以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
図1は、本発明の画像形成装置の一実施例である電子写真方式のカラー画像形成装置の概略構成を示す図である。
[画像形成装置]
本実施例にて、画像形成装置100は、画像形成装置本体100Aに、各色成分のトナー像が形成される複数の、本実施例ではイエロー色、マゼンタ色、シアン色、ブラック色の4つの作像ユニットP(PY、PM、PC、PK)を備えている。
各作像ユニットP(PY、PM、PC、PK)は、それぞれ、像担持体としてのドラム状の電子写真感光体(以下、「感光体ドラム」という。)1(1AY、1AM、1AC、1BK)を有している。また、本実施例では、作像ユニットPY、PM、PCの感光体ドラム1AY、1AM、1ACと、作像ユニット1PKの感光体ドラム1BKとは、ドラム径が異なる構成となっている。本実施例では、感光体ドラム1BKの直径が、後述する理由から、感光体ドラム1AY、1AM、1ACの直径より大とされる。
以下、各プロセス要素ごとの説明を行なう。
[感光体ドラム]
本実施例にて、作像ユニットPY、PM、PCの感光体ドラム1AY、1AM、1ACは、OPC感光体を使用したOPCドラムである。作像ユニットPKの感光体ドラム1BKは、アモルファスシリコン(a−Si)感光体を使用したアモルファスシリコンドラムとされる。本実施例の画像形成装置では、使用頻度の高いブラック色の感光体に、耐磨耗性に優れたアモルファスシリコンドラムを採用することにより、ブラック色の感光体ドラムを長寿命化した画像形成装置である。
また、感光体ドラム1における感光体の層構成は、一般的な積層感光体の構成と同じものを用いている。
つまり、感光体ドラム1AY、1AM、1ACのOPC感光体1Aは、導電性基体上に、有機光導電体を主成分とする光導電層を備えた感光層(感光膜)が形成される。OPC感光体1Aは、一般的には、図2(a)に示すように、Al基板などとされる導電性基体1A1の上に、有機材料から成る電荷発生層1A2と、電荷輸送層1A3と、表面保護層1A4と、が積層されて構成される。
又、感光体ドラム1BKのa−Si感光体1Bは、図2(b)に示すように、Al基板などとされる導電性基体1B1上に、非晶質シリコン(アモルファスシリコン)を主成分とする光導電層を備えた感光層(感光膜)1B2を有する。感光膜1B2は、アモルファスシリコン系電荷注入阻止層1B2aと、a−Si:H、X(Hは水素原子、Xはハロゲン原子)からなる光導電性を有する光導電層1B2bと、アモルファスシリコン系表面層1B2cと、が積層されて構成される。ただ、この積層構成に限定されるものではない。
[ドラムヒータ]
感光体ドラム1BKの内部のみ、感光体ドラム1BKのドラム温度を制御する加熱調整手段25として、ドラムヒータ、温度センサなどが内蔵されている。加熱調整手段25は、ドラム温度を制御手段100に送信し、制御手段100は、感光体ドラム1BKの温度を所定温度に制御する。本実施例では、ドラムの温度が40℃〜45℃の範囲になるように制御されている。
[帯電装置]
各色成分の作像ユニットPは、像担持体としての感光体ドラム1(1AY、1AM、1AC、1BK)の周囲に、感光体ドラム1を所定の電位に帯電する帯電手段としての帯電装置2(2Y、2M、2C、2K)を備えている。本実施例では、作像ユニットPY、PM、PC用の帯電装置2(2Y、2M、2C)は、帯電ローラ(即ち、接触帯電手段)を用いており、作像ユニットPK用の帯電装置2Kは、スコロトロン方式のコロナ帯電器(即ち、コロナ帯電手段)を用いている。
次に、上述した作像ユニットPKにおけるコロナ帯電手段としての帯電装置、即ち、コロナ帯電器2Kについて説明する。
図3は、スコロトロン式のコロナ帯電器2Kの拡大図である。このコロナ帯電器2Kは、感光体ドラム1BKの軸方向に沿って配設され、感光体ドラム1BKに対向する部位に正面開口50aが設けられた断面略コ字型のシールドケース50を有している。このシールドケース50内には、シールドケース50の長手方向両端に設けられた支持部材(図示せず)に支持された放電ワイヤ(帯電線)51が、シールドケース50の内側に張架されている。
シールドケースの正面開口50a側には、感光体ドラム1と対向してグリッド52が取り付けられている。グリッド52は、多数のSUS線にて形成される。
なお、シールドケース50の背面側には、長手方向に沿って背面開口50bが開設されている。
ここで、シールドケース50の高さ(H)は30mm、幅(内面)(W)は、44mmである。
また、放電ワイヤ51には、直流電圧を印加する高圧電源(図示せず)が接続されており、シールドケース50及びグリッド52には、これらを一定電位に保持する目的で、バリスタ等の定電圧素子(図示せず)が接続されている。
[光除電装置]
作像ユニットPKには、帯電装置2Kの感光体ドラム回転方向上流側に前露光手段、即ち、光除電手段としてのLEDアレイなどとされる光除電用露光装置18が配置される。
本実施例では、波長660nm、光除電の露光量は、4.0μJ/cm2とした。また、光除電手段である光除電用露光装置18は、後述するが、連続画像形成中において、画像部電位VL、非画像部VDを補正する補正手段を構成する。
[像露光手段]
感光体ドラム1の周りには、電子写真用デバイス(プロセス手段)が順次配設されている。つまり、感光体ドラム1の周りには、帯電された感光体ドラム1に、静電潜像を書き込む像露光手段としてのレーザー露光装置19(19Y、19M、19C、19K)が配置されている。本実施例の画像形成装置では、BAE潜像形成方式を採用している。即ち、イメージ画像間(画像部間)の非画像部(いわゆる紙間)と、画像部内の非画像形成部を露光する構成となっている。
[現像装置]
感光体ドラム1上の静電潜像を現像する現像手段として、各色成分トナーが収容された現像装置3(3Y、3M、3C、3K)が配置されている。現像装置3(3Y、3M、3C、3K)は、それぞれ、例えば、現像剤担持体として現像ローラ3a(3aY、3aM、3aC、3aK)を備えており、高圧電源(図示せず)から現像高圧(現像バイアス)が印加されることにより、現像を行う。
