JP3568056B2 - ハロゲン化銀カラー写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀カラー写真感光材料 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は染色された親水性コロイド層を有するハロゲン化銀写真感光材料に関するものであり、より詳しくは、高い鮮鋭度を有し、現像処理条件の変化に対する性能安定性に優れ、さらには製造時の安定性に優れたハロゲン化銀写真感光材料に関するものである。
【0002】
【従来技術】
ハロゲン化銀写真感光材料の画質を決定する因子の中でも、鮮鋭度は重要な特性である。写真科学の成書や文献等への報告で良く知られているように、鮮鋭度を左右するのは感光材料の光の反射、散乱特性であり、露光するときに生じる光のぼけや滲みが鮮鋭度を劣化させる。
【0003】
感光材料に入射した光が支持体と乳剤層との界面、乳剤層とは反対側の支持体表面あるいは乳剤層表面で反射することで生じる光の拡散をハレーションとよび、入射光が乳剤層中のハロゲン化銀粒子等で散乱されることで生じる拡散をイラジエ一ションとよぶ。
これらのハレーションやイランジエーションを防止する技術は古くから種々提案されており、特に乳剤層への光の入射方向とは反対側(通常下側)に乳剤層を通過した光を吸収するアンチハレーション層とよばれる着色層を設ける方法や、乳剤層をその層の感光波長に相当する波長域の光を吸収する染料(アンチイラジエーション染料)で染色する方法等が有効な方法として実用されている。
【0004】
アンチハレーション層の着色やイラジエーション防止のための染色には有機染料を用いることが多い。こうした目的に使用される染料としては感光材料に組み込むための要請から、下記のような種々の特性を有することが要求される。
(1)所望の波長域に適合した吸収特性を有すること。
(2)写真化学的に不活性であること、すなわち、感光材料に組み込むことで写真特性に悪影響を及ぼさないこと。
(3)写真処理過程において脱色ないし溶出して処理後の感光材料に有害な着色を残さないこと。
(4)特定の写真構成層の着色あるいは染色を目的とするときには、他の層へ拡散ないし移動しないこと。
(5)写真感光材料の製造工程や製造後の製品保存によって変褪色せす、安定な性能を提供できること。
【0005】
これらの特性のうち、(3)と(4)は染料の特性として相反するものである。すなわち、通常は脱色性や溶出性の良好な染料を選択するため、拡散性の高い染料を用いざるを得ないことが多い。この結果、特定の写真構成層に染料を限定して存在させることは難しくなる。
一方、近年のハロゲン化銀を利用した写真システムはその多くがカラー化されており、様々な用途で実用されている。カラー画像形成方式は種々のものが提案されてきたが、現在最も汎用されているのは、感光したハロゲン化銀粒子を現像したときに生じる芳香族第一級アミン現像主薬の酸化体とのカップリング反応により色素を形成することのできる所謂カラーカプラーを用いる方式である。この反応でイエロー、マゼンタおよびシアン色素を形成するカプラーを用いれば、これらを三原色とした減色法によるフルカラー面像を得ることが可能となる。
【0006】
通常のカラー感光材料では、主として青、緑そして赤色領域に別個に分光増感された感光性ハロゲン化銀乳剤とそれぞれの補色に相当する色素形成カプラーとを組合せた感光性乳剤層が分離された層として塗設される。また、各感光性乳剤層間の発色を分離する、あるいは感光材料表面を保護する等の目的で非感光性の乳剤層も塗設される。
【0007】
既に述べたような鮮鋭度を向上させる目的で使用される染料は、上記の感光性乳剤層や非感光性乳剤層に組み込まれる。このとき、写真構成層の特定の層を着色することは非常に重要な技術であり、特にアンチハレーション層として用いる場合には、その効果を最大限に発揮させる上で所望の層に限定して染料を存在させることは必須となる。というのは、ハレーションを防止するためには感光性乳剤層の下層にできるだけ光吸収率の高い層を設ける必要があり、このための染料が移動、拡散することでこの効果は減少し、さらには移動した感光性乳剤層へ減感等の悪影響を与えるからである。このため、染料の拡散を防止する技術について数多くの報告が成されてきた。
【0008】
なかでも諸特性、特に高い吸光度と固定性に優れた染料としてpHの違いによって拡散性になったり非拡散性にもなったりするタイプの染料より得られる固体微粒子分散物が特開平3−7931号に開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者らが上記タイプの染料より得られる固体微粒子分散物を用いてカラー感光材料を作成し、種々の性能を検討したところ、重大な問題が生じることが明らかになった。すなわち、上記の染料分散物をアンチハレーション層に組み込んだ感光材料は、現像処理条件の変化による写真性能の変動が大きく、実用上問題となることがわかった。
【0010】
また、用いるカラーカプラーによってもこの変動の大きさが左右されるため、色素像の色バランスが処理条件の変化によって変動し、好ましくない。
さらに、このような問題は用いるハロゲン化銀乳剤の粒子サイズが小さくなるほど著しくなることも分かった。感光材料に含まれるハロゲン化銀粒子の粒子サイズは得られる画像の粒状性を大きく左右する。すなわち、粒子サイズが大きい程粒状は粗くなり、小さいほど粒状は細かくなる。したがって、粒状に優れた感光材料を構成するためには、できるだけ小さい粒子サイズのハロゲン化銀粒子を用いることが望まれる。しかるに、上記のような問題が生じると粒状性と処理安定性が両立しなくなり実用上問題である。
【0011】
また、染料の固体微粒子分散物を含んだ塗布液は、感光材料製造時の条件変化等により経時安定性が十分でなく、画質を低下させる等の問題が生じる。そのため染料の固体微粒子分散物を含んだ塗布液の安定性が望まれる。
以上述べてきたことから明らかなように、本発明の第一の目的は写真感光材料の特定層を限定して着色することが可能な染料の固体分散物を有していて、鮮鋭度の優れたしかも現像処理条件の変化に対する安定性に優れたハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供することにある。本発明の第二の目的は、感光材料製造時の条件変化に対しても性能の変動しない、安定なハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、1.支持体上に少なくとも一層ずつのイエローカプラー含有感光性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタカプラー含有感光性ハロゲン化銀乳剤層およびシアンカプラー含有感光性ハロゲン化銀乳剤層と、少なくとも一層の非感光性層からなる写真構成層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該写真構成層の少なくとも一層に、下記一般式(VII)で表される染料の固体微粒子分散物を含有しており、かつ該染料の固体微粒子分散物は下記一般式( VIII )で表される化合物の少なくとも1つを含有しており、さらに該写真構成層中の総ゼラチン塗布量の総塗布銀量に対する比が3.8〜7.8であることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0013】
【化10】
Figure 0003568056
【0014】
式中、Dは発色団を有する化合物残基を表し、XはDに直接若しくは2価の連結基を介して結合した解離性水素または解離性水素を有する基を表し、Yは1ないし7の整数を表す。
【0015】
【化11】
Figure 0003568056
【0016】
式中、Rは水素原子、疎水性基または疎水性重合体を表し、Pは下記構造単位A、B、Cのうち少なくとも一つを含み、Pの重合度が10以上3500以下の重合体を表す。mは0または1、nは1または2を表す。
【0017】
【化12】
Figure 0003568056
【0018】
ここでR1は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、R2は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表す。
2.該染料の固体微粒子分散物が40℃以上の熱処理工程を経て含有されたものであることを特徴とする上記1記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
3.前記一般式( VIII )で表される化合物は、OH基を含むポリマー単位の繰り返し構造、アニオン性基の繰り返し構造およびカチオン性基の繰り返し構造のうちのいずれか1つ以上を有することを特徴とする上記1あるいは2記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
4.該染料の固体微粒子分散物が下記一般式(IX−a)もしくは(IX−b)で表される化合物の少なくとも一つを含有している上記1、2あるいは3記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0019】
【化13】
Figure 0003568056
【0020】
式中aおよびbはそれぞれ5ないし500の整数を表す。
5.該染料が下記一般式(X−a)または(X−b)で表されることを特徴とする上記1から4記載の感光材料。
【0021】
【化14】
Figure 0003568056
【0022】
6.該染料が下記一般式(XI)で表されることを特徴とする上記1から4記載の感光材料。
【0023】
【化15】
Figure 0003568056
【0024】
7.イエローカプラーとして下記一般式(I)または(II)で表されるカプラーの少なくとも一つ、マゼンタカプラーとして下記一般式(III)または(IV)で表されるカプラーの少なくとも一つ、そしてシアンカプラーとして下記一般式(V)または(VI)で表されるカプラーの少なくとも一つを含有することを特徴とする上記1から6記載の感光材料。
により、効果的に達成された。
【0025】
【化16】
Figure 0003568056
【0026】
【化17】
Figure 0003568056
【0027】
【化18】
Figure 0003568056
【0028】
本発明においては、感光性乳剤層塗布側の総ゼラチン塗布量の総塗布銀量に対する比が重量比で3.8〜7.8とする必要がある。ゼラチン量がこれを上回ると、本発明の固体分散染料を用いたときの処理変動が大きくなる。ゼラチン量を減らしたほど処埋変動は小さくなる。したがって、好ましくはこの比は4.0〜7.3、さらに好ましくは4.0〜6.8である。
【0029】
また、カラーカプラーなどを高沸点有機溶媒に溶解し、これを微粒子分散させて感光材料中に含有させる場合には、あまりにゼラチン量を減じると乳剤膜が機械的に破壊され易くなったり、感光材料を高温、多湿条件で保存したときに油状分が浸出してくるなどの問題を生じる。従って、ゼラチン量は3.8以上である。
【0030】
本発明においては、感光材料に用いるハロゲン化銀粒子の粒子サイズが小さいほど、発明の効果が顕著に現れる。粒子サイズの小さいハロゲン化銀乳剤を用いるほど粒状性にとって有利である。
一方既述のように、従来ではレンジ層に替えて高い吸光度と固定性に優れた染料を用いると鮮鋭度が向上するものの、現像処理条件の変化による写真性能の変動が大きくなる。特に写真性能の変動は、ハロゲン化銀乳剤の粒子サイズが小さくなるほど著しくなる。
【0031】
これに対して、本発明は、ハロゲン化銀粒子の粒子サイズが小さくても、優れた鮮鋭度と粒状性、そして処理安定性を達成することが可能となる。
含有させるハロゲン化銀粒子の粒子サイズとしては、いずれの感光性乳剤層においても層中の平均をとったときに0.6μm以下が好ましく、0.5μm以下がさらに好ましい。最も好ましくは0.45μm以下である。粒子サイズに特に下限はないが、必要な感度が得られるように選択される。そのため粒子サイズは0.05μm以上が好ましい。
【0032】
用いられるハロゲン化銀乳剤は、粒径分布の変動係数の小さい単分散乳剤が好ましい。単分散度の目安は粒径分布の変動係数が20%以下、好ましくは15%以下である。所望の写真特性を得るために、異なる単分散乳剤を混合して同一層中に用いることも行われる。こうした場合においても、同一層中に用いられるハロゲン化銀粒子の層中での平均粒子サイズは0.6μm以下が好ましい。
【0033】
本発明の感光材料を透過支持体上に作成すれば、鮮鋭度と粒状性に優れたカラー画像を得ることができるため、映面用プリントフィルムを作成する上で非常に有用である。
