JP2004037680A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】像担持体の帯電電位ムラ、感度ムラなどによる露光部電位の変動による形成画像の濃度変動を防止し、且つ、安定した画像形成が可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】像担持体1と、帯電手段2と、露光手段3と、現像手段41と、像担持体1上の表面電位を検知する電位検知手段7と、電位検知手段7の検知結果に基づいて露光手段3による露光量を調整する露光量調整手段111と、を有する画像形成装置は、所定の帯電電位に対して露光量を変化させて得られる、像担持体1上の露光部における第1の範囲に対する第1の平均電位情報と、像担持体の軸方向における電位検知手段7の電位検知位置を含む、第1の範囲とは異なる第2の範囲に対する第2の平均電位情報と、の差分を補正量情報として記憶された記憶手段112を有し、現像手段に印加される電圧条件は、電位検知手段7により像担持体1の電位を検知した結果と、記憶手段112に記憶された補正量情報と、に基づいて設定される構成とする。
【選択図】 図11
【解決手段】像担持体1と、帯電手段2と、露光手段3と、現像手段41と、像担持体1上の表面電位を検知する電位検知手段7と、電位検知手段7の検知結果に基づいて露光手段3による露光量を調整する露光量調整手段111と、を有する画像形成装置は、所定の帯電電位に対して露光量を変化させて得られる、像担持体1上の露光部における第1の範囲に対する第1の平均電位情報と、像担持体の軸方向における電位検知手段7の電位検知位置を含む、第1の範囲とは異なる第2の範囲に対する第2の平均電位情報と、の差分を補正量情報として記憶された記憶手段112を有し、現像手段に印加される電圧条件は、電位検知手段7により像担持体1の電位を検知した結果と、記憶手段112に記憶された補正量情報と、に基づいて設定される構成とする。
【選択図】 図11
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式によって画像形成を行う複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものであり、より詳しくは、像担持体に静電潜像を形成する際の電位制御、露光量調整などのプロセスコントロールを行うことにより、像担持体の特性に応じて安定した画像形成を行うようにした画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式、即ち、像担持体としての電子写真感光体(感光体)に対する、画像情報に応じた光書き込みにより画像形成する方式を用いた画像形成装置においては、環境変化や経時変動などの影響をなくし、画質を安定に保つために、静電潜像の生成及び現像プロセスにおいて、電位制御及び露光量調整などのプロセスコントロールを行っている。
【0003】
そのプロセスコントロールは、帯電装置、露光装置、現像装置の順に配置される装置系の、露光装置と現像装置との間に設けられる、感光体の表面電位を検出する電位検知手段(電位センサ)を用いて行われている。
【0004】
つまり、電位センサを用いて、帯電処理した感光体の表面電位(以下、「帯電電位」という。)Vdを調整した後、露光後の電位が所定の値となるように露光量を調整するなどの制御が行われる。これにより、画質の安定化を図っている。
【0005】
又、2成分現像剤、即ち、トナーとキャリアとを備える現像剤を用いて画像形成を行う場合に、プロセスコントロールとして、上記の帯電電位Vd、露光量の調整に加え、トナー濃度の制御を行うことがある。又、基準パターンの書き込みによる感光体表面の電位を検知し、この検知値に応じて現像時に現像装置の現像剤担持体に印加する現像高圧を決定する制御がある。
【0006】
しかしながら、上述のようなプロセスコントロールを行う際に、感光体の帯電電位Vdのムラや、露光による感度のムラが大きい場合、電位センサの位置と、電位センサの位置以外の領域とで、電位に大きな差が発生することがある。
【0007】
電位センサの取り付け位置以外の領域で、電位が大幅に調整目標値と異なってしまう例として、非晶質シリコン(アモルファスシリコン)を主成分とする感光体(以下、「アモルファス感光体」と呼ぶ。)の形成に用いられるような成膜方法を用いる場合が挙げられる。
【0008】
アモルファス感光体の成膜方法の概略は次のようなものである。つまり、炉内に複数の材料をガス状にして噴出し、噴出したガスに高周波のプラズマを用いて炉内でグロー放電等を行い、アルミなどを基材として化学的気相成長方法を用いて成膜が行われる。
【0009】
しかしながら、一般に、炉内に噴出するガス管内の付着物による変化や、炉内での循環ガスの状況差により、基材全体で膜厚、膜質などを完全には均一にすることはできない。
【0010】
このように膜厚のムラ及び膜質のムラが発生すると、感光体の帯電電位ムラや感度のムラが発生する不具合が発生する虞がある。このため、一般にドラム型とされる感光体の回転方向、及び軸方向において帯電性能や、露光を行った場合の電位減衰特性差により、像露光により静電潜像を形成した際に、感光体の1周分に相当する電位ムラとなる。
【0011】
このような現象は、OPC感光体(有機感光体)においても発生することがある。OPC感光体の成膜方法としては、一般的に、液体の中に基材(素管)をヂッピングした後、乾燥させる方法が採用される。しかし、この方法においても、液体から素管を出した場合に、液膜差などが原因となって感光体の軸方向に帯電電位及び感度の傾きが発生する。
【0012】
従来、このような感光体の帯電電位ムラ及び感度のムラに対する対策方法として、様々な方法が提案されている。
【0013】
例えば、特開平6−83160号公報では、電位センサをドラム型の感光体の軸方向に複数取り付け、電位を検知することにより、コロナ帯電器の帯電線と感光体面とのギャップを自動的に制御する方法が提案されている。
【0014】
又、別の例として、特開平2000−267363号公報では、感光体ベルト1周分の電位ムラ及び濃度ムラを検知し、感光体ベルト1周内の感度ムラに対応させた濃度ムラを補正するために、感光体ベルトの回転周期に応じて露光量を変化させる方法が提案されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、像担持体としてアモルファス感光体を用いる場合、帯電電位ムラ及び感度ムラが、感光体の回転方向及び軸方向で、画像形成領域内に3次元的に存在する(以下、「面ムラ」ともいう。)。
【0016】
このような状況に対し、前記特開平6−83160号公報のような方法を用いて、複数の電位センサを取り付けて補正を行うと、プロセスコントロールの制御精度は向上するかもしれないが、装置の大型化を招き、又高価な電位センサを複数個用いることにより装置の価格が高くなる。
【0017】
又、特開平2000−267363号公報の方法を用いると、電位検知及び濃度検知を行う位置においては、電位及び濃度の変動に対する露光量の補正により濃度変動を低減することができるかも知れないが、感光体の軸方向全域で斯かる変動を検知していない。このため、アモルファス感光体のように、軸方向及び回転方向で、帯電電位ムラ及び感度ムラが3次元的に存在する場合には適切ではない。
【0018】
尚、一般に、OPC感光体では、感光体の軸方向の膜厚差による帯電電位の傾きの方が、その回転方向の帯電ムラ及び感度ムラよりも大きく、感光体の軸方向のみの補正を重視すればよいとされている。
【0019】
更に、感光体の帯電電位ムラや感度ムラが発生している場合、従来の技術は、画像濃度の均一性に着目してプロセスコントロールを行う。
【0020】
電子写真方式において静電潜像を顕像化する場合、感光体の帯電電位Vd及び最大露光部電位Vlの中間電位に相当する、所定の濃度に対応した現像直流高圧電位Vdcを印加して、現像コントラスト電位差Vcont(例えば非画像部露光による正規現像方式を用いる場合、感光体の帯電電位Vdと現像直流高圧電位Vdcとの電位差)を調整し、所定の濃度が得られるようにする。
【0021】
しかしながら、電子写真方式においては、画像形成領域において余分なトナーが付着してカブリ画像が発生しないように、非画像部コントラスト電位差(カブリ取り電位差)Vback(例えば非画像部露光による正規現像方式を用いる場合、感光体の最大露光部電位Vlと現像直流高圧電位Vdcとの電位差)も適正に制御する必要がある。
【0022】
又、現像手段に用いる現像剤としてトナーとキャリアとを所定の混合比で混ぜた2成分現像剤を用いる場合、カブリ取り電位差Vbackが大きくなりすぎると、キャリアが現像手段より像担持体へ付着する現象が発生することが広く知られている。このような現象が発生すると、画像不良を発生させるだけではなく、キャリアが感光体、或いは帯電手段、転写手段、中間転写手段に転移することなどによる不具合など、その他のプロセス手段への弊害も大きいため、充分に考慮しなければならない。
【0023】
従って、本発明の目的は、像担持体の帯電電位ムラ、感度ムラなどによる露光部電位の変動による形成画像の濃度変動を防止し、且つ、安定した画像形成が可能な画像形成装置を提供することである。
【0024】
本発明の他の目的は、電位検知手段を複数用いることなく、像担持体の帯電電位ムラ、感度ムラなどによる形成画像の濃度変動を防止し、且つ、安定した画像形成が可能な画像形成装置を提供することである。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、像担持体と、前記像担持体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記像担持体を露光して前記像担持体上に静電潜像を形成する露光手段と、電圧が印加されることで前記像担持体に現像剤を供給して静電潜像を現像する現像手段と、前記像担持体上の表面電位を検知する電位検知手段と、前記電位検知手段の検知結果に基づいて前記露光手段による露光量を調整する露光量調整手段と、を有する画像形成装置において、
所定の帯電電位に対して露光量を変化させて得られる、前記像担持体上の露光部における第1の範囲に対する第1の平均電位情報と、前記像担持体の軸方向における前記電位検知手段の電位検知位置を含む、前記第1の範囲とは異なる第2の範囲に対する第2の平均電位情報と、の差分を補正量情報として記憶された記憶手段を有し、
前記現像手段に印加される電圧条件は、前記電位検知手段により前記像担持体の電位を検知した結果と、前記記憶手段に記憶された補正量情報と、に基づいて設定されることを特徴とする画像形成装置である。
【0026】
本発明の一実施態様によると、前記第1の平均電位情報は、前記像担持体の軸方向の複数位置でそれぞれ前記像担持体の1周分の露光部電位を検知した結果の全体の平均値情報であり、前記第2の平均電位情報は、前記像担持体の軸方向における前記電位検知手段の検知位置で前記像担持体の1周分の露光部電位を検知した結果の平均値情報である。
【0027】
本発明の他の実施態様によると、前記像担持体上に形成した目標露光部電位を前記電位検知手段によって前記像担持体の1周分検知し、この結果に基づいて前記記憶手段に記憶された補正量情報から補正量を算出し、該検知結果に該補正量を加えた値を最大露光部電位として、この最大露光部電位に基づいて前記現像手段に印加される電圧条件が設定される。
【0028】
本発明の他の実施態様によると、前記露光量調整手段は、前記電位検知手段により検知した前記像担持体の1周分の電位検知情報と、前記記憶手段に記憶された補正量情報と、に基づいて露光部電位を調整する。一実施態様では、前記露光量調整手段を用いて調整される露光部電位は、前記像担持体上に形成される静電潜像を前記現像手段を用いて顕像化する際の非画像部電位である。又、一実施態様では、前記非画像部電位は、前記装置が有する複数の現像手段又は現像条件の変更に応じて算出される前記補正量に応じて調整される。又、本発明において、前記像担持体は、アモルファスシリコン感光体であってよい。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0030】
実施例1
図1は、本発明を適用し得る画像形成装置の一例の概略構成を示す。本実施例において、画像形成装置100は、電子写真方式を用いて記録材P、例えば、記録用紙、OHPシート、布などにカラー画像を形成することのできるカラープリンタである。
【0031】
先ず、画像形成装置100の全体構成及び動作概略について説明する。本実施例の画像形成装置100は、電子写真感光体に対し、帯電、像露光、複数箇所での正規現像、中間転写、及び光除電を行うことを含む画像形成プロセスにて画像を形成する。
【0032】
画像形成装置100は、像担持体としてのドラム型の感光体(感光体ドラム)1を有する。感光体1の周囲には、感光体1の帯電処理を行う帯電手段2、像露光を行う像露光手段3、正規現像を行う現像手段として第1現像手段41、第2現像手段42、中間転写方式にて転写を行う転写手段5、感光体1を清掃するクリーニング手段6、感光体1の表面電位を検知する電位検知手段(電位センサ)7、感光体1の表面の除電処理を行う光除電手段8などが配設されている。又、これらの各要素の動作を統括制御する制御手段(図示せず)が設けられている。
【0033】
本実施例では、第1現像手段41は、黒色(Bk)の現像剤を収容したブラック現像器4Bkであり、画像形成装置100内に固定配置されている。又、第2現像手段42は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色の現像剤を収容したイエロー現像器4Y、マゼンタ現像器4M、シアン現像器4Cを、回転可能な現像器支持体(回転支持体)42aに具備している。
