JP2004037619A - 面積階調画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、肌色とニュートラルグレーの再現が両立され、生産性が高く色再現性に優れた面積階調画像形成方法を提供するである。
【解決手段】支持体上にイエロー、マゼンタ、シアン色素画像形成ユニットを有するハロゲン化銀感光材料を、イエロー、マゼンタ、シアン及びレッドの各濃度と、イエロー、マゼンタ、シアン各ベタ濃度と同じ濃度のイエロー、マゼンタ及びシアン色素で構成される3色墨の濃度とを独立に設定できるデジタル露光装置で露光後、芳香族1級アミン含有の現像液で処理する画像形成方法において、マゼンタ、レッド及び3Cにおけるマゼンタ単色分解濃度を、下記式(1)で表される条件に設定して画像形成することを特徴とする面積階調画像形成方法。
式(1) 0.6≦D1/D2≦1
【選択図】 なし
【解決手段】支持体上にイエロー、マゼンタ、シアン色素画像形成ユニットを有するハロゲン化銀感光材料を、イエロー、マゼンタ、シアン及びレッドの各濃度と、イエロー、マゼンタ、シアン各ベタ濃度と同じ濃度のイエロー、マゼンタ及びシアン色素で構成される3色墨の濃度とを独立に設定できるデジタル露光装置で露光後、芳香族1級アミン含有の現像液で処理する画像形成方法において、マゼンタ、レッド及び3Cにおけるマゼンタ単色分解濃度を、下記式(1)で表される条件に設定して画像形成することを特徴とする面積階調画像形成方法。
式(1) 0.6≦D1/D2≦1
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷物の仕上がりを事前に確認するカラープルーフに関するものであり、詳しくは、各々一つのイエロー、マゼンタ、シアン画像形成ユニットを有するハロゲン化銀感光材料を、イエロー、マゼンタ、シアン、レッド、3色墨及びブルーの各色を独立に設定できる露光装置で露光した後、現像処理する画像形成方法において、マゼンタ、レッド、3色墨及びブルーを構成するマゼンタ色素の量を特定の領域に設定することにより、肌色とニュートラルグレーの再現を両立する面積階調画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ハロゲン化銀感光材料は、高感度であること、色再現性に優れていること、連続処理に適していることから、今日盛んに用いられている。この様な特徴を有するハロゲン化銀感光材料は、写真の分野だけではなく、印刷の分野、特に、印刷の途中の段階で仕上がりの印刷物の状態をチェックするためのいわゆるプルーフの分野で広く用いられるようになってきている。
【0003】
プルーフの分野では、コンピュータ上で編集された画像を印刷用フィルムに出力し、現像処理済みのフィルムを適宜交換しつつ分解露光することにより、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各画像を形成させて、最終印刷物の画像をカラー印画紙上に形成させることにより、最終印刷物のレイアウトや色の適否を判断することが行われていた。
【0004】
最近では、コンピュータ上で編集された画像を、直接印刷版に出力する方式が徐々に普及してきており、このような場合にはコンピュータ上のデータからフィルムを介することなく直接カラー画像を得ることが望まれていた。
【0005】
このような目的には、例えば、昇華型・溶融熱型の転写方式や電子写真方式、インクジェット方式等種々の方式の応用が試みられてきたが、例えば、高画質な画像が得られる方式においては、費用がかかり生産性が劣るという欠点があり、逆に費用が少なくてすみ生産性に優れた方式では画質が劣るという欠点があった。ハロゲン化銀感光材料を用いたシステムでは、優れた鮮鋭性等から、正確な網点画像が形成できるなど高画質の画像形成が可能であり、一方で上述したように連続した処理が可能であることや、複数の色画像形成ユニットに同時に画像を書き込むことができることから高い生産性を実現することが可能であった。
【0006】
近年、印刷の分野でいわゆるデジタル化が進みコンピュータ内のデータから直接画像を得る要求が強まっているが、前記したような理由によって、ハロゲン化銀感光材料がこの分野で有利に使われ始めている。
【0007】
デジタルデータに基づき面積階調画像を形成するシステムでは、網点をさらに小さな単位(ここでは、これを画素と表現した)に分割し、この画素を適切な露光量で露光することによって、その集合体として網点を再現することが可能である。例えば、簡単な例を挙げれば、1つの網点が100個の画素で構成されるのであれば、50個の画素を現像可能なように露光することにより網%が50%の網点を形成することができる。
【0008】
通常の印刷では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の単色が重なった墨を3色墨(3C)と呼ぶが、これをY、M、Cの色素画像形成ユニットを有するハロゲン化銀感光材料で実現しようとした場合、肌色を調整するとニュートラルグレーが緑味に再現されるという欠点があった。このため、本来は、Y、M、Cの単色の濃度が決定されれば自動的に決まる3Cをこれらとは別に独立に設定できるようにし、前記欠点を改良した試みがなされてはいるが、十分な効果を得ることができないのが現状であり、早急な改良方法の開発が望まれている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、各々一つのイエロー、マゼンタ、シアン画像形成ユニットを有するハロゲン化銀感光材料を、イエロー、マゼンタ、シアン、レッド、3色墨及びブルーの色を独立に設定できる露光装置で露光後、現像する画像形成方法において生ずる、肌色とニュートラルグレーの再現が両立しないという課題を解決することにより、生産性が高く色再現性に優れた面積階調画像形成方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らの鋭意研究により、本発明の上記目的は、下記の面積階調画像形成方法により達成されることを見出し本発明を完成するに到ったものである。
【0011】
1.支持体上に、各々少なくとも1つのイエロー、マゼンタ、シアン色素画像形成ユニットを有するハロゲン化銀感光材料を、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びレッド(R)の各濃度と、該イエロー、マゼンタ、シアンの各ベタ濃度と同じ濃度のイエロー、マゼンタ及びシアン色素で構成される3色墨(3C)の濃度とを独立に設定できるデジタル露光装置で露光した後、芳香族1級アミンを含有する発色現像液で処理する画像形成方法において、マゼンタ、レッド及び3Cにおけるマゼンタ単色分解濃度を、下記式(1)で表される条件に設定して画像形成することを特徴とする面積階調画像形成方法。
【0012】
式(1)
0.6≦D1/D2≦1
〔式中、D1はマゼンタ、レッド、3Cにおけるマゼンタ単色分解濃度の中で最小濃度値を表し、D2はマゼンタ、レッド、3Cにおけるマゼンタ単色分解濃度の中での最大濃度値を表す。ここでいうマゼンタ単色分解濃度とは、いわゆるアナリティカルG濃度を意味し、特定の色を構成している色素の中で、マゼンタ色素画像形成ユニット中の色素のみを仮想的に取り出したときの濃度と定義する。〕
2.前記D1/D2が、0.75以上、1.0以下であることを特徴とする前記1項に記載の面積階調画像形成方法。
【0013】
3.支持体上に、各々少なくとも1つのイエロー、マゼンタ、シアン色素画像形成ユニットを有するハロゲン化銀感光材料を、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、3色墨(3C)、レッド(R)及びブルー(B)の各濃度を独立に設定できるデジタル露光装置で露光した後、芳香族1級アミンを含有する発色現像液で処理する画像形成方法において、マゼンタ、レッド、3C及びブルーのマゼンタ単色分解濃度を、下記式(2)で表される条件に設定して画像形成することを特徴とする面積階調画像形成方法。
【0014】
式(2)
0.6≦D3/D4≦1
〔式中、D3はマゼンタ、レッド、3C、ブルーのマゼンタ単色分解濃度の中で最小濃度値を表し、D4はマゼンタ、レッド、3C、ブルーのマゼンタ単色分解濃度の中での最大濃度値を表す。〕
4.前記D3/D4が、0.75以上、1.0以下であることを特徴とする前記3項に記載の面積階調画像形成方法。
【0015】
5.支持体上に、各々少なくとも1つのイエロー、マゼンタ、シアン色素画像形成ユニットを有するハロゲン化銀感光材料を、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、レッド(R)及び3色墨(3C)の各濃度を独立に設定できるデジタル露光装置で露光した後、芳香族1級アミンを含有する発色現像液で処理する画像形成方法において、該ハロゲン化銀感光材料が前記一般式(I)または(II)で表されるマゼンタカプラーを含有し、かつ該マゼンタ、レッド及び3Cのマゼンタ単色分解濃度を、前記式(1)の条件を満たすように設定して画像形成することを特徴とする面積階調画像形成方法。
【0016】
6.支持体上に、各々少なくとも1つのイエロー、マゼンタ、シアン色素画像形成ユニットを有するハロゲン化銀感光材料を、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、3色墨(3C)、レッド(R)及びブルー(B)の各濃度を独立に設定できるデジタル露光装置で露光した後、芳香族1級アミンを含有する発色現像液で処理する画像形成方法において、該ハロゲン化銀感光材料が前記一般式(I)または(II)で表されるマゼンタカプラーを含有し、かつ、マゼンタ、レッド、3C及びブルーのマゼンタ単色分解濃度を、前記式(2)の条件を満たすように設定して画像形成することを特徴とする面積階調画像形成方法。
【0017】
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明に係るハロゲン化銀感光材料に用いられるハロゲン化銀乳剤としては、95モル%以上が塩化銀からなるハロゲン化銀乳剤が好ましく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、塩沃化銀等、任意のハロゲン組成を有するものが用いられる。上記ハロゲン組成の中でも、塩化銀を95モル%以上含有する塩臭化銀、中でも臭化銀を高濃度に含有する領域を有するハロゲン化銀乳剤が好ましく用いられ、また、表面近傍に沃化銀を0.05〜0.5モル%含有する塩沃化銀も好ましく用いられる。臭化銀を高濃度に含有する領域を有するハロゲン化銀乳剤の高濃度に臭化銀を含有する領域は、いわゆるコア/シェル型ハロゲン化銀乳剤であってもよいし、完全な層を形成せず単に部分的に組成の異なる領域が存在するだけのいわゆるエピタキシー接合した領域を形成していてもよい。臭化銀が高濃度に存在する部分は、ハロゲン化銀粒子(以下、単に粒子ともいう)の表面の結晶粒子の頂点に形成されることが特に好ましい。また、組成は連続的に変化しても良いし、あるいは不連続に変化していてもよい。
【0018】
本発明に用いられるネガ型ハロゲン化銀乳剤には、重金属イオンを含有させるのが有利である。これによっていわゆる相反則不軌が改良され、高照度露光での減感が防止されたり、シャドー側(陰影部)での軟調化が防止されることが期待される。このような目的に用いることのできる重金属イオンとしては、例えば、鉄、イリジウム、白金、パラジウム、ニッケル、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、コバルト等の第8〜10族金属や、カドミウム、亜鉛、水銀などの第12族遷移金属や、鉛、レニウム、モリブデン、タングステン、ガリウム、クロムの各イオンを挙げることができる。中でも鉄、イリジウム、白金、ルテニウム、ガリウム、オスミウムの金属イオンが好ましい。これらの金属イオンは、塩や、錯塩の形でハロゲン化銀乳剤に添加することができる。前記重金属イオンが錯体を形成する場合には、その配位子として、例えば、シアン化物イオン、チオシアン酸イオン、シアン酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、沃化物イオン、カルボニル、ニトロシル、アンモニア、1,2,4−トリアゾール、チアゾール等を挙げることができる。中でも、塩化物イオン、臭化物イオン等が好ましい。これらの配位子は単独であっても複数の配位子が併用されてもよい。
【0019】
これらの金属化合物は、ハロゲン化銀粒子に含有させた時の電子トラップの深さとして特徴づけることもできる。深さが0.2eV以下の浅い電子トラップを与える化合物としては第2鉛イオンまたは、シアノ配位子を有する化合物を挙げることができ、相反則不軌特に低照度不軌を改良するのに有効である。また、深さが0.35eV以上の深い電子トラップを与える化合物としては、ハロゲン化物イオンやニトロシル配位子を有するIr、Rh、Ru化合物を挙げることができる。これらは、高照度相反則不軌を改良する上で好ましく用いることができる。深さが0.2eV以下の浅い電子トラップを与える化合物と深さが0.35eV以上の深い電子トラップを与える化合物を併用することも好ましい形態である。これら化合物については、特開2000−214561公報の4〜5ページに詳しい記載がある。
【0020】
ハロゲン化銀乳剤に重金属イオンを含有させるためには、該重金属化合物を粒子の形成前、粒子の形成中、粒子の形成後の物理熟成中の各工程の任意の場所で添加すればよい。
【0021】
重金属化合物をハロゲン化物塩と一緒に溶解して粒子形成工程の全体或いは一部にわたって連続的に添加することができる。また、あらかじめこれらの重金属化合物を含有するハロゲン化銀微粒子を形成しておいて、これを添加することによって調製することもできる。前記重金属イオンをハロゲン化銀乳剤中に添加するときの量はハロゲン化銀1モル当り1×10−9モル以上、1×10−2モル以下がより好ましく、特に1×10−8モル以上、5×10−5モル以下が好ましい。
【0022】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子の形状は、任意のものを用いることができる。好ましい一つの例は、〔100〕面を結晶表面として有する立方体である。また、米国特許第4,183,756号、同第4,225,666号、特開昭55−26589号、特公昭55−42737号や、ザ・ジャーナル・オブ・フォトグラフィック・サイエンス(J.Photogr.Sci.)21号39ページ(1973)等の文献に記載された方法等により、八面体、十四面体、十二面体等の形状を有する粒子を調製し、これらを用いることもできる。さらに、双晶面を有する粒子を用いてもよい。
【0023】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、単一の形状からなる粒子が好ましく用いられるが、単分散のハロゲン化銀乳剤を、二種以上同一層に添加することが特に好ましい。
【0024】
本発明に用いられる粒子の粒径は、特に制限はないが、迅速処理性及び感度など、他の写真性能などを考慮すると好ましくは、0.1〜1.2μm、更に好ましくは、0.2〜1.0μmの範囲である。
【0025】
本発明でいう粒子の粒径は、粒子の投影面積か、あるいは直径近似値を使ってこれを測定することができる。粒子が実質的に均一形状である場合は、粒径分布は、直径や投影面積を測定してかなり正確にこれを表すことができる。
【0026】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子の粒径の分布は、好ましくは変動係数が0.22以下、更に好ましくは0.15以下の単分散ハロゲン化銀粒子であり、特に好ましくは、変動係数0.15以下の単分散乳剤を2種以上同一層に添加することである。ここでいう変動係数は、粒径分布の広さを表す係数であり、次式によって定義される。
【0027】
変動係数=S/R
(ここに、Sは粒径分布の標準偏差、Rは平均粒径を表す。)
ハロゲン化銀乳剤の調製装置、調製方法としては、当業界において公知の種々の方法を用いることができる。
【0028】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、酸性法、中性法、アンモニア法の何れで得られたものであってもよい。ハロゲン化銀粒子は、一時に成長させたものであってもよいし、種粒子を作った後で成長させてもよい。種粒子を作る方法と成長させる方法は同じであっても、異なってもよい。
【0029】
また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン化物塩を反応させる形式としては、順混合法、逆混合法、同時混合法、それらの組合せなど、いずれでもよいが、同時混合法で得られたものが好ましい。更に、同時混合法の一形式として、特開昭54−48521号等に記載されているpAgコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。
【0030】
また、特開昭57−92523号、同57−92524号等に記載の反応母液中に配置された添加装置から水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を供給する装置、ドイツ公開特許第2,921,164号等に記載された水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を連続的に濃度変化して添加する装置、特公昭56−501776号等に記載の反応器外に反応母液を取り出し、限外濾過法で濃縮することによりハロゲン化銀粒子間の距離を一定に保ちながら粒子形成を行なう装置などを用いてもよい。
【0031】
更に、必要で有ればチオエーテル等のハロゲン化銀溶剤を用いてもよい。また、メルカプト基を有する化合物、含窒素ヘテロ環化合物または増感色素のような化合物をハロゲン化銀粒子の形成時、または、粒子形成終了の後に添加して用いてもよい。
【0032】
本発明に用いられるネガ型ハロゲン化銀乳剤は、金化合物を用いる増感法、カルコゲン増感剤を用いる増感法を組み合わせて用いることができる。カルコゲン増感剤としては、例えば、イオウ増感剤、セレン増感剤、テルル増感剤などを用いることができるが、イオウ増感剤が好ましい。イオウ増感剤としては、例えば、チオ硫酸塩、トリエチルチオ尿素、アリルチオカルバミドチオ尿素、アリルイソチアシアネート、シスチン、p−トルエンチオスルホン酸塩、ローダニン、無機イオウ等が挙げられる。
【0033】
イオウ増感剤の添加量としては、適用されるハロゲン化銀乳剤の種類や期待する効果の大きさなどにより変えることが好ましいが、概ねハロゲン化銀1モル当たり5×10−10〜5×10−5モルの範囲、好ましくは5×10−8〜3×10−5モルの範囲が好ましい。
【0034】
金増感剤としては、塩化金酸、硫化金等の他各種の金錯体として添加することができる。用いられる配位子化合物としては、ジメチルローダニン、チオシアン酸、メルカプトテトラゾール、メルカプトトリアゾール等を挙げることができる。金化合物の使用量は、ハロゲン化銀乳剤の種類、使用する化合物の種類、熟成条件などによって一様ではないが、通常は、ハロゲン化銀1モル当たり1×10−4〜1×10−8モルであることが好ましい。更に好ましくは1×10−5〜1×10−8モルである。これらの化合物は、増感剤として使用するほかに、塗布液の調製段階などで種々の目的で添加することができる。また、本発明に用いられるネガ型ハロゲン化銀乳剤の化学増感法としては、還元増感法を用いてもよい。
【0035】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤には、ハロゲン化銀感光材料の調製工程中に生じるカブリを防止したり、保存中の性能変動を小さくしたり、現像時に生じるカブリを防止する目的で、公知のカブリ防止剤や安定剤を用いることができる。この様な目的で用いることのできる好ましい化合物の例として、特開平2−146036号7ページ下欄に記載された一般式(II)で表される含窒素複素環メルカプト化合物を挙げることができ、さらに好ましい具体的な化合物としては、同公報の8ページに記載の(IIa−1)〜(IIa−8)、(IIb−1)〜(IIb−7)の化合物や、特開2000−267235公報の8ページ右欄32〜36行目に記載の化合物を挙げることができる。これらの化合物は、その目的に応じて、ハロゲン化銀乳剤粒子の調製工程、化学増感工程、化学増感工程の終了時、塗布液調製工程などの工程で添加される。これらの化合物の存在下で化学増感処理を行う場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10−5〜5×10−4モル程度の量が好ましく用いられる。化学増感終了時に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10−6〜1×10−2モル程度の量が好ましく、1×10−5〜5×10−3モルがより好ましい。塗布液調製工程において、ハロゲン化銀乳剤層に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10−6〜1×10−1モル程度の量が好ましく、1×10−5〜1×10−2モルがより好ましい。また、ハロゲン化銀乳剤層以外の層に添加する場合には、塗布被膜中の量が、1m2当り1×10−9〜1×10−3モル程度の量が好ましい。
【0036】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤には、種々の目的で他の添加剤を加えることができる。例えば、特開平2−146036号に、具体的に記載されているA−20、C−1、C−9、C−14、C−15、C−16、C−40等のジスルフィド、ポリスルフィド化合物、D−1、D−3、D−6、D−8等のチオスルホン酸化合物、無機イオウ等を用いることが好ましい。
