JP2004037499A - 電気光学装置用基板、電気光学装置用基板の製造方法、電気光学装置、および電子機器 - Google Patents

電気光学装置用基板、電気光学装置用基板の製造方法、電気光学装置、および電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】反射型表示および透過型表示の両方の表示方式において、同様の色再現性が得られる電気光学装置用基板、その製造方法、その基板を含む電気光学装置、および、その電気光学装置を含む電子機器を提供する。
【解決手段】基板と、開口部を有する反射層と、複数の着色層と、を含む電気光学装置用基板、その製造方法、その基板を含む電気光学装置、および、その電気光学装置を含む電子機器において、電気光学装置用基板の反射層の開口部における緑色着色層の厚さを、反射層の開口部における赤色着色層および青色着色層の厚さよりもそれぞれ薄くする。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電気光学装置用基板、電気光学装置用基板の製造方法、電気光学装置用基板を含む電気光学装置、および、電気光学装置を含む電子機器に関する。特に、反射半透過型の電気光学装置に用いる場合に好適な電気光学装置用基板、電気光学装置用基板の製造方法、電気光学装置用基板を含む電気光学装置、および、電気光学装置を含む電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自然光や室内照明光等の外光を表面側から入射させ、この光を反射させて表示を行う反射型表示と、光源からの光を裏面側から入射させて表示を行う透過型表示とを必要に応じて切換えることのできる、いわゆる反射半透過型電気光学装置が知られている。
【0003】
このような従来の液晶表示パネルの典型例を図28に示すが、反射半透過型としての液晶表示パネル100の構造を模式的に示している。この液晶表示パネル100は、対向する第1の基板101と、第2の基板102とを、接着剤等のシール材103によって貼り合せ、かかる第1の基板101と、第2の基板102との間に形成された空間に、液晶材料104を封入した構成のセル構造を備えている。
そして、第1の基板101の内面上には、画素毎に開口部111aを備えた反射層111が形成され、この反射層111の上に、着色層112r,112g,112bおよび表面保護層112pを備えたカラーフィルタ基板112がさらに形成されている。また、表面保護層112pのカラーフィルタ基板112が設けられた反対側には、液晶材料104を駆動させるべく電圧を印加するための透明電極113が形成されている。
【0004】
一方、第2の基板102の内面上には、対極としての透明電極121が形成されており、対向する基板101上の透明電極113に対して交差するように配置されている。そして、基板101上に形成された透明電極113、および、基板102上に形成された透明電極121のそれぞれの表面に、配向膜や硬質透明膜(保護膜)などが、必要に応じて適宜形成されている。
また、基板102の外面上には、位相差板(1/4波長板)105および偏光板106が順次配置され、基板101の外面上には位相差板(1/4波長板)107および偏光板108がそれぞれ順次配置されている。
【0005】
以上のように構成された液晶表示パネル100は、携帯電話、携帯型情報端末などの電子機器に使用された場合、その背後にバックライト109が取付けられることになる。この液晶表示パネル100は、昼間や屋内などの明るい場所では反射経路Rに沿って外光が液晶材料104を透過した後、反射層111によって反射され、再び液晶104を透過した後、外部に放出される。したがって、液晶表示パネル100における外光による反射型表示が視認されることになる。
一方、夜間や野外などの暗い場所では、バックライト109を点灯させることにより、バックライト109の照明光のうち開口部111aを通過した光が、透過経路Tに沿って液晶表示パネル100を通過して放出される。したがって、液晶表示パネル100におけるバックライト109による透過型表示が視認されることになる。
【0006】
また、特開2001−337218号には、観察角度が変化した場合でも、赤色、緑色、青色のカラーバランスが変動しないカラーフィルタを備えた液晶パネルが開示されている。
より具体的には、赤画素、緑画素、青画素の3つの着色画素を有するカラーフィルタを備えた液晶パネルにおいて、緑画素に含まれる色材の重量を最も重くし、次いで赤画素に含まれる色材の重量を重くし、青画素に含まれる色材の重量を最も軽くするとともに、緑画素に含まれる色材の重量を、青画素に含まれる色材の重量の2〜4倍とすることを特徴としている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図28に示すような反射半透過型の液晶表示パネル100においては、反射層の開口部における着色層の厚さがいずれも等しいことより、緑色着色層の強い影響が生じやすいという問題が見られた。
すなわち、通常の赤色着色層、緑色着色層、青色着色層からなるカラーフィルタを備えた液晶表示パネル100の場合、各着色層の厚さが等しいために、緑色着色層から得られる着色光が視感度に強く影響し、他色とのバランスがくずれやすいという問題が見られた。
一方、従来の反射半透過型の液晶表示パネル100において、反射型表示で視認される反射光は、液晶層を2度通過した光であることから、暗くなりやすいという問題が見られた。そこで、反射型表示を明るくするためには、反射層の開口部の面積を小さくする必要があるが、反射層の開口部の面積が減少するために、透過型表示の明るさが低下してしまうという新たな問題が見られた。
また、透過型表示において得られる透過光は、液晶層を1度だけ通過するので、光透過状態において反射光と透過光の双方をともに有効に表示に利用し、明るく視認できるように光学的に構成することができなかった。例えば、通常は暗くなりやすい反射型表示において反射光を有効に液晶パネルから出射できるように光学的に構成されることが多いことから、透過型表示を実現する透過光の利用効率が低くなっていた。すなわち、液晶パネルに入射する光量に対して、液晶パネルを透過して出射する光量の比が低いため、反射層の開口部の面積を低減しすぎると透過型表示が暗くなるという問題が見られた。
そこで、反射層の開口部に位置する着色層と、反射層の反射部に位置する着色層とにおいて、フォトリソグラフィ技術等を用いて、それぞれを構成する着色剤の種類を異ならせるという試みもなされている。しかしながら、多色の着色層を形成する場合、工程数が著しく増えるという製造上の問題が見られた。
【0008】
また、特開2001−337218号に開示されたカラーフィルタを備えた液晶パネルは、観察角度におけるカラーバランスの調整には有効であっても、反射型表示および透過型表示の切り替えにおいて、緑色着色層から得られる着色光が視感度に強く影響し、他色とのバランスがくずれやすいという特有の問題の解決には何ら寄与することができなかった。
【0009】
したがって、本発明は、上術した問題を解決することを意図し、緑色着色層の強い影響を少なくするとともに、反射型表示および透過型表示の場合のいずれであっても、認識される色彩や明るさの差異を少なくすることができる電気光学装置用基板、電気光学装置用基板の製造方法、電気光学装置用基板を含む電気光学装置、および、電気光学装置を含む電子機器を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の電気光学装置用基板によれば、基板と、反射部および開口部を有する反射層と、赤色着色層、青色着色層および緑色着色層を有する複数の着色層と、を含む電気光学装置用基板において、
反射層の開口部における緑色着色層の厚さを、反射層の開口部における赤色着色層および青色着色層の厚さよりもそれぞれ薄くすることを特徴とする電気光学装置用基板が提供され、上述した問題点を解決することができる。
すなわち、反射層の開口部における緑色着色層の厚さを他の着色層よりも薄くすることにより、視感度に影響しやすい緑色着色層の強い影響を排除し、他色とのバランスを良好なものとすることができる。
【0011】
また、本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、反射層の開口部に位置する赤色着色層および青色着色層に、それぞれ厚肉部を設けることが好ましい。
このように構成することにより、反射層の開口部に位置する赤色着色層および青色着色層を光透過させた場合に、緑色着色層よりも十分かつ均一に光吸収をして、色バランスに優れた着色光を外部に取り出すことができる。
【0012】
また、本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、緑色着色層における着色剤濃度を、赤色着色層および青色着色層における着色剤濃度よりもそれぞれ少なくすることが好ましい。
このように構成することにより、赤色着色層および青色着色層が、緑色着色層よりも十分かつ均一に光吸収をして、色バランスに優れた着色光を外部に取り出すことができる。
【0013】
また、本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、反射層の開口部に位置する着色層の下方に、当該着色層の厚さを調整するための厚さ調整層を設けることが好ましい。
このように構成することにより、反射層の開口部に位置する着色層の厚さの調整を容易に実施することができる。
【0014】
また、本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、基板の表面に凹部を設けるとともに、当該凹部と重なる領域に、前記反射層の開口部を設けることが好ましい。
このように構成することにより、反射層の開口部に位置する着色層の厚さをさらに厚くすることができるとともに、厚さ調整を容易にすることができる。
【0015】
また、本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、反射層の反射部に位置する緑色着色層の厚さと、赤色着色層の厚さと、青色着色層の厚さとを、それぞれ実質的に等しくすることが好ましい。
このように反射部における複数の着色層の厚さについては実質的に等しくすることにより、各色の光量の低下を抑えて、それぞれ明るい着色光を得ることができる。
【0016】
また、本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、反射層の開口部に位置する緑色着色層の厚さをG1とし、反射層の反射部に位置する緑色着色層の厚さをG2としたときに、G1/G2で表される比率を1〜2の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、反射型表示であっても、透過型表示であっても、それぞれの緑色着色層における色再現性と、明るさのバランスをより良好なものとすることができる。
【0017】
また、本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、反射層の開口部に位置する赤色着色層の厚さをR1とし、反射層の反射部に位置する赤色着色層の厚さをR2としたときに、R1/R2で表される比率を1.1〜2.5の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、反射型表示であっても、透過型表示であっても、それぞれの赤色着色層における色再現性と、明るさのバランスをより良好なものとすることができる。
【0018】
また、本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、反射層の開口部に位置する青色着色層の厚さをB1とし、反射層の反射部に位置する青色着色層の厚さをB2としたときに、B1/B2で表される比率を1.2〜3の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、反射型表示であっても、透過型表示であっても、それぞれの青色着色層における色再現性と、明るさのバランスをより良好なものとすることができる。
【0019】
また、本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、反射層の反射部の面積(A1)に対する、反射層の開口部の面積(A2)の面積比率(A1/A2)に関して、緑色着色層の面積比率を、赤色着色層および青色着色層の面積比率よりもそれぞれ大きくすることが好ましい。