【0034】
次に、前記一般式(VII)で表される染料について説明する。
本発明の一般式(VII)で表される染料は、分子構造中に解離性水素等を有する点に特徴がある。
【0035】
Dにおける発色団を有する化合物残基は、多くの周知の色素の中から選ぶことができる。
これらの化合物としては、オキソノール色素、メロシアニン色素、シアニン色素、アリーリデン色素、アゾメチン色素、トリフェニルメタン色素、アゾ色素、アントラキノン色素、インドアニリン色素を挙げることができる。
【0036】
XはDに直接もしくは2価の連結基を介して結合した解離性水素又は解離性水素を有する基を表す。
XとDとの間の2価の連結基は、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロ環残基、−CO−、−SO−(n=0,1,2)、−NR−(Rは水素原子、アルキル基、アリール基を表す)、−O−、及びこれらの連結基を組み合わせた2価の基であり、さらにそれらはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホンアミド基等の置換基を有していてもよい。好ましい例として−(CH−(n=1,2,3)、−CHCH(CH)CH−、1,2−フェニレン、5−カルボキシ−1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、6−メトキシ−1,3−フェニレン、−CONHC−等を挙げることができる。
【0037】
Xで表される解離性水素又は解離性水素を有する基は、式(VII)で表される染料が本発明のハロゲン化銀写真感光材料中に添加された状態では、非解離であって、式(VII)の染料を実質的に水不溶性にする特性を有し、該感光材料が現像処理される工程では、解離して式(VII)の化合物を実質的に水可溶性にする特性を有する。Xで表される解離性水素を有する基の例としては、カルボン酸基、スルホンアミド基、スルファモイル基、スルホニルカルバモイル基、アシルスルファモイル基、フェノール性水酸基などを有する基を挙げることができる。Xで表される解離性水素はオキソノール色素のエノール基の水素などを挙げることができる。
【0038】
yの好ましい範囲は、1〜5、特に好ましい範囲は、1〜3である。
【0039】
式(VII)で表される化合物のうち好ましいものは、Xにおける解離性水素を有する基がカルボン酸基を有する基であるものであり、特にカルボキシル基で置換されたアリール基を有する化合物が好ましい。
また式(VII)で表される化合物の内、より好ましいものは前記の一般式(X−a)または一般式(X−b)で表される化合物である。
【0040】
以下、一般式(X−a)及び(X−b)について詳細に説明する。
及びAで表される酸性核は、環状のケトメチレン化合物または電子吸引性基によって挟まれたメチレン基を有する化合物から誘導されるものが好ましい。
環状のケトメチレン化合物の例としては、2−ピラゾリン−5−オン、ロダニン、ヒダントイン、チオヒダントイン、2,4−オキサゾリジンジオン、イソオキサゾロン、バルビツール酸、チオバルビツール酸、インダンジオン、ジオキソピラゾロピリジン、ヒドロキシピリドン、ピラゾリジンジオン、2,5−ジヒドロフランを挙げることができる。これらは置換基を有していてもよい。
【0041】
電子吸引性基によって挟まれたメチレン基を有する化合物は、ZCHと表すことができる。ここにZおよびZはそれぞれ−CN、−SO11、−COR11、−COOR12、−CONHR12、−SONHR12又は−C[=C(CN)]R11を表す。R11は、アルキル基、アリール基、又は複素環基を表し、R12は水素原子又はR11で表される基を表し、そしてこれらはそれぞれ置換基を有していてもよい。
【0042】
Qで表されるアリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基を挙げることができる。これらはそれぞれ置換基を有していてもよい。Qで表される複素環基の例としては、ピロール、インドール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、インドリジン、キノリン、カルバゾール、フェノチアジン、フェノキサジン、インドリン、チアゾール、ピリジン、ピリダジン、チアジアジン、ピラン、チオピラン、オキソジアゾール、ベンゾキノリン、チアジアゾール、ピロロチアゾール、ピロロピリダジン、テトラゾール、オキサゾール、クマリン、およびクマロンを挙げることができる。これらはそれぞれ置換基を有していてもよい。
【0043】
、L及びLで表されるメチン基は、置換基を有していてもよく、その置換基同士が連結して5又は6員環(例えば、シクトペンテン、シクロヘキセン)を形成していてもよい。
【0044】
上述した各基が有していてもよい置換基は、式(VII)、(X−a)、(X−b)の化合物をpH5〜pH7の水に実質的に溶解させるような置換基でなければ特に制限はない。例えば、以下の置換基を挙げることができる。
カルボン酸基、炭素数1〜10のスルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、n−オクタンスルホンアミド)、炭素数0〜10の無置換又はアルキルもしくはアリール置換スルファモイル基(例えば、無置換のスルファモイル、メチルスルファモイル、フェニルスルファモイル、ナフチルスルファモイル、ブチルスルファモイル)、炭素数2〜10のスルホニルカルバモイル基(例えば、メタンスルホニルカルバモイル、プロパンスルホニルカルバモイル、ベンゼンスルホニルカルバモイル)、炭素数1〜l0のアシルスルファモイル基(例えば、アセチルスルファモイル、プロピオニルスルファモイル、ピバロイルスルファモイル、ベンゾイルスルファモイル)、炭素数1〜8の鎖状又は環状のアルキル基(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メトキシエチル、ベンジル、フェニネチル、4−カルボキシベンジル、2−ジエチルアミノエチル)、炭素数2〜8のアルケニル基(例えば、ビニル、アリル)、炭素数1〜8のアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ)、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br)、炭素数0〜10のアミノ基(例えば、無置換のアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、カルボキシエチルアミノ)、炭素数2〜10のエステル基(例えば、メトキシカルボニル)、炭素数1〜10のアミド基(例えば、アセチルアミノ、ベンズアミド)、炭素数1〜10のカルバモイル基(例えば、無置換のカルバモイル、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル)、炭素数6〜10のアリール基(例えば、フェニル、ナフチル、ヒドロキシフェニル、4−カルボキシフェニル、3−カルボキシフェニル、3,5−ジカルボキシフェニル、4−メタンスルホンアミドフェニル、4−ブタンスルホンアミドフェニル)、炭素数6〜10のアリーロキシ基(例えば、フェノキシ、4−カルボキシフェノキシ、3−メチルフェノキシ、ナフトキシ)、炭素数1〜8のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、オクチルチオ)、炭素数6〜10のアリールチオ基(例えば、フェニルチオ、ナフチルチオ)、炭素数1〜10のアシル基(例えば、アセチル、ベンゾイル、プロパノイル)、炭素数1〜10のスルホニル基(例えば、メタンスルホニル、ベンゼンスルホニル)、炭素数1〜10のウレイド基(例えば、ウレイド、メチルウレイド)、炭素数2〜10のウレタン基(例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ)、シアノ基、水酸基、ニトロ基、複素環基(例えば、5−カルボキシベンゾオキサゾール環)、ピリジン環、スルホラン環、ピロール環、ピロリジン環、モルホリン環、ピペラジン環、ピリミジン環、フラン環)。
【0045】
また一般式(X−b)で表される化合物のうちより好ましいものは、前記一般式(XI)で表される化合物である。この一般式(XI)で表される化合物は解離性水素としてエノール基の水素を有している。
【0046】
式(XI)において、Rのアルキル基としては炭素数1〜4のアルキル基、2−シアノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、カルボキシベンジル基が挙げられ、アリール基としてはフェニル基、2−メチルフェニル基、2−カルボキシフェニル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、3,6−ジカルボキシフェニル基、2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2−クロロ−4−カルボキシフェニル基、4−メチルスルファモイルフェニル基が挙げられ、複素環基としては、下記化19に記載の基が挙げられる。
【0047】
【化19】
Figure 0003568056
【0048】
のアルキル基としては炭素数1〜4のアルキル基、カルボキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−メトキシエチル基が挙げられ、アリール基としては2−カルボキシフェニル基、3−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、3,6−ジカルボキシフェニル基が挙げられ、複素環基としては下記化20に記載の基が挙げられ、−CORとしてはアセチル基が挙げられ、−SOとしてはメタンスルホニル基が挙げられる。
【0049】
【化20】
Figure 0003568056
【0050】
、R、R、Rのアルキル基としては炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。R、R、R、Rのアリール基としてはフェニル基、メチルフェニル基が挙げられる。
本発明においては、Rがカルボキシル基置換のフェニル基(例えば、2−カルボキシフェニル、3−カルボキシフェニル、4−カルボキシフェニル、3,6−ジカルボキシフェニル)であることが好ましい。
【0051】
以下に、本発明に用いられる一般式(VII)、(X−a)、(X−b)及び(XI)で表される化合物の具体例を記載するが、これらに限定されるものではない。
【0052】
【化21】
Figure 0003568056
【0053】
【化22】
Figure 0003568056
【0054】
【化23】
Figure 0003568056
【0055】
【化24】
Figure 0003568056
【0056】
【化25】
Figure 0003568056
【0057】
【化26】
Figure 0003568056
【0058】
【化27】
Figure 0003568056
【0059】
【化28】
Figure 0003568056
【0060】
【化29】
Figure 0003568056
【0061】
【化30】
Figure 0003568056
【0062】
【化31】
Figure 0003568056
【0063】
【化32】
Figure 0003568056
【0064】
【化33】
Figure 0003568056
【0065】
【化34】
Figure 0003568056
【0066】
【化35】
Figure 0003568056
【0067】
【化36】
Figure 0003568056
【0068】
【化37】
Figure 0003568056
【0069】
【化38】
Figure 0003568056
【0070】
【化39】
Figure 0003568056
【0071】
【化40】
Figure 0003568056
【0072】
本発明に用いられる染料は、国際特許WO88/04794号、ヨーロッパ特許EP0274723A1号、同276566号、同299435号、特開昭52−92716号、同55−155350号、同55−155351号、同61−205934号、同48−68623号、米国特許2527583号、同3486897号、同3746539号、同3933798号、同4130429号、同4040841号、特開平3−282244号、同3−7931号、同3−167546号等の明細書あるいは公報に記載されている方法又はその方法に準じて合成できる。
【0073】