また、本実施例にて、現像装置3(3Y、3M、3C)は、現像剤として非磁性トナーと磁性キャリアとを含む2成分現像剤を使用した磁気ブラシ方式であり、現像装置3Kは、現像剤として一成分磁性トナーを用いたジャンピング現像方式である。ただ、この現像方式に限定されるものではない。
[清掃手段]
本実施例にて、作像ユニットPKにおいては、一次転写後の感光体ドラム1BK上の残留物を除去するクリーナとしてのドラムクリーナ12が設けられている。一方、本実施例にて、作像ユニットPY、PM、PCは、クリーナレスシステムとされ、作像ユニットPKとは異なる構成とされる。
つまり、作像ユニットPY、PM、PCには、転写残トナーの履歴消去を行うブラシ部材4(4Y、4M、4C)が備えられている。そして、転写残トナーは、本実施例では、帯電装置2(2Y、2M、2C)を通過して、現像装置3(3Y、3M、3C)で回収される。
[転写装置]
作像ユニットP(PY、PM、PC、PK)の下方には、各作像ユニットPにて形成された各色成分トナー像を順次転写(一次転写)して保持するための中間転写体としての中間転写ベルト8が配置されている。中間転写ベルト8には、詳しくは後述するように、中間転写ベルト8に転写された重ね画像を転写材としての用紙Sに一括転写(二次転写)する二次転写装置15が設けられている。
また、中間転写ベルト8は、複数の支持ローラ6、7、14に掛け渡されたものであって、支持ローラ6が中間転写ベルト10の駆動ローラとして、支持ローラ7、14が従動ローラとして作動している。また、支持ローラ14は、後述する二次転写装置16のバックアップローラとしても機能している。
なお、本実施例の画像形成装置によれば、作像ユニットPYは、他の作像ユニットPY、PM、PCとは独立して作動し得るように構成される。つまり、作像ユニットPKの区間にて、中間転写ベルト8が下方に移動して、感光体ドラム1BKと中間転写ベルト8との当接状態を解除し得るように構成される。
そのために、本実施例では、作像ユニットPKの一次転写ローラ5Kは、転写脱着装置9に取り付けられる。転写脱着装置9は、移動フレーム枠体10を備えており、一次転写ローラ5Kは、この移動フレーム枠体10に取り付けられている。移動フレーム枠体10は、転写脱着カム11が矢印a方向に回転することにより、枢軸10aを支点として矢印b方向に揺動し、一次転写ローラ5Kを感光体ドラム1BKから離間する方向に移動させる。
また、移動フレーム枠体10には、一次転写ローラ5Kの上流側及び下流側に位置してガイドローラ10b、10cが取り付けられており、中間転写ベルト8の走行を案内する。そして、転写脱着装置9が作動し、一次転写ローラ5Kを感光体ドラム1BKから離間する方向に移動させたとき、中間転写ベルト8もまた感光体ドラム1BKとの接触状態を解除する。
更に、駆動ローラ6を挟んだ中間転写ベルト8には、二次転写後の中間転写ベルト8上の残留物を除去するベルトクリーナ13が配設されている。また、中間転写ベルト8は、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂または各種ゴムにカーボンブラック等の導電剤を適当量含有させたものである。その体積抵抗率は105〜1015Ωcmとされ、その厚みは0.1mmに設定される。
さらに、二次転写装置16は、中間転写ベルト8のトナー像担持面側に圧接配置される二次転写ローラ15と、中間転写ベルト8の裏面側に配置されて二次転写ローラ15の対向電極をなすバックアップローラ14とを備えている。
このバックアップローラ14には、トナーの帯電極性と同極性の二次転写バイアスを印加する、図示しない給電手段が当接配置されている。
ここで、バックアップローラ14は、金属心材の外周に内側に発泡弾性体層を、外側に導電層を被覆して形成される二層構成のEPDMゴムローラを用いた。外側の導電層は、カーボンブラックを15〜35重量%分散した半導電性のEPDM発泡ゴムで、導電層の厚みは0.5〜1.5mmに構成され、また、その表面抵抗率は、7〜10Ω/□の抵抗領域に制御される。
また、二次転写ローラ15は、金属心材とこの金属心材の周囲に固着されたカーボンブラック分散発泡EPDM材料からなるコア層にスキン層を介して5〜20μmの厚みのフッ素樹脂系材料からなるコーティング層を形成したものを用いた。金属心材とコーティング層との間の体積抵抗率は104〜105Ωcmである。
また、二次転写後の用紙Sは、定着装置20へと搬送され、定着装置20から機外へと排出される。
[電位検知手段]
本実施例の画像形成装置100には、装置の安定性を向上させるため、作像ユニットPKの感光体ドラム1BKと対向して、感光体ドラムの表面電位を検知するために表面電位検知手段としての表面電位センサー17が配置されている。また、中間転写ベルト8の支持ローラ7に対向して、トナー像濃度を測定する正反射型の光センサー61が配置されおり、また、レジストレーション調整用のトナー濃度を測定するレジセンサー62が備えられている。
[作像プロセス]
次に、この画像形成装置の作像プロセスについて説明する。
今、図示していない画像形成装置の作動開始のためのスタートスイッチがオン操作されると、所定の作像プロセスが実行される。
具体的に述べると、例えば本実施例の電子写真画像形成装置をデジタルカラー複写機として構成する場合には、図示しない原稿台にセットされる原稿をカラー画像読み取り装置により読み取る。その読み取り信号は、処理回路によりデジタル画像信号に変換してメモリに一時的に蓄積し、その蓄積されている4色(Y、M、C、K)のデジタル画像信号に基づいて各色のトナー像形成を行う。
