JP2004037534A - ハロゲン化銀カラー写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀カラー写真感光材料 Download PDF

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Abstract

【課題】取り扱いが簡便で、本来必要な波長域の感度を下げずにセーフライト安全性に優れた映画用ハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供する。
【解決手段】透過支持体上にイエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層、シアン発色感光性ハロゲン化銀乳剤層およびマゼンタ発色感光性ハロゲン化銀乳剤層の各層を少なくとも一層ずつ有し、かつ、非感光性親水性コロイド層を少なくとも一層有するハロゲン化銀カラー写真感光材料であって、親水性コロイド層中にて570〜610nmの範囲に極大吸収を有し、かつ長波側の半値半幅が40nm以下である水溶性染料と、親水性コロイド層中にて740nm以上に極大吸収を有し、かつ短波側の半値半幅が100nm以下である水溶性染料を含有するハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、作業性および処理安定性が改良されたハロゲン化銀カラー写真感光材料、特に映画用ハロゲン化銀カラー写真感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ハロゲン化銀写真の応用である映画は、1秒間に24枚の緻密な静止画を順次投影し、動画像を得る方法であり、他の動画像を再生する方法に比べ圧倒的な高画質を有している。しかしながら最近の急速な電子技術および情報処理技術の発達は、テキサスインスツルメンツ社のDMDディバイスを用いたプロジェクターやヒューズ−JVC社のILAプロジェクター等の映画に迫る画質を有する、より簡便な動画再生手段を提案できるまでに至った。従って、映画に対しても、本来の高画質を維持しつつ簡便性の付与、特に露光、現像といった現像所における作業の簡便化や時間短縮が求められている。
【0003】
ハロゲン化銀写真感光材料の取り扱いを難しくしている要因の一つに現像処理前の材料は暗所で扱う必要があることが挙げられる。人間の視覚と同等な特性を有する必要がある撮影用ハロゲン化銀写真感光材料の場合は、原理的に暗所で取り扱う必要があるが、撮影用ハロゲン化銀写真感光材料に記録された情報を元に、観賞用の画像を作製するプリント用ハロゲン化銀写真感光材料の場合は必ずしも暗所で扱う必要はない。実際に市販されているプリント用ハロゲン化銀写真感光材料の多くは、特定波長域の感度を低下させることで、その波長域の光(以下セーフライトと称する)の下での作業を可能としている。例えば、映画映写用ハロゲン化銀写真感光材料(富士写真フイルム(株)製フジカラーポジティブフィルムF−CP(商品名)等)の場合は、緑感光性乳剤層と赤感光性乳剤層の感光波長間である波長590nm付近の光に対する感度を低下させており、この付近の光を発する光源(例えば低圧ナトリウム灯)をセーフライトとして用いることが出来る。しかしながら、この波長領域には、わずかではあるが赤感光性乳剤層が感度を持っている。その為、セーフライトの明るさが明るすぎる場合や、長時間セーフライトに曝された場合、赤感光性乳剤層の感光により、シアンかぶりが発生し、好ましくない画像が得られることになる。従って、作業性の観点から、より明るい光源に曝しても、より長時間セーフライトに曝してもシアンかぶりを起こしにくい材料、すなわち、セーフライト波長範囲の感度がより低いハロゲン化銀写真感光材料が求められている。
【0004】
上記暗所における作業性(以下セーフライト安全性と称する)を改良する手段としては、目的とする波長付近に吸収を有する着色剤を感光材料中に導入することがある。このような目的で用いられる着色剤は下記のような性能を満足することが要求される。すなわち、以下の3点が挙げられる。
(1)使用目的に応じた適正な分光吸収を有すること。すなわち、目的とする波長範囲に吸収を有し、感光材料が本来必要な波長域に吸収を有さない(感度低下がない)こと。
(2)感光材料中のハロゲン化銀乳剤層に対し、化学的に悪影響を与えないこと、例えば感度変化やカブリ等を与えないこと。
(3)写真感光材料上に有害な着色を残さないために、写真処理過程で完全に脱色されるか、あるいは写真感光材料中から溶出しやすいこと。
【0005】
特に、感光材料の感度の問題は、現像所における露光作業の観点で重要である。感光材料の感度を下げれば、それにつれてセーフライト安全性は向上する。しかし、感度を下げれば、露光に必要な時間が増加することになり、結果的に作業性の低下を来す。従って、望まれる態様は、感光材料が本来必要な波長域の感度を下げずに、セーフライトに対する感度のみを下げることである。
【0006】
これら着色剤の導入方法の一つとして、水溶性の染料を感光性乳剤層、または非感光性水溶性コロイド層に導入する方法がある。この様な方法で用いられる染料の例としては、米国特許第4,078,933号等に記載されたオキソノール染料やその他アゾ染料、アントラキノン染料、アリリーデン染料、スチリル染料、トリアリールメタン染料、メロシアニン染料、シアニン染料等が挙げられる。
【0007】
別の導入方法としては、赤感光性乳剤層の上下に存在する非感光性親水性コロイド層に微粒子のコロイド銀を含有させる方法が知られており、一方、特願2000−364911号では、赤感光性乳剤層の上下に存在する非感光性親水性コロイド層に現像処理時に除去可能な染料の固体微粒子分散物を含有させる方法が提案されている。特に現像処理時に除去可能な染料の固体微粒子分散物を用いる方法は、着色層の色調の制御が可能であり、セーフライト波長域の感度低下と露光に必要な波長域における感度維持の両立がなし得、かつ現像により生成した銀でサウンドトラックを形成する映画用ポジフィルムに適用可能な優れた方法である。
【0008】
一方、取り扱いの簡便化の観点で行われている研究として、上記セーフライト安全性と別の観点で行われている代表的なものは、現像処理の簡易迅速化の研究である。現像処理の迅速化に対し、感光材料からのアプローチとしては種々の方法が提案されているが、主なものは以下の2点に集約できる。
1)現像速度を速くする。
2)不要成分の除去を早くする。
前者の代表的な研究例は、高塩化銀乳剤の開発やカプラーの高活性化などであり、後者においては、漂白・定着速度の向上や、脱色しやすい染料の開発である。
【0009】
しかし、上記セーフライト安全性の為に必要な量の水溶性染料あるいは染料の固体微粒子分散物を添加する場合、写真処理時における染料の溶出速度の低下が避けられず、セーフライト安全性の改良と白地着色の低減の両立は困難であった。従って、より少ない染料の使用で効果の高いサーフライト安全性の改良方法の開発が求められてきた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記の問題点を克服し、取り扱いの簡便なハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供することを目的とする。特に、本発明は感度に負荷をかけずにセーフライト安全性に優れた映画用ハロゲン化銀カラープリント材料を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究の結果、上記課題は下記手段で解決できることを見い出した。特に、セーフライト安全性の改良においてセーフライトと同じ波長域に吸収を有する染料の添加による改良は容易に予想できるが、これに長波長域の染料を併用することで、セーフライト安全性を高められることは予想外の知見である。本発明はこの知見に基づきなされるに到ったものである。
すなわち、
<1> 透過支持体上にイエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層、シアン発色感光性ハロゲン化銀乳剤層およびマゼンタ発色感光性ハロゲン化銀乳剤層の各層を少なくとも一層ずつ有し、かつ、非感光性親水性コロイド層を少なくとも一層有するハロゲン化銀カラー写真感光材料であって、親水性コロイド層中にて570〜610nmの範囲に極大吸収を有し、かつ長波側の半値半幅が40nm以下である水溶性染料と、親水性コロイド層中にて740nm以上に極大吸収を有し、かつ短波側の半値半幅が100nm以下である水溶性染料を含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
<2> 前記親水性コロイド層中にて650〜740nmの範囲に極大吸収を有し、かつ短波側の半値半幅が80nm以内である水溶性染料を含有することを特徴とする<1>に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
<3> 前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料において590nmにおける透過吸収濃度ASと800nmにおける透過吸収濃度AIの関係が下記数式で表されることを特徴とする<1>または<2>に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0012】
【数2】
Figure 2004037534
【0013】
<4> 前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料においてシアン発色感光性ハロゲン化銀乳剤層の分光感度が650〜700nmの範囲に極大値を有することを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料
<5> 前記非感光性親水性コロイド層の少なくとも1層に、下記一般式(I)で表される染料の固体微粒子分散物を含有することを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
一般式(I)
D−(X)
一般式(I)において、Dは発色団を有する化合物残基を表し、Xは解離性水素または解離性水素を有する基を表し、yは1〜7の整数を表す。
<6> 前記染料が下記一般式(II)または(III)で表されることを特徴とする<5>に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
一般式(II)
=L−(L=L−Q
一般式(II)中、Aは酸性核を表し、Qはアリール基又は複素環基を表し、L、L、Lは各々独立にメチン基を表し、mは0、1または2を表す。ただし、一般式(II)で表される化合物は分子内にカルボン酸基を1〜7個有する。
一般式(III)
=L−(L=L−A
一般式(III)中、AおよびAは各々独立に酸性核を表し、L、L、Lは各々独立にメチン基を表し、nは1または2を表す。ただし、一般式(III)で表される化合物は分子内に解離性水素を有する基としてカルボン酸基を1〜7個有する。
<7>前記染料の固体微粒子分散物が40℃以上の熱処理工程を経て調製されたものであることを特徴とする<5>または<6>に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料について詳細に説明する。
本発明は、透過支持体上にイエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層、シアン発色感光性ハロゲン化銀乳剤層およびマゼンタ発色感光性ハロゲン化銀乳剤層の各層を少なくとも一層ずつ有し、かつ、非感光性親水性コロイド層を少なくとも一層有するハロゲン化銀カラー写真感光材料において、親水性コロイド層中にて570〜610nmの範囲に極大吸収を有し、かつ長波側の半値半幅が40nm以下である水溶性染料と、親水性コロイド層中にて740nm以上に極大吸収を有し、かつ短波側の半値半幅が100nm以下である水溶性染料を含有するものである。
まず、本発明で用いられる染料について解説する。
【0015】
本発明に用いられる染料は、上記の要件を満たす染料ならば、いかなる構造を持つ染料でも良い。ただし、感光材料中のハロゲン化銀乳剤層に対し、化学的に悪影響を与えず、写真感光材料上に有害な着色を残さないために、写真処理過程で完全に脱色されるか、あるいは写真感光材料中から溶出しやすいものであることは言うまでもない。染料には有機化合物と無機化合物が含まれるが、上記の観点から有機化合物であることが好ましい。
【0016】