本発明で用いられる、染料の固体微粒子分散物は、公知の方法で調製できる。製造法の詳細は、機能性顔料応用技術(シーエムシー刊、1991年)などに記載されている。
メディア分散は一般的な方法の一つである。この方法では染料粉末またはそのウエットケーキと呼ばれる水や有機溶媒で湿った状態の染料を、水性スラリーにし、公知の粉砕機(例えばボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、縦型サンドミル、ローラーミル、ピンミル、コボールミル、キャディーミル、横型サンドミル、アトライター等)を用いて、分散メディア(スチールボール、セラミックボール、ガラスビーズ、アルミナビーズ、ジルコニアシリケートビーズ、ジルコニアビーズ、オタワサンドなど)の存在下で機械力によって粉砕する。これらのうち、ビーズの平均直径は好ましくは2mmないし0.3mm、より好ましくは1mmないし0.3mm、さらに好ましくは0.5mmないし0.3mmのものが用いられる。これらの他にジェットミル、ロールミル、ホモジナイザー、コロイドミルやデゾルバーによって粉砕する方法や、超音波分散機による粉砕方法も用いることができる。
【0074】
また米国特許2870012号に開示されているように、均一溶液に溶解した後、貧溶媒を加えて固体微粒子を析出させたり、例えば特開平3−182743号に開示されているように、アルカリ溶液に溶解した後pHを下げることで、固体微粒子を析出させる方法も用いることが出来る。
【0075】
これらの固体微粒子分散物を調製するときは、分散助剤を存在させるのが好ましい。従来より開示されてきた分散助剤としては、アルキルフェノキシエトキシスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナトリウムオレイルメチルタウライド、ナフタレンスルホン酸のホルムアルデヒド縮重物、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、マレイン酸アクリル酸共重合物、カルボキシメチルセルロース、硫酸セルロース等のアニオン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのノニオン系分散剤、カチオン系分散剤やベタイン系分散剤があげられるが、下記一般式(IX−a)又は(IX−b)で表されるポリアルキレンオキサイドを用いることが特に好ましい。
【0076】
【化41】
Figure 0003568056
【0077】
一般式(IX−a)及び(IX−b)中、a及びbはそれぞれ5ないし500の値を示す。好ましいaとbの値はそれぞれ10〜200、より好ましいaとbの値はそれぞれ50〜150である。aとbの値がこの範囲であると塗布面の均一性良化の点で好ましい。
上記分散助剤において、ポリエチレンオキサイド部の比率は重量比で好ましくは0.3ないし0.9、より好ましくは0.7ないし0.9、更に好ましくは0.8ないし0.9であり、また、上記分散助剤の平均分子量は好ましくは1,000ないし30,000、より好ましくは5,000ないし40,000、更に好ましくは8,000ないし20,000である。更に、上記分散助剤のHLB(親水性親油性バランス)は好ましくは7ないし30、より好ましくは12ないし30、更に好ましくは18ないし30である。数値がこの範囲であると塗布面の均一性良化の点で好ましい。
【0078】
これらの化合物は市販品として入手可能であり、たとえばBASF社のPluronic等がある。
【0079】
以下に本発明に用いられる一般式(IX−a)又は(IX−b)で表される化合物の具体例を記載する。
【0080】
【化42】
Figure 0003568056
【0081】
本発明において、本発明の染料に対する上記分散助剤の使用量は重量比で好ましくは0.05ないし0.5、より好ましくは0.1ないし0.3である。分散助剤の使用量がこの範囲であると塗布面の均一性良化の点で好ましい。また固体微粒子分散物の調製時に分散物の安定化や低粘度化の目的でポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、多糖類、ゼラチンなどの親水性コロイドを共存させることもできる。本発明においては前記一般式( VIII )で表される化合物は前記染料の固体微粒子分散物中に含有されるものであるが、該固体微粒子分散物の調製時に該一般式(VIII)で表される化合物を共存させることが特に好ましい。
【0082】
本発明の染料の固体微粒子分散物は、特開平5−216166号公報に開示されているような方法で、分散前、分散中または分散後に加熱処理される。
【0083】
本発明において染料分散物に好ましく適用される熱処理としては、染料粉体を溶媒中で加熱するなど固体状に微分散する工程の前に行う方法と、染料を分散剤の存在下で水あるいは他の溶媒中に分散する際冷却せず、あるいは温度をかけて分散を行う方法、および分散後の液や塗布液を加熱処理する方法とがあるが、分散後に行なうのが特に好ましい。
【0084】
式(VII)の染料を含有する固体微粒子分散物が、特定の層に複数種用いられているときは少なくとも1種が熱処理されていればよい。
【0085】
分散時及び分散後熱処理中のpHは分散物が安定に存在する条件であればよく、好ましくはpH2.0以上8.0以下、より好ましくは2.0以上6.5以下、更に好ましくは2.5以上4.5未満である。熱処理中のpHがこの範囲であると塗布物の膜強度改良の点で好ましい。
分散物のpH調整は、例えば硫酸、塩酸、酢酸、クエン酸、リン酸、しゅう酸、炭酸、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムやそれらからなる緩衝液を用いることができる。
【0086】
熱処理をする温度としては熱処理をする工程、粉体ないし粒子の大きさ形状、熱処理条件、溶媒などによって異なるので一概には云えず40℃以上で染料が分解しない範囲であれば何度でもよいが、粉体で熱処理する場合には40℃ないし200℃が適当であり、好ましくは50℃ないし150℃が適当であり、溶媒中で熱処理する場合には40℃ないし150℃、好ましくは50℃ないし150℃、分散中に熱処理する場合には40℃ないし90℃が適当であり、好ましくは50℃ないし90℃、分散後の分散液を熱処理する場合には40℃ないし100℃が適当であり、好ましくは50℃ないし95℃である。熱処理の温度が40℃より低いと効果が乏しく好ましくない。
【0087】
熱処理が溶媒中で行われる場合、その溶媒の種類としては、染料を実質的に溶解しないものであれば制限はなく、例えば水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソアミルアミルコール、オクタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、エチルセロソルブ)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル)、アルキルカルボン酸類(例えば、酢酸、プロピオン酸)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル)、エーテル類(例えば、ジメトキシエタン、ジオキサン、テトラヒドロフラン)、アミド類(例えば、ジメチルホルムアミド)等を挙げることができる。
【0088】
また、これらの溶媒単独では染料が溶解してしまう場合でも、水や他の溶媒と混合したり、pHを調節することで染料が実質溶解しなければ使用することができる。
【0089】
熱処理する時間についても一概には云えず、温度が低ければ長時間を要し、高ければ短時間で済む。製造工程上影響のない範囲内で熱処理が実現できるように任意に設定することができるが、通常1時間ないし4日であることが好ましい。
【0090】
写真感光材料に染料の微粒子を含有してなる層を設けるには、このようにして得た微粒子を適当なバインダー中に分散させることによってほぼ均一な粒子の固体分散物として調製した後、これを所望の支持体上に塗設することによって設けることが出来る。
上記バインダーは感光性乳剤層や、非感光性層に用いることができる親水性のコロイドであれば特に制限はないが、通常ゼラチンまたはポリビニルアルコールやポリアクリルアミド等の合成ポリマーが用いられる。
【0091】
固体分散物中の微粒子は、平均粒子径0.005μmないし10μm、好ましくは0.01μmないし5μm、より好ましくは0.01μmないし1.5μmであることが好ましい。この範囲であると微粒子の非凝集性、光の吸収効率の点で好ましい。
【0092】
本発明で用いる一般式(VII)の化合物の固体微粒子分散物は、単独又は複数の固体微粒子分散物と併用して使用することができる。
さらに、固体微粒子を添加する親水性コロイド層はただ一層でも良いし、複数層であっても良い。たとえば、単独の固体微粒子分散物をただ一層に添加する場合、複数層に分割して添加する場合、複数の固体微粒子分散物をただ一層に同時に添加する場合、それぞれ別層に添加する場合などが例として挙げられるが、上記に限られるものではない。
【0093】
固体微粒子分散物は、好ましくはその目的に応じて種々の非感光性親水性コロイド層(例えばハレーション防止層、イエローフィルター層など)に含有されるが、該非感光性層が複数層設けられている態様の感光材料においては、これらの複数層に含有させることもできる。
さらに、固体微粒子分散物は、アンチハレーション層として必要な量を組み込まれたうえ、イラジエーション防止用に感光性ハロゲン化銀乳剤層に必要量を添加されることもできる。
【0094】
本発明で用いる染料の固体微粒子分散物は、ハロゲン化銀写真感光材料において、染料の色相に応じて非感光性親水性コロイド層に含有されるが、該非感光性層が複数層設けられている態様の感光材科においては、これらの複数層に含有させることもできる。
本発明の固体微粒子分散物中の染料濃度は0.1〜50重量%が適当であり、好ましくは2〜30重量%である。染料濃度がこの範囲であると分散物の粘度の点で好ましい。
【0095】
本発明の固体微粒子分散物は、例えば特開平2−282244号に記載の写真感光材料に含有させることができる
【0096】
一般式(VIII)で表される化合物を染料の固体微粒子分散物と組み合わせて用いることにより、染料とバンダー(ゼラチン等)の相互作用により、塗布が困難になったり、所望の吸収を有する塗布層が得にくいといった問題が解決できる。
【0097】
本発明で好ましく用いられる一般式(VIII)で表される化合物は、写真分野で従来用いられていた界面活性剤よりも比較的分子量が大きいことが好ましい(分子量1000以上)。更に従来の界面活性剤の親水性基が、エチレンオキサイド等のノニオン性のアルキレンオキサイド基、カルボキシル基、スルホン基、燐酸基などのアニオン性基、四級アンモニウム基などのカチオン性基を通常一つ有しているのに対して、一般式(VIII)で表される化合物の親水性基は、OH基を含むモノマー単位の繰り返し構造、アニオン性基の繰り返し構造及びカチオン性基の繰り返し構造のうちのいずれか1つ以上を有することが必要である。
【0098】
一般式(VIII)で表される化合物は、塗布助剤、帯電防止剤、表面摩擦調節剤、表面疎水化剤としても使用することができる。
【0099】
一般式(VIII)におけるRの疎水性基としては、脂肪族基(例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基など)、芳香族基(例えばフェニル基、ナフチル基など)及び脂環基があり、これらは置換されているものも含む。置換基としては、脂肪族基、芳香族基、脂環基、複素環基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、N−置換スルファモイル基、カルバモイル基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アシル基などが挙げられる。
【0100】
一般式(VIII)におけるRの疎水性基がアルキル基の場合には、炭素数3〜70、好ましくは4〜50、特に8〜24が好ましい。
更に、Rは、置換又は未置換の、脂環基、芳香族炭化水素基又は疎水性重合体の場合、分散安定性を高める効果がより大きい。
【0101】
また、一般式(VIII)におけるRが疎水性重合体の場合、ポリスチレン及びその誘導体、ポリメタクリル酸エステル(例えばポリメタクリル酸メチル)及びその誘導体、ポリアクリル酸エステル及びその誘導体、ポリブテン、ポリ酢酸ビニル、ポリバーサチック酸ビニル等に代表される水に不溶性のビニル重合体やビニル共重合体、ポリオキシプロピレンやポリオキシテトラメチレンの如き水に不溶性のポリオキシアルキレン類、更にはポリアミド及びポリエステル等の水不溶性重合体等が挙げられる。特にポリスチレン及びその誘導体、ポリメタクリル酸エステル及びその誘導体、ポリアクリル酸エステル及びその誘導体並びにポリ塩化ビニルが好ましく用いられる。また、疎水性重合体の重合度は2以上500以下、好ましくは2以上200以下、更に好ましくは2以上100以下である。