【0034】
転写手段5は、中間転写体として中間転写ベルト5aを有する。中間転写ベルト5aの内側には、中間転写ベルト5aを介して感光体1と対向する位置に、1次転写手段5bが配設されている。又、中間転写ベルト5aに対向するように、2次転写手段5cが配置されている。
【0035】
画像形成プロセスの概略を説明すると、帯電手段2によって感光体1を一様に帯電させた後、像露光手段3によって感光体1の一様帯電面を露光することにより、所望の画像情報に従う静電潜像を形成する。例えば、フルカラーの画像形成時には、色分解された第1色目の画像情報信号に応じて静電潜像が形成される。その後、第1色目の現像色として、例えば、ブラック現像器4Bkを用いて、感光体1に形成した静電潜像に現像剤であるブラックトナーを供給して、ブラックトナー像とする。この第1色目のトナー像は、1次転写手段5bの作用によって中間転写ベルト5aに静電的に1次転写する。
【0036】
引き続き、上述と同様にして、帯電、像露光、現像、1次転写の各工程を繰り返すことにより、中間転写ベルト5a上に複数色のトナー像を重ねて転写する。この時、第2色目以降の画像の現像時には、順次回転支持体42aを回転させることにより、所望の現像器4Y、4M、4Cを感光体1との対向位置に移動させてトナー像を形成する。
【0037】
その後、別途所定のタイミングで搬送されてくる記録材P上に、2次転写手段5cの作用によって、中間転写ベルト5a上に形成した複数色のトナー像を一括して2次転写する。記録材Pに転写したトナー像は、次いで定着手段(図示せず)によって熱、圧力などによって定着させる。
【0038】
次に、本実施例の画像形成装置100が備える各要素について更に説明する。
【0039】
本実施例にて使用される感光体1は、導電性支持体上に光導電層を設けてなる、非晶質シリコンを主成分とした、一般的には、アモルファス感光体と呼ばれる感光体である。本実施例では、感光体1の外径はΦ80mmとした。又、周速度Udr=265mm/sにて回転駆動される。
【0040】
図2は、アモルファス感光体と有機感光体(OPC感光体)とのE−V特性(感光体の帯電電位の光減衰特性)差を示している。アモルファス感光体を用いて静電潜像形成を行う場合、露光による光減衰特性が、図2に示すように、OPC感光体よりも直線的に変化するため、静電潜像形成における孤立ドットの再現性に優れ、高画質な画像が得られることが知られている。
【0041】
本実施例にて使用される感光体1は、それぞれ電子写真画像形成に必要な機能が分離された積層構造を有している。本実施例では、図3に示すような5層型の構成を有している。つまり、導電性支持体1a上に、導電性支持体1aからの電荷注入を阻止する阻止層1b、光の照射による電荷対の発生が行われる光電荷発生層1c1、発生した電荷が移動可能な電荷輸送層1c2、最表層に電荷を保持するための電荷保持層1dが設けられている。光電荷発生層1c1と電荷輸送層1c2とで感光層1cを構成する。導電支持体1aの材料としては、主にアルミニニウムなどの金属導電材が挙げられる。
【0042】
感光層1cには、分光感度を調整や、帯電性、残留電位等の電気特性を改良するために、主成分のシリコン以外に水素、酸素、ブタンなどの成分を含有させてもよい。
【0043】
導電性支持体1a上に形成される非晶質シリコンを主成分とする積層構成は、それぞれの膜厚が、阻止層1bで3μm、感光層1c(光電荷発生層1c1、電荷輸送層1c2)で30μm、表層部(電荷保持層1d)が1μm程度となっている。
【0044】
本実施例にて使用される帯電手段2としては、磁気ブラシを用いた接触帯電方式、スコロトロン帯電を用いた帯電方式などが挙げられる。本実施例では、最も一般的に用いられるスコロトロン帯電方式を用いる。しかし、本発明は、帯電手段2を特にスコロトロン帯電方式に限られたものではなく、上記磁気ブラシ帯電方式などのような方式を用いても何ら問題はない。
【0045】
本実施例にて用いる帯電手段、即ち、スコロトロン帯電器(以下、単に「帯電器」と呼ぶ。)2は、図4に示されるように、放電ワイヤ(帯電線)2a、グリッド2b、シールド2cを有している。本実施例では、放電ワイヤ2aは、2本使用しているが、1本又は2本以上でもかまわない。又、本実施例では、放電ワイヤ2aとして、外径がΦ40〜100μm程度のタングステンワイヤを使用した。但し、導電性材料(表層に酸化防止層を持たせたてもよい)ワイヤや、別の針電極、鋸歯電極等、放電可能な導電材料であればよい。放電ワイヤ2aには、最大で10KV、電流量として1500μA程度の電圧が印加され放電動作が行われる。
【0046】
又、グリッド2bとしては、Φ50μm〜200μmの導電部材(SUS304、430や他の導電性材料)を用いた。但し、金属導電材料にエッジング加工によって網目などの特定のパターン形状を施したものを採用しても何ら問題はない。
【0047】
本実施例では、帯電器2の幅L(ほぼ感光体1の表面移動方向に沿う)は33mm、グリッド2bと感光体1の表面との間隔(Gap)は1.3mm、感光体1の表面移動方向にほぼ沿う放電領域の長さは約37mmである。
【0048】
そして、上述の帯電器2により、放電ワイヤ2a及びグリッド2bに帯電バイアス電圧を印加することにより、感光体1の表面を200V〜1000V程度の範囲に帯電させる。
【0049】
本実施例における感光体1の帯電処理(1次帯電)の条件としては、放電ワイヤ2aに印加した電流(1次電流)をIp、グリッド2bに所定のDCバイアス(Vgrid)を印加した条件下でシールド2c及びグリッド2bに流れる電流量をIgとした場合に、Ig/Ip(%)が30%以下の条件になるように設定している。これによって、感光体1の周方向の帯電電位ムラを収束させる。図5は、グリッド2bに印加する電圧(Vgrid)毎の上記電流Ipと感光体1上の電位との関係を示す。
【0050】
又、画像形成装置100の製造工程で、感光体1の帯電電位の軸方向の傾きを補正するために、放電ワイヤ2aとグリッド2bの間隔を調整する。
【0051】
上述のような調整を行うことにより、図6(A)に示すような、感光体1の軸方向の帯電電位の傾き、及び感光体1の周方向の帯電電位ムラを、図6(B)に示すように低減させている。
【0052】
尚、図6中、感光体1の軸方向における電位測定位置は、感光体1の軸方向(長手方向)の中心を基準として、装置本体前(F)側の長手方向一端部に向かってマイナス(mm)、装置本体背面(R)側の長手方向一端部に向かってプラス(mm)の値で示している。
【0053】
このように、Ig/Ip(%)、放電ワイヤ2aとグリッド2bとの間隔gを調整、制御することにより、感光体1の軸方向の帯電電位Vdの傾き、感光体1の周方向の帯電電位ムラを改善することができる。更に、本実施例では、詳しくは後述するようなプロセスコントロールを行うことにより、感光体1の帯電電位ムラ、感度ムラなどによる露光部電位Vlの変動の影響を防止する。
【0054】
像露光手段としては、例えば半導体レーザ光の他、LED光等の公知の光源を利用した画像形成露光装置を、特に制限はなく用いることができる。感光体1の表面に対して半導体レーザ光、LED光を、所望の像露光イメージに露光できる光学系機器であればよい。本実施例では、レーザ走査露光光学系3により、画像イメージの非画像部分を像露光する。
【0055】
本実施例では、複数の現像手段のうち帯電手段2に最も近い位置に、第1現像手段41であるブラック現像器4Bkが配設されている。ブラック現像器4Bkは、感光体1との間隔が一定に保たれ、現像位置からの離間機構を有しておらず、磁性非接触現像方式にて黒色の現像を行う。
【0056】
その他の現像手段(第2現像手段)として、上記ブラック現像器4Bkとは異なる色の画像を形成するための現像手段である、イエロー現像器4Y、マゼンタ現像器4M、シアン現像器4Cが、回転支持体42aに固定されて設けられている。そして、例えばフルカラーの画像形成時には、所定の像露光イメージに応じて感光体1との対向位置に移動され、現像に供される。
【0057】
各現像器は概略同様の構成を有しており、現像剤を収容する現像容器(現像器本体)4aと、現像容器4aの感光体1との対向部に位置して、一部現像容器4a外に露出するように回転可能に配置された、現像剤担持体としての現像ローラ4bと、を有している。現像ローラ4bは、表面に現像剤を担持して感光体1との対向部である現像領域に搬送し、感光体1上の静電潜像に応じて現像剤を感光体1に供給する。
【0058】
第1現像手段41であるブラック現像器4Bkは、磁性非接触現像方式で、正規現像により感光体1に形成した静電潜像を現像する。つまり、感光体1の帯電極性(本実施例では正極性)とは逆極性(本実施例では負極生)の帯電トナーを用いて、感光体1上の静電潜像を現像する。又、上述のように、本実施例では画像イメージの非画像部を露光するので、ブラック現像器4Bkは、上記正規現像により、感光体1上の非露光部に現像剤としてのトナーを転移させ、トナー像として可視化する。更に、現像時には、ブラック現像器1に所定の駆動が入力されると共に、現像ローラ4bにDC成分にAC成分を重畳した高圧(現像バイアス電圧)が印加される。
【0059】
この時、現像ローラ4bと感光体1との間隔は100〜300μm程度に保たれる。又、現像ローラ4b上には、1〜2(mg/cm2)程度のトナー層が形成され、現像ローラ4bに印加される現像バイアス電圧のAC成分は、1〜3KV程度のVpp(ピーク間電圧)、1〜3KHz程度の周波数とされる。
【0060】
カラー画像形成用の現像器4Y、4M、4Cも、ブラック現像器4Bkと同様、正規現像方式により、感光体1上の非露光部に、感光体1の帯電極性(本実施例では正極性)とは逆極性(本実施例では負極性)の帯電トナーを供給して現像を行う。但し、これらのカラー用現像器4Y、4M、4Cでは、ブラック現像器4Bk(第1現像手段41)とは異なり、トナーとキャリアとを備える2成分現像剤を用いて、現像剤担持体たる現像ローラ4b上に磁気ブラシを形成し、この磁気ブラシを感光体1に接触させた状態で現像を行う。
【0061】
このような2成分現像方式を用いる現像器4Y、4M、4Cとしては、公知の構成を特に制限なく用いることができ、特定の条件を要するものではない。本実施例では、現像時に現像ローラ4bに印加する現像バイアス電圧として、DC高圧成分に、AC成分としてVppが1〜2kV、周波数が5〜10kHz程度の矩形波を重畳している。
【0062】
転写手段5は、感光体1上に形成したトナー像を、色毎に順次中間転写体である中間転写ベルト5a上に合成し、その後一括して記録材Pへ2次転写する。中間転写ベルト5aへのトナー像転写を行う1次転写手段5b、及び記録材Pへのトナー像の転写を行う2次転写手段5cとしては、特に限定されるものではないが、本実施例では、回転自在な導電支持体上に形成された導電性弾性ローラ(1次転写ローラ、2次転写ローラ)を用いた。そして、それぞれの転写工程時に、1次転写ローラ5b、2次転写ローラ5cの導電性支持部に、一定電流又は一定電圧に制御された高圧が印加され、環境、トナー像、記録材Pに応じて好適に1次転写及び2次転写が行われるように高圧制御が行われる。
【0063】
光除電手段8としては、それ自体公知の光源を用いることができる。光除電に用いられる露光手段、及び光源の種類には特に制限はない。本実施例では、像露光手段たるレーザ走査露光光学系3のレーザ光源の中心波長が655nmであるのに対し、光除電手段の中心波長は660nmである。
【0064】
次に、本実施例の画像形成装置100の基本的な作像シーケンスについて説明する。ここで、感光体1の周面方向における、光除電手段8の光除電位置、帯電器2の帯電位置(領域)、像露光手段3による像露光位置、電位センサ7の電位検知位置、第1現像手段41の現像位置(領域)、第2現像手段42の現像位置(領域)を、図1に示しように、それぞれE1、E2、E3、E4、E5、E6とする。尚、これら各位置は、感光体1との対向領域に感光体1の表面移動方向にほぼ沿って幅がある場合は、その幅の中心位置とする。
【0065】
本実施例では、感光体1の初回転駆動の際に、光除電手段8を動作させ、次に、光除電手段8の動作開始時に光除電手段8との対向位置E1にあった感光体1の部位(以下、「開始部位」という。)が帯電器2に対向する位置E2に到達したときから、帯電器2の放電ワイヤ2aに所定の高圧を印加する。
【0066】
この時、帯電器2のグリッド2bに印加される電圧は、感光体1の回転開始後の定常回転に到達した時間を基準(他の基準であっても構わない。)として、高圧の立ち上がりに必要な時間を考慮し、帯電器2の放電ワイヤ2aへの印加動作が開始される前に動作制御されていることが望ましい。
【0067】
その後、「開始部位」が、像露光手段3による像露光位置E3に到達したときから、図7に示すように、感光体1の表面電位が非画像部電位(露光部電位)Vlの設定値以上にならないように、像露光手段3を作動させて非画像部電位(全面露光)を形成する。
【0068】
その後、所定のタイミングで画像形成領域に対し像露光を動作させる。本実施例では、正規現像方式を用いているため、信号処理された非画像部イメージの像露光を行う。
【0069】
本実施例のようにアモルファス感光体を用いる場合には、その帯電電位については、図6(A)、(B)を参照して説明したように、感光体の周方向の帯電電位ムラ及び感光体の軸方向の帯電電位の傾きに対しては、比較的容易にその低減対策が可能であるため、上述のように感光体の帯電電位Vd側に現像を行う(即ち、非画像部を露光する)正規現像方式を採用することが有利である。