すなわち、各色のデジタル画像信号に応じて作像ユニットP(PY、PM、PC、PK)をそれぞれ駆動する。感光体ドラム1(1AY、1AM、1AC、1BK)は、矢印方向に回転し、帯電装置2(2Y、2M、2C、2K)により一様に帯電される。帯電された感光体ドラム1(1AY、1AM、1AC、1BK)は、像露光手段であるレーザー露光装置19(19Y、19M、19C、19K)にて露光照射され、デジタル画像信号に応じた静電潜像(画像イメージ)が形成される。
そして、感光体ドラム1(1AY、1AM、1AC、1BK)に形成された静電潜像を、現像高圧(現像バイアス)が印加された現像装置3(3Y、3M、3C、3K)により現像して各色のトナー像を形成させる。
なお、本実施例の画像形成装置をプリンタとして構成する場合には、外部から入力されるデジタル画像信号に基づいて各色のトナー像形成を行うようにすればよい。
そして、各感光体ドラム1に形成されたトナー像は、感光体ドラム1と中間転写ベルト8とが接する一次転写位置で、一次転写ローラ5(5Y、5M、5C、5K)によって感光体ドラム1から中間転写ベルト8の表面に順次転写される。
一方、転写後に感光体ドラム1上に残存するトナーは、クリーナレスとされる作像ユニットPY、PM、PCにおいては、対応の現像装置3Y、3M、3Cによって回収される。また、作像ユニットPKにおいては、クリーニング手段としての、クリーニングブレード12aを備えたドラムクリーナ12によってクリーニングされる。
このようにして中間転写ベルト8に一次転写されたトナー像は、中間転写ベルト8上で重ね合わされ、中間転写ベルト8の回動に伴って二次転写位置へと搬送される。一方、記録材としての用紙Sが、図示していない給紙装置から所定のタイミングで二次転写装置16が設けられた二次転写位置へと搬送される。
そして、二次転写位置において、二次転写ローラ15とバックアップローラ14との間に形成される転写電界の作用で、中間転写ベルト8上に担持されたトナー像が用紙Sに一括転写(二次転写)される。
トナー像が転写された用紙Sは、定着装置20へと搬送され、定着装置20において用紙S上のトナー像が加熱、加圧定着された後、機外に設けられた排紙トレイ(図示せず)に排出される。一方、転写後に中間転写ベルト8に残存するトナーは、ベルトクリーナ13によってクリーニングされる。
[ドラムの帯電電位の温度特性について]
次に、本発明における感光体ドラムの温度特性に応じた、電位変動制御について説明する。
感光体ドラムの温度による、ドラム上の表面電位変動については、図4に示すようなE−V特性の差として現れる。
以下に、感光体ドラムの温度差による帯電特性について検討した結果について説明する。
図5は、図1に示す本実施例の画像形成装置における作像ユニットPKを用いて、帯電高圧条件を変更した場合に、コロナ帯電器2Kから、感光体ドラム1BKに流れる放電電流を示す。図6に、このとき得られたVD電位(帯電電位)を測定した結果を示す。
図5の測定は、帯電線51への印加電流(以下、「一次電流Ip」という。)を変更した場合のドラム方向に流れる放電電流(以下、「ドラム方向電流Idr」という。)の値をプロットしたものである。ドラム電流Idrは、一次電流Ipと、グッリッド52及びシールド50へ流れる込む電流(以下、「グリッド・シールド電流Igs」という。)との差、即ち、Idr=Ip−Igsとして計算した値である。
測定条件は、感光体ドラム1BKの周速276mm/s、グリッド52への印加電圧(グリッド電圧Vg)860Vとした。また、前露光、即ち、光除電のために、波長660nmのLEDアレイを光除電手段18として用い、光除電の露光量は、E0=4.0μJ/cm2としている。
ここで、除電光の設定値E0=4.0μJ/cm2について説明する。
本装置では、E0=4.0μJ/cm2は、感光体の帯電電位VD=500vに対し、像露光により形成した、VL電位の下限=100Vを形成した場合、潜像形成の履歴消去するために必要な除電光の設定値である。光除電光の光量設定が不足した場合等は、画像履歴がドラム周期で発生する為、露光メモリ、あるいは、潜像ゴ−スト画像等と呼ばれる画像不具合が発生する。本装置では、像露光による潜像形成履歴を消去するために必要な露光量を、E0=4.0μJ/cm2とし、以下に記述する本発明の光除電光の可変制御範囲も、4.0μJ/cm2以上の領域を使用している。
また、本装置の構成、画像形成に用いている感光体に適正な光除電の露光量は、実験的に感光体の特性に応じて設定すればよく、画像形成装置に構成に応じて適正な値に設定すればよい。
図5に示す結果より、感光体ドラム1BKの温度が異なる条件において、光除電を行ったドラムをコロナ帯電器2Kで帯電した場合、一次電流Ipに対し、グリッド・シールド電流Igsは、ドラムの温度で大差ないことが分かった。
この結果より、ドラムの表面温度が変化しても、ドラム方向へのドラム方向電流Idrは、変化していないこと、及び、ドラムの温度によって発生する電位変動は、コロナ放電特性の変化ではないこと分かった。
しかし、ドラム方向電流Idrに対するVD電位を測定した結果は、図6に示すようにドラムの温度差が現れ、ドラム温度が低い方が、VD電位が高くなる。
この結果は、ドラム表面温度に対して帯電器2Kによる放電状態を一定に保つような制御を実施しても効果がないことを示している。
例えば、一次電流Ipと、グリッド・シールド電流Igsを定電流制御し、「Ip−Igs=一定」となるような制御を行ってもVD電位を一定に保持制御することは不可能であることが分かった。
更には、本実施例のように、BAE潜像形成方式では、図7に示すように、非画像部電位が露光部電位(VL電位)である。この場合、連続画像形成中に画像イメージ間でVD電位を形成することはできない。もしこの区間の電位が「VD電位」とされた場合には、この区間が現像され、そのトナー像が中間転写体に転写されるからである。紙間で、画像形成すると、2次転写で、裏汚れの不具合となる。この問題を解決するためには、ダウンシーケンスが必要なことになり、かなり生産性を低下させる調整制御が必要となることが分かる。つまり、「VD電位」を測定して電位制御するためには、特別な電位制御シーケンスが必要となり、ダウンタイムが余儀なくされる。ダウンタイムといわないまでも、紙間を一時的に大きくするような制御が必要になる。