【0102】
一般式(VIII)のRが疎水性基の場合の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0103】
【化43】
Figure 0003568056
【0104】
【化44】
Figure 0003568056
【0105】
【化45】
Figure 0003568056
【0106】
【化46】
Figure 0003568056
【0107】
【化47】
Figure 0003568056
【0108】
【化48】
Figure 0003568056
【0109】
【化49】
Figure 0003568056
【0110】
【化50】
Figure 0003568056
【0111】
本発明の一般式(VIII)で表される化合物に関し、Pは上記構造単位A及びBのうちの少なくとも1つを含む重合体である。構造単位Aとしては具体的には、ビニルアルコール、α−メチルビニルアルコール、α−プロピルビニルアルコール等が挙げられる。構造単位Bとしては酢酸ビニル、蟻酸ビニル、プロピオン酸ビニル及びこれらのα置換体が挙げられる。
【0112】
重合体Pは、更に下記構造単位Cを含んでもよく、例えばアクリル酸、メタクリル酸又はクロトン酸(それぞれアンモニウム塩、又はNa、K等の金属塩を含む)、マレイン酸又はイタコン酸(それぞれモノアルキルエステル、アンモニウム塩、又はNa、K等の金属塩を含む)、ビニルホスホン酸、ビニル硫酸、アクリルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、2−アクリルアミド−3−メチルプロパンスルホン酸又は2−メタクリルアミド−3−メチルプロパンスルホン酸(それぞれアンモニウム塩、又はNa、K等の金属塩を含む)、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド又はメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等の水中でイオン解離する単量体単位が挙げられる。
【化80】
Figure 0003568056
ここで、R 3 は水素原子またはメチル基を表し、R 4 は水素原子、メチル基、カルボキシメチル基(アンモニウムまたは金属塩を含む)またはシアノ基を表し、Xは水素原子、カルボキシル基(アンモニウムまたは金属塩を含む)またはカルバモイル基を表し、Yはカルボキシル基(アンモニウムまたは金属塩を含む)、スルホ基(アンモニウムまたは金属塩を含む)、スルホキシ基(アンモニウムまたは金属塩を含む)、スルホメチル基(アンモニウムまたは金属塩を含む)、−CONHC(CH 3 2 CH 2 SO 3 H基(アンモニウムまたは金属塩を含む)または−CONHCH 2 CH 2 CH 2 + (CH 3 3 Cl - 基を表す。
【0113】
これらの中で構造単位Aとしては、ビニルアルコール単位が、構造単位Bとしては酢酸ビニル単位が、また構造単位Cとしてはカルボン酸(アンモニウム塩、又はNa、K等の金属塩を含む)又はスルホン酸(アンモニウム塩、又はNa、K等の金属塩を含む)がより好ましい単位である。
【0114】
上記構造単位A、B及びCの含量については特に制限はないが、構造単位Cの含量が1モル%以下の場合、一般式(VIII)で表される重合体が水溶性又は水分散性であるためには、構造単位Aの含量は50モル%〜100モル%であるのが好ましい。
【0115】
本発明で好ましく用いられる一般式(VIII)で表される化合物は水溶性から水分散性まで広い範囲のものを含む。本発明で好ましく用いられる一般式(VIII)で表される化合物が水溶性又は水分散性である限りにおいては、Pが上記構造単位A、B及びC以外の構造単位を含むことも何ら差し支えなく、これらの構造単位として、例えばエチレン、プロピレン、イソプテン、アクリロニロリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル又はフッ化ビニル単位が挙げられる。
【0116】
該Pの重合度は10〜3500、好ましくは10〜2000、更に好ましくは10〜1000、特に好ましくは10〜500である。
【0117】
構造単位A及びBにおけるRの低級アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が挙げられ、特にメチル基が好ましい。また、該アルキル基はヒドロキシル基、アミド基、カルボキシル基、スルホン酸基、スルフィン酸基、スルホンアミド基等により置換されていてもよい。
【0118】
親水性コロイド層のバインダーとして、写真性、製造適性、物理性などの理由でゼラチンが最も一般的に用いられる。一般式(VIII)で表される化合物をゼラチンに対して1重量%以上の割合で混合して用いる場合、ゼラチンと相溶する組成の化合物が好ましい。そのような化合物としては、構造単位Bが50モル%以下、構造単位Cがカルボキシル基を含み且つ該カルボキシル基が単位あたり1個の場合その含率が5モル%以上、好ましくは10モル%以上、特に好ましくは15モル%以上であり、該カルボキシル基が単位あたりn個の場合その含率は上記の1/nが好ましい。ゼラチンとの相溶性の観点より特に好ましい一般式(VIII)で表される化合物としては、構造単位Aがビニルアルコールで含率が50モル%以上、構造単位Bが酢酸ビニルで40モル%以下、構造単位Cがイタコン酸(アンモニウム塩、又はNa、K等の金属塩を含む)で2モル%以上である重合体である。
【0119】
また写真要素は通常親水性バインダーの多層構成よりなるが、層構成によってはある層のバインダーとして、一般式(VIII)で表される化合物を単独で用いることもでき、そのような場合にはゼラチンと相溶性が十分でないものも用いることができる。
【0120】
一般式(VIII)で表される化合物は、本発明の感材の用途により、これを構成するP及びRの最適化学組成、分子量等は異なるが、どの目的においても、PとRの重量比が0.001≦R/P≦2、より好ましくは0.01≦R/P≦1の組成を有するものが特に好ましい。
【0121】
本発明における一般式(VIII)で表わされる化合物の具体例を表−Aに挙げるが、これに限定されるものではない。
【0122】
【表1】
Figure 0003568056
【0123】
【表2】
Figure 0003568056
【0124】
【表3】
Figure 0003568056
【0125】
【表4】
Figure 0003568056
【0126】
本発明における一般式(VIII)の化合物の使用量は、使用する固体微粒子分散物の物性、量によって異なるが、通常0.001g/m〜10g/m、好ましくは0.002g/m〜5g/mである。この範囲であると塗布面均一性の良化の点で好ましい。
本発明において一般式(VIII)の化合物は、分散物を調製する際の分散剤として用いても、分散後に共存させても、塗布直前に共存させてもよい。
【0127】
一般式(VIII)で表される化合物は、例えば、特開昭62−288643号、同61−254237号、同61−254238号、同61−254239号、同61−254240号等の公報に記載される方法によって合成することができる。また、一般式(VIII)の重合体におけるRがアルキル基の場合は、市販品としても入手可能である(例えば、株式会社クラレ製MP−103、MP−203、MP102など)。
【0128】
本発明で好ましく用いられる式(I)〜(VI)で表される各カプラーの含有量は、銀モル当たり1×10−3モル〜1モルが好ましい。
【0129】
一般式(I)および(II)中、好ましくは、Yで表されるカップリング離脱基としては、離脱原子として窒素原子を有する含窒素ヘテロ環基や離脱原子として酸素原子を有するアリールオキシ基が挙げられる。更に好ましくは前記の含窒素ヘテロ環基が好ましい。
以下、一般式(I)および(II)で表される化合物の好ましい例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0130】
【化51】
Figure 0003568056
【0131】
【化52】
Figure 0003568056
【0132】
【化53】
Figure 0003568056
【0133】
【化54】
Figure 0003568056
【0134】
【化55】
Figure 0003568056
【0135】
一般式〔III〕において、RおよびRで表わされる置換フェニル基の置換基としては、直鎖、分岐鎖、もしくは環状の脂肪族基(例えば、メチル基、ブチル基、へキサデシル基、シクロヘキシル基、プロペニル基、2−オクタデセニル基、プロパルギル基、等)、芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、等)、複素環基(例えば、2−ピリジル基、2−イミダゾリル基、2−フリル基、6−キノリル基、等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、2,4−ジ−tert−アミノフェノキシ基、2−クロロフェノキシ基など)、カルボキシル基、アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基など)、エステル基(例えば、メトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基、ブトキシスルホニル基、トルエンスルホニルオキシ基など)、アミド基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基など)、シリル基(トリメチルシリル基など)、シリルオキシ基、シリルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基など)、ジアルキルカルバモイル基(例えば、ジメチルカルバモイル基)、アリールカルバモイル基(例えば、フェニルカルバモイル基)、脂肪族スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基)、芳香族スルホンアミド基(例えば、フェニルスルホンアミド基)、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基(例えば、エチルスルファモイル基)、ジアルキルスルフアモイル基(例えば、ジメチルスルファモイル基)、モノもしくはジアルキルアミノ基、スルファミド基(例えば、ジプロピルスルファモイルアミノ基など)、イミド基(例えば、サクシンイミド基、ヒダントイニル基など)、ウレイド基(例えば、フェニルウレイド基、ジメチルウレイド基など)、脂肪族スルホニル基(例えば、メタンスルホニル基など)、芳香族スルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基など)、脂肪族もしくは芳香族チオ基(例えば、エチルチオ基、フェニルチオ基など)、ヒドロキシ基、シアノ基、チオシアナト基、ニトロ基及びハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)などが挙げられ、2個以上の置換基を有するときは互いに同じでも異なっていてもよい。
【0136】
