JP4154965B2 - 電気光学基板、並びにこれを具備する電気光学装置及び電子機器 - Google Patents

電気光学基板、並びにこれを具備する電気光学装置及び電子機器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置、電子ペーパなどの電気泳動装置、EL(Electro-Luminescence)表示装置等に用いる電気光学基板、並びにこれを具備する電気光学装置及び例えば液晶プロジェクタ等の該電気光学装置をライトバルブとして具備する電子機器の技術分野に属する。
【0002】
【背景技術】
アクティブマトリクス駆動形式の電気光学装置では、例えば各画素に設けられた画素スイッチング用の薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;以下、適宜「TFT」という。)のチャネル領域に入射光が照射されると、光による励起で光リーク電流が発生してTFTの特性が変化する。特に、プロジェクタのライトバルブ用の電気光学装置の場合には、入射光の強度が高いため、TFTのチャネル領域やその周辺領域に対する入射光の遮光を行うことは重要となる。
【0003】
そこで従来は、対向基板に設けられた各画素の開口領域を規定する遮光膜により、あるいはTFTアレイ基板上においてTFTの上を通過するとともにAl(アルミニウム)等の金属膜からなるデータ線により、かかるチャネル領域やその周辺領域を遮光するように構成されている。例えばデータ線を金属で形成すると共にこれを走査線に沿って突出させて、その下方に位置するTFTへの光の浸入を防ぐ技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
更に、TFTアレイ基板上のTFTの下側に対向する位置にも、例えば高融点金属からなる遮光膜を設けることがある。このようにTFTの下側にも遮光膜を設ければ、TFTアレイ基板側からの裏面反射光や、複数の電気光学装置をプリズム等を介して組み合わせて一つの光学系を構成する場合に他の電気光学装置からプリズム等を突き抜けてくる投射光等の戻り光が、当該電気光学装置のTFTに入射するのを未然に防ぐことができる。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−330861号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した各種遮光技術によれば、以下の問題点がある。
【0007】
即ち先ず、対向基板上や電気光学基板上に遮光膜を形成する技術によれば、遮光膜とチャンネル部との間は、3次元的に見て例えば液晶層、電極、層間絶縁膜等を介してかなり離間しており、両者間へ斜めに入射する光に対する遮光が十分ではない。特に、プロジェクタのライトバルブとして用いられる小型の電気光学装置においては、入射光は光源からの光をレンズで絞った光束であり、斜めに入射する成分を無視し得ない程度(例えば、基板に垂直な方向から10度から15度程度傾いた成分を10%程度)含んでいるので、このような斜めの入射光に対する遮光が十分でないことは実践上問題となる。
【0008】
更に、一般にTFTのゲート電極を含んでなる走査線は、光透過性のドープトシリコンが用いられている。係るシリコンは、周囲の酸化膜よりも高い屈折率を有しているために、走査線に対して上方斜め或いは下方斜めから入射した光は、当該シリコンにとらえられてあたかも光ファイバーの中を行くように、全反射を繰り返して光量を大きく減ずることなく迷光として伝播される。ここで、伝播された迷光は、TFTにおけるゲート電極に対向配置されるチャンネル部付近に到達する可能性は高い。そして、ゲート電極付近にきた迷光は、TFT付近における走査線の形状変化に応じて、シリコンから出てTFTのチャンネル部側にも入射されるという問題点がある。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、走査線内を伝播する迷光を遮光する構造により遮光性に優れており、明るく高品位な画像表示を可能ならしめる電気光学基板、並びにこれを具備する電気光学装置及び電子機器を提供することを課題とする。
【0034】
【課題を解決するための手段】
本発明の電気光学基板は上記課題を解決するために、基板上に、画素電極と、該画素電極に対応して設けられた薄膜トランジスタと、該薄膜トランジスタと電気的に接続された走査線と、該走査線と同一層からなるゲート電極と、を備えており、前記ゲート電極と前記走査線との間には、導電性の遮光部分が介在する。
【0035】
本発明の電気光学基板は、例えばプロジェクタのライトバルブとしての液晶装置等の電気光学装置に用いられる。その動作時には、薄膜トランジスタに対して、走査線を介して走査信号をそのゲート電極に供給しつつ、データ線を介して画像信号をそのソース領域に供給する。これにより、薄膜トランジスタにより画像信号に応じて、そのドレイン領域に接続された画素電極をスイッチング制御でき、アクティブマトリクス駆動による表示動作が可能となる。ここで特に、ゲート電極を構成する第1導電層と走査線を構成する第2導電層とは同一層であり、両者間には、導電性の遮光部分が介在する。よって、両者を、例えば光透過性のドープトポリシリコン等の光透過性材料から構成した際に、走査線に対して上方斜め或いは下方斜めから入射した光が、当該シリコン等にとらえられて光ファイバーの中を行くように迷光として伝播されたとしても、遮光部分により遮断されるので、ゲート電極に伝達されることは殆どない。従って、走査線により伝播された光が、ゲート電極に対向配置されるチャンネル部付近に到達する可能性は
低くなる。
【0036】
この結果、前述した背景技術の如く走査線を介して伝播される光に起因して、薄膜トランジスタにて光リーク電流が発生し、トランジスタ特性を変化させる事態を効果的に防止できる。これにより、高品位の画像表示が可能となる。また、このような遮光性能の向上に応じて、より強力な入射光を使用することも可能となり、明るい画像表示が可能となる。
【0037】