このように構成することにより、緑色着色層における反射部/開口部の面積比率を、他色よりも大きくすることにより、視感度に影響しやすい緑色着色層の強い影響を排除し、他色とのバランスを良好なものとすることができる。
【0020】
また、本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、緑色着色層、赤色着色層および青色着色層のそれぞれの透過光についてのCIE(1931)色度座標(単に、CIE色度座標と略する場合がある。)における色域面積を1.5×10−2以上の値とすることが好ましい。
このように透過光についての色域面積を所定値以上の値とすることにより、視感度に影響しやすい緑色着色層の強い影響を排除し、透過光についての明るさおよび彩度のバランスを向上させることができる。
【0021】
また、本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、緑色着色層、赤色着色層および青色着色層のそれぞれの反射光についてのCIE色度座標における色域面積を1.1×10−2以上の値とすることが好ましい。
このように反射光についての色域面積を所定値以上の値とすることにより、視感度に影響しやすい緑色着色層の強い影響を排除し、反射光についての明るさおよび彩度のバランスを向上させることができる。
【0022】
また、本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、透過光についてのCIE色度座標における色域面積をC1とし、反射光についてのCIE色度座標における色域面積をC2としたときに、C1/C2で表される比率を1.1〜6.0の範囲内の値とすることが好ましい。
このように透過光および反射光についての色域面積の比率を所定範囲の値とすることにより、反射型表示であっても、透過型表示であっても、視感度に影響しやすい緑色着色層の強い影響を排除し、それぞれの明るさおよび彩度のバランスを向上させることができる。
【0023】
また、本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、緑色着色層、赤色着色層および青色着色層から得られる白色透過光についての透過率を、可視光域において、30〜55%の範囲内の値とすることが好ましい。
白色透過光についての透過率を所定値とすることにより、視感度に影響しやすい緑色着色層の強い影響を排除し、白色透過光についての明るさおよび彩度のバランスを向上させることができる。
【0024】
また、本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、着色層上に保護膜を備えるとともに、当該保護膜の前記反射層の開口部と重なる領域に、開口部または実質的に光が通過できる薄肉部を設けることが好ましい。
このように構成することにより、光の透過を妨げることなく、電気光学装置用基板の機械的強度や耐熱性を高めることができる。
【0025】
また、本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、着色層または保護膜上に配向膜を備えるとともに、当該配向膜の表面に凹部を形成するか、あるいは平坦化することが好ましい。
このように構成することにより、液晶表示装置等の電気光学装置に使用した場合に、優れた表示特性を示すことができる。
【0026】
また、本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、反射層が、表面に独立して形成された複数の凸部を有する反射基部と、反射膜とを含むことが好ましい。
このように構成することにより、外部から入射した光が、反射層において過度に反射することを有効に防止することができる。
【0027】
また、本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、反射層の開口部を実質的に覆う着色層と、反射層の反射部を実質的に覆う着色層とを、同種または同一の着色剤から構成することが好ましい。
このように構成することにより、比較的種類の少ない着色剤を使用した場合であっても、反射型表示および透過型表示におけるそれぞれの色再現性と、明るさとのバランスを良好なものとすることができる。
【0028】
また、本発明の電気光学装置用基板を構成するにあたり、反射層の開口部を実質的に覆う着色層と、反射層の反射部を実質的に覆う着色層とを、別種または色濃度が異なる着色剤から構成することが好ましい。
このように構成することにより、反射型表示および透過型表示における、それぞれの色再現性と、明るさとのバランスをより良好なものとすることができる。
【0029】
また、本発明の別の態様は、基板と、反射部および開口部を有する反射層と、赤色着色層、青色着色層および緑色着色層を有する複数の着色層と、を含む電気光学装置用基板の製造方法であって、
基板上に、反射部および開口部を有する反射層を形成する工程と、
反射層の反射部および開口部を実質的に覆うように着色層を配置する工程と、を含み、
着色層を反射層の開口部に配置するにあたり、緑色着色層の厚さを、赤色着色層および青色着色層の厚さよりも薄くすることを特徴とする電気光学装置用基板の製造方法が提供される。
すなわち、電気光学装置用基板の反射層の開口部における緑色着色層の厚さを他色よりも薄くすることにより、視感度に影響しやすい緑色着色層の強い影響を排除し、他色とのバランスが良好な電気光学装置用基板を効率的に提供することができる。
【0030】
また、本発明の別の態様は、対向する第1の基板と第2の基板とを含む一対の電気光学装置用基板、およびその間に電気光学的物質を含む電気光学装置であって、
一つの電気光学装置用基板が、第1の基板と、反射部および開口部を有する反射層と、赤色着色層、青色着色層および緑色着色層を有する複数の着色層と、を含み、
反射層の開口部における緑色着色層の厚さを、反射層の開口部における赤色着色層および青色着色層の厚さよりもそれぞれ薄くすることを特徴とする電気光学装置が提供される。
すなわち、電気光学装置の反射層の開口部における緑色着色層の厚さを他より薄くすることにより、視感度に影響しやすい緑色着色層の強い影響を排除し、他の色とのバランスを良好なものとする。
【0031】
また、本発明の別の態様は、対向する第1の基板と第2の基板とを含む一対の電気光学装置用基板、およびその間に電気光学的物質を含む電気光学装置であって、
一つの電気光学装置用基板が、第1の基板と、反射部および開口部を有する反射層と、を含み、もう一つの電気光学装置用基板が、第2の基板と、赤色着色層、青色着色層および緑色着色層を有する複数の着色層と、を含み、
反射層の開口部における緑色着色層の厚さを、反射層の開口部における赤色着色層および青色着色層の厚さよりもそれぞれ薄くすることを特徴とする電気光学装置が提供される。
すなわち、電気光学装置の反射層の開口部における緑色着色層の厚さを他より薄くすることにより、視感度に影響しやすい緑色着色層の強い影響を排除し、他の色とのバランスを良好なものとすることができる。
【0032】
また、本発明の別の態様は、上述したいずれかの電気光学装置と、当該電気光学装置を制御するための制御手段と、を備えることを特徴とする電子機器である。
このように構成することにより、反射型表示であっても、透過型表示であっても、それぞれ明るい上に、色再現性に優れた画像表示が得られる電気光学装置を利用した電子機器を効率的に提供することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の電気光学装置用基板、電気光学装置用基板の製造方法、電気光学装置用基板を含む電気光学装置、および、電気光学装置を含む電子機器に関する実施形態について具体的に説明する。
ただし、かかる実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更することが可能である。
【0034】
[第1実施形態]
図1および図2を主に参照して、本発明の第1実施形態の電気光学装置用基板およびそれを用いた電気光学装置について、カラーフィルタ基板210およびそれを用いた液晶パネル200を例に採って説明する。
ここで、図1は、本発明に係る第1実施形態の電気光学装置を構成する液晶パネル200の外観を示す概略斜視図である。
また、図2(a)は、液晶パネル200の模式的な断面図であり、図2(b)は、赤色着色層214R、緑色着色層214G、および青色着色層214Bが、それぞれ反射層212の開口部212aおよび反射部212rを実質的に覆うように配置されているとともに、反射層212の開口212a部における緑色着色層214Gの厚さを、赤色着色層214Rおよび青色着色層214Bの厚さよりもそれぞれ薄くしたことを特徴としたカラーフィルタ基板210の部分拡大平面図である。
【0035】
1.液晶パネルの基本構造
図1に示す電気光学装置を構成する液晶パネルは、いわゆる反射半透過方式のパッシブマトリクス型構造を有する液晶パネル200であって、図示しないもののバックライトやフロントライト等の照明装置やケース体などを、必要に応じて、適宜取付けることが好ましい。
また、当該液晶パネル200は、用途に応じて、パッシブマトリクス型構造のかわりに、反射半透過方式のアクティブマトリクス型構造、例えば、TFD(Thin Film Diode)やTFT(Thin Film Transistor)等のアクティブ素子(能動素子)を用いた液晶パネルであっても良い。
【0036】
(1)セル構造
図1に示すように、液晶パネル200は、ガラス板や合成樹脂板等からなる透明な第1の基板211を基体とする電気光学装置用基板、すなわち、カラーフィルタ基板210と、これに対向し、実質的に同様の構成を有する第2の基板221を基体とする対向基板220とが、接着剤等のシール材230を介して貼り合わせられていることが好ましい。そして、カラーフィルタ基板210と、対向基板220とが形成する空間であって、シール材230の内側部分に対して、開口部230aを介して液晶材料232を注入した後、封止材231にて封止されてなるセル構造を備えていることが好ましい。
【0037】
(2)配線
第1の基板211の内面であって、第2の基板221に対向する表面上に、並列した複数のストライプ状の透明電極216を形成し、第2の基板221の内面上には、当該透明電極216に直交する方向に並列した、複数のストライプ状の透明電極222を形成することが好ましい。また、透明電極216を、配線218Aに対して接続するとともに、もう一方の透明電極222を、配線228に対して接続することが好ましい。
そして、透明電極216と透明電極222とは相互に直交するため、その交差領域がマトリクス状に配列された多数の画素を構成し、これら多数の画素の配列が、全体として液晶表示領域Aを構成することになる。
【0038】
また、第1の基板211は、第2の基板221の外形よりも外側に張り出してなる基板張出部210Tを有し、この基板張出部210T上には、配線218A、配線228に対して、シール材230の一部で構成される上下導通部を介して接続された配線218B、および、独立して形成された複数の配線パターンからなる入力端子部219が形成されていることが好ましい。
また、基板張出部210T上には、これら配線218A、218Bおよび入力端子部219に対して接続されるように、液晶駆動回路等を内蔵した半導体素子(IC)261が実装されていることが好ましい。
さらに、基板張出部210Tの端部には、入力端子部219に接続されるように、フレキシブル配線基板263が実装されていることが好ましい。
【0039】
(3)位相差板および偏光板
図1に示される液晶パネル200において、図2に示すように、第1の基板211における外面の所定位置に、位相差板(1/4波長板)240および偏光板241が配置されていることが好ましい。
そして、第2の基板221の外面においても、鮮明な画像表示が認識できるように、別の位相差板(1/4波長板)250および偏光板251が配置されていることが好ましい。
【0040】
2.カラーフィルタ基板
次いで、図1および図2、あるいは図3〜図15を適宜参照しながら、本発明の電気光学装置用基板としての構造的特徴や動作を、カラーフィルタ基板210を例に採って詳細に説明する。
【0041】
(1)着色層
▲1▼着色剤
図1〜図3に示される赤色着色層214R、緑色着色層214G、および青色着色層214Bからなる複数の着色層214は、通常、透明樹脂中に顔料や染料等の着色剤を分散させて所定の色調を呈するものとされている。かかる着色層としては、原色系フィルタとして、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色の着色層214R、214G、214Bの組合せが好ましい。