[EV特性の温度特性]
次に、同一の帯電条件にて、帯電に大きく影響するLEDアレイ等とされる光除電手段18の露光量を変更し、帯電特性の変化をドラム温度違いで測定した結果について説明する。
図1に示す画像形成装置において、作像ユニットPKを用いて、帯電条件や光除電の露光量を変更して電位特性を検討した結果を、図8に示す。
この実験は、ドラム周速276mm/s、コロナ帯電線印加電流(Ip)=1100μA、グリッド電圧(Vg)=860V、の条件で、光除電手段18として波長660nmのLEDアレイを用いて行った。ドラム温度は42℃と23℃で測定した。
この結果、帯電条件を一定とした条件において、光除電手段であるLEDの露光量を変更した場合のVD電位の傾きは、ドラム温度を変更させても同じ関係であることが分かった。
この特性は、ドラムの温度に関係なく、光除電の露光量とVD電位の関係が常に一定であることを示している。これは、光除電の露光量調整でVD電位補正が行えることを示している。
[画像形成中の電位補正制御の説明]
本発明の特徴部分である画像安定制御について説明する。
本実施例で用いる感光体ドラム1BKの感光体1B、即ち、アモルファスシリコン感光体のレーザー露光量に対するドラム電位の温度特性は、帯電条件を一定とした場合、前述したように、図4に示すように変化する。
この特性を利用し、本実施例の画像形成装置では、図7に示す画像イメージ間(即ち、紙間)で、VL電位を測定する。そして、VL電位の変化を監視し、所定値以上のVL電位が発生した場合に、除電光の設定を、感光体上に形成する画像イメージ間に相当するタイミングで変更し、これによって、VD電位を補正し、VD電位を所定値に調整する。これにより、VL電位を上げることができる。
これは、図4に示すように、ドラムの温度差により、VDは変化するが、E−V特性は、ほぼ同じ傾きである特性を用いている。
この特性を利用して、VLとVDの変化を略同一と考え(即ち、△VL≒△VD)、紙間のVLの変化を測定し、その変化はVD電位が変化したものとみなして、除電光でVD電位を調整している。
その結果、VDを補正することで、VLを目標VLtへ補正できるので、潜像コントラスト電位が、一定に保つ方式が可能となる。
次に、本実施例の制御構成について、図9に示すフローチャートを用いて説明する。
図9は、ドラムの温度T(℃)がまだ十分に立ち上がってない条件で、画像形成を開始した場合の電位補正の制御フローを示している。
[実施例1(図9)の制御フローの説明]
メインスイッチをONして画像形成を開始する(S1)。
ドラム温度T(℃)を測定する(S2−1)。
ドラムの温度Tが、40℃以上(S2−2でNo)の場合は、温度特性によるVD電位変動はないとみなし、紙間(画像イメージ間)VL電位を測定し、像露光手段によるVL補正へ移行する(S20)。この場合、非画像部VDの補正は行わない。ステップ20(S20)の詳細は、図12を参照して後で説明する。
ドラム温度が40℃未満(S2−2でYes)の場合は、光除電補正(S3以降のステップ)を行う。
ここで、本実施例では、画像形成開始後、図7に示す、1枚目(n=1)の画像形成が行われる前の、即ち、前回転時において、コロナ帯電器2K及び像露光手段19Kを作動させて、非画像部電位領域であるVL電位領域の電位を測定する(S3)。この場合、帯電、像露光の値は、前回の電位制御時の条件を用いて行う。
ここで、装置を一番最初に使用する場合においては、前回の電位制御時の条件とは、次のような条件設定である。
すなわち、メインSW、ONした後、画像形成立上げ後、10分以上ドラムヒータをONし、ドラム温度が十分に立ち上がった条件で、図10で示す電位制御を実施した結果、得られた帯電、光除電(前露光)、像露光の条件設定のことである。
つまり、
(1)図10にて、光除電手段18の露光量を中心光量E0に設定して、帯電器2Kのグリッド電圧VgをVgA、VgBへと変化させてVD電位が目標値VDtとなるように設定する。(中心光量E0は、ドラムが所定温度に到達した条件で設定している光量=4.0μJ/cm2)
(2)その後、像露光手段(レーザー露光装置19K)の露光量を調整して、電位VLをVLA、VLBへと変化させてVL電位が目標値VLtとなるように設定する。
(3)次いで、光除電手段18の露光量を、E1、E2、E3へと変更して、光除電の光量とVD電位の関係(即ち、△E/△VL)を求める。
このように、次回の画像形成時には、今回、上記(1)、(2)設定したグリッド電圧、及び像露光手段(レーザー露光装置19K)の露光量露光量条件、光除電手段の露光量をE0にて電位調整を行う。
また、上述の(1)、(2)、(3)の制御は、初回のみではなく、定期的に行なった方が望ましい。但し、画像形成装置のメインSWを、ON後、10分経過、又は、ドラムの温度が40℃以上の条件で行なう必要がある。
定期的に行なう理由としては、感光体の感光層の磨耗や、帯電手段の劣化などの影響で、帯電特性、ドラムの感光特性が変化するので、適時更新したほうが良い。
上述のように、本実施例では、ステップ1(S1)にて画像形成開始後、ステップ3(S3)にて、前回の電位制御時に設定されたグリッド電圧、及び像露光手段(レーザー露光装置19K)の露光量露光量条件、光除電手段の露光量E0にて露光する。そして、VL電位領域の電位を複数測定する(本装置では、感光体ドラム1周分で、8点測定)。
そして、得られた平均電位値VLavgと目標値電位VLtとのズレ△Vを確認する(S4)。そのズレ量△Vに応じた補正量に相当する光除電の露光量Exを、ドラム温度が所定温度の時に得られた、除電光量EとVD電位の関係(即ち、△E/△VL)を用いて調整する。(即ち、Ex=E0+△V×(△E/△VL))そして、1枚目のVD電位、VL電位を設定する(S5)。