【0037】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料には、イラジエーション防止やハレーション防止の目的で種々の波長域に吸収を有する染料を用いることができる。この目的で、公知の化合物をいずれも用いることができるが、特に、可視域に吸収を有する染料としては、特開平3−251840号308ページに記載のAI−1〜11の染料および特開平6−3770号記載の染料が好ましく用いられる。
【0038】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料は、ハロゲン化銀乳剤層のうち最も支持体に近いハロゲン化銀乳剤層より支持体に近い側に少なくとも1層の耐拡散性化合物で着色された親水性コロイド層を有することが好ましい。着色物質としては染料またはそれ以外の有機、無機の着色物質を用いることができる。
【0039】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料は、ハロゲン化銀乳剤層のうち最も支持体に近いハロゲン化銀乳剤層より支持体に近い側に少なくとも1層の着色された親水性コロイド層を有することが好ましく、該層に白色顔料を含有していてもよい。例えばルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタン、硫酸バリウム、ステアリン酸バリウム、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、カオリン等を用いることができるが、種々の理由から、中でも二酸化チタンが好ましい。白色顔料は処理液が浸透できるような例えばゼラチン等の親水性コロイドの水溶液バインダー中に分散される。白色顔料の塗布付量は好ましくは0.1〜50g/m2の範囲であり、更に好ましくは0.2〜5g/m2の範囲である。
【0040】
支持体と、支持体から最も近いハロゲン化銀乳剤層との間には、白色顔料含有層の他に必要に応じて下塗り層、あるいは任意の位置に中間層等の非感光性親水性コロイド層を設けることができる。
【0041】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料中に、蛍光増白剤を添加することで白地性をより改良でき好ましい。蛍光増白剤は、紫外線を吸収して可視光の蛍光を発することのできる化合物であれば特に制限はないが、分子中に少なくとも1個以上のスルホン酸基を有するジアミノスチルベン系化合物であり、これらの化合物には増感色素の感材外への溶出を促進する効果もあり好ましい。他の好ましい一つの形態は、蛍光増白効果を有する固体微粒子化合物である。
【0042】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料には、400〜900nmの波長域の特定領域に分光増感されたハロゲン化銀乳剤を含む層を有する。該ハロゲン化銀乳剤は一種または、二種以上の増感色素を組み合わせて含有する。
【0043】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤に用いる分光増感色素としては、公知の化合物をいずれも用いることができるが、青感光性増感色素としては、特開平3−251840号28ページに記載のBS−1〜8を単独でまたは組み合わせて好ましく用いることができる。緑感光性増感色素としては、同公報28ページに記載のGS−1〜5が好ましく用いられる。赤感光性増感色素としては同公報29ページに記載のRS−1〜8が好ましく用いられる。
【0044】
これらの増感色素の添加時期としては、ハロゲン化銀粒子形成から化学増感終了までの任意の時期でよい。また、これらの色素の添加方法としては、水またはメタノール、エタノール、フッ素化アルコール、アセトン、ジメチルホルムアミド等の水と混和性の有機溶媒に溶解して溶液として添加してもよいし、増感色素を密度が1.0g/mlより大きい、水混和性溶媒の溶液または、乳化物、懸濁液として添加してもよい。
【0045】
増感色素の分散方法としては、高速撹拌型分散機を用いて水系中に機械的に1μm以下の微粒子に粉砕・分散する方法以外に、特開昭58−105141号に記載のようにpH6〜8、60〜80℃の条件下で水系中において機械的に1μm以下の微粒子に粉砕・分散する方法、特公昭60−6496号に記載の表面張力を3.8×10−2N/m以下に抑える界面活性剤の存在下に分散する方法、特開昭50−80826号に記載の実質的に水を含まず、pKaが5を上回らない酸に溶解し、該溶解液を水性液に添加分散し、この分散物をハロゲン化銀乳剤に添加する方法等を用いることができる。
【0046】
分散に用いる分散媒としては水が好ましいが、少量の有機溶媒を含ませて溶解性を調整したり、ゼラチン等の親水性コロイドを添加して分散液の安定性を高めることもできる。
【0047】
分散液を調製するのに用いることのできる分散装置としては、例えば、特開平4−125631号公報第1図に記載の高速撹拌型分散機の他、ボールミル、サンドミル、超音波分散機等を挙げることができる。
【0048】
また、これらの分散装置を用いるに当たって、特開平4−125632号に記載のように、あらかじめ乾式粉砕などの前処理を施した後、湿式分散を行う等の方法をとってもよい。
【0049】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は一種または、二種以上の増感色素を組み合わせて含有してもよい。
【0050】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料に用いられるカプラーとしては、発色現像主薬の酸化体とカップリング反応して340nmより長波長域に分光吸収極大波長を有するカップリング生成物を形成し得るいかなる化合物をも用いることができるが、特に代表的な物としては、波長域350〜500nmに分光吸収極大波長を有するイエロー色素形成カプラー、波長域500〜600nmに分光吸収極大波長を有するマゼンタ色素形成カプラー、波長域600〜750nmに分光吸収極大波長を有するシアン色素形成カプラーとして知られているものが代表的である。
【0051】
請求項5、6に係る発明においては、前記一般式(I)または(II)で表されるマゼンタカプラーを含有することが1つの特徴である。
【0052】
前記一般式(I)において、R31〜R37は、各々水素原子、置換、無置換のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアリール基を表し、より好ましくはアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基である。
【0053】
R31〜R37で表されるアルキル基としては、炭素数1〜32のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、(t)ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、2−エチルヘキシル基等がその代表例として挙げられる。
【0054】
R31〜R37で表されるシクロアルキル基としては、炭素数3〜12のものが好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−メチルシクロプロピル基、アダマンチル基等がその代表例として挙げられる。
【0055】
R31〜R37で表されるアリール基としては、炭素数6〜14のものが好ましく、その代表例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。
【0056】
R31〜R37で表されるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基が置換基を有するとき、その置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、(t)ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ドデシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スルホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルホンアミド基(例えば、メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、ヘキシルスルホニルアミノ基、シクロヘキシルスルホニルアミノ基、オクチルスルホニルアミノ基、ドデシルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基等が挙げられ、これらの基は、更に上記の置換基によって置換されていてもよい。
【0057】
これらのうちで、R31として好ましいものは、アルキル基であり、特に好ましくは、(t)ブチル基であり、R32として好ましいものは、アルキル基であり、R33〜R37として好ましいものは、水素原子である。
【0058】
前記一般式(I)において、L31、L32は各々置換、無置換のアルキレン基を表す。L31、L32で表されるアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。L31、L32で表されるアルキレン基が置換基を有するとき、その置換基としては、前記L31、L32と同様のような基を挙げることができる。
【0059】
以下に、L31、L32で表されるアルキレン基の代表的具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0060】
【化3】
【0061】
前記一般式(I)において、L32は置換、無置換のエチレン基が好ましく、特に好ましくは、無置換のエチレン基である。
【0062】
前記一般式(I)において、J3は−(C=O)−又は−(O=S=O)−を表す。
【0063】
前記一般式(I)において、J4は−(C=O)−、−(C=O)−O−、−O−(C=O)−、−(C=O)−NH−、−NH−(C=O)−、−(O=S=O)−、−(O=S=O)−O−、−O−(O=S=O)−、−(O=S=O)−NH−または−NH−(O=S=O)−を表す。好ましくは−(C=O)−O−、−O−(C=O)−、−(C=O)−NH−、−NH−(C=O)−であり、特に好ましくは−(C=O)−O−、−(C=O)−NH−である。
【0064】
前記一般式(I)において、X3は水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、弗素原子等)、発色現像主薬の酸化体との反応により脱離可能な基(例えばアルコキシ、アリールオキシ、複素環オキシ、アシルオキシ、スルホニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、アルキルオキザリルオキシ、アルコキシオキザリルオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、複素環チオ、アルキルオキシチオカルボニルチオ、アシルアミノ、スルホンアミド、N原子で結合した含窒素複素環、アルキルオキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、カルボキシル等の各基)が挙げられるが、好ましくはハロゲン原子、特に好ましくは塩素原子である。
【0065】
前記一般式(I)において、Z3により形成される含窒素複素環としては、ピラゾール環、イミダゾール環、ピラゾロトリアゾール環、テトラゾール環等が挙げられるが、これらのうちで好ましくはピラゾロトリアゾール環である。
【0066】
以下、本発明に係る一般式(I)で表されるマゼンタカプラーの代表的な例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0067】
【化4】
【0068】
【化5】
【0069】
【化6】
【0070】
【化7】
【0071】
【化8】
【0072】
本発明に係る前記一般式(I)で表されるマゼンタカプラーは、ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサイアティ(Journal of the Chemical Society),パーキン(Perkin)I(1977),2047〜2052、米国特許第3,725,067号、特開昭59−99437号、同58−42045号、同59−162548号、同59−171956号、同60−33552号、同60−43659号、同60−172982号、同60−190779号、同61−189539号、同61−241754号、同63−163351号、同62−157031号、Syntheses,1981年40頁、同1984年122頁、同1984年894頁、特開昭49−53574号、英国特許第1,410,846号、新実験化学講座14−III巻,1585〜1594頁(1977),丸善刊、Helv.Chem.Acta.,36巻,75頁(1953)、J.Am.Chem.Soc.,72巻,2762頁(1950)、Org.Synth.,II巻,395頁(1943)等を参考にして、当業者ならば容易に合成することができる。
【0073】
次いで、前記一般式(II)で表されるマゼンタカプラーについて説明する。
前記一般式(II)において、R1、R2で表される置換基は、特に制限されるものではないが、代表的な置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アニリノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルケニル基、シクロアルキル基等が挙げられるが、この他に、ハロゲン原子及びシクロアルケニル基、アルキニル基、複素環基、スルホニル基、スルフィニル基、ホスホニル基、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シロキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、イミド基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環チオ基、ならびにスピロ化合物残基、有橋炭化水素化合物残基等も挙げられる。
【0074】
また、上記のアルキル基としては、炭素数1〜32のものが好ましく、直鎖でも分岐でもよい。上記のアリール基としては、フェニル基が好ましい。上記のアシルアミノ基としては、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基等が挙げられる。上記のスルホンアミド基としては、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基等が挙げられる。
【0075】
上記のアルキルチオ基、アリールチオ基におけるアルキル成分、アリール成分としては、上記のアルキル基、アリール基が挙げられる。
【0076】
上記のアルケニル基としては、炭素数2〜32のアルケニル基、シクロアルキル基としては炭素数3〜12のシクロアルキル基、特に5〜7のシクロアルキル基が好ましい。また、アルケニル基は直鎖でも分岐でもよい。
【0077】
上記のシクロアルケニル基としては、炭素数3〜12のシクロアルケニル基、特に、5〜7のシクロアルケニル基が好ましい。
【0078】
上記のスルホニル基としては、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等;スルフィニル基としては、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基等;ホスホニル基としては、アルキルホスホニル基、アルコキシホスホニル基、アリールオキシホスホニル基、アリールホスホニル基等;アシル基としては、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基等;カルバモイル基としては、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基等;スルファモイル基としては、アルキルスルファモイル基、アリール基、アリールスルファモイル基等;アシルオキシ基としては、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基等;カルバモイルオキシ基としては、アルキルカルバモイルオキシ基、アリールカルバモイルオキシ基等;ウレイド基としては、アルキルウレイド基、アリールウレイド基等;スルファモイルアミノ基としては、アルキルスルファモイルアミノ基、アリールスルファモイルアミノ基等;複素環基としては、5〜7員の複素環基が好ましく、具体的には、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾール基等;複素環オキシ基としては、5〜7員の複素環を有するものが好ましく、例えば、3,4,5,6−テトラヒドロピラニル−2−オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基等;複素環チオ基としては、5〜7員の複素環を有するものが好ましく、例えば、2−ピリジルチオ基、2−ベンゾチアゾリルチオ基、2,4−ジフェノキル−1,3,5−トリアゾール−6−チオ基等;シロキシ基としては、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、ジメチルブチルシロキシ基等;イミド基としては、コハク酸イミド基、3−ヘプタデシルコハク酸イミド基、フタルイミド基、グルタルイミド基等;スピロ化合物残基としては、スピロ〔3.3〕ヘプタン−1−イル等;有橋炭化水素化合物残基としてはビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン−1−イル、トリシクロ〔3.1.13.17〕デカン−1−イル、7,7−ジメチル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン−1−イル等が挙げられる。
【0079】
Xで表される発色現像主薬の酸化体との反応により離脱しうる基としては、例えば、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、弗素原子等)及びアルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、アシルオキシ基、スルホニルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アルキルオキザリルオキシ基、アルコキシオキザリルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、アルキルオキシチオカルボニルチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、N原子で結合した含窒素複素環基、アルキルオキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、カルボキシル基、
【0080】
【化9】
【0081】
〔R11は、前記R1、R2と同義であり、Z11は含窒素複素環を形成するに必要な非金属原子を表し、Z11により形成される環は置換基を有していてもよい。R12及びR13は、各々水素原子、アリール基、アルキル基または複素環基を表す。〕等の各基が挙げられるが、好ましくはハロゲン原子、特に塩素原子である。
【0082】
以下、前記一般式(II)で表されるマゼンタカプラーの具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0083】
【化10】
【0084】
本発明においては、本発明に係る上記各マゼンタカプラーは、本発明の効果を損なわない範囲において、他の種類のマゼンタカプラーと併用することもでき、通常、ハロゲン化銀1モル当たり1×10−3〜1モル、好ましくは1×10−2〜8×10−1モルの範囲で用いることができる。
【0085】
本発明に係る感光材料において形成されるマゼンタ画像の分光吸収のλmaxは530〜560nmであることが好ましく、またλL0.2は、580〜635nmであることが好ましい。λL0.2とは、画像色素の分光吸光度曲線において、最大吸光度が1.0である時、最大吸光度を示す波長よりも長波で、吸光度が0.2となる波長をいう。この量は画像色素の長波側の不要吸収の大きさを示す目安となる量であり、λmaxに近い波長であるほど不要吸収が小さく好ましいことを表す。
【0086】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料のマゼンタ画像形成層には、マゼンタカプラーに加えて、イエローカプラーを含有することが好ましい。本発明に係る感光材料のマゼンタ画像形成性層に含有させる好ましいイエローカプラーとしては、公知のピバロイルアセトアニリド型もしくはベンゾイルアセトアニリド型等のカプラーが挙げられる。本発明に係る感光材料のマゼンタ画像形成性層に含有させる好ましいイエローカプラーの具体例としては、特開平8−314079号の6〜15ページ右欄に記載のYCP−1〜YCP−39で表されるカプラーが挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0087】
