JP4509463B2 - 電気光学装置及び電子機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶装置等の電気光学装置の技術分野に属し、特に画像表示領域を規定する額縁遮光膜を備えた電気光学装置及びそのような電気光学装置を備えた電子機器の技術分野に属する。
【0002】
【背景技術】
この種の電気光学装置は、画素電極やストライプ状電極などの表示用電極、データ線や走査線などの各種配線、画素スイッチング用の薄膜トランジスタ(以下適宜、TFTと称する)や薄膜ダイオード(以下適宜、TFDと称する)などのスイッチング素子等が形成された素子アレイ基板と、ストライプ状や全面的に形成された対向電極、遮光膜等が形成された対向基板とが対向配置されている。これら一対の基板間で、液晶等の電気光学物質がシール材により包囲されており、このようにシール材が存在するシール領域よりも中央寄り(即ち、液晶等に面する基板上領域)に、表示用電極が配置された画像表示領域が位置している。ここで特に、平面的に見て(即ち、画像表示領域に対して対向する方向から見て)シール領域の内側輪郭に沿って額縁形に、画像表示領域の額縁領域が、例えば前述の如く対向基板に設けられた遮光膜と同一膜により規定されている。
【0003】
また、額縁領域及びその周辺に位置する周辺領域における素子アレイ基板上に、走査線駆動回路、データ線駆動回路、サンプリング回路、検査回路等の周辺回路が作り込まれている、所謂周辺回路内蔵型の電気光学装置も一般化している。例えば、特許文献1参照。
【0004】
従って、額縁領域内には、画像表示領域から周辺領域に引き出される配線が存在する。更にこのような配線に接続されたサンプリング回路等の周辺回路の一部を額縁領域内に作り込む場合には、額縁領域内には、当該周辺回路の一部を構成する回路素子が存在する。即ち、額縁領域内には、配線や回路素子からなるパターン部が存在する。
【0005】
このように構成された電気光学装置は、画像表示領域に対応する表示窓が設けられた遮光性の実装ケース内に、額縁領域の中心線付近に表示窓の縁が位置するように収容される。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−40486号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した電気光学装置によれば、素子アレイ基板上における額縁領域に存在する配線や回路素子からなるパターン部は、Al膜等の導電膜がパターニングされてなる。このため、特にプロジェクタ用途などのように入射光が強力であり且つ斜め成分を大量に含む場合には、入射光がパターン部の反射率に応じてその表面で反射すると共に入射光がパターン部の隙間を通過する。そして、このようにパターン部で反射した光が、対向基板上のCr(クロム)等からなる額縁遮光膜により、反射されたりする。更に、(i)このように額縁遮光膜で反射された内面反射光やパターン部を透過した光が、素子アレイ基板の裏面で反射してなる反射光、(ii)同じくこのように額縁遮光膜で反射された内面反射光やパターン部を透過した光が、電気光学装置の出射側に取り付けられた偏光板、位相差板、防塵ガラスなどの光学要素で反射してなる反射光、(iii)複数の電気光学装置をライトバルブとして組み合わせて複板式プロジェクタとした場合における他の電気光学装置から出射されて合成光学系を突き抜けて来る戻り光が、パターン部や額縁遮光膜等で反射する事により生じる内面反射光などが、最終的に出射光に混じって当該電気光学装置から出射する。
【0008】
これらの結果、パターン部における反射や透過に応じた明暗パターン(例えば、配線が複数配列されている場合には、縞模様等の明暗パターン)が表示画像の縁付近に映し出されてしまうという問題点がある。加えて、配線や回路素子からなるパターン部の表面は、その下地面の凹凸に応じて且つそのパターン形状自体に応じて、凹凸が存在するため、係る凹凸表面で反射する内面反射光は、光の干渉作用によっても明暗パターンを持つので、最終的に出射光に混じる明暗パターンは、パターン部の構造によっては一層顕著となる。
【0009】
逆に、このような配線の内面反射により映し出される明暗パターンを隠すためには、隠すべきパターン部が占める基板上領域よりもかなり広く額縁領域を規定するように幅広の額縁遮光膜を形成する必要が生じてしまう。この結果、限られた基板上領域においてなるべく広い画像表示領域を確保するという当該電気光学装置における基本的要請に応えることが困難となる。しかも、戻り光や内面反射光が、額縁遮光膜の素子アレイ基板に向いた側の面で反射して最終的に明暗パターンを有する光として出射光に混ざることを鑑みれば、このように額縁遮光膜を単純に大きくすることで明暗パターンを完全に隠すことは理論上も困難である。
【0010】
本発明は上述した問題点に鑑みなされたものであり、額縁領域に設けられた配線や回路素子からなるパターン部に起因した明暗パターンが表示画像の外側に映し出されることを防止可能な電気光学装置及びそのような電気光学装置を具備してなる各種電子機器を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1電気光学装置は上記課題を解決するために、第1の基板上の画像表示領域に配置された表示用電極と、前記第1の基板に対向配置された第2の基板において、前記画像表示領域の周囲の額縁領域に設けられた額縁遮光膜と、該表示用電極に画素スイッチング用の第2トランジスタを介して接続又は直接接続されると共に前記額縁領域内に設けられた配線及び第1トランジスタを含む回路素子からなるパターン部と、前記第1の基板の額縁領域の一部において、前記パターン部を少なくとも部分的に前記第1の基板側から覆う下側遮光膜とを備え、前記下側遮光膜は、島状に形成されると共にフローティング電位とされ、且つ、前記第1トランジスタの下側に設けられた部分においては、少なくとも前記第1トランジスタのチャネル領域に対向する領域には配置されず、前記第1トランジスタのソース電極に対向する部分と、前記第1トランジスタのドレイン電極に対向する部分との間に間隙が形成されることを特徴とする。
【0012】
本発明の第1電気光学装置によれば、例えばデータ線、走査線等の配線が画像表示領域から引き出されて額縁領域内に配置される。或いは、これに代えて又は加えて、引き出された配線に接続された周辺回路の少なくとも一部を構成するトランジスタ或いはTFT、TFD等の回路素子が額縁領域内に配置される。そしてこのように額縁領域内に設けられた配線や回路素子を介して画像信号等を、画素電極等の表示用電極にTFT等の画素スイッチング用素子を介して或いは直接供給することにより、アクティブマトリクス駆動やパッシブマトリクス駆動などが可能となる。
【0013】
この際、特にプロジェクタ用途などのように入射光が強力であり且つ斜め成分を大量に含む場合に、例えばAl膜等の導電膜がパターニングされてなるパターン部の反射率に応じて、その表面で入射光が反射したり、入射光がパターン部の隙間を通過する。しかるに本発明では、額縁領域の一部において、下側遮光膜により、配線や回路素子からなるパターン部は、少なくとも部分的に基板側から覆われている。従って、このようにパターン部で反射したりパターン部の隙間を透過した入射光のうち内面反射を経た後或いは直接に表示用の出射光に最終的に混ざる光量は、当該下側遮光膜で吸収又は反射される分だけ減少する。より具体的には、パターン部で反射した光が、対向基板上の額縁遮光膜により反射されることにより、額縁領域の付近で基板側に向けて進行しても、下側遮光膜で吸収又は反射される分だけ、表示用の出射光に混ざる光量が減少する。額縁遮光膜で反射された内面反射光やパターン部を透過した光が、素子アレイ基板の裏面や偏光板、位相差板、防塵ガラスなどの光学要素で反射してなる反射光についても、下側遮光膜で吸収又は反射される分だけ、表示用の出射光に混ざる光量が減少する。更に、複板式プロジェクタの場合における戻り光が、パターン部や額縁遮光膜等で更に反射してなる内面反射光についても、下側遮光膜で吸収又は反射される分だけ、これが最終的に表示用の出射光に混ざる量が減少する。
【0014】
特に、配線や回路素子からなるパターン部の表面は、その下地面の凹凸に応じて或いはそのパターン形状自体に応じて凹凸が存在するため、係る凹凸表面で反射する内面反射光は光の干渉作用によっても明暗パターンを持つものの、下側遮光膜による吸収又は反射によって、このような明暗パターンを低減できる。
【0015】