本発明の電気光学基板の一態様では、前記遮光部分は、前記ゲート電極及び前記走査線の上又は下に層間絶縁膜を介して配置されており、その一端にて第1コンタクトホールを介して前記ゲート電極に接続され且つその他端にて第2コンタクトホールを介して前記走査線に接続されている。
【0038】
この態様によれば、ゲート電極と走査線とは、層間絶縁膜に開孔された第1及び第2コンタクトホールを介して遮光部分によって接続されている。よって、走査線を、例えば光透過性材料から構成した際に、走査線に対して上方斜め或いは下方斜めから入射した光が、当該走査線にとらえられて伝播されたとしても、ゲート電極に伝達されることは殆どない。
【0039】
尚、遮光部分は、同一層の上でも下でもよい。例えば、遮光部分は、薄膜トランジスタの下側に配置されてもよいし、上側に配置されてもよい。
【0040】
或いは本発明の電気光学基板の他の態様では、前記遮光部分は、前記同一層がシリサイド化されてなる。
【0041】
この態様によれば、同一層からなる走査線とゲート電極との間には、当該同一層がシリサイド化されてなる遮光部分が存在する。よって、走査線を、例えば光透過性材料から構成した際に、走査線に対して上方斜め或いは下方斜めから入射した光が、当該走査線にとらえられて伝播されたとしても、このシリサイド化された遮光部分により遮断されるので、ゲート電極に伝達されることはない。
【0042】
尚、このようなシリサイド化は、その製造工程で走査線及びゲート電極をなす同一層における当該遮光部分としたい領域に金属を配置して熱処理を行うことで比較的容易に実行できる。
【0043】
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学基板(但し、その各種態様を含む)と、該電気光学基板に対向配置された対向基板と、該対向基板及び前記電気光学基板間に挟持された電気光学物質層とを備える。
【0044】
本発明の電気光学装置によれば、例えば液晶等からなる電気光学物質層を、電気光学基板に備えられた画素電極で駆動することで、画像信号に応じて画像表示を行える。この際、特に上述した本発明の第1又は第2電気光学基板を備えているので、走査線を介して伝播される光に起因して、薄膜トランジスタにて光リーク電流が発生し、トランジスタ特性を変化させる事態を効果的に防止できる。これにより、高品位の画像表示が可能となる。また、このような遮光性能の向上に応じて、より強力な入射光を使用することも可能となり、明るい画像表示が可能となる。
【0045】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置を具備する。
【0046】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の電気光学装置を具備してなるので、特に明るく表示品質に優れた、プロジェクタ、液晶テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。
【0047】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の各実施形態は、本発明の電気光学装置を液晶装置に適用したものである。
【0049】
(第1実施形態)
先ず本発明の第1実施形態の電気光学装置について、図1から図5を参照して説明する。ここに、図1は、電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路である。図2は、データ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図である。図3は、図2のA−A’断面図であり、図4は、図2のB−B'断面図であり、図5は、比較例におけるB−B'断面図である。尚、図3から図5においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
【0050】
図1において、本実施形態における電気光学装置の画像表示領域10aを構成するマトリクス状に形成された複数の画素には夫々、画素電極9aと当該画素電極9aをスイッチング制御するためのTFT30とが形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしても良い。また、TFT30のゲートに走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。画素電極9aを介して電気光学物質の一例としての液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、後述する対向基板に形成された対向電極との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能にする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として電気光学装置からは画像信号に応じたコントラストを持つ光が出射する。ここで、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70を付加する。
【0051】
蓄積容量70の固定電位側容量電極は、固定電位を供給する容量線300の一部からなる。容量線300は、走査線3aに沿って横方向に延びて形成されている。
【0052】
図2において、電気光学装置のTFTアレイ基板上には、マトリクス状に複数の透明な画素電極9a(点線部9a’により輪郭が示されている)が設けられており、画素電極9aの縦横の境界に各々沿ってデータ線6a及び走査線3aが設けられている。そして、走査線3aとデータ線6aとの交差する個所には夫々、TFT30が設けられている。
【0053】
図2から図4に示すように、本実施形態では特に、本発明の電気光学基板の一例たるTFTアレイ基板10上において、TFT30の半導体層1aのうち、図2中右上がりの斜線領域で示したチャネル領域1a’に対向するように島状のゲート電極3gが形成されている。ゲート電極3gの上側には走査線3aが直接配置されており、走査線3aは、この部分で幅広に形成されている。
【0054】
このような走査線3a及び該走査線3aと別層からなるゲート電極3gの遮光に係る構成及び効果については、後に図4及び図5を参照して詳述する。