本発明に係る感光材料において、シアン画像形成層中に含有されるシアンカプラーとしては、公知のフェノール系、ナフトール系又はイミダゾール系、アゾール系カプラーを用いることができる。例えば、アルキル基、アシルアミノ基、或いはウレイド基などを置換したフェノール系カプラー、5−アミノナフトール骨格から形成されるナフトール系カプラー、離脱基として酸素原子を導入した2当量型ナフトール系カプラーなどが代表される。このうち好ましい化合物としては特開平6−95283号13ページ記載の一般式[C−I]、[C−II]が挙げられる。
【0088】
アゾール系カプラーとしては、特開平8−171185号2ページ記載の一般式〔I〕もしくは〔II〕で表されるカプラーを挙げることができる。
【0089】
本発明において、シアンカプラーの使用量は、通常、ハロゲン化銀乳剤層において、ハロゲン化銀1モル当たり1×10−3〜1モル、好ましくは1×10−2〜8×10−1モルの範囲である。
【0090】
本発明に係る感光材料において、イエロー画像形成層中に含有されるイエローカプラーとしては、公知のアシルアセトアニリド系カプラー等を好ましく用いることができる。該イエローカプラーの具体例としては、例えば、特開平3−241345号の5頁〜9頁に記載の化合物、Y−I−1〜Y−I−55で示される化合物、もしくは特開平3−209466号の11〜14頁に記載の化合物、Y−1〜Y−30で示される化合物、特開平6−95283号21ページ記載の一般式〔Y−I〕で表される化合物、特開平10−186601号2ページ記載の一般式〔I〕もしくは〔II〕で表される化合物、特開2000−112090の2ページに記載の一般式〔I〕で表されるカプラーを挙げることができる。
【0091】
本発明に係る感光材料により形成されるイエロー画像の分光吸収のλmaxは425nm以上であることが好ましく、λL0.2は515nm以下であることが好ましい。
【0092】
上記イエローカプラーは、通常、ハロゲン化銀乳剤層において、ハロゲン化銀1モル当たり1×10−3〜1モル、好ましくは1×10−2〜8×10−1モルの範囲で用いることができる。
【0093】
マゼンタ色画像、シアン色画像及びイエロー色画像の分光吸収特性を調整するために、色調調整作用を有する化合物を添加することが好ましい。このための化合物としては、特開平6−95283号22ページ記載の一般式[HBS−I]に記載されるリン酸エステル系化合物、[HBS−II]で示されるホスフィンオキサイド系化合物が好ましく、より好ましくは同号22ページ記載の一般式[HBS−II]で示される化合物である。
【0094】
本発明に係る感光材料において、ハロゲン化銀乳剤層は支持体上に積層塗布されるが支持体からの順番はどのような順番でもよい。この他に必要に応じ中間層、フィルター層、保護層等を配置することができる。
【0095】
前記のマゼンタ、シアン、イエローの各カプラーには、形成された色素画像の光、熱、湿度等による褪色を防止するため褪色防止剤を併用することができる。好ましい化合物としては、特開平2−66541号3ページ記載の一般式IおよびIIで示されるフェニルエーテル系化合物、特開平3−174150号記載の一般式IIIBで示されるフェノール系化合物、特開平64−90445号記載の一般式Aで示されるアミン系化合物、特開昭62−182741号記載の一般式XII、XIII、XIV、XVで示される金属錯体が特にマゼンタ色素用として好ましい。また、特開平1−196049号記載の一般式I′で示される化合物および特開平5−11417号記載の一般式IIで示される化合物が特にイエロー、シアン色素用として好ましい。
【0096】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料に用いられるステイン防止剤やその他の有機化合物を添加するのに水中油滴型乳化分散法を用いる場合には、通常、沸点150℃以上の水不溶性高沸点有機溶媒に、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒を併用して溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて乳化分散する。分散手段としては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波分散機等を用いることができる。分散後、または、分散と同時に低沸点有機溶媒を除去する工程を入れてもよい。ステイン防止剤等を溶解して分散するために用いることのできる高沸点有機溶媒としては、例えば、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等のリン酸エステル類、トリオクチルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類、特開平4−265975号の5ページに記載の(a−i)〜(a−x)を代表とする高級アルコール系化合物等が好ましく用いられる。また、高沸点有機溶媒の誘電率としては3.5〜7.0であることが好ましい。また、二種以上の高沸点有機溶媒を併用することもできる。
【0097】
本発明に係る感光材料に用いられる写真用添加剤の分散や塗布時の表面張力調整のため用いられる界面活性剤として好ましい化合物としては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホン酸基またはその塩を含有するものが挙げられる。具体的には、特開昭64−26854号記載のA−1〜A−11が挙げられる。また、アルキル基に弗素原子を置換した界面活性剤も好ましく用いられる。これらの分散液は、通常、ハロゲン化銀乳剤を含有する塗布液に添加されるが、分散した後、塗布液に添加されるまでの時間及び塗布液に添加した後、塗布までの時間は短いほうがよく、各々10時間以内が好ましく、3時間以内我より好ましく、20分以内が特に好ましい。
【0098】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料には、現像主薬酸化体と反応する化合物を感光層と感光層の間の層に添加して色濁りを防止したりまたハロゲン化銀乳剤層に添加してカブリ等を改良することが好ましい。このための化合物としては、ハイドロキノン誘導体が好ましく、さらに好ましくは2、5−ジ−t−オクチルハイドロキノンのようなジアルキルハイドロキノンである。特に好ましい化合物は、特開平4−133056号に記載の一般式IIで示される化合物であり、同号13〜14ページ記載の化合物II−1〜II−14および17ページ記載の化合物1が挙げられる。
【0099】
本発明に係る感光材料中には、紫外線吸収剤を添加してスタチックカブリを防止したり色素画像の耐光性を改良することが好ましい。好ましい紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール類が挙げられ、特に好ましい化合物としては、特開平1−250944号記載の一般式III−3で示される化合物、特開昭64−66646号記載の一般式IIIで示される化合物、特開昭63−187240号記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号記載の一般式Iで示される化合物、特開平5−165144号記載の一般式(I)、(II)で示される化合物が挙げられる。
【0100】
本発明に係る感光材料には、油溶性染料や顔料を含有すると白地性が改良され好ましい。油溶性染料の代表的具体例は、特開平2−842号8ページ〜9ページに記載の化合物1〜27が挙げられる。
【0101】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料には、バインダーとしてゼラチンを用いることが有利であるが、必要に応じて他のゼラチン、例えば、ゼラチン誘導体やゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、ゼラチン以外のタンパク質、糖誘導体、セルロース誘導体、単一あるいは共重合体のごとき合成親水性高分子物質等の親水性コロイドも用いることができる。
【0102】
これらバインダーの硬膜剤としては、ビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用することが好ましい。特開昭61−249054号、同61−245153号記載の化合物を使用することが好ましい。また、写真性能や画像保存性に悪影響するカビや細菌の繁殖を防ぐためコロイド層中に、特開平3−157646号記載のような防腐剤および抗カビ剤を添加することが好ましい。また、感光材料または処理後の感光材料表面の物性を改良するため、保護層に特開平6−118543号や特開平2−73250号記載の滑り剤やマット剤を添加することが好ましい。
【0103】
本発明に係る感光材料に用いる支持体としては、どのような材質を用いてもよく、ポリエチレンやポリエチレンテレフタレートで被覆した紙、天然パルプや合成パルプからなる紙支持体、塩化ビニルシート、白色顔料を含有してもよいポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート支持体、バライタ紙などを用いることができる。なかでも、原紙の両面に耐水性樹脂被覆層を有する支持体が好ましい。耐水性樹脂としてはポリエチレンやポリエチレンテレフタレートまたはそれらのコポリマーが好ましい。
【0104】
紙の表面に耐水性樹脂被覆層を有する支持体は、通常、50〜300g/m2の質量を有する表面の平滑なものが用いられるが、プルーフ画像を得る目的に対しては、取り扱いの感覚を印刷用紙に近づけるため、130g/m2以下の原紙が好ましく用いられ、さらに70〜120g/m2の原紙が好ましく用いられる。本発明に用いられる支持体としては、ランダムな凹凸を有するものであっても平滑なものであっても好ましく用いることができる。
【0105】
支持体に用いられる白色顔料としては、無機及び/または有機の白色顔料を用いることができ、好ましくは無機の白色顔料が用いられる。例えば、硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等があげられる。白色顔料は好ましくは硫酸バリウム、酸化チタンである。
【0106】
支持体の表面の耐水性樹脂層中に含有される白色顔料の量は、鮮鋭性を改良するうえで13質量%以上が好ましく、さらには15質量%が好ましい。
【0107】
本発明に係る紙支持体の耐水性樹脂層中の白色顔料の分散度は、特開平2−28640号に記載の方法で測定することができる。この方法で測定したときに、白色顔料の分散度が、前記公報に記載の変動係数として0.20以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましい。
【0108】
本発明に用いられる両面に耐水性樹脂層を有する紙支持体の樹脂層は、1層であってもよいし、複数層からなってもよい。複数層とし、乳剤層と接する方に白色顔料を高濃度で含有させると鮮鋭性の向上が大きく、プルーフ用画像を形成するのに好ましい。
【0109】
また、支持体表面の中心面平均粗さ(SRa)の値が0.15μm以下、更には0.12μm以下であることが、光沢性がよいという効果が得られより好ましい。
【0110】
本発明に用いられる写真感光材料は、必要に応じて支持体表面にコロナ放電、紫外線照射、火炎処理等を施した後、直接または下塗層(支持体表面の接着性、帯電防止性、寸度安定性、耐摩擦性、硬さ、ハレーション防止性、摩擦特性及び/またはその他の特性を向上するための1または2以上の下塗層)を介して塗布されていてもよい。
【0111】
ハロゲン化銀乳剤を用いた写真感光材料の塗布に際して、塗布性を向上させるために増粘剤を用いてもよい。塗布法としては2種以上の層を同時に塗布することのできるエクストルージョンコーティング及びカーテンコーティングが特に有用である。
【0112】
本発明に用いられる露光装置の露光光源は、公知のものをいずれも好ましく用いることができるが、レーザーまたは発光ダイオード(以下、LEDと表す)がより好ましく用いられる。
【0113】
レーザーとしては、半導体レーザー(以下、LDと表す)がコンパクトであること、光源の寿命が長いことから好ましく用いられる。また、LDはDVD、音楽用CDの光ピックアップ、POSシステム用バーコードスキャナ等の用途や光通信等の用途に用いられており、安価であり、かつ比較的高出力のものが得られるという長所を有している。LDの具体的な例としては、アルミニウム・ガリウム・インジウム・ヒ素(650nm)、インジウム・ガリウム・リン(〜700nm)、ガリウム・ヒ素・リン(610〜900nm)、ガリウム・アルミニウム・ヒ素(760〜850nm)等を挙げることができる。最近では、青光を発振するレーザーも開発されているが、現状では、610nmよりも長波の光源としてLDを用いるのが有利である。
【0114】
SHG素子を有するレーザー光源としては、LD、YAGレーザーから発振される光をSHG素子により半分の波長の光に変換して放出させるものであり、可視光が得られることから適当な光源がない緑〜青の領域の光源として用いられる。この種の光源の例としては、YAGレーザーにSHG素子を組み合わせたもの(532nm)等がある。
【0115】
ガスレーザーとしては、ヘリウム・カドミウムレーザー(約442nm)、アルゴンイオンレーザー(約514nm)、ヘリウムネオンレーザー(約544nm、633nm)等が挙げられる。
【0116】
LEDとしては、LDと同様の組成をもつものが知られているが、青〜赤外まで種々のものが実用化されている。
【0117】
本発明に用いられる露光光源としては、各レーザーを単独で用いてもよいし、これらを組合せ、マルチビームとして用いてもよい。LDの場合には、例えば10個のLDを並べることにより10本の光束からなるビームが得られる。一方、ヘリウムネオンレーザーのような場合、レーザーから発した光をビームセパレーターで例えば10本の光束に分割する。
【0118】
露光用光源の強度変化は、LD、LEDのような場合には、個々の素子に流れる電流値を変化させる直接変調を行うことができる。LDの場合には、AOM(音響光学変調器)のような素子を用いて強度を変化させてもよい。ガスレーザーの場合には、AOM、EOM(電気光学変調器)等のデバイスを用いるのが一般である。
【0119】
光源にLEDを用いる場合には、光量が弱ければ、複数の素子で同一の画素を重複して露光する方法を用いてもよい。
【0120】
また、これらに代わる光源として有機発光素子を用いてもよく、これらについては、例えば、特開2000−258846等に記載されている。
【0121】
レーザー光源の場合には、ビーム径は25μm以下であることが好ましく、6〜22μmがより好ましい。6μmより小さいと画質的には好ましいが、調整が困難であったり、処理速度が低下したりする。一方、25μmより大きいとムラが大きくなり、画像の鮮鋭性も劣化する。ビーム径を最適化することによってムラのない高精細の画像の書き込みを高速で行うことができる。
【0122】
本発明において面積階調画像という言葉を用いているが、これは画像上の濃淡を個々の画素の色の濃淡で表現するのではなく、特定の濃度に発色した部分の面積の大小で表現するものであり、網点と同義と考えてよい。
【0123】
通常、面積階調露光であればY、M、C、墨の発色をさせることで目的を達することもできるが、より好ましくは、墨に加えてM、C等の単色が発色したことを識別するには、3値以上の露光量を使い分けて露光することが好ましい。印刷においては、特別な色の版を用いることがあるが、これを再現するためには、4値以上の露光量を使い分けて露光することが好ましい。
【0124】
請求項1、2、5に係る発明においては、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のベタ濃度とは独立に、レッド(R)、3色墨(3C)の濃度を設定できるデジタル露光装置を用いることが1つの特徴である。ここで述べる3色墨(3C)とは、Y、M、Cのベタ濃度と同じ濃度のY、M、C色素で構成される墨画像のことである。
【0125】
また、請求項3、4、6に係る発明においては、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のベタ濃度とは独立に、レッド(R)、3色墨(3C)、ブルー(B)の濃度を設定できるデジタル露光装置を用いることが特徴の1つである。
【0126】
また、本発明で定義するマゼンタ単色分解濃度とは、いわゆるアナリティカルグリーン(G)濃度を意味しており、特定の色を構成している色素の内、マゼンタ色素画像形成ユニット中に形成された色画像のみを、仮想的に取り出したときの濃度を意味する。同様に、イエロー単色分解濃度とは、いわゆるアナリティカルブルー(B)濃度を意味しており、特定の色を構成している色素の内、イエロー色素画像形成ユニット中に形成された色画像のみを仮想的に取り出したときの濃度を意味し、同様に、シアン単色分解濃度とは、いわゆるアナリティカルレッド(R)濃度を意味しており、特定の色を構成している色素の内、シアン色素画像形成ユニット中に形成された色画像のみを仮想的に取り出したときの濃度を意味する。
【0127】
請求項1に係る発明においては、Y、M、C、R及び3Cの濃度を独立に設定できるデジタル露光装置で露光した後、芳香族1級アミンを含有する発色現像液で処理する画像形成方法において、下記式(1)で表される条件を設定して画像形成することが1つの特徴である。
【0128】
式(1)
0.6≦D1/D2≦1
式(1)において、D1はマゼンタ、レッド、3Cにおけるマゼンタ単色分解濃度の中で最小濃度値を表し、D2はマゼンタ、レッド、3Cにおけるマゼンタ単色分解濃度の中での最大濃度値を表す。
【0129】
更に、上記式(1)の関係において、D1/D2が0.75以上、1.0以下であることが好ましい。
【0130】
請求項3に係る発明においては、Y、M、C、R、3C及びBの濃度を独立に設定できるデジタル露光装置で露光した後、芳香族1級アミンを含有する発色現像液で処理する画像形成方法において、マゼンタ、レッド、3C及びブルーのマゼンタ単色分解濃度を、下記式(2)で表される条件に設定して画像形成することが1つの特徴である。
【0131】
式(2)
0.6≦D3/D4≦1
式(2)において、D3はマゼンタ、レッド、3C、ブルーのマゼンタ単色分解濃度の中で最小濃度値を表し、D4はマゼンタ、レッド、3C、ブルーのマゼンタ単色分解濃度の中での最大濃度値を表す。
【0132】
更に、上記式(2)の関係において、D3/D4が0.75以上、1.0以下であることが好ましい。
【0133】
本発明において、上記(1)又は(2)で規定するような条件の光で、露光を与えるには、ハロゲン化銀感光材料上を光束が走査露光する方式が必要であり、その露光方法としては、感光材料を円筒状のドラムに巻き付け、これを高速に回転しながら回転方向に直角な方向に光束を動かす円筒外面走査方式をとってもよく、円筒状の窪みにハロゲン化銀感光材料を密着させて露光する円筒内面走査方式も好ましく用いることができる。多面体ミラーを高速で回転させこれによって搬送されるハロゲン化銀感光材料を搬送方向に対して直角に光束を移動して露光する平面走査方式をとってもよい。高画質であり、かつ大きな画像を得るには円筒外面走査方式がより好ましく用いられる。
【0134】
円筒外面走査方式での露光を行うには、ハロゲン化銀感光材料は正確に円筒状のドラムに密着されなければならない。これが的確に行われるためには、正確に位置合わせされて搬送される必要がある。本発明に用いられるハロゲン化銀感光材料は、露光する側の面が外側に巻かれたものがより的確に位置合わせでき、好ましく用いることができる。同様な観点から、本発明に用いられるハロゲン化銀感光材料に用いられる支持体は、適正な剛度を有し、テーバー剛度で0.8〜4.0であることが好ましい。
【0135】
ドラム径は、露光するハロゲン化銀感光材料の大きさに適合させて任意に設定することができる。ドラムの回転数も任意に設定できるが、レーザー光のビーム径、エネルギー強度、書き込みパターンや感光材料の感度などにより適当な回転数を選択することができる。生産性の観点からは、より高速な回転で走査露光できる方が好ましいが、具体的には1分間に200〜3000回転が好ましく用いられる。
【0136】
ドラムへのハロゲン化銀感光材料の固定方法は、機械的な手段によって固定させてもよいし、ドラム表面に吸引できる微小な穴を感光材料の大きさに応じて多数設けておき、感光材料を吸引して密着させることもできる。感光材料をドラムにできるだけ密着させることが画像ムラ等のトラブルを防ぐには重要である。
【0137】
本発明の発色現像液に用いられる芳香族一級アミン現像主薬としては、公知の化合物を用いることができる。これらの化合物の例として下記の化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0138】
CD−1:N,N−ジエチルーp−フェニレンジアミン
CD−2:2−アミノ−5−ジエチルアミノトルエン
CD−3:2−アミノ−5−(N−エチル−N−ラウリルアミノ)トルエン
CD−4:4−(N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ)
アニリン
CD−5:2−メチル−4−(N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)
アミノ)アニリン
CD−6:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−(メタン
スルホンアミド)エチル)−アニリン
CD−7:N−(2−アミノ−5−ジエチルアミノフェニルエチル)メタン
スルホンアミド
CD−8−N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン
CD−9:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−メトキシエチル