【0070】
上述のようなシーケンスに従って感光体1に形成した静電潜像は、現像手段によって現像される。次に、本実施例の画像形成装置100において、第1現像手段41(ブラック現像器4Bk)を用いて画像形成する場合について説明する。
【0071】
つまり、帯電器2による帯電処理の後に像露光手段3を用いて形成された非画像部電位(露光部電位)Vlがブラック現像器4Bkに到達する前に、ブラック現像器4Bkの現像ローラ4bに、現像ローラ4bの駆動停止条件下でDC高圧を印加する。そのDC高圧値は、画像形成を行う際にブラック現像器4Bkの現像位置E5を通過する最大の帯電電位Vdよりも大きな値であり、本実施例では、Vd+150V程度のDC高圧を印加する(以下、このDC高圧を、「現像前DC高圧」という。)。
【0072】
このようにDC高圧を制御して、帯電初期区間において感光体1の帯電電位(画像部電位、非露光部電位)Vdへのトナー付着によるカブリ画像発生を抑制した条件、即ち、ブラック現像器4Bkの現像ローラ4bに現像前DC高圧のみが印加された条件を、像露光手段3で非画像部露光潜像(BAE潜像)が形成されるタイミングまで持続する。
【0073】
次いで、上述のように現像前DC高圧を印加した後、像露光手段3による像露光が開始され、静電潜像形成された感光体1の部位がブラック現像器4Bkの位置E5に到達する前に、ブラック現像器4Bkが作像動作条件へ変更される。尚、作像動作条件における現像DC高圧値の設定方法については後述する。
【0074】
先ず、ブラック現像器4Bkの現像ローラ4bに印加するDC高圧を、2段階目の高圧として作像時の高圧に切り替え、所定時間(高圧切り替えに必要な時間)経過後に、現像ローラ4bの駆動を開始する。
【0075】
その後、現像ローラ4bが定常回転になった状態で、現像ローラ4bに印加するDC高圧にAC高圧(1〜3KV、Vpp1〜3KHz)を重畳し、このAC高圧が完全に立ち上がった条件を形成し、作像動作条件が設定される。
【0076】
そして、所定の画像イメージの静電潜像(本実施例では、非画像部露光潜像)がブラック現像器4Bkとの対向位置E5を通過すると、感光体1上の静電潜像にブラック現像器4Bkからトナーが供給され、感光体1にトナー像が形成される。
【0077】
画像イメージの静電潜像の形成終了後には、感光体1の表面には、画像イメージの静電潜像電位領域に継続して像露光手段3によって非画像部電位が形成されている(全面露光)。従って、この条件で、ブラック現像器4Bkの現像ローラ4bに印加する現像バイアス電圧のAC成分をOFFし、このAC高圧の立下り時間を考慮して、所定時間後に現像ローラ4bの駆動を停止し、又現像ローラ4bに印加するDC高圧を作像条件から、再度現像前DC高圧値へ変更する。
【0078】
そして、この状態で、帯電器2、像露光手段3を停止し、無帯電区間がブラック現像器4Bkとの対向位置E5を通過した後に、ブラック現像器4Bkの現像ローラ4bに印加するDC高圧をOFFするように制御する。
【0079】
尚、ブラック現像器4Bkのみを用いて画像形成を行う際には、第2現像手段42(イエロー現像器4Y、マゼンタ現像器4M、シアン現像器4C)は、回転支持体42aが回転して、いずれの色の現像手段も第2現像手段42の現像位置E6に対向しない位置に待避している。
【0080】
一方、第1色目以外の回転支持体42aに固定された第2現像手段42(イエロー現像器4Y、マゼンタ現像器4M、シアン現像器4C)で現像を行う際には、本実施例では現像位置からの離間機構を有しないブラック現像器4Bkを、第2色目以降の画像イメージの静電潜像が通過することになる。このため、第2色目以降の画像形成時には、ブラック現像器4Bkの現像ローラ4bに2段階目のDC高圧のみを印加する。色の切り替えによりブラック現像器4Bkを用いて現像を行うときのみ、前述の方法に従って現像条件を形成する。こうして、中間転写ベルト5a上で合成する複数色のトナー像を形成することができる。
【0081】
第2現像手段42(イエロー現像器4Y、マゼンタ現像器4M、シアン現像器4C)を用いて現像を行う際には、所定の色の像露光イメージの静電潜像が形成された感光体1の部位が第2現像手段42の現像位置E6に到達するタイミングに合わせて、所定の色用の現像器が感光体1の対向位置に移動される。そして、上記ブラック現像器4Bkの場合と同様に、作像時の現像バイアス条件により現像ローラ4bに現像バイアス電圧を印加すると共に、現像ローラ4bを駆動して現像を行う。
【0082】
本発明の画像形成装置100は、上述のような一連の制御を、前述した順序どおりに、光除電手段、帯電手段、像露光手段、現像手段の作動を制御する機能を備えた制御手段を有している。
【0083】
次に、本実施例において最も特徴的な、画像形成のプロセスコントロールについて説明する。
【0084】
図8は、本実施例におけるプロセスコントロールの制御態様を模式的に示す。図8に示すように、画像形成装置100が備える制御手段(制御回路)101は、演算制御の中心素子たるCPU111、記憶手段112を有し、更に一般の制御回路同様、制御手段101の外部の機器との信号の入出力を行うためのA/D変換器、D/A変換器、インターフェース素子I/Oなどを備えている。
【0085】
制御手段101には、電位センサ7、温度湿度センサなどとされる環境検知手段9が接続されており、CPU111は、これら検知手段の出力、記憶手段112内に格納されたテーブルデータなどの情報に基づいて演算処理することにより、以下詳しく説明するプロセスコントロール方法に従って、像露光手段3、或いは現像手段(第1現像手段41、第2現像手段42)に高圧電圧を印加する現像高圧印加手段40に対する制御信号を生成する。このように、本実施例では、CPU111は、像露光手段3の露光量を調整する露光量調整手段、現像条件(高圧条件)を制御する現像条件調整手段の機能を有する。
【0086】
以下、本実施例における画像形成のプロセスコントロールの手順を説明する。図9は、本実施例におけうプロセスコントロールの概略手順を示す。本実施例では、以下説明するように、露光量調整、及び現像条件の制御を行う。勿論、画像形成装置がその他のプロセスコントロールをも行うことを妨げるものではないが、ここでは煩雑さを避けるために、露光量調整、現像条件の制御についてのみ説明する。
【0087】
本実施例では、記憶手段112に記憶されている環境に応じた目標現像コントラスト電位差Vcont、目標非画像部コントラスト電位差Vbackを読み込み(S1、S2)、目標潜像コントラスト電位差Viを算出する(S3)。又、本実施例の画像形成装置は、感光体1の外周面に対して電位センサ7、第1及び第2現像手段41、42の配設位置が異なるので、記憶手段112に記憶された感光体1の電位減衰情報(基本電位関係テーブル)より、電位センサ7の位置(以下、「センサ位置」という。)E4、第1現像手段41の現像位置(以下、「第1現像位置」という。)E5、第2現像手段42の現像位置(以下、「第2現像位置」という。)E6の各目標電位を算出する(S4)。そして、現像位置に応じた目標露光部電位VlTを算出する(S5)。
【0088】
続いて、予め求められて記憶手段112に記憶されている、感光体1の画像形成領域の面ムラ情報(補正量情報)を読み出し、現像位置に応じた目標露光部電位を補正する(S6)。又、現像位置に応じた目標露光部電位VlTに対応するセンサ位置における電位を算出し(S7)、露光部電位の調整に供する。更に、本実施例では、感光体1の画像形成領域の面ムラ情報(補正量情報)を考慮して現像DC高圧の目標値を算出する(S8)。以下、更に詳しく説明する。
(I)感光体1の帯電電位Vdの設定:
本実施例では、感光体1の帯電電位は、各現像位置において変更されることがなく、第1現像手段41の位置E5で500V、第2現像手段の位置E6で450V、又電位センサ7の位置E4で525Vになるように調整される。
【0089】
上記3箇所(E4、E5、E6)における電位差は、感光体1の出荷時検査で得られた暗部電位減衰情報に基づいて算出される。つまり、記憶手段112内に、センサ位置E4、第1現像位置E5、第2現像位置E6に対応する感光体1の暗部電位(帯電電位、非露光部電位)Vdの減衰情報が記憶されている。
【0090】
この情報を用いることにより、制御手段101は、センサ位置E4における電位検知結果からその他の位置E5、E6における感光体1の表面電位を検知することができる。
【0091】
帯電電位Vdは、帯電器2により感光体1の帯電処理(1次帯電)を行いながら、センサ位置E4検知される感光体1の電位が所定の目標帯電電位Vdに収束するように、帯電器2のグリッド2bの電位(グリッド電位)Vgの調整を行うことで制御する。
【0092】
本実施例では、図10に示すような方法でグリッド2bに印加する高圧値を変化させた場合の感光体1の電位変化(グリッド電位Vgと感光体1の表面電位との関係)を検知して、予め設定されている目標帯電電位Vdに対応するグリッド2bのターゲット値VgTを算出する。そして、このターゲット値VgTの高圧をグリッド2bに印加することで、感光体1の目標電位VdTを得る。
【0093】
上述のように、感光体1の帯電電位は、予め設定されたグリッド2bの配置、Ig/Ip(%)の設定によって、感光体1の軸方向及び回転方向で比較的均一に制御することができる。
(II)レーザパワーLPの設定:
次に、像露光手段が備える光源(半導体レーザ)のレーザパワーと感光体1の表面電位との関係を算出する。
【0094】
つまり、本実施例では、レーザパワーの設定値を256分割で制御できるようになっており、図10に示すように16進信号レベルで4段階(40H、60H、80H、A0H)に、感光体1の1周毎にレーザパワーを変化させて感光体1の電位を電位センサ7で計測することにより、レーザパワーの設定値LPと感光体1の表面電位との関係を算出するとともに、感光体1の1周期分の電位情報を検出する。
【0095】
レーザパワーの設定値LPは、感光体1の軸方向における電位センサ7の位置(以下、「軸方向センサ位置」という。)における、感光体1の1周毎の平均電位と、レーザパワーの設定値LPとの関係として記憶手段112に記憶させることができる。
(III)露光部電位Vlの設定:
本実施例では、記憶手段112に、環境に応じた目標現像コントラスト電位差Vcont、及び目標非画像部コントラスト電位差Vbackの情報を記憶している。
【0096】
そして、環境検知手段9の検知結果に基づいて記憶手段112から読み込んだ、目標現像コントラスト電位差Vcont、目標非画像部コントラスト電位差Vbackに基づき、感光体1の目標帯電電位VdtTから算出される目標潜像コントラスト電位差ViTより、目標露光部電位VlTを算出する。
【0097】
VlT=VdtT−ViT
(ViT=Vcont+Vback)
【0098】
ここで、目標露光部電位VlTを算出する際に、予め求められた、露光量に応じた感光体1の全域の平均電位と、軸方向センサ位置における感光体1の1周期分の平均電位との差分を補正量ΔVとして用いて、露光部電位Vlの目標値を補正する。
【0099】
この補正量は、予め記憶手段112に記憶している。つまり、本実施例では、感光体1の軸方向及び周方向(回転方向)に、図11に示すような露光部電位ムラが発生している場合に、所定の帯電電位に帯電させた感光体1を所定の露光量にて露光して得た露光部電位(後述)に関して、第1の範囲として感光体1の全体(軸方向及び周方向)の平均値(第1の平均電位情報)と、第2の範囲として軸方向センサ位置において検出した電位の平均値(第2の平均電位情報)との差分情報を予め求め、これを補正量ΔVとして記憶手段112に記憶している。
【0100】
補正量ΔVは、詳しくは後述するように、所定の帯電電位に帯電された感光体1上に形成した複数種類の露光部電位に関して予め求められ、テーブルデータとして記憶手段112に記憶されている。これにより、上述のように目標潜像コントラスト電位差ViTから算出される目標露光部電位VlTに応じた補正量ΔVを、このテーブルデータから線形補間を用いることで算出することができる。
【0101】
そして、この補正量ΔVを用いて目標露光部電位VlTの設定を補正する。尚、実際には、所望の現像位置における露光部電位は、センサ位置において電位センサ7を用いて行うので、図12に示すように、記憶手段112に記憶されている電位減衰情報を利用して、所望の現像位置における露光部電位が補正後の電位となるように、センサ位置における非画像部電位Vlの調整を行う。
(IV)現像DC高圧Vdcの設定:
本実施例では、上記目標露光部電位VlTの補正に加えて、更に補正量ΔVに基づいて現像DC高圧値を設定する。
【0102】
つまり、本実施例では、上述のように目標潜像コントラスト電位差ViTから算出された目標露光部電位VlTに応じた補正量ΔVを考慮して、現像DC高圧Vdcを設定する。
【0103】
上述したように補正量ΔVは、所定の帯電電位に帯電された感光体1上に形成した複数種類の露光部電位に関して予め求められ、テーブルデータとして記憶手段112に記憶されている。これにより、詳しくは後述するように、目標潜像コントラスト電位差ViTから算出される目標露光部電位VlTに応じた補正量ΔVを、このテーブルデータから線形補間を用いることで算出することができる。
【0104】
そして、この補正量ΔVによって補正した目標露光部電位VlTと、目標非画像部コントラスト差Vbackとから、現像DC高圧を設定することができる。
【0105】