以上のように本発明の電気光学装置によれば、額縁領域に設けられた配線や回路素子からなるパターン部に起因して、表示画像の外側に映し出される明暗パターンを低減できる。従って、表示画像の縁付近に映し出される、明暗パターンを隠すために額縁遮光膜を幅広にする必要も無くなり、限られた基板上領域において広い画像表示領域を確保することも可能となる。
【0016】
加えて本発明の電気光学装置によれば、下側遮光膜は、額縁領域全体ではなく、パターン部に対向する一部に設けられるので、額縁領域全体に形成する場合と比較して、応力の発生を低減できる。
本発明の電気光学装置によれば、前記回路素子は、第1トランジスタを含み、前記表示用電極は、画素電極からなり、当該電気光学装置は、前記画素スイッチング用素子として前記画素電極に接続された第2トランジスタを更に備えており、前記配線は、前記第2トランジスタに接続されている。
この態様によれば、例えばサンプリング回路、走査線駆動回路、データ線駆動回路、検査回路、プリチャージ回路等の如き、第1トランジスタを含んでなると共に額縁領域内に配置された周辺回路の少なくとも一部を介して、第2トランジスタに画像信号を供給する。そして、第2トランジスタにより画素電極をスイッチング制御することにより、アクティブマトリクス駆動が可能となる。
【0019】
本発明の第1電気光学装置の他の態様では、前記下側遮光膜は、前記基板の平坦な表面上に、直に又は平坦な下地絶縁膜を介して形成されている。
【0020】
この態様によれば、下側遮光膜は、基板の平坦な表面上に、直に又は平坦な下地絶縁膜を介して形成されているので、下側遮光膜の表面には殆ど凹凸が生じていない。このため、基板の裏面側からの戻り光や内面反射光の一部が、仮に下側遮光膜で反射された後に、最終的に表示用の出射光に混ざったとしても、当該平坦な下側遮光膜で反射された光は、干渉を殆ど伴わないので、干渉作用に起因した明暗パターンを低減可能となる。
【0023】
本発明の第1電気光学装置の他の態様では、前記第2トランジスタの少なくともチャネル領域の下側に前記下側遮光膜と同一膜が設けられている。
【0024】
この態様によれば、画素電極に接続された画素スイッチング素子としての第2トランジスタのチャネル領域は、下側遮光膜により下側から覆われているので、戻り光が、当該チャネル領域に入射することにより光リーク電流が発生して、第2トランジスタの特性が変化してしまう事態を効果的に防止できる。尚、第2トランジスタのチャネル領域に上側から入射しようとする入射光については、基板上に別途作り込まれた内蔵遮光膜、Al膜等の遮光膜からなる配線、対向基板に設けられた遮光膜などにより、遮光すれば特に問題は生じない。そして特に、このように画素部における第2トランジスタを遮光するための下側遮光膜と、額縁領域における明暗パターンの発生防止用の下側遮光膜とは、同一膜からなり、同一製造工程により同時に形成できるので、基板上における積層構造及び製造プロセスの簡略化を図れる。
【0025】
本発明の第1電気光学装置の他の態様では、前記下側遮光膜は、光吸収膜からなる。
【0026】
この態様によれば、戻り光が、下側遮光膜の基板側の表面に入射すると、光吸収作用によりその反射光は減衰する。従って、この反射光が最終的に表示用の出射光に混ざったとしても、当該反射光に基づく明暗パターンを減衰することが可能となる。
【0027】
この態様では、前記光吸収膜は、ポリシリコン膜及び高融点金属膜のうち少なくとも一方を含んでもよい。
【0028】
このように構成すれば、比較的簡単に光吸収作用に優れた光吸収膜をパターン部の下側に作り込むことが可能となる。
【0029】
本発明の第1電気光学装置の他の態様では、前記下側遮光膜は、島状に形成されている。
【0030】
この態様によれば、島状に分断して形成することで、特に額縁領域の全域に下側遮光膜を形成する場合と比べて、当該下側遮光膜の存在による応力の発生を緩和することが可能となり、製造歩留まりや装置信頼性の向上を図ることができる。
【0031】
本発明の第1電気光学装置の他の態様では、前記下側遮光膜は、導電膜からなる。
【0032】
この態様によれば、下側遮光膜は、導電膜からなるので、遮光膜としてのみならず、配線等としても利用可能となる。
【0033】
この下側遮光膜が導電膜からなる態様では、前記下側遮光膜は、少なくとも部分的に固定電位が供給されているように構成してもよい。
【0034】
このように構成すれば、額縁領域内において配線や回路素子に対して、下側遮光膜の電位変動が悪影響を及ぼす事態を未然防止できる。
【0035】
或いはこの下側遮光膜が導電膜からなる態様では、前記下側遮光膜のうち少なくとも前記第1トランジスタの下側に積層された部分は、フローティング電位とされてもよい。
【0036】
このように構成すれば、第1トランジスタの下側に積層された下側遮光膜部分は、フローティング電位とされているので、当該下側遮光膜の電位変動が、第1トランジスタの特性に悪影響を及ぼすことを効果的に防止できる。
【0037】
この場合には更に、前記下側遮光膜のうち少なくとも前記第1トランジスタの下側に積層された部分は、前記下側遮光膜のうち前記第1トランジスタのソース電極に対向する部分と前記下側遮光膜のうち前記第1トランジスタのドレイン電極に対向する部分とを相互分離するように島状に設けられた部分を含むように構成してもよい。
【0038】
このように構成すれば、下側遮光膜の島状部分により、下側遮光膜のうちソース電極に対向する部分と、ドレイン電極に対向する部分とが、相互分離されるので、下側遮光膜及びソース電極間における寄生容量並びに下側遮光膜及びドレイン電極間における寄生容量による、ソース電極及びドレイン電極間の容量カップリングを低減できる。従って、当該第1トランジスタでは高いトランジスタ特性が得られる。
【0039】
上述した下側遮光膜が導電膜からなる態様では、前記下側遮光膜のうち少なくとも前記第1トランジスタの下側に積層された部分には、前記下側遮光膜のうち前記第1トランジスタのソース電極に対向する部分と、前記下側遮光膜のうち前記第1トランジスタのドレイン電極に対向する部分とを分離するようにスリットが設けられているように構成してもよい。
【0040】
このように構成すれば、下側遮光膜のうちソース電極に対向する部分と、下側遮光膜のうちドレイン電極に対向する部分とが、スリットにより相互分離されるので、下側遮光膜及びソース電極間における寄生容量並びに下側遮光膜及びドレイン電極間における寄生容量による、ソース電極及びドレイン電極間の容量カップリングを低減できる。従って、当該第1トランジスタでは高いトランジスタ特性が得られる。
【0041】
上述した下側遮光膜が導電膜からなる態様では、前記下側遮光膜は、前記第1トランジスタのチャネル領域下側に積層されていないように構成してもよい。
【0042】
このように構成すれば、下側遮光膜は、第1トランジスタのチャネル領域下側には配置されていないので、当該下側遮光膜の電位変動が、第1トランジスタの特性に悪影響を及ぼすことを効果的に防止できる。
【0043】
上述した下側遮光膜が導電膜からなる態様では、前記下側遮光膜のうち少なくとも前記第1トランジスタのチャネル領域下側に積層された部分は、前記第1トランジスタのゲート電位とされているように構成してもよい。
【0044】
このように構成すれば、第1トランジスタのチャネル領域下側に積層された下側遮光膜部分は、第1トランジスタのゲート電位とされるので、第1トランジスタのゲート電極を上側に配置することにより、当該下側遮光膜部分によりバックチャネルを形成することができる。このため、第1トランジスタの特性向上を図れる。
【0080】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を具備してなる。
【0081】
本発明の電子機器は、上述した本発明の電気光学装置を具備してなるので、額縁領域に設けられた配線や回路素子からなるパターン部に起因した明暗パターンが表示画像内に映し出されることがなく、高品位の画像表示を行なうことが可能な、投射型表示装置、液晶テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。
【0082】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0083】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態は、本発明の電気光学装置を液晶装置に適用したものである。
【0084】
(第1実施形態)