アニリン
CD−10:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−エトキシ
エチル)アニリン
CD−11:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(γ−ヒドロキシ
プロピル)アニリン
本発明において、上記化合物を含む発色現像液は、任意のpH域で使用できるが、迅速処理の観点からpH9.5〜13.0であることが好ましく、より好ましくはpH9.8〜12.0の範囲で用いられる。
【0139】
本発明に係る発色現像液の処理温度は、35℃以上、70℃以下が好ましい。温度が高いほど短時間の処理が可能であり好ましいが、処理液の安定性からはあまり高くない方が好ましく、37℃以上、60℃以下で処理することが好ましい。発色現像時間は、従来一般には3分30秒程度で行われているが、本発明では40秒以内が好ましく、さらに25秒以内の範囲で行うことが好ましい。
【0140】
発色現像液には、前記の発色現像主薬に加えて、既知の現像液成分化合物を添加することができる。例えば、pH緩衝作用を有するアルカリ剤、塩化物イオン、ベンゾトリアゾール類等の現像抑制剤、保恒剤、キレート剤などが用いられる。
【0141】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料は、発色現像後、漂白処理及び定着処理を施される。漂白処理は定着処理と同時に行なってもよい。定着処理の後は、通常は水洗処理が行なわれる。また、水洗処理の代替として、安定化処理を行なってもよい。本発明に係るハロゲン化銀感光材料の現像処理に用いる現像処理装置としては、処理槽に配置されたローラーに感光材料をはさんで搬送するローラートランスポートタイプであっても、ベルトに感光材料を固定して搬送するエンドレスベルト方式であってもよいが、処理槽をスリット状に形成して、この処理槽に処理液を供給するとともに感光材料を搬送する方式や処理液を噴霧状にするスプレー方式、処理液を含浸させた担体との接触によるウエッブ方式、粘性処理液による方式なども用いることができる。大量に処理する場合には、自動現像機を用いて補充液を補充しながらランニング処理されるのが、この際、各処理液の補充液量は少ない程好ましく、環境適性等より最も好ましい処理形態は、補充方法として錠剤の形態で処理剤を添加することであり、公開技報94−16935に記載の方法が最も好ましい。
【0142】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0143】
実施例1
片面に高密度ポリエチレンを、もう一方の面にアナターゼ型酸化チタンを15質量%の含有量で分散して含む溶融ポリエチレンをラミネートした、1平米当たりの質量が115gのポリエチレンラミネート紙反射支持体(テーバー剛度=3.5、PY値=2.7μm)上に、表1の構成からなる各層を、酸化チタンを含有するポリエチレン層側に塗設し、更に、裏面側にはゼラチン6.00g/m2、シリカマット剤0.65g/m2を塗設した多層ハロゲン化銀感光材料試料101を作製した。
【0144】
なお、表1に記載の各カプラーは、高沸点溶媒及び酢酸エチルに溶解し、界面活性剤を含むゼラチン溶液中に超音波分散機を用いて乳化・分散し、分散物として添加した。なお、界面活性剤として(SU−1)を用いた。又、硬膜剤として(H−1)、(H−2)を添加した。塗布助剤としては、界面活性剤(SU−2)、(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。また各層には(F−1)を全量が0.04g/m2となるように添加した。
【0145】
【表1】
【0146】
SU−1:トリ−i−プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナトリウム塩
SU−3:スルホ琥珀酸ジ(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)・ナトリウム塩
H−1:テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン
H−2:2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム
HQ−1:2,5−ジーt−オクチルハイドロキノン
HQ−2:2,5−ジ((1,1−ジメチル−4−ヘキシルオキシカルボニル)ブチル)ハイドロキノン
HQ−3:2,5−ジ−sec−ドデシルハイドロキノンと2,5−ジ−secテトラデシルハイドロキノンと2−sec−ドデシル−5−sec−テトラデシルハイドロキノンの質量比1:1:2の混合物
SO−1:トリオクチルホスフィンオキサイド
SO−2:ジ(i−デシル)フタレート
SO−3:オレイルアルコール
SO−4:トリクレジルホスフェート
PVP:ポリビニルピロリドン
【0147】
【化11】
【0148】
【化12】
【0149】
上記試料101の作製に用いた各ハロゲン化銀乳剤の調製方法を以下に示す。
〔青感光性ハロゲン化銀乳剤の調製〕
40℃に保温した2%ゼラチン水溶液1リットル中に、下記(A液)及び(B液)をpAg=7.3、pH=3.0に制御しつつ同時添加し、更に下記(C液)及び(D液)をpAg=8.0、pH=5.5に制御しつつ同時添加した。この時、pAgの制御は特開昭59−45437号記載の方法により行い、pHの制御は硫酸又は水酸化ナトリウム水溶液を用いて適宜行った。
【0150】
(A液)
塩化ナトリウム 3.42g
臭化カリウム 0.03g
水を加えて 200ml
(B液)
硝酸銀 10g
水を加えて 200ml
(C液)
塩化ナトリウム 102.7g
ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム 4×10−8モル
ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム 2×10−5モル
臭化カリウム 1.0g
水を加えて 600ml
(D液)
硝酸銀 300g
水を加えて 600ml
添加終了後、花王アトラス社製デモールNの5%水溶液と硫酸マグネシウムの20%水溶液を用いて脱塩を行った後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径0.71μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤であるEMP−101を得た。
【0151】
上記EMP−101に対し、下記化合物を用いて60℃で最適に化学増感を行い、青感光性ハロゲン化銀乳剤であるEm−B101を得た。
【0152】
チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モルAgX
塩化金酸 0.5mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10−4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10−4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10−4モル/モルAgX
増感色素:BS−1 4×10−4モル/モルAgX
増感色素:BS−2 1×10−4モル/モルAgX
臭化カリウム 0.2g/モルAgX
STAB−1:1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール
STAB−2:1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾールSTAB−3:1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
次いで、上記EMP−101の調製において、(A液)と(B液)の添加時間及び(C液)と(D液)の添加時間を変更した以外は同様にして、平均粒径0.64μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤であるEMP−102を得た。
【0153】
Em−B101の調製において、EMP−101に代えてEMP−102を用いた以外同様にしてEm−B102を調製し、Em−B101とEm−B102の1:1の混合物を青感光性ハロゲン化銀乳剤として使用した。
【0154】
【化13】
【0155】
(緑感光性ハロゲン化銀乳剤の調製)
上記EMP−101の調製において、(A液)と(B液)及び(C液)と(D液)の各添加時間を変更した以外は同様にして、平均粒径0.40μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−103を調製した。
【0156】
上記EMP−103に対し、下記化合物を用い55℃にて最適に化学増感を行い、緑感光性ハロゲン化銀乳剤であるEm−G101を得た。
【0157】
チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モルAgX
塩化金酸 1.0mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10−4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10−4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10−4モル/モルAgX
増感色素:GS−1 2×10−4モル/モルAgX
増感色素:GS−2 2×10−4モル/モルAgX
塩化ナトリウム 0.5g/モルAgX
次いで、上記EMP−103の調製において、(A液)と(B液)の添加時間及び(C液)と(D液)の各添加時間を変更した以外は同様にして、平均粒径0.50μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−104を得た。
【0158】
上記Em−G101の調製において、EMP−103に代えてEMP−104を用いた以外同様にしてEm−G102を調製し、Em−G101とEm−G102の1:1の混合物を緑感光性ハロゲン化銀乳剤として使用した。
【0159】
【化14】
【0160】
(赤感光性ハロゲン化銀乳剤の調製)
前記調製したEMP−103に対し、下記化合物を用い60℃にて最適に化学増感を行い、赤感光性ハロゲン化銀乳剤であるEm−R101を得た。
【0161】
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX
塩化金酸 2.0mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 2×10−4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 2×10−4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 2×10−4モル/モルAgX
安定剤:STAB−4 1×10−4モル/モルAgX
増感色素:RS−1 1×10−4モル/モルAgX
増感色素:RS−2 1×10−4モル/モルAgX
強色増感剤:SS−1 2×10−4モル/モルAgX
STAB−4:p−トルエンチオスルホン酸
次に、前記調製したEMP−103に対し、下記化合物を用いて60℃にて最適に化学増感を行い、赤感光性ハロゲン化銀乳剤であるEm−R102を得た。
【0162】
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX
塩化金酸 2.0mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 2×10−4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 2×10−4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 2×10−4モル/モルAgX
安定剤:STAB−4 1×10−4モル/モルAgX
増感色素:RS−1 2×10−4モル/モルAgX
増感色素:RS−2 2×10−4モル/モルAgX
強色増感剤:SS−1 2×10−4モル/モルAgX
上記調製したEm−R101とEm−R102の1:1の混合物を赤感光性ハロゲン化銀乳剤として使用した。
【0163】
【化15】
【0164】
《露光、現像処理》
(露光)
光源としてBのLEDを主走査方向に5個並べ露光のタイミングを少しづつ遅延させることによって同じ場所を5個のLEDで露光できるように調整した。また、副走査方向にも20個のLEDを並べ隣接する20画素分の露光が1度にできる露光ヘッドを準備した。G、Rも同様にLEDを組み合わせて露光ヘッドを準備した。各ビームの径は約10μmで、この間隔でビームを配列し、副走査のピッチは約200μmとした。
【0165】
上記露光ヘッドを用いて、多層ハロゲン化銀写真感光材料である試料101をアート紙系をターゲットとした表2に記載の単色分解濃度及び表4に記載の単色分解濃度比(D1/D2、D3/D4)を満たす条件になる光強度で露光し、高精細カラーディジタル標準画像SCIDの中から、F1(ポートレート)、F3(果物籠)、F4(ワインと食器)、F7(ミュージシャン)の画像をそれぞれ露光した。
【0166】
【表2】
【0167】
(現像処理)
露光を施した試料101を、下記に示す現像処理を行い、アート紙系をターゲットとした4種類の画像を持つ画像試料1−1を得た。
【0168】
処理工程 処理温度 時間 補充量
発色現像 37.0±0.3℃ 120秒 200ml/m2
漂白定着 37.0±0.5℃ 90秒 150ml/m2
安定化 30〜34℃ 60秒 400ml/m2
乾燥 60〜80℃ 30秒
水を加えて全量を1リットルとし、タンク液はpH=10.2に、補充液はpH=10.5に調整した。
【0169】
〈漂白定着液タンク液及び補充液〉
ジエチレントリアミン五酢酸第二鉄アンモニウム2水塩 65g
ジエチレントリアミン五酢酸 3g
チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 100ml
2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール 2.0g
亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 27.5ml
水を加えて全量を1リットルとし、炭酸カリウム又は氷酢酸でpH=5.0に調整した。
【0170】
〈安定化液タンク液及び補充液〉
o−フェニルフェノール 1.0g
5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
ジエチレングリコール 1.0g
蛍光増白剤(チノパールSFP) 2.0g
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 1.8g
硫酸亜鉛 0.5g
硫酸マグネシウム・7水塩 0.2g
PVP(ポリビニルピロリドン) 1.0g
アンモニア水(水酸化アンモニウム25%水溶液) 2.5g
ニトリロ三酢酸・三ナトリウム塩 1.5g
水を加えて全量を1リットルとし、硫酸又はアンモニア水でpH=7.5に調整した。
【0171】
次いで、上記画像試料1−1の作成において、アート紙系をターゲットとして表4に記載の単色分解濃度比(D1/D2、D3/D4)になるように露光した以外は同様にして画像試料1−2〜1−5を作成した。
【0172】
一方、試料101を用いて、上質紙系をターゲットとした表3に記載の単色分解濃度及び表4に記載の単色分解濃度比(D1/D2、D3/D4)を満たす条件の光強度で露光し、高精細カラーディジタル標準画像SCIDの中から、F1(ポートレート)、F3(果物籠)、F4(ワインと食器)、F7(ミュージシャン)の画像をそれぞれ露光し、画像試料1−1と同様に現像処理し、上質紙系をターゲットとした4種類の画像を持つ画像試料1−6を得た。
【0173】
次いで、上記画像試料1−6の作成において、上質紙系をターゲットとして表4に記載の単色分解濃度比(D1/D2、D3/D4)になるように露光した以外は同様にして画像試料1−6〜1−10を作成した。
【0174】
また、これら各SCID画像を用いて、常法に従い印刷物2種類(アート紙と上質紙(基準試料))を作成し、各基準試料とした。
【0175】
【表3】
【0176】
《画像評価》
上記のようにして得られた画像試料1−1〜1−10の各SCID画像を、基準試料である印刷物2種類(アート紙と上質紙)の各SCID画像と比較し、校正刷りとしての色再現性を主観評価した。
【0177】
主観評価は10人の被験者が、個々に下記の主観評価に基づいて肌色再現性と全体の色調バランスに鑑みて評価を行い、10人の平均値を評価結果とした。結果を表4に示す。
【0178】
(再現性評価の指標)
5:校正刷りとしての肌色再現性に非常に優れており全体の色調バランスも優れている
4:充分な肌色再現性を有しており、全体の色調バランスも良く、校正刷りとして使用できる
3:肌色再現性は印刷物とは若干の差異は有るが、仕上りを充分にイメージできる校正刷りである
2:肌色の色調及び質感に違いが認められ、印刷仕上りに対して若干の予測が必要である
1:一見して肌色の色調の違いが判り、印刷に対する校正刷りとしては問題がある
【0179】
【表4】
【0180】
表4より明らかなように、本発明で規定する条件を満たして作成された画像は、仕上りを充分にイメージできる実用的な校正刷りとして優れた肌色再現性が得られ、特に、ポートレートにおける女性の肌色及びミュージシャンにおける3人の女性の肌色に優れた再現性を示し、実用性の高い優れた校正刷りとして活用できるプルーフが得られた。本発明の効果は、上質紙系の全体的に低濃度の印刷物をターゲットにした試料でも見られるが、アート紙系のような全体的に高濃度の印刷物をターゲットにした試料でより高い効果が見られた。全体的に高濃度であるコート紙系印刷物をターゲットとしたときでもアート紙系と同様の効果は得られる。また、本発明で規定する式(2)の条件を満たす試料1−3、1−4、1−8、1−9では、更にポートレートにおける女性の肌及びミュージシャンにおける3人の女性の肌色に、より優れた再現性を示していることを確認することができた。
【0181】
実施例2
実施例1に記載の試料101の作製において、第3層の赤感光性層で用いたマゼンタカプラーM−1を、表5に記載の各マゼンタカプラーに変更した以外は同様にして、多層ハロゲン化銀写真感光材料である試料201〜205を作製し、これに実施例1で作製した試料101を加えて、実施例1と同様の露光装置を用いて、表5に記載の単色分解濃度比(D1/D2、D3/D4)を満たす条件の光強度で露光し、画像試料2−1〜2−30を作成した。
【0182】
なお、画像試料2−1〜2−15はアート紙系をターゲットに、画像試料2−16〜2−30は上質紙系をターゲットにして、実施例1と同様に高精細カラーディジタル標準画像SCIDの中から、F1(ポートレート)、F3(果物籠)、F4(ワインと食器)、F7(ミュージシャン)の画像をそれぞれ露光、現像処理して作成した。
【0183】
基準試料は、実施例1と同じ基準印刷物を用いて、実施例1に記載の方法と同様にして、色再現性の主観評価を行い、得られた結果を表5に示す。
【0184】
【表5】
【0185】
表5より明らかなように、赤感光性層で用いるマゼンタカプラーとして、本発明に係るマゼンタカプラーである例示化合物1−22、2−2、2−4、2−5、2−6を用いて得られた画像は、M−1のマゼンタカプラーを用いて作成された画像に対して、仕上りを充分にイメージできる実用的な校正刷りとして優れた肌色再現性が得られ、かつグレー系色及び赤系色の再現性にも優れていた。ポートレートにおける女性の肌色、髪の毛の質感、グレー系背景、及びミュージシャンにおける3人の女性の肌色、グレー系の背景の再現性に加え、果物籠における果物の質感、りんごの鮮やかさの再現性及びグラスやテーブルの質感の再現性にも優れ、実用性の高い優れた校正刷りとして活用できるプルーフが得られた。本発明の効果は、上質紙系の全体的に低濃度の印刷物をターゲットにした試料でも見られるが、アート紙系のような全体的に高濃度の印刷物をターゲットにした試料でより高い効果が見られた。全体的に高濃度であるコート紙系印刷物をターゲットとしたときでもアート紙系と同様の効果は得られることを確認することができた。
【0186】
【発明の効果】
本発明により、肌色再現性に優れ、全体の色調バランスが良好なプルーフ画像を形成する面積階調画像形成方法を提供することができた。
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷物の仕上がりを事前に確認するカラープルーフに関するものであり、詳しくは、各々一つのイエロー、マゼンタ、シアン画像形成ユニットを有するハロゲン化銀感光材料を、イエロー、マゼンタ、シアン、レッド、3色墨及びブルーの各色を独立に設定できる露光装置で露光した後、現像処理する画像形成方法において、マゼンタ、レッド、3色墨及びブルーを構成するマゼンタ色素の量を特定の領域に設定することにより、肌色とニュートラルグレーの再現を両立する面積階調画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ハロゲン化銀感光材料は、高感度であること、色再現性に優れていること、連続処理に適していることから、今日盛んに用いられている。この様な特徴を有するハロゲン化銀感光材料は、写真の分野だけではなく、印刷の分野、特に、印刷の途中の段階で仕上がりの印刷物の状態をチェックするためのいわゆるプルーフの分野で広く用いられるようになってきている。