また、基板表面上に顔料や染料等の着色剤を含む感光性樹脂からなる着色レジストを塗布し、フォトリソグラフィ法によって不要部分を除去することによって、所定のカラーパターンを有する着色層を形成することも好ましい。
なお、赤色着色層214R、緑色着色層214G、および青色着色層214Bからなる3色の着色層214を形成する場合には、3色の着色レジストの塗布およびフォトリソグラフィ法の操作を、それぞれ繰り返すことになる。
【0042】
また、図3に示すように、反射層212の開口部212aを実質的に覆う着色層214と、反射層212の反射部212rを実質的に覆う着色層214とを、同種または同一の着色剤から構成することが好ましい。例えば、RGBの3色の着色層を形成するにあたり、3種類の着色剤から構成することが好ましい。
このように構成することにより、比較的種類の少ない着色剤を使用した場合であっても、反射型表示および透過型表示におけるそれぞれの色再現性と、明るさとのバランスを良好なものとすることができる。
【0043】
一方、反射層の開口部を実質的に覆う着色層と、反射層の反射部を実質的に覆う着色層とを、別種または色濃度が異なる着色剤から構成することも好ましい。例えば、RGBの3色の着色層を形成するにあたり、各色、淡色着色剤および濃色着色剤の合計6種類の着色剤から構成することが好ましい。
このように構成することにより、使用する着色剤の種類は多少多くなるが、反射型表示および透過型表示における、それぞれの色再現性と、明るさとのバランスをより良好なものとすることができる。
【0044】
また、緑色着色層における着色剤濃度を、赤色着色層における着色剤濃度および青色着色層における着色剤濃度よりも少なくすることが好ましい。
この理由は、各着色層における着色剤濃度が同一であると、色バランスに優れた着色光を外部に取り出すことが困難になる場合があるためである。したがって、緑色着色層における着色剤濃度を比較的少なくすることにより、赤色着色層および青色着色層が、緑色着色層よりも十分かつ均一に光吸収をして、色バランスに優れた着色光を外部に取り出すことができる。
【0045】
▲2▼厚さ
また、図3に示すように、赤色着色層214R、緑色着色層214G、および青色着色層214Bからなる複数の着色層214において、反射層212の開口部212aにおける緑色着色層214Gの厚さを、赤色着色層214Rおよび青色着色層214Bの厚さよりもそれぞれ薄くすることを特徴とする。
この理由は、G(緑)の画素を構成する着色層と、R(赤)やB(青)の画素を構成する着色層とは、光を吸収して着色させる度合いが異なるため、各着色層の厚さが全て同じでは、緑色着色光の視感度が大きくなり、他着色光とのバランスを失いやすいためである。
【0046】
一方、図3に示すように、反射層212の反射部212rに位置する複数の着色層214の厚さについは、それぞれ実質的に等しくすることが好ましい。
この理由は、反射層212の反射部212rにおいては、色のバランスというよりも、光量の確保が重要であるためである。すなわち、反射層212の反射部212rにおいては、複数の着色層214を2度透過するため、緑色着色層214Gの厚さと、赤色着色層214Rの厚さと、青色着色層214Bの厚さと、をそれぞれ実質的に等しくすることにより、各色の光量の低下を抑えて、明るい着色光を得るためである。
【0047】
また、図3に示すように、反射層212の開口部212aに位置する緑色着色層214Gの厚さをG1とし、反射層212の反射部212rに位置する緑色着色層214Gの厚さをG2としたときに、G1/G2で表される比率を1〜2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、G1/G2で表される比率が1未満の値になると、透過型表示と、反射型表示との間で、視覚される緑色の着色光の差が顕著に観察される場合があるためであり、G1/G2で表される比率が2を超えると、緑色を着色させる度合いが異なるため、緑色着色光の視感度が大きくなり、他着色光とのバランスを失いやすくなる場合があるためである。
したがって、G1/G2で表される比率を1.1〜1.9の範囲内の値とすることがより好ましく、1.2〜1.8の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0048】
また、図3に示すように、反射層212の開口部212aに位置する赤色着色層214Rの厚さをR1とし、反射層212の反射部212rに位置する赤色着色層214Rの厚さをR2としたときに、R1/R2で表される比率を1.1〜2.5の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、R1/R2で表される比率が1.1未満の値になると、透過型表示と、反射型表示との間で、視覚される緑色の着色光の差が顕著に観察される場合があるためであり、R1/R2で表される比率が2.5を超えると、赤色を着色させる度合いが異なるため、他色とのバランスを失いやすくなる場合があるためである。
したがって、R1/R2で表される比率を1.2〜2.3の範囲内の値とすることがより好ましく、1.3〜2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0049】
また、図3に示すように、反射層212の開口部212aに位置する青色着色層214Bの厚さをB1とし、反射層212の反射部212rに位置する青色着色層214Bの厚さをB2としたときに、B1/B2で表される比率を1.2〜3の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、B1/B2で表される比率が1.2未満の値になると、透過型表示と、反射型表示との間で、視覚される青色の着色光の差が顕著に観察される場合があるためであり、B1/B2で表される比率が3を超えると、青色を着色させる度合いが異なるため、他色とのバランスを失いやすくなる場合があるためである。
したがって、B1/B2で表される比率を1.3〜2.7の範囲内の値とすることがより好ましく、1.5〜2.3の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0050】
▲3▼厚肉部
図3に示すように、赤色着色層214R、緑色着色層214G、および青色着色層214Bからなる複数の着色層214が、それぞれ反射層212の開口部212aと重なる領域に、厚肉部233R、233G、233Bを備えることが好ましく、特に、赤色着色層214Rおよび青色着色層214Bに、それぞれ厚肉部233R、233Bを設けることが好ましい。
この理由は、赤色着色層および青色着色層を光透過させた場合に、十分かつ均一に光吸収をして、視感度や色再現性に優れるとともに、明るさが調整された着色光を外部に取り出すことができるためである。
なお、かかる厚肉部の形態は、反射層の開口部と重なる領域において、反射部よりも層の厚さが厚い箇所を有する限り特に制限されるものではないが、例えば、図4および図5に示すような形態が挙げられる。
すなわち、厚肉部の形態としては、図4(a)に示すように、断面が矩形の厚肉部であっても良く、図4(b)に示すように、側面に斜面を有するテーパー状断面を有する厚肉部であっても良く、図4(c)に示すように、逆台形のテーパー状断面を有する厚肉部であっても良い。
また、図5(a)に示すように、断面が階段状の斜面を有する厚肉部であっても良く、図5(b)に示すように、半円形の断面を有する厚肉部であっても良く、図5(c)に示すように、こぶ状の断面を有する厚肉部であっても良い。
【0051】
▲3▼面積
また、着色層の面積を、反射層における反射部と、開口部(透過部)との合計面積よりも小さくすることが好ましい。
この理由は、光反射部において、光吸収されずに高輝度の無着色光のまま、外光を反射させる領域を設けるためである。すなわち、通常、反射層における反射光は光量が少なく、認識される画像が暗くなりがちであるが、このように面積を制限することにより、無着色光と、着色光と、からなる十分な光量を有する反射光を外部に取り出すことができるためである。
したがって、反射型表示であっても、透過型表示であっても、十分な光量が得られるとともに、それぞれ色再現性に優れた着色光を得ることができる。
【0052】
また、着色層の面積および位置を制限し、反射層における開口部、すなわち、透過部については実質的に着色層によって覆うとともに、反射層における反射部については、着色層が部分的に覆うことが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、透過光については効率良く着色することができる一方、反射光については光量の低下を抑制することができるためである。したがって、反射型表示であっても、透過型表示であっても、さらに十分な光量が得られるとともに、それぞれ色再現性に優れた着色光を得ることができる。
【0053】
また、着色層の面積および位置に関して、図6(a)〜図6(d)および図7(a)〜図7(d)に、反射層212における開口部212a、すなわち、透過部については全面的に着色層214R、214G、214Bによって覆うとともに、反射層における反射部については、着色層214R、214G、214Bが部分的に覆う態様の例を示す。
例えば、図6(a)は、着色層214R、214G、214Bが、開口部(透過部)212aについては全面的に覆うとともに、反射部212rについては、周囲に、所定幅の着色層214の非形成部を設けるように、矩形状の着色層214R、214G、214Bが部分的に覆う例である。
また、例えば、図7(a)は、着色層214R、214G、214Bが、複数の開口部(透過部)212aについて、それぞれ全面的に覆うとともに、反射部212については、斜めストライプ状の着色層214R、214G、214Bが、着色層214の非形成部を設けるように部分的に覆う例である。
【0054】
また、着色層の面積および位置に関して、反射層の反射部における面積をA1とし、着色層が配置されている反射部の面積をA2とし、反射層の開口部における面積をA3とし、着色層が配置されている開口部の面積をA4としたときに、A2/A1で表される比率を、A4/A3で表される比率よりも小さくすることが好ましい。
このように構成することにより、反射型表示であっても、透過型表示であっても、それぞれ色再現性と、明るさのバランスをさらに良好なものとすることができる。
より具体的には、A2/A1で表される比率を0.2〜0.8未満の範囲内の値とし、A4/A3で表される比率を0.8〜1.0の範囲内の値とすることが好ましい。
【0055】
▲5▼色遮光膜
図1〜図3に示すように、画素毎に形成された着色層214の間の画素間領域に、黒色遮光膜(ブラックマトリクスあるいはブラックマスク)214BMが形成してあることが好ましい。
また、かかる黒色遮光膜214BMの構成材料としては、例えば黒色の顔料や染料等の着色剤を樹脂その他の基材中に分散させたものや、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色の着色剤を、樹脂やその他の基材中に分散させたものなどを用いることが好ましい。
【0056】
▲6▼配列パターン
また、着色層の配列パターンとして、図2(b)に示す着色層では、ストライプ配列を採用しているが、このストライプ配列の他に、図8(b)に示すような斜めモザイク配列や、図8(c)に示すようなデルタ配列等の種々の配列パターンを採用することができる。
【0057】
▲7▼分光透過率
また、反射層の開口部および反射部にそれぞれ位置する着色層(赤色着色層、青色着色層、緑色着色層)の分光透過率を所定範囲の値に制限することが好ましい。
例えば、図10に示すように、反射層の開口部に位置する赤色着色層の波長600〜780nm(ただし、図10では700nm以上は省略してある)の最大透過率を80%以上の値とし、同様に緑色着色層の波長500〜600nm未満の最大透過率を80%以上の値とし、さらに、同様に青色着色層の波長400〜500nm未満の最大透過率を80%以上の値とするとともに、波長400〜780nmにおける白色光の平均透過率を30〜50%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、所定範囲の波長における赤色着色層、青色着色層、および緑色着色層の各最大透過率をこのような範囲内の値とするとともに、白色光の平均透過率をこのような範囲内の値とすることにより、一定の色再現性が得られるとともに、彩度に優れた透過光が得られるためである。