先ず、本発明の第1実施形態における電気光学装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。ここでは、電気光学装置の一例である駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。
【0085】
図1は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図であり、図2は、図1のH−H’断面図である。
【0086】
図1及び図2において、本実施形態に係る電気光学装置では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
【0087】
シール材52は、TFTアレイ基板10と対向基板20とを貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。また、シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。即ち、本実施形態の電気光学装置は、プロジェクタのライトバルブ用として小型で拡大表示を行うのに適している。但し、当該電気光学装置が液晶ディスプレイや液晶テレビのように大型で等倍表示を行う液晶装置であれば、このようなギャップ材は、液晶層50中に含まれてもよい。
【0088】
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aを規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
【0089】
本実施形態では特に、額縁遮光膜53の下側に、下側遮光膜501が部分的に形成されている。下側遮光膜501は、画像表示領域10aの外周から周辺側に至る額縁遮光膜53下に部分的に形成されている。下側遮光膜501の構成及び遮光作用については後に詳述する。
【0090】
画像表示領域10aの周辺に広がる領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する周辺領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられており、走査線駆動回路104が、この一辺に隣接する2辺に沿って設けられている。更にTFTアレイ基板10の残る一辺には、画像表示領域10aの両側に設けられた走査線駆動回路104間をつなぐための複数の配線105が設けられている。また図1に示すように、対向基板20の4つのコーナー部には、両基板間の上下導通端子として機能する上下導通材106が配置されている。他方、TFTアレイ基板10にはこれらのコーナーに対向する領域において上下導通端子が設けられている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0091】
本実施形態では特に、データ線駆動回路101から供給される画像信号をサンプリングするサンプリング回路301が、額縁遮光膜53からなる額縁領域内に配置されている。即ち、サンプリング回路301を構成する後述のTFT等の回路素子が額縁領域内に配置されている。更に、画像表示領域10a内に配線されたデータ線からサンプリング回路301に至る配線部分、データ線駆動回路101からサンプリング回路301に至る配線部分、画像表示領域10a内に配線された走査線から走査線駆動回路104に至る配線部分等の各種配線部分も、額縁領域内に配置されている。
【0092】
図2において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が形成された後の画素電極9a上に、配向膜が形成されている。他方、対向基板20上には、対向電極21の他、最上層部分に配向膜が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
【0093】
尚、図1及び図2に示したTFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104、サンプリング回路301等に加えて、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
【0094】
次に以上の如く構成された電気光学装置における回路構成及び動作について図3を参照して説明する。図3は、電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路と周辺回路とを示すブロック図である。
【0095】
図3において、本実施形態における電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素には夫々、画素電極9aと当該画素電極9aをスイッチング制御するためのTFT30とが形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。
【0096】
画像表示領域10aの外側に設けられる周辺領域には、データ線6aの一端(図3中で下端)が、サンプリング回路301を構成するTFT202のドレインに接続されている。他方、画像信号線115は、引き出し配線116を介してサンプリング回路301を構成するTFT202のソースに接続されている。データ線駆動回路101に接続されたサンプリング回路駆動信号線114は、サンプリング回路301を構成するTFT202のゲートに接続されている。そして、画像信号線115を介して供給される画像信号S1、S2、…、Snは、データ線駆動回路101からサンプリング回路駆動信号線114を介してサンプリング回路駆動信号が供給されるのに応じて、サンプリング回路301によりサンプリングされて各データ線6aに供給されるように構成されている。
【0097】
このようにデータ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしても良い。
【0098】
また、画素スイッチング用のTFT30のゲートに走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、走査線駆動回路104により、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。画素電極9aを介して電気光学物質の一例としての液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、対向基板20に形成された対向電極21との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電位レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能にする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として電気光学装置からは画像信号に応じたコントラストを持つ光が出射する。ここで、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極21との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70を付加する。走査線3aに並行して、蓄積容量70の固定電位側容量電極を含むと共に定電位に固定された容量線300が設けられている。
【0099】
次に、図1及び図2に示した額縁遮光膜53の設けられた額縁領域及び周辺領域における電気光学装置の詳細構成について、額縁領域に設けられた下側遮光膜501の構成及び遮光作用を中心として、図4から図7を参照して説明する。ここに図4は、図2におけるCR部分付近を拡大して示す部分断面図であり、図3は、比較例におけるCR部分付近に対応する個所を拡大して示す部分断面図である。図5は、図4に示した部位のうち額縁遮光膜53、データ線6aの引き出し配線206及び下側遮光膜501を抜粋して部分的に示す図式的な部分斜視図であり、図6は、比較例における額縁遮光膜53及びデータ線6aの引き出し配線206を抜粋して部分的に示す図式的な部分斜視図である。
【0100】
図4に示すように、本実施形態では、額縁遮光膜53下にある額縁領域には、パターン部の一例として、データ線6aの引き出し配線206等の各種配線やサンプリング回路を構成するTFT等の各種回路素子が、配置されている。そして、このように額縁領域内に設けられた引き出し配線206等の下側には、下側遮光膜501が設けられている。
【0101】
図5に示すように比較例では、このような下側遮光膜501が設けられていない。
【0102】