740nm以上に極大吸収を有する染料において、極大吸収波長の位置は740〜1200nmにあることが好ましく、740〜1100nmにあることがより好ましい。このような化合物としては、シアニン化合物、金属キレート化合物、アミニウム化合物、ジイモニウム化合物、キノン化合物、スクアリリウム化合物、メチン化合物が挙げられる。また、色材、61[4]215−226(1988)、および化学工業、43−53(1986年5月)にも記載がある。好ましい化合物としてはジヒドロペリミジンスクアリリウム染料(米国特許第5,380,635号および特開平10−36695号記載)、シアニン染料(特開昭62−123454号、特開平3−138640号、同3−211542号、同3−226736号、同5−313305号、同6−43583号、同9−96891号、欧州特許0430244号記載)、ピリリウム染料(特開平3−138640号、同3−211542号記載)、ジイモニウム染料(特開平3−138640号、同3−211542号記載)、ピラゾロピリドン染料(特開平2−282244号記載)、インドアニリン染料(特開平5−323500号、同5−323501号記載)、ポリメチン染料(特開平3−26765号、同4−190343号、および欧州特許0377961号記載)、オキソノール染料(特開平3−9346号記載)、アントラキノン染料(特開平4−13654号記載)、ナフタロシアニン色素(米国特許第5,009,989号記載)、ナフトラクタム染料(欧州特許568267号)、金属キレート化合物が挙げられ、この中でもシアニン染料、ポリメチン染料、オキソノール染料、アントラキノン染料、金属キレート化合物がより好ましく、シアニン染料、オキソノール染料、アントラキノン染料が特に好ましい。
【0017】
570〜610nmの範囲に極大吸収を持つ染料としては、米国特許第4,078,933号等記載のオキソノール染料やその他アゾ染料、アントラキノン染料、アリリーデン染料、スチリル染料、トリアリールメタン染料、メロシアニン染料、シアニン染料等で極大吸収波長および半値半幅が本発明の範囲に入るものが挙げられる。その中でもアゾ染料、オキソノール染料が好ましく、オキソノール染料、特にピリドンオキソノール染料、バルビツール酸オキソノール染料がより好ましく、特開2000−241936号記載のピリドンオキソノール染料が特に好ましい。
【0018】
650〜740nmの範囲に極大吸収を有する染料としては、前述の570〜600nmの範囲に極大吸収を持つ染料と同様な化合物群から選ばれる染料で吸収極大波長および半値半幅が本発明の範囲に入るものが挙げられる。その中でもアゾ染料、オキソノール染料、アントラキノン染料、金属錯体染料が好ましく、アントラキノン染料、オキソノール染料がより好ましい。
【0019】
染料の親水性コロイド膜中での存在状態としては、希薄溶液状態で測定される吸収波形とほとんど変わらない波形を示す分子分散状態、希薄溶液の結果と異なる吸収波形を与える会合状態などがある。本発明の態様としては本発明の吸収波長を発現する限りにおいて、いかなる状態であってもかまわないが、分子分散状態で存在せしめることが本発明の効果において好ましい。
【0020】
本発明における染料の吸収波形は、石灰処理ゼラチン水溶液に目的とする染料を溶解し、染料が1mあたり30μmol塗布された塗布膜を作製し、この膜をJIS Z 8722号記載の条件fの幾何学的条件を満たす積分球を用いた分光光度計にて吸収波形を測定することにより測定される。
得られた吸収波形の吸収極大の波長をλ、λの濃度の1/2の濃度に相当する短波側での波長をλ、λの濃度の1/2の濃度に相当する長波側での波長をλとし、λ−λを短波側半値半幅、λ−λを長波側半値半幅としてそれぞれ定義する。
【0021】
本発明における染料の吸収波形は、半値半幅が本発明の範囲内であることが必要である。より好ましくは、半値半幅が小さく狭い波長域に吸収を持つ波形である。半値半幅が広く、ブロードな吸収波形を有する染料を用いた場合、その染料の吸収の一部が、露光に必要な感度域に入ることで、必要な感度の低下を来たし、露光作業において不利な感光材料となる。
【0022】
本発明において、同一波長範囲の染料を2種以上併用しても良い。本発明におけるこれら染料は水に溶解して、感光性ハロゲン化銀乳剤層または、非感光性親水性コロイド層の塗布液に添加することが出来る。
【0023】
本発明の染料の添加量は、本発明の効果を奏する任意の添加量で添加することが可能であるが、何れの波長範囲の染料においても、感光材料中での極大波長の吸収濃度が0.05〜2.0の範囲となるように添加することが好ましく、0.1〜1.5の範囲となるように添加することがより好ましく、0.2〜1.0の範囲となるように添加することが特に好ましい。
【0024】
さらに、590nmにおける吸収濃度(以下ASとする)と800nmにおける吸収濃度(以下AIとする)の比率(AI/AS)は任意の値を取れるが、本発明による効果に対する好ましい範囲は、0.3以上である。より好ましくは0.3〜3.0の範囲であり、最も好ましくは0.35〜2.0である。
【0025】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、以下の一般式(I)で表される染料の固体微粒子分散物を含有することが好ましい。
一般式(I)
D−(X)
一般式(I)中、Dは発色団を有する化合物残基を表し、Xは解離性水素原子又は解離性水素原子を有する基を表し、yは1〜7の整数を表す。本発明で好ましく使用される一般式(I)で表される染料は、分子構造中に解離性水素等を有する点に特徴がある。
Dにおける発色団を有する化合物残基は、多くの周知である色素の中から選ぶことができる。具体的には、これらの化合物としては、オキソノール色素、メロシアニン色素、シアニン色素、アリーリデン色素、アゾメチン色素、トリフェニルメタン色素、アゾ色素、アントラキノン色素、インドアニリン色素を挙げることができる。
【0026】
XはDに直接もしくは2価の連結基を介して結合した解離性水素又は解離性水素を有する基を表す。
XとDとの間の2価の連結基は、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロ環残基、−CO−、−SO−(n=0,1,2)、−NR−(Rは水素原子、アルキル基、アリール基を表す)、−O−、及びこれらの連結基を組み合わせた2価の基であり、更にそれらはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホンアミド基等の置換基を有していてもよい。好ましい例として−(CH−(n=1,2,3)、−CHCH(CH)CH−、1,2−フェニレン、5−カルボキシ−1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、6−メトキシ−1,3−フェニレン、−CONHC−等を挙げることができる。
【0027】
Xで表される解離性水素又は解離性水素を有する基は、一般式(I)で表される染料が本発明のハロゲン化銀写真感光材料中に添加された状態では、非解離であって、一般式(I)の染料を実質的に水不溶性にする特性を有し、該感光材料が現像処理される工程では、解離して一般式(I)の化合物を実質的に水可溶性にする特性を有する。Xで表される解離性水素を有する基の例としては、カルボン酸基、スルホンアミド基、スルファモイル基、スルホニルカルバモイル基、アシルスルファモイル基、フェノール性水酸基などを有する基を挙げることができる。Xで表される解離性水素はオキソノール色素のエノール基の水素などを挙げることができる。
【0028】
yの好ましい範囲は1〜5、特に好ましい範囲は1〜3である。
一般式(I)で表される化合物のうち好ましいものは、Xにおける解離性水素を有する基がカルボン酸基を有する基であるものであり、特にカルボキシル基で置換されたアリール基を有する化合物が好ましい。
また一般式(I)で表される化合物のうち、より好ましいものは下記の一般式(II)又は一般式(III)で表される化合物である。
一般式(II)
=L−(L=L−Q
一般式(II)中、Aは酸性核を表し、Qはアリール基又は複素環基を表し、L、L、Lは各々独立にメチン基を表し、mは0、1又は2を表す。但し、一般式(II)で表される化合物は分子内に水溶性基としてカルボン酸基、スルホンアミド基、スルファモイル基、スルホニルカルバモイル基、アシルスルファモイル基、フェノール性水酸基及びオキソノール色素のエノール基からなる群の中より選ばれる基(好ましくはカルボン酸基)を1〜7個有する。
【0029】
一般式(III)
=L−(L=L−A
一般式(III)中、A及びAは各々独立に酸性核を表し、L、L、Lは各々独立にメチン基を表し、nは0、1、2又は3を表す。但し、一般式(III)で表される化合物は分子内に水溶性基としてカルボン酸基、スルホンアミド基、スルファモイル基、スルホニルカルバモイル基、アシルスルファモイル基、フェノール性水酸基及びオキソノール色素のエノール基からなる群の中より選ばれる基(好ましくはカルボン酸基)を1〜7個有する。
【0030】
以下、一般式(II)及び(III)で表される化合物について詳細に説明する。A及びAで表される酸性核は、環状のケトメチレン化合物又は電子吸引性基によって挟まれたメチレン基を有する化合物から誘導されるものが好ましい。環状のケトメチレン化合物の例としては、2−ピラゾリン−5−オン、ロダニン、ヒダントイン、チオヒダントイン、2,4−オキサゾリジンジオン、イソオキサゾロン、バルビツール酸、チオバルビツール酸、インダンジオン、ジオキソピラゾロピリジン、ヒドロキシピリドン、ピラゾリジンジオン、2,5−ジヒドロフランを挙げることができる。これらは置換基を有していてもよい。
【0031】
電子吸引性基によって挟まれたメチレン基を有する化合物は、ZCHと表すことができる。ここにZ及びZはそれぞれ−CN、−SO11、−COR11、−COOR12、−CONHR12、−SONHR12又は−C〔=C(CN)〕R11を表す。R11は、アルキル基、アリール基、又は複素環基を表し、R12は水素原子又はR11で表される基を表し、そしてこれらはそれぞれ置換基を有していてもよい。
【0032】
Qで表されるアリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基を挙げることができる。これらはそれぞれ置換基を有していてもよい。Qで表される複素環基の例としては、ピロール、インドール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、インドリジン、キノリン、カルバゾール、フェノチアジン、フェノキサジン、インドリン、チアゾール、ピリジン、ピリダジン、チアジアジン、ピラン、チオピラン、オキソジアゾール、ベンゾキノリン、チアジアゾール、ピロロチアゾール、ピロロピリダジン、テトラゾール、オキサゾール、クマリン、及びクマロンを挙げることができる。これらはそれぞれ置換基を有していてもよい。
【0033】
、L及びLで表されるメチン基は、置換基を有していてもよく、その置換基同士が連結して5又は6員環(例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン)を形成していてもよい。
【0034】
上述した各基が有していてもよい置換基は、一般式(I)〜(III)の化合物をpH5〜7の水に実質的に溶解させるような置換基でなければ特に制限はない。例えば、以下の置換基を挙げることができる。
【0035】
カルボン酸基、炭素数1〜10のスルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、n−オクタンスルホンアミド)、炭素数0〜10の無置換又はアルキルもしくはアリール置換スルファモイル基(例えば、無置換のスルファモイル、メチルスルファモイル、フェニルスルファモイル、ナフチルスルファモイル、ブチルスルファモイル)、炭素数2〜10のスルホニルカルバモイル基(例えば、メタンスルホニルカルバモイル、プロパンスルホニルカルバモイル、ベンゼンスルホニルカルバモイル)、炭素数1〜l0のアシルスルファモイル基(例えば、アセチルスルファモイル、プロピオニルスルファモイル、ピバロイルスルファモイル、ベンゾイルスルファモイル)、
【0036】
炭素数1〜8の鎖状又は環状のアルキル基(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メトキシエチル、ベンジル、フェネチル、4−カルボキシベンジル、2−ジエチルアミノエチル)、炭素数2〜8のアルケニル基(例えば、ビニル、アリル)、炭素数1〜8のアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ)、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br)、炭素数0〜10のアミノ基(例えば、無置換のアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、カルボキシエチルアミノ)、炭素数2〜10のエステル基(例えば、メトキシカルボニル)、炭素数1〜10のアミド基(例えば、アセチルアミノ、ベンズアミド)、炭素数1〜10のカルバモイル基(例えば、無置換のカルバモイル、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル)、炭素数6〜10のアリール基(例えば、フェニル、ナフチル、ヒドロキシフェニル、4−カルボキシフェニル、3−カルボキシフェニル、3,5−ジカルボキシフェニル、4−メタンスルホンアミドフェニル、4−ブタンスルホンアミドフェニル)、炭素数6〜10のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ、4−カルボキシフェノキシ、3−メチルフェノキシ、ナフトキシ)、
【0037】
