらが存在していても、第1遮光膜601や第2遮光膜602をオフライン配置とすることにより、この描画む及び両基板の組みずれに基づく表示画像における周期的な表示むらは低減されており、高品位の画像表示を行なえる。
【0116】
(電子機器の実施形態)
次に、以上詳細に説明した電気光学装置をライトバルブとして用いた電子機器の一例たる投射型カラー表示装置の実施形態について、その全体構成、特に光学的な構成について説明する。ここに図14は、投射型カラー表示装置の図式的断面図である。
【0117】
図14において、本実施形態における投射型カラー表示装置の一例たる液晶プロジェクタ1100は、駆動回路がTFTアレイ基板上に搭載された液晶装置100を含む液晶モジュールを3個用意し、夫々RGB用のライトバルブ100R、100G及び100Bとして用いたプロジェクタとして構成されている。液晶プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投射光が発せられると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によって、RGBの3原色に対応する光成分R、G、Bに分けられ、各色に対応するライトバルブ100R、100G及び100Bに夫々導かれる。この際特にB光は、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。そして、ライトバルブ100R、100G及び100Bにより夫々変調された3原色に対応する光成分は、ダイクロイックプリズム1112により再度合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投射される。
【0118】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴なう電気光学装置及びその製造方法、並びに電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の電気光学装置におけるTFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図である。
【図2】図1のH−H’断面図である。
【図3】実施形態に係るTFTアレイ基板上に形成される遮光膜を抽出してその平面レイアウトを拡大して示す拡大平面図を、その電子ビーム描画により形成されるマスクの平面図と共に示す概念図である。
【図4】実施形態に係る対向基板上に形成される遮光膜を抽出してその平面レイアウトを拡大して示す拡大平面図を、その電子ビーム描画により形成されるマスクの平面図と共に示す概念図である。
【図5】両基板が貼り合わされた状態における、図3及び図4の拡大平面図におけるE−E’断面の一具体例を示す断面図である。
【図6】両基板が貼り合わされた状態における、図3及び図4の拡大平面図におけるE−E’断面の他の具体例を示す断面図である。
【図7】比較例におけるE−E’断面に対応する個所における断面図である。
【図8】両基板が貼り合わされた状態における、図3及び図4の拡大平面図におけるF−F’断面の各種具体例を示す断面図である。
【図9】変形形態における、対向基板上に形成される遮光膜を抽出してその平面レイアウトを拡大して示す拡大平面図を、その電子ビーム描画により形成されるマスクの平面図と共に示す概念図である。
【図10】本発明の第1実施形態の電気光学装置における画像表示領域を構成するマトリクス状の複数の画素に設けられた各種素子、配線等の等価回路を示す回路図である。
【図11】実施形態の電気光学装置におけるデータ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図である。
【図12】図11のA−A’断面図である。
【図13】本実施形態の電気光学装置の製造プロセスを示すフローチャートである。
【図14】本実施形態に係る各種具体例及び比較例における、対向基板側の遮光膜の寸法(設計値)と表示画像における周期的なむらとの関係を示す図表である。
【図15】本発明の電子機器の実施形態である投射型カラー表示装置の一例たるカラー液晶プロジェクタを示す図式的断面図である。
【符号の説明】
1a…半導体層
1a’…チャネル領域
1b…低濃度ソース領域
1c…低濃度ドレイン領域
1d…高濃度ソース領域
1e…高濃度ドレイン領域
2…絶縁膜
3a…走査線
6a…データ線
9a…画素電極
10…TFTアレイ基板
11a…下側遮光膜
12…下地絶縁膜
16…配向膜
20…対向基板
21…対向電極
22…配向膜
30…TFT
50…液晶層
53…額縁遮光膜
70…蓄積容量
71…中継層
81、83、85…コンタクトホール
101…データ線駆動回路
104…走査線駆動回路
300…容量線
501、502…マスク
601、602…遮光膜

Claims (12)

  1. 一対の第1及び第2基板間に電気光学物質が挟持されてなり、
    前記第1及び第2基板を相互に貼り合せるシール材と、
    前記画像表示領域内における前記第1及び第2基板のうち少なくとも一方に設けられた表示用電極と、
    前記画像表示領域内における前記第1基板上に設けられており第1方向に延びる帯状部分及び該第1方向に交わる第2方向に延びる帯状部分を含むと共に電子ビーム描画で形成されたマスクを用いたフォトリソグラフィによって形成されている格子状の第1遮光膜と、
    前記画像表示領域内における前記第2基板上に設けられており前記第1方向に延びる帯状部分及び前記第2方向に延びる帯状部分を含むと共に電子ビーム描画で形成されたマスクを用いたフォトリソグラフィによって形成されている格子状の第2遮光膜と
    を備えており、
    前記画像表示領域内では、前記第1及び第2遮光膜のうち少なくとも一方により各画素の開口領域の輪郭が規定されており、