【0003】
プルーフの分野では、コンピュータ上で編集された画像を印刷用フィルムに出力し、現像処理済みのフィルムを適宜交換しつつ分解露光することにより、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各画像を形成させて、最終印刷物の画像をカラー印画紙上に形成させることにより、最終印刷物のレイアウトや色の適否を判断することが行われていた。
【0004】
最近では、コンピュータ上で編集された画像を、直接印刷版に出力する方式が徐々に普及してきており、このような場合にはコンピュータ上のデータからフィルムを介することなく直接カラー画像を得ることが望まれていた。
【0005】
このような目的には、例えば、昇華型・溶融熱型の転写方式や電子写真方式、インクジェット方式等種々の方式の応用が試みられてきたが、例えば、高画質な画像が得られる方式においては、費用がかかり生産性が劣るという欠点があり、逆に費用が少なくてすみ生産性に優れた方式では画質が劣るという欠点があった。ハロゲン化銀感光材料を用いたシステムでは、優れた鮮鋭性等から、正確な網点画像が形成できるなど高画質の画像形成が可能であり、一方で上述したように連続した処理が可能であることや、複数の色画像形成ユニットに同時に画像を書き込むことができることから高い生産性を実現することが可能であった。
【0006】
近年、印刷の分野でいわゆるデジタル化が進みコンピュータ内のデータから直接画像を得る要求が強まっているが、前記したような理由によって、ハロゲン化銀感光材料がこの分野で有利に使われ始めている。
【0007】
デジタルデータに基づき面積階調画像を形成するシステムでは、網点をさらに小さな単位(ここでは、これを画素と表現した)に分割し、この画素を適切な露光量で露光することによって、その集合体として網点を再現することが可能である。例えば、簡単な例を挙げれば、1つの網点が100個の画素で構成されるのであれば、50個の画素を現像可能なように露光することにより網%が50%の網点を形成することができる。
【0008】
通常の印刷では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の単色が重なった墨を3色墨(3C)と呼ぶが、これをY、M、Cの色素画像形成ユニットを有するハロゲン化銀感光材料で実現しようとした場合、肌色を調整するとニュートラルグレーが緑味に再現されるという欠点があった。このため、本来は、Y、M、Cの単色の濃度が決定されれば自動的に決まる3Cをこれらとは別に独立に設定できるようにし、前記欠点を改良した試みがなされてはいるが、十分な効果を得ることができないのが現状であり、早急な改良方法の開発が望まれている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、各々一つのイエロー、マゼンタ、シアン画像形成ユニットを有するハロゲン化銀感光材料を、イエロー、マゼンタ、シアン、レッド、3色墨及びブルーの色を独立に設定できる露光装置で露光後、現像する画像形成方法において生ずる、肌色とニュートラルグレーの再現が両立しないという課題を解決することにより、生産性が高く色再現性に優れた面積階調画像形成方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らの鋭意研究により、本発明の上記目的は、下記の面積階調画像形成方法により達成されることを見出し本発明を完成するに到ったものである。
【0011】
1.支持体上に、各々少なくとも1つのイエロー、マゼンタ、シアン色素画像形成ユニットを有するハロゲン化銀感光材料を、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びレッド(R)の各濃度と、該イエロー、マゼンタ、シアンの各ベタ濃度と同じ濃度のイエロー、マゼンタ及びシアン色素で構成される3色墨(3C)の濃度とを独立に設定できるデジタル露光装置で露光した後、芳香族1級アミンを含有する発色現像液で処理する画像形成方法において、マゼンタ、レッド及び3Cにおけるマゼンタ単色分解濃度を、下記式(1)で表される条件に設定して画像形成することを特徴とする面積階調画像形成方法。
【0012】
式(1)
0.6≦D1/D2≦1
〔式中、D1はマゼンタ、レッド、3Cにおけるマゼンタ単色分解濃度の中で最小濃度値を表し、D2はマゼンタ、レッド、3Cにおけるマゼンタ単色分解濃度の中での最大濃度値を表す。ここでいうマゼンタ単色分解濃度とは、いわゆるアナリティカルG濃度を意味し、特定の色を構成している色素の中で、マゼンタ色素画像形成ユニット中の色素のみを仮想的に取り出したときの濃度と定義する。〕
2.前記D1/D2が、0.75以上、1.0以下であることを特徴とする前記1項に記載の面積階調画像形成方法。
【0013】
3.支持体上に、各々少なくとも1つのイエロー、マゼンタ、シアン色素画像形成ユニットを有するハロゲン化銀感光材料を、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、3色墨(3C)、レッド(R)及びブルー(B)の各濃度を独立に設定できるデジタル露光装置で露光した後、芳香族1級アミンを含有する発色現像液で処理する画像形成方法において、マゼンタ、レッド、3C及びブルーのマゼンタ単色分解濃度を、下記式(2)で表される条件に設定して画像形成することを特徴とする面積階調画像形成方法。
【0014】
式(2)
0.6≦D3/D4≦1
〔式中、D3はマゼンタ、レッド、3C、ブルーのマゼンタ単色分解濃度の中で最小濃度値を表し、D4はマゼンタ、レッド、3C、ブルーのマゼンタ単色分解濃度の中での最大濃度値を表す。〕
4.前記D3/D4が、0.75以上、1.0以下であることを特徴とする前記3項に記載の面積階調画像形成方法。
【0015】
5.支持体上に、各々少なくとも1つのイエロー、マゼンタ、シアン色素画像形成ユニットを有するハロゲン化銀感光材料を、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、レッド(R)及び3色墨(3C)の各濃度を独立に設定できるデジタル露光装置で露光した後、芳香族1級アミンを含有する発色現像液で処理する画像形成方法において、該ハロゲン化銀感光材料が前記一般式(I)または(II)で表されるマゼンタカプラーを含有し、かつ該マゼンタ、レッド及び3Cのマゼンタ単色分解濃度を、前記式(1)の条件を満たすように設定して画像形成することを特徴とする面積階調画像形成方法。
【0016】
6.支持体上に、各々少なくとも1つのイエロー、マゼンタ、シアン色素画像形成ユニットを有するハロゲン化銀感光材料を、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、3色墨(3C)、レッド(R)及びブルー(B)の各濃度を独立に設定できるデジタル露光装置で露光した後、芳香族1級アミンを含有する発色現像液で処理する画像形成方法において、該ハロゲン化銀感光材料が前記一般式(I)または(II)で表されるマゼンタカプラーを含有し、かつ、マゼンタ、レッド、3C及びブルーのマゼンタ単色分解濃度を、前記式(2)の条件を満たすように設定して画像形成することを特徴とする面積階調画像形成方法。
【0017】
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明に係るハロゲン化銀感光材料に用いられるハロゲン化銀乳剤としては、95モル%以上が塩化銀からなるハロゲン化銀乳剤が好ましく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、塩沃化銀等、任意のハロゲン組成を有するものが用いられる。上記ハロゲン組成の中でも、塩化銀を95モル%以上含有する塩臭化銀、中でも臭化銀を高濃度に含有する領域を有するハロゲン化銀乳剤が好ましく用いられ、また、表面近傍に沃化銀を0.05〜0.5モル%含有する塩沃化銀も好ましく用いられる。臭化銀を高濃度に含有する領域を有するハロゲン化銀乳剤の高濃度に臭化銀を含有する領域は、いわゆるコア/シェル型ハロゲン化銀乳剤であってもよいし、完全な層を形成せず単に部分的に組成の異なる領域が存在するだけのいわゆるエピタキシー接合した領域を形成していてもよい。臭化銀が高濃度に存在する部分は、ハロゲン化銀粒子(以下、単に粒子ともいう)の表面の結晶粒子の頂点に形成されることが特に好ましい。また、組成は連続的に変化しても良いし、あるいは不連続に変化していてもよい。
【0018】
本発明に用いられるネガ型ハロゲン化銀乳剤には、重金属イオンを含有させるのが有利である。これによっていわゆる相反則不軌が改良され、高照度露光での減感が防止されたり、シャドー側(陰影部)での軟調化が防止されることが期待される。このような目的に用いることのできる重金属イオンとしては、例えば、鉄、イリジウム、白金、パラジウム、ニッケル、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、コバルト等の第8〜10族金属や、カドミウム、亜鉛、水銀などの第12族遷移金属や、鉛、レニウム、モリブデン、タングステン、ガリウム、クロムの各イオンを挙げることができる。中でも鉄、イリジウム、白金、ルテニウム、ガリウム、オスミウムの金属イオンが好ましい。これらの金属イオンは、塩や、錯塩の形でハロゲン化銀乳剤に添加することができる。前記重金属イオンが錯体を形成する場合には、その配位子として、例えば、シアン化物イオン、チオシアン酸イオン、シアン酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、沃化物イオン、カルボニル、ニトロシル、アンモニア、1,2,4−トリアゾール、チアゾール等を挙げることができる。中でも、塩化物イオン、臭化物イオン等が好ましい。これらの配位子は単独であっても複数の配位子が併用されてもよい。
【0019】
これらの金属化合物は、ハロゲン化銀粒子に含有させた時の電子トラップの深さとして特徴づけることもできる。深さが0.2eV以下の浅い電子トラップを与える化合物としては第2鉛イオンまたは、シアノ配位子を有する化合物を挙げることができ、相反則不軌特に低照度不軌を改良するのに有効である。また、深さが0.35eV以上の深い電子トラップを与える化合物としては、ハロゲン化物イオンやニトロシル配位子を有するIr、Rh、Ru化合物を挙げることができる。これらは、高照度相反則不軌を改良する上で好ましく用いることができる。深さが0.2eV以下の浅い電子トラップを与える化合物と深さが0.35eV以上の深い電子トラップを与える化合物を併用することも好ましい形態である。これら化合物については、特開2000−214561公報の4〜5ページに詳しい記載がある。
【0020】
ハロゲン化銀乳剤に重金属イオンを含有させるためには、該重金属化合物を粒子の形成前、粒子の形成中、粒子の形成後の物理熟成中の各工程の任意の場所で添加すればよい。
【0021】
重金属化合物をハロゲン化物塩と一緒に溶解して粒子形成工程の全体或いは一部にわたって連続的に添加することができる。また、あらかじめこれらの重金属化合物を含有するハロゲン化銀微粒子を形成しておいて、これを添加することによって調製することもできる。前記重金属イオンをハロゲン化銀乳剤中に添加するときの量はハロゲン化銀1モル当り1×10−9モル以上、1×10−2モル以下がより好ましく、特に1×10−8モル以上、5×10−5モル以下が好ましい。
【0022】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子の形状は、任意のものを用いることができる。好ましい一つの例は、〔100〕面を結晶表面として有する立方体である。また、米国特許第4,183,756号、同第4,225,666号、特開昭55−26589号、特公昭55−42737号や、ザ・ジャーナル・オブ・フォトグラフィック・サイエンス(J.Photogr.Sci.)21号39ページ(1973)等の文献に記載された方法等により、八面体、十四面体、十二面体等の形状を有する粒子を調製し、これらを用いることもできる。さらに、双晶面を有する粒子を用いてもよい。
【0023】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、単一の形状からなる粒子が好ましく用いられるが、単分散のハロゲン化銀乳剤を、二種以上同一層に添加することが特に好ましい。
【0024】
本発明に用いられる粒子の粒径は、特に制限はないが、迅速処理性及び感度など、他の写真性能などを考慮すると好ましくは、0.1〜1.2μm、更に好ましくは、0.2〜1.0μmの範囲である。
【0025】
本発明でいう粒子の粒径は、粒子の投影面積か、あるいは直径近似値を使ってこれを測定することができる。粒子が実質的に均一形状である場合は、粒径分布は、直径や投影面積を測定してかなり正確にこれを表すことができる。
【0026】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子の粒径の分布は、好ましくは変動係数が0.22以下、更に好ましくは0.15以下の単分散ハロゲン化銀粒子であり、特に好ましくは、変動係数0.15以下の単分散乳剤を2種以上同一層に添加することである。ここでいう変動係数は、粒径分布の広さを表す係数であり、次式によって定義される。
【0027】
変動係数=S/R
(ここに、Sは粒径分布の標準偏差、Rは平均粒径を表す。)
ハロゲン化銀乳剤の調製装置、調製方法としては、当業界において公知の種々の方法を用いることができる。
【0028】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、酸性法、中性法、アンモニア法の何れで得られたものであってもよい。ハロゲン化銀粒子は、一時に成長させたものであってもよいし、種粒子を作った後で成長させてもよい。種粒子を作る方法と成長させる方法は同じであっても、異なってもよい。
【0029】
また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン化物塩を反応させる形式としては、順混合法、逆混合法、同時混合法、それらの組合せなど、いずれでもよいが、同時混合法で得られたものが好ましい。更に、同時混合法の一形式として、特開昭54−48521号等に記載されているpAgコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。
【0030】
また、特開昭57−92523号、同57−92524号等に記載の反応母液中に配置された添加装置から水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を供給する装置、ドイツ公開特許第2,921,164号等に記載された水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を連続的に濃度変化して添加する装置、特公昭56−501776号等に記載の反応器外に反応母液を取り出し、限外濾過法で濃縮することによりハロゲン化銀粒子間の距離を一定に保ちながら粒子形成を行なう装置などを用いてもよい。
【0031】
更に、必要で有ればチオエーテル等のハロゲン化銀溶剤を用いてもよい。また、メルカプト基を有する化合物、含窒素ヘテロ環化合物または増感色素のような化合物をハロゲン化銀粒子の形成時、または、粒子形成終了の後に添加して用いてもよい。
【0032】
本発明に用いられるネガ型ハロゲン化銀乳剤は、金化合物を用いる増感法、カルコゲン増感剤を用いる増感法を組み合わせて用いることができる。カルコゲン増感剤としては、例えば、イオウ増感剤、セレン増感剤、テルル増感剤などを用いることができるが、イオウ増感剤が好ましい。イオウ増感剤としては、例えば、チオ硫酸塩、トリエチルチオ尿素、アリルチオカルバミドチオ尿素、アリルイソチアシアネート、シスチン、p−トルエンチオスルホン酸塩、ローダニン、無機イオウ等が挙げられる。
【0033】
イオウ増感剤の添加量としては、適用されるハロゲン化銀乳剤の種類や期待する効果の大きさなどにより変えることが好ましいが、概ねハロゲン化銀1モル当たり5×10−10〜5×10−5モルの範囲、好ましくは5×10−8〜3×10−5モルの範囲が好ましい。
【0034】
金増感剤としては、塩化金酸、硫化金等の他各種の金錯体として添加することができる。用いられる配位子化合物としては、ジメチルローダニン、チオシアン酸、メルカプトテトラゾール、メルカプトトリアゾール等を挙げることができる。金化合物の使用量は、ハロゲン化銀乳剤の種類、使用する化合物の種類、熟成条件などによって一様ではないが、通常は、ハロゲン化銀1モル当たり1×10−4〜1×10−8モルであることが好ましい。更に好ましくは1×10−5〜1×10−8モルである。これらの化合物は、増感剤として使用するほかに、塗布液の調製段階などで種々の目的で添加することができる。また、本発明に用いられるネガ型ハロゲン化銀乳剤の化学増感法としては、還元増感法を用いてもよい。
【0035】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤には、ハロゲン化銀感光材料の調製工程中に生じるカブリを防止したり、保存中の性能変動を小さくしたり、現像時に生じるカブリを防止する目的で、公知のカブリ防止剤や安定剤を用いることができる。この様な目的で用いることのできる好ましい化合物の例として、特開平2−146036号7ページ下欄に記載された一般式(II)で表される含窒素複素環メルカプト化合物を挙げることができ、さらに好ましい具体的な化合物としては、同公報の8ページに記載の(IIa−1)〜(IIa−8)、(IIb−1)〜(IIb−7)の化合物や、特開2000−267235公報の8ページ右欄32〜36行目に記載の化合物を挙げることができる。これらの化合物は、その目的に応じて、ハロゲン化銀乳剤粒子の調製工程、化学増感工程、化学増感工程の終了時、塗布液調製工程などの工程で添加される。これらの化合物の存在下で化学増感処理を行う場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10−5〜5×10−4モル程度の量が好ましく用いられる。化学増感終了時に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10−6〜1×10−2モル程度の量が好ましく、1×10−5〜5×10−3モルがより好ましい。塗布液調製工程において、ハロゲン化銀乳剤層に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10−6〜1×10−1モル程度の量が好ましく、1×10−5〜1×10−2モルがより好ましい。また、ハロゲン化銀乳剤層以外の層に添加する場合には、塗布被膜中の量が、1m2当り1×10−9〜1×10−3モル程度の量が好ましい。
【0036】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤には、種々の目的で他の添加剤を加えることができる。例えば、特開平2−146036号に、具体的に記載されているA−20、C−1、C−9、C−14、C−15、C−16、C−40等のジスルフィド、ポリスルフィド化合物、D−1、D−3、D−6、D−8等のチオスルホン酸化合物、無機イオウ等を用いることが好ましい。
【0037】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料には、イラジエーション防止やハレーション防止の目的で種々の波長域に吸収を有する染料を用いることができる。この目的で、公知の化合物をいずれも用いることができるが、特に、可視域に吸収を有する染料としては、特開平3−251840号308ページに記載のAI−1〜11の染料および特開平6−3770号記載の染料が好ましく用いられる。
【0038】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料は、ハロゲン化銀乳剤層のうち最も支持体に近いハロゲン化銀乳剤層より支持体に近い側に少なくとも1層の耐拡散性化合物で着色された親水性コロイド層を有することが好ましい。着色物質としては染料またはそれ以外の有機、無機の着色物質を用いることができる。
【0039】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料は、ハロゲン化銀乳剤層のうち最も支持体に近いハロゲン化銀乳剤層より支持体に近い側に少なくとも1層の着色された親水性コロイド層を有することが好ましく、該層に白色顔料を含有していてもよい。例えばルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタン、硫酸バリウム、ステアリン酸バリウム、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、カオリン等を用いることができるが、種々の理由から、中でも二酸化チタンが好ましい。白色顔料は処理液が浸透できるような例えばゼラチン等の親水性コロイドの水溶液バインダー中に分散される。白色顔料の塗布付量は好ましくは0.1〜50g/m2の範囲であり、更に好ましくは0.2〜5g/m2の範囲である。
【0040】
支持体と、支持体から最も近いハロゲン化銀乳剤層との間には、白色顔料含有層の他に必要に応じて下塗り層、あるいは任意の位置に中間層等の非感光性親水性コロイド層を設けることができる。