なお、反射層の開口部における透過光の分光透過率は、いわゆるC光源から出射された光を、反射層の開口部に形成された赤色着色層、青色着色層、および緑色着色層に対して、それぞれ一回通過させた状態において、分光光度計によって測定することができる。
【0058】
また、図11に示すように、反射層の反射部に位置する赤色着色層の波長600〜780nm(ただし、図10では700nm以上は省略してある)の最大透過率を80%以上の値とし、緑色着色層の波長500〜600nm未満の最大透過率を80%以上の値とし、さらに、青色着色層の波長400〜500nm未満の最大透過率を80%以上の値とするとともに、波長400〜780nmにおける白色光の平均透過率を58〜70%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、所定範囲の波長における赤色着色層、青色着色層、および緑色着色層の各最大透過率をこのような範囲内の値とするとともに、白色光の平均透過率をこのような範囲内の値とすることにより、一定の色再現性が得られるとともに、比較的明るい着色した反射光が得られるためである。
なお、反射層の反射部における反射光の分光透過率は、いわゆるC光源から出射された光を、反射層の反射部に形成された赤色着色層、青色着色層、および緑色着色層に対して、それぞれ一回通過させた状態において、分光光度計によって測定することができる。
【0059】
また、反射層の開口部における着色層の分光透過率に関して、図10に示すように、緑色着色層の透過率曲線における半値幅(図10中、記号PQ間の距離)を110〜130nmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる緑色着色層の透過率曲線における半値幅が110nm未満の値になると、緑色透過光の明るさが過度に低下する場合があるためであり、一方、かかる透過率ピークの半値幅が130nmを超えると、緑色透過光の彩度が著しく低下する場合があるためである。
したがって、緑色着色層の透過率曲線における半値幅を110〜120nmの範囲内の値とすることがより好ましい。
【0060】
さらに、図11に示すように、反射層の反射部における緑色着色層の透過率曲線における半値幅を135〜150nmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる緑色着色層の透過率曲線における半値幅が135nm未満の値になると、緑色反射光の明るさが過度に低下する場合があるためであり、一方、かかる緑色着色層の透過率曲線における半値幅が150nmを超えると、反射光の彩度が著しく低下する場合があるためである。
したがって、反射層の反射部における緑色着色層の透過率曲線における半値幅を140〜150nmの範囲内の値とすることがより好ましい。
【0061】
▲8▼CIE(1931)色度座標
また、反射層の開口部および反射部にそれぞれ位置する着色層(赤色着色層、青色着色層、緑色着色層)のCIE色度座標における色域面積を所定範囲の値に制限することが好ましい。
例えば、図12に示すように、反射層の開口部に位置する着色層のCIE色度座標における色域面積を0.6×10−2〜2.0×10−2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる色域面積が0.6×10−2未満の値になると、着色光の彩度が過度に低下する場合があるためであり、一方、かかる色域面積が2.0×10−2を超えると、着色した反射光の明るさが著しく低下する場合があるためである。
したがって、反射層の開口部に位置する着色層のCIE色度座標における色域面積を1×10−2〜1.8×10−2の範囲内の値とすることがより好ましく、1.2×10−2〜1.6×10−2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0062】
また、図13に示すように、反射層の反射部に位置する着色層のCIE色度座標における色域面積を0.4×10−2〜1.8×10−2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる色域面積が0.4×10−2未満の値になると、着色光の彩度が過度に低下する場合があるためであり、一方、かかる色域面積が1.8×10−2を超えると、着色した反射光の明るさが著しく低下する場合があるためである。
したがって、反射層の反射部に位置する着色層のCIE色度座標における色域面積を0.6×10−2〜1.7×10−2の範囲内の値とすることがより好ましく、0.8×10−2〜1.5×10−2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0063】
また、透過光についてのCIE色度座標における色域面積をC1とし、反射光についてのCIE色度座標における色域面積をC2としたときに、C1/C2で表される比率を1.1〜6.0の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるC1/C2で表される比率が1.1未満の値になると、反射型表示と、透過型表示との間で認識される着色光における明るさの差異が顕著になる場合があるためである。一方、かかるC1/C2で表される比率が6.0を超えると、反射型表示と、透過型表示との間で認識される着色光における色再現性の差異が顕著になる場合があるためである。
したがって、C1/C2で表される比率を1.2〜3.0の範囲内の値とすることがより好ましく、1.5〜2.0の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0064】
また、赤色着色層の透過光における色度座標上の数値(x1、y1)を、x1=0.54、y1=0.34を中心として、(x−x1)+(y−y1)≦(0.05)で表される領域に位置させることが好ましい。
また、青色着色層の透過光における色度座標上の数値(x2、y2)については、x2=0.31、y2=0.49を中心とし、(x−x2)+(y−y2)≦(0.05)で表される領域に位置させることが好ましい。
さらに、緑色着色層の透過光における色度座標上の数値(x3、y3)については、x3=0.15、y3=0.19を中心とし、(x−x3)+(y−y3)≦(0.05)で表される領域に位置させることが好ましい。
この理由は、各着色層が、かかる色度座標上の数値を採ることによって、透過光において、適度の明るさが得られる一方、好ましい彩度が得られるためである。
【0065】
一方、赤色着色層の反射光における色度座標上の数値(x1、y1)を、x1=0.42、y1=0.30を中心として、(x−x1)+(y−y1)≦(0.05)で表される領域に位置させることが好ましい。
また、青色着色層の透過光における色度座標上の数値(x2、y2)については、x2=0.31、y2=0.35を中心とし、(x−x2)+(y−y2)≦(0.05)で表される領域に位置させることが好ましい。
さらに、緑色着色層の透過光における色度座標上の数値(x3、y3)については、x3=0.20、y3=0.24を中心とし、(x−x3)+(y−y3)≦(0.05)で表される領域に位置させることが好ましい。
この理由は、各着色層が、かかる色度座標上の数値を採ることによって、反射光において、適度の明るさが得られる一方、好ましい彩度が得られるためである。
【0066】
(2)反射層
図2に示すように、第1の基板211の表面には、反射層212が形成されている。この反射層212は、アルミニウム、アルミニウム合金、クロム、クロム合金、銀、銀合金などの金属薄膜で構成することができる。また、反射層212には、画素毎に、反射面を有する反射部212rと、開口部212aとが設けられていることが好ましい。
そして、反射層212の上には、画素毎に着色層214が形成され、その上をアクリル樹脂やエポキシ樹脂などの透明樹脂からなる表面保護層(オーバーコート層)215が被覆していることが好ましい。この着色層214と表面保護層215とによってカラーフィルタが形成されることになる。
なお、図14に、反射層の構成の好適例を示す。この反射層70の例では、基材74の表面に独立して形成された複数の凸部を有する第1の反射基部76(例えば、厚さ1.6μm)と、その上に形成された比較的なだらかな表面状態を有する連続層からなる第2の反射基部79(例えば、厚さ1.3μm)と、さらにその上に形成された反射膜(例えば、厚さ0.2μm)72とを含んでいる。
また、反射層70が優れた反射効果と、適度の光散乱効果とを併せ持つように、第1の反射基部76は、ランダムパターンに配置されていることが好ましい。
【0067】
(3)厚さ調整層
▲1▼位置
図15(a)に示すように、反射層212の開口部212aと重なる領域に、着色層214の厚さを調整するための厚さ調整層234を設けることが好ましい。
この理由は、このように厚さ調整層234を備えることにより、開口部212aにおける着色層214の厚さの調整が容易となるためである。したがって、反射型表示であっても、透過型表示であっても、さらに十分な光量が得られるとともに、それぞれ色再現性に優れた着色光を得ることができる。
また、図15(b)に示すように、基材211の一部に凹部236を設けるとともに、その一部または全部に厚さ調整層234を設けることも好ましい。
【0068】
▲2▼厚さ
また、厚さ調整層の厚さをt3とし、着色層の厚肉部の厚さをt4としたときに、t3/t4で表される比率を0.01〜10の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるt3/t4で表される比率が0.01未満の値になると、透過型表示において外部に取り出せる光量が過度に多くなり、反射型表示および透過型表示における色再現性のバランスが低下する場合があるためである。
一方、かかるt3/t4で表される比率が10を超えると、透過型表示において外部に取り出せる光量が過度に少なくなり、反射型表示および透過型表示における色再現性のバランスが低下する場合があるためである。
したがって、反射型表示および透過型表示における色再現性のバランスがより良好となることから、t3/t4で表される比率を0.05〜5の範囲内の値とすることがより好ましく、t3/t4で表される比率を0.1〜2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0069】
また、厚さ調整層の厚さを具体的に、0.1〜100μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる厚さ調整層の厚さが0.1μm未満の値になると、透過型表示において外部に取り出せる光量が過度に多くなり、反射型表示および透過型表示における色再現性のバランスが低下する場合があるためである。
一方、かかる厚さ調整層の厚さが100μmを超えると、透過型表示において外部に取り出せる光量が過度に少なくなり、反射型表示および透過型表示における色再現性のバランスが低下する場合があるためである。
したがって、反射型表示および透過型表示における色再現性のバランスがより良好となることから、厚さ調整層の厚さを1〜50μmの範囲内の値とすることがより好ましく、2〜30μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0070】
なお、厚さ調整層の厚さt3を、着色層の色ごとに変えることが好ましい。より具体的には、赤色着色層214Rにおける厚さ調整層の厚さを0.1〜50μmの範囲内の値とすることが好ましく、緑色着色層214Gにおける厚さ調整層の厚さを0.5〜100μmの範囲内の値とすることが好ましく、青色着色層214Bにおける厚さ調整層の厚さを0.1〜50μmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、透過型表示と、反射型表示との間で、視覚される緑色における着色光の差を少なくするとともに、他色とのバランスが良好になるためである。
したがって、赤色着色層214Rにおける厚さ調整層の厚さを0.3〜30μmの範囲内の値とすることがより好ましく、緑色着色層214Gにおける厚さ調整層の厚さを1〜50μmの範囲内の値とすることがより好ましく、青色着色層214Bにおける厚さ調整層の厚さを0.3〜30μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
【0071】
(4)表面保護層