これにより、補正量ΔVより求められた感光体1の全体の平均電位に対して現像DC高圧Vdcの値を設定することにより、感光体1の全域(軸方向及び周方向)の電位ムラの中心値に対して非画像部コントラスト電位差Vbackを設定することができる。
【0106】
本実施例では、現像DC高圧Vdcの調整時に、上述のように目標潜像コントラスト電位差ViTから算出される目標露光部電位VlTとなるように、目標帯電電位VdTに帯電された感光体1を露光し、電位センサ7により、軸方向センサ位置における感光体1の1周分の露光部電位を検出する。そして、その平均値に対して上述のように補正量ΔVを求め、目標露光部電位VlTを補正した値に対して、目標非画像部コントラスト電位Vbackから現像DC高圧を設定する。
(V)補正量ΔV:
本実施例では、補正量ΔVは、次のようにして予め設定されている。
【0107】
本実施例の画像形成装置100は、現像手段として第1の現像手段41、第2の現像手段42を有する。又、上述のように、感光体1の表面電位を検知する電位検知センサ7は、感光体1の回転方向において第1、第2現像手段41、42よりも上流位置に配置される。このため、電位検知センサ7、第1、第2現像手段41、42の配設位置、感光体1の帯電電位減衰特性に鑑みた制御を行う。
【0108】
感光体1に対向して設けられる複数の現像手段のそれぞれの位置に応じた帯電電位と、電位レベルの異なる露光部電位のムラの情報とを、全て感光体1の出荷検査時に完全に測定しておくことは、検査データの増加につながり、検査にかかる時間、コストが増大する虞がある。又、画像形成装置100内に記憶させるべき情報が多くなるため、画像形成装置100に設ける記憶手段112の容量を大きくする必要があり、コストが増大する虞がある。そこで、本実施例では、補正量ΔVは、感光体1の出荷検査時に以下に説明するような条件下で設定する。
【0109】
本実施例では、感光体1の出荷時検査においては、感光体1が画像形成装置100内に取り付けられたときに帯電器2から感光体1の回転方向で最も遠い第2現像位置E6を基準にして、感光体1の電位調整を行う。又、感光体1の軸方向では、画像形成装置100内の電位センサ7の取り付け位置(軸方向センサ位置)を基準として感光体1の電位調整を行う。
【0110】
そして、感光体1の出荷時検査に、所定の帯電電位に帯電された感光体1上に、上記基準位置において所定の目標露光部電位(平均電位)となるように露光部電位を形成する。露光部電位は、感光体1の画像形成領域全面に対して少なくとも感光体1の1周分形成する。
【0111】
こうして形成した露光部電位を、感光体1の軸方向において、画像形成領域中心位置(通常、感光体1の長手方向中心位置)を基準として5点で計測する。感光体1の全域(軸方向及び周方向)の平均電位は、こうして感光体1の軸方向に5点で測定した電位の平均値である。このとき、画像形成装置100内における軸方向センサ位置は、上記5点の何れかのポイントに設定されており、この軸方向センサ位置に相当する位置における感光体1の1周分の平均電位を同時に求める。
【0112】
そして、軸方向センサ位置に相当する位置で検出された平均電位を基準として、上記5点で計測した電位の平均電位との差分を補正量ΔVとする。但し、本発明は、検査時において感光体1の軸方向において電位検知する箇所を5箇所に限定するものではない。検査データの増大が許容しうる場合、より多くの箇所で測定することで、補正量ΔVはより精度よく感光体1の電位ムラを反映することができる。又、形成画像或いは画像形成装置の安定性の上で許容しうる限り、より少ない箇所で測定することもできる。
【0113】
補正量ΔV=軸方向5点の平均電位−軸方向センサ位置の平均電位・・(1)
【0114】
本実施例では、上記基準位置(第2現像位置E6,軸方向センサ位置)において調整する露光部電位(平均電位)の水準は3種類(300V、200V、100V)とした。但し、本発明はこの露光量調整値を3種類に限定するものではない。検査データの増加が許容しうる場合、より多くの水準に対して補正量ΔVを設定することができる。
【0115】
又、本実施例では、上記基準位置、即ち、感光体1の回転方向最下流の第2現像位置E6における電位を、300V、200V、100Vの3水準の電位に調整した場合の、感光体1の回転周方向におけるセンサ位置E4及び第2現像位置E6における露光部電位Vlの補正量ΔVを、式(1)を用いて求め、表1に示すようなテーブルデータの形態で画像形成装置100内の記憶手段112に記憶している。
【0116】
【表1】
【0117】
表1の例は、図11に示すように、軸方向センサ位置における感光体1の1周期分の平均電位に対して、感光体1の全域の平均電位が低い方に存在するように電位ムラが発生している場合の例である。
【0118】
尚、記憶手段112に設定する画像形成領域1周分に対応した電位ムラ情報は、個々の感光体1について検査して求めることに限定されるものではない。当業者には容易に理解されるように、このような電位ムラ情報は、感光体1のロット毎、製造工場毎など、所定の製造単位毎に求めてもよい。
【0119】
第2現像位置E6の第2現像手段42の現像条件設定については、画像形成装置100におけるプロセスコントロール時に、環境の変化に応じて目標現像コントラスト電位差VcontT、及び目標非画像部コントラスト電位差VbackTが変化した場合には、表1に示すテーブルデータを用いて、感光体1の回転方向最下流の第2現像位置E6に対する補正量ΔVを考慮して、上述のようにして現像DC高圧Vdcを設定する。
【0120】
尚、感光体1の回転方向最下流の第2現像位置E6の第2現像手段42の現像条件調整する場合、第2現像位置E6における軸方向センサ位置の露光部電位Vlを得る際に、実際には感光体1の回転方向上流側にある電位センサ位置E4の検知情報に基づいて露光部電位を調整するので、図12に示すように、記憶手段112に記憶された感光体1の電位減衰情報にもとづいて、第2現像位置にて環境に応じた所定の目標露光部電位VlTとなるようにセンサ位置E4における電位を調整する。
【0121】
このとき、感光体1の回転方向最下流の第2現像位置E6における目標露光部電位VlTを求めるための補正量ΔVは、表1のテーブルデータを用いて線形補間をすることにより求められる。
【0122】
同様に、センサ位置E4における目標露光部電位VlTを求めるための補正量ΔVも、表1のテーブルデータから、線形補間を用いて算出される。
【0123】
次に、第1現像手段41の現像条件設定について説明すると、本実施例では、電位センサ位置E4と、第1現像手段感光体1の回転方向最下流の第2現像位置E6との間に第1現像手段41は存在する。この位置における補正量ΔVは、感光体1と対向する電位センサ7、第1現像手段41、第2現像手段42の位置関係である角度の関係から算出する。
【0124】
本実施例の画像形成装置100では、電位センサ7と第1現像手段41との間の角度(感光体1の回転中心からセンサ位置E4、第1現像位置E5のそれぞれへの直線の成す角度)は20度、又第2現像手段までの角度(感光体1の回転中心からセンサ位置E4、第2現像位置E6のそれぞれへの直線の成す角度)は74.5度である。この角度の比率と、表1に示されるテーブルデータとして記憶手段112に記憶されているセンサ位置E4及び第2現像位置E6に対する補正量ΔTの情報から、第1現像位置E5の第1現像手段41に対する補正量ΔVを算出する。
【0125】
つまり、第1現像位置E5の第1現像手段41に対して環境に応じて算出される目標露光部電位VlT値に対応する、センサ位置E4及び第2現像位置E6に対する補正量ΔVをそれぞれ上述のように線形補間により求める。そして、上記角度関係を用いて、これらセンサ位置E4及び第2現像位置E6に対する補正量ΔVから、第1現像位置E5に関する補正量ΔVを求める。こうして求めた補正量ΔVを用いて、上述のようにして、第1現像手段41に関する現像DC高圧条件を設定することができる。
【0126】
電位減衰は時間に比例しており、感光体1の帯電電位(画像部電位)である暗部電位Vdや露光部電位Vlなどの電位の減衰量は時間に対し非線形である(図12)。しかし、感光体1の電位ムラ、感度ムラについては、暗減衰のように大きな変化ではないため、本実施例の画像形成装置100では、上述のように、補正量ΔVは、全ての現像位置について予め測定して記憶する代わりに、感光体1の回転中心を基準とした角度比率で線形補間を行っている。
【0127】
勿論、本発明はこれに限定されるものではなく、検査データの増加が許容しうる場合、全ての現像位置に対して補正量ΔVを設定することができる。又、全ての現像手段が同じ現像位置(例えば、本実施例におけるブラック現像器4Bkをも回転支持体42aに装着されている場合など。)には、1箇所の現像位置に対する補正量ΔVのデータが記憶されていればよい。
【0128】
尚、非画像部電位は、複数の現像手段、或いは現像条件の変更に応じて算出される補正量ΔVを用いて調整される。例えば、環境に応じた目標現像コントラスト電位差Vcont、目標非画像部コントラスト電位差Vbackは、各現像色について設けられいてよい。この場合、それぞれの現像色に対する目標潜像コントラスト電位差から算出される目標露光部電位VlTに応じて補正量ΔTを求め、目標露光部電位VlT、現像DC高圧の設定を各現像色毎に行う。
【0129】
本実施例では、画像形成動作、プロセスコントロールは、画像形成装置100が備えた制御手段101が制御するとして説明したが、コンピュータなどの画像形成装置100に接続された公知の制御手段を用いて行ってもよい。
【0130】
以上、本実施例の制御方法によれば、安定して電位ムラの少ない条件で帯電電位を形成することができる。本実施例の制御方法を用いることにより、感光体1の感度ムラによる電位ムラを考慮して露光部電位Vlを調整し、又現像DC高圧Vdcを設定することにより、感光体1の全域の平均電位に対して非画像部コントラスト電位差Vbackを確保することができると共に、局所的に非画像部コントラスト電位差が小さい場合に発生するカブリ画像や、大きすぎる場合に発生するキャリア付着現象などの画像不具合の発生を防止することが可能であり、常に安定した画像形成を行うことが可能となる。又、本実施例によれば、電位検知手段を複数用いることなく、上記効果を得ることができるので、装置構成の簡略化、コストの低減を図ることができる。
【0131】
上述では、本発明を例示する目的で、画像形成装置の具体的構成を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。画像形成装置の構成部品の寸法、材質、及び形状、その他の相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0132】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、像担持体の帯電電位ムラ、感度ムラなどによる露光部電位の変動による形成画像の濃度変動を防止し、且つ、安定した画像形成が可能である。又、電位検知手段を複数用いることなく上記効果を奏し得るので、装置構成の簡略化、コスト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用しうる画像形成装置の一実施例の要部概略構成図である。
【図2】アモルファス感光体と有機感光体のE−V特性を説明するためのグラフ図である。
【図3】アモルファス感光体の層構成の一例を説明するための模式図である。
【図4】図1の画像形成装置が備えうる帯電器の一例の模式図である。
【図5】グリッドに印加する電圧Vgrid毎の、帯電器の帯電線に印加する電流Ipと感光体帯電電位との関係を示すグラフ図である。
【図6】(a)像担持体の帯電電位の傾き(ムラ)を説明するためのグラフ図、(b)帯電電位条件及び帯電線の高さ調整後の像担持体の帯電電位をするためのグラフ図である。
【図7】非画像部電位の露光開始タイミングを説明するためのグラフ図である。
【図8】本発明に従うプロセスコントロールの制御態様の一実施例を模式的に示すブロック図である。
【図9】本発明に従うプロセスコントロールの基本フロー図である。
【図10】本発明に従う電位制御の手順を説明するためのモデル図である。
【図11】補正量算出の概念を説明するための説明図である。
【図12】現像位置とセンサ位置との電位の関係を説明するためのグラフ図である。
【符号の説明】
1 感光体(像担持体)
2 帯電器(帯電手段)
3 像露光手段
5 転写手段
6 クリーニング手段
7 電位検知手段(電位センサ)
8 光除電手段
41 第1現像手段
42 第2現像手段
101 制御手段
111 CPU
112 記憶手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式によって画像形成を行う複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものであり、より詳しくは、像担持体に静電潜像を形成する際の電位制御、露光量調整などのプロセスコントロールを行うことにより、像担持体の特性に応じて安定した画像形成を行うようにした画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式、即ち、像担持体としての電子写真感光体(感光体)に対する、画像情報に応じた光書き込みにより画像形成する方式を用いた画像形成装置においては、環境変化や経時変動などの影響をなくし、画質を安定に保つために、静電潜像の生成及び現像プロセスにおいて、電位制御及び露光量調整などのプロセスコントロールを行っている。
【0003】