従って、図6に示すように、本実施形態では、特にプロジェクタ用途などのように図中上側から入射される入射光L1が強力であり且つ斜め成分を大量に含む場合に、例えばAl膜等の導電膜がパターニングされてなる、引き出し配線206等の反射率に応じて、その表面で入射光L1が反射したり、入射光L1が引き出し配線206等の隙間を通過する。ここで、引き出し配線206等は、下側遮光膜501によりTFTアレイ基板10側(図中、下側)から覆われている。従って、額縁領域付近即ち画像表示領域10aの外周付近において、引き出し配線206等で反射したり引き出し配線206等の隙間を透過した入射光L1のうち内面反射を経た後或いは直接に、表示用の出射光Loutに最終的に混ざる光L3の光量は、下側遮光膜501で吸収又は反射される分だけ顕著に減少する。
【0103】
より具体的には、図4及び図6に示すように、引き出し配線206等で反射した光が、額縁遮光膜53の内面により反射されることにより、額縁領域53の付近でTFTアレイ基板10側に向けて進行しても、下側遮光膜501で吸収又は反射される分だけ、表示用の出射光Loutに混ざる光量が減少する。額縁遮光膜53で反射された内面反射光や引き出し配線206等を透過した光が、TFTアレイ基板10の裏面や、これに外付けされた偏光板、位相差板、防塵ガラスなどで反射してなる戻り光L2についても、下側遮光膜501で吸収又は反射される分だけ、表示用の出射光Loutに混ざる光量が減少する。更に、複板式プロジェクタの場合における戻り光L2が、引き出し配線206や額縁遮光膜53等で更に反射してなる内面反射光についても、下側遮光膜501で吸収又は反射される分だけ、これが最終的に表示用の出射光Loutに混ざる量が減少する。
【0104】
尚、電気光学装置は、樹脂等からなる遮光性の実装ケース800に収容されており、実装ケース800内に漏れる光については、その内面により吸収されるので特に問題とはならない。
【0105】
これに対して、図5及び図7に示すように、下側遮光膜501が設けられていない比較例の場合には、額縁領域付近即ち画像表示領域10aの外周付近において、引き出し配線206等で反射したり引き出し配線206等の隙間を透過した入射光L1のうち内面反射を経た後或いは直接に、表示用の出射光Loutに最終的に混ざる光量は、下側遮光膜501がある本実施形態の場合と比較して、顕著に増加する。加えて、この比較例の場合には、額縁領域付近即ち画像表示領域10aの外周付近において、戻り光L2についても、引き出し配線206等で反射したり引き出し配線206等の隙間を透過して、更に額縁遮光膜等による内面反射を経て最終的に表示用の出射光Loutに混ざる光量は、下側遮光膜501がある本実施形態の場合と比較して、顕著に増加する。
【0106】
このように本実施形態によれば、引き出し配線206等からなるパターン部の下側に下側遮光膜501を備えているので、画像表示領域10aの外周付近における表示用の出射光Loutにパターン部の明暗や光の干渉に起因して発生する明暗パターンを有する光の発生を低減できる。このため、表示画像の外側付近における、パターン部に起因した明暗パターンの発生を効果的に防止できる。
【0107】
本実施形態では好ましくは、下側遮光膜501は、TFTアレイ基板10の平坦な表面上に直に、又は平坦なTFTアレイ基板10上に成膜された平坦な下地絶縁膜の上に形成される。このようにすれば、下側遮光膜501の表面には殆ど凹凸が生じないの。従って、図5及び図7に示した入射光L1や戻り光L2の一部が、仮に下側遮光膜501で反射された後に、最終的に表示用の出射光Loutに混ざったとしても、平坦な下側遮光膜501で反射された光は、干渉を殆ど伴わないので、干渉作用に起因した明暗パターンを顕著に低減できる。
【0108】
尚、下側遮光膜501は例えば、Ti(チタン)、Cr(クロム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)等の高融点金属のうち少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの等からなる。そして、このような下側遮光膜501は好ましくは、上述の如き画像表示領域10aにおける画素スイッチング用のTFT30のチャネル領域を下側から覆う下側遮光膜と同一膜から形成される。これにより、画素スイッチング用のTFT30に対する遮光用の下側遮光膜と、額縁領域における明暗パターンの発生防止用の下側遮光膜501とを、同一製造工程により同時に形成でき、TFTアレイ基板10上における積層構造及び製造プロセスの簡略化を図れる。
【0109】
下側遮光膜501は、主に光反射により遮光を行なってもよいし、主に光吸収により遮光を行なってもよく、これらの両者により遮光を行なってもよい。主に光吸収により遮光を行なうように構成すれば、額縁領域付近で入射光L1や戻り光L2が下側遮光膜501をなす光吸収膜に入射する都度に、この光を減衰できる。特に戻り光L2が問題となる場合には、下側遮光膜501を、TFTアレイ基板10上において、光吸収層をTFTアレイ基板10側(下側)に有すると共に反射膜をその反対側(上側)に有するように二層或いは多層に構成してもよい。或いは、入射光L1が問題となる場合には、下側遮光膜501を、TFTアレイ基板10上において、光吸収層を対向基板20側(上側)に有すると共に反射膜をその反対側(下側)に有するように二層或いは多層に構成してもよい。このような光吸収層は、例えばポリシリコン膜及び高融点金属膜のうち少なくとも一方を含んでなる。
【0110】
更に下側遮光膜501は好ましくは、適当な大きさ単位に、島状に分断形成される。このように島状に分断形成することで、特に額縁領域の全域に下側遮光膜を形成する場合と比べて、下側遮光膜501の存在による応力の発生を緩和できる。
【0111】
尚、本実施形態では、図4に示したように、下側遮光膜501を、画像表示領域10aの外周から周辺側に至る領域に重なり幅ΔWで形成する。この重なり幅ΔWは、額縁領域に照射される入射光L2の入射角度に応じて適切な値に予め設定可能である。拡大投影するプロジェクタ用途ではこのような入射角度は一般に大きくなり、それに応じて、上述の明暗パターンを発生させないために重なり幅ΔWを増加させる必要がある。このような所定幅は、実際の装置仕様に鑑み、実験的、経験的、シミュレーション等により個別具体的に設定すればよい。
【0112】
次に、本発明の実施形態の電気光学装置の画像表示領域における構成について、図8及び図9を参照して説明する。図8は、データ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図である。図9は、図8のE−E’断面図である。尚、図9においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
【0113】
図8において、電気光学装置のTFTアレイ基板上には、マトリクス状に複数の透明な画素電極9a(点線部9a’により輪郭が示されている)が設けられており、画素電極9aの縦横の境界に各々沿ってデータ線6a及び走査線3aが設けられている。
【0114】
また、半導体層1aのうち図中右上がりの斜線領域で示したチャネル領域1a’に対向するように走査線3aが配置されており、走査線3aはゲート電極として機能する。このように、走査線3aとデータ線6aとの交差する個所には夫々、チャネル領域1a’に走査線3aがゲート電極として対向配置された画素スイッチング用のTFT30が設けられている。
【0115】
図8及び図9に示すように、蓄積容量70は、TFT30の高濃度ドレイン領域1e及び画素電極9aに接続された画素電位側容量電極としての中継層71と、固定電位側容量電極としての容量線300の一部とが、誘電体膜75を介して対向配置されることにより形成されている。
【0116】
容量線300は平面的に見て、走査線3aに沿ってストライプ状に伸びており、TFT30に重なる個所が図8中上下に突出している。このような容量線300は好ましくは、膜厚50nm程度の導電性のポリシリコン膜等からなる第1膜と、膜厚150nm程度の高融点金属を含む金属シリサイド膜等からなる第2膜とが積層された多層構造を持つように構成される。このように構成すれば、第2膜は、容量線300或いは蓄積容量70の固定電位側容量電極としての機能の他、TFT30の上側において入射光からTFT30を遮光する遮光層としての機能を持つ。
【0117】
本実施形態では特に、容量線300は、走査線3a及びデータ線6a間に積層されているので、平面的に見て走査線3aやデータ線6aと重なる領域に容量を作り込むことにより、蓄積容量70の増大が図られている。
【0118】