炭素数1〜8のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、オクチルチオ)、炭素数6〜10のアリールチオ基(例えば、フェニルチオ、ナフチルチオ)、炭素数1〜10のアシル基(例えば、アセチル、ベンゾイル、プロパノイル)、炭素数1〜10のスルホニル基(例えば、メタンスルホニル、ベンゼンスルホニル)、炭素数1〜10のウレイド基(例えば、ウレイド、メチルウレイド)、炭素数2〜10のウレタン基(例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ)、シアノ基、水酸基、ニトロ基、複素環基(例えば、5−カルボキシベンゾオキサゾール環)、ピリジン環、スルホラン環、ピロール環、ピロリジン環、モルホリン環、ピペラジン環、ピリミジン環、フラン環)などが挙げられる。
【0038】
また一般式(III)で表される化合物のうちより好ましいものは、下記一般式(IV)で表される化合物である。この一般式(IV)で表される化合物は解離性水素としてエノール基の水素を有している。
【0039】
【化1】
Figure 2004037534
【0040】
一般式(IV)中、R21は水素原子、アルキル基、アリール基又は複素環基を表し、R22は水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、−COR24又はSO24を表し、R23は水素原子、シアノ基、水酸基、カルボキシル基、アルキル基、アリール基、−CO24、−OR24、−NR2526、−CONR2526、−NR25COR24、−NR25SO24、又はNR25CONR2526(ここで、R24はアルキル基、又はアリール基を表し、R25、R26は各々独立に水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。)を表す。L、L、Lは各々独立にメチン基を表す。nは1又は2を表す。
【0041】
一般式(IV)において、R21のアルキル基としては炭素数1〜4のアルキル基、2−シアノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、カルボキシベンジル基が挙げられ、アリール基としてはフェニル基、2−メチルフェニル基、2−カルボキシフェニル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、3,6−ジカルボキシフェニル基、2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2−クロロ−4−カルボキシフェニル基、4−メチルスルファモイルフェニル基が挙げられ、複素環基としては、5−カルボキシベンゾオキサゾール−2−イル基が挙げられる。
【0042】
22のアルキル基としては炭素数1〜4のアルキル基、カルボキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−メトキシエチル基が挙げられ、アリール基としては2−カルボキシフェニル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、3,6−ジカルボキシフェニル基が挙げられ、複素環基としてはピリジル基が挙げられ、−COR24としてはアセチル基が挙げられ、−SO24としてはメタンスルホニル基が挙げられる。
【0043】
23、R24、R25、R26のアルキル基としては炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。R23、R24、R25、R26のアリール基としてはフェニル基、メチルフェニル基が挙げられる。
本発明においては、R21がカルボキシル基置換のフェニル基(例えば、2−カルボキシフェニル、3−カルボキシフェニル、4−カルボキシフェニル、3,6−ジカルボキシフェニル)であることが好ましい。
【0044】
以下に、本発明に好ましく用いられる一般式(I)〜(IV)で表される化合物の具体例を記載するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0045】
【化2】
Figure 2004037534
【0046】
【化3】
Figure 2004037534
【0047】
【化4】
Figure 2004037534
【0048】
【化5】
Figure 2004037534
【0049】
【化6】
Figure 2004037534
【0050】
【化7】
Figure 2004037534
【0051】
【化8】
Figure 2004037534
【0052】
【化9】
Figure 2004037534
【0053】
【化10】
Figure 2004037534
【0054】
【化11】
Figure 2004037534
【0055】
【化12】
Figure 2004037534
【0056】
【化13】
Figure 2004037534
【0057】
【化14】
Figure 2004037534
【0058】
【化15】
Figure 2004037534
【0059】
【表1】
Figure 2004037534
【0060】
【表2】
Figure 2004037534
【0061】
【表3】
Figure 2004037534
【0062】
【表4】
Figure 2004037534
【0063】
【表5】
Figure 2004037534
【0064】
【表6】
Figure 2004037534
【0065】
【表7】
Figure 2004037534
【0066】
本発明に用いられる染料は、国際公開WO88/04794号、欧州公開特許第274,723A1号、同第276,566号、同第299,435号、特開昭52−92716号、同55−155350号、同55−155351号、同61−205934号、同48−68623号、米国特許第2,527,583号、同第3,486,897号、同第3,746,539号、同第3,933,798号、同第4,130,429号、同第4,040,841号、特開平3−282244号、同3−7931号、同3−167546号等の明細書あるいは公報に記載されている方法又はその方法に準じて合成できる。
【0067】
本発明で用いられる、染料の固体微粒子分散物は、常法により調製できる。製造法の詳細は、機能性顔料応用技術(シーエムシー刊、1991年)などに記載されている。
メディア分散は一般的な方法の一つである。この方法では染料粉末又はそのウエットケーキと呼ばれる水や有機溶媒で湿った状態の染料を、水性スラリーにし、任意の粉砕機(例えばボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、縦型サンドミル、ローラーミル、ピンミル、コボールミル、キャディーミル、横型サンドミル、アトライター等)を用いて、分散メディア(スチールボール、セラミックボール、ガラスビーズ、アルミナビーズ、ジルコニアシリケートビーズ、ジルコニアビーズ、オタワサンドなど)の存在下で機械力によって粉砕する。これらのうち、ビーズの平均直径は好ましくは2〜0.3mm、より好ましくは1〜0.3mm、更に好ましくは0.5〜0.3mmのものが用いられる。これらの他にジェットミル、ロールミル、ホモジナイザー、コロイドミルやデゾルバーによって粉砕する方法や、超音波分散機による粉砕方法も用いることができる。
【0068】
また米国特許第2,870,012号に開示されているように、均一溶液に溶解した後、貧溶媒を加えて固体微粒子を析出させたり、例えば特開平3−182743号に開示されているように、アルカリ溶液に溶解した後pHを下げることで、固体微粒子を析出させる方法も用いることができる。
【0069】
これらの固体微粒子分散物を調製するときは、分散助剤を存在させるのが好ましい。従来より開示されてきた分散助剤としては、アルキルフェノキシエトキシスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナトリウムオレイルメチルタウライド、ナフタレンスルホン酸のホルムアルデヒド縮重物、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、マレイン酸アクリル酸共重合物、カルボキシメチルセルロース、硫酸セルロース等のアニオン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのノニオン系分散剤、カチオン系分散剤やベタイン系分散剤が挙げられるが、下記一般式(V−a)又は(V−b)で表されるポリアルキレンオキサイドを用いることが特に好ましい。
【0070】
【化16】
Figure 2004037534
【0071】
一般式(V−a)及び(V−b)中、a及びbはそれぞれ5〜500の値を示す。好ましいaとbの値はそれぞれ10〜200、より好ましいaとbの値はそれぞれ50〜150である。aとbの値がこの範囲であると塗布面の均一性良化の点で好ましい。
【0072】
上記分散助剤において、ポリエチレンオキサイド部の比率は質量比で好ましくは0.3〜0.9、より好ましくは0.7〜0.9、更に好ましくは0.8〜0.9であり、また、上記分散助剤の平均分子量は好ましくは1,000〜30,000、より好ましくは5,000〜40,000、更に好ましくは8,000〜20,000である。更に、上記分散助剤のHLB(親水性親油性バランス)としては、好ましくは7〜30、より好ましくは12〜30、更に好ましくは18〜30である。数値がこの範囲であると塗布面の均一性良化の点で好ましい。
【0073】
これらの化合物は市販品として入手可能であり、たとえばBASF社のPluronic(商品名)等がある。
【0074】
以下に本発明に用いられる一般式(V−a)又は(V−b)で表される化合物の具体例を記載する。
【0075】
【表8】
Figure 2004037534
【0076】
【表9】
Figure 2004037534
【0077】
本発明において、好ましく用いられる染料に対する上記分散助剤の使用量としては、質量比で好ましくは0.05〜0.5、より好ましくは0.1〜0.3である。分散助剤の使用量がこの範囲であると塗布面の均一性良化の点で好ましい。
また固体微粒子分散物の調製時に分散物の安定化や低粘度化の目的でポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、多糖類、ゼラチンなどの親水性コロイドを共存させることもできる。本発明においては後述する一般式(VI)で表される化合物を共存させることが特に好ましい。
【0078】
本発明で好ましく用いられる染料の固体微粒子分散物は、好ましくは、特開平5−216166号公報に開示されているような方法で、分散前、分散中又は分散後に加熱処理される。
【0079】
本発明による染料は感光材料中に組み込む前に40℃以上(好ましくは60℃以上)の熱処理を行うことにより、本発明の効果を得るのに好ましい。本発明において、染料分散物に好ましく適用される熱処理としては、染料粉体を溶媒中で加熱するなど固体状に微分散する工程の前に行う方法と、染料を分散剤の存在下で水あるいは他の溶媒中に分散する際冷却せず、あるいは温度をかけて分散を行う方法、及び分散後の液や塗布液を加熱処理する方法とがあるが、分散後に行うのが特に好ましい。
【0080】
一般式(I)の染料を含有する固体微粒子分散物が、特定の層に複数種用いられているときは少なくとも1種が熱処理されていればよい。
【0081】
分散時及び分散後熱処理中のpHは分散物が安定に存在する条件であればよく、好ましくはpH2.0以上8.0以下、より好ましくは2.0以上6.5以下、更に好ましくは2.5以上4.5未満である。熱処理中のpHがこの範囲であると塗布物の膜強度改良の点で好ましい。
分散物のpH調整は、例えば硫酸、塩酸、酢酸、クエン酸、リン酸、しゅう酸、炭酸、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムやそれらからなる緩衝液を用いることができる。
【0082】
熱処理をする温度としては熱処理をする工程、粉体ないし粒子の大きさ形状、熱処理条件、溶媒などによって異なるので一概には云えず40℃以上で染料が分解しない範囲であれば何度でもよいが、粉体で熱処理する場合には40〜200℃が適当であり、好ましくは50〜150℃が適当であり、溶媒中で熱処理する場合には40〜150℃、好ましくは50〜150℃、分散中に熱処理する場合には40〜90℃が適当であり、好ましくは50〜90℃、分散後の分散液を熱処理する場合には40〜100℃が適当であり、好ましくは50〜95℃、さらに好ましくは60〜95℃、特に好ましくは70〜95℃である。熱処理の温度が40℃より低いと効果が乏しく好ましくない。
【0083】
熱処理が溶媒中で行われる場合、その溶媒の種類としては、染料を実質的に溶解しないものであれば制限はなく、例えば水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソアミルアミルコール、オクタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、エチルセロソルブ)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル)、アルキルカルボン酸類(例えば、酢酸、プロピオン酸)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル)、エーテル類(例えば、ジメトキシエタン、ジオキサン、テトラヒドロフラン)、アミド類(例えば、ジメチルホルムアミド)等を挙げることができる。