が、現像主薬の酸化体とのカップリング反応時離脱しうる基を表わす時、その具体例を挙げると、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、アルコキシ基(例えばエ卜キシ基、ドデシルオキシ基、メトキシエチルカルバモイルメトキシ基、カルボキシプロピルオキシ基、メチルスルホニルエトキシ基など)、アリールオキシ基(例えば4−クロロフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−カルボキシフェノキシ基など)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基、テトラデカノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基など)、脂肪族もしくは芳香族スルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ基、トルエンスルホニルオキシ基など)、アシルアミノ基(例えばジクロルアセチルアミノ基、へプタフルオロブチリルアミノ基など)、脂肪族もしくは芳香族スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド基、p−トルエンスルホニルアミノ基など)、アルコキシカルボニルオキシ基(例えばエトキシカルボニルオキシ基、ベンジルオキシカルボニルオキシ基など)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えばフェノキシカルボニルオキシ基など)、脂肪族・芳香族もしくは複素環チオ基(例えばエチルチオ基、フェニルチオ基、テトラゾリルチオ基など)、カルバモイルアミノ基(例えばN−メチルカルバモイルアミノ基、N−フェニルカルバモイルアミノ基など)、5員もしくは6員の含窒素へテロ環基(例えばイミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、1,2−ジヒドロ−2−オキソ−1−ピリジル基など)、イミド基(例えばスクシンイミド基、ヒダントイニル基など)、芳香族アゾ基(例えばフェニルアゾ基など)などがあり、これらの基はさらにRおよびRが置換フェニル基を表わすときの置換基で置換されていてもよい。また、炭素原子を介して結合した離脱基として、アルデヒド類又はケトン類で四当量カプラーを縮合して得られるビス型カプラーの場合も含まれる。
【0137】
上記のうち、より好ましい離脱基は、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、スルホニルオキシ基、アシルアミノ基である。
一般式〔III〕において、R、R、またはZのいずれかが2価あるいはそれ以下の多価の基となり、2量体以下の多量体を形成する場合や、高分子主鎖と連結し、高分子状カプラーを形成する場合も含まれる。
【0138】
一般式〔III〕で表わされるピラゾロンカプラーの中で下記一般式〔IIIa〕で示されるピラゾロンカプラーに対して本発明の効果がより有効に発揮される。
【0139】
【化56】
Figure 0003568056
【0140】
式中、Rは、一般式〔III〕において、RおよびRが置換フェニル基を表わす場合有する置換基と同じ意味を表わす。
一般式〔III 〕で表わされる化合物の中で、特に好ましいマゼンタカプラーはZが置換または無置換のアリールチオ基である。
一般式〔III〕で表わされる化合物の化合物例、合成方法等は例えば特開昭49−111631、同54−48540、同55−62454、同55−118034、同56−38043、同56−80045、同56−126833、同57−4044、同57−35858、同57−94752、同58−17440、同58−50537、同58−85432、同58−117546、同58−126530、同58−145944、同58−205151、特開昭54−170、同54−10491、同54−21258、同53−46452、同53−46453、同57−36577、特開昭58−110596、同58−132134、同59−26729、米国特許3227554、同3432521、同4310618、同4351897等に記載されている。
【0141】
本発明に含まれる一般式〔III〕で表わされる代表的なマゼンタカプラー例を示すが、これによって何等限定されるものではない。
【0142】
【化57】
Figure 0003568056
【0143】
【化58】
Figure 0003568056
【0144】
【化59】
Figure 0003568056
【0145】
【化60】
Figure 0003568056
【0146】
一般式〔IV〕で表わされるカプラーのうち好ましい化合物は、1H−イミダゾ〔1,2−b〕ピラゾール類、1H−ピラゾロ〔1,5−b〕ピラゾール類、1H−ピラゾロ〔5,1−C〕〔1,2,4〕トリアゾール類、1H−ピラゾロ〔1,5−b〕〔1,2,4〕トリアゾール類、1H−ピラゾロ〔1,5−d〕テトラゾール類及び1H−ピラゾロ〔1,5−a〕ベンズイミダゾール類であり、これらのうち特に好ましい化合物は〔IVa〕と〔IVb〕である。
【0147】
【化61】
Figure 0003568056
【0148】
前記一般式〔IVa〕および〔IVb〕の置換基R11およびR12について詳細に説明する。R11およびR12は脂肪族基、芳香族基または複素環基を表わす。
これらの基はさらに置換基(例えばハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、スルホニルオキシ基、アシル基、スルホニル基、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ウレイド基、スルフィニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シアノ基等)を有するものも含まれる。R11、R12及びR13は更に水素原子または上記( )内のハロゲン原子以下の置換基を表わすが、これらのうち、好ましくはアルキル基、アリール基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基である。
【0149】
は、一般式〔III〕において、Zで説明したのと同じ意味を表わす。
がカップリング離脱基を表わすとき、より好ましいものは、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、スルホニルオキシ基、アシルアミノ基である。
また、炭素原子を介して結合した離脱基として、アルデヒド類またはケトン類で4当量カプラー2分子を縮合して得るれるビス型カプラーがある。
【0150】
11、R12、R13またはZのいずれかが、2価あるいはそれ以上の多価の基となり、2量体あるいは多量体を形成する場合や、高分子主鎖と連結し、高分子状カプラーを形成する場合も含まれる。
上記〔IVa〕および〔IVb〕の一般式で表わされるカプラーの化合物例や合成法等は、以下に示す文献等に記載されている。
【0151】
一般式〔IVa〕の化合物は、特公昭47−27411号等に、一般式〔IVb〕の化合物は、特開昭59−171956号、同60−172982号等に、それぞれ記載されている。
また、特開昭58−42045、特開昭59−214854、同59−177553、同59−177554および同59−177557各号等に記載されている高発色性バラスト基は、上記一般式〔IVa〕、〔IVb〕の化合物のいずれにも適用される。
【0152】
本発明に用いるピラゾロアゾール系カプラーの具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0153】
【化62】
Figure 0003568056
【0154】
次に本発明で用いるシアンカプラーを表わす一般式(V)について詳細に説明する。RおよびRは炭素数1〜31の脂肪族基(例えば、メチル基、ブチル基、オクチル基、トリデシル基、iso−へキサデシル基、シクロヘキシル基など)、アリール基(例えばフェニル基、ナフチル基、2−ピリジル基、2−チアゾリル基、2−イミダゾリル基、2−フリル基、6−キノリル基など)を表わし、これらは、アルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、2−メトキシエトキシ基、テトラデシルオキシ基などアリールオキシ基(例えば、2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ基、2−クロロフェノキシ基、4−シアノフェノキシ基、4−ブタンスルホンアミドフェノキシ基など)、アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基など)、エステル基(例えばエトキシカルボニル基、2,4−ジ−tert−アミルフェノキシカルボニル基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基、ブトキシスルホニル基、トルエンスルホニルオキシ基など)、アミド基(例えば、アセチルアミノ基、ブタンスルホンアミド基、ドデシルベンゼンスルホンアミド基、ジプロピルスルファモイルアミノ基など)、カルバモイル基(例えば、ジメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基など)、スルファモイル基(例えばブチルスルファモイル基など)、イミド基(例えば、サクシンイミド基、ヒダントニル基など)、ウレイド基(例えばフェニルウレイド基、ジメチルウレイド基など)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、カルボキシメタンスルホニル基、フェニルスルホニル基など)、脂肪族もしくは芳香族チオ基(例えば、ブチルチオ基、フェニルチオ基など)、ヒドロキシル基、シアノ基、カルボキシル基、ニトロ基、スルホ基、ハロゲン原子などの中から選ばれた基で置換されていてもよい。置換基を2個以上もつ場合には、互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0155】
また、前記一般式(V)において、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アシルアミノ基もしくはRと共に含窒素の5ないし6員環を形成する非金属原子群を表わす。
さらに前記一般式(V)で表わされるシアンカプラーの好ましい例は次の通りである。
【0156】
一般式(V)において好ましくはRはアリール基、複素環基であり、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基;アシル基、カルバモイル基、スルホンアミド基、スルファモイル基、スルホニル基、スルファミド基、オキシカルボニル基、シアノ基で置換されたアリール基であることがさらに好ましい。
【0157】
一般式(V)においてRとRで環を形成しない場合、Rは好ましくは置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基であり、特に好ましくは置換アリールオキシ置換のアルキル基であり、Rは好ましくは水素原子である。
以下、本発明で用いられるシアンカプラーの具体例を例示する。
【0158】
【化63】
Figure 0003568056
【0159】
【化64】
Figure 0003568056
【0160】
一般式〔VI〕において、Rで表わされる脂肪族基は直鎖状もしくは環状のいずれでもよく、好ましい炭素数は1ないし32であり、飽和でも不飽和のいずれでもよく、メチル基、ブチル基、ヘキサデシル基、アリル基、シクロヘキシル基、プロペニル基、プロパルギル基などが代表的な例として挙げられ、Rで表わされるアリール基としてはフェニル基、ナフチル基などが代表的な例として挙げられ、Rで表わされる複素環基としては2−ピリジル基、2−フリル基、6−キノリル基などが代表的な例として挙げられ、これらの基は次に列挙するような置換基(置換原子を含む。以下同じ)を1つ以上有していてもよい。許容される置換基としては脂肪族基(例えば、メチル基、アリル基、シクロペンチル基など)、芳香族基(例えばフェニル基、ナフチル基など)、複素環基(例えば2−ピリジル基、2−イミダゾリル基、2−フリル基、6−キノリル基など)、脂肪族オキシ基(例えばメトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−プロペニルオキシ基など)、芳香族オキシ基(例えば2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ基、4−シアノフェノキシ基、2−クロロフェノキシ基など)、アシル基(例えばアセチル基、ベンゾイル基など)、エステル基(例えばブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基、ブトキシスルホニル基、トルエンスルホニルオキシ基など)、アミド基(例えばアセチルアミノ基、メタンスルホンアミド基、エチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、ブチルスルファモイル基など)、イミド基(例えばサクシンイミド基、ヒダントイニル基など)、ウレイド基(例えばフェニルウレイド基、ジメチルウレイド基など)、脂肪族もしくは芳香族スルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、フェニルスルホニル基など)、脂肪族もしくは芳香族チオ基(例えばフェニルチオ基、エチルチオ基など)、ヒドロキシル基、シアノ基、カルボキシル基、ニ卜ロ基、スルホン酸基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子など)があり、2つ以上の置換基があるときは同じでも異っていてもよい。