図1〜図2および図9に示すように、カラーフィルタ基板210の着色層214上に、表面保護層215が設けてあることが好ましい。
この理由は、このように表面保護層215を設けることにより、着色層214自体、ひいては着色層214を含むカラーフィルタ基板210の耐久性や耐熱性等を著しく向上させることができるためである。
【0072】
(5)透明電極および配向膜
図1〜図2および図9に示すように、表面保護層215の上には、ITO(インジウムスズ酸化物)等の透明導電体からなる透明電極216を形成することが好ましい。かかる透明電極216は、図2(b)において、上下方向に伸びる帯状に形成されており、複数の透明電極216が並列したストライプ状に構成されていることが好ましい。
また、透明電極216の上には、ポリイミド樹脂等からなる配向膜217が形成されていることが好ましい。
このように構成することにより、カラーフィルタ基板210を液晶表示装置等に使用した場合に、液晶材料の電圧駆動を容易に実施することができる。
【0073】
(6)対向基板
また、図2および図9に示すカラーフィルタ基板210と対向する対向基板220は、ガラス等からなる第2の基板221上に、第1の基板と同様の透明電極222、SiOやTiOなどからなる硬質保護膜223や配向膜224を順次積層させたものであることが好ましい。
なお、このカラーフィルタ基板210の例では、着色層が第1の基板に設けてあるが、着色層を、かかる対向基板220の第2の基板221上に設けることも好ましい。
【0074】
(7)液晶層
図2および図9に示すように、カラーフィルタ基板210と、対向基板220との間に形成された空間に、液晶材料232が充填されて、液晶層を形成していることが好ましい。
なお、充填されている液晶材料の種類や厚さ等は特に制限されるものではないが、反射型表示および透過型表示における明るさや色再現性のバランスを考慮して定めることが好ましい。
【0075】
(8)動作
以上のように構成された第1実施形態において、対向基板221側から入射した外光は、液晶材料232等を透過し、さらにカラーフィルタ基板210の着色層214を透過して、反射部212rに到達する。外光はこの反射部212rにおいて反射され、反射光として、再び液晶材料232および対向基板221を透過して、外部に出射される。このとき、かかる反射光は、透過する方向は異なるものの、カラーフィルタ基板210における着色層214を2回通過することになる。
そして、光反射部212においては、反射部212r以外に、光吸収されずに高輝度の無着色光のまま反射される領域235が設けられているため、反射された無着色光と、着色層を透過反射した着色光とからなる十分な光量を有する反射光を外部に取り出すことができる。
【0076】
一方、着色層214は、反射層212の開口部212aを完全に覆っているので、例えば、カラーフィルタ基板210の背後にバックライト等を配置して、背後から照明光を照射した場合には、当該照明光の一部が反射層212の開口部212aを通過して着色層214を透過し、液晶材料232および対向基板220における第2の基材221等を通過して出射する。このとき、透過光は着色層214を1回だけ透過する。
その場合、反射層212の開口部212aにおける緑色着色層214Gの厚肉部233Gの厚さを他の着色層の厚肉部よりも薄くすることにより、視感度に影響しやすい緑色着色層214Gの強い影響を排除し、他色とのバランスを良好なものとすることができる。
したがって、このように構成することにより、反射型表示であっても、透過型表示であっても、十分な光量が得られるとともに、それぞれ色再現性に優れた着色光を得ることができる。
【0077】
[第2実施形態]
次に、図16を参照しながら本発明に係る第2実施形態について説明する。この第2実施形態は、カラーフィルタ基板210が、特定構造の表面保護層315を備えているほかは、第1実施形態において説明したカラーフィルタ基板および電気光学装置の構成と同様である。したがって、以下に説明においては、第1実施形態と同様の構成についての説明は適宜省略する場合があるものとする。
【0078】
1.構成
図16に示すように、カラーフィルタ基板210における第1の基板211上に、第1実施形態と同様に反射部212rおよび開口部212aを備えた反射層212が形成され、この反射層212上に複数の着色層214R、214G、214Bが形成されている。この複数の着色層214R、214G、214Bにおいて、第1実施形態と同様に、反射層212の開口部212aにおける緑色着色層214Gの厚肉部233Gの厚さを、他の着色層214R、214Bの厚肉部233R、233Bよりも薄くしている。
また、複数の着色層214R、214G、214Bは、それぞれ反射層212の開口部212aを実質的に覆うように配置されているとともに、反射層212の反射部212rについては一部が重なるように配置されている。したがって、反射層212上に、高輝度の無着色光のまま、外部から入射した光が反射される領域235が形成されている。
また、図16に示すように、着色層214上に、凹部を有する表面保護層315と、透明電極316と、配向膜317と、が形成されている。
そして、第2実施形態では、かかる表面保護層315等において、反射層212の開口部212aに重なる領域に、凹部315bが形成されていることを特徴としている。また、この表面保護層315の例では、凹部315bにおける下方部分が、薄肉部315cとなっている。
【0079】
2.動作
第2実施形態においては、反射層212の開口部212aにおける緑色着色層214Gの厚肉部233Gの厚さを他の着色層214R、214Bの厚肉部233R、233Bよりも薄くすることにより、視感度に影響しやすい緑色着色層214Gの強い影響を排除し、透過型表示における他色とのバランスを良好なものとすることができる。
また、カラーフィルタ基板210の光反射部212において、光吸収されずに高輝度の無着色光のまま反射される領域235が設けられているため、その反射された無着色光と、着色層214を透過反射した着色光と、からなる十分な光量を有する反射光を外部に取り出すことができる。
したがって、第2実施形態において、反射型表示であっても、透過型表示であっても、十分な光量が得られるとともに、それぞれにおいて色再現性や明るさに優れた着色光を得ることができる。
【0080】
また、第2実施形態においては、カラーフィルタ基板210上に、凹部を有する表面保護層315等によって形成された凹部315bが設けてあることから、反射層212の開口部212aに対応した位置の液晶材料232の厚さを、反射層212の反射部212rに対応した位置の液晶材料よりも厚くすることができる。
したがって、透過型表示における液晶材料232のリタデーション値(液晶層透過時の光学的作用値)が、反射型表示における液晶材料232のリタデーション値(液晶層往復時の合計の光学的作用値)に近くなるため、透過型表示における透過光の利用効率を従来よりも高めることができる。よって、透過光の利用効率が高まることにより、透過型表示を得るための照明光量を低減することが可能となり、また、反射層212の開口部212aの面積を低減した場合であっても、反射型表示をより明るくすることが可能になる。
【0081】
ここで、図24を参照して、液晶層の厚さを変えた場合の効果をモデル的に説明する。上述したように、開口部Raを備えた反射層Rの上に着色層Cを形成し、その上に透光層Tを形成し、この透光層Tにおいて、反射層Rの開口部Ra上に開口部を設けることにより、開口部Raと平面的に重なる領域の液晶層の厚さ(b)を、それ以外の領域における液晶層の厚さ(a)の2倍にしたとする。また、説明の都合上、ホモジニアス方式の液晶セルが構成されているとする。そして、この液晶セルのリタデーションがΔn・a=λ/4、Δn・b=λ/2(Δnは液晶の光学異方性、λは光の波長)であるとする。
【0082】
そして、液晶セルが光透過状態にある場合、透過型表示では、図24中の記号(A)に示すように、バックライト等からの照明光が偏光板P2を通過して直線偏光となる。次いで、位相差板(1/4波長板)D2を通過することにより、例えば右回りの円偏光となった後に、セル厚D2の液晶層を通過することから位相差がさらに1/2波長進んで左回りの円偏光となる。次いで、さらに位相差板D1を通過して、元の直線偏光になり、偏光板P1を通過する。
一方、液晶セルが光透過状態にあるとき、反射型表示では、図24中の記号(B)に示すように、外光が偏光板P1を通過することにより直線偏光となる。次いで、位相差板(1/4波長板)D1を通過することにより、例えば右回りの円偏光になった後、セル厚D1の液晶層を往復2度通過することから、位相差がさらに1/2波長進んで左回りの円偏光となる。次いで、再び位相差板D1を通過することにより、元の直線偏光に戻って偏光板P1を通過する。
【0083】
このような透過型表示においては、仮に通過する液晶層の厚さが、図24中に示す液晶層の厚さ(記号b)の半分であるとすると、そのリタデーションはλ/4となる。そのため、図24中の(C)に示すように、照明光が偏光板P2、位相差板D2を経て液晶を通過した後の偏光状態は、当初とは直交する方向の直線偏光となる。次いで、位相差板D1を通過して左回りの円偏光となり、さらに偏光板P1を通過する。このとき、偏光板P1を通過できる偏光成分は、液晶層の厚さが記号bで表される厚さのときに通過できる光量のほぼ半分となる。
したがって、本実施形態のような反射半透過型の液晶表示パネルの場合には、反射層の開口部と平面的に重なる領域における液晶層の厚さ(記号b)がそれ以外の領域における液晶層の厚さ(記号a)よりも厚くなると、光透過状態における光透過率が高くなる。特に、開口部と平面的に重なる領域の液晶層における液晶層の厚さ(記号b)が、それ以外の領域における液晶層の厚さ(記号a)のほぼ2倍になると、光透過量もまたほぼ2倍になる。
【0084】
なお、液晶セルがホモジニアス方式ではなく、液晶層にツイストが存在すると透過率が向上しない場合もあるが、例えば40度ツイストの液晶では、開口部と平面的に重なる領域の液晶層の厚さをそれ以外の2倍にすれば40%程度の透過率の向上が得られる。
また、一般的に、反射層の開口部と重なる領域の液晶層の厚さ(記号b)は、反射面上の液晶層の厚さ(記号a)よりも大きく、2a以下であることが好ましい。このように構成することによって、透過型表示に対する透過光の利用効率が向上し、透過型表示を明るくすることができる。したがって、バックライトの照明光量を低減することができるため、バックライトの小型化、薄型化、軽量化や消費電力の低減を図ることが可能になる。また、反射層の開口部の面積を従来よりも低減することができるので、反射型表示の明るさを向上させることも可能になる。
【0085】
さらに、第2実施形態においては、反射層212の開口部212aと重なる領域において薄肉部315cが存在するが、基本的に表面保護層315は透明であるため、光学的には第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
さらに、第2実施形態においては、着色層214が開口部212aと重なる領域においても表面保護層315によって覆われているため、着色層214をより確実に保護することが可能になる。
【0086】
[第3実施形態]
次に、図17を参照して本発明に係る第3実施形態について説明する。この第3実施形態は、カラーフィルタ基板210に対向する対向基板320の構造が異なることを除いて第1実施形態と実質的に同様の構成である。したがって、第1実施形態等と同様の構成部分についての説明は適宜省略する場合があるものとする。
【0087】
1.構成
第3実施形態においては、カラーフィルタ基板210に対向する対向基板320において、第2の基板321の内面であって、第1の基板211に対向する表面上に、凹部321aが形成されていることを特徴とする。この凹部321aは、一例として、フォトリソグラフィ技術および弗酸系のエッチング液を用いたエッチング処理によって容易に形成できる。そして、第2の基板321には、その凹部321aも含めた表面上に、透明電極322、硬質保護層323、および配向膜324がそれぞれ積層されている。
一方、カラーフィルタ基板210における着色層214は、第1実施形態および第2実施形態と同様に、反射層212の開口部212aにおける緑色着色層214Gの厚肉部233Gの厚さを他の着色層214R、214Bの厚肉部233R、233Bよりも薄くしてあり、かつ、着色層214は、反射層212の開口部212aを全面的に覆うように配置されているとともに、反射層212の反射部212rについては一部が重なるように配置されていることを特徴としている。