そのプロセスコントロールは、帯電装置、露光装置、現像装置の順に配置される装置系の、露光装置と現像装置との間に設けられる、感光体の表面電位を検出する電位検知手段(電位センサ)を用いて行われている。
【0004】
つまり、電位センサを用いて、帯電処理した感光体の表面電位(以下、「帯電電位」という。)Vdを調整した後、露光後の電位が所定の値となるように露光量を調整するなどの制御が行われる。これにより、画質の安定化を図っている。
【0005】
又、2成分現像剤、即ち、トナーとキャリアとを備える現像剤を用いて画像形成を行う場合に、プロセスコントロールとして、上記の帯電電位Vd、露光量の調整に加え、トナー濃度の制御を行うことがある。又、基準パターンの書き込みによる感光体表面の電位を検知し、この検知値に応じて現像時に現像装置の現像剤担持体に印加する現像高圧を決定する制御がある。
【0006】
しかしながら、上述のようなプロセスコントロールを行う際に、感光体の帯電電位Vdのムラや、露光による感度のムラが大きい場合、電位センサの位置と、電位センサの位置以外の領域とで、電位に大きな差が発生することがある。
【0007】
電位センサの取り付け位置以外の領域で、電位が大幅に調整目標値と異なってしまう例として、非晶質シリコン(アモルファスシリコン)を主成分とする感光体(以下、「アモルファス感光体」と呼ぶ。)の形成に用いられるような成膜方法を用いる場合が挙げられる。
【0008】
アモルファス感光体の成膜方法の概略は次のようなものである。つまり、炉内に複数の材料をガス状にして噴出し、噴出したガスに高周波のプラズマを用いて炉内でグロー放電等を行い、アルミなどを基材として化学的気相成長方法を用いて成膜が行われる。
【0009】
しかしながら、一般に、炉内に噴出するガス管内の付着物による変化や、炉内での循環ガスの状況差により、基材全体で膜厚、膜質などを完全には均一にすることはできない。
【0010】
このように膜厚のムラ及び膜質のムラが発生すると、感光体の帯電電位ムラや感度のムラが発生する不具合が発生する虞がある。このため、一般にドラム型とされる感光体の回転方向、及び軸方向において帯電性能や、露光を行った場合の電位減衰特性差により、像露光により静電潜像を形成した際に、感光体の1周分に相当する電位ムラとなる。
【0011】
このような現象は、OPC感光体(有機感光体)においても発生することがある。OPC感光体の成膜方法としては、一般的に、液体の中に基材(素管)をヂッピングした後、乾燥させる方法が採用される。しかし、この方法においても、液体から素管を出した場合に、液膜差などが原因となって感光体の軸方向に帯電電位及び感度の傾きが発生する。
【0012】
従来、このような感光体の帯電電位ムラ及び感度のムラに対する対策方法として、様々な方法が提案されている。
【0013】
例えば、特開平6−83160号公報では、電位センサをドラム型の感光体の軸方向に複数取り付け、電位を検知することにより、コロナ帯電器の帯電線と感光体面とのギャップを自動的に制御する方法が提案されている。
【0014】
又、別の例として、特開平2000−267363号公報では、感光体ベルト1周分の電位ムラ及び濃度ムラを検知し、感光体ベルト1周内の感度ムラに対応させた濃度ムラを補正するために、感光体ベルトの回転周期に応じて露光量を変化させる方法が提案されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、像担持体としてアモルファス感光体を用いる場合、帯電電位ムラ及び感度ムラが、感光体の回転方向及び軸方向で、画像形成領域内に3次元的に存在する(以下、「面ムラ」ともいう。)。
【0016】
このような状況に対し、前記特開平6−83160号公報のような方法を用いて、複数の電位センサを取り付けて補正を行うと、プロセスコントロールの制御精度は向上するかもしれないが、装置の大型化を招き、又高価な電位センサを複数個用いることにより装置の価格が高くなる。
【0017】
又、特開平2000−267363号公報の方法を用いると、電位検知及び濃度検知を行う位置においては、電位及び濃度の変動に対する露光量の補正により濃度変動を低減することができるかも知れないが、感光体の軸方向全域で斯かる変動を検知していない。このため、アモルファス感光体のように、軸方向及び回転方向で、帯電電位ムラ及び感度ムラが3次元的に存在する場合には適切ではない。
【0018】
尚、一般に、OPC感光体では、感光体の軸方向の膜厚差による帯電電位の傾きの方が、その回転方向の帯電ムラ及び感度ムラよりも大きく、感光体の軸方向のみの補正を重視すればよいとされている。
【0019】
更に、感光体の帯電電位ムラや感度ムラが発生している場合、従来の技術は、画像濃度の均一性に着目してプロセスコントロールを行う。
【0020】
電子写真方式において静電潜像を顕像化する場合、感光体の帯電電位Vd及び最大露光部電位Vlの中間電位に相当する、所定の濃度に対応した現像直流高圧電位Vdcを印加して、現像コントラスト電位差Vcont(例えば非画像部露光による正規現像方式を用いる場合、感光体の帯電電位Vdと現像直流高圧電位Vdcとの電位差)を調整し、所定の濃度が得られるようにする。
【0021】
しかしながら、電子写真方式においては、画像形成領域において余分なトナーが付着してカブリ画像が発生しないように、非画像部コントラスト電位差(カブリ取り電位差)Vback(例えば非画像部露光による正規現像方式を用いる場合、感光体の最大露光部電位Vlと現像直流高圧電位Vdcとの電位差)も適正に制御する必要がある。
【0022】
又、現像手段に用いる現像剤としてトナーとキャリアとを所定の混合比で混ぜた2成分現像剤を用いる場合、カブリ取り電位差Vbackが大きくなりすぎると、キャリアが現像手段より像担持体へ付着する現象が発生することが広く知られている。このような現象が発生すると、画像不良を発生させるだけではなく、キャリアが感光体、或いは帯電手段、転写手段、中間転写手段に転移することなどによる不具合など、その他のプロセス手段への弊害も大きいため、充分に考慮しなければならない。
【0023】
従って、本発明の目的は、像担持体の帯電電位ムラ、感度ムラなどによる露光部電位の変動による形成画像の濃度変動を防止し、且つ、安定した画像形成が可能な画像形成装置を提供することである。
【0024】
本発明の他の目的は、電位検知手段を複数用いることなく、像担持体の帯電電位ムラ、感度ムラなどによる形成画像の濃度変動を防止し、且つ、安定した画像形成が可能な画像形成装置を提供することである。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、像担持体と、前記像担持体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記像担持体を露光して前記像担持体上に静電潜像を形成する露光手段と、電圧が印加されることで前記像担持体に現像剤を供給して静電潜像を現像する現像手段と、前記像担持体上の表面電位を検知する電位検知手段と、前記電位検知手段の検知結果に基づいて前記露光手段による露光量を調整する露光量調整手段と、を有する画像形成装置において、
所定の帯電電位に対して露光量を変化させて得られる、前記像担持体上の露光部における第1の範囲に対する第1の平均電位情報と、前記像担持体の軸方向における前記電位検知手段の電位検知位置を含む、前記第1の範囲とは異なる第2の範囲に対する第2の平均電位情報と、の差分を補正量情報として記憶された記憶手段を有し、
前記現像手段に印加される電圧条件は、前記電位検知手段により前記像担持体の電位を検知した結果と、前記記憶手段に記憶された補正量情報と、に基づいて設定されることを特徴とする画像形成装置である。
【0026】
本発明の一実施態様によると、前記第1の平均電位情報は、前記像担持体の軸方向の複数位置でそれぞれ前記像担持体の1周分の露光部電位を検知した結果の全体の平均値情報であり、前記第2の平均電位情報は、前記像担持体の軸方向における前記電位検知手段の検知位置で前記像担持体の1周分の露光部電位を検知した結果の平均値情報である。
【0027】
本発明の他の実施態様によると、前記像担持体上に形成した目標露光部電位を前記電位検知手段によって前記像担持体の1周分検知し、この結果に基づいて前記記憶手段に記憶された補正量情報から補正量を算出し、該検知結果に該補正量を加えた値を最大露光部電位として、この最大露光部電位に基づいて前記現像手段に印加される電圧条件が設定される。
【0028】
本発明の他の実施態様によると、前記露光量調整手段は、前記電位検知手段により検知した前記像担持体の1周分の電位検知情報と、前記記憶手段に記憶された補正量情報と、に基づいて露光部電位を調整する。一実施態様では、前記露光量調整手段を用いて調整される露光部電位は、前記像担持体上に形成される静電潜像を前記現像手段を用いて顕像化する際の非画像部電位である。又、一実施態様では、前記非画像部電位は、前記装置が有する複数の現像手段又は現像条件の変更に応じて算出される前記補正量に応じて調整される。又、本発明において、前記像担持体は、アモルファスシリコン感光体であってよい。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0030】
実施例1
図1は、本発明を適用し得る画像形成装置の一例の概略構成を示す。本実施例において、画像形成装置100は、電子写真方式を用いて記録材P、例えば、記録用紙、OHPシート、布などにカラー画像を形成することのできるカラープリンタである。
【0031】
先ず、画像形成装置100の全体構成及び動作概略について説明する。本実施例の画像形成装置100は、電子写真感光体に対し、帯電、像露光、複数箇所での正規現像、中間転写、及び光除電を行うことを含む画像形成プロセスにて画像を形成する。
【0032】
画像形成装置100は、像担持体としてのドラム型の感光体(感光体ドラム)1を有する。感光体1の周囲には、感光体1の帯電処理を行う帯電手段2、像露光を行う像露光手段3、正規現像を行う現像手段として第1現像手段41、第2現像手段42、中間転写方式にて転写を行う転写手段5、感光体1を清掃するクリーニング手段6、感光体1の表面電位を検知する電位検知手段(電位センサ)7、感光体1の表面の除電処理を行う光除電手段8などが配設されている。又、これらの各要素の動作を統括制御する制御手段(図示せず)が設けられている。
【0033】
本実施例では、第1現像手段41は、黒色(Bk)の現像剤を収容したブラック現像器4Bkであり、画像形成装置100内に固定配置されている。又、第2現像手段42は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色の現像剤を収容したイエロー現像器4Y、マゼンタ現像器4M、シアン現像器4Cを、回転可能な現像器支持体(回転支持体)42aに具備している。
【0034】
転写手段5は、中間転写体として中間転写ベルト5aを有する。中間転写ベルト5aの内側には、中間転写ベルト5aを介して感光体1と対向する位置に、1次転写手段5bが配設されている。又、中間転写ベルト5aに対向するように、2次転写手段5cが配置されている。
【0035】
画像形成プロセスの概略を説明すると、帯電手段2によって感光体1を一様に帯電させた後、像露光手段3によって感光体1の一様帯電面を露光することにより、所望の画像情報に従う静電潜像を形成する。例えば、フルカラーの画像形成時には、色分解された第1色目の画像情報信号に応じて静電潜像が形成される。その後、第1色目の現像色として、例えば、ブラック現像器4Bkを用いて、感光体1に形成した静電潜像に現像剤であるブラックトナーを供給して、ブラックトナー像とする。この第1色目のトナー像は、1次転写手段5bの作用によって中間転写ベルト5aに静電的に1次転写する。
【0036】
引き続き、上述と同様にして、帯電、像露光、現像、1次転写の各工程を繰り返すことにより、中間転写ベルト5a上に複数色のトナー像を重ねて転写する。この時、第2色目以降の画像の現像時には、順次回転支持体42aを回転させることにより、所望の現像器4Y、4M、4Cを感光体1との対向位置に移動させてトナー像を形成する。
【0037】
その後、別途所定のタイミングで搬送されてくる記録材P上に、2次転写手段5cの作用によって、中間転写ベルト5a上に形成した複数色のトナー像を一括して2次転写する。記録材Pに転写したトナー像は、次いで定着手段(図示せず)によって熱、圧力などによって定着させる。
【0038】
次に、本実施例の画像形成装置100が備える各要素について更に説明する。
【0039】
本実施例にて使用される感光体1は、導電性支持体上に光導電層を設けてなる、非晶質シリコンを主成分とした、一般的には、アモルファス感光体と呼ばれる感光体である。本実施例では、感光体1の外径はΦ80mmとした。又、周速度Udr=265mm/sにて回転駆動される。
【0040】
図2は、アモルファス感光体と有機感光体(OPC感光体)とのE−V特性(感光体の帯電電位の光減衰特性)差を示している。アモルファス感光体を用いて静電潜像形成を行う場合、露光による光減衰特性が、図2に示すように、OPC感光体よりも直線的に変化するため、静電潜像形成における孤立ドットの再現性に優れ、高画質な画像が得られることが知られている。
【0041】
本実施例にて使用される感光体1は、それぞれ電子写真画像形成に必要な機能が分離された積層構造を有している。本実施例では、図3に示すような5層型の構成を有している。つまり、導電性支持体1a上に、導電性支持体1aからの電荷注入を阻止する阻止層1b、光の照射による電荷対の発生が行われる光電荷発生層1c1、発生した電荷が移動可能な電荷輸送層1c2、最表層に電荷を保持するための電荷保持層1dが設けられている。光電荷発生層1c1と電荷輸送層1c2とで感光層1cを構成する。導電支持体1aの材料としては、主にアルミニニウムなどの金属導電材が挙げられる。