他方、TFTアレイ基板10上におけるTFT30の下側には、下側遮光膜11aが格子状に設けられている。下側遮光膜11aは、例えば、Ti、Cr、W、Ta、Mo等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの等からなる。
【0119】
そして、図8中縦方向に夫々伸びるデータ線6aと図8中横方向に夫々伸びる容量線300とが相交差して形成されること及び格子状に形成された下側遮光膜11aにより、各画素の開口領域を規定している。
【0120】
図8及び図9に示すように、データ線6aは、コンタクトホール81を介して、例えばポリシリコン膜からなる半導体層1aのうち高濃度ソース領域1dに電気的に接続されている。尚、上述した中継層71と同一膜からなる中継層を形成して、当該中継層及び2つのコンタクトホールを介してデータ線6aと高濃度ソース領域1dとを電気的に接続してもよい。
【0121】
また容量線300は好ましくは、画素電極9aが配置された画像表示領域10a(図1参照)からその周囲に延設され、定電位源と電気的に接続されて、固定電位とされる。このような定電位源としては、データ線駆動回路101や走査線駆動回路104に供給される正電源や負電源の定電位源でもよいし、対向基板20の対向電極21に供給される定電位でも構わない。更に、TFT30の下側に設けられる下側遮光膜11aについても、その電位変動がTFT30に対して悪影響を及ぼすことを避けるために、容量線300と同様に、画像表示領域10aからその周囲に延設して定電位源に接続するとよい。
【0122】
画素電極9aは、中継層71を中継することにより、コンタクトホール83及び85を介して半導体層1aのうち高濃度ドレイン領域1eに電気的に接続されている。
【0123】
図8及び図9において、電気光学装置は、透明なTFTアレイ基板10と、これに対向配置される透明な対向基板20とを備えている。TFTアレイ基板10は、例えば石英基板、ガラス基板、シリコン基板からなり、対向基板20は、例えばガラス基板や石英基板からなる。
【0124】
図9に示すように、TFTアレイ基板10には、画素電極9aが設けられており、その上側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜16が設けられている。画素電極9aは例えば、ITO膜などの透明導電性膜からなる。また配向膜16は例えば、ポリイミド膜などの透明な有機膜からなる。
【0125】
他方、対向基板20には、その全面に渡って対向電極21が設けられており、その下側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜22が設けられている。対向電極21は例えば、ITO膜などの透明導電性膜からなる。また配向膜22は、ポリイミド膜などの透明な有機膜からなる。
【0126】
対向基板20には、各画素の非開口領域に対応して格子状又はストライプ状の遮光膜を設けるようにしてもよい。このような構成を採ることで、前述の如く非開口領域を規定する容量線300やデータ線6aと共に当該対向基板20上の遮光膜により、対向基板20側からの入射光がチャネル領域1a’や低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cに侵入するのを、より確実に阻止できる。更に、このような対向基板20上の遮光膜は、少なくとも入射光が照射される面を高反射な膜で形成することにより、電気光学装置の温度上昇を防ぐ働きをする。尚、このような対向基板20上の遮光膜は、両基板の貼り合わせずれによって各画素の開口領域を狭めないように、非開口領域の内側に細めに形成するのが好ましい。このように細めに形成しても、冗長的な遮光を行うと共に入射光による電気光学装置内部の温度上昇を防ぐ効果は発揮される。
【0127】
このように構成された、画素電極9aと対向電極21とが対面するように配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20との間には、シール材52(図1及び図2参照)により囲まれた空間に電気光学物質の一例である液晶が封入され、液晶層50が形成される。
【0128】
更に、画素スイッチング用のTFT30下には、下地絶縁膜12が設けられている。下地絶縁膜12は、下側遮光膜11aからTFT30を層間絶縁する機能の他、TFTアレイ基板10の全面に形成されることにより、TFTアレイ基板10の表面の研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等で画素スイッチング用のTFT30の特性変化を防止する機能を有する。
【0129】
図9において、画素スイッチング用のTFT30は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、走査線3a、当該走査線3aからの電界によりチャネルが形成される半導体層1aのチャネル領域1a’、走査線3aと半導体層1aとを絶縁するゲート絶縁膜を含む絶縁膜2、半導体層1aの低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c、半導体層1aの高濃度ソース領域1d並びに高濃度ドレイン領域1eを備えている。
【0130】
走査線3a上には、高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール81及び高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール83が各々開孔された第1層間絶縁膜41が形成されている。
【0131】
第1層間絶縁膜41上には中継層71及び容量線300が形成されており、これらの上には、高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール81及び中継層71へ通じるコンタクトホール85が各々開孔された第2層間絶縁膜42が形成されている。
【0132】
第2層間絶縁膜42上にはデータ線6aが形成されており、これらの上には、中継層71へ通じるコンタクトホール85が形成された平坦化した第3層間絶縁膜43が形成されている。画素電極9aは、このように構成された第3層間絶縁膜43の上面に設けられている。
【0133】
本実施形態では、第3層間絶縁膜43の表面は、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械研磨)処理等により平坦化されており、その下方に存在する各種配線や素子による段差に起因する液晶層50における液晶の配向不良を低減する。
【0134】
以上説明したように第1実施形態によれば、下側遮光膜501を設けているので、額縁領域に設けられたデータ線の引き出し配線206等の各種配線やTFT202等の各種回路素子からなるパターン部に起因して、表示画像の外側付近に映し出される明暗パターンを低減できる。従って、このような明暗パターンを隠すために額縁遮光膜53を幅広にする必要も無くなり、画像表示領域10aを大きく構成することが可能となる。
【0135】
加えて第1実施形態によれば、下側遮光膜501は、額縁領域全体ではなく、額縁領域に設けられたデータ線の引き出し配線206等の各種配線やTFT202等の各種回路素子からなるパターン部に対向する一部に設けられるので、額縁領域全体に形成する場合と比較して、応力の発生を低減できる。
【0136】
なお以上説明した実施形態では、図9に示したように多数の導電層を積層することにより、画素電極9aの下地面(即ち、第3層間絶縁膜43の表面)におけるデータ線6aや走査線3aに沿った領域に段差が生じるのを、第3層間絶縁膜43の表面を平坦化することで緩和しているが、これに代えて或いは加えて、TFTアレイ基板10、下地絶縁膜12、第1層間絶縁膜41、第2層間絶縁膜42或いは第3層間絶縁膜43に溝を掘って、データ線6a等の配線やTFT30等を埋め込むことにより平坦化処理を行ってもよいし、第2層間絶縁膜42の上面の段差をCMP処理等で研磨することにより、或いは有機又は無機SOGを用いて平らに形成することにより、当該平坦化処理を行ってもよい。
【0137】
次に、以上のように構成される下側遮光膜501の平面形状の各種具体例に係る第2から第4実施形態及びその変形形態について説明する。これらの実施形態においては夫々、下側遮光膜501は、高融点金属膜等の導電性の遮光膜からなる。従って、これらの実施形態は夫々、額縁領域内に配置される下側遮光膜501における電気的な状態或いは電位変動が、同じく額縁領域内に配置されるTFT202等の回路素子の動作に対して及ぼす悪影響を低減するのに適している下側遮光膜501の具体的な形状に係るものである。