【0088】
2.動作
第3実施形態においては、緑色着色層214Gの厚肉部233Gの厚さを、他の着色層214R、214Bの厚肉部233R、233Bよりも薄くすることにより、視感度に影響しやすい緑色着色層214Gの強い影響を排除し、透過型表示における他色とのバランスを良好なものとすることができる。
また、カラーフィルタ基板210の反射層212において、光吸収されずに高輝度の無着色光のまま反射される領域235が設けられているため、反射された無着色光と、着色層214を透過して反射した着色光と、からなる十分な光量を有する反射光を外部に取り出すことができる。
したがって、第3実施形態において、反射型表示であっても、透過型表示であっても、色バランスに優れた着色光が得られるとともに、色再現性や明るさにも優れた着色光を得ることができる。
【0089】
また、第3実施形態では、カラーフィルタ基板210と対向する対向基板320において、表面に凹部320aが形成されており、この凹部320aに液晶材料232が入り込んでいる。
したがって、反射層212の開口部212aと重なる領域において、液晶層232を厚く形成することが可能になる。よって、透過型表示における液晶材料のリタデーション値を、反射型表示における液晶材料のリタデーション値に近似させることができるため、十分な光量が得られるとともに、色再現性に優れた着色光を得ることができる。
【0090】
[第4実施形態]
次に、図18を参照して本発明に係る第4実施形態について説明する。この第4実施形態は、基本的に第2実施形態の構造上の特徴と、第3実施形態の構造上の特徴とを組み合わせた構造である。したがって、第2実施形態や第3実施形態と同様の構成部分についての説明は適宜省略する場合があるものとする。
【0091】
1.構成
第4実施形態における対向基板420において、第3実施形態と同様に、第2の基板421の内面であって、第1の基板211に対向する表面上に、凹部421aが形成されている。また、第2の基板421には、この凹部421aも含めた表面上に透明電極422、硬質保護層423、および配向膜424がそれぞれ形成されている。
【0092】
また、図18に示すように、カラーフィルタ基板210における着色層214上に、表面保護層315が形成されている。第4実施形態では、第2実施形態と同様に、この表面保護層315において、反射層212の開口部212a上に重なる領域に凹部315bが形成されていることを特徴としている。そして、この表面保護層315の例では、凹部315bにおける下方部分が、薄肉部315cとなっている。また、表面保護層315上には、透明電極316および配向膜317が、それぞれ形成されている。
一方、カラーフィルタ基板210の着色層214において、第1実施形態および第2実施形態と同様に、反射層212の開口部212aにおける緑色着色層214Gの厚肉部233Gの厚さを、他の着色層214R、214Bの厚肉部233R、233Bよりも薄くしてあり、かつ、かかる着色層214は、反射層212の開口部212aを全面的に覆うように配置されているとともに、反射層212の反射部212rについては一部が重なるように配置されている。
【0093】
2.動作
第4実施形態において、第2の基板421の内面上に、透明電極422および配向膜424が積層されているが、上述した第2の基板421上の凹部421aを反映した凹部420aが形成されている。そして、この凹部420aに液晶材料232が入り込むように構成されている。また、表面保護層315において、反射層212の開口部212a上に重なる領域に凹部310aが形成されており、この凹部310a内に液晶材料232が入り込むように構成されている。
したがって、カラーフィルタ基板210と対向基板420の双方の内面に凹部310a、420aがそれぞれ設けられているため、反射層212の開口部212aと平面的に重なる領域の液晶層232の厚さ(記号b)を、反射部212r上の液晶層232の厚さ(記号a)よりも容易に大きく構成することが可能である。
よって、第4実施形態において、透過型表示における液晶材料のリタデーション値を、反射型表示における液晶材料のリタデーション値に近似させることができるため、十分な光量が得られるとともに、色再現性に優れた着色光を得ることができる。
【0094】
また、第4実施形態においては、緑色着色層214Gの厚肉部233Gの厚さを他の着色層214R、214Bの厚肉部233R、233Bよりも薄くすることにより、視感度に影響しやすい緑色着色層214Gの強い影響を排除し、透過型表示における他色とのバランスを良好なものとすることができる。
また、反射層212において、光吸収されずに高輝度の無着色光のまま反射される領域235が設けられているため、その反射された無着色光と、着色層を透過反射した着色光と、からなる十分な光量を有する反射光を外部に取り出すことができる。
したがって、このような第4実施形態の構成によれば、反射型表示であっても、透過型表示であっても、色バランスに優れた着色光が得られるとともに、色再現性や明るさにも優れた着色光を得ることができる。
【0095】
[第5実施形態]
次に、図19を参照して本発明に係る第5実施形態について説明する。この実施形態においては、カラーフィルタ基板510における第1の基板511の構造の一部が第1実施形態と異なっている。したがって、第1実施形態と同様の構成部分についての説明は適宜省略する場合があるものとする。
【0096】
1.構成
第5実施形態では、カラーフィルタ基板510における第1の基板511上に下地層513が形成され、この下地層513には開口部513aが設けられている。なお、この下地層513は、実質的に光透過に関与しないために、透光性を有しない遮光性材料から構成することも可能である。
また、下地層513上には、反射層512が形成され、この反射層512には、反射面を備えた反射部512rと、下地層513の開口部513a上に位置する開口部512aとが設けられている。また、反射層512上には、着色層514が形成され、この着色層514上にはさらに表面保護層515と、透明電極216と、配向膜217と、がそれぞれ形成されている。
【0097】
一方、カラーフィルタ基板510における着色層514は、第1実施形態および第2実施形態と同様に、反射層512の開口部512aにおける緑色着色層514Gの厚肉部533Gの厚さを、他の着色層514R、514Bの厚肉部533R、533Bよりも薄くしてあり、かつ、着色層514は、反射層512の開口部512aを全面的に覆うように配置されているとともに、反射層512の反射部512rについては一部が重なるように配置されている。
そして、第5実施形態の例では、第1の基板531の表面に凹部534が形成してあり、着色層514における厚肉部533の一部を収容し、カラーフィルタ基板510の全体の厚さを厚くすることなく、所定の厚肉部533を厚くできることを特徴としている。
なお、図19に示す例では、第1の基板511
における緑色着色層514Gに対応した箇所には、凹部を設けず、赤色着色層514Gに対応した箇所および青色着色層514Bに対応した箇所にのみ凹部534を設けている。したがって、赤色着色層514Gおよび青色着色層514Bにおけるそれぞれの厚肉部533R、533Bをより厚くできることから、逆に、緑色着色層514Gの厚肉部533Gの厚さを、他の着色層514R、514Bの厚肉部533R、533Bよりも容易に薄くすることができる。
【0098】
2.動作
第5実施形態においては、緑色着色層514Gの厚肉部533Gの厚さを、他の着色層514R、514Bの厚肉部533R、533Bよりも薄くすることにより、視感度に影響しやすい緑色着色層514Gの強い影響を排除し、透過型表示における他色とのバランスを良好なものとすることができる。
また、反射層512において、光吸収されずに高輝度の無着色光のまま反射される領域535が設けられているため、反射された無着色光と、着色層514を透過して反射した着色光と、からなる十分な光量を有する反射光を外部に取り出すことができる。
したがって、このような第5実施形態の構成によれば、反射型表示であっても、透過型表示であっても、色バランスに優れた着色光が得られるとともに、色再現性や明るさにも優れた着色光を得ることができる。
【0099】
[第6実施形態]
次に、図20を参照して本発明に係る第6実施形態について説明する。この第6の実施形態においては、カラーフィルタ基板610の一部構造のみが第1実施形態と異なっている。したがって、第1実施形態等と同様の構成部分についての説明は適宜省略する場合があるものとする。
【0100】
1.構成
第6実施形態では、カラーフィルタ基板610の第1の基板611上に反射層612が形成され、この反射層612には反射面を備えた反射部612rと、開口部612aとが形成されている。
また、反射層612上には透光層613が形成されている。この透光層613には開口部が形成されており、この開口部613aは、反射層612の開口部612aと重なるように構成されている。
また、透光層613上には、着色層614が形成され、この着色層614上にはさらに表面保護層615と、透明電極216と、配向膜217と、が順次に積層されている。
一方、カラーフィルタ基板610における着色層614は、第1実施形態および第2実施形態と同様に、反射層612の開口部612aにおける緑色着色層614Gの厚肉部633Gの厚さを、他の着色層614R、614Bの厚肉部633R、633Bよりも薄くしてあり、かつ、着色層614は、反射層612の開口部612aを全面的に覆うように配置されているとともに、反射層612の反射部612rについては一部が重なるように配置されている。
【0101】
2.動作
第6実施形態においては、緑色着色層614Gの厚肉部633Gの厚さを他の着色層614R、614Bの厚肉部633R、633Bよりも薄くすることにより、視感度に影響しやすい緑色着色層614Gの強い影響を排除し、透過型表示における他色とのバランスを良好なものとすることができる。
また、反射層612において、光吸収されずに高輝度の無着色光のまま反射される領域635が設けられているため、反射された無着色光と、着色層を透過反射した着色光と、からなる十分な光量を有する反射光を外部に取り出すことができる。さらに、透光層613を設けることによって、厚肉部633の厚さの調整がさらに容易となる。
したがって、かかる第6実施形態の構成によれば、反射型表示であっても、透過型表示であっても、色バランスに優れた着色光が得られるとともに、色再現性や明るさにも優れた着色光を得ることができる。
【0102】
[第7実施形態]
次に、図21を参照して本発明に係る第7実施形態について説明する。なお、第7の実施形態においては、第2の基板721に複数の着色層723が設けられて、カラーフィルタ基板720を構成していることを特徴とする。したがって、他の構成については、適宜説明を省略する場合がある。
【0103】
1.構成
第7実施形態においては、第1の基板711上に反射層712が形成され、この反射層712には反射面を備えた反射部712rと、開口部712aとが設けられている。また、反射層712上には、SiOやTiOなどの絶縁材料からなる絶縁膜713が形成されており、この絶縁膜713上に、透明電極716および配向膜717が順次に形成されている。
ただし、反射層712が、画素毎に分離して形成されている場合には、反射層712上に絶縁膜713を介することなく、透明電極716を直接的に形成することも好ましい。
【0104】
また、第2の基板721上には、着色層723が形成されており、画素間領域には、黒色遮光層723BMが形成されている。そして、着色層723上に、表面保護層715と、透明電極722と、配向膜724と、がそれぞれ形成されている。
そして、着色層723は、反射層712の開口部712aに対応した位置に配置されているとともに、反射層712の反射部712rについては一部が重なるように配置されている。また、反射層712の開口部712aと重なる領域に、厚肉部733を備えているとともに、緑色着色層723Gの厚肉部733Gの厚さを他の着色層723R、723Bの厚肉部733R、733Bよりも薄くなるように構成している。
【0105】
2.動作
第7実施形態においては、緑色着色層723Gの厚肉部733Gの厚さを他の着色層723R、723Bの厚肉部733R、733Bよりも薄くすることにより、視感度に影響しやすい緑色着色層723Gの強い影響を排除し、透過型表示における他色とのバランスを良好なものとすることができる。