その後、実際に画像形成(作像)を開始し、連続した画像形成中の像露光手段19Kによる画像露光終了信号を基準として、表面電位検知手段17にて画像イメージ間のVL電位を測定する(S6、S7)。
そして、その測定値を、画像形成装置100の制御手段200に設けた記憶手段(メモリ)201に格納する(S8)。
なお、ステップ6〜9(S6〜S9)にて、本実施例では、電位検知手段17により8個(n=8)のデータを測定し(VL(n))(n=1〜8)、その検知結果を平均した平均値VLavgを求める(S10)。
そして、その平均値VLavgが、目標電位VLtよりも所定値(本実施例では10V)以上ずれたか否か、即ち、△V=VLavg−VLt>10[V]であるか否かを判断する(S11、S12))。
そして、平均値VLavgが、目標電位VLtよりも所定値(本実施例では10V)以上ずれた場合に、即ち、ステップ12(S12)でYesの場合、補正制御を実施する(S13〜16)。即ち、光除電手段18の除電光量を調整することで、画像部電位VD及び非画像部電位VLの両方を補正する。補正制御(S13〜S16)については、後述する。
従って、7回目(n=7)までは、即ち、ステップ9(S9)でNoの場合は、補正されず、ジョブ(作像)を終了して良いか否かを判断する(S17)。ステップ17(S17)でNoの場合、ステップ6(S6)に戻り、上記ステップ6〜9(S6〜S9)を繰り返す。また、ステップ17でYesの場合、ジョブを終了する(S18)。
上述のように、ステップ9(S9)にて、n=8となった時、即ち、8回(n=8)のVL電位を測定した時点で、平均値VLavgと目標電位VLtとの差分△Vを計算し、必要に応じて光除電の露光量を調整する。
つまり、上記ステップ12(S12)でNoの場合、上記ステップ17(S17)に戻り、ステップ17(S17))でNoの場合、ステップ6(S6))に戻り、上記ステップ6〜9(S6〜S9)を繰り返す。また、ステップ17(S17)でYesの場合、ジョブを終了する(S18)。
上述のように、ステップ12でYesの場合、ステップ13〜16(S13〜S16)の補正制御を行う。この補正制御について説明すると、次の通りである。
上述のステップ9(S9)にて、n=8となった時、即ち、8回(n=8)のVL電位を測定した時点で、平均値VLavgと目標電位VLtとの差分△Vを計算し、△Vが所定値(10V)以上ズレた時点で、光除電の露光量を調整する。
そのズレ量△Vに応じた補正量に相当する光除電の露光量Exを、ドラム温度が所定温度の時に得られた、除電光量EとVD電位の関係(即ち、△E/△VL)を用いて求める。即ち、
補正後Ex=前回Ex−△E
△E=△V×(△E/△VL)
露光量Exが所定値E0より小さければ(即ち、S14でNoの場合)、ステップ19(S19)に移行し、光除電露光量補正を終了し、ステップ20にて像露光光量補正制御を行う。
ここで、ステップ14の説明をする。ステップ14では、ドラムの温度が、40℃よりも大きければ、ドラムの温度が所定温度に到達しているので、ドラム温度が変動することによるVD、VLの変動は終了したものとみなしている。本実施例では、ステップ19にて、光除電手段の露光量を、E=E0=4.0μJ/cm2に設定し、VD電位の除電光による制御を終了する。
以後は、ステップ20に移行し、VL電位の変動に対して、像露光手段による補正制御を行なう制御構成となっている。
以上、上述した電位制御を画像形成時に行うことで、すなわち、ドラム温度が低い期間の紙間VL電位を測定し、そのVLの変化を、VD電位の変化とみなして、光除電の光量を調整する。こうすることで、VD電位を補正し、その結果として、VL電位を目標値にあわせる制御を実施することができる。従って、図11に示すような、従来発生していたVD電位の変動による濃度変動を低減することが可能となり、常に安定した画像形成が可能となった。
次に、図12を参照して、ドラムの温度Tが、40℃以上(図9のフロー図にてステップ2−2(S2−2)でNo)の場合について説明する。
画像形成開始後、ドラムの温度Tが40℃未満の場合には、上述のように、図9に示す制御フローに従って、ドラム温度低下時のVD電位補正制御が実施されるが、ドラムの温度Tが40℃以上となると、図9に示すドラム温度低下時のVD電位補正制御は終了する。
ドラム温度Tが40℃以上の場合は、温度特性によるVD電位変動はないとみなし、紙間VL電位を測定し、像露光手段によるVL補正へ移行する(S20)。ステップ20(S20)の補正制御は、図12におけるステップ4〜14(S4〜S14)にて行われる。
つまり、実際に画像形成(作像)を開始し、連続した画像形成中の像露光手段19Kによる画像露光終了信号を基準として、表面電位検知手段17にて画像イメージ間のVL電位を測定する(S4、S5)。
そして、その測定値を、画像形成装置100の制御手段200に設けた記憶手段(メモリ)201に格納する(S6)。
なお、ステップ4〜7(S4〜S7)にて、本実施例では、8個(n=8)のデータを測定し(VL(n))(n=1〜8)、その平均値VLavgを求める(S8)。
そして、その平均値VLavgが、目標電位VLtよりも所定値(本実施例では10V)以上ずれたか否か、即ち、△V=VLavg−VLt>10[V]であるか否かを判断する(S9、S10))。
そして、平均値VLavgが、目標電位VLtよりも所定値(本実施例では10V)以上ずれた場合に、即ち、ステップ10(S10)でYesの場合、レーザー露光量の補正制御を実施する(S11)。
従って、7回目(n=7)までは、即ち、ステップ7(S7)でNoの場合は、補正されず、ジョブ(作像)を終了して良いか否かを判断する(S13)。ステップ13(S13)でNoの場合、ステップ4(S4)に戻り、上記ステップ4〜7(S4〜S7)を繰り返す。また、ステップ13でYesの場合、ジョブを終了する(S14)。
上述のように、ステップ7(S7)にて、n=8となった時、即ち、8回(n=8)のVL電位を測定した時点で、平均値VLavgと目標電位VLtとの差分△Vを計算し、必要に応じて像露光手段19Kのレーザー露光量を調整する。