【0138】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態における電気光学装置について、図10及び図11を参照して説明する。ここに図10は、第2実施形態における額縁領域に形成される回路素子の一例たる相補型TFTの拡大平面図であり、図11は、そのA−A’断面図である。尚、図10及び図11において、図1から図9に示した第1実施形態と同様の構成要素には同様の参照符号を付しそれらの説明は省略する。
【0139】
図10及び図11に示すように、相補型TFT202aは、Pチャネル領域320p及びNチャネル領域320nを含む半導体層320を備えており、配線316の先端部をゲート電極(入力側)とし、低電位配線321及び高電位配線322の先端部を夫々ソース電極とし、配線306の先端部をドレイン電極(出力側)とする、Pチャネル型TFT202p及びNチャネル型TFT202nが組み合わされて構成されている。尚、このようなPチャネル型TFT202p及びNチャネル型TFT202nは、画素スイッチング用TFT30と同様にLDD構造を有してもよい。第2実施形態では特に、高融点金属膜等の導電膜からなる下側遮光膜501aは、分断形成されており、少なくとも相補型TFT202aを下側から覆う島状部分は、フローティング電位とされている。その他の構成については、図1から図9を参照して説明した第1実施形態の場合と同様である。
【0140】
従って、第2実施形態によれば、下側遮光膜501aの電位変動はフローティング電位とされているので、その電位変動が相補型TFT202aの特性に悪影響を及ぼすことを効果的に防止できる。
【0141】
尚、第2実施形態では、下側遮光膜501aにおける相補型TFT202aに対向配置される島状部分を除く部分については、画像表示領域10a内にある下側遮光膜11aの場合と同様に固定電位が供給されるように構成してもよい。
【0142】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態における電気光学装置について、図12及び図13を参照して説明する。ここに図12は、第3実施形態における額縁領域に形成される回路素子の一例たる相補型TFTの拡大平面図であり、図13は、そのB−B’断面図である。尚、図12及び図13において、図1から図9に示した第1実施形態並びに図10及び図11に示した第2実施形態と同様の構成要素には同様の参照符号を付しそれらの説明は省略する。
【0143】
図12及び図13に示すように、第3実施形態では特に、高融点金属膜等の導電膜からなる下側遮光膜501bは、第2実施形態のように分断形成されておらず、相補型TFT202bの二つのゲート電位極に夫々沿って、二つのスリットが設けられている。その他の構成については、図10及び図11を参照して説明した第2実施形態の場合と同様である。
【0144】
従って、第3実施形態によれば、下側遮光膜501b及びソース電極間における寄生容量並びに下側遮光膜501b及びドレイン電極間における寄生容量による、相補型TFT202bにおけるソース電極及びドレイン電極間の容量カップリングを低減できるので、下側遮光膜501bの電位変動が、相補型TFT202bの特性に悪影響を及ぼすことを効果的に防止できる。
【0145】
このような下側遮光膜501bのスリットとしては、例えば、1μm程度の幅を有すればよい。また、このようにスリットを形成しても、例えば導電性のポリシリコン膜等からなるゲート電極自体が、ある程度の光吸収性を示すので、スリットの存在により生じ得る明暗パターンは比較的小さくて済む。
【0146】
尚、第3実施形態では、このようにスリットを有する下側遮光膜501bがその延設部502を介して、画像表示領域10a内にある下側遮光膜11aの場合と同様に固定電位が供給されるように構成してもよい。
【0147】
(第4実施形態)
本発明の第4施形態における電気光学装置について、図14及び図15参照して説明する。ここに図14は、第4施形態における額縁領域に形成される回路素子の一例たる相補型TFTの拡大平面図であり、図15は、そのC−C’断面図である。尚、図14及び図15において、図1から図9に示した第1実施形態並びに図10及び図11に示した第2実施形態と同様の構成要素には同様の参照符号を付しそれらの説明は省略する。
【0148】
図14及び図15に示すように、第4実施形態では特に、高融点金属膜等の導電膜からなる下側遮光膜501cは、第1実施形態のように相補型TFTの半導体層320を一つの単位として大きな島状に分断形成されておらず、相補型TFT202cの半導体層320におけるソース領域と、ドレイン領域とを夫々一つの単位として、より小さな島状に分断形成されている。その他の構成については、図10及び図11を参照して説明した第2実施形態の場合と同様である。
【0149】
従って、第4実施形態によれば、下側遮光膜501c及びソース電極間における寄生容量並びに下側遮光膜501c及びドレイン電極間における寄生容量による、相補型TFT202cにおけるソース電極及びドレイン電極間の容量カップリングを低減できるので、下側遮光膜501cの電位変動が、相補型TFT202cの特性に悪影響を及ぼすことを効果的に防止できる。
【0150】
このような下側遮光膜501cの間隙としては、例えば、1μm程度であればよい。また、このように間隙が存在しても、例えば導電性のポリシリコン膜等からなるゲート電極自体が、ある程度の光吸収性を示すので、間隙の存在により生じ得る明暗パターンは比較的小さくて済む。
【0151】
尚、第4実施形態では、下側遮光膜501cにおける相補型TFT202cに対向配置される島状部分を除く部分については、画像表示領域10a内にある下側遮光膜11aの場合と同様に固定電位が供給されるように構成してもよい。
【0152】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態における電気光学装置について、図16及び図17を参照して説明する。ここに図16は、第5実施形態における額縁領域に形成される回路素子の一例たる相補型TFTの拡大平面図であり、図17は、そのD−D’断面図である。尚、図16及び図17において、図1から図9に示した第1実施形態並びに図10及び図11に示した第2実施形態と同様の構成要素には同様の参照符号を付しそれらの説明は省略する。
【0153】
図16及び図17に示すように、第5実施形態では特に、高融点金属膜等の導電膜からなる下側遮光膜501dは、第2実施形態のように相補型TFTの半導体層320を一つの単位として分断された大きな島状部分がフローティング電位とされておらず、コンタクトホール503を介して配線316の先端部にあるゲート電極(入力側)に接続されて、ゲート電極と同電位とされている。その他の構成については、図10及び図11を参照して説明した第2実施形態の場合と同様である。
【0154】
従って、第5実施形態によれば、下側遮光膜501dの島状部分によりバックチャネルを形成することができるので、相補型TFT202dにおけるトランジスタの特性向上を図れる。
【0155】
尚、第5実施形態では、下側遮光膜501dにおける相補型TFT202dに対向配置される島状部分を除く部分については、画像表示領域10a内にある下側遮光悪11aの場合と同様に固定電位に落とされているように構成してもよい。
【0156】
以上図1から図17を参照して説明した各実施形態では、データ線駆動回路101や走査線駆動回路104をTFTアレイ基板10の上に設ける代わりに、例えばTAB(Tape Automated bonding)基板上に実装された駆動用LSIに、TFTアレイ基板10の周辺部に設けられた異方性導電フィルムを介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。また、対向基板20の投射光が入射する側及びTFTアレイ基板10の出射光が出射する側には各々、例えば、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertically Aligned)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード等の動作モードや、ノーマリーホワイトモード/ノーマリーブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板などが所定の方向で配置される。
【0157】