【0055】
図2から図4に示すように、蓄積容量70は、TFT30の高濃度ドレイン領域1e及び画素電極9aに接続された画素電位側容量電極としての中継層71と、固定電位側容量電極としての容量線300の一部とが、誘電体膜75を介して対向配置されることにより形成されている。
【0056】
容量線300は、例えば金属又は合金を含む導電性の遮光膜からなり上側遮光膜の一例を構成すると共に固定電位側容量電極としても機能する。容量線300は、例えばTi、Cr、W、Ta、Mo等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの等からなる。或いは、容量線300は、Al(アルミニウム)、Ag(銀)等の他の金属を含んでもよい。但し、容量線300は、例えば導電性のポリシリコン膜等からなる第1膜と高融点金属を含む金属シリサイド膜等からなる第2膜とが積層された多層構造を持ってもよい。
【0057】
中継層71は、例えば導電性のポリシリコン膜からなり画素電位側容量電極として機能する。中継層71は、画素電位側容量電極としての機能の他、上側遮光膜としての容量線300とTFT30との間に配置される、光吸収層或いは上側遮光膜の他の例としての機能を持ち、更に、画素電極9aとTFT30の高濃度ドレイン領域1eとを中継接続する機能を持つ。但し、中継層71も、容量線300と同様に、金属又は合金を含む単一層膜若しくは多層膜から構成してもよい。
【0058】
容量線300は平面的に見て、走査線3aに沿ってストライプ状に伸びており、TFT30に重なる個所が図2中上下に突出している。そして、図2中縦方向に夫々延びるデータ線6aと図2中横方向に夫々延びる容量線300とが相交差して形成されることにより、TFTアレイ基板10上におけるTFT30の上側に、平面的に見て格子状の上側遮光膜(内蔵遮光膜)が構成されており、各画素の開口領域を規定している。
【0059】
図2から図4に示すように、TFTアレイ基板10上におけるTFT30の下側には、下側遮光膜11aが格子状に設けられている。
【0060】
下側遮光膜11aは、前述の如く上側遮光膜の一例を構成する容量線300と同様に、例えば、Ti、Cr、W、Ta、Mo等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの等からなる。或いは、下側遮光膜11aは、Al、Ag等の他の金属を含んでもよい。
【0061】
また容量線300は、画素電極9aが配置された画像表示領域からその周囲に延設され、定電位源と電気的に接続されて、固定電位とされる。係る定電位源としては、TFT30を駆動するための走査信号を走査線3aに供給するための後述の走査線駆動回路や画像信号をデータ線6aに供給するサンプリング回路を制御する後述のデータ線駆動回路に供給される正電源や負電源の定電位源でもよいし、対向基板20の対向電極21に供給される定電位でも構わない。更に、下側遮光膜11aについても、その電位変動がTFT30に対して悪影響を及ぼすことを避けるために、容量線300と同様に、画像表示領域からその周囲に延設して定電位源に接続するとよい。
【0062】
図3及び図4において、TFTアレイ基板10は、その基板本体として、石英板、ガラス板等からなる透明な第2透明基板202を備えてなる。TFTアレイ基板10の液晶層50と対向する側の表面付近には、画素電極9aが設けられており、その上側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜16が設けられている。画素電極9aは例えば、ITO(Indium Tin Oxide)膜などの透明導電性膜からなる。また配向膜16は例えば、ポリイミド膜などの有機膜からなる。
【0063】
他方、対向基板20は、その基板本体として、石英板、ガラス板等からなる透明な第1透明基板201を備えてなる。第1透明基板201の液晶層50と対向する側の表面付近には、対向電極21が形成されている。更に、その最上層部分にラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜22が設けられている。対向電極21は例えば、ITO膜などの透明導電性膜からなる。また配向膜22は、ポリイミド膜などの有機膜からなる。
【0064】
対向基板20には、格子状又はストライプ状の遮光膜を設けるようにしてもよい。このような構成を採ることで、前述の如く上側遮光膜を構成する容量線300及びデータ線6aと共に当該対向基板20上の遮光膜により、対向基板20側からの入射光がチャネル領域1a’や低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cに侵入するのを、より確実に阻止できる。
【0065】
このように構成された、画素電極9aと対向電極21とが対面するように配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20との間には、後述のシール材により囲まれた空間に電気光学物質の一例である液晶が封入され、液晶層50が形成される。液晶層50は、画素電極9aからの電界が印加されていない状態で配向膜16及び22により所定の配向状態をとる。液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなる。シール材は、TFTアレイ基板10及び対向基板20をそれらの周辺で貼り合わせるための、例えば光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂からなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー或いはガラスビーズ等のギャップ材が混入されている。
【0066】
更に、画素スイッチング用TFT30の下には、下地絶縁膜12が設けられている。下地絶縁膜12は、下側遮光膜11aからTFT30を層間絶縁する機能の他、TFTアレイ基板10の全面に形成されることにより、TFTアレイ基板10の表面の研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等で画素スイッチング用TFT30の特性の劣化を防止する機能を有する。