つまり、上記ステップ10(S10)でNoの場合、上記ステップ13(S13)に戻り、ステップ13(S13))でNoの場合、ステップ4(S4)に戻り、上記ステップ4〜7(S4〜S7)を繰り返す。また、ステップ13(S13)でYesの場合、ジョブを終了する(S14)。
また、8回目以降(n≧8)の場合は、図13に示すように、制御手段200においては、最初のデータを消去し、データの格納アドレスをシフトさせることで新しいデータのメモリーを可能としている(S12)。このようなデータ測定方法を用いることで、電位の変化していく状況に応じて、過補正になることなく、スムーズな電位の制御が可能となる。また、データの格納個数は、8個に限定する必要はなく、材料特性に応じた電位変動のレベルに応じて適時調整しても、本発明の制御には何ら問題はない。
上記ステップ12が終了すると、上記ステップ13(S13)に戻り、上記ステップ13(S13)でNoの場合、ステップ4(S4)に戻り、上記ステップ4〜7(S4〜S7)を繰り返す。また、ステップ13(S13)でYesの場合、ジョブを終了する(S14)。
実施例2
実施例1では、ドラム温度が所定温度を直接測定し、40℃以下の期間、連続画像形成中のVL電位を測定し、光除電手段18を用いてVD電位を補正することで、潜像コントラスト電位を一定に維持する補正制御であった。
本実施例では、ドラム温度の測定手段をもたない場合について説明する。こうすることで、実施例1と同等の潜像コントラストを一定にできる制御方法について説明する。即ち、所定温度(本実施例の装置では40℃)未満の領域において、図14に示すように、実験的に求めた、ドラムヒ−タにより、ドラム温度が所定温度(40℃)に到達する時間を計測している。そして、図15に示すように、メインSWをONしたタイミングをt=0とし、ドラムヒ−タの駆動時間を計測する。
本体の構成、及び画像形成方法は、実施例1と同じであるため、説明を省略する。
本発明の構成では、図14に示すように、8.3分(500秒)で、感光体n長手方向全域が、所定温度に到達する。このとき、ドラム温度、帯電電位VDのドラム温度による変動も、図11で示すように、VD電位が安定するので、この特性を用いて、ドラム温度を測定することなく、実施例1と同等の効果をえる制御を実施している。
本装置では、前記8.5分で、ドラム温度、VD電位が安定するが、余裕を持たせて10分の設定時間を制御切り替えの閾値として実施している。
本実施例の制御フロ−を、図16に示す。
実施例1と略同じ制御フロ−であるため、異なる部分「S2−2」、「S−14」の部分ついて説明する。
図16に示すように、画像形成開始されると、前記図15で示したように、本体のメインSWをONしたタイミングからの時間を、「S2−2」で確認する。
このとき、10分以上の条件では、S20へ移行し、非画像部の電位である、VL電位制御制御へ移行する。S20の制御は、実施例1と同じであるため省略する。
次に、実施例1と異なる部分「S14」について説明する。
10分未満の条件では、実施例1と同じく、連続画像形成中に紙間VLを測定し、光除電の光量を調整して、VD電位、VL電位の両方を同時に調整し、潜像コントラスト電位を一定に制御している。
S14にて、10分以上を検知した場合には、ドラム温度によるVD電位変動は、なくなったとみなして、S19へ移行し、除電光量は、E0に切り替える、S20へ移行する。
以上、上述した電位制御を画像形成時に行うことで、すなわち、ドラム温度が低い期間の紙間VL電位を測定し、そのVLの変化を、VD電位の変化とみなして、光除電の光量を調整する。こうすることで、VD電位を補正し、その結果として、VL電位を目標値にあわせる制御を実施することができる。従って、図11に示すような、従来発生していたVD電位の変動による濃度変動を低減することが可能となり、常に安定した画像形成が可能となった。
実施例3
実施例1ではドラムの温度が所定以下の場合に行なっているVD、VLの両方の制御からVL電位制御へ切り替える判断基準として、実施例2では、ドラム温度駆動時間を測定することで、所定温度に到達した場合に、制御を切り替えていた。
本実施例3では、前記制御方法を切り替える手段として、ドラム温度が所定以下の条件で、VD電位の補正に用いている、光除電の露光補正の設定値をもとに判断している点が、実施例1、2とは異なる点である。
以下、本発明の制御フロ−を、図17を用いて説明する。また、画像形成装置の構成、及び画像形成の動作等については、実施例1、2と同様であるため説明を省略すし、異なる部分についてのみ説明する。
図17は、実施例1と同様に、画像形成開始と共に、ドラム温度を「S2−2」を測定し、40℃未満である場合に、実施例1と同様に、VD電位の補正制御S3移行の制御へ移行する。
ここで、本実施例では、「S2−2」を、ドラム温度基準で判断しているが、実施例2のようドラム温度の駆動時間を用いた制御を用いても実施可能である。
次に、ドラム温度が所定以下の条件に対して、光除電の露光量を用いて、VD、VL電位を制御する制御の内容S3〜S12については、実施例1と同じであるため、説明を省略する。
本実施例で、実施例1、2と異なる点は、ステップ14の部分で、ドラム温度が所定温度に到達したとみなす判断基準を、ドラムの温度実測や、ドラムのヒ−タの駆動時間計測に頼ることなく、光除電の補正制御による設定値で判断できる点である。以下に詳細にステップ14の説明をする。
ステップ14では、露光量Exが所定値E0より小さければ(即ち、S14でNoの場合)、ドラム温度が所定の温調温度に達したとみなし、ドラム温度が変動することによるVD、VLの変動は終了したものとみなしている。本実施例では、光除電手段の露光量Exの値に基いてドラム温度が所定の温度となっているか判別している。即ち、本実施例では、光除電手段による露光量Exが、ドラム温度に関する情報である。本実施例では、光除電手段の露光量Exを制御する制御手段200は、その制御量に基いて、ドラム温度が所定温度に達しているか否かに関する情報を検知する温度情報検知手段として機能している。