【0041】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料中に、蛍光増白剤を添加することで白地性をより改良でき好ましい。蛍光増白剤は、紫外線を吸収して可視光の蛍光を発することのできる化合物であれば特に制限はないが、分子中に少なくとも1個以上のスルホン酸基を有するジアミノスチルベン系化合物であり、これらの化合物には増感色素の感材外への溶出を促進する効果もあり好ましい。他の好ましい一つの形態は、蛍光増白効果を有する固体微粒子化合物である。
【0042】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料には、400〜900nmの波長域の特定領域に分光増感されたハロゲン化銀乳剤を含む層を有する。該ハロゲン化銀乳剤は一種または、二種以上の増感色素を組み合わせて含有する。
【0043】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤に用いる分光増感色素としては、公知の化合物をいずれも用いることができるが、青感光性増感色素としては、特開平3−251840号28ページに記載のBS−1〜8を単独でまたは組み合わせて好ましく用いることができる。緑感光性増感色素としては、同公報28ページに記載のGS−1〜5が好ましく用いられる。赤感光性増感色素としては同公報29ページに記載のRS−1〜8が好ましく用いられる。
【0044】
これらの増感色素の添加時期としては、ハロゲン化銀粒子形成から化学増感終了までの任意の時期でよい。また、これらの色素の添加方法としては、水またはメタノール、エタノール、フッ素化アルコール、アセトン、ジメチルホルムアミド等の水と混和性の有機溶媒に溶解して溶液として添加してもよいし、増感色素を密度が1.0g/mlより大きい、水混和性溶媒の溶液または、乳化物、懸濁液として添加してもよい。
【0045】
増感色素の分散方法としては、高速撹拌型分散機を用いて水系中に機械的に1μm以下の微粒子に粉砕・分散する方法以外に、特開昭58−105141号に記載のようにpH6〜8、60〜80℃の条件下で水系中において機械的に1μm以下の微粒子に粉砕・分散する方法、特公昭60−6496号に記載の表面張力を3.8×10−2N/m以下に抑える界面活性剤の存在下に分散する方法、特開昭50−80826号に記載の実質的に水を含まず、pKaが5を上回らない酸に溶解し、該溶解液を水性液に添加分散し、この分散物をハロゲン化銀乳剤に添加する方法等を用いることができる。
【0046】
分散に用いる分散媒としては水が好ましいが、少量の有機溶媒を含ませて溶解性を調整したり、ゼラチン等の親水性コロイドを添加して分散液の安定性を高めることもできる。
【0047】
分散液を調製するのに用いることのできる分散装置としては、例えば、特開平4−125631号公報第1図に記載の高速撹拌型分散機の他、ボールミル、サンドミル、超音波分散機等を挙げることができる。
【0048】
また、これらの分散装置を用いるに当たって、特開平4−125632号に記載のように、あらかじめ乾式粉砕などの前処理を施した後、湿式分散を行う等の方法をとってもよい。
【0049】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は一種または、二種以上の増感色素を組み合わせて含有してもよい。
【0050】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料に用いられるカプラーとしては、発色現像主薬の酸化体とカップリング反応して340nmより長波長域に分光吸収極大波長を有するカップリング生成物を形成し得るいかなる化合物をも用いることができるが、特に代表的な物としては、波長域350〜500nmに分光吸収極大波長を有するイエロー色素形成カプラー、波長域500〜600nmに分光吸収極大波長を有するマゼンタ色素形成カプラー、波長域600〜750nmに分光吸収極大波長を有するシアン色素形成カプラーとして知られているものが代表的である。
【0051】
請求項5、6に係る発明においては、前記一般式(I)または(II)で表されるマゼンタカプラーを含有することが1つの特徴である。
【0052】
前記一般式(I)において、R31〜R37は、各々水素原子、置換、無置換のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアリール基を表し、より好ましくはアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基である。
【0053】
R31〜R37で表されるアルキル基としては、炭素数1〜32のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、(t)ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、2−エチルヘキシル基等がその代表例として挙げられる。
【0054】
R31〜R37で表されるシクロアルキル基としては、炭素数3〜12のものが好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−メチルシクロプロピル基、アダマンチル基等がその代表例として挙げられる。
【0055】
R31〜R37で表されるアリール基としては、炭素数6〜14のものが好ましく、その代表例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。
【0056】
R31〜R37で表されるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基が置換基を有するとき、その置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、(t)ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ドデシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スルホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルホンアミド基(例えば、メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、ヘキシルスルホニルアミノ基、シクロヘキシルスルホニルアミノ基、オクチルスルホニルアミノ基、ドデシルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基等が挙げられ、これらの基は、更に上記の置換基によって置換されていてもよい。
【0057】
これらのうちで、R31として好ましいものは、アルキル基であり、特に好ましくは、(t)ブチル基であり、R32として好ましいものは、アルキル基であり、R33〜R37として好ましいものは、水素原子である。
【0058】
前記一般式(I)において、L31、L32は各々置換、無置換のアルキレン基を表す。L31、L32で表されるアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。L31、L32で表されるアルキレン基が置換基を有するとき、その置換基としては、前記L31、L32と同様のような基を挙げることができる。
【0059】
以下に、L31、L32で表されるアルキレン基の代表的具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0060】
【化3】
【0061】
前記一般式(I)において、L32は置換、無置換のエチレン基が好ましく、特に好ましくは、無置換のエチレン基である。
【0062】
前記一般式(I)において、J3は−(C=O)−又は−(O=S=O)−を表す。
【0063】
前記一般式(I)において、J4は−(C=O)−、−(C=O)−O−、−O−(C=O)−、−(C=O)−NH−、−NH−(C=O)−、−(O=S=O)−、−(O=S=O)−O−、−O−(O=S=O)−、−(O=S=O)−NH−または−NH−(O=S=O)−を表す。好ましくは−(C=O)−O−、−O−(C=O)−、−(C=O)−NH−、−NH−(C=O)−であり、特に好ましくは−(C=O)−O−、−(C=O)−NH−である。
【0064】
前記一般式(I)において、X3は水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、弗素原子等)、発色現像主薬の酸化体との反応により脱離可能な基(例えばアルコキシ、アリールオキシ、複素環オキシ、アシルオキシ、スルホニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、アルキルオキザリルオキシ、アルコキシオキザリルオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、複素環チオ、アルキルオキシチオカルボニルチオ、アシルアミノ、スルホンアミド、N原子で結合した含窒素複素環、アルキルオキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、カルボキシル等の各基)が挙げられるが、好ましくはハロゲン原子、特に好ましくは塩素原子である。
【0065】
前記一般式(I)において、Z3により形成される含窒素複素環としては、ピラゾール環、イミダゾール環、ピラゾロトリアゾール環、テトラゾール環等が挙げられるが、これらのうちで好ましくはピラゾロトリアゾール環である。
【0066】
以下、本発明に係る一般式(I)で表されるマゼンタカプラーの代表的な例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0067】
【化4】
【0068】
【化5】
【0069】
【化6】
【0070】
【化7】
【0071】
【化8】
【0072】
本発明に係る前記一般式(I)で表されるマゼンタカプラーは、ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサイアティ(Journal of the Chemical Society),パーキン(Perkin)I(1977),2047〜2052、米国特許第3,725,067号、特開昭59−99437号、同58−42045号、同59−162548号、同59−171956号、同60−33552号、同60−43659号、同60−172982号、同60−190779号、同61−189539号、同61−241754号、同63−163351号、同62−157031号、Syntheses,1981年40頁、同1984年122頁、同1984年894頁、特開昭49−53574号、英国特許第1,410,846号、新実験化学講座14−III巻,1585〜1594頁(1977),丸善刊、Helv.Chem.Acta.,36巻,75頁(1953)、J.Am.Chem.Soc.,72巻,2762頁(1950)、Org.Synth.,II巻,395頁(1943)等を参考にして、当業者ならば容易に合成することができる。
【0073】
次いで、前記一般式(II)で表されるマゼンタカプラーについて説明する。
前記一般式(II)において、R1、R2で表される置換基は、特に制限されるものではないが、代表的な置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アニリノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルケニル基、シクロアルキル基等が挙げられるが、この他に、ハロゲン原子及びシクロアルケニル基、アルキニル基、複素環基、スルホニル基、スルフィニル基、ホスホニル基、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シロキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、イミド基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環チオ基、ならびにスピロ化合物残基、有橋炭化水素化合物残基等も挙げられる。
【0074】
また、上記のアルキル基としては、炭素数1〜32のものが好ましく、直鎖でも分岐でもよい。上記のアリール基としては、フェニル基が好ましい。上記のアシルアミノ基としては、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基等が挙げられる。上記のスルホンアミド基としては、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基等が挙げられる。
【0075】
上記のアルキルチオ基、アリールチオ基におけるアルキル成分、アリール成分としては、上記のアルキル基、アリール基が挙げられる。
【0076】
上記のアルケニル基としては、炭素数2〜32のアルケニル基、シクロアルキル基としては炭素数3〜12のシクロアルキル基、特に5〜7のシクロアルキル基が好ましい。また、アルケニル基は直鎖でも分岐でもよい。
【0077】
上記のシクロアルケニル基としては、炭素数3〜12のシクロアルケニル基、特に、5〜7のシクロアルケニル基が好ましい。
【0078】
上記のスルホニル基としては、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等;スルフィニル基としては、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基等;ホスホニル基としては、アルキルホスホニル基、アルコキシホスホニル基、アリールオキシホスホニル基、アリールホスホニル基等;アシル基としては、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基等;カルバモイル基としては、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基等;スルファモイル基としては、アルキルスルファモイル基、アリール基、アリールスルファモイル基等;アシルオキシ基としては、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基等;カルバモイルオキシ基としては、アルキルカルバモイルオキシ基、アリールカルバモイルオキシ基等;ウレイド基としては、アルキルウレイド基、アリールウレイド基等;スルファモイルアミノ基としては、アルキルスルファモイルアミノ基、アリールスルファモイルアミノ基等;複素環基としては、5〜7員の複素環基が好ましく、具体的には、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾール基等;複素環オキシ基としては、5〜7員の複素環を有するものが好ましく、例えば、3,4,5,6−テトラヒドロピラニル−2−オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基等;複素環チオ基としては、5〜7員の複素環を有するものが好ましく、例えば、2−ピリジルチオ基、2−ベンゾチアゾリルチオ基、2,4−ジフェノキル−1,3,5−トリアゾール−6−チオ基等;シロキシ基としては、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、ジメチルブチルシロキシ基等;イミド基としては、コハク酸イミド基、3−ヘプタデシルコハク酸イミド基、フタルイミド基、グルタルイミド基等;スピロ化合物残基としては、スピロ〔3.3〕ヘプタン−1−イル等;有橋炭化水素化合物残基としてはビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン−1−イル、トリシクロ〔3.1.13.17〕デカン−1−イル、7,7−ジメチル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン−1−イル等が挙げられる。
【0079】
Xで表される発色現像主薬の酸化体との反応により離脱しうる基としては、例えば、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、弗素原子等)及びアルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、アシルオキシ基、スルホニルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アルキルオキザリルオキシ基、アルコキシオキザリルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、アルキルオキシチオカルボニルチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、N原子で結合した含窒素複素環基、アルキルオキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、カルボキシル基、
【0080】
【化9】
【0081】
〔R11は、前記R1、R2と同義であり、Z11は含窒素複素環を形成するに必要な非金属原子を表し、Z11により形成される環は置換基を有していてもよい。R12及びR13は、各々水素原子、アリール基、アルキル基または複素環基を表す。〕等の各基が挙げられるが、好ましくはハロゲン原子、特に塩素原子である。
【0082】
以下、前記一般式(II)で表されるマゼンタカプラーの具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0083】
【化10】
【0084】
本発明においては、本発明に係る上記各マゼンタカプラーは、本発明の効果を損なわない範囲において、他の種類のマゼンタカプラーと併用することもでき、通常、ハロゲン化銀1モル当たり1×10−3〜1モル、好ましくは1×10−2〜8×10−1モルの範囲で用いることができる。
【0085】
本発明に係る感光材料において形成されるマゼンタ画像の分光吸収のλmaxは530〜560nmであることが好ましく、またλL0.2は、580〜635nmであることが好ましい。λL0.2とは、画像色素の分光吸光度曲線において、最大吸光度が1.0である時、最大吸光度を示す波長よりも長波で、吸光度が0.2となる波長をいう。この量は画像色素の長波側の不要吸収の大きさを示す目安となる量であり、λmaxに近い波長であるほど不要吸収が小さく好ましいことを表す。
【0086】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料のマゼンタ画像形成層には、マゼンタカプラーに加えて、イエローカプラーを含有することが好ましい。本発明に係る感光材料のマゼンタ画像形成性層に含有させる好ましいイエローカプラーとしては、公知のピバロイルアセトアニリド型もしくはベンゾイルアセトアニリド型等のカプラーが挙げられる。本発明に係る感光材料のマゼンタ画像形成性層に含有させる好ましいイエローカプラーの具体例としては、特開平8−314079号の6〜15ページ右欄に記載のYCP−1〜YCP−39で表されるカプラーが挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0087】
本発明に係る感光材料において、シアン画像形成層中に含有されるシアンカプラーとしては、公知のフェノール系、ナフトール系又はイミダゾール系、アゾール系カプラーを用いることができる。例えば、アルキル基、アシルアミノ基、或いはウレイド基などを置換したフェノール系カプラー、5−アミノナフトール骨格から形成されるナフトール系カプラー、離脱基として酸素原子を導入した2当量型ナフトール系カプラーなどが代表される。このうち好ましい化合物としては特開平6−95283号13ページ記載の一般式[C−I]、[C−II]が挙げられる。
【0088】
アゾール系カプラーとしては、特開平8−171185号2ページ記載の一般式〔I〕もしくは〔II〕で表されるカプラーを挙げることができる。
【0089】
本発明において、シアンカプラーの使用量は、通常、ハロゲン化銀乳剤層において、ハロゲン化銀1モル当たり1×10−3〜1モル、好ましくは1×10−2〜8×10−1モルの範囲である。
【0090】
本発明に係る感光材料において、イエロー画像形成層中に含有されるイエローカプラーとしては、公知のアシルアセトアニリド系カプラー等を好ましく用いることができる。該イエローカプラーの具体例としては、例えば、特開平3−241345号の5頁〜9頁に記載の化合物、Y−I−1〜Y−I−55で示される化合物、もしくは特開平3−209466号の11〜14頁に記載の化合物、Y−1〜Y−30で示される化合物、特開平6−95283号21ページ記載の一般式〔Y−I〕で表される化合物、特開平10−186601号2ページ記載の一般式〔I〕もしくは〔II〕で表される化合物、特開2000−112090の2ページに記載の一般式〔I〕で表されるカプラーを挙げることができる。
【0091】
本発明に係る感光材料により形成されるイエロー画像の分光吸収のλmaxは425nm以上であることが好ましく、λL0.2は515nm以下であることが好ましい。
【0092】
上記イエローカプラーは、通常、ハロゲン化銀乳剤層において、ハロゲン化銀1モル当たり1×10−3〜1モル、好ましくは1×10−2〜8×10−1モルの範囲で用いることができる。
【0093】
マゼンタ色画像、シアン色画像及びイエロー色画像の分光吸収特性を調整するために、色調調整作用を有する化合物を添加することが好ましい。このための化合物としては、特開平6−95283号22ページ記載の一般式[HBS−I]に記載されるリン酸エステル系化合物、[HBS−II]で示されるホスフィンオキサイド系化合物が好ましく、より好ましくは同号22ページ記載の一般式[HBS−II]で示される化合物である。
【0094】
本発明に係る感光材料において、ハロゲン化銀乳剤層は支持体上に積層塗布されるが支持体からの順番はどのような順番でもよい。この他に必要に応じ中間層、フィルター層、保護層等を配置することができる。