【0067】
図3において、画素スイッチング用TFT30は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、ゲート電極3gからの電界によりチャネルが形成される半導体層1aのチャネル領域1a’、ゲート電極3gと半導体層1aとを絶縁するゲート絶縁膜を含む絶縁膜2、半導体層1aの低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c、半導体層1aの高濃度ソース領域1d並びに高濃度ドレイン領域1eを備えている。
【0068】
走査線3a上には、高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール81及び高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール83が各々開孔された第1層間絶縁膜41が形成されている。第1層間絶縁膜41上には中継層71及び容量線300が形成されており、これらの上には、コンタクトホール81及び85が各々開孔された第2層間絶縁膜42が形成されている。第2層間絶縁膜42上にはデータ線6aが形成されており、これらの上には、中継層71へ通じるコンタクトホール85が形成された第3層間絶縁膜43が形成されている。画素電極9aは、このように構成された第3層間絶縁膜43の上面に設けられている。
【0069】
次に、図4から図5を参照して、上述した電気光学装置の実施形態における、走査線3a及び該走査線3aと別層からなるゲート電極3gの遮光に係る構成及び作用効果について詳述する。
【0070】
図4に示すように、本実施形態では特に、ゲート電極3gを構成する第1導電層と走査線3aを構成する第2導電層とは、別層である。両者間は、接触部360でオーム接触しており、走査線3aは、ゲート電極3gと電気的に良好に接続されている。そして、ゲート電極3gを構成する第1導電層は、例えばポリシリコン膜等からなる。これにより、ゲート電極3gは、ポリシリコン膜等からなる半導体層1aに対して、絶縁膜2を介して対向配置されたTFTのゲート電極として良好に機能し得る。
【0071】
他方、走査線3aを構成する第2導電層は、高融点金属膜を含んでなる。或いは、金属膜、金属シリサイド又は金属ナイトライド等の合金膜を用いて形成されている。例えば、Ti、TiN(チタンナイトライド)又はWSi(タングステンシリサイド)等が用いられている。このような第2導電層は、いずれの場合にも、遮光性の導電層である。よって、走査線3aに対して上方斜め或いは下方斜めから入射した光が、当該走査線3aにとらえられて光ファイバーの中を行くように迷光として伝播されることは殆どない。従って、走査線3aにより伝播された光が、ゲート電極3gに対向配置されるチャンネル部1a’に到達する可能性は殆ど無くなる。
【0072】
仮に図5に示した比較例の如く、光透過性を有するポリシリコン膜からなるゲート電極3g−1と同一層から一体的に走査線3a−1を構築した場合には、当該走査線3a−1は、光透過性を有すると共に周囲の層間絶縁膜を構成する酸化膜よりも高い屈折率を有することになる。このため、走査線3a−1に斜めに入射した入射光等は、走査線3a−1にとらえられて、あたかも光ファイバーの中を行くように、全反射を繰り返して光量を大きく減ずることなく伝播される。この結果、特にプロジェクタ等に用いられる時の電気光学装置の如く、強力な光が照射されると、電気光学装置内に発生した斜めの迷光510が、走査線3a−1からゲート電極3g−1を通じて、TFT30のチャンネル領域1a’に入射してしまう。すると、迷光510による励起で光リーク電流が発生してTFT30の特性が変化してしまうのである。特に、図5に示したように、チャンネル領域1a’付近は、走査線3a−1の中でも、他の場所と異なり、構造的或いは光学的に伝播された迷光510が、走査線3a−1外に出易い条件になっている。
【0073】
これに対して、図4に示したように本実施形態では、高融点金属膜等を含んでなる走査線3aに、光が伝播されることはない。従って、本実施形態によれば、走査線3aを介して伝播される光に起因して、TFT30にて光リーク電流が発生し、トランジスタ特性を変化させる事態を効果的に防止できる。
【0074】
本実施形態では特に、走査線6aを構成する第2導電層は、ゲート電極3gを構成する第1導電層上に重ねられている。よって、高融点金属等を含んでなる遮光性の走査線3aの存在によって、ゲート電極3g或いはこれに対向配置されたTFT30を、上方から効果的に遮光できる。しかも、本実施形態では、走査線3aは、ゲート電極3g上に直接重ねられているので、両者間の電気的な接続は、容易に得られ且つゲート電極3gに極めて近接した位置において上方からの遮光を行うことが可能となる。
【0075】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態における電気光学装置について、図6を参照して説明する。第2実施形態における基本的な構造は、概ね上述した第1実施形態の場合と同様である。図6は、第2実施形態における図2のB-B'断面に対応する個所における断面図である。また、図6において、上述した第1実施形態と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0076】
図6に示すように、第2実施形態では、走査線3a−2は、チャネル領域1a’の上方には設けられておらず、且つ平面的に見て相隣接するTFT30間に存在する。そして、接触部360において、ゲート電極3g−2と走査線3a−2との電気的な接続がとられている。その他の構成については、上述した第1実施形態の場合と同様である。
【0077】
第2実施形態によれば、走査線3a−2は、各画素電極10a(図2参照)の縁に沿って、相隣接するTFT30間に存在するので、走査線3a−2の厚みを調整することによって、TFT30におけるゲート電極3g−2における表面段差を緩和できる。或いは、ゲート電極3g−2の上方における表面段差を、走査線3a−2の膜厚分だけ低減できる。特に、本実施形態では、この部分で走査線3a−2とデ−タ線6aとが交差するため、積層高さが一番高くなる傾向がある。しかるに、当該交差部には、実際には、走査線3g−2が存在していないので、走査線3g−2の厚み約500ミクロンメートル程度だけ、これを軽減することができる。尚、本実施形態では、ゲート電極3g−2が、走査線3a−2の一部を構成しているとも言える。