【0084】
また、これらの溶媒単独では染料が溶解してしまう場合でも、水や他の溶媒と混合したり、pHを調節することで染料が実質溶解しなければ使用することができる。
【0085】
熱処理する時間についても一概には云えず、温度が低ければ長時間を要し、高ければ短時間で済む。製造工程上影響のない範囲内で熱処理が実現できるように任意に設定することができるが、通常1時間〜4日であることが好ましい。
【0086】
写真感光材料に染料の微粒子を含有してなる層を設けるには、このようにして得た微粒子を適当なバインダー中に分散させることによってほぼ均一な粒子の固体分散物として調製した後、これを所望の支持体上に塗設することによって設けることが出来る。
上記バインダーは感光性乳剤層や、非感光性層に用いることができる親水性のコロイドであれば特に制限はないが、通常ゼラチン又はポリビニルアルコールやポリアクリルアミド等の合成ポリマーが用いられる。
【0087】
固体分散物中の微粒子は、平均粒子径0.005〜10μm、好ましくは0.01〜1μm、より好ましくは0.01〜0.7μmであることが好ましい。この範囲であると微粒子の非凝集性、光の吸収効率の点で好ましい。本発明で好ましく用いられる一般式(I)の染料の固体微粒子分散物は、単独又は複数の固体微粒子分散物と併用して使用することができる。
【0088】
さらに、固体微粒子を添加する親水性コロイド層はただ一層でもよいし、複数層であってもよい。例えば、単独の固体微粒子分散物をただ一層に添加する場合、複数層に分割して添加する場合、複数の固体微粒子分散物をただ一層に同時に添加する場合、それぞれ別層に添加する場合などが例として挙げられるが、上記に限られるものではない。
【0089】
さらに、固体微粒子分散物は、アンチハレーション層として必要な量を組み込まれたうえ、イラジエーション防止用に感光性ハロゲン化銀乳剤層に必要量を添加されることもできる。
本発明で好ましく用いられる一般式(I)で表される染料の固体微粒子分散物を含有する親水性コロイド層は、支持体とこれに最も近いハロゲン化銀乳剤層の間に設けられることが好ましい。ここで、支持体とこれに最も近いハロゲン化銀乳剤層の間には、固体微粒子分散物を含有する親水性コロイド層以外の他の非感光性親水性コロイド層を有していてもよい。
【0090】
本発明で好ましく用いられる染料の固体微粒子分散物は、ハロゲン化銀写真感光材料において、染料の色相に応じて非感光性親水性コロイド層に含有されるが、該非感光性層が複数層設けられている態様の感光材料においては、これらの複数層に含有させることもできる。
本発明の好ましく用いられる固体微粒子分散物中の染料濃度は0.1〜50質量%が適当であり、好ましくは2〜30質量%である。染料濃度がこの範囲であると分散物の粘度の点で好ましい。また、固体微粒子染料の好ましい塗布量は、約0.05〜0.5g/mである。
【0091】
本発明においては、固体微粒子分散物とともに下記一般式(VI)で表される化合物を同一写真構成層に含有することが好ましい。
一般式(VI)
P−((S)−R)
一般式(VI)中、Rは水素原子、疎水性基又は疎水性重合体を表し、Pは下記構層単位A、B及びCのうちの少なくとも1つを含み、Pの重合度が10以上3500以下の重合体を表す。nは1又は2を表す。mは1又は0を表す。
【0092】
【化17】
Figure 2004037534
【0093】
ここで、R31は−H又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、R32は−H又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、R33は−H又は−CHを表し、R34はH、−CH、−CHCOOH(アンモニウム基又は金属塩を含む)又は−CNを表し、Xは−H、−COOH(アンモニウム基又は金属塩を含む)又は−CONHを表し、Yは−COOH(アンモニウム基又は金属塩を含む)、−SOH(アンモニウム基又は金属塩を含む)、−OSOH(アンモニウム基又は金属塩を含む)、−CHSOH(アンモニウム基又は金属塩を含む)、−CONHC(CHCHSOH(アンモニウム基又は金属塩を含む)又は−CONHCHCHCH(CHClを表す。
【0094】
本発明で好ましく使用される一般式(VI)で表される化合物の詳細(具体的な説明、好ましい限定、例示化合物、使用量、合成法等)は特開平11−95371号公報の24頁46欄27行目〜33頁63欄2行目(段落番号0090〜0128)に記載されており、本発明の明細書の一部として取り込まれる。
【0095】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、通常行われている現像処理によって処理される。
特に、映画用のハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理において、映画用ポジ感光材料は、従来より用いられてきた下記処理工程で処理できる。また、本発明の映画用ポジ感光材料の場合は、レジンバック層除去のための、(1)プレバス浴及び(2)水洗浴の各工程を削減できる。また、このような短縮された処理工程は処理簡易化に好ましい。
また、サウンドトラックを色素画像で形成する場合、(6)第一定着浴(7)水洗浴(11)サウンド現像及び(12)水洗、の各工程を削除でき、処理簡略化に極めて好ましい態様となる。本発明のハロゲン化銀感光材料は、このような処理工程においても、優れた性能を発現できる。
【0096】
従来の映画用ポジ感光材料の標準的な処理工程(乾燥以外)
(1)プレバス浴
(2)水洗浴
(3)発色現像浴
(4)停止浴
(5)水洗浴
(6)第一定着浴
(7)水洗浴
(8)漂白促進浴
(9)漂白浴
(10)水洗浴
(11)サウンド現像(塗り付け現像)
(12)水洗
(13)第二定着浴
(14)水洗浴
(15)安定浴
【0097】
本発明においては、上記処理工程のうち、発色現像時間(上記の(3)の工程)が2分30秒以下(下限は6秒以上が好ましく、より好ましくは10秒以上、さらに好ましくは20秒以上、最も好ましくは30秒以上)、より好ましくは2分以下(下限は2分30秒と同じ)である場合に、本発明の効果が著しく、好ましい。
【0098】
次に本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料の写真層等について記載する。本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、透過型支持体を有するハロゲン化銀カラー写真感光材料であり、該支持体上に、実質的に感色性の異なる複数のハロゲン化銀乳剤層から成る感光性層を少なくとも1つ有するハロゲン化銀カラー写真感光材料である。本発明はカラーポジフィルム、映画用ポジフィルムなど一般用、映画用カラー写真感光材料に適用することができる。
特に映画用カラーポジ感光材料に適用するのが好ましい。
【0099】
本発明において、感光性ハロゲン化銀乳剤層及び非感光性親水性コロイド層の層数及び層順に特に制限はない。イエロー、シアン、マゼンタの各発色性感光性ハロゲン化銀乳剤層は、一つの感光性ハロゲン化銀乳剤層からなっていても、感色性が同じで感度の異なる複数のハロゲン化銀乳剤層からなっていてもよい。
【0100】
各発色性感光性ハロゲン化銀乳剤層の発色性と感色性との間にも制限はなく、例えば、ある発色性感光性ハロゲン化銀乳剤層が赤外域に感色性を有していてもかまわない。
典型的な層順の例としては、支持体から順に本発明の染料の固体微粒子分散物を含有する非感光性親水性コロイド層、イエロー発色性感光性ハロゲン化銀乳剤層、非感光性親水性コロイド層(混色防止層)、シアン発色性感光性ハロゲン化銀乳剤層、非感光性親水性コロイド層(混色防止層)、マゼンタ発色性感光性ハロゲン化銀乳剤層、非感光性親水性コロイド層(保護層)である。しかし、目的に応じて、上記設置順を変更しても、感光性ハロゲン化銀乳剤層又は非感光性親水性コロイド層の数を増減させてもかまわない。
【0101】
本発明において、親水性コロイドとしてはゼラチンが好ましく用いられる。必要に応じて他の親水性コロイドを任意の比率でゼラチンに代えて用いることもできる。これらの例としては、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他のポリマーのグラフト重合体、アルブミンあるいはカゼイン等のタンパク質、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及び硫酸セルロース等)、アルギン酸ナトリウム及びデンプン誘導体等の糖類、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールの部分アセタール体、ポリ(N−ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾールあるいはポリビニルピラゾール等の広範囲な合成ポリマー等を挙げることができる。
【0102】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子としては、塩化銀、臭化銀、(沃)塩臭化銀、沃臭化銀等がある。特に、本発明においては現像処理時間を速めるために、塩化銀含有率95モル%以上の塩化銀、塩臭化銀、塩沃化銀、塩沃臭化銀を好ましく用いることができる。この乳剤中のハロゲン化銀粒子は、立方体、八面体、十四面体のような規則的な結晶を有するもの、球状、板状のような変則的な結晶系を有するもの、双晶面等の結晶欠陥を有するもの、あるいはその複合系でもよい。また、主平面が(111)面又は(100)面である平板粒子を用いると、発色現像の迅速化、処理混色の低減などの点で好ましい。主平面が(111)面又は(100)面である平板状高塩化銀乳剤粒子については、特開平6−138619号、米国特許第4,399,215号、同5,061,617号、同5,320,938号、同5,264,337号、同5,292,632号、同5,314,798号、同5,413,904号、国際公開WO94/22051号等に開示されている方法にて調製することができる。
【0103】
本発明において併用できるハロゲン化銀乳剤としては、任意のハロゲン組成のハロゲン化銀乳剤を用いてもよいが、迅速処理性の観点から、塩化銀含有率が95モル%以上の塩(沃)化銀、塩(沃)臭化銀が好ましく、さらには本発明の乳剤と同じく塩化銀含有率が98モル%以上のハロゲン化銀乳剤が好ましい。
【0104】
写真乳剤中のハロゲン化銀粒子は、本発明の乳剤と同様に立方体、八面体、十四面体のような規則的な結晶形を有するもの、双晶面などの結晶欠陥を有するもの、あるいはそれらの複合形でもよい。
ハロゲン化銀の粒径は、約0.2μm以下の微粒子でも投影面積直径が約10μmに至るまでの大サイズ粒子でもよく、多分散乳剤でも単分散乳剤でもよいが、本発明のハロゲン化銀粒子は、現像進行を速くする目的で、単分散であることが好ましく、各ハロゲン化銀粒子の粒子サイズの変動係数が0.3以下(好ましくは、0.3〜0.05)が好ましく、さらに好ましくは、0.25以下(好ましくは、0.25〜0.05)である。ここでいう変動係数とは、統計上の標準偏差値(s)と平均粒子サイズ(d)との比(s/d)で表される。
【0105】
本発明に使用できるハロゲン化銀写真乳剤は、例えばリサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)No.17643(1978年12月), 22〜23頁、“I.乳剤製造(Emulsion preparation and types)”、及び同No.18716(1979年11月), 648頁、同No.307105(1989年11月),863〜865頁、及びグラフキデ著「写真の物理と化学」、ポールモンテル社刊(P. Glafkides,Chemie et Phisique Photographique, Paul Montel, 1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」、フォーカルプレス社刊(G.F. Duffin, Photographic Emulsion Chemistry, Focal Press, 1966)、ゼリクマンら著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V.L. Zelikman, et al., Making and Coating Photographic Emulsion, Focal Press, 1964)などに記載された方法を用いて調製することができる。
【0106】
米国特許第3,574,628号、同第3,655,394号、及び英国特許第1,413,748号に記載された単分散乳剤も好ましい。