【0095】
前記のマゼンタ、シアン、イエローの各カプラーには、形成された色素画像の光、熱、湿度等による褪色を防止するため褪色防止剤を併用することができる。好ましい化合物としては、特開平2−66541号3ページ記載の一般式IおよびIIで示されるフェニルエーテル系化合物、特開平3−174150号記載の一般式IIIBで示されるフェノール系化合物、特開平64−90445号記載の一般式Aで示されるアミン系化合物、特開昭62−182741号記載の一般式XII、XIII、XIV、XVで示される金属錯体が特にマゼンタ色素用として好ましい。また、特開平1−196049号記載の一般式I′で示される化合物および特開平5−11417号記載の一般式IIで示される化合物が特にイエロー、シアン色素用として好ましい。
【0096】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料に用いられるステイン防止剤やその他の有機化合物を添加するのに水中油滴型乳化分散法を用いる場合には、通常、沸点150℃以上の水不溶性高沸点有機溶媒に、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒を併用して溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて乳化分散する。分散手段としては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波分散機等を用いることができる。分散後、または、分散と同時に低沸点有機溶媒を除去する工程を入れてもよい。ステイン防止剤等を溶解して分散するために用いることのできる高沸点有機溶媒としては、例えば、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等のリン酸エステル類、トリオクチルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類、特開平4−265975号の5ページに記載の(a−i)〜(a−x)を代表とする高級アルコール系化合物等が好ましく用いられる。また、高沸点有機溶媒の誘電率としては3.5〜7.0であることが好ましい。また、二種以上の高沸点有機溶媒を併用することもできる。
【0097】
本発明に係る感光材料に用いられる写真用添加剤の分散や塗布時の表面張力調整のため用いられる界面活性剤として好ましい化合物としては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホン酸基またはその塩を含有するものが挙げられる。具体的には、特開昭64−26854号記載のA−1〜A−11が挙げられる。また、アルキル基に弗素原子を置換した界面活性剤も好ましく用いられる。これらの分散液は、通常、ハロゲン化銀乳剤を含有する塗布液に添加されるが、分散した後、塗布液に添加されるまでの時間及び塗布液に添加した後、塗布までの時間は短いほうがよく、各々10時間以内が好ましく、3時間以内我より好ましく、20分以内が特に好ましい。
【0098】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料には、現像主薬酸化体と反応する化合物を感光層と感光層の間の層に添加して色濁りを防止したりまたハロゲン化銀乳剤層に添加してカブリ等を改良することが好ましい。このための化合物としては、ハイドロキノン誘導体が好ましく、さらに好ましくは2、5−ジ−t−オクチルハイドロキノンのようなジアルキルハイドロキノンである。特に好ましい化合物は、特開平4−133056号に記載の一般式IIで示される化合物であり、同号13〜14ページ記載の化合物II−1〜II−14および17ページ記載の化合物1が挙げられる。
【0099】
本発明に係る感光材料中には、紫外線吸収剤を添加してスタチックカブリを防止したり色素画像の耐光性を改良することが好ましい。好ましい紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール類が挙げられ、特に好ましい化合物としては、特開平1−250944号記載の一般式III−3で示される化合物、特開昭64−66646号記載の一般式IIIで示される化合物、特開昭63−187240号記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号記載の一般式Iで示される化合物、特開平5−165144号記載の一般式(I)、(II)で示される化合物が挙げられる。
【0100】
本発明に係る感光材料には、油溶性染料や顔料を含有すると白地性が改良され好ましい。油溶性染料の代表的具体例は、特開平2−842号8ページ〜9ページに記載の化合物1〜27が挙げられる。
【0101】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料には、バインダーとしてゼラチンを用いることが有利であるが、必要に応じて他のゼラチン、例えば、ゼラチン誘導体やゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、ゼラチン以外のタンパク質、糖誘導体、セルロース誘導体、単一あるいは共重合体のごとき合成親水性高分子物質等の親水性コロイドも用いることができる。
【0102】
これらバインダーの硬膜剤としては、ビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用することが好ましい。特開昭61−249054号、同61−245153号記載の化合物を使用することが好ましい。また、写真性能や画像保存性に悪影響するカビや細菌の繁殖を防ぐためコロイド層中に、特開平3−157646号記載のような防腐剤および抗カビ剤を添加することが好ましい。また、感光材料または処理後の感光材料表面の物性を改良するため、保護層に特開平6−118543号や特開平2−73250号記載の滑り剤やマット剤を添加することが好ましい。
【0103】
本発明に係る感光材料に用いる支持体としては、どのような材質を用いてもよく、ポリエチレンやポリエチレンテレフタレートで被覆した紙、天然パルプや合成パルプからなる紙支持体、塩化ビニルシート、白色顔料を含有してもよいポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート支持体、バライタ紙などを用いることができる。なかでも、原紙の両面に耐水性樹脂被覆層を有する支持体が好ましい。耐水性樹脂としてはポリエチレンやポリエチレンテレフタレートまたはそれらのコポリマーが好ましい。
【0104】
紙の表面に耐水性樹脂被覆層を有する支持体は、通常、50〜300g/m2の質量を有する表面の平滑なものが用いられるが、プルーフ画像を得る目的に対しては、取り扱いの感覚を印刷用紙に近づけるため、130g/m2以下の原紙が好ましく用いられ、さらに70〜120g/m2の原紙が好ましく用いられる。本発明に用いられる支持体としては、ランダムな凹凸を有するものであっても平滑なものであっても好ましく用いることができる。
【0105】
支持体に用いられる白色顔料としては、無機及び/または有機の白色顔料を用いることができ、好ましくは無機の白色顔料が用いられる。例えば、硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等があげられる。白色顔料は好ましくは硫酸バリウム、酸化チタンである。
【0106】
支持体の表面の耐水性樹脂層中に含有される白色顔料の量は、鮮鋭性を改良するうえで13質量%以上が好ましく、さらには15質量%が好ましい。
【0107】
本発明に係る紙支持体の耐水性樹脂層中の白色顔料の分散度は、特開平2−28640号に記載の方法で測定することができる。この方法で測定したときに、白色顔料の分散度が、前記公報に記載の変動係数として0.20以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましい。
【0108】
本発明に用いられる両面に耐水性樹脂層を有する紙支持体の樹脂層は、1層であってもよいし、複数層からなってもよい。複数層とし、乳剤層と接する方に白色顔料を高濃度で含有させると鮮鋭性の向上が大きく、プルーフ用画像を形成するのに好ましい。
【0109】
また、支持体表面の中心面平均粗さ(SRa)の値が0.15μm以下、更には0.12μm以下であることが、光沢性がよいという効果が得られより好ましい。
【0110】
本発明に用いられる写真感光材料は、必要に応じて支持体表面にコロナ放電、紫外線照射、火炎処理等を施した後、直接または下塗層(支持体表面の接着性、帯電防止性、寸度安定性、耐摩擦性、硬さ、ハレーション防止性、摩擦特性及び/またはその他の特性を向上するための1または2以上の下塗層)を介して塗布されていてもよい。
【0111】
ハロゲン化銀乳剤を用いた写真感光材料の塗布に際して、塗布性を向上させるために増粘剤を用いてもよい。塗布法としては2種以上の層を同時に塗布することのできるエクストルージョンコーティング及びカーテンコーティングが特に有用である。
【0112】
本発明に用いられる露光装置の露光光源は、公知のものをいずれも好ましく用いることができるが、レーザーまたは発光ダイオード(以下、LEDと表す)がより好ましく用いられる。
【0113】
レーザーとしては、半導体レーザー(以下、LDと表す)がコンパクトであること、光源の寿命が長いことから好ましく用いられる。また、LDはDVD、音楽用CDの光ピックアップ、POSシステム用バーコードスキャナ等の用途や光通信等の用途に用いられており、安価であり、かつ比較的高出力のものが得られるという長所を有している。LDの具体的な例としては、アルミニウム・ガリウム・インジウム・ヒ素(650nm)、インジウム・ガリウム・リン(〜700nm)、ガリウム・ヒ素・リン(610〜900nm)、ガリウム・アルミニウム・ヒ素(760〜850nm)等を挙げることができる。最近では、青光を発振するレーザーも開発されているが、現状では、610nmよりも長波の光源としてLDを用いるのが有利である。
【0114】
SHG素子を有するレーザー光源としては、LD、YAGレーザーから発振される光をSHG素子により半分の波長の光に変換して放出させるものであり、可視光が得られることから適当な光源がない緑〜青の領域の光源として用いられる。この種の光源の例としては、YAGレーザーにSHG素子を組み合わせたもの(532nm)等がある。
【0115】
ガスレーザーとしては、ヘリウム・カドミウムレーザー(約442nm)、アルゴンイオンレーザー(約514nm)、ヘリウムネオンレーザー(約544nm、633nm)等が挙げられる。
【0116】
LEDとしては、LDと同様の組成をもつものが知られているが、青〜赤外まで種々のものが実用化されている。
【0117】
本発明に用いられる露光光源としては、各レーザーを単独で用いてもよいし、これらを組合せ、マルチビームとして用いてもよい。LDの場合には、例えば10個のLDを並べることにより10本の光束からなるビームが得られる。一方、ヘリウムネオンレーザーのような場合、レーザーから発した光をビームセパレーターで例えば10本の光束に分割する。
【0118】
露光用光源の強度変化は、LD、LEDのような場合には、個々の素子に流れる電流値を変化させる直接変調を行うことができる。LDの場合には、AOM(音響光学変調器)のような素子を用いて強度を変化させてもよい。ガスレーザーの場合には、AOM、EOM(電気光学変調器)等のデバイスを用いるのが一般である。
【0119】
光源にLEDを用いる場合には、光量が弱ければ、複数の素子で同一の画素を重複して露光する方法を用いてもよい。
【0120】
また、これらに代わる光源として有機発光素子を用いてもよく、これらについては、例えば、特開2000−258846等に記載されている。
【0121】
レーザー光源の場合には、ビーム径は25μm以下であることが好ましく、6〜22μmがより好ましい。6μmより小さいと画質的には好ましいが、調整が困難であったり、処理速度が低下したりする。一方、25μmより大きいとムラが大きくなり、画像の鮮鋭性も劣化する。ビーム径を最適化することによってムラのない高精細の画像の書き込みを高速で行うことができる。
【0122】
本発明において面積階調画像という言葉を用いているが、これは画像上の濃淡を個々の画素の色の濃淡で表現するのではなく、特定の濃度に発色した部分の面積の大小で表現するものであり、網点と同義と考えてよい。
【0123】
通常、面積階調露光であればY、M、C、墨の発色をさせることで目的を達することもできるが、より好ましくは、墨に加えてM、C等の単色が発色したことを識別するには、3値以上の露光量を使い分けて露光することが好ましい。印刷においては、特別な色の版を用いることがあるが、これを再現するためには、4値以上の露光量を使い分けて露光することが好ましい。
【0124】
請求項1、2、5に係る発明においては、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のベタ濃度とは独立に、レッド(R)、3色墨(3C)の濃度を設定できるデジタル露光装置を用いることが1つの特徴である。ここで述べる3色墨(3C)とは、Y、M、Cのベタ濃度と同じ濃度のY、M、C色素で構成される墨画像のことである。
【0125】
また、請求項3、4、6に係る発明においては、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のベタ濃度とは独立に、レッド(R)、3色墨(3C)、ブルー(B)の濃度を設定できるデジタル露光装置を用いることが特徴の1つである。
【0126】
また、本発明で定義するマゼンタ単色分解濃度とは、いわゆるアナリティカルグリーン(G)濃度を意味しており、特定の色を構成している色素の内、マゼンタ色素画像形成ユニット中に形成された色画像のみを、仮想的に取り出したときの濃度を意味する。同様に、イエロー単色分解濃度とは、いわゆるアナリティカルブルー(B)濃度を意味しており、特定の色を構成している色素の内、イエロー色素画像形成ユニット中に形成された色画像のみを仮想的に取り出したときの濃度を意味し、同様に、シアン単色分解濃度とは、いわゆるアナリティカルレッド(R)濃度を意味しており、特定の色を構成している色素の内、シアン色素画像形成ユニット中に形成された色画像のみを仮想的に取り出したときの濃度を意味する。
【0127】
請求項1に係る発明においては、Y、M、C、R及び3Cの濃度を独立に設定できるデジタル露光装置で露光した後、芳香族1級アミンを含有する発色現像液で処理する画像形成方法において、下記式(1)で表される条件を設定して画像形成することが1つの特徴である。
【0128】
式(1)
0.6≦D1/D2≦1
式(1)において、D1はマゼンタ、レッド、3Cにおけるマゼンタ単色分解濃度の中で最小濃度値を表し、D2はマゼンタ、レッド、3Cにおけるマゼンタ単色分解濃度の中での最大濃度値を表す。
【0129】
更に、上記式(1)の関係において、D1/D2が0.75以上、1.0以下であることが好ましい。
【0130】
請求項3に係る発明においては、Y、M、C、R、3C及びBの濃度を独立に設定できるデジタル露光装置で露光した後、芳香族1級アミンを含有する発色現像液で処理する画像形成方法において、マゼンタ、レッド、3C及びブルーのマゼンタ単色分解濃度を、下記式(2)で表される条件に設定して画像形成することが1つの特徴である。
【0131】
式(2)
0.6≦D3/D4≦1
式(2)において、D3はマゼンタ、レッド、3C、ブルーのマゼンタ単色分解濃度の中で最小濃度値を表し、D4はマゼンタ、レッド、3C、ブルーのマゼンタ単色分解濃度の中での最大濃度値を表す。
【0132】
更に、上記式(2)の関係において、D3/D4が0.75以上、1.0以下であることが好ましい。
【0133】
本発明において、上記(1)又は(2)で規定するような条件の光で、露光を与えるには、ハロゲン化銀感光材料上を光束が走査露光する方式が必要であり、その露光方法としては、感光材料を円筒状のドラムに巻き付け、これを高速に回転しながら回転方向に直角な方向に光束を動かす円筒外面走査方式をとってもよく、円筒状の窪みにハロゲン化銀感光材料を密着させて露光する円筒内面走査方式も好ましく用いることができる。多面体ミラーを高速で回転させこれによって搬送されるハロゲン化銀感光材料を搬送方向に対して直角に光束を移動して露光する平面走査方式をとってもよい。高画質であり、かつ大きな画像を得るには円筒外面走査方式がより好ましく用いられる。
【0134】
円筒外面走査方式での露光を行うには、ハロゲン化銀感光材料は正確に円筒状のドラムに密着されなければならない。これが的確に行われるためには、正確に位置合わせされて搬送される必要がある。本発明に用いられるハロゲン化銀感光材料は、露光する側の面が外側に巻かれたものがより的確に位置合わせでき、好ましく用いることができる。同様な観点から、本発明に用いられるハロゲン化銀感光材料に用いられる支持体は、適正な剛度を有し、テーバー剛度で0.8〜4.0であることが好ましい。
【0135】
ドラム径は、露光するハロゲン化銀感光材料の大きさに適合させて任意に設定することができる。ドラムの回転数も任意に設定できるが、レーザー光のビーム径、エネルギー強度、書き込みパターンや感光材料の感度などにより適当な回転数を選択することができる。生産性の観点からは、より高速な回転で走査露光できる方が好ましいが、具体的には1分間に200〜3000回転が好ましく用いられる。
【0136】
ドラムへのハロゲン化銀感光材料の固定方法は、機械的な手段によって固定させてもよいし、ドラム表面に吸引できる微小な穴を感光材料の大きさに応じて多数設けておき、感光材料を吸引して密着させることもできる。感光材料をドラムにできるだけ密着させることが画像ムラ等のトラブルを防ぐには重要である。
【0137】
本発明の発色現像液に用いられる芳香族一級アミン現像主薬としては、公知の化合物を用いることができる。これらの化合物の例として下記の化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0138】
CD−1:N,N−ジエチルーp−フェニレンジアミン
CD−2:2−アミノ−5−ジエチルアミノトルエン
CD−3:2−アミノ−5−(N−エチル−N−ラウリルアミノ)トルエン
CD−4:4−(N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ)
アニリン
CD−5:2−メチル−4−(N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)
アミノ)アニリン
CD−6:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−(メタン
スルホンアミド)エチル)−アニリン
CD−7:N−(2−アミノ−5−ジエチルアミノフェニルエチル)メタン
スルホンアミド
CD−8−N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン
CD−9:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−メトキシエチル
アニリン
CD−10:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−エトキシ
エチル)アニリン
CD−11:4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(γ−ヒドロキシ
プロピル)アニリン
本発明において、上記化合物を含む発色現像液は、任意のpH域で使用できるが、迅速処理の観点からpH9.5〜13.0であることが好ましく、より好ましくはpH9.8〜12.0の範囲で用いられる。
【0139】
本発明に係る発色現像液の処理温度は、35℃以上、70℃以下が好ましい。温度が高いほど短時間の処理が可能であり好ましいが、処理液の安定性からはあまり高くない方が好ましく、37℃以上、60℃以下で処理することが好ましい。発色現像時間は、従来一般には3分30秒程度で行われているが、本発明では40秒以内が好ましく、さらに25秒以内の範囲で行うことが好ましい。
【0140】
発色現像液には、前記の発色現像主薬に加えて、既知の現像液成分化合物を添加することができる。例えば、pH緩衝作用を有するアルカリ剤、塩化物イオン、ベンゾトリアゾール類等の現像抑制剤、保恒剤、キレート剤などが用いられる。
【0141】
本発明に係るハロゲン化銀感光材料は、発色現像後、漂白処理及び定着処理を施される。漂白処理は定着処理と同時に行なってもよい。定着処理の後は、通常は水洗処理が行なわれる。また、水洗処理の代替として、安定化処理を行なってもよい。本発明に係るハロゲン化銀感光材料の現像処理に用いる現像処理装置としては、処理槽に配置されたローラーに感光材料をはさんで搬送するローラートランスポートタイプであっても、ベルトに感光材料を固定して搬送するエンドレスベルト方式であってもよいが、処理槽をスリット状に形成して、この処理槽に処理液を供給するとともに感光材料を搬送する方式や処理液を噴霧状にするスプレー方式、処理液を含浸させた担体との接触によるウエッブ方式、粘性処理液による方式なども用いることができる。大量に処理する場合には、自動現像機を用いて補充液を補充しながらランニング処理されるのが、この際、各処理液の補充液量は少ない程好ましく、環境適性等より最も好ましい処理形態は、補充方法として錠剤の形態で処理剤を添加することであり、公開技報94−16935に記載の方法が最も好ましい。
【0142】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0143】