また、図21に示すように、着色層723に隣接する箇所に、光吸収されずにあるいは光吸収の程度が低いままで高輝度の無着色光が得られる領域735が設けられているため、かかる無着色光と、着色層を透過反射した着色光と、からなる十分な光量を有する反射光を外部に取り出すことができる。
したがって、第7実施形態によれば、反射型表示であっても、透過型表示であっても、色バランスに優れた着色光が得られるとともに、色再現性や明るさにも優れた着色光を得ることができる。
【0106】
また、第7実施形態では、反射層712の形成された第1の基板711とは反対側の第2の基板721上に、複数の着色層723が形成されている。そして、複数の着色層723および表面保護層715によって、凹部720aが構成されるようになっている。したがって、反射層712の開口部712aと重なる領域の液晶層732の厚さが、他の部分よりも厚く構成されているので、透過型表示における液晶材料のリタデーション値を、反射型表示における液晶材料のリタデーション値に近似させることができる。
よって、第7実施形態では、十分な光量が得られるとともに、色再現性に優れた着色光を得ることができる。
【0107】
[第8実施形態]
次に、図22(a)〜(d)および図23を参照して、電気光学装置あるいは電気光学装置用基板の製造方法に関する第8の実施形態について詳細に説明する。なお、第8の実施形態において製造される電気光学装置は、図1に示す第1実施形態の液晶パネル200を構成部品として備えたものである。
【0108】
1.構成
まず、図23を参照して、液晶パネル200の概略構造について説明する。図23は、図1に示す液晶パネル200における半導体素子(IC)およびフレキシブル配線基板の実装前の状態を模式的に図示するものであり、図面上、寸法は図示の都合上適宜に調整し、構成要素も適宜に省略してある。
また、液晶パネル200は、第1の基板211上に上記反射層212、着色層214、表面保護層215の積層構造の上に透明電極216が形成されたカラーフィルタ基板210と、これに対向する対向基板220とがシール材230にて貼り合わされ、内部に液晶材料232が配置されたものである。この透明電極216は上述したように配線218Aに接続され、この配線218Aがシール材230と第1の基板211との間を通過して基板張出部210Tの表面上に引き出されている。また、基板張出部210T上には入力端子部219もまた形成されている。
そして、着色層214は、反射層212の開口部212a上に配置されているとともに、反射層212の反射部212rについては一部が重なるように配置されており、かつ、反射層212の開口部212aと重なる領域に、厚肉部233を備えており、緑色着色層214Gの厚肉部233Gの厚さを他の着色層214R、214Bの厚肉部233R、233Bよりも薄くなるように構成している。
【0109】
2.製造工程
図22(a)〜図22(d)は、図23に示す液晶パネルを構成するカラーフィルタ基板210を形成するための製造工程を示すものである。
【0110】
(1)着色層および反射層の形成
図22(a)に示すように、第1の基板211上には、図1に示す液晶表示領域Aに相当する領域に、反射層212、黒色遮光層214BM、着色層214を順次形成する。そして、着色層214は、反射層212の開口部212aおよび反射部212rにそれぞれ配置されており、かつ、反射層212の開口部212aと重なる領域に、緑色着色層214Gの厚肉部233Gの厚さを他の着色層214R、214Bの厚肉部233R、233Bよりも薄くなるように、厚さが異なる厚肉部233を備えていることを特徴としている。
また、図1に示す黒色遮光層214BMおよび複数の着色層214は、それぞれ顔料や染料等の着色剤を分散させた透明樹脂等からなる感光性樹脂を、スクリーン印刷等により、所定箇所に塗布し、これに露光、現像処理を順次施すことによって形成することができる。
例えば、反射層212の開口部212aと重なる領域に、厚肉部233を形成するためには、二段階工程を採ることが好ましく、予め厚肉部233のみを形成することが好ましい。また、複数の着色層における厚肉部233を形成する際に、ハーフトーンマスクを用いたフォトリソグラフィ法により、厚さを異ならせた厚肉部を形成することが好ましい。この理由は、このように実施することにより、同一の露光条件でもって、厚さを異ならせた厚肉部を形成することができるためである。
なお、複数の色の着色層214を、所定パターンに配列して形成するためには、色ごとに上記工程を繰り返せば良い。
【0111】
ここで、図1に示す開口部212aを備えた反射層212は、蒸着法やスパッタリング法にて金属材料等を基板上に被着させた後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング法を用いてパターニングすることにより形成することができる。
例えば、図14に示すような表面になだらかな凹凸を有する反射層70を形成する場合、以下の工程▲1▼〜▲3▼を含むことが好ましい。
▲1▼透過部または光不透過部を独立した円および多角形、あるいはいずれか一方の平面形状とし、かつ、平面方向にランダムに配列した光反射膜用マスクパターンを介して、光硬化プロセスによって、基材74上に、基板表面からの高さが実質的に等しく、平面方向にランダムに配列され、かつ、独立した複数の凸部を有する第1の基材76を形成する工程
▲2▼第1の基材76の表面に光硬化性樹脂を塗布して、光硬化プロセスによって、連続した複数の凸部を有する第2の基材79を形成する工程
▲3▼第2の基材79の表面に、アルミニウム等の金属からなる反射層72を蒸着法により形成する工程
【0112】
(2)透光保護層の形成
次に、図22(b)に示すように、第1の基板211上に全面的に透光保護層215を形成する。この透光保護層215は、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂、フッ素樹脂などで構成することができる。
これらの樹脂は流動性を有する未硬化状態で基板上に塗布され、乾燥、光硬化、熱硬化などの適宜の手段で硬化される。塗布方法としては、スピンコート法や印刷法などを用いることができる。
【0113】
(3)透明電極および配向膜の形成
次いで、図22(c)に示すように、基板上に全面的にITO(インジウムスズ酸化物)等の透明導電体からなる透明電極216および配向膜217を形成する。
例えば、透明電極216はスパッタリング法により成膜できる。すなわち、透明導電層を全面的に形成した後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング法を用いてパターニングを施し、かかる透明電極216を形成することができる。
また、配向膜217については、例えば、スピンコート法を用いて形成することができる。
【0114】
(4)対向基板の形成
次いで、図22(d)に示すように、第2の基板221上に、全面的に形成されたITO(インジウムスズ酸化物)等の透明導電体からなる透明導電層を、スパッタリング法等を用いて形成した後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング法を用いてパターニングを施し、透明電極222、配線、および入力端子部を一度に形成することが好ましい。
次いで、透明電極222上に、SiOやTiOなどからなる硬質保護膜223や配向膜224を順次積層し、対向基板220とすることが好ましい。
そして、カラーフィルタ基板210と、これに対向する対向基板220とをシール材(図示せず)にて貼り合わせるとともに、内部に液晶材料232を配置することにより、液晶パネルを構成することができる。
【0115】
[第9実施形態]
本発明の電気光学装置を、電子機器における表示装置として用いた場合の実施形態について具体的に説明する。
【0116】
(1)電子機器の概要
図25は、第9実施形態の電子機器の全体構成を示す概略構成図である。この電子機器は、液晶パネル180と、これを制御するための制御手段190とを有している。また、図25中では、液晶パネル180を、パネル構造体180Aと、半導体素子(IC)等で構成される駆動回路180Bと、に概念的に分けて描いてある。また、制御手段190は、表示情報出力源191と、表示処理回路192と、電源回路193と、タイミングジェネレータ194とを有することが好ましい。
また、表示情報出力源191は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等からなるメモリと、磁気記録ディスクや光記録ディスク等からなるストレージユニットと、デジタル画像信号を同調出力する同調回路とを備え、タイミングジェネレータ194によって生成された各種のクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号等の形で表示情報を表示情報処理回路192に供給するように構成されていることが好ましい。
【0117】
また、表示情報処理回路192は、シリアル−パラレル変換回路、増幅・反転回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路、クランプ回路等の周知の各種回路を備え、入力した表示情報の処理を実行して、その画像情報をクロック信号CLKとともに駆動回路180Bへ供給することが好ましい。そして、駆動回路180Bは、走査線駆動回路、データ線駆動回路および検査回路を含むことが好ましい。また、電源回路193は、上述の各構成要素にそれぞれ所定の電圧を供給する機能を有している。
【0118】
(2)モバイル型コンピュータ
また、本発明に係る電気光学装置(液晶表示装置)を、可搬型のパーソナルコンピュータ(いわゆる携帯型パーソナルコンピュータ)の表示部に適用した電子機器例について説明する。
図26は、このパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。同図に示すように、パーソナルコンピュータ160は、キーボード162を備えた本体部163と、本発明に係る液晶表示装置(図示略)を用いた表示部164とを備えている。表示部164は、窓部164bに対応してプラスチックの保護板165が配設された筐体166に、本発明に係る液晶表示装置が収容された構成となっている。より詳細には、液晶表示装置は、その観察側の基板面が保護板165と近接するように、筐体166に収容されている。
なお、かかるパーソナルコンピュータ160においては、外光が十分に存在しない状況下であっても表示の視認性を確保すべく、上記第6実施形態に示したように、背面側にバックライトユニットを備えた半透過反射型液晶表示装置を用いることが望ましい。
【0119】
(3)携帯電話機
次に、本発明に係る電気光学装置としての液晶表示装置を、携帯電話機の表示部に適用した例について説明する。
図27は、この携帯電話機の構成を示す斜視図である。同図に示すように、携帯電話機170は、複数の操作ボタン171のほか、受話口172、送話口173とともに、本発明に係る液晶表示装置(図示略)を用いた表示部174を備えている。この携帯電話機170においては、窓部174bに対応してプラスチックの保護板175が配設された筐体176に、本発明に係る液晶表示装置が収容された構成となっている。なお、携帯電話機170においても、上記パーソナルコンピュータと同様、液晶表示装置は、その観察側の基板面が保護板175に近接するように、筐体176に収容されている。
【0120】
(4)他の電子機器
本発明に係る電気光学装置としての液晶表示装置を適用可能な電子機器としては、図26に示したパーソナルコンピュータや、図27に示した携帯電話機のほかにも、液晶テレビや、ビューファインダ型・モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電気泳動装置、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた電子機器などが挙げられる。
【0121】
さらに、本発明の電気光学装置および電子機器は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記各実施形態に示す液晶パネルは単純マトリクス型の構造を備えているが、TFT(薄膜トランジスタ)やTFD(薄膜ダイオード)等のアクティブ素子(能動素子)を用いたアクティブマトリクス方式の電気光学装置にも適用することができる。
また、上記実施形態の液晶パネルは所謂COGタイプの構造を有しているが、ICチップを直接実装する構造ではない液晶パネル、例えば液晶パネルにフレキシブル配線基板やTAB基板を接続するように構成されたものであっても構わない。