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態における電気光学装置について、図18乃至図20を参照して説明する。ここに図18は、第6実施形態に係る、図1の符号Aを付した部分付近を拡大して示す平面図であり、図19は、比較例に係る図1の符号Aを付した部分付近を拡大して示す平面図である。また、図20は、第6実施形態に係る、図2の符号CRを付した部分付近を拡大して示す部分断面図である。尚、図18乃至図20において、図1から図9に示した第1実施形態並びに図10及び図11に示した第2実施形態と同様の構成要素には同様の参照符号を付しそれらの説明は省略する。
【0158】
まず、図18において、TFTアレイ基板10上には、上述の第1実施形態で説明したように、データ線6aの引き出し配線206が形成されており、この引き出し配線206の一端には図3に説明したサンプリング回路301を構成するTFT202aが接続されている。さらに、この図においては、走査線3aの引き出し配線208(本発明にいう「パターン部」の一例に該当する。)が形成されている。この引き出し配線208の図示しない延長端には、走査線駆動回路(図1参照)が接続されている。また、この図においては、対向基板20上の対向電極を所定の電位を供給するため等の目的で設置された各種の配線210及び212が形成されている(図1における上下導通材106参照)。さらに、前記の引き出し配線206、或いはTFT202aに対しては、上記の各種実施形態と同様に、これらを少なくとも部分的にTFTアレイ基板10側から覆う下側遮光膜501及び501aが形成されている(図4若しくは図6又は図10若しくは図11等参照)。なお、前記の配線210及び212は、第6実施形態において、「第2パターン部」の一例に該当する。
【0159】
そして、第6実施形態では特に、前述の下側遮光膜501及び501aのほかに、画像表示領域10a内に形成された画素スイッチング用素子としてのTFT30を、やはりTFTアレイ基板10側から覆う下側遮光膜11a(図9等参照)と、更には、画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域のすべてを覆うかのように形成された領外遮光膜501Aが形成されている。以上の三種の遮光膜は、すべて同一膜として、すなわち製造工程段階において同時に形成されている。
【0160】
このうち領外遮光膜501A等の構成を、図18に即してより詳しく見ると次のようになっている。
【0161】
まず、当該図の左上部分においては、引き出し配線206を覆うように下側遮光膜501が形成されている(図4又は図6参照)。また、図18中下方においては、サンプリング回路301を構成するTFT202aを覆うように下側遮光膜501aが形成されている(図10又は図11参照)。加えて、この図においては、走査線3aから引き出された引き出し配線208を覆うように下側遮光膜501zが設けられている。これらは、上記各種実施形態における各種の下側遮光膜と同種の目的を有し、また同様な作用を発揮する。
【0162】
そして、第6実施形態に係る領外遮光膜501Aは、前述の下側遮光膜501、501a及び501zの形成領域以外の領域R1に、これらと一体的に形成された第2下側遮光膜501Aaを含む。すなわち、この第2下側遮光膜501Aaは、額縁領域(図18中太線参照)内における前記の引き出し配線206、或いはTFT202a等の形成領域以外の領域R1にも形成されていることになる。加えて、領外遮光膜501Aは、額縁領域外の領域R2に設けられた配線210及び212間の間隙に形成された真正領外遮光膜501Abを含む。なお、配線210下、及び、配線212下に、真正領外遮光膜501Abは形成しなくてもよい。すなわち、真正領外遮光膜501Abは分断形成されるようになっている。
【0163】
以上要するに、第6実施形態においては、配線210又は212等に関するように、各種の配線或いは回路素子が形成されている領域で形成されていない場合があるにしても、領外遮光膜501Aは、TFTアレイ基板10のほぼ全面を覆うようかのように形成されていることになる。
【0164】
このような領外遮光膜501Aには、図18に示すように、その適所において切れ目が設けられている、即ち、該領外遮光膜501Aは島状に分断形成されていることがわかる。そして、第6実施形態において、島状に形成された領外遮光膜501Aの島間の距離は、2μm以下となるようにされている、このような形状は、当該領外遮光膜501Aを形成する際において適当なパターニング処理を行うようにしておけば、簡単に形成することができる。
【0165】
このような領外遮光膜501Aの存在により、次のような作用効果が奏される。すなわち、比較例たる図19に示すように、第6実施形態に係る領外遮光膜501Aが形成されていない場合においては、その部分はTFTアレイ基板10の面がいわば裸のまま曝された状態にある(もっとも、各種の層間絶縁膜12、41、42及び43等は当然に形成されている。)。したがって、当該部分については、入射光が「そのまま」通過する可能性があり、この光が、画像を構成する光Lout(図4又は図6参照)に混入することによって、画像表示に影響を及ぼす可能性がある。例えば、前述したような戻り光が、領域R1を通過して額縁遮光膜53で反射し、再び領域R1を通過するなどという場合、この光は、画像を構成する光Loutに混入する蓋然性が高いから、画像の縁近傍にぼんやりした光の像を表させる可能性があるのである。
【0166】
しかるに、第6実施形態においては、上述のように、領域R1及びR2を含め、第2下側遮光膜501Aa及び真正領外遮光膜501Abを含む領外遮光膜501Aが形成されていることから、上述のような事象は殆ど発生し得ない。したがって、第6実施形態によれば、画像の縁近傍にぼんやりした光の像が発生するなどという事態を未然に回避することができ、見栄えのよい、またより高品質な画像を表示することが可能となる。
【0167】
また、第6実施形態における領外遮光膜501Aは、上述のように分断形成されており、或いは配線210及び配線212間の間隙に形成された真正領外遮光膜501Abのように、場所に応じて大きく分断形成されていることにより、このような遮光膜をベタ状に形成する場合と比較して、相対的にその内部応力を低減することができる。これにより、当該領外遮光膜501Aが自身の内部応力によって破壊するに至ったり、或いはその周囲の構成(例えば、下地絶縁膜12等)にクラックを生じさせたりというような事態は殆ど生じなくなり、信頼性の高い電気光学装置を提供することができる。
【0168】
ちなみに、領域R1等における領外遮光膜501Aが分断形成されているという場合における、各島間の間隔は2μm以下とされていることから、当該隙間を通過した光が、その背後に控える額縁遮光膜53等によって反射した後、再び当該隙間を通過するという事象は殆ど生じ得ない。したがって、このような光が画像を構成する光Loutに混入するおそれはきわめて小さく、当該隙間が、画像表示に与える影響はきわめて小さい。このように、第6実施形態においては、上述した島状形成による作用効果、即ち内部応力の低減という作用効果を得ながらも、領外遮光膜501Aそれ本来の作用効果、即ち画像周囲における光の像の発生防止という作用効果をも遜色なく享受することができる。
【0169】
なお、このような第6実施形態にかかる領外遮光膜501Aに関し、上述では、「TFTアレイ基板10のほぼ全面を覆うかのように」形成されると述べたが、本発明の観点からは、該領外遮光膜501Aが、字義どおり、TFTアレイ基板10の「全面」に形成される必要は勿論ない。事実、図18及び図19においても既に、領外遮光膜501Aは適所適所で分断形成されており、このことからしても、該領外遮光膜501Aが「全面」に形成される必要がないことは明らかである。
【0170】
さらに積極的にいえば、本発明に係る領外遮光膜は、例えば図20において示す部分WWの領域に関してのみ形成するようにすればよい。この図において、当該部分WWは、即ち実装ケース800に形成された表示窓の縁部分801aと、下側遮光膜501の縁部分との間の部分である。なぜなら、このような部分WW以外の部分においては、実装ケース800の存在により光の進行が遮られることから、上述した、「そのまま」の光通過という事象は、実質的に、該部分WWにおいてのみ発生すると考えることができるからである。したがって、領外遮光膜は、図20に示すように当該部分WWにおいてのみ形成されていれば十分である(符号501B参照、また、光LAの進行参照。)。
【0171】
そして、このような形成態様によれば、効果的に遮光を実現することができ、また、この場合における領外遮光膜501Bは、適切且つ必要な面積だけ形成すればよくなるから、当該遮光膜内部における内部応力に起因した前記のような不具合の発生をより抑制的にすることができることになる。