【0161】
一般式〔VI〕においてRは置換基を有するメチル基を表わし、ここでいう置換基とはRで許容された置換基でよい。
一般式〔VI〕においてRのアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシルアミノ基にはRで許容された置換基で置換されていてもよい。RはRと環を形成していてもよい。
【0162】
一般式〔VI〕において好ましいRとしては置換基を有していてもよいアルキル基であって、なかでも置換アリールオキシアルキル基が特に好ましい。
一般式〔VI〕において好ましいRとしては炭素数2以上のアルキル基、もしくはアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アリールセレノ基で置換されたアルキル基(特にメチル基が好ましい)である。特にエチル基が好ましい。
【0163】
一般式〔VI〕において好ましいRは水素原子、ハロゲン原子であり、特に好ましいのは塩素原子である。
前記一般式〔VI〕において、Yがカップリング離脱基(以下、離脱基と呼ぶ)を表わすとき、該離脱基は酸素、窒素、イオウもしくは炭素原子を介してカップリング活性炭素と、脂肪族基、芳香族基、複素環基、脂肪族・芳香族もしくは複素環スルホニル基、脂肪族・芳香族もしくは複素環カルボニル基とを結合するような基、ハロゲン原子、芳香族アゾ基などであり、これらの離脱基に含まれる脂肪族、芳香族もしくは複素環基は、Rで許容される置換基で置換されていてもよく、これらの置換基が2つ以上のときは同じでも異っていてもよく、これらの置換基がさらにRに許容される置換基を有していてもよい。
【0164】
カップリング離脱基の具体例を挙げると、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子など〕、アルコキシ基(例えばエトキシ基、ドデシルオキシ基、メトキシエチルカルバモイルメトキシ基、カルボキシルプロピルオキシ基、メチルスルホニルエトキシ基など)、アリールオキシ基(例えば4−クロロフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−カルボキシフェノキシ基など)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基、テトラデカノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基など)、脂肪族もしくは芳香族スルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ基、トルエンスルホニルオキシ基など)、アシルアミノ基(例えばジクロルアセチルアミノ基、ヘプタフルオロブチルアミノ基など)、脂肪族もしくは芳香族スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミノ基、p−トルエンスルホニルアミノ基など)、アルコキシカルボニルオキシ基(例えばエトキシカルボニルオキシ基、ベンジルオキシカルボニルオキシ基など)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えばフェノキシカルボニルオキシ基など)、脂肪族・芳香族もしくは複素環チオ基(例えばエチルチオ基、フェニルチオ基、テトラゾリルチオ基など)、カルバモイルアミノ基(例えばN−メチルカルバモイルアミノ基、N−フェニルカルバモイルアミノ基など)、5員もしくは6員の含窒素へテロ環基(例えばイミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、1,2−ジヒドロ−2−オキソ−1−ピリジル基など)、イミド基(例えばスクシンイミド基、ヒダントイニル基など)、芳香族アゾ基(例えばフェニルアゾ基など)などがあり、これらの基はさらにRの置換基として許容された基で置換されていてもよい。また、炭素原子を介して結合した離脱基として、アルデヒド類又はケトン類で四当量カプラーを縮合して得られるビス型カプラーがある。本発明の離脱基は、現像抑制剤、現像促進剤など写真的有用基を含んでいてもよい。各一般式における好ましい離脱基の組み合せについては後述する。
【0165】
一般式〔VI〕における好ましいYは水素原子、ハロゲン原子で塩素原子が特に好ましい。
一般式〔VI〕で表されるカプラーの好ましい具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0166】
【化65】
Figure 0003568056
【0167】
【化66】
Figure 0003568056
【0168】
【化67】
Figure 0003568056
【0169】
次に本発明のハロゲン化銀写真感光材料の写真層等について記載する。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、カラーネガフィルム、反転フィルム、映画用カラーネガフィルム、カラーポジフィルム、映画用ポジフィルムなど一般用、映画用カラー感光材料や、黒白のネガフィルム、マイクロフィルム、X−レイフィルムなどの黒白感光材料に適用することができる。
【0170】
本発明が黒白感光材料に適用される場合に用いられる種々の添加剤、現像処理方法等については特に制限はなく、例えば特開平2−68539号公報、同5−11389号公報、および同2−58041号公報の下記該当個所のものを好ましく用いることができる。
【0171】
1.ハロゲン化銀乳剤とその製法:特開平2−68539号公報第8頁右下欄下から6行目〜同第10頁右上欄12行目。
2.化学増感方法:同第10頁右上欄13行目〜同左下欄16行目、特開平5−11389号に記載のセレン増感法。
3.カブリ防止剤・安定剤:特開平2−68539号公報第10頁左下欄17行目〜同第11頁左上欄7行目及び同第3頁左下欄2行目〜同第4頁左下欄。
4.分光増感色素:同第4頁右下欄4行目〜同第8頁右下欄及び特開平2−58041号公報第12頁左下欄8行目〜同右下欄19行目。
5.界面活性剤・帯電防止剤:特開平2−68539号公報第11頁左上欄14行目〜同第12頁左上欄9行目及び特開平2−58041号第2頁左下欄14行目〜第5頁12行目。
6.マット剤・可塑剤・滑り剤:同第12頁左上欄10行目〜同右上欄10行目及び特開平2−58041号公報第5頁左下欄13行目〜同第10頁左下欄3行目。
7.親水性コロイド:特開平2−68539号公報第12頁右上欄11行目〜同左下欄16行目。
8.硬膜剤:同第12頁左下欄17行目〜同第13頁右上欄6行目。
9.現像処理方法:同第15頁左上欄14行目〜同左下欄13行目。
【0172】
本発明がカラー感光材料に適用される場合は、透明支持体上に少なくとも1層の感光性層が設けられていればよい。典型的な例としては、透明支持体上に、実質的に感色性は同じであるが感光度の異なる複数のハロゲン化銀乳剤層から成る感光性層を少なくとも1つ有するハロゲン化銀写真感光材料である。該感光性層は青色光、緑色光、および赤色光の何れかに感色性を有する単位感光性層であり、多層ハロゲン化銀カラー写真感光材料においては、一般に単位感光性層の配列が、支持体側から順に赤感色性層、緑感色性層、青感色性層の順に設置される。しかし、反射型カラー感材では上記設置順が逆である。また同一感色性層中に異なる感光性層が挟まれたような設置順をもとり得る。上記のハロゲン化銀感光性層の間および最上層、最下層には非感光性層を設けてもよい。これらには、後述のカプラー、DIR化合物、混色防止剤等が含まれていてもよい。各単位感光性層を構成する複数のハロゲン化銀乳剤層は、DE 1,121,470あるいはGB 923,045に記載されているように高感度乳剤層、低感度乳剤層の2層を、支持体に向かって順次感光度が低くなる様に配列するのが好ましい。また、特開昭57−112751、同62−200350、同62−206541、同62−206543各号公報に記載されているように支持体より離れた側に低感度乳剤層、支持体に近い側に高感度乳剤層を設置してもよい。
【0173】
撮影用感材において用いられる好ましいハロゲン化銀は約0.5モル%から約30モル%のヨウ化銀を含む、ヨウ臭化銀、ヨウ塩化銀、もしくはヨウ塩臭化銀である。特に好ましいのは約2モル%から約10モル%までのヨウ化銀を含むヨウ臭化銀もしくはヨウ塩臭化銀である。また、反射型感材や映画用カラーポジフィルムに用いられる好ましいハロゲン化銀は塩臭化銀や塩化銀であり、特に塩化銀含有率が95モル%以上で残りが臭化銀(沃化銀)であるものが好ましい。
【0174】
写真乳剤中のハロゲン化銀粒子は、立方体、八面体、十四面体のような規則的な結晶を有するもの、球状、板状のような変則的な結晶形を有するもの、双晶面などの結晶欠陥を有するもの、あるいはそれらの複合形でもよい。
ハロゲン化銀の粒径は、約0.2μm以下の微粒子でも投影面積直径が約10μmに至るまでの大サイズ粒子でもよく、多分散乳剤でも単分散乳剤でもよい。
【0175】
本発明に使用できるハロゲン化銀写真乳剤は、例えばリサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)No.17643(1978年12月), 22〜23頁,“I.乳剤製造(Emulsion preparation and types)”、および同No.18716(1979年11月), 648頁、同No.307105(1989年11月), 863〜865頁、およびグラフキデ著「写真の物理と化学」,ポールモンテル社刊(P. Glafkides,Chemie et Phisique Photographique, Paul Montel, 1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」,フォーカルプレス社刊(G.F. Duffin, Photographic Emulsion Chemistry, Focal Press, 1966)、ゼリクマンら著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V.L. Zelikman, et al., Making and Coating Photographic Emulsion, Focal Press, 1964)などに記載された方法を用いて調製することができる。
【0176】
US 3,574,628、同3,655,394およびGB 1,413,748に記載された単分散乳剤も好ましい。
また、アスペクト比が約3以上であるような平板状粒子も本発明に使用できる。平板状粒子は、ガトフ著、フォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Gutoff, Photographic Science and Engineering)、第14巻248〜257頁(1970年); US 4,434,226、同4,414,310、同4,433,048、同4,439,520およびGB
2,112,157 に記載の方法により簡単に調製することができる。
【0177】
結晶構造は一様なものでも、内部と外部とが異質なハロゲン組成からなるものでもよく、層状構造をなしていてもよい。エピタキシャル接合によって組成の異なるハロゲン化銀が接合されていてもよく、例えばロダン銀、酸化鉛などのハロゲン化銀以外の化合物と接合されていてもよい。また種々の結晶形の粒子の混合物を用いてもよい。
【0178】
上記の乳剤は潜像を主として表面に形成する表面潜像型でも、粒子内部に形成する内部潜像型でも表面と内部のいずれにも潜像を有する型のいずれでもよいが、ネガ型の乳剤であることが必要である。内部潜像型のうち、特開昭63−264740号公報に記載のコア/シェル型内部潜像型乳剤であってもよく、この調製方法は特開昭59−133542号公報に記載されている。この乳剤のシェルの厚みは現像処理等によって異なるが、3〜40nmが好ましく、5〜20nmが特に好ましい。
【0179】
ハロゲン化銀乳剤は、通常、物理熟成、化学熟成および分光増感を行ったものを使用する。このような工程で使用される添加剤はRDNo.17643、同No.18716および同No.307105に記載されており、その該当箇所を後掲の表にまとめた。
本発明の感光材料には、感光性ハロゲン化銀乳剤の粒子サイズ、粒子サイズ分布、ハロゲン組成、粒子の形状、感度の少なくとも1つの特性の異なる2種類以上の乳剤を、同一層中に混合して使用することができる。
【0180】