【0078】
これらの結果、TFT30の存在領域付近における基板最上層表面の平坦化を促進できる。ここで、液晶層50は、表面段差が存在すると、配向膜16におけるラビング不良等に起因して配向不良が生じる。よって、本実施形態によれば、このような段差或いは凹凸に起因した液晶の配向不良を低減できる。
【0079】
尚、本実施形態及び他の実施形態では、図3に示したように多数の所定パターンの導電層を積層することにより、画素電極9aの下地面(即ち、第3層間絶縁膜43の表面)におけるデータ線6aや走査線3aに沿った領域に段差が生じるのを、第3層間絶縁膜43の表面を平坦化処理することで緩和してもよい。例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)処理等で研磨することにより、或いは有機SOG(Spin On Glass)を用いて平らに形成することで緩和する。このように配線、素子等が存在する領域と存在しない領域との間における段差を緩和することにより、最終的には段差に起因した液晶の配向不良等の画像不良を低減できる。但し、このように第3層間絶縁膜43に平坦化処理を施すのに代えて又は加えて、TFTアレイ基板10、下地絶縁膜12、第1層間絶縁膜41及び第2層間絶縁膜42のうち少なくとも一つに溝を掘って、データ線6a等の配線やTFT30等を埋め込むことにより平坦化処理を行ってもよい。
【0080】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態における電気光学装置について、図7を参照して説明する。第3実施形態における基本的な構造は、概ね上述した第1実施形態の場合と同様である。図7は、第3実施形態における図2のB-B'断面に対応する個所における断面図である。また、図7において、上述した第1実施形態と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0081】
図7に示すように、第3実施形態では、走査線3a−3は、チャネル領域1a’の上方には設けられておらず、且つ平面的に見て相隣接するTFT30間に存在する。そして、接触部360において、全体に平坦な島状のゲート電極3g−3と走査線3a−3との電気的な接続がとられている。また、ゲート電極3g−3は、走査線3a−3の上側に形成されている。その他の構成については、上述した第1実施形態の場合と同様である。
【0082】
第3実施形態によれば、第2実施形態と同様に、TFT30におけるゲート電極3g−3における表面段差を緩和できる。或いは、ゲート電極3g−3の上方における表面段差を、走査線3a−3の膜厚分だけ低減できる。
【0083】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態における電気光学装置について、図8及び図9を参照して説明する。第4実施形態における基本的な構造は、概ね上述した第1実施形態の場合と同様である。図8は、第4実施形態における、データ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図である。図9は、図8のB-B'断面図である。また、図8及び図9において、上述した第1実施形態と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0084】
図8及び図9に示すように、第4実施形態では、走査線3a−4は、ゲート電極3g−4と別層に、即ち第1層間絶縁膜41’を介して上層側に積層されている。そして、両者間は、コンタクトホール82及び82’によって、電気的に接続されている。また、これに伴い、第2〜第4層間絶縁膜42’〜44’が第1層間絶縁膜41’の上層側に順次積層されている。その他の構成については、上述した第1実施形態の場合と同様である。
【0085】
第4実施形態によれば、走査線3a−4を、例えば光透過性のドープトポリシリコン等の光透過性材料から構成した際に、走査線3a−4に対して上方斜め或いは下方斜めから入射した光が、当該シリコン等にとらえられて光ファイバーの中を行くように迷光として伝播されたとしても、コンタクトホール82及び82’が存在するので、ゲート電極3g−4にそのまま伝達されることはない。従って、走査線3a−4により伝播された光が、ゲート電極3g−4に対向配置されるチャンネル領域1a’付近に到達する可能性は殆ど無い。
【0086】
本実施形態では、走査線3a−4を、第1〜第3実施形態の場合と同様に、高融点金属等を含んでなる遮光性の導電材料から形成してもよい。或いは、少なくとも、コンタクトホール82及び82’を、このような遮光性の導電材料によってプラグしてもよい。いずれの場合にも、より確実に、走査線3a−4内を伝播する光がコンタクトホール82及び82’を通してゲート電極3g−4に入射するのを効果的に防止できる。
【0087】
加えて、本実施形態によれば、チャンネル領域1a’の直上には走査線3a−4は存在していないので、第2又は第3実施形態の場合と同様に、その上方における段差を低減できる。
【0088】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態における電気光学装置について、図10を参照して説明する。第5実施形態における基本的な構造は、概ね上述した第1実施形態の場合と同様である。図10は、第5実施形態における図2のB-B'断面に対応する個所における断面図である。また、図10において、上述した第1実施形態又は第4実施形態と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0089】