また、アスペクト比が約3以上であるような平板状粒子も本発明に使用できる。平板状粒子は、ガトフ著、フォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Gutoff, Photographic Science and Engineering)、第14巻248〜257頁(1970年);米国特許第4,434,226号、同第4,414,310号、同第4,433,048号、同第4,439,520号及び英国特許第2,112,157号に記載の方法により簡単に調製することができる。
【0107】
結晶構造は一様なものでも、内部と外部とが異質なハロゲン組成からなるものでもよく、層状構造をなしていてもよい。エピタキシャル接合によって組成の異なるハロゲン化銀が接合されていてもよく、例えばロダン銀、酸化鉛などのハロゲン化銀以外の化合物と接合されていてもよい。また種々の結晶形粒子の混合物を用いてもよい。
【0108】
上記の乳剤は潜像を主として表面に形成する表面潜像型でも、粒子内部に形成する内部潜像型でも表面と内部のいずれにも潜像を有する型のいずれでもよいが、ネガ型の乳剤であることが必要である。内部潜像型のうち、特開昭63−264740号公報に記載のコア/シェル型内部潜像型乳剤であってもよく、この調製方法は特開昭59−133542号公報に記載されている。この乳剤のシェルの厚みは現像処理等によって異なるが、3〜40nmが好ましく、5〜20nmが特に好ましい。
【0109】
ハロゲン化銀乳剤は、通常、物理熟成、化学熟成及び分光増感を行ったものを使用する。このような工程で使用される添加剤はRDNo.17643、同No.18716及び同No.307105に記載されており、その該当箇所を後掲の表にまとめた。
本発明の感光材料には、感光性ハロゲン化銀乳剤の粒子サイズ、粒子サイズ分布、ハロゲン組成、粒子の形状、感度の少なくとも1つの特性の異なる2種類以上の乳剤を、同一層中に混合して使用することができる。
【0110】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料における塗布銀量としては、6.0g/m以下が好ましく、4.5g/m以下がより好ましく、2.0g/m以下が最も好ましい。なお、塗布銀量は0.01g/m以上、好ましくは0.02g/m以上、さらに好ましくは0.5g/m以上使用される。
【0111】
支持体上に設けられた感光性ハロゲン化銀乳剤層や非感光性親水性コロイド層(中間層や保護層など)からなる写真構成層中のいずれかの層、好ましくはハロゲン化銀乳剤層に、1−アリール−5−メルカプトテトラゾール化合物をハロゲン化銀1モル当たり1.0×10−5〜5.0×10−2モル添加することが好ましく、さらには1.0×10−4〜1.0×10−2モル添加することが好ましい。この範囲で添加することによって、連続処理後の処理済みカラー写真表面への汚れをいっそう少なくすることができる。
【0112】
このような1−アリール−5−メルカプトテトラゾール化合物としては、1位のアリール基が無置換又は置換フェニル基であるものが好ましく、この置換基の好ましい具体例としてはアシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ、−NHCOC11(n)など)、ウレイド基(例えば、メチルウレイドなど)、アルコキシ基(例えばメトキシなど)、カルボン酸基、アミノ基、スルファモイル基などであって、これらの基はフェニル基に複数個(2〜3個など)結合していてもよい。また、これの置換基の位置はメタ又はパラ位が好ましい。
これらの具体例としては、1−(m−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールや1−(m−アセチルアミノフェニル)−5−メルカプトテトラゾールが挙げられる。
【0113】
本発明に使用または併用できる写真用添加剤は以下のリサーチディスクロジャー誌(RD)に記載されており、下記の表に関連する記載箇所を示した。
Figure 2004037534
【0114】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料には、種々の色素形成カプラーを使用することができるが、以下の色素形成カプラーが特に好ましい。
イエローカプラー:欧州特許EP502,424A号の式(I),(II)で表されるカプラー;欧州特許EP513,496A号の式(1),(2)で表されるカプラー(特に18頁のY−28);特開平5−307248号公報の請求項1の一般式(I)で表されるカプラー;米国特許第5,066,576号のカラム1の45〜55行の一般式(I)で表されるカプラー;特開平4−274425号公報の段落0008の一般式(I)で表されるカプラー;欧州特許EP498,381A1号の40頁のクレーム1に記載のカプラー(特に18頁のD−35);欧州特許EP447,969A1号の4頁の式(Y)で表されるカプラー(特にY−1(17頁),Y−54(41頁));米国特許4,476,219号のカラム7の36〜58行の式(II)〜(IV)で表されるカプラー(特にII−17, 19(カラム17), II−24(カラム19))。
【0115】
マゼンタカプラー;特開平3−39737号(L−57(11頁右下), L−68(12頁右下), L−77(13頁右下));欧州特許EP456,257号のA−4−63(134頁), A−4−73, −75(139頁);欧州特許EP486,965号のM−4, −6(26頁), M−7(27頁);特開平6−43611号の段落0024のM−45, 特開平5−204106号の段落0036のM−1;特開平4−362631号の段落0237のM−22。
シアンカプラー:特開平4−204843号のCX−1, 3, 4, 5, 11, 12, 14, 15(14〜16頁);特開平4−43345号のC−7, 10(35頁), 34, 35(37頁), (I−1), (I−17)(42〜43頁);特開平6−67385号の請求項1の一般式(Ia)又は(Ib)で表されるカプラー。ポリマーカプラー:特開平2−44345号のP−1, P−5(11頁)。
サウンドトラック形成用赤外カプラー:特開昭63−143546号及び該公報に引用されている公報に記載のカプラー。
【0116】
発色色素が適度な拡散性を有するカプラーとしては、米国特許第4,366,237号、独国特許GB2,125570号、欧州特許EP96,873B号、独国特許DE3,234,533号に記載のものが好ましい。
発色色素の不要吸収を捕正するためのカプラーは、欧州特許EP456,257A1号の5頁に記載の式(CI), (CII), (CIII), (CIV)で表されるイエローカラードシアンカプラー(特に84頁のYC−86)、該欧州特許公報に記載のイエローカラードマゼンタカプラーExM−7(202頁、EX−1(249頁)、EX−7(251頁)、米国特許第4,833,069号に記載のマゼンタカラードシアンカプラーCC−9(カラム8)、CC−13(カラム10)、US4,837,136の(2)(カラム8)、国際公開WO92/11575のクレーム1の式〔C−1〕で表される無色のマスキングカプラー(特に36〜45頁の例示化合物)が好ましい。
【0117】
現像主薬酸化体と反応して写真的に有用な化合物残基を放出する化合物(色素形成カプラーを含む)としては、以下のものが挙げられる。現像抑制剤放出化合物:欧州特許EP378,236A1号の11頁に記載の式(I),(II),(III),(IV)のいずれかで表される化合物(特にT−101(30頁), T−104(31頁), T−113(36頁), T−131(45頁), T−144(51頁),T−158(58頁)),欧州特許EP436,938A2号の7頁に記載の式(I)で表される化合物(特にD−49(51頁))、特開平5−307248号の式(1)で表される化合物(特に段落0027の(23))、欧州特許EP440,195A2号の5〜6頁に記載の式(I),(II),(III)のいずれかで表される化合物(特に29頁のI−(1));漂白促進剤放出化合物:欧州特許EP310,125A2号の5頁の式(I),(I’)で表される化合物(特に61頁の(60),(61))及び特開平6−59411号の請求項1の式(I)で表される化合物(特に段落0022の(7));リガンド放出化合物:米国特許第4,555,478号のクレーム1に記載のLIG−Xで表される化合物(特にカラム12の21〜41行目の化合物);ロイコ色素放出化合物;米国特許第4,749,641号のカラム3〜8の化合物1〜6;蛍光色素放出化合物:米国特許第4,774,181号のクレーム1のCOUP−DYEで表される化合物(特にカラム7〜10の化合物1〜11);現像促進剤又はカブラセ剤放出化合物:米国特許第4,656,123号のカラム3の式(1)、(2)、(3)で表される化合物(特にカラム25の(I−22))及び欧州特許EP450,637A2号の75頁36〜38行目のExZK−2;離脱して初めて色素となる基を放出する化合物:米国特許第4,857,447号のクレーム1の式(I)で表わされる化合物(特にカラム25〜36のY−1〜Y−19)。
【0118】
色素形成カプラー以外の添加剤としては、以下のものが好ましい。
油溶性有機化合物の分散媒:特開昭62−215272号のP−3, 5, 16, 19, 25, 30, 42, 49, 54, 55, 66, 81, 85, 86, 93 (140〜144頁);油溶性有機化合物の含浸用ラテックス:米国特許第4,199,363号に記載のラテックス;現像主薬酸化体スカベンジャー:米国特許第4,978,606号のカラム2の54〜62行の式(I)で表される化合物(特にI−(1),(2),(6),(12)(カラム4〜5)、米国特許第4,923,787号のカラム2の5〜10行の式(特に化合物1(カラム3);ステイン防止剤:欧州特許EP298321A号の4頁30〜33行の式(I)〜(III),特にI−47, 72, III−1, 27 (24〜48頁);褪色防止剤:欧州特許EP298321A号のA−6, 7, 20, 21, 23, 24, 25, 26, 30, 37, 40, 42, 48, 63, 90, 92, 94, 164(69〜118頁), 米国特許第5,122,444号のカラム25〜38のII−1〜III−23, 特にIII−10, 欧州特許EP471347A号の8〜12頁のI−1〜III−4,特にII−2, 米国特許第5,139,931号のカラム32〜40のA−1〜48, 特にA−39, 42;発色増強剤又は混色防止剤の使用量を低減させる素材:欧州特許EP411324A号の5〜24頁のI−1〜II−15,特にI−46;ホルマリンスカベンジャー:欧州特許EP477932A号の24〜29頁のSCV−1〜28, 特にSCV−8;
【0119】
硬膜剤:特開平1−214845号の17頁のH−1, 4, 6, 8, 14, 米国特許第4,618,573号のカラム13〜23の式(VII)〜(XII)で表される化合物(H−1〜54),特開平2−214852号の8頁右下の式(6)で表される化合物(H−1〜76),特にH−14, 米国特許第3,325,287号のクレーム1に記載の化合物;現像抑制剤プレカーサー:特開昭62−168139号のP−24, 37, 39(6〜7頁);米国特許第5,019,492号のクレーム1に記載の化合物, 特にカラム7の28〜29;防腐剤、防黴剤:米国特許第4,923,790号のカラム3〜15のI−1〜III−43, 特にII−1, 9, 10,18, III−25;安定剤、かぶり防止剤:米国特許第4,923,793号のカラム6〜16のI−1〜(14), 特にI−1, 60, (2),(13), 米国特許第4,952,483号のカラム25〜32の化合物1〜65, 特に36:化学増感剤:トリフェニルホスフィンセレニド, 特開平5−40324号の化合物50;併用し得る染料:特開平3−156450号の15〜18頁のa−1〜b−20, 特にa−1, 12, 18, 27, 35, 36, b−5, 27〜29頁のV−1〜23, 特にV−1, 欧州特許EP445627A号の33〜55頁のF−I−1〜F−II−43,特にF−I−11, F−II−8, 欧州特許EP457153A号の17〜28頁のIII−1〜36, 特にIII−1, 3, 国際公開WO88/04794の8〜26のDye−1〜124の微結晶分散体, 欧州特許EP319999A号の6〜11頁の化合物1〜22, 特に化合物1, 欧州特許EP519306A号の式(1)〜(3)で表される化合物D−1〜87(3〜28頁), 米国特許第4,268,622号の式(I)で表される化合物1〜22(カラム3〜10), 米国特許第4,923,788号の式(I)で表される化合物(1)〜(31)(カラム2〜9);UV吸収剤:特開昭46−3335号の式(1)で表される化合物(18b)〜(18r), 101〜427(6〜9頁), 欧州特許EP520938A号の式(I)で表される化合物(3)〜(66)(10〜44頁)及び式(III)で表される化合物HBT−1〜HBT−10(14頁), 欧州特許EP521823号の式(1)で表される化合物(1)〜(31)(カラム2〜9)。
【0120】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料は乳剤層を有する側の支持体から最も離れた層、または乳剤層を有しない側の支持体から最も離れた層、若しくはその両方に、フッ素原子を含む化合物を好ましく用いることができる。なかでも、特願2001−308855号に記載の化合物を用いることが好ましい。