US 4,082,553に記載の粒子表面をかぶらせたハロゲン化銀粒子、US 4,626,498、特開昭59−214852に記載の粒子内部をかぶらせたハロゲン化銀粒子、コロイド銀を感光性ハロゲン化銀乳剤層および/または実質的に非感光性の親水性コロイド層に適用することが好ましい。粒子内部または表面をかぶらせたハロゲン化銀粒子とは、感光材料の未露光部および露光部を問わず、一様に(非像様に)現像が可能となるハロゲン化銀粒子のことをいい、その調製法は、US 4,626,498、特開昭59−214852に記載されている。粒子内部がかぶらされたコア/シェル型ハロゲン化銀粒子の内部核を形成するハロゲン化銀は、ハロゲン組成が異なっていてもよい。粒子内部または表面をかぶらせたハロゲン化銀としては、塩化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀のいずれをも用いることができる。これらのかぶらされたハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズとしては0.01〜0.75μm、特に0.05〜0.6μmが好ましい。また、粒子形状は規則的な粒子でもよく、多分散乳剤でもよいが、単分散性(ハロゲン化銀粒子の重量または粒子数の少なくとも95%が平均粒子径の±40%以内の粒子径を有するもの)であることが好ましい。
【0181】
本発明の感光材料の塗布銀量は、6.0g/m以下が好ましく、4.5g/m以下が最も好ましい。
【0182】
本発明に使用できる写真用添加剤もRDに記載されており、下記の表に関連する記載箇所を示した。
Figure 0003568056
【0183】
本発明の感光材料にはその他の下記カプラーも使用することができる。
イエローカプラー:EP 502,424A の式(I),(II)で表わされるカプラー;EP 513,496Aの式(1),(2)で表わされるカプラー(特に18頁のY−28);特開平5−307248号公報の請求項1の一般式(I) で表わされるカプラー;US 5,066,576のカラム1の45〜55行の一般式(I)で表わされるカプラー;特開平4−274425号公報の段落0008の一般式(I)で表わされるカプラー;EP 498,381A1の40頁のクレーム1に記載のカプラー(特に18頁のD−35); EP 447,969A1の4頁の式(Y)で表わされるカプラー(特にY−1(17頁),Y−54(41頁)); US 4,476,219のカラム7の36〜58行の式(II)〜(IV)で表わされるカプラー(特にII−17, 19(カラム17), II−24(カラム19))。
【0184】
マゼンタカプラー;特開平3−39737(L−57(11頁右下), L−68(12頁右下), L−77(13頁右下)); EP 456,257のA−4 −63(134頁), A−4 −73, −75(139頁); EP 486,965のM−4, −6(26頁), M−7(27頁);特開平6−43611の段落0024のM−45, 特開平5−204106の段落0036のM−1;特開平4−362631の段落0237のM−22。
シアンカプラー:特開平4−204843のCX−1, 3, 4, 5, 11, 12, 14, 15(14〜16頁);特開平4−43345のC−7, 10(35頁), 34, 35(37頁), (I−1), (I−17)(42〜43頁);特開平6−67385の請求項1の一般式(Ia)または(Ib)で表わされるカプラー。
ポリマーカプラー:特開平2−44345のP−1, P−5(11頁)。
【0185】
発色色素が適度な拡散性を有するカプラーとしては、US 4,366,237、GB 2,125570、EP 96,873B、DE 3,234,533に記載のものが好ましい。
発色色素の不要吸収を捕正するためのカプラーは、EP 456,257A1の5頁に記載の式(CI), (CII), (CIII), (CIV)で表わされるイエローカラードシアンカプラー(特に84頁のYC−86)、該EPに記載のイエローカラードマゼンタカプラーExM−7(202頁、EX−1(249頁)、EX−7(251頁)、US 4,833,069に記載のマゼンタカラードシアンカプラーCC−9(カラム8)、CC−13(カラム10)、US 4,837,136の(2)(カラム8)、W092/11575のクレーム1の式(A) で表わされる無色のマスキングカプラー(特に36〜45頁の例示化合物)が好ましい。
【0186】
現像主薬酸化体と反応して写真的に有用な化合物残基を放出する化合物(カプラーを含む)としては、以下のものが挙げられる。現像抑制剤放出化合物:EP 378,236A1の11頁に記載の式(I),(II),(III),(IV)で表わされる化合物(特にT−101(30頁), T−104(31頁), T−113(36頁), T−131(45頁), T−144(51頁), T−158(58頁)), EP 436,938A2の7頁に記載の式(I) で表わされる化合物(特にD−49(51頁))、特開平5−307248の式(1)で表わされる化合物(特に没落0027の(23))、EP 440,195A2の5〜6頁に記載の式(I),(II),(III)で表わされる化合物(特に29頁のI−(1)); 漂白促進剤放出化合物: EP 310,125A2の5頁の式(I),(I′)で表わされる化合物(特に61頁の(60),(61))及び特開平6−59411の請求項1の式(I)で表わされる化合物(特に段落0022の(7)); リガンド放出化合物:US 4,555,478のクレーム1に記載のLIG−X で表わされる化合物(特にカラム12の21〜41行目の化合物);ロイコ色素放出化合物; US 4,749,641のカラム3〜8の化合物1〜6;蛍光色素放出化合物:US 4,774,181のクレーム1のCOUP−DYEで表わされる化合物(特にカラム7〜10の化合物1〜11);現像促進剤又はカブラセ剤放出化合物:US 4,656,123のカラム3の式(1)、(2)、(3)で表わされる化合物(特にカラム25の(I−22))及びEP 450,637A2の75頁36〜38行目のExZK−2;離脱して初めて色素となる基を放出する化合物: US 4,857,447のクレーム1の式(I) で表わされる化合物(特にカラム25〜36のY−1〜Y−19)。
【0187】
カプラー以外の添加剤としては、以下のものが好ましい。
油溶性有機化合物の分散媒:特開昭62−215272のP−3, 5, 16, 19, 25, 30, 42,49, 54, 55, 66, 81, 85, 86, 93(140〜144頁);油溶性有機化合物の含浸用ラテックス:US 4,199,363に記載のラテックス;現像主薬酸化体スカベンジャー:US 4,978,606のカラム2の54〜62行の式(I)で表わされる化合物(特にI−,(1),(2),(6),(12)(カラム4〜5)、US 4,923,787のカラム2の5〜10行の式(特に化合物1(カラム3);ステイン防止剤:EP 298321Aの4頁30〜33行の式(I)〜(III),特にI−47, 72, III−1, 27(24〜48頁);褪色防止剤:EP 298321AのA−6, 7, 20, 21, 23, 24, 25, 26, 30, 37, 40, 42, 48, 63, 90, 92, 94, 164(69〜118頁), US 5,122,444のカラム25〜38のII−1〜III−23, 特にIII−10, EP 471347Aの8〜12頁のI−1〜III−4,特にII−2, US 5,139,931のカラム32〜40のA−1〜48, 特にA−39, 42;発色増強剤または混色防止剤の使用量を低減させる素材:EP 411324Aの5〜24頁のI−1〜II−15,特にI−46;ホルマリンスカベンジャー:EP 477932Aの24〜29頁のSCV−1〜28, 特にSCV−8;硬膜剤:特開平1−214845の17頁のH−1, 4, 6, 8, 14, US 4,618,573のカラム13〜23の式(VII)〜(XII)で表わされる化合物(H−1〜54),特開平2−214852の8頁右下の式(6)で表わされる化合物(H−1〜76),特にH−14, US 3,325,287のクレーム1に記載の化合物;現像抑制剤プレカーサー:特開昭62−168139のP−24, 37, 39(6〜7頁); US 5,019,492のクレーム1に記載の化合物, 特にカラム7の28〜29;防腐剤、防黴剤:US 4,923,790のカラム3〜15のI−1〜III−43, 特にII−1, 9, 10, 18, III−25;安定剤、かぶり防止剤:US 4,923,793のカラム6〜16のI−1〜(14), 特にI−1, 60, (2),(13), US 4,952,483のカラム25〜32の化合物1〜65, 特に36:化学増感剤:トリフェニルホスフィン セレニド, 特開平5−40324の化合物50;染料:特開平3−156450の15〜18頁のa−1〜b−20, 特にa−1, 12, 18, 27, 35, 36, b−5, 27〜29頁のV−1〜23, 特にV−1, EP 445627Aの33〜55頁のF−I−1〜F−II−43,特にF−I−11, F−II−8, EP 457153Aの17〜28頁のIII−1〜36, 特にIII−1, 3, W088/04794の8〜26のDye−1〜124の微結晶分散体, EP 319999Aの6〜11頁の化合物1〜22, 特に化合物1, EP 519306Aの式(1)ないし(3)で表わされる化合物D−1〜87(3〜28頁), US 4,268,622の式(I) で表わされる化合物1〜22(カラム3〜10), US 4,923,788の式(I)で表わされる化合物(1)〜(31)(カラム2〜9);UV吸収剤: 特開昭46−3335の式(1) で表わされる化合物(18b)〜(18r), 101〜427(6〜9頁),EP 520938Aの式(I) で表わされる化合物(3)〜(66)(10〜44頁)及び式(III)で表わされる化合物HBT−1〜10(14頁), EP 521823Aの式(1)で表わされる化合物(1)〜(31)(カラム2〜9)。
【0188】
本発明の感光材料は、乳剤層を有する側の全親水性コロイド層の膜厚の総和が28μm以下であることが好ましく、23μm以下がより好ましく、18μm以下が更に好ましく、16μm以下が特に好ましい。また膜膨潤速度T1/2は30秒以下が好ましく、20秒以下がより好ましい。T1/2は、発色現像液で30℃、3分15秒処理した時に到達する最大膨潤膜厚の90%を飽和膜厚としたとき、その膜厚が1/2に到達するまでの時間と定義する。膜厚は、25℃相対湿度55%調湿下(2日)で測定した膜厚を意味し、T1/2は、エー・グリーン(A.Green)らのフォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング (Photogr. Sci. Eng), 19巻、2, 124〜129頁に記載の型のスエロメーター(膨潤計)を使用することにより測定できる。T1/2は、バインダーとしてのゼラチンに硬膜剤を加えること、あるいは塗布後の経時条件を変えることによって調整することができる。また、膨潤率は150〜400%が好ましい。膨潤率とは、さきに述べた条件下での最大膨潤膜厚から、式:(最大膨潤膜厚−膜厚)/膜厚 により計算できる。
【0189】
本発明の感光材料は、乳剤層を有する側の反対側に、乾燥膜厚の総和が2μm〜20μmの親水性コロイド層(バック層と称す)を設けることが好ましい。このバック層には、前述の光吸収剤、フィルター染料、紫外線吸収剤、スタチック防止剤、硬膜剤、バインダー、可塑剤、潤滑剤、塗布助剤、表面活性剤を含有させることが好ましい。このバック層の膨潤率は150〜500%が好ましい。
【0190】
本発明のハロゲン化銀感光材料に使用しうる支持体としては、ガラス板、紙(中性紙や酸性紙をポリエチレンやポリエステルなどの樹脂でラミネートした紙、バライタ紙、ポリプレン系合成紙などを含む)、プラスチックフィルムまたはシート(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、三酢酸セルロースや硝酸セルロースなどのポリエステル;ポリ塩化ビニルなどの樹脂など)など、親水性コロイド層を塗布できる支持体なら、いかなる透過性、半透過性、又は反射性の支持体でも用いることができる。
【0191】
本発明が好ましく適用される映画用ポジフイルムには、透明プラスチック支持対が好ましく用いられる。
【0192】
【実施例】
実施例1
下塗りを施したポリエチレンテレフタレートフイルム支持体(厚さ120μm、乳剤面の反対側にカーボン微粒子を含有したレジン層を透過濃度1.0になるように塗設してある)に、下記に示すような組成の各層を重層塗布し、多層カラー感光材料である試料101を作製した。
(層構成)
以下に各層の組成を示す。数字は塗布量(g/m )を表す。ハロゲン化銀乳剤はハロゲン化銀換算塗布量を表す。