実施例1
片面に高密度ポリエチレンを、もう一方の面にアナターゼ型酸化チタンを15質量%の含有量で分散して含む溶融ポリエチレンをラミネートした、1平米当たりの質量が115gのポリエチレンラミネート紙反射支持体(テーバー剛度=3.5、PY値=2.7μm)上に、表1の構成からなる各層を、酸化チタンを含有するポリエチレン層側に塗設し、更に、裏面側にはゼラチン6.00g/m2、シリカマット剤0.65g/m2を塗設した多層ハロゲン化銀感光材料試料101を作製した。
【0144】
なお、表1に記載の各カプラーは、高沸点溶媒及び酢酸エチルに溶解し、界面活性剤を含むゼラチン溶液中に超音波分散機を用いて乳化・分散し、分散物として添加した。なお、界面活性剤として(SU−1)を用いた。又、硬膜剤として(H−1)、(H−2)を添加した。塗布助剤としては、界面活性剤(SU−2)、(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。また各層には(F−1)を全量が0.04g/m2となるように添加した。
【0145】
【表1】
【0146】
SU−1:トリ−i−プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナトリウム塩
SU−3:スルホ琥珀酸ジ(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)・ナトリウム塩
H−1:テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン
H−2:2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム
HQ−1:2,5−ジーt−オクチルハイドロキノン
HQ−2:2,5−ジ((1,1−ジメチル−4−ヘキシルオキシカルボニル)ブチル)ハイドロキノン
HQ−3:2,5−ジ−sec−ドデシルハイドロキノンと2,5−ジ−secテトラデシルハイドロキノンと2−sec−ドデシル−5−sec−テトラデシルハイドロキノンの質量比1:1:2の混合物
SO−1:トリオクチルホスフィンオキサイド
SO−2:ジ(i−デシル)フタレート
SO−3:オレイルアルコール
SO−4:トリクレジルホスフェート
PVP:ポリビニルピロリドン
【0147】
【化11】
【0148】
【化12】
【0149】
上記試料101の作製に用いた各ハロゲン化銀乳剤の調製方法を以下に示す。
〔青感光性ハロゲン化銀乳剤の調製〕
40℃に保温した2%ゼラチン水溶液1リットル中に、下記(A液)及び(B液)をpAg=7.3、pH=3.0に制御しつつ同時添加し、更に下記(C液)及び(D液)をpAg=8.0、pH=5.5に制御しつつ同時添加した。この時、pAgの制御は特開昭59−45437号記載の方法により行い、pHの制御は硫酸又は水酸化ナトリウム水溶液を用いて適宜行った。
【0150】
(A液)
塩化ナトリウム 3.42g
臭化カリウム 0.03g
水を加えて 200ml
(B液)
硝酸銀 10g
水を加えて 200ml
(C液)
塩化ナトリウム 102.7g
ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム 4×10−8モル
ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム 2×10−5モル
臭化カリウム 1.0g
水を加えて 600ml
(D液)
硝酸銀 300g
水を加えて 600ml
添加終了後、花王アトラス社製デモールNの5%水溶液と硫酸マグネシウムの20%水溶液を用いて脱塩を行った後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径0.71μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤であるEMP−101を得た。
【0151】
上記EMP−101に対し、下記化合物を用いて60℃で最適に化学増感を行い、青感光性ハロゲン化銀乳剤であるEm−B101を得た。
【0152】
チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モルAgX
塩化金酸 0.5mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10−4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10−4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10−4モル/モルAgX
増感色素:BS−1 4×10−4モル/モルAgX
増感色素:BS−2 1×10−4モル/モルAgX
臭化カリウム 0.2g/モルAgX
STAB−1:1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール
STAB−2:1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾールSTAB−3:1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
次いで、上記EMP−101の調製において、(A液)と(B液)の添加時間及び(C液)と(D液)の添加時間を変更した以外は同様にして、平均粒径0.64μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤であるEMP−102を得た。
【0153】
Em−B101の調製において、EMP−101に代えてEMP−102を用いた以外同様にしてEm−B102を調製し、Em−B101とEm−B102の1:1の混合物を青感光性ハロゲン化銀乳剤として使用した。
【0154】
【化13】
【0155】
(緑感光性ハロゲン化銀乳剤の調製)
上記EMP−101の調製において、(A液)と(B液)及び(C液)と(D液)の各添加時間を変更した以外は同様にして、平均粒径0.40μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−103を調製した。
【0156】
上記EMP−103に対し、下記化合物を用い55℃にて最適に化学増感を行い、緑感光性ハロゲン化銀乳剤であるEm−G101を得た。
【0157】
チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モルAgX
塩化金酸 1.0mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 3×10−4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 3×10−4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 3×10−4モル/モルAgX
増感色素:GS−1 2×10−4モル/モルAgX
増感色素:GS−2 2×10−4モル/モルAgX
塩化ナトリウム 0.5g/モルAgX
次いで、上記EMP−103の調製において、(A液)と(B液)の添加時間及び(C液)と(D液)の各添加時間を変更した以外は同様にして、平均粒径0.50μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単分散立方体乳剤であるEMP−104を得た。
【0158】
上記Em−G101の調製において、EMP−103に代えてEMP−104を用いた以外同様にしてEm−G102を調製し、Em−G101とEm−G102の1:1の混合物を緑感光性ハロゲン化銀乳剤として使用した。
【0159】
【化14】
【0160】
(赤感光性ハロゲン化銀乳剤の調製)
前記調製したEMP−103に対し、下記化合物を用い60℃にて最適に化学増感を行い、赤感光性ハロゲン化銀乳剤であるEm−R101を得た。
【0161】
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX
塩化金酸 2.0mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 2×10−4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 2×10−4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 2×10−4モル/モルAgX
安定剤:STAB−4 1×10−4モル/モルAgX
増感色素:RS−1 1×10−4モル/モルAgX
増感色素:RS−2 1×10−4モル/モルAgX
強色増感剤:SS−1 2×10−4モル/モルAgX
STAB−4:p−トルエンチオスルホン酸
次に、前記調製したEMP−103に対し、下記化合物を用いて60℃にて最適に化学増感を行い、赤感光性ハロゲン化銀乳剤であるEm−R102を得た。
【0162】
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX
塩化金酸 2.0mg/モルAgX
安定剤:STAB−1 2×10−4モル/モルAgX
安定剤:STAB−2 2×10−4モル/モルAgX
安定剤:STAB−3 2×10−4モル/モルAgX
安定剤:STAB−4 1×10−4モル/モルAgX
増感色素:RS−1 2×10−4モル/モルAgX
増感色素:RS−2 2×10−4モル/モルAgX
強色増感剤:SS−1 2×10−4モル/モルAgX
上記調製したEm−R101とEm−R102の1:1の混合物を赤感光性ハロゲン化銀乳剤として使用した。
【0163】
【化15】
【0164】
《露光、現像処理》
(露光)
光源としてBのLEDを主走査方向に5個並べ露光のタイミングを少しづつ遅延させることによって同じ場所を5個のLEDで露光できるように調整した。また、副走査方向にも20個のLEDを並べ隣接する20画素分の露光が1度にできる露光ヘッドを準備した。G、Rも同様にLEDを組み合わせて露光ヘッドを準備した。各ビームの径は約10μmで、この間隔でビームを配列し、副走査のピッチは約200μmとした。
【0165】
上記露光ヘッドを用いて、多層ハロゲン化銀写真感光材料である試料101をアート紙系をターゲットとした表2に記載の単色分解濃度及び表4に記載の単色分解濃度比(D1/D2、D3/D4)を満たす条件になる光強度で露光し、高精細カラーディジタル標準画像SCIDの中から、F1(ポートレート)、F3(果物籠)、F4(ワインと食器)、F7(ミュージシャン)の画像をそれぞれ露光した。
【0166】
【表2】
【0167】
(現像処理)
露光を施した試料101を、下記に示す現像処理を行い、アート紙系をターゲットとした4種類の画像を持つ画像試料1−1を得た。
【0168】
処理工程 処理温度 時間 補充量
発色現像 37.0±0.3℃ 120秒 200ml/m2
漂白定着 37.0±0.5℃ 90秒 150ml/m2
安定化 30〜34℃ 60秒 400ml/m2
乾燥 60〜80℃ 30秒
水を加えて全量を1リットルとし、タンク液はpH=10.2に、補充液はpH=10.5に調整した。
【0169】
〈漂白定着液タンク液及び補充液〉
ジエチレントリアミン五酢酸第二鉄アンモニウム2水塩 65g
ジエチレントリアミン五酢酸 3g
チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 100ml
2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール 2.0g
亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 27.5ml
水を加えて全量を1リットルとし、炭酸カリウム又は氷酢酸でpH=5.0に調整した。
【0170】
〈安定化液タンク液及び補充液〉
o−フェニルフェノール 1.0g
5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
ジエチレングリコール 1.0g
蛍光増白剤(チノパールSFP) 2.0g
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 1.8g
硫酸亜鉛 0.5g
硫酸マグネシウム・7水塩 0.2g
PVP(ポリビニルピロリドン) 1.0g
アンモニア水(水酸化アンモニウム25%水溶液) 2.5g
ニトリロ三酢酸・三ナトリウム塩 1.5g
水を加えて全量を1リットルとし、硫酸又はアンモニア水でpH=7.5に調整した。
【0171】
次いで、上記画像試料1−1の作成において、アート紙系をターゲットとして表4に記載の単色分解濃度比(D1/D2、D3/D4)になるように露光した以外は同様にして画像試料1−2〜1−5を作成した。
【0172】
一方、試料101を用いて、上質紙系をターゲットとした表3に記載の単色分解濃度及び表4に記載の単色分解濃度比(D1/D2、D3/D4)を満たす条件の光強度で露光し、高精細カラーディジタル標準画像SCIDの中から、F1(ポートレート)、F3(果物籠)、F4(ワインと食器)、F7(ミュージシャン)の画像をそれぞれ露光し、画像試料1−1と同様に現像処理し、上質紙系をターゲットとした4種類の画像を持つ画像試料1−6を得た。
【0173】
次いで、上記画像試料1−6の作成において、上質紙系をターゲットとして表4に記載の単色分解濃度比(D1/D2、D3/D4)になるように露光した以外は同様にして画像試料1−6〜1−10を作成した。
【0174】
また、これら各SCID画像を用いて、常法に従い印刷物2種類(アート紙と上質紙(基準試料))を作成し、各基準試料とした。
【0175】
【表3】
【0176】
《画像評価》
上記のようにして得られた画像試料1−1〜1−10の各SCID画像を、基準試料である印刷物2種類(アート紙と上質紙)の各SCID画像と比較し、校正刷りとしての色再現性を主観評価した。
【0177】
主観評価は10人の被験者が、個々に下記の主観評価に基づいて肌色再現性と全体の色調バランスに鑑みて評価を行い、10人の平均値を評価結果とした。結果を表4に示す。
【0178】
(再現性評価の指標)
5:校正刷りとしての肌色再現性に非常に優れており全体の色調バランスも優れている
4:充分な肌色再現性を有しており、全体の色調バランスも良く、校正刷りとして使用できる
3:肌色再現性は印刷物とは若干の差異は有るが、仕上りを充分にイメージできる校正刷りである
2:肌色の色調及び質感に違いが認められ、印刷仕上りに対して若干の予測が必要である
1:一見して肌色の色調の違いが判り、印刷に対する校正刷りとしては問題がある
【0179】
【表4】
【0180】
表4より明らかなように、本発明で規定する条件を満たして作成された画像は、仕上りを充分にイメージできる実用的な校正刷りとして優れた肌色再現性が得られ、特に、ポートレートにおける女性の肌色及びミュージシャンにおける3人の女性の肌色に優れた再現性を示し、実用性の高い優れた校正刷りとして活用できるプルーフが得られた。本発明の効果は、上質紙系の全体的に低濃度の印刷物をターゲットにした試料でも見られるが、アート紙系のような全体的に高濃度の印刷物をターゲットにした試料でより高い効果が見られた。全体的に高濃度であるコート紙系印刷物をターゲットとしたときでもアート紙系と同様の効果は得られる。また、本発明で規定する式(2)の条件を満たす試料1−3、1−4、1−8、1−9では、更にポートレートにおける女性の肌及びミュージシャンにおける3人の女性の肌色に、より優れた再現性を示していることを確認することができた。
【0181】
実施例2
実施例1に記載の試料101の作製において、第3層の赤感光性層で用いたマゼンタカプラーM−1を、表5に記載の各マゼンタカプラーに変更した以外は同様にして、多層ハロゲン化銀写真感光材料である試料201〜205を作製し、これに実施例1で作製した試料101を加えて、実施例1と同様の露光装置を用いて、表5に記載の単色分解濃度比(D1/D2、D3/D4)を満たす条件の光強度で露光し、画像試料2−1〜2−30を作成した。
【0182】
なお、画像試料2−1〜2−15はアート紙系をターゲットに、画像試料2−16〜2−30は上質紙系をターゲットにして、実施例1と同様に高精細カラーディジタル標準画像SCIDの中から、F1(ポートレート)、F3(果物籠)、F4(ワインと食器)、F7(ミュージシャン)の画像をそれぞれ露光、現像処理して作成した。
【0183】
基準試料は、実施例1と同じ基準印刷物を用いて、実施例1に記載の方法と同様にして、色再現性の主観評価を行い、得られた結果を表5に示す。
【0184】
【表5】
【0185】
表5より明らかなように、赤感光性層で用いるマゼンタカプラーとして、本発明に係るマゼンタカプラーである例示化合物1−22、2−2、2−4、2−5、2−6を用いて得られた画像は、M−1のマゼンタカプラーを用いて作成された画像に対して、仕上りを充分にイメージできる実用的な校正刷りとして優れた肌色再現性が得られ、かつグレー系色及び赤系色の再現性にも優れていた。ポートレートにおける女性の肌色、髪の毛の質感、グレー系背景、及びミュージシャンにおける3人の女性の肌色、グレー系の背景の再現性に加え、果物籠における果物の質感、りんごの鮮やかさの再現性及びグラスやテーブルの質感の再現性にも優れ、実用性の高い優れた校正刷りとして活用できるプルーフが得られた。本発明の効果は、上質紙系の全体的に低濃度の印刷物をターゲットにした試料でも見られるが、アート紙系のような全体的に高濃度の印刷物をターゲットにした試料でより高い効果が見られた。全体的に高濃度であるコート紙系印刷物をターゲットとしたときでもアート紙系と同様の効果は得られることを確認することができた。
【0186】
【発明の効果】
本発明により、肌色再現性に優れ、全体の色調バランスが良好なプルーフ画像を形成する面積階調画像形成方法を提供することができた。
Claims (6)
- 支持体上に、各々少なくとも1つのイエロー、マゼンタ、シアン色素画像形成ユニットを有するハロゲン化銀感光材料を、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びレッド(R)の各濃度と、該イエロー、マゼンタ、シアンの各ベタ濃度と同じ濃度のイエロー、マゼンタ及びシアン色素で構成される3色墨(3C)の濃度とを独立に設定できるデジタル露光装置で露光した後、芳香族1級アミンを含有する発色現像液で処理する画像形成方法において、マゼンタ、レッド及び3Cにおけるマゼンタ単色分解濃度を、下記式(1)で表される条件に設定して画像形成することを特徴とする面積階調画像形成方法。
式(1)
0.6≦D1/D2≦1
〔式中、D1はマゼンタ、レッド、3Cにおけるマゼンタ単色分解濃度の中で最小濃度値を表し、D2はマゼンタ、レッド、3Cにおけるマゼンタ単色分解濃度の中での最大濃度値を表す。ここでいうマゼンタ単色分解濃度とは、いわゆるアナリティカルG濃度を意味し、特定の色を構成している色素の中で、マゼンタ色素画像形成ユニット中の色素のみを仮想的に取り出したときの濃度と定義する。〕 - 前記D1/D2が、0.75以上、1.0以下であることを特徴とする請求項1に記載の面積階調画像形成方法。
- 支持体上に、各々少なくとも1つのイエロー、マゼンタ、シアン色素画像形成ユニットを有するハロゲン化銀感光材料を、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、3色墨(3C)、レッド(R)及びブルー(B)の各濃度を独立に設定できるデジタル露光装置で露光した後、芳香族1級アミンを含有する発色現像液で処理する画像形成方法において、マゼンタ、レッド、3C及びブルーのマゼンタ単色分解濃度を、下記式(2)で表される条件に設定して画像形成することを特徴とする面積階調画像形成方法。
式(2)
0.6≦D3/D4≦1
〔式中、D3はマゼンタ、レッド、3C、ブルーのマゼンタ単色分解濃度の中で最小濃度値を表し、D4はマゼンタ、レッド、3C、ブルーのマゼンタ単色分解濃度の中での最大濃度値を表す。〕 - 前記D3/D4が、0.75以上、1.0以下であることを特徴とする請求項3に記載の面積階調画像形成方法。
- 支持体上に、各々少なくとも1つのイエロー、マゼンタ、シアン色素画像形成ユニットを有するハロゲン化銀感光材料を、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、レッド(R)及び3色墨(3C)の各濃度を独立に設定できるデジタル露光装置で露光した後、芳香族1級アミンを含有する発色現像液で処理する画像形成方法において、該ハロゲン化銀感光材料が下記一般式(I)または(II)で表されるマゼンタカプラーを含有し、かつ該マゼンタ、レッド及び3Cのマゼンタ単色分解濃度を、前記式(1)の条件を満たすように設定して画像形成することを特徴とする面積階調画像形成方法。
- 支持体上に、各々少なくとも1つのイエロー、マゼンタ、シアン色素画像形成ユニットを有するハロゲン化銀感光材料を、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、3色墨(3C)、レッド(R)及びブルー(B)の各濃度を独立に設定できるデジタル露光装置で露光した後、芳香族1級アミンを含有する発色現像液で処理する画像形成方法において、該ハロゲン化銀感光材料が前記一般式(I)または(II)で表されるマゼンタカプラーを含有し、かつ、マゼンタ、レッド、3C及びブルーのマゼンタ単色分解濃度を、前記式(2)の条件を満たすように設定して画像形成することを特徴とする面積階調画像形成方法。
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