【0121】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、乳剤層を有する側の全親水性コロイド層において、膜厚の総和が28μm以下であることが好ましく、23μm以下がより好ましく、18μm以下がさらに好ましく、16μm以下が特に好ましい。
なお、該膜厚の総和は、0.1μm以上であり、好ましくは1μm以上、更に好ましくは5μm以上である。
また、膜膨潤速度T1/2は、60秒以下が好ましく、30秒以下がより好ましい。T1/2は、発色現像液で35℃、3分処理した時に到達する最大膨潤膜厚の90%を飽和膜厚としたとき、その膜厚が1/2に到達するまでの時間と定義する。膜厚は、25℃相対湿度55%調湿下(2日)で測定した膜厚を意味し、T1/2は、エー・グリーン(A.Green)らのフォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング (Photogr. Sci. Eng), 19巻、2, 124〜129頁に記載の型のスエロメーター(膨潤計)を使用することにより測定できる。T1/2は、バインダーとしてのゼラチンに硬膜剤を加えること、あるいは塗布後の経時条件を変えることによって調整することができる。
【0122】
また、膨潤率は、180〜280%が好ましく、200〜250%がより好ましい。
ここで、膨潤率とは、本発明のハロゲン化銀写真感光材料を35℃の蒸留水に浸し、膨潤させたときの平衡膨潤量を表す尺度であり、
膨潤率(単位:%)=膨潤時の全膜厚/乾燥時の全膜厚×100
と定義される。
前記膨潤率は、ゼラチン硬化剤の添加量を調節することにより上記範囲とすることができる。
【0123】
以下、支持体について説明する。
本発明においては、透明支持体が好ましく、プラスチックフィルム支持体がより好ましい。
前記プラスチックフィルム支持体としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンのフィルムが挙げられる。
【0124】
これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく、特に2軸延伸、熱固定されたポリエチレンテレフタレートフィルムが、安定性、強靱さなどの点からも特に好ましい。
【0125】
前記支持体の厚みとしては、特に制限はないが、15〜500μmが一般的で、特に40〜200μmが取扱易さ、汎用性などの点から有利なため好ましく、85〜150μmが最も好ましい。
透過型支持体とは、好ましくは可視光が90%以上透過するものを意味し、光の透過を実質的に妨げない量であれば染料化ケイ素、アルミナゾル、クロム塩、ジルコニウム塩などを含有していてもよい。
【0126】
上記プラスチックフィルム支持体の表面に、感光層を強固に接着させるために、一般に下記の表面処理が行なわれる。帯電防止層(バック層)が形成される側の表面も、一般に同様な表面処理が行なわれる。
(1)薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、オゾン酸素処理、などの表面活性処理したのち直接に写真乳剤(感光層形成用塗布液)を塗布して接着力を得る方法と、
(2)一旦これらの表面処理した後、下塗層を設けこの上に写真乳剤層を塗布する方法との二法がある。
【0127】
これらのうち(2)の方法がより有効であり、広く行われている。これらの表面処理は、いずれも、本来は疎水性であった支持体表面に、多少とも極性基を形成させること、表面の接着に対してマイナスの要因になる薄層を除去すること、表面の架橋密度を増加させ接着力を増加させるものと思われ、その結果として下塗層用溶液中に含有される成分の極性基との親和力が増加することや、接着表面の堅牢度が増加すること等により、下塗層と支持体表面との接着性が向上すると考えられる。
【0128】
上記プラスチックフィルム支持体上の感光層が設けられない側の表面には、導電性金属酸化物粒子を含有する非感光性層が設けられることが好ましい。
上記非感光性層のバインダーとしては、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリエステル樹脂が好ましく使用される。本発明の非感光性層は硬膜されているのが好ましく、硬膜剤としては、アジリジン系、トリアジン系、ビニルスルホン系、アルデヒド系、シアノアクリレート系、ペプチド系、エポキシ系、メラミン系などが用いられるが、導電性金属酸化物粒子を強固に固定する観点からは、メラミン系化合物が特に好ましい。
【0129】
導電性金属酸化物粒子の材料としては、ZnO、TiO、SnO、Al、In、MgO、BaO、MoO及びV及びこれらの複合酸化物、そしてこれらの金属酸化物に更に異種原子を含む金属酸化物を挙げることができる。
【0130】
金属酸化物としては、SnO、ZnO、Al、TiO、In、MgO、及びVが好ましく、さらにSnO、ZnO、In、TiO及びVが好ましく、SnO及びVが特に好ましい。異種原子を少量含む例としては、ZnOに対してAlあるいはIn、TiOに対してNbあるいはTa、Inに対してSn、及びSnOに対してSb、Nbあるいはハロゲン元素などの異種元素を0.01〜30モル%(好ましくは0.1〜10モル%)ドープしたものを挙げることができる。異種元素の添加量が、0.01モル%未満の場合は酸化物又は複合酸化物に充分な導電性を付与することができず、30モル%を超えると粒子の黒化度が増し、帯電防止層が黒ずむため感光材料用としては適さない。従って、導電性金属酸化物粒子の材料としては、金属酸化物又は複合金属酸化物に対し異種元素を少量含むものが好ましい。また結晶構造中に酸素欠陥を含むものも好ましい。
【0131】
導電性金属酸化物粒子は、非感光性層全体に対し、体積比率が50%以下である必要があるが、好ましくは3〜30%である。塗設量としては特開平10−62905号に記載の条件に従うことが好ましい。
体積比率が50%を超えると処理済カラー写真の表面に汚れが付着しやすく、また3%を下回ると帯電防止能が十分に機能しない。
【0132】
導電性金属酸化物粒子の粒子径は、光散乱をできるだけ小さくするために小さい程好ましいが、粒子と結合剤の屈折率の比をパラメーターとして決定されるべきものであり、ミー(Mie)の理論を用いて求めることができる。一般に、平均粒子径が0.001〜0.5μmであり、0.003〜0.2μmが好ましい。ここでいう、平均粒子径とは、導電性金属酸化物粒子の一次粒子径だけでなく高次構造の粒子径も含んだ値である。
【0133】
上記金属酸化物の微粒子を帯電防止層形成用塗布液へ添加する際は、そのまま添加して分散しても良いが、水等の溶媒(必要に応じて分散剤、バインダーを含む)に分散させた分散液の形で添加することが好ましい。
【0134】
非感光性層は、導電性金属酸化物粒子を分散、支持する結合剤として前記バインダーと硬膜剤との硬化物を含んでいるのが好ましい。本発明では、良好な作業環境の維持、及び大気汚染防止の観点から、バインダーも硬膜剤も、水溶性のものを使用するか、あるいはエマルジョン等の水分散状態で使用することが好ましい。また、バインダーは、硬膜剤との架橋反応が可能なように、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びグリシジル基のいずれかの基を有するのが好ましい。水酸基及びカルボキシル基が好ましく、特にカルボキシル基が好ましい。バインダー中の水酸基又はカルボキシル基の含有量は、0.0001〜1当量/1kgが好ましく、特に0.001〜1当量/1kgが好ましい。
【0135】
以下に、前記バインダーとして好ましく用いられる樹脂について説明する。
アクリル樹脂としては、アクリル酸;アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類;アクリルアミド;アクリロニトリル;メタクリル酸;メタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類;メタクリルアミド及びメタクリロニトリルのいずれかのモノマーの単独重合体、又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体を挙げることができる。これらの中では、アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類のいずれかのモノマーの単独重合体、又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体が好ましい。例えば、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するアクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステル類のいずれかのモノマーの単独重合体、又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体が挙げられる。
【0136】
上記アクリル樹脂は、上記組成を主成分とし、硬膜剤との架橋反応が可能なように、例えば、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びグリシジル基のいずれかの基を有するモノマーを一部使用して得られるポリマーであるのが好ましい。
【0137】
上記ビニル樹脂としては、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホリマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル、ポリオレフィン、エチレン/ブタジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体及びエチレン/酢酸ビニル系共重合体(好ましくはエチレン/酢酸ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体)を挙げることができる。これらの中で、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホリマール、ポリオレフィン、エチレン/ブタジエン共重合体及びエチレン/酢酸ビニル系共重合体(好ましくはエチレン/酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体)が好ましい。
【0138】
上記ビニル樹脂は、硬膜剤との架橋反応が可能なように、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホリマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル及びポリ酢酸ビニルでは、例えば、ビニルアルコール単位をポリマー中に残すことにより水酸基を有するポリマーとし、他のポリマーについては、例えば、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びグリシジル基のいずれかの基を有するモノマーを一部使用することにより得られるポリマーとする。
【0139】
上記ポリウレタン樹脂としては、ポリヒドロキシ化合物(例、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン)、ポリヒドロキシ化合物と多塩基酸との反応により得られる脂肪族ポリエステル系ポリオール、ポリエーテルポリオール(例、ポリ(オキシプロピレンエーテル)ポリオール、ポリ(オキシエチレン−プロピレンエーテル)ポリオール)、ポリカーボネート系ポリオール、及びポリエチレンテレフタレートポリオールのいずれか一種、あるいはこれらの混合物とポリイソシアネートから誘導されるポリウレタンを挙げることができる。
上記ポリウレタン樹脂では、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとの反応後、未反応として残った水酸基を硬膜剤との架橋反応が可能な官能基として利用することができる。
【0140】
上記ポリエステル樹脂としては、一般にポリヒドロキシ化合物(例、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン)と多塩基酸との反応により得られるポリマーが使用される。
上記ポリエステル樹脂では、例えば、ポリオールと多塩基酸との反応終了後、未反応として残った水酸基、カルボキシル基を硬膜剤との架橋反応が可能な官能基として利用することができる。勿論、水酸基等の官能基を有する第三成分を添加しても良い。
上記ポリマーの中で、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂が好ましく、特にアクリル樹脂が好ましい。
【0141】
硬膜剤として好ましく用いられるメラミン化合物としては、メラミン分子内に二個以上(好ましくは三個以上)のメチロール基及び/又はアルコキシメチル基を含有する化合物及びそれらの縮重合体であるメラミン樹脂あるいはメラミン・ユリア樹脂などをあげることができる。