また、液晶表示装置だけでなく、エレクトロルミネッセンス装置、無機エレクトロルミネッセンス装置、プラズマディスプレイ装置、電気泳動表示装置、電界放出表示装置、LED(ライトミッティングダイオード)表示装置などのように、複数の画素毎に表示状態を制御可能な各種の電気光学装置においても本発明を同様に適用することが可能である。
【0122】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の電気光学装置用基板によれば、複数の着色層のうち、緑色着色層における厚肉部の厚さを他の着色層の厚肉部よりも薄くなるように構成していることから、視感度に影響しやすい緑色着色層の強い影響を排除し、他色とのバランスを良好なものとすることができるようになった。
また、本発明の電気光学装置用基板において、複数の着色層、特に緑色着色層について、反射層の反射部と一部が重なるように配置することにより、反射型表示および透過型表示の場合のいずれであっても、同程度に明るく認識されるとともに、色彩の差異を極めて少なくすることができるようになった。
さらに、本発明の電気光学装置用基板によれば、複数の着色層、特に緑色着色層について、着色層の面積を、反射層全体の面積よりも小さくすることができるため、着色層を形成する際のマージンを大きくすることができるようになった。よって、製造時における着色層のマージンを厳格に制御する必要が少なくなった。
【0123】
また、本発明の電気光学装置用基板の製造方法によれば、反射型表示および透過型表示の場合のいずれであっても、視感度に影響しやすい緑色着色層の強い影響を排除し、他色とのバランスが良好であって、しかも、明るくかつ色彩の差異が少ない電気光学装置用基板を効率的に製造することができるようになった。
【0124】
また、本発明の電気光学装置および電子機器によれば、反射型表示および透過型表示の場合のいずれであっても、視感度に影響しやすい緑色着色層の強い影響を排除し、他色とのバランスが良好であって、しかも、明るく、かつ色彩の差異が少ない電気光学装置および電子機器をそれぞれ提供できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液晶表示装置の第1実施形態における液晶パネル200の外観を示す液晶パネルの概略斜視図である。
【図2】第1実施形態の断面構造を模式的に示す概略断面図(a)およびカラーフィルタ基板の概略拡大平面図(b)である。
【図3】着色層における厚肉部の厚さの関係を説明するために供する図である。
【図4】着色層における厚肉部を説明するために供する図である(その1)。
【図5】着色層における厚肉部を説明するために供する図である(その2)。
【図6】着色層と、反射層との重なり状態を説明するために供する図である(その1)。
【図7】着色層と、反射層との重なり状態を説明するために供する図である(その2)。
【図8】着色層におけるパターン配列を説明するために供する図である。
【図9】本発明の第1実施形態における液晶パネルの断面構造の部分拡大図である。
【図10】反射層の開口部に位置する着色層における分光透過率曲線を示す図である。
【図11】反射層の反射部に位置する着色層における分光透過率曲線を示す図である。
【図12】反射層の開口部に位置する着色層におけるCIE色度座標を示す図である。
【図13】反射層の反射部に位置する着色層におけるCIE色度座標を示す図である。
【図14】反射層を説明するために供する図である。
【図15】着色層の位置調整層を説明するために供する図である。
【図16】本発明の第2実施形態における液晶パネルの断面構造の部分拡大図である。
【図17】本発明の第3実施形態における液晶パネルの断面構造の部分拡大図である。
【図18】本発明の第4実施形態における液晶パネルの部分断面構造の拡大図である。
【図19】本発明の第5実施形態における液晶パネルの部分断面構造の拡大図である。
【図20】本発明の第6実施形態における液晶パネルの部分断面構造の拡大図である。
【図21】本発明の第7実施形態における液晶パネルの部分断面構造の拡大図である。
【図22】本発明の第8実施形態における液晶パネルの製造工程を説明するために供する図である。
【図23】本発明の第8実施形態における液晶パネルの部分断面構造の拡大図である。
【図24】液晶分子の動作を説明するために供する図である。
【図25】本発明に係る電子機器の実施形態のブロック構成を示す概略構成図である。
【図26】本発明に係る電子機器の一例としてのパーソナルコンピュータの外観を示す概略斜視図である。
【図27】本発明に係る電子機器の一例としての携帯電話の外観を示す概略斜視図である。
【図28】従来の反射半透過型液晶パネルの構造を模式的に示す概略断面図である。
【符号の説明】
200 液晶パネル
211 第1の基板
212 反射層
212a 開口部
212b 反射部
214 着色層
215 表面保護層
216 透明電極
221 第2の基板
222 透明電極
230 シール材
240,250 偏光板

Claims (23)

  1. 基板と、反射部および開口部を有する反射層と、赤色着色層、青色着色層および緑色着色層を有する複数の着色層と、を含む電気光学装置用基板において、
    前記反射層の開口部における緑色着色層の厚さを、前記反射層の開口部における赤色着色層および青色着色層の厚さよりもそれぞれ薄くすることを特徴とする電気光学装置用基板。
  2. 前記反射層の開口部に位置する赤色着色層および青色着色層に、それぞれ厚肉部を設けることを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置用基板。
  3. 前記緑色着色層における着色剤濃度を、前記赤色着色層における着色剤濃度および前記青色着色層における着色剤濃度よりも少なくすることを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置用基板。
  4. 前記反射層の開口部に位置する着色層の下方に、当該着色層の厚さを調整するための厚さ調整層を設けることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
  5. 前記基板の表面に凹部を設けるとともに、当該凹部と重なる領域に、前記反射層の開口部を設けることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
  6. 前記反射層の反射部に位置する緑色着色層の厚さと、赤色着色層の厚さと、青色着色層の厚さとを、それぞれ実質的に等しくすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
  7. 前記反射層の開口部に位置する緑色着色層の厚さをG1とし、前記反射層の反射部に位置する緑色着色層の厚さをG2としたときに、G1/G2で表される比率を1〜2の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
  8. 前記反射層の開口部に位置する赤色着色層の厚さをR1とし、前記反射層の反射部に位置する赤色着色層の厚さをR2としたときに、R1/R2で表される比率を1.1〜2.5の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
  9. 前記反射層の開口部に位置する青色着色層の厚さをB1とし、前記反射層の反射部に位置する青色着色層の厚さをB2としたときに、B1/B2で表される比率を1.2〜3の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
  10. 前記反射層の反射部の面積(A1)に対する、前記反射層の開口部の面積(A2)の面積比率(A1/A2)に関して、前記緑色着色層の面積比率を、前記赤色着色層および青色着色層の面積比率よりもそれぞれ大きくすることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
  11. 前記緑色着色層、赤色着色層および青色着色層のそれぞれの透過光についてのCIE(1931)色度座標における色域面積を1.5×10−2以上の値とすることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
  12. 前記緑色着色層、赤色着色層および青色着色層のそれぞれの反射光についてのCIE(1931)色度座標における色域面積を1.1×10−2以上の値とすることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
  13. 前記透過光についてのCIE(1931)色度座標における色域面積をC1とし、前記反射光についてのCIE(1931)色度座標における色域面積をC2としたときに、C1/C2で表される比率を1.1〜6.0の範囲内の値とすることを特徴とする請求項12に記載の電気光学装置用基板。
  14. 前記緑色着色層、赤色着色層および青色着色層から得られる白色透過光についての透過率を、可視光域において、30〜55%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
  15. 前記着色層上に保護膜を備えるとともに、当該保護膜の前記反射層の開口部と重なる領域に、開口部または実質的に光が通過できる薄肉部を設けることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
  16. 前記着色層または保護膜上に配向膜を備えるとともに、当該配向膜の表面に凹部を形成するか、あるいは平坦化することを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
  17. 前記反射層が、表面に独立して形成された複数の凸部を有する反射基部と、反射膜とを含むことを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
  18. 前記反射層の開口部を実質的に覆う着色層と、前記反射層の反射部を実質的に覆う着色層とを、同種または同一の着色剤から構成することを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
  19. 前記反射層の開口部を実質的に覆う着色層と、前記反射層の反射部を実質的に覆う着色層とを、別種または色濃度が異なる着色剤から構成することを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
  20. 基板と、反射部および開口部を有する反射層と、赤色着色層、青色着色層および緑色着色層を有する複数の着色層と、を含む電気光学装置用基板の製造方法において、
    前記基板上に、前記反射部および開口部を有する反射層を形成する工程と、
    前記反射層の反射部および開口部を実質的に覆うように着色層を配置する工程と、を含み、
    前記着色層を反射層の開口部に配置するにあたり、前記緑色着色層の厚さを、前記赤色着色層および青色着色層の厚さよりも薄くすることを特徴とする電気光学装置用基板の製造方法。
  21. 対向する第1の基板と第2の基板とを含む一対の電気光学装置用基板、およびその間に電気光学的物質を含む電気光学装置において、
    前記一つの電気光学装置用基板が、第1の基板と、反射部および開口部を有する反射層と、赤色着色層、青色着色層および緑色着色層を有する複数の着色層と、を含み、
    前記反射層の開口部における緑色着色層の厚さを、前記反射層の開口部における赤色着色層および青色着色層の厚さよりもそれぞれ薄くすることを特徴とする電気光学装置。
  22. 対向する第1の基板と第2の基板とを含む一対の電気光学装置用基板、およびその間に電気光学的物質を含む電気光学装置において、
    前記一つの電気光学装置用基板が、第1の基板と、反射部および開口部を有する反射層と、を含み、もう一つの電気光学装置用基板が、第2の基板と、赤色着色層、青色着色層および緑色着色層を有する複数の着色層と、を含み、
    前記反射層の開口部における緑色着色層の厚さを、前記反射層の開口部における赤色着色層および青色着色層の厚さよりもそれぞれ薄くすることを特徴とする電気光学装置。
  23. 請求項21または22に記載された電気光学装置と、当該電気光学装置を制御するための制御手段と、を備えることを特徴とする電子機器。
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