図10に示すように、第5実施形態では、走査線3a−5は、ゲート電極3g−5と別層に、即ち第1層間絶縁膜41”を介して下層側に積層されている。そして、両者間は、コンタクトホール84及び84’によって、電気的に接続されている。また、これに伴い、第2層間絶縁膜42”が第1層間絶縁膜41”の上層側に積層されている。その他の構成については、上述した第1又は第4実施形態の場合と同様である。
【0090】
第5実施形態によれば、走査線3a−5を、例えば光透過性のドープトポリシリコン等の光透過性材料から構成した際に、走査線3a−5に対して上方斜め或いは下方斜めから入射した光が、当該シリコン等にとらえられて光ファイバーの中を行くように迷光として伝播されたとしても、コンタクトホール84及び84’が存在するので、ゲート電極3g−5にそのまま伝達されることはない。従って、走査線3a−5により伝播された光が、ゲート電極3g−5に対向配置されるチャンネル領域1a’付近に到達する可能性は殆ど無い。
【0091】
本実施形態では、走査線3a−5を、第1〜第3実施形態の場合と同様に、高融点金属等を含んでなる遮光性の導電材料から形成してもよい。或いは、少なくとも、コンタクトホール84及び84’を、このような遮光性の導電材料によってプラグしてもよい。いずれの場合にも、より確実に、走査線3a−5内を伝播する光がコンタクトホール84及び84’を通してゲート電極3g−5に入射するのを効果的に防止できる。
【0092】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態における電気光学装置について、図11を参照して説明する。第6実施形態における基本的な構造は、概ね上述した第1実施形態の場合と同様である。図11は、第6実施形態における図2のB-B'断面に対応する個所における断面図である。また、図11において、上述した第1実施形態又は第4実施形態と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0093】
図11に示すように、第5実施形態では、走査線3a−6は、ゲート電極3g−6と別層に、即ち第1層間絶縁膜41’を介して上層側に積層されている。そして、両者間は、コンタクトホール82及び82’によって、電気的に接続されている。更に、走査線3a−6は、ゲート電極3g−6の上方にも形成されており、ゲート電極3g−6の上方からの光に対する遮光膜としても機能している。即ち、走査線3a−6は、好ましくは、遮光膜からなる。その他の構成については、上述した第1又は第4実施形態の場合と同様である。
【0094】
第6実施形態によれば、ゲート電極3g−6と走査線3a−6とは、別層であるので、走査線3a−6を伝播する光が、ゲート電極3g−6に伝達されることは殆どない。従って、走査線3a−6により伝播された光が、ゲート電極3g−6に対向配置されるチャンネル領域1a’付近に到達する可能性は殆ど無い。
【0095】
尚、上述した第4から第6実施形態では、ゲート電極と走査線とは、別層として形成されており、コンタクトホールを介して電気的に接続されている。しかしながら、これらの実施形態の変形形態として、両者間を、コンタクトホールに加えて或いは代えて、遮光性の導電材料からなる中継層を更に備えてもよい。このように構成すれば、走査線に対して上方斜め或いは下方斜めから入射した光が、走査線にとらえられて光ファイバーの中を行くように迷光として伝播されたとしても、中継層を介してゲート電極にまで伝播されることはなくなる。
【0096】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態における電気光学装置について、図12及び図13を参照して説明する。第7実施形態における基本的な構造は、概ね上述した第1実施形態の場合と同様である。図12は、第7実施形態における、データ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図である。図13は、図12のB-B'断面図である。また、図12及び図13において、上述した第1実施形態と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0097】
図12及び図13に示すように、第7実施形態では、走査線3a−7は、ゲート電極3g−7と同一層として形成されている。そして、両者は、TFT30の両脇において分断されていると共に、島状の導電性の遮光部材86及び86’によって電気的に相互に接続されている。遮光部材86及び86’は、例えば、金属膜、金属シリサイド又は金属ナイトライド等からなる。その他の構成については、上述した第1実施形態の場合と同様である。
【0098】
第7実施形態によれば、ゲート電極3g−7及び走査線3a−7を、例えば光透過性のドープトポリシリコン等の光透過性材料から構成した際に、走査線3a−7に対して上方斜め或いは下方斜めから入射した光が、当該シリコン等にとらえられて光ファイバーの中を行くように迷光として伝播されたとしても、遮光部材86及び86’が存在するので、ゲート電極3g−7にそのまま伝達されることはない。従って、走査線3a−7により伝播された光が、ゲート電極3g−7に対向配置されるチャンネル領域1a’付近に到達する可能性は殆ど無い。
【0099】
加えて、本実施形態によれば、チャンネル領域1a’の直上には走査線3a−7は存在していないので、第2から第4実施形態の場合と同様に、その上方における段差を低減できる。
【0100】
尚、第7実施形態の変形形態として、同一層として形成され且つ分断されたゲート電極3g−7と走査線3a−7との間を、これとは層間絶縁膜を介して上又は下側の別層に形成された導電層を介して電気的に接続してもよい。更にこの際、係る導電層を遮光性の導電材料から構築してもよい。尚、このような導電層とゲート電極3g−7との間、及びこのような導電層と走査線3a−7との間については、コンタクトホールを介して接続すればよい。
【0101】
(第8実施形態)
次に、本発明の第8実施形態における電気光学装置について、図14を参照して説明する。第8実施形態における基本的な構造は、概ね上述した第1実施形態の場合と同様である。図14は、第8実施形態における図2のB-B'断面に対応する個所における断面図である。また、図14において、上述した第1実施形態又は第7実施形態と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0102】