メラミンとホルマリンの初期縮合物の例としては、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミンなどがあり、その具体的な市販品としては、例えばスミテックス・レジン(Sumitex Resin)M−3、同MW、同MK及び同MC(住友化学(株)製、いずれも商品名)などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0142】
上記縮重合体の例としては、ヘキサメチロールメラミン樹脂、トリメチロールメラミン樹脂、トリメチロールトリメトキシメチルメラミン樹脂等を挙げることができる。市販品としては、MA−1及びMA−204(住友ベークライト(株製、いずれも商品名)、ベッカミン(BECKAMINE)MA−S、ベッカミンAPM及びベッカミンJ−101(大日本インキ化学工業(株)製、いずれも商品名)、ユーロイド344(三井東圧化学(株)製、商品名)、大鹿レジンM31及び大鹿レジンPWP−8(大鹿振興(株)製、いずれも商品名)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0143】
メラミン化合物としては、分子量を1分子内の官能基数で割った値で示される官能基当量が50以上300以下であることが好ましい。ここで官能とはメチロール基及び/又はアルコキシメチル基を示す。この値が300を超えると硬化密度が小さく高い強度が得られず、メラミン化合物の量を増やすと塗布性が低下する。硬化密度が小さいとスリ傷が発生しやすくなる。また硬化する程度が低いと導電性金属酸化物を保持する力も低下する。官能基当量が50未満では硬化密度は高くなるが透明性が損なわれ、減量しても良化しない。
水性メラミン化合物の添加量は、上記ポリマーに対して0.1〜100質量%、好ましくは10〜90質量%である。
【0144】
帯電防止層には必要に応じて、マット剤、界面活性剤、滑り剤などを併用して使用することができる。
マット剤としては、0.001〜10μmの粒径をもつ酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの酸化物や、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等の重合体あるいは共重合体等が挙げられる。
【0145】
界面活性剤としては任意のアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性系界面活性剤、非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
滑り剤としては、炭素数8〜22の高級アルコールのリン酸エステル若しくはそのアミノ塩;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸及びそのエステル類; 及びシリコーン系化合物等を挙げられる。
【0146】
前記帯電防止層の厚みとしては、0.01〜1μmが好ましく、さらに0.01〜0.2μmが好ましい。前記厚みが、0.01μm未満であると、塗布剤を均一に塗布しにくいため製品に塗布むらが生じやすく、1μmを超えると、帯電防止性能や耐傷性が劣る場合がある。
前記帯電防止層の上には、表面層を設けるのが好ましい。該表面層は、主として滑り性及び耐傷性を向上させるため、及び帯電防止層の導電性金属酸化物粒子の、脱離防止機能を補助するために設けられる。
【0147】
前記表面層の材料としては、▲1▼エチレン、プロピレン、1−ブテン及び4−メチル−1−ペンテン等の1−オレフィン系不飽和炭化水素の単独又は共重合体からなるワックス、樹脂及びゴム状物(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体及びプロピレン/1−ブテン共重合体)、▲2▼上記1−オレフィンの二種以上と共役又は非共役ジエンとのゴム状共重合体(例えば、エチレン/プロピレン/エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン/プロピレン/1,5−ヘキサジエン共重合体及びイソブテン/イソプレン共重合体)、▲3▼1−オレフィンと共役又は非共役ジエンとの共重合体、(例えば、エチレン/ブタジエン共重合体及びエチレン/エチリデンノルボルネン共重合体)、▲4▼1−オレフィン、特にエチレンと酢酸ビニルとの共重合体及びその完全若しくは部分ケン化物、▲5▼1−オレフィンの単独又は共重合体に上記共役若しくは非共役ジエン又は酢酸ビニル等をグラフトさせたグラフト重合体及びその完全若しくは部分ケン化物、などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。上記化合物は、特公平5−41656号公報に記載されている。
【0148】
これらの中でも、ポリオレフィンであって、カルボキシル基及び/又はカルボン酸塩基を有するものが好ましい。通常水溶液あるいは水分散液として使用する。
【0149】
前記表面層には、メチル基置換度2.5以下の水溶性メチルセルロースを添加してもよく、その添加量は表面層を形成する全結合剤に対して0.1〜40質量%が好ましい。上記水溶性メチルセルロースについては、特開平1−210947号公報に記載されている。
【0150】
前記表面層は、帯電防止層上に一般によく知られた塗布方法、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストル−ジョンコート法などにより上記バインダー等を含む塗布液(水分散液又は水溶液)を塗布することにより形成することができる。
【0151】
前記表面層の厚みとしては、0.01〜1μmが好ましく、さらに0.01〜0.2μmが好ましい。前記厚みが、0.01μm未満であると、塗布剤を均一に塗布しにくいため製品に塗布むらが生じやすく、1μmを超えると、帯電防止性能や耐傷性が劣る場合がある。
【0152】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料における被膜のpHは、4.6〜6.4が好ましく、さらに好ましくは5.5〜6.5である。経時の長い試料において、被膜pHが6.5を超える場合、セーフライト照射によるシアン画像、マゼンタ画像の増感が大きく、逆に被膜pHが4.5を下回る場合、感光材料を露光してから現像するまでの時間変化に対して、イエロー画像濃度が大きく変化する。いずれの場合も実用上問題である。
【0153】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料における被膜pHとは、塗布液を支持体上に塗布することによって得られた全写真層のpHであり、塗布液のpHとは必ずしも一致しない。その被膜pHは、特開昭61−245153号に記載されているような以下の方法で測定できる。即ち、
(1)ハロゲン化銀乳剤が塗布された側の感光材料表面に純水を0.05ml滴下する。次に、
(2)3分間放置後、表面pH測定電極(東亜電波製GS−165F、商品名)にて被膜pHを測定する。被膜pHの調整は、必要に応じて酸(例えば硫酸、クエン酸)又はアルカリ(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)を用いて行うことができる。
【0154】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1
[支持体の準備]
乳剤塗設面側に下塗りを施し、乳剤塗設面の反対側に下記の導電性ポリマー(0.05g/m)と酸化スズ微粒子(0.20g/m)を含有するアクリル樹脂層を塗設したポリエチレンテレフタレートフィルム支持体(厚さ120μm)を準備した。
【0155】
【化18】
Figure 2004037534
【0156】
[ハロゲン化銀乳剤の準備]
−青感性ハロゲン化銀乳剤の調製−
大サイズ乳剤(BO−01)
(立方体、粒子サイズ0.71μm、粒子サイズ分布0.09、ハロゲン組成Br/Cl=3/97)
当業界で知られたコントロールダブルジェット法により、硝酸銀水溶液と、塩化ナトリウム、臭化カリウム混合水溶液を添加することにより、調製した。イリジウム含有量は4×10−7モル/モル銀となるように調製した。この乳剤に後述する構造式で表される増感色素(A’)〜(C’)を下記のように添加した。
青色増感色素(A’);3.5×10−5モル/モル銀
青色増感色素(B’);1.9×10−4モル/モル銀
青色増感色素(C’);1.8×10−5モル/モル銀
更に、塩化金酸とトリエチルチオ尿素を用いて最適に金硫黄増感した。
【0157】
中サイズ乳剤(BM−01)
(立方体、粒子サイズ0.52μm、粒子サイズ分布0.09、ハロゲン組成Br/Cl=3/97)
当業界で知られたコントロールダブルジェット法により、硝酸銀水溶液と、塩化ナトリウム、臭化カリウム混合水溶液を添加することにより、調製した。イリジウム含有量は6×10−7モル/モル銀となるように調製した。この乳剤に後述する構造式で表される増感色素(A’)〜(C’)を下記のように添加した。
青色増感色素(A’);6.9×10−5モル/モル銀
青色増感色素(B’);2.3×10−4モル/モル銀
青色増感色素(C’);2.7×10−5モル/モル銀
更に、塩化金酸とトリエチルチオ尿素を用いて最適に金硫黄増感した。
【0158】
小サイズ乳剤(BU−01)
(立方体、粒子サイズ0.31μm、粒子サイズ分布0.08、ハロゲン組成Br/Cl=3/97)
BM−01乳剤の調製において、粒子形成温度を下げたこと以外はBM−01と同様にした。
後述する構造式で表される増感色素(A’)〜(C’)を下記のように添加した。
青色増感色素(A’):8.5×10−4モル/モル銀
青色増感色素(B’):4.1×10−4モル/モル銀
青色増感色素(C’):3.7×10−5モル/モル銀
【0159】
−赤感性ハロゲン化銀乳剤の調製−
大サイズ乳剤(RO−01)
(立方体、粒子サイズ0.23μm、粒子サイズ分布0.11、ハロゲン組成Br/Cl=25/75)
当業界で知られているコントロールダブルジェット法により硝酸銀水溶液と、塩化ナトリウム、臭化カリウム混合水溶液を添加することにより調製した。イリジウム含有率は2×10−7モル/モル銀となるように調製した。この乳剤に後述する構造式で表される増感色素(D’)〜(F’)を下記のように添加し分光増感した。
赤感性増感色素(D’):4.5×10−5モル/モル銀
赤感性増感色素(E’):0.2×10−5モル/モル銀
赤感性増感色素(F’):0.1×10−5モル/モル銀
更に、塩化金酸と、トリエチルチオ尿素を用いて、最適に金硫黄増感した後、後述する構造式で表されるCpd−71をハロゲン化銀1モル当たり、9.0×10−4モル添加した。
【0160】
中サイズ乳剤(RM−01)
(立方体、粒子サイズ0.174μm、粒子サイズ分布0.12、ハロゲン組成Br/Cl=25/75)
粒子形成温度を変更したこと以外はRO−01と同様にし、後述する構造式で表される増感色素(D’)〜(F’)を下記のように使用した。
赤感性増感色素(D’):7.0×10−5モル/モル銀
赤感性増感色素(E’):1.0×10−5モル/モル銀
赤感性増感色素(F’):0.4×10−5モル/モル銀
【0161】
小サイズ乳剤(RU−01)
(立方体、粒子サイズ0.121μm、粒子サイズ分布0.13、ハロゲン組成Br/Cl=25/75)
粒子形成温度を変更したこと以外はRO−01と同様にし、後述する構造式で表される増感色素(D’)〜(F’)を下記のように使用した。
赤感性増感色素(D’):8.9×10−5モル/モル銀
赤感性増感色素(E’):1.2×10−5モル/モル銀
赤感性増感色素(F’):0.5×10−5モル/モル銀
【0162】
−緑感性ハロゲン化銀乳剤の調製−
大サイズ乳剤(GO−01)
(立方体、粒子サイズ0.20μm、粒子サイズ分布0.11、ハロゲン組成Br/Cl=3/97)
当業界で知られているコントロールダブルジェット法により硝酸銀水溶液と、塩化ナトリウム、臭化カリウム混合水溶液を添加することにより調製した。イリジウム含有率は2×10−7モル/モル銀となるように調製した。この乳剤に後述する構造式で表される増感色素(G’)〜(J’)を下記のように添加し分光増感した。
緑感性増感色素(G’):2.8×10−4モル/モル銀
緑感性増感色素(H’):0.8×10−4モル/モル銀
緑感性増感色素(I’):1.2×10−4モル/モル銀
緑感性増感色素(J’):1.2×10−4モル/モル銀
更に、塩化金酸と、トリエチルチオ尿素を用いて、最適に金硫黄増感した。
【0163】
中サイズ乳剤(GM−01)
(立方体、粒子サイズ0.146μm、粒子サイズ分布0.12、ハロゲン組成Br/Cl=3/97)
粒子形成温度を変更したこと以外はGO−01と同様にし、後述する構造式で表される増感色素(G’)〜(J’)を下記のように使用した。
緑感性増感色素(G’):3.8×10−4モル/モル銀
緑感性増感色素(H’):1.3×10−4モル/モル銀
緑感性増感色素(I’):1.4×10−4モル/モル銀
緑感性増感色素(J’):1.2×10−4モル/モル銀
【0164】
小サイズ乳剤(GU−01)
(立方体、粒子サイズ0.102μm、粒子サイズ分布0.10、ハロゲン組成Br/Cl=3/97)