    前記第1方向に垂直な断面内において、前記第1遮光膜の前記第1方向に延びる帯状部分の縁の平面位置と前記第2遮光膜の前記第1方向に延びる帯状部分の縁の平面位置とは、前記第2方向に所定距離だけ相対的にずらされていると共に、
    前記第2方向に垂直な断面内において、前記第1遮光膜の前記第2方向に延びる帯状部分の縁の平面位置と前記第2遮光膜の前記第2方向に延びる帯状部分の縁の平面位置とは、前記第1方向に相対的にずらされていないことを特徴とする電気光学装置。
  2. 一対の第1及び第2基板間に電気光学物質が挟持されてなり、
    前記第1及び第2基板を相互に貼り合せるシール材と、
    前記画像表示領域内における前記第1及び第2基板のうち少なくとも一方に設けられた表示用電極と、
    前記画像表示領域内における前記第1基板上に設けられており第1方向に延びると共に電子ビーム描画で形成されたマスクを用いたフォトリソグラフィによって形成されている帯状の第1遮光膜と、
    前記画像表示領域内における前記第2基板上に設けられており前記第1方向に延びると共に電子ビーム描画で形成されたマスクを用いたフォトリソグラフィによって形成されている帯状の第2遮光膜と
    を備えており、
    前記画像表示領域内では、前記第1及び第2遮光膜のうち少なくとも一方により各画素の開口領域の輪郭が部分的に規定されており、
    前記第1方向に垂直な断面内において、前記第1遮光膜の縁の平面位置と前記第2遮光膜の縁の平面位置とは、前記第1方向に交わる第2方向に所定距離だけ相対的にずらされていることを特徴とする電気光学装置。
  3. 前記所定距離は、前記シール材による貼り合せにおける組ずれの最大値に等しいことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
  4. 前記第1方向に垂直な断面内において、前記第1遮光膜は、前記第2遮光膜よりも幅広に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
  5. 前記第1方向に垂直な断面内において、前記第2遮光膜は、前記第1遮光膜よりも幅広に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
  6. 前記表示用電極は、各画素に設けられた画素電極からなり、
    当該電気光学装置は、
    前記画素電極に接続されたスイッチング素子と、
    該スイッチング素子に接続された配線と
    を更に備えたことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電気光学装置。
  7. 前記スイッチング素子及び前記配線は、各画素の非開口領域内に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の電気光学装置。
  8. 前記スイッチング素子は薄膜トランジスタからなり、
    前記第1及び第2遮光膜のうち少なくとも一方は、前記薄膜トランジスタの少なくともチャネル領域を覆うことを特徴とする請求項6又は7に記載の電気光学装置。
  9. 前記第1及び第2遮光膜のうち少なくとも一方は、少なくとも部分的に遮光性の導電膜からなり、配線又は回路素子の一部を兼ねることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の電気光学装置。
  10. 一対の第1及び第2基板間に電気光学物質が挟持されてなる電気光学装置の製造方法であって、
    電子ビーム描画で形成されたマスクを用いたフォトリソグラフィによって、第1方向に延びる帯状部分及び前記第1方向に交わる第2方向に延びる帯状部分を含む格子状の第1遮光膜を前記第1基板上に形成する第1遮光膜形成工程と、
    電子ビーム描画で形成されたマスクを用いたフォトリソグラフィによって、前記第1方向に延びる帯状部分及び前記第1方向に交わる第2方向に延びる帯状部分を含む格子状の第2遮光膜を前記第2基板上に形成する第2遮光膜形成工程と、
    前記第1基板と前記第2基板とを、シール材により相互に貼り合わせる工程と
    を含み、
    前記第1遮光膜形成工程及び前記第2遮光膜形成工程は、
    前記第1方向に垂直な断面内において、前記第1遮光膜の前記第1方向に延びる帯状部分の縁の平面位置と前記第2遮光膜の前記第1方向に延びる帯状部分の縁の平面位置とは、前記第2方向に所定距離だけ相対的にずれるように形成すると共に、
    前記第2方向に垂直な断面内において、前記第1遮光膜の前記第2方向に延びる帯状部分の縁の平面位置と前記第2遮光膜の前記第2方向に延びる帯状部分の縁の平面位置とは、前記第1方向に相対的にずれないように形成することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  11. 一対の第1及び第2基板間に電気光学物質が挟持されてなる電気光学装置の製造方法であって、
    電子ビーム描画で形成されたマスクを用いたフォトリソグラフィによって、第1方向に延びる帯状の第1遮光膜を前記第1基板上に形成する第1遮光膜形成工程と、
    電子ビーム描画で形成されたマスクを用いたフォトリソグラフィによって、前記第1方向に延びる帯状の第2遮光膜を前記第2基板上に形成する第2遮光膜形成工程と、
    前記第1基板と前記第2基板とを、シール材により相互に貼り合わせる工程と
    を含み、
    前記第1遮光膜形成工程及び前記第2遮光膜形成工程は、
    前記第1方向に垂直な断面内において、前記第1遮光膜の縁の平面位置と前記第2遮光膜の縁の平面位置とは、前記第2方向に所定距離だけ相対的にずれるように形成することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  12. 請求項1から9のいずれか一項に記載の電気光学装置を具備してなることを特徴とする電子機器。
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