【0193】
Figure 0003568056
【0194】
Figure 0003568056
Figure 0003568056
ここで使用した化合物を以下に示す。
【0195】
【化68】
Figure 0003568056
【0196】
【化69】
Figure 0003568056
【0197】
【化70】
Figure 0003568056
【0198】
【化71】
Figure 0003568056
【0199】
【化72】
Figure 0003568056
【0200】
【化73】
Figure 0003568056
【0201】
各層のゼラチン硬化剤としては、1−オキシ−3,5−ジクロロ−s−トリアジンナトリウム塩を用いた。
またイラジエーション防止のために、乳剤層に下記の染料(かっこ内は塗布量を表す)を添加した。
【0202】
【化74】
Figure 0003568056
【0203】
次に、試料101とは各感光性乳剤層に用いるカラーカプラーとハロゲン化銀乳剤塗布量を表1のように変えることで試料102から106の多層カラー感光材料を作成した。また、表1に試料の総ゼラチン塗布量/総塗布銀量比(ゼラチン/銀比)を記した。
ただし、試料102、103、104、105および106の青感性層のイエローカプラーは試料101のEXYと同じモル塗布量に、試料102、103、104、105および106の赤感性層のシアンカプラーは試料101のEXCと同じモル塗布量に、試料102、103、104、105および106の緑感性層のマゼンタカプラーは試料101のEXMと同じモル塗布量になるように塗布した。
【0204】
次いで、試料101から106に用いた支持体裏面のレジン層を除去し、その代りに下記の化82の導電性ポリマー(0.05g/m)と酸化錫微粒子(0.23g/m)を含有する親水性コロイド層を設け、他方、支持体表面と第一層の間に下記組成の固体微粒子分散状化合物含有層(アンチハレーション層)を新たに設けたことのみが異なる試料107〜112を作成した。
【0205】
【化75】
Figure 0003568056
【0206】
【表5】
Figure 0003568056
【0207】
【化76】
Figure 0003568056
【0208】
【化77】
Figure 0003568056
【0209】
【化78】
Figure 0003568056
【0210】
得られた試料の総ゼラチン塗布量/総塗布銀量比(ゼラチン/銀比)は
試料107、109、110、111=8.10
試料108=6.19
試料112=8.96
であった。これらに対して、各層のゼラチン使用量を比例的に減少させ、調整することで表2に示す試料113から124を作成した。
Figure 0003568056
【0211】
固体微粒子分散物の作成方法
例示化合物(XI−1)のウェットケーキを化合物の正味量が240gになるように秤量し、分散助剤例示化合物(IX−12)を48g秤量し、水を加えて4000gとした。“流通式サンドグラインダーミル(UVM−2)”(アイメックスK.K製)にジルコニアビーズ(0.5mm径)を1.7L充填し、吐出量0.5L/min −1、周速10m/sで2時間粉砕した。分散物を化合物濃度が3重量%となるように希釈した。90℃10時間加熱処理し、P−2を化合物に対し重量比で3%添加した。
【0212】
同様にして化合物(X−42)の分散物を調製し、上記分散物と混合してアンチハレーション層に用いた。
【0213】
【表6】
Figure 0003568056
【0214】
得られた各試料の写真特性の評価を以下のようにして行った。
まず各試料に、鮮鋭度評価用の空間周波数を段階的に変化させた矩形パターンを蒸着したウェッジとB、GおよびRフィルターを介して露光を与え、イーストマンコダック社より公表されているECP−2Bプロセスに従って発色現像処理を施した。処理後の試料の発色濃度パターンをミクロ濃度計で測定することにより、矩形パターンの濃度差の減衰を求め、所謂CTF値を算出した。各試科の鮮鋭度の指標としてCTF値0.8を与える空間周波数を用いた。
【0215】
次に、各試料にセンシトメトリー用の光学ウェッジとB、GおよびRフィルターを介して露光を与え、上記と同様の発色現像処理を施した。このとき、発色現像液の処理時間を標準設定値の3分に対し±30秒変化させた処理も行い、処理条件変動に対する発色濃度変化も試験した。処理後の試料のイエロー、マゼンタおよびシアンの各発色濃度を濃度計を用いて測定し、所謂特性曲線を得た。これらの特性曲線から、感度、コントラスト、およびDmaxを求めた。感度は、被り濃度より1.0高い濃度を与える露光量の逆数で表わし、各試料の標準現像時間処理後の試料の値を100とした相対値で示した。また、コントラストは発色濃度0.4と2.5を与える露光量の対数の差をもって表わした。
【0216】
結果を表3にまとめた。
【0217】
【表7】
Figure 0003568056
【0218】
【表8】
Figure 0003568056
【0219】
【表9】
Figure 0003568056
【0220】
【表10】
Figure 0003568056
【0221】
結果から、本発明の効果は明らかである。即ち、試料101から106に対して、本発明の染料の固体状分散物をアンチハレーション層に用いた試料107から124では、支持体裏面にレジン層を用いた場合と同等以上の鮮鋭度を示す。しかしながら、レンジ層に替えて固体分散染料を有するアンチハレーション層を導入すると処理変動は著しく悪化する。これに対して試料112、118、124の比較、また試料107、113、119の比較から明らかなように、ゼラチン塗布量を調整して塗布銀量に対するゼラチン塗布量の比を7.8以下とすることでこの処理変動を改良することができる。
【0222】
一方、この処理変動の改良効果は、一般式(I)〜(VI)のカプラーを用いた場合にはますます顕著であり、高い鮮鋭度と優れた処理安定性の両立した感光材料を提供することができる。(例えば、試料113に対して試料108、試料113に対して試料115、試料113に対して試料116)
本発明を適用することで、処理時に多量の水洗水量を必要とするレジンバック層を除去しても良好な鮮鋭度を維持し、かつ処理安定性に優れた感光材料を提供することが可能となる。
【0223】
〔参考例〕
染料の固体分散物の調製
例示染料化合物XI−1のウェットケーキを化合物の正味量が8.0gとなるように秤量し、本発明の分散助剤あるいは比較の分散助剤を加え(表4)、水を加えて132gとし、「バッチ式サンドグラインダーミル」(アイメックス社製)に入れた。ジルコニアビーズ(0.5mm径)を400mL添加してから内容物を4.5時間、周速約5m/sで粉砕した。
【0224】
ビーズを濾過により除き、分散物を取り出した後、化合物濃度3重量%となるように稀釈した。次いで分散物を表4の条件で加熱し、さらに本発明の化合物を表4に従って添加した。
得られた分散物に対しゼラチン57.0gと蒸留水を加え、全体のgel濃度が6.0重量%となるように稀釈し、さらにpHを5.1に調整し、アンチハレーション層用塗布液を調製した。
【0225】
染料分散物の製造時の安定性を試験するため、得られた塗布液を調製後20分以内に塗布した試料と、調製後40℃8時間放置してから塗布した試料を作成した。試験塗布にはトリアセチルセルロース透明支持体を用い、染料の塗布量が150mg/mとなるように塗布量を調節した。塗布後の試料の透過濃度を測定することにより、塗布液経時における吸収変化を調べた。結果を表4にまとめた。 これから明らかなように、本発明において染料の固体分散物を用いたアンチハレーション層を作成するにあたって、分散時に一般式(IX−a)あるいは(IX−b)の分散助剤を用いること、分散物に加熱処理を施すこと、そして一般式(VIII)の化合物を添加することは染料分散物を含有した塗布液の経時安定性を高
める上で好ましいことがわかる。また、塗布液の経時安定性が高まることにより塗布面の均一性が改良される。
【0226】
【表11】
Figure 0003568056
【0227】
【発明の効果】
本発明は、写真感光材料の特定層を限定して着色することが可能な染料の固体分散物を有していて、鮮鋭度の優れたしかも現像処理条件の変化に対する安定性に優れたハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供することができる。更に本発明は、感光材料製造時の条件変化に対しても性能の変動しない、安定なハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供することができる。

Claims (7)

  1. 支持体上に少なくとも一層ずつのイエローカプラー含有感光性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタカプラー含有感光性ハロゲン化銀乳剤層およびシアンカプラー含有感光性ハロゲン化銀乳剤層と、少なくとも一層の非感光性層からなる写真構成層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該写真構成層の少なくとも一層に、下記一般式(VII)で表される染料の固体微粒子分散物を含有しており、かつ該染料の固体微粒子分散物は下記一般式( VIII )で表される化合物の少なくとも1つを含有しており、さらに該写真構成層中の総ゼラチン塗布量の総塗布銀量に対する比が3.8〜7.8であることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
    Figure 0003568056
    式中、Dは発色団を有する化合物残基を表し、XはDに直接若しくは2価の連結基を介して結合した解離性水素または解離性水素を有する基を表し、Yは1ないし7の整数を表す。
    Figure 0003568056
    式中、Rは水素原子、疎水性基または疎水性重合体を表し、Pは下記構造単位A及びBのうち少なくとも一つを含み、Pの重合度が10以上3500以下の重合体を表す。mは0または1、nは1または2を表す。
    Figure 0003568056
    ここでR 1 は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、R 2 は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表す。
  2. 該染料の固体微粒子分散物が40℃以上の熱処理工程を経て含有されたものであることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
  3. 前記一般式( VIII )で表される化合物は、OH基を含むポリマー単位の繰り返し構造、アニオン性基の繰り返し構造およびカチオン性基の繰り返し構造のうちのいずれか1つ以上を有することを特徴とする請求項1あるいは2に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
  4. 該染料の固体微粒子分散物が下記一般式(IX−a)もしくは(IX−b)で表される化合物の少なくとも一つを含有している請求項1、2あるいは3記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
    Figure 0003568056
    式中aおよびbはそれぞれ5ないし500の整数を表す。
  5. 該染料が下記一般式(X−a)または(X−b)で表されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の感光材料。
    Figure 0003568056
  6. 該染料が下記一般式(XI)で表されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の感光材料。
    Figure 0003568056
  7. イエローカプラーとして下記一般式(I)または(II)で表されるカプラーの少なくとも一つ、マゼンタカプラーとして下記一般式(III)または(IV)で表されるカプラーの少なくとも一つ、そしてシアンカプラーとして下記一般式(V)または(VI)で表されるカプラーの少なくとも一つを含有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の感光材料。
    Figure 0003568056
    Figure 0003568056
    Figure 0003568056
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