粒子形成温度を変更したこと以外はGO−01と同様にし、後述する構造式で表される増感色素(G’)〜(J’)を下記のように使用した。
緑感性増感色素(G’):5.1×10−4モル/モル銀
緑感性増感色素(H’):1.7×10−4モル/モル銀
緑感性増感色素(I’):1.9×10−4モル/モル銀
緑感性増感色素(J’):1.2×10−4モル/モル銀
【0165】
【化19】
Figure 2004037534
【0166】
【化20】
Figure 2004037534
【0167】
【化21】
Figure 2004037534
【0168】
【化22】
Figure 2004037534
【0169】
[染料固体微粒子分散物の調製]
化合物(IV−1)のメタノールウェットケーキを化合物の正味量が240gになるように秤量し、分散助剤として化合物(V−12)を48g秤量し、水を加えて4000gとした。“流通式サンドグラインダーミル(UVM−2)”(アイメックスK.K製、商品名)にジルコニアビーズ(0.5mm径)を1.7L充填し、吐出量0.5L/min、周速10m/sで2時間粉砕した。このようにして得られた分散物を90℃で10時間加熱処理(分散物を撹拌しながら加熱する)を行い、その後、分散物を化合物濃度が3質量%となるように希釈し、下記構造式で表される化合物(Pm−1)を染料に対し質量比で3%添加した(分散物Aと称する)。この分散物の平均粒子サイズは0.45μmであった。さらに、同様な方法で化合物(II−4)を5質量%含む分散物(分散物Bと称する)を得た。
【0170】
【化23】
Figure 2004037534
【0171】
[試料101の作製]
支持体上に、下記に示すような組成の各層を重層塗布し、多層カラー写真感光材料である試料101を作製した。
【0172】
−層構成−
以下に各層の組成を示す。数字は塗布量(g/m)を表す。ハロゲン化銀乳剤は銀換算塗布量を表す。また、ゼラチン硬膜剤として、1−オキシ−3,5−ジクロロ−s−トリアジンナトリウム塩を用いた。
【0173】
支持体
・ポリエチレンテレフタレートフィルム
【0174】
第1層(ハレーション防止層(非感光性親水性コロイド層))
Figure 2004037534
【0175】
第2層(青感性ハロゲン化銀乳剤層)
Figure 2004037534
【0176】
第3層(混色防止層)
Figure 2004037534
【0177】
第4層(赤感性ハロゲン化銀乳剤層)
Figure 2004037534
【0178】
第5層(混色防止層)
Figure 2004037534
【0179】
第6層(緑感性ハロゲン化銀乳剤層)
Figure 2004037534
【0180】
第7層(保護層)
Figure 2004037534
ここで使用した化合物を以下に示す。
【0181】
【化24】
Figure 2004037534
【0182】
【化25】
Figure 2004037534
【0183】
【化26】
Figure 2004037534
【0184】
【化27】
Figure 2004037534
【0185】
【化28】
Figure 2004037534
【0186】
【化29】
Figure 2004037534
【0187】
【化30】
Figure 2004037534
【0188】
【化31】
Figure 2004037534
【0189】
【化32】
Figure 2004037534
【0190】
以上のように試料101を作製した。
【0191】
[試料102〜121の作製]
次に、下記化合物を添加した試料102〜121を作製した。なお、下記化合物は第3層と第5層に分割添加した。これら化合物の添加量および各試料の内容については、評価結果と共に表10に示した。
【0192】
【化33】
Figure 2004037534
【0193】
【化34】
Figure 2004037534
【0194】
【化35】
Figure 2004037534
【0195】
[処理液の準備]
映画用カラーポジフィルムの標準的な処理方法として、イーストマンコダック社から公表されているECP−2プロセスに対し、サウンド現像工程を除いた処理を基本とする下記プロセスを準備した。次にランニング平衡にある現像処理状態を作る目的で、作製した全試料について、塗布銀量の約30%が現像されるような画像を露光し、露光の終了した試料は上記処理プロセスにて発色現像浴の補充液量がタンク容量の2倍となるまで連続処理(ランニングテスト)を実施した。
【0196】
ECP−2プロセス(サウンド現像工程を除いたもの)
<工程>
Figure 2004037534
【0197】
<処理液処方>
1リットル当たりの組成を示す。
Figure 2004037534
Figure 2004037534
なお、上記において、リンス工程で使用するDearcide702は防黴剤である。
【0198】
[試料および評価]
前記試料101〜121を作製後、室温で2週間経時し、以下の評価試験を行った。
<赤色光に対する感度の評価>
各試料について、感光計(富士写真フイルム製FWH型、光源の色温度3200K)を用い、光学濃度が5mmあたり0.2変化する光学楔を介し、赤色光にてセンシトメトリー露光を行った。露光の終了した試料は、前記ランニングテスト終了後の処理液にて発色現像処理を行った。得られた処理後試料について、X−rite310濃測機(Xrite社製、商品名)にて、StatusA濃度を測定し、露光量の対数値に対する濃度値をプロットし、いわゆるセンシトメトリーカーブを作製した。
このセンシトメトリー感度で濃度1.0を与える点に対する露光量の対数値について試料101の値から各試料の値を引いた値をそれぞれ感度値とした。結果を表10に示す。なお、符号が正のものは試料101に対して高感、負のものは低感であることを表す。この値が大きいほど試料の感度は高く好ましい試料といえる。
<緑色光に対する感度の評価>
上記と同様な条件で緑色光にてセンシトメトリー評価を行った。試料の処理および、感度の評価方法は赤色光に対する感度評価と同じである。結果を表10に示す。
<セーフライトに対する感度の評価>
低圧ナトリウムランプを光源として使用し、そこからの光を均一に、試料の乳剤面側から10分間、照射したのち、前述の処理を行ない、そのシアン色像の光学濃度をX−rire310濃測機にて測定した。試料101の光学濃度が0.40となる条件にて、他の試料も照射し、シアン色像の光学濃度を求め、セーフライト感度として評価した。結果を表10に示す。この値が小さいほど、セーフライト安全性が高く、取り扱いやすい試料といえる。
<透過吸収濃度比率の評価>
590nmと800nmにおける各試料の透過吸収濃度について、日立製作所(株)製分光光度計U3410型(商品名)を用い測定し、590nmにおける透過吸収濃度ASと800nmにおける透過吸収濃度AIとの比率を表10に示した。なお、表10には前記セーフライト感度との関連性を議論する目的で低圧ナトリウムランプの発光波長である590nmの吸収濃度も併記した。
【0199】
【表10】
Figure 2004037534
【0200】
[評価結果]
表10の結果から明らかなように、半値半幅が広い吸収波形を有する化合物を用いた試料101及び102は、セーフライト安全性を比較的高くできるが、試料の感度そのものが低下した。試料103〜109のように、740nm以上に極大吸収を用いる化合物、570〜610nmに極大吸収を有する化合物、650〜740nmに極大吸収を用いる化合物を単独、あるいは本発明外の組み合わせで用いた場合、セーフライト安全性が改良されない。これに対し、これら化合物を本発明に従って組み合わせた試料110〜121は、感度とセーフライト安全性の両立がなされていることが分かる。
また、表10の結果より、本発明においてセーフライト安全性と590nmの吸収濃度は無関係であることがわかる。これは、本発明が波長範囲の吸収濃度を変化させることによる感度操作とは異なる機構によりなされていることを示しているものである。
さらに、本発明の組み合わせの中でも、650〜740nmに極大吸収を用いる化合物を組み合わせた場合(試料114、116、117、120、121)や、590nmと800nmの透過吸収濃度比が0.3以上の場合(試料110、112、114〜121)がより高い効果を得られることが分かる。
【0201】
実施例2
実施例1の試料101〜121の作製時におけるECP−2処理プロセスに対し、第1工程である前浴工程とそれに続く水洗工程を除いた処理を行ったこと以外は実施例1と同様にして試料201〜221を作製し、これらの試料について実施例1と同様の試験を行った。その結果、実施例1と同様な結果が得られ、かつ工程の除去により予測される着色化合物の感光材料からの溶出不良による不要な着色(ステイン)は見られなかった。従って、本発明のカラー写真感光材料は簡略化した処理工程でも性能を発揮できることが分かる。
【0202】
実施例3
実施例1で作製した試料101〜121に対し、第7層に導入したCpd−55を以下の化合物(SF−1)に変更した試料301〜321を作製した。これらの試料に対し、実施例1と同様な試験を実施し、同様な結果を得た。
【0203】
【化36】
Figure 2004037534
【0204】
【発明の効果】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、本来必要な波長域の感度を下げずにセーフライト安全性を確保することができる。また、簡略化した現像処理工程にも対応でき取り扱い性に優れる。したがって、本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料は映画用カラー写真感光材料として特に好適である。

Claims (7)

  1. 透過支持体上にイエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層、シアン発色感光性ハロゲン化銀乳剤層およびマゼンタ発色感光性ハロゲン化銀乳剤層の各層を少なくとも一層ずつ有し、かつ、非感光性親水性コロイド層を少なくとも一層有するハロゲン化銀カラー写真感光材料であって、親水性コロイド層中にて570〜610nmの範囲に極大吸収を有し、かつ長波側の半値半幅が40nm以下である水溶性染料と、親水性コロイド層中にて740nm以上に極大吸収を有し、かつ短波側の半値半幅が100nm以下である水溶性染料を含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
  2. 前記親水性コロイド層中にて650〜740nmの範囲に極大吸収を有し、かつ短波側の半値半幅が80nm以内である水溶性染料を含有することを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
  3. 前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料において590nmにおける透過吸収濃度ASと800nmにおける透過吸収濃度AIの関係が下記数式で表されることを特徴とする請求項1または2に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
    Figure 2004037534
  4. 前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料においてシアン発色感光性ハロゲン化銀乳剤層の分光感度が650〜700nmの範囲に極大値を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料
  5. 前記非感光性親水性コロイド層の少なくとも1層に、下記一般式(I)で表される染料の固体微粒子分散物を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
    一般式(I)
    D−(X)
    一般式(I)において、Dは発色団を有する化合物残基を表し、Xは解離性水素または解離性水素を有する基を表し、yは1〜7の整数を表す。
  6. 前記染料が下記一般式(II)または(III)で表されることを特徴とする請求項5に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
    一般式(II)
    =L−(L=L−Q
    一般式(II)中、Aは酸性核を表し、Qはアリール基又は複素環基を表し、L、L、Lは各々独立にメチン基を表し、mは0、1または2を表す。ただし、一般式(II)で表される化合物は分子内にカルボン酸基を1〜7個有する。
    一般式(III)
    =L−(L=L−A
    一般式(III)中、AおよびAは各々独立に酸性核を表し、L、L、Lは各々独立にメチン基を表し、nは1または2を表す。ただし、一般式(III)で表される化合物は分子内に解離性水素を有する基としてカルボン酸基を1〜7個有する。
  7. 前記染料の固体微粒子分散物が40℃以上の熱処理工程を経て調製されたものであることを特徴とする請求項5または6に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
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