図14に示すように、第8実施形態では、第7実施形態の場合と同様に、走査線3a−8とゲート電極3g−8と同一層として形成されている。そして、両者間には、TFT30の両脇においてシリサイド化された遮光部分186及び186’が介在している。この際、シリサイド化された遮光部分186及び186’は、走査線3a−8及びゲート電極3g−8間を電気的に接続する導電部分としても機能する。その他の構成については、上述した第1又は第7実施形態の場合と同様である。
【0103】
第8実施形態によれば、ゲート電極3g−8及び走査線3a−8を、例えば光透過性のドープトポリシリコン等の光透過性材料から構成した際に、走査線3a−8に対して上方斜め或いは下方斜めから入射した光が、当該シリコン等にとらえられて光ファイバーの中を行くように迷光として伝播されたとしても、遮光部分186及び186’が存在するので、ゲート電極3g−8にそのまま伝達されることはない。従って、走査線3a−8により伝播された光が、ゲート電極3g−8に対向配置されるチャンネル領域1a’付近に到達する可能性は殆ど無い。
【0104】
尚、このような遮光部分186及び186’は、例えば、ポリシリコン膜等からなる走査線3a−8上に、Ti(チタン)やW(タングステン)などの金属を薄膜パターン形成し、加温によりその金属をポリシリコンの中に浸透させてシリサイド化することで比較的容易に形成できる。
【0105】
以上説明した第1から第8実施形態では、画素スイッチング用TFT30は、好ましくは図3に示したようにLDD構造を持つが、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cに不純物の打ち込みを行わないオフセット構造を持ってよいし、走査線3aの一部からなるゲート電極をマスクとして高濃度で不純物を打ち込み、自己整合的に高濃度ソース及びドレイン領域を形成するセルフアライン型のTFTであってもよい。また各実施形態では、画素スイッチング用TFT30のゲート電極を高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1e間に1個のみ配置したシングルゲート構造としたが、これらの間に2個以上のゲート電極を配置してもよい。このようにデュアルゲート或いはトリプルゲート以上でTFTを構成すれば、チャネルとソース及びドレイン領域との接合部のリーク電流を防止でき、オフ時の電流を低減することができる。更に、TFT30は、トップゲート型に限らず、ボトムゲート型でもよい。
【0106】
(電気光学装置の全体構成)
以上のように構成された各実施形態における電気光学装置の全体構成を図15及び図16を参照して説明する。尚、図15は、TFTアレイ基板10をその上に形成された各構成要素と共に対向基板20の側から見た平面図であり、図16は、図15のH−H’断面図である。
【0107】
図15において、TFTアレイ基板10の上には、シール材52がその縁に沿って設けられており、その内側に並行して、画像表示領域10aの周辺を規定する額縁としての遮光膜53が設けられている。シール材52の外側の領域には、データ線6aに画像信号を所定タイミングで供給することによりデータ線6aを駆動するデータ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられており、走査線3aに走査信号を所定タイミングで供給することにより走査線3aを駆動する走査線駆動回路104が、この一辺に隣接する2辺に沿って設けられている。走査線3aに供給される走査信号遅延が問題にならないのならば、走査線駆動回路104は片側だけでも良いことは言うまでもない。また、データ線駆動回路101を画像表示領域10aの辺に沿って両側に配列してもよい。更にTFTアレイ基板10の残る一辺には、画像表示領域10aの両側に設けられた走査線駆動回路104間をつなぐための複数の配線105が設けられている。また、対向基板20のコーナー部の少なくとも1箇所においては、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的に導通をとるための導通材106が設けられている。そして、図16に示すように、図15に示したシール材52とほぼ同じ輪郭を持つ対向基板20が当該シール材52によりTFTアレイ基板10に固着されている。
【0108】
尚、TFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等に加えて、複数のデータ線6aに画像信号を所定のタイミングで印加するサンプリング回路、複数のデータ線6aに所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
【0109】
以上図1から図16を参照して説明した実施形態では、データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104をTFTアレイ基板10の上に設ける代わりに、例えばTAB(Tape Automated bonding)基板上に実装された駆動用LSIに、TFTアレイ基板10の周辺部に設けられた異方性導電フィルムを介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。また、対向基板20の投射光が入射する側及びTFTアレイ基板10の出射光が出射する側には各々、例えば、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード、VA(Vertically Aligned)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード等の動作モードや、ノーマリーホワイトモード/ノーマリーブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板などが所定の方向で配置される。
【0110】