【0172】
以上説明した実施形態における電気光学装置は、プロジェクタに適用されるため、3枚の電気光学装置がRGB用のライトバルブとして各々用いられ、各ライトバルブには各々RGB色分解用のダイクロイックミラーを介して分解された各色の光が投射光として各々入射されることになる。従って、各実施形態では、対向基板20に、カラーフィルタは設けられていない。しかしながら、画素電極9aに対向する所定領域にRGBのカラーフィルタをその保護膜と共に、対向基板20上に形成してもよい。このようにすれば、プロジェクタ以外の直視型や反射型のカラー電気光学装置について、各実施形態における電気光学装置を適用できる。また、対向基板20上に1画素1個対応するようにマイクロレンズを形成してもよい。或いは、TFTアレイ基板10上のRGBに対向する画素電極9a下にカラーレジスト等でカラーフィルタ層を形成することも可能である。このようにすれば、入射光の集光効率を向上することで、明るい電気光学装置が実現できる。更にまた、対向基板20上に、何層もの屈折率の相違する干渉層を堆積することで、光の干渉を利用して、RGB色を作り出すダイクロイックフィルタを形成してもよい。このダイクロイックフィルタ付き対向基板によれば、より明るいカラー電気光学装置が実現できる。
【0173】
(電子機器の実施形態)
次に、以上詳細に説明した電気光学装置をライトバルブとして用いた電子機器の一例たる投射型カラー表示装置の実施形態について、その全体構成、特に光学的な構成について説明する。ここに図21は、投射型カラー表示装置の図式的断面図である。
【0174】
図21において、本実施形態における投射型カラー表示装置の一例たる液晶プロジェクタ1100は、駆動回路がTFTアレイ基板上に搭載された液晶装置を含む液晶モジュールを3個用意し、夫々RGB用のライトバルブ100R、100G及び100Bとして用いたプロジェクタとして構成されている。液晶プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投射光が発せられると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によって、RGBの3原色に対応する光成分R、G、Bに分けられ、各色に対応するライトバルブ100R、100G及び100Bに夫々導かれる。この際特にB光は、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。そして、ライトバルブ100R、100G及び100Bにより夫々変調された3原色に対応する光成分は、ダイクロイックプリズム1112により再度合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投射される。
【0175】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴なう電気光学装置及び電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0176】
また、本発明の電気光学装置は、電気泳動装置やEL装置等にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態の電気光学装置におけるTFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図である。
【図2】 図1のH−H’断面図である。
【図3】 本発明の第1実施形態の電気光学装置における画像表示領域を構成するマトリクス状の複数の画素に設けられた各種素子、配線等の等価回路を、周辺回路を共に示すブロック図である。
【図4】 図2におけるCR部分付近を拡大して示す部分断面図である。
【図5】 比較例におけるCR部分付近に対応する個所を拡大して示す部分断面図である。
【図6】 図4に示した部位のうち額縁遮光膜、データ線の引き出し配線及び下側遮光膜を抜粋して部分的に示す図式的な部分斜視図である。
【図7】 比較例における額縁遮光膜及びデータ線の引き出し配線を抜粋して部分的に示す図式的な部分斜視図である。
【図8】 実施形態の電気光学装置におけるデータ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図である。
【図9】 図8のE−E’断面図である。
【図10】 本発明の第2実施形態における周辺回路を構成する相補型トランジスタの拡大平面図である。
【図11】 図10のA−A’断面図である。
【図12】 本発明の第3実施形態における周辺回路を構成する相補型トランジスタの拡大平面図である。
【図13】 図12のB−B’断面図である。
【図14】 本発明の第4実施形態における周辺回路を構成する相補型トランジスタの拡大平面図である。
【図15】 図14のC−C’断面図である。
【図16】 本発明の第5実施形態における周辺回路を構成する相補型トランジスタの拡大平面図である。
【図17】 図16のD−D’断面図である。
【図18】 本発明の第6実施形態における図2の符号Aを付した部分付近を拡大して示す平面図である。
【図19】 比較例における図2の符号Aを付した部分付近を拡大して示す平面図である。
【図20】 本発明の第6実施形態における図2の符号CRを付した部分付近を拡大して示す部分断面図である。
【図21】 本発明の電子機器の実施形態である投射型カラー表示装置の一例たるカラー液晶プロジェクタを示す図式的断面図である。
【符号の説明】
1a…半導体層、1a’…チャネル領域、1b…低濃度ソース領域、1c…低濃度ドレイン領域、1d…高濃度ソース領域、1e…高濃度ドレイン領域、2…絶縁膜、3a…走査線、6a…データ線、9a…画素電極、10…TFTアレイ基板、11a…下側遮光膜、12…下地絶縁膜、16…配向膜、20…対向基板、21…対向電極、22…配向膜、30…TFT、50…液晶層、53…額縁遮光膜、70…蓄積容量、71…中継層、81、83、85…コンタクトホール、101…データ線駆動回路、104…走査線駆動回路、114…サンプリング回路駆動信号線、115…画像信号線、116…引き出し配線、202…TFT、202a〜202d…相補型TFT、206…引き出し配線、300…容量線、301…サンプリング回路、302…TFT、501…下側遮光膜
Claims (7)
- 第1の基板上の画像表示領域に配置された表示用電極と、
前記第1の基板に対向配置された第2の基板において、前記画像表示領域の周囲の額縁領域に設けられた額縁遮光膜と、
該表示用電極に画素スイッチング用の第2トランジスタを介して接続又は直接接続されると共に前記額縁領域内に設けられた配線及び第1トランジスタを含む回路素子からなるパターン部と、
前記第1の基板の額縁領域の一部において、前記パターン部を少なくとも部分的に前記第1の基板側から覆う下側遮光膜とを備え、
前記下側遮光膜は、島状に形成されると共にフローティング電位とされ、且つ、前記第1トランジスタの下側に設けられた部分においては、少なくとも前記第1トランジスタのチャネル領域に対向する領域には配置されず、前記第1トランジスタのソース電極に対向する部分と、前記第1トランジスタのドレイン電極に対向する部分との間に間隙が形成されることを特徴とする電気光学装置。 - 前記下側遮光膜は、前記第1の基板の平坦な表面上に、直に又は平坦な下地絶縁膜を介して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
- 前記第2トランジスタの少なくともチャネル領域の前記第1の基板側に前記下側遮光膜と同一膜が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置。
- 前記下側遮光膜は、光吸収膜からなることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
- 前記光吸収膜は、ポリシリコン膜及び高融点金属膜のうち少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項4に記載の電気光学装置。
- 前記下側遮光膜は、導電膜からなることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電気光学装置。
- 請求項1から6のいずれか一項に記載の電気光学装置を具備してなることを特徴とする電子機器。
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