露光量Exが所定値E0より大きければ(即ち、S14でYesの場合)、ステップ15(S15)に移行し、除電光量及び露光量補正を実施する。
上記光除電による電位補正タイミングは、図18に示すように、前露光LED18から一次転写ローラ5Kまでの時間△tを考慮し、画像イメージ間露光部に相当するようなタイミングに合わせて実施する。
上記点をも考慮して、上述したように、本実施例では、感光体ドラム1BKの直径が、感光体ドラム1AY、1AM、1ACの直径より大とされ、本実施例では、感光体ドラム1BKの直径は、感光体ドラム1AY、1AM、1ACの直径の3.6倍とされる。本実施例では、具体的には、感光体ドラム1BKの直径は、108mmとされた。
また、8回目以降(n≧8)の場合は、図13に示すように、制御手段200においては、最初のデータを消去し、データの格納アドレスをシフトさせることで新しいデータのメモリーを可能としている(S16)。このようなデータ測定方法を用いることで、電位の変化していく状況に応じて、過補正になることなく、スムーズな電位の制御が可能となる。また、データの格納個数は、8個に限定する必要はなく、材料特性に応じた電位変動のレベルに応じて適時調整しても、本発明の制御には何ら問題はない。
上記ステップ16(S16)が終了すると、上記ステップ17(S17)に戻り、上記ステップ17(S17)でNoの場合、ステップ6(S6)に戻り、上記ステップ6〜9(S6〜S9)を繰り返す。また、ステップ17(S17)でYesの場合、ジョブを終了する(S18)。
以上、上述した電位制御を画像形成時に行うことで、すなわち、ドラム温度が低い期間の紙間VL電位を測定し、そのVLの変化を、VD電位の変化とみなして、光除電の光量を調整する。こうすることで、VD電位を補正し、その結果として、VL電位を目標値にあわせる制御を実施することができる。従って、図11に示すような、従来発生していたVD電位の変動による濃度変動を低減することが可能となり、常に安定した画像形成が可能となった。
実施例4
実施例1、3では、ドラム温度が所定温度以下の期間、連続画像形成中のVL電位を測定し、光除電手段18を用いてVD電位を補正することで、潜像コントラスト電位を一定に維持する補正制御であった。
本実施例では、ドラム温度が、所定温度(本実施例の装置では40℃)未満の領域において、帯電手段2Kの電圧補正を行うことでも実施例1と同等の潜像コントラストを一定にできる制御方法について説明する。
本画像形成装置では、帯電手段2Kとしてコロナ帯電装置を用いており、グリッド電圧Vgを調整することで、VD電位を制御している。
図19に、ドラム温度が、23℃及び43℃の条件で、グリッド電位を変更した場合のVD電位の変化を示している。
図19から分かるように、グリッド電圧Vgに対する、VD電位の傾きは、ドラムの温度に関係なくほぼ同じ関係であることがわかる。
本実施例では、この特性を利用して、実施例1、3で示した、光除電の光量調整の部分を、グリッド電圧を調整して、ドラムの温度変化によるVD電位の変動を制御する。これは、図4に示すように、ドラムの温度差により、VDは変化するが、E−V特性は、ほぼ同じ傾きである特性を用いている。
この特性を利用して、実施例1、3と同様に、VL電位とVD電位の変化を略同一と考え、紙間のVL電位の変化を測定し、その変化は、VD電位が変化したものとみなして、グリッド電圧VgでVD電位を調整している。
その結果、VDを補正することで、VL電位を目標VLtへ補正できるので、潜像コントラスト電位を一定に保つ方式が可能となる。
図20を参照して、本実施例に従った制御フローを説明する。
基本的な制御の流れは、図9、図17(実施例1、3)の制御流れと同じであるため、主として図9、図17と異なる部分について説明する。
実施例1、3と同様に、本実施例では、前回の画像形成装置が起動し、ドラム温度Tが所定温度に到達した状態で、図10に示す電位制御のシーケンスを実行しておく。
本実施例では、図10のシーケンスに記載されている、後半の除電光の露光量EとVD電位の関係の測定は実施する必要がなく、本実施例では、グリッド電圧VgとVD電位の関係のみを利用する。
図20を参照して、前回の起動時から、メインSWがオフされ、長期放置された状態から、メインSWをONし、ドラムの温度が、所定温度以下である場合の制御について説明する。
ステップ1〜4(S1〜S4)の制御項目に関しては、実施例1、3(図9、図17)と同じであるため、説明を省略する。
次に、前回転領域で測定した、VL電位の平均値VLavgと、目標VLt電位の差△Vとすると、△V=VLavg−Vlt、また、図20の関係から、上述したように、△VL≒△VDとみなして、グリッド電圧Vgの補正量Vgxを計算する(S5)。即ち、
Vgx=Vg−△V×(ΔVg/△VL)=Vg−(VLavg−Vlt)×(ΔVg/△VD)
次に、S6〜S12までの制御項目は、実施例1、3と同じく、連続して形成されるイメージ像の画像後端信号を検知し、8個のイメージ間のVL電位をサンプリングし、その平均値を求める。
その結果、10V以上の電位変動△Vが発生した場合(ステップ12にてYes)には、ステップ13(S13)にて、グリッド電圧Vgの補正量を計算して、VD電位の補正を行なう。即ち、
補正後Vgx=前回Vgx−△V×(△Vg/△VL)=前回Vgx−△V×(△Vg/△VD)
この結果、レーザーパワーを変更せずに、VL電位も調整され、その結果潜像コントラスト電位が一定に保たれる。
その後、算出した、補正後のグリッド電圧Vgxが、前回電位制御時の目標値Vgtよりも大きい場合は、補正値Vgxへ変更し、Vgtよりも小さい場合は、ステップ19(S19)へ移行し、ドラム温度低下時のVg補正による、VD電位の補正を終了する。