【0042】
感光層1cには、分光感度を調整や、帯電性、残留電位等の電気特性を改良するために、主成分のシリコン以外に水素、酸素、ブタンなどの成分を含有させてもよい。
【0043】
導電性支持体1a上に形成される非晶質シリコンを主成分とする積層構成は、それぞれの膜厚が、阻止層1bで3μm、感光層1c(光電荷発生層1c1、電荷輸送層1c2)で30μm、表層部(電荷保持層1d)が1μm程度となっている。
【0044】
本実施例にて使用される帯電手段2としては、磁気ブラシを用いた接触帯電方式、スコロトロン帯電を用いた帯電方式などが挙げられる。本実施例では、最も一般的に用いられるスコロトロン帯電方式を用いる。しかし、本発明は、帯電手段2を特にスコロトロン帯電方式に限られたものではなく、上記磁気ブラシ帯電方式などのような方式を用いても何ら問題はない。
【0045】
本実施例にて用いる帯電手段、即ち、スコロトロン帯電器(以下、単に「帯電器」と呼ぶ。)2は、図4に示されるように、放電ワイヤ(帯電線)2a、グリッド2b、シールド2cを有している。本実施例では、放電ワイヤ2aは、2本使用しているが、1本又は2本以上でもかまわない。又、本実施例では、放電ワイヤ2aとして、外径がΦ40〜100μm程度のタングステンワイヤを使用した。但し、導電性材料(表層に酸化防止層を持たせたてもよい)ワイヤや、別の針電極、鋸歯電極等、放電可能な導電材料であればよい。放電ワイヤ2aには、最大で10KV、電流量として1500μA程度の電圧が印加され放電動作が行われる。
【0046】
又、グリッド2bとしては、Φ50μm〜200μmの導電部材(SUS304、430や他の導電性材料)を用いた。但し、金属導電材料にエッジング加工によって網目などの特定のパターン形状を施したものを採用しても何ら問題はない。
【0047】
本実施例では、帯電器2の幅L(ほぼ感光体1の表面移動方向に沿う)は33mm、グリッド2bと感光体1の表面との間隔(Gap)は1.3mm、感光体1の表面移動方向にほぼ沿う放電領域の長さは約37mmである。
【0048】
そして、上述の帯電器2により、放電ワイヤ2a及びグリッド2bに帯電バイアス電圧を印加することにより、感光体1の表面を200V〜1000V程度の範囲に帯電させる。
【0049】
本実施例における感光体1の帯電処理(1次帯電)の条件としては、放電ワイヤ2aに印加した電流(1次電流)をIp、グリッド2bに所定のDCバイアス(Vgrid)を印加した条件下でシールド2c及びグリッド2bに流れる電流量をIgとした場合に、Ig/Ip(%)が30%以下の条件になるように設定している。これによって、感光体1の周方向の帯電電位ムラを収束させる。図5は、グリッド2bに印加する電圧(Vgrid)毎の上記電流Ipと感光体1上の電位との関係を示す。
【0050】
又、画像形成装置100の製造工程で、感光体1の帯電電位の軸方向の傾きを補正するために、放電ワイヤ2aとグリッド2bの間隔を調整する。
【0051】
上述のような調整を行うことにより、図6(A)に示すような、感光体1の軸方向の帯電電位の傾き、及び感光体1の周方向の帯電電位ムラを、図6(B)に示すように低減させている。
【0052】
尚、図6中、感光体1の軸方向における電位測定位置は、感光体1の軸方向(長手方向)の中心を基準として、装置本体前(F)側の長手方向一端部に向かってマイナス(mm)、装置本体背面(R)側の長手方向一端部に向かってプラス(mm)の値で示している。
【0053】
このように、Ig/Ip(%)、放電ワイヤ2aとグリッド2bとの間隔gを調整、制御することにより、感光体1の軸方向の帯電電位Vdの傾き、感光体1の周方向の帯電電位ムラを改善することができる。更に、本実施例では、詳しくは後述するようなプロセスコントロールを行うことにより、感光体1の帯電電位ムラ、感度ムラなどによる露光部電位Vlの変動の影響を防止する。
【0054】
像露光手段としては、例えば半導体レーザ光の他、LED光等の公知の光源を利用した画像形成露光装置を、特に制限はなく用いることができる。感光体1の表面に対して半導体レーザ光、LED光を、所望の像露光イメージに露光できる光学系機器であればよい。本実施例では、レーザ走査露光光学系3により、画像イメージの非画像部分を像露光する。
【0055】
本実施例では、複数の現像手段のうち帯電手段2に最も近い位置に、第1現像手段41であるブラック現像器4Bkが配設されている。ブラック現像器4Bkは、感光体1との間隔が一定に保たれ、現像位置からの離間機構を有しておらず、磁性非接触現像方式にて黒色の現像を行う。
【0056】
その他の現像手段(第2現像手段)として、上記ブラック現像器4Bkとは異なる色の画像を形成するための現像手段である、イエロー現像器4Y、マゼンタ現像器4M、シアン現像器4Cが、回転支持体42aに固定されて設けられている。そして、例えばフルカラーの画像形成時には、所定の像露光イメージに応じて感光体1との対向位置に移動され、現像に供される。
【0057】
各現像器は概略同様の構成を有しており、現像剤を収容する現像容器(現像器本体)4aと、現像容器4aの感光体1との対向部に位置して、一部現像容器4a外に露出するように回転可能に配置された、現像剤担持体としての現像ローラ4bと、を有している。現像ローラ4bは、表面に現像剤を担持して感光体1との対向部である現像領域に搬送し、感光体1上の静電潜像に応じて現像剤を感光体1に供給する。
【0058】
第1現像手段41であるブラック現像器4Bkは、磁性非接触現像方式で、正規現像により感光体1に形成した静電潜像を現像する。つまり、感光体1の帯電極性(本実施例では正極性)とは逆極性(本実施例では負極生)の帯電トナーを用いて、感光体1上の静電潜像を現像する。又、上述のように、本実施例では画像イメージの非画像部を露光するので、ブラック現像器4Bkは、上記正規現像により、感光体1上の非露光部に現像剤としてのトナーを転移させ、トナー像として可視化する。更に、現像時には、ブラック現像器1に所定の駆動が入力されると共に、現像ローラ4bにDC成分にAC成分を重畳した高圧(現像バイアス電圧)が印加される。
【0059】
この時、現像ローラ4bと感光体1との間隔は100〜300μm程度に保たれる。又、現像ローラ4b上には、1〜2(mg/cm2)程度のトナー層が形成され、現像ローラ4bに印加される現像バイアス電圧のAC成分は、1〜3KV程度のVpp(ピーク間電圧)、1〜3KHz程度の周波数とされる。
【0060】
カラー画像形成用の現像器4Y、4M、4Cも、ブラック現像器4Bkと同様、正規現像方式により、感光体1上の非露光部に、感光体1の帯電極性(本実施例では正極性)とは逆極性(本実施例では負極性)の帯電トナーを供給して現像を行う。但し、これらのカラー用現像器4Y、4M、4Cでは、ブラック現像器4Bk(第1現像手段41)とは異なり、トナーとキャリアとを備える2成分現像剤を用いて、現像剤担持体たる現像ローラ4b上に磁気ブラシを形成し、この磁気ブラシを感光体1に接触させた状態で現像を行う。
【0061】
このような2成分現像方式を用いる現像器4Y、4M、4Cとしては、公知の構成を特に制限なく用いることができ、特定の条件を要するものではない。本実施例では、現像時に現像ローラ4bに印加する現像バイアス電圧として、DC高圧成分に、AC成分としてVppが1〜2kV、周波数が5〜10kHz程度の矩形波を重畳している。
【0062】
転写手段5は、感光体1上に形成したトナー像を、色毎に順次中間転写体である中間転写ベルト5a上に合成し、その後一括して記録材Pへ2次転写する。中間転写ベルト5aへのトナー像転写を行う1次転写手段5b、及び記録材Pへのトナー像の転写を行う2次転写手段5cとしては、特に限定されるものではないが、本実施例では、回転自在な導電支持体上に形成された導電性弾性ローラ(1次転写ローラ、2次転写ローラ)を用いた。そして、それぞれの転写工程時に、1次転写ローラ5b、2次転写ローラ5cの導電性支持部に、一定電流又は一定電圧に制御された高圧が印加され、環境、トナー像、記録材Pに応じて好適に1次転写及び2次転写が行われるように高圧制御が行われる。
【0063】
光除電手段8としては、それ自体公知の光源を用いることができる。光除電に用いられる露光手段、及び光源の種類には特に制限はない。本実施例では、像露光手段たるレーザ走査露光光学系3のレーザ光源の中心波長が655nmであるのに対し、光除電手段の中心波長は660nmである。
【0064】
次に、本実施例の画像形成装置100の基本的な作像シーケンスについて説明する。ここで、感光体1の周面方向における、光除電手段8の光除電位置、帯電器2の帯電位置(領域)、像露光手段3による像露光位置、電位センサ7の電位検知位置、第1現像手段41の現像位置(領域)、第2現像手段42の現像位置(領域)を、図1に示しように、それぞれE1、E2、E3、E4、E5、E6とする。尚、これら各位置は、感光体1との対向領域に感光体1の表面移動方向にほぼ沿って幅がある場合は、その幅の中心位置とする。
【0065】
本実施例では、感光体1の初回転駆動の際に、光除電手段8を動作させ、次に、光除電手段8の動作開始時に光除電手段8との対向位置E1にあった感光体1の部位(以下、「開始部位」という。)が帯電器2に対向する位置E2に到達したときから、帯電器2の放電ワイヤ2aに所定の高圧を印加する。
【0066】
この時、帯電器2のグリッド2bに印加される電圧は、感光体1の回転開始後の定常回転に到達した時間を基準(他の基準であっても構わない。)として、高圧の立ち上がりに必要な時間を考慮し、帯電器2の放電ワイヤ2aへの印加動作が開始される前に動作制御されていることが望ましい。
【0067】
その後、「開始部位」が、像露光手段3による像露光位置E3に到達したときから、図7に示すように、感光体1の表面電位が非画像部電位(露光部電位)Vlの設定値以上にならないように、像露光手段3を作動させて非画像部電位(全面露光)を形成する。
【0068】
その後、所定のタイミングで画像形成領域に対し像露光を動作させる。本実施例では、正規現像方式を用いているため、信号処理された非画像部イメージの像露光を行う。
【0069】
本実施例のようにアモルファス感光体を用いる場合には、その帯電電位については、図6(A)、(B)を参照して説明したように、感光体の周方向の帯電電位ムラ及び感光体の軸方向の帯電電位の傾きに対しては、比較的容易にその低減対策が可能であるため、上述のように感光体の帯電電位Vd側に現像を行う(即ち、非画像部を露光する)正規現像方式を採用することが有利である。
【0070】
上述のようなシーケンスに従って感光体1に形成した静電潜像は、現像手段によって現像される。次に、本実施例の画像形成装置100において、第1現像手段41(ブラック現像器4Bk)を用いて画像形成する場合について説明する。
【0071】
つまり、帯電器2による帯電処理の後に像露光手段3を用いて形成された非画像部電位(露光部電位)Vlがブラック現像器4Bkに到達する前に、ブラック現像器4Bkの現像ローラ4bに、現像ローラ4bの駆動停止条件下でDC高圧を印加する。そのDC高圧値は、画像形成を行う際にブラック現像器4Bkの現像位置E5を通過する最大の帯電電位Vdよりも大きな値であり、本実施例では、Vd+150V程度のDC高圧を印加する(以下、このDC高圧を、「現像前DC高圧」という。)。
【0072】
このようにDC高圧を制御して、帯電初期区間において感光体1の帯電電位(画像部電位、非露光部電位)Vdへのトナー付着によるカブリ画像発生を抑制した条件、即ち、ブラック現像器4Bkの現像ローラ4bに現像前DC高圧のみが印加された条件を、像露光手段3で非画像部露光潜像(BAE潜像)が形成されるタイミングまで持続する。
【0073】
次いで、上述のように現像前DC高圧を印加した後、像露光手段3による像露光が開始され、静電潜像形成された感光体1の部位がブラック現像器4Bkの位置E5に到達する前に、ブラック現像器4Bkが作像動作条件へ変更される。尚、作像動作条件における現像DC高圧値の設定方法については後述する。
【0074】
先ず、ブラック現像器4Bkの現像ローラ4bに印加するDC高圧を、2段階目の高圧として作像時の高圧に切り替え、所定時間(高圧切り替えに必要な時間)経過後に、現像ローラ4bの駆動を開始する。
【0075】
その後、現像ローラ4bが定常回転になった状態で、現像ローラ4bに印加するDC高圧にAC高圧(1〜3KV、Vpp1〜3KHz)を重畳し、このAC高圧が完全に立ち上がった条件を形成し、作像動作条件が設定される。
【0076】
そして、所定の画像イメージの静電潜像(本実施例では、非画像部露光潜像)がブラック現像器4Bkとの対向位置E5を通過すると、感光体1上の静電潜像にブラック現像器4Bkからトナーが供給され、感光体1にトナー像が形成される。
【0077】
画像イメージの静電潜像の形成終了後には、感光体1の表面には、画像イメージの静電潜像電位領域に継続して像露光手段3によって非画像部電位が形成されている(全面露光)。従って、この条件で、ブラック現像器4Bkの現像ローラ4bに印加する現像バイアス電圧のAC成分をOFFし、このAC高圧の立下り時間を考慮して、所定時間後に現像ローラ4bの駆動を停止し、又現像ローラ4bに印加するDC高圧を作像条件から、再度現像前DC高圧値へ変更する。
【0078】
そして、この状態で、帯電器2、像露光手段3を停止し、無帯電区間がブラック現像器4Bkとの対向位置E5を通過した後に、ブラック現像器4Bkの現像ローラ4bに印加するDC高圧をOFFするように制御する。