以上説明した実施形態における電気光学装置は、プロジェクタに適用されるため、3枚の電気光学装置がRGB用のライトバルブとして各々用いられ、各ライトバルブには各々RGB色分解用のダイクロイックミラーを介して分解された各色の光が投射光として各々入射されることになる。従って、各実施形態では、対向基板20に、カラーフィルタは設けられていない。しかしながら、画素電極9aに対向する所定領域にRGBのカラーフィルタをその保護膜と共に、対向基板20上に形成してもよい。また、対向基板20上に1画素1個対応するようにマイクロレンズを形成してもよい。あるいは、TFTアレイ基板10上のRGBに対向する画素電極9a下にカラーレジスト等でカラーフィルタ層を形成することも可能である。更にまた、対向基板20上に、何層もの屈折率の相違する干渉層を堆積することで、光の干渉を利用して、RGB色を作り出すダイクロイックフィルタを形成してもよい。
【0111】
(電子機器の実施形態)
次に、以上詳細に説明した電気光学装置をライトバルブとして用いた電子機器の一例たる投射型カラー表示装置の実施形態について、その全体構成、特に光学的な構成について説明する。ここに図17は、投射型カラー表示装置の図式的断面図である。
【0112】
図17において、本実施形態における投射型カラー表示装置の一例たる液晶プロジェクタ1100は、駆動回路がTFTアレイ基板上に搭載された液晶装置100を含む液晶モジュールを3個用意し、夫々RGB用のライトバルブ100R、100G及び100Bとして用いたプロジェクタとして構成されている。液晶プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投射光が発せられると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によって、RGBの3原色に対応する光成分R、G、Bに分けられ、各色に対応するライトバルブ100R、100G及び100Bに夫々導かれる。この際特にB光は、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。そして、ライトバルブ100R、100G及び100Bにより夫々変調された3原色に対応する光成分は、ダイクロイックプリズム1112により再度合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投射される。
【0113】
尚、本発明は、上述した実施形態の如き液晶装置の他、電子ペーパなどの電気泳動装置、EL表示装置等の各種電気光学装置にも適用可能である。
【0114】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴なう電気光学基板、電気光学装置及び電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態の電気光学装置における画像表示領域を構成するマトリクス状の複数の画素に設けられた各種素子、配線等の等価回路である。
【図2】 第1実施形態の電気光学装置におけるデータ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図である。
【図3】 第1実施形態における図2のA−A’断面図である。
【図4】 第1実施形態における図2のB−B’断面図である。
【図5】 比較例におけるB−B'断面図である。
【図6】 本発明の第2実施形態における図2のB-B'断面に対応する個所における断面図である。
【図7】 本発明の第3実施形態における図2のB-B'断面に対応する個所における断面図である。
【図8】 本発明の第4実施形態における、データ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図である。
【図9】 図8のB-B'断面図である。
【図10】 本発明の第5実施形態における図2のB-B'断面に対応する個所における断面図である。
【図11】 第6実施形態における図2のB-B'断面に対応する個所における断面図である。
【図12】 本発明の第7実施形態における、データ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図である。
【図13】 図12のB-B'断面図である。
【図14】 本発明の第8実施形態における図2のB-B'断面に対応する個所における断面図である。
【図15】 本発明の電気光学装置の実施形態における電気光学基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図である
【図16】 図15のH−H’断面図である。
【図17】 本発明の電子機器の実施形態に係る投射型カラー表示装置の概略ブロック図である。
【符号の説明】
1a’…チャネル領域
3g…ゲート電極
3a…走査線
6a…データ線
9a…画素電極
10…TFTアレイ基板
20…対向基板
30…TFT
50…液晶層

Claims (5)

  1. 基板上に、
    画素電極と、
    該画素電極に対応して設けられた薄膜トランジスタと、
    該薄膜トランジスタと電気的に接続された走査線と、
    該走査線と同一層からなるゲート電極と、
    を備えており、
    前記ゲート電極と前記走査線との間には、導電性の遮光部分が介在することを特徴とする電気光学基板。
  2. 前記遮光部分は、前記ゲート電極及び前記走査線の上又は下に層間絶縁膜を介して配置されており、その一端にて第1コンタクトホールを介して前記ゲート電極に接続され、且つその他端にて第2コンタクトホールを介して前記走査線に接続されていることを特徴とする請求項に記載の電気光学基板。
  3. 前記遮光部分は、前記同一層がシリサイド化されてなることを特徴とする請求項1に記載の電気光学基板。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の電気光学基板と、
    該電気光学基板に対向配置された対向基板と、
    該対向基板及び前記電気光学基板間に挟持された電気光学物質層と
    を備えたことを特徴とする電気光学装置。
  5. 請求項に記載の電気光学装置を具備することを特徴とする電子機器。
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