ここで、ステップ19について説明する。ステップ19では、補正後のグリッド電圧Vgxが、前回電位制御時の目標値Vgtに到達した時点で、ドラムの温度が所定温度に到達し、目標VDになっているとみなし、VD電位の調整を停止している。即ち、本実施例では、補正後のグリッド電圧Vgxの値が、ドラム温度に関する情報である。本実施例では、グリッド電圧を制御する制御手段200は、その制御量に基いて、ドラム温度が所定温度に達しているか否かに関する情報を検知する温度情報検知手段として機能している。
その後は、ドラム温度が所定温度に到達したとみなし、実施例1、3と同じく、イメージ露光間のVL電位を測定した結果に基づいて、ステップ20(S20)にて像露光手段を用いたVL電位制御調整へと移行する。その他の制御内容は、実施例1、3と同様であるので、説明を省略する。
以上のように、ドラムの温度が所定温度に到達するまでの間は、VD変動が大きい。その期間においては、画像形成中のVL電位の変化を測定し、その変動がVD変動とみなして、グリッド電圧Vgの補正により、VD電位を補正することで、安定した画像形成を行なうことができる。
実施例5
次に、本発明の第5の実施例について説明する。本実施例における画像形成装置本体の構成は、実施例1、3と同じであるため、実施例1、3の説明を援用し、再度の説明は省略する。
実施例1、3では、前もって電位制御を実施した条件を用いて画像形成時の前回転区間のVL電位を測定して電位の補正制御を行った。本実施例は、実施例1、3の補正制御を更に改良するものであり、本実施例の特徴部分について以下に説明する。
最近の画像形成装置は、消費電力低減を行うために、画像形成しない期間が長い場合、スタンバイ状態で待機せず一般的に「スリープモード」と呼ばれる、定着、ヒータ類、駆動、高圧などを停止した「低消費電力モード」を備えている。
本発明の画像形成装置でも、例えば3分間プリント出力が実施されない場合は、自動的に「低消費電力モード」に移行する構成とすることができる。
このような構成とした場合に、感光体ドラムの加熱調整手段25のドラムヒータが、その都度OFFされるので、ドラムの温度が定常状態に到達する前にOFFされ、基準となる電位制御が実施できない状況となる場合がある。
そこで、本実施例の画像形成装置は、図1に示すように、タンデム構成の画像形成装置の利点を生かした制御構成とした。
本実施例にて、電位制御を用いる作像ユニットは、実施例1、3の場合と同様に、ブラック作像ユニットPKとされ、色重ねの最終色である。
本実施例では、図21に示すように、作像ユニットPKは、作像ユニットPY、PM、PCが画像形成を実施している期間を利用して、独立に画像形成を開始することにより、VD、VL電位を前回転で形成し、測定することが可能である。このとき、作像ユニットPKは、上述した転写脱着装置9を作動させて、中間転写ベルト8が感光体ドラム1BKから離間するように制御される。
本実施例では、このようにVD、VL電位を前回転で形成しても、ファーストプリントなどにはまったく影響しないことを利用している。
実施例1、3では、前回の電位制御の条件で一旦VL電位を形成し、そこからVL電位の測定結果に基づいて、光除電(前露光)でVD電位を調整していた。
本実施例では、YMCの作像中に、4番目のステーション(st)である作像ユニットPKの前回転で、VD電位を形成し、直接VD電位を測定する。そして、その結果に基づいて、実施例1、3で示した、光除電手段の光量、又は、実施例4で示した、Vg電圧の補正を実施することで、より精度よくドラムの温度低下による温度特性変動に対し、VD電位の補正を行うことができる構成を採用している。本構成では、説明を簡略化するため、実施例のグリッド電圧補正の場合について説明する。
以下に、図22のフローチャートを用いて、本実施例5における制御内容について説明する。
本実施例では、低消費電力モードからの復帰した後、復帰前の画像形成時の帯電、光除電、像露光の条件を用いて行う。
光除電手段18の露光量の設定値は、ドラム温度が所定温度に到達した条件で設定する光除電の光量設定(4.0μJ/cm2)の条件で、VD電位を画像形成開始時に補正する。このとき、前回の画像形成中に実施した、図10に示す、グリッド電圧とVD電位の関係を用いている。
本実施例では、図21に示すように、YMCで1枚目の画像形成を行なっている間に、作像ユニットPK(BK−st)では、まだ画像形成を行なってない期間に、VD電位を形成し、そのVD測定結果に基づいて、グリッド電圧Vgを補正する。実施例4は、グリッド電圧Vgの補正量は、VL電位の測定結果に基づいて行っていたが、本実施例では、VD電位を直接測定しているのでより正確に、VD電位の補正が可能となっている。
その補正方法について説明する。
ステップ1(S1)からステップ3(S3)において、画像形成装置本体の記憶手段201に、図10で示す電位制御の結果得られた、グリッド電圧VgとVD電位の関係から得た傾きα、
α=(VDB−VDA)/(VgB−VgA)
を記憶しておき、この係数αを用いて、Vgを調整し、VD電位を目標値VDtに設定する。
継続して、ステップ4(S4)において、VL電位を前回設定したレーザーパワーで形成し、形成されたVL電位を測定する。そして、その結果と、前回画像形成時の像露光手段19Kのレーザー露光量でVL電位を形成し、レーザー露光量と、下記式からなるVL電位の傾きβ、
β=(VLB−VLA)/(LPB−LPA)
ここで、LPは、レーザーパワーである。
を記憶しておき、この制御係数βを用いて、VL電位を調整し、目標値VLtに設定する。
その後、つまり、ステップ4(S4)の後、ステップ6〜20(S6〜S20)を実施する。このステップ6〜20(S6〜S20)は、実施例4を説明する図20に示すフローチャートにおけるステップ6〜20(S6〜S20)と同様であり、実施例4と同様の制御を実施する。従って、ステップ6〜20(S6〜S20)の説明は、実施例4の説明を援用し、ここでの再度の説明は省略する。
このような制御を行うことにより、より精度の良い電位制御を実施することが可能となり、安定した連続画像形成が可能となった。