【0079】
尚、ブラック現像器4Bkのみを用いて画像形成を行う際には、第2現像手段42(イエロー現像器4Y、マゼンタ現像器4M、シアン現像器4C)は、回転支持体42aが回転して、いずれの色の現像手段も第2現像手段42の現像位置E6に対向しない位置に待避している。
【0080】
一方、第1色目以外の回転支持体42aに固定された第2現像手段42(イエロー現像器4Y、マゼンタ現像器4M、シアン現像器4C)で現像を行う際には、本実施例では現像位置からの離間機構を有しないブラック現像器4Bkを、第2色目以降の画像イメージの静電潜像が通過することになる。このため、第2色目以降の画像形成時には、ブラック現像器4Bkの現像ローラ4bに2段階目のDC高圧のみを印加する。色の切り替えによりブラック現像器4Bkを用いて現像を行うときのみ、前述の方法に従って現像条件を形成する。こうして、中間転写ベルト5a上で合成する複数色のトナー像を形成することができる。
【0081】
第2現像手段42(イエロー現像器4Y、マゼンタ現像器4M、シアン現像器4C)を用いて現像を行う際には、所定の色の像露光イメージの静電潜像が形成された感光体1の部位が第2現像手段42の現像位置E6に到達するタイミングに合わせて、所定の色用の現像器が感光体1の対向位置に移動される。そして、上記ブラック現像器4Bkの場合と同様に、作像時の現像バイアス条件により現像ローラ4bに現像バイアス電圧を印加すると共に、現像ローラ4bを駆動して現像を行う。
【0082】
本発明の画像形成装置100は、上述のような一連の制御を、前述した順序どおりに、光除電手段、帯電手段、像露光手段、現像手段の作動を制御する機能を備えた制御手段を有している。
【0083】
次に、本実施例において最も特徴的な、画像形成のプロセスコントロールについて説明する。
【0084】
図8は、本実施例におけるプロセスコントロールの制御態様を模式的に示す。図8に示すように、画像形成装置100が備える制御手段(制御回路)101は、演算制御の中心素子たるCPU111、記憶手段112を有し、更に一般の制御回路同様、制御手段101の外部の機器との信号の入出力を行うためのA/D変換器、D/A変換器、インターフェース素子I/Oなどを備えている。
【0085】
制御手段101には、電位センサ7、温度湿度センサなどとされる環境検知手段9が接続されており、CPU111は、これら検知手段の出力、記憶手段112内に格納されたテーブルデータなどの情報に基づいて演算処理することにより、以下詳しく説明するプロセスコントロール方法に従って、像露光手段3、或いは現像手段(第1現像手段41、第2現像手段42)に高圧電圧を印加する現像高圧印加手段40に対する制御信号を生成する。このように、本実施例では、CPU111は、像露光手段3の露光量を調整する露光量調整手段、現像条件(高圧条件)を制御する現像条件調整手段の機能を有する。
【0086】
以下、本実施例における画像形成のプロセスコントロールの手順を説明する。図9は、本実施例におけうプロセスコントロールの概略手順を示す。本実施例では、以下説明するように、露光量調整、及び現像条件の制御を行う。勿論、画像形成装置がその他のプロセスコントロールをも行うことを妨げるものではないが、ここでは煩雑さを避けるために、露光量調整、現像条件の制御についてのみ説明する。
【0087】
本実施例では、記憶手段112に記憶されている環境に応じた目標現像コントラスト電位差Vcont、目標非画像部コントラスト電位差Vbackを読み込み(S1、S2)、目標潜像コントラスト電位差Viを算出する(S3)。又、本実施例の画像形成装置は、感光体1の外周面に対して電位センサ7、第1及び第2現像手段41、42の配設位置が異なるので、記憶手段112に記憶された感光体1の電位減衰情報(基本電位関係テーブル)より、電位センサ7の位置(以下、「センサ位置」という。)E4、第1現像手段41の現像位置(以下、「第1現像位置」という。)E5、第2現像手段42の現像位置(以下、「第2現像位置」という。)E6の各目標電位を算出する(S4)。そして、現像位置に応じた目標露光部電位VlTを算出する(S5)。
【0088】
続いて、予め求められて記憶手段112に記憶されている、感光体1の画像形成領域の面ムラ情報(補正量情報)を読み出し、現像位置に応じた目標露光部電位を補正する(S6)。又、現像位置に応じた目標露光部電位VlTに対応するセンサ位置における電位を算出し(S7)、露光部電位の調整に供する。更に、本実施例では、感光体1の画像形成領域の面ムラ情報(補正量情報)を考慮して現像DC高圧の目標値を算出する(S8)。以下、更に詳しく説明する。
(I)感光体1の帯電電位Vdの設定:
本実施例では、感光体1の帯電電位は、各現像位置において変更されることがなく、第1現像手段41の位置E5で500V、第2現像手段の位置E6で450V、又電位センサ7の位置E4で525Vになるように調整される。
【0089】
上記3箇所(E4、E5、E6)における電位差は、感光体1の出荷時検査で得られた暗部電位減衰情報に基づいて算出される。つまり、記憶手段112内に、センサ位置E4、第1現像位置E5、第2現像位置E6に対応する感光体1の暗部電位(帯電電位、非露光部電位)Vdの減衰情報が記憶されている。
【0090】
この情報を用いることにより、制御手段101は、センサ位置E4における電位検知結果からその他の位置E5、E6における感光体1の表面電位を検知することができる。
【0091】
帯電電位Vdは、帯電器2により感光体1の帯電処理(1次帯電)を行いながら、センサ位置E4検知される感光体1の電位が所定の目標帯電電位Vdに収束するように、帯電器2のグリッド2bの電位(グリッド電位)Vgの調整を行うことで制御する。
【0092】
本実施例では、図10に示すような方法でグリッド2bに印加する高圧値を変化させた場合の感光体1の電位変化(グリッド電位Vgと感光体1の表面電位との関係)を検知して、予め設定されている目標帯電電位Vdに対応するグリッド2bのターゲット値VgTを算出する。そして、このターゲット値VgTの高圧をグリッド2bに印加することで、感光体1の目標電位VdTを得る。
【0093】
上述のように、感光体1の帯電電位は、予め設定されたグリッド2bの配置、Ig/Ip(%)の設定によって、感光体1の軸方向及び回転方向で比較的均一に制御することができる。
(II)レーザパワーLPの設定:
次に、像露光手段が備える光源(半導体レーザ)のレーザパワーと感光体1の表面電位との関係を算出する。
【0094】
つまり、本実施例では、レーザパワーの設定値を256分割で制御できるようになっており、図10に示すように16進信号レベルで4段階(40H、60H、80H、A0H)に、感光体1の1周毎にレーザパワーを変化させて感光体1の電位を電位センサ7で計測することにより、レーザパワーの設定値LPと感光体1の表面電位との関係を算出するとともに、感光体1の1周期分の電位情報を検出する。
【0095】
レーザパワーの設定値LPは、感光体1の軸方向における電位センサ7の位置(以下、「軸方向センサ位置」という。)における、感光体1の1周毎の平均電位と、レーザパワーの設定値LPとの関係として記憶手段112に記憶させることができる。
(III)露光部電位Vlの設定:
本実施例では、記憶手段112に、環境に応じた目標現像コントラスト電位差Vcont、及び目標非画像部コントラスト電位差Vbackの情報を記憶している。
【0096】
そして、環境検知手段9の検知結果に基づいて記憶手段112から読み込んだ、目標現像コントラスト電位差Vcont、目標非画像部コントラスト電位差Vbackに基づき、感光体1の目標帯電電位VdtTから算出される目標潜像コントラスト電位差ViTより、目標露光部電位VlTを算出する。
【0097】
VlT=VdtT−ViT
(ViT=Vcont+Vback)
【0098】
ここで、目標露光部電位VlTを算出する際に、予め求められた、露光量に応じた感光体1の全域の平均電位と、軸方向センサ位置における感光体1の1周期分の平均電位との差分を補正量ΔVとして用いて、露光部電位Vlの目標値を補正する。
【0099】
この補正量は、予め記憶手段112に記憶している。つまり、本実施例では、感光体1の軸方向及び周方向(回転方向)に、図11に示すような露光部電位ムラが発生している場合に、所定の帯電電位に帯電させた感光体1を所定の露光量にて露光して得た露光部電位(後述)に関して、第1の範囲として感光体1の全体(軸方向及び周方向)の平均値(第1の平均電位情報)と、第2の範囲として軸方向センサ位置において検出した電位の平均値(第2の平均電位情報)との差分情報を予め求め、これを補正量ΔVとして記憶手段112に記憶している。
【0100】
補正量ΔVは、詳しくは後述するように、所定の帯電電位に帯電された感光体1上に形成した複数種類の露光部電位に関して予め求められ、テーブルデータとして記憶手段112に記憶されている。これにより、上述のように目標潜像コントラスト電位差ViTから算出される目標露光部電位VlTに応じた補正量ΔVを、このテーブルデータから線形補間を用いることで算出することができる。
【0101】
そして、この補正量ΔVを用いて目標露光部電位VlTの設定を補正する。尚、実際には、所望の現像位置における露光部電位は、センサ位置において電位センサ7を用いて行うので、図12に示すように、記憶手段112に記憶されている電位減衰情報を利用して、所望の現像位置における露光部電位が補正後の電位となるように、センサ位置における非画像部電位Vlの調整を行う。
(IV)現像DC高圧Vdcの設定:
本実施例では、上記目標露光部電位VlTの補正に加えて、更に補正量ΔVに基づいて現像DC高圧値を設定する。
【0102】
つまり、本実施例では、上述のように目標潜像コントラスト電位差ViTから算出された目標露光部電位VlTに応じた補正量ΔVを考慮して、現像DC高圧Vdcを設定する。
【0103】
上述したように補正量ΔVは、所定の帯電電位に帯電された感光体1上に形成した複数種類の露光部電位に関して予め求められ、テーブルデータとして記憶手段112に記憶されている。これにより、詳しくは後述するように、目標潜像コントラスト電位差ViTから算出される目標露光部電位VlTに応じた補正量ΔVを、このテーブルデータから線形補間を用いることで算出することができる。
【0104】
そして、この補正量ΔVによって補正した目標露光部電位VlTと、目標非画像部コントラスト差Vbackとから、現像DC高圧を設定することができる。
【0105】
これにより、補正量ΔVより求められた感光体1の全体の平均電位に対して現像DC高圧Vdcの値を設定することにより、感光体1の全域(軸方向及び周方向)の電位ムラの中心値に対して非画像部コントラスト電位差Vbackを設定することができる。
【0106】
本実施例では、現像DC高圧Vdcの調整時に、上述のように目標潜像コントラスト電位差ViTから算出される目標露光部電位VlTとなるように、目標帯電電位VdTに帯電された感光体1を露光し、電位センサ7により、軸方向センサ位置における感光体1の1周分の露光部電位を検出する。そして、その平均値に対して上述のように補正量ΔVを求め、目標露光部電位VlTを補正した値に対して、目標非画像部コントラスト電位Vbackから現像DC高圧を設定する。
(V)補正量ΔV:
本実施例では、補正量ΔVは、次のようにして予め設定されている。
【0107】
本実施例の画像形成装置100は、現像手段として第1の現像手段41、第2の現像手段42を有する。又、上述のように、感光体1の表面電位を検知する電位検知センサ7は、感光体1の回転方向において第1、第2現像手段41、42よりも上流位置に配置される。このため、電位検知センサ7、第1、第2現像手段41、42の配設位置、感光体1の帯電電位減衰特性に鑑みた制御を行う。
【0108】
感光体1に対向して設けられる複数の現像手段のそれぞれの位置に応じた帯電電位と、電位レベルの異なる露光部電位のムラの情報とを、全て感光体1の出荷検査時に完全に測定しておくことは、検査データの増加につながり、検査にかかる時間、コストが増大する虞がある。又、画像形成装置100内に記憶させるべき情報が多くなるため、画像形成装置100に設ける記憶手段112の容量を大きくする必要があり、コストが増大する虞がある。そこで、本実施例では、補正量ΔVは、感光体1の出荷検査時に以下に説明するような条件下で設定する。
【0109】
本実施例では、感光体1の出荷時検査においては、感光体1が画像形成装置100内に取り付けられたときに帯電器2から感光体1の回転方向で最も遠い第2現像位置E6を基準にして、感光体1の電位調整を行う。又、感光体1の軸方向では、画像形成装置100内の電位センサ7の取り付け位置(軸方向センサ位置)を基準として感光体1の電位調整を行う。
【0110】
そして、感光体1の出荷時検査に、所定の帯電電位に帯電された感光体1上に、上記基準位置において所定の目標露光部電位(平均電位)となるように露光部電位を形成する。露光部電位は、感光体1の画像形成領域全面に対して少なくとも感光体1の1周分形成する。
【0111】
こうして形成した露光部電位を、感光体1の軸方向において、画像形成領域中心位置(通常、感光体1の長手方向中心位置)を基準として5点で計測する。感光体1の全域(軸方向及び周方向)の平均電位は、こうして感光体1の軸方向に5点で測定した電位の平均値である。このとき、画像形成装置100内における軸方向センサ位置は、上記5点の何れかのポイントに設定されており、この軸方向センサ位置に相当する位置における感光体1の1周分の平均電位を同時に求める。
【0112】
そして、軸方向センサ位置に相当する位置で検出された平均電位を基準として、上記5点で計測した電位の平均電位との差分を補正量ΔVとする。但し、本発明は、検査時において感光体1の軸方向において電位検知する箇所を5箇所に限定するものではない。検査データの増大が許容しうる場合、より多くの箇所で測定することで、補正量ΔVはより精度よく感光体1の電位ムラを反映することができる。又、形成画像或いは画像形成装置の安定性の上で許容しうる限り、より少ない箇所で測定することもできる。
【0113】
補正量ΔV=軸方向5点の平均電位−軸方向センサ位置の平均電位・・(1)
【0114】
本実施例では、上記基準位置(第2現像位置E6,軸方向センサ位置)において調整する露光部電位(平均電位)の水準は3種類(300V、200V、100V)とした。但し、本発明はこの露光量調整値を3種類に限定するものではない。検査データの増加が許容しうる場合、より多くの水準に対して補正量ΔVを設定することができる。
【0115】
又、本実施例では、上記基準位置、即ち、感光体1の回転方向最下流の第2現像位置E6における電位を、300V、200V、100Vの3水準の電位に調整した場合の、感光体1の回転周方向におけるセンサ位置E4及び第2現像位置E6における露光部電位Vlの補正量ΔVを、式(1)を用いて求め、表1に示すようなテーブルデータの形態で画像形成装置100内の記憶手段112に記憶している。
【0116】
【表1】
【0117】
表1の例は、図11に示すように、軸方向センサ位置における感光体1の1周期分の平均電位に対して、感光体1の全域の平均電位が低い方に存在するように電位ムラが発生している場合の例である。
【0118】
尚、記憶手段112に設定する画像形成領域1周分に対応した電位ムラ情報は、個々の感光体1について検査して求めることに限定されるものではない。当業者には容易に理解されるように、このような電位ムラ情報は、感光体1のロット毎、製造工場毎など、所定の製造単位毎に求めてもよい。
【0119】
第2現像位置E6の第2現像手段42の現像条件設定については、画像形成装置100におけるプロセスコントロール時に、環境の変化に応じて目標現像コントラスト電位差VcontT、及び目標非画像部コントラスト電位差VbackTが変化した場合には、表1に示すテーブルデータを用いて、感光体1の回転方向最下流の第2現像位置E6に対する補正量ΔVを考慮して、上述のようにして現像DC高圧Vdcを設定する。
【0120】
尚、感光体1の回転方向最下流の第2現像位置E6の第2現像手段42の現像条件調整する場合、第2現像位置E6における軸方向センサ位置の露光部電位Vlを得る際に、実際には感光体1の回転方向上流側にある電位センサ位置E4の検知情報に基づいて露光部電位を調整するので、図12に示すように、記憶手段112に記憶された感光体1の電位減衰情報にもとづいて、第2現像位置にて環境に応じた所定の目標露光部電位VlTとなるようにセンサ位置E4における電位を調整する。
【0121】
このとき、感光体1の回転方向最下流の第2現像位置E6における目標露光部電位VlTを求めるための補正量ΔVは、表1のテーブルデータを用いて線形補間をすることにより求められる。
【0122】
同様に、センサ位置E4における目標露光部電位VlTを求めるための補正量ΔVも、表1のテーブルデータから、線形補間を用いて算出される。
【0123】
次に、第1現像手段41の現像条件設定について説明すると、本実施例では、電位センサ位置E4と、第1現像手段感光体1の回転方向最下流の第2現像位置E6との間に第1現像手段41は存在する。この位置における補正量ΔVは、感光体1と対向する電位センサ7、第1現像手段41、第2現像手段42の位置関係である角度の関係から算出する。
【0124】
本実施例の画像形成装置100では、電位センサ7と第1現像手段41との間の角度(感光体1の回転中心からセンサ位置E4、第1現像位置E5のそれぞれへの直線の成す角度)は20度、又第2現像手段までの角度(感光体1の回転中心からセンサ位置E4、第2現像位置E6のそれぞれへの直線の成す角度)は74.5度である。この角度の比率と、表1に示されるテーブルデータとして記憶手段112に記憶されているセンサ位置E4及び第2現像位置E6に対する補正量ΔTの情報から、第1現像位置E5の第1現像手段41に対する補正量ΔVを算出する。
【0125】
つまり、第1現像位置E5の第1現像手段41に対して環境に応じて算出される目標露光部電位VlT値に対応する、センサ位置E4及び第2現像位置E6に対する補正量ΔVをそれぞれ上述のように線形補間により求める。そして、上記角度関係を用いて、これらセンサ位置E4及び第2現像位置E6に対する補正量ΔVから、第1現像位置E5に関する補正量ΔVを求める。こうして求めた補正量ΔVを用いて、上述のようにして、第1現像手段41に関する現像DC高圧条件を設定することができる。
【0126】
電位減衰は時間に比例しており、感光体1の帯電電位(画像部電位)である暗部電位Vdや露光部電位Vlなどの電位の減衰量は時間に対し非線形である(図12)。しかし、感光体1の電位ムラ、感度ムラについては、暗減衰のように大きな変化ではないため、本実施例の画像形成装置100では、上述のように、補正量ΔVは、全ての現像位置について予め測定して記憶する代わりに、感光体1の回転中心を基準とした角度比率で線形補間を行っている。
【0127】
勿論、本発明はこれに限定されるものではなく、検査データの増加が許容しうる場合、全ての現像位置に対して補正量ΔVを設定することができる。又、全ての現像手段が同じ現像位置(例えば、本実施例におけるブラック現像器4Bkをも回転支持体42aに装着されている場合など。)には、1箇所の現像位置に対する補正量ΔVのデータが記憶されていればよい。
【0128】
尚、非画像部電位は、複数の現像手段、或いは現像条件の変更に応じて算出される補正量ΔVを用いて調整される。例えば、環境に応じた目標現像コントラスト電位差Vcont、目標非画像部コントラスト電位差Vbackは、各現像色について設けられいてよい。この場合、それぞれの現像色に対する目標潜像コントラスト電位差から算出される目標露光部電位VlTに応じて補正量ΔTを求め、目標露光部電位VlT、現像DC高圧の設定を各現像色毎に行う。
【0129】
本実施例では、画像形成動作、プロセスコントロールは、画像形成装置100が備えた制御手段101が制御するとして説明したが、コンピュータなどの画像形成装置100に接続された公知の制御手段を用いて行ってもよい。
【0130】
以上、本実施例の制御方法によれば、安定して電位ムラの少ない条件で帯電電位を形成することができる。本実施例の制御方法を用いることにより、感光体1の感度ムラによる電位ムラを考慮して露光部電位Vlを調整し、又現像DC高圧Vdcを設定することにより、感光体1の全域の平均電位に対して非画像部コントラスト電位差Vbackを確保することができると共に、局所的に非画像部コントラスト電位差が小さい場合に発生するカブリ画像や、大きすぎる場合に発生するキャリア付着現象などの画像不具合の発生を防止することが可能であり、常に安定した画像形成を行うことが可能となる。又、本実施例によれば、電位検知手段を複数用いることなく、上記効果を得ることができるので、装置構成の簡略化、コストの低減を図ることができる。
【0131】
上述では、本発明を例示する目的で、画像形成装置の具体的構成を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。画像形成装置の構成部品の寸法、材質、及び形状、その他の相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0132】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、像担持体の帯電電位ムラ、感度ムラなどによる露光部電位の変動による形成画像の濃度変動を防止し、且つ、安定した画像形成が可能である。又、電位検知手段を複数用いることなく上記効果を奏し得るので、装置構成の簡略化、コスト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用しうる画像形成装置の一実施例の要部概略構成図である。
【図2】アモルファス感光体と有機感光体のE−V特性を説明するためのグラフ図である。
【図3】アモルファス感光体の層構成の一例を説明するための模式図である。
【図4】図1の画像形成装置が備えうる帯電器の一例の模式図である。
【図5】グリッドに印加する電圧Vgrid毎の、帯電器の帯電線に印加する電流Ipと感光体帯電電位との関係を示すグラフ図である。
【図6】(a)像担持体の帯電電位の傾き(ムラ)を説明するためのグラフ図、(b)帯電電位条件及び帯電線の高さ調整後の像担持体の帯電電位をするためのグラフ図である。
【図7】非画像部電位の露光開始タイミングを説明するためのグラフ図である。
【図8】本発明に従うプロセスコントロールの制御態様の一実施例を模式的に示すブロック図である。
【図9】本発明に従うプロセスコントロールの基本フロー図である。
【図10】本発明に従う電位制御の手順を説明するためのモデル図である。
【図11】補正量算出の概念を説明するための説明図である。
【図12】現像位置とセンサ位置との電位の関係を説明するためのグラフ図である。
【符号の説明】
1 感光体(像担持体)
2 帯電器(帯電手段)
3 像露光手段
5 転写手段
6 クリーニング手段
7 電位検知手段(電位センサ)
8 光除電手段
41 第1現像手段
42 第2現像手段
101 制御手段
111 CPU
112 記憶手段
Claims (7)
- 像担持体と、前記像担持体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記像担持体を露光して前記像担持体上に静電潜像を形成する露光手段と、電圧が印加されることで前記像担持体に現像剤を供給して静電潜像を現像する現像手段と、前記像担持体上の表面電位を検知する電位検知手段と、前記電位検知手段の検知結果に基づいて前記露光手段による露光量を調整する露光量調整手段と、を有する画像形成装置において、
所定の帯電電位に対して露光量を変化させて得られる、前記像担持体上の露光部における第1の範囲に対する第1の平均電位情報と、前記像担持体の軸方向における前記電位検知手段の電位検知位置を含む、前記第1の範囲とは異なる第2の範囲に対する第2の平均電位情報と、の差分を補正量情報として記憶された記憶手段を有し、
前記現像手段に印加される電圧条件は、前記電位検知手段により前記像担持体の電位を検知した結果と、前記記憶手段に記憶された補正量情報と、に基づいて設定されることを特徴とする画像形成装置。 - 前記第1の平均電位情報は、前記像担持体の軸方向の複数位置でそれぞれ前記像担持体の1周分の露光部電位を検知した結果の全体の平均値情報であり、前記第2の平均電位情報は、前記像担持体の軸方向における前記電位検知手段の検知位置で前記像担持体の1周分の露光部電位を検知した結果の平均値情報であることを特徴とする請求項1の画像形成装置。
- 前記像担持体上に形成した目標露光部電位を前記電位検知手段によって前記像担持体の1周分検知し、この結果に基づいて前記記憶手段に記憶された補正量情報から補正量を算出し、該検知結果に該補正量を加えた値を最大露光部電位として、この最大露光部電位に基づいて前記現像手段に印加される電圧条件が設定されることを特徴とする請求項1又は2の画像形成装置。
- 前記露光量調整手段は、前記電位検知手段により検知した前記像担持体の1周分の電位検知情報と、前記記憶手段に記憶された補正量情報と、に基づいて露光部電位を調整することを特徴とする請求項1、2又は3の画像形成装置。
- 前記露光量調整手段を用いて調整される露光部電位は、前記像担持体上に形成される静電潜像を前記現像手段を用いて顕像化する際の非画像部電位であることを特徴とする請求項4の画像形成装置。
- 前記非画像部電位は、前記装置が有する複数の現像手段又は現像条件の変更に応じて算出される前記補正量に基づいて調整されることを特徴とする5の画像形成装置。
- 前記像担持体は、アモルファスシリコン感光体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかの項に記載の画像形成装置。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006313276A (ja) * | 2005-05-09 | 2006-11-16 | Canon Inc | 画像形成装置およびその制御方法 |
US7298983B2 (en) * | 2004-12-07 | 2007-11-20 | Xerox Corporation | Method for detecting lateral surface charge migration through double exposure averaging |
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-
2002
- 2002-07-01 JP JP2002192752A patent/JP2004037680A/ja active Pending
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JP2006313276A (ja) * | 2005-05-09 | 2006-11-16 | Canon Inc | 画像形成装置およびその制御方法 |
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